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特開2024-161500キャパシタ、それを含む電子装置、及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161500
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】キャパシタ、それを含む電子装置、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 12/00 20230101AFI20241112BHJP
   H10B 53/30 20230101ALI20241112BHJP
   H10B 43/00 20230101ALI20241112BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241112BHJP
   H10B 41/00 20230101ALI20241112BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20241112BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20241112BHJP
   H01L 21/314 20060101ALI20241112BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20241112BHJP
   H01G 4/33 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H10B12/00 651
H10B53/30
H10B12/00 621B
H10B43/00
H01L29/78 371
H10B12/00 625A
H10B12/00 625C
H10B41/00
H01L27/04 C
H01L21/316 X
H01L21/314 A
H01L21/316 G
H01G4/30 541
H01G4/30 544
H01G4/30 547
H01G4/30 160
H01G4/30 201C
H01G4/30 201D
H01G4/30 201K
H01G4/30 201L
H01G4/33 102
H01G4/30 311Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024135672
(22)【出願日】2024-08-15
(62)【分割の表示】P 2022117303の分割
【原出願日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0097212
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】都 垠徹
(72)【発明者】
【氏名】羅 炳勲
(72)【発明者】
【氏名】李 基榮
(57)【要約】
【課題】キャパシタ、それを含む電子装置、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】第1薄膜電極層;第2薄膜電極層;第1薄膜電極層と第2薄膜電極層との間に配される誘電体層;並びに第1薄膜電極層と誘電体層との間、及び第2薄膜電極層と誘電体層との間のうち1以上に配される中間層を含み、該中間層が、該中間層と接触する電極層及び誘電体層のうち1以上と同一形態の結晶構造を有し、それらと互いに異なる組成を有し、該中間層が、第1陰イオン化層を含むか、第2陰イオン化層を含むか、あるいは第1中性層を含み、第1陰イオン化層が、一価陽イオン、二価陽イオン、または原子量20以上の三価陽イオンを含み、第2陰イオン化層が、一価陽イオンを含み、第1中性層が、複数の三価陽イオンを含むキャパシタ、それを含む電子装置、及び該キャパシタの製造方法が提供される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1薄膜電極層;第2薄膜電極層;前記第1薄膜電極層と前記第2薄膜電極層との間に配される誘電体層;並びに
前記第1薄膜電極層と誘電体層との間、及び前記第2薄膜電極層と前記誘電体層との間のうち1以上に配される中間層を含み、
前記中間層が、前記中間層と接触する電極層及び誘電体層のうち1以上と同一形態の結晶構造を有し、それらと互いに異なる組成を有し、
前記中間層が、第1中性層を含み、
前記第1中性層が、複数の三価陽イオンを含み、
前記第1薄膜電極層または前記第2薄膜電極層と、前記誘電体層とのショットキー障壁高(SBH)が、1.5eV以上である、キャパシタ。
【請求項2】
前記第1中性層が下記化学式3で表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含む、請求項1に記載のキャパシタ:
[化学式3]
[A3B3O
前記化学式3で、
A3は、三価陽イオンであり、
B3は、三価陽イオンである。
【請求項3】
前記中間層が、
[ScAlO]、[YAlO]、[LaAlO]、[CeAlO]、[PrAlO]、[NdAlO]、[SmAlO]、[DyAlO]、
[ScGaO]、[YGaO]、[LaGaO]、[CeGaO]、[PrGaO]、[NdGaO]、[SmGaO]、[DyGaO]、
[ScInO]、[YInO]、[LaInO]、[CeInO]、[PrInO]、[NdInO]、[SmInO]または[DyInO]のうちから選択された金属酸化物を含む、請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項4】
前記第1中性層が、
[A3O]で表される第1陽イオン化層と、
[B3Oで表される第3陰イオン化層と、を含み、
前記A3は、三価陽イオンであり、前記B3は、三価陽イオンであり、A3とB3は、互いに異なる金属である、請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項5】
前記A3は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、SmまたはDyであり、
前記B3は、Al、GaまたはInである、請求項4に記載のキャパシタ。
【請求項6】
前記中間層が、
[ScO]、[YO]、[LaO]、[CeO]、[PrO]、[NdO]、[SmO]または[DyO]で表される第1陽イオン化層と、
[AlO、[GaOまたは[InOで表される第3陰イオン化層と、を含む、請求項4に記載のキャパシタ。
【請求項7】
前記中間層が、1単位セルないし3単位セルを含み、前記中間層の厚みは、1Åないし15Åであり、
前記中間層が、エピタキシャル成長によって形成される、請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項8】
前記誘電体層が下記化学式4で表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する誘電体を含む、請求項1に記載のキャパシタ:
[化学式4]
A4B4O
前記化学式4で、
A4は、一価陽イオン、二価陽イオンまたは三価陽イオンであり、
B4は、三価陽イオン、四価陽イオンまたは五価陽イオンである。
【請求項9】
前記誘電体層が、
SrTiO、CaTiO、BaTiO、SrHfO、CaHfO、BaHfO、SrZrO、CaZrO、BaZrO、PbTiO、NaNbO、NaTaO、RbTaO、RbNbO、RbTaOまたはEuTiOのうちから選択された誘電体を含む、請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項10】
前記誘電体層の厚みが10nmないし100nmであり、
前記第1薄膜電極層及び前記第2薄膜電極層の厚みがそれぞれ10nmないし1,000nmであり、
前記第1薄膜電極層及び前記第2薄膜電極層のうち1以上がペロブスカイト型結晶構造を有する、請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項11】
請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載のキャパシタを含む、電子装置。
【請求項12】
前記電子装置は、半導体素子である、請求項11に記載の電子装置。
【請求項13】
第1薄膜電極層または第2薄膜電極層を提供する段階と、
前記第1薄膜電極層または前記第2薄膜電極層の一面上に、エピタキシャル成長によって中間層を配する段階と、
前記中間層上に誘電体層を配する段階と、
前記誘電体層上に他の薄膜電極層を配し、キャパシタを提供する段階と、を含み、
前記キャパシタが、第1薄膜電極層;第2薄膜電極層;前記第1薄膜電極層と前記第2薄膜電極層との間に配される誘電体層;並びに
前記第1薄膜電極層と誘電体層との間、及び前記第2薄膜電極層と前記誘電体層との間のうち1以上に配される中間層を含み、
前記中間層が、前記中間層と接触する電極層及び誘電体層のうち1以上と同一形態の結晶構造を有し、それらと互いに異なる組成を有し、
前記中間層が、第1中性層を含み、
前記第1中性層が、複数の三価陽イオンを含み、
前記誘電体層が、ペロブスカイト結晶構造の三元系酸化物を含み、
前記第1薄膜電極層または前記第2薄膜電極層と、前記誘電体層とのショットキー障壁高(SBH)が、1.5eV以上である、キャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ、それを含む電子装置(electronic device)、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多様な家庭用機器及び産業用機器に、メモリ、トランジスタのような半導体素子が使用される。家庭用機器及び産業用機器の高性能化により、半導体素子の高集積化及び微細化が進められている。
【0003】
半導体素子の高集積化及び微細化により、半導体素子の大きさが低減される。例えば、キャパシタの大きさ低減により、キャパシタ容量が低減され、漏れ電流が増大するので、そのような問題を解決するために、多様な方法が提案されている。
【0004】
例えば、キャパシタの電極面積を増大させるか、あるいは誘電体厚を低減させることで、キャパシタの構造を変化させたり、キャパシタ製造工程を改善させることで、キャパシタの容量を維持したりする。
【0005】
しかしながら、キャパシタの電極面積を増大させたり、誘電体厚を低減させたりするというような構造的な改善、または製造工程上の改善によるキャパシタ容量維持には、限界がある。
【0006】
高キャパシタ容量のために、三元系酸化物誘電体物質を使用することができる。代表的な三元系酸化物誘電体は、二価陽イオンと四価陽イオンとを含む三元系酸化物であり、二価陽イオンと四価陽イオンと酸素との組成比が1:1:3である、ペロブスカイト結晶構造の物質である。該三元系酸化物誘電体は、例えば、SrTiO、CaTiO、BaTiO、SrHfO、SrZrO、PbTiOのような物質である。該三元系酸化物誘電体は、それらに限定されるものではなく、他の陽イオンを含む三元系酸化物も誘電体として使用される。しかしながら、該三元系酸化物誘電体のバンドギャップは、3eVないし4eVと小さいために、電極と誘電体との間の漏れ電流が大きい。
【0007】
従って、電極と誘電体との間の漏れ電流の抑制が重要である。
【0008】
電極と誘電体との間の漏れ電流特性を改善させるための方法としては、ショットキー障壁(Schottky barrier)を調節する方法が考慮されうる。
【0009】
該ショットキー障壁は、電極の仕事関数(Φ)と、誘電体の誘電膜の電子親和度(χ)(electron affinity)との差であり、電極と誘電体とが接触すれば、それらのフェルミ準位(Fermi level)が同じになり、それにより、電極と誘電体との界面から、ショットキー障壁と呼ばれるエネルギー障壁が形成され、電荷の移動が抑制され、漏れ電流が改善される。誘電体がn型半導体である場合、電極の仕事関数が、誘電体の電子親和度より大きいほど、ショットキー障壁高(SBH:Schottky barrier height)が高くなる。
【0010】
誘電体と電極との高いショットキー障壁高(SBH)を具現するために、誘電体と電極との結晶構造、格子定数が類似しており、誘電体と電極との界面の安定性が高く、電極の仕事関数が、誘電体の電子親和度より大きいという条件を満足しなければならない。誘電体と電極との高いショットキー障壁高を有するキャパシタの具現が容易ではない。
【0011】
従って、従来のキャパシタに比べ、増大された誘電体と電極とのショットキー障壁高を有することにより、漏れ電流を抑制する、新たなキャパシタが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、新たな構造を有する中間層を含むことにより、漏れ電流が抑制されるキャパシタを提供することである。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、また、前記誘電体を含む電子装置(electronic device)を提供することである。
