(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161457
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】効率的な接続先変更処理のための端末装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 72/231 20230101AFI20241112BHJP
H04W 36/28 20090101ALI20241112BHJP
H04W 36/36 20090101ALI20241112BHJP
H04W 72/0457 20230101ALI20241112BHJP
【FI】
H04W72/231
H04W36/28
H04W36/36
H04W72/0457 110
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024135029
(22)【出願日】2024-08-13
(62)【分割の表示】P 2022099735の分割
【原出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 ヤンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】武田 洋樹
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プライマリセルとセカンダリセルの組み合わせについての条件付きのセル変更の設定を効率的に行う端末装置、その制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】通信システムにおいて、端末装置は、接続中の基地局装置から、接続先のセルを端末装置が自律的に選択して切り替えるための事前設定情報を受信する。事前設定情報は、ハンドオーバ先のプライマリセル候補の第1のセル又はそのセルをプライマリセルとした場合のセカンダリセル候補の第2のセルの夫々について、そのセルに接続するための条件及び通信パラメータを示す第1の情報を含み、第1のセルと第2のセルとの組み合わせを示す第2の情報は、プライマリセルとセカンダリセルとの間で共通する通信パラメータが存在する場合に、共通する通信パラメータが省略され、異なる通信パラメータのみか又は共通する通信パラメータと異なる通信パラメータとを分離した事前設定情報を含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置であって、
前記端末装置と接続中の基地局装置から、接続先のセルを前記端末装置が自律的に選択して切り替えるための事前設定情報を受信する受信手段を有し、
前記事前設定情報は、ハンドオーバ先のプライマリセルの候補の第1のセルまたは当該第1のセルをプライマリセルとした場合のセカンダリセルの候補の第2のセルとして含まれるセルのそれぞれについて、当該セルに接続するための条件および当該セルに接続する際に使用されるべき通信パラメータを示す第1の情報を含み、
ハンドオーバ先のプライマリセルの候補の前記第1のセルと、当該第1のセルをプライマリセルとした場合のセカンダリセルの候補の前記第2のセルとの組み合わせを示す第2の情報において、前記第2の情報は、プライマリセルとセカンダリセルとの異なる組み合わせにおいて共通する通信パラメータが存在する場合に、一部の組み合わせにおいて共通する通信パラメータが省略され、異なる通信パラメータのみを含む前記事前設定情報を含み、または、共通する通信パラメータと、異なる通信パラメータとを分離して前記事前設定情報に含む、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記プライマリセルの候補の第1のセルに接続するための第1の条件と、前記セカンダリセルの候補の第2のセルに接続するための第2の条件とを同時に満足するか否かを判定する判定手段と、
前記第1の条件および前記第2の条件が満たされたと前記判定手段によって判定された場合に、当該第1のセルと当該第2のセルへの接続を実行する実行手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記プライマリセルに関する第1の条件が満たされた場合、前記プライマリセルに関連付けられたセカンダリセルの候補に関する第2の条件及び設定情報を維持したまま、ハンドオーバ先に接続する、ことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記第2の情報において、プライマリセルの候補の1つの前記第1のセルについてセカンダリセルの候補の複数の前記第2のセルのそれぞれとの組み合わせが示される場合に、前記第1の情報において、当該1つの前記第1のセルの前記通信パラメータが一度だけ示される、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記第2の情報において、プライマリセルの候補の複数の前記第1のセルのそれぞれについて、セカンダリセルの候補の1つの前記第2のセルとの組み合わせが示される場合に、前記第1の情報において、当該1つの前記第2のセルの前記通信パラメータが一度だけ示される、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項6】
前記受信手段は、無線リソース制御(RRC)メッセージにより、前記事前設定情報を前記基地局装置から受信する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項7】
端末装置によって実行される制御方法であって、
前記端末装置と接続中の基地局装置から、接続先のセルを前記端末装置が自律的に選択して切り替えるための事前設定情報を受信することを含み、
前記事前設定情報は、ハンドオーバ先のプライマリセルの候補の第1のセルまたは当該第1のセルをプライマリセルとした場合のセカンダリセルの候補の第2のセルとして含まれるセルのそれぞれについて、当該セルに接続するための条件および当該セルに接続する際に使用されるべき通信パラメータを示す第1の情報を含み、
ハンドオーバ先のプライマリセルの候補の前記第1のセルと、当該第1のセルをプライマリセルとした場合のセカンダリセルの候補の前記第2のセルとの組み合わせを示す第2の情報において、前記第2の情報は、プライマリセルとセカンダリセルとの異なる組み合わせにおいて共通する通信パラメータが存在する場合に、一部の組み合わせにおいて共通する通信パラメータが省略され、異なる通信パラメータのみを含む前記事前設定情報を含み、または、共通する通信パラメータと、異なる通信パラメータとを分離して前記事前設定情報に含む、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
端末装置に備えられたコンピュータに、前記端末装置と接続中の基地局装置から、接続先のセルを前記端末装置が自律的に選択して切り替えるための事前設定情報を受信させるためのプログラムであって、
前記事前設定情報は、ハンドオーバ先のプライマリセルの候補の第1のセルまたは当該第1のセルをプライマリセルとした場合のセカンダリセルの候補の第2のセルとして含まれるセルのそれぞれについて、当該セルに接続するための条件および当該セルに接続する際に使用されるべき通信パラメータを示す第1の情報を含み、
