(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161563
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
A63F5/04 651
A63F5/04 661
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139635
(22)【出願日】2024-08-21
(62)【分割の表示】P 2022007505の分割
【原出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000144522
【氏名又は名称】株式会社三洋物産
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】菊池 勇亮
(72)【発明者】
【氏名】菊地 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】片山 武士
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 淳一
(72)【発明者】
【氏名】高野 勢
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
(72)【発明者】
【氏名】芝▲崎▼ 浩一
(72)【発明者】
【氏名】田中 耕平
(72)【発明者】
【氏名】松谷 暢之
(57)【要約】
【課題】遊技の興趣向上を図ることが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】
本発明に係る遊技機は、特定状態中に前記役抽選手段により抽選処理で当選した当選役に基づいて、特定状態中の特典数を抽選する特典数抽選手段と、演出の実行を制御する演出制御手段と、を備える遊技機であって、演出制御手段は、演出制御手段に設けられた第1記憶領域に、特典数を記憶する第1記憶手段と、第1記憶領域に記憶された特典数のうち、所定抽選により決定された特典数に応じた報知演出を行う特典数報知演出手段と、第1記憶領域に記憶された特典数のうち全ての特典数を所定抽選により決定された特典数に応じた報知演出で使用しない場合に、残りの特典数を後報知用として演出制御手段に設けられた第2記憶領域に記憶する第2記憶手段と、を備える。
【選択図】
図54
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図柄を変動表示する図柄表示手段と、
前記図柄表示手段における図柄の変動表示を開始させるべく操作される開始操作手段と、
前記開始操作手段が操作されたことに基づいて役の抽選処理を実行する役抽選手段と、
前記図柄表示手段における図柄の変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段と、
前記図柄の変動表示後に、前記役の抽選処理にて当選となった役が入賞した場合に、当選役対応の入賞成立として当該当選役対応の制御を実行する対応実行手段と、
特定状態中に前記役抽選手段により前記抽選処理で当選した当選役に基づいて、特定状態中の特典数を抽選する特典数抽選手段と、
演出の実行を制御する演出制御手段と、を備える遊技機であって、
前記演出制御手段は、
前記演出制御手段に設けられた第1記憶領域に、前記特典数を記憶する第1記憶手段と、
前記第1記憶領域に記憶された特典数のうち、所定抽選により決定された特典数に応じた報知演出を行う特典数報知演出手段と、
前記第1記憶領域に記憶された特典数のうち全ての特典数を前記所定抽選により決定された特典数に応じた報知演出で使用しない場合に、残りの特典数を後報知用として前記演出制御手段に設けられた第2記憶領域に記憶する第2記憶手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記特典数報知演出手段は、遊技者の特定操作に応じて、前記所定抽選を実行すること、
を特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
遊技者により前記特定操作の後に前記所定操作が行われた場合に、
前記第2記憶手段は、前記残りの特典数を前記第2記憶領域に記憶すること、
を特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記第2記憶領域に前記残りの特典数が記憶されている場合に、
前記特典数報知演出手段は、前記第1記憶領域に記憶された特典数と前記第2記憶領域に記憶された前記残りの特典数とを含む特典数のうち、所定抽選により決定された特典数の報知演出を行うこと、
を特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
遊技者により前記特定操作の前に前記所定操作が行われた場合に、
前記特典数報知演出手段は、前記所定操作の後に、前記第1記憶領域に記憶された特典数の報知演出を行うこと、
を特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項6】
前記特典数報知演出手段は、前記第1記憶領域に記憶された特典数が所定数以上の場合のみ決定される特典数の報知演出を行うこと、
を特徴とする請求項1ないし5何れか一項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUなどの制御手段、ROMなどの読み出し専用の記憶手段及びRAMなどの読み書き両用の記憶手段などを備えている。制御手段は、読み書き両用の記憶手段への情報の書き込み及び当該記憶手段からの情報の読み出しを行いながら、読み出し専用の記憶手段から読み出したプログラムに従って処理を実行する。この処理の実行に際しては、制御手段に対してセンサなどからの情報の入力が行われるとともに、電動アクチュエータや発光素子などに対する制御手段からの情報の出力が行われる。なお、制御手段、読み出し専用の記憶手段及び読み書き両用の記憶手段などが1チップ化されたものも知られている。
【0003】
スロットマシンについて具体的には、メダルがBET(ベット)されている状況でスタートレバーが操作されて新たなゲームが開始される場合に制御手段にて役の抽選処理が実行される。また、役の抽選処理が実行された場合には制御手段にて回転開始制御が実行されることによりリールの回転が開始され、当該リールの回転中にストップボタンが操作された場合には制御手段にて回転停止制御が実行されることによりリールの回転が停止される。そして、リールの回転停止後の停止結果が役の抽選処理における当選役に対応したものである場合には、当該当選役に対応した特典が遊技者に付与される。当該特典の付与として、例えば遊技媒体が付与される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記例示等のような遊技機においては遊技の興趣向上を図る必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、遊技の興趣向上を図ることが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本実施形態に係る遊技機は、図柄を変動表示する図柄表示手段と、前記図柄表示手段における図柄の変動表示を開始させるべく操作される開始操作手段と、前記開始操作手段が操作されたことに基づいて役の抽選処理を実行する役抽選手段と、前記図柄表示手段における図柄の変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段と、前記図柄の変動表示後に、前記役の抽選処理にて当選となった役が入賞した場合に、当選役対応の入賞成立として当該当選役対応の制御を実行する対応実行手段と、特定状態中に前記役抽選手段により前記抽選処理で当選した当選役に基づいて、特定状態中の特典数を抽選する特典数抽選手段と、演出の実行を制御する演出制御手段と、を備える遊技機であって、前記演出制御手段は、前記演出制御手段に設けられた第1記憶領域に、前記特典数を記憶する第1記憶手段と、前記第1記憶領域に記憶された特典数のうち、所定抽選により決定された特典数に応じた報知演出を行う特典数報知演出手段と、前記第1記憶領域に記憶された特典数のうち全ての特典数を前記所定抽選により決定された特典数に応じた報知演出で使用しない場合に、残りの特典数を後報知用として前記演出制御手段に設けられた第2記憶領域に記憶する第2記憶手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技の興趣向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】前面扉を開いた状態を示すスロットマシンの斜視図である。
【
図5】入賞となる図柄の組合せと入賞となった場合に付与される特典との対応関係を示す図である。
【
図6】各入賞が発生した場合の停止図柄の態様を示す図である。
【
図7】スロットマシン10の電気的構成を示す図である。
【
図8】主側MPUのタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【
図9】主側MPUの通常処理を示すフローチャートである。
【
図12】ボーナス非内部状態用テーブルを示す図である。
【
図13】リールの停止順序及び成立する入賞態様の関係を示す図である。
【
図14】ボーナス内部状態用テーブルを示す図である。
【
図15】ボーナス状態用抽選テーブルを示す図である。
【
図16】報知制御処理を示すフローチャートである。
【
図17】画像表示装置66におけるリール停止順序の報知を示す図である。
【
図18】リール制御処理を示すフローチャートである。
【
図19】入賞判定処理を示すフローチャートである。
【
図20】遊技終了時の対応処理を示すフローチャートである。
【
図21】ボーナス状態処理を示すフローチャートである。
【
図22】区間管理処理を示すフローチャートである。
【
図23】有利区間移行抽選テーブルを示す図である。
【
図24】AT移行チャンス管理処理を示すフローチャートである。
【
図25】AT移行抽選テーブルの一例を示す図である。
【
図26】AT状態処理を示すフローチャートである。
【
図27】上乗せ抽選テーブルの一例を示す図である。
【
図28】本実施形態に係るAT画面(その1)の一例を示す図である。
【
図29】本実施形態に係るAT画面(その2)の一例を示す図である。
【
図30】本実施形態に係るAT画面(その3)の一例を示す図である。
【
図31】本実施形態に係るAT画面(その4)の一例を示す図である。
【
図32】本実施形態に係るAT画面(その5)の一例を示す図である。
【
図33】本実施形態に係る表示態様(その1)の一例を示す図である。
【
図34】本実施形態に係る表示態様(その2)の一例を示す図である。
【
図35】本実施形態に係る表示態様(その3)の一例を示す図である。
【
図36】本実施形態に係る表示態様(その4)の一例を示す図である。
【
図37】本実施形態に係るAT開始時に突入する特化ゾーン画面(その1)の一例を示す図である。
【
図38】本実施形態に係るAT開始時に突入する特化ゾーン画面(その2)の一例を示す図である。
【
図39】AT移行チャンス管理処理(特化ゾーンあり)を示すフローチャートである。
【
図40】AT状態処理(特化ゾーンあり)を示すフローチャートである。
【
図41】特化ゾーン処理を示すフローチャートである。
【
図42】特化ゾーン初期処理を示すフローチャートである。
【
図44】シナリオ配列記憶領域を示す図(その1)である。
【
図45】シナリオ配列記憶領域を示す図(その2)である。
【
図46】アイコン種類に応じた上乗せ抽選テーブルを示す図である。
【
図47】特化ゾーン継続処理を示すフローチャートである。
【
図48】シナリオ配列記憶領域を示す図(その3)である。
【
図49】シナリオ配列記憶領域を示す図(その4)である。
【
図50】上乗せ抽選テーブルの一例を示す図である。
【
図51】上乗せ表示演出振り分け抽選テーブルの一例を示す図である。
【
図54】PUSH連打上乗せ表示差枚数抽選処理を示すフローチャートである。
【
図55】PUSH回数1~7回用上乗せ表示差枚数抽選テーブルを示す。
【
図56】PUSH回数8回以降用上乗せ表示差枚数抽選テーブルを示す。
【
図57】PUSH連打表示演出終了時画面の一例を示す図である。
【
図58】PUSH連打表示演出終了時画面の一例を示す図である。
【
図59】PUSH連打上乗せ表示差枚数抽選処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、遊技機の一種であるスロットマシンに本発明を適用した場合において、下記の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
<実施形態1>
スロットマシンにおいては、遊技者の技量により遊技結果に差が出る仕組みを担保するため、いわゆる取りこぼし役が設けられている。その一方、誰でも安心して遊技できるといったコンセプトの下、初心者向けのスロットマシン開発においては、例えば特定1枚役のような低確率で少ない入賞時払い出しの当選小役を設けることで、遊技者の技量が遊技結果に与える影響を極力少なくしようとする試みもある。
【0012】
ここで、低確率とはいえこのような1枚役に当選し、遊技者の操作タイミングが偶然意図せずにうまくいくことで当該1枚役に入賞できた場合、1枚の払い出しが行われる。1枚役は低確率ゆえ1枚の払い出し事象は頻繁に発生するものではないため、遊技者自身も1枚役の当選自体に気が付かないまま、突然に1枚の払い出しが行われることで、遊技者が違和感を感じることがあった。特にアシストタイム(以下ATという)中においては、画面表示上、獲得枚数等が表示されるため、表示上からも1枚の払い出しの発生がいっそう明瞭となり、遊技者の違和感は特に顕著である。そこで本実施形態においては、AT中に1枚役(又は入賞時払い出し3枚未満の小役)が入賞したときの好適な表示方法を提案するものである。以下詳しく説明する。
【0013】
図1は、スロットマシン10の正面図である。
図2は、スロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図である。
【0014】
図2に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、複数の木製パネルが固定されることにより、全体として前面を開放した箱状に形成されている。
【0015】
筐体11の前面側には、前面扉12が取り付けられている。前面扉12はその左側部を回動軸として、筐体11の内部空間を開閉可能とするように筐体11に支持されている。なお、前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置13によって開放不能に施錠状態とされており、この施錠状態は、キーシリンダ14に対する所定のキーによる解錠操作により解除される。
【0016】
前面扉12の中央部上寄りには、
図1に示すように、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル20が設けられている。遊技パネル20には、縦長の3つの表示窓部21L,21M,21Rが横並びとなるように形成されている。表示窓部21L,21M,21Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓部21L,21M,21Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。
【0017】
図2に示すように、筐体11は仕切り板によりその内部が上下2分割されており、仕切り板の上部にはリールユニット31が取り付けられている。リールユニット31は、円筒状にそれぞれ形成された左リール32L,中リール32M,右リール32Rを備えている。各リール32L,32M,32Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール32L,32M,32Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール32L,32M,32Rが各表示窓部21L,21M,21Rと1対1で対応している。したがって、各リール32L,32M,32Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓部21L,21M,21Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール32L,32M,32Rが正回転すると、各表示窓部21L,21M,21Rを通じてリール32L,32M,32Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
【0018】
これら各リール32L,32M,32Rは、それぞれが図示しないステッピングモータに連結されており、各ステッピングモータの駆動により各リール32L,32M,32Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。
【0019】
図1に示すように、遊技パネル20の下方左側には、各リール32L,32M,32Rの回転を開始させるために操作されるスタートレバー41が設けられている。メダルが投入されているときにこのスタートレバー41が操作されると、各リール32L,32M,32Rが一斉に回転を始める。
【0020】
スタートレバー41の右側には、回転している各リール32L,32M,32Rを個別に停止させるために操作されるストップボタン42,43,44が設けられている。各ストップボタン42,43,44は停止対象となるリール32L,32M,32Rに対応する表示窓部21L,21M,21Rの直下にそれぞれ配置されている。各ストップボタン42,43,44は、左リール32Lが回転を開始してから所定時間が経過すると停止させることが可能な状態となる。
【0021】
なお、スタートレバー41の操作に基づき各リール32L,32M,32Rの回転が開始され、各ストップボタン42,43,44の操作に基づき各リール32L,32M,32Rが回転を停止して、メダル付与及び遊技状態の管理といった各種処理の実行が完了するまでが、1回のゲームに相当する。
【0022】
表示窓部21L,21M,21Rの下方右側には、投資価値としてのメダルを投入するためのメダル投入口45が設けられている。メダル投入口45から投入されたメダルは、
図2に示すように、前面扉12の背面に設けられたセレクタ52によって、投入可能時であればホッパ装置53へ導かれ、投入不可時であれば前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口58からメダル受け皿59へと導かれる。なお、ホッパ装置53は、上記有効ライン上にメダルの付与に対応した入賞が成立した場合に、貯留タンクに貯留されたメダルを、メダル排出口58を通じてメダル受け皿59に払い出す機能を有している。
【0023】
メダル投入口45の下方には、