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、また、前記キャパシタの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一態様により、
第1薄膜電極層;第2薄膜電極層;前記第1薄膜電極層と前記第2薄膜電極層との間に配される誘電体層;並びに
前記第1薄膜電極層と誘電体層との間、及び前記第2薄膜電極層と前記誘電体層との間のうち1以上に配される中間層(interlayer)を含み、
前記中間層が、前記中間層と接触する電極層及び誘電体層のうち1以上と同一形態(type)の結晶構造を有し、それらと互いに異なる組成を有し、
前記中間層が、第1陰イオン化層(first anionized layer)を含むか、第2陰イオン化層(second anionized layer)を含むか、あるいは第1中性層(first neutral layer)を含み、
前記第1陰イオン化層が、一価陽イオン、二価陽イオン、または原子量20以上の三価陽イオンを含み、
前記第2陰イオン化層が、一価陽イオンを含み、
前記第1中性層が、複数の三価陽イオンを含むキャパシタが提供される。
【0016】
前記第1陰イオン化層が、
[B1Oa-で表され、
前記B1は、一価陽イオン、二価陽イオン、または原子量20以上の三価陽イオンであり、
前記aは、1、2または3であってもよい。
【0017】
前記B1は、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Be、Ba、Ca、GaまたはInでありうる。
【0018】
前記第1陰イオン化層が、
[GaO、[InO、[BeO2-、[MgO2-、[BaO2-、[CaO2-、[LiO3-、[NaO3-、[KO3-または[RbO3-で表されてもよい。
【0019】
前記中間層が、前記第1陰イオン化層を含み、
第2中性層をさらに含み、
前記第2中性層が[A1O]で表され、前記A1は、二価陽イオンでありうる。
【0020】
前記A1は、Sr、Ca、Ba、MgまたはBeであることができる。
【0021】
前記第2中性層が、[SrO]、[CaO]、[BaO]、[MgO]または[BeO]で表されてもよい。
【0022】
前記中間層が、第1陰イオン化層及び第2中性層を含み、
前記第1陰イオン化層と前記第2中性層とが相互に積層され、
前記第1陰イオン化層と前記第2中性層とが互いに異なる金属を含むことができる。
【0023】
前記中間層が、下記化学式1で表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含んでもよい:
[化学式1]
[A1B1O
前記化学式1で、
A1は、二価陽イオンであり、
B1は、一価陽イオン、二価陽イオン、または原子量20以上の三価陽イオンであり、
2.5<x≦3.0である。
【0024】
前記中間層が、
[SrGaO]、[CaGaO]、[BaGaO]、[PbGaO]、
[SrInO]、[CaInO]、[BaInO]、[PbInO]、
[SrBeO]、[CaBeO]、[BaBeO]、[PbBeO]、
[SrMgO]、[CaMgO]、[BaMgO]、[PbMgO]、
[SrBaO]、[CaBaO]、[PBBaO]、
[SrCaO]、[BaCaO]、[PbCaO]、
[SrLiO]、[CaLiO]、[BaLiO]、[PbLiO]、
[SrNaO]、[CaNaO]、[BaNaO]、[PbNaO
[SrKO]、[CaKO]、[BaKO]、[PbKO]、
[SrRbO]、[CaRbO]、[BaRbO]または[PbRbO]のうちから選択された金属酸化物を含み、
2.5<x≦3.0であってもよい。
【0025】
前記第2陰イオン化層が、
[A2O]で表され、前記A2は、一価陽イオンでありうる。
【0026】
前記A2は、Li、Na、K、RbまたはCsであってもよい。
【0027】
前記第2陰イオン化層が、
[LiO]、[NaO]、[KO]または[RbO]で表されてもよい。
【0028】
前記中間層が、前記第2陰イオン化層を含み、
第3中性層をさらに含み、
前記第3中性層が[B2O]で表され、前記B2は、四価陽イオンでありうる。
【0029】
前記B2は、Ti、HfまたはZrであってもよい。
【0030】
前記第3中性層が、
[TiO]、[ZrO]または[HfO]で表されてもよい。
【0031】
前記中間層が、下記化学式2で表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含むことができる:
[化学式2]
[A2B2O
前記化学式1で、
A2は、一価陽イオンであり、
B2は、四価陽イオンであり、
2.5≦x≦3.0である。
【0032】
前記中間層が、
[LiTiO]、[NaTiO]、[KTiO]、[RbTiO]、
[LiZrO]、[NaZrO]、[KZrO]、[RbZrO]、
[LiHfO]、[NaHfO]、[KHfO]または[RbHfO]のうちから選択された金属酸化物を含み、
2.5<x≦3.0でありうる。
【0033】
前記第1中性層が下記化学式3で表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含むことができる:
[化学式3]
[A3B3O
前記化学式3で、
A3は、三価陽イオンであり、
B3は、三価陽イオンである。
【0034】
前記中間層が、
[ScAlO]、[YAlO]、[LaAlO]、[CeAlO]、[PrAlO]、[NdAlO]、[SmAlO]、[DyAlO]、
[ScGaO]、[YGaO]、[LaGaO]、[CeGaO]、[PrGaO]、[NdGaO]、[SmGaO]、[DyGaO]、
[ScInO]、[YInO]、[LaInO]、[CeInO]、[PrInO]、[NdInO]、[SmInO]または[DyInO]のうちから選択された金属酸化物を含んでもよい。
【0035】
前記第1中性層が、
[A3O]で表される第1陽イオン化層と、
[B3Oで表される第3陰イオン化層と、を含み、
前記A3は、三価陽イオンであり、前記B3は、三価陽イオンであり、A3とB3は、互いに異なる金属でありうる。
【0036】
前記A3は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、SmまたはDyであり、
前記B3は、Al、GaまたはInでありうる。
【0037】
前記中間層が、
[ScO]、[YO]、[LaO]、[CeO]、[PrO]、[NdO]、[SmO]または[DyO]で表される第1陽イオン化層と、
[AlO、[GaOまたは[InOで表される第3陰イオン化層と、を含むことができる。
【0038】
前記中間層が、1単位セルないし3単位セルを含み、前記中間層の厚みは、1Åないし15Åであり、
前記第1薄膜電極層または前記第2薄膜電極層と、前記誘電体層とのショットキー障壁高(SBH)が、1.5eV以上であり、
前記中間層が、エピタキシャル成長によって形成されうる。
【0039】
前記誘電体層が下記化学式4で表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する誘電体を含むことができる:
[化学式4]
A4B4O
前記化学式4で、
A4は、一価陽イオン、二価陽イオンまたは三価陽イオンであり、
B4は、三価陽イオン、四価陽イオンまたは五価陽イオンである。
【0040】
前記誘電体層が、
SrTiO、CaTiO、BaTiO、SrHfO、CaHfO、BaHfO、SrZrO、CaZrO、BaZrO、PbTiO、NaNbO、NaTaO、RbTaO、RbNbO、RbTaOまたはEuTiOのうちから選択された誘電体を含んでもよい。
【0041】
前記誘電体層の厚みが10nmないし100nmであり、
前記第1薄膜電極層及び前記第2薄膜電極層の厚みがそれぞれ10nmないし1,000nmであり、
前記第1薄膜電極層及び前記第2薄膜電極層のうち1以上がペロブスカイト型結晶構造を有することができる。
【0042】
他の一態様により、
前述のところによるキャパシタを含む電子装置(electronic device)が提供される。
【0043】
前記電子装置は、半導体素子であり得る。
【0044】
さらに他の一態様により、
第1薄膜電極層または第2薄膜電極層を提供する段階と、
前記第1薄膜電極層または前記第2薄膜電極層の一面上に、エピタキシャル成長(epitaxial growth)によって中間層を配する段階と、
前記中間層上に誘電体層を配する段階と、
前記誘電体層上に他の薄膜電極層を配し、キャパシタを提供する段階と、を含み、
前記キャパシタが、第1薄膜電極層;第2薄膜電極層;前記第1薄膜電極層と前記第2薄膜電極層との間に配される誘電体層;並びに
前記第1薄膜電極層と誘電体層との間、及び前記第2薄膜電極層と前記誘電体層との間のうち1以上に配される中間層を含み、
前記中間層が、前記中間層と接触する電極層及び誘電体層のうち1以上と同一形態の結晶構造を有し、それらと互いに異なる組成を有し、
前記中間層が、第1陰イオン化層を含むか、第2陰イオン化層を含むか、あるいは第1中性層を含み、
前記第1陰イオン化層が、一価陽イオン、二価陽イオン、または原子量20以上の三価陽イオンを含み、
前記第2陰イオン化層が、一価陽イオンを含み、
前記第1中性層が、複数の三価陽イオンを含み、
前記誘電体層が、ペロブスカイト結晶構造の三元系酸化物を含むキャパシタの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0045】
一態様によれば、新たな構造を有する中間層を含むことにより、キャパシタの漏れ電流が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1A】一具現例による、中間層を含むキャパシタの模式図である。
図1B】一具現例による、中間層を含むキャパシタの中間層部分の構造を拡大して示す模式図である。
図2A】一具現例による、中間層を含むキャパシタの模式図である。
図2B】一具現例による、中間層を含むキャパシタの中間層部分の構造を拡大して示す模式図である。
図3A】一具現例による、中間層を含むキャパシタの模式図である。
図3B】一具現例による、中間層を含むキャパシタの中間層部分の構造を拡大して示す模式図である。
図4A】一具現例による、中間層を含むキャパシタの中間層部分の構造を拡大して示す模式図である。
図4B】一具現例による、中間層を含むキャパシタの中間層部分の構造を拡大して示す模式図である。
図5A】一具現例によるキャパシタの模式図である。
図5B】一具現例によるキャパシタの模式図である。
図5C】一具現例によるキャパシタの模式図である。
図5D】一具現例によるキャパシタの模式図である。
図6】一具現例による金属・絶縁体・金属キャパシタ(MIM(metal-insulator-metal) capacitor)の構造を示した断面図である。
図7】一具現例によるトレンチキャパシタ型DRAM(trench capacitor type dynamic random access memory)の構造を示した図である。
図8】一具現例による誘電体層を有する層構造の電子装置(electronic device)であり、メモリ装置を示す断面図である。
図9】一具現例による半導体素子を示す配置図である。
図10】一具現例による電子装置に適用されうる装置アーキテクチャを概略的に示す概念図である。
図11】一具現例による電子装置に適用されうる装置アーキテクチャを概略的に示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下で説明される本創意的思想(present inventive concept)は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施例を有することができるが、特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかしながら、それらは、本創意的思想を、特定の実施形態について限定するものではなく、本創意的思想の技術範囲に含まれる全ての変換、均等物または代替物を含むものであると理解されなければならない。
【0048】
以下で使用される用語は、単に、特定実施例について説明するために使用されたものであり、本創意的思想を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。以下において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、成分、材料、またはそれらの組み合わせが存在するということを示すものであり、1またはそれ以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、成分、材料、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性を事前に排除するものではないと理解されなければならない。以下で使用される「/」は、状況により、「及び」とも解釈され、「または」とも解釈される。
