(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161536
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】学習用データ生成方法および学習済みモデル生成方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20241112BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H01L21/306 R
H01L21/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024138466
(22)【出願日】2024-08-20
(62)【分割の表示】P 2020194253の分割
【原出願日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2019238989
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】猶原 英司
(72)【発明者】
【氏名】太田 喬
(72)【発明者】
【氏名】池内 崇
(72)【発明者】
【氏名】中村 康則
(57)【要約】
【課題】作業者の負担を軽減することができる学習用データ生成方法および学習済みモデル生成方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、記憶部103、及び制御部102を備える。記憶部103は、学習済みモデル136を記憶する。学習済みモデル136は、学習対象の基板Wに処理を実行して取得される処理量を含む学習用データを学習することにより生成される。制御部102は、学習済みモデル136の出力に基づいて処理液を基板に供給して処理を実行して処理量を取得し、処理量が目標処理量と許容範囲内で一致しない場合、追加学習のための学習用データとして利用する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習用データを学習して生成された学習済みモデルの出力に基づき処理液を基板に供給して前記基板に処理を実行する基板処理装置を用いて追加学習のための学習用データを生成する方法であって、
処理前の前記基板の厚みの分布と、前記基板の目標厚みの分布との差分を算出して、前記処理によって前記基板が処理される量を示す処理量の目標量である目標処理量を取得するステップと、
前記基板に対して前記処理を実行して前記処理量を取得するステップと、
前記処理量と前記目標処理量とが許容範囲内で一致するか否かを判定するステップと、
前記処理量と前記目標処理量とが前記許容範囲内で一致しないと判定した場合、前記処理量に対し、前記追加学習のための学習用データとして利用することを示すフラグを付与するステップと
を含む、追加学習のための学習用データ生成方法。
【請求項2】
学習済みモデルの出力に基づき処理対象の基板に処理液を供給して前記処理対象の基板に処理を実行する基板処理装置に用いられる前記学習済みモデルを生成する方法であって、
学習対象の基板に前記処理液を供給して、前記学習対象の基板に対して前記処理を実行するステップと、
前記処理によって前記学習対象の基板が処理された量を示す処理量を取得するステップと、
前記学習対象の基板の前記処理量を含む学習用データを生成するステップと、
予め定められた分類規則に基づいて前記学習用データを各クラスに分類し、前記クラスごとに前記学習用データを学習して前記学習済みモデルを生成する学習ステップと
を含み、
前記分類規則は、前記学習対象の基板の処理枚数に応じて前記学習用データを前記各クラスに分類することを規定している、学習済みモデル生成方法。
【請求項3】
学習済みモデルの出力に基づき処理対象の基板に処理液を供給して前記処理対象の基板に処理を実行する基板処理装置に用いられる前記学習済みモデルを生成する方法であって、
学習対象の基板に前記処理液を供給して、前記学習対象の基板に対して前記処理を実行するステップと、
前記処理によって前記学習対象の基板が処理された量を示す処理量を取得するステップと、
前記学習対象の基板の前記処理量を含む学習用データを生成するステップと、
予め定められた分類規則に基づいて前記学習用データを各クラスに分類し、前記クラスごとに前記学習用データを学習して前記学習済みモデルを生成する学習ステップと
を含み、
前記学習対象の基板に対して前記処理を実行するステップにおいて、前記処理に使用する前記処理液の使用開始時からのロット数である学習時ロット数を取得し、
前記分類規則は、前記学習時ロット数に応じて前記学習用データを前記各クラスに分類することを規定している、学習済みモデル生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習用データ生成方法および学習済みモデル生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に被膜が形成されたウエハを処理対象とし、液処理によって被膜の膜厚調整及び異物除去を行う基板処理装置が知られている。このような基板処理装置の一種として、ウエハ表面にエッチング用の処理液を供給するノズルを備えた枚葉型の基板処理装置がある(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の基板処理装置は、エッチング処理の実行時に、予め規定された速度プロファイルに基づいてノズルを移動させながら、エッチング用の処理液をノズルから吐出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、予め規定された速度プロファイルに基づいてノズルを移動させる基板処理装置では、例えば、ウエハに対して実行する前処理の変更に合わせて速度プロファイルを開発し直す必要がある。前処理が変更されると、エッチング処理前の被膜の膜厚や、エッチング処理前の被膜の膜厚のバラツキが変化するためである。したがって、速度プロファイルの開発に関与する作業者の負担となっていた。
【0005】
この発明の一実施形態は、作業者の負担を軽減することができる及び学習用データ生成方法および学習済みモデル生成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一実施形態は、学習用データを学習して生成された学習済みモデルの出力に基づき処理液を基板に供給して前記基板に処理を実行する基板処理装置を用いて追加学習のための学習用データを生成する方法を提供する。この方法は、処理前の前記基板の厚みの分布と、前記基板の目標厚みの分布との差分を算出して、前記処理によって前記基板が処理される量を示す処理量の目標量である目標処理量を取得するステップと、前記基板に対して前記処理を実行して前記処理量を取得するステップと、前記処理量と前記目標処理量とが許容範囲内で一致するか否かを判定するステップと、前記処理量と前記目標処理量とが前記許容範囲内で一致しないと判定した場合、前記処理量に対し、前記追加学習のための学習用データとして利用することを示すフラグを付与するステップとを含む。
【0007】
この発明の一実施形態は、学習済みモデルの出力に基づき処理対象の基板に処理液を供給して前記処理対象の基板に処理を実行する基板処理装置に用いられる前記学習済みモデルを生成する方法を提供する。この方法は、学習対象の基板に前記処理液を供給して、前記学習対象の基板に対して前記処理を実行するステップと、前記処理によって前記学習対象の基板が処理された量を示す処理量を取得するステップと、前記学習対象の基板の前記処理量を含む学習用データを生成するステップと、予め定められた分類規則に基づいて前記学習用データを各クラスに分類し、前記クラスごとに前記学習用データを学習して前記学習済みモデルを生成する学習ステップと、を含む。
【0008】
一つの実施形態では、前記分類規則は、前記学習対象の基板の処理枚数に応じて前記学習用データを前記各クラスに分類することを規定していてもよい。
【0009】
一つの実施形態では、前記学習対象の基板に対して前記処理を実行するステップにおいて、前記処理に使用する前記処理液の使用開始時からのロット数である学習時ロット数を取得する。そして、前記分類規則は、前記学習時ロット数に応じて前記学習用データを前記各クラスに分類することを規定していてもよい。
【0010】
一つの例では、基板処理装置は、処理液を基板に供給して前記基板に処理を実行する。前記基板処理装置は、ノズルと、移動機構と、記憶部と、制御部とを備える。前記ノズルは、前記基板に前記処理液を供給する。前記移動機構は、前記ノズル及び前記基板の少なくとも一方を移動させる。前記記憶部は、学習済みモデルを記憶する。前記制御部は、前記学習済みモデルを用いて前記移動機構を制御する。前記学習済みモデルは、前記ノズルの移動速度及び学習対象の基板の移動速度の少なくとも一方を示すか、あるいは、前記ノズルと前記学習対象の基板との相対的な移動速度を示す学習対象速度情報と、前記学習対象速度情報に基づく速度で前記ノズル及び前記学習対象の基板の少なくとも一方を移動させつつ前記学習対象の基板に前記処理を実行して取得される処理量とを、学習用データとして学習することにより生成される。前記処理量は、前記処理によって前記基板が処理される量を示す。前記制御部は、前記処理量の目標量を前記学習済みモデルに入力することにより、前記学習済みモデルから処理時速度情報を出力させる。前記制御部は、処理対象の基板に対して前記処理を実行する際に、前記処理時速度情報に基づく速度で前記ノズル及び前記処理対象の基板の少なくとも一方が移動するように前記移動機構を制御する。前記処理時速度情報は、前記ノズルの移動速度及び前記処理対象の基板の移動速度の少なくとも一方を示すか、あるいは、前記ノズルと前記処理対象の基板との相対的な移動速度を示す。
【0011】
一つの例において、前記学習対象速度情報は、前記ノズルが移動する移動区間を複数の区間に分割する各ノズル位置ごとに設定された前記ノズルの移動速度、及び、前記学習対象の基板が移動する移動区間を複数の区間に分割する各基板位置ごとに設定された前記学習対象の基板の移動速度の少なくとも一方を示すか、あるいは、前記ノズルと前記学習対象の基板との相対的な移動速度を、前記各ノズル位置ごと、又は前記各基板位置ごとに示す。前記処理時速度情報は、前記各ノズル位置ごとに設定された前記ノズルの移動速度、及び、前記各基板位置ごとに設定された前記処理対象の基板の移動速度の少なくとも一方を示すか、あるいは、前記ノズルと前記処理対象の基板との相対的な移動速度を、前記各ノズル位置ごと、又は前記各基板位置ごとに示す。
【0012】
一つの例において、前記基板処理装置は、基板保持部と、基板回転部とを更に備える。前記基板保持部は、前記基板を水平に保持する。前記基板回転部は、上下方向に延びる中心軸を中心として前記基板と前記基板保持部とを一体に回転させる。前記相対的な移動速度は、回転する前記基板の表面と前記ノズルとの相対的な移動速度を示す。
【0013】
一つの例において、前記制御部は、前記処理時速度情報と、前記処理時速度情報に基づく速度で前記ノズル及び前記処理対象の基板の少なくとも一方を移動させつつ前記処理対象の基板に前記処理を実行して取得される前記処理量とを、追加学習のための学習用データとして学習して、追加学習後の学習済みモデルを生成する。
【0014】
一つの例において、前記制御部は、前記処理量が前記追加学習に利用可能か否かを判定する。
【0015】
一つの例において、前記基板処理装置は、計測器を更に備える。前記計測器は、計測対象の値を計測する。前記記憶部は、前記処理の実行を制御するためのレシピを記憶する。前記レシピは、前記計測対象に対する設定値を示す。前記制御部は、前記計測対象と値と前記設定値との差分が規定値以上である場合、前記処理量が前記追加学習に利用可能であるか否かに応じて異なるエラー報知を実行する。
【0016】
一つの例において、前記基板処理装置は、前記処理量を検出するための処理量検出部を更に備える。
【0017】
一つの例において、前記記憶部は、前記学習対象速度情報を記憶する。前記制御部は、前記学習対象速度情報に基づく速度で前記ノズル及び前記学習対象の基板の少なくとも一方が移動するように前記移動機構を制御しつつ、前記ノズルから前記処理液を前記学習対象の基板に供給させて、前記学習対象の基板に対して前記処理を実行する。前記制御部は、前記学習対象の基板に対して前記処理を実行することにより取得される前記処理量と、前記学習対象速度情報とを含む前記学習用データを生成する。前記制御部は、予め定められた分類規則に基づいて前記学習用データを各クラスに分類する。前記制御部は、前記クラスごとに前記学習用データを学習して前記学習済みモデルを生成する。前記制御部は、前記処理対象の基板に対して前記処理を実行する際に、予め定められた選択規則に基づいて前記クラスのうちの一つを選択する。前記制御部は、選択した前記クラスに対応する前記学習済みモデルに前記目標量を入力することにより、前記学習済みモデルから前記処理時速度情報を出力させる。
【0018】
一つの例において、前記分類規則は、前記学習対象の基板の処理枚数に応じて前記学習用データを前記各クラスに分類することを規定している。前記学習対象の基板の処理枚数は、前記学習対象の基板に対する前記処理に使用する前記処理液の使用開始時からの処理枚数を示す。前記選択規則は、前記処理対象の基板の処理枚数に応じて、前記クラスのうちの一つを選択することを規定している。前記処理対象の基板の処理枚数は、前記処理対象の基板に対する前記処理に使用する前記処理液の使用開始時からの処理枚数を示す。
【0019】
一つの例において、前記制御部は、前記学習対象の基板に対して前記処理を実行する際に、学習時ロット数を取得する。前記学習時ロット数は、前記処理に使用する前記処理液の使用開始時からのロット数である。前記分類規則は、前記学習時ロット数に応じて前記学習用データを前記各クラスに分類することを規定している。前記制御部は、前記処理対象の基板に対して前記処理を実行する際に、処理時ロット数を取得する。前記処理時ロット数は、前記処理に使用する前記処理液の使用開始時からのロット数である。前記選択規則は、前記処理時ロット数に応じて前記クラスのうちの一つを選択することを規定する。
【0020】
一つの例において、前記基板処理装置は、入力部を更に備える。前記入力部は、前記クラスの各々に含まれる前記学習用データのうちから基準学習用データをそれぞれ選定する指示を前記クラスごとに入力する。前記制御部は、前記クラスの各々に含まれる前記学習用データのうちから前記基準学習用データとの相関性が予め定められた条件を満たす前記学習用データを前記クラスごとに選定する。前記制御部は、前記クラスごとに、選定した前記学習用データを学習して前記学習済みモデルを生成する。
【0021】
この明細書には基板処理方法も開示されている。一つの例では、基板処理方法は、処理対象の基板に対してノズルから処理液を供給して前記処理対象の基板に処理を実行する方法である。前記基板処理方法は、前記処理によって前記処理対象の基板が処理される量を示す処理量の目標量を取得するステップと、前記目標量を学習済みモデルに入力することにより、前記学習済みモデルから処理時速度情報を出力させる出力ステップと、前記処理時速度情報に基づく速度で前記ノズル及び前記処理対象の基板の少なくとも一方を移動させつつ、前記処理対象の基板に前記処理液を供給する処理ステップとを含む。前記学習済みモデルは、前記ノズルの移動速度及び学習対象の基板の移動速度の少なくとも一方を示すか、あるいは、前記ノズルと前記学習対象の基板との相対的な移動速度を示す学習対象速度情報と、前記学習対象速度情報に基づく速度で前記ノズル及び前記学習対象の基板の少なくとも一方を移動させつつ前記学習対象の基板に前記処理を実行して取得される前記処理量とを、学習用データとして学習することにより生成される。前記処理時速度情報は、前記ノズルの移動速度及び前記処理対象の基板の移動速度の少なくとも一方を示すか、あるいは、前記ノズルと前記処理対象の基板との相対的な移動速度を示す。
【0022】
一つの例において、前記学習対象速度情報は、前記ノズルが移動する移動区間を複数の区間に分割する各ノズル位置ごとに設定された前記ノズルの移動速度、及び、前記学習対象の基板が移動する移動区間を複数の区間に分割する各基板位置ごとに設定された前記学習対象の基板の移動速度の少なくとも一方を示すか、あるいは、前記ノズルと前記学習対象の基板との相対的な移動速度を、前記各ノズル位置ごと、又は前記各基板位置ごとに示す。前記処理時速度情報は、前記各ノズル位置ごとに設定された前記ノズルの移動速度、及び、前記各基板位置ごとに設定された前記処理対象の基板の移動速度の少なくとも一方を示すか、あるいは、前記ノズルと前記処理対象の基板との相対的な移動速度を、前記各ノズル位置ごと、又は前記各基板位置ごとに示す。
【0023】
一つの例では、前記処理ステップにおいて、前記処理対象の基板を、水平に保持した状態で、上下方向に延びる中心軸を中心として回転させる。前記ノズルと前記学習対象の基板との相対的な移動速度は、回転する前記学習対象の基板の表面と前記ノズルとの相対的な移動速度を示す。前記ノズルと前記処理対象の基板との相対的な移動速度は、回転する前記処理対象の基板の表面と前記ノズルとの相対的な移動速度を示す。
