(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161474
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】硬貨処理機
(51)【国際特許分類】
G07D 9/00 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
G07D9/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024135309
(22)【出願日】2024-08-14
(62)【分割の表示】P 2021074737の分割
【原出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】前田 亮
(57)【要約】
【課題】包装硬貨の機内での搬送中に生じる不具合を抑制することができる硬貨処理機および硬貨包装搬出装置を提供する。
【解決手段】包装硬貨Bの落下を案内する第1ガイド部111と、第1ガイド部111内を落下してきた包装硬貨Bを支持するとともに、第1の回転方向へ回転することによって支持している包装硬貨Bを第1の下方向に向けて放出する第1ゲート113と、第1ゲート113の第2の回転方向への回転によって第2の下方向に向けて放出される包装硬貨Bを案内する第2ガイド部151と、第2ガイド部151の下方開口部152に設けられ、第2ガイド部151内を落下してきた包装硬貨Bを支持するとともに、回転することで第2ガイド部151の下方開口部152を開閉する第2ゲート153と、第1ゲート113と第2ゲート153とを連動して回転させる駆動源181と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装硬貨の落下を案内する第1ガイド部と、
前記第1ガイド部内を落下してきた包装硬貨を支持するとともに、第1の回転方向へ回転することによって支持している包装硬貨を第1の下方向に向けて放出する第1ゲートと、
前記第1ゲートの第2の回転方向への回転によって第2の下方向に向けて放出される包装硬貨を案内する第2ガイド部と、
前記第2ガイド部の下方開口部に設けられ、前記第2ガイド部内を落下してきた包装硬貨を支持するとともに、回転することで前記第2ガイド部の下方開口部を開閉する第2ゲートと、
前記第1ゲートと前記第2ゲートとを連動して回転させる駆動源と、を備えることを特徴とする硬貨処理機。
【請求項2】
前記第1ゲートと前記第2ゲートとを連動させる連動機構を有し、
前記連動機構は、
前記第1ゲートが包装硬貨を支持するとき、前記第2ゲートが前記第2ガイド部の下方開口部を開き、
前記第1ゲートが前記第2の回転方向へ回転することによって支持している包装硬貨を前記第2の下方向に向けて放出するとき、前記第2ゲートが前記第2ガイド部の下方開口部を閉じるように、
前記第1ゲートと前記第2ゲートとを連動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理機。
【請求項3】
前記第2ガイド部の下方開口部において、前記第2ゲートが閉じたときに包装硬貨を検出する検出手段を有する請求項1または2に記載の硬貨処理機。
【請求項4】
前記検出手段が包装硬貨を所定時間継続して検出したときに、前記第2ゲートが前記第2ガイド部の下方開口部を開くように前記駆動源を駆動させる制御部を有する請求項3に記載の硬貨処理機。
【請求項5】
バラ硬貨が投入される硬貨投入口と、
前記硬貨投入口に投入された硬貨を所定枚数集積させ包装して包装硬貨を作成する硬貨包装部と、を有する硬貨包装機である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の硬貨処理機と、
前記第2ゲートの直下であって、前記第2ゲートが開放されたときに放出される包装硬貨を受け取って、少なくとも一部の区間ほぼ水平に搬送する包装硬貨搬送コンベアと、を有することを特徴とする硬貨包装搬出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨処理機および硬貨包装搬出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体の上部位置にバラ硬貨がオペレータにより投入される投入口が設けられ、当該投入口より投入されたバラ硬貨を所定枚数集積させて包装紙で包装して棒金を作成する硬貨処理機が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような硬貨処理機では、バラ硬貨より作成した包装硬貨(棒金)について、機内での搬送中に、包装紙のめくれや破損などの不具合を生じることがある。
【0005】
したがって、本発明は、包装硬貨の機内での搬送中に生じる不具合を抑制することができる硬貨処理機および硬貨包装搬出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る硬貨処理機の一態様は、包装硬貨の落下を案内する第1ガイド部と、前記第1ガイド部内を落下してきた包装硬貨を支持するとともに、第1の回転方向へ回転することによって支持している包装硬貨を第1の下方向に向けて放出する第1ゲートと、前記第1ゲートの第2の回転方向への回転によって第2の下方向に向けて放出される包装硬貨を案内する第2ガイド部と、前記第2ガイド部の下方開口部に設けられ、前記第2ガイド部内を落下してきた包装硬貨を支持するとともに、回転することで前記第2ガイド部の下方開口部を開閉する第2ゲートと、前記第1ゲートと前記第2ゲートとを連動して回転させる駆動源と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る硬貨包装搬出装置の一態様は、バラ硬貨が投入される硬貨投入口と、前記硬貨投入口に投入された硬貨を所定枚数集積させ包装して包装硬貨を作成する硬貨包装部と、包装硬貨の落下を案内する第1ガイド部と、前記第1ガイド部内を落下してきた包装硬貨を支持するとともに、第1の回転方向へ回転することによって支持している包装硬貨を第1の下方向に向けて放出する第1ゲートと、前記第1ゲートの第2の回転方向への回転によって第2の下方向に向けて放出される包装硬貨を案内する第2ガイド部と、前記第2ガイド部の下方開口部に設けられ、前記第2ガイド部内を落下してきた包装硬貨を支持するとともに、回転することで前記第2ガイド部の下方開口部を開閉する第2ゲートと、前記第1ゲートと前記第2ゲートとを連動して回転させる駆動源と、を有する硬貨包装機である硬貨処理機と、前記第2ゲートの直下であって、前記第2ゲートが開放されたときに放出される包装硬貨を受け取って、少なくとも一部の区間ほぼ水平に搬送する包装硬貨搬送コンベアと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、包装硬貨の機内での搬送中に生じる不具合を抑制することができる硬貨処理機および硬貨包装搬出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機を含む硬貨包装搬出装置を示す正面図である。
