(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161428
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】転移性去勢感受性前立腺癌の治療のための抗アンドロゲン剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/415 20060101AFI20241112BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241112BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20241112BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20241112BHJP
A61K 31/4166 20060101ALI20241112BHJP
A61P 5/28 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61K31/415
A61P35/00
A61P13/08
A61K31/4439
A61K31/4166
A61P5/28
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024129798
(22)【出願日】2024-08-06
(62)【分割の表示】P 2021544476の分割
【原出願日】2020-01-30
(31)【優先権主張番号】62/798,836
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/803,096
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/822,312
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/833,371
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/836,920
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/901,694
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514311287
【氏名又は名称】アラゴン ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ユ,マーガレット ケイ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヒト男性における転移性去勢感受性前立腺癌を治療するための方法を提供する。
【解決手段】治療有効量の抗アンドロゲン剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性に投与することを含み、前記抗アンドロゲン剤が、例えば4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドである、方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト男性における転移性去勢感受性前立腺癌を治療するための方法であって、治療有効
量の抗アンドロゲン剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性に投与することを
含み、前記抗アンドロゲン剤が、
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミド、
4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル
-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベ
ンズアミド、
4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-
チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メ
チルベンズアミド、又は
N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール
-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール
-3-カルボキシアミドである、方法。
【請求項2】
前記抗アンドロゲン剤の投与が、前記転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性集団
の全生存率と比較して、前記ヒト男性の全生存の増加を提供し、前記集団が、アンドロゲ
ン除去療法と組み合わせて偽薬を投与されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗アンドロゲン剤の投与が、前記転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性集団
の無増悪生存率と比較して、前記ヒト男性の無増悪生存の増加を提供し、前記集団が、ア
ンドロゲン除去療法と組み合わせて偽薬を投与されている、請求項1又は2に記載の方法
。
【請求項4】
前記ヒト男性が、がんの治療のための少なくとも1つの先行する治療法を受けており、
前記がんの治療のための前記先行する治療法が、放射線療法、外科的介入療法、又はドセ
タキセル療法である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ヒト男性が、治療未経験である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗アンドロゲン剤が、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン
-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5
-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドである、請求項1~5のいずれか一項
に記載の方法。
【請求項7】
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミドが、前記ヒト男性に毎日投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミドが、前記ヒト男性に経口投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミドが、継続的な連日投与スケジュールで、前記ヒト男性に経口投与
される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミドが、1日当たり約30mg~1日当たり約480mgの用量で、
前記ヒト男性に経口投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミドが、1日当たり約180mg~1日当たり約480mgの用量で
、前記ヒト男性に経口投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミドが、
(a)1日当たり約30mg、
(b)1日当たり約60mg、
(c)1日当たり約90mg、
(d)1日当たり約120mg、又は
(d)1日当たり約240mgの用量で、前記ヒト男性に経口投与される、請求項6に
記載の方法。
【請求項13】
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミドが、1日当たり約240mgの用量で、前記ヒト男性に経口投与
される、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミドの前記用量が、前記ヒト男性にグレード3以上の毒性が生じた場
合、1日当たり180mg又は1日当たり120mgに低減される、請求項13に記載の
方法。
【請求項15】
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミドが、アンドロゲン除去療法と組み合わせて投与される、請求項6
に記載の方法。
【請求項16】
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミドが、少なくとも1つのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)
アゴニスト又はアンタゴニストと組み合わせて投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのGnRHアゴニスト又はアンタゴニストが、ロイプロリド、ブセ
レリン、ナフェレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、デスロレリン、デガレリクス、オザ
レリクス、ABT-620(エラゴリクス)、TAK-385(レルゴリクス)、EP-
100、KLH-2109、若しくはトリプトレリンであるか、又はそれを含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミドが、両側精巣摘出と組み合わせて使用される、請求項15に記載
の方法。
【請求項19】
前記4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オ
キソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオ
ロ-N-メチルベンズアミドが、
(a)CYP2C8若しくはCYP3A4の強力な阻害剤である薬剤、
(b)CYP3A4、CYP2C19、若しくはCYP2C9によって主に代謝される
薬剤、
(c)UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼの基質である薬剤、又は
(d)P糖タンパク質、乳癌耐性タンパク質、若しくは有機アニオン輸送ポリペプチド
1B1の基質である薬剤と併用投与されない、請求項6に記載の方法。
【請求項20】
前記抗アンドロゲン剤が、4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェ
ニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2
-フルオロ-N-メチルベンズアミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメ
チル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチ
ルベンズアミドが、1日当たり約160mgの用量で、前記ヒト男性に経口投与される、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗アンドロゲン剤が、4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェ
ニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル
]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記抗アンドロゲン剤が、N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェ
ニル)-1H-ピラゾール-1イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチ
ル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
ヒト男性における転移性去勢感受性前立腺癌を治療するための方法であって、治療有効
量の抗アンドロゲン剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性に投与することか
ら本質的になり、前記抗アンドロゲン剤が、
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミド、
4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル
-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベ
ンズアミド、
4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-
チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メ
チルベンズアミド、又は
N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール
-1イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-
3-カルボキシアミドのうちの1つ以上である、方法。
【請求項25】
前記抗アンドロゲン剤が、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン
-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5
-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミドが、
(a)1日当たり約30mg、
(b)1日当たり約60mg、
(c)1日当たり約90mg、
(d)1日当たり約120mg、又は
(d)1日当たり約240mgの用量で、前記ヒト男性に経口投与される、請求項25
に記載の方法。
【請求項27】
ヒト男性における転移性去勢感受性前立腺癌を治療する方法であって、
(a)前記ヒト男性が転移性去勢感受性前立腺癌を有するかどうかを判定することと、
(b)抗アンドロゲン剤を、前記転移性去勢感受性前立腺癌を治療するために治療有効
量でヒト男性に投与することと、を含み、前記抗アンドロゲン剤が、
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキ
ソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ
-N-メチルベンズアミド、
4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチ
ル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチル
ベンズアミド、
4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6
-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-
メチルベンズアミド、又は
N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾー
ル-1イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール
-3-カルボキシアミドである、方法。
【請求項28】
転移性去勢感受性前立腺癌を治療する方法であって、アパルタミドを含む承認された製
剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性に、前記製剤の製剤添付文書に記載の
量で投与することを含む、方法。
【請求項29】
アパルタミドを含む前記承認された製剤が、ANDA製剤、適応追加申請製剤、又は5
05(b)(2)製剤である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、臨床的に安全かつ/又は有効であることが証明されている、請求項27~
29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
臨床的に安全であることが証明され、かつ臨床的に有効であることが証明されている量
のアパルタミドを含む、医薬製品であって、前記医薬製品が、パッケージ化され、前記パ
ッケージが、
(a)規制機関に承認された化学成分としてアパルタミドを特定し、
(b)去勢感受性前立腺癌の治療におけるアパルタミドの使用を指示する、添付文書を
含む、医薬製品。
【請求項32】
アパルタミドを含む承認された製剤を販売する方法であって、前記方法が、そのような
製剤を販売することを含み、そのような製剤に対する参照リスト薬の製剤添付文書が、去
勢感受性前立腺癌を治療することの指示を含む、方法。
【請求項33】
アパルタミドを含む承認された製剤の販売の申し出を行う方法であって、前記方法が、
そのような製剤の販売の申し出を行うことを含み、そのような製剤に対する参照リスト薬
の製剤添付文書が、去勢感受性前立腺癌を治療することの指示を含む、方法。
【請求項34】
前記製剤が、ANDA製剤、適応追加申請製剤、又は505(b)(2)製剤である、
請求項32又は33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年9月17日に出願された米国特許仮出願第62/901,694
号、2019年4月22日に出願された同第62/836,920号、2019年4月1
2日に出願された米国特許仮出願第62/833,371号、2019年3月22日に出
願された米国特許仮出願第62/822,312号、2019年2月8日に出願された同
第62/803,096号、及び2019年1月30日に出願された米国特許仮出願第6
2/798,836号の利益を主張するものであり、これらの出願の全ては、ファミリー
出願にて、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
(発明の分野)
本明細書では、抗アンドロゲン剤による転移性去勢感受性前立腺癌の治療方法が開示さ
れ、抗アンドロゲン剤としては、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリ
ジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ
-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが挙げられるが、これに限定され
ない。
【背景技術】
【0003】
前立腺癌は、診断頻度が2番目に高い癌であり、男性における癌の死因の6位であり、
世界中の男性の全ての新たな癌症例の14%(903,500)及び全ての癌死亡の6%
(258,400)を占める。前立腺癌の診断から死亡までの過程は、疾患の程度、ホル
モン状態、及び検出可能な転移の有無:限局性疾患、放射線療法又は手術後に検出可能な
転移なく前立腺特異的抗原(PSA)のレベルが上昇していること、並びに非去勢病期又
は去勢病期における臨床的転移に基づいて、一連の臨床段階として最善に分類される。手
術、放射線照射、又はこれらの併用は、限局性疾患の患者にとって治癒的なものになり得
るが、これらの患者のうちのかなりの割合は、PSAレベルの上昇をエビデンスとする再
発性疾患を有し、これはまた、特に高リスク群における転移形成、疾患の終末期への移行
をもたらす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の指針に基づき、ドセタキセルを用いる又は用いないアンドロゲン除去療法(andr
ogen deprivation therapy、ADT)は、転移性ホルモン感受性前立腺癌の患者のための
適切な能動的制御療法(active control therapy)であると考えられる。しかしながら、
mCSPCにおける代替的な治療選択肢を求める、明確かつ未だ満たされていない医療ニ
ーズが存在する。疾患の増悪及び関連する病的状態を遅延させることができる治療法は、
この患者集団において大きな臨床的利益であろう。開示される方法は、これら及び他の重
要な必要性に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で記載されるのは、ヒト男性における転移性去勢感受性前立腺癌を治療するた
めの方法であって、治療有効量の抗アンドロゲン剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を有す
るヒト男性に投与することを含むか、投与することからなるか、又は投与することから本
質的になる、方法である。これらの方法において、抗アンドロゲン剤は、4-[7-(6
-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-
5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズ
アミド、4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジ
メチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メ
チルベンズアミド、4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-
8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-
フルオロ-N-メチルベンズアミド、又はN-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4
-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-
ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドであることができる。い
くつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤の投与は、転移性去勢感受性前立腺癌を有する
ヒト男性比較集団の全生存率と比較して、ヒト男性の全生存の増加を提供し、この比較集
団は、アンドロゲン除去療法と組み合わせて偽薬を投与されている。他の実施形態では、
この比較集団は未治療である。更なる実施形態では、抗アンドロゲン剤の投与は、転移性
去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性比較集団の無増悪生存率と比較して、ヒト男性の無
増悪生存の増加を提供し、この比較集団は、アンドロゲン除去療法と組み合わせて偽薬を
投与されている。他の実施形態では、この比較集団は未治療である。
【0006】
いくつかの実施形態では、ヒト男性が、抗アンドロゲン剤の投与の前に、がんの治療の
ための少なくとも1つの先行する治療法を受けており、がんの治療のための先行する治療
法が、放射線療法、外科的介入療法、又はドセタキセル療法である。いくつかの実施形態
では、ヒト男性が、治療未経験である。
【0007】
いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤が、4-[7-(6-シアノ-5-トリフ
ルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ
[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドである。更なる
実施形態では、一般には抗アンドロゲン剤、より具体的には4-[7-(6-シアノ-5
-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジア
ザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、ヒ
ト男性に毎日投与される。なお更なる実施形態では、一般には抗アンドロゲン剤、より具
体的には4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-
オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フル
オロ-N-メチルベンズアミドが、ヒト男性に経口投与される。いくつかの実施形態では
、一般には抗アンドロゲン剤、より具体的には4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオ
ロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3
.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、継続的な連日投
与スケジュールで、ヒト男性に経口投与される。更なる実施形態では、一般には抗アンド
ロゲン剤、より具体的には4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-
3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-
イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、1日当たり約30mg~1日当たり
約480mgの用量で、ヒト男性に経口投与される。なお更なる実施形態では、一般には
抗アンドロゲン剤、より具体的には4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピ
リジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オク
タ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、1日当たり約180mg~
1日当たり約480mgの用量で、ヒト男性に経口投与される。特定の実施形態では、一
般には抗アンドロゲン剤、より具体的には4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメ
チルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4
]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、(a)1日当たり約
30mg、(b)1日当たり約60mg、(c)1日当たり約90mg、(d)1日当た
り約120mg、又は(d)1日当たり約240mgの用量で、ヒト男性に経口投与され
る。いくつかの実施形態では、一般には抗アンドロゲン剤、より具体的には4-[7-(
6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ
-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベン
ズアミドが、1日当たり約240mgの用量で、ヒト男性に経口投与される。いくつかの
実施形態では、一般には抗アンドロゲン剤、具体的には4-[7-(6-シアノ-5-ト
リフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザス
ピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドの用量が、
ヒト男性にグレード3以上の毒性が生じた場合、1日当たり180mg又は1日当たり1
20mgに低減される。
【0008】
特定の実施形態では、一般には抗アンドロゲン剤、具体的には4-[7-(6-シアノ
-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-
ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが
、(a)CYP2C8若しくはCYP3A4の強力な阻害剤である薬剤、(b)CYP3
A4、CYP2C19、若しくはCYP2C9によって主に代謝される薬剤、(c)UD
P-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UDP-glucuronosyl transferase、UGT)の基
質である薬剤、又は(d)P糖タンパク質(P-glycoprotein、P-gp)、乳癌耐性タン
パク質(breast cancer resistance protein、BCRP)、若しくは有機アニオン輸送ポ
リペプチド1B1(organic anion transporting polypeptide 1B1、OATP1B1)の
基質である薬剤と併用投与されない。
【0009】
いくつかの実施形態では、一般には抗アンドロゲン剤、より具体的には4-[7-(6
-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-
5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズ
アミドが、アンドロゲン除去療法と組み合わせて投与される。更なる実施形態では、一般
には抗アンドロゲン剤、より具体的には4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチ
ルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]
オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、少なくとも1つのゴナ
ドトロピン放出ホルモン(gonadotropin-releasing hormone、GnRH)アゴニスト又
はアンタゴニストと組み合わせて投与される。なお更なる実施形態では、少なくとも1つ
のGnRHアゴニスト又はアンタゴニストが、ロイプロリド、ブセレリン、ナフェレリン
、ヒストレリン、ゴセレリン、デスロレリン、デガレリクス、オザレリクス、ABT-6
20(エラゴリクス)、TAK-385(レルゴリクス)、EP-100、KLH-21
09、若しくはトリプトレリンであるか、又はそれを含む。特定の実施形態では、一般に
は抗アンドロゲン剤、より具体的には4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチル
ピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オ
クタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、両側精巣摘出と組み合わ
せて使用される。
【0010】
いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤が、4-(3-(4-シアノ-3-(トリ
フルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリ
ジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドである。更なる実施形態では
、4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル
-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベ
ンズアミドが、1日当たり約160mgの用量で、ヒト男性に経口投与される。
【0011】
いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤が、4-[7-[4-シアノ-3-(トリ
フルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.
4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドである。
【0012】
いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤が、N-{(2S)-1-[3-(3-ク
ロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル}-5
-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミド(ダロルタミド
)である。更なる実施形態では、N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノ
フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキ
シエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドが、1日に2回、600mgの用
量で、ヒト男性に経口投与される。更なる実施形態では、N-{(2S)-1-[3-(
3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル
}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドが、食品
と共に、1日に2回、600mgの用量で、ヒト男性に経口投与される。
【0013】
本明細書では更に、ヒト男性における転移性去勢感受性前立腺癌を治療するための方法
であって、治療有効量の抗アンドロゲン剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男
性に投与することからなるか、又は投与することから本質的になり、抗アンドロゲン剤が
、4-[7-(6-シアノ-5-トリフイウオロメチルピリジントリフルオロメチルピリ
ジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ
-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、4-(3-(4-シアノ-3-
(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミ
ダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、4-[7-[4-シ
アノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジ
アザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、又
はN-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール
-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール
-3-カルボキシアミドのうちの1つ以上である、方法、が開示される。
【0014】
本明細書では更に、ヒト男性における転移性去勢感受性前立腺癌を治療する方法であっ
て、(a)ヒト男性が転移性去勢感受性前立腺癌を有するかどうかを判定することと、(
b)抗アンドロゲン剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を治療するために治療有効量でヒト
男性に投与することと、を含み、抗アンドロゲン剤が、4-[7-(6-シアノ-5-ト
リフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザス
ピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、4-(3
-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキ
ソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド
、4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-
チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メ
チルベンズアミド、又はN-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル
)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル
)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドである、方法、が開示される。
【0015】
本明細書では更に、転移性去勢感受性前立腺癌を治療する方法であって、アパルタミド
を含む承認された製剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性に、製剤の製剤添
付文書に記載の量で投与することを含む、方法、が開示される。いくつかの実施形態では
、アパルタミドを含む承認された製剤が、ANDA製剤、適応追加申請製剤、又は505
(b)(2)製剤である。いくつかの実施形態では、方法が、臨床的に安全かつ/又は有
効であることが証明されている。
【0016】
本明細書では更に、臨床的に安全であることが証明され、かつ臨床的に有効であること
が証明されている量のアパルタミドを含む、医薬製品であって、医薬製品が、パッケージ
化され、パッケージが、(a)規制機関に承認された化学成分としてアパルタミドを特定
し、(b)去勢感受性前立腺癌の治療におけるアパルタミドの使用を指示する、添付文書
を含む、医薬製品、が開示される。
【0017】
本明細書では更に、アパルタミドを含む承認された製剤を販売する方法であって、方法
が、そのような製剤を販売することを含み、そのような製剤に対する参照リスト薬の製剤
添付文書が、去勢感受性前立腺癌を治療することの指示を含む、方法、が開示される。本
明細書では更に、アパルタミドを含む承認された製剤の販売の申し出を行う方法であって
、方法が、そのような製剤の販売の申し出を行うことを含み、そのような製剤に対する参
照リスト薬の製剤添付文書が、去勢感受性前立腺癌を治療することの指示を含む、方法、
が開示される。いくつかの実施形態では、製剤が、ANDA製剤、適応追加申請製剤、又
は505(b)(2)製剤である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
発明の概要、並びに以下の発明を実施するための形態は、添付の図面と併せて読むこと
で、更に理解される。開示の方法を図示する目的で、図面には、本方法の例示的な実施形
態が示されている。ただし、本方法は、ここに開示されている特定の実施形態に限定され
るものではない。図面は、以下のとおりである。
【
図1】アパルタミド第III相臨床治験試験計画の概略である。ADT=アンドロゲン除去療法。
【
図2A】放射線画像診断による無増悪生存期間のカプラン・マイヤー推定を示すグラフである。
【
図2B】ベースラインの患者背景ごとの放射線画像診断による無増悪生存期間のフォレストプロットを示す図である。分析は、診断時のグリーソンスコア(≦7対>7)、地域(北米及び欧州連合対他の全ての国)、及びドセタキセルによる先行する治療(あり対なし)による階層化を用いたログランク検定を用いて行った。
【
図3A】全生存期間のカプラン・マイヤー推定を示すグラフである。
【
図3B】ベースラインの患者背景ごとの全生存期間のフォレストプロットを示す図である。分析は、診断時のグリーソンスコア(≦7対>7)、地域(北米及び欧州連合対他の全ての国)、及びドセタキセルによる先行する治療(あり対なし)による階層化を用いたログランク検定を用いて行った。
【
図4】細胞毒性化学療法までの期間のカプラン・マイヤー推定を示すグラフである。分析は、診断時のグリーソンスコア(≦7対>7)、地域(北米及び欧州連合、対他の全ての国)、及びドセタキセルによる先行する治療(あり対なし)による階層化を用いたログランク検定を用いて行った。
【
図5】PSA増悪までの期間のカプラン・マイヤー推定を示すグラフである。PSA増悪までの期間は、前立腺癌ワーキンググループ2基準に基づいた、PSA増悪の日付までの、無作為化の日付からの期間であった。分析は、診断時のグリーソンスコア(≦7対>7)、地域(北米及び欧州連合対他の全ての国)、及びドセタキセルによる先行する治療(あり対なし)による階層化を用いたログランク検定を用いて行った。
【
図6】第2の無増悪生存までの期間のカプラン・マイヤー推定を示すグラフである。第2の無増悪生存期間は、いずれが最初に起きるにせよ、患者が前立腺癌の第1の後続療法を受けている間の、治験責任医師が判定した疾患の増悪(PSA増悪、撮像における増悪、又は臨床的増悪)の最初の発生、又は任意の原因による死亡までの、無作為化の日付からの期間であった。分析は、診断時のグリーソンスコア(≦7対>7)、地域(北米及び欧州連合対他の全ての国)、及びドセタキセルによる先行する治療(あり対なし)による階層化を用いたログランク検定を用いて行った。
【
図7】FACT-Pトータルスコアにおけるベースラインからの平均変化についての、反復測定混合効果分析を示すグラフである。エラーバーは標準誤差を表す。生のFACT-Pスコアは、0~156の範囲にわたり、スコアが高いほど健康関連の生活の質がより良好であることを示す。FACT-Pトータルスコアにおける6~10点の変化は、最小重要差であると考えられる。しかしながら、この図は、生のトータルスコアではなく、ベースラインと比較したトータルスコアの平均変化を示す。FACT-P、癌治療前立腺機能評価(Functional Assessment of Cancer Therapy-Prostate)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
別個の実施形態との関連において明確性のために本明細書に記載される、本発明のある
特定の特徴はまた、単一の実施形態内に組み合わされて提供されてもよいことが理解され
る。すなわち、明白に不適合であるか又は具体的に除外されない限り、各個々の実施形態
は、任意の他の実施形態と組み合わせ可能とみなされ、このような組合せは、別の実施形
態であるとみなされる。逆に、説明を簡単にするために単一の実施形態との関連において
述べられる本発明の異なる特徴が、別々に又は任意の部分的組み合わせとして提供される
場合もある。最後に、実施形態は、一連の工程の一部として又はより全般的な構造の一部
として記載され得るが、その各工程をそれ自体が独立する実施形態であると考えてもよく
、他と組み合わせ可能である。
【0020】
移行句「備える/含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essential
ly of)」、及び「からなる(consisting)」は、特許用語において一般的に受け入れら
れている意味を含意することを意図しており、すなわち、(i)「備える/含む(compri
sing)」は、「含む」、「含有する」、又は「特徴とする」と同義であり、包括的又は非
制限的なものであり、その他の列挙されていない要素又は方法工程を除外するものではな
く、(ii)「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲において特定されてい
ない、あらゆる要素、工程、又は成分を除外し、並びに(iii)「から本質的になる」
は、特定される材料又は工程、並びに、請求される特許の基本的かつ新しい特徴(複数可
)に実質的に影響しないものに、特許請求の範囲を制限する。より具体的には、基本的及
び新規の特徴は、本方法が、本明細書の他の箇所で記載する、ヒト男性比較集団の生存性
と比較して、ヒト男性集団の生存性を改善できることを含むが、それに限定されない、本
明細書に記載される利益のうちの少なくとも1つを提供可能であることに関する。
【0021】
用語「備える/含む(comprising)」(又はその均等語)で記載される実施形態はまた
、実施形態として、「からなる」及び「から本質的になる」という用語で独立して記載さ
れるものを提供する。
【0022】
値が、記述語「約」の使用によって近似値として表現されるとき、その特定の値は、別
の実施形態を形成することが理解される。一般的に、用語「約」の使用は、開示する発明
主題によって得ようとしている所望の特性に依存して変動し得る近似値を示し、その機能
に基づいて、それが使用される特定の文脈において解釈されるべきである。当業者は、こ
れを日常的な問題として解釈することができる。場合によっては、特定の値に対して用い
られる有効数字の数は、用語「約」の程度を決定する1つの非限定的な方法であり得る。
他の場合、一連の値において用いられている漸次的変化を用いて、各値について用語「約
」に利用可能な意図する範囲を決定することができる。存在する場合、全ての範囲は、包
括的かつ組み合わせ可能である。すなわち、範囲で記述される値への言及は、その範囲内
の全ての値を含む。
【0023】
特に指定されない場合、用語「約」は、関連する値の±10%の変動を意味するが、更
なる実施形態では、±5%、±15%、±20%、±25%、又は±50%の変動である
場合も含む。
【0024】
別個の実施形態の文脈において明確性のために本明細書に記載される、本発明のある特
定の特徴はまた、単一の実施形態内に組み合わされて提供されてもよいことが理解される
。すなわち、明白に不適合であるか又は具体的に除外されない限り、各個々の実施形態は
、任意の他の実施形態と組み合わせ可能とみなされ、このような組合せは、別の実施形態
であるとみなされる。逆に、説明を簡単にするために単一の実施形態との関連において述
べられる本発明の異なる特徴が、別々に又は任意の部分的組み合わせとして提供される場
合もある。最後に、実施形態は、一連の工程の一部として又はより全般的な構造の一部と
して記載され得るが、各工程をそれ自体が独立する実施形態であると考えてもよく、他と
組み合わせ可能である。
【0025】
リストが提示される場合、特に指定しない限り、そのリストの各個々の要素及びそのリ
ストの全ての組み合わせは別個の実施形態であることを、理解されたい。例えば、「A、
B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、
「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」を含むと解釈すべ
きである。
【0026】
本発明は、その全てが本開示の一部を形成する、添付図面及び実施例に関連して解釈さ
れる以下の記載を参照することにより、より容易に理解することができる。本発明は、本
明細書に記載するか又は示す特定の製品、方法、条件又はパラメータに限定されるもので
はなく、本明細書で使用する専門用語は実施例を用いて特定の実施形態を記載する目的の
ためだけのものであり、いずれかの請求した発明を限定することを意図するものではない
ことを理解すべきである。同様に、特に指定しない限り、可能な機序又は作用様式又は改
善理由に関する任意の記載は、単に例示を意図したものであり、本明細書における発明は
、任意のこのような提案されている機序又は作用様式又は改善理由の正確さ又は不正確さ
によって制約を受けるものではない。この文書全体を通して、これらの記載が、様々な化
合物、組成物、及びそれらの化合物及び組成物を使用する方法に言及することが認識され
る。すなわち、本開示において、組成物又は組成物を使用する方法に関連する特徴又は実
施形態を記載又は特許請求する場合、そのような記載又は請求項は、これらの特徴又は実
施形態をこれらの文脈のそれぞれの実施形態(すなわち、組成物及び使用方法)に拡張す
ることを意図することが理解される。
【0027】
アンドロゲン受容体(androgen receptor、AR)は、ステロイド及び核内受容体スー
パーファミリーの一員である。この大きいファミリーのタンパク質の中で、脊椎動物のス
テロイド受容体は5種類のみが知られており、アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体
、プロゲステロン受容体、糖質コルチコイド受容体、及び鉱質コルチコイド受容体が挙げ
られる。ARは、細胞内転写因子として働く可溶性タンパク質である。ARの機能は、ア
ンドロゲンの結合によって制御されており、この結合によって、受容体-タンパク質相互
作用、及び受容体-DNA相互作用に影響を及ぼす、受容体の連続的な立体構造変化が起
きる。
【0028】
ARは、アンドロゲン標的組織、例えば、前立腺、骨格筋、肝臓、及び中枢神経系(C
NS)で主に発現しており、前立腺、副腎、及び副睾丸で最も発現レベルが高い。ARは
、テストステロン及び5-ジヒドロテストステロン(5a-DHT)などの内因性アンド
ロゲンの結合によって活性化され得る。
【0029】
アンドロゲン受容体(AR)は、Xql 1-12に位置する110kDの核内受容体
であり、アンドロゲンによる活性化を受けると、標的遺伝子の転写を介在し、前立腺上皮
細胞の増殖及び分化を調節する。他のステロイド受容体と同様に、非結合型のARは、主
に細胞質内に存在し、リガンド結合ドメインとの相互作用によって、熱ショックタンパク
質(HSP)複合体と結合している。アゴニストが結合すると、ARは一連の立体構造の
変化を起こして、熱ショックタンパク質がARから解離し、変形したARは、二量体化、
リン酸化、及び、核移行シグナルによってもたらされる核への移行を受ける。次いで、移
行した受容体は、3つのランダムヌクレオチドを間に含む、6ヌクレオチドの半部位コン
センサス配列5’-TGTTCT-3’を特徴とするアンドロゲン応答配列(ARE)と
結合し、AR遺伝子の標的のプロモーター又はエンハンサー領域に位置付けられる。他の
転写共調節因子(活性化補助因子及び補助抑制因子を含む)及び転写機構の補充によって
、ARによって調節される遺伝子発現のトランス活性化を更に確実にする。これらのプロ
セスの全ては、リガンド結合ドメインにおける、リガンド誘導型立体構造変化によって開
始される。
【0030】
AR機能消失変異を有する遺伝的雄、及び遺伝子操作でARを欠損したマウスで、前立
腺が発達しないこと、又は前立腺癌が進行しないことから、ARシグナル伝達は、前立腺
などの雄性生殖器の発達及び維持に重要である。この前立腺細胞のARシグナル伝達への
依存は、腫瘍性形質転換においても継続する。アンドロゲンの除去(例えば、GnRHア
ゴニストを用いる)は、引き続き前立腺癌治療の中心である。しかしながら、アンドロゲ
ンの除去は、通常限定された期間において有効であり、前立腺癌は発達して、循環アンド
ロゲンが低レベルであっても成長能を取り戻す。
【0031】
去勢抵抗性前立腺癌(Castration resistant prostate cancer、CRPC)は、終末期
の表現型であり、ほとんど全ての患者が前立腺癌で死亡する。興味深いことに、CRPC
のうちのごく一部は、ARシグナル伝達の必要性を回避している一方で、CRPCのほと
んどは、多くの場合「アンドロゲン非依存性前立腺癌」又は「ホルモン不応性前立腺癌」
と呼ばれるものの、ARシグナル伝達に対するその系統依存性を保持している。
【0032】
前立腺癌は、米国の男性における癌死の2番目に一般的な原因であり、米国の男性6名
につき約1人が、生涯の間にこの疾患であるとして診断される。腫瘍を根絶することを目
的とする治療は、男性の30%においてうまくいかず、該当者は再発性疾患を発症する。
この疾患は、血漿の前立腺特異的抗原(PSA)の上昇として通常最初に現れ、続いて遠
隔部位まで浸潤する。前立腺癌細胞が、増殖及び生存についてアンドロゲン受容体(AR
)に依存することを考慮すると、これらの男性は、テストステロンの産生を阻止する薬物
(例えばGnRHアゴニスト)を単独で、又は、あらゆる残留テストステロンのARに対
する影響と拮抗する抗アンドロゲン剤(例えばビカルタミド)を併用して、治療される。
このアプローチは、一部の患者において、PSAの低下及び可視腫瘍の退縮(存在する場
合)によって証拠付けられるように有効であるが、この後、去勢抵抗性前立腺癌(CRP
C)として再生し、ほとんどの患者が最終的に死亡する。CRPCの分子基準での最近の
研究では、CRPSが引き続きARシグナル伝達に依存し、獲得された抵抗のキーとなる
機序は、ARタンパク質のレベルの上昇であることが実証されている(Nat.Med,
2004,10,33-39)。去勢感受性前立腺癌及び去勢抵抗性前立腺癌における活
性を有するAR標的化剤は、この終末期疾患の治療に有望である。
【0033】
前立腺癌の診断から死亡までの過程は、疾患の程度、ホルモン状態、及び検出可能な転
移の有無、限局性疾患、放射線療法又は手術後の検出可能な転移のない前立腺特異的抗原
(PSA)の上昇レベル、及び非去勢病期又は去勢病期における臨床的転移に基づいて、
一連の臨床病期として最良に分類される。手術、放射線照射、又はこれらの併用は、限局
性疾患の患者にとって治癒的なものになり得るが、これらの患者のうちのかなりの割合は
、PSAレベルの上昇によって証拠付けられる再発性疾患を有し、これはまた、特に高リ
スク群における転移形成、疾患の終末期への移行をもたらす場合がある。
【0034】
アンドロゲンの除去は、標準的治療であり、概して転帰、すなわちPSAの低下、腫瘍
が増殖しない安定期、続いて、去勢抵抗性疾患としての再生が予測可能である。去勢抵抗
性前立腺癌の分子プロファイリング研究では、一般的に、アンドロゲン受容体(AR)遺
伝子の増幅又は他の機構によって生じ得る、AR発現の増加が示される。
【0035】
抗アンドロゲン剤は、前立腺癌の初期段階での治療に有用である。しかし、前立腺癌は
、多くの場合、継続的なアンドロゲン除去又は抗アンドロゲン療法の存在下で疾患が進行
する、「ホルモン不応性」の病期に進行する。抗アンドロゲン離脱症候群の症例もまた、
抗アンドロゲンによる長期治療後に報告されている。抗アンドロゲン離脱症候群は、一般
的に臨床的に観察され、抗アンドロゲン療法の中止時に観察される腫瘍退縮又は症候緩和
の観点から定義される。受容体の結合特異性の低下をもたらすAR変異体と、これら抗ア
ンドロゲン剤がアゴニスト作用を示す能力は、少なくとも部分的にこの現象の要因となり
得る。例えば、ヒドロキシフルタミド及びビカルタミドはそれぞれ、T877A及びW7
41L/W741CのAR変異体におけるARアゴニストとして作用する。
【0036】
ARの過剰発現により去勢抵抗性となった状況の前立腺癌細胞において、ビカルタミド
などの特定の抗アンドロゲン化合物は、アンタゴニスト/アゴニスト特性が混合されてい
ることが実証された(Science,2009 May 8;324(5928):7
87-90)。このアゴニスト活性は、抗アンドロゲン離脱症候群と呼ばれる臨床所見を
説明するのに役立つ。この抗アンドロゲン剤離脱症候群では、ARアンタゴニスト剤の投
与を受けている男性患者の約30%で、治療継続を中止したときに血清PSAの低下が生
じている(J Clin.Oncol,1993.11(8):p.1566-72)。
【0037】
前立腺癌段階
前立腺癌の初期段階では、癌は前立腺に限局されている。これらの初期段階では、治療
は、典型的には、前立腺の手術による除去又は前立腺に対する放射線療法のいずれかを伴
い、又は一部の患者においては積極的な治療介入はせず確認のみを行う。前立腺癌が限局
的なものであり、介入を必要とする初期段階において、手術又は放射線療法は、癌細胞を
排除することにより根治的なものである。約30%の場合、これらの処置は失敗し、前立
腺癌は、典型的にはPSAレベルの上昇によって証拠付けられるように進行し続ける。こ
れらの早期治療計画後に前立腺癌が進行した男性は、進行性又は再発性前立腺癌を有する
と言われる。
【0038】
前立腺癌細胞は増殖及び生存についてアンドロゲン受容体(AR)に依存することから
、進行性前立腺癌を有する男性は、テストステロンの産生を阻止する薬物(例えばGnR
Hアゴニスト)を単独で使用して、又は、あらゆる残留テストステロンのARに対する影
響と拮抗する抗アンドロゲン剤(例えばビカルタミド)を併用して、治療される。これら
の治療は、血清テストステロンを去勢レベルまで低減させ、これは概して、ある程度の期
間は疾患の増悪を遅延させる。このアプローチは、一部の患者において、PSAの低下及
び観察され得る腫瘍の退縮によって証拠付けられるように有効である。しかし最終的には
この後、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)と呼ばれる再生があり、ほとんどの患者が最終
的に死亡する。去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)は、前立腺癌が身体の他の部分に転移し
たかどうかに応じて、非転移性又は転移性として分類される。
【0039】
欧州の国に特異的な登録からの推定では、前立腺癌と診断された男性の約15%~30
%が、転移性(M1)去勢感受性前立腺癌(metastatic castration-sensitive prostate
cancer、mCSPC)を有していたことが示されている。例えば、Flamand V
,et al.,Prog Urol.2008;18:53-59を参照されたい。米
国では、mCSPCを呈する患者は、全ての前立腺癌診断の約4%を占める。Cetin
K,et al.Urology2010;75:1396-1405。この差は、異
なる地域でのPSAスクリーニングの使用における差異から生じている可能性がある。S
chroder FH,et al.,Eur Urol.2012;62:745-7
52。しかしながら、2012年に米国予防医療専門委員会(United States Preventive
Services Task Force、USPSTF)がPSAスクリーニングに反対する推奨を公表し
た後、現在ではPSAスクリーニングが減少しているように考えられるため、mCSPC
を呈する米国の男性の割合が増加する可能性がある。Drazer MW,et al.