図1に示すように、メダル投入口45に投入されたメダルがセレクタ52内に詰まった際に押される返却ボタン46が設けられている。また、表示窓部21L,21M,21Rの下方左側には、クレジットされた仮想メダルを一度にベット可能な最大分投入するための第1クレジット投入ボタン47と、仮想メダルを一度に2枚投入するための第2クレジット投入ボタン48と、仮想メダルを一度に1枚投入するための第3クレジット投入ボタン49とが設けられている。
【0024】
スタートレバー41の左側には、精算ボタン51が設けられている。すなわち、本スロットマシン10では、所定の最大値(メダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の払出メダルを仮想メダルとして貯留記憶するクレジット機能を有しており、仮想メダルが貯留記憶されている状況下で精算ボタン51を操作された場合、仮想メダルが現実のメダルとしてメダル排出口58から払い出されるようになっている。
【0025】
筐体11の内部においてホッパ装置53の左方には、
図2に示すように、電源装置54が設けられている。電源装置54には、電源投入時や電源遮断時に操作される電源ボタン55と、スロットマシン10の各種状態をリセットするためのリセットボタン56と、スロットマシン10の設定状態を「設定1」から「設定6」の範囲で変更するために操作される設定キー挿入孔57と、を備えている。
【0026】
<各リール32L,32M,32Rに付されている図柄>
次に、各リール32L,32M,32Rに付されている図柄について説明する。
【0027】
図3は、左リール32L,中リール32M,右リール32Rの図柄配列を示す図であるある。同図に示すように、各リール32L,32M,32Rには、それぞれ21個の図柄が一列に配置されている。また、各リール32L,32M,32Rに対応して番号が0~20まで付されているが、これら番号は主制御装置70が表示窓部21L,21M,21Rから視認可能な状態となっている図柄を認識するための番号であり、リール32L,32M,32Rに実際に付されているわけではない。但し、以下の説明では当該番号を使用して説明する。
【0028】
図柄としては、「ベル」図柄(例えば、左リール32Lの20番目)、「リプレイ1」図柄(例えば、左リール32Lの19番目)、「スイカ」図柄(例えば、左リール32Lの18番目)、「赤7」図柄(例えば、左リール32Lの15番目)、「リプレイ2」図柄(例えば、左リール32Lの11番目)、「BAR」図柄(例えば、左リール32Lの10番目)、「チェリー」図柄(例えば、左リール32Lの9番目)、「リプレイ3」図柄(例えば、左リール32Lの6番目)、「白7」図柄(例えば、左リール32Lの5番目)の9種類がある。各リール32L,32M,32Rにおいて各種図柄の数や配置順序は全く異なっている。
【0029】
図4は、表示窓部21L,21M,21Rの正面図である。各表示窓部21L,21M,21Rは、対応するリールに付された21個の図柄のうち図柄全体を視認可能となる図柄が3個となるように形成されている。このため、各リール32L,32M,32Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が表示窓部21L,21M,21Rを介して視認可能な状態となる。
【0030】
本スロットマシン10では、各リール32L,32M,32Rの図柄が視認可能となる位置を結ぶようにして、1本のメインラインMLが設定されている。メインラインMLは、左リール32Lの下段図柄、中リール32Mの中段図柄及び右リール32Rの下段図柄を結んだラインである。規定数のメダルがベットされた状態で各リール32L,32M,32Rの回転が開始され、当該メインラインML上に当選役に対応した入賞が成立した場合には、メダルの払い出しという特典、再遊技という特典及び遊技状態の移行という特典のいずれかが付与される。
【0031】
つまり、本スロットマシン10では、入賞が成立し得るラインとして1本のメインラインMLのみが設定されている。そして、当該メインラインMLは一直線に延びるラインではなく、折り曲げラインとして設定されている。したがって、左リール32Lの上段図柄、中リール32Mの中段図柄及び右リール32Rの下段図柄を結んだサブラインSL1と、左リール32Lの上段図柄、中リール32Mの上段図柄及び右リール32Rの上段図柄を結んだサブラインSL2と、左リール32Lの中段図柄、中リール32Mの中段図柄及び右リール32Rの中段図柄を結んだサブラインSL3と、左リール32Lの下段図柄、中リール32Mの下段図柄及び右リール32Rの下段図柄を結んだサブラインSL4と、左リール32Lの下段図柄、中リール32Mの中段図柄及び右リール32Rの上段図柄を結んだサブラインSL5といった1直線に延びるライン上に、入賞対象となる図柄の組合せが成立したとしても、入賞は成立しない。
【0032】
なお、メインラインは1本に限定されることはなく2本、3本、4本又は5本以上であってもよく、このようにメインラインが複数設定されている構成においては、ベット枚数に応じて有効化されるメインラインの数が相違する構成としてもよい。また、メインラインが折れ曲がりラインである構成に限定されることはなく、一直線に延びるラインであってもよい。
【0033】
図5は、入賞となる図柄の組合せと入賞となった場合に付与される特典との対応関係を示す図である。
図6は、各入賞が発生した場合の停止図柄の態様を示す図である。以下、
図5及び
図6を参照しながら、入賞となる図柄の組合せと、入賞となった場合に付与される特典との対応関係を説明する。
【0034】
メダル払出が行われる小役入賞としては、第1補填入賞、第2補填入賞、第3補填入賞、第4補填入賞、第5補填入賞、第6補填入賞、押順ベル1入賞、押順ベル2入賞、押順ベル3入賞、押順ベル4入賞、押順ベル5入賞、押順ベル6入賞、共通ベル入賞、スイカ入賞、チェリー入賞、1枚役入賞、リプレイ入賞、RBB1入賞及びRBB2入賞がある。
【0035】
例えば、メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「白7」図柄、「BAR」図柄、「赤7」図柄又は「スイカ」図柄のいずれかであり、中リール32Mの停止図柄が「リプレイ1~3」図柄であり、右リール32Rの停止図柄が「リプレイ1」図柄である場合、第1補填入賞となる。同様に、
図5に示す通り、メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「白7」図柄、「BAR」図柄、「赤7」図柄又は「スイカ」図柄のいずれかであり、中リール32Mの停止図柄が「リプレイ1~3」図柄、右リール32Rの停止図柄が「リプレイ1」、「リプレイ2」又は「リプレイ3」図柄のいずれかの組み合わせに応じて、それぞれ第2~6補填入賞となる。第1補填入賞~第6補填入賞した場合の遊技媒体の付与対象数は、「1」となる。
【0036】
メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「赤7」図柄であり、中リール32Mの停止図柄が「ベル」図柄であり、右リール32Rの停止図柄が「チェリー」図柄又は「スイカ」図柄である場合、押順ベル1入賞となる。押順ベル1入賞した場合の遊技媒体の付与対象数は、遊「7」となる。
【0037】
メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「白7」図柄であり、中リール32Mの停止図柄が「ベル」図柄であり、右リール32Rの停止図柄が「チェリー」図柄又は「スイカ」図柄である場合、押順ベル2入賞となる。押順ベル2入賞した場合の遊技媒体の付与対象数は、「7」となる。
【0038】
メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「ベル」図柄であり、中リール32Mの停止図柄が「赤7」図柄であり、右リール32Rの停止図柄が「チェリー」図柄又は「スイカ」図柄である場合、押順ベル3入賞となる。押順ベル3入賞した場合の遊技媒体の付与対象数は、「7」となる。
【0039】
メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「ベル」図柄であり、中リール32Mの停止図柄が「白7」図柄であり、右リール32Rの停止図柄が「チェリー」図柄又は「スイカ」図柄である場合、押順ベル4入賞となる。押順ベル4入賞した場合の遊技媒体の付与対象数は、「7」となる。
【0040】
メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「ベル」図柄であり、中リール32Mの停止図柄が「チェリー」図柄又は「スイカ」図柄であり、右リール32Rの停止図柄が「赤7」図柄である場合、押順ベル5入賞となる。押順ベル5入賞した場合の遊技媒体の付与対象数は、「7」となる。
【0041】
メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「ベル」図柄であり、中リール32Mの停止図柄が「チェリー」図柄又は「スイカ」図柄であり、右リール32Rの停止図柄が「白7」図柄である場合、押順ベル6入賞となる。押順ベル6入賞した場合の遊技媒体の付与対象数は、「7」となる。
【0042】
例えば、押順ベル1入賞となる場合、
図6(a)に示すように、右上がりのサブラインSL5において各リール32L,32M,32Rの停止図柄がそれぞれ「赤7」図柄、「ベル」図柄、「ベル」図柄となる。これにより、押順ベル1入賞となったことを遊技者に認識させ易くなる。
【0043】
メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「リプレイ1~3」図柄であり、中リール32Mの停止図柄が「ベル」図柄であり、右リール32Rの停止図柄が「白7」図柄、「BAR」図柄、「赤7」図柄又は「スイカ」図柄である場合、共通ベル入賞となる。共通ベル入賞した場合の遊技媒体の付与対象数は、「7」となる。
【0044】
共通ベル入賞となる場合、
図6(b)に示すように、中段のサブラインSL3において各リール32L,32M,32Rの停止図柄が全て「ベル」図柄となる。これにより、遊技者は、同一の図柄の組合せが一直線のライン上に停止表示されると入賞が成立したと認識し易い。この場合に、共通ベル入賞に際して同一の「ベル」図柄の組合せを停止表示させることにより、メインラインMLにおける入賞成立態様の多様化を図った構成において入賞の発生を遊技者に認識させ易くすることが可能となる。
【0045】
メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「スイカ」図柄であり、中リール32Mの停止図柄が「BAR」図柄又は「赤7」図柄であり、右リール32Rの停止図柄が「スイカ」図柄である場合、スイカ入賞となる。スイカ入賞した場合の遊技媒体の付与対象数は、「3」となる。
【0046】
スイカ入賞となる場合、
図6(c)に示すように、下段のサブラインSL4において各リール32L,32M,32Rの停止図柄が全て「スイカ」図柄となる。これにより、スイカ入賞となったことを遊技者に認識させ易くなる。
【0047】
メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「チェリー」図柄となった場合、中リール32Mの停止図柄及び右リール32Rの停止図柄がいずれであったとしてもチェリー入賞となる。チェリー入賞した場合の遊技媒体の付与対象数は、「2」となる。
【0048】
メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「ベル」図柄であり、中リール32Mの停止図柄が「リプレイ1~3」図柄であり、右リール32Rの停止図柄が「チェリー」図柄である場合、1枚役入賞となる。右リール32Rのチェリー図柄だけは操作タイミングによっては取りこぼしがある。1枚役入賞した場合の遊技媒体の付与対象数は、「1」となる。なお、1枚役が揃っても揃わなくとも、遊技者に対して図柄上1枚役が揃わなかったと思わせたいため、1枚役入賞はベル・リプレイ・チェリーの停止図柄とし、見た目の配列上、同じ図柄が一直線に揃わない停止出目としている。
【0049】
メダル(又は仮想メダル)をBETすることなく次ゲームの遊技を行うことが可能な再遊技の特典が付与される入賞として、リプレイ入賞がある。例えば、メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「白7」図柄、「BAR」図柄、「赤7」図柄又は「スイカ」のいずれかであり、中リール32Mの停止図柄が「リプレイ1~3」図柄であり、右リール32Rの停止図柄が「白7」図柄又は「スイカ」図柄である場合、リプレイ入賞となる。
【0050】
リプレイ入賞となる場合、
図6(d)に示すように、中段のサブラインSL3において各リール32L,32M,32Rの停止図柄が全て「リプレイ1」図柄、「リプレイ2」図柄及び「リプレイ3」図柄のいずれかとなる。これにより、リプレイ入賞となったことを遊技者に認識させ易くなる。
【0051】
リプレイ入賞となった場合、前ゲームと同枚数のメダルのBETを不要としながら次ゲームの遊技を行うことが可能となる。具体的には、メダルを3枚賭けしたゲームにおいていずれかのリプレイ入賞となった場合、前ゲームと同枚数の3枚賭け状態で次ゲームの遊技を開始することが可能となる。
【0052】
また、遊技媒体の賭け数が2枚賭けのときに、特別遊技状態への移行が行われる状態移行入賞として、RBB1がある。メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「赤7」図柄であり、中リール32Mの停止図柄が「BAR」図柄であり、右リール32Rの停止図柄が「BAR」図柄である場合、RBB1入賞となる。RBB1入賞が成立した場合には、遊技状態がボーナス状態(RBB状態)に移行する。
【0053】
また、遊技媒体の賭け数が3枚賭けのときに、特別遊技状態への移行が行われる状態移行入賞として、RBB2がある。メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「白7」図柄であり、中リール32Mの停止図柄が「BAR」図柄であり、右リール32Rの停止図柄が「BAR」図柄である場合、RBB2入賞となる。RBB2入賞が成立した場合には、遊技状態がボーナス状態(RBB状態)に移行する。
【0054】
RBB1状態及びRBB1状態は、ボーナス中遊技媒体を2枚又は3枚投入しても払い出さないこともあり、実質的・結果的にボーナス後は遊技媒体の純増がプラスマイナスセロもしくは減る仕様のボーナスとなっている。このためボーナス中の遊技媒体分を通常の小役に回すことが可能となる。なお、当選ゲームでRBB1、RBB2絵柄を揃える事ができなくとも、当選となったゲームの次以降のゲームにもRBB1、RBB2入賞が成立するまでRBB1、RBB2の当選フラグは持ち越される。当選したRBB1、RBB2の当選フラグが持ち越されている状態を、ボーナス内部状態という。ボーナス内部状態については再度後述する。
【0055】
<各種報知及び各種演出を実行するための装置>
各種報知及び各種演出を実行するための装置について説明する。前面扉12の遊技パネル20には、表示窓部21L,21M,21Rの下方の位置に、貯留記憶された仮想メダル数を表示するクレジット表示部61と、入賞時に獲得したメダルの枚数を表示する獲得枚数表示部62とがそれぞれ設けられている。これら表示部61,62は7セグメント表示器によって構成されており、各セグメントには緑色などの単色発光タイプのLEDが用いられている。
【0056】
<スロットマシン10の電気的構成>
図7は、スロットマシン10の電気的構成を示す図である。
【0057】
主制御装置70は、遊技の主たる制御を司る主制御基板71を具備している。主制御基板71には、MPU72が搭載されている。MPU72には、当該MPU72により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM73と、そのROM73内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM74と、所定周波数の矩形波を出力するクロック回路75と、割込回路、データ入出力回路、乱数発回路などが内蔵されている。なお、MPU72に対してROM73及びRAM74が1チップ化されていることは必須の構成ではなく、それぞれが個別にチップ化された構成としてもよい。
【0058】
MPU72には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU72の入力側には、リールユニット31(より詳しくは各リール32L,32M,32Rが1回転したことを個別に検出するリールインデックスセンサ)、スタートレバー41の操作を検出するスタート検出センサ41a、各ストップボタン42,43,44の操作を個別に検出するストップ検出センサ42a,43a,44a、メダル投入口45から投入されたメダルを検出する投入メダル検出センサ45a、各クレジット投入ボタン47,48,49の操作を個別に検出するクレジット投入検出センサ47a,48a,49a、精算ボタン51の操作を検出する精算検出センサ51a、ホッパ装置53の払出検出センサ、リセットボタン56の操作を検出するリセット検出センサ56a、設定キー挿入孔57に設定キーが挿入されたことを検出する設定キー検出センサ57a等の各種センサが接続されており、これら各センサからの信号はMPU72に入力される。
【0059】
MPU72の出力側には、リールユニット31(より詳しくは各リール32L,32M,32Rを回転させるためのステッピングモータ)、ホッパ装置53の払出モータ、クレジット表示部61、獲得枚数表示部62、内部状態報知部63及びサブ制御装置80等が接続されている。各ゲームにおいてはリールユニット31の各リール32L,32M,32Rの回転駆動制御がMPU72により行われるとともに、小役入賞が成立してメダルの払い出しを実行する場合にはホッパ装置53の駆動制御がMPU72により行われる。また、クレジット表示部61、獲得枚数表示部62及び内部状態報知部63の表示制御は、他の制御装置を介することなくMPU72により直接的に実行される。サブ制御装置80には、各ゲームの各タイミングでMPU72からコマンドが送信される。
【0060】
また、MPU72の出力側には外部端子板90が設けられている。外部端子板90は、図示は省略するが筐体11の背板において主制御装置70に隣接させて設けられている。MPU72は、スロットマシン10の状態に対応した各種信号を外部端子板90を通じて、遊技ホールに設けられたホールコンピュータHCに外部出力する。
【0061】