【
図4】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機を含む硬貨包装搬出装置を示す側面図である。
【
図5】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の硬貨包装部を概略的に示す斜視図である。
【
図6】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の振分機構を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の振分機構を示す正断面図である。
【
図8】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の振分機構を示す正断面図である。
【
図9】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の振分機構を示す正断面図である。
【
図10】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の振分機構を示す正断面図である。
【
図11】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の振分機構を示す正断面図である。
【
図12】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の振分機構を示す正断面図である。
【
図13】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の振分機構を示す正断面図である。
【
図14】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の振分機構を示す正断面図である。
【
図15】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の振分機構を示す正断面図である。
【
図16】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の振分機構を示す正断面図である。
【
図17】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の振分機構を示す背面図である。
【
図18】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の振分機構を示す斜視図である。
【
図19】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の第2下方開口部近傍を示す斜視図である。
【
図20】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の振分機構を示す変形例の正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る一実施形態の硬貨処理機および硬貨包装搬出装置を図面を参照して以下に説明する。
【0011】
図1および
図2に示すように、本実施形態の硬貨処理機11には、一の側面にタッチセンサパネル式の操作表示部21が設けられている。以下の説明では、硬貨処理機11において、操作表示部21が設けられた側を「前」、操作表示部21が設けられた側とは反対側を「後」、前方から見て左を「左」、前方から見て右を「右」とする。「前」は、硬貨処理機11を操作するオペレータが主に対面する側である。
【0012】
硬貨処理機11は、具体的には、操作表示部21を介して指定された単一の包装対象金種のバラ硬貨を所定の包装単位枚数(例えば50枚)集積して包装シートで包装することにより包装硬貨(以下、棒金と称す)を作成する硬貨包装機である。硬貨処理機11の上面の左側かつ後側には、装置外からバラ硬貨が投入される硬貨投入口22が上向きに開口して設けられている。
【0013】
硬貨処理機11の前面には、左側の上部に上記した操作表示部21が設けられている。操作表示部21は、包装動作における金種指定情報などの各設定の入力、包装処理の開始・停止の操作入力がオペレータにより入力されると共に、硬貨処理機11内でバラ硬貨を計数した結果、包装動作や印刷内容等の各種設定時の案内および設定内容等を表示する。また、前面の右側には、硬貨投入口22に投入されたバラ硬貨のうち、識別不能貨、汚損貨等の受け入れ不可な入金リジェクト硬貨を機外に取り出し可能に排出する排除ボックス23が設けられている。排除ボックス23は、硬貨処理機11の装置本体25にセットされた状態で装置本体25から送出されるバラ硬貨を収納することになり、装置本体25から前方に引き出されることで、収納しているバラ硬貨が機外に取り出し可能となる。
【0014】
硬貨処理機11の前面の右側には、排除ボックス23の下側に、硬貨投入口22に投入されたバラ硬貨のうち、指定された包装対象金種以外のバラ硬貨を機外に取り出し可能に収納する選別ボックス27が設けられている。選別ボックス27は、装置本体25にセットされた状態で装置本体25から送出されるバラ硬貨を収納することになり、装置本体25から前方に引き出されることで、収納しているバラ硬貨が機外に取り出し可能となる。
【0015】
硬貨処理機11の前面の左側の下部には、所定の包装単位枚数に満たない枚数のバラ硬貨を集積して包装シートで包装することにより作成された端数棒金を機外に取り出し可能に収納するクリアボックス28が設けられている。クリアボックス28は、装置本体25にセットされた状態で装置本体25から送出される端数棒金を収納することになり、装置本体25から前方に引き出されることで、収納している端数棒金が機外に取り出し可能となる。尚、クリアボックス28については、端数棒金のみならず、集積したものの包装せずにバラ硬貨のまま排出させる場合にも当該バラ硬貨を収納する。