【0049】
図面において、さまざまな層及び領域を明確に表現するために、厚みは、拡大されたり縮小されたりして示されている。明細書全体を通じ、類似した部分については、同一図面符号を付した。明細書全体において、層、膜、領域、板のような部分が、他部分の「上」または「上部」にあるとするとき、それは、他部分の真上にある場合だけではなく、その中間に、さらに他部分がある場合も含む。明細書全体において、第1、第2のような用語は、多様な構成要素についての説明に使用されうるが、該構成要素は、該用語によって限定されるものではない。該用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。本明細書及び本図面において、実質的に同一な機能・構成を有する構成要素については、同一符号を参照することにより、重複説明を省略する。
【0050】
以下において、例示的な具現例によるキャパシタ、それを含む電子装置(electronic device)、及び該キャパシタの製造方法につき、さらに詳細に説明する。
【0051】
一具現例によるキャパシタは、第1薄膜電極層;第2薄膜電極層;第1薄膜電極層と第2薄膜電極層との間に配される誘電体層;並びに第1薄膜電極層と誘電体層との間、及び第2薄膜電極層と誘電体層との間のうち1以上に配される中間層(interlayer)を含み、中間層が、中間層と接触する電極層及び誘電体層のうち1以上と同一形態(type)の結晶構造を有し、それらと互いに異なる組成を有し、中間層が、第1陰イオン化層(first anionized layer)を含むか、第2陰イオン化層(second anionized layer)を含むか、あるいは第1中性層(first neutral layer)を含み、第1陰イオン化層が、一価陽イオン、二価陽イオン、または原子量20以上の三価陽イオンを含み、第2陰イオン化層が、一価陽イオンを含み、第1中性層が、複数の三価陽イオンを含む。例えば、第1陰イオン化層が、一価陽イオン、二価陽イオン、または原子量40以上の三価陽イオンを含む。
【0052】
該中間層が、第1陰イオン化層を含むか、第2陰イオン化層を含むか、あるいは第1中性層を含むことにより、中間層が、隣接した薄膜電極層に遮蔽電荷(screening charge)を誘導する。そのような遮蔽電子は、薄膜電極層と誘電体層との間に、さらなる静電気的電位差(electrostatic potential difference)を誘導する。従って、該薄膜電極層と該誘電体層とのショットキー障壁高(SBH:Schottky barrier height)がさらに増大し、結果として、中間層を含むキャパシタの漏れ電流が低減される。例えば、第1陰イオン化層及び第2陰イオン化層は、負電荷を有するので、隣接した薄膜電極層に、正電荷を有する遮蔽電荷が誘導される。例えば、第1中性層は、全体として中性であるが、該第1中性層内に、第3正電荷層及び第1負電荷層を含むことにより、それらにより、隣接した薄膜電極層に遮蔽電荷が誘導される。結果として、そのような中間層を含むキャパシタの漏れ電流が低減される。
【0053】
図1A及び図1Bを参照すれば、キャパシタは、第1薄膜電極層;第2薄膜電極層;第1薄膜電極層と第2薄膜電極層との間に配される誘電体層;並びに第1薄膜電極層と誘電体層との間、及び第2薄膜電極層と誘電体層との間のうち1以上に配される中間層を含み、中間層が、第1陰イオン化層を含む。当該第1薄膜電極層、第2薄膜電極層、誘電体層及び中間層は、例えば、ペロブスカイト型結晶構造(perovskite type crystal structure)を有することができる。該ペロブスカイト型結晶構造は、ABO組成を有するか、あるいはそれと類似したABO(0<x≦3)組成を有しうる。ペロブスカイト構造を有する上記組成において、Aは、12個の酸素原子が配位される立方八面体サイト(cuboctahedral site)に配され、Bは、6個の酸素原子が配位される八面体サイト(octahedral site)に配されることができる。該誘電体層は、例えば、二価のA陽イオンと、四価のB陽イオンとによって構成されたペロブスカイト結晶構造の三元系酸化物(ABO)を含む。該誘電体層が含む三元系酸化物は、例えば、SrTiO、CaTiO、BaTiO、SrHfO、SrZrO、PbTiOなどである。誘電体層が含む酸化物は、それらに限定されるものではなく、他の陽イオンを含むペロブスカイト三元系酸化物も可能である。
【0054】
第1陰イオン化層は、例えば、[B1Oa-で表されうる。B1は、例えば、一価陽イオン、二価陽イオン、あるいは原子量20以上または原子量40以上の三価陽イオンでもあり、aは、1、2または3である。キャパシタが、そのような第1陰イオン化層を含むことにより、キャパシタの漏れ電流をさらに効果的に抑制することができる。該第1陰イオン化層が含むB1は、例えば、ペロブスカイト構造において、6個の酸素原子が配位される八面体サイトに配されうる。
【0055】
B1は、例えば、一価陽イオンを形成するアルカリ金属元素であり、Li、Na、K、RbまたはCsを含むものでもある。B1は、例えば、二価陽イオンを形成するアルカリ土類金属元素であり、Mg、Be、BaまたはCaを含むものでもある。B1は、例えば、三価陽イオンを形成する元素であり、周期表第13族に属する金属元素として、GaまたはInを含むものでもある。B1がそのような元素を有することにより、増大されたショットキー障壁高(SBH)を効果的に誘導することができる。
【0056】
B1が、原子量20未満または原子量40未満の三価陽イオンを形成する元素である場合には、電極または誘電体が含む対応する金属陽イオンとイオンサイズ(ionic radii)が顕著に異なることにより、中間層の構造的安定性が低下されうる。従って、原子量20未満または原子量40未満の三価陽イオンを含む中間層を具備したキャパシタの構造的安定性が低下されうる。
【0057】
該第1陰イオン化層は、例えば、[GaO、[InO、[BeO2-、[MgO2-、[BaO2-、[CaO2-、[LiO3-、[NaO3-、[KO3-または[RbO3-で表されうる。該中間層が、そのような第1陰イオン化層を含むことにより、該中間層を含むキャパシタの漏れ電流が、さらに効果的に抑制されうる。該第1陰イオン化層は、例えば、HAADF-STEM(high-angle annular dark-field-scanning transmission electron microscopy)を使用して確認することができる。
【0058】
該中間層は、第1陰イオン化層以外に、第2中性層(second neutral layer)をさらに含むものでもある。すなわち、該中間層は、第1陰イオン化層及び第2中性層を含むものでもある。
【0059】
該第2中性層は、例えば、[A1O]で表されうる。A1は、例えば、二価陽イオンでもある。A1は、キャパシタを構成する誘電体物質において、12個の酸素原子が配位される陽イオンである。例えば、SrTiO,SrHfO,SrZrO誘電体の場合、該第2中性層は、[SrO]であり、CaTiO誘電体の場合、第2中性層は、[CaO]であり、BaTiO誘電体の場合、第2中性層は、[BaO]であり、PbTiO誘電体の場合、第2中性層は、[PbO]でありうる。該第2中性層の組成は、使用された誘電体物質のAサイト物質による。
【0060】
該中間層が、第2中性層をさらに含むことにより、第1陰イオン化層の構造的安定性が向上されうる。また、中間層と、薄膜電極層及び誘電体層との構造的類似性が増大し、該中間層の全体的な構造的安定性が向上されうる。結果として、キャパシタの構造的安定性が向上されうる。該第2中性層は、例えば、HAADF-STEMを使用して確認することができる。
【0061】
該中間層は、例えば、第1陰イオン化層及び第2中性層を含み、第1陰イオン化層と第2中性層とが相互に積層されうる。該第1陰イオン化層と該第2中性層は、基材、例えば、薄膜電極層または誘電体層の(001)面上に、[001]方向に沿って順次に積層されうる。該第1陰イオン化層と該第2中性層とが積層される順序は、基材、例えば、薄膜電極層または誘電体層の表面構造により、変更または選択されうる。
【0062】
該中間層が含む第1陰イオン化層と第2中性層は、それぞれ互いに異なる金属を含むものでもある。該第1陰イオン化層と該第2中性層とが互いに異なる金属を含むことにより、該中間層が、例えば、ペロブスカイト型結晶構造を有しうる。
【0063】
該中間層が、第1陰イオン化層及び第2中性層を含むことにより、1つの化合物を構成することができる。該中間層を形成する化合物は、バルク状態では不安定でもあるが、数nm厚を有する場合には、安定性が維持されうる。
【0064】
該中間層は、例えば、下記化学式1で表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含むものでもある:
[化学式1]
[A1B1O
化学式1で、
A1は、二価陽イオンであり、
B1は、一価陽イオン、二価陽イオン、または原子量20以上の三価陽イオンであり、
2.5<x≦3.0である。
B1は、例えば、一価陽イオン、二価陽イオン、または原子量40以上の三価陽イオンである。
【0065】
化学式1で表される金属酸化物は、バルク状態では不安定でもあるが、数nm厚を有する中間層においては、安定性が維持されうる。
【0066】
該中間層は、[SrGaO]、[CaGaO]、[BaGaO]、[PbGaO]、[SrInO]、[CaInO]、[BaInO]、[PbInO]、[SrBeO]、[CaBeO]、[BaBeO]、[PbBeO]、[SrMgO]、[CaMgO]、[BaMgO]、[PbMgO]、[SrBaO]、[CaBaO]、[PbBaO]、[SrCaO]、[BaCaO]、[PbCaO]、[SrLiO]、[CaLiO]、[BaLiO]、[PbLiO]、[SrNaO]、[CaNaO]、[BaNaO]、[PbNaO]、[SrKO]、[CaKO]、[BaKO]、[PbKO]、[SrRbO]、[CaRbO]、[BaRbO]または[PbRbO]のうちから選択された金属酸化物を含み、そのような金属酸化物において、2.5<x≦3.0でもある。
【0067】
図2A及び図2Bを参照すれば、キャパシタは、第1薄膜電極層;第2薄膜電極層;第1薄膜電極層と第2薄膜電極層との間に配される誘電体層;並びに第1薄膜電極層と誘電体層との間、及び第2薄膜電極層と誘電体層との間のうち1以上に配される中間層を含み、中間層が、第2陰イオン化層を含む。当該第1薄膜電極層、第2薄膜電極層、誘電体層及び中間層は、例えば、ペロブスカイト型結晶構造を有しうる。該誘電体層は、例えば、二価のA陽イオンと、四価のB陽イオンとによって構成されたペロブスカイト結晶構造の三元系酸化物(ABO)を含む。該誘電体層が含む三元系酸化物は、例えば、SrTiO、CaTiO、BaTiO、SrHfO、SrZrO、PbTiOなどである。該誘電体層が含む酸化物は、それらに限定されるものではなく、他の陽イオンを含むペロブスカイト三元系酸化物も可能である。
【0068】
該第2陰イオン化層は、例えば、[A2O]で表されうる。A2は、例えば、一価陽イオンでもある。キャパシタがそのような第2陰イオン化層を含むことにより、該キャパシタの漏れ電流をさらに効果的に抑制することができる。該第2陰イオン化層が含むA2は、例えば、ペロブスカイト構造において、12個の酸素原子が配位される立方八面体サイトに配されうる。
【0069】
A2は、例えば、一価陽イオンを形成するアルカリ金属元素であり、Li、Na、K、RbまたはCsを含むものでもある。A2が、そのような元素を有することにより、増大されたショットキー障壁高(SBH)を効果的に誘導することができる。
【0070】
該第2陰イオン化層は、例えば、[LiO]、[NaO]、[KO]または[RbO]で表されうる。該中間層がそのような第2陰イオン化層を含むことにより、該中間層を含むキャパシタの漏れ電流がさらに効果的に抑制されうる。該第2陰イオン化層は、例えば、HAADF-STEMを使用して確認することができる。
【0071】
該中間層は、第2陰イオン化層以外に、第3中性層(third neutral layer)をさらに含むものでもある。すなわち、該中間層は、第2陰イオン化層及び第3中性層を含むものでもある。
【0072】
該第3中性層は、例えば、[B2O]で表されうる。B2は、誘電体層物質において、6個の酸素原子が配位される陽イオンであり、B2は、例えば、四価陽イオンでもある。例えば、SrTiO、CaTiO、BaTiO、SrHfO、SrZrO、PbTiOのような誘電体物質において、B2は、例えば、Ti、HfまたはZrでもある。該第3中性層は、例えば、[TiO]、[ZrO]または[HfO2]で表されうる。
