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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161545
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
A47G9/10 F
A47G9/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139062
(22)【出願日】2024-08-20
(62)【分割の表示】P 2024527002の分割
【原出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2022092850
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022175226
(32)【優先日】2022-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522228300
【氏名又は名称】株式会社スマイルケアジャパン社
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】大杉 千里
(57)【要約】      (修正有)
【課題】頸椎受け部が所望の高さ及び/又は硬さに調節可能となっている枕を提供する。
【解決手段】流動体を内蔵して構成される枕であって、枕は床面に載置された状態において仰臥姿勢の使用者の頸椎を受ける頸椎受け部を有する。この頸椎受け部が周囲から流動体を流入させ、あるいは周囲に流動体を流出させる隙間11Dが設けられることによって頸椎受け部が所望の高さ及び/又は硬さに調節可能となっていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動体を内蔵して構成される枕であって、床面に載置された状態において仰臥姿勢の使用者(3 0)の頸椎を受ける頸椎受け部を有し、該頸椎受け部が周囲から流動体を流入させ、あるいは周囲に流動体を流出させる隙間(11D)が設けられることによって頸椎受け部が所望の高さ及び/又は硬さに調節可能となっていることを特徴とする枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は枕に関し、特に仰臥姿勢と横臥姿勢との間で簡単にかつ楽に姿勢を変更することができ、しかも横臥姿勢において背骨を正しい位置に維持でき、肩や首及び背中に余分なストレスが加わることがなく、肩こりや寝違い、腕の痛みを招来することがなく、又現代病といわれる原因不明の頭痛身体の不調、パソコンやスマートフォンの使いすぎに起因するストレートネックを未然に防止することができるようにした枕に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠中に首回りの筋肉、肩の筋肉あるいは背中の筋肉に余計なストレスが加わると、肩こりや寝違いの原因となることから、余計なストレスのかからない楽な仰臥姿勢や横臥姿勢で就寝できることが求められる。
【0003】
そこで、中央枕部分の両側に高くなった側方枕部分を設け、仰臥時には中央枕部分に後頭部や頸椎を楽な上向きの姿勢で載せることができる一方、横臥時には側方枕部分に側頭部を楽な横向きの姿勢で載せることができるようにした枕が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3077473号公報
【特許文献2】特開2020-110293号公報
【特許文献3】特開2021-53254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、特許文献1 ~3記載の枕では仰臥時及び横臥時の何れの姿勢でもストレスなく就寝できるものの、低い中央枕部分と高くなった側方枕部分との間に段差があり、仰臥姿勢から横臥姿勢に姿勢を変える際に頭部が段差を乗り越える必要があり、煩わしいという問題があった。