MPU72の入力側には、電源装置54に設けられた停電監視回路が接続されている(図示略)。電源装置54には、主制御装置70をはじめとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部及び停電監視回路が搭載されており、停電監視回路は、外部電源から電源部に印加されている電圧を監視し、当該電圧が基準電圧以下となった場合にMPU72に停電信号を出力する。MPU72は、停電信号を受信することにより停電時処理を実行し、復電後において停電前の処理状態への復帰を可能とする。また、電源装置54には、外部電源からの動作電力の供給が遮断されている状況において電断中電力としてバックアップ電力をRAM74に供給するための電断中電源部が設けられている。これにより、外部電源からの動作電力の供給が遮断されている状況であっても、電断中電源部においてバックアップ電力を供給可能な状況(例えば1日や2日)ではRAM74においてデータが記憶保持される。但し、電源装置54に設けられたリセットボタン56を押圧操作した状態でスロットマシン10の電源のON操作を行うことで、RAM74に記憶保持されているデータは初期化される。
【0062】
サブ制御装置(副制御装置)80は、各種報知や各種演出の実行制御を実行するためのサブ制御基板(副制御基板)81を具備している。サブ制御基板81には、MPU82が搭載されている。MPU82には、当該MPU82により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM83と、そのROM83内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM84と、所定周波数の矩形波を出力するクロック回路85と、割込回路、データ入出力回路、乱数発回路などが内蔵されている。
【0063】
なお、MPU82に対してROM83及びRAM84が1チップ化されていることは必須の構成ではなく、それぞれが個別にチップ化された構成としてもよい。また、RAM84には、外部電源からの動作電力の供給が遮断されている状況において電源装置54の電断中電源部からバックアップ電力が供給され、当該バックアップ電力が供給されている状況(例えば1日や2日)ではRAM84においてデータが記憶保持される。但し、電源装置54に設けられたリセットボタン56を押圧操作した状態でスロットマシン10の電源のON操作を行うことで、RAM84に記憶保持されているデータは初期化される。
【0064】
MPU82には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU82の入力側には、既に説明したとおり主制御装置70のMPU72が接続されており、当該MPU72から各種コマンドを受信する。
【0065】
MPU82の出力側には、上部ランプ64、スピーカ65、画像表示装置66が接続されている。MPU82では、主制御装置70のMPU72から受信したコマンドに基づき、上部ランプ64の発光制御、スピーカ65の音出力制御、画像表示装置66の表示制御を実行することで、各種報知や各種演出が行われるようにする。
【0066】
なお、以下の説明では説明の便宜上、主制御装置70のMPU72、ROM73及びRAM74をそれぞれ主側MPU72、主側ROM73及び主側RAM74といい、サブ制御装置80のMPU82、ROM83及びRAM84をそれぞれサブ側MPU82、サブ側ROM83及びサブ側RAM84という。
【0067】
<主側MPU72により実行される処理>
次に、主側MPU72により実行される処理について説明する。主側MPU72の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されたメイン処理の実行後に繰り返し実行される「通常処理」と、当該通常処理に対して定期的に割り込んで起動される「タイマ割込み処理」とがある。説明の便宜上、まずはじめにタイマ割込み処理を説明し、その後、通常処理を説明する。
【0068】
「タイマ割込み処理」
図8は、主側MPUのタイマ割込み処理を示すフローチャートである。当該タイマ割込み処理は、例えば1.49msecごとに起動される。
【0069】
ステップS101に示すレジスタ退避処理では、後述する通常処理で使用している主側MPU72内の全レジスタの値を主側RAM74に退避させる。ステップS102では停電フラグに「1」がセットされているか否かを確認し、停電フラグに「1」がセットされているときにはステップS103に進み、停電時処理を実行する。
【0070】
停電フラグは、電源装置54の停電監視回路からの停電信号が主側MPU72に入力された場合にセットされる。停電時処理では、まずコマンドの送信が終了しているか否かを判定し、送信が終了していない場合には本処理を終了してタイマ割込み処理に復帰し、コマンドの送信を終了させる。コマンドの送信が終了している場合には、主側MPU72のスタックポインタの値を主側RAM74に保存する。その後、主側MPU72の出力ポートの出力状態をクリアし、図示しない全てのアクチュエータをオフ状態にする。そして、停電解消時に主側RAM74のデータが正常か否かを判定するための判定値を算出して当該主側RAM74に保存することにより、それ以後のRAMアクセスを禁止する。以上の処理を行った後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
【0071】
ステップS102にて停電フラグがセットされていない場合には、ステップS104以降の各種処理を行う。すなわち、ステップS104では、誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化するウオッチドッグタイマのクリア処理を行う。ステップS105では、主側MPU72自身に対して次回のタイマ割込みを設定可能とする割込み終了宣言処理を行う。ステップS106では、各リール32L,32M,32Rを回転させるために、それぞれのステッピングモータを駆動させるステッピングモータ制御処理を行う。ステップS107では、入力ポートに接続された各種センサの状態を読み込むとともに、読み込み結果が正常か否かを監視するセンサ監視処理を行う。ステップS108では、各カウンタやタイマの値を減算するタイマ演算処理を行う。ステップS109では、メダルのベット数や、払出枚数をカウントした結果を外部へ出力するカウンタ処理を行う。
【0072】
ステップS110では、各種コマンドをサブ制御装置80へ送信するコマンド出力処理を行う。ステップS111では、入出力ポートからI/O装置に対応するデータを出力するポート出力処理を行う。ステップS112では、先のステップS101にて主側RAM74に退避させた各レジスタの値をそれぞれ主側MPU72内の対応するレジスタに復帰させる。その後、ステップS113にて次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い、この一連のタイマ割込み処理を終了する。
【0073】
「通常処理」
図9は、主側MPUの通常処理を示すフローチャートである。
【0074】
ステップS201では、次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行う。ステップS202では、遊技を可能とするための開始前処理を行う。開始前処理では、サブ制御装置80等が初期化を終了するまで待機する。
【0075】
ステップS203では、開始待ち処理を実行する。開始待ち処理では、前回のゲームでいずれかのリプレイ入賞が発生している場合、前回のゲームにおけるBET数と同数の遊技媒体がBETされた状態とするための自動投入処理を行う。また、開始待ち処理では、投入メダル検出センサ45aにてメダルを検出している場合、現状のBET数が最大規定数である「3」以上でなければ、そのBET数を1加算し、BET数が最大規定数である「3」以上であれば、主側RAM74に設けられたクレジットカウンタの値を1加算する。クレジットカウンタは、貯留記憶されている仮想メダルの数を主側MPU72にて特定するためのカウンタである。
【0076】
開始待ち処理では、自動投入処理が実行されていない場合であっていずれかのクレジット投入ボタン47~49が操作されている場合、その操作に対応するBET数が設定されるようにするためのクレジット投入の対応処理を実行する。クレジット投入の対応処理では、第1クレジット投入ボタン47が操作されている場合にはその時点でBET可能な最大分の遊技媒体がBETされた状態となるようにし、第2クレジット投入ボタン48又は第3クレジット投入ボタン49が操作された場合にはそれに対応するBET状態となるようにする。この場合、仮想メダルがそのBETに際して使用された場合にはそのBETされた仮想メダルの数分の値が上記クレジットカウンタから減算される。また、操作されたクレジット投入ボタン47~49に対応するBET数に設定するために必要な数の仮想メダルが貯留記憶されていない場合には、貯留記憶されている仮想メダルとの関係でBET可能な最大分の遊技媒体がBETされた状態となる。
【0077】
開始待ち処理では、BET数が最大規定数以上であって主側RAM74のクレジットカウンタの値が上限貯留数(具体的には「50」)以上である場合、受付禁止処理を実行する。受付禁止処理では、セレクタ駆動部52aへの駆動信号の出力を停止することでセレクタ52を受付禁止状態に設定する。これにより、メダル投入口45にメダルが投入されたとしても、当該メダルは投入メダル検出センサ45aにて検出されることなくメダル受け皿59へ排出される。一方、BET数が最大規定数未満である場合又はクレジットカウンタの値が上限貯留数未満である場合、受付許可処理を実行する。受付許可処理では、セレクタ駆動部52aへの駆動信号の出力を開始することでセレクタ52を受付許可状態に設定する。これにより、メダル投入口45から投入されたメダルは、投入メダル検出センサ45aにて検出された後にホッパ装置53にて回収される。開始待ち処理では、精算ボタン51が操作されている場合であって、自動投入処理が実行されていない場合、BET数及びクレジットカウンタの値の合計数に対応するメダルがメダル排出口58を介してメダル受け皿59に排出されるようにするためにホッパ装置53を駆動制御する。これにより、内部的に貯留された遊技媒体が実際のメダルとして遊技者に払い出されることとなる。
【0078】
ステップ204では、ステップS203の開始待ち処理の実行後、メダルのBET数が規定数に達しているか否かを判定し、BET数が規定数に達していない場合には開始待ち処理(ステップS203)に戻る。BET数が規定数に達している場合、ステップS205では、スタートレバー41が操作されたか否かを判定する。スタートレバー41が操作された場合、メインラインMLを有効化させた後に、ステップS206はベット受付を禁止する受付禁止処理を実行する。これにより、メダル投入口45にメダルが投入されたとしても、当該メダルは投入メダル検出センサ45aにて検出されることなくメダル受け皿59へ排出される。
【0079】
ステップS207では、今回のゲームにおける役の抽選を行うための抽選処理を実行する。ステップS208では、各リール32L,32M,32Rのリール制御処理を実行する。リール制御処理では、各リール32L,32M,32Rの回転を開始させ、またストップボタン42~44が操作されて停止指令が発生した場合には対応するリール32L,32M,32Rを停止させるリール停止処理を行う。
【0080】
ステップS209では、メダル払出処理を実行する。メダル払出処理では、今回のゲームにおいて小役入賞が成立している場合に、当該小役入賞に対応した枚数のメダル又は仮想メダルを遊技者に付与するための処理を実行する。具体的には、仮想メダルを付与する場合にはクレジットカウンタに今回の小役入賞に対応した値を加算し、クレジットカウンタの値が上限貯留数に達している場合にはその上限貯留数を超えた数分のメダルがメダル受け皿59に払い出されるようにホッパ装置53を駆動制御する。
【0081】
ステップS210では、今回のゲームの結果に対応する遊技状態の設定を可能とするための遊技終了時の対応処理を実行する。次いで、ステップS207の抽選処理、ステップS208のリール制御処理、ステップS210の遊技終了時の対応処理について詳しく説明する。
【0082】
[抽選処理]
図10は、抽選処理を示すフローチャートである。通常処理におけるステップS207の抽選処理について説明する。
【0083】
ステップS301では、まず役の当否判定を行う際に用いる乱数を取得する。本スロットマシン10では、スタートレバー41が操作されると、ハード回路がその時点におけるフリーランカウンタの値をラッチする構成となっている。フリーランカウンタは0~65535の乱数を生成しており、主側MPU72は、スタートレバー41の操作を確認した後、ハード回路がラッチした値を主側RAM74に格納する。かかる構成とすることにより、スタートレバー41が操作されたタイミングで速やかに乱数を取得することが可能となり、同期等の問題が発生することを回避することが可能となる。本スロットマシン10のハード回路は、スタートレバー41が操作される毎にその都度のフリーランカウンタの値をラッチする構成となっている。
【0084】
乱数を取得した後、ステップS302では、役の当否判定を行うための抽選テーブルを主側ROM73から読み出す。ここで、本スロットマシン10では、「1」の設定値から「6」の設定値まで6段階の当選確率が予め用意されており、設定キー挿入孔57に設定キーを挿入してON操作するとともに所定の操作を行うことにより、いずれの当選確率に基づいて抽選処理を実行させるのかを設定することができる。一般に「n」の設定値よりも「n+1」の設定値の方が遊技者にとって遊技上有利となる。また、同一の段階の設定値であっても主側MPU72において抽選テーブルが相違する内部モードとして、本実施形態においては、ボーナス非内部状態、ボーナス内部状態及びボーナス状態の3種類が存在している。ステップS302では、現状の設定値と、現状の遊技状態との組合せに対応する抽選テーブルを選択する。
【0085】
抽選テーブルを選択した後、ステップS303では、インデックス値IVを「1」とし、ステップS304では、役の当否を判定する際に用いる判定値DVを設定する。かかる判定値設定処理では、現在の判定値DVに、現在のインデックス値IVと対応するポイント値PVを加算して新たな判定値DVを設定する。なお、初回の判定値設定処理では、ステップS301にて取得した乱数値を現在の判定値DVとし、この乱数値に現在のインデックス値IVである「1」と対応するポイント値PVを加算して新たな判定値DVとする。
【0086】
ステップS305では、インデックス値IVと対応する役の当否判定を行う。役の当否判定では判定値DVが「65535」を超えたか否かを判定する。「65535」を超えた場合、ステップS306では、そのときのインデックス値IVと対応する当選役のデータを主側RAM74にセットするための当選データの取得処理を実行する。当選データの取得処理では、参照対象となっている抽選テーブルにおいて今回のインデックス値IVに対して設定されている当選データの全てが主側RAM74にセットされる。当該当選データがセットされた状態は、その当選データがボーナス当選データ以外の当選データであれば当該当選データに対応した入賞成立の有無に関係なく今回のゲームの終了後に「0」クリアされ、ボーナス当選データであれば入賞が成立した場合に「0」クリアされる。
【0087】
一方、判定値DVが「65535」を超えなかった場合、インデックス値IVと対応する役に外れたことを意味する。ステップS307では、インデックス値IVを1加算し、ステップS308では、インデックス値IVと対応する役があるか否か、即ち当否判定すべき判定対象があるか否かを判定する。具体的には、1加算されたインデックス値IVが抽選テーブルに設定されたインデックス値IVの最大値を超えたか否かを判定する。当否判定すべき判定対象がある場合にはステップS304に戻り、役の当否判定を継続する。このとき先の役の当否判定に用いた判定値DV(即ち現在の判定値DV)に現在のインデックス値IVと対応するポイント値PVを加算して新たな判定値DVとし、当該判定値DVに基づいて役の当否判定を行う。
【0088】
ステップS306の処理を実行した場合、又はステップS308にて否定判定をした場合には、役の当否判定が終了したことを意味する。この場合、ステップS309では、演出内容の決定処理を実行する。演出内容の決定処理では、今回のゲームにおいて上部ランプ64、スピーカ65及び画像表示装置66において実行する演出の大枠の内容を決定するための処理を実行する。当該大枠の内容として、ボーナス状態又はAT状態が発生することの期待度が徐々に低くなるように高期待度内容と中期待度内容と低期待度内容とが設定されている。演出内容の決定処理では所定ゲーム数以内にAT状態に移行するか否かという条件と、今回のゲームにおいて当選となっている役という条件との組合せに対応する抽選テーブルを利用して、演出の大枠の内容を抽選により決定する。
【0089】
ステップS310では、演出内容の決定処理において決定された大枠の内容に対応する情報はゲーム開始コマンドに設定され、そのゲーム開始コマンドは演出側MPU82への送信対象としてセットされる。ゲーム開始コマンドとは、新たなゲームが開始されたことを演出側MPU82に認識させるためのコマンドであって、主側MPU72にて決定された演出の大枠の内容を演出側MPU82に認識させるためのコマンドであり、タイマ割込み処理におけるコマンド出力処理(ステップS110)にて演出側MPU82に送信される。
【0090】
演出側MPU82は、ゲーム開始コマンドを受信した場合、今回のゲームにおける演出の大枠の内容を当該ゲーム開始コマンドから把握し、その把握した演出の大枠の内容に応じた態様で演出の細部の内容を抽選により決定する。そして、その決定した演出の内容に対応するデータテーブルを演出側ROM83から演出側RAM84に読み出し、その読み出したデータテーブルに従って上部ランプ64の発光制御、スピーカ65の音出力制御及び画像表示装置66の表示制御を実行する。
【0091】
その後、ステップS311にて、リール停止制御用の停止情報を設定する停止情報第1設定処理を行う。
【0092】
ステップS312では、報知制御処理を実行する。報知制御処理では、非ボーナス状態であってAT状態である場合において、押順ベルに当選した場合、押順ベル入賞の成立を可能とするリール32L,32M,32Rの停止順序を遊技者に認識可能とさせる報知(所謂、ベルナビ)が実行される。これにより、遊技者は表示された停止順序に従ってリールを停止させることで、当選した押順ベルを取りこぼすことなく押順ベル入賞を成立させることが可能となる。但し、非AT状態の場合には報知制御処理が実行されないため、押順ベル(押順ベル1~6)に入賞するためには、1/6となるストップボタン42~44の押し順に正解する必要がある。押し順不正解の場合には押順ベルを取りこぼすことになる。なお、リール32L,32M,32Rの停止順序を遊技者に認識可能とさせるための報知は、対応するゲームにおいてリール32L,32M,32Rの停止が可能となる前に開始される。
【0093】
(遊技状態)
図11は、遊技状態の移行態様を示す図である。ここで、本実施形態に係るスロットマシン10の有する遊技状態について説明する。本実施形態においては、同一の段階の設定値であっても主側MPU72において抽選テーブルが相違する抽選モードとして、ボーナス非内部状態、ボーナス内部状態及びボーナス状態中の3種類が存在している。
【0094】