【0073】
該中間層が、第3中性層をさらに含むことにより、第2陰イオン化層の構造的安定性が向上されうる。また、該中間層と、薄膜電極層及び誘電体層との構造的類似性が増大し、該中間層の全体的な構造的安定性が向上されうる。結果として、キャパシタの構造的安定性が向上されうる。該第3中性層は、例えば、HAADF-STEMを使用して確認することができる。
【0074】
該中間層は、例えば、第2陰イオン化層及び第3中性層を含み、第2陰イオン化層と第3中性層とが相互に積層されうる。該第2陰イオン化層と該第3中性層は、基材、例えば、薄膜電極層または誘電体層の(001)面上に、[001]方向に沿って順次に積層されうる。該第2陰イオン化層と該第3中性層とが積層される順序は、基材、例えば、薄膜電極層または誘電体層の表面構造により、変更または選択されうる。
【0075】
該中間層が含む第2陰イオン化層と第3中性層は、それぞれ互いに異なる金属を含むものでもある。該第2陰イオン化層と該第3中性層とが互いに異なる金属を含むことにより、該中間層が、例えば、ペロブスカイト型結晶構造を有しうる。
【0076】
該中間層が、第2陰イオン化層及び第3中性層を含むことにより、1つの化合物を構成することができる。該中間層を形成する化合物は、バルク状態では不安定でもあるが、数nm厚を有する場合には、安定性が維持されうる。
【0077】
該中間層は、例えば、下記化学式2で表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含むものでもある:
[化学式2]
[A2B2O
化学式2で、
A2は、一価陽イオンであり、
B2は、四価陽イオンであり、
2.5<x≦3.0である。
【0078】
化学式2で表される金属酸化物は、バルク状態では不安定でもあるが、数nm厚を有する中間層においては、安定性が維持されうる。
【0079】
該中間層は、例えば、[LiTiO]、[NaTiO]、[KTiO]、[RbTiO]、[LiZrO]、[NaZrO]、[KZrO]、[RbZrO]、[LiHfO]、[NaHfO]、[KHfO]または[RbHfO]のうちから選択された金属酸化物を含み、そのような金属酸化物において、2.5<x≦3.0でもある。
【0080】
図3A及び図3Bを参照すれば、キャパシタは、第1薄膜電極層;第2薄膜電極層;第1薄膜電極層と第2薄膜電極層との間に配される誘電体層;並びに第1薄膜電極層と誘電体層との間、及び第2薄膜電極層と誘電体層との間のうち1以上に配される中間層を含み、中間層が、第1中性層を含む。当該第1薄膜電極層、第2薄膜電極層、誘電体層及び中間層は、例えば、ペロブスカイト型結晶構造を有しうる。該誘電体層は、例えば、二価のA陽イオンと、四価のB陽イオンとによって構成されたペロブスカイト結晶構造の三元系酸化物(ABO)を含む。該誘電体層が含む三元系酸化物は、例えば、SrTiO、CaTiO、BaTiO、SrHfO、SrZrO、PbTiOなどである。該誘電体層が含む酸化物は、それらに限定されるものではなく、他の陽イオンを含むペロブスカイト三元系酸化物も可能である。
【0081】
該中間層は、第1中性層でもある。該第1中性層は、例えば、下記化学式3で表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物を含むものでもある:
[化学式3]
[A3B3O
化学式3で、
A3は、三価陽イオンであり、
B3は、三価陽イオンである。
【0082】
A3とB3は、例えば、互いに異なる金属である。
【0083】
該第1中性層は、例えば、[ScAlO]、[YAlO]、[LaAlO]、[CeAlO]、[PrAlO]、[NdAlO]、[SmAlO]、[DyAlO]、[ScGaO]、[YGaO]、[LaGaO]、[CeGaO]、[PrGaO]、[NdGaO]、[SmGaO]、[DyGaO]、[ScInO]、[YInO]、[LaInO]、[CeInO]、[PrInO]、[NdInO]、[SmInO]または[DyInO]のうちから選択された金属酸化物を含むものでもある。
【0084】
該第1中性層を形成する化合物は、バルク状態では不安定でもあるが、数nm厚を有する場合には、安定性が維持されうる。
【0085】
第1中性層は、第1陽イオン化層(first cationized layer)と、第3陰イオン化層(third anionized layer)とを含むものでもある。該第1中性層が、第1陽イオン化層及び第3陰イオン化層を含むことにより、該第1中性層が構造的に安定しうる。また、該第1中性層を含む中間層と、薄膜電極層及び誘電体層との構造的類似性が増大し、該中間層の全体的な構造的安定性が向上されうる。結果として、キャパシタの構造的安定性が向上されうる。該第3中性層は、例えば、HAADF-STEMを使用して確認することができる。
【0086】
該第1陽イオン化層は、[A3O]で表されうる。A3は、三価陽イオンでもある。該第1陽イオン化層が含むA3は、例えば、ペロブスカイト構造において、12個の酸素原子が配位される立方八面体サイトに配されうる。A3は、例えば、三価陽イオンを形成する元素周期表第3族に属する金属元素であり、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、SmまたはDyを含むものでもある。該第1陽イオン化層は、例えば、[ScO]、[YO]、[LaO]、[CeO]、[PrO]、[NdO]、[SmO]または[DyO]で表されうる。
【0087】
該第3陰イオン化層は、[B3Oで表されうる。B3は、三価陽イオンでもある。A3とB3は、例えば、互いに異なる金属である。該第3陰イオン化層が含むB3は、例えば、ペロブスカイト構造において、6個の酸素原子が配位される八面体サイトに配されうる。B3は、例えば、三価陽イオンを形成する周期表第13族に属する金属元素であり、Al、GaまたはInを含むものでもある。該第3陰イオン化層は、例えば、[AlO、[GaOまたは[InOで表されうる。
【0088】
該第1中性層が、第1陽イオン化層及び第3陰イオン化層を含むことにより、増大されたショットキー障壁高(SBH)を効果的に誘導することができる。
【0089】
該中間層がそのような第1中性層を含むことにより、該中間層を含むキャパシタの漏れ電流がさらに効果的に抑制されうる。該第1陽イオン化層及び該第3陰イオン化層は、例えば、HAADF-STEMを使用して確認することができる。
【0090】
図4A及び図4Bを参照すれば、キャパシタは、第1薄膜電極層;第2薄膜電極層;第1薄膜電極層と第2薄膜電極層との間に配される誘電体層;並びに第1薄膜電極層と誘電体層との間、及び第2薄膜電極層と誘電体層との間のうち1以上に配される中間層を含む。該中間層は、例えば、1単位セル(unit cell)ないし3単位セル、あるいは1単位セルまたは2単位セルを含むものでもある。当該第1薄膜電極層、第2薄膜電極層、誘電体層及び中間層は、例えば、ペロブスカイト型結晶構造を有しうる。該中間層が、1単位セルないし3単位セルを有することにより、中間層の構造的安定性を維持しながら、増大されたショットキー障壁高(SBH)を有しうる。
【0091】
該中間層の厚みは、例えば、1Åないし15Å、2Åないし12Å、または2Åないし10Åでもある。該中間層がそのような範囲の厚みを有することにより、該中間層の構造的安定性を維持しながら、増大されたショットキー障壁高(SBH)を有しうる。
【0092】
該中間層を含むキャパシタにおいて、第1薄膜電極層または第2薄膜電極層と、誘電体層とのショットキー障壁高(SBH)は、1.5eV以上または1.8eV以上でもある。
【0093】
例えば、該中間層を含むキャパシタにおいて、第1薄膜電極層または第2薄膜電極層と、誘電体層とのショットキー障壁高(SBH)は、1.5eVないし2.5eV、または1.8eVないし2.1eVでもある。
【0094】
該中間層は、例えば、エピタキシャル成長(epitaxial growth)によっても形成される。従って、該中間層は、薄膜電極層及び/または誘電体層と類似しているか、あるいは同一の結晶構造、類似しているか、あるいは同一の格子定数を有し、界面安定性が向上されうる。
【0095】
図1Aないし図4Bを参照すれば、キャパシタは、第1薄膜電極層;第2薄膜電極層;第1薄膜電極層と第2薄膜電極層との間に配される誘電体層;並びに第1薄膜電極層と誘電体層との間、及び第2薄膜電極層と誘電体層との間のうち1以上に配される中間層を含む。該誘電体層が含む誘電体は、特別に限定されるものではなく、当該技術分野において誘電体として使用されるものであるならば、いずれも可能である。該誘電体の常温(25℃)の1kHzないし1MHzにける誘電率は、例えば、50以上、100以上、250以上または500以上でもある。該誘電体の常温(25℃)の1kHzないし1MHzにおける誘電率は、例えば、100,000以下、50,000以下、10,000以下、5,000以下、1,000以下または500以下でもある。該誘電体の常温(25℃)の1kHzないし1MHzにおける誘電率は、100ないし100,000、または100ないし10,000、または100ないし1000、または100ないし500でもある。
【0096】
該誘電体層は、例えば、下記化学式4で表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する誘電体を含むものでもある:
[化学式4]
A4B4O
化学式4で、
A4は、一価陽イオン、二価陽イオンまたは三価陽イオンであり、
B4は、三価陽イオン、四価陽イオンまたは五価陽イオンである。
【0097】
該誘電体層は、例えば、SrTiO、CaTiO、BaTiO、SrHfO、CaHfO、BaHfO、SrZrO、CaZrO、BaZrO、PbTiO、NaNbO、NaTaO、RbTaO、RbNbO、RbTaOまたはEuTiOのうちから選択された誘電体を含むものでもある。
【0098】
キャパシタが含む誘電体層の厚みは、10nmよりも大きく、かつ/または100nm未満、例えば、10nmないし100nmでもある。該誘電体層の厚みが過度に増大すれば、キャパシタの単位体積当たり容量が低下してしまう。また、該誘電体層の厚みが過度に薄ければ、界面の誘電率低下領域の比率が高くなるので、キャパシタの単位体積当たり容量が低下してしまう。
【0099】
キャパシタが含む第1薄膜電極層及び/または第2薄膜電極層の厚みは、例えば、それぞれ10nmないし1,000nm、または10nmないし100nmでもある。該薄膜電極層の厚みが過度に増大すれば、キャパシタの単位体積当たり容量が低下してしまう。また、該薄膜電極層の厚みが過度に薄く、該誘電体層の厚みが過度に薄ければ、界面の誘電率低下領域の比率が高くなるので、キャパシタの単位体積当たり容量が低下してしまう。
【0100】
キャパシタが含む第1薄膜電極層及び第2薄膜電極層のうち1以上が、ペロブスカイト型結晶構造を有しうる。該薄膜電極層がペロブスカイト型結晶構造を有することにより、誘電体層との界面安定性が向上されうる。
【0101】
キャパシタが、前述の中間層を含むことにより、キャパシタの容量が増大し、漏れ電流が低減される。該キャパシタの種類は、特別に限定されるものではない。該キャパシタは、例えば、メモリセルに含まれるキャパシタ素子、積層セラミックコンデンサに使用される積層型キャパシタなどである。
【0102】
図5Aは、前述の中間層(図示せず)を含むキャパシタ20の1つの構造である。該構造においては、絶縁性基材100と、1対の電極である第1薄膜電極11、誘電体層12及び第2薄膜電極13と、を含む。第1薄膜電極11と第2薄膜電極13は、それぞれ下部薄膜電極、上部薄膜電極として作用する。第1薄膜電極11と第2薄膜電極13は、電気的に接続されず、第1薄膜電極11と第2薄膜電極13との間に誘電体層12が配され、第1薄膜電極11と誘電体層12との間、及び/または第2薄膜電極13と誘電体層12との間に、中間層(図示せず)が配される。
【0103】
図5Bないし図5Dは、前述の中間層(図示せず)を含むキャパシタ20の他構造の例である。
【0104】
図5Bにおいては、絶縁性基材100上の第1薄膜電極11を被覆するように、誘電体層12が配され、誘電体層12を被覆するように、第2電極13が配される。第1薄膜電極11と誘電体層12との間、及び/または第2薄膜電極13と誘電体層12との間に、中間層(図示せず)が配される。
【0105】
図5Cにおいては、絶縁性基材100上に、第1薄膜電極11、第2薄膜電極13が配され、それらの間に誘電体層12が配される。第1薄膜電極11と誘電体層12との間、及び/または第2薄膜電極13と誘電体層12との間に、中間層(図示せず)が配される。
【0106】
図5Dにおいては、絶縁性基材100上の第1薄膜電極11の一部を被覆するように、誘電体層12が配され、誘電体層12の他の一部を被覆するように、第2電極13が配される。第1薄膜電極11と誘電体層12との間、及び/または第2薄膜電極13と誘電体層12との間に、中間層(図示せず)が配される。
