(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161441
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】呼吸器疾患の処理のための新規な化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 405/14 20060101AFI20241112BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241112BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20241112BHJP
C07D 403/04 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C07D405/14 CSP
A61P11/00
A61K31/506
C07D403/04
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024133993
(22)【出願日】2024-08-09
(62)【分割の表示】P 2021525325の分割
【原出願日】2019-11-07
(31)【優先権主張番号】2018904241
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2018904242
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】524252541
【氏名又は名称】ティアンリ バイオテック プロプライエタリ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート、アラステア
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、スペンサー
(72)【発明者】
【氏名】ハッキ、ザリヘ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】呼吸器疾患、例えば、喘息、急性及び慢性炎症性状態、並びに線維症が状態の病態の一因となる線維性疾患又は状態の予防又は処置において有用な新規な化合物を提供する。また、呼吸器疾患を処置又は予防する方法を提供する。
【解決手段】式(I):
の化合物、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグが提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物
(式中、
R
1は、C
2~3アルキルC
6~12アリール、C
1アルキルC
10~12アリール、C
1~3アルキルC
5~11ヘテロアリール、C
1~3アルキルC
3~6シクロアルキル及びC
1~3アルキルC
3~6ヘテロシクリルからなる群から選択され;
R
2は、Hであり;
R
3は、H、F、Cl及びCH
3からなる群から選択され;
R
4は、C
0~3アルキルC
3~12シクロアルキル及びC
1~12アルキルからなる群から選択され;
ここで、R
1、R
2、R
3及びR
4のそれぞれは、任意選択で置換されており、
ただし、前記化合物は、
【化2】
から選択されない)
、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグ。
【請求項2】
R
1が、下記の基:
【化3】
(式中、
各R
5は、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、C
1~6ハロアルコキシ、C
1~6ヒドロキシアルキル、C
3~7ヘテロシクリル、C
3~7シクロアルキル、C
2~6アルコキシ、C
1~6アルキルスルファニル、C
1~6アルキルスルフェニル、C
1~6アルキルスルホニル、C
1~6アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホノアミノ、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキシアミド、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アシル、カルボキシ、カルバモイル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アロイル、アロイルアミノ、ヘテロアロイル、アシルオキシ、アロイルオキシ、ヘテロアロイルオキシ、アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、フルオロ、ヨード、ブロモ、ウレイド又はC
1~6ペルフルオロアルキルからなる群から選択され、これらのそれぞれは、任意選択で置換されていてもよく;
R
6は、任意選択で置換されているC
1~2アルキルであり;
Lは、(CR
7R
8)
mであり;
L
1は、C
1~2アルキルで任意選択で置換されている(CR
7R
8)
pであり;
R
7及びR
8は、H及び任意選択で置換されているC
1~6アルキルから独立に選択され;
nは、0、1、2及び3から選択され;
mは、1、2及び3から選択され;
pは、1及び2から選択される)
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが、0、1又は2である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R5が、フルオロである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R1が、G1~G5から選択される、請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R1が、G6である、請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R4が、C3~12シクロアルキル、C1~12アルキル及びハロC1~12アルキルから選択される、請求項2~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R1が、任意選択で置換されているC2~3アルキルC6~12アリール又はC1~3アルキルC10~12アリールである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R1が、任意選択で置換されているC2~3アルキルC6アリールである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
R1が、任意選択で置換されているC1~3アルキルC5~11ヘテロアリールである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
R1が、任意選択で置換されているC1~2アルキルC5~11ヘテロアリールである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
C5~11ヘテロアリール基のヘテロ原子が、C1~3アルキル基に対してオルト又はパラ位にある、請求項10又は11に記載の化合物。
【請求項13】
前記C5~11ヘテロアリール基が、窒素含有ヘテロアリール基である、請求項10~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
R1が、任意選択で置換されているC1~3アルキルC3~6シクロアルキルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
R1が、任意選択で置換されているC2~3アルキルC3~6シクロアルキルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
R1が、置換されている、請求項13又は請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
R1が、任意選択で置換されているC1~3アルキルC3~6ヘテロシクリルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
R1が、任意選択で置換されているC1~2アルキルC3~6ヘテロシクリルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
前記C3~6ヘテロシクリル基が、酸素含有ヘテロシクリル基である、請求項17又は請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
R3が、Fである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
R4が、C0~3アルキルC3~12シクロアルキルである、前述の請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
R4が、C1アルキルC3~12シクロアルキルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
R4が、C3~12シクロアルキルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
前記C3~12シクロアルキル基が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルから選択される、請求項21~23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
R4が、シクロヘキシルである、請求項20~22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
R4が、C1~12アルキルである、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
R4が、メチル、エチル、プロピル又はブチル基である、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
R4が、エチルである、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
R4が、分岐状アルキル基である、請求項26又は27に記載の化合物。
【請求項30】
R4が、置換されている、請求項26~29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
前記置換基が、1個若しくは複数個のOH基及び/又は1個若しくは複数個のハロ基から選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
前記置換基が、1個若しくは複数個のフルオロ基から選択される、請求項30又は31に記載の化合物。
【請求項33】
表1から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、プロドラッグ及び/若しくは多形体。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、プロドラッグ及び/若しくは多形体、並びに薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物。
【請求項35】
呼吸器疾患を処置又は予防する方法であって、それを必要とする対象に治療的有効量の式(II):
【化4】
の化合物
(式中、
R
1及びR
2は、それぞれ独立に、H、C
1~3アルキルC
6~12アリール、C
1~3アルキルC
5~11ヘテロアリール、C
1~3アルキルC
3~6シクロアルキル及びC
1~3アルキルC
3~6ヘテロシクリルからなる群から選択され;
R
3は、H、F、Cl及びCH
3からなる群から選択され;
R
4は、C
0~3アルキルC
3~12シクロアルキル及びC
1~12アルキルからなる群から選択され;
ここで、R
1、R
2、R
3及びR
4のそれぞれは、任意選択で置換されている)
、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグを投与することを含む、方法。
【請求項36】
式(II)の化合物が、請求項1~33のいずれか一項に記載の式(I)の化合物である、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、(それぞれ、2018年11月7日に出願された)オーストラリア国仮特許出願第2018904241号明細書及び同第2018904242号明細書に対する優先権を主張する。オーストラリア国仮特許出願第2018904241号明細書及び同第2018904242号明細書のそれぞれの全内容は、参照により本明細書中に組み込まれている。
【0002】
本発明は、呼吸器疾患、例えば、喘息及び関連する状態、急性及び慢性炎症性の状態、並びに線維症が状態の病態の一因となる線維性疾患又は状態の処置において可能性を示す、イミダゾールをベースとする化合物を提供する。
【背景技術】
【0003】
喘息は、その重症度並びにその原因及び誘因が様々である種々の異なる種類の疾患を包含する症候群である。喘息症候群の一般的な特徴は、可逆的気道閉塞、気道過敏性、及び気道炎症であり、肥満細胞の活性化の他に好酸球及びTリンパ球による気道壁の浸潤が最も顕著な特徴である。
【0004】
現在の喘息薬物療法には、短時間作用性及び長時間作用性のβ2-アドレナリン受容体選択的アゴニスト(SABA及びLABA)並びに吸入コルチコステロイドがある(ICS)。ウルトラLABAも現在利用可能である。短時間作用性及び長時間作用性のムスカリン受容体アンタゴニスト(SAMA及びLAMA)は、通常他の気管支拡張剤及び抗炎症薬、特にICSと組み合わせて、一部の患者に使用される。ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)も、異なる治療レジメンに加えられることがある。ごく最近になって、好酸球の化学誘引物質であるインターロイキン-5の効力を消すモノクローナル抗体メポリズマブが、選択された患者において、ICSとLABAの組合せに追加する利益を有することが示された。しかしながら、特に重度の喘息では、患者は依然として症状を示し、増悪と称される疾患の周期的な悪化を有する。重度の喘息の薬物治療に満たされていない必要性がかなりある。大多数の場合、これらの喘息増悪は、下気道の呼吸器ウイルス感染により起こされると考えられる。これらの増悪を起こすウイルスには、呼吸器多核体ウイルス、インフルエンザウイルス、及びライノウイルスがあり、それらは呼吸器上皮に感染する。喘息の個人の上皮は、そのような感染に特にかかりやすいと考えられ、炎症反応の悪化に関係している。
【0005】
研究により、TGF-βがICSの有効性を損なうことが可能であることが示された。さらに、発明者らは、気道上皮のウイルス感染がTGF-β活性の誘導によりICS活性を損なうことを実証した。TGF-βの薬物標的は、自己免疫及び僧帽弁の欠陥の危険性を保持する。驚くべきことに、発明者らは、カゼインキナーゼ1δ/εを、化合物PF670462(国際公開第2016/149756号パンフレット)を使用して、TGF-βにより誘導されたICSの非反応性(insensitivity)のメディエーターとして特定し、ステロイド非反応性を逆転させるこの薬剤の有用性を実証した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1つ若しくは複数の呼吸器疾患、急性及び慢性炎症性疾患、並びに線維症が状態の病態の一因となる線維性疾患又は状態を予防又は処置するのに有用であり得る代替の化合物を開発することは有用である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載されているのは、式(II)の化合物:
【0008】
【0009】
(式中、
R1及びR2は、それぞれ独立に、H、C1~3アルキルC6~12アリール、C1~3アルキルC5~11ヘテロアリール、C1~3アルキルC3~6シクロアルキル及びC1~3アルキルC3~6ヘテロシクリルからなる群から選択され;
R3は、H、F、Cl及びCH3からなる群から選択され;
R4は、C0~3アルキルC3~12シクロアルキル及びC1~12アルキルからなる群から選択され;
ここで、R1、R2、R3及びR4のそれぞれは、任意選択で置換されている)
、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグである。
【0010】
一部の実施形態では、式(II)の化合物は、式(I)
【0011】
【0012】
の化合物であり、
式中、
R1は、C2~3アルキルC6~12アリール、C1アルキルC10~12アリール、C1~3アルキルC5~11ヘテロアリール、C1~3アルキルC3~6シクロアルキル及びC1~3アルキルC3~6ヘテロシクリルからなる群から選択され;
R2は、Hであり;
R3は、H、F、Cl及びCH3からなる群から選択され;
R4は、C0~3アルキルC3~12シクロアルキル及びC1~12アルキルからなる群から選択され;
ここで、R1、R2、R3及びR4のそれぞれは、任意選択で置換されており、
ただし、化合物は、
【0013】
【0014】
から選択されない。
【0015】
別の態様において、呼吸器疾患の治療又は予防を必要とする対象の呼吸器疾患を治療又は予防する方法であって、対象に、治療上有効な量の式(I)又は(II)の化合物、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグを投与し、それにより対象の呼吸器疾患を治療又は予防することを含む方法が提供される。
【0016】
対象における呼吸器疾患の処置又は予防において使用するための、式(I)又は(II)の化合物、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグをさらに提供する。
【0017】
呼吸器疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患(特発性肺線維症など)及び組織リモデリングに関連する他の病態、原発性又は続発性肺腫瘍、花粉症、慢性及び急性副鼻腔炎、並びに呼吸器の慢性及び急性のウイルス、真菌、及び細菌感染から選択され得る。
【0018】