ボーナス非内部状態は、RBB1又はRBB2のボーナスに当選していない状態である。RBB1又はRBB2のボーナスに当選した場合には、ボーナス内部状態に移行する。
【0095】
ボーナス内部状態は、RBB1又はRBB2のボーナスに当選した状態であって、且つ、RBB1又はRBB2のボーナスに入賞していない状態である。RBB1及びRBB2の当選フラグは当選となったゲームの次以降のゲームにも持ち越される。この、RBB1又はRBB2入賞が成立するまでの間をボーナス内部状態という。RBB1又はRBB2のボーナスに入賞した場合には、ボーナス状態に移行する。
【0096】
ボーナス状態は、RBB1又はRBB2のボーナスに入賞した状態である。ボーナスが終了した場合、再びボーナス非内部状態に移行する。
【0097】
また同時に、本実施形態においては、指示機能に係る性能を有することができるかどうかを定める区間として、通常区間及び有利区間の2種類の遊技状態が存在している。有利区間は、指示機能に係る性能(例えばAT等)を有することができる区間をいい、より具体的には例えばAT状態への移行抽選を実行したりAT状態に滞在ができる区間をいう。逆に通常区間は、指示機能に係る性能(例えばAT等)を有することができない区間をいう。
【0098】
このため、AT状態への移行抽選を実行したりAT状態に滞在するためには、通常区間滞在時において、例えば有利区間移行抽選に当選する等の、有利区間移行条件が満たされることで、有利区間に移行する必要がある。また、有利区間滞在時において、通常区間移行条件(通常区間転落条件ともいう)が満されると、有利区間は終了し通常区間に移行(転落)する。通常区間移行条件は、例えば通常区間移行抽選に当選したこと、1回の有利区間における最大滞在ゲーム数(例えば1500G)を超えたこと、又は1回の有利区間における遊技媒体の最大純増枚数(例えば2400枚)を超えたこと、などがある。
【0099】
次いで、ボーナス非内部状態、ボーナス内部状態及びボーナス状態中に参照される抽選テーブルについてそれぞれ説明する。
【0100】
(ボーナス非内部状態用抽選テーブル)
図12は、ボーナス非内部状態用テーブルを示す図である。
図13は、リールの停止順序及び成立する入賞態様の関係を示す図である。
【0101】
ボーナス非内部状態の滞在時、抽選処理においてはボーナス非内部状態用抽選テーブルが参照される。本抽選テーブルは、2枚賭け時及び3枚賭け時のポイント値PVを示す。
【0102】
ボーナス非内部状態用テーブルには、インデックス値IVが設定されており、各インデックス値IVには、当選役がそれぞれ対応付けられるとともにポイント値PVが設定されている。なおポイント値PVは、対応する抽選役の当選確率をフリーランカウンタの最大値(「65535」)との関係で定めるものである。
【0103】
インデックスIV=1で当選となった場合、押順ベル1当選データと、第1補填当選データとが設定されている。インデックス値IV=1で当選となった場合、
図13に示すように、第1停止として左リール32Lに「赤7」図柄を停止させ、第2停止が中リール32Mである場合に、押順ベル1入賞が成立し得る。但し、各ストップボタン42~44の押下順によっては、押順ベル1入賞が成立しない可能性がある。その場合には、第1補填入賞(所謂ベルこぼし1枚)か、又は操作タイミングによっては完全な取りこぼし(0枚)が発生する。
【0104】
本スロットマシン10においてはストップボタン42~44が操作されてから最大4図柄分まで滑らせることが可能なリール制御が各リール32L,32M,32Rについて行われる。つまり、ストップボタン42~44が操作されてから規定時間(190msec)が経過するまでに停止させるリール制御が各リール32L,32M,32Rについて行われる。このようなリール制御が行われることにより、当選役に対応した入賞を成立させ易くすることが可能となるとともに、当選していない役に対応した入賞が成立してしまうことを回避することが可能となる。但し、滑らせることが可能なリール32L,32M,32Rの回転量が上記のように制限されているため、一のリール32L,32M,32Rにおいて、入賞を成立させるための図柄の組合せを構成する構成図柄間に5図柄以上が存在していると、対応するストップボタン42~44の操作タイミングによっては当該構成図柄がメインラインML上に停止しないことが起こり得る(当該事象を所謂「取りこぼし」ともいう)。一般に各々の補填入賞、共通ベル入賞及び各種リプレイ入賞は対応する順序でリール32L,32M,32Rが停止された場合には取りこぼしが発生しない入賞態様であり、押順ベル1~6、スイカ入賞、チェリー入賞、1枚役、ボーナス入賞などはリール32L,32M,32Rの回転位置に対するストップボタン42~44の停止操作タイミングによっては取りこぼしが発生し得る入賞態様である。
【0105】
インデックスIV=2で当選となった場合、押順ベル1当選データと、第2補填当選データとが設定されている。インデックス値IV=2で当選となった場合、
図13に示すように、第1停止として左リール32Lに「赤7」図柄を停止させ、第2停止が右リール32Rである場合に、押順ベル2入賞が成立し得る。但し、各ストップボタン42~44の押下順によっては、押順ベル2入賞が成立しない可能性がある。その場合には、第2補填入賞(所謂ベルこぼし1枚)か、又は操作タイミングによっては完全な取りこぼし(0枚)が発生する。
【0106】
インデックスIV=3で当選となった場合、押順ベル2当選データと、第3補填当選データとが設定されている。インデックス値IV=3で当選となった場合、
図13に示すように、第1停止として左リール32Lに「白7」図柄を停止させ、第2停止が中リール32Mである場合に、押順ベル3入賞が成立し得る。但し、各ストップボタン42~44の操作タイミングによっては、押順ベル3入賞が成立しない可能性がある。その場合には、第3補填入賞(所謂ベルこぼし1枚)か、又は操作タイミングによっては完全な取りこぼし(0枚)が発生する。
【0107】
インデックスIV=4で当選となった場合、押順ベル2当選データと、第4補填当選データとが設定されている。インデックス値IV=4で当選となった場合、
図13に示すように、第1停止として左リール32Lに「白7」図柄を停止させ、第2停止が右リール32Rである場合に、押順ベル4入賞が成立し得る。但し、各ストップボタン42~44の押下順によっては、押順ベル1入賞が成立しない可能性があるその場合には、第4補填入賞(所謂ベルこぼし1枚)か、又は操作タイミングによっては完全な取りこぼし(0枚)が発生する。
【0108】
インデックスIV=5で当選となった場合、押順ベル3当選データと、第5補填当選データとが設定されている。インデックス値IV=5で当選となった場合、
図13に示すように、第1停止として中リール32Mに「赤7」図柄を停止させ、第2停止が左リール32Lである場合に、押順ベル5入賞が成立し得る。但し、各ストップボタン42~44の押下順によっては、押順ベル3入賞が成立しない可能性があるその場合には、第5補填入賞(所謂ベルこぼし1枚)か、又は操作タイミングによっては完全な取りこぼし(0枚)が発生する。
【0109】
インデックスIV=6で当選となった場合、押順ベル3当選データと、第6補填当選データとが設定されている。インデックス値IV=6で当選となった場合、
図13に示すように、第1停止として中リール32Mに「赤7」図柄を停止させ、第2停止が右リール32Rである場合に、押順ベル6入賞が成立し得る。但し、各ストップボタン42~44の押下順によっては、押順ベル3入賞が成立しない可能性があるその場合には、第6補填入賞(所謂ベルこぼし1枚)か、又は操作タイミングによっては完全な取りこぼし(0枚)が発生する。
【0110】
このようにインデックス値IV=1~6の押順ベル1~6当選データ及び第1~6補填当選データの何れかが当選した場合、各ストップボタン42~44の6通りの押し順のうち何れか1通りの押し順によりストップボタン42~44が操作されたときに、ベル(所謂、6択ベル)が揃うことになる。
【0111】
インデックス値IV=7には、共通ベル当選データが設定されている。インデックス値IV=7で当選となった場合、
図13に示すように、各ストップボタン42~44の操作タイミングに関係なく共通ベル入賞が確実に成立する。
【0112】
インデックス値IV=8には、スイカ当選データが設定されている。インデックス値IV=8で当選となった場合、
図13に示すように、リール32L,32M,32Rの停止順序に関係なくスイカ入賞が成立し得る。但し、各ストップボタン42~44の操作タイミングによっては、スイカ入賞が成立しない可能性がある(所謂取りこぼし)。
【0113】
インデックス値IV=9には、チェリー当選データが設定されている。インデックス値IV=9で当選となった場合、
図13に示すように、リール32L,32M,32Rの停止順序に関係なくチェリー入賞が成立し得る。但し、左リール32Lの回転位置に対する左ストップボタン42の操作タイミングによっては、チェリー入賞が成立しない可能性がある(所謂取りこぼし)。
【0114】
インデックスIV=10で当選となった場合、1枚役当選データが設定されている。インデックス値IV=10で当選となった場合、
図13に示すように、リール32L,32M,32Rの停止順序に関係なく1枚役入賞が成立し得る。但し、各ストップボタン42~44の操作タイミングによっては、1枚役入賞が成立しない可能性がある(所謂取りこぼし)。
【0115】
遊技媒体の賭け数が2枚賭けのときに、インデックスIV=11で当選となった場合、RBB1役当選データが設定されている。インデックス値IV=11で当選となった場合、
図13に示すように、リール32L,32M,32Rの停止順序に関係なくRBB1役入賞が成立し得る。但し、各ストップボタン42~44の操作タイミングによっては、RBB1役入賞が成立しない可能性がある。
【0116】
遊技媒体の賭け数が3枚賭けのときに、インデックスIV=12で当選となった場合、RBB2役当選データが設定されている。インデックス値IV=12で当選となった場合、
図13に示すように、リール32L,32M,32Rの停止順序に関係なくRBB2役入賞が成立し得る。但し、各ストップボタン42~44の操作タイミングによっては、RBB2役入賞が成立しない可能性がある。
【0117】
なお、RBB1及びRBB2当選データ以外の当選データは入賞が成立したか否かに関係なく当選となったゲームにて消去され、当選となったゲームの次以降のゲームには持ち越されない。これに対して、RBB1及びRBB2当選データは、主側RAM74のクリア処理が行われる場合を除き、当選となったゲームの次以降のゲームであっても対応するRBB1及びRBB2入賞が成立するまで記憶保持される。この場合に、RBB1及びRBB2当選データが持ち越されている状態のゲームにおいては、RBB1及びRBB2当選データに対応するインデックス値IVは抽選対象から除外される。これにより、RBB1及びRBB2当選データが既に記憶保持されているにも関わらずRBB1及びRBB2当選データが新たに記憶されてしまわないようにすることが可能となり、複数のRBB1及びRBB2当選データが累積して記憶されてしまわないようにすることが可能となる。
【0118】
インデックス値IV=13には、リプレイ当選データが設定されている。インデックス値IV=13で当選となった場合にはリール32L,32M,32Rの停止順序及び各ストップボタン42~44の操作タイミングとは無関係にリプレイ入賞が成立する。なお、本実施形態に係るボーナス非内部状態用テーブルの場合、リプレイ当選確率は、約1/7.3である。
【0119】
(ボーナス内部状態用抽選テーブル)
図14は、ボーナス内部状態用テーブルを示す図である。ボーナス内部状態の滞在時、抽選処理においてはボーナス内部状態用抽選テーブルが参照される。本抽選テーブルは、2枚賭け時及び3枚賭け時のポイント値PVを示す。
【0120】
ボーナス内部状態は、RBB1及びRBB2のボーナスに当選した状態であって、且つRBB1及びRBB2のボーナスに入賞していない状態である。RBB1及びRBB2の当選フラグは当選となったゲームの次以降のゲームにも持ち越されるため、ボーナス内部状態用テーブルは、RBB1及びRBB2の当選~入賞成立までの間に参照される。
【0121】
ここで、本遊技機においては、ボーナス非内部状態中は2枚掛けで遊技させ、RBB1(約1/10)に当選した場合、RBB1のボーナス内部状態中に移行する。そして、RBB1のボーナス内部状態中は3枚掛けでの遊技を行うことが好ましい遊技の方法となる。RBB1のボーナス内部状態中、3枚掛けでの遊技時には、2枚掛け専用であるRBB1のボーナスは、遊技者が当選フラグが持ち越されているRBB1の成立図柄を狙っても入賞しないようリールが制御されているため3枚掛けでの遊技において誤ってRBB1が入賞してしまうことを防ぐことができる。
【0122】
インデックス値IV=1~10には、ボーナス非内部状態用抽選テーブルと同一の当選データが設定されているため、繰り返しの説明は省略する。また、インデックス値IV=11には、リプレイ当選データが設定されている。インデックス値IV=11で当選となった場合にはリール32L,32M,32Rの停止順序及び各ストップボタン42~44の操作タイミングとは無関係にリプレイ入賞が成立する。
【0123】
なお、本実施形態に係るボーナス内部状態用テーブルの場合、ボーナス非内部状態のときのリプレイ当選確率(約1/7.3)と比べてリプレイ当選確率がアップしており、そのリプレイ当選確率は、約1/3.9である。即ち、ボーナス内部状態においては、ボーナス非内部状態のときよりも、RT状態(高リプレイ状態)となっている。
【0124】
またボーナス内部状態用テーブルにおいて、インデックス値IV=1~11の何れにも当選しない場合には「はずれ」となる。本実施形態に係るボーナス内部状態用テーブルによれば、3枚賭けの場合、「はずれ」の確率は約1/1.6である。
【0125】
ボーナス内部状態中においては、RBB1又はRBB2のボーナスに当選した状態であるものの、インデックス値IV=1~10の小役やインデックス値IV=11のリプレイに当選したゲームでは、これら小役又はリプレイが優先的に成立するようリール制御がなされるため、遊技者はRBB1又はRBB2入賞を成立させることができない。一方、「はずれ」の場合においては、遊技者は当選フラグが持ち越されているRBB1又はRBB2の成立図柄を狙うことで、その入賞を成立させることが可能である。
【0126】
(ボーナス状態用抽選テーブル)
図15は、ボーナス状態用抽選テーブルを示す図である。上述したように本実施形態においてはボーナスの種類として、RBB1及びRBB2が存在する。RBB1又はRBB2入賞すると、RBB1状態又はRBB2状態(ボーナス状態)に滞在し、その抽選処理においてはボーナス状態用抽選テーブルが参照される。本抽選テーブルは、2枚賭け時及び3枚賭け時のポイント値PVを示す。
【0127】
インデックス値IV=1には、共通ベル当選データが設定されている。RBB1又はRBB2中においてインデックス値IV=1で当選となった場合、各ストップボタン42~44の操作タイミングに関係なく共通ベル入賞が確実に成立する。
【0128】
インデックス値IV=2には、1枚役当選データが設定されている。RBB1又はRBB2中においてインデックス値IV=2で当選となった場合、リール32L,32M,32Rの停止順序に関係なく1枚役入賞が成立し得る。但し、各ストップボタン42~44の操作タイミングによっては、1枚役入賞が成立しない可能性がある(所謂取りこぼし)。
【0129】
RBB1及びRBB2状態は、例えばRBB1又はRBB2状態が開始されてから遊技媒体の払い出し枚数が終了基準数以上(例えば「105」)として設定された終了条件が成立した場合に終了する。RBB1状態又はRBB2状態が終了すると、遊技状態はボーナス非内部状態に移行する(
図11)。
【0130】
{報知制御処理}
図16は、報知制御処理を示すフローチャートである。抽選処理におけるステップS312の報知制御処理について説明する。
【0131】
ステップS401では、押順ベル1~6の何れかが当選となったか否かを判定する。具体的には、ボーナス非内部状態又はボーナス内部状態において、インデックス値IV=1~6(
図12、14)のいずれかで当選となった場合である。
【0132】
ステップS402では、主側RAM74のAT状態フラグの値が1(即ち、AT状態中)であるか否かを判定する。ステップS403では、AT状態フラグの値が1であることを条件として、報知停止順序の取得処理を実行する。報知停止順序の取得処理では、主側ROM73の表示対応テーブル(
図13)を参照することで、今回当選となったインデックス値IVにおいて押順ベル入賞の成立を可能とする停止順序(リール32L,32M,32Rの図柄停止順序)を取得する。
【0133】
ステップS404では、報知実行コマンド及び停止順コマンドを演出側MPU82への送信対象としてセットする。報知実行コマンドは、今回のゲームにおいて当選役と関係する報知を実行すべきことを演出側MPU82に認識させるためのコマンドであり、停止順コマンドは、今回のゲームにおいて報知すべきリール32L,32M,32Rの停止順序(所謂、ベルナビ)を演出側MPU82に認識させるためのコマンドである。
【0134】
報知実行コマンドは1種類のみ設定されており、画像表示装置66における報知内容に関係なく同一の報知実行コマンドが送信対象としてセットされる。停止順コマンドは、画像表示装置66にて報知させる停止順序の種類に1対1で対応させて設定されており、ステップS1804ではベル入賞の発生を可能とするリール32L,32M,32Rの停止順序に対応する停止順コマンドを主側ROM73から読み出して送信対象としてセットする。ステップS1804にてセットされた各種コマンドは、タイマ割込み処理におけるコマンド出力処理(ステップS110)にて演出側MPU82に送信される。
【0135】
このような報知制御処理により、AT状態(アシストタイム状態)においては、ボーナス非内部状態用テーブル又はボーナス内部状態用テーブルにおいて、インデックス値IV=1~6の押順ベル当選データ及び第1~6補償当選データのいずれかで当選となった場合、押順ベル入賞の成立を可能とするリール32L,32M,32Rの停止順序に対応する表示が画像表示装置66にて表示される。遊技者は表示された停止順序に従ってリールを停止させることで、当選したベルを取りこぼすことなく押順ベル入賞を容易に成立させることが可能となる。
【0136】
図17は、画像表示装置66におけるリール停止順序の報知を示す図である。演出側MPU82は、主側MPU72から報知実行コマンド及び停止順コマンドの両方を受信した場合、停止順コマンドに対応するリール32L,32M,32Rの停止順序の画像を画像表示装置66にて表示するために必要なデータの設定を行う。その後、演出側MPU82は、報知開始処理を実行する。報知開始処理では、設定したデータに基づき画像表示装置66にて画像を表示させる。これにより、今回の停止順コマンドに対応したリール32L,32M,32Rの停止順序が画像表示装置66にて表示される。
【0137】