【0107】
図6は、他の一具現例によるMIM(metal-insulator-metal)キャパシタの構造を示す。
【0108】
図6を参照し、半導体基板201上に、層間絶縁膜203が積層され、その上部に、半導体基板201を露出させるコンタクトホールを充填するコンタクトプラグ205が形成される。コンタクトプラグ205を有する基板上に、モールド絶縁膜213が形成され、モールド絶縁膜213は、コンタクトプラグ205を有する基板上に、下部モールド絶縁膜207、エッチング阻止膜209及び上部モールド絶縁膜211を順に積層した構造を有する。エッチング阻止膜209は、図6に図示された位置に限定されるものではなく、コンタクトプラグ205及び層間絶縁膜203の上部面上にも直接形成される。代案としては、モールド絶縁膜213は、下部モールド絶縁膜207及び上部モールド絶縁膜211の二重層(double layered)のモールド絶縁膜としても形成されるか、あるいは単一モールド絶縁膜(single mold insulating layer)としても形成される。下部モールド絶縁膜207及び上部モールド絶縁膜211は、エッチング阻止膜209に対し、エッチング選択比を有しうる。例えば、下部モールド絶縁膜207及び上部モールド絶縁膜211がシリコン酸化膜によって形成される場合、エッチング阻止膜209は、シリコン窒化膜によって形成されうる。モールド絶縁膜213をパターニングし、コンタクトプラグ205の上部表面、及びそれと隣接した層間絶縁膜203上部表面を露出させるストレージノードホール215を形成する。
【0109】
ストレージノードホール215を有する半導体基板の全面上に、下部電極膜217’、すなわち、下部電極用導電膜を形成する。下部電極用導電膜217’は、段差塗布性にすぐれ、後続の誘電膜を形成する工程中において変形が少なく、耐酸化性(oxidation resistant property)を有する導電膜によって形成する。例えば、下部電極用導電膜217’は、ストロンチウム・ルテニウム酸化物(SrRuO)、イリジウム・ルテニウム酸化物(IrRuO)、ストロンチウム・イリジウム酸化物(SrIrO)、カルシウム・ルテニウム酸化物(CaRuO)、カルシウム・ニッケル酸化物(CaNiO)、バリウム・ルテニウム酸化物(BaRuO)、バリウム・ストロンチウム・ルテニウム酸化物((Ba,Sr)RuO)のうちから選択された少なくとも1つの金属酸化膜によっても形成される。
【0110】
下部電極膜217’上に、バッファ絶縁膜219が形成されており、ストレージノードホール215内に、孤立した下部電極膜217’及びバッファ絶縁膜パターン(図示せず)が形成されている。バッファ絶縁膜パターン(図示せず)は、選択的に除去され、下部電極膜217’の内壁を露出させた構造を有する。そして、下部電極膜217’を有する半導体基板201の全面上に、下部誘電膜219及び上部誘電膜223が順に積層された誘電膜224が形成されている。下部誘電膜219及び上部誘電膜223は、誘電体を含むものでもある。例えば、上部誘電膜223は、下部誘電膜219に比べ、高い誘電定数を有する高誘電膜によっても形成される。また、下部誘電膜219は、上部誘電膜223に比べ、大きいエネルギーバンドギャップを有する誘電膜によっても形成される。
【0111】
例えば、下部誘電膜219または上部誘電膜223は、ストロンチウム・チタン酸化物(SrTiO)、リチウム・ニオブ酸化物(LiNbO、)、カリウム・ニオブ酸化物(KNbO)、カリウム・タンタル酸化物(KTaO)、バリウム・チタン酸化物(BaTiO)、ナトリウム・ニオブ酸化物(NaNbO)、ナトリウム・タンタル酸化物(NaTaO)、カルシウム・ジルコニウム酸化物(CaZrO)、バリウム・ジルコニウム酸化物(BaZrO)、ストロンチウム・ジルコニウム酸化物(SrZrO)のうちから選択された1つの金属酸化膜によっても形成される。
【0112】
代案としては、図面に図示されていないが、下部誘電膜219及び上部誘電膜223が1層の誘電膜を形成し、そのような誘電膜が、前述の金属酸化膜によっても形成される。
【0113】
上部誘電膜223上には、上部電極225が形成され、上部電極225は、下部電極217’より大きい仕事関数を有する金属膜によっても形成される。
【0114】
上部電極225は、Ru膜、Pt膜及びIr膜からなる群のうちから選択された少なくとも1層の貴金属膜によっても形成される。
【0115】
例えば、上部誘電膜223は、Ta膜、TiO膜、ドーピングされたTiO膜、及びSTO膜からなる群のうちから選択された少なくとも1層の膜によっても形成され、下部誘電膜219は、HfO膜、ZrO膜、Al膜及びLa膜からなる群のうちから選択された少なくとも1層の膜によっても形成される。
【0116】
例えば、上部誘電膜223及び下部誘電膜219は、ストロンチウム・チタン酸化物(SrTiO)膜によっても形成される。
【0117】
下部誘電膜219と上部誘電膜223との間に、中間誘電膜221が介在される。下部誘電膜219及び上部誘電膜223は、結晶質誘電膜または非晶質誘電膜によっても形成され、中間誘電膜221は、結晶質誘電膜または非晶質誘電膜によっても形成される。すなわち、下部誘電膜219は、結晶質構造または非晶質構造のHfO膜、ZrO膜、Al膜及びLa膜からなる群のうちから選択された少なくとも1層の膜によっても形成され、中間誘電膜221は、ストロンチウム・チタン酸化物(SrTiO)膜によっても形成される。
【0118】
例えば、中間誘電膜221は、結晶質構造または非晶質構造のHfO膜、ZrO膜、Al膜、La膜、Ta膜、TiO膜、ドーピングされたTiO膜、及びSTO膜からなる群のうちから選択された少なくとも1層の膜によっても形成される。例えば、中間誘電膜221は、ストロンチウム・チタン酸化物(SrTiO)膜によっても形成される。また、上部誘電膜223は、結晶質構造または非晶質構造のTa膜、TiO膜、ドーピングされたTiO膜、及びSTO膜からなる群のうちから選択された少なくとも1層の膜によっても形成される。そのように、中間誘電膜221を、結晶質構造または非晶質構造の誘電膜で形成することにより、誘電膜224のブレークダウン電圧(breakdown voltage)特性を改善させることができる。例えば、下部誘電膜219及び上部誘電膜223を、結晶質構造の誘電膜で形成する場合、下部誘電膜219及び上部誘電膜223のブレークダウン電圧は、改善されるが、それらの漏れ電流特性(leakage current characteristic)は、低下してしまう。それにより、非晶質構造の誘電膜である中間誘電膜221を、下部誘電膜219と上部誘電膜223との間に形成することにより、漏れ電流特性及びブレークダウン電圧特性の電気的特性にすぐれるキャパシタを提供することができる。
【0119】
そして、下部電極膜217’を有する半導体基板201の前面と、下部誘電膜219、中間誘電膜221及び上部誘電膜223が順に積層された誘電膜224との間に、中間層(図示せず)が形成されている。
【0120】
MIMキャパシタが中間層(図示せず)をさらに含むことにより、漏れ電流特性がさらに向上される。
【0121】
図6に示されたMIMキャパシタは、例えば、凹状構造またはシリンダ構造を有する。
【0122】
他の一具現例による電子装置は、前述のキャパシタを含む。該電子装置が中間層を含むキャパシタを具備することにより、漏れ電流が低減されるので、優秀な素子特性を提供する。
【0123】
該電子装置は、例えば、半導体素子である。該電子装置は、例えば、メモリ素子である。該メモリ素子は例えば、DRAM(dynamic random access memory)、フラッシュメモリなどである。
【0124】
図7は、トレンチキャパシタ型DRAM(trench capacitor type dynamic random access memory)の構造を図示する。
【0125】
図7を参照すれば、p型半導体基板320上に、フィールド酸化膜321でもって素子分離領域を形成し、該素子分離領域内に、ゲート電極323とソース/ドレイン不純物領域322,322’が形成される。層間絶縁膜324とし、てHTO(high temperature oxide)膜が形成され、トレンチバッファ層でもって、トレンチが形成されていない部分をキャッピング(capping)させた後、ソース領域322のうち一部をオープンさせ、コンタクト部(図示せず)が形成される。
【0126】
層間絶縁膜324の側壁には、トレンチが形成され、該トレンチの側壁全体にわたり、側壁酸化膜325が形成される。側壁酸化膜325は、トレンチ形成のためのエッチング時、シリコン基板に加えられた損傷を補償し、また、シリコン基板と、今後形成されるストレージ電極との間の誘電膜として作用する。該トレンチ側壁に形成されたソース領域322において、ゲート側ソース領域322を除いた残り部分のソース領域322の側壁全体が露出された構造を有する。
【0127】
ソース領域322の側壁部には、不純物注入により、PN接合部332が形成され、ゲート電極の左側には、ソース領域322が形成され、その右側には、ドレイン領域322’が形成される。ソース領域322には、トレンチが形成され、該トレンチの側壁において、ゲート側は、ソース領域322と直接当接しており、それ以外には、ソース領域322に不純物をさらに注入し、PN接合部332を形成する。
【0128】
層間絶縁膜324の一部、露出されたソース領域322、及びトレンチ内の側壁酸化膜325の表面に、ストレージ電極326として、ポリシリコン層が形成される。ストレージ電極326は、ゲート電極323側のソース領域322だけではなく、トレンチ上側壁の周囲と当接しているソース領域322全体にわたって接触するように形成される。前述のトレンチ上側壁の周囲に形成されているソース領域322は、注入された不純物により、その領域が拡大され、ストレージ電極326とさらに明確に接触することになる。ストレージ電極326の上部表面に沿い、キャパシタの誘電体として、絶縁膜327を形成し、その上部に、プレート電極328として、ポリシリコン層を形成する工程を行うことにより、トレンチキャパシタ型DRAMを完成する。
【0129】
そのようなトレンチキャパシタ型DRAMにおいて、ストレージ電極326と誘電体絶縁膜327との間に、前述の中間層(図示せず)がさらに配される。
【0130】
他の一具現例によるキャパシタの製造方法は、第1薄膜電極層または第2薄膜電極層を提供する段階と、第1薄膜電極層または第2薄膜電極層の一面上に、エピタキシャル成長により、中間層を配する段階と、中間層上に誘電体層を配する段階と、誘電体層上に、他の薄膜電極層を配し、キャパシタを提供する段階と、を含み、キャパシタが、第1薄膜電極層;第2薄膜電極層;第1薄膜電極層と第2薄膜電極層との間に配される誘電体層;並びに第1薄膜電極層と誘電体層との間、及び第2薄膜電極層と誘電体層との間のうち1以上に配される中間層を含み、中間層が、中間層と接触する電極層及び誘電体層のうち1以上と同一形態の結晶構造を有し、それらと互いに異なる組成を有し、中間層が、第1陰イオン化層を含むか、第2陰イオン化層を含むか、あるいは第1中性層を含み、第1陰イオン化層が、一価陽イオン、二価陽イオン、または原子量20以上の三価陽イオンを含み、第2陰イオン化層が、一価陽イオンを含み、第1中性層が、複数の三価陽イオンを含む。例えば、第1陰イオン化層が、一価陽イオン、二価陽イオン、または原子量40以上の三価陽イオンを含むものでもある。前述の製造方法によって製造されたキャパシタは、中間層を含むことにより、漏れ電流が低減されうる。
【0131】
図5Aないし図5Dを参照すれば、まず、第1薄膜電極11または第2薄膜電極13が提供される。
【0132】
第1薄膜電極11及び/または第2薄膜電極13は、それぞれ、例えば、ストロンチウム・ルテニウム酸化物(SrRuO)、イリジウム・ルテニウム酸化物(IrRuO)、ストロンチウム・イリジウム酸化物(SrIrO)、カルシウム・ルテニウム酸化物(CaRuO)、カルシウム・ニッケル酸化物(CaNiO)、バリウム・ルテニウム酸化物(BaRuO)、バリウム・ストロンチウム・ルテニウム酸化物((Ba,Sr)RuO)、イリジウム(Ir)、イリジウム・ルテニウム合金(IrRu)、イリジウム酸化物(IrO)、チタン・アルミニウム窒化物(TiAlN)、チタン酸化物(TiO)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、ジルコニウム酸化物(ZrO)、スズ酸化物(SnO)、インジウム・スズ酸化物(ITO)などを含むが、それらに限定されるものではなく、当該技術分野において、電極材料として使用されるものであるならば、いずれも可能である。それらは、単独、または互いに混合されて使用される。
【0133】