,J Clin.Oncol 2015;33:2416 2423、Lin K,et
al.Agency for Healthcare Research and Q
uality,2011;No.12-05160-EF-1。
【0040】
前立腺癌細胞は、それらの増殖及び生存のためにARシグナル伝達に依存することから
、mCSPC疾患を有する患者の標準的な治療は、アンドロゲン除去療法(ADT)であ
る。アンドロゲン除去療法は、内科的去勢(すなわち、ゴナドトロピン放出ホルモン類縁
体[GnRHa;アゴニスト又はアンタゴニスト])又は外科的去勢(すなわち、両側精
巣摘出)として定義される。明確な転移を有する被験者における腫瘍フレアを防ぐため、
第1世代の抗アンドロゲン剤による短時間の治療を使用して、GnRHアゴニストの開始
に伴うテストステロンのフレアを低減することができる。
【0041】
抗アンドロゲン剤
本明細書で使用するとき、用語「抗アンドロゲン剤」は、一般的に受け入れられている
意味を有し、体内の正常な反応を示す組織に対するアンドロゲンの生物学的作用を、妨害
、つまり阻害することができるホルモン受容体アンタゴニスト化合物の群を指す場合があ
る。いくつかの実施形態において、抗アンドロゲン剤は小分子である。いくつかの実施形
態において、抗アンドロゲン剤はARアンタゴニストである。いくつかの実施形態におい
て、抗アンドロゲン剤はAR完全アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、抗ア
ンドロゲン剤は第1世代の抗アンドロゲン剤である。いくつかの実施形態では、抗アンド
ロゲン剤は第2世代の抗アンドロゲン剤である。
【0042】
本明細書で使用するとき、用語「ARアンタゴニスト」又は「AR阻害剤」は本明細書
で互換的に使用され、ARポリペプチドの少なくとも1つの活性を阻害する、つまり低下
させる薬剤を指す。例示的なAR活性としては、活性化補助因子の結合、DNAの結合、
リガンドの結合、又は核移行が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書で使用するとき、「完全アンタゴニスト」は、有効濃度において、ARポリペ
プチドの活性を本質的に完全に阻害するアンタゴニストを指す。本明細書で使用するとき
、「部分アンタゴニスト」は、ARポリペプチドの活性を部分的に阻害可能であるが、最
高濃度においても完全アンタゴニストではないアンタゴニストを指す。「本質的に完全に
」とは、ARポリペプチドの活性の少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくと
も約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくと
も約99%、又はそれ以上の阻害を意味する。
【0044】
本明細書で使用するとき、「第1世代の抗アンドロゲン剤」という用語は、野生型AR
ポリペプチドに対してアンタゴニスト活性を示す薬剤を指す。ただし、第1世代の抗アン
ドロゲン剤は去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)においてアゴニストとして作用し得るとい
うという点で、第1世代の抗アンドロゲン剤は第2世代の抗アンドロゲン剤とは異なる。
例示的な第1世代の抗アンドロゲン剤としては、フルタミド、ニルタミド、及びビカルタ
ミドが挙げられるがこれらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用するとき、「第2世代の抗アンドロゲン剤」という用語は、野生型AR
ポリペプチドに対して完全なアンタゴニスト活性を示す薬剤を指す。第2世代の抗アンド
ロゲン剤は、ARの発現レベルが増加している細胞(例えば、去勢抵抗性前立腺癌(CR
PC)など)において完全なアンタゴニストとして作用するという点で、第1世代の抗ア
ンドロゲン剤とは異なる。例示的な第2世代の抗アンドロゲン剤としては4-[7-(6
-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-
5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズ
アミド(別名アパルタミド、ARN-509、又はJNJ-56021927、CAS番
号956104-40-8)、4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フ
ェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-
2-フルオロ-N-メチルベンズアミド(別名MDV3100又はエンザルタミド、CA
S番号915087-33-1)、4-[7-(4-シアノ-3-トリフルオロメチルフ
ェニル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イ
ル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド(RD162、CAS番号915087-
27-3)、及びN-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1
H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1
H-ピラゾール-3-カルボキシアミド(別名ダロルタミド)が挙げられる。いくつかの
実施形態において、第2世代の抗アンドロゲン剤は、ARポリペプチドのリガンド結合部
位で、又はその付近でARポリペプチドに結合する。
【0046】
【化1】
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ
-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-
N-メチルベンズアミド(アパルタミド)
【0047】
【化2】
4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル
-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベ
ンズアミド(エンザルタミド)
【0048】
【化3】
4-[7-(4-シアノ-3-トリフルオロメチルフェニル)-8-オキソ-6-チオ
キソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチル
ベンズアミド(RD162)
【0049】
【0050】
N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール
-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール
-3-カルボキシアミド(ダロルタミド)いくつかの実施形態では、本明細書に記載され
る方法において企図される抗アンドロゲン剤は、ARの核移行、ダロルタミドなど、アン
ドロゲン応答配列へのDNA結合、及び活性化補助因子動員を阻害する。いくつかの実施
形態では、本明細書に記載される方法において企図される抗アンドロゲン剤は、AR過剰
発現の前立腺癌細胞においてアゴニスト活性を示さない。
【0051】
アパルタミドは、ARのリガンド結合ドメインに直接結合する第2世代の抗アンドロゲ
ン剤であり、核移行、DNAに対するAR結合、及びARの標的遺伝子調節を損ない、そ
れによって腫瘍増殖を阻害し、アポトーシスを促進する。アパルタミドは、ビカルタミド
よりも高い親和性でARに結合し、非去勢のホルモン感受性前立腺癌及びビカルタミド耐
性ヒト前立腺癌異種移植モデルにおいて、部分的又は完全な腫瘍退縮を誘導する(Cle
gg et al.Cancer Res.March 15,2012 72;149
4)。アパルタミドは、AR過剰発現の状況においてビカルタミドで見られる部分的アゴ
ニスト活性を欠いている。
【0052】
ダロルタミド、BAY1841788、又はODM-201は、2つのジアステレオマ
ー、ORM-16497及びORM-16555を含む、ARアンタゴニストである。化
学名は、N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラ
ゾール-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラ
ゾール-3-カルボキシアミドである。これは、他の第2世代の抗アンドロゲン剤に対す
る耐性がある既知のAR変異体に対して、活性を有する。ダロルタミドは、ARに高い親
和性で結合し、その後、ARのアンドロゲン誘導型核移行及びAR遺伝子の標的の転写を
損ねる。Matsubara,N.,Mukai,H.,Hosono,A.et al
.Cancer Chemother Pharmacol(2017)80:1063
。
【0053】
特定の用語
本明細書で使用される用語は、一般的に受け入れられている意味を有するが、疑義を避
けるために、定義の一部がここに提供される。
【0054】
本明細書で使用するとき、用語「癌」は、制御なく増殖する傾向があり、いくつかの場
合では浸潤(拡散)する傾向がある、細胞の異常な増殖を指す。
【0055】
本明細書で使用するとき、用語「前立腺癌」は、前立腺の組織学的又は細胞学的に確認
された腺癌を指す。
【0056】
用語「アンドロゲン除去療法(ADT)」は、前立腺癌患者におけるアンドロゲンレベ
ルの、去勢レベルのテストステロン(<50ng/dL)までの低減を指す。このような
治療としては、精巣摘出、又はゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト若しくはアンタゴ
ニストの使用を挙げることができる。ADTとしては、外科的去勢(精巣摘出)、及び/
又は黄体形成ホルモン-放出ホルモン(「luteinizing hormone-releasing hormone、L
HRH」)/ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)のアゴニスト又はアンタゴニスト
のヒトに対する投与が挙げられる。GnRHアゴニスト又はアンタゴニストの例は、ロイ
プロリド、ブセレリン、ナフェレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、デスロレリン、デガ
レリクス、オザレリクス、ABT-620(エラゴリクス)、TAK-385(レルゴリ
クス)、EP-100、KLH-2109、若しくはトリプトレリンであるか、又はそれ
を含む。特定の実施形態では、GnRHアゴニストの例としては、ゴセレリン酢酸塩、ヒ
ストレリン酢酸塩、ロイプロリド酢酸塩、及びトリプトレリンパルモ酸塩が挙げられる。
【0057】
用語「限局性進行性前立腺癌」は、全ての活性癌細胞が前立腺及び関連器官又は隣接器
官(例えば、精嚢、膀胱頸部、及び直腸壁)に限定して現れる、前立腺癌を指す。
【0058】
用語「高リスク限局性前立腺癌」は、治癒目的での一次療法後に転移又は再発性疾患を
発症する可能性の高い、限局性進行性前立腺癌を指す。いくつかの実施形態では、転移形
成に関する高リスクは、<20ケ月、<19ケ月、<18ケ月、<17ケ月、<16ケ月
、<15ケ月、<14ケ月、<13ケ月、<12ケ月、又は<11ケ月、<10ケ月、<
9ケ月、<8ケ月、<7ケ月、<6ケ月、<5ケ月、<4ケ月、<3ケ月、<2ケ月、又
は<1ケ月の前立腺特異抗原倍加時間(prostate specific antigen doubling time、P
SADT)として規定される。いくつかの実施形態では、転移形成に関する高リスクは、
<10ケ月の前立腺特異抗原倍加時間(PSADT)として定義される。いくつかの実施
形態では、転移形成に関する高リスクは、高いグリーソンスコア又は巨大腫瘍を有するも
のとして規定される。
【0059】
疑義を避けるために、用語「去勢感受性前立腺癌」及び「ホルモン感受性前立腺癌」は
同じ意味を有し、互換的に使用される。
【0060】
用語「去勢感受性前立腺癌」及び「ホルモン感受性前立腺癌」は、限局性疾患、生化学
的再燃のいずれかとして、又は転移状況において、アンドロゲン除去療法(ADT)に応
答する癌を指す。
【0061】
用語「転移性去勢感受性前立腺癌」及び「転移性ホルモン感受性前立腺癌」は、身体の
他の領域、例えば、男性の体内の骨、リンパ節、又は他の部分まで浸潤(転移)した、ア
ンドロゲン除去療法(ADT)に応答する癌を指す。
【0062】
用語「非転移性去勢感受性前立腺癌」は、男性における浸潤(転移)していない、アン
ドロゲン除去療法(ADT)に応答する癌を指す。いくつかの実施形態では、非転移性去
勢感受性前立腺癌は、骨スキャン及びコンピュータ断層撮影(computed tomography、C
T)又は磁気共鳴撮像(magnetic resonance imaging、MRI)スキャンによって評価さ
れる。[0089]本明細書で使用するとき、用語「CRPC」は、去勢抵抗性前立腺癌
を指す。CRPCは、前立腺癌細胞の増殖を刺激する男性ホルモンの抑制にもかかわらず
、増殖を継続する前立腺癌である。
【0063】
用語「転移性去勢抵抗性前立腺癌」は、人体の他の部分に転移した去勢抵抗性前立腺癌
を指す。
【0064】
転移性去勢感受性前立腺癌(CSPC)は、テストステロン抑制療法に依然として応答
する前立腺癌を指す。
【0065】
本明細書で使用するとき、用語「NM-CRPC」は、非転移性去勢抵抗性前立腺癌を
指す。いくつかの実施形態では、NM-CRPCは、骨スキャン及びコンピュータ断層撮
影(CT)又は磁気共鳴撮像(MRI)スキャンによって評価される。
【0066】
用語「化学療法で未治療の転移性去勢抵抗性前立腺癌」は、それまでに化学療法薬によ
り治療されていない転移性去勢抵抗性前立腺癌を指す。
【0067】
用語「酢酸アビラテロン-プレドニゾン治療後の転移性去勢抵抗性前立腺癌」は、酢酸
アビラテロンで既に治療された転移去勢抵抗性前立腺癌を指す。
【0068】
用語「高リスクNM-CRPC」は、NM-CRPCを有する男性の、転移が進行する
確率が高いことを指す。いくつかの実施形態では、転移形成に関する高リスクは、<20
ケ月、<19ケ月、<18ケ月、<17ケ月、<16ケ月、<15ケ月、<14ケ月、<
13ケ月、<12ケ月、又は<11ケ月、<10ケ月、<9ケ月、<8ケ月、<7ケ月、
<6ケ月、<5ケ月、<4ケ月、<3ケ月、<2ケ月、又は<1ケ月の前立腺特異抗原倍
加時間(PSADT)として規定される。いくつかの実施形態では、転移形成に関する高
リスクは、<10ケ月の前立腺特異抗原倍加時間(PSADT)として定義される。いく
つかの実施形態では、転移形成の高リスクは、局所領域的な再発(例えば、一次腫瘍床、
膀胱頸部、吻合部、骨盤リンパ節)を有するものとして特定される。
【0069】
本明細書で使用するとき、用語「同時投与」などは、選択された療法薬の単一の患者へ
の投与を包含し、薬剤が同じ若しくは異なる投与経路によって、又は同じ若しくは異なる
時間で投与される、治療レジメンを含むことが意図される。
【0070】
本明細書で使用するとき、用語「医薬的組み合わせ」とは、2つ以上の活性成分の混合
又は組み合わせから得られる製品を意味し、活性成分の固定された組み合わせ及び非固定
の組み合わせの両方を含む。用語「固定された組み合わせ」とは、活性成分、例えば、ア
パルタミド及び共剤の両方が、単一単位又は単一剤形の形態で同時に患者に投与されるこ
とを意味する。用語「非固定の組み合わせ」とは、活性成分、例えば、アパルタミド及び
共剤が、特定の中断時間の制限なしで、同時に、並行的に、又は連続してのいずれかで、
別個の単位又は別個の剤形として患者に投与され、このような投与が、ヒトの男性の体内
における2つの活性成分の安全かつ有効なレベルを提供することを、意味する。後者はま
た、カクテル療法、例えば、3つ以上の活性成分の投与にも当てはまる。
【0071】
用語「FDHT-PET」は、18F-16P-フルオロ-5a-ジヒドロテストステ
ロン陽電子放出断層撮影を指し、これは、ジヒドロテストステロンに基づくトレーサーを
使用する技術であり、患者のアンドロゲン受容体に結合するリガンドの目視評価が可能に
なる。これを使用して、アンドロゲン受容体指向療法の薬物動態を評価することができる
。
【0072】
用語「継続的な連日投与スケジュール」は、特定の療法薬について休薬日を含まない、
当該特定の療法薬の投与を指す。いくつかの実施形態では、特定の療法薬の継続的な連日
投与スケジュールは、毎日およそ同時刻に特定の療法薬を投与すること、を含む。
【0073】
用語「治療する」及び「治療」は、病態に冒された患者の処置を指し、癌細胞を死滅さ
せることにより病態を緩和する作用ばかりでなく、病態の進行の阻害をもたらす作用も指
し、進行の速度の低下、進行の速度の停止、病態の寛解、及び病態の治癒を含む。予防措
置としての治療(すなわち、予防法)も含まれる。別途記載のない限り、用語「治療する
」、及び「治療」は、記載される効果の全体を指すが、他の実施形態では、これらの用語
はまた、記載される効果のうちのいずれか1つを指す場合もあり、又は少なくとも1つの
効果を除外したものを指す場合もある。
【0074】
用語「無転移生存」又は「MFS」は、定義された期間又は死亡にかけて、癌が拡散す
ることなく生存している、治験における被験者の割合を指す。MFSは、通常、治験にお
ける組み入れ、無作為化、又は治療の開始からの時間として報告される。MFSを、個体
又は試験母集団について報告する。抗アンドロゲン剤によるCRPCの治療の状況におい
て、無転移生存の増加は、偽薬による治療と比較して、いずれが最初に起きるにせよ浸潤
を有する癌又は死亡なしとして観察される時間の延長になる。いくつかの実施形態では、
無転移生存の増加は、約1ケ月、約2ケ月、約3ケ月、約4ケ月、約5ケ月、約6ケ月、
約7ケ月、約8ケ月、約10ケ月、約11ケ月、約12ケ月、約13ケ月、約14ケ月、
約15ケ月、約16ケ月、約17ケ月、約18ケ月、約19ケ月、約20ケ月、又は20
ケ月超である。いくつかの実施形態では、安全かつ有効量の抗アンドロゲン剤の投与は、
ヒト男性の無転移生存の増加をも提供し、任意に、無転移生存の増加は、非転移性去勢抵
抗性前立腺癌を有する、偽薬により治療したヒト男性の母集団の平均生存率に対するもの
である。いくつかの実施形態では、無転移生存は、いずれが最初に起きるにせよBICR
により確認される骨若しくは軟組織の遠隔転移又は任意の原因による死亡についての最初
の証拠に関する時間までの、無作為化からの期間を指す。
【0075】
用語「転移までの期間」は、X線写真で検出可能な骨又は軟組織の遠隔転移のBICR
により確認された最初の証拠を示すスキャンの時間までの、無作為化からの期間である。
いくつかの実施形態では、安全かつ有効量の抗アンドロゲン剤の投与は、転移までの期間
(time to metastasis、TTM)によって測定される抗腫瘍活性を改善する。
【0076】
用語「放射線画像診断による無増悪生存期間」は、いずれが最初に起きるにせよ進行性
疾患の撮像による最初の文書作成又は死亡までの無作為化からの期間である。被験者が、
コンピュータ断層撮影若しくは磁気共鳴撮像によって測定される軟組織病変の増悪、又は
、骨スキャンでの新たな病変のいずれかを有する場合、その被験者は放射線画像診断によ
る進行性疾患を有するとみなされる。
【0077】
用語「無増悪生存」は、RECIST v1.1に基づくものであり、以下のように定
義される:少なくとも1つの測定可能な病変を有する被験者について、進行性疾患は、治
験での最小合計を基準として、標的病変直径の合計の少なくとも20%の増加として定義
される(これは、治験で最も小さい場合、ベースライン合計を含む)。20%の相対的増
加に加えて、合計はまた、少なくとも5mmの絶対増加を示す必要がある。更に、1つ以
上の新たな病変の出現もまた、進行とみなされる。CT又はMRIスキャンで観察された
測定不能な疾患のみを有する被験者について、明白な進行(全体的な疾患の状態の変化を
表すもの)、又は1つ以上の新たな病変の出現は、進行とみなされた。骨スキャンで検出
された新たな骨病変について、進行を確認するため、第2の撮像診断法(例えば、CT又
はMRI)を必要とした。いくつかの実施形態では、安全かつ有効量の抗アンドロゲン剤
の投与は、無増悪生存率によって測定される抗腫瘍活性を改善する。
【0078】
用語「前立腺癌-特定生存」は、前立腺癌に起因する死亡日までの無作為化からの期間
として定義される。
【0079】
用語「PFS2」は、最初の試験での無作為化から、第2の疾患の増悪又は任意の原因
による死亡までの時間を意味する。
【0080】
用語「病状進行までの期間」は、以下のいずれかにおける(いずれが先に起きるにせよ
)、CRFの文書作成までの、無作為化からの期間として定義される:(1)骨格関連イ
ベント(skeletal-related event、SRE)の発症:病的骨折、脊髄圧迫、又は外科的
介入若しくは放射線療法の必要性;(2)新たな全身抗癌療法の開始を必要とする疾患関
連症状の疼痛の進行又は悪化;又は(3)外科的介入又は放射線療法を必要とする局所領
域的な腫瘍の進行に起因する臨床的に有意な症状の発症。いくつかの実施形態では、安全
かつ有効量の抗アンドロゲン剤の投与は、病状進行によって測定される抗腫瘍活性を改善
する。
【0081】
用語「疼痛増悪までの期間」は、疼痛増悪(3週以上間隔を空けた2回の連続する評価
時で観察された、簡易疼痛質問票(Brief Pain Inventory-Short Form、BPI-SF)
の最も悪い疼痛強度におけるベースラインからの2ポイントの平均増加、いずれが最初に
起きるにせよ、オピオイドの非減量、又は慢性オピオイドの開始を受けた患者で4を超え
る平均最悪疼痛スコアを伴う)までの無作為化からの期間として定義される。疼痛増悪ま
での期間のエンドポイントについて、BPI-SF最悪疼痛(項目3)を用いる。スコア
は、0~10の範囲であり、より低いスコアは、より低いレベルの疼痛強度を表し、2の
変化は、最小重要差であった。
【0082】
用語「骨格関連イベントまでの期間(SRE)」は、SRE(症候性病的骨折、脊髄圧
迫、骨への放射線、又は骨に対する手術)が最初に観察された日付までの無作為化の日付
からの期間として定義される。
【0083】
用語「慢性オピオイド使用までの期間」は、無作為化の日付から、確認された慢性的な
オピオイドの使用の初日までの時間として定義される。慢性的なオピオイドの使用は、経
口製剤の場合は3週以上、非経口製剤の場合は7日以上のオピオイド鎮痛剤の投与として
定義された。試験エントリ時において、オピオイドを既に受けていた患者については、慢
性的なオピオイドの使用は、経口製剤の場合は3週以上、非経口製剤の場合は7日以上継
続したオピオイド鎮痛剤の1日の総用量における≧30%の増加として定義された。患者
の前立腺癌以外の治療のための、オピオイド鎮痛剤の必要に応じた投与(例えば、非固定
的な又はスケジュールされていない投与)又は長期のオピオイド使用では、試験治療の中
止は必要でなかった。
【0084】
用語「症候性局所的増悪までの期間」は、いずれが最初に起きるにせよ症候性局所的増
悪までの無作為化の日付からの期間として定義される。症候性局所的増悪の例としては、
尿道閉塞又は膀胱下尿道閉塞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
用語「ECOG PSグレードの悪化までの期間」は、ECOG PSグレードにおけ
る悪化の最初の日付までの無作為化の日付からの期間として定義される(少なくとも1ポ
イントのECOG PSグレードの悪化として定義される)。
【0086】
用語「全生存期間」は、任意の原因による死亡日までの、無作為化からの期間として定
義される。解析時に生きている被験者についての生存データは、生存が判明している中で
最も直近の日付で打ち切ることとした。加えて、ベースライン情報後に生存していない被
験者について、無作為化の日付でデータを打ち切ることとし、居所がわからず追跡できな
くなる被験者、又は同意を撤回する被験者については、データを、被験者の生存が判明し
ている中で最も直近の日付で打ち切ることとした。いくつかの実施形態では、安全かつ有
効量の抗アンドロゲン剤の投与は、全生存期間によって測定される抗腫瘍活性を改善する
。
【0087】
用語「細胞毒性化学療法までの期間」は、新たな細胞毒性化学療法の文書作成までの無
作為化からの期間として定義される。
【0088】
用語「第1の後続療法による無増悪生存期間(PFS2)」は、(いずれが最初に起き
るにせよ)、第1の後続抗癌療法中の治験責任医師の評価による疾患の増悪(PSA、X
線写真、症候、又は任意の組み合わせによるもの)までの、又は第2の後続抗癌療法の開
始前の死亡(任意の原因)までの、無作為化からの期間として定義される。
【0089】
用語「PSA増悪までの期間」は、前立腺癌ワーキンググループ2基準に基づいた、P
SA増悪の日付までの、無作為化からの期間として定義される。Scher HI,et
al.J Clin Oncol 2008;26:1148-1159。
【0090】
用語「第2の無増悪生存までの期間」は、いずれが最初に起きるにせよ、患者が前立腺
癌の第1の後続療法を受けている間の、治験責任医師が判定した疾患の増悪(PSA増悪
、撮像における増悪、又は臨床的増悪)の最初の発生、又は任意の原因による死亡までの
、無作為化からの期間として定義される。
【0091】
後続療法後に文書作成された進行のない被験者については、進行データは、無増悪であ
ることが既知の直近の日付、又は死亡日で打ち切る。いくつかの実施形態では、安全かつ
有効量の抗アンドロゲン剤の投与は、第1の後続療法による測定された無増悪生存のよう
に、抗腫瘍活性を改善する。
【0092】
前立腺癌ワーキンググループ(Prostate Cancer Working Group、PCWG2)基準に
よって、前立腺特異的抗原奏効及びPSA増悪までの期間を、MFSの一次解析の時点で
評価する。PSA増悪までの期間は、PCWG2によるPSAの進行の基準が満たされる
時点までの、無作為化からの期間として計算される。
【0093】
本明細書で使用するとき、用語「偽薬」は、第2世代の抗アンドロゲン剤を含まない、
医薬組成物の投与を意味する。転移性去勢感受性前立腺癌の治療の状況において、抗アン
ドロゲン剤又は偽薬を投与されている男性は、GnRHアゴニスト/アンタゴニストの同
時投与又は精巣摘出のいずれかによって、去勢レベルのテストステロンを継続して維持す
る必要がある。
【0094】
本明細書で使用するとき、用語「生存効果」は、投与される薬物の治験における無作為
化の時点から死亡までの、患者の生存の増加を意味する。いくつかの実施形態では、生存
効果は、約1ケ月、約2ケ月、約3ケ月、約4ケ月、約5ケ月、約6ケ月、約7ケ月、約
8ケ月、約9ケ月、約10ケ月、約15ケ月、約20ケ月、約25ケ月、約30ケ月、約
35ケ月、約40ケ月、約45ケ月、約50ケ月、約55ケ月、約60ケ月、約80ケ月
、約100ケ月、又は100ケ月超である。
【0095】
本明細書で使用するとき、用語「疾患増悪に関連する症状の遅延」とは、投与された薬
物の治験での無作為化時からの、疼痛、尿路閉塞などの症状の発症のまでの時間の増加、
及び生活の質に関する検討時間の増加を意味する。
【0096】
用語「無作為化」は、臨床治験を指すとき、患者が臨床治験に適格であることが確認さ
れ、治療群に割り当てられる時を指す。
【0097】
用語「キット」及び「製造物品」は、同義語として使用される。
【0098】
用語「被験者」及び「患者」、並びに「ヒト」は、互換的に使用される。
【0099】
投与経路及び医薬組成物
本明細書に記載される療法薬は、任意の好適な要領又は好適な製剤で投与される。療法
薬の好適な投与経路としては、経口及び非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)が挙げ
られるが、これらに限定されない。全ての製剤は、ヒトへの投与に好適な用量である。医
薬組成物の概要は、かかる開示に関して参照により本明細書に組み込まれている、例えば
、Remington:The Science and Practice of P
harmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Pu
blishing Company,1995);Hoover,John E.,Re
mington’s Pharmaceutical Sciences,Mack P
ublishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;L
iberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmace
utical Dosage Forms,Marcel Decker,New Yo
rk,N.Y.,1980;及びPharmaceutical Dosage For
ms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.