画像表示装置66においてリール32L,32M,32Rの停止順序が報知される場合、画像表示装置66にはゲームを終了させるために必要な停止操作の回数と同数の単位表示画像G1~G3が表示され、左リール32Lに対応する左単位表示画像G1と、中リール32Mに対応する中単位表示画像G2と、右リール32Rに対応する右単位表示画像G3とにおいて、リール32L,32M,32Rの停止順序に対応する画像表示が行われる。
【0138】
(a)においては、例えば第1停止が中リール32Mであり第2停止が左リール32Lであり第3停止が右リール32Rである場合の停止順序が報知される様子を示す。この場合、左単位表示画像G1には左リール32Lの停止順序に対応する「2」の画像が表示され、中単位表示画像G2には中リール32Mの停止順序に対応する「1」の画像が表示され、右単位表示画像G3には右リール32Rの停止順序に対応する「3」の画像が表示される。
【0139】
また、第1停止させるリール32L,32M,32Rの種類だけを報知する場合、画像表示装置66には、左リール32Lに対応する左単位表示画像G4と、中リール32Mに対応する中単位表示画像G5と、右リール32Rに対応する右単位表示画像G6とが表示される。
【0140】
(b)においては、第1停止が中リール32Mであり第2停止及び第3停止が任意である場合の停止順序が報知される様子を示す。この場合、左単位表示画像G4には左リール32Lの停止順序に対応する画像は表示されず、中単位表示画像G5には中リール32Mの停止順序に対応する「1」の画像が表示され、右単位表示画像G6には右リール32Rの停止順序に対応する画像は表示されない。
【0141】
上述したようにリール32L,32M,32Rの停止順序に対応して入賞の成立態様が相違するが、これら停止順序は、リール32L,32M,32Rの組み合わせにより、合計で6通り存在している。報知制御処理においては、AT状態であることを条件として画像表示装置66上、当選役との関係で、当該当選役(例えば押順ベル等)の入賞が可能となるリール32L,32M,32Rの停止順序の報知表示が行われる。これにより、リール32L,32M,32Rの停止順序を遊技者に認識可能とさせる。
【0142】
[リール制御処理]
図18は、リール制御処理を示すフローチャートである。通常処理におけるステップS208のリール制御処理について説明する。
【0143】
リール制御処理では、まずステップS501において各リール32L,32M,32Rの回転を開始させる回転開始処理を行う。回転開始処理では、前回の遊技でリールが回転を開始した時点から予め定めたウエイト時間(例えば4.1秒)が経過したか否かを確認し、経過していない場合にはウエイト時間が経過するまで待機する。ウエイト時間が経過した場合には、次回の遊技のためのウエイト時間を再設定するとともに、主側RAM74に設けられたモータ制御格納エリアに回転開始情報をセットするモータ制御初期化処理を行う。かかる処理を行うことにより、タイマ割込み処理におけるステップS106のステッピングモータ制御処理にてステッピングモータの加速処理が開始され、各リール32L,32M,32Rが回転を開始する。その後、各リール32L,32M,32Rが所定の回転速度で定速回転するまで待機し、回転開始処理を終了する。また、主側MPU72は、各リール32L,32M,32Rの回転速度が定速となると、各ストップボタン42~44の図示しないランプを点灯表示することにより、停止指令を発生させることが可能となったことを遊技者等に報知する。
【0144】
回転開始処理に続き、ステップS502では、ストップボタン42~44のいずれかが操作されたか否かを判定する。いずれのストップボタン42~44も操作されていない場合には、ストップボタン42~44のいずれかが操作されるまで待機する。ストップボタン42~44のいずれかが操作されたと判定した場合には、ステップS503に進み、回転中のリールと対応するストップボタンが操作されたか否か、すなわち停止指令が発生したか否かを判定する。停止指令が発生していない場合には、ステップS502に戻り、ストップボタン42~44のいずれかが操作されるまで待機する。停止指令が発生した場合には、ステップS504にて停止指令コマンドをセットする。
【0145】
停止指令コマンドとは、いずれのストップボタン42~44が操作されて停止指令が発生したのかを把握させるべくサブ制御装置80に送信されるコマンドである。停止指令コマンドをセットした場合には、回転中のリールを停止させるべくステップS505~ステップS511に示す停止制御処理を行う。
【0146】
ステップS505では、ストップボタンの操作されたタイミングで基点位置(本実施形態では下段)に到達している到達図柄の図柄番号を確認する。具体的には、リールインデックスセンサの検出信号が入力された時点から出力した励磁パルス数により、基点位置に到達している到達図柄の図柄番号を確認する。続くステップS506では、主側RAM74に格納されている停止情報に基づいて、今回停止させるべきリールのスベリ数を算出する。
【0147】
本スロットマシン10では、各リール32L,32M,32Rを停止させる停止態様として、ストップボタン42~44が操作された場合に、基点位置に到達している到達図柄をそのまま停止させる停止態様と、対応するリールを1図柄分滑らせた後に停止させる停止態様と、2図柄分滑らせた後に停止させる停止態様と、3図柄分滑らせた後に停止させる停止態様と、4図柄分滑らせた後に停止させる停止態様との5パターンの停止態様が用意されている。そこでステップS506では、主側RAM74に格納されている停止情報に基づいて、スベリ数として0~4のいずれかの値を算出する。
【0148】
その後、ステップS507では、算出したスベリ数を到達図柄の図柄番号に加算し、基点位置に実際に停止させる停止図柄の図柄番号を決定する。ステップS508では今回停止させるべきリールの到達図柄の図柄番号と停止図柄の図柄番号が等しくなったか否かを判定し、等しくなった場合にはステップS509にてリールの回転を停止させるリール停止処理を行う。その後、ステップS510では、全リール32L,32M,32Rが停止したか否かを判定する。全リール32L,32M,32Rが停止していない場合には、ステップS511にて停止情報第2設定処理を行い、ステップS502に戻る。
【0149】
ここで、停止情報とは、各リール32L,32M,32Rの停止態様を、抽選処理(
図11)の結果に対応したものとするための情報であり、当該停止情報を利用することにより、各ストップボタン42~44が停止操作された場合に基点位置に到達している到達図柄に対するスベリ数(具体的には「0」~「4」)を算出することが可能となる。当該停止情報としては、各図柄とスベリ数との対応関係を示すスベリ数データが、各抽選結果及び各リール32L,32M,32Rの停止順序に対応させて主側ROM73に予め記憶されている。但し、これに限定されることはなく、各抽選結果及び各リール32L,32M,32Rの停止順序に対応するスベリ数データを、リール32L,32M,32Rの回転中などに導出する構成としてもよい。
【0150】
上記停止情報を設定するための処理として、抽選処理(
図10)のステップS311にて実行される停止情報第1設定処理と、リール制御処理(
図18)のステップS511にて実行される停止情報第2設定処理とが存在している。停止情報第1設定処理では、抽選処理結果に応じて停止情報を設定する。
【0151】
停止情報第2設定処理では、停止情報第1設定処理又は前回の停止情報第2設定処理にて主側RAM74に格納された停止情報を、リールの停止後に変更する処理である。停止情報第2設定処理では、セットされている当選データと、リール32L,32M,32Rの停止順序と、停止しているリール32L,32M,32Rの停止出目と、に基づいて停止情報を変更する。
【0152】
なお、例えば、各入賞役に対応した図柄組合せを形成する図柄は、対応する各リール32L,32M,32Rにおいて周回方向に離間される最大の図柄数が4図柄分となるように配置されている。かかる構成において、抽選処理の結果及び各リール32L,32M,32Rの停止順序の組合せが、これらの何れかの入賞発生に対応している場合、各ストップボタン42~44の操作順序に関係なく当該入賞が発生するように停止情報が設定される。
【0153】
リール制御処理(
図18)の説明に戻り、ステップS510にて全リール32L,32M,32Rが停止していると判定した場合には、ステップS512にて入賞判定処理を実行し、続くステップS513にて当該入賞判定処理の結果に対応したデータを含む入賞結果コマンドをサブ制御装置80への出力対象としてセットした後に、本リール制御処理を終了する。
【0154】
{入賞判定処理}
図19は、入賞判定処理を示すフローチャートである。
【0155】
入賞判定処理では、ステップS601にて、左リール32LにおいてメインラインML上に停止している図柄の種類を把握し、ステップS602にて、中リール32MにおいてメインラインML上に停止している図柄の種類を把握し、ステップS603にて、右リール32RにおいてメインラインMLに停止している図柄の種類を把握する。この図柄の種類の把握に際しては、図柄の種類毎に設定されている2バイトデータを主側ROM73から読み出す。
【0156】
そして、ステップS604にて、図柄組合せの論理演算処理として、ステップS601~ステップS603にて把握した各2バイトデータを同一の順番のビット同士でAND処理することで、図柄の組合せに対応した2バイトデータを導出する。
【0157】
ステップS605では、ステップS604にて導出した2バイトデータがいずれかの入賞データに対応しているか否かを判定する。ステップS605にて肯定判定をした場合には、ステップS606にて入賞対応処理を実行する。
【0158】
入賞対応処理では、今回発生した入賞に対応した当選フラグに「1」がセットされているか否かを判定し、「1」がセットされていない場合には異常コマンドをサブ制御装置80への出力対象としてセットする。サブ側MPU82では、当該異常コマンドを受信することにより、不正入賞に対応した異常報知をスピーカ65及び画像表示装置66により実行する。
【0159】
一方、当選フラグに「1」がセットされている場合には、その入賞が小役入賞であればメダル払出処理においてメダル又は仮想メダルの付与を可能とするように払出対象となるメダル数を主側RAM74の払出対象カウンタにセットする。一方、その入賞がリプレイ入賞であれば、通常処理(
図9)における次回のステップS203にて、今回のベット数と同一数のベット設定を可能とするためのフラグ設定処理を実行する。
【0160】
[遊技終了時の対応処理]
図20は、遊技終了時の対応処理を示すフローチャートである。通常処理におけるステップS210の遊技終了時の対応処理について説明する。はじめに、遊技終了時の対応処理の全体について説明し、その後、遊技終了時の対応処理内におけるステップS702のボーナス用処理、ステップS703の区間管理処理、ステップS706のAT移行チャンス処理、ステップS707のAT状態処理について、それぞれ詳しく説明する。
【0161】
遊技終了時の対応処理では、まずボーナス状態である場合(ステップS701:YES)、ボーナス用処理を実行する(ステップS702)。ボーナス用処理では、ボーナス役入賞状態であれば今回のゲームにおいてボーナス入賞が発生したため主側RAM74に設けられたボーナス状態フラグに「1」をセットすることで、遊技状態をボーナス状態に移行させる。これにより、次回以降のゲームにおける抽選処理では、ボーナス状態用抽選テーブル(
図15)が参照されることとなる。また、ボーナス状態に移行したことを示すコマンドを演出側MPU82に送信することで、上部ランプ64、スピーカ65及び画像表示装置66においてボーナス状態用の演出を開始させる。また、ボーナス状態に移行させた場合に主側RAM74からボーナス当選データを消去することで、ボーナスに当選した状態を解除する。
【0162】
一方、S701にて、ボーナス状態のいずれでもない場合(ステップS701:NO)、区間管理処理(ステップS703)を実行する。区間管理処理においては、通常区間又は有利区間の管理処理が実行される。
【0163】
続いてS703にて、有利区間フラグが1であるか否かを判定し、有利区間フラグが1である場合にはAT状態フラグの示す処理へ進む(ステップS705)。AT状態フラグが1を示す場合には非AT状態を示し、AT状態フラグが2を示す場合にはAT状態を示し、AT状態フラグが2を示す場合には非AT状態であってAT終了後に発生する有利区間リセット可能状態を示す。
【0164】
AT状態フラグが0を示す場合、ステップS706のAT移行チャンス処理へ進む。AT状態フラグが1を示す場合、ステップS707のAT状態処理へ進む。
【0165】
最後に、ボーナス用処理(ステップS702)を実行した後、有利区間フラグが1でない場合(ステップS704)、AT移行チャンス処理(ステップS706)を実行した後、AT状態処理(ステップS707)を実行した後、ゲーム終了コマンドを演出側MPU82への送信対象としてセットする(ステップS708)。ゲーム終了コマンドは、1ゲームが終了したことを演出側MPU82に認識させるためのコマンドであり、当該コマンドはタイマ割込み処理におけるコマンド出力処理(ステップS110)にて演出側MPU82に送信される。
【0166】
{ボーナス用処理}
図21は、ボーナス状態処理を示すフローチャートである。
図20のステップS702において、ボーナス状態である場合、ボーナス用処理としてボーナス状態処理を実行する。
【0167】
今回のゲームにおいて遊技媒体の付与が発生したことを条件として(ステップS801:YES)、次に、主側RAM74に設けられたボーナス用カウンタの減算処理を実行する(ステップS802)。ボーナス用カウンタは、ボーナス状態が開始されてから払い出された遊技媒体の合計数が終了基準数以上となったか否かを主側MPU72にて特定するためのカウンタである。ボーナス状態が開始された場合にはこのボーナス用カウンタに終了基準数がセットされる。ボーナス用カウンタの減算処理では、今回のゲームにおいて付与された遊技媒体の数をボーナス用カウンタの値から減算する。
【0168】
減算後におけるボーナス用カウンタの値が「0」である場合(ステップS803:YES)、ボーナス終了処理を実行する(ステップS804)。ボーナス終了処理では、主側RAM74のボーナス状態フラグを「0」クリアすることでボーナス状態を終了させる。また、ボーナス状態が終了したことを示すコマンドを演出側MPU82に送信することで、上部ランプ64、スピーカ65及び画像表示装置66におけるボーナス状態用の演出を終了させる。
【0169】
次いで、ボーナス終了処理を実行後(ステップS804)もしくは減算後におけるボーナス用カウンタの値が「0」でない場合(ステップS803:NO)、有利区間フラグ=1であるか否かを判定する(ステップS805)。有利区間フラグ=1である場合(ステップS805:YES)、主側RAM74に設けられた有利区間滞在G数カウンタを1加算する(ステップS806)。有利区間滞在G数カウンタは、有利区間開始から有利区間終了までの滞在ゲーム数をカウントするためのカウンタである。本実施形態において一回の有利区間中は最大1500Gまでを滞在して遊技が可能である。最大1500Gを超えると有利区間は終了し通常区間に転落する。有利区間フラグ=1、即ち有利区間滞在中であれば、ボーナス中に消化したゲーム数も有利区間滞在G数カウンタにカウントされる。
【0170】
また、主側RAM74に設けられた純増枚数カウンタの加減算処理を実行する(ステップS807)。純増枚数カウンタ(MYカウンタ、累計純増獲得枚数カウンタともいう)は、有利区間開始からこれまでに獲得した遊技媒体の累計純増枚数をカウントするためのカウンタである。本実施形態において1回の有利区間中は最大2400枚までの遊技媒体を獲得可能である。最大2400枚を超えると有利区間は終了し通常区間に転落する。有利区間フラグ=1、即ち有利区間滞在中であれば、ボーナス中に獲得した遊技媒体数も純増枚数カウンタにカウントされる。なお、純増枚数カウンタは有利区間中の獲得差枚をカウントするものであるため、今回のゲームで遊技媒体を獲得できなかった場合も、例えばベット数3枚のマイナス分純増枚数を減算する。
【0171】
次に、有利区間滞在G数カウンタ>1500又は純増枚数カウンタ>2400の何れかを満たすか否かを判定する(ステップS808)。上述したように本実施形態において一回の有利区間中は最大1500Gまで遊技可能であり、又は最大2400枚まで遊技媒体を獲得可能である。従って、有利区間滞在G数が最大1500Gを超えるか、又は累計純増獲得枚数が最大値2400枚を超えた場合に(ステップS808:YES)、有利区間フラグ及びAT状態フラグに「0」をセットし(ステップS809)、有利区間を終了させ通常区間に転落させる。また、有利区間滞在G数カウンタ及び純増枚数カウンタを0リセットする(ステップS810)。
【0172】
{区間管理処理}
図22は、区間管理処理を示すフローチャートである。
図20のステップS703において、通常区間及び有利区間の相互区間への区間管理処理を実行する。上述したように、有利区間は指示機能に係る性能(例えばAT等)を有することができる区間をいう。
【0173】
まず現在の滞在区間が通常区間又は有利区間の何れであるかを判定する(ステップS901)。有利区間フラグ=0の場合(ステップS901:YES)、即ち通常区間に滞在している場合、ステップS902へ進む。一方、有利区間フラグ=0でない場合(ステップS901:NO)、ステップS905へ進む。なお、有利区間フラグ=0の場合とは通常区間に滞在し、有利区間フラグ=1の場合とは有利区間に滞在していることを示す。
【0174】
通常区間である場合、有利区間移行抽選を実行する(ステップS902)。有利区間移行抽選処理では、ベット数(賭け数)に対応した有利区間移行抽選テーブルを主側ROM73から読み出すとともに、主側RAM74において定期的(例えば2msec周期)に更新される抽選用カウンタの値を読み出し、抽選用カウンタの値を上記読み出した有利区間移行抽選テーブルに対して照合する。
【0175】
図23は、有利区間移行抽選テーブルを示す図である。有利区間移行抽選テーブルを参照し、有利区間移行抽選処理を実行する。
【0176】
本有利区間移行抽選テーブルによれば、通常区間に滞在中に今回のゲームにおいて、例えばインデックス値IV=1~6の押順ベル1~6及び第1~6補填、インデックス値IV=7の共通ベル、インデックス値IV=8のスイカ、インデックス値IV=9のチェリー、インデックス値IV=10の1枚役、インデックス値IV=11のRBB1、インデックス値IV=12のRBB2、インデックス値IV=13のリプレイが当選した場合、100.0%の確率で有利区間移行抽選に当選する。
【0177】
本有利区間移行抽選テーブルの場合、何れか役に当選しさえすれば100.0%の確率で有利区間移行抽選に当選するようにしたが、これはあくまで一例であって、特定の役への入賞及び所定の確率でのみ、有利区間移行抽選に当選するように、有利区間移行抽選テーブルが設定されていてもよい。