ハンドオーバ先のプライマリセルの候補の前記第1のセルと、当該第1のセルをプライマリセルとした場合のセカンダリセルの候補の前記第2のセルとの組み合わせを示す第2の情報において、前記第2の情報は、プライマリセルとセカンダリセルとの異なる組み合わせにおいて共通する通信パラメータが存在する場合に、一部の組み合わせにおいて共通する通信パラメータが省略され、異なる通信パラメータのみを含む前記事前設定情報を含み、または、共通する通信パラメータと、異なる通信パラメータとを分離して前記事前設定情報に含む、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続先変更処理の効率化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信システムでは、通信の連続性を確保するために、端末装置の移動などに応じてその端末装置の接続先を切り替えるハンドオーバ技術が用いられている。ハンドオーバは、端末装置において接続中の無線リンクの通信品質が劣化した後にコアネットワーク側におけるハンドオーバの準備等の処理が開始され、基地局装置から端末装置への指示メッセージが送信されるのが標準的な手法である。しかしながら、この手法では、実際に通信品質が劣化してからハンドオーバの指示が送信されるまでの処理に時間を要するため、通信できない又は通信品質が不十分な時間が長期化してしまいうる。これに対して、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))において、この準備等の処理を事前に実行しておき、端末装置において所定の条件が満たされた場合に、基地局装置からの指示メッセージを受信せずに接続先のセルを切り替える手法が議論されている(非特許文献1参照)。所定の条件は、例えば、端末装置において、隣接セルの無線品質が接続中のセルの無線品質より所定レベル以上良好となった場合や接続中のセルの無線品質が所定値以下となった場合を含む。この手法によれば、ハンドオーバが実行されるべき通信品質の低下などが生じる前にコアネットワーク側におけるハンドオーバの準備が完了しているため、通信できない又は通信品質が不十分な時間を大幅に低減することができる。このようなハンドオーバを条件付きハンドオーバ又はCHOと呼ぶ。
【0003】
同様に、端末装置が複数のセルに接続するマルチコネクティビティ(MC)等において、準備等の処理を事前に実行しておき、端末装置において所定の条件が満たされた場合に、基地局装置からの指示メッセージを受信せずに、セカンダリセルの追加又は変更を端末装置が行うこともできる。なお、以下では、この条件付きのセカンダリセルの追加又は変更をCPACと呼ぶ場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TR38.874、V16.0.0、2018年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セカンダリセルは、プライマリセルとの組み合わせでのみ設定されうる。このため、CHOが行われる場合には、セカンダリセルも変更される必要が生じうる。このため、プライマリセルとセカンダリセルとの組み合わせに対して、事前設定が行われる必要がありうる。しかしながら、そのようなプライマリセルとセカンダリセルの組み合わせに対する事前設定の具体的な手法については検討されていない。
【0006】
本発明は、プライマリセルとセカンダリセルの組み合わせについての条件付きのセル変更の設定を効率的に行う技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による端末装置は、前記端末装置と接続中の基地局装置から、接続先のセルを前記端末装置が自律的に選択して切り替えるための事前設定情報を受信する受信手段を有し、前記事前設定情報は、ハンドオーバ先のプライマリセルの候補の第1のセルまたは当該第1のセルをプライマリセルとした場合のセカンダリセルの候補の第2のセルとして含まれるセルのそれぞれについて、当該セルに接続するための条件および当該セルに接続する際に使用されるべき通信パラメータを示す第1の情報を含み、ハンドオーバ先のプライマリセルの候補の前記第1のセルと、当該第1のセルをプライマリセルとした場合のセカンダリセルの候補の前記第2のセルとの組み合わせを示す第2の情報において、前記第2の情報は、プライマリセルとセカンダリセルとの異なる組み合わせにおいて共通する通信パラメータが存在する場合に、一部の組み合わせにおいて共通する通信パラメータが省略され、異なる通信パラメータのみを含む前記事前設定情報を含み、または、共通する通信パラメータと、異なる通信パラメータとを分離して前記事前設定情報に含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プライマリセルとセカンダリセルの組み合わせについての条件付きのセル変更の設定を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】条件付きハンドオーバと条件付きのセカンダリセルの変更または追加のために端末装置に通知される情報の例を示す図である。
【
図3】条件付きハンドオーバと条件付きのセカンダリセルの変更または追加のために端末装置に通知される情報の例を示す図である。
【
図4】条件付きハンドオーバと条件付きのセカンダリセルの変更または追加のために端末装置に通知される情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(システム構成)
図1に、本実施形態にかかる無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、例えば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))によって規定されたロングタームエボリューション(LTE)や第5世代(5G)等のセルラ通信規格に準拠したセルラ通信システムである。なお、これは一例であり、端末装置が、接続先のセルを切り替えながら通信を継続することができる任意のシステムにおいて、以下の議論を適用することができる。
【0012】
図1の無線通信システムでは、基地局装置が、端末装置141に対して無線通信サービスを提供する。なお、
図1の例では、基地局装置として、相対的に広範囲をカバーするセル111および112をそれぞれ提供する基地局装置101および102と、相対的に狭い範囲をカバーするセル131~134をそれぞれ提供する基地局装置121~124が示されている。端末装置141は、これらの基地局装置の少なくともいずれかに接続して、その接続先の基地局装置との間で無線信号を送受信することにより、無線通信サービスの提供を受けるように構成される。なお、端末装置141は、端末装置141自身が滞在する位置を含んだセルを構成する基地局装置と接続するが、以下では、このことを指して「(その基地局装置によって提供された)セルに接続する」と呼ぶ場合がある。
【0013】
端末装置141は、並行して2つ以上のセルと接続することができる。この2つ以上のセルのうち、端末装置141の通信を制御するセルがプライマリセルと呼ばれ、プライマリセルの制御の下で端末装置141と接続するセルがセカンダリセルと呼ばれる。一例として、端末装置141は、セル111又はセル112をプライマリセルとして接続し、セル131~セル134をセカンダリセルとして接続するものとする。
【0014】