別の態様において、呼吸機能の改善を必要とする対象の呼吸機能を改善する方法であって、対象に、治療上有効な量の式(I)又は(II)の化合物、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグを投与し、それにより対象の呼吸機能を改善することを含む方法が提供される。
【0019】
対象において呼吸機能を改善させることにおける使用のための、式(I)又は(II)の化合物、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグをさらに提供する。
【0020】
呼吸機能の改善は、肺の収縮のレベルの減少、呼吸器系の弾性スティフネス(elastic stiffness)の減少、及び/又は呼吸器系の拡張しやすさの増加から選択できる。好ましくは、改善は、肺の収縮のレベルの減少及び呼吸器系の弾性スティフネスの減少から選択される。さらに別の態様において、式(I)又は(II)による化合物、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグ、及び薬学的に許容できる賦形剤を含む組成物が提供される。
【0021】
組成物は、経口投与又は吸入若しくは注射による投与のために製剤化され得る。
【0022】
対象における呼吸器疾患の処置又は予防のための医薬の調製における、本発明の化合物又は組成物の使用がまた記載される。
【0023】
本明細書では、文脈により別のことが要求されない限り、用語「含む(comprise)」並びに「含んでいる(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「含まれる(comprised)」など、その用語の変形体は、さらなる添加剤、成分、整数、又は工程を除外しないものとする。
【0024】
明細書中の従来技術への言及は、この従来技術がいずれかの管轄範囲内の共通一般知識の一部を形成していること、又はこの従来技術が、当業者により妥当に理解されると予測され、関連すると見なされ、且つ/若しくは従来技術の他の部分と組み合わせることができるという認知でも示唆でもない。
【0025】
前述の段落に記載された本発明のさらなる態様及び態様のさらなる実施形態は、例として、添付図面を参照して与えられる以下の説明から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】TGF-βによって誘発されるIL-11の阻害のための
PIC
50値(IL-11レベルを50%抑制する濃度の負の対数)(IL-11レベルに対する小分子の対数濃度の線形回帰から内挿)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書に開示及び定義される本発明が、言及されるか、又は本文若しくは図面から明らかである個別の特徴の2つ以上の代替的組合せ全てに及ぶことが理解されるだろう。これらの異なる組合せの全てが本発明の種々の代替態様を構成する。
【0028】
ここで、本発明の特定の実施形態が詳細に言及される。本発明は実施形態と共に説明されるが、その意図が本発明をそれらの実施形態に限定することではないことが理解されるだろう。それどころか、本発明は、全代替形態、変形形態、及び等価物を網羅することが意図され、それらは、請求項により定義される本発明の範囲内に含まれ得る。
【0029】
当業者は、本明細書に記載されるものに類似又は等しい多くの方法及び材料を認識するだろうが、それらを本発明の実施に使用できるだろう。本発明は、記載される方法及び材料に決して限定されない。本明細書に開示及び定義される本発明が、言及されるか、又は本文若しくは図面から明らかである個別の特徴の2つ以上の代替的な組合せ全てに及ぶことが理解されるだろう。これらの異なる組合せの全てが、本発明の種々の代替的な態様を構成する。
【0030】
本明細書に言及される特許及び刊行物の全ては、参照により全体として組み込まれている。
【0031】
本明細書を解釈する目的で、単数形で使用される用語は複数も含み、逆も同様である。
【0032】
本明細書に記載されるのは、式(II):
【0033】
【0034】
の化合物
(式中、
R1及びR2は、それぞれ独立に、H、C1~3アルキルC6~12アリール、C1~3アルキルC5~11ヘテロアリール、C1~3アルキルC3~6シクロアルキル及びC1~3アルキルC3~6ヘテロシクリルからなる群から選択され;
R3は、H、F、Cl及びCH3からなる群から選択され;
R4は、C0~3アルキルC3~12シクロアルキル及びC1~12アルキルからなる群から選択され;
ここで、R1、R2、R3及びR4のそれぞれは、任意選択で置換されている)
、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグである。
【0035】
一部の実施形態では、式(II)の化合物は、式(I)
【0036】
【0037】
の化合物によって提供され、
式中、
R1は、C2~3アルキルC6~12アリール、C1アルキルC10~12アリール、C1~3アルキルC5~11ヘテロアリール、C1~3アルキルC3~6シクロアルキル及びC1~3アルキルC3~6ヘテロシクリルからなる群から選択され;
R2は、Hであり;
R3は、H、F、Cl及びCH3からなる群から選択され;
R4は、C0~3アルキルC3~12シクロアルキル及びC1~12アルキルからなる群から選択され;
ここで、R1、R2、R3及びR4のそれぞれは、任意選択で置換されており、
ただし、化合物は、
【0038】
【0039】
から選択されない。
【0040】
実施形態の任意の1つでは、本発明は、式(I)又は(II)の化合物を提供するが、ただし、化合物は、
図1における化合物のリストから選択されない。様々な化合物はまた、Keenan,et al.Frontiers in Pharmacology,2018,vol 9,article 738;国際公開第2016/149756A1号パンフレット;国際公開第1996/021654A1号パンフレット;国際公開第1999/032121A1号パンフレット;国際公開第1997/035856A1号パンフレット;Kim,D-K.,et al.Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2008,18,4006~4010;国際公開第1999/001136A1号パンフレット;米国特許第6369068B1号明細書;及び国際公開第2018/201192A1号パンフレットに記載されている。一部の実施形態では、これらの文献の1つ若しくは複数に記載されている任意の特定
の化合物は、条件によって除外し得る。
【0041】
実施形態の任意の1つでは、本発明は、式(I)の化合物を提供し、ここで、R2は、Hである。
【0042】
実施形態の任意の1つでは、R1は、C1~3アルキルC6~12アリールである。R1は、C2~3アルキルC6~12アリール又はC1~3アルキルC10~12アリールであり得る。一部の実施形態では、R1は、任意選択で置換されているC2~3アルキルC6~12アリール又はC1~3アルキルC10~12アリール(例えば、非置換C1~3アルキルC10~12アリール)である。一部の実施形態では、C2~3アルキルC6~12アリールは、任意選択で置換されているC2~3アルキルC6アリールである。C6~12アリール基は、2個の環系からなり得る。C1~3アルキル基に接合している環は、任意の位置、すなわち、オルト、メタ又はパラにおいて第2の環を有し得る。R1が、C1~3アルキルC6~12アリールであるとき、R2は、Hであり得る。
【0043】
実施形態の任意の1つでは、R1は、C1~3アルキルC5~11ヘテロアリールである。R1は、C1~2アルキルC5~11ヘテロアリールであり得る。C5~11ヘテロアリール基は、2個の環系からなり得る。C1~3アルキル基に接合している環は、任意の位置、すなわち、オルト、メタ又はパラにおいて第2の環を有し得る。ヘテロアリール基は、酸素含有ヘテロアリール基、窒素含有ヘテロアリール基、又は硫黄含有ヘテロアリール基、又は2個以上の酸素、窒素及び硫黄原子の組合せを含有するヘテロアリール基から選択し得る。例には、フラニル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキソ-ピリジル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジル、ピラジニル、及びピリミジルが含まれる。ヘテロ原子は、C1~3アルキル基に対してオルト及び/又はパラ位であり得る。R1が、C1~3アルキルC5~11ヘテロアリールであるとき、R2は、Hであり得る。
【0044】
実施形態の任意の1つでは、R1は、C1~3アルキルC3~6シクロアルキルである。R1は、C1~2アルキルC3~6シクロアルキルであり得る。C3~6シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルから選択し得る。R1が、C1~3アルキルC3~6シクロアルキルであるとき、R2は、Hであり得る。R1が、C1~3アルキルC3~6シクロアルキルであるとき、R1は、置換されていてもよい。置換基は、C1~3アルキルから選択し得る。
【0045】
実施形態の任意の1つでは、R1は、C1~3アルキルC3~6ヘテロシクリルである。R1は、C1~2アルキルC3~6ヘテロシクリルであり得る。R1は、酸素含有ヘテロシクリル基、窒素含有ヘテロシクリル基、又は硫黄含有ヘテロシクリル基、又は2個以上の酸素、窒素及び硫黄原子の組合せを含有するヘテロシクリル基から選択し得る。例には、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、ピリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、テラヒドロフラニル、1,3-ジオキソラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチフェネイル、並びに1,2-及び1,3-オキサチオラニルが含まれる。R1が、C1~3アルキルC3~6ヘテロシクリルであるとき、R2は、Hであり得る。
【0046】
実施形態の任意の1つでは、R1は、下記の基G1~G7の任意の1つから選択してもよく、
【0047】
【0048】
式中、
各R5は、本明細書に記載されている任意選択の置換基のいずれかから選択される。一部の実施形態では、R5は、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6ヒドロキシアルキル、C3~7ヘテロシクリル、C3~7シクロアルキル、C2~6アルコキシ、C1~6アルキルスルファニル、C1~6アルキルスルフェニル、C1~6アルキルスルホニル、C1~6アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホノアミノ、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキシアミド、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アシル、カルボキシ、カルバモイル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アロイル、アロイルアミノ、ヘテロアロイル、アシルオキシ、アロイルオキシ、ヘテロアロイルオキシ、アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、フルオロ、ヨード、ブロモ、ウレイド又はC1~6ペルフルオロアルキルからなる群から選択され、これらのそれぞれは、任意選択で置換されていてもよく;
R6は、任意選択で置換されているC1~2アルキルであり;
Lは、(CR7R8)mであり;
L1は、C1~2アルキルで任意選択で置換されている(CR7R8)pであり;
R7及びR8は、H及び任意選択で置換されているC1~6アルキルから独立に選択され;
nは、0、1、2及び3から選択され;
mは、1、2及び3から選択され;
pは、1及び2から選択される。
【0049】
基G1~G7の実施形態の任意の1つでは、nは、0、1又は2であり得る。
【0050】
実施形態の任意の1つでは、R5は、フルオロである。
【0051】
実施形態の任意の1つでは、nは、0、1又は2である。
【0052】
実施形態の任意の1つでは、R1は、G1~G5から選択し得る。
【0053】
実施形態の任意の1つでは、R1は、G6であり得る。G6の一部の実施形態では、R6は、任意選択で置換されているメチルである。
【0054】
実施形態の任意の1つでは、R1は、G1~G7から選択される基であり、R4は、C3~12シクロアルキル、C1~12アルキル及びハロC1~12アルキルから選択される。これらの実施形態のいくつかにおいて、R4は、非置換でもよい。一部の実施形態では、R4は、C1~6アルキル及びハロから選択される1個若しくは複数個の置換基で任意選択で置換されている。
【0055】
実施形態の任意の1つでは、本発明は、式(I)の化合物を提供し、ここで、R3は、CH3である。R3は、F又はClであり得る。好ましくは、R3は、Fである。
【0056】
実施形態の任意の1つでは、本発明は、式(I)の化合物を提供し、ここで、R4は、C0~3アルキルC3~12シクロアルキルである。R4は、C0~3アルキルC3~12シクロアルキルであり得、ここで、C3~12シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルから選択される。好ましい形態では、R4は、C3~12シクロアルキルである。より好ましくは、R4は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルから選択される。R4は、C1~2アルキルC3~12シクロアルキルであり得る。R4は、C1アルキルC3~12シクロアルキルであり得る。一部の実施形態では、R4は、C0~3アルキルC4~12シクロアルキル、C3シクロアルキル及びC2~3アルキルC3シクロアルキルから選択される。C3~12シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルから選択し得る。R4が、C0~3アルキルC3~12シクロアルキルであるとき、R4は、置換されていてもよい。C3~12シクロアルキル基は、置換されていてもよい。置換基は、1個若しくは複数個のC1~6アルキル基、1個若しくは複数個のハロ基、及び1個若しくは複数個のOH基から選択し得る。一部の実施形態では、置換基は、1個若しくは複数個のC1~6アルキル基及び1個若しくは複数個のハロ基(例えば、-F)から選択される。
【0057】
実施形態の任意の1つでは、本発明は、式(I)の化合物を提供し、ここで、R4は、C1~12アルキルである。R4は、メチル、エチル、プロピル又はブチル基であり得る。R4は、分岐状C1~12アルキル基、例えば、分岐状C3、C4又はC5アルキル基であり得る。R4は、ハロ及びOHから選択される1個若しくは複数個の基で置換されていてもよい。例えば、R4は、1個、2個、若しくはそれ以上のハロ基で置換されていてもよい。
【0058】
実施形態の任意の1つでは、R4は、C5~6シクロアルキル及びハロC2~5アルキルから選択される。一部の実施形態では、R4は、シクロヘキシル及びトリフルオロエチル(例えば、-CH2CF3)から選択される。
【0059】
実施形態の任意の1つでは、R1、R2、R3及びR4は、OH、C1~6アルコキシ、ハロ(例えば、フルオロ)、アミノ、メルカプト及びC1~6アルキルから選択される1個若しくは複数個の基で任意選択で置換されている。
【0060】
本明細書では、用語「C1~12アルキル」は、1~12個又はその間の任意の範囲の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を指し、すなわち、それは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個の炭素原子を含む。アルキル基は、置換基により任意選択で置換されており、複数の置換度が許容される。本明細書での「C1~12アルキル」の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルなどがあるが、これらに限定されない。
【0061】
「C1~3アルキル」、「C1~4アルキル」、及び「C1~6アルキル」が好ましい。これらの基は、それぞれ、1~3、1~4、若しくは1~6個、又はその間の任意の範囲の炭素原子を含むアルキル基を指す(例えば、2~5個の炭素原子、すなわち2、3、4又は5個の炭素原子を含むアルキル基もC1~6の範囲内である)。用語「C0~2アルキル」などが使用される場合、アルキル基は全くないことも、1個又は2個の炭素原子
を含むアルキル基があることもある。
【0062】
用語「C2~6アルケニル」は、E又はZ立体化学配置の少なくとも1個の二重結合(適用可能な場合)及び2~6個の炭素原子を有する、任意選択で置換されている直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素基を指す。例は、ビニル、1-プロペニル、1-及び2-ブテニル並びに2-メチル-2-プロペニルを含む。文脈上他の意味に解すべき場合を除き、用語「C2~6アルケニル」はまた、基が2つの位置を介して付着している、すなわち、二価であるように、1個少ない水素原子を含有するアルケニル基を包含する。エテニル、プロペニル及びブテニルを含めた「C2~4アルケニル」及び「C2~3アルケニル」が好ましく、エテニルが特に好ましい。
【0063】
用語「C2~6アルキニル」は、少なくとも1個の三重結合及び2~6個の炭素原子を有する任意選択で置換されている直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素基を指す。例は、エチニル、1-プロピニル、1-及び2-ブチニル、2-メチル-2-プロピニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル並びに5-ヘキシニルなどを含む。文脈が他のことを示さない限り、用語「C2~6アルキニル」はまた、基が2つの位置を介して付着している、すなわち、二価であるように、1個少ない水素原子を包含するアルキニル基を包含する。C2~3アルキニルが好ましい。
【0064】