【0178】
再び
図22を参照する。有利区間移行抽選処理にて有利区間移行当選となった場合(ステップS903:YES)、有利区間フラグに「1」をセットする(ステップS904)。これにより、通常区間から、指示機能に係る性能を有する有利区間へと移行する。
【0179】
一方、S901で有利区間フラグ=0でない場合(ステップS901:NO)、即ち有利区間に滞在している場合、ステップS905へ進む。
【0180】
有利区間に滞在している場合、有利区間滞在G数カウンタを1加算する(ステップS905)。有利区間中の滞在Gをカウントするためである。また、純増枚数カウンタに今回のゲームで獲得又は減少した純増獲得枚数を加減算する(ステップS906)。有利区間中の純増枚数をカウントするためである。なお、今回のゲームで遊技媒体を獲得できなかった場合もマイナス分の純増枚数を減算する。
【0181】
次に、有利区間滞在G数カウンタ>1500又は純増枚数カウンタ>2400の何れかを満たすか否かを判定する(ステップS907)。上述したように本実施形態において一回の有利区間中は最大1500Gまで遊技可能であり、又は最大2400枚まで遊技媒体を獲得可能である。従って、有利区間滞在G数が最大1500Gを超えるか、又は累計純増獲得枚数が最大値2400枚を超えた場合に(ステップS907:YES)、有利区間フラグ及びAT状態フラグに「0」をセットし(ステップS908)、有利区間を終了させ通常区間に転落させる。また、有利区間滞在G数カウンタ及び純増枚数カウンタを0リセットする(ステップS909)。
【0182】
一方、有利区間滞在G数が最大1500Gを超えずに、且つ累計純増獲得枚数が最大値2400枚を超えない場合(ステップS907:NO)、区間管理処理を終了する。
【0183】
{AT移行チャンス管理処理}
図24は、AT移行チャンス管理処理を示すフローチャートである。AT移行チャンス管理処理(ステップS706)について説明する。AT移行チャンス管理処理は、有利区間フラグが1を示し且つAT状態フラグが0を示す場合、即ち、有利区間中、非ボーナス中且つ非AT状態においてに実行される。
【0184】
まず今回のゲームにおいて、AT移行抽選契機役に当選したか否かを判定する(ステップS1001)。AT移行抽選契機役は、例えばスイカ、チェリー及び一枚役などが該当する。AT移行抽選契機役に当選した場合(ステップS1001:YES)、AT移行抽選処理を実行する(ステップS1002)。なお、AT移行抽選契機役の入賞が成立しなかったとしてもAT移行抽選契機役に当選すればAT移行抽選処理が実行される。但し、これに限定されることはなく対応する入賞が成立したことを条件としてAT移行抽選処理が実行される構成としてもよい。
【0185】
AT状態へのAT移行抽選処理では、AT移行抽選テーブルを主側ROM73から読み出すとともに、主側RAM74において定期的(例えば2msec周期)に更新される抽選用カウンタの値を読み出し、抽選用カウンタの値を上記読み出したAT移行抽選テーブルに対して照合する。
【0186】
図25は、AT移行抽選テーブルの一例を示す図である。有利区間中、非ボーナス状態であって非AT状態中において、AT移行抽選契機役に当選となった場合、本AT移行抽選テーブルに基づいてAT移行抽選処理が実行される。
【0187】
AT移行抽選テーブルは、スロットマシン10の設定値の「1」~「6」に対して共通の1種類のテーブルとして設けられている。つまり、インデックス値IV=8、9又は10で当選となった場合に、AT移行当選となる確率は全設定共通である。これにより、非AT状態においてAT移行当選となる確率に関しては設定間で有利又は不利が生じないようにすることが可能となる。また、AT移行抽選テーブルとして全設定共通の1種類のテーブルのみを主側ROM73に記憶させておけばよいため、AT移行抽選テーブルを予め記憶するための記憶容量を抑えることが可能となる。
【0188】
本AT移行抽選テーブルによれば、インデックス値IV=8のスイカで当選となった場合、AT移行抽選確率として、全設定値共通の10%の当選確率でAT移行抽選処理が実行される。また、インデックス値IV=9のチェリーで当選となった場合、AT移行抽選確率として、全設定値共通の25%の当選確率でAT移行抽選処理が実行される。また、インデックス値IV=10の1枚役で当選となった場合、AT移行抽選確率として、全設定値共通の20%の当選確率でAT移行抽選処理が実行される。
【0189】
再び
図24の説明に戻る。AT状態への移行抽選処理にてAT移行当選となった場合(ステップS1003:YES)、初期AT差枚数の設定処理を実行する(ステップS1004)。スロットマシン10は、差枚数管理型のAT機であるため、1セットのATは、AT継続ゲーム数(例えば50G)ではなく、AT中に獲得可能な差枚数で管理される。よって初期AT差枚数の設定処理では、主側RAM74に設けられたAT差枚数カウンタに初期AT差枚数として例えば「150」枚をセットする。
【0190】
なお、初期AT差枚数は一律固定値(例えば「150」)とする他、抽選により決定することも可能である。例えば抽選により規定値100、150、300枚の中から何れか一選択的にセットしうる。また更に、特化ゾーンによる抽選によって、初期AT差枚数を決定することも可能である。
【0191】
初期AT差枚数の設定処理(ステップS1004)の後、主側RAM74のAT状態フラグに「1」をセットする(ステップS1005)。AT状態フラグに「1」がセットされることにより、抽選処理における次回の処理回では報知制御処理(ステップS403)が、遊技終了時の対応処理における次回の処理回ではAT状態処理(ステップS707)が実行されるAT状態へと移行する。
【0192】
一方、AT移行抽選契機役に当選しない場合(ステップS1001:NO)、AT状態への移行抽選処理にてAT移行当選とならなかった場合(ステップS1003:NO)、有利区間滞在G数カウンタ≧1000を満たすか否かを判定する(ステップS1006)。いわゆる天井判定である。即ち、有利区間開始時点からAT状態に突入することなしに非AT状態が所定の天井G数(例えば1000G)まで到達した場合に、AT状態に移行する。有利区間滞在G数カウンタ≧1000を満たす場合(ステップS1006:YES)、AT移行当選させるため、S1004へ進む。
【0193】
{AT状態処理}
図26は、AT状態処理を示すフローチャートである。AT状態処理(ステップS707)について説明する。AT状態処理は、有利区間フラグが1を示し且つAT状態フラグが1を示す場合、即ち、有利区間中、非ボーナス中且つAT状態においてに実行される。
【0194】
まず今回のゲームにおいて、AT差枚数(AT継続差枚数ともいう)の上乗せ抽選契機役に当選したか否かを判定する(ステップS1101)。上乗せ抽選契機役は、例えばスイカ、チェリー及び一枚役などが該当する。上乗せ抽選契機役に当選した場合(ステップS1101:YES)、上乗せ抽選処理を実行する(ステップS1102)。なお、上乗せ抽選契機役の入賞が成立しなかったとしても上乗せ抽選契機役に当選すれば上乗せ抽選処理が実行される。但し、これに限定されることはなく対応する入賞が成立したことを条件として上乗せ抽選処理が実行される構成としてもよい。
【0195】
上乗せ抽選処理では、上乗せ抽選テーブルを主側ROM73から読み出すとともに、主側RAM74において定期的(例えば2msec周期)に更新される抽選用カウンタの値を読み出し、抽選用カウンタの値を上記読み出した上乗せ抽選テーブルに対して照合する。
【0196】
図27は、上乗せ抽選テーブルの一例を示す図である。有利区間中、非ボーナス状態であってAT状態中において、上乗せ抽選契機役に当選となった場合、本上乗せ抽選テーブルに基づいて上乗せ抽選処理が実行される。
【0197】
上乗せ抽選テーブルは、スロットマシン10の設定値の「1」~「6」に対して共通の1種類のテーブルとして設けられている。つまり、インデックス値IV=8、9又は10で当選となった場合に、上乗せ当選となる確率は全設定共通である。これにより、AT状態において上乗せ当選となる確率に関しては設定間で有利又は不利が生じないようにすることが可能となる。また上乗せ抽選テーブルとして全設定共通の1種類のテーブルのみを主側ROM73に記憶させておけばよいため、上乗せ抽選テーブルを予め記憶するための記憶容量を抑えることが可能となる。
【0198】
本上乗せ抽選テーブルによれば、インデックス値IV=8のスイカで当選となった場合、上乗せ抽選確率として、全設定値共通の10%の当選確率で上乗せ抽選処理が実行される。また、インデックス値IV=9のチェリーで当選となった場合、上乗せ抽選確率として、全設定値共通の25%の当選確率で上乗せ抽選処理が実行される。また、インデックス値IV=10の1枚役で当選となった場合、上乗せ抽選確率として、全設定値共通の20%の当選確率で上乗せ抽選処理が実行される。
【0199】
再び
図26の説明に戻る。上乗せ抽選処理にて上乗せ当選となった場合(ステップS1103:YES)、AT差枚数の上乗せ処理を実行する(ステップS1104)。AT差枚数の上乗せ処理では、主側RAM74に設けられたAT差枚数カウンタに当選上乗せ差枚数として例えば「30」枚を加算する。
【0200】
なお、上乗せ差枚数は一律固定値(例えば「30」)とする他、抽選により決定することも可能である。例えば抽選により規定値30、50、100枚の中から何れか一選択的に加算しうる。
【0201】
次いで、AT差枚数の上乗せ抽選契機役に当選しない場合(ステップS1101:NO)もしくは上乗せ処理の実行後(ステップS1104)、後述するAT差枚数管理処理を実行する(ステップS1105)。AT差枚数管理処理を実行後、AT差枚数カウンタ≦0であるか否かを判定する(ステップS1106)。上述したようにスロットマシン10は差枚数管理型のAT機であるため、AT差枚数カウンタ≦0になった場合とは、例えばAT差枚数の上乗せがなかったケースでは、AT状態で1セット分150枚のメダルを純増獲得し、AT遊技が終了することを意味するものである。
【0202】
AT差枚数カウンタ≦0である場合(ステップS1106:YES)、AT状態フラグ及び有利区間フラグに「0」をセットし(ステップS1107)、有利区間を終了させ通常区間に転落させる。また、有利区間滞在G数カウンタ及び純増枚数カウンタを0リセットする(ステップ1108)。また、AT終了コマンドを演出側MPU82への送信対象としてセットする(ステップS1109)。AT終了コマンドは、AT状態が終了したことを演出側MPU82に認識させるためのコマンドであり、当該コマンドはタイマ割込み処理におけるコマンド出力処理(ステップS110)にて演出側MPU82に送信される。
【0203】
{AT差枚数管理処理}
ステップS1105のAT差枚数管理処理について、詳しく説明する。
【0204】
図28は、本実施形態に係るAT画面(その1)の一例を示す図である。上述したようにスロットマシン10は、差枚数管理型のAT機であるため、AT中の画面上、「残り枚数」(上述のAT差枚数カウンタに対応)及び「獲得枚数」が表示される。AT突入開始時の画面においては、「残り枚数」が150枚、「獲得枚数」が0枚となっている。
【0205】
「残り枚数」の表示では、1G単位毎に数字がカウントダウン(又はカウントアップ)される。具体的に、ストップボタン42~44のうち3番目のストップボタン停止時(第3停止時という)に、当ゲームで獲得したメダルの差枚数に応じて数字がカウントダウン(又はカウントアップ)される。例えば、ベル7枚が入賞した場合、第3停止後に4をカウントダウンする(-4枚)。3枚掛けBETのうえスタートレバー41のONで-3枚、ベル入賞で+7枚のため、「残り枚数」(差枚数)は-4となるためである。
【0206】
「獲得枚数」の表示では、メダルの増減の発生都度に数字がカウントアップ(又はカウントダウン)される。例えば、3枚掛けBETのうえスタートレバー41のONに3枚がカウントダウンされ(-3枚)、次いで第3停止後にベル7枚が入賞した場合、入賞時に7をカウントアップする(+7枚)。よって「獲得枚数」には実際に払い出されたメダルが正確に表示される。
【0207】
次いで、AT中の画面上、ハズレ時、1枚役入賞時、及びベル入賞時における「残り枚数」及び「獲得枚数」の表示について説明する。なお、AT中は3枚掛けでの遊技を行う。
【0208】
(ハズレ時)
図29は、本実施形態に係るAT画面(その2)の一例を示す図である。ハズレ時とは、何れの小役にも当選しなかったゲーム時である。
【0209】
AT中の「残り枚数」:第3停止後に3をカウントアップする(+3枚)
AT中の「獲得枚数」:BET後のスタートレバーON時に3をカウントダウン(-3枚)、第3停止後に増減なし(プラスマイナス0枚)
【0210】
(1枚役の当選且つ非入賞時)
1枚役の当選且つ非入賞時は、1枚役に当選したものの、1枚役に入賞しなかったゲーム時である。1枚役は、右リール32Rにチェリー入賞を引き込む必要があり、操作タイミングによっては1枚役が成立しない可能性がある(所謂1枚役の取りこぼし)。
【0211】
AT中の「残り枚数」:第3停止後に3をカウントアップする(+3枚)
AT中の「獲得枚数」:BET後のスタートレバーON時に3をカウントダウン(-3枚)、第3停止後に増減なし(プラスマイナス0枚)
【0212】
(1枚役の当選且つ入賞時)
図30は、本実施形態に係るAT画面(その3)の一例を示す図である。1枚役の当選且つ入賞時は、1枚役に当選し、1枚役に入賞したゲーム時である。
【0213】
AT中の「残り枚数」:第3停止後に3をカウントアップする(+3枚)
AT中の「獲得枚数」:BET後のスタートレバーON時に3をカウントダウン(-3枚)、第3停止後に1をカウントアップ(+1枚)
ここで、1枚役が入賞したときは、本来的に「残り枚数」は+2枚となるが、見た目の配列上、1枚役入賞は同じ図柄が全ラインいずれでも一直線に揃わない停止出目となっているため、遊技者からは見た目上、1枚役入賞と認識し難く、特に初心者にとっては完全なハズレ出目とも見えている。
【0214】
一方、実際のハズレ時には「残り枚数」は+3枚となるが、1枚役入賞時に+2枚としてしまうと、停止出目がハズレ出目のように見えている遊技者に対して違和感を感じさせてしまう恐れがある。そこで本実施形態においては、1役入賞時の「残り枚数」はハズレ時と同じ+3枚と表示するようにした(
図29参照)。AT差枚数カウンタも+3とカウントアップさせる。但し、「獲得枚数」は正確に表示するために、1役入賞時は第3停止後に+1枚と表示する。
【0215】
(押順ベルの当選且つ入賞時)
押順ベルの当選且つ入賞時は、押順ベル1~6に当選し、押順ベル役に入賞したゲーム時である。
【0216】
AT中の「残り枚数」:第3停止後に4をカウントダウンする(-4枚)
AT中の「獲得枚数」:BET後のスタートレバーON時に3をカウントダウン(-3枚)、第3停止後に7をカウントアップ(+7枚)
【0217】
(押順ベルの当選且つ非入賞時)
図31は、本実施形態に係るAT画面(その4)の一例を示す図である。押順ベルの当選且つ非入賞時は、押順ベル1~6に当選したものの、押順ベル役に入賞しなかったゲーム時である。押順ベル役は、1/6の押し順通りにストップボタンを押下する必要があり、押下順によっては押順ベル役が成立しない可能性がある(所謂押し順ミス)。
【0218】
AT中の「残り枚数」:第3停止後に4をカウントダウンする(-4枚)
AT中の「獲得枚数」:BET後のスタートレバーON時に3をカウントダウン(-3枚)、第3停止後に補填役入賞(所謂ベルこぼし1枚)の場合には1をカウントアップ(+1枚)、もしくは、操作タイミングによって補填役取りこぼしの場合には増減なし(プラスマイナス0枚)
AT中、押順ナビを無視するなどして押順ベルを取りこぼすと「残り枚数」が減らないようにした場合、遊技者が意図的に不正解の押し順を押下することでAT終了を引き延ばし、レア役等による差枚数の上乗せを狙うという攻略が可能となってしまう。このため、押順ナビが発生したにも関わらず不正解の押し順を押下した場合は、7枚の押順ベルに入賞したものとして扱い、「残り枚数」は-4枚とした。
【0219】
図32は、本実施形態に係るAT画面(その5)の一例を示す図である。本AT画面に示すように、例えば所定G数目や所定G数毎などに、押し順当てゲーム(所謂???演出)が発生する。押し順ナビが表示されないため、遊技者は1/6のいずれかの押し順でストップボタンを押下する。正解押し順の押下により押順ベルに入賞した場合、例えば差枚数の上乗せなどの特典が付与される。
【0220】
(押し順ナビ無し且つ入賞時)
押し順ナビ無し且つ入賞時は、AT中、押順ベル1~6に当選し、押し順ナビが非表示で、正解押し順の押下により押順ベル役に入賞したゲーム時である。
【0221】
AT中の「残り枚数」:第3停止後に4をカウントダウンする(-4枚)
AT中の「獲得枚数」:BET後のスタートレバーON時に3をカウントダウン(-3枚)、第3停止後に7をカウントアップ(+7枚)
【0222】
(押し順ナビ無し且つ非入賞時)
押し順ナビ無し且つ非入賞時は、AT中、押順ベル1~6に当選し、押し順ナビが非表示で、不正解押し順の押下により押順ベル役に入賞しなかったゲーム時である。
【0223】
AT中の「残り枚数」:第3停止後に3をカウントアップする(+3枚)
AT中の「獲得枚数」:BET後のスタートレバーON時に3をカウントダウン(-3枚)、第3停止後に補填役入賞(所謂ベルこぼし1枚)の場合には1をカウントアップ(+1枚)、もしくは、操作タイミングによって補填役取りこぼしの場合には増減なし(プラスマイナス0枚)
押し順当てゲーム時、押し順不正解となってしまった場合、「残り枚数」はハズレ時及び1枚役入賞時と同じ表示とする。即ち、補填役入賞(所謂ベルこぼし1枚入賞)でも、補填役入賞の取りこぼし(0枚)でも、第3停止後に+3枚とする。つまり、押し順当てゲームの遊技結果は、操作タイミングによって補填役取りこぼし(所謂ベルこぼし1枚)が発生するため、1枚役入賞のときと同様、ハズレ時と同じ表示とした。
【0224】
以上のように本実施形態に係るAT差枚数管理処理おいては、差枚数管理型のAT中、低確率役であって操作タイミングによっては取りこぼしが発生する小役として、1枚役の当選且つ入賞時、画面上で差枚数を示すの「残り枚数」の表示を、ハズレ時と同様な表示とした。具体的に、1枚役の当選且つ入賞時は、本来的に画面上の「残り枚数」は+2枚となるが、本実施形態においては、実際のハズレ時と同様に「残り枚数」を+3枚と表示カウントする。
【0225】
また、上述したように、図柄配列上、1枚役入賞は同じ図柄が全ラインいずれでも一直線に揃わない停止出目となっているため、遊技者からは図柄上においても、1枚役入賞と認識し難く、特に初心者にとっては完全なハズレ出目とも見えるようにしている。
【0226】