第1薄膜電極11及び第2薄膜電極13のうち少なくとも一つは、ペロブスカイト型構造を有する酸化物でもある。例えば、第1薄膜電極11及び/または第2薄膜電極13のうち少なくとも一つは、ストロンチウム・ルテニウム酸化物(SrRuO)、イリジウム・ルテニウム酸化物(IrRuO)、ストロンチウム・イリジウム酸化物(SrIrO)、カルシウム・ルテニウム酸化物(CaRuO)、カルシウム・ニッケル酸化物(CaNiO)、バリウム・ルテニウム酸化物(BaRuO)、バリウム・ストロンチウム・ルテニウム酸化物((Ba,Sr)RuO)のうちからも選択される。
【0134】
第1電極11及び/または第2電極13は、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物または合金を、電子ビームエピタキシャル工程、液状エピタキシャル工程、気相エピタキシャル工程、化学気相蒸着工程、スパッタリング工程、原子層積層工程、パルスレーザ蒸着工程などで蒸着して形成する。第1電極11及び第2電極13は、単層構造または多層構造である。
【0135】
代案としては、第1電極11または第2電極13は、導電材料を含む電極ペーストをコーティング及び乾燥させることによって得られたコーティング膜を熱処理して形成される。
【0136】
該コーティング法は、真空プロセスや高温プロセスを使用しないので、簡単に第1電極11または第2電極13の製造が可能である。
【0137】
該電極ペーストは、導電材料粒子、有機成分及び溶媒を含む。
【0138】
該導電材料は、一般的に、電極として使用されうる材料であるならば、いずれも可能である。該導電材料は、例えば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化スズインジウム(ITO)のような導電性金属酸化物;白金、金、銀、銅、鉄、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデン、非晶質シリコンやポリシリコンのような金属やそれらの合金;ヨウ化銅、硫化銅のような無機導電性物質;錯体やヨウ素などのドーピングで導電率を向上させた、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリスチレンスルホン酸などの導電性重合体;炭素材料などである。そのような導電材料は、単独で使用してもよいが、複数の材料を、積層または混合して使用することが可能である。
【0139】
該導電材料は、例えば、金属粒子である。該金属粒子を使用することにより、キャパシタの曲折耐性が向上され、電圧を反復印加しても抗電界が増大しない。それは、導電膜表面に凹凸が形成され、その凹凸上に誘電体層が配されることによって生じるアンカー効果により、電極と誘電体層との密着性が向上されるからである。金属粒子は、例えば、金、銀、銅、白金、鉛、スズ、ニッケル、アルミニウム、タングステン、モリブデン、酸化ルテニウム、クロム、チタン、カーボンまたはインジウムのうち少なくとも1種を含む金属粒子である。
【0140】
有機成分及び溶媒は、誘電体層と同一材料を使用することが可能である。
【0141】
次に、第1薄膜電極11または第2薄膜電極13の一面上に、エピタキシャル成長により、中間層(図示せず)を配する。
【0142】
該中間層は、前述の第1陰イオン化層を含むか、第2陰イオン化層を含むか、あるいは第1中性層を含む。該中間層に係わるさらに具体的な内容は、キャパシタ部分を参照する。
【0143】
エピタキシャル成長は、例えば、分子ビームエピタキシャル工程、液状エピタキシャル工程、気相エピタキシャル工程などを使用することができる。
【0144】
分子ビームエピタキシャル工程を利用して中間層(図示せず)を形成する場合、例えば、表面処理された第1薄膜電極11が形成された絶縁性基材100を、反応チャンバ内にローディングさせた後、第1薄膜電極11を、約400℃ないし約800℃ほどの温度に維持し、チャンバ内の酸化剤分圧、例えば、酸素分圧を、10-8Torrないし10-5Torrに維持した。金属前駆体から金属を昇華させ、中間層を構成する金属を供給した。次に、気相(gaseous)金属を、表面処理された第1薄膜電極11上に導入した後、酸化剤を供給し、表面処理された第1薄膜電極11上に、中間層(図示せず)を形成する。中間層(図示せず)が[GaO層を含み、金属前駆体が、ガリウムまたはガリウムを含む第1前駆体化合物によってなる場合、酸化剤は、酸素(O)、オゾン(O)、二酸化窒素(NO)または酸化二窒素(NO)などを含む。該酸化剤は、例えば、酸素である。
【0145】
次に、中間層(図示せず)上に、誘電体層12を配する。
【0146】
誘電体層12は、例えば、ストロンチウム・チタン酸化物(SrTiO)、リチウム・ニオブ酸化物(LiNbO、)、カリウム・ニオブ酸化物(KNbO)、カリウム・タンタル酸化物(KTaO)、バリウム・チタン酸化物(BaTiO)、カルシウム・チタン酸化物(CaTiO)、鉛・チタン酸化物(PbTiO)、ナトリウム・ニオブ酸化物(NaNbO)、ナトリウム・タンタル酸化物(NaTaO)、カルシウム・ジルコニウム酸化物(CaZrO)、バリウム・ジルコニウム酸化物(BaZrO)、ストロンチウム・ジルコニウム酸化物(SrZrO)のうちからも選択される。
【0147】
誘電体層12は、ペロブスカイト型構造を有する酸化物でもある。例えば、誘電体層12は、ストロンチウム・チタン酸化物(SrTiO)でもある。
【0148】
誘電体層12は、例えば、化学気相蒸着工程、有機金属化学気相蒸着工程、分子ビームエピタキシャル工程、気相エピタキシャル工程、液状エピタキシャル工程、ゾル・ゲル工程、スパッタリング工程、パルスレーザ蒸着工程、原子層積層工程などを利用して形成される。
【0149】
分子ビームエピタキシャル工程を利用し、誘電体層12を形成する場合、例えば、表面処理された第1薄膜電極11が形成された絶縁性基材100を、反応チャンバ内にローディングさせた後、第1薄膜電極11を、約400℃ないし約800℃ほどの温度に維持し、チャンバ内の酸化剤分圧、例えば、酸素分圧を、10-8Torrないし10-5Torrに維持する。金属前駆体から金属を気化させ、中間層を構成する気相金属を供給する。次に、該気相金属を、表面処理された第1薄膜電極11上に導入した後、酸化剤を供給し、表面処理された第1薄膜電極11上に、中間層(図示せず)を形成する。誘電体層12がSrTiO層を含む場合、第1金属前駆体は、ストロンチウム、またはストロンチウムを含む第1前駆体化合物、チタン、またはチタンを含む第2前駆体化合物によってなり、酸化剤は、酸素(O)、オゾン(O)、二酸化窒素(NO)または酸化二窒素(NO)などを含む。該酸化剤は、例えば、酸素である。
【0150】
化学気相蒸着工程を利用し、誘電体層12を形成する場合、表面処理された第1薄膜電極11が形成された絶縁性基材100を、反応チャンバ内にローディングさせた後、反応チャンバを、約500℃ないし約600℃ほどの温度、及び約1Torrないし約10Torrほどの圧力に維持する。次に、有機金属前駆体を、表面処理された第1電極11上に導入した後、酸化剤を供給し、表面処理された第1電極11上に誘電体層12を形成する。誘電体層12がSrTiOを含む場合、有機金属前駆体は、ストロンチウム、またはストロンチウムを含む第1前駆体化合物、チタン、またはチタンを含む第2前駆体化合物によってなり、酸化剤は、酸素(O)、オゾン(O)、二酸化窒素(NO)または酸化二窒素(NO)などを含む。
【0151】
誘電体層12に対して熱処理工程を遂行し、誘電体層12を構成する物質のさらなる結晶化が可能である。例えば、誘電体層12は、酸素(O)ガス、窒素(N)ガス、アルゴン(Ar)ガス、アンモニア(NH)ガス、またはそれらの混合ガス雰囲気下において、急速熱処理工程(RTP)によって熱処理される。該急速熱処理工程は、例えば、約500℃ないし約650℃ほどの温度で、約30秒ないし約3分間遂行される。
【0152】
代案としては、誘電体層12は、前述の誘電体を含む誘電体ペーストをコーティングして乾燥させることによって得られたコーティング膜を熱処理して形成される。
【0153】
該コーティング法は、真空プロセスや高温プロセスを使用しないので、簡単に誘電体層12の製造が可能である。
【0154】
誘電体ペーストは、前述の誘電体、有機成分及び溶媒を含む。該誘電体ペーストは、誘電体粒子を含む。該有機成分は、誘電体粒子間の空隙に埋め込まれ、キャパシタの短絡を防止し、キャパシタの生産収率を向上させる。
【0155】
該有機成分は、例えば、単量体、オリゴマーまたは重合体、光重合開始剤、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤、顔料、分散剤などである。キャパシタの曲折耐性向上の観点においては、例えば、該有機成分は、オリゴマーまたは重合体である。該オリゴマーまたは該重合体は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などである。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック、フェノール樹脂、ポリイミド前駆体樹脂、ポリイミド樹脂、ポリシロキサン樹脂、フッ素系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などである。
【0156】
該溶媒は、誘電体粒子を分散させ、有機成分が溶解されるものであるならば、いずれも可能である。例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンのようなケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、ベンジルアルコール、メトキシメチルブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンのようなアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)のようなエーテル系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブのようなセロソルブ系溶媒;ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼンのような芳香族炭化水素系溶媒;ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、N-メチルピロリドンのような芳香族複素環化合物系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒;トリクロロエチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼンのようなハロゲン化合物系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル、乳酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、γ-ブチロラクトンのようなエステル系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホランのような硫黄化合物系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリルのようなニトリル系溶媒;ギ酸、酢酸、卜リクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸のような有機酸系溶媒のような各種有機溶媒、またはそれらを含む混合溶媒などである。
【0157】
コーティング方法は、例えば、スピンコーティング法、ブレードコーティング法、スリットダイコーティング法、スクリーン印刷法、バーコータ法、鋳型法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、浸漬印刷法、インクジェット法、ディスペンサ法などである。そのようなコーティング方法のうち、パターン加工性、除膜性の観点において、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、ディスペンサ法が使用される。
【0158】
コーティング膜から溶媒を除去する方法は、例えば、オーブン、ホットプレート、赤外線などによる加熱乾燥や真空乾燥などであり、例えば、50℃ないし140℃の範囲で、1分ないし数時間遂行する。
【0159】
次に、誘電体特性を向上させるために、コーティング膜を硬化させる。硬化温度は、誘電体化合物の種類、使用する溶媒、基材の種類によって選択される。例えば、誘電体ペースト中の有機成分がアクリル樹脂である場合、耐熱性の観点から、50℃ないし300℃の範囲である。また、絶縁性基材がポリエチレンテレフタレートである場合、該基材の熱膨脹による加工精密度の低下を防止する観点から、50℃ないし150℃の範囲にあることが望ましい。硬化する方法としては、オーブン、イナートオーブン、ホットプレート、赤外線などによる加熱硬化や真空硬化、キセノンフラッシュランプによる硬化、UV光による光硬化などを挙げることができる。