本実施形態では、端末装置141が、例えば、いずれかのセルとの接続を確立したことに応じて、又は、接続中のセルにおける無線品質が一定程度劣化したことに応じて、その端末装置141のセルの切り替えのための事前設定が行われる。ここでの事前設定が行われた状態は、端末装置141が接続の変更先の候補のセルと接続するとした場合のパラメータ等の設定が完了しており、一方で、端末装置141が実際に接続先の基地局装置を切り替えない状態である。事前設定は、他のセルからの接続の切り替えや、セルの追加などのためのセルへ接続する条件を含み、端末装置141は、その条件が満たされたと判定した場合に、新たな接続先のセルにおいて同期を確立して接続を試みる。なお、接続先のセルの切り替えを行う場合には、端末装置141は、接続元のセルからの切断処理を行う。このような事前設定を用い、端末装置141が条件の充足を判定したことに応じて自律的に接続先のプライマリセルを切り替える処理を、条件付きハンドオーバ(CHO)と呼ぶ。また、このような事前設定を用い、端末装置141が条件の充足を判定したことに応じて自律的にセカンダリセルの切り替え又は追加を行う処理を、条件付きセカンダリセル追加又は変更(CPAC)と呼ぶ。
【0015】
CHOが行われる場合、接続中のプライマリセルの基地局装置は、ハンドオーバ先のプライマリセルの候補となるセルを提供する他の基地局装置に対して、端末装置141が現在使用しているパラメータの情報等を含んだハンドオーバ要求メッセージ(HANDOVER REQUEST)を送信する。そして、ハンドオーバ先の候補の基地局装置は、そのメッセージへの応答メッセージ(HANDOVER REQUEST ACKNOWLEDGE)に、端末装置141がハンドオーバした場合に使用されるべき通信パラメータ等の情報を含めて、端末装置141が接続中のプライマリセルの基地局装置へ送信する。ここで、ハンドオーバ先の候補の基地局装置は、送信した通信パラメータ等の情報を事前設定情報として保持する。また、接続中の基地局装置又はハンドオーバ先の候補の基地局装置は、そのハンドオーバ先の候補の基地局装置にハンドオーバする際に満たされているべき条件を決定する。そして、接続中の基地局装置は、端末装置141へ、ハンドオーバ先の候補の基地局装置にハンドオーバした場合に使用されるべき通信パラメータの情報と、ハンドオーバの条件とを含んだ事前設定情報を通知する。この通知は、例えば、無線リソース制御(RRC)メッセージを用いて行われうる。一例において、RRC Reconfigurationメッセージにより、事前設定情報が端末装置141へ通知される。
【0016】
CPACが行われる場合、接続中のプライマリセルの基地局装置は、追加又は変更先のセカンダリセルの候補となるセルを提供する他の基地局装置に対して、セカンダリセルの追加要求メッセージ(SgNB Addition Request)を送信する。なお、このセカンダリセルの追加要求は、例えば、端末装置141が現在接続中のセカンダリセルを提供している基地局装置から、接続中のプライマリセルの基地局装置に対して、所定のメッセージ(例えば、SgNB Change Required)が通知されたことに応じて、開始されてもよい。この場合、接続中のプライマリセルの基地局装置は、その所定のメッセージを受信したことに応じて、上述のようなセカンダリセルの追加要求を送信するようにしうる。そして、追加又は変更先のセカンダリセルの候補となるセルを提供する他の基地局装置(以下では、接続先の候補の他の基地局装置と呼ぶ場合がある。)は、そのメッセージへの応答メッセージ(SgNB Addition Request Acknowledge)に、端末装置141がセカンダリセルの追加又は変更を行った場合に使用されるべき通信パラメータ等の情報を含めて、端末装置141が接続中のプライマリセルの基地局装置へ送信する。ここで、接続先の候補の他の基地局装置は、送信した通信パラメータ等の情報を事前設定情報として保持する。また、接続中のプライマリセルの基地局装置又は接続先の候補の他の基地局装置は、そのセカンダリセルを追加又は変更する際に満たされているべき条件を決定する。そして、接続中のプライマリセルの基地局装置は、端末装置141へ、接続先の候補の他の基地局装置に接続してセカンダリセルの追加又は変更を行った場合に使用されるべき通信パラメータの情報と、そのような接続を行う条件とを含んだ事前設定情報を通知する。この通知は、例えば、無線リソース制御(RRC)メッセージを用いて行われうる。一例において、RRC Reconfigurationメッセージにより、事前設定情報が端末装置141へ通知される。
【0017】
端末装置141は、事前設定情報を受信すると、その事前設定情報を保持し、CHO又はCPACの条件が満たされたか否かの監視を開始し、条件が満たされた場合に、接続先を実際に切り替えるために、接続中の基地局装置との接続の切断や、新たに接続する基地局装置との同期確立などの処理を実行する。なお、CHOやCPACによる接続先の候補のセルは複数存在しうる。このため、CHOやCPACによる接続先の候補の1つ以上のセルのそれぞれに対して、条件および通信パラメータが別個に設定されうる。また、1つの基地局装置が複数のセルを構成する場合、その複数のセルに対して別個に条件および通信パラメータが設定されうる。端末装置141は、複数のセルにそれぞれ対応する条件が満たされたか否かを監視し、満たされた条件に対応する通信パラメータを用いて、接続先の変更等を行う。このようにして、端末装置141は、CHO又はCPACを完了させ、セルの変更後も継続して通信を行うことができる。
【0018】
セカンダリセルは、プライマリセルの制御の下で設定される。このため、CHOによってプライマリセルが変更されると、セカンダリセルについての再設定が行われる必要がある。これに対して、CHOを実行した後には、変更前のプライマリセルに関連付けられているセカンダリセルの設定は破棄されるため、変更後のプライマリセルの制御の下でセカンダリセルの設定が行われる必要がある。ここで、通常の手順で(CPACではなく)セカンダリセルを設定すると、セカンダリセルの設定が完了するまでの時間が長期化してしまいうる。したがって、セカンダリセルのCPACのための事前設定を、プライマリセルのCHOのための事前設定と組み合わせて行い、CHOでプライマリセルが変更される場合に、その変更後のプライマリセルに関連付けられて事前設定されたセカンダリセルの情報を用いてCPACによるセカンダリセルの追加又は変更が行われるようにしうる。この場合、例えば、プライマリセルの候補となるセルを提供する第1の基地局装置が、そのセルをプライマリセルとしたときにセカンダリセルとして使用可能なセルを提供している第2の基地局装置から、CPAC用の事前設定情報を取得しうる。そして、第1の基地局装置は、自装置が提供するセルをプライマリセルとしたときの、プライマリセルとセカンダリセルとの組み合わせのそれぞれについて、CHOの条件および通信パラメータと、CPACの条件および通信パラメータとを、端末装置141が接続中の基地局装置へ通知し、その基地局装置が、通知された情報を端末装置141へ通知しうる。
【0019】
例えば、
図1において、セル111をプライマリセルとした場合に、セカンダリセルとして使用可能なセルは、セル131~セル133である。このため、端末装置141へ、セル111とセル131の組み合わせに関して、セル111のCHOの条件および通信パラメータと、セル131のCPACの条件および通信パラメータとが通知されうる。また、セル111とセル132の組み合わせに関して、セル111のCHOの条件および通信パラメータと、セル132のCPACの条件および通信パラメータとが端末装置141へ通知され、セル111とセル133の組み合わせに関して、セル111のCHOの条件および通信パラメータと、セル133のCPACの条件および通信パラメータとが端末装置141へ通知されうる。なお、セル112をプライマリセルとした場合も同様に、セル112とセル131の組み合わせ、セル112とセル132の組み合わせ、および、セル112とセル134の組み合わせについて、CHOの条件および通信パラメータと、CPACの条件および通信パラメータが、端末装置141へ通知されうる。なお、