これにより、AT画面表示上及び図柄上、遊技者は1枚役の入賞を認識し難くなり、つまり遊技者からは1枚役の入賞時でも完全なハズレと見えるように工夫を行った。こうすることで、1枚役の入賞時、突然に1枚の払い出しが行われるといった違和感を低減させることができる。またひいては遊技者が1枚役の存在自体を認識しなくなり(遊技者の技量が遊技結果に与える影響の存在を感じにくくなり)、特に初心者は、安心して遊技を行うことができる。このような表示は、例えば誰でも安心して遊技できるといったコンセプトの下に開発される初心者向けのスロットマシンに特に有用である。
【0227】
なお、以下の形態についても言及する。
【0228】
・特定1枚役のみならず、例えばチェリーやスイカなど、取りこぼし発生小役であって、入賞時払い出しメダル数が、ベットメダル枚数未満(例えば3枚)の小役入賞時にも同様に、画面上で差枚数を示すの「残り枚数」の表示を、ハズレ時と同様な表示とすることも可能である。但し、チェリー等は1枚役と比べ高確率小役であり頻繁に当選する点、遊技者にとって入賞時の識別性が高い点(例えばチェリーは左リールにチェリー図柄停止で入賞)に鑑み、チェリーやスイカ役の入賞時にもハズレ時と同様な表示とすることは必ずしも適しない。よって、本実施形態においては、特定1枚役にのみハズレ時と同様な表示とするものとした。
【0229】
・1枚役の当選且つ入賞時、「残り枚数」は、遊技者の違和感を低減するために第3停止後に3をカウントアップしたのであり、上述したように「獲得枚数」は正確に表示するために1役入賞時は第3停止後に+1枚と表示される。つまり、実際的にはメダル1枚は獲得されるので、入賞時に獲得したメダルの枚数を表示する獲得枚数表示部62には+1と表示されるとともに、クレジット表示部61の仮想メダル数に+1が加算されるか、もしくは仮想メダル数が上限値の場合はメダル排出口58から1枚のメダルが払い出される。
【0230】
・また、特定1枚役の入賞時には、メダル1枚の払い出しは実際行われるものの、その他小役時に出力発生される払い出し音は出力しないようにする。これにより、遊技者は1枚役の入賞をより認識し難くなり、遊技者からは1枚役の入賞時でも完全なハズレといっそう見えるようになる。なお、特定1枚役の入賞時の払い出し音は、全く非出力とするのみならず、他小役時に出力発生される払い出しよりも小さい払い出し音(微音)を出力するようにしてもよい。
【0231】
・AT中の画面上の「残り枚数」は、上述したようにAT差枚数カウンタの値が参照されて表示される。また、「獲得枚数」は、主側RAM74に設けられたAT獲得枚数カウンタの値が参照されて表示されればよい。AT差枚数カウンタ及びAT獲得枚数カウンタは、言うまでもなく1回のAT終了毎にリセットされる。
【0232】
<変形例>
上述の実施形態に係るスロットマシン10では、ボーナス非内部状態中は遊技者に2枚掛けで遊技させ、2枚掛け用のRBB1(約1/10)に当選した場合、ボーナス内部状態中に移行する。その後ボーナス内部状態中は3枚掛けでの遊技を行うことで、当選フラグが持ち越されている2枚掛け用のRBB1のボーナスは、RBB1の成立図柄を狙っても入賞しないようリールが制御されるため、遊技者はボーナス内部状態中を維持しながら3枚掛けでの遊技を行うことが可能となっている。
【0233】
一方、本変形例に係るスロットマシン10は、遊技は常に3枚掛けで遊技を行う3枚掛け専用ボーナス機である。ボーナス非内部状態中は遊技者に3枚掛けで遊技させ、3枚掛け用のRBBに当選した場合、ボーナス内部状態中に移行する。その後ボーナス内部状態中も3枚掛けでの遊技を行うが、当選フラグが持ち越されている3枚掛け用のRBBのボーナスは、ハズレ時にRBBの成立図柄を狙うと場合、入賞してしまう。このため、このような3枚掛け専用のスロットマシン10では、いわゆるRBBの入賞を蹴とばすための1枚役(ここでは蹴飛し用1枚役と呼ぶ)が高確率に当選するよう設定されており(逆に純ハズレは低確率)、ほとんどのゲームにおいて蹴飛し用1枚役が高確率に当選するため、実質的にRBBの入賞を防ぎつつ、遊技者はボーナス内部状態中を維持しながら3枚掛けでの遊技を行うことが可能となっている。
【0234】
ここで、蹴飛し用1枚役の当選時、遊技者の操作タイミングによって蹴飛し用1枚役を取りこぼす可能性はないように(操作タイミングに関わらず入賞可能なように)、蹴とばし1枚役の入賞図柄が配列上に配置されているものとする。また、蹴飛し用1枚役が揃っても揃わなくとも、遊技者に対して図柄上蹴飛し用1枚役が揃わなかったと思わせたいため、蹴飛し用1枚役入賞の停止図柄とし、見た目の配列上、同じ図柄が一直線に揃わない停止出目とする。
【0235】
また、上述の実施形態と同じように、メインラインML上において左リール32Lの停止図柄が「ベル」図柄であり、中リール32Mの停止図柄が「リプレイ1~3」図柄であり、右リール32Rの停止図柄が「チェリー」図柄である場合、1枚役入賞となる。右リール32Rのチェリー図柄だけは操作タイミングによっては取りこぼしがある。1枚役入賞した場合の遊技媒体の付与対象数は、「1」となる。なお、1枚役が揃っても揃わなくとも、遊技者に対して図柄上1枚役が揃わなかったと思わせたいため、1枚役入賞はベル・リプレイ・チェリーの停止図柄とし、見た目の配列上、同じ図柄が一直線に揃わない停止出目としている。
【0236】
(1枚役の当選且つ入賞時)
蹴飛し用1枚役の当選且つ入賞時は、非AT中及びAT中を含め、蹴飛し用1枚役に当選し、蹴飛し用1枚役に入賞したゲーム時である。
【0237】
AT中の「残り枚数」:第3停止後に2をカウントアップする(+2枚)
AT中の「獲得枚数」:BET後のスタートレバーON時に3をカウントダウン(-3枚)、第3停止後に1をカウントアップ(+1枚)
【0238】
(1枚役の当選且つ非入賞時)
1枚役の当選且つ非入賞時は、1枚役に当選したものの、1枚役に入賞しなかったゲーム時である。
【0239】
AT中の「残り枚数」:第3停止後に2をカウントアップする(+2枚)
AT中の獲得枚数」:BET後のスタートレバーON時に3をカウントダウン(-3枚)、第3停止後に増減なし(プラスマイナス0枚)
ここで、1枚役が入賞しなかったときは、本来的に「残り枚数」は+3枚となるが、見た目の配列上、1枚役入賞は同じ図柄が全ラインいずれでも一直線に揃わない停止出目となっているため、遊技者からは見た目上、1枚役入賞と認識し難く、特に初心者にとっては、蹴飛し用1枚役入賞の停止出目と同様、完全なハズレ出目とも見えている。
【0240】
蹴飛し用1枚役入賞時には「残り枚数」は+2枚となるが、1枚役の当選且つ非入賞時に+3枚としてしまうと、遊技者に対して違和感を感じさせてしまう恐れがある。そこで本実施形態においては、1枚役の当選且つ非入賞時の「残り枚数」は蹴飛し用1枚役入時と同じ+2枚と表示するようにした。AT差枚数カウンタも+2とカウントアップさせる。但し、「獲得枚数」は正確に表示するために、1役入賞時は第3停止後に増減なし(プラスマイナス0枚)で表示する。
【0241】
(1枚役の当選且つ入賞時)
1枚役の当選且つ入賞時は、1枚役に当選し、1枚役に入賞したゲーム時である。
【0242】
AT中の「残り枚数」:第3停止後に2をカウントアップする(+2枚)
AT中の「獲得枚数」:BET後のスタートレバーON時に3をカウントダウン(-3枚)、第3停止後に1をカウントアップ(+1枚)
本変形例によれば、1枚役の非入賞時、突然に1枚の払い出しが行われないといった違和感を低減させることができる。またひいては遊技者が1枚役の存在自体を認識しなくなり(遊技者の技量が遊技結果に与える影響の存在を感じにくくなり)、特に初心者は、安心して遊技を行うことができる。また、蹴飛し用1枚役の入賞時、1枚役の入賞時並びに非入賞において、AT中の「残り枚数」表示(+2枚)を共通化できるため、プログラム等のデータ容量を低減することも可能である。
【0243】
<実施形態2>
本実施形態においては、AT中の画面上、押順ベルの当選且つ非入賞時における「残り枚数」及び「獲得枚数」の表示態様、特に「残り枚数」の表示態様について詳しく説明する。AT中の押し順ナビが報知されたゲームにおいて遊技者が押し順ミス等により不本意にも押順ベル役に入賞できなかった場合、「残り枚数」の表示として、逸失メダル枚数4がカウントダウンされる(-4枚)。しかしながら、このような表示は、意図せずに押し順ミスをしてしまった遊技者の不本意感をときに増長してしまう恐れがある。そこで本実施形態においては、AT中の押順ベルの当選且つ非入賞時における好適な画面表示態様を提案し、遊技者の不本意感を低減させるものである。以下詳しく説明する。
【0244】
(押順ベルの当選且つ非入賞時)
押順ベルの当選且つ非入賞時は、押順ベル1~6に当選したものの、押順ベル役に入賞しなかったゲーム時である。押順ベル役は、1/6の押し順通りにストップボタンを押下する必要があり、押下順によっては押順ベル役が成立しない可能性がある(所謂押し順ミス)。
【0245】
AT中の「残り枚数」:押し順ミス時(又は第3停止後)に4をカウントダウンする(-4枚)
AT中の「獲得枚数」:BET後のスタートレバーON時に3をカウントダウン(-3枚)、第3停止後に補填役入賞(所謂ベルこぼし1枚)の場合には1をカウントアップ(+1枚)、もしくは、操作タイミングによって補填役取りこぼしの場合には増減なし(プラスマイナス0枚)
上述の実施形態と同様に、遊技者が意図的に不正解の押し順を押下することでAT終了を引き延ばし差枚数の上乗せを狙うという攻略を防止するという観点から、押順ベルの当選且つ非入賞時でも押順ベルの入賞時と同じく7枚の押順ベルに入賞したものとして扱う。
【0246】
図33は、本実施形態に係る表示態様(その1)の一例を示す図である。AT中に押順ベル1~6に当選した場合、押順ベル役の入賞を可能とする押し順が報知される(
図33(a))。次に遊技者が押し順ミスをした場合、AT中の画面上、押し順ミス発生と同時に画面全体を暗色に切り替える表示態様が行われる(
図33(b))。AT中に遊技者が押し順ミス等により不本意にも押順ベル役に入賞できなかった場合、「残り枚数」の表示は4カウントダウンされるものの(-4枚)、このような画面全体を暗色に切り替える表示態様により「残り枚数」の視認性が低下するため、遊技者の不本意感を低減させることが可能となる。
【0247】
なお言うまでもなく、遊技者が押し順ミスをしなかった場合(押順ベル役に入賞した場合)、押し順ミスをしてしまった遊技者の不本意感は生じないので、画面全体を暗色に切り替える表示態様は行われない。
【0248】
暗色への切り替え方法としては、今表示している演出画像の上に例えばグレーなどの所定色の半透過レイヤーを上に重畳させて表示制御することで、現行の演出を維持したまま画面全体が切り替え前よりも見えにくくなる表示態様とすることができる。また、暗色への切り替えは、押し順ミス発生のタイミング時点から当該ゲームの遊技終了(払出終了)し次ゲームのレバーONまで暗色で表示する状態とする(
図33(c))。またAT中の画面上、押し順ミス発生と同時に画面全体を暗色に切り替える表示態様の他、「残り枚数」の表示領域を含む一部画面を暗色に切り替える表示態様でもよい(
図34)。
【0249】
また、本実施形態においては、AT中の「残り枚数」のカウントダウンタイミングとして、第3停止後のみならず、押し順ミス発生に伴い画面全体を暗色に切り替えるのと同時(又は直後)に、4をカウントダウンしてもよい(
図31(b))。これにより、通常は押順ベルに入賞すると第3停止でカウントダウン表示されるところ、押し順ミス発生の直後にカウントダウン表示されることで、遊技者の注意は画面全体が急に暗色表示されたことに意識が集中し、「残り枚数」の細かいカウントダウン表示にいっそう気付きにくくすることができる。さらにAT中の「残り枚数」のカウントダウンタイミングとして、押し順ミス発生に伴い画面全体を暗色に切り替えた当該ゲームの次ゲームを開始するタイミング、即ち次回スタートレバーON時でもよい。この場合、前回ゲームにおける「残り枚数」のカウントダウン表示にいっそう気付きにくくなる。
【0250】
なお言うまでもなく、押し順正解時、通常は押順ベルに入賞すると第3停止でカウントダウン表示されるところ、AT中の「残り枚数」のカウントダウンタイミングとして、押し順ミス発生の場合にも同じく、第3停止後としてもよい。但し遊技者が押し順ミスをした場合には、AT中の画面上、「残り枚数」の視認性が低下させる表示態様は実行される。つまり、「残り枚数」のカウントダウン自体の変化は、第1表示態様も第2表示態様も同じタイミングの制御としつつ、表示制御のみで、第2表示態様において「残り枚数」の視認性を低下することができる。
【0251】
また、押し順ミス時に伴う演出音(カウントダウン音)は出力しないようにする。これにより、遊技者の「残り枚数」のカウントダウン表示により気付きにくくなる。なお、演出音(カウントダウン音)は、全く非出力・無音とするのみならず、押し順成功時に伴う演出音(通常時)よりも小さい払い出し音(微音)を出力するようにしてもよい。
【0252】
また、遊技者が押し順ミスをした場合、AT中の画面上、押し順ミス発生と同時に「残り枚数」の表示色を薄くする表示態様(輝度を高くする表示態様)とすることも可能である(
図35)。このような表示態様により「残り枚数」の視認性が低下するため、遊技者の不本意感を低減させることが可能となる。また「残り枚数」の視認性を低下させるため、「残り枚数」の表示色を背景色と同一又は同系に切り替える表示態様でもよい。
【0253】
また、遊技者が押し順ミスをした場合、AT中の画面上、押し順ミス発生と同時に「残り枚数」の表示の上に所定の演出画像(例えばキャラクター画像)を一部又は全部重畳させ、この重畳している間に「残り枚数」の表示を4カウントダウンさせることもできる(
図36)。このような表示態様により「残り枚数」の視認性が低下又は遮断するため、遊技者の不本意感を低減させることが可能となる。なお、演出画像は、遊技者が押し順ミスをした場合に出現するものであってもよいし、押し順ミスの有無に関わらず出現し遊技者が押し順ミスをした場合に演出画像が「残り枚数」の表示の上に移動するものであってもよい。この場合、遊技者が押し順ミスをしない場合には演出画像が「残り枚数」の表示の上に移動しない。このような表示態様により「残り枚数」の視認性が低下又は遮断するため、遊技者の不本意感を低減させることが可能となる。
【0254】
また、遊技者が押し順に正解した場合、「残り枚数」のカウントダウンは、1枚ずつ例えば-1、-2、-3、-4という4段階で「残り枚数」の表示を切り替えるとすると、遊技者が押し順ミスをした場合には、「残り枚数」のカウントダウンは1枚ずつ行わずに-4という1段階で「残り枚数」の表示を切り替える。これにより「残り枚数」のカウントダウンを1枚ずつ行う場合と比べ、カウントダウンに対する遊技者の注意が行きにくくなるともにカウントダウンに要する時間も短時間となり、遊技者は「残り枚数」のカウントダウン表示に気付きにくくなるため、遊技者の不本意感を低減させることが可能となる。
【0255】
<実施形態3>
上述の実施形態において、本実施形態に係るスロットマシン10は差枚数管理型のAT機であって初期AT差枚数は一律固定値(例えば「150」)とするものであったが、上述したようにAT開始時に突入する特化ゾーンによる抽選によって、初期AT差枚数を決定することも可能である。特化ゾーンは通常の場合、概ね数ゲームの間継続し、毎ゲーム毎に初期AT差枚数の上乗せ抽選の機会が付与される。特化ゾーンは所定の終了条件を満たすまで継続するので、初期AT差枚数が一律固定の場合とは異なり遊技者が大量の初期AT差枚数をときに獲得することも可能である。
【0256】
ここで、特化ゾーンにおける初期AT差枚数の上乗せ抽選では、従来、特化ゾーンが終了し得るといった遊技者に不利な条件のゲーム(不利ゲームともいう)が2回連続するようなことを避けるようにした場合、前のゲームが不利ゲームだったか等を判定しその場合には今回不利ゲームが連続しないように制御していたため、プログラム容量が多くなってしまうという問題があった。このような問題に鑑みて、本実施形態においては、特化ゾーンで不利ゲームが2ゲーム続けて発生することを効率良く防ぐことを可能とするものである。以下詳しく説明する。
【0257】
図37は、本実施形態に係るAT開始時に突入する特化ゾーン画面(その1)の一例を示す図である。特化ゾーンはAT開始時に突入し、初期AT差枚数を決定するための特別ゲームである。特化ゾーンでは一画面上にアイコン3701を例えば5ゲーム分配置し、一番左のアイコン3701-1が当該ゲームに対応するアイコンである。アイコンの種類、当該ゲームの当選結果、押順ベル入賞結果に応じて、後述するように、アイコン種類に応じた特典(初期AT差枚数の上乗せ)の付与判定や特化ゾーンの終了判定が行われる。
【0258】
また、アイコンは1ゲーム消化する毎ごとにアイコンが1つずつ左に移動するため、アイコン3701-2が次ゲームに対応するアイコン、アイコン3701-3が次々ゲームに対応するアイコンといったようになる。即ち本実施形態に係る特化ゾーンでは一画面上にアイコン3701が5ゲーム分配置されるため、遊技者は当該ゲームに加え、向こう4ゲーム分に対応するアイコン種類を認識することが可能である。
【0259】
また、特化ゾーン中に押順ベル当選した場合には、押順ベル入賞の成立を可能とするリール32L,32M,32Rの停止順序を遊技者に認識可能とさせる報知(所謂、ベルナビ)が実行される。但し上述したように押順ベル役は1/6の押し順通りにストップボタンを押下する必要があるが、本実施形態に係る特化ゾーン中においては第1停止リールのみを報知するようにし、遊技者は残る第2停止リール及び第3停止リールを正解押順で停止させることができた場合(この場合の正解確率は1/2)、当選した押順ベルを取りこぼすことなく押順ベル入賞を成立させることが可能である。
【0260】
ここで、アイコン3701には、例えばA、B、C、Dといったように、複数のアイコン種類を示す情報が設定されており、アイコン種類毎に、有利ゲームか不利ゲームか否か、有利ゲームの場合は有利度(例えば初期AT差枚数の上乗せ期待度)が対応付けられている。これにより特化ゾーンにおいて、遊技者はアイコン種類に応じて毎ゲーム毎に不利ゲームか否か、及び、有利ゲームの場合は上乗せ期待度の察知が可能である。続いて具体的にアイコンA、B、C、及びDについて説明する。
【0261】
「アイコンA」:いわば「終了アイコン」であり、不利ゲーム時に対応して出現(発生)する。画面上、不利ゲームを示唆するため、例えば「終了?」と表示される。当該ゲームがアイコンAに対応するゲームである場合、押順ベル不正解で特化ゾーン終了となり、押順ベル正解やはずれを含むそれ以外の小役当選時は特化ゾーン継続(特化ゾーン終了回避)である。但しAT差枚数の上乗せはない。
【0262】
「アイコンB」:いわば「上乗せ小チャンスアイコン」であり、有利ゲーム時に対応して出現する。画面上、有利ゲーム及びその有利度を示唆するため、例えば「上乗せ?」と表示される。当該ゲームがアイコンBに対応するゲームである場合、押順ベル正解(押順ベル入賞)、はずれ又はレア役当選で上乗せ抽選が実行される。なお、押順ベル不正解でAT差枚数の上乗せ無しであるが、特化ゾーン終了はない。
【0263】