【0160】
誘電体層の平坦性を高めるために、誘電体ペーストをコーティングして乾燥させることによって得られたコーティング膜上に、平坦化層を形成することが可能である。平坦化層の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリシロキサン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの公知された樹脂である。平坦化層の膜厚としては、例えば、誘電体特性の観点においては、誘電体層に比べて薄い。
【0161】
該誘電体層は、パターン加工されるか、あるいはパターン加工されない。誘電体素子間のクロストークの低減による読み取り間違い防止の観点から、パターン加工されることが可能である。該パターン加工の方法は、例えば、微細加工の観点においては、有機成分が感光性有機成分を含むフォトリソグラフィ加工が使用される。該フォトリソグラフィ加工を使用することにより、誘電体素子の高集積化が可能である。
【0162】
次に、誘電体層12上に、他の薄膜電極層を配し、キャパシタ20を提供する。
【0163】
他の薄膜電極層を配する方法は、第1薄膜電極11または第2薄膜電極13を配する方法と同一である。
【0164】
まず、第1薄膜電極11が配された場合には、誘電体層12上に、第2薄膜電極13が配され、まず、第2薄膜電極13が配された場合には、誘電体層12上に、第1薄膜電極11が配される。
【0165】
誘電体層12上に、第2薄膜電極13または第1薄膜電極11が配されることにより、キャパシタ20が準備される。
【0166】
図8は、例示的な具現例による層構造を含むメモリ装置1200を示す。メモリ装置1200は、例えば、不揮発性強誘電体メモリ装置(例:FRAM(登録商標)(ferroelectric random access memory))でもある。
【0167】
図8を参照すれば、メモリ装置1200は、基板1210、基板1210内に形成された第1ドーピング領域1220及び第2ドーピング領域1230、ゲートスタック1240、導電性プラグ1260、データ保存要素1270、及び層間絶縁膜1250を含むものでもある。基板1210は、半導体基板を含むものでもある。第1ドーピング領域1220及び第2ドーピング領域1230は、互いに分離されている。第1ドーピング領域1220及び第2ドーピング領域1230は、基板1210の所定領域に、P型導電性不純物またはN型導電性不純物をドーピングして形成することができる。例えば、基板1210がP型半導体基板である場合、第1ドーピング領域1220及び第2ドーピング領域1230は、N型伝導性不純物がドーピングされた領域でもある。第1ドーピング領域1220及び第2ドーピング領域1230のうち一つは、ソース領域であり、他の一つは、ドレイン領域でもある。
【0168】
ゲートスタック1240は、第1ドーピング領域1220と第2ドーピング領域1230との間の基板1210上に形成される。ゲートスタック1240は、順次に積層されたゲート絶縁層及びゲート電極を含むものでもある。ゲートスタック1240と、第1ドーピング領域1220及び第2ドーピング領域1230は、トランジスタを形成することができる。
【0169】
層間絶縁膜1250は、トランジスタを覆うように形成される。層間絶縁膜1250の上面は、平坦でもある。一例として、層間絶縁膜1250は、シリコン酸化膜を含むものでもあるが、それに制限されるものではない。層間絶縁膜1250には、第2ドーピング領域1230が露出されるビアホールH1が形成される。ビアホールH1は、第2ドーピング領域1230上に位置することができる。導電性プラグ1260は、ビアホールH1にも含まれる。例えば、ビアホールH1は、導電性プラグ1260で完全に充填されうる。導電性プラグ1260の一面(例:底面)は、第2ドーピング領域1230と直接接触する。
【0170】
層間絶縁膜1250上に、ビアホールH1及び導電性プラグ1260を覆うように、データ保存素子であるキャパシタ20が提供されうる。キャパシタ20は、導電性プラグ1260と直接接触しうる。該データ保存素子は、下部電極11、誘電体層12及び上部電極13を含むものでもある。順次に積層された下部電極11、誘電体層12及び上部電極13を含むキャパシタ20は、それぞれ図5Aないし図5Dのキャパシタ20、第1薄膜電極11、誘電体層12及び第2薄膜電極13でもある。例示的な具現例において、ゲート絶縁膜は、誘電体層12を含むものでもある。
【0171】
しかし、メモリ装置1200は、それに限定されない。例えば、一部具現例において、キャパシタ20は、トランジスタに直接連結され、かつ/あるいはキャパシタ20及びトランジスタは、ドーピングされた領域(例えば、第2ドーピングされた領域1230)を共有することができる。
【0172】
図9を参照すれば、半導体素子D10は、複数のキャパシタ20と、複数の電界効果トランジスタとが反復的に配列された構造を有することができる。
【0173】
図9を参照すれば、半導体素子D10は、ゲートスタック1240、及びソース、ドレイン及びチャネルを有する基板1210を含む電界効果トランジスタ;ゲートスタック1240と重畳せず、基板1210上に配列されたコンタクト構造体1230;並びにコンタクト構造体1230上に配されたキャパシタ20を含む。半導体素子D10は、電界効果トランジスタを互いに電気的に連結するビットライン構造体930をさらに含むものでもある。図9には、コンタクト構造体1230とキャパシタ20とがX方向及びY方向に反復的に配列された半導体素子D10が図示されているが、それは、非制限的例である。例えば、コンタクト構造体1230は、X方向及びY方向にも配列され、キャパシタ20は、ハニカム構造のような六角形状にも配列される。
【0174】
図10及び図11は、本発明の実施形態による電子装置に適用可能な電子装置アーキテクチャを概略的に示す概念図である。
【0175】
図10を参照すれば、電子装置アーキテクチャ3000は、メモリユニット3010、算術論理ユニット(ALU)3020及び制御ユニット3030を含むものでもある。メモリユニット3010、ALU 3020及び制御ユニット3030は、互いに電気的に連結されうる。例えば、電子装置アーキテクチャ3000は、メモリユニット3010、ALU 3020及び/または制御ユニット3030を含む単一チップによっても具現される。例えば、メモリユニット3010、ALU 3020及び制御ユニット3030は、チップ上の金属ラインを介して互いに連結され、直接通信することができる。メモリユニット3010、ALU 3020及び/または制御ユニット3030は、単一基板上にモノリシックに集積され、単一チップを形成することができる。入出力装置2000は、電子装置アーキテクチャ(チップ)3000にも連結される。制御ユニット3030は、論理回路を含むハードウェアのような処理回路;ソフトウェアを実行するプロセッサのようなハードウェア/ソフトウェアの組み合わせ;またはそれらの組み合わせでもある。例えば、該処理回路は、さらに具体的には、中央処理装置(CPU)、算術論理装置(ALU)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、FPGA(field programmable gate array)、及びプログラマブルロジックユニット、マイクロプロセッサ、ASIC(application specific integrated circuit)などを含むものでもある。類似して、電子装置アーキテクチャ3000が、ALU 3020を含むように図示されているが、電子装置アーキテクチャ3000は、それに制限されるものではなく、さらなる及び/または代替の処理回路を含むものでもある。メモリユニット3010は、メインメモリ及びキャッシュメモリを含むものでもある。電子装置アーキテクチャ(チップ)3000は、オンチップ(on-chip)メモリ処理装置でもある。メモリユニット3010、ALU 3020及び/または制御ユニット3030は、それぞれ独立して、前述の層構造を含むものでもある。
【0176】
図11を参照すれば、キャッシュメモリ1510、ALU 1520及び制御ユニット1530は、CPU 1500を構成し、キャッシュメモリ1510は、SRAM(static random access memory)を含むものでもある。メインメモリ1600及び補助保存装置1700は、CPU 1500と別途にも提供される。メインメモリ1600は、前述のような層構造を含むDRAM(dynamic random access memory)を含むものでもある。入出力装置2500は、CPU 1500にも連結されうる。
【0177】
場合によっては、該電子装置アーキテクチャは、サブユニットなしに、1つのチップでもって、単位コンピュータ装置と単位メモリ装置とが隣接した形態にも具現される。
【0178】
以下の実施例及び比較例を介し、本発明についてさらに詳細に説明される。ただし、該実施例は、本発明を例示するためのものであり、それらだけにより、本発明の範囲が限定されるものではない。
【0179】
(誘電体の製造)
実施例1:[GaO 第1陰イオン化層:1単位セル(unit cell)
厚み100ÅのSrRuO第1薄膜電極の(001)面上に、分子ビームエピタキシャル工程を使用し、[001]方向に、[GaO2]第1陰イオン化層及び[SrO]第2中性層を順次に成長させ、中間層を形成した。
【0180】
該中間層は、化合物として、SrGaO(2.5<x≦3.0)で表される。1単位セルを含む中間層の厚みは、4.0Åであった。該分子ビームエピタキシャル工程は、5×10-8ないし8×10-8Torrの酸素分圧で遂行され、第1薄膜電極の温度は、700℃であった。
【0181】
SrGaO中間層上に、同一方法でもって、SrTiO誘電体層を100Å厚に成長させた。
【0182】
SrTiO誘電体層上に、同一方法でもって、厚み200ÅのSrRuO第2薄膜電極を配し、キャパシタを製造した。
【0183】
実施例2:[InO 第1陰イオン化層:1単位セル
[GaO陰イオン化層の代わりに、[InO陰イオン化層を形成させたことを除いては、実施例1と同一方法でもって、キャパシタを製造した。
【0184】
実施例3:[BeO 2- 第1陰イオン化層:1単位セル
[GaO陰イオン化層の代わりに、[BeO2-陰イオン化層を形成させたことを除いては、実施例1と同一方法でもって、キャパシタを製造した。
【0185】
実施例4:[MgO 2- 第1陰イオン化層:1単位セル
[GaO陰イオン化層の代わりに、[MgO2-陰イオン化層を形成させたことを除いては、実施例1と同一方法でもって、キャパシタを製造した。
【0186】
実施例5:[LiO 3- 第1陰イオン化層:1単位セル
[GaO陰イオン化層の代わりに、[LiO3-陰イオン化層を形成させたことを除いては、実施例1と同一方法でもって、キャパシタを製造した。
【0187】
実施例6:[LiO] 第2陰イオン化層:1単位セル
厚み100ÅのSrRuO第1薄膜電極の(001)面上に、分子ビームエピタキシャル工程を使用し、[001]方向に、[LiO]第2陰イオン化層及び[TiO]第3中性層を順次に成長させ、中間層を形成した。
【0188】
該中間層は、化合物として、LiTiO(2.5<x≦3.0)で表される。1単位セルを含む中間層の厚みは、4.0Åであった。分子ビームエピタキシャル工程は、5×10-8ないし8×10-8Torrの酸素分圧で遂行され、第1薄膜電極の温度は、700℃であった。
【0189】
LiTiO中間層上に、同一方法でもって、SrTiO誘電体層を100Å厚に成長させた。
【0190】
SrTiO誘電体層上に、同一方法でもって、厚み100ÅのSrRuO第2薄膜電極を配し、キャパシタを製造した。
【0191】
実施例7:[NaO] 第2陰イオン化層:1単位セル
[LiO]陰イオン化層の代わりに、[NaO]陰イオン化層を形成させたことを除いては、実施例6と同一方法でもって、キャパシタを製造した。
【0192】
実施例8:[KO] 第2陰イオン化層:1単位セル
[LiO]陰イオン化層の代わりに、[KO]陰イオン化層を形成させたことを除いては、実施例6と同一方法でもって、キャパシタを製造した。
【0193】
実施例9:[RbO] 第2陰イオン化層:1単位セル
[LiO]陰イオン化層の代わりに、[RbO]陰イオン化層を形成させたことを除いては、実施例6と同一方法でもって、キャパシタを製造した。
【0194】
実施例10:[ScO] 第1陽イオン化層及び[GaO 第3陰イオン化層:1単位セル
厚み100ÅのSrRuO第1薄膜電極の(001)面上に、分子ビームエピタキシャル工程を使用し、[001]方向に、[ScO]第1陽イオン化層及び[GaO第3陰イオン化層を順次に成長させ、中間層を形成した。
【0195】