本明細書では、用語「ハロゲン」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、又はヨウ素(I)を指し、用語「ハロ」は、ハロゲン基、フルオロ(-F)、クロロ(-Cl)、ブロモ(-Br)、及びヨード(-I)を指す。好ましくは、「ハロ」は、フルオロ又はクロロである。
【0065】
本明細書では、用語「シクロアルキル」は、非芳香族環式炭化水素環を指す。同様に、用語「C3~7シクロアルキル」は、3~7個又はその間における整数の任意の範囲の炭素原子を有する非芳香族環式炭化水素環を指す。例えば、C3~7シクロアルキル基は、4~6(すなわち4、5又は6)個の炭素原子を含むシクロアルキル基も含むだろう。アルキル基は先に定義された通りであり、置換されていてよい。本発明に有用な例示的な「C3~7シクロアルキル」基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルがあるが、これらに限定されない。
【0066】
シクロアルキル基は、任意選択で、1個以上の複素環式又はシクロアルキル環に縮合していてよい。シクロアルキル環は、環上の炭素原子のいずれかで、別のシクロアルキル又は複素環式部分により置換されて、スピロシクロアルキル又はスピロヘテロアルキル化合物を形成することがある。
【0067】
シクロアルキル基上の2個の隣接しない原子は、アルキル又はヘテロアルキル基により架橋されて、架橋系を形成することがある。好ましくは、架橋基は、長さが1~3原子である。
【0068】
本明細書では、用語「複素環式」又は「ヘテロシクリル」は、飽和であり、1以上の不飽和度を有し、S、S(O)、S(O)2、O、又はNから選択される1以上のヘテロ原子置換を含む非芳香族複素環を指す。用語「C3~7ヘテロシクリル」は、3~7個の炭素原子(すなわち3、4、5、6又は7個の炭素原子)を有し、本明細書で言及される1以上のヘテロ原子置換を含む非芳香族環式炭化水素環を指す。複素環式部分は置換されていてよく、複数の置換度が許容される。用語「C3~7ヘテロシクリル」は、C4~5、C5~7、C6~7、C4~7、C4~6、及びC5~6炭素原子を含むヘテロシクリル基も含む。好ましくは、複素環は、4~6個の炭素原子及び1又は2個のヘテロ原子を含
む。より好ましくは、複素環は、5個の炭素原子及び1個のヘテロ原子、又は4個の炭素原子及び2個のヘテロ原子置換、又は5個の炭素原子及び1個のヘテロ原子を含む。ヘテロシクリル基は、3~10員環系でよく、これは、環系内に含有される原子(炭素原子及びヘテロ原子)の総数を示す。この文脈において、接頭語3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員及び10員は、炭素原子であろうと又はヘテロ原子であろうと、環原子の数、又は環原子の範囲を示す。例えば、用語「3~10員ヘテロシリル」は、本明細書において使用する場合、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個若しくは10個の環原子を有するヘテロシクリル基に関する。ヘテロシリル基の例は、5~6員単環式ヘテロシクリル及び9~10員縮合二環式ヘテロシクリルを含む。したがって、本明細書に記載のヘテロシクリル環は、1個若しくは複数個の他の「複素環式」環、シクロアルキル環、アリール環又はヘテロアリール環に任意選択で縮合し得る。「複素環式」部分の例には、テトラヒドロフラン、ピラン、オキセタン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ピペリジン、ピペラジン、N-メチルピペラジニル、2,4-ピペラジンジオン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、モルホリン、チオモルホリン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロチオフェンなどがあるが、これらに限定されない。
【0069】
複素環基は、環上の炭素のいずれかで別の複素環式又はシクロアルキル部分により置換されて、スピロシクロアルキル又はスピロヘテロアルキル化合物を形成することがある。
【0070】
複素環基上の2個の隣接しない原子は、さらに、アルキル又はヘテロアルキル基により架橋されて、架橋系を形成することがある。好ましくは、架橋基は、長さが1~3原子である。
【0071】
置換複素環基の例として、用語「C0~2アルキルC3~7ヘテロシクリル」は、化合物と複素環との間のリンカーとしてアルキル基を全く含まないか、又は化合物と複素環との間のリンカーとして1若しくは2個の炭素原子を含むアルキル基を含むヘテロシクリル基(すなわち、複素環、-CH2-複素環、又は-CH2CH2-複素環)を含む。これらの複素環はさらに置換されていてよい。
【0072】
置換シクロアルキル及びヘテロシクリル基は、以下に記載される好適な置換基により置換されていてよい。
【0073】
本明細書では、用語「アリール」は、任意選択で置換されているベンゼン環又は1個以上の任意選択で置換されているベンゼン環に縮合して、例えば、アントラセン、フェナントレン、又はナフタレン環系を形成する任意選択で置換されているベンゼン環系を指す。「アリール」基の例には、フェニル、2-ナフチル、1-ナフチル、ビフェニル、並びにこれらの置換された誘導体があるが、これらに限定されない。好ましい置換アリール基には、アリールアミノ、アリールアルキル、アリールアルキルハロ、アリールハロ、及びアラルコキシ基がある。
【0074】
本明細書では、用語「ヘテロアリール」は、単環式の5員、6員、若しくは7員の芳香環、又は少なくとも1個の単環式5員、6員、若しくは7員の芳香環を含む縮合二環式若しくは三環式芳香環系を指す。これらのヘテロアリール環は、1個以上の窒素、硫黄、及び/又は酸素ヘテロ原子を含み、3個までのメンバーにより任意選択で置換されていてよい。N含有ヘテロアリールは、N-オキシドの形態でよく、S含有ヘテロアリールは、酸化硫黄及び二酸化硫黄の形態でよい。本明細書で使用される「ヘテロアリール」基の例には、フラニル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキソ-ピリジル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジル(pyridazyl)、ピラジニル、ピリミジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベン
ゾチオフェニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、及びこれらの置換された異形がある。
【0075】
用語「ヒドロキシ」及び「ヒドロキシル」は、基-OHを指す。
【0076】
用語「オキソ」は、基=Oを指す。
【0077】
用語「C1~6アルコキシ」は、1~6個の炭素原子を含有するO連結を介して共有結合をしている上記に定義されているようなアルキル基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ及びペントキシを指す。メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びブトキシを含めた「C1~4アルコキシ」及び「C1~3アルコキシ」が好ましく、メトキシが特に好ましい。
【0078】
用語「ハロC1~6アルキル」及び「C1~6アルキルハロ」は、1個若しくは複数個のハロゲンで置換されているC1~6アルキルを指す。ハロC1~3アルキル基、例えば、-CH2CF3、及び-CF3が好ましい。
【0079】
用語「ハロC1~6アルコキシ」及び「C1~6アルコキシハロ」は、1個若しくは複数個のハロゲンで置換されているC1~6アルコキシを指す。C1~3アルコキシハロ基、例えば、-OCF3が好ましい。
【0080】
用語「カルボキシレート」又は「カルボキシル」は、基-COO-又は-COOHを指す。
【0081】
用語「エステル」は、例えば、C1~6アルキル基(「カルボキシルC1~6アルキル」若しくは「アルキルエステル」)、アリール又はアラルキル基(「アリールエステル」若しくは「アラルキルエステル」)などで置き換えられている水素を有するカルボキシル基を指す。CO2C1~3アルキル基、例えば、メチルエステル(CO2Me)、エチルエステル(CO2Et)及びプロピルエステル(CO2Pr)が好ましく、そのリバースエステル(例えば、-OC(O)Me、-OC(O)Et及び-OC(O)Pr)を含む。
【0082】
用語「シアノ」及び「ニトリル」は、基-CNを指す。
【0083】
用語「ニトロ」は、基-NO2を指す。
【0084】
用語「アミノ」は、基-NH2を指す。
【0085】
用語「置換アミノ」又は「第二級アミノ」は、例えば、C1~6アルキル基(「C1~6アルキルアミノ」)、アリール又はアラルキル基(「アリールアミノ」、「アラルキルアミノ」)などで置き換えられている水素を有するアミノ基を指す。C1~3アルキルアミノ基、例えば、メチルアミノ(NHMe)、エチルアミノ(NHEt)及びプロピルアミノ(NHPr)が好ましい。
【0086】
用語「二置換アミノ」又は「第三級アミノ」は、例えば、同じ若しくは異なり得るC1~6アルキル基(「ジアルキルアミノ」)、アリール及びアルキル基(「アリール(アルキル)アミノ」)などで置き換えられている2個の水素を有するアミノ基を指す。ジ(C1~3アルキル)アミノ基、例えば、ジメチルアミノ(NMe2)、ジエチルアミノ(NEt2)、ジプロピルアミノ(NPr2)及びそのバリエーション(例えば、N(Me)(Et)など)が好ましい。
【0087】
用語「アルデヒド」は、基-C(=O)Hを指す。
【0088】
用語「アシル」は、基-C(O)CH3を指す。
【0089】
用語「ケトン」は、-C(O)-で表してもよいカルボニル基を指す。
【0090】
用語「置換ケトン」は、少なくとも1個のさらなる基、例えば、C1~6アルキル基(「C1~6アルキルアシル」又は「アルキルケトン」又は「ケトアルキル」)、アリール基(「アリールケトン」)、アラルキル基(「アラルキルケトン)などに共有結合的に連結しているケトン基を指す。C1~3アルキルアシル基が好ましい。
【0091】
用語「アミド(amido)」又は「アミド(amide)」は、基-C(O)NH2を指す。
【0092】
用語「置換アミド(amido)」又は「置換アミド(amide)」は、例えば、C1~6アルキル基(「C1~6アルキルアミド(alkylamido)」又は「C1~6アルキルアミド(alkylamide)」)、アリール(「アリールアミド」)、アラルキル基(「アラルキルアミド」)などで置き換えられている水素を有するアミド基を指す。C1~3アルキルアミド基、例えば、メチルアミド(-C(O)NHMe)、エチルアミド(-C(O)NHEt)及びプロピルアミド(-C(O)NHPr)が好ましく、そのリバースアミド(例えば、-NHMeC(O)-、-NHEtC(O)-及び-NHPrC(O)-)を含む。
【0093】
用語「二置換アミド(amido)」又は「二置換アミド(amide)」は、例えば、C1~6アルキル基(「ジ(C1~6アルキル)アミド(amido)」又は「ジ(C1~6アルキル)アミド(amide)」)、アラルキル及びアルキル基(「アルキル(アラルキル)アミド」)などで置き換えられている2個の水素を有するアミド基を指す。ジ(C1~3アルキル)アミド基、例えば、ジメチルアミド(-C(O)NMe2)、ジエチルアミド(-C(O)NEt2)及びジプロピルアミド((-C(O)NPr2)及びそのバリエーション(例えば、-C(O)N(Me)Etなど)が好ましく、そのリバースアミドを含む。
【0094】
用語「チオール」は、基-SHを指す。
【0095】
用語「C1~6アルキルチオ」は、C1~6アルキル基で置き換えられている水素を有するチオール基を指す。C1~3アルキルチオ基、例えば、チオールメチル、チオールエチル及びチオールプロピルが好ましい。
【0096】
用語「チオキソ」は、基=Sを指す。
【0097】
用語「スルフィニル」は、基-S(=O)Hを指す。
【0098】
用語「置換スルフィニル」又は「スルホキシド」は、例えば、C1~6アルキル基(「C1~6アルキルスルフィニル」又は「C1~6アルキルスルホキシド」)、アリール(「アリールスルフィニル」)、アラルキル(「アラルキルスルフィニル」)などで置き換えられている水素を有するスルフィニル基を指す。C1~3アルキルスルフィニル基、例えば、-SOメチル、-SOエチル及び-SOプロピルが好ましい。
【0099】
用語「スルホニル」は、基-SO2Hを指す。
【0100】
用語「置換スルホニル」は、例えば、C1~6アルキル基(「スルホニルC1~6アルキル」)、アリール(「アリールスルホニル」)、アラルキル(「アラルキルスルホニル」)などで置き換えられている水素を有するスルホニル基を指す。スルホニルC1~3アルキル基、例えば、-SO2Me、-SO2Et及び-SO2Prが好ましい。
【0101】
用語「スルホニルアミド」又は「スルホンアミド」は、基-SO2NH2を指す。
【0102】
用語「置換スルホンアミド(sulfonamido)」又は「置換スルホンアミド(sulphonamide)」は、例えば、C1~6アルキル基(「スルホニルアミドC1~6アルキル」)、アリール(「アリールスルホンアミド」)、アラルキル(「アラルキルスルホンアミド」)などで置き換えられている水素を有するスルホニルアミド基を指す。スルホニルアミドC1~3アルキル基、例えば、-SO2NHMe、-SO2NHEt及び-SO2NHPrが好ましく、そのリバーススルホンアミド(例えば、-NHSO2Me、-NHSO2Et及び-NHSO2Pr)を含む。
【0103】
用語「二置換スホンアミド(sulfonamido)」又は「二置換スルホンアミド(sulphonamide)」は、例えば、同じ若しくは異なり得るC1~6アルキル基(「スルホニルアミドジ(C1~6アルキル)」)、アラルキル及びアルキル基(「スルホンアミド(アラルキル)アルキル」)などで置き換えられている2個の水素を有するスルホニルアミド基を指す。スルホニルアミドジ(C1~3アルキル)基、例えば、-SO2NMe2、-SO2NEt2及び-SO2NPr2並びにそのバリエーション(例えば、-SO2N(Me)Etなど)が好ましく、そのリザーブスルホンアミド(例えば、-N(Me)SO2Meなど)を含む。
【0104】
用語「スルフェート」は、基OS(O)2OHを指し、例えば、C1~6アルキル基(「アルキルスルフェート」)、アリール(「アリールスルフェート」)、アラルキル(「アラルキルスルフェート」)などで置き換えられている水素を有する基を含む。C1~3スルフェート、例えば、OS(O)2OMe、OS(O)2OEt及びOS(O)2OPrが好ましい。
【0105】
用語「スルホネート」は、基SO3Hを指し、例えば、C1~6アルキル基(「アルキルスルホネート」)、アリール(「アリールスルホネート」)、アラルキル(「アラルキルスルホネート」)などで置き換えられている水素を有する基を含む。C1~3スルホネート、例えば、SO3Me、SO3Et及びSO3Prが好ましい。
【0106】
本明細書での「置換基」は、対象とする分子内の原子に共有結合している、分子部分を指す。例えば、「環置換基」は、環員である原子、好ましくは炭素又は窒素原子に共有結合しているハロゲン、アルキル基、又は本明細書に記載される他の置換基などの部分であり得る。本明細書での用語「置換されている」は、指定された原子上の1個以上の水素が、示される置換基から選ばれたものにより置き換えられていることを意味するが、ただし、指定された原子の正常な原子価を超えず、置換により、安定な化合物、すなわち、生物学的活性のための単離、特性化、及び試験が可能である化合物が生じることを条件とする。
【0107】
本明細書全体で使用される用語「任意選択で置換されている」又は「置換されていてよい」などは、基が、1個以上の水素でない置換基によりさらに置換されていてもいなくてもよく、又は縮合されて(多環式系を形成して)いてもよいことを示す。特定の官能基に対する好適な化学的に実行可能な置換基は当業者に明らかであろう。一部の実施形態では、任意選択で置換されている部分は、1個、2個、3個、4個若しくはそれ超の基、好ま
しくは、1個、2個若しくは3個、より好ましくは、1個若しくは2個の基でさらに置換されていてもよいか、又はさらに置換されていなくてもよい。
【0108】
置換基の例には、これらに限定されないが、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6ヒドロキシアルキル、C3~7ヘテロシクリル、C3~7シクロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルスルファニル、C1~6アルキルスルフェニル、C1~6アルキルスルホニル、C1~6アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホノアミノ、アルキルカルボキシ、アルキルカルボキシアミド、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アシル、カルボキシ、カルバモイル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アロイル、アロイルアミノ、ヘテロアロイル、アシルオキシ、アロイルオキシ、ヘテロアロイルオキシ、アルコキシカルボニル、ニトロ、シアノ、ハロ、ウレイド、C1~6ペルフルオロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシアリール、エステル、置換アミノ、二置換アミノ、アシル、ケトン、置換ケトン、アミド、アミノアシル、置換アミド、二置換アミド、チオール、アルキルチオ、チオキソ、スルフェート、スルホネート、スルフィニル、置換スルフィニル、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルアミド、置換スルホンアミド、二置換スルホンアミド、アリールC1~6アルキル、ヘテロシクリルC1~6アルキル、及びC3~7シクロアルキルC1~6アルキルが含まれ、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリル並びにこれらを含有する基は、さらに任意選択で置換し得る。一部の実施形態では、部分は、上記で記載したものから選択される任意選択の置換基の任意のサブセットで任意選択で置換し得る。
【0109】