しかも、横臥時には頸椎が肩幅半分の分だけ高い位置に来るので、側方枕部分の高さが合っていないと、背骨が水平な状態から頸椎に向かって下向きに傾斜し、頸椎から頭部に向かって上向きに傾くという不自然な姿勢になってしまう。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑み、仰臥姿勢と横臥姿勢との間で簡単にかつ楽に姿勢を変更することができ、しかも横臥姿勢において背骨を正しい位置に維持できるようにした枕を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明に係る枕は、床面に載置された状態において仰臥姿勢の使用者の後頭部を受ける後頭部受け部と、該後頭部受け部の側方に連続し床面に起立された状態において横臥姿勢の使用者の側頭部を受ける側頭部受け部とを有する立体形状をなし、上記後頭部受け部は仰臥姿勢の使用者の後頭部を受け得る横幅を有するとともに、使用者の後頭部から頸椎の湾曲に合致しえる曲面を有する一方、上記側頭部受け部は横臥姿勢の使用者の側頭部を受け得る膨らみを有するとともに使用者の肩先から側頭部までの水平長さに等しい寸法の横幅を少なくとも有し、横臥姿勢において使用者の肩部に加わる荷重を側頭部を介して分散することによって使用者の側頭部を水平に維持して背骨を正しい位置に保持し得るように構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の特徴の1つは枕を後頭部受け部と側方の側頭部受け部とから構成し、仰臥姿勢の使用者の後頭部を床面に設置した後頭部受け部に載せ、横臥姿勢の使用者の側頭部を起立させた肩幅半分の横幅の側頭部受け部で受けるようにした点にある。
【0009】
これにより、枕を床面上に載せあるいは床面から起立させることによって、枕を使用した状態のままで仰臥姿勢及び横臥姿勢のいずれの姿勢をとることができるとともに、仰臥姿勢から横臥姿勢、横臥姿勢から仰臥姿勢に楽に移ることができる。
【0010】
しかも、使用者の横臥時には側頭部が側頭部受け部によって肩幅半分の分だけ高い位置に正しく維持されるので、背骨が水平な状態に正しく保たれ、横臥姿勢での睡眠時に使用者の肩部に加わる荷重を側頭部を介して分担することができ、肩や首及び背中に余分なストレスが加わることがなく、肩こりや寝違い、腕の痛みを招来することがなく、又現代病といわれる原因不明の頭痛や身体の不調、パソコンやスマートフォンの使いすぎに起因するストレートネックを未然に防止することができる。本件発明者らの試作によれば、横臥姿勢による睡眠時の腕の痺れがあるユーザーが本発明の枕を使用したところ、4~5日で腕の痺れを解消できることが確認できた。
【0011】
ここで、成人男性や成人女性の場合、首の幅は約9cm~約12cm、首の長さは約9cm~約1 1 cmとなっているので、後頭部受け部のうち、首が当たる部分は約10cmX10cmの大きさとするのがよい。また、子供、例えば平均的な小学6年生の場合、首の幅約9cm、首の長さ約8~9c mとなっているので、後頭部受け部も少し小さく製作して子供用とすることができる。
【0012】
また、後頭部の上側部分が当たる部位は高さを低くするために15cm程度の縫い目を1本ないし複数本入れるようにしてもよい。さらに、後頭部受け部は頭部全体がスッポリと入るように製作してもよい。
【0013】
また、側頭部受け部は掛け布団が邪魔にならないように短く仕上げてもよい(図4参照)。さらに、側頭部受け部の先端部分は使用者の胸部に載るように脚状に延設させてもよく、脚状部分の先端部は自由端としてもよく、紐で結び、ぽたんやバックルあるいは雌雄の締結テープで締結するようにしてもよい。
【0014】
枕の内蔵物はクッション性を有するものであればよく、例えば羽毛や綿、あるいは押し付けによって流動する合成樹脂製の発泡ビーズ、合成樹脂製の成型ピーズやプラスチックパイプ、押し付けによって変形する綿、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンファイバー、ポリエステルファイバー又はこれらのファイバーが複雑にからみあった立体網目構造体、エラストマ一樹脂、例えばポリエステル系エラストマー樹脂を原料とする3次元構造体、ストロー状のものを短く切ったようなパイプ、蕎麦殻を内蔵するようにすることができる。発泡ピーズや成型ビーズ等を用いる場合、平均粒径0.5 mm以上10mm以下、発泡ピーズの場合には好ましくは0.5 mm以上2mm以下の範囲内の大きさとすると、快適な睡眠が得られることが確認された。
【0015】
本発明によれば、内外の二重カバー構造とし、内カバーは上述の内蔵物を内蔵し、外カバーについては適当な寸法の外カバーを選択し、内カバーの内蔵物を圧縮したり伸長させたりすることにより枕の用途を拡げることができる。勿論、内外の二重カバーを同じ大きさとしてもよい。
【0016】
例えば、内カバーに内蔵物を入れ、この内カバーに小さめの外カバーを装着すると、枕全体がしっかりと硬くなり、側臥姿勢をとったときに肩に加わる負担が少なくなり、肩に痛みがあるユーザーにとって最適な枕となる。
【0017】
さらに、内カバーに大きめの外カバーを装着することにより、一般的な枕にもなる。
【0018】