【0024】
一つの例において、前記基板処理方法は、前記出力ステップにおいて出力された前記処理時速度情報と、前記処理ステップにおいて処理された前記処理対象の基板の前記処理量とに基づいて、追加学習のための学習用データを生成する学習用データ生成ステップと、前記追加学習のための学習用データを学習して追加学習後の学習済みモデルを生成するステップとを更に含む。
【0025】
一つの例において、前記学習用データ生成ステップは、前記処理量が前記追加学習に利用可能か否かを判定するステップを含む。
【0026】
一つの例において、前記基板処理方法は、計測対象の値と、前記計測対象に対して予め定められた設定値との差分が、規定値以上であるか否かを判定するステップと、前記計測対象と値と前記設定値との差分が規定値以上である場合、前記処理量が前記追加学習に利用可能であるか否かに応じて異なるエラー報知を実行するステップとを更に含む。
【0027】
一つの例において、前記基板処理方法は、前記学習対象速度情報に基づく速度で前記ノズル及び前記学習対象の基板の少なくとも一方を移動させつつ、前記学習対象の基板に前記処理液を供給して、前記学習対象の基板に対して前記処理を実行するステップと、前記学習対象の基板の前記処理量を取得するステップと、前記学習対象の基板の前記処理量と前記学習対象速度情報とを含む前記学習用データを生成するステップと、予め定められた分類規則に基づいて前記学習用データを各クラスに分類し、前記クラスごとに前記学習用データを学習して前記学習済みモデルを生成する学習ステップとを更に含む。前記出力ステップにおいて、予め定められた選択規則に基づいて前記クラスのうちの一つを選択し、選択した前記クラスに対応する前記学習済みモデルに前記目標量を入力することにより、前記学習済みモデルから前記処理時速度情報を出力させる。
【0028】
一つの例において、前記分類規則は、前記学習対象の基板の処理枚数に応じて前記学習用データを前記各クラスに分類することを規定している。前記学習対象の基板の処理枚数は、前記学習対象の基板に対する前記処理に使用する前記処理液の使用開始時からの処理枚数を示す。前記選択規則は、前記処理対象の基板の処理枚数に応じて、前記クラスのうちの一つを選択することを規定している。前記処理対象の基板の処理枚数は、前記処理対象の基板に対する前記処理に使用する前記処理液の使用開始時からの処理枚数を示す。
【0029】
一つの例では、前記学習対象の基板に対して前記処理を実行するステップにおいて、学習時ロット数を取得する。前記学習時ロット数は、前記処理に使用する前記処理液の使用開始時からのロット数である。前記分類規則は、前記学習時ロット数に応じて前記学習用データを前記各クラスに分類することを規定している。前記処理対象の基板に対して前記処理を実行するステップにおいて、処理時ロット数を取得する。前記処理時ロット数は、前記処理に使用する前記処理液の使用開始時からのロット数である。前記選択規則は、前記処理時ロット数に応じて前記クラスのうちの一つを選択することを規定する。
【0030】
一つの例において、前記基板処理方法は、前記クラスの各々に含まれる前記学習用データのうちから前記クラスごとに基準学習用データを選定するステップと、前記クラスの各々に含まれる前記学習用データのうちから前記基準学習用データとの相関性が予め定められた条件を満たす前記学習用データを前記クラスごとに選定するステップとを更に含む。前記学習ステップにおいて、前記クラスごとに、選定した前記学習用データを学習して前記学習済みモデルを生成する。
【0031】
この明細書には、基板処理システムも開示されている。一つの例において、基板処理システムは、基板処理装置と、情報処理装置とを備える。前記基板処理装置は、処理液を基板に供給して前記基板に処理を実行する。前記情報処理装置は、処理時速度情報を前記基板処理装置へ送信する。前記情報処理装置は、通信部と、記憶部と、処理部とを備える。前記情報処理装置の前記通信部は、前記処理によって処理対象の基板が処理される量の目標量を前記基板処理装置から受信する。前記情報処理装置の前記通信部は、前記基板処理装置へ前記処理時速度情報を送信する。前記記憶部は、学習済みモデルを記憶する。前記処理部は、前記通信部を介して前記基板処理装置から取得した前記目標量を前記学習済みモデルに入力することにより、前記学習済みモデルから前記処理時速度情報を出力させる。前記基板処理装置は、通信部と、ノズルと、移動機構と、制御部とを備える。前記基板処理装置の前記通信部は、前記情報処理装置へ前記目標量を送信する。前記基板処理装置の前記通信部は、前記情報処理装置から前記処理時速度情報を受信する。前記ノズルは、前記基板に前記処理液を供給する。前記移動機構は、前記ノズル及び前記基板の少なくとも一方を移動させる。前記制御部は、前記処理時速度情報に基づいて前記移動機構を制御する。前記学習済みモデルは、前記ノズルの移動速度及び学習対象の基板の移動速度の少なくとも一方を示すか、あるいは、前記ノズルと前記学習対象の基板との相対的な移動速度を示す学習対象速度情報と、前記学習対象速度情報に基づく速度で前記ノズル及び前記学習対象の基板の少なくとも一方を移動させつつ前記学習対象の基板に前記処理を実行して取得される処理量とを、学習用データとして学習することにより生成される。前記処理量は、前記処理によって前記学習対象の基板が処理される量を示す。前記制御部は、前記処理対象の基板に対して前記処理を実行する際に、前記処理時速度情報に基づく速度で前記ノズル及び前記処理対象の基板の少なくとも一方が移動するように前記移動機構を制御する。前記処理時速度情報は、前記ノズルの移動速度及び前記処理対象の基板の移動速度の少なくとも一方を示すか、あるいは、前記ノズルと前記処理対象の基板との相対的な移動速度を示す。
【0032】
この明細書には学習装置も開示されててる。一つの例において、学習装置は、記憶部と、学習部とを備える。前記記憶部は、学習用プログラムを記憶する。前記学習部は、前記学習用プログラムに基づいて学習用データを学習する。前記学習部は、ノズルの移動速度及び基板の移動速度の少なくとも一方を示すか、あるいは、前記ノズルと前記基板との相対的な移動速度を示す速度情報と、前記速度情報に基づく速度で前記ノズル及び前記基板の少なくとも一方を移動させつつ前記ノズルから前記基板に処理液を供給して取得される処理量とを、前記学習用データとして学習する。前記処理量は、前記基板が前記処理液の供給によって処理される量を示す。
【0033】
この明細書には学習方法も開示されている。一つの例において、学習方法は、学習用データを取得するステップと、学習用プログラムに基づいて前記学習用データを学習するステップとを含む。前記学習用データは、速度情報と、前記速度情報に基づく速度でノズル及び基板の少なくとも一方を移動させつつ前記ノズルから前記基板に処理液を供給して取得される処理量とを示す。前記速度情報は、前記ノズルの移動速度及び前記基板の移動速度の少なくとも一方を示すか、あるいは、前記ノズルと前記基板との相対的な移動速度を示す。前記処理量は、前記基板が前記処理液の供給によって処理された量を示す。
【0034】
この明細書には学習済みモデルの生成方法も開示されている。一つの例において、学習済みモデルの生成方法は、学習用データを取得するステップと、学習用プログラムに基づいて前記学習用データを学習して学習済みモデルを生成するステップとを含む。前記学習用データは、速度情報と、前記速度情報に基づく速度でノズル及び基板の少なくとも一方を移動させつつ前記ノズルから前記基板に処理液を供給して取得される処理量とを示す。前記速度情報は、前記ノズルの移動速度及び前記基板の移動速度の少なくとも一方を示すか、あるいは、前記ノズルと前記基板との相対的な移動速度を示す。前記処理量は、前記基板が前記処理液の供給によって処理された量を示す。
【0035】
この明細書には学習用データの生成方法も開示されている。一つの例において、学習用データの生成方法は、速度情報に基づく速度でノズル及び基板の少なくとも一方を移動させつつ、前記ノズルから前記基板に処理液を供給して前記基板に処理を実行するステップと、前記処理によって前記基板が処理された量を示す処理量を取得するステップと、前記速度情報及び前記処理量に基づいて学習用データを生成するステップとを含む。この方法は、前記処理量と規定値との差に基づいて、前記学習用データが機械学習に利用可能か否かを判定するステップと、前記学習用データが前記機械学習に利用可能であると判定された場合、前記学習用データに第1フラグを付与するステップと、前記学習用データが前記機械学習に利用可能でないと判定された場合、前記学習用データに第2フラグを付与するステップとを含んでもよい。前記速度情報は、前記ノズルの移動速度及び前記基板の移動速度の少なくとも一方を示すか、あるいは、前記ノズルと前記基板との相対的な移動速度を示す。
【0036】
一つの例において、前記基板に処理を実行するステップは、基板処理装置により実行される。前記学習用データの生成方法は、前記基板処理装置において異常状態が発生しているか否かを判定するステップと、前記異常状態が発生していると判定された場合、エラー報知を実行するステップとを更に含む。前記学習用データに前記第1フラグが付与されている場合、前記エラー報知は前記基板処理装置に前記異常状態が発生していることを示す。前記学習用データに前記第2フラグが付与されている場合、前記エラー報知は、前記処理量が前記規定値以上であること、および前記基板処理装置に前記異常状態が発生していることを示す。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る学習用データ生成方法および学習済みモデル生成方法によれば、作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の実施形態1における基板処理装置の模式図である。
【
図2】本発明の実施形態1における処理ユニットの模式図である。
【
図3】本発明の実施形態1におけるスキャン処理を示す平面図である。
【
図4】本発明の実施形態1におけるスキャン速度情報を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態1における第1ノズルの移動速度の一例を示すグラフである。
【
図6】本発明の実施形態1における厚み測定処理を示す平面図である。
【
図7】本発明の実施形態1におけるエッチング液供給部の模式図である。
【
図8】本発明の実施形態1における制御装置のブロック図である。
【
図9】本発明の実施形態1における学習用データの生成方法を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施形態1におけるエッチング処理を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施形態1における学習用データの生成処理を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施形態1における異常判定処理を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の実施形態1における学習用データセット用テーブルの一例を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態1における制御装置のブロック図である。
【
図15】本発明の実施形態1における学習済みモデルの生成方法を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の実施形態1における制御装置のブロック図である。
【
図17】本発明の実施形態1における基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図18】本発明の実施形態1における基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図19】本発明の実施形態1における追加学習用データセット用テーブルの一例を示す図である。
【
図20】本発明の実施形態2における基板処理装置及び学習装置を示す図である。
【
図21】本発明の実施形態2における学習済みモデルの生成方法を示すフローチャートである。
【
図22】本発明の実施形態3における基板処理システムを示す図である。
【
図23】基板処理装置の制御装置が実行する処理と、学習装置の処理部が実行する処理とを示すフローチャートである。
【
図24】本発明の実施形態4における処理ユニットの模式図である。
【
図25】本発明の実施形態4における基板処理装置の構成を示す模式図である。
【
図26】本発明の実施形態4における学習用データの生成方法を示すフローチャートである。
【
図27】本発明の実施形態4における学習用データの生成処理を示すフローチャートである。
【
図28】本発明の実施形態4における学習用データセット用テーブルの一例を示す図である。
【
図29】本発明の実施形態4における学習済みモデルの生成方法を示すフローチャートである。
【
図30】本発明の実施形態4における基板処理方法の一部を示すフローチャートである。
【
図31】本発明の実施形態4における処理時速度情報を取得する処理を示すフローチャートである。
【
図32】本発明の実施形態5における学習用データの生成方法を示すフローチャートである。
【
図33】本発明の実施形態5におけるカウント処理の一例を示すフローチャートである。
【
図34】本発明の実施形態5における学習用データセット用テーブルの一例を示す図である。
【
図35】本発明の実施形態5における基板処理方法の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0040】
[実施形態1]
図1を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図1は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。詳しくは、
図1は、基板処理装置100の模式的な平面図である。基板処理装置100は、基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。本実施形態において、基板Wは半導体ウエハである。基板Wは略円板状である。
【0041】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数の処理ユニット1と、流体キャビネット100Aと、複数の流体ボックス100Bと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。
【0042】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと処理ユニット1との間で基板Wを搬送する。処理ユニット1の各々は、処理液を基板Wに供給して、基板Wに処理を実行する。流体キャビネット100Aは、処理液を収容する。
【0043】
複数の処理ユニット1は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(
図1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の処理ユニット1(
図1では3つの処理ユニット1)を含む。流体ボックス100Bは、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。流体キャビネット100A内の処理液は、いずれかの流体ボックス100Bを介して、流体ボックス100Bに対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット1に供給される。
【0044】
制御装置101は、基板処理装置100の各部の動作を制御する。例えば、制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、及びセンターロボットCRを制御する。
【0045】
本実施形態において、制御装置101は、学習装置として機能する。具体的には、制御装置101は、機械学習を実行する。本実施形態の制御装置101は、更に、追加学習を実行する。機械学習及び追加学習は、例えば、教師あり学習、教師なし学習、半教師あり学習、強化学習、及び深層学習のうちのいずれかである。
【0046】
なお、一般的に、機械学習は追加学習を含む概念であるが、ここでは、便宜的に、「機械学習」という用語と、「追加学習」という用語とを使い分けて本実施形態を説明する。本実施形態において、「機械学習」は、半導体製品の製造前に実行される機械学習を示す。つまり、「機械学習」は、基板処理装置100の製造段階で実行される機械学習を示す。一方、「追加学習」は、半導体製品の製造段階で実行される機械学習を示す。つまり、「追加学習」は、基板処理装置100を調整する際に実行される機械学習を示す。
【0047】
続いて
図2を参照して、本実施形態の処理ユニット1を説明する。
図2は、本実施形態の処理ユニット1の模式図である。詳しくは、
図2は、処理ユニット1の模式的な断面図である。