Nを含有する複素環(ヘテロシクリル及びヘテロアリール基)の場合の任意選択の置換基はまた、これらに限定されないが、C1~6アルキル、すなわち、N-C1~3アルキル、より好ましくは、メチル、特に、N-メチルを含み得る。
【0110】
一実施形態において、環式又は複素環式置換基は、環式又は複素環基が置換されている部分中の炭素と共に、スピロシクロアルキル又はスピロヘテロアルキル置換基を形成していることがある。別の実施形態において、環式又は複素環式置換基は架橋していることがある。
【0111】
任意選択で置換されている「C1~6アルキル」、「C2~6アルケニル」及び「C2~6アルキニル」について、任意選択の1つ又は複数の置換基は好ましくは、ハロ、アリール、ヘテロシクリル、C3~8シクロアルキル、C1~6アルコキシ、ヒドロキシル、オキソ、アリールオキシ、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシル及びカルボキシルから選択される。一部の実施形態では、任意選択で置換されている「C1~6アルキル」、「C2~6アルケニル」及び「C2~6アルキニル」は、上記で記載したものから選択される任意選択の置換基の任意のサブセットで任意選択で置換し得る。
【0112】
これらの基のいずれも、適切な場合、上述の基のいずれによりさらに置換されていてもよい。例えば、アルキルアミノ、又はジアルキルアミノ、C1~6アルコキシなど。
【0113】
本発明の化合物の例を、表1において下記で示す。
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
式(I)の化合物の塩は、好ましくは薬学的に許容できるものであるが、薬学的に許容できない塩も、薬学的に許容できる塩の調製において中間体として有用であり得るため、やはり本開示の範囲内にあることが認識されるだろう。
【0134】
用語「薬学的に許容される」は、対象への投与によって、(直接的若しくは間接的に)式(I)の化合物、又はその活性代謝物若しくは残渣を提供することができ、且つ典型的には、対象に対して有害ではない、任意の薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグ、又は任意の他の化合物を説明するために使用し得る。
【0135】
好適な薬学的に許容できる塩には、薬学的に許容できる無機酸、例えば、塩化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、及び臭化水素酸などの塩、又は薬学的に許容できる有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、吉草酸、及びキシナホ酸などの塩があるが、これらに限定されない。
【0136】
塩基塩には、薬学的に許容できるカチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アンモニウムなどにより形成されるもの、トリエチルアミンから形成される塩などのアルキルアンモニウム、エタノールアミンにより形成されるものなどのアルコキシアンモニウム、及びエチレンジアミン、コリン又はアルギニン、リシン、若しくはヒスチジンなどのアミノ酸から形成される塩があるが、これらに限定されない。薬学的に許容できる塩の種類及びそれらの形成に関する全般的な情報は当業者に公知であり、“Handbook of Pharmaceutical salts” P.H.Stahl,C.G.Wermuth,1st edition,2002,Wiley-VCHなどの一般的な図書に記載されている通りである。
【0137】
塩基性の窒素含有基は、低級アルキルハライド、例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、及び塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、及び臭化ブチル、並びにヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、及びヨウ化ブチル;硫酸ジアルキル、例えば、硫酸ジメチル及び硫酸ジエチル;及び他のものなどの作用物質により四級化され得る。
【0138】
「プロドラッグ」は、本明細書において提供する化合物の構造条件を完全に満たし得ないが、対象又は患者への投与に続いてin vivoで修飾され、本明細書において提供する式(I)の化合物を生成する化合物である。例えば、プロドラッグは、本明細書において提供するような化合物のアシル化誘導体であり得る。プロドラッグは、ヒドロキシ、カルボキシ、アミン又はスルフヒドリル基が、哺乳動物対象に投与されるとき、切断されて、それぞれ、遊離ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、又はスルフヒドリル基を形成する任意の基に結合している化合物を含む。プロドラッグの例には、これらに限定されないが、本明細書において提供する化合物内の、アルコール及びアミン官能基のアセテート、ホルメート、ホスフェート及びベンゾエート誘導体が含まれる。本明細書において提供する化合物のプロドラッグは、修飾がin vivoで切断されて親化合物が生じるように、化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製し得る。
【0139】
プロドラッグは、アミノ酸残基、又は2個以上の(例えば、2、3、又は4個の)アミノ酸残基のポリペプチド鎖が、式(I)の化合物の遊離のアミノ及び/又はアミド基に共有結合している化合物を含む。アミノ酸残基は、通常3文字の記号で表される20種の天然に存在するアミノ酸を含み、4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デモシン(demosine)、イソデモシン(isodemosine)、3-メチルヒスチジン、ノルブリン(norvlin)、β-アラニン、γ-アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン、及びメチオニンスルホンも含む。プロドラッグは、カーボネート、カルバマート、アミド、及びアルキルエステルが、カルボニル炭素プロドラッグ側鎖により、式(I)の上記置換基に共有結合している化合物も含む。プロドラッグは、共有結合の不可逆的及び可逆的阻害剤を含み得る。
【0140】
固体である化合物の場合、本発明の化合物、薬剤、及び塩が、異なる結晶形又は多形体の形態で存在し得ることが当業者により理解されるだろうが、それらは全て、本発明及び明示された式の範囲内にあることが意図される。
【0141】
本発明は、無水結晶形態、水和物、溶媒和物及び混合溶媒和物を含めた、式(I)の化合物の全ての結晶形態を含む。これらの結晶形態のいずれかが多形を示す場合、全ての多形体は、本発明の範囲内である。
【0142】
式(I)は、適用可能である場合、化合物の溶媒和形態及び非溶媒和形態をカバーすることを意図する。このように、式(I)は、水和形態又は溶媒和形態、並びに非水和形態及び非溶媒和形態を含めた、示された構造を有する化合物を含む。
【0143】
式(I)の化合物、又はその塩、互変異性体、N-オキシド、多形体若しくはプロドラッグは、溶媒和物の形態で提供し得る。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量の溶媒を含有し、薬学的に許容される溶媒、例えば、水、アルコール、例えば、メタノール、エタノール又はイソプロピルアルコール、DMSO、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸などと共に結晶化のプロセスの間に形成し得、溶媒和物は、非共有結合によって、又は結晶格子中の穴を占有することによって結晶格子の部分を形成する。溶媒が水であるとき、水和物が形成され、溶媒がアルコールであるとき、アルコラートが形成される。本発明の化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されているプロセスの間に好都合に調製又は形成することができる。一般に、溶媒和形態は、本発明の目的のために非溶
媒和形態と等しいと考えられる。
【0144】
結晶性固体を形成する式(I)の化合物、又はその塩、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物及び/若しくはプロドラッグは、多形を示し得る。化合物、塩、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物及び/又はプロドラッグの全ての多形形態は、本発明の範囲内である。
【0145】
式(I)の化合物は、互変異性を示し得る。互変異性体は、典型的には平衡状態で存在する分子の2つの互換的な形態である。式(I)の化合物の任意の互変異性体は、本発明の範囲内であると理解される。
【0146】
式(I)の化合物は、1つ若しくは複数の立体中心を含有し得る。式(I)の化合物の全ての立体異性体は、本発明の範囲内である。立体異性体は、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体(E及びZオレフィン形態並びにシス及びトランス置換パターン)並びにアトロプ異性体を含む。一部の実施形態では、化合物は、式(I)の化合物の任意の立体中心における立体異性的に濃縮された形態である。化合物は、他の立体異性体よりも1つの立体異性体において少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、98%又は99%濃縮し得る。
【0147】
式(I)の化合物又はその塩、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド、及び/若しくは立体異性体は、化合物中に存在する原子の同位体の1つ若しくは複数で同位体的に濃縮し得る。例えば、化合物は、下記の微量な同位体:2H、3H、13C、14C、15N及び/又は17Oの1つ若しくは複数で濃縮し得る。同位体は、その存在度がその天然存在度より大きいとき、濃縮されていると考えてもよい。
【0148】
一部の実施形態では、式(I)の化合物、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグは、少なくとも7のpIC50を有する。阻害活性は、キナーゼアッセイを使用して決定することができる。このようなアッセイは当業者には周知であり、適切なアッセイの一例は、実施例において記載されているものである。
【0149】
さらに別の態様において、式(I)による化合物、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグ、並びに薬学的に許容される添加剤を含む組成物を提供する。
【0150】
適切な用量レベルは、一般的に、患者体重のkgあたり1日あたり約0.01~500mgだろうが、それは、単回投与でも、反復投与でも投与できる。好ましくは、用量レベルは、1日あたり約0.1~約250mg/kg;より好ましくは1日あたり約0.5~約100mg/kgだろう。好適な用量レベルは、1日あたり約0.01~250mg/kg、1日あたり約0.05~100mg/kg、又は1日あたり約0.1~50mg/kgであり得る。この範囲内で、用量は、1日あたり、0.05~0.5、0.5~5、又は5~50mg/kgであり得る。経口投与のために、組成物は、治療される患者への症状による用量の調整のために、好ましくは1.0~1000ミリグラムの有効成分、特に、1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、及び1000.0ミリグラムの有効成分を含む錠剤の形態で提供される。化合物は、1日あたり1~4回、好ましくは1日あたり1回又は2回のレジメンで投与され得る。しかし、特定の患者にとっての具体的な用量レベル及び用量の頻度が様々であり得て、利用される具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事、投与
の様式及び時間、排泄速度、薬物組合せ、特定の病態の重症度、並びに療法を受けている宿主を含む種々の因子によることが理解されるだろう。組成物中の本発明の化合物の量は、組成物中の特定の化合物にもよるだろう。
【0151】
吸入製品の場合、典型的な吸入投与量は、他の投薬形態より低く、単回の吸入で1マイクログラムから始まり1000マイクログラムへと増加する。好ましい形態において、投与量は、1回の吸入あたり25マイクログラム~250マイクログラムの範囲である。別の好ましい形態において、用量は、1回の吸入あたり500~1000マイクログラムの範囲である。別の形態において、用量は、1回の吸入あたり、1、2.5、10.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、及び1000.0マイクログラム又はその間でこれらの値の2つを含む任意の範囲からなる群から選択される。医薬品は、1日あたり1回の吸入であり得て、又は1日あたり2回の吸入を4回まで増加し得る。
【0152】
医薬組成物は、開示された障害又は病態の治療に通常適用される、他の治療活性のある化合物をさらに含み得る。併用療法に使用するための適切な薬剤の選択は、従来の製薬の原則に従って当業者によりなされ得る。治療剤の組合せは、相乗的に作用して、本明細書に開示される種々の障害又は病態の治療又は予防をもたらし得る。この手法を利用して、各薬剤のより低い用量により治療効能を得て、有害な副作用の可能性を減少させることができる。
【0153】
本発明の化合物及び組成物は、例えば、外用(例えば、経皮又は眼)、肺、経口、頬側、鼻腔内、膣内、直腸、又は非経口投与を含む任意の適切な投与経路のために製剤され得る。本明細書での非経口という用語は、皮下、皮内、血管内(例えば、静脈内)、筋肉内、脊髄内、頭蓋内、髄腔内、眼内、眼球周囲、眼窩内、関節滑液嚢内、及び腹腔内注射、並びにあらゆる類似の注射又は注入技法を含む。特定の実施形態において、経口使用又は非経口使用に好適な形態の組成物が好ましい。好適な経口形態には、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性若しくは油性の懸濁剤、分散性散剤若しくは顆粒剤、乳剤、ハード若しくはソフトカプセル、又はシロップ剤若しくはエリキシル剤がある。さらに他の実施形態の中で、本明細書に提供される組成物は、凍結乾燥品として製剤され得る。
【0154】
好ましい形態において、組成物は、気道への投与に好適である。別の形態において、組成物は経口投与に好適である。
【0155】
種々の用量単位は、それぞれ好ましくは、別個の用量の錠剤、カプセル剤、ロゼンジ剤、糖衣錠、ガム、又は他の種類の固体製剤として提供される。カプセル剤は、粉末、液体、又はゲルを封入し得る。固体製剤は、飲み込むことができ、又は吸込み型(suckable)若しくは咀嚼型(砕けやすい又はゴム状のいずれか)であり得る。本発明は、ブリスターパック以外の用量単位保持装置;例えば、ボトル、チューブ、キャニスター、パケットなどの包装を企図する。用量単位は、医薬製剤の慣行において周知である従来の賦形剤、例えば、結合剤、ゲル化剤、充填剤、打錠滑沢剤、崩壊剤、界面活性剤、及び着色剤を;吸込み型又は咀嚼製剤のために、さらに含み得る。
【0156】
経口使用向け組成物は、訴求力があり味のよい調合物を提供するために、甘味剤、着香剤、着色剤、及び/又は保存剤などの1種以上の成分をさらに含み得る。錠剤は、有効成分を、錠剤の製剤に好適である生理的に許容できる賦形剤と混合されて含む。そのような賦形剤には、例えば、不活性な希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム、造粒剤及び崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン又はアルギン酸など、結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、又はアラビ
アゴム、並びに滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクがある。錠剤は被覆されないことも、公知の技法により被覆されて、消化管内の崩壊及び吸収を遅延させ、それにより長期間にわたる持続作用を提供することもある。例えば、グリセリルモノステレート(monosterate)又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質(time delay material)が利用され得る。
【0157】
経口使用のための製剤は、有効成分が、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンなどの不活性な固体希釈剤と混合されているハードゼラチンカプセルとしても、有効成分が、水又は油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン、若しくはオリーブ油と混合されているソフトゼラチンカプセルとしても呈され得る。
【0158】
水性懸濁剤は、有効成分を、水性懸濁剤の製造に好適な賦形剤と混合されて含む。そのような賦形剤には、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、及びアラビアゴム、並びに分散剤又は湿潤剤、例えば、天然のリン脂質(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレートなど、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールなど、エチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなど、又はエチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートなどがある。水性懸濁剤は、1種以上の保存剤、例えばp-ヒドロキシ安息香酸エチル又はn-プロピル、1種以上の着色剤、1種以上の着香剤、及び1種以上の甘味剤、例えばスクロース又はサッカリンなども含み得る。
【0159】
油性の懸濁剤は、有効成分を、落花生油、オリーブ油、ゴマ油、若しくはヤシ油などの植物油に、又は流動パラフィンなどの鉱油に懸濁させることにより製剤化され得る。油性の懸濁剤は、蜜蝋、固形パラフィン、又はセチルアルコールなどの増粘剤を含み得る。上述のものなどの甘味剤及び/又は着香剤を加えて、味のよい経口調合物が提供され得る。そのような懸濁剤は、アスコルビン酸などの酸化防止剤の添加により保存され得る。