(Lippincott Williams&Wilkins 1999)に記載されて
いる。
【0100】
安全性を調べる試験はまた、薬物への暴露がもたらし得る、任意の潜在的な有害な影響
の特定を求めるものである。有効性は、多くの場合、適切な状況、例えば、厳しく制御さ
れた臨床治験において試験された場合、活性医薬成分が偽薬又は他の介入よりも健康効果
を示すかどうかを判定することによって、測定される。
【0101】
別途記載のない限り、本明細書で使用するとき、用語「有効量」又は「治療有効量」は
、疾患又は病状の増悪を停止又は遅延させることを含む、内在する疾患又は病状を治療す
る抗アンドロゲン剤の投与量を意味する。
【0102】
製剤、組成物、又は成分に関して、本明細書で使用するとき、用語「許容可能な」とは
、治療中のヒト男性の全身的な健康に対する、その製剤、組成物又は成分の、その有害な
影響を実質的に上回る有益な効果を意味する。
【0103】
いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、固体経口剤形で存在する。いくつかの
実施形態では、抗アンドロゲン剤は、経口用量形態、単位経口用量形態、又は固体用量形
態(例えば、カプセル、錠剤、又は丸剤)として処方される。いくつかの実施形態では、
例えば、抗アンドロゲン剤は、錠剤として処方される。いくつかの実施形態では、抗アン
ドロゲン剤は、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)
-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2
-フルオロ-N-メチルベンズアミドである。いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン
剤は、4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメ
チル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチ
ルベンズアミドである。いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、4-[7-[4
-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7
-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド
である。いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、N-{(2S)-1-[3-(
3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル
}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドである。
製剤はまた、これらの材料のうちの2つ以上を組み合わせて含んでもよい。抗アンドロゲ
ン剤を含有する固体経口剤形は、各々が参照により本明細書に組み込まれている国際公開
第2014113260号及び中国特許第104857157号に開示のようにソフトゲ
ルカプセルとして提供されてもよく、又は各々が参照により本明細書に組み込まれている
国際公開第2016090098号、同第2016090101号、同第2016090
105号、及び同第2014043208号に開示のように錠剤として提供されてもよい
。本発明の固体経口剤形の調製に好適な技術は、Remington’s Pharma
ceutical Sciences,18th edition,edited by
AR.Gennaro,1990,Chapter 89及びRemington-T
he Science,and Practice of Pharmacy,21st
edition,2005,Chapter 45に記載されている。
【0104】
特定の実施形態では、抗アンドロゲン剤は、固体単位剤形、及び経口投与に好適な固体
単位剤形で存在する。単位剤形は、単位用量形態あたり約10、20、30、40、50
、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160
、170、180、190、200、210、220若しくは240mg、又はこれらの
値の2つで囲まれた範囲の量の抗アンドロゲン剤を含有してもよい。
【0105】
本発明の医薬組成物を調剤するには、従来の医薬配合技術により、活性医薬成分を、医
薬担体とよく混合し、この担体は、投与(例えば、経口又は非経口)のために望まれる調
剤の形態に応じて、広範な形態をとることができる。医薬的に許容される好適な担体は、
当該技術分野において周知である。これらの医薬的に許容される担体のいくつかの説明は
、米国薬剤師会及び英国薬剤師会によって出版されたThe Handbook of
Pharmaceutical Excipientsに見出すことができる。
【0106】
例えば、再構成又は吸入用の乾燥粉末、顆粒、カプセル、カプレット、ゲルキャップ、
丸剤及び錠剤(各々、速放性、徐放性、及び持続放出性の製剤を含む)などの固体経口調
剤において、好適な担体及び添加剤としては、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、滑剤、
崩壊剤などが挙げられるが、これらに限定されない。投与が容易であるので、錠剤及びカ
プセルは最も有利な経口投与単位形態であり、この場合、固体医薬担体が使用されること
は明らかである。望まれる場合、標準的な技術により、錠剤に、糖衣、ゼラチンコーティ
ング、フィルムコーティング、又は腸溶剤コーティングしてもよい。
【0107】
好ましくは、これらの組成物は、経口、鼻腔内、舌下、眼内、経皮的、非経口、膣内、
乾燥粉末吸入剤、又は他の吸入剤若しくは吸送手段による投与のための、錠剤、丸剤、カ
プセル、再構成又は吸入用の乾燥粉末、顆粒、トローチ剤、滅菌溶液又は懸濁液、定量エ
アロゾル又は液体スプレー、点滴剤、又は坐剤等からの単位剤形である。
【0108】
これらの製剤は、従来の製剤技術によって製造される。錠剤などの固形医薬組成物を調
剤するために、主要な活性成分は、医薬担体、例えば、希釈剤、結合剤、粘着剤、崩壊剤
、潤滑剤、粘着防止剤、及び滑剤などの従来の錠剤形成成分と混合される。好適な希釈剤
としては、デンプン(すなわち、加水分解され得る、トウモロデンプンコシ、小麦デンプ
ン、又はジャガイモデンプン)、ラクトース(顆粒化、噴霧乾燥品、又は無水)、スクロ
ース、スクロース系希釈剤(菓子製造元の糖;スクロース+約7~10重量%の転化糖;
スクロース+約3重量%の変性デキストリン;スクロース+約4重量%の転化糖、約0.
1~0.2重量%のトウモロコシデンプン及びステアリン酸マグネシウム)、デキストロ
ース、イノシトール、マンニトール、ソルビトール、微結晶セルロース(すなわち、FM
C Corp.から入手可能なAVICEL微結晶セルロース)、リン酸二カルシウム、
硫酸カルシウム二水和物、乳酸カルシウム三水和物などが挙げられるが、これらに限定さ
れない。好適な結合剤及び粘着剤としては、アカシアガム、グアーガム、トラガントガム
、スクロース、ゼラチン、グルコース、デンプン、及びセルロース系のもの(すなわち、
メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースなど)、水溶性又は
分散性結合剤(すなわち、アルギン酸及びその塩、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ヒ
ドロキシエチルセルロース[すなわち、Hoechst Celaneselから入手可
能なTYLOSE]、ポリエチレングリコール、多糖類酸、ベントナイト、ポリビニルピ
ロリドン、ポリメタクリレート、及びアルファ化デンプン)などが挙げられるが、これら
に限定されない。好適な崩壊剤としては、デンプン(トウモロコシ、ジャガイモなど)、
デンプングリコール酸ナトリウム、アルファ化デンプン、粘土(ケイ酸アルミニウムマグ
ネシウム)、セルロース(架橋されたカルボキシメチルセルロースナトリウム及び微結晶
セルロース)、アルギネート、アルファ化デンプン(すなわち、コーンスターチなど)、
ガム(すなわち、寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン、及びトラガントガム)
、並びに架橋されたポリビニルピロリドンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
好適な潤滑剤及び粘着防止剤としては、ステアレート(マグネシウム、カルシウム、及び
ナトリウム)、ステアリン酸、タルクワックス、ステアロウェット(stearowet)、ホウ
酸、塩化ナトリウム、DL-ロイシン、カーボワックス4000、カーボワックス600
0、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリ
ウム、及びラウリル硫酸マグネシウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。好適
な滑剤には、タルク、コーンスターチ、シリカ(すなわち、Cabotから入手可能なC
AB-O-SILシリカ、W.R.Grace/Davisonから入手可能なSYLO
IDシリカ、及びDegussaから入手可能なAEROSILシリカ)などが挙げられ
るが、これらに限定されない。甘味剤及び風味剤が、経口剤形の美味性を改善するために
、チュアブルの固形剤形に添加されてもよい。更に、着色剤及びコーティングが、薬物の
識別を容易にするため又は美的目的で、固形剤形に添加又は付与されてもよい。これらの
担体は、医薬的活性物質と共に製剤化され、医薬的活性物質の正確で適切な投与量に治療
的放出特性を提供する。
【0109】
本発明の一態様は、抗アンドロゲン剤を含む固体分散体である。固体分散体を調製する
ための様々な手法が存在し、当該手方法としては、溶融押出(例えば、高温溶融押出)、
噴霧乾燥、及び溶液蒸発、特に高温溶融押出及び噴霧乾燥が挙げられ、噴霧乾燥が好まし
い。本発明の一態様は、本明細書に記載したような固体分散体からなる粒子である。本発
明の一態様では、本明細書に記載したような粒子は、入手可能であり、具体的には、好適
な溶媒において、一般的には抗アンドロゲン剤、より具体的には、ARN-509及びH
PMCASを含む混合物を噴霧乾燥させることによって入手可能である。一態様では、粒
子は入手可能であり、具体的には、溶融押出によって入手可能である。
【0110】
HPMCAS、つまりヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート又
はヒプロメロースアセテートサクシネート(CAS番号71138-97-1)は、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロースの酢酸エステル及びモノコハク酸エステルの混合物であ
る(IUPAC名:セルロース、2-ヒドロキシプロピルメチルエーテル、酢酸塩、水素
ブタンジオエート)。置換度/置換率(アセチル含量、コハク酸含量)及び粒径(微粉化
及び粒状)に基づいて区別された種々のグレードが入手可能である。本発明の一態様では
、ARN-509を有する分散体中のHPMCASは、HPMCAS LG(粒状グレー
ド)又はHPMCAS LF(微粉化グレード)(Shin-Etsu Chemica
l Co.,Ltd)であり、特にHPMCAS LGである。
【0111】
本明細書で提供される医薬組成物における使用に好適な結合剤としては、デンプン、セ
ルロース、及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、カルボ
キシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニール1ピロリドン、並びにこ
れらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
本明細書で提供される医薬組成物における使用に好適な充填剤の例としては、微結晶セ
ルロース、粉末化セルロース、マンニトール、ラクトース、リン酸カルシウム、デンプン
、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
医薬組成物における結合剤又は充填剤は、典型的には、医薬組成物又は剤形の約50~
約99重量%で存在する。
【0114】
崩壊剤は、水性環境に暴露されたとき崩壊する錠剤を提供するために、組成物に使用す
ることができる。過度に多くの崩壊剤を含有する錠剤は、保管中に崩壊することがある一
方で、過度に少なくしか含有していない錠剤は、所望の速度で、又は所望の条件下で崩壊
しないことがある。したがって、活性成分の放出を不利に変更するほど過度に多くなく、
また過度に少なくもない、十分な量の崩壊剤を使用して、固体経口剤形を形成する必要が
ある。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類に基づいて変化し、当業者であれば容易に認
識可能である。典型的な医薬組成物は、約0.5~約15重量%の崩壊剤、特に約1~約
5重量%の崩壊剤を含む。本明細書で提供される医薬組成物に使用することができる崩壊
剤としては、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナ
トリウム、ジャガイモデンプン又はタピオカデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプ
ン、他のセルロース、ガム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない
。
【0115】
本明細書で提供される医薬組成物に使用することができる潤滑剤としては、ステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽質鉱油、グリセリン、ソルビトール
、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、
ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、水素添加植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実
油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油)、ステアリン酸亜
鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、及びこれらの混合物が挙げられるが、
これらに限定されない。潤滑剤は、典型的には、それらが組み込まれる医薬組成物又は剤
形の約1重量%未満の量で使用される。
【0116】
圧縮錠剤製剤は、任意に、色、光保護、及び/又は味覚マスキングを提供するためにフ
ィルムコーティングされていてもよい。錠剤はまた、患者のAPIへの生物学的暴露を最
適化又は最大化するために、胃腸管における放出の開始及び/又は速度を調節するようコ
ーティングされていてもよい。
【0117】
ハードカプセル製剤は、例えばゼラチン、又はヒプロメロースからなるシェルに、アパ
ルタミド又はエンザルタミドのブレンド又は造粒物を充填することによって製造すること
ができる。
【0118】
ソフトゲルカプセル製剤を製造することができる。
【0119】
経口使用を意図した医薬組成物は、固体分散製剤、及び本明細書に記載の方法による上
記ブレンド材料、並びに医薬組成物製造に関する技術分野に既知の他の方法から調剤する
ことができる。このような組成物は、医薬的に優れた口に合う調剤を提供するために、甘
味剤、風味剤、着色剤、及び防腐剤からなる群から選択される、1つ以上の剤を更に含有
してもよい。
【0120】
錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に好適な無毒性の医薬的に許容される賦形剤と混合さ
れた状態で含有してもよい。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、造粒剤、及び崩
壊剤、結合剤、滑剤、潤滑剤、及び酸化防止剤、例えば、没食子酸プロピル、ブチル化ヒ
ドロキシアニソール、及びブチル化ヒドロキシトルエンであってもよい。錠剤は、未コー
ティングであってもよく、又は外観を修正するためフィルムコーティングされていてもよ
く、又は胃腸管における崩壊及び吸収の遅延により長期にわたって作用を持続させるため
、機能性コートでコーティングされていてもよい。
【0121】
経口使用のための組成物はまた、活性成分が不活性の固体希釈剤、例えば炭酸カルシウ
ム、リン酸カルシウム、若しくはデンプンと混合されたカプセル(例えば、ハードゼラチ
ン)として、又は活性成分が液体若しくは半液体、例えばピーナッツ油、流動パラフィン
、分画グリセリド、界面活性剤、若しくはオリーブ油と混合されたソフトゼラチンカプセ
ルとして与えられてもよい。水性懸濁液は、活性物質を水性懸濁液の製造に好適な賦形剤
と混合された状態で含有する。水を加えることによる水性懸濁液の調製に適した分散性の
粉末及び顆粒によって、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1つ以上の防腐剤と混合され
た活性成分が得られる。本発明の特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、希釈剤系
、崩壊剤、塩、潤滑剤、滑剤、及びフィルムコートをそれぞれ、約3重量/重量%~約5
8重量/重量%、約4重量/重量%~約20重量/重量%、約4重量/重量%~約20重
量/重量%、約0.5重量/重量%~約4重量/重量%、約0重量/重量%~約2重量/
重量%、及び約1重量/重量%~約5重量/重量%、又はそれぞれ、約18重量/重量%
~約40重量/重量%、約7重量/重量%~約15重量/重量%、約7重量/重量%~約
18重量/重量%、約1.0重量/重量%~約3.0重量/重量%、約0.1重量/重量
%~約1.0重量/重量%、及び約2.0重量/重量%~約4.0重量/重量%の濃度で
含む。特定の実施形態では、固体分散製剤は、希釈剤、1つ以上の崩壊剤、潤滑剤、及び
滑剤とブレンドされている。例示的なブレンド組成物又は経口剤形は、マンニトール、微
結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、塩化ナトリウム、コロイダルシリカ、
ステアリルフマル酸ナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0122】
崩壊剤は、約4重量/重量%~約20重量/重量%、又は約7重量/重量%~約15重
量/重量%の濃度で存在してもよい。塩もまた、存在してもよく、それが塩化ナトリウム
、塩化カリウム、又はこれらの組み合わせであってもよい。塩と崩壊剤との組み合わせは
、最終医薬組成物の約5重量/重量%~約35重量/重量%の濃度で存在する。
【0123】
特定の実施形態では、コア錠剤の非活性成分は、無水コロイダルシリカ、クロスカルメ
ロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース-アセテートスクシネート、ス
テアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、及びケイ化微結晶セルロースである。他の
実施形態では、錠剤は、以下の賦形剤、すなわち、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、ポリエチレ
ングリコール、ポリビニルアルコール、タルク、及び二酸化チタンからなる、フィルムコ
ーティングで仕上げられている。
【0124】
他の実施形態では、医薬組成物の単回単位投与は、約60mgのアパルタミドを、含む
、それからなる、又はそれから本質的になる。いくつかの実施形態では、医薬組成物の単
回単位投与の複数回用量は、約60mgのアパルタミドを、含む、それからなる、又はそ
れから本質的になるものであり、例えば、4回又は個々の単位剤形がヒトに投与される。
アパルタミドの合計1日用量は、1日当たり約240mgであってもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の単回単位投与は、約40mgのエンザルタミド
を、含む、それからなる、又はそれから本質的になる。いくつかの実施形態では、医薬組
成物の単回単位投与の複数回投与は、約40mgのエンザルタミドを、含む、それからな
る、又はそれから本質的になるものであり、例えば、4回又は個々の単位剤形が、ヒトに
投与される。エンザルタミドの全1日用量は、1日当たり約160mgであってもよい。
【0126】
なお更なる実施形態では、医薬組成物の単回単位投与は、約300mgのダロルタミド
を、含む、それからなる、又はそれから本質的になる。いくつかの実施形態では、医薬組
成物の単回単位用量の複数回投与は、約300mgのダロルタミドを、含む、それからな
る、又はそれから本質的になるものであり、例えば、2回又は個々の単位剤形が、ヒトに
投与される。ダロルタミドの合計1日用量は、1日に2回で約600mgであってもよい
。ダロルタミドの合計1日用量は、1日当たり約1200mgであってもよい。
【0127】
経口投与のための全ての製剤は、かかる投与に好適な剤形である。
【0128】
投与方法及び治療レジメン
一態様において、ヒト男性における転移性去勢感受性前立腺癌を治療する方法であって
、治療有効量の抗アンドロゲン剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性に投与
することを含むか、投与することからなるか、又は投与することから本質的になり、抗ア
ンドロゲン剤が、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル
)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-
2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロ
メチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1
-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、4-[7-[4-シアノ-3-(ト
リフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3
.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、又はN-{(2S
)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]プ
ロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキ
シアミドのうちの少なくとも1つである、方法が本明細書に記載される。以下の開示にお
いて、「転移性去勢感受性前立腺癌を治療する方法」は、「転移性去勢感受性前立腺癌を
有するヒト男性を治療する方法」として代替的に記述され得る。簡潔にするために、各可
能な代替物は解析されないが、それぞれは、完全に記載されているかのように別個に検討
される。
【0129】
本明細書では、ヒト男性における転移性去勢感受性前立腺癌を治療するための方法であ
って、治療有効量の抗アンドロゲン剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性に
投与することからなるか、又は投与することから本質的になり、抗アンドロゲン剤が、4
-[7-(6-シアノ-5-トリフイウオロメチルピリジントリフルオロメチルピリジン
-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5
-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、4-(3-(4-シアノ-3-(ト
リフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾ
リジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、4-[7-[4-シアノ
-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザ
スピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、又はN
-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1
-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3
-カルボキシアミドのうちの1つ以上である、方法もまた開示される。
【0130】
本明細書に記載される別の態様では、抗アンドロゲン剤の投与は、転移性去勢感受性前
立腺癌を有するヒト男性比較集団の全生存率と比較して、ヒト男性の全生存の増加を提供
し、当該比較集団は、アンドロゲン除去療法と組み合わせて偽薬が投与され、当該偽薬は
、抗アンドロゲン剤の投与前又は投与中に投与されている。他の実施形態では、この比較
集団は未治療である。本明細書に記載された他の態様では、抗アンドロゲン剤の投与は、
転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性比較集団の全生存率と比較して、ヒト男性の
全生存の増加を提供し、当該比較集団は、アンドロゲン除去療法が投与されている。特定
の実施形態では、抗アンドロゲン剤の投与は、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男
性比較集団の全生存率と比較して、ヒト男性の全生存の増加を提供し、当該比較集団は、
治療を全く受けていなかった。特定の実施形態では、抗アンドロゲン剤の投与は、転移性
去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性比較集団の全生存率と比較して、ヒト男性の全生存
の増加を提供し、当該比較集団は、アンドロゲン除去療法を伴い、あるいは伴わずに、第
1世代の抗アンドロゲン剤が投与されている。いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン
剤が投与された集団及び比較集団の両方が、同じ又は類似の先行する治療レジメンによっ
て以前に治療されてきた。
【0131】
更なる実施形態では、抗アンドロゲン剤の投与は、転移性去勢感受性前立腺癌を有する
ヒト男性比較集団の無増悪生存率と比較して、ヒト男性の無増悪生存の増加を提供し、当
該比較集団は、アンドロゲン除去療法と組み合わせて偽薬を投与されている。本明細書に
記載された他の態様では、抗アンドロゲン剤の投与は、転移性去勢感受性前立腺癌を有す
るヒト男性比較集団の無増悪生存率と比較して、ヒト男性の無増悪生存の増加を提供し、
当該比較集団は、アンドロゲン除去療法が以前投与されている。特定の実施形態では、抗
アンドロゲン剤の投与は、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性比較集団の無増悪
生存率と比較して、ヒト男性の無増悪生存の増加を提供し、当該比較集団は、以前に治療
を全く受けていない。特定の実施形態では、抗アンドロゲン剤の投与は、転移性去勢感受
性前立腺癌を有するヒト男性比較集団の無増悪生存率と比較して、ヒト男性の無増悪生存
の増加を提供し、当該比較集団は、アンドロゲン除去療法を伴い、あるいは伴わずに、第
1世代の抗アンドロゲン剤が以前投与されている。再び好ましい実施形態では、抗アンド
ロゲン剤が投与された集団及び比較集団の両方が、同じ又は類似の先行する治療レジメン
によって以前に治療されてきた。
【0132】
一態様では、転移性去勢感受性前立腺癌を治療する方法であって、治療有効量の抗アン
ドロゲン剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性に投与することを含むか、投
与することからなるか、又は投与することから本質的になり、抗アンドロゲン剤が経口投
与される、方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は
、毎日投与される。いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、1日2回投与される
。いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、1日3回投与される。いくつかの実施
形態では、抗アンドロゲン剤は、1日4回投与される。いくつかの実施形態では、抗アン
ドロゲン剤は、1日おきに投与される。いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、
毎週投与される。いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、週に2回投与される。
いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、1週おきに投与される。いくつかの実施
形態では、抗アンドロゲン剤は、継続的な連日投与スケジュールで経口投与される。
【0133】
一実施形態では、所望の用量は、単回用量で、若しくは同時に(若しくは短期間に)投
与される分割用量で、又は適切な間隔で、例えば、1日当たり2回、3回、4回、又はそ
れ以上のサブ用量で、与えられるのが好都合である。いくつかの実施形態では、抗アンド
ロゲン剤は、1日1回、同時に(又は短期間に)投与される分割用量で与えられるのが好
都合である。いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、1日2回等分されて投与さ
れる分割用量で与えられるのが好都合である。いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン
剤は、1日3回等分されて投与される分割用量で与えられるのが好都合である。いくつか
の実施形態では、抗アンドロゲン剤は、1日4回等分されて投与される分割用量で与えら
れるのが好都合である。
【0134】
特定の実施形態では、1日を通して、部分単位投与量によって送達される抗アンドロゲ
ン剤の総量が、1日の総投与量となるように、所望の用量は、1日を通して1、2、3、
4、5、6、7、8、9、又は10個の部分単位投与量で送達されてもよい。
【0135】
更なる実施形態では、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3
-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イ
ル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、ヒト男性に毎日投与される。なお更な
る実施形態では、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル
)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-
2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、ヒト男性に経口投与される。いくつかの実施
形態において、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)
-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2
-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、継続的な連日投与スケジュールでヒト男性に経
口投与される。
【0136】
更なる実施形態では、4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル
)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フ
ルオロ-N-メチルベンズアミドが、ヒト男性に毎日投与される。なお更なる実施形態で
は、4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチ
ル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチル
ベンズアミドが、ヒト男性に経口投与される。いくつかの実施形態では、4-(3-(4
-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2
-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、継
続的な連日投与スケジュールでヒト男性に経口投与される。
【0137】