また、内カバーを伸縮性を有する生地で製作し、外カバーを伸縮性の小さい生地で製作してもよい、内外カバーともに伸縮性の有する生地で製作してもよく、内外カバーともに伸縮性の小さい生地で製作してもよく、用途に応じて適宜選句すればよい。
【0019】
さらに、内外の二重カバーとすると、枕が汚れた場合に外カバーを外して外カバーを洗濯することによって枕の清浄性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る枕の好ましい第1の実施形態を示す概略斜視図である。
図2】上記実施形態における第1の使用状態を示す図である。
図3】上記実施形態における第2の使用状態を示す図である。
図4】第2の実施形態を示す概略斜視図である。
図5】第3の実施形態を示す概略斜視図である。
図6】第4の実施形態を示す概略斜視図である。
図7】第5の実施形態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を添付図面に示す具体例に基づいて説明する。図1ないし図 3は本発明に係る枕の好ましい実施形態を示す。図において、枕1 0は後頭部受け部1 1と側頭部受け部1 2とから構成されている。
【0022】
後頭部受け部1 1は使用者30の後頭部32を受ける後頭部受け部1 1 Cと首を受ける首受け部1 1 Bとから構成され、後頭部受け部1 1 Cは使用者 30の後頭部3 2の上側部分を受ける部分が低くなるように1 5 C m程度の複数の縫い目1 1 Aが入れられ、首受け部1 1 Bは中央部分が盛り上がった約10cmX10cmの大きさに製作され、これにより後頭部受け部11は使用者の後頭部32から頸椎の湾曲に合致しえる曲面に形成されている。
【0023】
他方、側頭部受け部1 2は後頭部受け部1 1の両側に連続して短脚逆U字状に延び、使用者30の首に抱きつくようになっている。この側頭部受け部 1 2は使用者の肩先から側頭部3 1までの水平長さに等しい寸法の横幅L、起立させた状態において使用者の側頭部3 1を受けて側頭部3 1を維持し得る厚みに製作され、これにより横臥姿勢の使用者の側頭部3 1の高さを維持し得るようになっている。なお、短脚逆U字状の側頭部受け部1 2の両先端は自由端としているが、紐で結び、ぽたんやバックルあるいは雌雄の面ファスナーで締結するようにしてもよい。
【0024】
枕1 0の材質は例えば綿糸7 0%、ポリエステル糸25%、ポリウレタン糸5%を用いて編成した伸縮性のある生地を用いて製作され、内部には平均粒径0. 5 mm以上10mm以下、好ましくは平均粒径0. 5 mm以上2m m以下の範囲内の大きさの球状をなす合成樹脂製発泡ビーズが内蔵されている。なお、枕1 0は綿糸1 0 0%の編み生地でもよく、編み生地以外のあらゆる公知の生地を使用することもできる。
【0025】
また、枕1 0内部には合成樹脂製発泡ピーズを内蔵しているが、合成樹脂製の成型ビーズ、フラスチックパイプ、綿、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンファイバー、ポリエステルファイバー、ポリエチレンファイバー又はポリエステルファイバーのからみ合った3次元構造体あるいはエラストマー樹脂の3次元構造体、ストロー状のものを短く切ったパイプ、蕎麦殻を内蔵することもできる。なお、合成樹脂製発泡ピーズなどの粒状物を内蔵する場合、首受け部1 1 Bへの発泡ピーズの出入りを許容する隙間1 1 Dを設けて容積や厚みを調整するようにしてもよい。
【0026】
例えば、仰臥姿勢で休む場合、枕1 0を首に巻き、後頭部32を後頭部受け部1 1 Cに軽く載せるとともに、首を首受け部1 1 Bに載せるか、あるいは図3に示すように、後頭部32を後頭部受け部11Cに大きく載せるとともに、首を首受け部11Bに載せるとよい。すると、後頭部32及び首が枕1 0の後頭部受け部1 1のほぽ全面で受けられてその重さが分散されるので、仰臥姿勢での睡眠時に肩や首及び背中に余分なストレスが加わることがなく、快適に寝ることができる。
【0027】
他方、横臥姿勢で休む場合には図2に示されるように、枕1 0を首に巻いた状態で横臥姿勢をとればよい。すると、側頭部3 1を側頭部受け部1 2の上に載せることができるが、側頭部受け部1 2が肩幅半分以上の横幅Lとなっているので、横臥時には側頭部3 1は肩幅半分の分だけ高い位置に正しく維持され、しかも頭部の重さは側頭部受け部1 2によって受けられて分散されるので、背骨が水平な状態に正しく保たれ、横臥姿勢での睡眠時に肩や首及び背中に余分なストレスが加わることがなく、肩こりや寝違い、腕の痛みを招来することがなく、又頭痛や身体の不調、パソコンやスマートフォンの使いすぎに起因するストレートネックを未然に防止することができることとなる。