図1の例では、プライマリセルの候補と、地理的範囲が重なるセルをセカンダリセルの候補とする例について説明したが、これに限られない。例えば、使用可能な周波数帯域の組み合わせによって、プライマリセルでの使用周波数帯域と並行して使用可能な周波数帯域を用いているセルのみがセカンダリセルの候補とされてもよい。すなわち、地理的な範囲が重複するセルであっても、プライマリセルで使用されている周波数帯域との組み合わせで使用することのできない周波数帯域を用いているセルは、セカンダリセルの候補から除かれてもよい。
【0020】
このような通知では、セル111又はセル112に関するCHOの条件および通信パラメータが、セカンダリセルの候補のそれぞれについて通知される。この場合、例えば、
図2のような事前設定情報が端末装置141へ通知される。しかしながら、ハッチング部分が重複する情報となっており、非効率な情報通知となっていることが想定される。このため、本実施形態では、プライマリセルのCHOとセカンダリセルのCPACとの組み合わせに関する事前設定情報について、端末装置141へ通知される情報の情報量を低減して、効率的な事前設定を可能とする手法を提供する。
【0021】
本実施形態では、各セルに関する条件や通信パラメータを一度だけ通知し、同じ情報を繰り返し送信することを回避する。例えば、セル111をプライマリセルとした場合の事前設定情報として、
図3(A)に示すような情報が端末装置141へ通知される。この情報では、プライマリセルとセカンダリセルとの組み合わせを示す情報と、各セルについての条件および通信パラメータの情報が端末装置141へ通知される。セル111をプライマリセルとした場合、セカンダリセルとして、セル131、セル132、およびセル133が設定可能である。このため、取りうる組み合わせの情報として、セル111とセル131、セル111とセル132、および、セル111とセル133の情報が、端末装置141へ通知される。また、これらの組み合わせに含まれるセルは、セル111と、セル131~セル133であるから、これらについての条件および通信パラメータが通知される。
図2のような情報が通知される場合、セル111についての通信パラメータが、組み合わせのそれぞれについて、合計3回通知される。これに比べて、
図3(A)の情報では、セル111についての通信パラメータは1度のみ通知される。
【0022】
ここで、一例として、プライマリセルとセカンダリセルとの組み合わせを1つ通知するのに2バイト、1つのセルについての条件を通知するのに1バイト、1つのセルについての通信パラメータを通知するのに1キロバイトを必要とするものとする。
図2のような情報を通知する場合、プライマリセルとセカンダリセルとの組み合わせを通知する必要はないが、条件および通信パラメータが、セル111とセル131、セル111とセル132、および、セル111とセル133の3つの組み合わせのそれぞれにおいて通知される。このため、条件の情報と通信パラメータが、それぞれ(2つのセルに関する3つの組み合わせについて)6つのセル分だけ通知されるため、6キロバイト+6バイトとなる。一方、
図3(A)のような情報では、3つの組み合わせを指定するための情報に6バイト、各セルについての条件を示す情報に4バイト、および、各セルについての通信パラメータを示す情報に4キロバイトが使用され、合計で4キロバイト+10バイトとなる。このように、本実施形態の情報通知方法では、事前設定情報の容量を大きく削減することができる。同様に、
図3(B)に示すような情報が、セル111をプライマリセルとした場合の事前設定情報として、端末装置141へ通知される。
【0023】
なお、端末装置141が現在接続中のプライマリセルを提供する第1の基地局装置は、CHOによる接続先のプライマリセルの候補となるセルを提供する第2の基地局装置から、
図3(A)や
図3(B)のような情報を取得して、その内容を端末装置141へ転送するようにしてもよい。この場合、第2の基地局装置は、自装置が提供するセルがプライマリセルとして動作する場合にセカンダリセルとして利用可能なセルを提供する第3の基地局装置に対して、CPACを実行する条件および通信パラメータの情報を要求するメッセージ(例えば、SgNB Addition Request)を送信する。そして、第2の基地局装置は、その要求メッセージへの応答メッセージ(例えば、SgNB Addition Request Acknowledge)を受信し、その応答メッセージ内に含まれる、第3の基地局装置が提供するセカンダリセルに接続する際の条件および通信パラメータの情報を取得しうる。そして、第2の基地局装置は、第3の基地局装置から取得したセカンダリセルの候補の情報と、自装置が提供するプライマリセルの候補の情報とを集約して、第1の基地局装置へ通知する。例えば、セル111を形成する基地局装置101は、セル131、セル132、およびセル133をそれぞれ形成する基地局装置121、基地局装置122、基地局装置123から、セカンダリセルの候補としての、接続条件および通信パラメータの情報を取得する。そして、基地局装置101は、その取得した情報に基づいて、
図3(A)のような情報を事前設定情報として生成して、端末装置141が現在接続中のプライマリセルを提供している基地局装置へ通知しうる。同様に、セル112を形成する基地局装置102は、セル131、セル132、およびセル134をそれぞれ形成する基地局装置121、基地局装置122、基地局装置124から、セカンダリセルの候補としての、接続条件および通信パラメータの情報を取得し、
図3(B)のような情報を事前設定情報として生成して、端末装置141が現在接続中のプライマリセルを提供している基地局装置へ通知しうる。
【0024】
また、端末装置141が現在接続中のプライマリセルを提供している第1の基地局装置は、例えば、CHOによるプライマリセルの候補のセルを提供する第2の基地局装置から、セカンダリセルとして使用可能なセルに関する情報のみを取得してもよい。この場合、第1の基地局装置は、セカンダリセルとして使用可能なセルを提供している第3の基地局装置に対して、上述のようなセカンダリセルの追加又は変更と同様のメッセージを送受信し、その第3の基地局装置がセカンダリセルとして使用される場合の接続条件および通信パラメータを、第3の基地局装置から直接取得してもよい。すなわち、プライマリセルの候補となるセルを提供する第2の基地局装置において、セカンダリセルの候補となるセルを提供する第3の基地局装置に関する情報を集約して、集約した情報を第1の基地局装置に通知してもよいし、第1の基地局装置が、第2の基地局装置と第3の基地局装置とのそれぞれから直接情報を取得してもよい。
【0025】
なお、端末装置141に
図3(A)の情報および
図3(B)の情報が共に送信されるべき場合、これらを集約した
図4(A)の情報が、事前設定情報として端末装置141に通知されてもよい。すなわち、
図3(A)と
図3(B)とでは、セル131およびセル132についての条件および通信パラメータが重複する。このため、端末装置141が接続中のプライマリセルを提供する基地局装置は、セルの組み合わせの情報を集約し、さらに、重複する条件および通信パラメータの情報を1つのみ含む事前設定情報を生成し、その情報を端末装置141に通知するようにしうる。また、端末装置141が接続中のプライマリセルを提供する基地局装置は、例えば、
図3(A)及び