【0048】
処理ユニット1は、基板Wを構成する対象物を処理液によって処理する。以下、処理液による処理の対象である対象物を「対象物TG」と記載する。対象物TGは、例えば、基板本体(例えば、シリコンからなる基板本体)、又は、基板本体の表面に形成された物質である。基板本体の表面に形成された物質は、例えば、基板本体と同じ材料の物質(例えば、シリコンからなる層)、又は、基板本体と異なる材料の物質(例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、又はレジスト)である。「物質」は膜を構成していてもよい。
【0049】
本実施形態において、処理液はエッチング液を含み、処理ユニット1はエッチング処理を実行する。対象物TGは、エッチング液によって処理される(エッチングされる)。エッチング液は、薬液である。エッチング液は、例えば、フッ硝酸(フッ酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合液)、フッ酸、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、又は、燐酸(H3PO4)である。
【0050】
図2に示すように、処理ユニット1は、チャンバー2と、スピンチャック3と、スピンモータ部5と、ノズル移動機構6と、厚み測定部8と、プローブ移動機構9と、複数のガード10(
図2では2つのガード10)と、第1ノズル41と、第2ノズル71とを備える。また、基板処理装置100は、エッチング液供給部4と、リンス液供給部7とを備える。エッチング液供給部4は、第1供給配管42を有し、リンス液供給部7は、第2供給配管72を有する。
【0051】
チャンバー2は略箱形状を有する。チャンバー2は、基板W、スピンチャック3、スピンモータ部5、ノズル移動機構6、複数のガード10、厚み測定部8、プローブ移動機構9、第1ノズル41、第2ノズル71、第1供給配管42の一部、及び、第2供給配管72の一部を収容する。
【0052】
スピンチャック3は、基板Wを水平に保持する。スピンチャック3は、基板保持部の一例である。具体的には、スピンチャック3は、複数のチャック部材32と、スピンベース33とを有する。複数のチャック部材32は、基板Wの周縁に沿ってスピンベース33に設けられる。複数のチャック部材32は基板Wを水平な姿勢で保持する。スピンベース33は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材32を支持する。
【0053】
スピンモータ部5は、第1回転軸線AX1を中心として基板Wとスピンチャック3とを一体に回転させる。第1回転軸線AX1は、上下方向に延びる。本実施形態では、第1回転軸線AX1は、略鉛直方向に延びる。第1回転軸線AX1は中心軸の一例であり、スピンモータ部5は基板回転部の一例である。詳しくは、スピンモータ部5は、第1回転軸線AX1を中心としてスピンベース33を回転させる。したがって、スピンベース33は、第1回転軸線AX1を中心として回転する。その結果、スピンベース33に設けられた複数のチャック部材32に保持された基板Wが、第1回転軸線AX1を中心として回転する。
【0054】
具体的には、スピンモータ部5は、モータ本体51と、シャフト53と、エンコーダ55とを有する。シャフト53はスピンベース33に結合される。モータ本体51は、シャフト53を回転させる。その結果、スピンベース33が回転する。
【0055】
エンコーダ55は、計測対象の値を計測する計測器の一例であり、エンコーダ55の計測対象は、基板Wの回転速度である。エンコーダ55は、基板Wの回転速度を示す信号を生成する。詳しくは、エンコーダ55は、モータ本体51の回転速度を示す回転速度信号を生成する。
【0056】
第1ノズル41は、基板Wにエッチング液を供給する。詳しくは、第1ノズル41は、回転中の基板Wに向けてエッチング液を吐出する。エッチング液供給部4は、第1ノズル41にエッチング液を供給する。詳しくは、第1ノズル41は、第1供給配管42の一端に接続している。エッチング液は、第1供給配管42を介して第1ノズル41に供給される。第1供給配管42は、エッチング液が流通する管状部材である。
【0057】
ノズル移動機構6は、第1ノズル41を移動させる。ノズル移動機構6は、移動機構の一例である。本実施形態において、ノズル移動機構6は、略水平方向に第1ノズル41を移動させる。詳しくは、ノズル移動機構6は、略鉛直方向に沿った第2回転軸線AX2を中心として第1ノズル41を旋回させる。第1ノズル41は、移動しながら(旋回しながら)、基板Wに向けてエッチング液を吐出する。第1ノズル41は、スキャンノズルと称されることがある。
【0058】
具体的には、ノズル移動機構6は、ノズルアーム61と、第1回転軸63と、第1駆動部65とを有する。ノズルアーム61は略水平方向に沿って延びる。ノズルアーム61の先端部に第1ノズル41が配置される。ノズルアーム61は第1回転軸63に結合される。第1回転軸63は、略鉛直方向に沿って延びる。第1駆動部65は、第2回転軸線AX2を中心として第1回転軸63を回転させて、第1回転軸63を中心にノズルアーム61を略水平面に沿って回転させる。その結果、第1ノズル41が略水平面に沿って移動する。詳しくは、第1ノズル41は、第2回転軸線AX2を中心として第1回転軸63の周りを旋回する。第1駆動部65は、例えば、ステッピングモータを含む。
【0059】
第2ノズル71は、基板Wにリンス液を供給する。詳しくは、第2ノズル71は、回転中の基板Wに向けてリンス液を吐出する。リンス液供給部7は、第2ノズル71にリンス液を供給する。詳しくは、リンス液は、第2供給配管72を介して第2ノズル71に供給される。第2供給配管72は、リンス液が流通する管状部材である。リンス液は、例えば、脱イオン水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、又は、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水である。第2ノズル71は、静止した状態でリンス液を吐出する。第2ノズル71は、固定ノズルと称されることがある。なお、第2ノズル71はスキャンノズルであってもよい。
【0060】
ガード10の各々は、略筒形状を有する。複数のガード10は、基板Wから排出されたエッチング液及びリンス液を受け止める。
【0061】
厚み測定部8は、対象物TGの厚みを非接触方式で測定して、対象物TGの厚みを示す厚み検出信号を生成する。厚み検出信号は、制御装置101に入力される。
【0062】
厚み測定部8は、例えば、分光干渉法によって対象物TGの厚みを測定する。具体的には、厚み測定部8は、光学プローブ81と、信号線83と、厚み測定器85とを含む。光学プローブ81は、レンズを有する。信号線83は、光学プローブ81と厚み測定器85とを接続する。信号線83は、例えば光ファイバーを含む。厚み測定器85は、光源と受光素子とを有する。厚み測定器85の光源が出射した光は、信号線83及び光学プローブ81を介して、対象物TGに出射される。対象物TGによって反射された光は、光学プローブ81及び信号線83を介して、厚み測定器85の受光素子で受光される。厚み測定器85は、受光素子が受光した光を解析して、対象物TGの厚みを算出する。厚み測定器85は、算出した対象物TGの厚みを示す厚み検出信号を生成する。
【0063】
プローブ移動機構9は、略水平方向に光学プローブ81を移動させる。詳しくは、プローブ移動機構9は、略鉛直方向に沿った第3回転軸線AX3を中心として光学プローブ81を旋回させる。光学プローブ81は、移動しながら(旋回しながら)、基板Wに向けて光を出射する。したがって、厚み検出信号は、対象物TGの厚みの分布を示す。
【0064】
具体的には、プローブ移動機構9は、プローブアーム91と、第2回転軸93と、第2駆動部95とを有する。プローブアーム91は略水平方向に沿って延びる。プローブアーム91の先端部に光学プローブ81が配置される。プローブアーム91は第2回転軸93に結合される。第2回転軸93は、略鉛直方向に沿って延びる。第2駆動部95は、第3回転軸線AX3を中心として第2回転軸93を回転させて、第2回転軸93を中心にプローブアーム91を略水平面に沿って回転させる。その結果、光学プローブ81が略水平面に沿って移動する。詳しくは、光学プローブ81は、第3回転軸線AX3を中心として第2回転軸93の周りを旋回する。第2駆動部95は、例えば、ステッピングモータを含む。
【0065】
本実施形態において、厚み測定部8は、処理量検出部の一例であり、処理量の検出に用いられる。処理量は、処理ユニット1が基板Wを処理することによって基板Wが処理される量を示す。詳しくは、処理量は、第1ノズル41から基板Wに供給されたエッチング液(処理液)によって基板Wが処理される量を示す。本実施形態において、処理量は、エッチング量を示す。エッチング量は、エッチング処理前の対象物TGの厚みと、エッチング処理後の対象物TGの厚みとの差分を示す。
【0066】
制御装置101は、機械学習の実行時に、厚み測定部8(厚み測定器85)から入力された厚み検出信号に基づいてエッチング量を算出することにより、エッチング量を取得する。より詳しくは、制御装置101は、エッチング量の分布(処理量の分布)を取得する。制御装置101は、取得したエッチング量を用いて、機械学習のための学習用データ(学習用データセット)を生成する。
【0067】
また、制御装置101は、半導体製品の製造時に、厚み測定部8(厚み測定器85)から入力された厚み検出信号に基づいてエッチング量を算出することにより、エッチング量を取得する。制御装置101は、半導体製品の製造時に、取得したエッチング量に基づいて、追加学習のための学習用データを生成するか否かを判定する。制御装置101は、追加学習のための学習用データを生成することを決定すると、取得したエッチング量に基づいて、追加学習のための学習用データを生成する。
【0068】
また、制御装置101には、エンコーダ55から回転速度信号が入力される。基板Wの回転速度は、エッチング量に影響する。制御装置101は、回転速度信号に基づいて、基板処理装置100に異常が発生しているか否かを判定する。詳しくは、制御装置101は、
図8を参照して説明するように、基板処理装置100の各部を制御するためのレシピ131を記憶しており、レシピ131は、モータ本体51の回転速度の設定値を示す。モータ本体51の回転速度の設定値は、計測対象に対する設定値の一例である。制御装置101は、レシピ131を参照して、処理ユニット1が実行する処理を制御する。制御装置101は、回転速度信号が示す回転速度と、レシピ131に含まれるモータ本体51の回転速度の設定値との差分が、予め定められた規定値以上となる場合に、基板Wの回転速度が異常値を示していると判定する。制御装置101は、基板Wの回転速度が異常値を示していると判定すると、基板処理装置100に異常が発生していると判定する。
【0069】
続いて
図3を参照して、第1ノズル41による基板Wのスキャン処理を説明する。
図3は、本実施形態のスキャン処理を示す平面図である。
図3に示すように、スキャン処理とは、平面視において、対象物TGの表面に対する処理液の着液位置が円弧状の軌跡TJ1を形成するように第1ノズル41が移動しながら、処理液を対象物TGに吐出する処理のことである。軌跡TJ1は、基板Wの中心部CTを通る。中心部CTは、基板Wのうち第1回転軸線AX1が通る部分を示す。スキャン処理は、基板Wの回転中に実行される。
【0070】
本実施形態では、第1ノズル41は、第1位置X1から第9位置X9まで移動しながら、回転中の基板Wに向けてエッチング液を吐出する。第1位置X1から第9位置X9に含まれる各位置X1~X9は、軌跡TJ1に含まれる。第1位置X1から第9位置X9までの区間は、第1ノズル41が移動する移動区間を示す。
【0071】
第1位置X1から第9位置X9のうち、第1位置X1は、処理液(エッチング液)の吐出開始位置を示し、第9位置X9は、処理液(エッチング液)の吐出停止位置を示す。第1位置X1における第1ノズル41の移動速度は0mm/sであり、第9位置X9における第1ノズル41の移動速度は0mm/sである。したがって、第1位置X1は、スキャン処理の開始位置であり、第9位置X9は、スキャン処理の終了位置である。また、第1位置X1は、第1ノズル41の移動開始位置であり、第9位置X9は、第1ノズル41の移動終了位置である。なお、以下の説明において、スキャン処理時における第1ノズル41の移動速度を「スキャン速度」と記載する場合がある。
【0072】
第1ノズル41は、スキャン処理中に、第1位置X1と第9位置X9との間の各中間位置(第2位置X2から第8位置X8までの各位置X2~X8)を通過する。各中間位置は、ノズル位置の一例であり、第1ノズル41の移動区間を複数の区間に分割する。
【0073】
続いて
図4を参照して、スキャン速度情報について説明する。スキャン速度情報は、スキャン処理時における第1ノズル41の移動速度の設定値(スキャン速度の設定値)を示す。
図4は、本実施形態のスキャン速度情報を示す図である。スキャン速度情報は、速度情報、学習対象速度情報、及び処理時速度情報の一例である。詳しくは、
図4は、
図3を参照して説明した第1ノズル41の移動区間に含まれる各位置X1~X9と、スキャン速度の設定値との関係を示す。
【0074】
図4において、上の欄は、第1ノズル41の移動区間に含まれる各位置X1~X9を示し、下の欄は、スキャン速度の設定値を示す。第1ノズル41の移動区間に含まれる各位置X1~X9は、基板Wの半径位置で規定される。詳しくは、上の欄は、第1ノズル41の移動区間の開始位置(第1ノズル41の移動開始位置)、第1ノズル41の移動区間の終了位置(第1ノズル41の移動終了位置)、及び、第1ノズル41の移動区間の開始位置と終了位置との間の複数の中間位置(第1ノズル41が通過する複数の位置)を示す。
【0075】
図4に示すように、スキャン速度情報は、第1ノズル41の移動区間に含まれる各位置X1~X9ごとに、スキャン速度の設定値を示す。以下、第1ノズル41の移動区間に含まれる各位置X1~X9を、「速度設定位置」と記載する場合がある。本実施形態では、スキャン速度情報は、9か所の速度設定位置を示す。
【0076】
具体的には、各速度設定位置は、
図3を参照して説明した第1位置X1から第9位置X9までの各位置X1~X9に対応する。なお、
図3を参照して説明したように、第1ノズル41の移動区間の開始位置(第1位置X1)において設定されるスキャン速度は、0[mm/s]であり、第1ノズル41の移動区間の終了位置(第9位置X9)において設定されるスキャン速度は、0[mm/s]である。
【0077】
図1及び
図2を参照して説明した制御装置101は、スキャン速度情報に基づいて、
図2を参照してノズル移動機構6(第1駆動部65)を制御する。その結果、第1ノズル41は、各速度設定位置でのスキャン速度が、スキャン速度情報で規定されているスキャン速度となるように、
図3を参照して説明した軌跡TJ1に沿って移動する。
【0078】
続いて
図5を参照して、スキャン処理時における第1ノズル41の移動速度(スキャン速度)について説明する。
図5は、本実施形態における第1ノズル41の移動速度の一例を示すグラフである。
【0079】
図5において、縦軸はスキャン速度[mm/s]を示し、横軸は基板Wの半径位置[mm]を示す。
図5に示すように、スキャン処理の開始時のスキャン速度は0[mm/s]である。また、スキャン処理の終了時のスキャン速度は0[mm/s]である。
【0080】
図3及び
図4を参照して説明したように、スキャン速度は、第1位置X1から第9位置X9までの各位置X1~X9(各速度設定位置)ごとに設定されている。その結果、
図5に示すように、隣り合う速度設定位置の間で、一方の速度設定位置に対して設定されているスキャン速度から、他方の速度設定位置に対して設定されているスキャン速度まで、スキャン速度が連続的に変化する。例えば、
図4に示すように、第3位置X3に対してスキャン速度Y3が設定されており、第4位置X4に対してスキャン速度Y4が設定されている。したがって、第1ノズル41のスキャン速度は、第1ノズル41が第3位置X3から第4位置X4に移動する間に、スキャン速度Y3からスキャン速度Y4へ連続的に変化する。
【0081】
続いて
図6を参照して、厚み測定部8による厚み測定処理を説明する。
図6は、本実施形態の厚み測定処理を示す平面図である。
図6に示すように、厚み測定処理とは、平面視において、対象物TGに対する厚みの測定位置が円弧状の軌跡TJ2を形成するように光学プローブ81が移動しながら、対象物TGの厚みを測定する処理のことである。軌跡TJ2は、基板Wのエッジ部EGと基板Wの中心部CTとを通る。エッジ部EGは、基板Wの周縁部を示す。厚み測定処理は、基板Wの回転中に実行される。
【0082】
具体的には、光学プローブ81は、平面視において、基板Wの中心部CTとエッジ部EGとの間を移動しながら、対象物TGに向けて光を出射する。この結果、軌跡TJ2に含まれる各測定位置において、対象物TGの厚みが測定される。各測定位置は、基板Wの各半径位置に対応している。したがって、厚み測定処理により、基板Wの径方向RDにおける対象物TGの厚みの分布が測定される。