【0016】
硬貨処理機11は、その前端に位置する前端構成部31に、排除ボックス23、選別ボックス27およびクリアボックス28が設けられている。前端構成部31は、前端構成部31よりも下側の下端構成部32よりも前方に突出している。硬貨処理機11は、この前端構成部31における下部の左右方向のクリアボックス28と選別ボックス27との間の位置から下方に、作成した棒金のうち端数棒金以外の正常棒金を繰り出す。
【0017】
硬貨処理機11は、例えば、主に現金処理センタで使用される装置仕様となっており、
図3に示すように複数台が前後方向の位置を揃えて左右方向に並べられて硬貨包装搬出装置41を構成する。硬貨包装搬出装置41は、各硬貨処理機11の
図2に示す前端構成部31の鉛直下方において水平方向に延びるベルトコンベア42(包装硬貨搬送コンベア)を有しており、このベルトコンベア42が各硬貨処理機11から繰り出された正常棒金を搬送する。硬貨包装搬出装置41は、このベルトコンベア42で搬送されてきた正常棒金を受け取って斜め上方に向けて搬送するベルトコンベア43(包装硬貨搬送コンベア)と、ベルトコンベア43で搬送されてきた正常棒金を受け入れる受入台44とを有している。受入台44に搬送された正常棒金は、後工程で自動または手動で袋詰めまたは箱詰め等される。ベルトコンベア42,43は、一部の区間であるベルトコンベア42が、正常棒金をほぼ水平に搬送する。
【0018】
ここで、硬貨包装搬出装置41は、
図4に示すように、各硬貨処理機11の傍らに配置される硬貨供給機51を有している。硬貨供給機51は、大量の所定金種のバラ硬貨を受け入れるとともに対応する硬貨処理機11のバラ硬貨の残量に応じて対応する硬貨処理機11にバラ硬貨を供給する。硬貨供給機51は、大量の所定金種のバラ硬貨が投入されるホッパ台車52と、ホッパ台車52に投入されたバラ硬貨を硬貨処理機11に供給するコインリフト53とを有している。コインリフト53は、バラ硬貨を自動で硬貨投入口22以上の高さまで搬送して硬貨投入口22へ投入するものである。このため、コインリフト53は、バラ硬貨を放出する末端の放出部54が、硬貨処理機11の硬貨投入口22の鉛直上方に、硬貨投入口22に近接して対向するように設けられている。言い換えれば、コインリフト53は、硬貨投入口22を鉛直上方で覆うように配置されている。硬貨包装搬出装置41では、硬貨供給機51から対応する硬貨処理機11の硬貨投入口22へ向けて、バラ硬貨が供給される。
【0019】
硬貨処理機11には、内部に、
図5に概略的に示す硬貨包装部61が設けられている。硬貨包装部61は、硬貨投入口22に投入されたバラ硬貨を所定枚数集積させ包装して棒金を作成する。硬貨包装部61は、硬貨投入口22に投入されたバラ硬貨を集積させる集積機構62を有している。この集積機構62は、硬貨投入口22に投入されたバラ硬貨を受け入れる受入盤63と、受入盤63が回転することにより生じる遠心力で繰り出すバラ硬貨を受け入れる回転盤64と、回転盤64が回転することにより生じる遠心力でバラ硬貨を一枚ずつ繰り出す図示略の分別環と、分別環から繰り出されたバラ硬貨を受け入れて搬送する硬貨通路65とを有している。
【0020】
硬貨通路65は、その上部にバラ硬貨を一枚ずつ移送させる送りベルト71を有している。硬貨通路65の途中位置には、図示しない識別部が設けられており、硬貨通路65で搬送されるバラ硬貨の真偽および金種等が必要に応じて判別されるようになっている。ここで、硬貨通路65には図示しない排除孔および選別孔が設けられており、識別部で受け入れ不可と判別されたバラ硬貨は、排除孔から排除ボックス23に落下するようになっている。識別部で包装対象金種以外の金種と判別されたバラ硬貨は、選別孔から選別ボックス27に落下するようになっている。
【0021】
集積機構62は、硬貨通路65を経由したバラ硬貨を集積させる一対の集積ドラム75を有している。これら集積ドラム75は、螺旋状の突条部76をそれぞれ有しており、相互の突条部76の高さ位置を一致させた状態で、硬貨通路65からのバラ硬貨の供給に同期させて、互いに反対方向に間欠的に回転駆動させられるようになっている。これにより、硬貨通路65を通じて供給されたバラ硬貨が両集積ドラム75の両突条部76に乗せられて一段下降させられ、その後に供給されたバラ硬貨が先のバラ硬貨の上に積み重ねられる結果、これら集積ドラム75間に、複数のバラ硬貨が上下方向に積み重ね状態に集積され、集積硬貨が形成されるようになっている。また、集積機構62は、これら集積ドラム75の下方位置に、これら集積ドラム75において所定枚数集積された集積硬貨をその上面に載置させる水平シャッタ77を有している。そして、水平シャッタ77は開放時に、その上面に載置させていた集積硬貨を落下させて、下方の包装機構81に受け渡すようになっている。
【0022】
包装機構81も硬貨包装部61を構成するものである。包装機構81は、水平シャッタ77から落下させられた集積硬貨を下から支える昇降可能な支持棒82と、支持棒82の周囲に鉛直方向に沿って配置される3本の平行な包装ローラ83と、これら包装ローラ83を回転駆動する図示略の包装モータとを有している。包装ローラ83は、そのうちの一つが残りの二つに対し近接・離間可能とされている。そして、包装ローラ83は、そのうちの一つが残りの二つに対し離間状態にあるとき、集積機構62から送られた集積硬貨を間に受け入れるようになっており、このように集積硬貨を受け入れた状態で前記一つが残りの二つに対し近接することにより、集積硬貨を三つで挟持することになる。そして、この状態で包装ローラ83を回転駆動し、かつ包装ローラ83と集積硬貨との間に包装シートSを挟み込むことで、集積硬貨の周面に包装シートSが巻回されるようになっている。また、包装機構81は、上記のように巻回された包装シートSの集積硬貨よりも上下に突出する両余剰部分を加締める加締爪84を上下に有している。
【0023】
包装機構81の側方には、包装機構81に透明ポリエチレンフィルム等の包装シートSを供給する包装紙供給機構91が設けられている。この包装紙供給機構91も、硬貨包装部61を構成するものである。包装紙供給機構91は、鉛直軸回りに回転自在に支持された包装紙ロールRから繰り出された包装シートSを挟持することにより、その回転量に応じた長さだけ包装シートSを包装紙ロールRから引き出して集積硬貨に向け供給する一対の紙送りローラ92と、これら紙送りローラ92を一定速度で回転駆動する図示略の紙送りモータと、紙送りモータの駆動で紙送りローラ92から送り出された包装シートSを包装ローラ83に向け案内する複数の案内ローラ93と、包装シートSを切断するカッタ94とを有している。なお、このカッタ94は、紙送りローラ92が停止しかつ包装ローラ83が回転駆動されている状態において包装シートSに生じる張力で包装シートSを切断するようになっている。