図3(B)の情報を連結し、その連結された情報のいずれかにおける条件および通信パラメータの情報を、他の情報内の同じ条件および通信パラメータへの参照(ポインタ)と置き換えてもよい。例えば、
図4(B)のように、プライマリセルがセル112である場合のセル131およびセル132についての情報を、プライマリセルがセル111である場合のセル131およびセル132についての情報へのポインタで置き換えうる。これによれば、条件および通信パラメータの情報が、十分に小さいサイズの情報で足りるポインタと置き換えられるため、事前設定情報のサイズを十分に抑制することができる。
【0026】
なお、上述の例では、例えば、セル111がプライマリセルとなる場合とセル112がプライマリセルとなる場合とで、セル131およびセル132の接続条件および通信パラメータが同じである場合の例について説明した。しかしながら、これは一例にすぎず、相互に異なる接続条件および通信パラメータが用いられてもよい。この場合、共通する部分は省略し、異なる部分のみを別途通知するように構成されうる。一例において、セカンダリセルの接続条件が、組み合わせられるプライマリセルごとに異なる場合、その接続条件は省略されず、重複する通信パラメータのみが一部省略され、同じ情報が複数回通知されることを防ぐように構成されうる。また、一例において、接続条件などの所定の情報については、共通するか否かによらず常に省略されないようにしてもよい。
【0027】
端末装置141は、上述のような情報を取得すると、プライマリセルの候補について無線品質を測定し、いずれかの候補に関してその無線品質が接続条件を満たしたことに応じてCHOを開始する。また、端末装置141は、その際に、セカンダリセルの候補のいずれかについての接続条件が満たされている場合には、そのセカンダリセルについてのCPACを開始する。端末装置141は、CHOおよびCPACにおいて、接続対象のセルへのランダムアクセス手順(RACH処理)を実行し、RACH処理の完了後に事前設定情報に含まれる通信パラメータを用いて通信を実行する。なお、端末装置141は、プライマリセルへの接続に成功し、セカンダリセルへの接続に失敗した場合は、例えばそのプライマリセルとの組み合わせとして通知されたセカンダリセルの候補への接続を試行しうる。一方で、端末装置141は、セカンダリセルへの接続に成功し、プライマリセルへの接続に失敗した場合は、別のプライマリセルの候補への接続を試行するが、そのプライマリセルの候補が、接続に成功したセカンダリセルと組み合わせて使用することができないセルである場合がありうる。この場合、端末装置141は、プライマリセルの候補へのCHOの実行に伴い、接続に成功したセカンダリセルとの接続を切断する必要が生じ、CHOの完了後に再度いずれかのセカンダリセルの候補との接続の確立を試行する必要が生じる。このため、端末装置141は、このような状態となった場合には、接続に成功したセカンダリセルと組み合わせて使用可能なプライマリセルの候補を優先してCHOによる接続を試行してもよい。例えば、端末装置141は、優先すべきセルについて、測定した無線品質やその閾値に所定のオフセットを加算し、ハンドオーバの対象として選択されやすいようにしうる。また、端末装置141は、優先すべきセルについて、優先して無線品質の測定を実行するようにしてもよい。なお、端末装置141は、接続が成功したセカンダリセルと組み合わせて使用可能でないプライマリセルの候補については、接続確立を試行しないようにしてもよい。また、端末装置141は、接続が成功したセカンダリセルと組み合わせて使用可能でないプライマリセルの候補であっても、他のプライマリセルの候補より十分に無線品質が高い場合に接続確立を試行することが許容されるようにしてもよい。なお、その場合には、端末装置141は、プライマリセルの候補への接続確立を試行する時点において、接続に成功したセカンダリセルとの接続を切断しうる。
【0028】
端末装置141は、上述のように、プライマリセルへのCHO及びセカンダリセルへのCPACが同時に設定されている場合、プライマリセルの候補のいずれかの無線品質が接続条件を満たし、かつ、セカンダリセルの候補のいずれかについての接続条件が満たされた場合に、その接続条件を満たしたプライマリセルの候補、および、そのプライマリセルに関連付けられており、接続条件を満たしたセカンダリセルの候補への接続を実行する。一例において、端末装置141は、プライマリセルの候補の無線品質が、現在接続中のプライマリセルの無線品質より(一定のオフセット値以上)良好であり、かつ、セカンダリセルの候補の無線品質が、現在接続中のセカンダリセルの無線品質より(一定のオフセット値以上)良好である場合に、CHOおよびCPACを実行しうる。なお、このようなCHOおよびCPACを実行するためのイベントが新規に定義されてもよい。ここで、このイベントを便宜上「イベントX」と呼ぶ場合がある。この場合、例えば、プライマリセルから端末装置141へ、(例えば事前設定情報などの情報と共に)このイベントXがCHOおよびCPACを実行するための条件として通知されうる。また、別の例において、端末装置141は、現在接続中のプライマリセルの無線品質と現在接続中のセカンダリセルの無線品質が、共に第1の所定値を下回り、かつ、プライマリセルの候補の無線品質およびセカンダリセルの候補の無線品質が、共に第2の所定値を上回った場合に、CHOおよびCPACを実行しうる。なお、このようなCHOおよびCPACを実行するためのイベントが新規に定義されてもよい。ここで、このイベントを便宜上「イベントY」と呼ぶ場合がある。なお、接続中のプライマリセルの無線品質に関する第1の所定値と、接続中のセカンダリセルの無線品質に関する第1の所定値とが異なっていてもよい。また、プライマリセルの候補の無線品質に関する第2の所定値と、セカンダリセルの候補の無線品質に関する第2の所定値とが異なっていてもよい。この場合、例えば、プライマリセルから端末装置141へ、(例えば事前設定情報などの情報と共に)このイベントYがCHOおよびCPACを実行するための条件として通知されうる。また、従来、イベントA3として、接続先のセル(プライマリセルまたはセカンダリセル)の候補の無線品質が、現在接続中のセル(プライマリセルまたはセカンダリセル)の無線品質より一定のオフセット値以上良好である、というイベントが定義されている。さらに、従来、イベントA5として、現在接続中のセルの無線品質が第1の所定値を下回り、かつ、接続先のセルの候補の無線品質が第2の所定値を上回る、というイベントが定義されている。ここで、端末装置141は、プライマリセルについてイベントA3の条件が満たされ、かつ、セカンダリセルについてイベントA5の条件が満たされた場合に、CHOおよびCPACを実行するようにしてもよい。また、端末装置141は、プライマリセルについてイベントA5の条件が満たされ、かつ、セカンダリセルについてイベントA3の条件が満たされた場合に、CHOおよびCPACを実行するようにしてもよい。
【0029】
また、例えば、端末装置141は、プライマリセルに関して上述のイベントA3又はイベントA5の条件が満たされた際に、そのプライマリセルの候補と関連付けられているセカンダリセルの候補に関する条件及び事前設定情報を維持したまま、プライマリセルの候補への接続先の変更を実行してもよい。そして、端末装置141は、プライマリセルの変更後、継続的にセカンダリ候補のCPACの条件(例えばイベントA3やイベントA5)を満たすかを無線品質の測定結果に基づいて判定し、条件を満たすと判定された際に、CPACを実行しうる。その後、端末装置141は、維持しているセカンダリセルの候補に関する情報に基づいて、CPACを実行しうる。