【0160】
水の添加による水性懸濁剤の調製に好適な分散性の散剤及び顆粒剤は、有効成分を、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1種以上の保存剤と混合されて提供する。好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤は、既に上記で言及されたものにより例示される。甘味剤、着香剤、及び着色剤などの追加の賦形剤も存在してよい。
【0161】
医薬組成物は、水中油型乳剤の形態でもあり得る。油相は、オリーブ油又は落花生油などの植物油でも、流動パラフィンなどの鉱油でも、これらの混合物でもよい。好適な乳化剤には、アラビアゴム又はトラガカントゴムなどの天然のゴム、大豆レシチンなどの天然のリン脂質、及び脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されたエステル又は部分エステル、例えばソルビタンモンオレエート(monoleate)など、及び脂肪酸とヘキシトールから誘導された部分エステルと、エチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモンオレエートなどがある。乳剤は、1種以上の甘味剤及び/又は着香剤も含み得る。
【0162】
シロップ剤及びエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はスクロースなどの甘味剤と共に製剤化され得る。そのような製剤は、1種以上の粘滑剤、保存剤、着香剤、及び/又は着色剤も含み得る。
【0163】
本発明の組成物は、皮膚への外用適用など、局所又は外用投与用に製剤化できる。外用
投与用の製剤は、典型的には、活性薬剤と組み合わされた外用ビヒクルを、追加の任意選択の成分と共に、又はなしに含む。
【0164】
好適な外用ビヒクル及び追加の成分は当技術分野に周知であり、ビヒクルの選択が特定の物理的形態及び送達様式によることが明らかだろう。外用ビヒクルには、有機溶媒、例えば、アルコール(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、又はグリセリン)、グリコール、例えばブチレン、イソプレン、又はプロピレングリコール、脂肪族アルコール、例えばラノリン、水と有機溶媒の混合物並びにアルコール及びグリセリンなどの有機溶媒の混合物、脂質系の物質、例えば脂肪酸、鉱油などの油及び天然又は合成による脂を含むアシルグリセロール、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、及び蝋、タンパク質系の物質、例えばコラーゲン及びゼラチン、シリコーン系物質(非揮発性と揮発性の両方)、及び炭化水素系物質、例えばマイクロスポンジ及びポリマーマトリックスがある。
【0165】
組成物は、適用される製剤の安定性又は有効性を改善するために適合された1種以上の成分、例えば、安定剤、懸濁化剤、乳化剤、粘度調整剤、ゲル化剤、保存剤、酸化防止剤、皮膚浸透促進剤、保湿剤、及び持続放出材料をさらに含み得る。そのような成分の例は、Martindale-The Extra Pharmacopoeia(Pharmaceutical Press,London 1993)及びMartin(ed.),Remington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。製剤は、マイクロカプセル、例えば、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル、リポソーム、アルブミンマイクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子、又はナノカプセルを含み得る。
【0166】
外用製剤は、例えば、固体、ペースト、クリーム、フォーム、ローション、ゲル、粉末、水性液体、エマルション、スプレー、及び皮膚パッチを含む種々の物理的形態で調製できる。そのような形態の物理的外観及び粘度は、製剤に存在する乳化剤及び粘度調整剤の存在及び量により制御できる。固体は、一般に、堅く、流れず、通常バー若しくはスティックとして、又は微粒子形態で製剤化される。固体は、不透明でも透明でもあり得るが、任意選択で溶媒、乳化剤、保湿剤、軟化剤、香料、染料/着色剤、保存剤、及び最終製品の効能を増加又は増大させる他の有効成分を含んでよい。クリーム剤とローション剤は多くの場合互いに類似であり、主にその粘度が異なる。ローション剤とクリーム剤はどちらも、不透明でも、半透明でも、透明でもあり得て、多くの場合、乳化剤、溶媒、及び粘度調整剤、並びに保湿剤、軟化剤、香料、染料/着色剤、保存剤、及び最終製品の効能を増加又は増大させる他の有効成分を含む。ゲル剤は、濃厚又は高粘度から希薄又は低粘度まで様々な粘度で調製できる。これらの製剤は、ローション剤及びクリーム剤と同様に、溶媒、乳化剤、保湿剤、軟化剤、香料、染料/着色剤、保存剤、及び最終製品の効能を増加又は増大させる他の有効成分を含み得る。液剤は、クリーム剤、ローション剤、又はゲル剤より薄く、多くの場合、乳化剤を含まない。液体外用製品は、多くの場合、溶媒、乳化剤、保湿剤、軟化剤、香料、染料/着色剤、保存剤、及び最終製品の効能を増加又は増大させる他の有効成分を含む。
【0167】
外用製剤に使用するための乳化剤には、イオン性乳化剤、セテアリルアルコール、非イオン性乳化剤、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ステアリン酸PEG-40、セテアレス-12、セテアレス-20、セテアレス-30、セテアレスアルコール、ステアリン酸PEG-100、及びステアリン酸グリセリルなどがあるが、これらに限定されない。好適な粘度調整剤には、保護コロイド又は非イオン性ゴム、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、シリカ、マイクロクリスタリンワックス、蜜蝋、パラフィン、及びパルミチン酸セチルがあるが、これらに限定されない。ゲル組成物は、ゲル化剤、例えば、キトサン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリクオタニウム、ヒドロキシエチルセイルロ
ース(ceilulose)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、又はアンモニア化グリチルリチン酸(ammoniated
glycyrrhizinate)の添加により形成され得る。好適な界面活性剤には、非イオン性、両性、イオン性、及びアニオン性界面活性剤があるが、これらに限定されない。例えば、ジメチコンコポリオール、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ラウラミドDEA、コカミドDEA、及びコカミドMEA、オレイルベタイン、コカミドプロピルホスファチジルPG-ジモニウムクロリド、及びラウレス硫酸アンモニウムの1種以上が、外用製剤内に使用され得る。
【0168】
保存剤には、抗微生物剤、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビン酸、安息香酸、及びホルムアルデヒド、並びに物理的安定剤(physical stabilier)及び酸化防止剤、例えば、ビタミンE、アスコルビン酸ナトリウム/アスコルビン酸、及び没食子酸プロピルがあるが、これらに限定されない。好適な保湿剤には、乳酸及び他のヒドロキシ酸並びにそれらの塩、グリセリン、プロピレングリコール、及びブチレングリコールがあるが、これらに限定されない。好適な軟化剤には、ラノリンアルコール、ラノリン、ラノリン誘導体、コレステロール、ペトロラタム、ネオペンタン酸イソステアリル、及び鉱油がある。好適な香料及び着色剤には、FD&C Red No.40及びFD&C Yellow No.5があるが、これらに限定されない。外用製剤に含めることができる他の好適な追加成分には、研磨剤、吸収剤、固化防止剤、消泡剤、帯電防止剤、収れん剤(アメリカマンサク由来のエキスなど)、アルコール及びカモミールエキスなどのハーブエキス、結合剤/賦形剤、緩衝剤、キレート剤、被膜形成剤、品質改良剤(conditioning agents)、噴射剤、乳白剤、pH調整剤、及び保護剤があるが、これらに限定されない。
【0169】
外用組成物の典型的な送達様式には、指を使用する塗布、物理的な塗布具、例えば、布、ティッシュペーパー、綿棒、棒、又はブラシを使用する塗布、ミスト、エアゾールを含む噴霧又は泡の噴霧、点滴器適用、散布、浸漬、及びすすぎがある。制御放出ビヒクルも使用でき、組成物は経皮投与のために(例えば、経皮パッチとして)製剤化され得る。
【0170】
医薬組成物は、投与後に調節物質の緩徐放出をもたらすカプセルなどの徐放性製剤として製剤化され得る。そのような製剤は、一般的に、周知の技術を利用して調製され、例えば、経口、直腸若しくは皮下移植により、又は所望の標的部位での移植により投与され得る。そのような製剤内で使用するための担体は生体適合性であり、生分解性でもあり得る。好ましくは、製剤は、比較的一定のレベルの調節物質放出を与える。徐放性製剤内に含まれる調節物質の量は、例えば、移植の部位、放出の速度及び予測される継続期間、並びに治療又は予防すべき障害の性質による。
【0171】
医薬組成物は、スプレー、ミスト、又はエアゾールを含む吸入製剤として製剤化され得る。例えば、気道への投与のために。これは、呼吸器疾患、本明細書に記載される線維症を含む気道又は肺の病態の治療のために、特に好ましくなり得る。吸入製剤は、上気道(鼻腔、咽頭、及び喉頭を含む)及び下気道(気管、気管支、及び肺を含む)への適用のためであり得る。吸入製剤では、本明細書に提供される組成物又は組合せは、当業者に公知であるあらゆる吸入方法により送達され得る。そのような吸入方法及び装置には、HFAなどの噴射剤又は生理学的及び環境的に許容できる噴射剤を使用する定量吸入器があるが、これらに限定されない。他の好適な装置は、呼吸作動型(breath operated)吸入器、多用量ドライパウダー吸入器、及びエアゾールネブライザーである。主題の方法に使用するためのエアゾール製剤は、典型的には、噴射剤、界面活性剤、及び共溶媒を含み、好適な定量バルブにより閉鎖される従来のエアゾール容器に充填され得る。適用が上気道(鼻腔、咽頭、及び喉頭を含む)に対するものか、又は下気道(気管、気管支、及び肺を含む)に対するものかによって、異なる装置及び賦形剤を使用でき、当業者に
より決定され得る。さらに、ドライパウダー吸入器などの吸入器に使用するための、本明細書に記載される化合物の調合物の微粒子化及びナノ粒子形成のプロセスも当業者により知られている。
【0172】
吸入剤組成物は、噴霧化及び気管支内使用に好適である有効成分を含む液体又は粉末化組成物を含むことも、計量された投与量を吐出するエアゾールユニットにより投与されるエアゾール組成物を含むこともある。好適な液体組成物は、有効成分を、水性の薬学的に許容できる吸入剤溶媒、例えば等張性食塩水又は静菌水中に含む。液剤は、ポンプ若しくは圧搾駆動型(squeeze-actuated)噴霧スプレーディスペンサーにより、又は必要な用量の液体組成物を患者の肺に吸入させるか、若しくはそれを可能にする任意の他の従来の手段により投与される。例えば点鼻スプレーとして、又は点鼻剤としての投与のための、担体が液体である好適な製剤は、有効成分の水性又は油性の溶液を含む。吸入薬物送達装置の例は、Ibrahim et al.Medical Devices:Evidence and Research 2015:8 131-139に記載されており、本発明での使用のために企図される。
【0173】
別の態様において、呼吸器疾患の治療又は予防を必要とする対象の呼吸器疾患を治療又は予防する方法であって、対象に、治療上有効な量の式(I)の化合物、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグを投与し、それにより対象の呼吸器疾患を治療又は予防することを含む方法が提供される。
【0174】
それを必要とする対象において呼吸器疾患の処置又は予防において使用するための、式(I)の化合物、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグをさらに提供する。
【0175】
それを必要とする対象における呼吸器疾患の処置又は予防のための医薬の調製における、式(I)の化合物、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグの使用をまた記載する。
【0176】
本明細書では、「予防すること(preventing)」又は「予防(prevention)」は、少なくとも、疾患又は障害を得るリスクの可能性(又はそれに対する感受性)の減少(すなわち、疾患に曝露され得るか、又はその素因があり得るが、疾患の症状をまだ経験しておらず、示してもいない患者に、疾患の臨床症状の少なくとも1つが起こらないようにすること)を指すものとする。そのような患者を特定するための生物学的及び生理学的パラメーターは本明細書に提供され、医師には周知されている。
【0177】
対象の「治療(treatment)」又は「治療すること(treating)」という用語は、疾患若しくは病態、疾患若しくは病態の症状、又は疾患若しくは病態のリスク(若しくはそれに対する感受性)を遅延させ、緩徐化し、安定化し、治癒し、癒やし、緩和し、軽減し、変更し、治療し、少なくし、悪化させ、寛解させ、改善し、又は影響を与える目的での、本発明の化合物の対象への適用又は投与(又は、本発明の化合物の、対象由来の細胞又は組織への適用又は投与)を含む。用語「治療すること」は、軽減などのあらゆる客観的若しくは自覚的なパラメーター;寛解;悪化の速度の減少;疾患の重症度の減少;安定化、症状の漸減若しくは創傷、病状、若しくは病態を対象にとってより許容できるものにすること;変性若しくは低下の速度の緩徐化;変性の最終点を衰弱性の弱いものにすること;又は対象の肉体的若しくは精神的健康を改善することを含む、創傷、病状、又は病態の治療又は改善の成功のあらゆる表れを指す。
【0178】
本明細書での用語「拮抗すること(antagonizing)」は、「減少させること(decreasing)」又は「低減させること(reducing)」を意味する
ものとする。充分な期間は、1週間の間、又は1週間と1か月の間、又は1~2か月、又は2か月以上であり得る。慢性病態では、本発明の化合物は、好都合には、生涯投与され得る。
【0179】
用語「呼吸の(respiratory)」は、鼻、喉、喉頭、気管、気管支、及び肺を含む体組織により酸素が体内に取り入れられ二酸化炭素が排出されるプロセスを指す。
【0180】
用語「呼吸器疾患(respiratory disease)」又は「呼吸器の病態(respiratory condition)」は、上気道(鼻腔、咽頭、及び喉頭を含む)及び下気道(気管、気管支、及び肺を含む)を含む呼吸器系の構成要素を冒す炎症及び/又は組織リモデリングを含み得るいくつかの疾患のいずれか1つを指す。そのような疾患には、肺線維症(間質性肺疾患)、鼻副鼻腔炎、インフルエンザ、サルコイドーシス、気管支癌(肺の非小細胞及び小細胞癌、並びに他の器官の腫瘍からの肺転移を含むがこれらに限定されない)、珪肺症、塵肺症、急性肺損傷、人工呼吸関連(ventilation-induced)肺損傷、先天性肺気腫、気管支肺異形成症、気管支拡張症、無気肺、鼻ポリープ、アスベスト症、中皮腫、肺好酸球増加症、びまん性肺出血症候群(diffuse pulmonary haemorrhage syndromes)、閉塞性細気管支炎、肺胞蛋白症、肺を冒すコラーゲン及び血管の障害、並びに咳がある。好ましくは、呼吸器疾患は、閉塞性気道疾患であり、そのような疾患には、喘息性病態、例えば、花粉症、アレルゲン誘発性喘息、運動誘発性喘息、汚染誘発性(pollution-induced)喘息、寒冷誘発性喘息、ストレス誘発性喘息及びウイルス誘発性喘息、肥満関連喘息、職業性喘息、雷雨喘息、喘息・COPDオーバーラップ症候群(ACOS)など、慢性閉塞性肺疾患、例えば、気流が正常な慢性気管支炎、気道閉塞を伴う慢性気管支炎(慢性閉塞性気管支炎)、肺気腫、喘息性気管支炎、及び水疱性疾患、並びに炎症を含む他の肺疾患、例えば、嚢胞性線維症、鳩飼い病、農夫肺症、急性呼吸窮迫症候群、真菌、ウイルス、細菌、混合、又は未知の病因の肺炎、吸引又は吸入の創傷、肺の脂肪塞栓症、肺のアシドーシス炎症(acidosis inflammation)、急性肺浮腫、急性高山病、心臓手術後(post-cardiac surgery)、急性肺高血圧、新生児の持続性肺高血圧、周生期吸引症候群、ヒアリン膜症、急性肺血栓塞栓症、ヘパリン-プロタミン反応、敗血症、喘息発作重積状態、及び低酸素症がある。上気道及び下気道の炎症は、ウイルス感染又はアレルゲンと関連することも、それにより起こされることもある。単独又はグルココルチコイドと共投与される化合物の抗炎症活性が、これらの疾患又は病態の治療に特に好適であろうということが予測される。
【0181】
呼吸器の疾患又は病態は、イエダニなどのアレルゲンと関連することも、それにより起こされることもある。呼吸器の疾患又は病態は、アレルゲン誘発性炎症の結果であり得る。本発明は、気道又は肺のアレルギー性疾患及びウイルス感染(例えば、RSV感染)から生じる増悪など、その疾患の増悪に特に応用される。
【0182】
呼吸器疾患の症状は、咳、過剰な痰産生、息切れの感覚、又は聞きとれる喘鳴を伴う胸苦しさを含み得る。運動能力は非常に制限され得る。喘息では、体重、身長、及び年齢に基づいて図表から予測されるもののパーセンテージとしてのFEV1.0(1秒間努力呼気容量)は、努力呼気における最大呼気流量と同様に減少し得る。COPDでは、努力肺活量(FVC)の比としてのFEV1.0は、典型的には0.7未満に減少する。IPFでは、FVCの進行性の低下がある。これらの状態のそれぞれの影響は、出勤/通学できない日々(days of lost work/school)、睡眠の障害、気管支拡張剤の必要性、経口グルココルチコイドを含むグルココルチコイドの必要性によっても測定され得る。これらの状態の影響のさらなる尺度は、実証された健康関連の生活の質測定値を含む。X線、高分解能コンピューター断層撮影、磁気共鳴画像法、陽電子放出断層撮影、超音波、光干渉断層撮影法、及び蛍光透視法を含むがこれらに限定されない医療用