【0083】
続いて
図7を参照して、本実施形態のエッチング液供給部4を説明する。
図7は、本実施形態のエッチング液供給部4の模式図である。
図7に示すように、エッチング液供給部4は、
図2を参照して説明した第1供給配管42に加えて、温度センサ421と、濃度センサ422と、バルブ423と、ミキシングバルブ424と、流量計425と、加熱ヒータ426とを更に有する。
【0084】
温度センサ421は、計測対象の値を計測する計測器の一例であり、温度センサ421の計測対象は、第1供給配管42を流れるエッチング液の温度である。以下、第1供給配管42を流れるエッチング液の温度を、「エッチング液の温度」と記載する。温度センサ421は、エッチング液の温度を示す温度信号を生成する。エッチング液の温度は、エッチング量に影響する。
【0085】
温度信号は、
図1及び
図2を参照して説明した制御装置101に入力される。制御装置101は、温度信号に基づいて、基板処理装置100に異常が発生しているか否かを判定する。詳しくは、
図8を参照して説明するレシピ131は、エッチング液の温度の設定値を示す。エッチング液の温度の設定値は、計測対象に対する設定値の一例である。制御装置101は、温度信号が示す温度と、レシピ131に含まれるエッチング液の温度の設定値との差分が、予め定められた規定値以上となる場合に、エッチング液の温度が異常値を示していると判定する。制御装置101は、エッチング液の温度が異常値を示していると判定すると、基板処理装置100に異常が発生していると判定する。
【0086】
濃度センサ422は、計測対象の値を計測する計測器の一例であり、濃度センサ422の計測対象は、第1供給配管42を流れるエッチング液に含まれるエッチング成分の濃度である。以下、第1供給配管42を流れるエッチング液に含まれるエッチング成分の濃度を「エッチング液の濃度」と記載する。濃度センサ422は、エッチング液の濃度を示す濃度信号を生成する。エッチング液の濃度は、エッチング量に影響する。
【0087】
濃度信号は、
図1及び
図2を参照して説明した制御装置101に入力される。制御装置101は、濃度信号に基づいて、基板処理装置100に異常が発生しているか否かを判定する。詳しくは、
図8を参照して説明するレシピ131は、エッチング液の濃度の設定値を示す。エッチング液の濃度の設定値は、計測対象に対する設定値の一例である。制御装置101は、濃度信号が示す濃度と、レシピ131に含まれるエッチング液の濃度の設定値との差分が、予め定められた規定値以上となる場合に、エッチング液の濃度が異常値を示していると判定する。制御装置101は、エッチング液の濃度が異常値を示していると判定すると、基板処理装置100に異常が発生していると判定する。
【0088】
バルブ423は、第1供給配管42に配置される。バルブ423は、第1ノズル41へのエッチング液の供給及び供給停止を切り替える。詳しくは、バルブ423が開くと、第1ノズル41から基板Wに向けてエッチング液が吐出される。一方、バルブ423が閉じると、エッチング液の吐出が停止する。また、バルブ423は、第1供給配管42においてバルブ423よりも下流へ流れるエッチング液の流量を制御する。詳しくは、バルブ423の開度に応じて、バルブ423よりも下流へ流れるエッチング液の流量が調整される。したがって、バルブ423の開度に応じて、エッチング液の吐出流量が調整される。バルブ423は、例えば、モータバルブである。
【0089】
ミキシングバルブ424は、第1供給配管42に配置される。ミキシングバルブ424が開くと、第1供給配管42に純水が流入して、エッチング液の濃度が希釈される。
【0090】
流量計425は、計測対象の値を計測する計測器の一例であり、流量計425の計測対象は、エッチング液の吐出流量である。具体的には、流量計425の計測対象は、第1供給配管42を流れるエッチング液の流量である。流量計425は、エッチング液の吐出流量を示す吐出流量信号を生成する。エッチング液の吐出流量は、エッチング量に影響する。
【0091】
吐出流量信号は、
図1及び
図2を参照して説明した制御装置101に入力される。制御装置101は、吐出流量信号に基づいて、基板処理装置100に異常が発生しているか否かを判定する。詳しくは、
図8を参照して説明するレシピ131は、エッチング液の吐出流量の設定値を示す。エッチング液の吐出流量の設定値は、計測対象に対する設定値の一例である。制御装置101は、吐出流量信号が示す吐出流量と、レシピ131に含まれるエッチング液の吐出流量の設定値との差分が、予め定められた規定値以上となる場合に、エッチング液の吐出流量が異常値を示していると判定する。制御装置101は、エッチング液の吐出流量が異常値を示していると判定すると、基板処理装置100に異常が発生していると判定する。
【0092】
加熱ヒータ426は、第1供給配管42を流れるエッチング液を加熱する。
【0093】
続いて
図8を参照して、制御装置101を説明する。
図8は、本実施形態の制御装置101のブロック図である。詳しくは、
図8は、機械学習実行前の制御装置101を示す。
図8に示すように、制御装置101は、制御部102と、記憶部103と、入力部104と、表示部105とを有する。
【0094】
制御部102は、プロセッサーを有する。制御部102は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又は、MPU(Micro Processing Unit)を有する。あるいは、制御部102は、汎用演算機を有する。制御部102は、NPU(Neural Network Processing Unit)を更に有し得る。
【0095】
記憶部103は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。記憶部103は、主記憶装置を有する。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。記憶部103は、補助記憶装置を更に有してもよい。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及び/又はハードディスクドライブである。記憶部103はリムーバブルメディアを有してもよい。制御部102は、記憶部103が記憶しているデータ及びコンピュータプログラムに基づいて、基板処理装置100の各部の動作を制御する。更に、制御部102は、記憶部103が記憶しているデータ及びコンピュータプログラムに基づいて、機械学習及び追加学習を実行する。
【0096】
具体的には、記憶部103は、レシピ131と、制御プログラム132と、推論プログラム133と、学習用プログラム134とを記憶する。レシピ131は、基板Wの処理内容及び処理手順を規定する。また、レシピ131は、各種の設定値を示す。例えば、レシピ131は、
図4を参照して説明したスキャン速度情報を示す。
【0097】
制御部102は、レシピ131及び制御プログラム132に基づいて、基板処理装置100の各部の動作を制御する。推論プログラム133は、
図15を参照して説明する学習済みモデルの生成に用いられる。学習用プログラム134は、学習用データセットの中から一定の規則を見出し、その規則を表現するモデル(学習済みモデル)を生成するためのアルゴリズムを実行するためのプログラムである。
【0098】
記憶部103は、機械学習の実行時に、学習対象速度情報♯A1~♯Anを記憶する。ここで、「n」は、正の整数を示す。学習対象速度情報♯A1~♯Anはそれぞれ、
図4を参照して説明したスキャン速度情報と同様に、スキャン速度情報を示す。学習対象速度情報♯A1~♯Anは、
図4を参照して説明した各速度設定位置に対して設定されるスキャン速度のセットの内容が互いに異なる。
【0099】
入力部104は、作業者からの入力を受け付けて、入力結果を示す情報を制御部102に出力する。例えば、入力部104は、学習対象速度情報♯A1~♯Anの入力を受け付ける。入力部104は、例えば、タッチパネル及びポインティングデバイスを含む。タッチパネルは、例えば、表示部105の表示面に配置される。入力部104と表示部105とは、例えば、グラフィカルユーザーインターフェースを構成する。
【0100】
表示部105は各種情報を表示する。本実施形態において、表示部105は、例えば、各種のエラー画面、及び各種の設定画面(入力画面)を表示する。表示部105は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence)ディスプレイを有する。
【0101】
なお、制御装置101は、リムーバブルメモリから学習対象速度情報♯A1~♯Anを取得するインターフェイスを有してもよい。リムーバブルメモリは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリを含む。あるいは、制御装置101は、リムーバブルメディアから学習対象速度情報♯A1~♯Anを取得するドライブを有してもよい。リムーバブルメディアは、例えば、CD(Compact Disc)のような光ディスクを含む。
【0102】
続いて
図1、
図2、
図8及び
図9を参照して、基板処理装置100が実行する学習用データの生成方法を説明する。
図9は、本実施形態における学習用データの生成方法を示すフローチャートである。詳しくは、
図9は、学習用データの生成時に制御部102が実行する処理を示す。本実施形態の学習用データの生成方法は、ステップS1~ステップS9の各処理を含む。
【0103】
図9に示す処理は、作業者が入力部104を操作することにより開始する。学習用データ(学習用データセット)の生成時には、複数のロードポートLPのうちの少なくとも1つに、学習対象の複数枚の基板Wが収容される。なお、学習対象の基板Wには、半導体製品の製造時に使用される基板Wと同じ種類の基板Wが使用される。
【0104】
学習用データ(学習用データセット)を生成する場合、制御部102は、まず、複数の処理ユニット1のうちの1つを学習対象の処理ユニット1として選択する。なお、
図9を参照して説明する処理は、基板処理装置100が備える複数の処理ユニット1に対して順次実行される。
【0105】
制御部102は、学習対象の処理ユニット1を決定すると、学習対象速度情報♯A1~♯Anのうちの1つを選択して、学習対象速度情報♯A1~♯Anのうちの1つを取得する(ステップS1)。以下、学習対象速度情報♯A1~♯Anのうちの1つを、「学習対象速度情報♯A」と記載する。例えば、制御部102は、学習対象速度情報♯A1~♯Anにそれぞれ付与される識別番号の小さい順に、学習対象速度情報♯Aを選択する。
【0106】
制御部102は、学習対象速度情報♯A1~♯Anのうちの1つを選択した後、学習対象の基板Wが学習対象の処理ユニット1のチャンバー2内に搬入されるように、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRとを制御する(ステップS2)。制御部102は、チャンバー2内に搬入された学習対象の基板Wを、スピンチャック3に保持させる。
【0107】
制御部102は、学習対象の基板Wがスピンチャック3に保持されると、厚み測定部8に、学習対象の基板Wに含まれる対象物TGの厚みの分布を測定させる(ステップS3)。ここで測定される対象物TGの厚みの分布は、エッチング処理前の対象物TGの厚みの分布を示す。以下、エッチング処理前の対象物TGの厚みの分布を、「処理前の厚みの分布」と記載する場合がある。
【0108】
処理前の厚みの分布の測定後、制御部102は、学習対象の基板Wに対してエッチング処理が実行されるように、基板処理装置100の各部の動作を制御する(ステップS4)。具体的には、制御部102は、
図3~
図5を参照して説明したように、学習対象速度情報♯Aに基づく速度で第1ノズル41が移動(旋回)しながら、第1ノズル41から学習対象の基板Wにエッチング液が供給されるように基板処理装置100の各部の動作を制御して、学習対象の基板Wにエッチング処理を実行する。
【0109】
制御部102は、エッチング処理の実行後、厚み測定部8に、学習対象の基板Wに含まれる対象物TGの厚みの分布を測定させる(ステップS5)。ここで測定される対象物TGの厚みの分布は、エッチング処理後の対象物TGの厚みの分布を示す。以下、エッチング処理後の対象物TGの厚みの分布を、「処理後の厚みの分布」と記載する場合がある。なお、
図10を参照して説明するように、処理後の厚みの分布は、乾燥処理後の厚みの分布を示す。
【0110】
処理後の厚みの分布の測定後、制御部102は、スピンチャック3による学習対象の基板Wの保持を解除して、インデクサーロボットIRに、学習対象の基板Wをチャンバー2から搬出させる(ステップS6)。その後、制御部102は、複数のロードポートLPのうちの1つまで学習対象の基板Wが搬送されるように、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRとを制御する。
【0111】
次に、制御部102は、処理量(エッチング量)を取得する(ステップS7)。詳しくは、制御部102は、処理前の厚みの分布と処理後の厚みの分布との差分を算出して、エッチング量を取得する。
【0112】
制御部102は、処理量(エッチング量)を取得すると、学習対象速度情報♯Aと処理量(エッチング量)とに基づいて学習用データを生成する(ステップS8)。学習用データは、学習対象速度情報♯Aと処理量(エッチング量)とを示す。学習用データは、記憶部103に記憶される。
【0113】
制御部102は、学習用データを生成すると、基板処理装置100に異常が発生しているか否かを判定して(ステップS9)、
図9に示す処理を終了する。例えば、制御部102は、
図2及び
図7を参照して説明したように、基板Wの回転速度、エッチング液の温度、エッチング液の濃度、及びエッチング液の吐出流量のうちの少なくとも1つが異常値を示すか否かを判定する。
【0114】
制御部102は、
図9に示す処理を、学習対象速度情報♯A1~♯Anの全てが選択されるまで、繰り返し実行する。その結果、学習用データセットが生成される。学習用データセットは、複数の学習用データを含む。学習用データセットは、記憶部103に記憶される。なお、ステップS7~ステップS9の各処理のうちの少なくとも1つは、ステップS5の処理とステップS6の処理との間で実行されてもよい。
【0115】
続いて
図2、
図8及び
図10を参照して、エッチング処理(ステップS4)について説明する。
図10は、本実施形態のエッチング処理を示すフローチャートである。
【0116】
図10に示すように、スピンチャック3が学習対象の基板Wを保持した後に、学習対象の基板Wが処理される(ステップS41)。具体的には、制御部102は、スピンモータ部5に、スピンチャック3が保持する基板Wを回転させる。その後、制御部102は、
図9を参照して説明したように、第1ノズル41から学習対象の基板Wに向けてエッチング液が供給されるように、ノズル移動機構6及びエッチング液供給部4を制御する。この結果、学習対象の基板Wがエッチングされる。
【0117】
学習対象の基板Wのエッチングが完了すると、制御部102は、リンス液供給部7を制御して、学習対象の基板Wにリンス液を供給することにより、学習対象の基板Wからエッチング液を除去する(ステップS42)。具体的には、エッチング液がリンス液によって学習対象の基板Wの外方に押し流され、学習対象の基板Wの周囲に排出される。この結果、学習対象の基板W上のリンス液の液膜が、リンス液の液膜に置換される。
【0118】
エッチング液をリンス液に置換した後、制御部102は、スピンモータ部5を制御して、学習対象の基板Wを乾燥させる(ステップS43)。その結果、
図10に示す処理が終了する。具体的には、制御部102は、学習対象の基板Wの回転速度を、エッチング処理時及びリンス処理時の回転速度よりも増大させる。この結果、学習対象の基板W上のリンス液に大きな遠心力が付与され、学習対象の基板Wに付着しているリンス液が学習対象の基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、学習対象の基板Wからリンス液を除去し、学習対象の基板Wを乾燥させる。なお、制御部102は、例えば学習対象の基板Wの高速回転を開始してから所定時間が経過した後に、スピンモータ部5による基板Wの回転を停止させる。
【0119】
続いて
図2、
図8及び
図11を参照して、学習用データを生成する処理(ステップS8)について説明する。
図11は、本実施形態における学習用データの生成処理を示すフローチャートである。
【0120】
図11に示すように、制御部102は、学習対象速度情報♯Aと処理量(エッチング量)とを用いて、学習用データを生成する(ステップS81)。制御部102は、生成した学習用データ(処理量)が機械学習に利用可能か否かを判定する(ステップS82)。
【0121】