【0030】
また、端末装置141は、プライマリセルの候補のいずれかの無線品質が接続条件(例えばイベントA3やイベントA5)を満たす一方で、セカンダリセルの候補の無線品質がいずれも接続条件を満たしていない状態であっても、CHOとCPACとを同時に実行してもよい。この場合、端末装置141は、接続の変更先のプライマリセルの候補に関連付けられているセカンダリセルの候補の中から、例えば最も無線品質の良いセルを選択して、CPACによるセカンダリセルの接続先を決定してもよい。なお、接続の変更先のプライマリセルの候補に関連付けられているセカンダリセルの候補のうち、接続条件が満たされていない状態でCPACが実行される際に接続されるべき候補が指定されていてもよく、端末装置141は、その指定された候補のセルに接続するようにしてもよい。また、端末装置141は、接続条件より低い無線品質の閾値を超えた無線品質を得られているセカンダリセルの候補を、CPACによる接続先のセカンダリセルとして決定してもよい。なお、端末装置141は、複数のプライマリセルの候補が接続条件を満たしており、それぞれに関連付けられたセカンダリセルの候補がいずれも接続条件を満たしていない場合に、それらのプライマリセルの候補とそれぞれ関連付けられたセカンダリセルの候補のうち、無線品質が最も良いセルを選択し、そのセルに関連付けられたプライマリセルを接続先としてCHOを実行してもよい。例えば、第1のプライマリセルの候補と第2のプライマリセルの候補が、共にCHOの条件が満たされたものとする。ここで、第1のプライマリセルの候補に第1のセカンダリセルの候補が関連付けられており、第2のプライマリセルの候補に第2のセカンダリセルの候補が関連付けられているものとする。このときに、第1のセカンダリセルの候補の無線品質が、第2のセカンダリセルの候補の無線品質より高い場合に、端末装置141は、第1のプライマリセルへのCHOおよび第1のセカンダリセルへのCPACを実行すると決定してもよい。このようにして、セカンダリセルのCPACの条件が満たされていない状態でCHOが行われた場合であっても、プライマリセルの変更後に、セカンダリセルを使用することができる状態とすることができる。これにより、CHOによるプライマリセルの変更直後から、セカンダリセルを用いた大容量のデータ通信を実行することが可能となる。
【0031】
また、端末装置141は、セカンダリセルの候補のいずれかの無線品質が接続条件(例えばイベントA3やイベントA5)を満たした場合、CPACによるセカンダリセルの変更を行いうる。この場合、端末装置141は、変更後のセカンダリセルに関連付けられているプライマリセルの候補に関する条件および事前設定情報を維持しうる。その後、端末装置141は、その維持しているプライマリセルの候補に関する条件の情報に基づいてCHOを実行するか否かを判定して、CHOを実行すべき条件が満たされた場合に、CHOを実行して、そのプライマリセルの候補との接続を確立してもよい。
【0032】
また、端末装置141は、セカンダリセルの候補のいずれかの無線品質が接続条件(例えばイベントA3やイベントA5)を満たす一方で、プライマリセルの候補の無線品質がいずれも接続条件を満たしていない状態であっても、CHOとCPACとを同時に実行してもよい。この場合、端末装置141は、接続の変更先のセカンダリセルの候補に関連付けられているプライマリセルの候補の中から、例えば最も無線品質の良いセルを選択して、CHOによるプライマリセルの接続先を決定してもよい。なお、接続の変更先のセカンダリセルの候補に関連付けられているプライマリセルの候補のうち、接続条件が満たされていない状態でCHOが実行される際に接続されるべき候補が指定されていてもよく、端末装置141は、その指定された候補のセルに接続するようにしてもよい。また、端末装置141は、接続条件より低い無線品質の閾値を超えた無線品質を得られているプライマリセルの候補を、CHOによる接続先のプライマリセルとして決定してもよい。なお、端末装置141は、複数のセカンダリセルの候補が接続条件を満たしており、それぞれに関連付けられたプライマリセルの候補がいずれも接続条件を満たしていない場合に、それらのセカンダリセルの候補とそれぞれ関連付けられたプライマリセルの候補のうち、無線品質が最も良いセルを選択し、そのセルに関連付けられたセカンダリセルを接続先としてCPACを実行してもよい。このようにして、プライマリセルのCHOの条件が満たされていない状態でCPACが行われた場合であっても、セカンダリセルの変更後に、プライマリセルを使用することができる状態とすることができる。
【0033】
また、端末装置141は、あるプライマリセルの候補へのCHOを行う際に、そのプライマリセルと組み合わせて使用可能なセカンダリセルの候補のうち、他のプライマリセルの候補とも組み合わせて使用可能なセカンダリセルの候補を、優先して接続を確立する対象としてもよい。例えば、
図1の例では、端末装置141は、セル111に接続する際に、セカンダリセルの候補のセル131~セル133とのCPACによる接続の確立を試行しうる。このとき、セル133がセル112と組み合わせて使用することができず、一方で、セル131およびセル132がセル112と組み合わせて使用することができる。このため、端末装置141は、セル131又はセル132をセル133より優先して、セカンダリセルの候補として接続を試行してもよい。これによれば、プライマリセルの候補への接続に失敗し、セカンダリセルの候補への接続にのみ成功した場合に、その接続を維持したまま、他のプライマリセルの候補への接続を試行することができる。そして、他のプライマリセルの候補への接続に成功した場合に、改めてセカンダリセルの設定をやり直す必要がなくなる。
【0034】
(装置構成)
図5に、基地局装置および端末装置のハードウェア構成例を示す。基地局装置および端末装置は、一例において、プロセッサ501、ROM502、RAM503、記憶装置504、及び通信回路505を含んで構成される。プロセッサ501は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM502や記憶装置504に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM502は、基地局装置および端末装置が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM503は、プロセッサ501がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置504は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路505は、例えば、LTEや5Gの無線通信用の回路によって構成される。なお、
図5では、1つの通信回路505が図示されているが、基地局装置および端末装置は、複数の通信回路を有しうる。例えば、基地局装置および端末装置は、LTE用および5G用の無線通信回路と共通のアンテナを有しうる。なお、基地局装置および端末装置は、LTE用のアンテナと5G用のアンテナとを別個に有してもよい。また、基地局装置は、さらに、他の基地局装置やコアネットワークのノードと通信する際に使用される有線通信回路を有しうる。また、端末装置は、無線LAN等の他の無線通信システムのための通信回路を有してもよい。なお、基地局装置および端末装置は、使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれについて別個の通信回路505を有してもよいし、それらの周波数帯域の少なくとも一部に対して共通の通信回路505を有してもよい。