更なる実施形態では、4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル
]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-
2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、ヒト男性に毎日投与される。なお更なる実施
形態では、4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキ
ソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ
-N-メチルベンズアミドが、ヒト男性に経口投与される。いくつかの実施形態では、4
-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-チオ
キソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチル
ベンズアミドが、継続的な連日投与スケジュールでヒト男性に経口投与される。
【0138】
更なる実施形態では、N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル
)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル
)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドが、ヒト男性に毎日投与される。なお更な
る実施形態では、N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1
H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1
H-ピラゾール-3-カルボキシアミドが、ヒト男性に経口投与される。いくつかの実施
形態では、N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピ
ラゾール-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピ
ラゾール-3-カルボキシアミドが、継続的な連日投与スケジュールでヒト男性に経口投
与される。
【0139】
いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、第2世代の抗アンドロゲン剤である。
特定の実施形態では、抗アンドロゲン剤は、エンザルタミド、アパルタミド、RD-16
2、又はダロルタミドである。いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、アパルタ
ミドである。いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、エンザルタミドである。い
くつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、RD-162である。いくつかの実施形態
では、抗アンドロゲン剤は、ダロルタミドである。
【0140】
概して、ヒトにおける本明細書に記載の疾患又は病状の治療に使用される抗アンドロゲ
ン剤の用量は、典型的には、1日当たり10mg~1000mgの範囲である。いくつか
の実施形態では、抗アンドロゲン剤は、1日当たり約30mg~1日当たり約1200m
gの用量でヒトに経口投与される。いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、1日
当たり約30mg~1日当たり約600mgの用量でヒトに経口投与される。いくつかの
実施形態では、抗アンドロゲン剤は、1日当たり約30mg、1日当たり約60mg、1
日当たり約90mg、1日当たり約120mg、1日当たり約160mg、1日当たり約
180mg、1日当たり約240mg、1日当たり約300mg、1日当たり約390m
g、1日当たり約480mg、1日当たり約600mg、1日当たり約780mg、1日
当たり約960mg、又は1日当たり約1200mgの用量でヒトに経口投与される。
【0141】
特定の実施形態では、ヒトにおける本明細書に記載される疾患又は病状の治療に用いら
れる抗アンドロゲン剤の用量は、30~40mg/日、40~50mg/日、50~60
mg/日、60~70mg/日、70~80mg/日、80~90mg/日、90~10
0mg/日、100~120mg/日、120~140mg/日、140~160mg/
日、160~180mg/日、180~200mg/日、200~220mg/日、22
0~240mg/日、240~260mg/日、260~280mg/日、280~30
0mg/日、300~320mg/日、320~340mg/日、340~360mg/
日、360~380mg/日、380~400mg/日、400~420mg/日、42
0~440mg/日、440~460mg/日、460~480mg/日の範囲、又はこ
れらの範囲の2つ以上によって定義される任意の範囲、又はこれらの範囲において引用さ
れる任意の個別の値を有してもよい。
【0142】
いくつかの実施形態では、ヒトにおける本明細書に記載の疾患又は病状の治療に用いら
れる抗アンドロゲン剤の用量は、0.3~0.4mg/kg/日、0.4~0.5mg/
kg/日、0.5~0.6mg/kg/日、0.6~0.7mg/kg/日、0.7~0
.8mg/kg/日、0.8~0.9mg/kg/日、0.9~1mg/kg/日、1~
1.2mg/kg/日、1.2~1.4mg/kg/日、1.4~1.6mg/kg/日
、1.6~1.8mg/kg/日、1.8~2mg/kg/日、2~2.2mg/kg/
日、2.2~2.4mg/kg/日、2.4~2.6mg/kg/日、2.6~2.8m
g/kg/日、2.8~3.0mg/kg/日、3.0~3.2mg/kg/日、3.2
~3.4mg/kg/日、3.4~3.6mg/kg/日、3.6~3.8mg/kg/
日、3.8~4.0mg/kg/日、4.0~4.2mg/kg/日、4.2~4.4m
g/kg/日、4.4~4.6mg/kg/日、4.6~4.8mg/kg/日、又はこ
れらの範囲のうちの2つ以上によって定義される任意の範囲、又はこれらの範囲において
引用される任意の個々の値を有してもよい。
【0143】
更なる実施形態では、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3
-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イ
ル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、1日当たり約30mg~1日当たり約
480mgの用量で、ヒト男性に経口投与される。なお更なる実施形態では、4-[7-
(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキ
ソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベ
ンズアミドが、1日当たり約180mg~1日当たり約480mgの用量で、ヒト男性に
経口投与される。特定の実施形態では、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチ
ルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]
オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、(a)1日当たり約3
0mg、(b)1日当たり約60mg、(c)1日当たり約90mg、(d)1日当たり
約120mg、又は(d)1日当たり約240mgの用量で、ヒト男性に経口投与される
。いくつかの実施形態では、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン
-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5
-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、1日当たり約240mgの用量で
ヒト男性に経口投与される。
【0144】
いくつかの実施形態では、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン
-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5
-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドの用量が、ヒト男性にグレード3以上
の毒性が生じた場合、1日当たり180mgに低減される。あるいは又は更には、毒性症
状がグレード1の毒性以下に改善されるまで、元の投与量を維持してもよい。次に、投与
量は、本明細書に記載されるように低減されてもよく、又は継続的な監視を伴い元の投与
量で再開されてもよい。いくつかの実施形態では、4-[7-(6-シアノ-5-トリフ
ルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ
[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドの用量が、ヒト
男性に耐え難い副作用が生じた場合、1日当たり180mgに低減される。いくつかの実
施形態では、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-
8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-
フルオロ-N-メチルベンズアミドの用量が、ヒト男性にグレード3以上の毒性が生じた
場合、1日当たり120mgに低減される。あるいは又は更には、毒性症状がグレード1
の毒性以下に改善されるまで、元の投与量を維持してもよく、次に、投与量は、本明細書
に記載されるように低減されてもよく、又は継続的な監視を伴い元の投与量で再開されて
もよい。いくつかの実施形態では、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピ
リジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オク
タ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドの用量が、ヒト男性に耐え難い
副作用が生じた場合、1日当たり120mgに低減される。
【0145】
いくつかの実施形態では、4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェ
ニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2
-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、1日当たり約160mgの用量で経口投与され
る。いくつかの実施形態では、1日当たり160mg超のエンザルタミドが投与される。
【0146】
いくつかの実施形態では、4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェ
ニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル
]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、1日当たり約30mg~1日当たり約4
80mgの用量で、ヒト男性に経口投与される。なお更なる実施形態では、44-[7-
[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5
,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズア
ミドが、1日当たり約180mg~1日当たり約480mgの用量で、ヒト男性に経口投
与される。特定の実施形態では、4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)
フェニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-
イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、(a)1日当たり約30mg、(b
)1日当たり約60mg、(c)1日当たり約90mg、(d)1日当たり約120mg
、又は(d)1日当たり約240mgの用量で、ヒト男性に経口投与される。いくつかの
実施形態では、44-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8
-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フ
ルオロ-N-メチルベンズアミドが、1日当たり約240mgの用量でヒト男性に経口投
与される。
【0147】
いくつかの実施形態では、N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェ
ニル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエ
チル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドが、1日当たり約1200mgの用量
で経口投与される。いくつかの実施形態では、1日当たり1200mgより多いN-{(
2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル
]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カル
ボキシアミドが投与される。
【0148】
ヒトにおける疾患又は病状の状態の改善が観察されない特定の実施形態では、抗アンド
ロゲン剤の1日用量を増加させる。いくつかの実施形態では、1日1回の投与スケジュー
ルは、1日2回の投与スケジュールに変更される。いくつかの実施形態では、投与される
抗アンドロゲン剤の量を増加させるために、1日3回の投与スケジュールが用いられる。
【0149】
いくつかの実施形態では、ヒトに与えられる抗アンドロゲン剤の量は、疾患又は病状の
状態及び重症度、並びにヒトの同一性(例えば、体重)、並びに投与される特定の追加の
療法薬(適用可能な場合)などの因子に応じて変化するが、因子はこれらに限定されない
。
【0150】
いくつかの実施形態では、ヒト男性は、癌の治療のための少なくとも1つの先行する療
法を受け、癌の治療のための先行する療法は、放射線療法、外科的介入療法、又はドセタ
キセル療法である。いくつかの実施形態では、ヒト男性は、治療未経験である。
【0151】
いくつかの実施形態では、抗アンドロゲン剤は、アンドロゲン除去療法と組み合わせて
投与される。更なる実施形態では、抗アンドロゲン剤は、少なくとも1種のゴナドトロピ
ン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト又はアンタゴニストと組み合わせて投与される。
なお更なる実施形態では、少なくとも1つのGnRHアゴニスト又はアンタゴニストが、
ロイプロリド、ブセレリン、ナフェレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、デスロレリン、
デガレリクス、オザレリクス、ABT-620(エラゴリクス)、TAK-385(レル
ゴリクス)、EP-100、KLH-2109、若しくはトリプトレリンであるか、又は
それを含む。
【0152】
医師は、指示、推奨、及び慣行に従ってGnRHアゴニストを処方することができる。
いくつかの実施形態では、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴニストは
、ロイプロリドである。いくつかの実施形態では、ロイプロリドは、4週毎に約7.5m
g、又は3ヶ月ごとに22.5mg、又は4ヶ月ごとに約30mg、又は6ヶ月ごとに約
45mgの用量で、デポ注射として投与される。約3日~約12ケ月の期間にわたる約0
.01mg~約200mgのロイプロリド、好ましくは約3日~約12ケ月の期間にわた
る約3.6mgのロイプロリドで、ロイプロリドが投与される。いくつかの実施形態では
、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴニストは、ブセレリンである。い
くつかの実施形態では、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴニストは、
ナフェレリンである。いくつかの実施形態では、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト
又はアンタゴニストは、ヒストレリンである。いくつかの実施形態では、ゴナドトロピン
放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴニストは、ヒストレリン酢酸塩である。いくつかの
実施形態では、ヒストレリン酢酸塩は、12ケ月の期間にわたって約50mgのヒストリ
ン酢酸塩、又は1日当たり約50μgのヒストレリン酢酸で投与される。いくつかの実施
形態では、GnRHアゴニスト又はアンタゴニストは、ゴセレリンである。いくつかの実
施形態では、ゴセレリンは、4週毎に約3.6mg、又は12週毎に約10.8mgの用
量で皮下埋め込みとして投与される。いくつかの実施形態では、ゴセレリンは、約28日
~約3ケ月の期間にわたって約0.01mg~約20mgのゴセレリン、好ましくは約2
8日~約3ケ月の期間にわたって約3.6mg~約10.8mgのゴセレリンで投与され
る。いくつかの実施形態では、GnRHアゴニスト又はアンタゴニストは、デスロレリン
である。いくつかの実施形態では、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴ
ニストは、デガレリクスである。いくつかの実施形態では、デガレリクスは、約240m
gの用量で皮下注射として投与され、続いて4週ごとに約80mg投与される。いくつか
の実施形態では、GnRHアゴニスト又はアンタゴニストは、オザレリクスである。いく
つかの実施形態では、GnRHアゴニスト又はアンタゴニストは、オザレリクスである。
いくつかの実施形態では、GnRHアゴニスト又はアンタゴニストは、ABT-620(
エラゴリクス)である。いくつかの実施形態では、GnRHアゴニスト又はアンタゴニス
トは、TAK-385(レルゴリクス)である。いくつかの実施形態では、GnRHアゴ
ニスト又はアンタゴニストは、EP-100である。いくつかの実施形態では、GnRH
アゴニスト又はアンタゴニストは、KLH-2109である。いくつかの実施形態では、
ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト又はアンタゴニストは、トリプトレリンである。
いくつかの実施形態では、トリプトレリンは、約1ケ月の期間にわたって約0.01mg
~約20mgのトリプトレリン、好ましくは約1ケ月の期間にわたって約3.75mgの
トリプトレリンで投与される。
【0153】
特定の実施形態では、抗アンドロゲン剤は、両側精巣摘出と組み合わせて使用される。
特定の実施形態では、抗アンドロゲン剤は、両側精巣摘出後に投与される。
【0154】
なお更なる実施形態では、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン
-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5
-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドは、(a)強力なCYP2C8又はC
YP3A4阻害剤である薬剤、(b)CYP3A4、CYP2C19、若しくはCYP2
C9によって主に代謝される薬剤、(c)UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(
UGT)の基質である薬剤、あるいは(d)P糖タンパク質、BCRP、又はOATP1
B1の基質である薬剤と併用投与されない。特定の実施形態では、4-[7-(6-シア
ノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7
-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド
は、強力なCYP2C8又はCYP3A4阻害剤である薬剤と併用投与されない。特定の
実施形態では、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)
-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2
-フルオロ-N-メチルベンズアミドは、CYP3A4、CYP2C19、又CYP2C
9によって主に代謝される薬剤と併用投与されない。特定の実施形態では、4-[7-(
6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ
-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベン
ズアミドは、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)の基質である薬剤と
併用投与されず、あるいは(d)P糖タンパク質、BCRP、又はOATP1B1の基質
である薬剤と併用投与されない。
【0155】
強力なCYP2C8阻害剤の非限定的な例はゲムフィブロジルである。
【0156】
強力なCYP3A4阻害剤の非限定的な例には、ボセプレビル、アプレピタント、クラ
リスロマイシン、コニバプタン、グレープフルーツジュース、インジナビル、ロピナビル
、イトラコナゾール、ミベフラジル、ケトコナゾール、ネファゾドン、リトナビル、ポサ
コナゾール、ネルフィナビル、サキナビル、ポサコナゾール、ネルフィナビル、サキナビ
ル、コニバプタン、テラプレビル、ボセプレビル、テリスロマイシン、クラリスロマイシ
ン、ボリコナゾール、クロトリマゾール、ジルチアゼム、エリスロマイシン、フルコナゾ
ール、ベラパミル、及びトロレアンドマイシンが挙げられる。
【0157】
中等度から強力なCYP3A4誘導物質の非限定的な例としては、アバシミブ、セント
ジョーンズワート、カルバマゼピン、エファビレンツ、フェニトイン、エトラビリン、ボ
センタン、ナフシリン、リファンピシン、モダフィニル、リファブチン、及びバルビツー
ル酸塩が挙げられる。
【0158】
CYP3A4によって主に代謝される薬剤の非限定的な例は、ミダゾラムである。CY
P2C19によって主に代謝される薬剤の非限定的な例は、オメプラゾールである。CY
P2C9によって主に代謝される薬剤の非限定的な例は、S-ワルファリンである。
【0159】
P糖タンパク質の基質である薬剤の非限定的な例は、フェキソフェナジンである。
【0160】
BCRPの基質である薬剤の非限定的な例は、ロスバスタチンである。
【0161】
OATP1B1の基質である薬剤の非限定的な例は、ロスバスタチンである。
【0162】
別の態様において、ヒト男性における転移性去勢感受性前立腺癌を治療する方法であっ
て、方法は、(a)ヒト男性が転移性去勢感受性前立腺癌を有するかどうかを判定するこ
とと、(b)抗アンドロゲン剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を治療するために治療有効
量でヒト男性に投与することと、含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的にな
り、抗アンドロゲン剤が、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-
3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-
イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、4-(3-(4-シアノ-3-(トリ
フルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリ
ジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、4-[7-[4-シアノ-
3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザス
ピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、又はN-
{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-
イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-
カルボキシアミドである、方法が本明細書において提供される。
【0163】
承認された製剤を伴う治療方法
ヒト男性における転移性去勢感受性前立腺癌を治療する方法であって、アパルタミドを
含む承認された製剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性に、当該製剤の製剤
添付文書に記載の量で投与することを含む、方法もまた本明細書において提供される。い
くつかの実施形態では、アパルタミドを含む承認された製剤が、ANDA製剤、適応追加
申請製剤、又は505(b)(2)製剤である。特定の実施形態では、方法が、臨床的に
安全かつ/又は有効であることが証明されている。特定の実施形態では、方法が、臨床的
に安全であることが証明されている。特定の実施形態では、方法が、臨床的に有効である
ことが証明されている。
【0164】
用語「製剤」又は「承認された製剤」は、政府機関、例えば、米国食品医薬品局又は他
の国における同様の機関により少なくとも1つの適応症について販売承認された、活性医
薬成分を含有する製品である。
【0165】
同様に、「ラベル」又は「製剤添付文書」は、製剤に関する関連情報を提供する、患者
に提供される情報を意味する。このような情報には、薬物の説明、臨床薬理学、適応症(
製剤の使用)、禁忌(製剤を服用してはならない人)、警告、注意事項、有害事象(副作
用)、薬物の乱用及び依存、用量及び投与、妊娠中の使用、授乳中の母親での使用、子供
及び高齢の患者での使用、薬物の供給方法、患者の安全情報、又はこれらの任意の組み合
わせのうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、ラベ
ル又は製剤添付文書は、転移性去勢感受性前立腺癌を有する患者における使用のための指
示を提供している。更なる実施形態では、ラベル又は製剤添付文書は、規制機関に承認さ
れた化学成分としてアパルタミドを特定する。更に他の実施形態では、ラベルは、偽薬と
比較して、放射線画像診断による無増悪生存期間又は全生存期間を改善する優れた有効性
に関するデータを含む。なお更なる実施形態では、ラベルは、患者が転移性去勢感受性前
立腺癌を有する場合、患者又は医師にアパルタミドを投与するように指示する。
【0166】
用語「参照リスト薬(Reference Listed Drug、RLD)」は、新たなジェネリック品
が生物学的に同等であることを示すために比較される製剤である。21 CFR 314
.3(b))を参照されたい。また、欧州連合加盟国によって、又は完全な一件書類に基
づいて、すなわち、指令2001/83/ECの第8(3)条、第10a条、第10b条
若しくは第10c条による品質、前臨床及び臨床データの提出により、委員会によって販
売許可を付与された医薬品であり、ジェネリック/ハイブリッド医薬品の販売許可の申請
が、生物学的同等性の実証によって、通常、適切な生物学的利用能試験の提出を通じて、
参照する医薬品である。
【0167】
米国では、ジェネリックの同等品販売の承認を求める企業は、その略式新薬承認申請(
Abbreviated New Drug Application、ANDA)においてRLDを参照する必要がある。
例えば、ANDA申請者は、以前に承認された製剤、すなわちRLDが安全かつ有効であ
ることについて、FDAの知見に依拠し、とりわけ、提起されるジェネリック製剤がRL
Dと同じであることについて、特定の方法で実証する必要がある。具体的には、例外を限
定的なものとし、ANDAに提出される製剤は、とりわけ、RLDと同じ活性成分、使用
条件、投与経路、剤形、強度、及び(特定の許容差を有する)添付文書を有する必要があ
る。RLDは、掲載された薬物であり、それに対し、ANDA申請者は、その者の提起し
たANDAの製剤が、他の特性の中でもとりわけ、活性成分、剤形、投与経路、強度、添
付文書、及び使用条件に関して同じであることを示す必要がある。電子版オレンジブック
には、RLDについての欄及び参照標準についての欄がある。印刷物のオレンジブックで
は、RLD及び参照標準は、特定の記号によって特定される。承認された適合性申し立て
に基づくANDA(申し立てたANDA)について、参照リスト薬は、概して、承認され
た適合性申し立てにて参照されたリスト薬である。
【0168】
参照標準は、FDAによって選択された製剤であり、ANDAの承認を求める申請者は
、承認に必要なin vivoでの生物学的同等性試験の実施に使用する必要がある。F
DAは、概して、ANDA申請者がin vivoでの生物的同等性試験に使用する必要
がある、単一の参照標準を選択する。通常、FDAは、参照リスト薬を、参照標準として
選択する。しかし、いくつかの事例(例えば参照リスト薬が販売から撤退し、及びそれに
ついてFDAは安全性又は有効性の理由から撤退したものではないと判定した事例、並び
にFDAがANDAを参照基準として選択する事例)では、参照リスト薬と参照標準とは
、異なることがある。
【0169】
FDAは、Prescription Drug Product、OTC Drug
Product、及びDiscontinued Drug Product Lis
tsにおいて、参照リスト薬を特定する。参照リスト薬として特定された、リスト薬は、
ANDAの承認を求める申請者が依拠することのできる、製剤を表す。FDAは、適宜、
Prescription Drug Product、OTC Drug Produ
ct、及びDiscontinued Drug Product Listsにおいて
特定された、参照リスト薬を、定期的に更新することを予定している。
【0170】
FDAはまた、Prescription Drug Product及びOTC D
rug Product Listsにおいても参照標準を特定する。参照標準として特
定された、列挙された薬物は、承認に必要な任意のin vivoでの生物学的同等性試
験を実施する目的のための適切な比較物に関し、その時点でのFDAの最善の判断を表す
ものである。
【0171】
いくつかの事例では、FDAが、掲載された薬物を、参照リスト薬として指定していな
い場合、このようなリスト薬は、ジェネリック品の競争から保護され得る。申請者が複製
を意図する製剤について、FDAが参照リスト薬を設定していない場合、申請し得る者は
、その製剤について参照リスト薬を設定するよう、FDAに依頼することができる。
【0172】
FDAは、その自らの主導で新たな参照標準を選択することがあり、そうすることによ
り、例えば、参照標準として現在選択されている掲載された薬物が安全性及び有効性以外
の理由のために販売から撤退された場合に、ジェネリックの薬物の申請が提出され評価さ
れ得ることを確実にするのに役立つ。
【0173】
欧州では、申請者は、申請者のジェネリック/ハイブリッド医薬製品について申請の形
態で特定し、これは、ANDA、又は補足的なNDA(sNDA)製剤、参照医薬製品(
製品名、強度、剤形、MAH、最初の認可、加盟国/共同体)と同じであり、以下のよう
にRLDと同義である:
1.EEAに認可される又は認可されている医薬製品であり、欧州の医薬法制において
規定されたデータ保護期間が満了したことを示す根拠として使用されるもの。この参照医
薬製品は、データ保護期間の満了を計算する目的で特定されており、ジェネリック/ハイ
ブリッド医薬製品と異なる、強度、剤形、投与経路、又は表示のためのものであってもよ
い。
2.ジェネリック/ハイブリッド申請内で一件書類(製品名、強度、医薬品形態、MA
H、販売許可番号)が相互参照される、医薬品。この参照医薬製品は、データ保護期間の
満了を計算する目的で特定された、参照医薬製品とは異なる名称で別個の手順により認可
されたものでもよい。この参照医薬製品の製品情報は、原則として、ジェネリック/ハイ
ブリッド医薬製品について注意が引かれる製品情報の根拠として機能する。
3.生物学的同等性試験に使用される医薬製品(製品名、強度、剤形、MAH、供給元
の加盟国)(適用可能な場合)。
【0174】
FD&C Actの下での製剤の異なる簡略承認経路は、FD&C Actの章505
(j)及び505(b)(2)(それぞれ、21U.S.C.355(j)及び21U.