具体的には、制御部102は、処理量(エッチング量)が規定値以上か否かを判定する。処理量(エッチング量)が規定値以上ではない場合、制御部102は、学習用データ(処理量)が機械学習に利用可能であると判定する。一方、処理量(エッチング量)が規定値以上である場合、制御部102は、学習用データ(処理量)が機械学習に利用可能でないと判定する。例えば、制御部102は、処理量(エッチング量)の分布の少なくとも1箇所が規定値以上である場合に、学習用データ(処理量)が機械学習に利用可能でないと判定する。
【0122】
なお、制御部102は、処理量(エッチング量)の分布の複数個所が規定値以上である場合に、学習用データ(処理量)が機械学習に利用可能でないと判定してもよいし、処理量(エッチング量)が規定値以上となる範囲が予め定めた範囲以上となる場合に、学習用データ(処理量)が機械学習に利用可能でないと判定してもよい。
【0123】
制御部102は、学習用データ(処理量)が機械学習に利用可能であると判定すると(ステップS82のYes)、その学習用データに第1フラグを付与して(ステップS83)、
図11に示す処理を終了する。具体的には、制御部102は、学習用データと第1フラグとを関連付けて記憶部103に記憶させる。第1フラグは、学習用データを利用することを示す。
【0124】
一方、制御部102は、学習用データ(処理量)が機械学習に利用可能でない判定すると(ステップS82のNo)、その学習用データに第2フラグを付与して(ステップS84)、
図11に示す処理を終了する。具体的には、制御部102は、学習用データと第2フラグとを関連付けて記憶部103に記憶させる。第2フラグは、学習用データを利用しないことを示す。したがって、第2フラグが付与された学習用データは、機械学習のための学習用データセットから除外される。
【0125】
続いて
図2、
図8及び
図12を参照して、基板処理装置100に異常が発生しているか否かを判定する異常判定処理(ステップS9)について説明する。
図12は、本実施形態における異常判定処理を示すフローチャートである。
【0126】
図12に示すように、制御部102は、基板処理装置100に異常が発生しているか否かを判定する(ステップS91)。制御部102は、基板処理装置100に異常が発生していないと判定した場合(ステップS91のNo)、
図12に示す処理を終了する。
【0127】
一方、制御部102は、基板処理装置100に異常が発生していると判定した場合(ステップS91のYes)、学習用データ(処理量)が機械学習に利用可能であるか否かに応じて異なるエラー報知を実行する。本実施形態では、制御部102は、学習用データに対して第1フラグが関連付けられているか、第2フラグが関連付けられているかを判定する(ステップS92)。
【0128】
学習用データに対して第1フラグが関連付けられている場合(ステップS92のA)、制御部102は、表示部105に第1エラー画面を表示させて(ステップS93)、
図12に示す処理を終了する。第1エラー画面は、基板処理装置100に異常が発生していることを示す。詳しくは、第1エラー画面は、異常が発生している計測対象(監視対象)を示す。
【0129】
学習用データに対して第2フラグが関連付けられている場合(ステップS92のB)、制御部102は、表示部105に第2エラー画面を表示させて(ステップS94)、
図12に示す処理を終了する。第2エラー画面は、基板処理装置100に異常が発生していることに合わせて、処理量(エッチング量)が規定値以上であることを示す。したがって、第2エラー画面は、処理量(エッチング量)が規定値以上となった原因が、学習対象の基板W側ではなく、基板処理装置100側にある可能性を作業者に通知することができる。
【0130】
続いて
図13を参照して、学習用データセットを管理するための学習用データセット用テーブルTB10を説明する。
図13は、本実施形態の学習用データセット用テーブルTB10の一例を示す図である。
【0131】
本実施形態において、制御部102は、学習用データをテーブル形式で記憶部103に記憶させる。
図13に示すように、学習用データセット用テーブルTB10は、速度情報フィールドTB11と、処理量フィールドTB12と、フラグフィールドTB13とを有する。
【0132】
速度情報フィールドTB11には、学習対象速度情報♯Aが格納される。処理量フィールドTB12には、処理量(エッチング量)が格納される。フラグフィールドTB13には、フラグが格納される。
図13に示すように、学習対象速度情報♯A、処理量(エッチング量)、及びフラグは、互いに関連付けられて学習用データセット用テーブルTB10に格納される。
【0133】
なお、フラグフィールドTB13において、「OK」は第1フラグを示し、「NG」は第2フラグを示す。換言すると、「OK」は、対応する学習用データが機械学習に利用可能であることを示し、「NG」は、対応する学習用データが機械学習に利用可能でないことを示す。
【0134】
続いて
図14を参照して、学習用データセット135の生成後の制御装置101を説明する。
図14は、本実施形態の制御装置101のブロック図である。詳しくは、
図14は、学習用データセット135の生成後の制御装置101を示す。
【0135】
図14に示すように、記憶部103は、学習用データセット135を記憶する。学習用データセット135は、複数の学習用データを含む。詳しくは、
図13を参照して説明したように、制御部102は、学習用データセット用テーブルTB10に複数の学習用データを格納する。なお、学習用データセット135の生成後、制御部102は、記憶部103から学習対象速度情報♯A1~♯Anを消去してもよいし、消去しなくてもよい。
【0136】
制御部102は、学習用データセット135(複数の学習用データ)を学習して、学習済みパラメータを生成する。制御部102は、学習済みパラメータに基づいて学習済みモデルを生成する。
【0137】
続いて
図1、
図2、
図13、
図14及び
図15を参照して、基板処理装置100が実行する学習済みモデルの生成方法を説明する。
図15は、本実施形態における学習済みモデルの生成方法を示すフローチャートである。詳しくは、
図15は、制御部102が学習済みモデルの生成時に実行する処理を示す。本実施形態の学習済みモデルの生成方法は、ステップS11~ステップS14の各処理を含む。
【0138】
まず、制御部102は、記憶部103から学習用データセット135を取得する(ステップS11)。この際、制御部102は、複数の学習用データのうちから、第1フラグが付与された学習用データを取得する。
【0139】
制御部102は、学習用データセット135を取得すると、学習用プログラム134に基づいて学習用データセット135(複数の学習用データ)を学習する(ステップS12)。ここで、学習とは、学習用データセット135の中から一定の規則を発見することを示す。本実施形態において、学習用データは、スキャン速度情報(各速度設定位置におけるスキャン速度)と、処理量(エッチング量)との関係を示している。制御部102は、学習用データセット135を学習して、スキャン速度情報と処理量(エッチング量)との間における一定の規則を発見する。
【0140】
制御部102は、学習用データセット135を学習することにより、学習済みパラメータを生成する(ステップS13)。より具体的には、学習用プログラム134から学習済みパラメータが出力される。学習済みパラメータは、学習用データセット135を用いた学習の結果に基づいて取得されるパラメータ(係数)である。
【0141】
次に、制御部102は、取得した学習済みパラメータに基づいて学習済みモデルを生成する(ステップS14)。この結果、
図15に示す処理が終了する。詳しくは、制御部102は、学習済みパラメータを推論プログラム133に組み込むことで、学習済みモデルを生成する。推論プログラム133は、組み込まれた学習済みパラメータを適用することで、入力に対して一定の結果を出力するプログラムであり、学習済みモデルは、学習済みパラメータを含むモデルである。本実施形態において、「入力」は処理量(エッチング量)の目標量であり、「出力」はスキャン速度情報である。換言すると、処理量(エッチング量)の目標量は説明変数であり、学習済みモデルから出力されるスキャン速度情報は目的変数である。以下、処理量(エッチング量)の目標量を、「目標処理量」又は「目標エッチング量」と記載する場合がある。また、学習済みモデルから出力されるスキャン速度情報を「処理時速度情報」と記載する場合がある。
【0142】
続いて
図2及び
図16を参照して、半導体製品の製造時における制御装置101を説明する。
図16は、本実施形態の制御装置101のブロック図である。詳しくは、
図16は、半導体製品の製造時における制御装置101を示す。
【0143】
図16に示すように、半導体製品の製造時に、記憶部103は学習済みモデル136を記憶している。なお、学習済みモデル136の生成後、制御部102は、記憶部103から学習用データセット135を消去してもよいし、消去しなくてもよい。
【0144】
制御部102は、半導体製品の製造時に、学習済みモデル136に基づいてノズル移動機構6を制御する。詳しくは、制御部102は、説明変数である目標処理量(目標エッチング量)を学習済みモデル136に入力することにより、学習済みモデル136から、目的変数である処理時速度情報を出力させる。制御部102は、半導体製品の製造時に、処理時速度情報に基づく速度で第1ノズル41が移動するようにノズル移動機構6を制御する。具体的には、第1ノズル41は、基板Wに対して処理(エッチング)を実行する際に、処理時速度情報に基づく速度で移動(旋回)する。なお、以下の説明において、半導体製品の製造時に処理する基板Wを、「処理対象の基板W」と記載する場合がある。
【0145】
続いて
図1、
図2、
図16、
図17及び
図18を参照して、基板処理装置100が実行する基板処理方法を説明する。
図17及び
図18は、本実施形態における基板処理方法を示すフローチャートである。詳しくは、
図17及び
図18は、処理対象の基板Wをエッチングする際に制御部102が実行する処理を示す。本実施形態の基板処理方法は、ステップS21~ステップS32の各処理を含む。
【0146】
図17及び
図18に示す処理は、作業者が入力部104を操作することにより開始する。複数のロードポートLPのうちの少なくとも1つに、処理対象の複数の基板Wが収容されている。
【0147】
処理対象の基板Wをエッチングする場合、まず、制御部102は、対象物TGの目標厚みを取得する(ステップS21)。詳しくは、制御部102は、対象物TGの目標厚みの分布を取得する。目標厚みは、作業者が入力部104を操作することにより、制御部102に入力される。
【0148】
制御部102は、目標厚みを取得すると、複数の処理ユニット1のうちの1つの処理ユニット1のチャンバー2内に処理対象の基板Wが搬入されるように、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRとを制御する(ステップS22)。制御部102は、チャンバー2内に搬入された処理対象の基板Wを、スピンチャック3に保持させる。
【0149】
制御部102は、処理対象の基板Wがスピンチャック3に保持されると、厚み測定部8に、処理対象の基板Wに含まれる対象物TGの厚みの分布を測定させる(ステップS23)。換言すると、処理前の厚みの分布が測定される。
【0150】
次に、制御部102は、処理前の厚みの分布と目標厚みの分布とに基づいて、説明変数である目標処理量(目標エッチング量)を取得する(ステップS24)。具体的には、制御部102は、処理前の厚みの分布と目標厚みの分布との差分を算出して、目標処理量(目標エッチング量)を取得する。
【0151】
次に、制御部102は、目標処理量(目標エッチング量)を学習済みモデル136に入力して、学習済みモデル136から処理時速度情報を出力させることにより、目的変数である処理時速度情報を取得する(ステップS25)。
【0152】
処理時速度情報を取得すると、制御部102は、処理対象の基板Wに対してエッチング処理が実行されるように、基板処理装置100の各部の動作を制御する(ステップS26)。具体的には、制御部102は、
図3~
図5を参照して説明したように、処理時速度情報に基づく速度で第1ノズル41が移動(旋回)しながら、第1ノズル41から処理対象の基板Wにエッチング液が供給されるように基板処理装置100の各部の動作を制御して、処理対象の基板Wにエッチング処理を実行する。より詳しくは、
図10を参照して説明した処理と同様の処理により、処理対象の基板Wがエッチングされる。
【0153】
制御部102は、エッチング処理の実行後、厚み測定部8に、処理対象の基板Wに含まれる対象物TGの厚みの分布を測定させる(ステップS27)。換言すると、処理後の厚みの分布が測定される。
【0154】
処理後の厚みの分布の測定後、制御部102は、スピンチャック3による処理対象の基板Wの保持を解除して、インデクサーロボットIRに、処理対象の基板Wをチャンバー2から搬出させる(ステップS28)。その後、制御部102は、複数のロードポートLPのうちの1つまで処理対象の基板Wが搬送されるように、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRとを制御する。
【0155】
処理対象の基板Wが搬送されると、
図18に示すように、制御部102は、処理量(エッチング量)を取得する(ステップS29)。詳しくは、制御部102は、処理前の厚みの分布と処理後の厚みの分布との差分を算出して、エッチング量を取得する。
【0156】
制御部102は、処理量(エッチング量)を取得すると、処理量(エッチング量)が目標処理量(目標エッチング量)と一致するか否かを判定する(ステップS30)。
【0157】
処理量(エッチング量)が目標処理量(目標エッチング量)と一致しないと制御部102が判定した場合(ステップS30のNo)、処理はステップS31に移行する。処理量(エッチング量)が目標処理量(目標エッチング量)と一致すると制御部102が判定した場合(ステップS30のYes)、処理はステップS32に移行する。なお、制御部102は、許容範囲内で、処理量(エッチング量)が目標処理量(目標エッチング量)と一致するか否かを判定してもよい。
【0158】
ステップS31において、制御部102は、処理時速度情報と処理量(エッチング量)とに基づいて、追加学習のための学習用データを生成する。詳しくは、
図11を参照して説明した処理と同様の処理により、追加学習のための学習用データが生成される。追加学習のための学習用データが生成されると、処理はステップS32に移行する。
【0159】
ステップS32において、制御部102は、基板処理装置100に異常が発生しているか否かを判定して(ステップS32)、
図17及び
図18に示す処理を終了する。詳しくは、
図12を参照して説明した処理と同様の処理により、基板処理装置100に異常が発生しているか否の判定が行われる。
【0160】
半導体製品の製造時に、制御部102は、
図17及び
図18の処理を繰り返し実行する。その結果、追加学習のための学習用データセットが生成される。追加学習のための学習用データセットは、記憶部103に記憶される。なお、ステップS29~ステップS32の各処理のうちの少なくとも1つは、ステップS26とステップS27との間で実行されてもよい。以下、追加学習のための学習用データセットを、「追加学習用データセット」と記載する場合がある。また、追加学習のための学習用データを、「追加学習用データ」と記載する場合がある。
【0161】
続いて
図19を参照して、追加学習用データセットを管理するための追加学習用データセット用テーブルTB20を説明する。
図19は、本実施形態の追加学習用データセット用テーブルTB20の一例を示す図である。
【0162】
本実施形態において、制御部102は、追加学習用データをテーブル形式で記憶部103に記憶させる。
図19に示すように、追加学習用データセット用テーブルTB20は、速度情報フィールドTB21と、処理量フィールドTB22と、フラグフィールドTB23とを有する。
【0163】
速度情報フィールドTB21には、処理時速度情報♯Bが格納される。処理量フィールドTB22には、処理量(エッチング量)が格納される。フラグフィールドTB23には、
図13を参照して説明したフラグフィールドTB13と同様に、フラグが格納される。
図19に示すように、処理時速度情報♯B、処理量(エッチング量)、及びフラグは、互いに関連付けられて追加学習用データセット用テーブルTB20に格納される。
【0164】
制御部102は、追加学習用データセットが生成されると、機械学習の実行時と同様に、学習済みモデルを生成する。以下、
図15を参照して、追加学習後の学習済みモデルを生成する方法を説明する。
【0165】
まず、制御部102は、記憶部103から追加学習用データセットを取得する(ステップS11)。この際、制御部102は、複数の追加学習用データのうちから、第1フラグが付与された追加学習用データを取得する。
【0166】
制御部102は、追加学習用データセットを取得すると、学習用プログラム134に基づいて追加学習用データセット(複数の追加学習用データ)を学習する(ステップS12)。
【0167】
制御部102は、追加学習用データセットを学習することにより、新たな学習済みパラメータを生成する(ステップS13)。より具体的には、学習用プログラム134から、新たな学習済みパラメータが出力される。