【0035】
図6に、基地局装置の機能構成例を示す。基地局装置は、その機能として、例えば、情報取得部601、情報集約部602、および情報通知部603を有する。なお、
図6では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、基地局装置が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、基地局装置は、LTEや5Gの基地局装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、
図6の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、
図6の各機能は、例えば、プロセッサ501がROM502や記憶装置504に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路505の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0036】
まず、基地局装置が、端末装置が接続中のプライマリセルを提供する基地局装置である場合、すなわち、ハンドオーバ元の基地局装置である場合について説明する。
【0037】
情報取得部601は、ハンドオーバ先の候補となるプライマリセルを提供する第1の他の基地局装置から、CHOのための接続条件および通信パラメータの情報を取得する。このとき、情報取得部601は、例えば、第1の他の基地局装置が提供するセルをプライマリセルとしたときに組み合わせてセカンダリセルとして使用することができるセルについての、CPACのための接続条件および通信パラメータの情報を、第1の他の基地局装置から取得しうる。例えば、情報取得部601は、端末装置が現在使用中の通信パラメータの情報などを含んだHANDOVER REQUESTメッセージを、第1の他の基地局装置へ送信する。そして、情報取得部601は、第1の他の基地局装置から、CHOおよびCPACのための接続条件および通信パラメータの情報を含んだHANDOVER REQUEST ACKNOWLEDGEメッセージを受信する。この場合、情報取得部601は、例えば、
図3(A)や
図3(B)のような情報を取得しうる。また、情報取得部601は、例えば、
図2に示すような集約されていない情報を取得してもよい。
【0038】
なお、情報取得部601は、第1の他の基地局装置から、CHOの接続条件および通信パラメータの情報と、その第1の他の基地局装置が提供するセルをプライマリセルとしたときに組み合わせてセカンダリセルとして使用することができるセルを特定する情報を取得してもよい。この場合、情報取得部601は、そのセルを提供する第2の他の基地局装置に対して、CPACのための接続条件および通信パラメータの情報を要求し、その要求への応答としてその接続条件および通信パラメータの情報を取得してもよい。一例において、この場合の要求および応答は、それぞれ、SgNB Addition RequestおよびSgNB Addition Request Acknowledgeによって行われうる。すなわち、セカンダリセルの候補についての接続条件および通信パラメータの情報は、プライマリセルの候補のセルを提供する第1の他の基地局装置を介して取得されてもよいし、セカンダリセルの候補のセルを提供する第2の他の基地局装置から直接取得されてもよい。
【0039】
情報集約部602は、情報取得部601によって取得された情報を集約し、重複する通信パラメータの削除やポインタへの置き換えなどの処理を行う。情報集約部602は、例えば、
図2のような集約されていない情報を取得した場合に、プライマリセルごとに情報を集約した
図3(A)や
図3(B)のような情報を生成してもよいし、複数のプライマリセルについての情報を集約した
図4(A)や
図4(B)のような情報を生成してもよい。情報通知部603は、情報集約部602において生成された、集約済みのCHOおよびCPACのための接続条件および通信パラメータの情報を、端末装置へ通知する。
【0040】
続いて、基地局装置が、端末装置が接続中のプライマリセルを提供する基地局装置である場合、すなわち、ハンドオーバ元の基地局装置である場合について説明する。
【0041】
情報取得部601は、例えば、自装置がプライマリセルの候補のセルを提供している場合、そのセルと組み合わせて使用可能なセカンダリセルの候補のセルについて、CPACのための接続条件および通信パラメータの情報を取得する。情報取得部601は、例えば、端末装置が現在接続中のプライマリセルを提供する基地局装置から、CHOのための接続条件および通信パラメータの情報を要求されたことに応じて、CPACのための接続条件および通信パラメータの情報の収集を実行しうる。情報取得部601は、端末装置が現在接続中のプライマリセルを提供する第1の他の基地局装置から、その端末装置が使用中の通信パラメータ等の情報を含んだHANDOVER REQUESTを受信すると、セカンダリセルの候補のセルを提供する第2の他の基地局装置に、その通信パラメータに対応する情報を含んだSgNB Addition Requestを送信する。そして、情報取得部601は、第2の他の基地局装置から、接続条件および通信パラメータの情報を含んだSgNB Addition Request Acknowledgeを受信しうる。
【0042】
情報集約部602は、情報取得部601によって取得した情報を集約する。例えば、基地局装置101の情報集約部602は、
図3(A)のような情報を生成する。情報通知部603は、情報集約部602によって生成された情報を、端末装置が現在接続中のプライマリセルを提供する基地局装置へ通知する。なお、端末装置が現在接続中のプライマリセルを提供する基地局装置に、情報取得部601が取得した情報をそのまま提供してもよく、その場合、情報集約部602は省略されてもよい。
【0043】
なお、セカンダリセルの候補のセルを提供する基地局装置は、CPACのための接続条件および通信パラメータの情報を、その情報を要求した他の基地局装置へ通知するように構成される。
【0044】
各基地局装置は、一例において、上述の全部又は一部の能力を有しうる。すなわち、基地局装置は、端末装置が現在接続中のプライマリセルを提供している基地局装置としての機能と、プライマリセルの候補のセルを提供する基地局装置としての機能と、セカンダリセルの候補のセルを提供する基地局装置としての機能と、の全てを有してもよいし、その一部のみを有してもよい。
【0045】
図7に、端末装置の機能構成例を示す。端末装置は、その機能として、例えば、事前設定部701、条件判定部702、および、接続処理部703を有する。なお、
図7では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、端末装置が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、端末装置は、LTEや5Gの基地局装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、
図7の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、
図7の各機能は、例えば、プロセッサ501がROM502や記憶装置504に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路505の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0046】