S.C.23 355(b)(2))に記載されている簡略承認経路を含む。
【0175】
FDA(その内容が参照により本明細書に組み込まれている、https://www
.fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplia
nceRegulatoryInformation/Guidances/UCM57
9751.pdf))によると、NDA及びANDAは、以下の4つのカテゴリーに分割
することができる。
(1)「スタンドアロンのNDA」は、FD&C Actの章505(b)(1)の下
で提出され章505(c)の下で承認された申請であり、これには、申請者によって実施
された若しくは申請者のために実施された、又は申請者が参照又は使用の権利を有する、
安全性及び有効性の調査の完全な報告が入っている。
(2)505(b)(2)申請は、FD&C Actの章505(b)(1)の下で提
出され章505(c)の下で承認されたNDAであり、これには、安全性及び有効性の調
査の完全な報告が入っており、承認に必要な情報のうちの少なくともいくつかは、申請者
によって実施されなかった若しくは申請者のために実施されなかった、又は申請者が参照
又は使用の権利を入手していない、試験に由来する。
(3)ANDAは、FD&C Actの章505(j)の下で提出され承認された、以
前に承認された製剤の複製についての申請である。ANDAは、以前に承認された製剤、
すなわち、参照リスト薬(RLD)が安全かつ有効であることの、FDAの知見に依拠す
る。ANDAには、概して、提起されるジェネリックの製品(a)が、活性成分、使用条
件、投与経路、剤形、強度、及び添付文書(特定の許容差を有する)についてRLDと同
じであること、及び(b)がRLDと生物学的に同等であることについて、示すための情
報が入っている必要がある。提起された製品の安全性及び有効性を立証するために試験が
必要である場合、ANDAは、提出することができない。
(4)申請したANDAは、剤形、投与経路、強度、又は活性成分がRLDと異なる種
類の薬物についてのANDA(2つ以上の活性成分を有する製品において)であり、FD
Aが、FD&C Actの章505(j)(2)の下で提出された申し立て(適合性申し
立て)に応えて、その試験は提起された製剤の安全性及び有効性を立証するために必要で
はないと判定したものである。
【0176】
ハッチ-ワックスマン修正法の根底にある科学的前提は、FD&C Actの章505
(j)の下でANDAにおいて承認された製剤を、そのRLDと治療的に同等であると推
定するものである。治療的に同等として分類される製品は、置き換え得るものであり、添
付文書にて指定された条件下で患者に投与されたとき、置き換えた製品が所定の製品と同
じ臨床効果及び安全性特性をもたらすと、十分に予想される。ANDAとは対照的に、5
05(b)(2)の申請は、提起される製品の特性に関して、より柔軟なものになる。5
05(b)(2)の申請は、承認時に参照される列挙された薬物と治療的に同等と格付け
される必要はない。
【0177】
用語「参照リスト薬と治療的に同等である」とは、製剤が、参照リストされた製剤の、
ジェネリックの同等品、すなわち、医薬的同等品であり、したがって、FDAによって参
照リストされた製剤と同等のAB療法薬と格付けされ、それにより、実際の又は潜在的な
生物学的同等性の問題が、生物学的同等性当量を支持するin vivo及び/又はin
vitroでの証拠にて十分に解決されたことを意味する。
【0178】
「医薬的同等品」とは、同一量の同一活性薬物成分を、参照リスト薬として含有する、
同一の剤形及び投与経路の、製剤を意味する。
【0179】
FDAは、以下の全般的基準を満たす製品を、治療的に同等として分類する:(1)そ
れらが、安全かつ有効であるとして承認されている;(2)それらが、(a)同一の剤形
及び投与経路において同一量の同一活性薬物成分を含有するという点、並びに(b)公定
の又は他の適用可能な標準の、強度、品質、純度、及び同一性を満たすという点において
、医薬的同等品である;(3)それらが、(a)既知の又は潜在的な生物学的同等性の問
題を示さず、許容可能なin vitroでの標準を満たすという点、又は(b)このよ
うな既知の又は潜在的な問題を示す場合、適切な生物学的同等性基準を満たすという点に
おいて、生物学的に同等である;(4)それらが、適切に標識されている;並びに(5)
それらが、Current Good Manufacturing Practice
規制に準拠して製造されている。
【0180】
用語「生物学的に同等」又は「生物学的同等性」は、医薬的同等品又は医薬的代替品に
おける活性成分又は活性部分が、適切に設計された試験において同様の条件下、同一モル
用量で投与されるとき、薬物作用部位において利用可能となるまでの率又は程度に有意な
差がないことである。FD&C Actの章505(j)(8)(B)は、試験及び参照
リスト薬が生物学的に同等とみなされるべき1組の条件を記載している。[試験]薬物の
吸収率及び吸収程度は、単回用量若しくは複数回用量のいずれかにて、同様の実験条件下
で、治療成分を同一モル用量として投与されたとき、[参照]薬物の吸収率及び吸収程度
と有意な差を示すものではない;あるいは[試験]薬物の吸収程度は、単回用量又は複数
回用量のいずれかにて、同様の実験条件下で、治療成分を同一モル用量として投与された
とき、[参照]薬物の吸収程度と有意な差異を示すものではなく、また[参照]薬物の、
薬物の吸収率の差異は意図されたものであり、提起された添付文書にて反映されており、
慢性使用で有効な身体薬物濃度に到達するのに必須ではなく、薬物に関し医薬的に有意で
はないとみなされる。
【0181】
これらの上記方法が適用可能ではない場合(例えば、血流に吸収されることを意図しな
い製剤について)、生物学的同等性を実証するために、他の科学的に有効な、in vi
vo又はin vitroでの試験方法が、適切であることがある。
【0182】
例えば、生物学的同等性は、特にこのようなin vitroでの試験がヒトのin
vivoでの生物学的利用能のデータと相関している場合、in vitroでの生物学
的同等性基準を使用して実証され得る。他の状況では、生物学的同等性は、比較臨床治験
又は薬物動態試験により実証され得る。
【0183】
本明細書では更に、臨床的に安全であることが証明され、かつ臨床的に有効であること
が証明されている量のアパルタミドを含む、医薬製品であって、医薬製品が、パッケージ
化され、パッケージが、(a)規制機関に承認された化学成分としてアパルタミドを特定
し、(b)転移性去勢感受性前立腺癌の治療におけるアパルタミドの使用を指示する、添
付文書を含む、医薬製品が提供される。特定の実施形態では、ラベルは、偽薬と比較して
、放射線画像診断による無増悪生存期間及び/又は全生存期間を改善するためのデータを
提供する。特定の実施形態では、ラベルは、有害反応として虚血性心血管系イベント、骨
折、転倒、及び発作を列挙する。特定の実施形態では、ラベルは、標準治療と比較して、
虚血性心血管系イベント、骨折、転倒、又は発作の増加を示すデータを含む。特定の実施
形態では、標準治療は、アンドロゲン除去療法の投与である。
【0184】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「安全」は、過度の有害な副作用
(毒性、刺激、若しくはアレルギー反応など)がないことを意味するものとし、本発明の
様式で使用されるとき、妥当な利益/リスク比に相応する。同様に、特に断りがない限り
、用語「有効な」は、治療有効用量で投与されたときの転移性去勢感受性前立腺癌を有す
る患者の治療に対して治療の有効性が示されたことを意味する。特定の実施形態では、本
明細書に記載の方法は安全である。他の実施形態では、本明細書に記載の方法は有効であ
る。更なる実施形態では、本明細書に記載の方法は、安全かつ有効である。更に他の実施
形態では、治療有効量のアパルタミドは安全である。なお更なる実施形態では、治療有効
量のアパルタミドは有効である。他の実施形態では、治療有効量のアパルタミドは安全か
つ有効である。
【0185】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、(独立して、あるいは用語「安全な」
及び/又は「有効な」を修飾するために使用される)用語「臨床的に証明された」は、米
国食品医薬品局の承認基準を満たすのに十分な第III相又は第IV相臨床治験、又はE
MEAによる市場認可のための同様の研究によって証拠が証明されていることを意味する
。好ましくは、アパルタミドの効果を臨床的に証明するために、適切なサイズの無作為化
偽薬対照二重盲検試験が使用される。最も好ましくは、転移性去勢感受性前立腺癌を治療
するためのアパルタミドの効果を臨床的に証明するために、これは、放射線画像診断によ
る無増悪生存期間又は全生存期間によって評価された患者の状態による、アパルタミド+
アンドロゲン除去療法対アンドロゲン除去療法の無作為化偽薬対照二重盲検試験であると
考えられる。例えば、証拠は、実施例1に記載される臨床治験によって提供され得る。
【0186】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「臨床的に有効であると証明され
た」は、治療の有効性が、第III相又は第IV相臨床治験によって統計的に有意である
と証明されている、すなわち、臨床試験の結果は、αレベルが0.05未満である可能性
に起因する可能性が低いか、又は臨床有効性の結果が、米国食品医薬品局の承認基準若し
くはEMEAによる市場認可のための同様の試験を満たすのに十分であることを意味する
。例えば、具体的には実施例にて提示するするように、偽薬+アンドロゲン除去療法で治
療された患者と比較して、放射線画像診断による無増悪生存期間及び全生存期間を改善す
る際、アパルタミドは、240mgの治療有効用量で経口投与され、アンドロゲン除去療
法が併用投与される場合、転移性去勢感受性前立腺癌を有する患者の治療に臨床的に有効
であることが証明された。
【0187】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「臨床的に安全であると証明され
た」は、治験データ及び結果の分析により第III相又は第IV相臨床治験によって治療
の安全性が証明されており、治療は過度の副作用がなく、米国食品医薬品局の承認基準又
はヨーロッパ、中東及びアフリカ(Europe, the Middle East, and Africa、EMEA)
による市場認可のための同様の試験を満たすのに十分な統計的に有意な臨床的利益(有効
性)に相応することを確立する。例えば、具体的には実施例にて提示されるように、アパ
ルタミドは、240mgの治療有効用量で経口投与され、アンドロゲン除去療法が併用投
与される場合、転移性去勢感受性前立腺癌を有する患者の治療に臨床的に安全であること
が証明された。
【0188】
販売方法
アパルタミドを含む承認された製剤を販売する方法が本明細書において提供され、当該
方法は、そのような製剤を販売することを含むか、販売することからなるか、又は販売す
ることから本質的になり、そのような製剤に対する参照リスト薬の製剤添付文書は、転移
性去勢感受性前立腺癌を治療するための指示を含む。特定の実施形態では、製剤は、AN
DA製剤、適応追加申請製剤、又は505(b)(2)製剤である。
【0189】
用語「販売」又は「販売する」とは、製剤、例えば、医薬組成物又は経口剤形を販売元
から購入者に移転することを意味する。
【0190】
アパルタミドを含む承認された製剤の販売の申し出を行う方法であって、当該方法は、
そのような製剤の販売の申し出を行うことを含むか、販売の申し出を行うことからなるか
、又は販売の申し出を行うことから本質的になり、そのような製剤に対する参照リスト薬
の製剤添付文書は、転移性去勢感受性前立腺癌を治療するための指示を含む、方法が本明
細書において更に提供される。特定の実施形態では、製剤は、ANDA製剤、適応追加申
請製剤、又は505(b)(2)製剤である。
【0191】
用語「販売の申し出を行う」とは、製剤、例えば、医薬組成物及び経口剤形について、
販売元による購入者への販売の提案を意味する。
【0192】
別の態様では、アパルタミドを販売する方法であって、当該方法は、アパルタミドを流
通に乗せることを含むか、乗せることからなるか、又は乗せることから本質的になる方法
であって、当該アパルタミドは、アパルタミドを使用して、転移性去勢感受性前立腺癌を
安全かつ効果的に治療するための指示を含む添付文書を含む、方法が本明細書に記載され
る。
【0193】
なお更なる態様では、アパルタミドの販売の申し出を行う方法であって、当該方法は、
アパルタミドを流通に乗せることを含むか、乗せることからなるか、又は乗せることから
本質的になる方法であって、当該アパルタミドは、アパルタミドを使用して、転移性去勢
感受性前立腺癌を安全かつ効果的に治療するための指示を含む添付文書を含む、方法が本
明細書に記載される。
【実施例0194】
これらの実施例は、本明細書に提供される特許請求の範囲を限定するものではなく、例
示目的のみで提供される。
【0195】
実施例1:転移性ホルモン感受性前立腺癌(mCSPC)を有する被験者における、ア
パルタミド+アンドロゲン除去療法(ADT)対ADTの第三相無作為化偽薬対照二重盲
検試験
目的
主目的
アパルタミドのアンドロゲン除去療法(ADT)への追加が、mCSPCを有する被験
者の放射線画像診断による無増悪生存期間(radiographic progression-free survival、
rPFS)又は全生存期間(overall survival、OS)を改善する際、優れた有効性を提
供するかどうかを判定するため。
【0196】
副次的目的
●疼痛増悪の遅延、並びに前立腺癌、骨格関連イベント、及び細胞毒性化学療法の必要
性のためのオピオイドの使用を含む、アパルタミドのADTへの追加による臨床的に関連
する改善を評価するため;
●mCSPCを有する被験者に対して、アパルタミドをADTへ追加する安全性を特性
評価するため;
●アパルタミドの母集団薬物動態(pharmacokinetics、PK)及び薬力学(pharmacody
namics、PD)を特性評価するため;
●単独で使用される場合、又はアパルタミドと組み合わせて使用される場合、ロイプロ
リドの濃度を評価し、テストステロン濃度に対するロイプロリドのPD効果を評価するた
め;
●低体積又は高体積のmCSPCを有する被験者の部分母集団に対する、アパルタミド
のADTへの追加による治療有効性を評価するため。
【0197】
他の目的
●治療に対する奏効及び抵抗性を予測する探索バイオマーカーを評価するため;
●症状(すなわち、痛み、倦怠感、排尿)及び機能(すなわち、身体的、感情的、社会
的)及び健康関連の生活の質を含む患者関連アウトカムを評価するため;
●ADT単独と比較して、アパルタミド+ADTの他の臨床的に関連するエンドポイン
トの改善を評価するため;
●将来の経済的モデリングに使用され得る医療リソースの利用状況(medical resource
utilization、MRU)のデータを収集するため。
【0198】
試験デザイン
実施例1に記載された試験は、本明細書に記載されている基準に従って少なくとも部分
的に完了し、継続している。これは、アパルタミドのADTへの追加からmCSPCを有
する被験者が有益であったかどうかを判定するための無作為化二重盲検偽薬対照多国籍多
施設第三相試験であった。本試験に関連するような本明細書に提示されたデータは、本出
願時の本試験の状態を反映している。試験は、23カ国の260個の施設で行われた。全
ての参加機関における審査会が試験を承認し、良き臨床上の基準のための現在の医薬品規
制調和国際会議のガイドライン及びヘルシンキ宣言の原理に従って行われた。全ての患者
が書面によるインフォームドコンセントを提出した。独立データ監視委員会は試験依頼者
によって任命され、非盲検化の前に安全性及び有効性を監視し、試験実施勧告が作成され
た。データは、職員によって、各サイトにて、ソース文書から試験依頼者調製電子症例報
告フォームへ転写された。試験完了、独立データ監視委員会の勧告、又は個々の患者が医
学的必要性を求めるまで、無作為化コードに対する治験責任医師、患者、試験施設職員、
及び試験依頼者研究チームの盲検を維持した。
【0199】
本試験のために、およそ1,000人の被験者の登録が計画された。全ての組み入れ基
準を満たし、除外基準のいずれも満たさない被験者が、診断時のグリーソンスコア(≦7
対>7)、領域(北米[NA]及び欧州連合[EU]対他国)、及び先行するドセタキセ
ルの使用(あり対なし)によって階層化された。
【0200】
患者は、継続的なADTに加えて、1日1回経口投与されるアパルタミド(240mg
)又は対応する偽薬を摂取するために、1:1に無作為化された。患者は、診断時のグリ
ーソンスコア(≦7対>7)、領域(北米及び欧州連合対全ての他国)、及び先行するド
セタキセルによる治療(あり対なし)により階層化された。無作為化前、最大28日間の
スクリーニング期間により試験適格性を確証した。被験者は、疾患の増悪又は受け入れ難
い治療関連毒性の発生又は試験依頼者が試験を終了するまで、治療期間中に28日周期で
治療を受けることとなる/受けた。被験者が臨床的増悪を伴わない放射線画像診断による
増悪を有し/有していて、かつ代替療法が開始されていない/いなかった場合、臨床的増
悪が観察されるまで治療を継続してもよく、被験者は、プロトコル指定基準に基づいて、
実証された臨床的増悪により試験薬を中止しなければならない。試験薬の中止後、被験者
は、試験薬の最後の投与後30日以内に、投与終了時来院を行うこととなる。追跡期間中
、データ収集(4ヶ月毎)は、前立腺癌の第1の後続療法、及び前立腺癌の後続療法にお
ける、副次的エンドポイント、日付、及び疾患増悪のタイプ(X線写真、PSA、臨床又
は組み合わせ)に関する生存の付加的なデータを含むこととなる。追跡におけるデータ収
集は、被験者が死亡するか、同意を撤回するか、居所がわからず追跡できなくなるか、又
は試験依頼者によって試験が終了されるまで継続することとなる。簡易疼痛質問票(BP
I SF)、簡易倦怠感尺度(Brief Fatigue Inventory、BFI)、及びEQ-5D-
5L患者報告アウトカム(patient-report outcome、PRO)の測定はまた、治療中止後
最大12ヶ月まで追跡期間において継続することとなる。暫定分析又は最終分析のいずれ
か一方において陽性試験結果が出た場合、治療期間中の全ての被験者は、被験者が活性薬
剤(アパルタミド)をおよそ3年間摂取することを可能にする、長期非盲検期間に入る機
会を有することとなる。
【0201】
被験者は、インフォームドコンセントの署名から始まり、試験薬の最後の投与の30日
後まで安全性について監視された/監視されることとなる。実験室有害事象(Adverse ev
ent、AE)を含む有害事象を、米国国立がん研究所の有害事象共通用語規準(National
Cancer Institute-Common Terminology Criteria for Adverse Events、NCI-CTC
AE)4.03版を使用してグレード付けし、要約することとする。用量の変更は、プロ
トコルに概説される用量変更規則に従って行われることとなる/行われた。
【0202】
【0203】
試験母集団
それぞれの潜在的被験者は、この試験に登録されるための以下の基準の全てを満たして
いた。
患者適格性の概要
適格性のある患者は、内臓又はリンパ節関与の有無にかかわらず、骨スキャンにおける
1以上の病変によって実証された前立腺及び遠位転移性疾患の確認されている腺癌を有す
ることが求められた。全ての患者は、米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステ
ータス(数値が大きいほど障害が大きいことを示す5段階評価)が0又は1であった。患
者は、去勢感受性(すなわち、増悪時にADTを受けていない患者)であった。前立腺癌
に対する先行する治療は、先行するドセタキセル(最大6周期、治療中又は無作為化前の
増悪の証拠なし)、転移性去勢感受性前立腺癌に対して6ヶ月以下のADT、又は局所性
前立腺癌の総持続期間3年以下に限定された。転移性疾患に関連する症状に対する放射線
療法又は外科療法の1つの過程、及び他の局所的治療(例えば、放射線療法、前立腺切除
)は、無作為化の1年以上前に完了しているものとした。無作為化前28日以内にゴナド
トロピン放出ホルモンアゴニストを受けた患者は、無作為化前14日間以上、第1世代の
抗アンドロゲン剤(すなわち、ビカルタミド、フルタミド、又はニルタミド)を服用する
ことが求められた。抗アンドロゲン剤は、無作為化前に中止していなければならない。重
度の狭心症、心筋梗塞、鬱血性心不全、動脈/静脈血栓塞栓イベント、発作に対する素因
の履歴、又は最近の心室性不整脈を有する患者を除外した。
【0204】
組み入れ基準
●被験者は、年齢が18歳(又は、試験が行われている管轄裁判所において同意された
法定年齢)以上の男性でなければならない;
●治験責任医師によって確認された前立腺腺癌の診断;
●内臓又はリンパ節関与の有無にかかわらず、Technetium-99m(99m
Tc)骨スキャンにおける1つ以上の骨病変によって実証された遠位転移性疾患。単一の
骨病変を有する被験者は、コンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴撮像(MRI)に
よる骨への転移が確認されなければならない。
●全ての患者は、米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Gro
up、ECOG)PSグレードが0又は1である;
●アンドロゲン除去療法(すなわち、内科用又は外科用去勢)は、無作為化の14日以
上前に開始されなければならない。無作為化前28日以内にGnRHアゴニストを開始し
た被験者は、無作為化前14日以上の間、第1世代の抗アンドロゲン剤を服用する必要が
あることとなる。無作為化前に抗アンドロゲン剤を中止しなければならない。
●被験者は去勢感受性であり、ドセタキセル治療を受けた被験者は、以下の基準を満た
していなければならない。
a.mCSPC用の最大6周期のドセタキセル療法を受けた;
b.無作為化前2ケ月以内にドセタキセルの最後の投与を受けた;
c.無作為化前、撮像及びPSAの治験責任医師の評価により、ドセタキセルに対す
る応答が疾患の安定又は快方を維持した;
●全試験薬の錠剤を飲み込むことができる;
●(精管切除術を受けた男性でさえ)精液を介した薬物曝露の危険性を回避するために
、被験者は、試験薬投与中及び試験薬の最後の投与後3ヶ月間、性行為中にコンドームを
使用しなければならない。試験薬投与中及び試験薬の最後の投与後3ヶ月間、精子提供は
許可されない。
●各被験者は、各被験者が試験の目的及びそれに必要な手順を理解し、試験に参加する
意思があることを示す、インフォームドコンセントフォーム(informed consent form、
ICF)に署名する必要がある。被験者は、このプロトコルに指定された禁止事項及び制
限事項を守る意思があり、それが可能でなければならない。
●他の可能なmCSPCの先行する治療:
a.最大1治療単位の転移性疾患による放射線又は外科的介入及び無作為化の1年前
より前に完了した他の局所的治療;転移性病変の放射線療法は、無作為化前に完了してい
ること;
b.mCSPC又は総持続期間が3年以下である局所性前立腺のための無作為化前6
ヶ月以内のADT;
●局所性前立腺癌に対する可能な先行する治療(全ての治療は、無作為化の1年以上前
に完了していなければならない)。
a.ADTの合計が3年以内;
b.放射線療法、前立腺切除、リンパ節切開、及び全身療法を含む他の全ての先行す
る治療形態。
【0205】
除外基準
以下の基準のうちのいずれかを満たした任意の潜在的被験者は、この試験に参加するこ
とから除外された。
●前立腺の小細胞がん、腺管がん、又は神経内分泌がんと一致する病理学的所見;
●既知の脳転移;
●リンパ節だけへの転移;
●内臓(すなわち、肝臓又は肺)だけへの転移;
●無作為化前5年以内の他の以前の悪性腫瘍(十分に治療された基底細胞癌若しくは扁
平上皮細胞皮膚癌、表在性膀胱癌、又はin situで現在完全寛解の何らかの他の癌
以外のもの);
●スクリーニング期間中の臨床検査値:
a.ヘモグロビン<9.0g/dL;
b.好中球<1.5×109/L;
c.血小板<100×109/L;
d.総ビリルビン>1.5×正常の上限(upper limit of normal、ULN)[注記
:ジルベール症候群を伴う被験者において、総ビリルビンが>1.5×ULNである場合
、直接ビリルビン及び間接ビリルビンを測定し、直接ビリルビンが≦1.5×ULNであ
る場合、被験者は適格であり得る];
e.アラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase、ALT)又は
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspartate aminotransferase、AST)>2
.5×ULN;
f.血清クレアチニン>2.0×ULN;
g.血清アルブミン<3.0g/dL。
●組み入れ基準に列挙された先行する治療を除く他の次世代の抗アンドロゲン剤(例え
ば、エンザルタミド)、CYP17阻害剤(例えば、酢酸アビラテロン)、免疫療法(例
えば、シプロイセル-T)、放射線医薬剤、又は前立腺癌の他の治療;
●無作為化前28日以内の骨への転移の管理のためのビスホスホネート又はデノスマブ
による治療の開始;
●発作閾値を低下させることが知られている薬剤は、無作為化の28日以上前に中止又
は置換されること;
●無作為化前28日以内の他の治験療法薬の投与、血液製品サポート、成長因子サポー
ト、又は侵襲性外科処置(外科的去勢を含まない)、又は治験研究に現在登録されている
;
●発作の治療のための抗てんかん薬による現在又は過去の治療。(無作為化前1年以内
の、脳血管発作、一過性脳虚血発作、若しくは意識喪失;脳動静脈奇形;又は浮腫若しく
は質量効果を引き起こしている神経鞘腫若しくは髄膜腫などの頭蓋内腫瘤を含むが、これ
らに限定されない)発作を起こしやすくする場合がある発作歴又は病歴;
●以下のいずれかの現在のエビデンス:
a.無作為化前6ヶ月以内の、重度/不安定な狭心症、心筋梗塞、症候性鬱血性心不
全、管理不良高血圧、臨床的に有意な動脈若しくは静脈血栓塞栓事象(例えば、肺塞栓症
)、又は臨床的に有意な心室性不整脈;
b.吸収に影響を及ぼす胃腸障害;
c.ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus、HIV)などの全身治
療を必要とする活動性感染;
d.活動性又は症候性ウイルス性肝炎又は慢性肝疾患;肝機能異常に続発する腹水症
又は出血性疾患;
●被験者が、アパルタミド又はその賦形剤に対する既知のアレルギー、過敏症、又は不
耐性があること。
●治験責任医師の意見において、本試験への参加を妨げると考えられる任意の条件又は
状態。
【0206】
治療割り当て
階層化及び無作為化の手順
診断におけるグリーソンスコア(≦7対>7)、領域(北米[NA]及び欧州連合[E
U]対他国)、及び先行するドセタキセルの使用(あり対なし)によって被験者が階層化
された。被験者は、1:1の割合で実薬群又は対照群に無作為に割り当てられた。無作為
化は、無作為に並べ替えられたブロックを使用することによって釣り合いをもたせた。対
話型ウェブ応答システム(interactive web response system、IWRS)には、被験者
の治療割り当て及び対応する試験薬キットを指示する固有の治療コードが割り当てられた
。要求者は、IWRSにコンタクトする際に、自分のユーザ識別番号及び個人識別番号を
使用して、被験者を固有に識別するための関連する被験者詳細情報を与えた。
【0207】
用量及び投与
アパルタミドの投与
アパルタミドは、継続的に投与されたが、試験評価及び治療コンプライアンスを計画す
る目的で、治療周期は28日として定義される。被験者は、アパルタミド又は対応する偽
薬のいずれか一方を摂取するために、1:1の割合で無作為に割り当てられた。
●アパルタミド240mg(4×60mg錠剤);食べ物と共に又は食べ物なしで1日
1回経口服用するか、あるいは
●偽薬(4錠);食べ物と共に又は食べ物なしで1日1回経口服用する。
【0208】
アパルタミド(又は偽薬)の投与を忘れた場合、これを省略し、翌日、次の投与で埋め
合わせ又は服用をしなかった。
【0209】
ADTの投与
外科的去勢を受けなかった全ての被験者は、ADTの安定したレジメンを受容し、継続
した。GnRHa(アゴニスト又はアンタゴニスト)の選択は、治験責任医師の裁量であ
った。投与(用量及び投与頻度)は、処方情報と一致していた。
【0210】
毒性及び発疹の管理
表1は、薬物関連毒性に対するアパルタミド/偽薬の用量変更を要約している。薬物関
連の発疹に対して用量が変更されてもよい。薬物関連毒性のために用量が低減された場合
、用量を再び増加させることについて試験依頼者と議論された。
【0211】
【0212】
皮膚発疹が、落屑、粘膜病変、又は膿疱の任意の成分を有する場合、アパルタミド/偽
薬による投与を停止し、被験者は診断のため皮膚科を受診し、(用量変更に加えて)皮膚
生検を推奨される。皮膚発疹がグレード3以上である場合、被験者は写真及び皮膚科医に
よる更なる診断によって文書に同意することが求められ得る。
【0213】
試験前治療及び併用治療
許可される支持療法
支持療法の薬剤は、施設のガイドラインに従う使用が許可されている。以下の支持療法
は、試験中に許容可能であるとみなされる。
●断続的な短期のオピオイド鎮痛剤は、疼痛制御のために許容される;
●前立腺の経尿道的切除術(transurethral resection of the prostate、TURP)
、及び局所的増悪による合併症の管理のための尿管ステントの配置などの外科的介入及び
処置;
●骨関連転移の管理のためのビスホスホネート及びデノスマブは、それらの市場で認可
された承認添付文書に従って使用されなければならない。被験者は、無作為化前28日以
上の間、かかる薬剤を継続して服用中であるか、又は放射線画像診断による増悪が確認さ
れるまでかかる治療を開始しないことに合意するかしなければならない。骨粗しょう症の
予防のための用量でのビスホスホネート及びデノスマブが許容される;
●従来の多糖類、セレン、及び大豆サプリメント;
●業務ガイドラインによる輸血及び造血成長因子(血液製品サポート及び成長因子サポ
ートが、無作為化前28日以内の期間、許容されないことに留意されたい);
●業務ガイドラインによる非癌関連治療のための免疫グロブリン療法。
【0214】
禁止される併用療法
クラス・エフェクトとして、ARアンタゴニストは、オフターゲット作用機序(γ-ア
ミノ酪酸塩化物チャネル[GABAA]阻害)に起因して発作に関連している。発作閾値
を下げるか又は発作を引き起こすことが知られている薬物は禁止され、代表的なリストは
以下に含まれる。
●非定型抗精神病薬(例えば、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、ジプラシド
ン);
●ブプロピオン;
●リチウム;
●メペリジン(ペチジン);
●フェノチアジン系抗精神病薬(例えば、クロルプロマジン、メソリダジン、チオリダ
ジン);
●三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラ
ミン、マプロチリン、ミルタザピン);
●アミノフィリン/テオフィリン;
他の禁止療法としては、以下が挙げられる。
●治験薬;
●酢酸アビラテロン又は他のCYP17阻害剤;
●前立腺癌の治療のための他のホルモン剤;
●他の抗腫瘍剤;
●ベースライン時の撮像上に存在しなかった新たな疼痛性転移性前立腺癌病変の放射線
療法;
●5-α-還元酵素阻害剤;
●化学療法;
●癌治療のための免疫療法又はワクチン療法;
●他の抗アンドロゲン剤(例えば、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、酢酸シプ
ロテロン、エンザルタミド);
●無作為化28日前より前にそのような治療が開始され、被験者が継続して服用してい
た場合を除く、骨転移の管理のためのビスホスホネート又はデノスマブ。骨粗しょう症予
防の用量でのビスホスホネート又はデノスマブを許容する;
●全身性ケトコナゾール(又はフルコナゾール又はイトラコナゾールなどの他のアゾー
ル薬剤);
●ジエチルスチルベストロール(diethylstilbestrol、DES)又は同様物;
●前立腺癌に対する内分泌効果を有すると考えられる、ザクロ又はザクロジュース又は
ソー・パルメットなどの他の調剤;
●ストロンチウム(89Sr)若しくはサマリウム(153Sm)などの放射性医薬品
、又はラジウム223(223Ra)などの類似の類似体;
●スピロノラクトン。
【0215】
禁止される併用薬剤
薬物相互作用の主要部分を以下に要約する。
●強力なCYP3A4誘導物質:アパルタミドとの薬物-薬物相互作用の可能性は臨床
的に試験されていない。CYP3A4の強力な誘導物質(例えば、フェニトイン、カルバ
マゼピン、リファンピン、リファブチン、リファペンチン、フェノバルビタール、エフェ
ビレンツ、ティプラナビル、セントジョーンズワート)は、可能な限り回避されなければ
ならない。
●アパルタミドはまた、CYP3A4を誘導する場合があり、したがって、狭い治療指
数を有するCYP3A4基質と併用して投与される場合、注意が必要である。
●強力なCYP2C8阻害剤(例えば、ゲムフィブロジル)は、アパルタミドと注意し
て使用されなければならない;
●試験中の全身投与コルチコステロイドの長期使用は許容されない。臨床的に示される
場合、短期使用(漸減を伴う4週間以内)及び局所的に投与されるステロイド(例えば、
吸入、局所、眼、及び関節内)は許容される。
【0216】
有効性評価/エンドポイント
放射線画像診断による増悪は、改正固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(Re
sponse Evaluation Criteria in Solid Tumors、RECIST 1.1)によるコンピュ
ータ断層撮影(CT)/磁気共鳴撮像(MRI)による軟組織の病変、又は骨スキャンに
おける骨病変の増悪によって評価された/評価されることとなる。生存データは、治療期
間全体にわたって、かつ追跡期間中に収集された/収集されることとなる。
【0217】
評価
スクリーニング中(無作為化前6週以内)、胸、腹部、及び骨盤のコンピュータ断層撮
影又は磁気共鳴撮像を使用する改正固形がんの治療効果判定のためのガイドライン1.1
版並びに第3周期及び第5周期中、その後、4周期ごとに骨スキャンを使用する前立腺癌
ワーキンググループ2基準によって有効性について患者を評価した。増悪イベントが治験
責任医師によって評価された。独立中央評価のために、患者の約60%からのスキャンを
無作為に選択した。有害事象を毎月評価し、米国国立がん研究所の有害事象共通用語規準
4.0.3版によってグレード評価された。第2~第7周期の1日目にFACT-P評価
を収集後、1周期おきに、治療終了時、かつ中止後最大1年間4ヶ月ごとに収集した。第
1周期の6日前にBPI-SF評価を収集後、1周期ごとに、治療終了時、かつ中止後最
大1年間4ヶ月ごとに収集した。
【0218】
より具体的には、有効性評価は、以下を含む。
●腫瘍測定(CT又はMRI[腹部、胸部、及び骨盤]、99mTcの骨スキャン)。
個々の被験者の評価全体にわたって、腫瘍評価に関する同一の撮像モダリティが使用され
なければならない。別の原因に起因しない疼痛を評価すること、ECOG PS状態グレ