【0024】
硬貨包装部61は、集積機構62が、包装対象金種のバラ硬貨を所定の包装単位枚数(例えば50枚)集積し、包装機構81および包装紙供給機構91が、このように集積された集積硬貨の周囲に三つの包装ローラ83で包装シートSを巻回し、包装シートSをカッタ94で切断すると共に、集積硬貨よりも集積方向における両外側に突出する包装シートSの余剰部分を加締爪84で加締めることで棒金を作成する。
【0025】
硬貨処理機11は、
図6に示すような振分機構101を有している。振分機構101は、硬貨包装部61の包装機構81から搬送されてきた棒金のうち、端数棒金を左側のクリアボックス28に、正常棒金を右側の硬貨放出部29に振り分ける。言い換えれば、振分機構101は、棒金の振分方向が左右方向となっている。硬貨放出部29は、上記した前端構成部31における左右方向のクリアボックス28と選別ボックス27との間の位置に設けられており、下方に正常棒金を繰り出す。
【0026】
図7に示すように、振分機構101は、硬貨包装部61から搬送されてきた棒金Bの落下を案内する筒状の第1ガイド部111と、第1ガイド部111の下端で下方に開口する第1下方開口部112に設けられて第1下方開口部112を開閉する第1ゲート113とを有している。
【0027】
第1ガイド部111は、左側にあって前後方向に沿い且つ上下方向に沿う第1左壁部121と、右側にあって前後方向に沿い且つ上下方向に沿う第1右壁部122とを有している。第1下方開口部112は、第1左壁部121の下端縁部と第1右壁部122の下端縁部との間に形成されている。ここで、第1左壁部121の下端縁部の位置よりも第1右壁部122の下端縁部の位置の方が上方に位置している。よって、第1下方開口部112は、左端位置よりも右端位置の方が上方に位置している。
【0028】
第1ゲート113は、前後方向に沿って水平に延びる位置固定の第1支持軸131と、この第1支持軸131に固定されてこの第1支持軸131を中心に回転する第1ゲート部材132とを有している。第1支持軸131は、第1下方開口部112の左右方向の中間位置に設けられている。
【0029】
第1ゲート部材132は、前後方向に沿って広がる平板状の主支持部141と、前後方向に沿って広がる平板状の傾斜支持部142とを有している。傾斜支持部142は主支持部141に対して鈍角をなして傾斜している。第1ゲート部材132は、主支持部141の厚さ方向における傾斜支持部142が延出する側とは反対側が第1支持軸131に支持されている。主支持部141は、傾斜支持部142側の端部と傾斜支持部142とは反対側の端部との間の中間部が第1支持軸131に支持されている。
【0030】
第1ゲート部材132は、
図7に示すように第1ガイド部111の第1下方開口部112を閉塞する状態では、主支持部141が水平に対してやや左下がりとなって左端縁部が第1左壁部121の下端縁部に近接し、主支持部141の右端から傾斜支持部142が上方に延出する状態になって傾斜支持部142の上端縁部が第1右壁部122の下端縁部に近接する。これにより、第1ゲート部材132は、左端位置よりも右端位置の方が上方に位置する第1下方開口部112を閉塞する。
【0031】
第1ゲート113は、このように第1ゲート部材132で第1下方開口部112を閉塞する閉塞位置が待機位置となっており、待機位置に位置する待機状態において、包装機構81から搬送され第1ガイド部111で案内されて第1ガイド部111内を落下する棒金Bを、水平に対してやや左下がりとなる主支持部141と、第1ガイド部111の第1左壁部121とで支持する。このとき棒金Bは、主支持部141と第1左壁部121とに接触して前後方向に沿う姿勢となる。
【0032】
第1ゲート113は、第1ガイド部111内を落下してきた棒金Bを第1ガイド部111とで支持するとともに、
図7における反時計回りである第1の回転方向へ回転することによって、支持している棒金Bを、
図8に示すように第1ガイド部111の第1下方開口部112から第1支持軸131よりも左側の第1の下方向に向けて放出する。
【0033】
振分機構101は、第1ゲート113の主支持部141から第1の下方向に向けて落下する棒金B(端数棒金)をクリアボックス28に向け案内してクリアボックス28に収納させるガイド部145を有している。ガイド部145は、前後方向に沿って広がる平板状であって、水平に対してやや左下がりとなっている。
【0034】
このように、第1ゲート113は、待機状態において第1ガイド部111とで支持している棒金Bを、第1の回転方向へ回転することによってクリアボックス28に向け放出しクリアボックス28に収納させる。
【0035】
他方で、第1ゲート113は、
図7に示す待機位置にあって棒金Bを第1ガイド部111とで支持する待機状態から、
図7における時計回りである第2の回転方向へ回転することによって、支持している棒金Bを、
図9~
図11に示すように、第1ガイド部111の第1下方開口部112から第1支持軸131よりも右側の第2の下方向に向けて放出する。第2の回転方向は第1の回転方向に対して逆方向であり、第2の下方向は第1の下方向とは水平方向において異なる方向である。
【0036】
振分機構101は、第1ゲート113の第2の回転方向への回転によって
図11に示すように第2の下方向に向けて放出される棒金B(正常棒金)の落下を案内する筒状の第2ガイド部151と、第2ガイド部151の下端で下方に開口する第2下方開口部152(下方開口部)に設けられて第2下方開口部152を開閉する第2ゲート153とを有している。第2ゲート153は、
図10~
図12に示す閉状態で、第2ガイド部151内を落下してきた棒金Bを支持するとともに、回転することで第2ガイド部151の第2下方開口部152を開閉する。第2下方開口部152および第2ゲート153が、正常棒金Bを機外に放出する上記した硬貨放出部29を構成している。
【0037】