【0168】
次に、制御部102は、新たな学習済みパラメータに基づいて、追加学習後の学習済みモデルを生成する(ステップS14)。この結果、
図15に示す処理が終了する。詳しくは、制御部102は、新たな学習済みパラメータを推論プログラム133に組み込むことで、追加学習後の学習済みモデルを生成する。
【0169】
以上、
図1~
図19を参照して本発明の実施形態1を説明した。本実施形態によれば、スキャン速度情報の開発に関与する作業者の負担を軽減することができる。具体的には、前処理が異なる各種の学習対象の基板Wを用いて学習済みモデル136を生成することにより、半導体製品の製造段階において前処理が変更されても、作業者は、スキャン速度情報を新たに開発する必要がない。
【0170】
また、本実施形態によれば、処理前の対象物TGの厚みにバラつきがあっても、学習済みモデル136が、処理後の対象物TGの厚みを目標厚みにするためのスキャン速度情報を出力する。したがって、処理前の対象物TGの厚みにバラつきに合わせて、多数のスキャン速度情報の開発する必要がない。また、処理前の対象物TGの厚みにバラつきがあっても、処理後の厚みの分布を安定して目標厚みの分布にすることができる。例えば、基板Wの表面を水平面と略平行にすることができる。あるいは、対象物TGのうちの特定の領域の厚みを、目標厚みにすることができる。
【0171】
また、本実施形態によれば、半導体製品の製造時に、処理後の対象物TGの厚みが目標厚みとならないエラーが発生しても、基板処理装置100が追加学習を実行するため、エラーの発生後、半導体製品の製造中に学習済みパラメータが調整されて、処理後の厚みを目標厚みにすることができる。また、基板処理装置100が追加学習を実行するため、作業者が、エラーの発生に合わせて、新たなスキャン速度情報を開発する必要がない。更に、前処理が変更されても、追加学習によって学習済みパラメータが調整されるため、作業者が新たなスキャン速度情報を開発する必要がない。
【0172】
なお、処理量(エッチング量)に影響する因子には、スキャン速度の他に、例えば、基板Wの回転速度、処理液の温度、処理液の濃度、及び、処理液の吐出流量があるが、制御部102は、機械学習のための学習用データの生成時、及び、処理対象の基板Wの処理時に、これら他の因子の値を変更するための処理(制御)を積極的には行っていない。換言すると、制御部102は、処理量を目標量にするために、スキャン速度を調整する一方で、これら他の因子の値は調整(変更)していない。したがって、学習用データの生成時、及び、処理対象の基板Wの処理時において、これら他の因子の値は、異常発生時を除いて略同じ値を示す。本実施形態において、処理量に影響する複数の因子のうちから処理時速度情報を目的変数として選択したのは、処理量の分布の均質化を評価指標とした場合に、スキャン速度と評価指標との相関関係が、スキャン速度以外の他の因子と評価指標との相関関係と比べて強いためである。本実施形態によれば、学習用データを生成するために、学習対象速度情報♯A(スキャン速度情報)のデータセットを作成すればよいため、学習済みモデル又はスキャン速度情報の開発に関与する作業者の負担を軽減することができる。
【0173】
[実施形態2]
続いて
図20及び
図21を参照して本発明の実施形態2について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態2は、実施形態1と異なり、学習装置200が学習済みモデル136を生成する。
【0174】
図20は、本実施形態における基板処理装置100及び学習装置200を示す図である。本実施形態において、基板処理装置100の制御装置101は、
図1~
図13を参照して説明したように、学習用データセット135を生成する。学習用データセット135は、学習装置200に入力される。
【0175】
学習装置200は、学習用データセット135を用いて、学習済みモデル136を生成する。学習済みモデル136は、基板処理装置100の制御装置101に入力される。具体的には、学習装置200は、処理部201と、記憶部202とを備える。処理部201は、学習部の一例である。
【0176】
処理部201は、プロセッサーを有する。処理部201は、例えば、CPU又はMPUを有する。あるいは、処理部201は、汎用演算機を有する。処理部201は、NPUを更に有し得る。記憶部202は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。記憶部202は、主記憶装置を有する。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。記憶部202は、補助記憶装置を更に有してもよい。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及び/又はハードディスクドライブである。記憶部202はリムーバブルメディアを有してもよい。処理部201は、記憶部202が記憶しているデータ及びコンピュータプログラムに基づいて、機械学習を実行する。
【0177】
具体的には、記憶部202は、実施形態1で説明した推論プログラム133及び学習用プログラム134を記憶している。処理部201は、実施形態1で説明した制御部102と同様に、学習用データセット135(複数の学習用データ)を学習して、学習済みパラメータを生成し、学習済みパラメータに基づいて学習済みモデル136を生成する。
【0178】
なお、学習用データセット135は、リムーバブルメモリを介して学習装置200に入力されてもよいし、リムーバブルメディアを介して学習装置200に入力されてもよい。同様に、学習済みモデル136は、リムーバブルメモリを介して基板処理装置100に入力されてもよいし、リムーバブルメディアを介して基板処理装置100に入力されてもよい。具体的には、学習装置200は、リムーバブルメモリから学習用データセット135を取得し、リムーバブルメモリに学習済みモデル136を格納するインターフェイスを有してもよいし、リムーバブルメディアから学習用データセット135を取得し、リムーバブルメディアに学習済みモデル136を格納するドライブを有してもよい。
【0179】
あるいは、基板処理装置100と学習装置200とは、互いに通信可能に接続されてもよい。この場合、学習用データセット135は、基板処理装置100から学習装置200へ送信され、学習済みモデル136は、学習装置200から基板処理装置100へ送信される。なお、通信方式は、有線方式であっても、無線方式であってもよい。基板処理装置100と学習装置200とは、インターネット回線のような公衆通信網を介して互いに通信可能に接続されてもよい。
【0180】
続いて
図20及び
図21を参照して、学習装置200が実行する学習済みモデル136の生成方法を説明する。
図21は、本実施形態の学習済みモデル136の生成方法を示すフローチャートである。詳しくは、
図21は、処理部201が学習済みモデル136の生成時に実行する処理を示す。本実施形態の学習済みモデル136の生成方法は、ステップS200~ステップS203の各処理を含む。
【0181】
まず、処理部201は、記憶部202から学習用データセット135を取得する(ステップS200)。この際、処理部201は、複数の学習用データのうちから、第1フラグが付与された学習用データを取得する。
【0182】
処理部201は、学習用データセット135を取得すると、学習用プログラム134に基づいて学習用データセット135(複数の学習用データ)を学習する(ステップS201)。
【0183】
処理部201は、学習用データセット135を学習することにより学習済みパラメータを生成する(ステップS202)。より具体的には、学習用プログラム134から学習済みパラメータが出力される。
【0184】
次に、処理部201は、取得した学習済みパラメータに基づいて学習済みモデル136を生成する(ステップS203)。この結果、
図21に示す処理が終了する。詳しくは、処理部201は、学習済みパラメータを推論プログラム133に組み込むことで、学習済みモデル136を生成する。
【0185】
以上、
図20及び
図21を参照して本発明の実施形態2を説明した。本実施形態によれば、実施形態1と同様に、スキャン速度情報の開発に関与する作業者の負担を軽減することができる。また、本実施形態によれば、基板処理装置100において機械学習を実行する必要がない。したがって、基板処理装置100として、既存の基板処理装置を流用することができる。
【0186】
なお、本実施形態では、基板処理装置100から学習装置200に学習用データセット135が入力されたが、基板処理装置100から学習装置200に学習用データが入力されてもよい。
【0187】
また、学習装置200は、実施形態1で説明した追加学習を更に実行してもよい。学習装置200が追加学習を実行する場合、基板処理装置100から学習装置200に追加学習用データセット又は追加学習用データが入力される。
【0188】
また、本実施形態では、基板処理装置100から学習装置200に学習用データセット135が入力されたが、基板処理装置100から学習装置200に学習済みパラメータが入力されてもよい。基板処理装置100から学習装置200に学習済みパラメータが入力される場合、学習装置200(処理部201)は、
図21を参照して説明したステップS203の処理を実行する。
【0189】
[実施形態3]
続いて
図17、
図18、
図22、及び
図23を参照して本発明の実施形態3について説明する。但し、実施形態1、2と異なる事項を説明し、実施形態1、2と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態3は、実施形態1、2と異なり、学習装置200が、学習済みモデル136から、目的変数である処理時速度情報を出力させる。
【0190】
図22は、本実施形態における基板処理システム300を示す図である。
図22に示すように、基板処理システム300は、基板処理装置100と、学習装置200とを備える。学習装置200は、情報処理装置の一例である。本実施形態において、学習装置200の処理部201は、実施形態2で説明したように学習済みモデル136を生成する。処理部201は、学習済みモデル136を記憶部202に記憶させる。
【0191】
図22に示すように、基板処理装置100は、通信部106を更に備える。学習装置200は、通信部203を更に備える。通信部106及び通信部203は、例えば、LANボード又は無線LANボードである。通信部106及び通信部203は、例えばインターネット回線のような公衆通信網を介して互いに通信可能に接続される。
【0192】
基板処理装置100の通信部106は、制御装置101(制御部102)によって制御されて、学習装置200の通信部203へ目標処理量(目標エッチング量)を送信する。また、基板処理装置100の通信部106は、制御装置101(制御部102)によって制御されて、学習装置200の通信部203から処理時速度情報を受信する。その結果、制御装置101(制御部102)が処理時速度情報を取得する。制御部102は、取得した処理時速度情報を記憶部103に記憶させる。
【0193】
学習装置200の通信部203は、処理部201によって制御されて、基板処理装置100の通信部106から目標処理量(目標エッチング量)を受信する。その結果、処理部201が目標処理量(目標エッチング量)を取得する。また、学習装置200の通信部203は、処理部201によって制御されて、基板処理装置100の通信部106へ処理時速度情報を送信する。
【0194】
続いて
図22及び
図23を参照して、制御装置101(制御部102)が実行する処理と、処理部201が実行する処理とを説明する。
図23は、基板処理装置100の制御装置101(制御部102)が実行する処理と、学習装置200の処理部201が実行する処理とを示すフローチャートである。
【0195】
基板処理装置100の制御装置101(制御部102)は、実施形態1で説明したように目標処理量(目標エッチング量)を取得すると(
図17のステップS21~ステップS24)、通信部106を制御して、学習装置200の通信部203へ目標処理量(目標エッチング量)を送信する(ステップS210)。
【0196】
学習装置200の処理部201は、通信部203を制御して、通信部203に目標処理量(目標エッチング量)を受信させる(ステップS211)。この結果、処理部201が目標処理量(目標エッチング量)を取得する。
【0197】
処理部201は、説明変数である目標処理量(目標エッチング量)を学習済みモデル136に入力することにより、学習済みモデル136から、目的変数である処理時速度情報を出力させる。この結果、学習装置200の処理部201は、処理時速度情報を取得する(ステップS212)。
【0198】
学習装置200の処理部201は、通信部203を制御して、基板処理装置100の通信部106へ処理時速度情報を送信する(ステップS213)。基板処理装置100の制御装置101(制御部102)は、通信部106を制御して、通信部106に処理時速度情報を受信させる(ステップS214)。この結果、制御装置101(制御部102)が処理時速度情報を取得する。その後、制御装置101(制御部102)は、
図17及び
図18を参照して説明したステップS26以降の処理を実行する。
【0199】
以上、
図17、
図18、
図22、及び
図23を参照して本発明の実施形態3を説明した。本実施形態によれば、実施形態1、2と同様に、スキャン速度情報の開発に関与する作業者の負担を軽減することができる。また、本実施形態によれば、基板処理装置100の記憶部103に学習済みモデル136を記憶させる必要がない。
【0200】
[実施形態4]
続いて
図1、
図8、
図14、
図16、及び
図24~
図31を参照して本発明の実施形態4について説明する。但し、実施形態1~3と異なる事項を説明し、実施形態1~3と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態4は、実施形態1~3と異なり、学習済みモデル136が複数のクラスに分類される。
【0201】
図24は、本実施形態の処理ユニット1の模式図である。詳しくは、
図24は、処理ユニット1の模式的な断面図である。
図24に示すように、本実施形態の基板処理装置100は、エッチング液回収部12を更に備える。エッチング液回収部12は、回収配管121を有する。チャンバー2は、回収配管121の一部を更に収容する。なお、回収配管121の他の一部は、
図1を参照して説明した流体ボックス100Bのうちの対応する1つに収容される。
【0202】
図24に示すように、ガード10は、カップ11を含む。カップ11は、ガード11aと、液受け部11bとを有する。ガード11aは、略筒形状を有し、回転する基板Wから飛散するエッチング液(処理液)を受け止める。液受け部11bは、ガード11aの下端に接続する。液受け部11bは、環状であり、環状の溝を形成する。ガード11aが受け止めたエッチング液(処理液)は、自重によって液受け部11bまで流れ落ちる。この結果、液受け部11bにエッチング液(処理液)が集められる。回収配管121の一端は、液受け部11bに接続する。液受け部11bに集められたエッチング液(処理液)は、自重によって回収配管121に流入する。
【0203】
回収配管121に流入したエッチング液(処理液)は、
図25を参照して説明するように、エッチング液(処理液)を貯留する容器(処理液容器45)に戻されて、基板Wの処理(エッチング)に再利用される。
【0204】
続いて
図25を参照して基板処理装置100を更に説明する。
図25は、本実施形態の基板処理装置100の構成を示す模式図である。詳しくは、
図25は、
図1を参照して説明した流体ボックス100Bの内部の構成を示す。なお、
図25では、図面簡略化のため、
図7を参照して説明した温度センサ421、濃度センサ422、ミキシングバルブ424、流量計425及び加熱ヒータ426を省略している。
【0205】
まず、
図25を参照してエッチング液供給部4を更に説明する。
図25に示すように、エッチング液供給部4は、循環配管43と、循環ポンプ44と、処理液容器45とを更に有する。処理液容器45は、エッチング液(処理液)を貯留する。処理液容器45は、流体ボックス100B(
図1)に交換可能に配置される。処理液容器45が交換されることにより、エッチング液を貯留している新しい処理液容器45が流体ボックス100Bに配置される。
図24を参照して説明したように、回収配管121に流入したエッチング液(処理液)は処理液容器45に戻されて、基板Wの処理(エッチング)に再利用される。エッチング液の再利用を続けると、エッチング量が低下するため、適宜、流体ボックス100B内の処理液容器45を交換する必要がある。処理液容器45は、例えば、タンクである。
【0206】
循環配管43及び循環ポンプ44は、流体ボックス100B(
図1)に収容される。循環配管43の両端は、処理液容器45に接続する。循環ポンプ44は、循環配管43に取り付けられる。循環ポンプ44は、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0207】