ードを悪化させること、又は疾患の増悪と一致する身体的検査所見を含む疾患の増悪の兆
候又は症状の示唆が記録される場合、臨時的な腫瘍評価及び適切な撮像を検討しなければ
ならない。
●独立中央評価のために患者のおよそ60%からのスキャンが無作為に選択された;
●血清PSA評価(中央検査室で実施);
●骨格関連イベント(SRE)は、症候性病的骨折、脊髄圧迫、骨への放射線、又は骨
に対する手術の発生として定義される;
●疼痛増悪は、4週以上間隔を空けた2回連続評価で観察されたBPI-SFアンケー
トの最悪疼痛強度(項目3)におけるベースラインからの2ポイントの増加として定義さ
れ、いずれが最初に起きるにせよ、オピオイドの非減量、又は慢性オピオイドの開始を受
けた被験者で4を超える平均最悪疼痛である。
【0219】
患者報告アウトカム
患者報告アウトカムとしては、簡易疼痛質問票(BPI-SF)、鎮痛剤使用歴、簡易
倦怠感尺度(BFI)、癌治療前立腺機能評価(FACT-P)及び、EQ-5D-5L
(臨床評価及び経済評価に関する健康の単純な一般的尺度を提供するためにEuroQo
L Groupによって開発された健康状態の標準化された尺度(EuroQoL Gr
oup,1990))を含む多様なアンケートの執行が挙げられる。患者報告アウトカム
のアンケートは、試験全体を通して、かつ追跡期間中(治療中止後最大12ヶ月)かつ長
期非盲検期間に収集された/収集されることとなる。
【0220】
腫瘍反応基準
固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST 1.1)によって定義
されるように、撮像測定を利用して腫瘍反応を評価した。この試験では、この患者集団に
特異的な前立腺癌ワーキンググループ2(PCWG2)基準に基づいてRECISTを修
正した。前立腺特異的抗原測定値を、PCWG2基準に従って評価した。治験責任医師に
よってrPFSを評価した。
【0221】
具現化された試験における患者は、改正固形がんの治療効果判定のためのガイドライン
1.1版及び前立腺癌ワーキンググループ2基準によって有効性について評価された。増
悪に関する2つの前立腺癌ワーキンググループ2基準は以下のとおりである。
●PSA:最初、ベースラインから25%以上増加し、最悪の状態から2ng/mL増
加(3週以上後に第2の値によって確認された)
●軟組織病変:但し書きを伴う固形がんの治療効果判定のためのガイドラインに従う。
○撮像は、コンピュータ断層撮影スキャン又は磁気共鳴撮像を少なくとも含まなけれ
ばならず、関連する専門知識を有する施設は、直腸内磁気共鳴撮像又は直腸内超音波検査
を利用しなければならない。
○ベースライン時直径2cm以上のリンパ節の変化だけを報告のこと。
○節及び内臓軟組織部位における変化を個別に記録のこと。
○任意の部位での疾患の完全な消失を個別に記録のこと。
○2回目のスキャンでの良好な変化を確認のこと。
○ウォーターフォールプロットを使用して変化を記録のこと。
○6週以上後、2回目のスキャンによって1回目の評価における増悪を確認のこと。
●骨:2つ以上の新たな病変の出現、及び1回目の再評価に対して最低2つ以上の新た
な病変を示す6週以上後に行われた確認用スキャン。
【0222】
エンドポイント
二重主要エンドポイント
二重主要エンドポイントは、放射線画像診断による無増悪生存期間(rPFS)及び全
生存期間(OS)であった。
【0223】
副次的エンドポイント
副次的エンドポイントは、細胞毒性化学療法までの期間、簡易疼痛質問票(BPI-S
F;疼痛増悪エンドポイントまでの期間に、最悪疼痛[項目3]を使用し、スコア範囲0
~10、低いスコアがより低いレベルの疼痛強度を表し、2の変化は、最小重要差異であ
った)によって評価されるような疼痛増悪までの期間、慢性オピオイド使用までの期間、
及び骨格関連イベントまでの期間であった。低体積又は高体積の転移性去勢感受性前立腺
癌を有する患者からのデータに基づいて予め定められたサブグループ分析が計画され、こ
れらの群における治療成果の評価は副次的目的であった。高体積疾患の定義は、転移性ホ
ルモン感受性前立腺癌におけるSweeney CJ,Chen YH,Carducc
i M,et al.の化学ホルモン療法から適合されるものとした。N Engl J
Med 2015;373:737-46は以下のとおりである。1)内臓転移及び1
個以上の骨病変、又は2)軸骨格の外側に1個以上の骨病変を伴う4個以上の骨病変。低
体積疾患は、高体積疾患の定義を満たさない骨病変の存在として定義された。
【0224】
探索的エンドポイント
探索的エンドポイントは、前立腺特異的抗原(PSA)増悪までの期間、第2の無増悪
生存期間、及び症候性局所的増悪までの期間を含んだ。第2の無増悪生存までの期間は、
いずれが最初に起きるにせよ、患者が最初に前立腺癌のための第1の後続療法を受けてい
たか、又はいずれかの原因により死亡する間に、治験責任医師が判定した疾患の増悪の第
1の発生(PSAの増悪、撮像における増悪、又は臨床的増悪)までの無作為化からの期
間として定義された。癌治療前立腺機能評価(FACT-P)アンケートによって健康関
連の生活の質に関する患者報告アウトカムを評価した。FACT-Pの素点は0~156
の範囲に及び、より高い素点はより良好な健康関連の生活の質を示す。FACT-Pトー
タルスコアにおける6~10点の変化は、最小重要差である。
【0225】
母集団薬物動態評価
トラフPKサンプルを収集した/収集することとなる。アパルタミド及び活性代謝産物
(JNJ-56142060)濃度の分析のための投与前の血液試料は、第2、3、4、
5及び6周期の1日目に収集された/収集されることとなる。
【0226】
ロイプロリドのPK副試験
任意選択のPKサンプルは、無作為化時にGnRHaとしてロイプロリド酢酸塩を摂取
した又は摂取することとなる、(選択された国における)少なくとも60人の同意被験者
から収集された/収集されることとなる。サンプルは、ロイプロリド及びテストステロン
濃度の分析のために、第1、3、4、5及び6周期の1日目収集された/収集されること
となる。
【0227】
バイオマーカー評価
血漿ベースの循環DNAを使用して、アンドロゲン受容体(androgen receptor、AR
)F876L変異及び全血又は血漿DNAの存在を評価して、アパルタミドに対する抵抗
に関連し得る他のマーカーを評価した/評価することとなる。アーカイブ内のホルマリン
固定パラフィン包埋(formalin fixed paraffin embedded、FFPE)腫瘍ブロック又は
腫瘍スライドを収集して、ARシグナル伝達を表す遺伝子のmRNA発現を評価して、高
体積及び低体積疾患の生態を結果と比較し、OX40、GITR、及びFOXP3などの
免疫マーカーの発現を評価した/評価することとなる。
【0228】
安全性の評価
安全性の評価としては、AE、バイタルサインの測定(血圧)、身体的検査、ECOG
PS、及び血液学パネル、血清化学パネル、肝機能試験、及び空腹時脂質パネルが挙げ
られるが、これらに限定されない臨床検査が挙げられる。更なる安全性監視の場合、必要
に応じて、予定外の臨床検査が実行された。スクリーニングにおいて、かつ治療中の予定
来院ごとにバイタルサイン及び米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス
を評価した。安全性が継続的に評価され、有害事象は米国国立がん研究所の有害事象共通
用語規準4.0.3版に従ってグレード評価された。第1~第7周期の1日目にFACT
-P評価を収集後、1周期おきに、治療終了時、かつ中止後最大1年間4ヶ月ごとに収集
した。
【0229】
心電図(Electrocardiogram、ECG)
心電図(ECG)(12リード)をスクリーニングで記録した。
【0230】
バイタルサイン
体温、心拍数、呼吸速度、及び血圧をスクリーニングで記録した。他の全ての来院にお
いて、血圧のみが測定されることとなる。
【0231】
身体的検査
スクリーニングの身体的検査は、少なくとも、被験者の一般的な外観、身長、体重、皮
膚の検査、耳、鼻、喉、肺、心臓、腹部、四肢、筋骨格系、リンパ系、及び神経系を含ん
だ。治療期間中及びEOT来院時には、限定された症状を対象とした身体的検査及び体重
評価が要求された。
【0232】
米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)PS
予定されている場合、同一日に計画された任意の他の試験手順の前に、PROアンケー
トのようにECOG PS評価を行った。
【0233】
被験者の完了/離脱
完了
被験者が、試験の終了前に死亡したか、又は試験の終了前に居所がわからず追跡できな
くなるか、又は同意を撤回する場合、試験を完了したとみなされることとなる。
【0234】
アパルタミドの中止
被験者の試験薬が疾患の増悪前に中止されなければならない場合、これは、試験からの
被験者の自動的な離脱とはならない。被験者が臨床的増悪を伴わずに放射線画像診断によ
る増悪を有し、代替療法が開始されない場合、臨床的増悪が観察されるまで治療を継続し
てもよい。臨床的増悪の証拠を有する被験者においても、放射線画像診断による増悪を捕
捉するためにあらゆる試みが行われなければならない。
【0235】
しかしながら、被験者の試験治療は、以下に関して中止されなければならない。
●臨床的増悪は、以下のように定義される。
●(前立腺癌の増悪に関連する)ECOG PSグレードにおけるグレード3以上へ
の悪化
●(疾患の放射線学的証拠が存在しない場合であっても)腫瘍の増悪のために以下の
いずれかを開始する必要がある
●転移性前立腺癌に対する後続の抗癌療法
●転移性前立腺癌病変(複数可)に対する放射線療法(ベースライン時に存在する
病変に対する緩和的放射線は、臨床的増悪とみなされない)
●転移性前立腺癌増悪による合併症のための外科的介入。
●慢性オピオイド鎮痛剤の必要性:オピオイドを摂取せずに試験に入る被験者につ
いては、慢性的なオピオイドの使用は、経口製剤に関して3週以上、又は非経口製剤に関
して7日以上継続するオピオイド鎮痛剤の投与として定義される。オピオイドを既に摂取
している試験に入る被験者については、慢性的なオピオイドの使用は、経口製剤に関して
3週以上、又は非経口製剤に関して7日以上継続するオピオイド鎮痛剤の合計1日用量の
30%以上の増加として定義される。
●グレード3以上の治療関連AEに対する3回以上の用量レベルの減少(表1)
●任意のグレードの発作又はグレード4の神経毒性
●試験を非盲検化するためのIDMC勧告を除いて、何らかの理由で非盲検化された治
療が割り当てられていた被験者
●治験責任医師が、安全上の理由(例えば、AE)のために、試験治療を中止すること
が被験者の最良の利益であると考える
【0236】
放射線画像診断による増悪を評価するために、治療中断時又はEOT来院時の撮像試験
を得るためのあらゆる試みを行わなければならない。放射線画像診断による増悪又は臨床
的増悪の不在下で、PSA値を増加させた被験者について、試験薬を継続した/継続する
こととなる。この試験では、一連のPSA測定を実施したが、疾患の増悪又は治療中止の
ための1つの指標としてPSA値の増悪又は変化は使用されなかった。被験者が試験薬を
中止するが、追跡のための同意を撤回しない場合、予定された評価は、時間及びイベント
スケジュールにおける追跡期間に従って継続しなければならない。
【0237】
統計的方法
概論
本明細書に例示された臨床治験は、およそ1,000人の患者を登録するように設計さ
れた。放射線画像診断による無増悪生存期間を最初に試験した。統計的に有意であった場
合、αは、フォールバック方法に基づいて全生存期間に再利用された。全体的に5%の第
一種過誤が予定された。両側有意水準0.005によるハザード比0.67を検出するた
めの少なくとも85%の検出力を提供するために、368件の撮像無増悪生存イベントを
必要とした。最終的な全生存期間分析のために、両側有意水準0.045によるハザード
比0.75を検出するためのおよそ80%の検出力を提供するために、410件の死亡を
必要とした。全生存期間分析は、形状パラメータを0.2のWang-Tsiatisに
よる冪型境界として計算されたα消費関数を有する群逐次デザインを組み込んだ。全生存
期間について2つの暫定分析を予定した。第1の暫定分析は、放射線画像診断による無増
悪生存期間の一次分析の時点での全生存期間のための全所要イベントのおよそ50%を含
むと考えられると推定された。全生存期間のための暫定分析のαレベルは、全体的な両側
有意水準を0.045と仮定して0.009であった。サブグループ分析は、治療効果の
一貫性を評価するために予め規定された。二重主要エンドポイントが統計的に有意である
場合、副次的エンドポイントの評価は、それぞれ全体的な両面有意水準α=0.05で以
下の階層的順序で実施されることとなる。1)細胞毒性化学療法までの期間、2)疼痛増
悪までの期間、3)慢性オピオイド使用までの期間、4)骨格関連イベントまでの期間。
人口統計学的特性及びベースライン特性を、記述統計学を使用して要約した。イベントま
での期間のエンドポイントについての比較の主要統計方法は、層別化因子による層別ログ
ランク検定であった。カプラン・マイヤーの積極限法及びCox比例ハザードモデルを使
用して、イベントまでの期間の変数を推定し、ハザード比及び関連する信頼区間を判定し
た。
【0238】
解析集団
一次解析集団は、全ての無作為化された被験者を含む治療企図解析対象(intent-to-tr
eat、ITT)集団を使用する。被験者の配置及び有効性の分析にはITT集団を使用し
た。安全性の解析対象集団は、治療されたときに少なくとも1回の用量の試験薬を摂取し
た全ての被験者を含む。
【0239】
サンプルサイズの決定
本試験に関して、全体的に5%の第一種過誤が予定された。本試験では、rPFS及び
rPFSエンドポイントに割り当てられた0.005レベルの有意性を有するOSの共主
要エンドポイントを利用し、OSには0.045が割り当てられる。本試験は、共主要エ
ンドポイントのうちの少なくとも1つが統計的に有意である場合に成功とみなされる。
【0240】
放射線画像診断による無増悪生存期間が統計的に有意であった場合、フォールバック方
法を使用して、放射線画像診断による無増悪生存期間に対するαレベルを全生存期間に対
して再利用した。全生存期間分析に必要な全イベントのおよそ50%(205件)が、放
射線画像診断による無増悪生存期間の一次分析において観察されていたと考えられること
が推定された。全生存期間についての暫定分析に対するαレベルは、全体的な両側有意水
準を0.045と仮定して、0.009であった。全生存期間分析における低体積又は高
体積疾患を有する患者の更なるサブグループ分析は、割り当てられたα消費を伴わずに可
能であった。全生存期間及び放射線画像診断による無増悪生存期間の二重主要エンドポイ
ントが統計的に有意である場合、副次的エンドポイントの評価は、それぞれα=0.05
の全体的な両面有意水準で、次の階層的順序で実施されることとなる。1)細胞毒性化学
療法の開始までの期間、2)疼痛増悪までの期間、3)慢性オピオイド使用までの期間、
4)骨格関連イベントまでの期間。人口統計学的特性及びベースライン特性を、記述統計
学を使用して要約した。カプラン・マイヤーの積極限法及びCox比例ハザードモデルを
使用して、イベントまでの期間の変数を推定し、ハザード比及び関連する信頼区間を判定
した。放射線画像診断による無増悪分析に関して、放射線画像診断による増悪若しくは死
亡の証拠を有さない患者、又は試験から離脱するか、若しくは疾患の増悪が確認されず新
しい後続の抗癌剤療法を受けた患者は、最後の腫瘍評価の日に打ち切られ、ベースライン
後の腫瘍評価を行わない患者は、無作為化の日に打ち切られた。
【0241】
両側有意水準0.005で、ハザード比(hazard ratio、HR)0.67(対照群[A
DT]に対する20ケ月対アパルタミド+ADTの治療群に対する30ケ月のrPFS中
央値)を検出する際に、少なくとも85%の検出力を提供するために、およそ368件の
rPFSイベントが必要となると考えられると推定される。試験はまた、対照群(ADT
)について44ヶ月の想定OS中央値に基づいて、OSの共主要エンドポイントにおける
HR0.75を検出するのに十分な検出力(約80%)を提供することとなる。およそ3
0ヶ月(およそ1,000人の被験者)の登録持続時間で、両側有意水準0.045で想
定HRを検出するためにおよそ410件の死亡事象が必要とされる。410件の死亡を得
るために、合計試験期間はおよそ54ヶ月となる。
【0242】
有効性分析
カプラン・マイヤーの積極限法及びCox比例ハザードモデルを使用して、イベントま
での期間の変数を推定し、関連する信頼区間と共にHRを求めることとする。
【0243】
暫定分析
共主要OSエンドポイントについて、必要とされる(410件の)イベント総数のおよ
そ60%(約246件のイベント)及びおよそ75%(約308件のイベント)を観察後
、本試験のために2つの暫定分析が予定される。OSの第1の暫定分析のタイミングは、
rPFSの一次分析と同時に生じ得る。しかしながら、この分析は、OSの有効な暫定分
析に必要とされる死亡イベントの数が、rPFSエンドポイントの分析における長時間の
遅延を必要とすると考えられる場合には、異なる時間に行われてもよい。rPFSエンド
ポイントについては、暫定分析は予定されていない。
【0244】
母集団PK及びPD分析
非線形混合効果モデル化を用いて、アパルタミドの血漿濃度-時間データの母集団PK
分析を行うこととする。十分なデータが利用可能である場合、有効性及びAEの測定値に
対するアパルタミド及び活性代謝産物(JNJ-56142060)への曝露の関係もま
た分析することができる。
【0245】
ロイプロリドのPK分析
ロイプロリドのPKデータの記述統計は、(アパルタミド又は偽薬による)治療群及び
ロイプロリド酢酸塩の用量によって要約されることとなる。単独で、又はアパルタミドと
組み合わせて投与される場合、ロイプロリドの濃度を比較するための統計分析が行われる
こととなる。テストステロンレベルが50ng/dL未満の被験者の割合は、治療群によ
って記述的に要約されることとなる。
【0246】
バイオマーカー分析
臨床応答又はイベントまでの期間のエンドポイントとのバイオマーカーの関連性は、エ
ンドポイントに応じて、適切な統計的方法(分散分析[analysis of variance、ANOV
A]、カテゴリーモデル、又は生存モデルなど)を使用して評価され得る。
【0247】
安全性分析
評価される安全性パラメータは、治療下で発現したAEの発生及び強度、被験者の身体
的検査所見における臨床的に有意な変化、バイタルサイン測定値、臨床検査結果である。
試験薬への曝露、及び試験治療の中止の理由を集計することとなる。
【0248】
結果
概論
525名の患者をアパルタミド+ADTに対して、527名を偽薬+ADTに対して無
作為化した。年齢中央値は68歳であり、8%は、局所的疾患に対して先行する治療を受
け、11%は、先行するドセタキセルを受け、63%は、高体積疾患を有し、37%は、
低体積疾患を有した。中央値が22.7ケ月の追跡である最初の中間解析では、アパルタ
ミドは、放射線画像診断による無増悪生存期間を有意に改善し(ハザード比[HR],0
.48;95%信頼区間[confidence interval、CI],0.39~0.60;P<0
.0001)、放射線画像診断による増悪又は死亡のリスクが52%低下した。全生存期
間もまた、アパルタミドにより改善され、死亡のリスクが33%低下した(HR,0.6
7;95%CI,0.51~0.89;P=0.0053)。グレード3/4の有害事象
の比率は、アパルタミド群と偽薬群との間で差異はなかった。独立データ監視委員会は、
偽薬を摂取した患者がアパルタミドに移行することを可能にするために、非盲検化を推奨
した。ADTへのアパルタミドの追加は、転移性去勢感受性前立腺癌を有する患者の全生
存期間及び放射線画像診断による無増悪生存期間を有意に改善し、偽薬+ADT群とは変
わらない副作用プロファイルを有した。
【0249】
患者
525名の患者をアパルタミドに、527名を偽薬に無作為化した(
図1)。第1の事
前指定された中間解析の中断時、並びにアパルタミド群における83名及び偽薬群におけ
る117名の死亡後、追跡期間の中央値は、22.7ケ月であった。受けた周期数の中央
値は、アパルタミドについては23、偽薬については19であった(各群での範囲は1~
37)。治療期間の中央値は、アパルタミドでは20.5ケ月であり、偽薬では18.3
ケ月であった。治療臨床の中断時に、アパルタミド群の患者の66%及び偽薬群の患者の
46%がそれぞれ残った。群全体にわたり合計45名の患者が、試験治療に対する同意を
撤回した。これらの患者は、生存及び副次的エンドポイントについて追跡されたため、こ
れらの患者のデータは失われなかった。合計39名の患者は、居所がわからず追跡できな
くなったか又は更なるデータ収集から離脱したかのいずれかであった。この情報は、他の
形で
図1には取り込まれていない。
【0250】
人口統計学的特性及びベースライン疾患特性について、良好に釣り合いをもたせた(表
2)。患者は、局所疾患の初期診断後、デノボ転移性去勢感受性前立腺癌又は再発性転移
性疾患を有していた。ほとんどの患者は、デノボ転移性疾患を有していた。前立腺癌の先
行する治療を表3に列挙する。
【0251】
【0252】
【表2-2】
ECOG PS、米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス(Eastern
Cooperative Oncology Group performance status);FACT-P、癌治療前立腺機能
評価(Functional Assessment of Cancer Therapy-Prostate);PSA、前立腺特異的抗
原(prostate-specific antigen)。
*アパルタミド群における27名の患者(46.6%)及び偽薬群における22名の患
者(40.0%)は、診断時にN1であった。
†スコアは0~10の範囲であり、より低いスコアは、より低いレベルの疼痛強度を表
し、2の変化は、最小重要差であった。
1
‡スコアは、0~156の範囲であり、より高いスコアは、より良好な健康関連の生活
の質を示す。FACT-Pトータルスコアにおける6~10点の変化は、最小重要差であ
る。
【0253】
前立腺癌の先行する治療を表3に列挙する。
【0254】
【0255】
二重主要エンドポイント
放射線画像診断による無増悪生存期間及び全生存期間
365件の放射線画像診断による増悪イベントが観察された(アパルタミドで134件
、偽薬で231件)。24ケ月無イベント率は、アパルタミド群において68%であり、
偽薬群において48%であった。アパルタミドによる治療は、放射線画像診断による無増
悪生存期間を有意に改善し(HR,0.48;95%CI,0.39~0.60;P<0
.0001)、放射線画像診断による増悪又は死亡のリスクが52%低下した(
図2A)
。放射線画像診断による無増悪生存期間に対するこの最終解析時では、中央値は、アパル
タミドでは到達せず、偽薬では22.1ケ月であった。放射線画像診断による無増悪生存
期間に対するアパルタミドの効果は、先行するドセタキセルの使用及び疾患体積を含む分
析されたサブグループにわたって一貫して有利であった(
図2B)。独立中央評価は、放
射線画像診断による増悪の治験責任医師の評価を更に確認した(一致率、85%)。
【0256】
アパルタミドによる治療は、全生存率を有意に改善した(24ケ月無イベント率は、そ
れぞれ、アパルタミド群において82%、偽薬群において74%であった。ハザード比[
HR],0.67;95%信頼区間[CI],0.51~0.89;P=0.0053)
、死亡リスクは33%低下した(
図3A)。全生存期間に対する治療効果は、偽薬を上回
ってアパルタミドが一貫して有利であり、疾患体積に基づくアパルタミド効果において差
異はなかった(
図3B)。
【0257】
副次的エンドポイント
細胞毒性化学療法までの期間は、偽薬と比較して、アパルタミドにより有意に改善され
た(表4、
図4)。事前計画された階層的試験シーケンスに基づいて、疼痛増悪までの期
間を試験し、これが統計的有意性に到達しなかったため、更なる副次的エンドポイントに
ついての正式な検定は行わなかった。
【0258】
【表4】
NE、算出せず。
*疼痛増悪は、患者がBPI-SF最悪疼痛(項目3)を使用することによって報告さ
れた。スコアは、0~10の範囲であり、より低いスコアは、より低いレベルの疼痛強度
を表し、2の変化は、最小重要差であった。
†副次的エンドポイントは、事前計画された階層的シーケンスにおいて検定した。疼痛
増悪までの期間が、アパルタミドにより有意に改善されないと判定された場合、更なる副
次的エンドポイントは、正式には検定されなかった。
‡骨格関連イベントは、症候性病変骨折、脊髄圧迫、骨への放射線照射、又は骨に対す
る手術の発生として定義された。
【0259】
他の臨床的に関連するエンドポイント
PSA増悪までの期間の中央値は、偽薬と比較してアパルタミドを受けるとより有利で
あり(
図5、表4)、PSAは、それぞれ、アパルタミド群の患者の68%及び偽薬群の
29%の患者において検出不能なレベル(PSA<0.2ng/mL)に達した。それぞ
れ、アパルタミド群の87名の患者及び偽薬群における190名の患者は、前立腺癌に対
する後続治療を受けた(表5に記載の第1の療法)。偽薬と比較して、アパルタミドによ
り第2の無増悪生存期間の中央値が改善された(表4、
図6)。イベントはわずかであり
、症候性局所的増悪までの期間における群間差異はなかった(表4)。混合効果反復測定
モデルを使用したベースラインからのFACT-Pの変化の分析は、維持された健康関連
の生活の質を示し、群間差異がないことを示した(
図7)。
【0260】
【表5】
*考えられる中止の理由は、疾患の増悪、有害事象、患者による中止希望、死亡、医師
の決定、及びプロトコル違反であった。
†ドセタキセル、酢酸アビラテロン+プレドニゾン、エンザルタミド、カバジタキセル
、ラジウム-223、及びシプロイセル-Tが挙げられる。
‡次の臨床治験における登録を可能にするために、患者は、中止後かつ第1の後続療法
前に非盲検化された。
§ジエチルスチルベストロール、フルタミド、及びシプロテロンが挙げられる。
**エトポシド、パクリタキセル、エストラムスチン、カルボプラチン、及びシスプラ
チンが挙げられる。
***ゾレドロン酸、クロドロネート、プレドニゾロン、及びプレドニゾンが挙げられ
る。
【0261】
安全性
表6には最もよく見られる治療下で発現した有害事象を示す。グレード3及び4のイベ
ントの頻度(アパルタミド群で42.2%、偽薬群で40.8%)及び重篤な有害事象(
アパルタミド群で19.8%、偽薬群で20.3%)は、群間差異はなかった。ほとんど
の治療中止は、進行性疾患が原因であった(99名[19%]アパルタミド、227名[
43%]偽薬、表5)。有害事象は、(アパルタミド群において42名(8.0%)の患
者及び偽薬群において28名(5.3%)の患者の中止をもたらした(表7)。アパルタ
ミド群の10名(1.9%)の患者及び偽薬群の16名(3.0%)の患者は、それぞれ
、有害事象の結果として死亡した(表8)。いずれかのグレードの発疹も、偽薬(8.5
%)よりもアパルタミドで治療した患者(27.1%)でより多く見られ(表6)、アパ
ルタミドに関連して最もよく見られたイベントは、いずれかのタイプの発疹であった(6
.3%)。甲状腺機能低下症は、各群においてそれぞれ6.5%及び1.1%と報告され
た(表6)。全てのイベントは、グレード1又は2であった。虚血性心疾患は、アパルタ
ミド群の患者の4.4%及び偽薬群の患者の1.5%でそれぞれ報告された。虚血性イベ
ントは、各群の2名の患者において死亡につながった。
【0262】
【表6】
値は、人数(%)である。
*発疹は、分類用語であり、皮疹、蝶形紅斑、紅斑性皮疹、剥脱性皮疹、濾胞性皮疹、
全身性発疹、斑状皮疹、斑状丘疹状皮疹、丘疹、丘疹性皮疹、掻痒性皮疹、膿疱性皮疹、
生殖器皮疹、水疱、皮膚剥脱、剥脱性皮膚炎、皮膚反応、全身性エリテマトーデス皮疹、
中毒性皮疹、口腔内潰瘍、薬疹、結膜炎、多形性紅斑、口内炎、及び蕁麻疹が挙げられる
。
†骨折は、分類用語であり、寛骨臼骨折、足間接骨折、鎖骨骨折、大腿骨頚部骨折、大
腿骨骨折、腓骨骨折、足骨折、前腕骨折、骨折、坐骨骨折、骨折痛、手骨折、股関節骨折
、下肢骨折、膝蓋骨骨折、橈骨骨折、肋骨骨折、頭蓋骨骨折、脊椎圧迫骨折、脊椎骨折、
胸骨骨折、胸椎骨折、脛骨骨折、外傷性骨折、尺骨骨折、上肢骨折、及び手首骨折が挙げ
られる。
‡甲状腺機能低下症は、分類用語であり、自己免疫性甲状腺炎、血中甲状腺刺激ホルモ
ンの増加、甲状腺機能低下症が挙げられる。
§発作は、分類用語であり、発作及び咬舌が挙げられる。
【0263】
【0264】
【0265】
【0266】
【0267】
【0268】
死亡の競合リスクを考慮する事後解析を、Fine & Grayモデルに基づいて行
った(表9)。Fine JP,Gray RJ.J Am Stat Assoc 1
999;94:496-509。偽薬群に対するアパルタミド群の部分分布ハザード比の
推定値は、それぞれの95%信頼限界及びWaldカイ二乗検定からのP値と共に提示さ
れる。この事後分析の結果は、事前計画された分析結果を支持し、かつ確認した。
【0269】
【0270】
発疹管理
アパルタミドに関連する皮膚の発疹は、全身性発疹又は斑状丘疹状皮疹として一般的に
記載された。治療下で発現した皮膚発疹は、偽薬群では8.5%で報告されたのに対して
、アパルタミド群の患者の27.1%によって報告された。グレード3の発疹が、アパル
タミド治療(6.3%)及び偽薬治療(0.6%)で報告された。スティーブンス・ジョ
ンソン症候群又は毒性の表皮壊死融解症は報告されなかった。皮膚発疹は、アパルタミド
群において、12名(2.3%)の患者の治療中止、28名(5.3%)の患者の用量減
少、及び44名(8.4%)の患者の投与中断をそれぞれもたらし、偽薬群において1名
(0.2%)の患者の治療中止、4名(0.8%)の患者の用量減少、及び5名(0.9
%)の患者の投与中断をそれぞれもたらした。グレード≧3の発疹により、アパルタミド
群において7名(1.3%)の患者及び偽薬群において1名(0.2%)の患者でそれぞ
れ中止となった(表7)。皮膚発疹を有する患者の場合、治療には、局所コルチコステロ
イド、経口抗ヒスタミン剤、全身性コルチコステロイド、投薬中断、及び用量減少が含ま
れた。発疹の発症までの期間の中央値は、アパルタミド群では81日であり、偽薬群では
141日であった。
【0271】
考察
転移性去勢感受性前立腺癌(mCSPC)を有する男性におけるこの第三相試験では、
アパルタミド+ADTは、偽薬+ADTと比較して、全生存期間及び放射線画像診断によ
る無増悪生存期間を有意に改善した。死亡のリスクの低減は、疾患体積に基づいて異なる
ことはなく、放射線画像診断による無増悪生存期間における利益は、先行するドセタキセ
ル暴露を有する患者を含む解析された全てのサブグループにわたって一貫して観察された
。治療を中止した偽薬群における、前立腺癌の延命後続療法を受けた患者の割合がより高
いにもかかわらず(アパルタミド群において170名の患者のうちの64名[38%]及
び偽薬群において271名の患者のうちの165名[61%]、表5)アパルタミドによ
るより長い生存が観察された。この第1の計画された中間解析からの結果に基づいて、独
立データ監視委員会は、偽薬を摂取する患者の移行がアパルタミドを摂取することを可能
にするように、非盲検化を推奨した。
【0272】
細胞毒性化学療法までの期間及び第2の無増悪生存までの期間を含む副次的エンドポイ
ント及び探索的エンドポイントもまたアパルタミド治療に有利であった。アパルタミド+
ADTはまた、偽薬+ADTと比較して、検出不能なPSAレベルを達成する患者の割合
がより多く、PSA増悪までの期間における遅延をもたらした。この例示的な試験では、
転移性去勢感受性前立腺癌を有する患者におけるアパルタミドによる初期療法は、臨床転
帰の改善をもたらした。
【0273】
治験の意図は、広範な群の転移性去勢感受性前立腺癌を有する患者を参加させることで
あり、その結果、特定の患者サブグループを比較的小さく制限した。例えば、全ての患者
は、インフォームドコンセント中にドセタキセルの延命効果を確認したが、11%のみが
試験登録前に先行するドセタキセルを受けていた。これは、ドセタキセルに対する知覚さ
れる患者適性及び患者の選択又はケアアプローチにおける差異を反映する可能性が高い。
しかしながら、全てのサブグループにわたるアパルタミドの臨床的利益の一貫性が再確認
されている。
【0274】
高グレード及び重篤な有害事象の比率は、アパルタミド群及び偽薬群において差異はな
かった。有害事象による中止の比率は、両群において低かった。有害事象は、既知のアパ
ルタミド安全プロファイルと大略的に一致していた。アパルタミドによる治療に関する発
疹は、一般的であり、典型的には抗ヒスタミン剤及び局所用グルココルチコイド、投与中
断、並びに用量減少で管理された。甲状腺機能低下症は、軽度から中等度であり、甲状腺
刺激ホルモンによって監視され、レボチロキシンで管理された。健康関連の生活の質もま
た保たれ、群間の差異がなく、アパルタミド+ADTの忍容性を支持した。
【0275】
結論として、転移性去勢感受性前立腺癌を有する患者における例示された試験では、高
体積疾患及び低体積疾患、先行するドセタキセル、局所的疾患の先行する治療を有する患
者、並びに以前に診断された疾患又はデノボ疾患を有する患者を含み、アパルタミドのA
DTへの追加は、偽薬+ADTと有意に異なる安全プロファイルを伴い、健康関連の生活
の質を維持しながら、全生存期間を有意に改善し、疾患の増悪を遅延させた。
【0276】
アパルタミドの製剤
本試験に供給されるアパルタミドの錠剤は、60mgのアパルタミドを含有する。これ
は、試験依頼者の責任の下で製造かつ提供されたものであった。
【0277】
偽薬を錠剤製剤として提供し、試験の盲検性を維持するためにサイズ、色、及び形状を
一致させることになる。
【0278】
包装
アパルタミド60mgの錠剤を、子供が開けにくい160ccの高密度ポリエチレン(
high-density polyethylene、HDPE)ボトルに120個入れてパッケージ化された。
【0279】
実施例2:FDA最終承認製剤添付文書
FDAは、アパルタミドについて参照リスト薬となるERLEADA(商標)(アパル
タミド)について、2019年9月17日に以下の製剤添付文書を承認した。
【0280】
処方情報の主要部分
これらの主要部分は、ERLEADAを安全かつ有効に使用するのに必要な全ての情報
を含むものではない。
ERLEADAの全処方情報を参照されたい。
経口使用のためのERLEADA(登録商標)(アパルタミド)錠剤
初回米国承認-2018年
最近の主要な変更点
適応症及び用法(1)2019年9月
警告及び使用上の注意(5)2019年9月
適応症及び用法
ERLEADAは、アンドロゲン受容体阻害剤であり、以下を有する患者の治療のため
に適応される。
●転移性去勢感受性前立腺癌(1)
●非転移性去勢抵抗性前立腺癌(1)
用量及び投与
ERLEADA240mg(60mg錠4錠)を1日1回経口投与する。
錠剤全部を飲み込むこと。ERLEADAは、食品と共に服用しても、食品なしで服用
してもよい(2.1)
また、患者には、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)類縁体を同時に受けさせる
か、又は両側精巣を摘出させていること。(2.1)
剤形及び含量
錠剤60mg(3)
禁忌
なし。
警告及び使用上の注意
●虚血性心血管系イベントが、ERLEADAを摂取した患者において生じた。虚血性
心疾患の徴候及び症状を監視すること。心臓血管リスク因子の管理を最適化すること。(
5.1).