第2ガイド部151は、左側にあって前後方向に沿い且つ水平に対して右下がりに傾斜する第2左壁部161と、右側にあって前後方向に沿い且つ水平に対して右下がりに傾斜する第2右壁部162とを有している。第2下方開口部152は、第2左壁部161の下端縁部と第2右壁部162の下端縁部との間に形成されている。ここで、第2左壁部161の下端縁部の位置よりも第2右壁部162の下端縁部の位置の方が上方に位置している。よって、第2下方開口部152は、左端位置よりも右端位置の方が上方に位置している。
【0038】
第2ゲート153は、前後方向に沿って水平に延びる位置固定の第2支持軸171と、この第2支持軸171に固定されてこの第2支持軸171を中心に回転する第2ゲート部材172とを有している。第2支持軸171は、第2下方開口部152の右端よりも右側に設けられている。
【0039】
第2ゲート部材172は、前後方向に沿って広がる平板状であり、一端縁部側が第2支持軸171に支持されている。第2ゲート部材172は、
図12に示すように第2ガイド部151の第2下方開口部152を最大に閉塞する状態では、水平に対して左下がりとなって、左端縁部が第2左壁部161の下端縁部に近接し、右端縁部が第2右壁部162の下端縁部に近接して、左端位置よりも右端位置の方が上方に位置する第2下方開口部152を最大に閉塞する。
【0040】
第2ゲート153は、このように第2ゲート部材172が水平に対して左下がりとなって第2下方開口部152を最大に閉塞する位置が最大閉位置であり、最大閉位置に位置する最大閉状態において、第1ゲート113から放出され第2ガイド部151で案内されて第2ガイド部151内を落下する棒金Bを、第2ガイド部151の第2左壁部161とで支持する。このとき棒金Bは、第2ゲート部材172と第2左壁部161とに接触して前後方向に沿う姿勢となる。
【0041】
第2ゲート153は、第2ガイド部151内を落下してきた棒金Bを第2ガイド部151とで支持するとともに、
図12における反時計回り方向へ回転することによって、支持している棒金Bを、
図13~
図16に示すように、第2ガイド部151の第2下方開口部152から下方向に向けて放出する。第2下方開口部152および第2ゲート153を有する硬貨放出部29の直下に、ベルトコンベア42が設けられており、第2ガイド部151の第2下方開口部152から下方向に向けて放出された棒金Bが、ベルトコンベア42上に載せられる。すなわち、第2ゲート153は、第2ガイド部151とで支持している棒金Bを、回転することによって硬貨放出部29から放出する。ベルトコンベア42,43は、一部の区間であるベルトコンベア42が、第2ゲート153の直下にあって、第2ゲート153が開放されたときに放出される棒金Bを受け取って、ほぼ水平に搬送する。
【0042】
振分機構101は、第1ゲート113と第2ゲート153とを連動して回転させる一つのモータ181(駆動源)と、第1ゲート113と第2ゲート153とを連動して回転させる、
図17および
図18に示す連動機構182とを有している。
図18に示すモータ181は、位置固定であり、第1支持軸131と高さ位置をほぼ合わせており、第2支持軸171のほぼ鉛直上方に設けられている。モータ181は、その駆動軸183が第1支持軸131および第2支持軸171と平行に設けられている。
【0043】
図17に示すように、連動機構182は、モータ181の駆動軸183に固定される駆動ギア191と、駆動ギア191の第1支持軸131側に位置固定で設けられた第1中間支持軸192と、第1中間支持軸192に固定されて駆動ギア191の第1支持軸131側の部分に噛み合う第1中間ギア193と、第1中間支持軸192に固定された第1プーリ194と、第1支持軸131に固定された第2プーリ195と、第1プーリ194と第2プーリ195とに掛けられた無端ベルト196と、無端ベルト196を押圧するテンションローラ197とを有している。第1中間支持軸192と第1中間ギア193と第1プーリ194と第2プーリ195と無端ベルト196とテンションローラ197とが、モータ181の駆動力を、第1支持軸131を有する第1ゲート113に伝達する第1伝達機構198を構成している。
【0044】
また、連動機構182は、モータ181の駆動軸183の下方に位置固定で設けられた第2中間支持軸201と、第2中間支持軸201に固定されて駆動ギア191の第2支持軸171側の部分に噛み合う第2中間ギア202と、第2中間支持軸201の下方に位置固定で設けられた第3中間支持軸203と、第3中間支持軸203に固定されて第2中間ギア202の第2支持軸171側の部分に噛み合う第3中間ギア204と、第3中間支持軸203に固定された第4中間ギア205と、第2支持軸171に固定されて第4中間ギア205の第2支持軸171側の部分に噛み合う第2支持軸ギア206とを有している。第2中間支持軸201と第2中間ギア202と第3中間支持軸203と第3中間ギア204と第4中間ギア205と第2支持軸ギア206とが、モータ181の駆動力を、第2支持軸171を有する第2ゲート153に伝達する第2伝達機構208を構成している。
【0045】
第1伝達機構198と第2伝達機構208とは、第1ゲート113と第2ゲート153とを同じ向きに回転させるようになっている。また、第1伝達機構198と第2伝達機構208とは、減速比が異なっており、モータ181の駆動軸183の一回転当たりの第1ゲート113の回転角度よりも第2ゲート153の回転角度の方が小さくなっている。
【0046】
モータ181の駆動軸183および駆動ギア191が
図17における時計回り方向に回転すると、第1伝達機構198を構成する、第1中間ギア193、第1中間支持軸192、第1プーリ194、無端ベルト196および第2プーリ195の駆動伝達によって、第1支持軸131を含む第1ゲート113が
図17における反時計回り方向に回転すると共に、第2伝達機構208を構成する、第2中間ギア202、第3中間ギア204、第4中間ギア205および第2支持軸ギア206の駆動伝達によって、第2支持軸171を含む第2ゲート153が
図17における反時計回り方向に回転する。
【0047】
逆に、モータ181の駆動軸183および駆動ギア191が
図17における反時計回り方向に回転すると、第1伝達機構198を構成する、第1中間ギア193、第1中間支持軸192、第1プーリ194、無端ベルト196および第2プーリ195の駆動伝達によって、第1支持軸131を含む第1ゲート113が
図17における時計回り方向に回転すると共に、第2伝達機構208を構成する、第2中間ギア202、第3中間ギア204、第4中間ギア205および第2支持軸ギア206の駆動伝達によって、第2支持軸171を含む第2ゲート153が