循環ポンプ44が駆動すると、処理液容器45に貯留されているエッチング液が、循環配管43の一端から循環配管43に流入して、循環配管43を流通する。循環配管43の他端まで導かれたエッチング液は、循環配管43の他端から処理液容器45に戻る。
【0208】
循環配管43には、第1供給配管42の他端が接続している。第1供給配管42には、循環配管43を流通するエッチング液が流入する。バルブ423が開状態である場合、循環配管43から第1供給配管42へ流入したエッチング液が第1ノズル41(
図24)まで導かれる。バルブ423が閉状態である場合、循環配管43から第1供給配管42へ流入したエッチング液の流れがバルブ423によって止められる。
【0209】
続いて
図25を参照してエッチング液回収部12を更に説明する。
図25に示すように、エッチング液回収部12は、回収ポンプ122を更に有する。回収ポンプ122は、流体ボックス100B(
図1)に収容される。
【0210】
回収ポンプ122は、回収配管121に取り付けられている。回収ポンプ122は、制御装置101(制御部102)によって制御される。回収ポンプ122は、処理ユニット1(液受け部11b)から回収配管121に流入したエッチング液が回収配管121を流通するようにエッチング液を駆動する。回収配管121の他端は処理液容器45に接続しており、回収ポンプ122が駆動することにより、エッチング液は回収配管121の他端まで導かれて、回収配管121の他端から処理液容器45に回収される。したがって、基板Wの処理(エッチング)に使用された後のエッチング液を再利用することができる。
【0211】
続いて
図8及び
図26を参照して、本実施形態の基板処理装置100が実行する学習用データの生成方法を説明する。
図26は、本実施形態における学習用データの生成方法を示すフローチャートである。詳しくは、
図26は、学習用データの生成時に制御部102が実行する処理を示す。本実施形態の学習用データの生成方法は、
図9を参照して説明したステップS1~ステップS9に加えて、ステップS101及びステップS102の各処理を更に含む。
【0212】
本実施形態では、制御部102は、学習対象の基板Wの搬入後(ステップS2)、処理枚数カウンタ値をインクリメントさせる(ステップS101)。つまり、制御部102は、処理枚数カウンタ値を「1」増加させる。学習用データの生成時における処理枚数カウンタ値は、学習対象の基板Wの処理枚数を示す。制御部102は、インクリメント後の処理枚数カウンタ値を記憶部103に記憶させる。
【0213】
具体的には、制御部102は、学習対象の基板Wの処理(エッチング)に使用する処理液(エッチング液)の使用開始時から、学習対象の基板Wの処理枚数をカウントする。より詳しくは、制御部102は、処理液容器45(
図25)内のエッチング液を用いた学習対象の基板Wの処理(エッチング)の開始時からカウントを開始する。制御部102は、処理液容器45(
図25)が新しい処理液容器45に交換されると、処理枚数カウンタ値をリセットする。ここでは、処理枚数カウンタ値は、リセットすることにより「0」となる。
【0214】
制御部102は、処理量(エッチング量)を取得すると(ステップS7)、取得した処理量を、記憶部103に記憶させた処理枚数カウンタ値に関連付けて、記憶部103に記憶させる(ステップS102)。
【0215】
なお、ステップS101及びステップS102の各処理が実行されるタイミングは、
図26に示すタイミングに限定されない。ステップS101及びステップS102の各処理が実行されるタイミングは、次の基板Wの搬入前である限り、特に限定されない。
【0216】
続いて
図8及び
図27を参照して学習用データを生成する処理(ステップS8)について説明する。
図27は、本実施形態における学習用データの生成処理を示すフローチャートである。
【0217】
本実施形態において、学習用データの生成処理は、
図11を参照して説明したステップS81~ステップS84に加えて、ステップS110の処理を更に含む。制御部102は、学習用データの生成後(ステップS81)、予め定められた分類規則に基づいて学習用データを各クラスに分類する。分類規則は、記憶部103に記憶されている。
【0218】
本実施形態において、分類規則は、学習対象の基板Wの処理枚数(処理枚数カウンタ値)に応じて学習用データを各クラスに分類することを規定している。より具体的には、分類規則は、処理枚数カウンタ値を複数の範囲(複数のクラス)に区分することを規定しており、制御部102は、学習用データに関連付けた処理枚数カウンタ値を参照して、クラスごとに学習用データを分類する。
【0219】
なお、ステップS110の処理が実行されるタイミングは、
図27に示すタイミングに限定されない。ステップS110の処理が実行されるタイミングは、学習用データの生成後である限り、特に限定されない。
【0220】
続いて
図28を参照して、学習用データセット135を管理するための学習用データセット用テーブルTB30を説明する。
図28は、本実施形態の学習用データセット用テーブルTB30の一例を示す図である。
【0221】
図28に示すように、学習用データセット用テーブルTB30は、クラス情報フィールドTB31と、学習用データセット情報フィールドTB32とを有する。クラス情報フィールドTB31の各フィールドには、処理枚数カウンタ値の範囲が予め規定されている。本実施形態において、制御部102は、
図13を参照して説明した学習用データセット用テーブルTB10をクラスごとに作成する。制御部102は、学習用データセット情報フィールドTB32の各フィールドに、クラス情報フィールドTB31の各フィールド(処理枚数カウンタ値の各範囲)に対応する学習用データセット用テーブルTB10を関連付ける。
【0222】
なお、クラス情報フィールドTB31の各フィールドに規定される各値は、レシピ131に予め規定された値(デフォルト値)であってもよいし、作業者が入力部104を操作して入力した値であってもよい。
【0223】
続いて
図14及び
図29を参照して、本実施形態の基板処理装置100が実行する学習済みモデル136の生成方法を説明する。
図29は、本実施形態における学習済みモデル136の生成方法を示すフローチャートである。詳しくは、
図29は、制御部102が学習済みモデル136の生成時に実行する処理を示す。本実施形態の学習済みモデル136の生成方法は、ステップS111~ステップS118の各処理を含む。
図29に示す処理は、クラスごとに作成された学習用データセット135ごとに実行される。
【0224】
まず、制御部102は、記憶部103から複数の学習用データセット135のうちの1つを取得する(ステップS111)。この際、制御部102は、
図15のステップS11と同様に、複数の学習用データのうちから、第1フラグが付与された学習用データを取得する。
【0225】
制御部102は、取得した学習用データセット135の情報を示す入力画面を表示部105に表示させる(ステップS112)。以下、この入力画面を、「選定指示入力画面」と記載する場合がある。具体的には、選定指示入力画面には、取得した学習用データセット135に含まれる各学習用データを示す情報が表示される。詳しくは、学習用データを示す情報は、学習対象速度情報♯Aと処理量(エッチング量)とを示す。以下、取得した学習用データセット135を、「現在の学習用データセット135」と記載する場合がある。
【0226】
選定指示入力画面は、現在の学習用データセット135に含まれる学習用データのうちの一つを作業者に選定させる画面である。作業者は、入力部104を操作して、選定指示入力画面に表示されている学習用データのうちの一つを選定する指示を入力する。例えば、作業者は、処理量(エッチング量)を示す情報に基づいて学習用データのうちの一つを選定してもよい。以下、作業者によって選定される学習用データを、「基準学習用データ」と記載する場合がある。
【0227】
図29に示すように、選定指示入力画面の表示後(ステップS112)、制御部102は、基準学習用データを選定する指示が入力されたか否かを判定する(ステップS113)。制御部102は、基準学習用データを選定する指示が入力されるまで待機する(ステップS113のNo)。
【0228】
制御部102は、基準学習用データを選定する指示が入力されたと判定すると(ステップS113のYes)、作業者からの指示に応じて、現在の学習用データセット135に含まれる学習用データのうちの一つを基準学習用データとして選定する(ステップS114)。
【0229】
基準学習用データの選定後、制御部102は、現在の学習用データセット135に含まれる学習用データのうちから、基準学習用データとの相関性が予め定められた条件を満たす学習用データを選定する(ステップS115)。
【0230】
本実施形態において、制御部102は、基準学習用データの処理量(エッチング量)と、現在の学習用データセット135に含まれる各学習用データの処理量(エッチング量)との二乗平均平方根誤差(Root Mean Square Error;RMSE)に基づいて、学習用データを選定する。詳しくは、制御部102は、以下の式により二乗平均平方根誤差の値を求めて、二乗平均平方根誤差の値が閾値以上となる学習用データを選定する。
【数1】
【0231】
上記式において、「n」は厚み測定部8(厚み測定器85)の測定箇所の数を示し、「yi」は基準学習用データの処理量の分布(各測定箇所の処理量)を示し、「yi(ハット)」は学習用データの処理量の分布(各測定箇所の処理量)を示し、iは現在の学習用データセット135に含まれる学習用データの数を示す。
【0232】
なお、本実施形態では、基準学習用データの処理量(エッチング量)と、現在の学習用データセット135に含まれる各学習用データの処理量(エッチング量)との誤差(距離)を二乗平均平方根誤差(RMSE)によって求めているが、他の指標に基づいて求めてもよい。例えば、平均絶対誤差(Mean Absolute Error;MAE)、又は平均二乗誤差(Mean Square Error;MSE)を用いて求めてもよい。
【0233】
図29に示すように、学習用データの選定後(ステップS115)、制御部102は、選定した学習用データを学習することにより(ステップS116)、学習済みパラメータを生成する(ステップS117)。より具体的には、学習用プログラム134から学習済みパラメータが出力される。制御部102は、取得した学習済みパラメータに基づいて学習済みモデル136を生成し(ステップS118)、
図29に示す処理が終了する。
【0234】
本実施形態では、
図29に示す処理がクラスごとに実行される。その結果、クラスごとに学習済みモデル136が生成される。
【0235】
続いて
図16及び
図30を参照して、本実施形態の基板処理装置100が実行する基板処理方法を説明する。
図30は、本実施形態における基板処理方法の一部を示すフローチャートである。詳しくは、
図30は、処理対象の基板Wをエッチングする際に制御部102が実行する処理の一部を示す。本実施形態の基板処理方法は、
図17及び
図18を参照して説明したステップS21~ステップS32の各処理に加えて、ステップS120の処理を更に含む。
【0236】
本実施形態では、制御部102は、処理対象の基板Wの搬入後(ステップS22)、処理枚数カウンタ値をインクリメントさせる(ステップS120)。処理対象の基板Wの処理時における処理枚数カウンタ値は、処理対象の基板Wの処理枚数を示す。制御部102は、インクリメント後の処理枚数カウンタ値を記憶部103に記憶させる。
【0237】
具体的には、制御部102は、処理対象の基板Wの処理(エッチング)に使用する処理液(エッチング液)の使用開始時から、処理対象の基板Wの処理枚数をカウントする。より詳しくは、制御部102は、処理液容器45(
図25)内のエッチング液を用いた処理対象の基板Wの処理(エッチング)の開始時からカウントを開始する。制御部102は、処理液容器45(
図25)が新しい処理液容器45に交換されると、処理枚数カウンタ値をリセットする。ここでは、処理枚数カウンタ値は、リセットすることにより「0」となる。
【0238】
続いて
図16及び
図31を参照して、処理時速度情報を取得する処理(ステップS25)を説明する。
図31は、処理時速度情報を取得する処理を示すフローチャートである。
【0239】
図31に示すように、目標処理量(目標エッチング量)を取得した後(
図30のステップS24)、制御部102は、予め定められた選択規則に基づいてクラスのうちの一つを選択する(ステップS251)。選択規則は、記憶部103に記憶されている。
【0240】
本実施形態において、選択規則は、処理対象の基板Wの処理枚数に応じて複数のクラスのうちの一つを選択することを規定している。制御部102は、
図26~
図28を参照して説明した処理枚数カウンタ値の複数の範囲(複数の区分)のうちから、記憶部103に記憶させた処理枚数カウンタ値(
図30のステップS120)に対応する範囲(区分)を特定することにより、複数のクラスのうちの一つを選択する。
【0241】
制御部102は、選択したクラスに対応する学習済みモデル136に目標処理量(目標エッチング量)を入力することにより(ステップS252)、学習済みモデル136から処理時速度情報を出力させる。この結果、制御部102は処理時速度情報を取得する(ステップS253)。
【0242】
以上、
図1、
図8、
図14、
図16、及び
図24~
図31を参照して本発明の実施形態4を説明した。本実施形態によれば、実施形態1~3と同様に、スキャン速度情報の開発に関与する作業者の負担を軽減することができる。また、本実施形態によれば、エッチング液の使用開始からの基板Wの処理枚数に応じた処理時速度情報を取得することができる。したがって、より適切なスキャン速度で第1ノズル41を移動させることができる。よって、基板Wをより適切に処理(エッチング)することができる。
【0243】
更に、本実施形態では、
図29を参照して説明したように、基準学習用データとの相関性が予め定められた条件を満たす学習用データを用いて学習済みモデル136を生成する。この結果、より適切な処理時速度情報を取得することができる。したがって、基板Wをより適切に処理(エッチング)することができる。
【0244】
なお、本実施形態では、基準学習用データとの相関性が予め定められた条件を満たす学習用データを用いて学習済みモデル136を生成したが、
図15に示す処理をクラスごとに実行して、クラスごとに学習済みモデル136を生成してもよい。
【0245】
また、本実施形態では機械学習を説明したが、追加学習も同様に実行することができる。
【0246】
[実施形態5]
続いて
図1、
図8、
図16、
図24、
図25、
図27、及び
図31~
図35を参照して本発明の実施形態5について説明する。但し、実施形態1~4と異なる事項を説明し、実施形態1~4と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態5は、実施形態1~4と異なり、学習済みモデル136がロット数に応じて分類される。なお、1ロットに含まれる基板Wの数は、例えば25枚である。
【0247】
まず
図8及び
図32を参照して、本実施形態の基板処理装置100が実行する学習用データの生成方法を説明する。
図32は、本実施形態における学習用データの生成方法を示すフローチャートである。詳しくは、
図32は、学習用データの生成時に制御部102が実行する処理を示す。本実施形態の学習用データの生成方法は、
図9を参照して説明したステップS1~ステップS9に加えて、ステップS130及びステップS140の各処理を更に含む。
【0248】
本実施形態において、制御部102は、学習対象の基板Wの搬入後(ステップS2)、カウント処理を実行する(ステップS130)。カウント処理を実行することにより、制御部102は、学習対象の基板Wの処理に使用する処理液(エッチング液)の使用開始時からのロット数である学習時ロット数を取得する。より詳しくは、制御部102は、処理液容器45(
図25)内のエッチング液を用いた学習対象の基板Wの処理(エッチング)の開始時からの学習時ロット数を取得する。制御部102は、カウント処理により取得した学習時ロット数を記憶部103に記憶させる。
【0249】
また、制御部102は、処理量(エッチング量)を取得すると(ステップS7)、取得した処理量を、記憶部103に記憶させた学習時ロット数に関連付けて、記憶部103に記憶させる(ステップS140)。
【0250】
なお、ステップS130及びステップS140の各処理が実行されるタイミングは、
図32に示すタイミングに限定されない。ステップS130及びステップS140の各処理が実行されるタイミングは、次の基板Wの搬入前である限り、特に限定されない。
【0251】
続いて
図8及び
図33を参照してカウント処理の一例を説明する。
図33はカウント処理の一例を示すフローチャートである。
図33に示すカウント処理は、ステップS131~ステップS134を含む。
【0252】