●骨折が、ERLEADAを摂取した患者において生じた。骨折リスクについて患者を
評価し、確立された指針に従って患者を骨標的薬剤で治療すること。(5.2)
●転倒が、ERLEADAを摂取した患者において生じ、高齢者において発生率が増加
した。転倒リスクについて患者を評価すること。(5.3)
●発作が、ERLEADAを摂取した患者の0.4%において生じた。治療中に発作を
発症する患者において、ERLEADAを永続的に中止すること。(5.4)
●胚-胎児毒性:ERLEADAは、胎児に危害を及ぼす恐れがある。生殖能力がある
女性パートナーを持つ男性に、有効な避妊具の使用を忠告すること。(5.5、8.1、
8.3)
有害反応
最もよく見られた有害反応(≧10%)は、倦怠感、不整脈、発疹、食欲減退、転倒、
体重減少、高血圧、ほてり、下痢、及び骨折である。(6.1)
疑わしい有害反応を報告するには、1-800-526-7736(1-800-JA
NSSENでJanssen Products,LPに、又は1-800-FDA 1
088若しくはwww.fda.gov/medwatchでFDAに連絡すること。
薬物相互作用
●CYP3A4、CYP2C19、CYP2C9、UGT、P-gp、BCRP、又は
OATP1B1の感受性基質である薬剤との併用は、これらの薬剤の活性の減少をもたら
す場合がある。(7.2)
患者カウンセリング情報及びFDA承認患者用添付文書ついては、17を参照されたい
。
改訂:2019年9月
完全な処方情報:目次*
1適応症及び用法
2用量及び投与
2.1推奨用量
2.2用量の調節
3剤形及び含量
4禁忌
5警告及び使用上の注意
5.1虚血性心血管系イベント
5.2骨折
5.3転倒
5.4発作
5.5胚-胎児毒性
6有害反応
6.1臨床治験の経験
7薬物相互作用
7.1他の薬物のERLEADAに対する影響
7.2ERLEADAの他の薬物に対する影響
8特定の母集団における使用
8.1妊娠
8.2授乳
8.3生殖能のある女性及び男性
8.4小児の使用
8.5高齢者の使用
10過量投与
11性状
12臨床薬理学
12.1作用機序
12.2薬力学
12.3薬物動態
13非臨床毒性
13.1発癌、変異誘発、生殖障害
14臨床試験
16供給/保管/取扱いの方法
17患者カウンセリング情報
*全処方情報から省略された章又は下位の章は掲載されていない。
【0281】
全処方情報
1.適応症及び用法
ERLEADAは、
●転移性去勢感受性前立腺癌(mCSPC)
●非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)を有する患者の治療のために適応され
る。
【0282】
2用量及び投与
2.1推奨用量
ERLEADAの推奨用量は、240mg(60mg錠4錠)の1日1回経口投与であ
る。錠剤全部を飲み込むこと。ERLEADAは、食品と共に服用しても、食品なしで服
用してもよい。
【0283】
また、患者には、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)類縁体を同時に受けさせる
か、又は両側精巣を摘出させていること。
【0284】
2.2用量の調節
患者にグレード3以上の毒性又は耐え難い副作用が生じた場合、症状がグレード1以下
又は元のグレード以下に改善されるまで投与を保留し、次いで、許可された場合、同じ用
量又は低減された用量(180mg又は120mg)で再開する。
【0285】
3剤形及び含量
錠剤(60mg):少し黄みがかった色から灰緑色の楕円形の、フィルムコーティング
錠であり、一方の側に「AR60」とデボス加工されたもの。
【0286】
4禁忌
なし。
【0287】
5警告及び使用上の注意
5.1虚血性心血管系イベント
死に至るイベントを含む虚血性心血管系イベントがERLEADAを摂取した患者にお
いて生じた。虚血性心疾患の徴候及び症状を監視すること。高血圧、糖尿病又は脂質異常
症などの心血管危険因子の管理を最適化すること。グレード3及び4のイベントに対して
ERLEADAの中止を検討すること。
【0288】
nmCRPCを有する患者の無作為化試験(SPARTAN)では、虚血性心血管系イ
ベントは、ERLEADAで治療された患者の4%及び偽薬で治療した患者の3%で生じ
た。mCSPCを有する患者の無作為化試験(TITAN)では、虚血性心血管系イベン
トは、ERLEADAで治療された患者の4%及び偽薬で治療されたの患者の2%で生じ
た。SPARTAN試験及びTITAN試験にわたって、ERLEADAで治療された6
名の患者(0.5%)及び偽薬で治療された2名の患者(0.2%)が虚血性心血管系イ
ベントで死亡した。無作為化の6ケ月以内に不安定な狭心症、心筋梗塞、又は鬱血性心不
全の最新エビデンスを有する患者は、SPARTAN試験及びTITAN試験から除外さ
れた。
【0289】
5.2骨折
骨折が、ERLEADAを摂取した患者において生じた。骨折リスクについて患者を評
価すること。骨折のリスクがある患者を、確立された治療指針に従って監視かつ管理し、
骨標的薬剤の使用を考慮すること。
【0290】
非転移性去勢抵抗性前立腺癌を有する患者の無作為化試験(SPARTAN)では、E
RLEADAで治療された患者の12%及び偽薬で治療された患者の7%で骨折が生じた
。グレード3~4の骨折は、ERLEADAにより治療した患者の3%、及び偽薬により
治療した患者の1%において生じた。骨折が起きるまでの時間の平均は、ERLEADA
により治療した患者については314日(範囲:20~953日)であった。通常の骨密
度評価及び骨標的薬剤による骨粗鬆症の治療は、SPARTAN試験においては行われな
かった。
【0291】
転移性去勢感受性前立腺癌を有する患者の無作為化試験(TITAN)において、ER
LEADAで治療された患者の9%及び偽薬で治療された患者の6%で骨折が生じた。グ
レード3~4の骨折は、両群において同様に2%であった。骨折が起きるまでの期間の中
央値は、ERLEADAにより治療した患者については56日(範囲:2~111日)で
あった。通常の骨密度評価及び骨標的薬剤による骨粗鬆症の治療は、TITAN試験にお
いては行われなかった。
【0292】
5.3転倒
転倒は、ERLEADAを摂取した患者において高齢者で頻度が増加して生じた[特定
の母集団(8.5)における使用を参照されたい]。転倒リスクについて患者を評価する
こと。
【0293】
無作為化試験(SPARTAN)において、転倒は、ERLEADAにより治療した患
者の16%において生じたのに対し、偽薬により治療した患者では9%において生じた。
転倒は、意識喪失又は発作に関連するものではなかった。
【0294】
5.4発作
ERLEADAを摂取した患者において発作が生じた。治療中に発作を発症する患者に
おいて、ERLEADAを永続的に中止すること。抗てんかん薬がERLEADAによる
発作を防止するかどうかは知られていない。ERLEADAを受けている間に発作を発症
するリスク、及び突然の意識喪失が自身又は他者に対する危害を引き起こす恐れの任意の
活動に参加するリスクを患者に忠告すること。
【0295】
2つの無作為化試験(SPARTAN及びTITAN)では、ERLEADAで治療さ
れた5名の患者(0.4%)及び偽薬で治療された1名の患者(0.1%)が発作を経験
した。発作は、ERLEADAの開始から159~650日後に生じた。発作の病歴、発
作の素因を有する患者、又は発作閾値低下若しくは発作を誘発することが既知の薬物を摂
取している患者を除外した。発作を経験した患者にERLEADAを再投与する臨床経験
はない。
【0296】
5.5胚-胎児毒性
ERLEADAの安全性及び有効性は、女性において確立されていない。その作用機序
に基づいて、ERLEADAは、妊娠中の女性に投与されたとき、胎児に危害を及ぼし、
妊娠喪失を引き起こす恐れがある[臨床薬理学(12.1)を参照されたい]。生殖能力
のある女性パートナーを有する男性に、治療中、及びERLEADAの最終投与後の3ケ
月にわたって効果的な避妊具を使用するように忠告すること[「特定の母集団における使
用」(8.1、8.3)を参照されたい]。
【0297】
6有害反応
以下について、添付文書の他の章でより詳細に論じられている。
●虚血性心血管系イベント[警告及び使用上の注意(5.1)を参照されたい]。
●骨折[警告及び使用上の注意(5.2)を参照されたい]。
●転倒[警告及び使用上の注意(5.3)を参照されたい]。
●発作[警告及び使用上の注意(5.4)を参照されたい]。
【0298】
6.1臨床治験の経験
治験は、広範に変化する条件下で実施されるので、薬物の臨床治験において観察される
有害反応率は、別の薬物の臨床治験における率と直接比較することができず、実際に観察
された率を反映していない場合がある。
【0299】
無作為化偽薬対照臨床治験(TITAN及びSPARTAN)からのERLEADA治
療患者においてより頻繁に生じた(偽薬を≧2%上回る)最もよく見られた有害反応(≧
10%)は、倦怠感、不整脈、発疹、食欲減退、転倒、体重減少、高血圧、ほてり、下痢
、及び骨折であった。
【0300】
転移性去勢感受性前立腺癌(mCSPC)
TITAN、すなわち、無作為化(1:1)二重盲検偽薬対照多施設共同臨床試験は、
mCSPCを有する患者が登録された。本試験において、患者は、毎日240mgの用量
のERLEADA又は偽薬のいずれかを摂取した。TITAN試験における全ての患者は
、併用のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)類縁体を受けたか、又は以前、両側精
巣を摘出した。暴露期間の中央値は、ERLEADAを摂取した患者において20ケ月(
範囲:0~34ケ月)であり、偽薬を摂取した患者において18ケ月(範囲:0.1~3
4ケ月)であった。
【0301】
ERLEADAにより治療した10名の患者(2%)が有害反応により死亡した。死因
は、虚血性心血管系イベント(n=3)、急性腎障害(n=2)、心肺停止(n=1)、
心臓性突然死(n=1)、呼吸不全(n=1)、脳血管発作(n=1)、及び大腸潰瘍穿
孔(n=1)であった。ERLEADAは、患者の8%において有害反応により中止され
、発疹が最もよく見られた(2%)。ERLEADAの投与中断又は用量減少につながる
有害反応は、患者の23%において生じた。最も頻発したものは(>1%)、発疹、倦怠
感、及び高血圧であった。重度の有害反応が、ERLEADA治療患者の20%及び偽薬
を摂取した患者の20%で生じた。
【0302】
表1は、偽薬の場合と比較して頻度が≧2%の絶対的増加で発生した、TITANにお
けるERLEADA群の≧10%において発生する有害反応を示す。表2は、患者の≧1
5%において生じ、かつERLEADA群において偽薬の場合と比較してより高頻度(>
5%)で生じる、検査所見の異常を示す。
【0303】
【表10】
1倦怠感及び無力症が挙げられる。
2皮疹、斑状丘疹状皮疹、全身性発疹、蕁麻疹、掻痒性発疹、斑状発疹、結膜炎、多形
性紅斑、丘疹状皮疹、皮膚剥脱、生殖器皮疹、紅斑性発疹、口内炎、薬疹、口腔内潰瘍、
膿疱性皮疹、水疱、丘疹、類天疱瘡、皮膚びらん、皮膚炎、及び小水胞性皮疹が挙げられ
る。
3有害反応共通用語規準(CTCAE)によると、これらのイベントの最も高い重症度
は、グレード3である。
【0304】
ERLEADAで治療された患者の2%ではあるが10%未満の患者で生じ、興味深い
更なる有害反応には、下痢(9%、対して偽薬で6%)、筋痙攣(3%、対して偽薬で2
%)、味覚異常(3%、対して偽薬で1%)、及び甲状腺機能低下症(4%、対して偽薬
で1%)が含まれた。
【0305】
【0306】
非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)
SPARTAN、すなわち、無作為化(2:1)二重盲検偽薬対照多施設共同臨床試験
は、nmCRPCを有する患者が登録された。この試験において、患者は、毎日240m
gの用量のERLEADA、又は偽薬のいずれかを摂取した。SPARTAN試験におけ
る全ての患者は、併用のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)類縁体を受け、又は両
側精巣摘出を受けた。暴露の期間の中央値は、ERLEADAを摂取した患者において1
6.9ケ月(範囲:0.1~42ケ月)、及び偽薬を摂取した患者において11.2ケ月
(範囲:0.1~37ケ月)であった。
【0307】
ERLEADAにより治療した8名の患者(1%)が有害反応により死亡した。死因は
、感染症(n=4)、心筋梗塞(n=3)、及び脳出血(n=1)であった。偽薬で治療
した1名の患者(0.3%)は、心肺停止の有害反応から死亡し(n=1)、ERLEA
DAは、患者の11%において有害反応に起因して中止され、発疹が最もよく見られた(
3%)。ERLEADAの投与中断又は用量減少につながる有害反応は、患者の33%に
おいて生じた。発疹、下痢、倦怠感、悪心、嘔吐、高血圧、及び血尿が最もよく見られた
(>1%)。重度の有害反応が、ERLEADAにより治療した患者の25%及び偽薬を
摂取した患者における23%で発生した。最も頻度の高い重度有害反応(>2%)は、E
RLEADA群においては骨折(3%)であり、偽薬群においては尿閉(4%)であった
。
【0308】
表3は、偽薬の場合と比較して頻度が≧2%で絶対的で発生した、SPARTANにお
けるERLEADA群の≧10%において生じる有害反応を示す。表4は、患者の≧15
%で生じ、かつERLEADA群において偽薬の場合と比較してより高頻度(>5%)で
生じる検査所見の異常を示す。
【0309】
【表12】
1倦怠感及び無力症が挙げられる。
2発疹、斑状丘疹状皮疹、全身性発疹、蕁麻疹、掻痒性皮疹、斑状発疹、結膜炎、多形
性紅斑、丘疹状皮疹、皮膚剥脱、生殖器皮疹、紅斑性発疹、口内炎、薬疹、口腔内潰瘍、
膿疱性皮疹、水疱、丘疹、類天疱瘡、皮膚びらん、皮膚炎、及び小水胞性皮疹が挙げられ
る。
3肋骨骨折、腰椎骨折、脊椎圧迫骨折、脊椎骨折、足骨折、股関節骨折、上腕骨骨折、
胸椎骨折、上肢骨折、仙骨骨折、手骨折、恥骨骨折、寛骨臼骨折、足関節骨折、圧迫骨折
、肋軟骨骨折、顔面骨骨折、下肢骨折、骨粗鬆症性骨折、手間接骨折、剥離骨折、腓骨骨
折、尾骨骨折、骨盤骨折、橈骨骨折、胸骨骨折、疲労骨折、外傷性骨折、頚椎骨折、大腿
骨頸部骨折、及び脛骨骨折が挙げられる。
4有害反応共通用語規準(CTCAE)によると、これらのイベントの最も高い重症度
は、グレード3である
5食欲障害、食欲減退、早期満腹症、及び食欲不振が挙げられる
6末梢性浮腫、全身性浮腫、浮腫、生殖器浮腫、陰茎浮腫、末梢性腫脹、陰嚢浮腫、リ
ンパ浮腫、腫脹、及び限局性浮腫が挙げられる
【0310】
ERLEADAにより治療した患者の2%以上において発生する更なる臨床的に有意な
有害反応には、甲状腺機能低下症(8.1%、対して偽薬で2%)、掻痒症(6.2%、
対して偽薬で2%)、及び心不全(2.2%、対して偽薬で1%)が含まれていた。
【0311】
【0312】
発疹
2つの無作為化偽薬対照臨床試験の組み合わせデータでは、ERLEADAに関連する
発疹は、斑状皮疹又は斑状丘疹状皮疹として最も一般的に記載された。発疹の有害反応は
、ERLEADAにより治療した患者の26%について報告されたのに対し、偽薬により
治療した患者では8%について報告された。グレード3の発疹(体表面積[BSA]の>
30%を覆うものと定義される)は、ERLEADA治療(6%)に対して偽薬(0.5
%)であると報告された。
【0313】
発疹の発症は、中央値が83日間のERLEADA治療で生じた。発疹は、患者の78
%において、発疹の発症から中央値が78日間以内で消散した。発疹は、一般に、経口抗
ヒスタミン剤、局所コルチコステロイド、及び全身性コルチコステロイドを受けた患者の
19%で管理されていた。用量減少は患者の14%で生じ、投与中断は患者の28%で生
じた。投与中断した患者のうち、59%は、ERLEADAの再導入時に発疹再発を経験
した。
【0314】
甲状腺機能低下症
2つの無作為化偽薬対照臨床試験の組み合わせたデータでは、甲状腺機能低下症は、4
ケ月毎の甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone、TSH)の評価に基づき
、ERLEADAで治療した患者の8%、及び偽薬で治療した患者の2%について報告さ
れた。TSHの増加は、ERLEADAにより治療した患者の25%及び偽薬により治療
した患者の7%において生じた。発症の中央値は、第1のスケジュールされた評価時であ
った。グレード3又は4の有害反応はなかった。甲状腺補充療法を、ERLEADAによ
り治療した患者の5%において開始した。臨床的に必要とされた場合、甲状腺補充療法を
開始又は用量調整する必要がある[薬物相互作用(7.2)を参照されたい]。
【0315】
7薬物相互作用
7.1他の薬物のERLEADAに対する影響
強力なCYP2C8又はCYP3A4の阻害剤
強力なCYP2C8又はCYP3A4の阻害剤の同時投与は、活性部分(未結合のアパ
ルタミド+力価を調節した未結合N-デスメチルアパルタミドの合計)の定常状態暴露を
増加させると予測される。しかし、初期用量の調整は不要であり、忍容性に基づいてER
LEADA用量を低減する[用量及び投与(2.2)を参照されたい]。CYP2C8又
はCYP3A4の軽度又は中程度の阻害剤は、アパルタミドの暴露に影響を及ぼすとは予
想されない。
【0316】
7.2ERLEADAの他の薬物に対する影響
CYP3A4、CYP2C9、CYP2C19、及びUGTの基質
ERLEADAは、ヒトにおいて、CYP3A4及びCYP2C19の強力な誘導物質
であり、CYP2C9の弱い誘導物質である。ERLEADAの、CYP3A4、CYP
2C19、及びCYP2C9によって主に代謝される薬剤との併用は、これらの薬剤への
暴露低下をもたらし得る。これらの薬剤の代替物は、可能な場合に推奨され、又は薬剤が
継続された場合に活性低下について評価するものである。ERLEADAの、UDP-グ
ルクロノシルトランスフェラーゼ(UDP-glucuronosyl transferase、UGT)の基質であ
る薬剤との併用投与は、暴露減少をもたらし得る。LIGTの基質をERLEADAと同
時投与する場合、注意し、活性消失について評価すること[臨床薬理学(12.3)を参
照されたい]。
【0317】
P-gp、BCRP、又はOATP1B1の基質
アパルタミドは、P糖タンパク質(P-glycoprotein、P-gp)、乳癌耐性タンパク質
(breast cancer resistance protein、BCRP)、及び有機アニオン輸送ポリペプチド
1B1(organic anion transporting polypeptide 1B1、OATPIB1)の弱い誘導物
質であることが、臨床的に示された。定常状態では、アパルタミドは、フェキソフェナジ
ン(P-gp基質)及びロスバスタチン(BCRP/OATPIB1基質)への血漿暴露
を低減した。P-gp、BCRP又はOATP1B1の基質である薬剤とのERLEAD
Aの併用は、これらの薬剤のより低い暴露をもたらし得る。P-gp、BCRP、又はO
ATPIB1の基質をERLEADAと同時投与する場合、注意し、薬剤が継続された場
合、活性消失について評価すること[臨床薬理学(12.3)を参照されたい]。
【0318】
8特定の母集団における使用
8.1妊娠
リスクの概要
ERLEADAの安全性及び有効性は、女性において確立されていない。その作用機序
に基づいて、ERLEADAは、胎児に危害を及ぼし、妊娠喪失を引き起こす恐れがある
[臨床薬理学(12.1)を参照されたい]。妊婦におけるERLEADAの使用につい
てのヒトのデータはない。ERLEADAは、女性に使用するためのものとして示されて
いないため、動物での胚-胎児発生毒性試験は、アパルタミドで実施されなかった。
【0319】
8.2授乳
リスクの概要
ERLEADAの安全性及び有効性は、女性において確立されていない。ヒトの母乳に
おけるアパルタミド若しくはその代謝産物の存在、母乳で育てられている小児に対する効
果、又は母乳の分泌に対する効果についてのデータはない。
【0320】
8.3生殖能のある女性及び男性
避妊
男性
作用機序及び動物の生殖試験における知見に基づいて、生殖能力がある女性パートナー
を有する男性患者に、治療中及びERLEADAの直近の投与後3ケ月にわたって有効な
避妊具を使用するよう忠告すること。[特定の母集団における使用(8.1)を参照され
たい]。
【0321】
不妊
男性
動物研究に基づいて、ERLEADAは、生殖能力がある男性における妊孕性を損ねる
恐れがある[非臨床毒性(13.1)を参照されたい]。
【0322】
8.4小児の使用
幼児患者におけるERLEADAの安全性及び有効性は、確率されていない。
【0323】
8.5高齢者の使用
臨床試験においてERLEADAを摂取した1327名の患者のうち、患者の19%は
65歳未満であり、患者の41%は65歳~74歳であり、40%は75歳以上であった
。
【0324】
高齢の患者とより若年の患者との間で、有効性の全体的な差異は観察されなかった。
【0325】
ERLEADAで治療された患者(n=1073)のうち、グレード3~4の有害反応
は、65歳よりも若い患者の39%、65~74歳の患者の41%、及び75歳以上の患
者の49%に生じた。アンドロゲン除去療法と共にERLEADAを摂取した患者におけ
る転倒は、高齢者で増加し、65歳未満の患者の8%、65~74歳の患者の10%、及
び75歳以上の患者の19%において生じた。
【0326】
10過量投与
アパルタミドの過量投与について既知の特定の対抗策はない。過量投与のイベントの場
合、ERLEADAを停止し、臨床毒性が弱められるか又は解消されるまで全般的な支援
措置を講じること。
【0327】
11性状
アパルタミド、すなわち、ERLEADAの活性成分は、アンドロゲン受容体阻害剤で
ある。化学名は、(4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イ
ル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]
-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド)である。アパルタミドは、白色からわずかに
黄色の粉末である。アパルタミドは、広範囲のpH値にわたって水性媒体に実質的に不溶
性である。
【0328】
分子量は477.44であり、分子式はC21H15F4N5O2Sである。構造式は
以下のとおりである。
【0329】
【0330】
ERLEADA(アパルタミド)は、60mgのアパルタミドを含む、経口投与のため
のフィルムコーティングされた錠剤として供給される。コア錠剤の非活性成分は、コロイ
ド状無水シリカ、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
アセテートスクシネート、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、及びケイ化微
結晶セルロースである。
【0331】
錠剤は、以下の賦形剤、すなわち、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、ポリエチレングリコール
、ポリビニルアルコール、タルク、及び二酸化チタンを含む、市販のフィルムコーティン
グで仕上げられている。
【0332】
12臨床薬理学
12.1作用機序
アパルタミドは、アンドロゲン受容体(AR)のリガンド結合ドメインに直接結合する
AR阻害剤である。アパルタミドは、ARの核移行を阻害し、DNA結合を阻害し、AR
により介在される転写を阻害する。主要代謝産物のN-デスメチルアパルタミドは、AR
の弱い阻害剤であり、in vitro転写レポーターアッセイにおいてアパルタミドの
活性の3分の1を示した。アパルタミド投与は、腫瘍細胞増殖を減少させ、前立腺癌のマ
ウス異種移植モデルにおいて腫瘍体積の減少をもたらすアポトーシスを増加させた。
【0333】
12.2薬力学
心臓電気生理学
QTc間隔で、1日1回の240mgアパルタミドの効果を、CRPCを有する45名
の患者における非盲検非対照多施設単一群専用QT試験において評価した。ベースライン
からの最大平均QTcFの変化は、12.4ms(両側90%上限CI:16.0ms)
であった。暴露-QT解析は、アパルタミド及びその活性代謝産物のQTcFの濃度依存
的増加を示唆した。
【0334】
12.3薬物動態
アパルタミドの薬物動態パラメータは、特に指定しない限り、平均[標準偏差(standa
rd deviation、SD)]として示される。アパルタミドのCmax及び濃度曲線下の面積
(AUC)は、30~480mg(推奨用量の0.125~2倍)の1日1回の反復投与
後、比例的に増加した。推奨用量の投与後、4週後にアパルタミドは定常状態に達し、平
均蓄積率は約5倍であった。定常状態において、アパルタミドのCmaxは6.0mcg
/mL(1.7)であり、AUCは100mcg・h/mL(32)であった。アパルタ
ミドの血漿濃度の日内変動は小さく、平均の最高対最低比は1.63であった。反復投与
では見かけのクリアランス(CL/F)の増大が観察されており、アパルタミドそのもの
の代謝作用の誘導によるものである可能性が高い。30~480mgの用量範囲にわたる
アパルタミドの暴露は用量比例的であることから、自己誘導効果は推奨用量でその最大に
達した可能性が高い。
【0335】
推奨投与後の定常状態において、主要な活性代謝産物N-デスメチルアパルタミドのC
maxは5.9mcg/mL(1.0)であり、AUCは124mcg・h/mL(23
)であった。N-デスメチルアパルタミドは、1.27の平均の最高対最低比を有する定
常状態での平坦な濃縮時間プロファイルによって特徴付けられた。反復用量投与実施後の
N-デスメチルアパルタミドについての平均AUC代謝産物/親薬物比は、1.3であっ
た。全身暴露、相対的力価、及び薬物動態特性によると、N-デスメチルアパルタミドが
、アパルタミドの臨床活性に寄与している可能性が高かった。
【0336】
吸収
経口絶対生物学的利用能の平均は、約100%であった。ピーク血漿濃度(最大)に達
するまでの時間の中央値は、2時間(範囲:1~5時間)であった。
【0337】
食品の影響
空腹時の条件下で及び高脂肪食(約500~600の脂肪カロリー、250の炭水化物
カロリー、及び150のタンパク質カロリー)を伴う、アパルタミドの健康な被験者への
投与では、Cmax及びAUCの臨床に関連する変化は生じなかった。tmaxに達する
までの時間の中央値は、食品により約2時間遅延した。
【0338】
分布
アパルタミドの定常状態における見かけの分布体積の平均値は、約276Lであった。
【0339】
アパルタミドは96%であり、N-デスメチルアパルタミドは、95%が濃度依存性な
く血漿タンパク質に結合していた。
【0340】
消失
アパルタミドのCL/Fは、単回投与後1.3L/hであり、1日1回の投与後に定常
状態で2.0L/hまで増大しており、CYP3A4自己誘導によるものである可能性が
高かった。患者におけるアパルタミドについての平均有効半減期は、定常状態で約3日で
あった。
【0341】
代謝作用
代謝作用は、アパルタミドを消失させる主要な経路である。アパルタミドは、主に、C
YP2CS及びCYP3A4によって代謝されて、活性代謝産物のN-デスメチルアパル
タミドを形成する。アパルタミドの代謝作用におけるCYP2CS及びCYP3A4の寄
与は、単回用量後に58%及び13%であると推定されるが、定常状態ではそれぞれ40
%及び37%に変化する。
【0342】
放射性標識されたアパルタミド240mgの単回経口投与後、全AUCのうち、アパル
タミドが45%を占め、N-デスメチルアパルタミドが44%を占めた。
【0343】
排泄
放射性標識されたアパルタミドの単回経口投与後最大70日で、用量の65%が尿中で
回収され(用量の1.2%は未変化のアパルタミドとして、及び2.7%はN-デスメチ
ルパルタミドとして)、また24%は糞便中で回収された(用量の1.5%は未変化のア
パルタミドとして、及び2%はN-デスメチルパルタミドとして)。
【0344】
特定の母集団
アパルタミド又はN-デスメチルアパルタミドの薬物動態において臨床的に有意な差は
、年齢(18~94歳)、人種(黒人、非日本アジア人、日本人)、軽度~中度(eGF
R 30~89mL/分1.73m2、腎疾患における食事改善[MDRD]の式によっ
て推定される)の腎障害又は軽度(Child-Pugh A)~中程度(Child-
Pugh B)の肝障害に基づいて観察されなかった。
【0345】
重度の腎障害若しくは末期腎疾患(eGFR≦29mL/分/1.73m2、MDRD
)又は重篤な肝障害(Child-Pugh C)のアパルタミド薬物動態に対する効果
は未知である。
【0346】
薬物相互作用
他の薬物のERLEADAに対する影響
強力なCYP2C8阻害剤
240mgの単回用量としてERLEADAをゲムフィブロジル(強力なCYP2C8
阻害剤)と共に同時投与した後、アパルタミドのCmaxは21%減少した一方で、AU
Cは68%増加した。ゲムフィブロジルは、定常状態のアパルタミドのCmaxを32%
増加させ、AUCを44%増加させると予測される。活性部分(未結合のアパルタミド+
力価を調節した未結合N-デスメチルアパルタミドの合計)については、予測した定常状
態のCmaxは19%増加し、AUCは23%増加した。
【0347】