図17における時計回り方向に回転する。
【0048】
硬貨処理機11は、
図7~
図16に示すように、第2ガイド部151内における第2下方開口部152の近傍に、棒金Bを検出するセンサ211(検出手段)を有している。センサ211は、
図19に示すように、光軸が1本水平に前後方向に通っている形の発光部212と受光部213とを有している。センサ211は、発光部212の発光が遮光されて受光部213で受光されなければセンサ211の位置に棒金Bがあることを検出する。センサ211は、発光部212の発光が受光部213で受光されればセンサ211の位置に棒金Bがないことを検出する。センサ211は、第2ガイド部151の第2下方開口部152において、
図12に示すように、第2ゲート153が最大閉位置にあるときに棒金Bを検出する。
【0049】
硬貨処理機11は、硬貨包装部61および振分機構101等、その全体の作動を制御する図示略の制御部を有している。
【0050】
振分機構101は、
図7に示すように、第1ゲート113が待機位置にあるとき、第1ゲート部材132で第1下方開口部112を閉塞しており、待機位置に位置する待機状態において、包装機構81から搬送され第1ガイド部111で案内されて第1ガイド部111内を落下する棒金Bを、水平に対してやや左下がりとなる主支持部141と、第1ガイド部111の第1左壁部121とで支持する。このとき、棒金Bは、主支持部141と第1左壁部121とによって、中心軸線を前後方向に沿う水平に配置する姿勢とされる。このように第1ゲート113が待機位置にあるとき、第1ゲート113に連動機構182を介して繋がる第2ゲート153も待機位置にある。第2ゲート153は、待機位置にある待機状態において、第2ガイド部151の第2下方開口部152を最大開位置の手前まで開いている。すなわち、連動機構182は、第1ゲート113が棒金Bを支持するとき、第2ゲート153が第2ガイド部151の第2下方開口部152を開く。
【0051】
制御部は、硬貨包装部61から端数棒金Bが搬送され、この端数棒金Bを、
図7に示すように待機位置にある第1ゲート113の主支持部141と第1ガイド部111の第1左壁部121とが支持すると、次に、モータ181を第1の回転駆動方向に回転駆動して、連動機構182の第1伝達機構198によって、第1ゲート113を
図7における反時計回りである第1の回転方向へ回転させる。すると、第1ゲート113は、主支持部141で支持している端数棒金Bを、
図8に示すように、主支持部141が第1左壁部121から離れる第1回転位置に位置して、主支持部141と第1左壁部121との間から第1の下方向に向けて放出する。すると、端数棒金Bは、ガイド部145で案内されてクリアボックス28に収納される。
【0052】
このように、第1ゲート113が、
図7に示す待機位置から
図8に示す第1回転位置に回転する際に、連動機構182は、これと同期連動して、第2伝達機構208によって、第2ゲート153を
図7における反時計回りである第1の回転方向へ回転させる。すると、第2ゲート153は、第2ガイド部151の第2左壁部161から最も離れる最大開位置となる。このとき、第2伝達機構208は、第1伝達機構198との減速比の違いにより、第1ゲート113が
図7に示す待機位置から
図8に示す第1回転位置に回転する回転角度よりも小さい角度で、第2ゲート153を
図7に示す待機位置から
図8に示す最大開位置に回転させる。
【0053】
次に、制御部は、モータ181を第1の回転駆動方向とは逆の第2の回転駆動方向に回転駆動して、連動機構182の第1伝達機構198によって、第1回転位置に位置する第1ゲート113を
図8における時計回りである第2の回転方向へ回転させて
図7に示す待機位置に戻すと共に、これと同期連動して、連動機構182の第2伝達機構208によって、第2ゲート153を
図8における時計回りである第2の回転方向へ回転させて
図7に示す待機位置に戻す。
【0054】
制御部は、包装機構81から正常棒金Bが搬送され、この正常棒金Bを、
図7に示すように待機位置にある第1ゲート113の主支持部141と第1ガイド部111の第1左壁部121とが支持すると、次に、モータ181を第2の回転駆動方向に駆動して、連動機構182の第1伝達機構198によって、第1ゲート113を
図7における時計回りである第2の回転方向へ回転させる。すると、第1ゲート113は、
図9に示すように、主支持部141が右下がりに傾斜する状態になり、傾斜支持部142が右上がりに傾斜する状態を保ちつつ第1右壁部122の下端部から離れる。そして、主支持部141の右下がりの傾斜で正常棒金Bを主支持部141と傾斜支持部142とで支持する状態になる。
【0055】
このように、第1ゲート113が回転する際に、連動機構182は、これと同期連動して、第2伝達機構208によって、第2ゲート153を
図7における時計回りである第2の回転方向へ回転させる。すると、第2ゲート153は、
図9に示すように、第2ガイド部151の第2左壁部161に近づく。
【0056】
モータ181の引き続きの第2の回転駆動方向の駆動によって、連動機構182の第1伝達機構198が、第1ゲート113を
図9における時計回りである第2の回転方向へさらに回転させる。すると、第1ゲート113は、
図10に示すように、傾斜支持部142が第2ガイド部151の第2左壁部161に近づきつつ右下がりに傾斜する状態になり、正常棒金Bを第2ガイド部151に向けて移動させる。
【0057】
このように、第1ゲート113が回転する際に、連動機構182は、これと同期連動して、第2伝達機構208によって、第2ゲート153を
図9における時計回りである第2の回転方向へさらに回転させる。すると、第2ゲート153は、
図10に示すように、第2ガイド部151の第2左壁部161にさらに近づくことになり、第2ガイド部151の第2左壁部161との間を介しての第2下方開口部152からの正常棒金Bの落下を規制する閉状態になる。
【0058】
モータ181の引き続きの第2の回転駆動方向の駆動によって、連動機構182の第1伝達機構198が、第1ゲート113を
図10における時計回りである第2の回転方向へさらに回転させる。すると、第1ゲート113は、
図11に示すように、正常棒金Bを第2ガイド部151の第2左壁部161に落下させ、さらに、
図12に示すように、傾斜支持部142が第2ガイド部151の第2左壁部161に最も近づく第2回転位置まで回転する。すると、制御部はモータ181を停止させる。
【0059】