イメージング処置を利用して、疾患及び治療的な反応を評価することもできる。
【0183】
呼吸器疾患の存在、その改善、その治療又は予防は、対象又はそれから得られる生検材料の、あらゆる臨床的又は生化学的に関連する方法によることがある。例えば、測定されるパラメーターは、肺機能の存在又は程度、閉塞の徴候及び症状;運動耐性;夜間覚醒;通学又は出勤できない日;気管支拡張剤の使用;ICS投与量;経口GC使用;他の薬物療法の必要性;医療の必要性;入院であり得る。
【0184】
本明細書では、用語「喘息」は、アレルゲン又はアレルゲンの組合せ(すなわちチリダニ及びカビ)への曝露、ウイルス又は細菌感染(すなわち感冒ウイルス)、環境汚染物質(すなわち、化学煙霧又は煙)、身体運動(すなわち運動の間)、ストレス、又は冷気の吸入により引き起こされ得る、1)気管支痙攣(すなわち、気道の筋収縮による変動性があり可逆的な気道閉塞)、2)気道被覆の炎症、及び3)気道中の過度の粘液をもたらす気管支過剰反応性を含む3種の主因のいずれか1つ又は組合せにより起こされる一時的な呼吸困難を特徴とする呼吸器疾患を指す。本明細書での用語「喘息性病態」は、その個人にとっての喘息の引き金のいずれか1つ又はいくつかへの曝露時に喘息の発作を患う個人の特性を指す。個人は、例えば、アレルゲン誘発喘息、運動誘発性喘息、汚染誘発性喘息、ウイルス誘発性喘息、又は寒冷誘発性喘息を患っていると特性化され得る。
【0185】
喘息の治療の効能は、当技術分野に周知である方法、例えば、肺の機能の増加(スピロメトリー)、喘息増悪の減少、朝の最大呼気流量の増加、レスキュー薬使用の減少、日中及び夜間の喘息症状の減少、喘息発作のない日の増加、喘息増悪までの時間の増加、並びに1秒間努力呼気容量(FEV1.0)の増加により測定できる。
【0186】
本明細書において互換的に使用される用語「慢性閉塞性肺疾患」及び「COPD」は、数ヶ月にわたり顕著には変化せず、従来の気管支拡張剤により戻せないか、又はわずかしか戻せない最大呼気流量の減少及び肺の努力性の排気(forced emptying)の緩徐化を特徴とする慢性の疾患又は疾患の組合せを指す。最も普通には、COPDは、慢性気管支炎、すなわち連続した約2年の間の3か月を超える間の咳及び痰の存在と肺気腫、すなわち肺胞傷害の組合せである。しかし、COPDは、正常な気流を有する慢性気管支炎、気道閉塞を伴う慢性気管支炎(慢性閉塞性気管支炎)、肺気腫、喘息性気管支炎、及び水疱性疾患、並びにこれらの組合せを含み得る。慢性閉塞性肺疾患は、排他的ではないが通常は、タバコの煙への曝露により誘導される慢性肺傷害から生じる病態である。室内の料理による排気及び自動車の排気など、空気で運ばれる他の有害な汚染物質は、長期間にわたり、老化と同様にCOPDの危険性を生じさせるか、又は増加させ得る。
【0187】
句「線維症を含む気道又は肺の病態」又は「線維性の成分を有する気道又は肺の病態」は、気道又は肺における過剰な線維性の結合組織の形成又は発生(線維症)があり、それにより瘢痕性(線維性)組織が生じるあらゆる疾患又は病態を含む。これは、肺線維症(pulmonary fibrosis)、肺線維症(lung fibrosis)、又は特発性肺線維症(IPF)などの間質性肺疾患を含む。より精密には、肺線維症は、肺の肺胞及び間質組織の腫脹及び瘢痕化を起こす慢性疾患である。瘢痕組織は健康な組織に置き換わり、炎症を起こす。肺組織に対するこの損傷が肺の硬直を起こし、それはその後に呼吸をより困難にする。肺線維症は、放射線障害からも、ブレオマイシンなどの治療剤への曝露からも生じ得る。
【0188】
「特発性肺線維症(IPF)」は、間質性肺疾患の1種である特発性間質性肺炎(IIP)の具体的な発現である。間質性肺疾患、別名びまん性実質性肺疾患(DPLD)は、間質を冒す一群の肺疾患を指す。微視的には、IPF患者から得た肺組織は、通常型間質性肺炎(UIP)として知られる組織学的特徴の特有なセットを示す。したがって、UI
Pは、IPFの病理学的な表現である。
【0189】
線維症を含む気道又は肺の病態、特に、肺線維症(pulmonary fibrosis)/肺線維症(lung fibrosis)又は特発性肺線維症の存在、その改善、その治療若しくは予防は、対象又は対象から得られた生検材料のあらゆる臨床的又は生化学的に関連する方法によることがある。例えば、FVCの低下の割合又は肺の高分解能コンピューター断層画像の様子は、IPFの診断に有用であり得る。さらに、測定されるパラメーターは、線維症の存在若しくは程度、コラーゲン、フィブロネクチン、若しくは別の細胞外マトリックスタンパク質の含量、細胞若しくは細胞中の細胞外マトリックス成分の増殖速度、又は細胞の筋線維芽細胞への分化転換であり得る。
【0190】
一実施形態において、呼吸器疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患(特発性肺線維症など)、及び組織リモデリングに関連する他の病態、原発性又は続発性肺腫瘍、花粉症、慢性及び急性副鼻腔炎、並びに気道の慢性及び急性のウイルス、真菌、及び細菌感染から選択される。
【0191】
一実施形態において、呼吸機能の改善は、肺の収縮のレベルの減少、呼吸器系の弾性スティフネスの減少、及び/又は呼吸器系の拡張しやすさの増加から選択され得る。好ましくは、改善は、肺の収縮のレベルの減少、及び呼吸器系の弾性スティフネスの減少から選択される。さらに別の態様において、式(I)による化合物、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグ、及び薬学的に許容できる賦形剤を含む組成物が提供される。
【0192】
製剤の治療上有効な量は、具体的な呼吸器疾患適応症(例えば、重度の慢性喘息)の重症度、患者の病歴及び反応、並びに担当医の判断による。製剤は、患者に、一度にも、一連の治療にわたっても投与され得る。初期の候補用量が患者に投与され、適切な用量及び治療レジメンが、当業者に周知である従来の技法を利用してこの患者の進行をモニターすることにより確立され得る。好ましくは、活性化合物の治療上有効な濃度は、0.1nM~100μMの範囲だろう。より好ましくは、範囲は0.1~10μMだろう。しかし、吸入による送達が、気道内の細胞が上記で引用されたものを超える濃度に短期間曝されるようにし得るが、その間に(for a period of time whilst)薬物が気道表面流体で希釈されており、気道及び肺表面から吸収されてもいることが認識されるだろう。
【0193】
一態様において、本発明の治療の方法は、標的疾患適応症の併用薬を投与することをさらに含む。例えば、本発明の方法と共に利用され得る付随する喘息薬物療法(慢性と急性の両方)には、下記があるが、これらに限定されない:吸入及び経口ステロイド(例えば、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、トリアムシノロン、モメタゾン);全身性コルチコステロイド(例えば、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、デキサメタゾン、及びデフラザコート);吸入又は経口β2-アドレナリン受容体アゴニスト(例えば、サルメテロール、ホルモテロール、ビトルテロール、ピルブテロール、ビランテロール、テルブタリン、バンブテロール、及びアルブテロール);クロモリン及びネドクロミル;抗アレルギー性オプタルミック(opthalmic)薬物療法(例えば、デキサメタゾン);ピルフェニドン及びニンテダニブを含む、トランスフォーミング成長因子-βの産生及び作用を調節する薬剤;メチルキサンチン及び他のホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、テオフィリン及びメピラミン-テオフィリンアセテート、ロフルミラスト);ロイコトリエン調節剤(例えば、ザフィルルカスト、ジロートン、モンテクラスト(montekulast)及びプランルカスト);抗コリン作用薬(例えば、イパトロピウム(ipatropium)ブロミド);任意のフォーマットの他の治療用抗体(例えば、メポリズマブなど、インターロイキン5に対する抗体、又は
オマリズマブなど、IgEに対する抗体、モノクローナル形態のこれらの抗体、Fab、scFV、多価組成物、異種抗体など)、天然若しくは操作された抗体ミメティック(例えば、アンチカリン)又は天然、操作された、若しくは合成のペプチド;トロンボキサンA2シンセターゼ阻害剤;トロンボキサンプロスタノイド受容体アンタゴニスト;他のエイコサノイド調節物質(例えば、アルプロスタジル対PGE1、ジノプロストン対PGE2、エポプロステノール対プロスタサイクリン及びPGI2アナログ(例えば、PG12ベラプロスト)、セラトロダスト、ホスホジエステラーゼ4アイソエンザイム阻害剤、トロンボキサンA2シンセターゼ阻害剤(例えば、オズマグレル(ozmagrel)、ダズメグレル、又はオザグレル);ダイテック(ditec)(低投与量クロモグリク酸二ナトリウム及びフェノテロール);血小板活性化因子受容体アンタゴニスト;抗ヒスタミン剤又はヒスタミンアンタゴニスト:プロメタジン、クロルフェニラミン、ロラタジン、セチラジン(cetirazine)、アゼラスチン;トロンボキサンA2受容体アンタゴニスト;ブラジキニン受容体アンタゴニスト(例えば、イカチバント);活性化された好酸球及びT細胞動員を阻害する薬剤(例えば、ケトチフェン)、IL-13ブロッカー(例えば、可溶性IL-13受容体断片)、IL-4ブロッカー(例えば、可溶性IL-4受容体断片);IL-13又はIL-4に結合し、その活性を遮断するリガンド、及びキサンチン誘導体(例えば、ペントキシフィリン);ケモカイン受容体アンタゴニスト及びCRTH2受容体のアンタゴニスト。
【0194】
特定の実施形態において、本発明の治療の方法は、標的タンパク質をコードする遺伝子の発現を減少させるか、阻害するか、又は予防する目的の、対象への阻害性RNA分子(RNA干渉分子)の同時の提供を含む。例えば、阻害性RNA分子は、病原体(ウイルス、細菌、真菌)又は哺乳動物細胞と関連するタンパク質、例えば、非限定的に、カゼインキナーゼ1アイソフォーム及びクロック制御ネットワーク(CLOCK regulatory network)の他の成分(例えば、ARNT1、period 1~3)及び呼吸器系における炎症反応に寄与する他のタンパク質、例えばインターロイキン-5及びNALPインフラマソームなどの1種以上の発現を減少又は阻害するために利用され得る。
【0195】
当業者は、対象の遺伝子発現に干渉する目的で、阻害性RNA分子を利用するための種々の手段をよく知っているだろう。例えば、阻害性RNA分子は、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNAミメティック(miRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)又は長鎖二本鎖RNA分子のいずれか1つでよい。阻害性RNA分子は、治療を要する対象に(例えば、吸入、気管内、経口、若しくは鼻腔内投与により、又は非経口投与により)直接投与されることも、或いは、治療を受ける対象内で、阻害性RNA分子を形成することが可能な二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするポリヌクレオチド(ベクター)コンストラクトの投与の後に形成されることもある。当業者は、投与用の阻害性RNA分子を製剤化するための(例えば、リポソーム、ナノ粒子などの中)当技術分野に公知である種々の方法をよく知っているだろう。本発明は、カゼインキナーゼ1の阻害剤及び上述の標的疾患適応症のための医薬品の投与であって、一方又は両方が吸入により投与されるか、又は経口投与用に製剤化される投与も含む。
【0196】
本発明はヒトに応用されるが、本発明は、治療のための獣医学的目的にも有用である。本発明は、畜牛、ヒツジ、ウマ、及び家禽などの飼い慣らされた動物又は家畜に;ネコ及びイヌなどの伴侶動物;並びに動物園の動物に有用である。
【0197】
本明細書では、「対象」は、ヒト、サル、ウマ、乳牛、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット、マウス、ニワトリを含む、哺乳類又は鳥類の種などの動物を指す。
【0198】
CK1δ相同体は、原生動物、例えば、マラリアにおいて、並びに真菌及び細菌におい
てを含めて、自然において広範に存在する。したがって、本発明の化合物は、CK1δ相同体の阻害を必要とする任意の用途において使用し得ることが考えられる。このような使用は、原生動物、真菌及び/又は細菌による感染及び/又は寄生と関連する疾患、状態及び/又は障害を患っている対象への本発明の化合物の投与を含み得る。
【0199】
別の態様において、本発明は、細胞と、有効量の本明細書に定義されているような式(I)の化合物、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグとを接触させることを含む、カゼインキナーゼ1δ(CK1δ)を阻害する方法を提供する。
【0200】
驚いたことに、本発明の化合物、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグは、CK1δの選択的阻害剤としての役割を果たし得る。それらの開示される形態のいずれかの本発明の化合物は、1種若しくは複数の他のキナーゼ、例えば、ALK5/TGFBR1、ARK5/NUAK1、カゼインキナーゼ1ε(CK1ε)、p38a/MAPK14などと比較して、CK1δを選択的に阻害し得る。一部の実施形態では、本発明の化合物は、CK1δに関して、少なくとも1つのキナーゼに対して少なくとも約1倍、5倍、10倍又は100倍選択的であり得る。
【0201】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載される式(I)の化合物又は式(I)の化合物を含む医薬組成物を含むキット又は製造物を提供する。
【0202】
他の実施形態において、本明細書に言及された治療的又は予防的な用途に使用するためのキットであって、式(I)の化合物又は式(I)の化合物を含む医薬組成物を収容する容器;及び使用のための説明がついたラベル又は添付文書を含むキットが提供される。
【0203】
キット又は「製造物」は、容器及び容器上又は容器と関連するラベル又は添付文書を含み得る。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、ブリスターパックなどがある。容器は、ガラス又はプラスチックなど、種々の材料から形成され得る。容器は、病態を治療するのに有効である式(I)の化合物又は組成物を収容し、滅菌されたアクセスポートを有し得る(例えば、容器は、静脈内液剤バッグ又は皮下注射針により貫通可能なストッパーを有するバイアルであり得る)。ラベル又は添付文書は、組成物が障害の治療のために使用されることを示す。一実施形態において、ラベル又は添付文書は、使用のための説明を含み、治療用又は予防用の組成物が本明細書に記載される障害を治療するために使用できることを示す。
【0204】
キットは、(a)治療用又は予防用の組成物;及び(b)第2の有効成分又は成分を含む第2の容器を含み得る。本発明のこの実施形態におけるキットは、組成物及び他の有効成分が、障害を治療するために、又は本明細書に記載される障害から生じる合併症を予防するために使用できることを示す添付文書をさらに含み得る。或いは、又はさらに、キットは、薬学的に許容できる緩衝液、例えば、静菌注射用水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、及びデキストロース液を含む第2の(又は第3の)容器をさらに含み得る。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、ニードル、及びシリンジを含む、商業的な観点及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。
【0205】
特定の実施形態において、治療用組成物は、式(I)の化合物又は式(I)の化合物を含む治療用若しくは予防用の医薬組成物を収容する入れ物を含む、使い捨て又は再利用可能な装置の形態で提供され得る。一実施形態において、装置はシリンジである。治療用又は予防用の組成物は、すぐに使える状態であるか、又はさらなる成分の混合若しくは添加を要する状態の装置中に提供され得る。
【実施例0206】
インビトロアッセイ
キナーゼ阻害アッセイ
使用したアッセイは、HotSpotアッセイ(Reaction Biology Corp)であった。
【0207】
化合物を、10μMで開始する3倍段階希釈を伴って、10用量IC50モードで試験した。対照化合物であるスタウロスポリンを、20μMで開始する4倍段階希釈を伴って、10用量IC50モードで試験した。反応は、10μMのATPで行った。
【0208】
試薬
ベース反応緩衝液;20mMのHepes(pH7.5)、10mMのMgCl2、1mMのEGTA、0.02%Brij35、0.02mg/mLのBSA、0.1mMのNa3VO4、2mMのDTT、1%DMSO。
*必要とされる共同因子を、各キナーゼ反応物に個々に加える。
【0209】
反応手順
1.ペプチド基質をベース反応緩衝液中で新たに調製した。
2.任意の必要とされる共同因子を、上記の基質溶液に供給した。
3.ヒト組換えカゼインキナーゼ1δを基質溶液中に供給し、穏やかに混合した。
4.DMSO中の化合物を、Acoustic技術(Echo550;ナノリットル範囲)によってキナーゼ反応混合物中に供給し、室温にて20分間インキュベートした。
5.33P-ATP(比活性度10mCi/mL)をATP(10μM)と一緒に反応混合物中に供給した。
6.キナーゼ反応物を、室温にて2時間インキュベートした。
7.反応混合物をP81イオン交換紙上へとスポットした。
8.フィルター結合方法を使用して33P-ATP-標識生成物であるペプチドを測定することによってキナーゼ活性を検出した。
【0210】
アッセイ(カゼインキナーゼ1δ上で行う)の結果を、表2(PIC50)及び表3(IC50)において下記で示す。
【0211】
【0212】
【0213】
ヒト実質線維芽細胞アッセイ