強力なCYP3A4阻害剤
240mgの単回用量としてERLEADAをイトラコナゾール(強力なCYP3A4
阻害剤)と共に同時投与した後、アパルタミドのCmaxは22%減少した一方AUCは
投与前と同様であった。ケトコナゾール(強力なCYP3A4阻害剤)は、単回用量アパ
ルタミドのAUCを24%増加させるが、Cmaxに影響を及ぼさないと予測され、ケト
コナゾールは、定常状態のアパルタミドのCmaxを38%増加させ、AUCを51%増
加させると予測される。活性部分については、予測した定常状態のCmaxは23%増加
し、AUCは28%増加した。
【0348】
CYP3A4/CYP2C8誘導物質
リファンピン(強力なCYP3A4誘導物質であり、かつ中程度のCYP2C8誘導物
質である)は、定常状態のアパルタミドのCmaxを25%減少させ、AUCを34%減
少させると予測される。活性部分については、予測した定常状態のCmaxは15%減少
し、AUCは19%減少した。
【0349】
酸低下剤
アパルタミドは、関連する生理学的pH条件下でイオン化可能ではないため、酸低下剤
(例えば、プロトンポンプ阻害剤、H2受容体拮抗薬、制酸剤)がアパルタミドの溶解度
及び生物学的利用能に影響を及ぼすと予想されない。
【0350】
トランスポーターに影響を及ぼす薬物
in vitroで、アパルタミド及びN-デスメチルアパルタミドは、P-gpの基
質であるが、BCRP、OATPIB1、及びOATP1B3の基質ではない。経口投与
後にアパルタミドは完全に吸収されるので、P-gpは、アパルタミドの吸収を制限せず
、したがって、P-gpの阻害又は誘導は、アパルタミドの生物学的利用能に影響を及ぼ
すと予想されない。
【0351】
ERLEADAの他の薬物に対する影響
CYP基質
in vitro試験では、アパルタミド及びN-デスメチルアパルタミドが、CYP
3A4及びCYP2B6の中程度から強力な誘導物質であり、CYP2B6及びCYP2
C8の中程度の阻害剤であり、CYP2C9、CYP2C19、及びCYP3A4の弱い
阻害剤であることが示された。アパルタミド及びN-デスメチルアパルタミドは、治療関
連濃度でCYP1A2及びCYP2D6に影響を及ぼさない。
【0352】
ERLEADAの、単回経口用量の感受性CYP基質との同時投与は、ミダゾラム(C
YP3A4基質)のAUCの92%の減少、オメプラゾール(CYP2C19基質)のA
UCの85%の減少、及びS-ワルファリン(CYP2C9基質)のAUCの46%の減
少をもたらした。ERLEADAは、CYP2CS基質への暴露において臨床的に有意な
変化を引き起こさなかった。
【0353】
P-gp、BCRP、及びOATP1B1の基質
ERLEADAの、単回経口用量のトランスポーター基質との同時投与は、フェキソフ
ェナジン(P-gp基質)のAUCの30%の減少、及びロスバスタチン(BCRP/O
ATPIB1の基質)のAUCの41%の減少をもたらしたが、Cmaxには影響しなか
った。
【0354】
UGT基質
アパルタミドは、UGTを誘導し得る。ERLEADAの、UGTの基質である薬剤と
の併用投与は、これらの薬剤への暴露低下をもたらし得る。
【0355】
OCT2、OAT1、OAT3、及びMATESの基質
in vitroで、アパルタミド及びN-デスメチルアパルタミドは、有機カチオン
トランスポーター2(organic cation transporter 2、OCT2)、有機アニオンントラ
ンスポーター3(organic anion transporter 3、OAT3)、及び多剤毒素排出体(mul
tidrug and toxin extrusion、MATE)を阻害し、有機アニオントランスポーター1を
阻害しない。アパルタミドは、OAT3基質への暴露において臨床的に有意な変化を引き
起こすと予測されない。
【0356】
GnRH類縁体
アパルタミドと同時投与されたロイプロリド酢酸塩(GnRH類縁体)を摂取している
mCSPC被験者において、PKデータは、アパルタミドが、ロイプロリドの定常状態暴
露に明らかな影響を及ぼさなかったことを示した。
【0357】
13非臨床毒性
13.1発癌、変異誘発、生殖障害
アパルタミドの発癌能を評価するための長期動物試験は実施しなかった。アパルタミド
は、微生物復帰突然変異(Ames)試験において変異を誘発せず、in vitroで
の染色体異常アッセイ、又はin vivoでのラット骨髄小核アッセイ若しくはin
vivoでのラットコメットアッセイのいずれにおいても遺伝毒性がなかった。
【0358】
オスのラット(最大26週)及びイヌ(最大39週)における反復投与毒性試験におい
て、前立腺及び精嚢における萎縮症、無精子症/精子減少症、生殖器系の間質細胞の管状
変性及び/若しくは過形成、又は肥大が、ラットにおいて≧25mg/kg/日(AUC
に基づきヒトの暴露の1.4倍)及びイヌにおいて≧2.5mg/kg/日(AUCに基
づきヒトの暴露の0.9倍)で観察された。
【0359】
オスのラットにおける生殖能力試験において、精子濃度の減少及び精子運動性の低下、
精子形態異常、交尾及び受精率低下(未処置のメスとの交配時)、それらと共に副生殖腺
及び精巣上体の重量減少が、≧25mg/kg/日での4週の投与(AUCに基づきヒト
の暴露の0.8倍)後に観察された。4週間の150mg/kg/日(AUCに基づきヒ
トの暴露の5.7倍)の投与後、移植前及び/又は移植後の死亡の増加により、生きてい
る胎児の数の減少が観察された。オスのラットに対する効果は、直近のアパルタミド投与
から8週後に回復可能であった。
【0360】
14臨床試験
ERLEADAの有効性及び安全性を、2つの無作為化偽薬対照臨床治験において確立
した。
【0361】
TITAN(NCT02489318):転移性去勢感受性前立腺癌(mCSPC)
TITANは、無作為化二重盲検偽薬対照多施設共同臨床治験であり、mCSPCを有
する1052名の患者を無作為化し(1:1)、1日1回240mgの用量で経口にてE
RLEADA(N=525)、又は1日1回偽薬(N=527)のいずれかを摂取させた
。TITAN治験における全ての患者は、GnRH類似体を受けたか、又は以前、両側精
巣を摘出した。患者は、診断時のグリーソンスコア、先行するドセタキセルの使用、及び
世界の地域で層別化された。高体積mCSPC及び低体積mCSPCを有する両方の患者
が試験に適格であった。高体積の疾患は、1つの骨病変を伴う内臓又は4つ以上の骨病変
の存在に関与する転移として定義され、4つ以上の骨病変のうちの少なくとも1つは、脊
柱及び骨盤骨を越えて骨構造になければならない。
【0362】
以下の患者の背景及びベースラインの疾患特性について、治療群間で釣り合いをもたせ
た。年齢の中央値は68歳(43~94歳の範囲)であり、患者の23%は75歳以上で
あった。人種分布は、68%の白人、22%のアジア人、及び2%の黒人であり、63%
の患者は高体積疾患を有し、37%は低体積疾患を有した。16%の患者は、前立腺の先
行する外科手術、放射線療法又は両方を受けていた。患者の大部分は、8以上のグリーソ
ンスコアを有していた(67%)。患者の68%は、抗アンドロゲン剤(ビカルタミド、
フルタミド、又はニルタミド)による先行する治療を受けていた。偽薬群の1名を除く全
ての患者は、試験エントリにおいて、米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステ
ータス(ECOG PS)のスコアが0又は1であった。
【0363】
本試験の主要な有効性の転帰の尺度は、全生存期間(OS)及び放射線画像診断による
無増悪生存期間(PFS)であった。放射線画像診断による無増悪生存期間は、治験責任
医師の評価に基づくものであり、放射線画像診断による疾患の増悪又は死亡までの無作為
化からの期間として定義された。放射線画像診断による疾患の増悪は、確認(前立腺癌ワ
ーキンググループ2基準)を伴う骨スキャンにおける2つ以上の新たな骨病変及び/又は
軟組織疾患の増悪によって定義された。
【0364】
OS及びrPFSにおける統計的に有意な改善が、無作為化され偽薬を摂取した患者と
比較して無作為化されERLEADAを摂取した患者において示された。OSの結果は、
事前指定された中間有効性解析に基づく。TITANの有効性の結果を表5並びに
図1及
び
図2にまとめた。
【0365】
【表14】
a中間解析は、最終解析のために計画されたイベントの数の50%に基づく。割り当て
α=0.01。
bハザード比は、階層化された比例ハザードモデルに由来し、ハザード比1未満は、E
RLEADAが有利である。
cp値は、診断時のグリーソンスコア(≦7対>7)により階層化されたログランク検
定、地域(NA/EU対他国)及び先行するドセタキセルの使用(あり対なし)に由来す
る。
dNE=算出せず
【0366】
rPFSにおける一貫した改善が以下の患者サブグループにわたって観察された。疾患
体積(高対低)、先行するドセタキセルの使用(あり又はなし)、及び診断時のグリーソ
ンスコア(≦7対>7)。
【0367】
OSにおける一貫した改善が以下の患者サブグループにわたって観察された。疾患体積
(高対低)及び診断時のグリーソンスコア(≦7対>7)。
【0368】
ERLEADAによる治療は、細胞毒性化学療法の開始を統計的に有意に遅延させた(
HR=0.39,95%CI=0.27,0.56;p<0.0001)。
【0369】
図1:全生存期間(OS)のカプラン・マイヤープロット;治療企図解析対象mCSP
C集団(TITAN)
【0370】
【0371】
図2:放射線画像診断による無増悪生存期間(rPFS)のカプラン・マイヤープロッ
ト;治療企図解析対象mCSPC集団(TITAN)
【0372】
【0373】
SPARTAN(NCT01946204):非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCR
PC)
SPARTANは、多施設共同二重盲検無作為化(2:1)偽薬対照臨床治験であり、
nmCRPCを有する1207名の患者を無作為化し(2:1)、1日1回240mgの
用量で経口にてERLEADA(N=806)、又は1日1回偽薬(N=401)のいず
れかを摂取させた。SPARTAN治験における全ての患者は、併用のゴナドトロピン放
出ホルモン(GnRH)類縁体を受け、又は両側精巣を摘出した。患者を、前立腺特異的
抗原(PSA)倍加時間(Prostate Specific Antigen Doubling Time、PSADT)、
骨温存剤の使用、及び局所領域的な疾患によって階層化した。患者には、PSADT≦1
0ケ月、及び盲検下独立中央評価(BICR)による非転移性疾患の確認が求められた。
PSA結果を盲検化し、治療中止には使用しなかった。いずれかの群に無作為化された患
者は、BICRによって確認された放射線画像診断による疾患の増悪、局所領域のみの増
悪、新たな治療の開始、許容不可能な毒性、又は中止希望のために治療を中止した。
【0374】
以下の患者の背景及びベースラインの疾患特性について、治療群間で釣り合いをもたせ
た。年齢の中央値は74歳(48~97歳の範囲)であり、患者の26%は80歳以上で
あった。人種分布は、白人が66%、アジア人が12%、及び黒人が6%であった。両方
の治療群において、患者の77パーセント(77%)は以前の前立腺の手術又は放射線療
法を受けていた。大部分の患者は、7以上のグリーソンスコア(78%)を有していた。
15%の患者は、試験エントリ時に2cmの骨盤リンパ節を有していた。患者の73%は
抗アンドロゲン剤による先行する治療を受け、患者の69%はビカルタミドを摂取し、患
者の10%はフルタミドを摂取していた。全ての患者は、試験エントリにおいて、米国東
海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス(ECOG PS)性能ステータスの
スコアが0又は1であった。試験治療を中止した患者(偽薬についてN=279及びER
LEADAについてN=314)のうち、後続療法を受けた、偽薬により治療した患者の
割合(80%)は、ERLEADAにより治療した患者の場合(56%)と比較してより
高かった。局所領域のみの増悪は、全体的に2%の患者において生じた。
【0375】
試験の主要な有効性の転帰の尺度は無転移生存期間(MFS)とし、BICRにより確
認された遠隔転移の最初の証拠の時間までの無作為化からの期間として定義され、最初の
証拠については、いずれが最初に起きたにせよ新たな病変若しくは軟組織の病変、又は腸
骨分岐の上方のリンパ節肥大、又は任意の原因による死亡として定義した。更なる有効性
のエンドポイントは、転移までの期間(TTM)、無増悪生存期間(PFS)とし、これ
にはまた、局所領域的な進行、病状進行までの時間、及び全生存期間(OS)が含まれる
。
【0376】
無作為化されERLEADAを摂取した患者において、無作為化され偽薬を摂取した患
者と比較して、MFSにおいて統計的に有意な改善が示された。PSADT(≦6ケ月又
は>6ケ月)、先行する骨温存剤の使用(あり又はなし)、及び局所領域的な疾患(N0
又はN1)を含む患者サブグループにわたって一貫した結果が観察された。主要な有効性
の転帰は、TTM、PFS、及び病状増悪までの期間における統計的に有意な改善によっ
て支持された。全生存期間(OS)のデータは、最終MFS解析時では十分なものではな
かった(必要なイベントの数の24%)。SPARTANからの、MFS、TTM、及び
PFSの有効性の結果を、
図3及び表6にまとめた。
【0377】
図3:SPARTAN(nmCRPC)におけるカプラン・マイヤー無転移生存期間(
MFS)曲線
【0378】
【0379】
【表18】
1全ての解析を、PSA倍加時間、骨温存剤の使用、及び局所領域的な疾患状態によっ
て階層化した。
NE=算出せず
【0380】
16供給/保管/取扱いの方法
ERLEADA(アパルタミド)の60mgフィルムコーティング錠は、少し黄みがか
った色から灰緑色で楕円形の、一方の側に「AR60」がデボス加工されている錠剤であ
る。ERLEADA 60mg錠は、120錠のボトルにて入手可能である。各ボトルに
は、シリカゲル乾燥剤が入っている。
NDC番号59676-600-12
【0381】
保管及び取扱い
20℃~25℃(68°F~77°F)で保管する。15℃~30℃(59°F~86
°F)の範囲の一時的変動は許容される[USPの「Controlled Room
Temperature」を参照されたい]。
【0382】
元のパッケージに保管する。乾燥剤を廃棄しない。光及び湿気から保護する。
【0383】
17患者カウンセリング情報
患者に、FDA承認添付文書(患者情報)を読むよう助言する。
【0384】
虚血性心血管系イベント
●ERLEADAが虚血性心血管系イベントに関連していることを患者に告知すること
。心血管イベントのいずれかの症状の示唆が生じた場合には、医師の診察を受けるように
患者に忠告すること[警告及び使用上の注意(5.1)を参照されたい]。
【0385】
転倒及び骨折
●ERLEADAが転倒及び骨折の発生率の増加に関連していることを患者に告知する
こと[警告及び使用上の注意(5.2、5.3)を参照されたい]。
【0386】
発作
●ERLEADAが発作のリスクの増大に関連していることを患者に告知すること。発
作の素因となり得る条件及び発作閾値を低下させ得る薬剤について話し合い、突然の意識
喪失が自身又は他者に深刻な危害を引き起こす恐れがある任意の活動に参加するリスクを
患者に忠告すること。患者に発作が生じている場合、自身の健康管理者に連絡するよう、
患者に告知すること[警告及び使用上の注意(5.4)を参照されたい]
【0387】
発疹
●ERLEADAが発疹に関連していることについて告知し、患者が発疹を発症した場
合、自身の健康管理者に告知するべきことについて患者に告知すること[有害反応(6.
1)を参照されたい]。
【0388】
用量及び投与
●ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)類縁体の併用療法を受けている患者に、E
RLEADAによる治療過程中にその治療を維持する必要があることを告知すること。
●患者に、毎日(1日1回)同じ時間にその患者の用量を服用するよう指示すること。
ERLEADAは、食品と共に服用しても、食品なしで服用してもよい。各錠剤を、全部
飲み込まなければならない。
●ERLEADAの毎日の投与を忘れた場合には、患者に、その患者の通常用量を同じ
日に可能な限りすみやかに服用させ、翌日には通常のスケジュールに戻す。忘れた投与を
埋め合わせるために、患者に追加の錠剤を服用させてはならない[用量及び投与(2.1
)を参照されたい]。
【0389】
胚-胎児毒性
●ERLEADAは成長中の胎児に有害である恐れがあることを、患者に告知すること
。治療中かつERLEADAの直近の投与後3ケ月にわたって有効な避妊具を使用するよ
う、生殖能力がある女性パートナーを有する男性患者に忠告すること。妊婦との性交渉が
ある場合、コンドームを使用するよう、男性患者に忠告すること[警告及び使用上の注意
(5.5)を参照されたい]
【0390】
不妊
●ERLEADAが妊孕性を損ねる恐れがあること、並びに治療中かつERLEADA
の直近の投与後3ケ月にわたって精子提供するべきでないことを男性患者に忠告すること
[特定の母集団における使用(8.3)を参照されたい]。
製造元:
Janssen Ortho LLC
Gurabo,PR00778
製造元の別名
Janssen Products,LP
Horsham,PA 19044
(著作権)2019 Janssen Pharmaceutical Compan
ies
【0391】
【0392】
【表19-2】
この患者情報は、米国食品医薬品局によって承認されている。
改訂:2019年9月
【0393】
本明細書に記載の実施例及び実施形態は例示の目的のみであり、当業者に提示された様
々な修正又は変更が、本出願の趣旨及び範囲、並びに添付の特許請求の範囲内に含まれる
。
本明細書に記載の実施例及び実施形態は例示の目的のみであり、当業者に提示された様々な修正又は変更が、本出願の趣旨及び範囲、並びに添付の特許請求の範囲内に含まれる。
以下の態様を包含し得る。
[1] ヒト男性における転移性去勢感受性前立腺癌を治療するための方法であって、治療有効量の抗アンドロゲン剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性に投与することを含み、前記抗アンドロゲン剤が、
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、
4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、
4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、又は
N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドである、方法。
[2] 前記抗アンドロゲン剤の投与が、前記転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性集団の全生存率と比較して、前記ヒト男性の全生存の増加を提供し、前記集団が、アンドロゲン除去療法と組み合わせて偽薬を投与されている、上記[1]に記載の方法。
[3] 前記抗アンドロゲン剤の投与が、前記転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性集団の無増悪生存率と比較して、前記ヒト男性の無増悪生存の増加を提供し、前記集団が、アンドロゲン除去療法と組み合わせて偽薬を投与されている、上記[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記ヒト男性が、がんの治療のための少なくとも1つの先行する治療法を受けており、前記がんの治療のための前記先行する治療法が、放射線療法、外科的介入療法、又はドセタキセル療法である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 前記ヒト男性が、治療未経験である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記抗アンドロゲン剤が、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドである、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、前記ヒト男性に毎日投与される、上記[6]に記載の方法。
[8] 4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、前記ヒト男性に経口投与される、上記[6]に記載の方法。
[9] 4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、継続的な連日投与スケジュールで、前記ヒト男性に経口投与される、上記[6]に記載の方法。
[10] 4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、1日当たり約30mg~1日当たり約480mgの用量で、前記ヒト男性に経口投与される、上記[6]に記載の方法。
[11] 4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、1日当たり約180mg~1日当たり約480mgの用量で、前記ヒト男性に経口投与される、上記[6]に記載の方法。
[12] 4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、
(a)1日当たり約30mg、
(b)1日当たり約60mg、
(c)1日当たり約90mg、
(d)1日当たり約120mg、又は
(d)1日当たり約240mgの用量で、前記ヒト男性に経口投与される、上記[6]に記載の方法。
[13] 4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、1日当たり約240mgの用量で、前記ヒト男性に経口投与される、上記[6]に記載の方法。
[14] 4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドの前記用量が、前記ヒト男性にグレード3以上の毒性が生じた場合、1日当たり180mg又は1日当たり120mgに低減される、上記[13]に記載の方法。
[15] 4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、アンドロゲン除去療法と組み合わせて投与される、上記[6]に記載の方法。
[16] 4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、少なくとも1つのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト又はアンタゴニストと組み合わせて投与される、上記[15]に記載の方法。
[17] 前記少なくとも1つのGnRHアゴニスト又はアンタゴニストが、ロイプロリド、ブセレリン、ナフェレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、デスロレリン、デガレリクス、オザレリクス、ABT-620(エラゴリクス)、TAK-385(レルゴリクス)、EP-100、KLH-2109、若しくはトリプトレリンであるか、又はそれを含む、上記[16]に記載の方法。
[18] 4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、両側精巣摘出と組み合わせて使用される、上記[15]に記載の方法。
[19] 前記4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、
(a)CYP2C8若しくはCYP3A4の強力な阻害剤である薬剤、
(b)CYP3A4、CYP2C19、若しくはCYP2C9によって主に代謝される薬剤、
(c)UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼの基質である薬剤、又は
(d)P糖タンパク質、乳癌耐性タンパク質、若しくは有機アニオン輸送ポリペプチド1B1の基質である薬剤と併用投与されない、上記[6]に記載の方法。
[20] 前記抗アンドロゲン剤が、4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドである、上記[1]に記載の方法。
[21] 前記4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、1日当たり約160mgの用量で、前記ヒト男性に経口投与される、上記[20]に記載の方法。
[22] 前記抗アンドロゲン剤が、4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドである、上記[1]に記載の方法。
[23] 前記抗アンドロゲン剤が、N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドである、上記[1]に記載の方法。
[24] ヒト男性における転移性去勢感受性前立腺癌を治療するための方法であって、治療有効量の抗アンドロゲン剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性に投与することから本質的になり、前記抗アンドロゲン剤が、
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、
4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、
4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、又は
N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドのうちの1つ以上である、方法。
[25] 前記抗アンドロゲン剤が、4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドである、上記[23]に記載の方法。
[26] 4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドが、
(a)1日当たり約30mg、
(b)1日当たり約60mg、
(c)1日当たり約90mg、
(d)1日当たり約120mg、又は
(d)1日当たり約240mgの用量で、前記ヒト男性に経口投与される、上記[25]に記載の方法。
[27] ヒト男性における転移性去勢感受性前立腺癌を治療する方法であって、
(a)前記ヒト男性が転移性去勢感受性前立腺癌を有するかどうかを判定することと、
(b)抗アンドロゲン剤を、前記転移性去勢感受性前立腺癌を治療するために治療有効量でヒト男性に投与することと、を含み、前記抗アンドロゲン剤が、
4-[7-(6-シアノ-5-トリフルオロメチルピリジン-3-イル)-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、
4-(3-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、
4-[7-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3.4]オクタ-5-イル]-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド、又は
N-{(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1イル]プロパン-2-イル}-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドである、方法。
[28] 転移性去勢感受性前立腺癌を治療する方法であって、アパルタミドを含む承認された製剤を、転移性去勢感受性前立腺癌を有するヒト男性に、前記製剤の製剤添付文書に記載の量で投与することを含む、方法。
[29] アパルタミドを含む前記承認された製剤が、ANDA製剤、適応追加申請製剤、又は505(b)(2)製剤である、上記[28]に記載の方法。
[30] 前記方法が、臨床的に安全かつ/又は有効であることが証明されている、上記[27]~[29]のいずれか一項に記載の方法。
[31] 臨床的に安全であることが証明され、かつ臨床的に有効であることが証明されている量のアパルタミドを含む、医薬製品であって、前記医薬製品が、パッケージ化され、前記パッケージが、
(a)規制機関に承認された化学成分としてアパルタミドを特定し、
(b)去勢感受性前立腺癌の治療におけるアパルタミドの使用を指示する、添付文書を含む、医薬製品。
[32] アパルタミドを含む承認された製剤を販売する方法であって、前記方法が、そのような製剤を販売することを含み、そのような製剤に対する参照リスト薬の製剤添付文書が、去勢感受性前立腺癌を治療することの指示を含む、方法。
[33] アパルタミドを含む承認された製剤の販売の申し出を行う方法であって、前記方法が、そのような製剤の販売の申し出を行うことを含み、そのような製剤に対する参照リスト薬の製剤添付文書が、去勢感受性前立腺癌を治療することの指示を含む、方法。
[34] 前記製剤が、ANDA製剤、適応追加申請製剤、又は505(b)(2)製剤である、上記[32]又は[33]に記載の方法。