このように、第1ゲート113が回転する際に、連動機構182は、これと同期連動して、第2伝達機構208によって、第2ゲート153を
図10における時計回りである第2の回転方向へさらに回転させる。すると、第2ゲート153は、
図11に示すように、第2ガイド部151の第2左壁部161にさらに近づくことになり、さらに、
図12に示すように、第2ガイド部151の第2左壁部161に最も近づく最大閉位置まで回転して停止する。
【0060】
以上のように、第1ゲート113が支持している正常棒金Bを第2の下方向である第2ガイド部151に向けて放出するとき、第2ゲート153が第2ガイド部151の第2下方開口部152を閉じる閉状態になるようになっている。このときも、第2伝達機構208は、第1伝達機構198との減速比の違いにより、第1ゲート113が
図7に示す待機位置から
図12に示す第2回転位置に回転する回転角度よりも小さい角度で、第2ゲート153を
図7に示す待機位置から
図12に示す最大閉位置に回転させる。
【0061】
第2ゲート153が
図10に示す閉状態になる以降、
図12に示す最大閉位置に至るまでのタイミングで正常棒金Bが第2ゲート153に到達し、第2ゲート153と第2ガイド部151の第2左壁部161とに支持されることになる。このとき、棒金Bは、第2ゲート153と第2左壁部161とによって、中心軸線を前後方向に沿う水平に配置する姿勢とされる。この状態で、正常棒金Bがセンサ211で検出される。
【0062】
制御部は、センサ211が正常棒金Bを所定時間継続して検出したときに、モータ181を第1の回転駆動方向に駆動させる。すると、上記とは逆に、連動機構182の第1伝達機構198が、第1ゲート113を
図12における反時計回りである第1の回転方向へ回転させる。すると、第1ゲート113は、
図13から
図14、さらには
図15から
図16に示すように、傾斜支持部142が第1ガイド部111の第1右壁部122に近づいて第1下方開口部112を閉じる待機位置に位置し停止して待機状態に戻る。
【0063】
このように、第1ゲート113が回転する際に、連動機構182は、これと同期連動して、第2伝達機構208によって、第2ゲート153を
図12における反時計回りである第2の回転方向へ回転させる。すると、第2ゲート153は、
図13から
図14、さらには
図15に示すように、第2ガイド部151の第2左壁部161から離れることになり、第2ガイド部151の第2左壁部161との間を介しての第2下方開口部152からの正常棒金Bの落下を許容する開状態になる。すると、正常棒金Bが第2下方開口部152からベルトコンベア42上に落下する。第2ゲート153は、
図16に示すように、最大開位置よりも手前の待機位置まで回転し停止して待機状態に戻る。このときも、第2伝達機構208は、第1伝達機構198との減速比の違いにより、第1ゲート113が第2回転位置から待機位置に回転する回転角度よりも小さい角度で、第2ゲート153を最大閉位置から待機位置に回転させる。
【0064】
以上により、連動機構182は、
図7に示すように、第1ゲート113が正常棒金Bを支持するとき、第2ゲート153が第2ガイド部151の第2下方開口部152を開き、
図9~
図12に示すように、第1ゲート113が第2の回転方向へ回転することによって、支持している正常棒金Bを第2の下方向に向けて放出するとき、第2ゲート153が第2ガイド部151の第2下方開口部152を閉じるように、第1ゲート113と第2ゲート153とを同期して連動させる。
【0065】
以上に述べた本実施形態の硬貨処理機11によれば、第1ガイド部111内を落下してきた棒金Bを第1ゲート113によって支持することで一旦棒金Bの姿勢を整える。そして、第1ゲート113は、第1の回転方向へ回転することによって支持している棒金Bを第1の下方向に向けて放出することになり、第2の回転方向へ回転することによって支持している棒金Bを第2の下方向に向けて放出することになる。そして、第1ゲート113によって第2の下方向に向けて放出される棒金Bを第2ガイド部151で案内することになるが、第2ガイド部151の第2下方開口部152に設けられた第2ゲート153が、第2ガイド部151内を落下してきた棒金Bを再び支持することで棒金Bの姿勢を整える。その後、第2ゲート153が、回転することで第2ガイド部151の第2下方開口部152を開いて、支持している棒金Bを放出する。このように、第1ゲート113と第2ゲート153とで棒金Bの姿勢を整えるため、棒金Bの落下時の挙動や姿勢を適正な状態に安定させることが可能となる。よって、棒金Bの機内での搬送中に生じる、包装紙のめくれや破損などの不具合を抑制することができる。
【0066】
また、一つのモータ181の駆動で、第1ゲート113と第2ゲート153とを連動させる連動機構182を有するため、第1ゲート113と第2ゲート153とを別々のモータで駆動する場合と比べてコンパクトな構成にできると共にコスト増を抑制することができる。
【0067】
また、連動機構182は、第1ゲート113が正常棒金Bを支持した状態から、第1ゲート113が第2の回転方向へ回転することによって支持している正常棒金Bを第2の下方向に向けて放出するとき、第2ゲート153が第2ガイド部151の第2下方開口部152を閉じることになって、正常棒金Bを支持することになる。この状態から、第2ゲート153が第2ガイド部151の第2下方開口部152を開いて正常棒金Bを放出するとき、第1ゲート113を棒金Bを支持する待機状態に戻す。したがって、第1ゲート113と第2ゲート153とを無駄な動きを抑制して連動させることができる。
【0068】
また、連動機構182の第1伝達機構198と第2伝達機構208との減速比の違いにより、第1ゲート113の回転角に対して、第2ゲート153の回転角は小さく抑えられるため、第2ゲート153の軌道のためのスペース増大を抑制することができる。
【0069】
また、第2ガイド部151の第2下方開口部152において、第2ゲート153が閉じたときに棒金Bを検出するセンサ211を有するため、第2ゲート153で棒金Bを支持したことを良好に検出できる。よって、棒金Bの機内での搬送中に生じる不具合を一層抑制することができる。
【0070】
また、制御部は、センサ211で棒金Bを所定時間継続して検出したときに、第2ゲート153が第2ガイド部151の第2下方開口部152を開くようにモータ181を駆動させるため、第2ゲート153で棒金Bを支持したことをさらに良好に検出できる。よって、棒金Bの機内での搬送中に生じる不具合をより一層抑制することができる。