該中間層は、ペロブスカイト化合物であり、ScGaOで表される。1単位セルを含む中間層の厚みは、4.0Åであった。分子ビームエピタキシャル工程は、5×10-8ないし8×10-8Torrの酸素分圧で遂行され、第1薄膜電極の温度は、700℃であった。
【0196】
ScGaO中間層上に、同一方法でもって、SrTiO誘電体層を100Å厚に成長させた。
【0197】
SrTiO誘電体層上に、同一方法でもって、厚み100ÅのSrRuO第2薄膜電極を配し、キャパシタを製造した。
【0198】
実施例11:[LaO] 第1陽イオン化層及び[AlO 第3陰イオン化層:1単位セル
厚み100ÅのSrRuO第1薄膜電極の(001)面上に、分子ビームエピタキシャル工程を使用し、[001]方向に、[LaO]第1陽イオン化層及び[AlO陰イオン化層を順次に成長させ、中間層を形成した。
【0199】
該中間層は、ペロブスカイト化合物であり、LaAlOで表される。1単位セルを含む中間層の厚みは、4.0Åであった。分子ビームエピタキシャル工程は、5×10-8ないし8×10-8Torrの酸素分圧で遂行され、電極の温度は、700℃であった。
【0200】
LaAlO中間層上に、同一方法でもって、SrTiO誘電体層を100Å厚に成長させた。SrTiO誘電体層上に、同一方法でもって、厚み100ÅのSrRuO第2薄膜電極を配し、キャパシタを製造した。
【0201】
実施例12:[GaO 第1陰イオン化層:2単位セル
SrGaO中間層の厚みを、2単位セルに変更したことを除いては、実施例1と同一方法でもって、キャパシタを製造した。
【0202】
比較例1:[LaO] 第1陽イオン化層:1単位セル
厚み100ÅのSrRuO第1薄膜電極の(001)面上に、分子ビームエピタキシャル工程を使用し、[001]方向に、[LaO]第1陽イオン化層及び[TiO]第3中性層を順次に成長させ、中間層を形成した。
【0203】
該中間層は、化合物であり、LaTiO(2.5<x≦3.0)で表される。1単位セルを含む中間層の厚みは、4.0Åであった。分子ビームエピタキシャル工程は、5×10-8ないし8×10-8Torrの酸素分圧で遂行され、第1薄膜電極の温度は、700℃であった。
【0204】
LaTiO中間層上に、同一方法でもって、SrTiO誘電体層を100Å厚に成長させた。
【0205】
SrTiO誘電体層上に、同一方法でもって、厚み100ÅのSrRuO第2薄膜電極を配し、キャパシタを製造した。
【0206】
比較例2:[YO] 第1陽イオン化層:1単位セル
[LaO]陽イオン化層の代わりに、[YO]陽イオン化層を形成させたことを除いては、比較例1と同一方法でもって、キャパシタを製造した。
【0207】
比較例3:[YO] 第1陽イオン化層:2単位セル
中間層の厚みを2単位セルに増大させたことを除いては、比較例2と同一方法でもって、キャパシタを製造した。
【0208】
比較例4:中間層不在(free):1単位セル
中間層を導入する段階を省略したことを除いては、実施例1と同一方法でもって、キャパシタを製造した。
【0209】
評価例1:ショットキー障壁高(SBH)計算:第1陰イオン化層
SrRuO(電極)/SrTiO(誘電体)の積層体に対比させ、SrRuO/SrTiO間に、中間層として、第1陰イオン化層が配された積層体のショットキー障壁高(SBH)の変化量(ΔV)を計算し、その結果の一部を、下記表1に示した。
【0210】
図1A及び図1Bを参照すれば、SrRuO/SrTiO間に、中間層として、第1陰イオン化層が配される。該中間層が含む金属陽イオンの位置は、ペロブスカイト構造において、6個の酸素原子が配位される八面体サイトである。ABOにおいて、Bに該当する。
【0211】
誘電定数及びバンドギャップは、Vienna Ab initioシミュレーションパッケージ(VASP)を使用し、密度関数理論(DFT:density functional theory)の基盤(framework)において計算された。
【0212】
該中間層が配された積層体のショットキー障壁高は、下記数式1で表される。許容因子(t:Goldschmidt tolerance factor)は、立方晶系ペロブスカイト(cubic perovskite)構造の安定性を示すパラメータである。1に近いほど、立方晶系ペロブスカイトの構造安定性が高く、下記数式2で表される。
【0213】
[数式1]
SBH=Φ-χ+ΔV
【0214】
数式1で、Φは、電極の仕事関数、χは、誘電体の電子親和度(electron affinity))、ΔVは、SBHの変化量である。
【0215】
【数1】
【0216】
数式2で、rは、Aイオンのイオン半径であり、rは、Bイオンのイオン半径であり、rは、酸素のイオン半径であり、tは、許容因子(Goldschmidt tolerance factor)である。
【0217】
【表1】
【0218】
表1から分かるように、電極と誘電体層との間に、中間層として第1陰イオン化層が配されることにより、安定した許容因子が0.9から1.10の範囲である立方晶系ペロブスカイト構造を有する中間層を含む積層体のショットキー障壁高が増大したことを確認した。
【0219】
そのようなショットキー障壁高増大は、第1陰イオン化層が、対応する電極側に反対極性を有する遮蔽電荷を誘導し、電極と誘電体層との間にさらなる静電気的電位差を誘導したためであると判断される。
【0220】
従って、電極と誘電体層との間に、中間層として配される第1陰イオン化層が、キャパシタの漏れ電流遮断層として適するということを確認した。
【0221】
評価例2:ショットキー障壁高(SBH)計算:第2陰イオン化層
SrRuO(電極)/SrTiO(誘電体)の積層体に対比させ、SrRuO/SrTiO間に、中間層として、第2陰イオン化層が配された積層体のショットキー障壁高(SBH)の変化量(ΔV)を計算し、その結果の一部を、下記表2に示した。
【0222】
図2A及び図2Bを参照すれば、SrRuO/SrTiO間に、中間層として、第2陰イオン化層が配される。該中間層が含む金属陽イオンの位置は、ペロブスカイト構造において、12個の酸素原子が配位される立方八面体サイトである。ABOにおいて、Aに該当する。誘電定数及びバンドギャップは、Vienna Ab initioシミュレーションパッケージ(VASP)を使用し、密度関数理論(DFT)の基盤において計算された。
【0223】
該中間層が配された積層体のショットキー障壁高は、下記数式1で表される。許容因子(t:Goldschmidt tolerance factor)は、立方晶系ペロブスカイト構造の安定性を示すパラメータである。1に近いほど、立方晶系ペロブスカイトの構造安定性が高く、下記数式2で表される。
【0224】
[数式1]
SBH=Φ-χ+ΔV
【0225】
数式1で、Φは、電極の仕事関数、χは、誘電体の電子親和度(electron affinity))、ΔVは、SBHの変化量である。
【0226】
【数2】
【0227】
数式2で、rは、Aイオンのイオン半径であり、rは、Bイオンのイオン半径であり、rは、酸素のイオン半径であり、tは、許容因子(Goldschmidt tolerance factor)である。
【0228】
【表2】
【0229】
表2から分かるように、電極と誘電体層との間に、一価陽イオンが適用された中間層として、第2陰イオン化層が配されることにより、積層体のショットキー障壁高がほとんど増大したことと、許容因子が1に近い値で立方晶系ペロブスカイト構造が安定するということと、を確認した。
【0230】
従って、電極と誘電体層との間に、中間層として配される第2陰イオン化層が、キャパシタの漏れ電流遮断層として適するということを確認した。
【0231】
それに対し、電極と誘電体層との間に、中間層として、陽イオン層が配される場合、積層体のショットキー障壁高がむしろ低減した。
【0232】
評価例3:ショットキー障壁高(SBH)計算:第1中性層
SrRuO(電極)/SrTiO(誘電体)の積層体に対比させ、SrRuO/SrTiO間に、中間層として、第1中性層が配された積層体のショットキー障壁高(SBH)の変化量(ΔV)を計算し、その結果の一部を、下記表3に示した。
【0233】
図3A及び図3Bを参照すれば、SrRuO/SrTiO間に、中間層として、第1中性層が配される。第1中性層は、ABO組成のペロブスカイト化合物である。
【0234】
誘電定数及びバンドギャップは、Vienna Ab initioシミュレーションパッケージ(VASP)を使用し、密度関数理論(DFT)の基盤において計算された。
【0235】
中間層が配された積層体のショットキー障壁高は、下記数式1で表される。
[数式1]
SBH=Φ-χ+ΔV
【0236】
数式1で、Φは、電極の仕事関数、χは、誘電体の電子親和度(electron affinity))、ΔVは、SBHの変化量である。
【0237】
【表3】
【0238】
表3から分かるように、電極と誘電体層との間に、中間層として第1中性層が配されることにより、積層体のショットキー障壁高が増大した。
【0239】
従って、電極と誘電体層との間に、中間層として配される第1中性層が、キャパシタの漏れ電流遮断層として適するということを確認した。
【0240】
評価例4:ショットキー障壁高(SBH)計算:厚み変化
SrRuO(電極)/SrTiO(誘電体)の積層体に対比させ、SrRuO/SrTiO間に、中間層として、第1陰イオン化層または陽イオン化層が配された積層体において、中間層の厚みによるショットキー障壁高(SBH)の変化量(ΔV)を計算し、その結果の一部を、下記表4に示した。図4A及び図4Bを参照すれば、SrRuO/SrTiO間に、中間層として、第1陰イオン化層が配される。該中間層の厚みは、1単位セル及び2単位セルである。
【0241】
誘電定数及びバンドギャップは、Vienna Ab initioシミュレーションパッケージ(VASP)を使用し、密度関数理論(DFT)の基盤において計算された。
【0242】
該中間層が配された積層体のショットキー障壁高は、下記数式1で表される。
【0243】
[数式1]
SBH=Φ-χ+ΔV
【0244】
数式1で、Φは、電極の仕事関数、χは、誘電体の電子親和度(electron affinity))、ΔVは、SBHの変化量である。
【0245】
【表4】
【0246】
表4から分かるように、中間層として第1陰イオン化層が配された積層体において、該中間層の厚みが増大するほど、積層体のショットキー障壁高が増大した。
【0247】
従って、電極と誘電体層との間に配される中間層に配される第1陰イオン化層の厚みが増大することにより、該中間層がキャパシタの漏れ電流遮断層として適するということを確認した。
【0248】
それに対し、中間層として、陽イオン化層が配される積層体において、中間層の厚みが増大するほど、積層体のショットキー障壁高が低減した。
【0249】
評価例5:漏れ電流測定
実施例1、実施例12、比較例1及び比較例4で製造されたキャパシタにつき、漏れ電流を測定した。
【0250】
該漏れ電流は、キャパシタに1Vの電圧が加えられたときの電流密度である。測定結果を、下記表5に示した。
【0251】
【表5】
【0252】
表5から分かるように、中間層を含む実施例のキャパシタは、中間層を含んでいない比較例4のキャパシタ、及び陽イオン中間層のみを含む比較例1のキャパシタに比べ、漏れ電流が低減された。
【0253】
従って、中間層を含むキャパシタが、高い誘電定数を有する誘電体層を含むキャパシタの製造に適するということを確認した。
【符号の説明】
【0254】
11 第1電極、第1薄膜電極
12 誘電体層
13 第2電極、第2薄膜電極
20 キャパシタ
100 絶縁性基材
201 半導体基板
203 層間絶縁膜
205 コンタクトプラグ
207 下部モールド絶縁膜
209 エッチング阻止膜
211 上部モールド絶縁膜
213 モールド絶縁膜
215 ストレージノードホール
217’ 下部電極膜、下部電極用導電膜 219 バッファ絶縁膜、下部誘電膜
221 中間誘電膜
223 上部誘電膜
224 誘電膜
225 上部電極
320 p型半導体基板
321 フィールド酸化膜
322 ソース領域
322’ ドレイン領域
323 ゲート電極
324 層間絶縁膜
325 側壁酸化膜
326 ストレージ電極
327 絶縁膜
328 プレート電極
332 PN接合部
930 ビットライン構造体
1200 メモリ装置
1210 基板
1220 第1ドーピング領域
1230 第2ドーピング領域
1240 ゲートスタック
1250 層間絶縁膜
1500 CPU
1510 キャッシュメモリ
1520 ALU
1530 制御ユニット
1600 メインメモリ
1700 補助保存装置
2000 入出力装置
2500 入出力装置
3000 電子装置アーキテクチャ
3010 メモリユニット
3020 ALU
3030 制御ユニット
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11