初代ヒト実質線維芽細胞(pFb)は、肺切除標本の実質から及び慢性呼吸器疾患を有さないドナーの移植されていない肺から培養した。pFbを、10%(v/v)加熱不活性化したウシ胎仔血清(FCS)、15mMのHEPES、0.2%(v/v)炭酸水素ナトリウム、2mMのL-グルタミン、1%(v/v)非必須アミノ酸、1%(v/v)ピルビン酸ナトリウム、2.5μg/mLのアンホテリシン、5IU/mLのペニシリン及び50μg/mLのストレプトマイシンを含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で継代培養した。
【0214】
実験法の前に、0.25%ウシ血清アルブミン(BSA)及びインスリン-トランスフェリン-セレン含有サプリメント(Monomed A;CSL、Parkville、
Melbourne、Australia)を含有する無血清DMEM中でpFbをインキュベートした。細胞を、100pMのTGF-β1(R&D Systems、Minneapolis、MN)の前に、小分子のCK1δデルタ阻害剤(0.1~10μM)と共に30分間インキュベートし、免疫反応性IL-11の検出のための上清の回収の前にインキュベーションを16~24時間続けた。ストック溶液を100%DMSO中の10mMとして作製し、0.1%DMSO(最終濃度)を含有する培地中で必要とされる濃度まで希釈した。
【0215】
メーカーの説明書に従ってELISAによるIL-11(R&D DuoSet、DY218)の測定のために上清を集めた。一般に、PBS緩衝液を使用してキャプチャー抗体を推奨された濃度まで最初に希釈し、次いで、50μL/ウェルを加えることによって96ウェルマイクロプレート(Greiner、#655061)のウェルをコーティングするために使用し、室温にて一晩インキュベートした。翌日、溶液を廃棄し、ウェルを洗浄緩衝液(0.1%(v/v)Tween-20を含有するPBS)で3回洗浄し、その後、200μLのブロッキング溶液(1%(v/v)BSAを含有するPBS)を1時間添加し、非特異的部位をブロックした。次いで、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄し、次いで、50μLの試料又は標準物質をウェルに加え、室温にて2時間インキュベートした。インキュベーションの後、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄し、50μLの検出抗体をウェルに加え、室温にて2時間インキュベートした。次いで、プレートを3回洗浄し、その後、(推奨された濃度で)ストレプトアビジン結合西洋ワサビペルオキシダーゼを45分間加えた。次いで、プレートを洗浄緩衝液で5回洗浄し、十分なシグナルが出現するまで、100μLのTMB基質溶液(等量のA及びB、BD Biosciences)を各ウェルに加えた。100μLの硫酸(2MのH2SO4)を加えることによって反応を不活性化した。吸光度を、Multiskan Ascent(登録商標)プレートリーダーを使用して450nmにて測定した。サイトカイン標準物質の吸光度をロジスティック方程式にフィットさせ、試料中のサイトカインの濃度が決定されることを可能とした。
【0216】
TGF-βによって誘発されるIL-11の阻害のための
PIC
50値(IL-11レベルを50%抑制する濃度の負の対数)を、IL-11レベルに対する小分子の対数濃度の線形回帰から内挿した(表4及び
図2)。
【0217】
【0218】
合成
全般
プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H NMR、400、600 MHz)及びプロトンデカップル炭素-13核磁気共鳴スペクトル(13C NMR、100、150 MHz)を、残存プロトン化溶媒を内部標準として重水素化溶媒中で得た。ケミカルシフトに次いで、可能な場合、多重度、カップリング定数(J、Hz)、積分、及び帰属を行った。フラッシュクロマトグラフィーを、Stillらの手順に従って、自動化システムを利用して実施した1。分析用薄層クロマトグラフィー(t.l.c.)をアルミニウムで裏打ちされた厚さ2mmのシリカゲル60 GF254で実施し、クロマトグラムを紫外線ランプの下で可視化した。高分解能質量スペクトル(HRMS)を、エレクトロスプレーイオン化(ESI)及び飛行時間型質量分析器を利用して試料をイオン化することにより得た。乾燥THF及びCH2Cl2は、Pangbornらの方法2により得た。石油スピリット(Pet.spirits)は沸点範囲40~60℃の石油エーテルを指す。他の市販の試薬は全て受け取ったまま使用した。
1 W.C.Still,M.Kahn and A.M.Mitra,J.Org.Chem.,1978,43,2923.
2 A.B.Pangborn,M.A.Giardello,R.H.Grubbs,R.K.Rosen and F.J.Timmers,Organometallics,1996,15,1518.
【0219】
【0220】
2-(メチルチオ)ピリミジン-4-カルバルデヒド(1)
水性4M HCl(13mL)を、4-ジメトキシメチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン(2.42g、12.1mmol)の溶液に加えた。このように得られた混合物を、50℃にて18時間加熱した。1H NMR分析は、カルバルデヒドへの変換を示したため、混合物を室温に冷却した。反応混合物をEtOAcで希釈し、45%KOH溶液で中和した。水相をEtOAcで抽出し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。粗製の材料を次のステップにおいて精製をせずに使用した(2.74g、87%)。1H NMR(CDCl3,400MHz)δ 2.64(3H,s),7.44(1H,d,J=4.8Hz),8.77(1H,d,J=4.8Hz),9.96(1H,s).
【0221】
4-((シクロヘキシルイミノ)-メチル)-N-メチルスルファニルピリミジン-2-アミン(12)
水性K2CO320%w/v(0.55g、0.39mmol)及びシクロヘキシルアミン(2.45mL、21.4mmol)を、粗製のアルデヒド(2.74g、17.8mmol)のCH2Cl2(15mL)溶液に加えた。反応混合物を室温にて一晩撹拌した。1H NMR分析は、アルデヒドの完全な消費を示した。イミンを含有する反応混合物を、次のステップにおいて単離をせずに直接使用した。
【0222】
4-(1-シクロヘキシル-4-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール-5-イル)-2-(メチルスルファニル)ピリミジン(13)
CH2Cl2(15ml)中のα-(p-トルエンスルホニル)-4-フルオロベンジルイソニトリル(5.67g、19.6mmol)、12(2.74g、17.8mmol)及びK2CO3(2.71g、19.6mmol)の混合物を、室温にて一晩撹拌した。反応混合物をCH2Cl2で希釈し、水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮した。残渣のフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/石油スピリット1:1)によって、固体を得て、これをEtOAc/石油スピリットから再結晶化し、スルフィドを淡黄色の結晶として得た(2.32g、35%)、m.p.192~195℃。1H-NMR(400MHz;CDCl3):δ 1.41-1.19(3H,m),1.7
5-1.59(3H,m),1.88(2H,d,J=13.3Hz),2.16(2H,d,J=11.3Hz),2.58(3H,s),4.62(1H,tt,J=11.9,3.4Hz),6.76(1H,d,J=5.2Hz),6.99(2H,t,J=8.6Hz),7.40(2H,dd,J=8.5,5.5Hz),7.76(1H,s),8.31(1H,d,J=5.2Hz);13C-NMR(101MHz;CDCl3):δ 14.2,25.4,26.0,34.7,55.9,115.5,115.71(s,1C),117.2,124.2,130.3(d,JC-F=8.0Hz),130.6(d,JC-F=3.2Hz),136.6,143.1,157.1,158.2,162.6(d,JC-F=247Hz),173.0;HRMS(ESI+)C20H22FN4S(M+H)の計算値369.1549、実測値369.1545。
【0223】
4-(1-シクロヘキシル-4-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール-5-イル)-2-メチルスルホニルピリミジン-2-アミン(14)
mCPBA(55~86%)(0.569g、3.30mmol)を、CH2Cl2(20mL)中の13(0.404g、1.10mmol)の混合物に少しずつ加え、混合物を室温にて一晩撹拌した。混合物を水性Na2CO3、水、ブラインでクエンチし、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮し、スルホンを無色の固体として得た(0.440g、87%)、m.p.196~202℃。1H-NMR(400MHz;CDCl3):δ 1.93-1.21(8H,m),2.23(2H,d,J=11.3Hz),3.39(3H,s),4.85(1H,tt,J=11.8,3.4Hz),7.08(2H,t,J=8.6Hz),7.27(1H,m),7.43(2H,dd,J=8.5,5.5Hz),7.86(1H,s),8.59(1H,d,J=5.4Hz);13C-NMR(101MHz;CDCl3):δ 25.5,25.8,34.9,39.2,56.9,116.0,116.3,123.1,130.3(d,JC-F=3.6Hz,1C),130.7(d,JC-F=8.2Hz),138.2,146.0,157.5,159.8,163.1(d,JC-F=249Hz),166.3;HRMS(ESI+)C20H22FN4O2S(M+H)の計算値401.1447、実測値401.1444。
【0224】
4-(1-シクロヘキシル-4-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール-5-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)ピリミジン-2-アミン(15;ZH2-102)
4-アミノメチルテトラヒドロピラン(95.0μL、0.776mmol)を、14(31.1mg、0.078mmol)のTHF(5mL)溶液に加え、混合物を40℃にて2日間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/石油スピリット35%から100%)によって精製し、淡黄色の固体(24.4mg、72%)を得た。1H-NMR(400MHz;CDCl3):δ 1.23-1.42(6H,m),1.60-1.75(5H,m),1.89(2H,m),2.17(2H,m),3.38(4H,m),3.99(2H,dd,J=3.7,11.3Hz),4.54(1H,s),5.41(1H,s),6.40(1H,d,J=5.1Hz),6.98(2H,t,J=8.7Hz),7.44(2H,dd,J=5.6,8.5Hz),7.74(1H,s),8.13(1H,d,J=3.9Hz);13C-NMR(101MHz;CDCl3):δ 25.4,26.1,31.0,34.6,35.3,47.5,55.6,67.8,112.0,115.2,115.4,125.2,130.0(d,JC-F=8.0Hz),130.72(d,JC-F=3.1Hz),135.8,141.5,158.2,159.0,162.4(d,JC-F=248Hz),162.7.
【0225】
4-(1-シクロヘキシル-4-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール-5-
イル)-N-(ピリジン-2-イルメチル)ピリミジン-2-アミン(2-ピコリル)(19;ZH2-130)
2-ピコリルアミン(74.0μL、0.724mmol)を、14(29.0mg、0.072mmol)のTHF(5mL)溶液に加え、混合物を40℃にて2日間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/石油スピリット70%から100%)によって精製し、淡黄色の固体(30.9mg、99%)を得た。1H-NMR(500MHz;CDCl3):δ 1.20-1.27(3H,m),1.58-1.68(3H,m),1.83-1.85(2H,m),2.14-2.16(2H,m),4.56(1H,tt,J=12.0,3.6Hz),4.80(2H,d,J=5.5Hz),6.35(1H,m),6.44(1H,d,J=5.1Hz),6.95-7.00(2H,m),7.19-7.21(1H,m),7.32(1H,d,J=7.8Hz),7.43-7.47(2H,m),7.66(1H,td,J=1.8,7.7Hz),7.73(1H,s),8.18(1H,d,J=5.1Hz),8.58(1H,dt,J=0.7,4.9Hz).13C-NMR(126MHz;CDCl3):δ 25.4,25.9,34.7,46.7,55.7,112.3,115.3,115.4,121.6,122.4,125.2,130.1(d,JC-F=8.0Hz),130.7(d,JC-F=3.2Hz),135.8,136.8,141.5,149.4,157.7,158.4,159.0,162.4(d,JC-F=247Hz),162.5.
【0226】
N-([1,1’-ビフェニル]-4-イルメチル)-4-(1-シクロヘキシル-4-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン(25;ZH2-66)
4-フェニルベンジルアミン(30.0mg、0.162mmol)を、14(32.6mg、0.081mmol)のTHF(5mL)溶液に加え、混合物を室温にて6日間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/石油スピリット50%から100%)によって精製し、それに続いて、PhMe/EtOAcからの再結晶化を行い、淡黄色の結晶(20.9mg、51%)を得た。1H-NMR(400MHz;CDCl3):1H-NMR(400MHz;CDCl3):δ 1.12-1.26(2H,m),1.56-1.62(2H,m),1.81(2H,m),1.89-1.96(2H,m),2.13(2H,d,J=12.0Hz),4.52-4.59(1H,m),4.77(2H,d,J=6.0Hz),5.66(1H,t,J=0.8Hz),6.46(1H,d,J=5.1Hz),7.00(2H,t,J=8.6Hz),7.35(1H,t,J=7.2Hz),7.42-7.48(6H,m),7.59(4H,m),7.75(1H,s),8.18(1H,d,J=4.7Hz);13C-NMR(101MHz;CDCl3):δ 25.4,25.8,34.7,45.2,55.6,112.5,115.3,115.5,127.2,127.5,127.6,127.7,129.0,130.2(d,JC-F=7.8Hz),130.6(d,JC-F=3.3Hz),135.9,138.2,140.6,158.4,159.1,162.5,162.5(d,JC-F=247Hz).
【0227】
4-(1-シクロヘキシル-4-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール-5-イル)-N-(シクロペンチルメチル)ピリミジン-2-アミン(27;ZH2-86)
シクロペンチルメチルアミン(96.0μL、0.973mmol)を、14(39.0mg、0.097mmol)のTHF(5mL)溶液に加え、混合物を40℃にて18時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/石油スピリット50%から100%)によって精製し、淡黄色の固体(17.2mg、42%)を得た。1H-NMR(400MHz;CDCl3):δ 1.19-1.41(5H,m),1.53-1.90(11H,m),2.16-2.25(3H,m),3.38(2H,t,J=6.5Hz),4.57-4.59(1H,m),5.2
8-5.33(1H,bs),6.38(1H,d,J=5.1Hz),6.98(2H,t,J=8.7Hz),7.45(2H,dd,J=5.6,8.5Hz),7.74(1H,s),8.12(1H,bs,J=0.6Hz);13C-NMR(101MHz;CDCl3):δ 25.5,26.0,30.6,34.7,39.7,46.9,55.6,111.8,115.2,115.5,125.3,130.1(d,JC-F=8.0Hz),130.7(d,JC-F=3.0Hz),135.8(d,JC-F=8.0Hz),141.5,158.1,159.0,162.3,162.4(d,JC-F=248Hz).
【0228】
4-(1-シクロヘキシル-4-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール-5-イル)-N-(シクロヘキシルメチル)ピリミジン-2-アミン(28;ZH2-98)
シクロヘキシルメチルアミン(92.0μL、0.706mmol)を、14(28.3mg、0.071mmol)のTHF(5mL)溶液に加え、混合物を室温にて2日間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/石油スピリット40%から70%)によって精製し、淡黄色の固体(28.4mg、92%)を得た。1H-NMR(400MHz;CDCl3):δ 0.93-1.03(2H,m),1.11-1.37(7H,m),1.54-1.89(10H,m),2.16(2H,d,J=11.2Hz),3.29(2H,t,J=6.4Hz),4.57(1H,bs),5.37(1H,bs),6.36(1H,d,J=5.1Hz),6.97(2H,t,J=8.7Hz),7.44(2H,dd,J=5.6,8.6Hz),7.72(1H,s),8.10(1H,s);13C-NMR(101MHz;CDCl3):δ 25.5,26.0,26.6,31.2,34.7,38.0,48.0,55.6,111.7,115.2,115.4,125.3,130.1(d,JC-F=8.0Hz),130.8(d,JC-F=3.1Hz),135.8,141.5,158.2,159.0,162.4(d,JC-F=247Hz),162.8.