【0071】
また、硬貨処理機11が、バラ硬貨が投入される硬貨投入口22と、硬貨投入口22に投入された硬貨を所定枚数集積させ包装して包装硬貨を作成する硬貨包装部61と、を有する硬貨包装機であるため、硬貨包装機において棒金Bの機内での搬送中に生じる不具合を抑制することができる。
【0072】
また、硬貨処理機11を、第2ゲート153が開放されたときに放出される棒金Bを受け取って、少なくとも一部の区間ほぼ水平に搬送するベルトコンベア42を有する硬貨包装搬出装置41に設けたため、硬貨処理機11において棒金Bの機内での搬送中に生じる不具合を抑制することで、硬貨包装搬出装置41において棒金Bに生じる不具合を抑制することができる。
【0073】
なお、
図20に示すように、上記したセンサ211に加えて、同様のセンサ211Aを第2左壁部161の延在方向における上流側に設けることで、棒金Bの第2左壁部161での滑落時または残留時の姿勢についても検出が可能となる。センサ211,211Aの光軸の間隔を適切な距離に設定することによって、軸線が水平方向となる姿勢で滑落する棒金Bでは、2つのセンサ211,211Aが同時に棒金Bを検知することは無い。このため、2つのセンサ211,211Aが同時に棒金Bを検知しなければ、好ましい姿勢で棒金Bが滑落していることと、好ましい姿勢で棒金Bが第2ゲート153上に残留していることとを判定することができる。
【0074】
他方、棒金Bが好ましくない姿勢、例えば、棒金Bの軸線が水平状態では無く、棒金Bが縦状になっている姿勢では、2つのセンサ211,211Aが同時に棒金Bを検知するタイミングが発生するため、棒金Bの姿勢の異常を判定することが可能となる。棒金Bが機外へ放出される際、棒金Bの姿勢が水平状態でない場合、すなわち、棒金Bが縦状になっている場合には、硬貨放出部29から、落下先となるベルトコンベア42上に衝撃を伴って落下することになるため、棒金Bの包装フィルムのカシメ部分の変形や棒金B自体の変形、さらには、棒金Bのバラケなどが発生する虞がある。このような場合、制御部は、センサ211,211Aの検知結果に基づいて、操作表示部21へ棒金Bの姿勢異常を報知するようにしても良い。また棒金Bが放出される際に、頻繁に姿勢異常が発生するような硬貨処理機では、内部機構の変形などが予想されるため、放出総数に対する異常姿勢の回数をカウントして記憶部へ履歴(ログデータ)として記憶すると共に、予め設定した所定以上の発生頻度となった場合には、点検を促すメッセージを操作表示部21へ表示させても良い。
【0075】
以上のように、2対のセンサ211,211Aを有する構成によって、棒金Bを機外へ適切な姿勢で放出することを硬貨処理機11側で監視することが可能となる。よって、棒金Bの機外への放出時に生じる不具合を抑制することができる。
【符号の説明】
【0076】
11…硬貨処理機、22…硬貨投入口、41…硬貨包装搬出装置、42,43…ベルトコンベア(包装硬貨搬送コンベア)、61…硬貨包装部、111…第1ガイド部、113…第1ゲート、151…第2ガイド部、152…第2下方開口部(下方開口部)、153…第2ゲート、181…モータ(駆動源)、182…連動機構、211…センサ(検出手段)、B…棒金(包装硬貨)。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線が水平方向となる姿勢で1本ずつ滑落する包装硬貨を案内するガイド部と、
前記ガイド部の下方開口部に設けられ、前記ガイド部内を滑落してきた包装硬貨を支持するとともに、回転することで前記ガイド部の下方開口部を開閉するゲートと、
前記ゲートが閉状態にあるとき、前記ガイド部上の包装硬貨の残留を検知する第1センサと、
前記第1センサと所定間隔をあけて上流側に設けられ、前記ガイド部上を滑落する包装硬貨を検知する第2センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1センサと前記第2センサとが同時に包装硬貨を検知しないことにより、包装硬貨の軸線が水平方向となる正常な姿勢で前記ガイド部上を滑落し残留したと判定する
ことを特徴とする硬貨処理機。
【請求項2】
ガイダンスを表示する表示部を備え、
前記制御部は、前記第1センサと前記第2センサとが同時に包装硬貨を検出したことにより、包装硬貨の軸線が縦状となる異常な姿勢で前記ガイド部上を滑落したと判定し、前記表示部へ包装硬貨の異常姿勢を報知させる
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理機。
【請求項3】
前記制御部は、放出総数に対する前記異常姿勢の回数をカウントして記憶部へ履歴として記憶すると共に、予め設定した所定以上の発生頻度となった場合には、点検を促すメッセージを前記表示部へ表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載の硬貨処理機。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、硬貨処理機に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
したがって、本発明は、包装硬貨の機内での搬送中に生じる不具合を抑制することができる硬貨処理機の提供を目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明に係る硬貨処理機の一態様は、軸線が水平方向となる姿勢で1本ずつ滑落する包装硬貨を案内するガイド部と、前記ガイド部の下方開口部に設けられ、前記ガイド部内を滑落してきた包装硬貨を支持するとともに、回転することで前記ガイド部の下方開口部を開閉するゲートと、前記ゲートが閉状態にあるとき、前記ガイド部上の包装硬貨の残留を検知する第1センサと、前記第1センサと所定間隔をあけて上流側に設けられ、前記ガイド部上を滑落する包装硬貨を検知する第2センサと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1センサと前記第2センサとが同時に包装硬貨を検知しないことにより、包装硬貨の軸線が水平方向となる正常な姿勢で前記ガイド部上を滑落し残留したと判定することを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明によれば、包装硬貨の機内での搬送中に生じる不具合を抑制することができる硬貨処理機を提供することができる。