制御部102は、カウント処理を開始すると、まず処理枚数カウンタ値をインクリメントさせる(ステップS131)。なお、以下の説明において、処理枚数カウンタ値を、「第1カウンタ値」と記載する場合がある。
【0253】
制御部102は、インクリメント後の第1カウンタ値が一定値以下であるか否かを判定する(ステップS132)。一定値は、1ロットに含まれる基板Wの数を示す。
【0254】
制御部102は、インクリメント後の第1カウンタ値が一定値を超えている場合、インクリメント後の第1カウンタ値が一定値以下でないと判定し(ステップS132のNo)、ロット数カウンタ値をインクリメントさせる(ステップS133)。以下、ロット数カウンタ値を、「第2カウンタ値」と記載する場合がある。学習用データの生成時における第2カウンタ値は、学習時ロット数を示す。
【0255】
第2カウンタ値のインクリメント後、制御部102は、第1カウンタ値を「1」に変更して(ステップS134)、
図33に示すカウント処理を終了する。あるいは、制御部102は、インクリメント後の第1カウンタ値が一定値以下であると判定した場合(ステップS132のYes)、
図33に示すカウント処理を終了する。
【0256】
なお、制御部102は、処理液容器45(
図25)が新しい処理液容器45に交換されると、第2カウンタ値を「1」に変更する。
【0257】
続いて
図8及び
図27を参照して、学習用データを生成する処理(ステップS8)について説明する。本実施形態において、分類規則は、学習時ロット数(第2カウンタ値)に応じて学習用データを各クラスに分類することを規定している。制御部102は、学習用データに関連付けた第2カウンタ値を参照して、クラスごとに学習用データを分類する(ステップS110)。
【0258】
続いて
図34を参照して、学習用データセット135を管理するための学習用データセット用テーブルTB40を説明する。
図34は、本実施形態の学習用データセット用テーブルTB40の一例を示す図である。
【0259】
図34に示すように、学習用データセット用テーブルTB40は、クラス情報フィールドTB41と、学習用データセット情報フィールドTB42とを有する。クラス情報フィールドTB41の各フィールドには、学習時ロット数が予め規定されている。本実施形態において、制御部102は、
図13を参照して説明した学習用データセット用テーブルTB10をクラスごとに作成する。制御部102は、学習用データセット情報フィールドTB42の各フィールドに、クラス情報フィールドTB41の各フィールド(学習時ロット数)に対応する学習用データセット用テーブルTB10を関連付ける。
【0260】
続いて
図16及び
図35を参照して、本実施形態の基板処理装置100が実行する基板処理方法を説明する。
図35は、本実施形態における基板処理方法の一部を示すフローチャートである。詳しくは、
図35は、処理対象の基板Wをエッチングする際に制御部102が実行する処理の一部を示す。本実施形態の基板処理方法は、
図17及び
図18を参照して説明したステップS21~ステップS32の各処理に加えて、ステップS150の処理を更に含む。
【0261】
本実施形態において、制御部102は、処理対象の基板Wの搬入後(ステップS22)、カウント処理を実行する(ステップS150)。カウント処理を実行することにより、制御部102は、処理対象の基板Wの処理に使用する処理液(エッチング液)の使用開始時からのロット数である処理時ロット数を取得する。より詳しくは、制御部102は、処理液容器45(
図25)内のエッチング液を用いた処理対象の基板Wの処理(エッチング)の開始時からの処理時ロット数を取得する。より詳しくは、制御部102は、
図33を参照して説明した処理と同様の処理を実行することにより、処理時ロット数(第2カウンタ値)を取得することができる。制御部102は、カウント処理により取得した処理時ロット数(第2カウンタ値)を記憶部103に記憶させる。
【0262】
続いて
図16及び
図31を参照して、処理時速度情報を取得する処理(ステップS25)を説明する。本実施形態において、選択規則は、処理時ロット数に応じて複数のクラスのうちの一つを選択することを規定している。制御部102は、
図32~
図34を参照して説明した学習時ロット数のうちから、記憶部103に記憶させた処理時ロット数(
図35のステップS150)を特定することにより、複数のクラスのうちの一つを選択する。
【0263】
制御部102は、選択したクラスに対応する学習済みモデル136に目標処理量(目標エッチング量)を入力することにより(ステップS252)、学習済みモデル136から処理時速度情報を出力させる。この結果、制御部102は処理時速度情報を取得する(ステップS253)。
【0264】
なお、学習済みモデル136は、
図29に示す処理をクラスごとに実行することによって生成されてもよいし、
図15に示す処理をクラスごとに実行することによって生成されてもよい。
【0265】
以上、
図1、
図8、
図16、
図24、
図25、
図27、及び
図31~
図35を参照して本発明の実施形態5を説明した。本実施形態によれば、実施形態1~4と同様に、スキャン速度情報の開発に関与する作業者の負担を軽減することができる。また、本実施形態によれば、エッチング液の使用開始からの基板Wの処理枚数に応じた処理時速度情報を取得することができる。したがって、基板Wをより適切に処理(エッチング)することができる。
【0266】
なお、本実施形態では機械学習を説明したが、追加学習も同様に実行することができる。
【0267】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0268】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0269】
例えば、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、厚み測定部8は、対象物TGの厚みを測定したが、厚み測定部8は、基板Wの厚みを測定してもよい。より具体的には、厚み測定部8は、学習対象の基板Wの厚み及び処理対象の基板Wの厚みを測定してもよい。ここで、基板Wの厚みは、基板本体の表面に物質が形成されている場合、基板本体と物質とを合わせた厚みを示す。なお、厚み測定部8が基板Wの厚みを測定する場合、エッチング量は、エッチング処理前の基板Wの厚みと、エッチング処理後の基板Wの厚みとの差分を示す。また、目標厚み(目標厚みの分布)は、処理対象の基板Wの目標厚み(目標厚みの分布)を示す。
【0270】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、基板Wは半導体ウエハであったが、基板Wは、半導体ウエハに限定されない。例えば、基板Wは、液晶表示装置用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、又は、太陽電池用基板であり得る。
【0271】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、処理液はエッチング液であったが、処理液は、エッチング液に限定されない。処理液は、基板Wを処理する液体であればよい。例えば、処理液は、対象物TGを除去する除去液であってもよい。除去液を用いることにより、特定の膜を除去する処理や、異物が混入している特定の膜を除去する処理を実行することができる。除去液は、基板Wに対してレジスト除去処理を実行する場合、例えば、硫酸過酸化水素水混合液(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:SPM)である。レジスト除去処理とは、半導体基板の表面から、レジストを除去する処理のことである。
【0272】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、基板処理装置100が実行する処理はエッチング処理であったが、基板処理装置100が実行する処理はエッチング処理に限定されない。例えば、処理は、成膜処理であってもよい。基板処理装置100が成膜処理を実行する場合、処理液は、例えば、SPM、又はオゾン水である。この場合、基板Wに酸化膜が形成される。また、処理量は、成膜量を示す。
【0273】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、基板Wを保持する構成として、基板Wを挟持する挟持式のチャックについて説明したが、基板Wを保持する構成として、バキューム式のチャックが採用されてもよい。
【0274】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、表示部105がエラー画面を表示することにより、作業者にエラーが報知されたが、エラーは音声によって作業者に通知されてもよい。この場合、基板処理装置100は、スピーカーを備え得る。
【0275】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、スキャン速度情報は、第1ノズル41の移動区間に含まれる各位置ごとにスキャン速度の設定値を示したが、スキャン速度情報は、スキャン速度の設定値を1つだけ示してもよい。この場合、第1ノズル41は、第1ノズル41の移動区間の開始位置から終了位置まで一定速度で移動する。
【0276】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、制御部102は、学習用データとフラグ(第1フラグ又は第2フラグ)とを関連付けて記憶部103に記憶させたが、制御部102は、学習用データ(処理量)が機械学習又は追加学習に利用可能でないと判定した場合、その学習用データを記憶部103から削除してもよい。例えば、制御部102は、学習用データセット135の生成時あるいは機械学習の実行時に、第2フラグを付与した学習用データに対応する速度情報フィールドTB11及び処理量フィールドTB12を学習用データセット用テーブルTB10から削除してもよい。同様に、制御部102は、追加学習用データセットの生成時あるいは追加学習の実行時に、第2フラグを付与した追加学習用データに対応する速度情報フィールドTB21及び処理量フィールドTB22を追加学習用データセット用テーブルTB20から削除してもよい。
【0277】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、制御部102は、学習用データを生成した後に、その学習用データが機械学習又は追加学習に利用可能であるか否かを判定したが、制御部102は、学習用データを生成する前に、処理量が機械学習又は追加学習に利用可能であるか否かを判定してもよい。この場合、制御部102は、処理量が機械学習又は追加学習に利用可能でないと判定すると、その処理量を用いた学習用データの生成を実行することなく、次の処理(次のステップ)に移行する。
【0278】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、制御部102は、学習用データ(処理量)が利用可能であるか否かを判定したが、学習用データ(処理量)が利用可能であるか否かを判定する処理は省略されてもよい。
【0279】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、学習用データセット135及び追加学習用データセットがテーブル形式で記憶部103及び記憶部202に記憶されたが、学習用データセット135及び追加学習用データセットを記憶部103及び記憶部202に記憶させる形式は、テーブル形式でなくてもよい。
【0280】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、学習対象速度情報及び処理時速度情報は、第1ノズル41の移動速度を規定したが、学習対象速度情報及び処理時速度情報は、第1ノズル41と基板Wとの相対的な移動速度を規定してもよい。なお、基板Wが回転する場合、学習対象速度情報及び処理時速度情報は、回転する基板Wの表面と第1ノズル41との相対的な移動速度を規定する。例えば、相対的な移動速度は、第1ノズル41の速度成分(ベクトル)と、回転する基板Wにおいて第1ノズル41と対向する部分の速度成分(ベクトル)との和を示す。ここで、基板Wの速度成分は、周方向の速度を示す。
【0281】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、第1ノズル41が旋回したが、第1ノズル41は、直線移動してもよい。
【0282】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、第1ノズル41はスキャンノズルであったが、第1ノズル41は固定ノズルであってもよい。この場合、処理ユニット1は、ノズル移動機構6に替えて、基板Wを移動させる基板移動機構を備える。学習対象速度情報及び処理時速度情報は、第1ノズル41の移動速度に替えて、基板Wの移動速度を規定する。学習済みモデル136は、基板Wの移動速度を示す基板速度情報を出力する。制御部102は、基板速度情報に基づいて、基板移動機構を制御する。基板速度情報は、スキャン速度情報と同様に、基板Wが移動する移動区間を複数の区間に分割する各位置(各基板位置)ごとに設定された基板Wの移動速度を示してもよい。なお、基板Wは旋回してもよいし、直線移動してもよい。
【0283】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、基板Wの処理中に第1ノズル41のみが移動したが、第1ノズル41と基板Wとが移動してもよい。この場合、処理ユニット1は、ノズル移動機構6に加えて、基板Wを移動させる基板移動機構を更に備える。学習対象速度情報及び処理時速度情報は、第1ノズル41の移動速度と共に、基板Wの移動速度を規定する。学習済みモデル136は、スキャン速度情報に加えて、基板Wの移動速度を規定する基板速度情報を出力する。制御部102は、スキャン速度情報に基づくノズル移動機構6の制御と、基板速度情報に基づく基板移動機構の制御とを実行する。
【0284】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、基板処理装置100が厚み測定部8を備えたが、厚み測定部8は省略され得る。基板処理装置100が厚み測定部8を備えない場合、厚みの測定は、基板処理装置100の外部の厚み測定装置により実行される。
【0285】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、説明変数として目標処理量(目標エッチング量)が選択されたが、処理量に影響する他の因子を説明変数に加えてもよい。したがって、学習用データセット135は、処理量(エッチング量)とスキャン速度情報との関係に加えて、処理量と、処理量に影響する他の因子との関係を示してもよい。この場合、説明変数として、目標処理量と、処理量に影響する他の因子とが学習済みモデル136に入力されて、学習済みモデル136からスキャン速度情報が出力される。処理量に影響する他の因子は、例えば、基板Wの回転速度、処理液の温度、処理液の濃度、及び、処理液の吐出流量の少なくとも1つを含み得る。
【0286】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、目的変数としてスキャン速度情報(処理時速度情報)が選択されたが、処理量に影響する他の因子を目的変数に加えてもよい。したがって、学習済みモデル136は、目的変数として、スキャン速度情報に加えて、処理量に影響する他の因子を出力してもよい。例えば、学習済みモデル136は、スキャン速度情報に加えて、基板Wの回転速度、処理液の温度、処理液の濃度、及び、処理液の吐出流量の少なくとも1つを出力してもよい。
【0287】
また、
図1~
図35を参照して説明した実施形態では、学習用プログラム134は、学習用データセット135(複数の学習用データ)を学習して学習済みパラメータを生成し、学習済みパラメータを推論プログラム133に組み込むことで学習済みモデル136を生成するアルゴリズムを実行するためのプログラムであったが、学習用プログラム134は、学習用データセット135(複数の学習用データ)を学習して、学習済みパラメータを含む学習済みモデルを生成するアルゴリズムを実行するためのプログラムであってもよい。つまり、学習済みパラメータを生成し、学習済みパラメータを推論プログラム133に組み込む処理は省略されてもよい。あるいは、学習用プログラム134は、学習用データセット135(複数の学習用データ)を学習して、学習済みパラメータを含まない学習済みモデルを生成するアルゴリズムを実行するためのプログラムであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0288】
本発明は、基板を処理する分野に有用である。
【符号の説明】
【0289】
1 処理ユニット
2 チャンバー
3 スピンチャック
4 エッチング液供給部
5 スピンモータ部
6 ノズル移動機構
8 厚み測定部
9 プローブ移動機構
41 第1ノズル
100 基板処理装置
101 制御装置
102 制御部
103 記憶部
200 学習装置
201 処理部
202 記憶部
TG 対象物
W 基板