【0229】
4-(1-シクロヘキシル-4-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール-5-イル)-N-((4,4-ジフルオロシクロヘキシル)メチル)ピリミジン-2-アミン(32;ZH3-74)
4,4-ジフルオロシクロヘキシルメタンアミン塩酸塩(96.0mg、0.519mmol)及びK2CO3(72.0mg、0.519mmol)を、14(52.0mg、0.130mmol)のTHF/H2O(5:1、6mL)溶液に加え、混合物を40℃にて5日間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/石油スピリット20%から70%)によって精製し、淡黄色の固体(56.8mg、93%)を得た。1H-NMR(400MHz;CDCl3):δ 1.61-1.9(10H,m),2.12(4H,dt,J=12.1,20.9Hz),3.38(2H,t,J=6.5Hz),4.51-4.56(1H,m),5.59(1H,s),6.41(1H,d,J=5.1Hz),6.98(2H,t,J=8.6Hz),7.44(2H,dd,J=5.6,8.3Hz),7.76(1H,s),8.12-8.13(1H,m);13C-NMR(101MHz;CDCl3):δ 25.4,26.1,26.9,27.0,33.0,33.3(2 C),33.5,34.7,36.2,46.5,55.7,112.0,115.3,115.5,121.2,123.6,125.2,126.0,130.1(d,JC-F=7.9Hz),130.6(d,JC-F=3.1Hz),135.9,141.6,158.0,159.1,161.4(d,JC-F=247Hz),162.6;HRMS(ESI+)、C26H26F2N5[M+H]+の計算値470.2532、実測値470.2524。
【0230】
(S)-4-(1-シクロヘキシル-4-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾー
ル-5-イル)-N-(1-シクロヘキシルエチル)ピリミジン-2-アミン(34;ZH3-90)
(S)-シクロヘキシルエチルアミン(61.0μL、0.479mmol)を、14(24.0mg、0.060mmol)のTHF(4mL)溶液に加え、混合物を40℃にて6日間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/石油スピリット50%から100%)によって精製し、淡黄色の油(24.6mg、91%)を得た、[α]D
24 -9.3°(c0.24、CH2Cl2).1
H-NMR(400MHz;CDCl3):δ 0.85-2.36(24H,m),3.98-4.05(1H,m),4.62-4.65(1H,m),5.99-6.00(1H,m),6.36(1H,d,J=5.0Hz),7.02(2H,t,J=8.5Hz),7.47(2H,dd,J=5.7,8.1Hz),7.84(1H,d,J=14.5Hz),8.02-8.12(1H,m);13C-NMR(101MHz;CDCl3):δ 18.2,25.4-26.6(m),29.1-29.8(m),34.5,34.7,43.4,51.2,55.6,111.3,115.3,115.6,125.3,130.2(d,JC-F=7.9Hz),130.3,135.9,159.3,161.9,162.5(d,JC-F=248Hz);HRMS(ESI+)、C27H35FN5[M+H]+の計算値448.2876、実測値448.2856。
【0231】
(R)-4-(1-シクロヘキシル-4-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール-5-イル)-N-(1-シクロヘキシルエチル)ピリミジン-2-アミン(35;ZH3-94)
(R)-シクロヘキシルエチルアミン(56.0μL、0.437mmol)を、14(21.9mg、0.055mmol)のTHF(4mL)溶液に加え、混合物を40℃にて6日間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/石油スピリット50%から100%)によって精製し、淡黄色の油(24.1mg、99%)を得た、[α]D
24 +8.7(c0.22、CH2Cl2)。1H
-NMR(400MHz;CDCl3):δ 1.01-2.17(24H,m),3.98(1H,td,J=6.6,7.7Hz),4.59(1H,bs),6.31(1H,d,J=5.0Hz),6.98(2H,t,J=8.6Hz),7.43(2H,s,J=5.6,8.1Hz),7.78(1H,s),8.04(1H,s);13C-NMR(101MHz;CDCl3):δ 18.2,21.5,25.5-26.6(m),29.1,29.6,34.5,34.7,43.4,51.2,55.6,111.3,115.3,115.5,125.3,130.1(d,JC-F=8.0Hz),130.4(d,JC-F=2.8Hz),135.9,159.3,162.0,162.4(d,JC-F=248Hz);HRMS(ESI+)、C27H35FN5[M+H]+の計算値448.2876、実測値448.2864。
【0232】
4-(1-シクロヘキシル-4-(4-フルオロフェニル)-1H-イミダゾール-5-イル)-N-(3-フェニルプロピル)ピリミジン-2-アミン(36;ZH3-98)
3-フェニルプロピルアミン(60.0μL、0.439mmol)を、14(22.0mg、0.055mmol)のTHF(5mL)溶液に加え、混合物を40℃にて3日間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/石油スピリット50%から70%)によって精製し、淡黄色の油(22.1mg、88%)を得た。1H-NMR(500MHz;CDCl3):δ 1.22-1.34(3H,m),1.60-1.73(3H,m),1.86-1.89(2H,m),2.01(2H,dt,J=7.4,15Hz),2.16(2H,d,J=11Hz),2.76(2H,t,J=7.7Hz),3.50(2H,q,J=6.6Hz),4.57(1H,s),5.49(1H,s),6.41(1H,d,J=5.0Hz),7.00(2H,t,J=8.6Hz),7.21(3H,t,J=7.9Hz),7.27
-7.31(2H,m),7.47(2H,dd,J=5.6,8.2Hz),7.77(1H,s),8.14(1H,s);13C-NMR(126MHz;CDCl3):δ 25.7,26.2,31.6,33.6,34.9,41.5,55.9,112.1,115.6,115.7,125.5,126.4,126.4,128.7,128.8,130.4(d,JC-F=8.0Hz),130.9(d,JC-F=2.5Hz),136.1,141.8,158.2,159.4,162.7,162.7(d,JC-F=247Hz).
【0233】
上記のR4=シクロヘキシル化合物と同様に、化合物(ここで、R4=2,2,2-トリフルオロエチルである)は、下記の例示的合成において記載するように調製し得る。
【0234】
1-(2-(メチルチオ)ピリミジン-4-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)メタンイミン
2,2,2-トリフルオロエチルアミン塩酸塩(1.96g、14.5mmol)及びK2CO3(3.68g、26.6mmol)を、粗製のアルデヒド(1.87g、12.1mmol)のCH2Cl2(20mL)溶液に加えた。反応混合物を室温にて一晩撹拌した。1H NMR分析は、アルデヒドの完全な消費を示した。イミンを含有する反応混合物を、次のステップにおいて単離をせずに直接使用した。
【0235】
4-(4-(4-フルオロフェニル)-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-イミダゾール-5-イル)-2-(メチルチオ)ピリミジン
CH2Cl2(50mL)中のa-(p-トルエンスルホニル)-4-フルオロベンジルイソニトリル(3.33g、11.5mmol)、1-(2-(メチルチオ)ピリミジン-4-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)メタニミン(2.26g、9.60mmol)及び20%水性K2CO3(8.00mL、11.5mmol)の混合物を、室温にて5日間撹拌した。反応混合物をCH2Cl2で希釈し、水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮した。残渣のフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/石油スピリット10%から50%)によって、分離できない生成物の混合物(3.04gの粗製物)を得た。
【0236】
4-(4-(4-フルオロフェニル)-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-イミダゾール-5-イル)-2-(メチルスルホニル)ピリミジン
mCPBA(57~86%)(4.27g、24.7mmol)を、CH2Cl2(20mL)中の粗製のスルフィド(3.04g、8.24mmol)の混合物に少しずつ加え、混合物を室温にて一晩撹拌した。混合物を水性Na2CO3、水、ブラインでクエンチし、MgSO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/石油スピリット50%)によって精製し、濃縮し、スルホンを黄色の固体(0.438g、4ステップに亘り9%)として得た。1H-NMR(400MHz;CDCl3):δ 3.37(3H,s),5.41(2H,q,J=8.4Hz),7.13(2H,t,J=8.5Hz),7.32(1H,d,J=5.4Hz),7.49(2H,dd,J=8.4,5.4Hz),7.87(1H,s),8.65(1H,d,J=5.4Hz).
【0237】
4-(4-(4-フルオロフェニル)-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-イミダゾール-5-イル)-N-(3-フェニルプロピル)ピリミジン-2-アミン(123;ZH4-166)
3-フェニルプロピルアミン(30.0μL、0.211mmol)を、THF(5mL)中の4-(4-(4-フルオロフェニル)-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-イミダゾール-5-イル)-2-(メチルスルホニル)ピリミジン(21.1mg、0.053mmol)の混合物に加え、混合物を40℃にて72時間撹拌した。混
合物を真空下で濃縮し、化合物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/石油スピリット20%)によって精製し、淡黄色の油(11.0mg、46%)を得た。1H-NMR(400MHz;CDCl3):δ 2.00(2H,m),2.75(2H,t,J=7.5Hz),3.48(2H,q,J=6.7Hz),5.12(2H,q,J=8.6Hz),5.24(1H,bs),6.41(1H,d,J=5.1Hz),7.04(2H,t,J=8.6Hz),7.22(3H,d,J=6.0Hz),7.29(2H,dd,J=7.4,14.4Hz),7.50(2H,dd,J=5.5,8.5Hz),7.68(1H,s),8.13(1H,d,J=4.6Hz);13C-NMR(101MHz;CDCl3):δ 31.3,33.4,41.2 ,46.7(q,JC-F=35.6Hz),111.1,115.5,115.8,124.5,125.1,126.2,128.6,130.1(d,JC-F=2.7Hz),130.5(d,JC-F=8.3Hz),140.1,141.5,143.3,157.6,158.7,162.3,162.8(d,JC-F=248Hz).HRMS(ESI+)、C24H22F4N5(M+H)の計算値456.1811、実測値456.1808。
【0238】
本明細書に記載されている他の化合物は、上記で記載したものと同様の方法によって調製し得る。
【0239】
また本明細書に記載されているのは、下記の実施形態である:
1.式(II):
【0240】
【0241】
の化合物
(式中、
R
1及びR
2は、それぞれ独立に、H、C
1~3アルキルC
6~12アリール、C
1~3アルキルC
5~11ヘテロアリール、C
1~3アルキルC
3~6シクロアルキル及びC
1~3アルキルC
3~6ヘテロシクリルからなる群から選択され;
R
3は、H、F、Cl及びCH
3からなる群から選択され;
R
4は、C
0~3アルキルC
3~12シクロアルキル及びC
1~12アルキルからなる群から選択され;
ここで、R
1、R
2、R
3及びR
4のそれぞれは、任意選択で置換されている)
、又はその塩、溶媒和物、N-オキシド、互変異性体、立体異性体、多形体及び/若しくはプロドラッグ。
2.
図8における化合物のリストから選択されない、実施形態1に記載の化合物。
3.R
1が、C
1~3アルキルC
6~12アリールである、実施形態1に記載の化合物。4.R
1が、C
1~2アルキルC
6~12アリールである、実施形態3に記載の化合物。
5.C
6~12アリール基が、2個の環系からなる、実施形態3又は実施形態4に記載の化合物。
6.R
1が、C
1~3アルキルC
5~11ヘテロアリールである、実施形態1に記載の化合物。
7.R
1が、C
1~2アルキルC
5~11ヘテロアリールである、実施形態6に記載の化合物。
8.C
5~11ヘテロアリール基が、2個の環系からなる、実施形態6又は実施形態7に記載の化合物。
9.C
5~11ヘテロアリール基のヘテロ原子が、C
1~3アルキル基に対してオルト又はパラ位にある、実施形態6又は実施形態7に記載の化合物。
10.C
5~11ヘテロアリール基が、窒素含有ヘテロアリール基である、実施形態6~9のいずれか1つに記載の化合物。
11.R
1が、C
1~3アルキルC
3~6シクロアルキルである、実施形態1に記載の化合物。
12.R
1が、C
2~3アルキルC
3~6シクロアルキルである、実施形態11に記載の化合物。
13.R
1が、置換されている、実施形態11又は実施形態12に記載の化合物。
14.R
1のC
1~3アルキル基が、置換されている、実施形態13に記載の化合物。
15.置換基が、C
1~3アルキル基である、実施形態13又は実施形態14に記載の化合物。
16.R
1が、C
1~3アルキルC
3~6ヘテロシクリルである、実施形態1に記載の化合物。
17.R
1が、C
1~2アルキルC
3~6ヘテロシクリルである、実施形態16に記載の化合物。
18.C
3~6ヘテロシクリル基が、酸素含有ヘテロシクリル基である、実施形態16又は実施形態17に記載の化合物。
19.R
2が、Hである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
20.R
3が、CH
3である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
21.R
3が、F又はClである、実施形態1~19のいずれか1つに記載の化合物。
22.R
4が、C
0~3アルキルC
3~12シクロアルキルである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
23.R
4が、C
1アルキルC
3~12シクロアルキルである、実施形態22に記載の化合物。
24.R
4が、C
3~12シクロアルキルである、実施形態22に記載の化合物。
25.C
3~12シクロアルキル基が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルから選択される、実施形態22~24のいずれか1つに記載の化合物。
26.R
4が、置換されている、実施形態22~25のいずれか1つに記載の化合物。
27.C
3~12シクロアルキル基が、置換されている、実施形態26に記載の化合物。28.置換基が、1個若しくは複数個のC
1~6アルキル基、1個若しくは複数個のハロ基、及び1個若しくは複数個のOH基から選択される、実施形態26又は実施形態27に記載の化合物。
29.R
4が、C
1~12アルキルである、実施形態1~21のいずれか1つに記載の化合物。
30.R
4が、メチル、エチル、プロピル又はブチル基である、実施形態29に記載の化合物。
31.R
4が、分岐状アルキル基である、実施形態29又は実施形態30に記載の化合物。
32.R
4が、置換されている、実施形態29~31のいずれか1つに記載の化合物。
33.置換基が、1個若しくは複数個のOH基及び/又は1個若しくは複数個のハロ基か
ら選択される、実施形態32に記載の化合物。
34.呼吸器疾患の治療又は予防を必要とする対象の呼吸器疾患を治療又は予防する方法であって、前記対象に、治療上有効な量の実施形態1~33のいずれか1つに記載の式(II)の化合物を投与し、それにより対象の呼吸器疾患を治療又は予防することを含む方法。
35.対象の呼吸器疾患の治療又は予防に使用するための、実施形態1~33のいずれか1つに記載の式(II)の化合物。
36.実施形態1~33のいずれか1つに記載の式(II)の化合物及び薬学的に許容できる賦形剤を含む組成物。
37.実施形態1~33のいずれか1つに記載の化合物、又は実施形態36に記載の組成物の、対象の呼吸器疾患の治療又は予防のための医薬品の調製における使用。