事前設定部701は、現在接続中のプライマリセルを提供している基地局装置から、CHOおよびCPACのための接続条件および通信パラメータの情報を取得し、CHOおよびCPACのための設定を実行する。事前設定部701は、例えば、RRC Reconfigurationメッセージを受信し、そのメッセージに含まれている
図3(A)や
図3(B)のような情報又は
図4(A)や
図4(B)のような情報を取得する。そして、事前設定部701は、プライマリセルの候補についてCHOの事前設定を行い、また、そのプライマリセルの候補と組み合わせて使用可能なセカンダリセルの候補のセルについてCPACの事前設定を行う。条件判定部702は、事前設定部701によって設定されたプライマリセル及びセカンダリセルの候補のそれぞれについて、接続条件が満たされているか否かを判定する。接続処理部703は、条件判定部702によって接続条件が満たされていると判定されたセルに、そのセルについて事前設定された通信パラメータを用いて接続処理を実行する。なお、条件判定部702は、例えば、接続処理部703がセカンダリセルの接続に成功し、プライマリセルの接続に失敗した場合には、その接続に成功したセカンダリセルと共に設定可能な別のプライマリセルの候補への接続が試行されるように、接続条件の調整を実行してもよい。また、条件判定部702は、例えば、複数のプライマリセルの候補と組み合わせて使用可能なセカンダリセルの候補に優先的に接続するように、接続条件の調整を行ってもよい。
【0047】
(処理の流れ)
続いて、処理の流れの例について説明する。
図8は、端末装置が現在接続中のプライマリセルを提供する基地局装置(S-MN)から、端末装置141に対して、CHOおよびCPACのための情報を提供する手順を示している。なお、S-MNは、Source Master Nodeの略語である。ここで、プライマリセルの候補を提供する基地局装置を、Target Master Node(T-MN)と呼ぶ。
図1の例において、基地局装置101および基地局装置102がT-MNである。また、セカンダリセルの候補となるセルを提供する基地局装置を、Target Secondary Node(T-SN)と呼ぶ。
図1の例において、基地局装置121~124がT-SNである。
【0048】
まず、S-MNが、周囲のプライマリセルの候補のセルを提供する基地局装置の中から、それらの基地局装置から送信された信号の受信品質が所定値以上である基地局装置をT-MNとして選択して、HANDOVER REQUESTを送信する(S801)。なお、HANDOVER REQUESTは、例えば、端末装置141が現在使用している通信パラメータに対応する通信性能で通信サービスを提供することができるか否かの判定を可能とする情報を含む。また、ここでのHANDOVER REQUESTには、端末装置141が現在接続中のセカンダリセルにおける通信パラメータに対応する通信性能で通信が可能なセカンダリセルの候補の情報を提供するように要求する情報を含みうる。なお、各セカンダリセルの候補についての端末装置141における無線品質の測定値の情報が提供されてもよい。T-MNは、この情報を受信すると、自装置が提供するセルをプライマリセルとした場合にセカンダリセルとして利用可能なセルを提供するT-SNへ、SgNB Addition Requestを送信する(S802、S804)。ここでのSgNB Addition Requestは、例えば、要求される通信性能を特定可能な情報などを含む。T-SNは、要求される通信性能での通信サービスを提供可能である場合、接続を許可することを示す情報と、CPACでの接続条件および通信パラメータを含んだSgNB Addition Request Acknowledgeを、T-MNへ送信する(S803、S805)。T-MNは、T-SNから、CPACでの接続条件および通信パラメータを受信すると、その情報と、自装置へのCHOでの接続条件および通信パラメータの情報を含んだHANDOVER REQUEST ACKNOWLEDGEを、S-MNへ送信する(S807)。なお、T-MNは、このときに、
図3(A)や
図3(B)のように情報を集約してから(S806)、S-MNへ送信してもよい。
【0049】
S-MNは、T-MNからCHOおよびCPACの情報を受信すると、その情報を含んだRRC Reconfigurationメッセージを端末装置141へ通知し(S809)、端末装置141がRRC Reconfiguration CompleteメッセージをS-MNへ変身して(S810)、事前設定が完了する。なお、S-MNは、T-MNから受信した情報を集約してから(S808)、情報を端末装置141へ提供してもよい。以上のようにして、端末装置141において、CHOおよびCPACの事前設定が完了する。
【0050】
続いて、端末装置が接続先の変更を行う際の処理の流れについて、
図9および
図10を用いて説明する。なお、これらの例において、プライマリセルの候補を提供する基地局装置として、T-MN-A~T-MN-Cが存在するものとする。また、T-MN-Aによって提供されるプライマリセルは、T-SN-Dが提供しているセルをセカンダリセルとして組み合わせて利用可能であり、T-MN-BおよびT-MN-Cによって提供されるプライマリセルは、T-SN-Eが提供しているセルをセカンダリセルとして組み合わせて利用可能であるものとする。ここで、端末装置が、T-MN-BへのCHOによる接続確立を試行し、さらに、T-SN-EへのCPACによる接続確立を試行したものとし、T-MN-Bへの接続には失敗し、T-SN-Eへの接続には成功したものとする(S901、S902)。この場合、端末装置は、T-SN-Eへの接続を維持するために、T-SN-Eによって提供されるセカンダリセルと組み合わせて利用可能なプライマリセルを提供可能なT-MN-Cに優先して接続すると判定する(S903)。そして、端末装置は、T-SN-Eとの接続を維持しながら、T-MN-Cとの接続確立を試行する(S904)。これにより、セカンダリセルの接続を再度実行する必要がなくなるため、効率的に接続を確立することが可能となる。
【0051】
図10の例では、端末装置が、ハンドオーバを実行する前に、共通のセカンダリセルと共に使用可能なプライマリセルを提供するT-MNを、優先して接続すべきT-MNとして選択する場合の例を示している。この例では、T-SN-Eによって提供されるセルをセカンダリセルとして使用可能なプライマリセルを提供するT-MNがT-MN-BおよびT-MN-Cの2つである。一方で、T-SN-Dによって提供されるセルをセカンダリセルとして使用可能なプライマリセルを提供するT-MNがT-MN-Aの1つのみである。このため、端末装置は、より多くのプライマリセルに関連付けられたセカンダリセルが、T-SN-Eによって提供されるセルであると判定し、このセカンダリセルと共に使用可能なプライマリセルを提供するT-MN-BおよびT-MN-Cを優先して接続すべき対象として決定する(S1001)。そして、端末装置は、この決定に基づいて、例えば、T-MN-BとT-MN-Cとのうちの無線品質がより良好な方の基地局装置へのCHOと、T-SN-EへのCPACとを実行する(S1002、S1003)。
【0052】
本実施形態では、このようにして、効率的にCHOとCPACとを実行することが可能となる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0053】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。