【0028】
また、枕1 0を首に抱きつかせた状態で横臥姿勢を取ると、枕1 0が床面に対して起立した状態となる結果、使用者30は仰臥姿勢及び横臥姿勢のいずれの姿勢を取ることができ、しかも枕1 0を首に装着した状態で仰臥姿勢から横臥姿勢、横臥姿勢から仰臥姿勢に移行することができるので、使い勝手でよい。
【0029】
特に、使用者30が横臥姿勢を取ったときには使用者30の側頭部3 1が側頭部受け部1 2で受けられ、頭部の重さが側頭部受け部1 2で分散されるので、快適に休むことができる。
【0030】
図4は第2の実施形態を示し、図において図1ないし図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例では側頭部受け部1 2を後頭部受け部1 1から両側方に延びる形状としており、第1の実施形態における側頭部受け部1 2の先端部分12Aを除いた形状としている以外、第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0031】
図5は第3の実施形態を示し、図において図1ないし図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例では側頭部受け部1 2を逆U字状の形状とし、逆U字状の先端部分1 2 Bを発泡ピーズ等の内蔵物を除いた形状とし、先端部分1 2 Bに締結ポタン1 3を設け、先端部分1 2 Bを相互に締結できるように形成している以外、第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0032】
図6は第4の実施形態を示し、図において図1ないし図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例では側頭部受け部1 2を逆U字状の形状とした以外、第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。なお、発泡ピーズ等の内蔵粒状物の首受け部への発泡ピーズの出入りを許容する隙間1 1 Dを設け、容積や厚みを調整するようにしてもよい。
【0033】
図7は第5の実施形態を示し、図において図1ないし図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例では枕を内カバー20と外カバー30の二重構造とし、内カバー20には合成樹脂製発泡ビーズ、合成樹脂製の成型ピーズ、フラスチックパイプ、綿、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンファイバー、ポリエステルファイバー、ポリエチレンファイパー又はポリエステルファイバーのからみ合った3次元構造体あるいはエラストマ一樹脂の3次元構造体、ストロー状のものを短く切ったパイプ、蕎麦殻から選ばれる一種又は複数種が内蔵されている。
【0034】
外カバー30は発泡ピーズ等を内蔵した内カバー20よりも少し小さい寸法を有し、又外カバー30には内カバー20の出し入れ口が形成され、ファスナーなどによって開閉されるようになっている。
【0035】
なお、内カバー20を伸縮性を有する生地で製作し、外カバー30を伸縮性の小さい生地で製作してもよい、内外カバー20、30ともに伸縮性の有する生地を製作してもよく、内外カバー20、30ともに伸縮性の小さい生地で製作してもよく、用途に応じて適宜選句すればよい。
【0036】
今、内カバー20に合成樹脂製発泡ピーズ等の内蔵物を入れ、小さめの外カバー30の出し入れ口から内カバー20を差し込み、ファスナーを閉じると、内蔵物を内蔵した内カバー20が圧縮され、枕全体がしかりと硬くなる。すると、ユーザーが側臥姿勢(図2参照)をとったときに肩に加わる負担が少なくなり、肩に痛みがあるユーザーにとって最適な枕となる。
【0037】
また、内カバー20に大きめの外カバー30を装着すると、一般的な枕にもなる。
【0038】
さらに、内外の二重カバーとすると、枕が汚れた場合に外カバー30を外して外カバー30を洗濯することによって枕の清潔さを確保することができる。
【0039】
以上のように、内外の二重カバー構造とし、内カバー20は内蔵物を内蔵し、外カバー30については適当な寸法の外カバーを選択し、内カバーの内蔵物を圧縮したり伸長させたりすることにより枕の用途を拡げることができる。


【符号の説明】
【0040】
1 0 枕
1 1 後頭部受け部
1 2 脚部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7