「アイコンC」:いわば「上乗せ大チャンスアイコン」であり、有利ゲーム時に対応して出現する。画面上、有利ゲーム及びその有利度を示唆するため、例えば「上乗せ大!?」と表示される。当該ゲームがアイコンCに対応するゲームである場合、押順ベル正解(押順ベル入賞)、はずれ又はレア役当選で上乗せ抽選が実行される。なお、押順ベル不正解でAT差枚数の上乗せ無しであるが、特化ゾーン終了はない。
【0264】
「アイコンD」:いわば「上乗せ確定アイコン」であり、有利ゲーム時に対応して出現する。画面上、有利ゲーム及びその有利度を示唆するため、例えば「上乗せ確定!」と表示される。当該ゲームがアイコンDに対応するゲームである場合、はずれ及び全役当選で上乗せ抽選が実行される。なお、特化ゾーン終了はない。
【0265】
従って、特化ゾーンで不利な条件のゲームが2回連続するようなことを避けるようにする場合には、本実施形態に係るアイコンA、B、C、及びDのうち、不利ゲーム時に対応して出現するアイコンである「アイコンA」が2ゲーム連続して発生しないようにする構成となる。なお言うまでもなく、上述のA、B、C、Dといったようにアイコン種類の表現方法は、あくまで一例であって、例えば色、形状、及び大きさなどによって対応付けられていてもよい。
【0266】
図38は、本実施形態に係るAT開始時に突入する特化ゾーン画面(その2)の一例を示す図である。当該ゲームは、「アイコンA」が出現した不利ゲームであるため、画面上、には不利ゲームを示唆するため、例えば「終了?」と表示されている。また、当該ゲームが押順ベルに当選したため、押順ベル正解押し順の第1停止リールのみが報知される。遊技者が押順ベルに正解した場合(押順ベル入賞)、特化ゾーン継続(特化ゾーン終了回避)となり、一方、押順ベル不正解で特化ゾーン終了となる。
【0267】
このように、本実施形態に係る特化ゾーンは、「アイコンA」が出現した不利ゲームにおいて押順ベルに当選し且つ押順ベルに正解できなかった場合に終了するようになっている。その一方、遊技者が当該終了条件を回避し続ける限り特化ゾーンを継続させることができるため、その分より多くのAT差枚数を上乗せすることが可能である。続いてフローチャートを説明しながら、更に詳しく説明する。
【0268】
{AT移行チャンス管理処理}
図39は、AT移行チャンス管理処理(特化ゾーンあり)を示すフローチャートである。本実施形態に係るAT移行チャンス管理処理(特化ゾーンあり)においては、
図24におけるS1004の初期AT差枚数の設定処理を、本ステップでは実行しない代わりに、AT移行当選した場合(S1003:YES)、特化ゾーン突入フラグに1をセットする(S1004-2)。AT開始時に特化ゾーンに突入させ、初期AT差枚数を特化ゾーンによる抽選(初期AT差枚数の設定処理)において決定するためである。
【0269】
{AT状態処理(特化ゾーンあり)}
図40は、AT状態処理(特化ゾーンあり)を示すフローチャートである。本実施形態に係るAT状態処理(
図20のステップS707)について説明する。AT状態処理は、有利区間フラグが1を示し且つAT状態フラグが1を示す場合、即ち、有利区間中、非ボーナス中且つAT状態においてに実行される。
【0270】
まず今回のゲームにおいて、AT状態開始時の特化ゾーンに突入済みか否かを判別するための特化ゾーン突入フラグが1又は2であるか否かを判定する(ステップS1201)。特化ゾーン突入フラグ=1又は2である場合は、特化ゾーン処理を実行する(ステップS1202)。一方、特化ゾーン突入フラグ=1又は2でない場合は、AT状態開始時に特化ゾーンは既に突入済みであることを示すため、実質的なAT状態処理であるステップS1101以降へ進む。なおステップS1101以降は、
図26のAT状態処理で説明した通りであるため、ここでの説明は省略する。
【0271】
{特化ゾーン処理}
図41は、特化ゾーン処理を示すフローチャートである。今回のゲームにおいて、特化ゾーン突入フラグが1であるか否かを判定する(ステップS1301)。特化ゾーン突入フラグが1である場合は、特化ゾーン初期処理を実行する(ステップS1302)。特化ゾーン突入フラグが1でない場合、即ち特化ゾーン突入フラグが2である場合には、特化ゾーン初期処理済みであるため、ステップS1303へ進む。
【0272】
図42は、特化ゾーン初期処理を示すフローチャートである。ここで一旦、特化ゾーン初期処理(
図41のステップS1302)について説明する。特化ゾーン初期処理ではまず、1~4Gに出現させるアイコンを決定するため、第1のアイコン出現順序シナリオ抽選(以下単に第1シナリオ抽選という)を実行する(ステップS1401)。
【0273】
図43は、シナリオ抽選テーブルを示す図である。シナリオ抽選テーブルには、例えばシナリオ1~10の10パターンのシナリオが予め用意されており、各シナリオにはアイコン種類が4G分1セットでその出現順(実行順)に定められている。
【0274】
第1シナリオ抽選では、シナリオ1~10の中から、一のシナリオを抽選により決定する。抽選確率は例えば等確率でよいが、遊技者に有利なシナリオほど低確率としてもよい。遊技者に有利なシナリオとは、シナリオ内に不利ゲームに対応するiconAを含まないシナリオであったり、上乗せ確定アイコンであるiconDを含むシナリオである。
【0275】
次に、第1シナリオ抽選により一のシナリオが決定されると、主側RAM74のシナリオ配列記憶領域に決定された第1シナリオ情報をセットする(ステップS1402)。
【0276】
図44は、シナリオ配列記憶領域を示す図(その1)である。シナリオ配列記憶領域は主側RAM74に設けられており、シナリオ抽選で決定されたシナリオで定められたアイコンをその順序通りに配列して格納するための記憶領域である。また
図37に示されるように、本実施形態に係る特化ゾーンでは一画面上にアイコンを例えば5ゲーム分配置されるため、シナリオ配列記憶領域には、同時に少なくとも2つ分のシナリオ情報が格納できる第1シナリオ配列及び第2シナリオ配列領域が設けられる。
【0277】
より具体的に、第1シナリオ抽選で決定されたシナリオ情報に沿って、シナリオ配列記憶領域の第1アイコン[0]には第1シナリオ1G目のアイコン、第1アイコン[1]には第1シナリオ2G目のアイコン、第1アイコン[2]には第1シナリオ3G目のアイコン、第1アイコン[3]には第1シナリオ4G目のアイコンが格納される。
【0278】
再び
図42に戻る。続いて、5~8G目に出現させるアイコンを決定するため、第2シナリオ抽選を実行する(ステップS1403)。第2シナリオ抽選により一のシナリオが決定されると、同様に主側RAM74のシナリオ配列記憶領域に決定された第2シナリオ情報をセットする(ステップS1404)。
【0279】
シナリオ配列記憶領域に決定された第1シナリオ情報及び第2シナリオ情報をセットした後、アイコンインデックスに0をセットする(ステップS1405)。その後、特化ゾーン初期処理は既に実行済みであることを示すため、特化ゾーン突入フラグに2をセットする(S1406)。
【0280】
図45は、シナリオ配列記憶領域を示す図(その2)である。シナリオ配列記憶領域に決定された第1シナリオ情報及び第2シナリオ情報をセットした状態を示す。例えば、第1シナリオ抽選で「シナリオ5」が決定された場合には、シナリオ配列記憶領域の第1アイコン[0]には第1シナリオ1G目のiconB、第1アイコン[1]には第1シナリオ2G目のiconA、第1アイコン[2]には第1シナリオ3G目のiconB、第1アイコン[3]には第1シナリオ4G目のiconCが格納される。
【0281】
また例えば、第2シナリオ抽選で「シナリオ6」が決定された場合には、シナリオ配列記憶領域の第2アイコン[0]には第2シナリオ1G目のiconB、第2アイコン[1]には第2シナリオ2G目のiconA、第2アイコン[2]には第2シナリオ3G目のiconD、第2アイコン[3]には第2シナリオ4G目のiconBが格納される。
【0282】
再び
図41に戻る。特化ゾーン突入フラグが1でない場合(ステップS1301:NO)、又は特化ゾーン初期処理処理(ステップS1302)の後、RAM74のシナリオ配列記憶領域を参照し、当該(今回)ゲームに対応するアイコンがiconDであるか否かを判定する(ステップS1303)。なお、当該ゲームに対応するアイコンは、シナリオ配列記憶領域の第1アイコンのうち、アイコンインデックスの[インデックス値]に対応するアイコンである。例えば
図45の場合に、アイコンインデックス0に対応するアイコンはiconBとなる。当該(今回)ゲームに対応するアイコンがiconDである場合(ステップS1303:YES)、iconDに応じた上乗せ抽選処理を実行する(ステップ1304)。
【0283】
図46は、アイコン種類に応じた上乗せ抽選テーブルを示す図である。アイコン種類に応じた上乗せ抽選テーブルには、アイコン種類毎に、上乗せ差枚数及び振り分け確率が設定されている。本上乗せ抽選テーブルによれば、例えば当該ゲームに対応するアイコンがiconDである場合には、上乗せ確定アイコンであるから、40%の確率で上乗せ差枚数10枚、25%の確率で上乗せ差枚数30枚、20%の確率で上乗せ差枚数50枚、10%の確率で上乗せ差枚数100枚、5%の確率で上乗せ差枚数300枚が抽選により決定される。
【0284】
上乗せ抽選処理により上乗せ差枚が決定されると、初期AT差枚数の上乗せ設定処理を実行する(ステップS1305)。初期AT差枚数の上乗せ設定処理では、主側RAM74に設けられたAT差枚数カウンタに初期AT差枚数として決定された上乗せ差枚を加算する。
【0285】
一方、当該(今回)ゲームに対応するアイコンはiconDでない場合(ステップS1303:NO)、当該ゲームに対応するアイコンがiconAであるか否かを判定する(ステップS1306)。当該ゲームに対応するアイコンがiconAでない場合(ステップS1306:NO)、当該ゲームが押順ベルに当選したか否かを判定する(ステップS1307)。当該ゲームが押順ベルに当選した場合(ステップS1307:YES)、今度は当該ゲームが押順ベルに正解(入賞)したか否かを判定する(ステップS1308)。
【0286】
当該ゲームが押順ベルに正解(入賞)した場合(ステップS1308:YES)、又は当該ゲームが押順ベルに当選しない場合(ステップS1307:NO)、当該ゲームに対応するiconB又はiconCに応じた上乗せ抽選処理を実行する(ステップS1309)。
【0287】
再び
図46の上乗せ抽選テーブルによれば、例えば当該ゲームに対応するアイコンがiconBである場合には、75%の確率で上乗せ差枚数10枚、15%の確率で上乗せ差枚数30枚、8%の確率で上乗せ差枚数50枚、2%の確率で上乗せ差枚数100枚、5%の確率で上乗せ差枚数300枚が抽選により決定される。また例えば当該ゲームに対応するアイコンがiconCである場合には、0%の確率で上乗せ差枚数10枚、0%の確率で上乗せ差枚数30枚、75%の確率で上乗せ差枚数50枚、20%の確率で上乗せ差枚数100枚、5%の確率で上乗せ差枚数300枚が抽選により決定される。
【0288】
上乗せ抽選処理により上乗せ差枚が決定されると、初期AT差枚数の上乗せ設定処理を実行する(ステップS1305)。初期AT差枚数の上乗せ設定処理では、主側RAM74に設けられたAT差枚数カウンタに初期AT差枚数として決定された上乗せ差枚を加算する。なお抽選の結果、上乗せ差枚数0であった場合には、0を加算するものとすればよい。
【0289】
また一方、当該(今回)ゲームに対応するアイコンがiconAである場合(ステップS1306:YES)、当該ゲームが押順ベルに当選したか否かを判定する(ステップS1310)。当該ゲームが押順ベルに当選した場合(ステップS1310:YES)、当該ゲームが押順ベルに正解(入賞)したか否かを判定する(ステップS1311)。当該ゲームが押順ベルに正解(入賞)しない場合(ステップS1311:NO)、特化ゾーンを終了させるため、特化ゾーン突入フラグに0をセットする(S1312)。即ち、当該ゲームがアイコンAに対応するゲーム時に、押順ベル不正解で特化ゾーン終了とさせる特化ゾーン終了処理である。特化ゾーン突入フラグに1がセットされると、
図40のS1201:NOからS1101へ進み、特化ゾーンで獲得したAT差枚数を元に実質的なAT状態が開始される。
【0290】
最後に、初期AT差枚数の上乗せ設定処理(ステップS1305)の後、当該(今回)ゲームに対応するアイコンはiconAであって当該ゲームが押順ベルに当選しない場合(ステップS1310:NO)、もしくは当該ゲームが押順ベルに正解した場合(ステップS1311:YES)、特化ゾーン継続処理を実行する(ステップS1313)。
【0291】
図47は、特化ゾーン継続処理を示すフローチャートである。特化ゾーン初期処理ではまず、アイコンインデックスに1を加算する(ステップS1501)。当該ゲームに対応するアイコンから次ゲームに対応するアイコンに切り替えるためである。次いで、アイコンインデックスが4であるか否かを判定する(ステップS1502)。アイコンインデックスが4でない場合、特化ゾーン継続処理を終了する。一方、アイコンインデックスが4である場合、第1シナリオ配列にアイコンインデックスの[インデックス値]が4に対応するアイコンは存在しないため、これは即ち第1シナリオ情報に対応する4つの全アイコン分のゲームを消化したことを意味する。よって、第2シナリオ配列から第1シナリオ配列に4つの全アイコンをシフトセットする(ステップS1503)。
【0292】
図48は、シナリオ配列記憶領域を示す図(その3)である。第1シナリオ配列に第2シナリオ配列のアイコンをシフトセットした状態を示す。
図45を比較すると、シナリオ配列記憶領域の第1アイコン[0]には第2アイコン[0]のiconB、第1アイコン[1]には第2アイコン[1]のiconA、第1アイコン[2]には第2アイコン[2]のiconD、第1アイコン[3]には第2アイコン[3]のiconBがシフトセットされていることが分かる。
【0293】
続いて、シフトセットで空になった第2シナリオ配列内のアイコンを決定するため、第2シナリオ抽選をここで再び実行する(ステップS1504)。第2シナリオ抽選により一のシナリオが決定されると、同様に主側RAM74の第2シナリオ配列に決定された第2シナリオ情報をセットする(ステップS1505)。
【0294】
図49は、シナリオ配列記憶領域を示す図(その4)である。第2シナリオ配列に決定された第2シナリオ情報をセットした状態を示している。例えば、第2シナリオ抽選で「シナリオ6」が決定された場合には、シナリオ配列記憶領域の第2アイコン[0]には第2シナリオ1G目のiconB、第2アイコン[1]には第2シナリオ2G目のiconA、第2アイコン[2]には第2シナリオ3G目のiconD、第2アイコン[3]には第2シナリオ4G目のiconBが格納される。
【0295】
第2シナリオ配列に第2シナリオ情報をセットした後、アイコンインデックスに0をセットする(ステップS1506)。これにより、次ゲームで対応するアイコンとして、再び第1シナリオ配列のアイコンインデックス[0]を対応させることができる。
【0296】
以上のように本実施形態に係るシナリオ抽選テーブルには、複数パターンのシナリオが予め用意されており、各シナリオにはるアイコン種類が1~4Gで1セットというように、アイコンの出現順(実行順)に定められている(
図43)。そして、シナリオ抽選テーブルから抽選された第1シナリオ及び第2シナリオを、シナリオ配列記憶領域に格納する(
図45)。
【0297】
ここで、シナリオ抽選テーブルの各シナリオには、出現するアイコン種類が順番に定められているところ、
何れのシナリオにおいても不利ゲームに対応するiconAが連続して配列しないようにその順番が定められているという特徴がある。こうすることで、前のゲームが不利ゲームだったか等を判定しその場合には今回不利ゲームが連続しないように制御するといった判定処理をすることなく、特化ゾーン中、不利ゲームが2回連続するようなことを効率よく避けることができる。
【0298】
また、何れのシナリオにおいても共通して先頭最初(例えば1G目)の順序にiconAを配列しないようにその順番が定められている。もしくは、何れのシナリオにおいても共通して最後(例えば4G目)の順序にiconAを配列しないようにその順番が定められている。こうすることで、シナリオ抽選テーブルから抽選され何れの第1シナリオ、及び第1シナリオの後に続く第2シナリオを、シナリオ配列記憶領域に同時に格納した場合であっても、第1シナリオの最後(例えば4G目)にiconA、且つ第2シナリオの先頭(例えば1G目)にiconAが配列されることがない。即ち特化ゾーン中、不利ゲームが2回連続するようなことを避けることができる。
【0299】
また更に、主側RAM74のシナリオ配列記憶領域には、同時に少なくとも2つ分のシナリオ情報が格納できる第1シナリオ配列及び第2シナリオ配列領域が設けられる(
図44、45)。少なくとも2つ分のシナリオ情報を用い、第1シナリオ配列内のアイコンに対応する全4G分が消化されると(
図47のS1502:YES)、第2シナリオ配列から第1シナリオ配列へシフトセット(
図47のS1503)の後、繰り返し第2シナリオ抽選処理(
図47のS1504)を実行し第2シナリオ配列にアイコンをセットすることで(
図47のS1505、
図49)、未確定回数である特化ゾーン継続回数如何に関わらず、特化ゾーン中の画面にアイコン3701を、第1シナリオ配列内のアイコン数分以上のゲーム数分、配置し表示し続けることができる(
図37)。
【0300】
なお、以下の形態についても言及する。
【0301】
・本実施形態に係る特化ゾーン中においては第1停止リールのみを報知するものとしたが、押順ベル当選時に押し順ナビは一切報知しないようにしてもよい。この場合、押順ベル正解率は1/6となるから、アイコンAに対応するゲームで押順ベルに当選した場合に、特化ゾーンが終了してしまう確率は事実上5/6となり、特化ゾーン継続ハードルは実質的に高くなる。
【0302】
この場合、
図16のS402において、主側RAM74のAT状態フラグの値が1(即ち、AT状態中)であって、且つ特化ゾーン突入フラグの値が0であるか否かを判定する。ステップS403では、AT状態フラグの値が1且つ特化ゾーン突入フラグの値が0であることを条件として、報知停止順序の取得処理を実行する。こうすることで、AT状態開始時の特化ゾーン中は、押順ベル当選時に押し順ナビは報知しないようにし、実質的なAT状態中(非特化ゾーン中)は、従来通り、押順ベル当選時に押し順ナビは報知するようにできる。
【0303】
・その一方、特化ゾーン中もAT状態中であることから、アイコンA以外のアイコン出現ゲームに限って、押順ベル当選時に押し順ナビは報知するようにしてもよい。こうすることで、特にアイコンB及びC出現ゲームの場合に、遊技者は容易に押順ベルに正解し、上乗せ抽選を受けることができる。
【0304】
・本実施形態に係る1~10のシナリオは全て1セット4G分のアイコン種類を設定したが、シナリオによって1セット内に異なるG数分のアイコン種類を設定してもよい。例えばシナリオ1、2は2G分のアイコン種類、シナリオ2、3は3G分のアイコン種類、シナリオ4、5は4G分のアイコン種類、シナリオ6、7は5G分のアイコン種類、シナリオ8、8は6G分のアイコン種類を設定してもよい。
【0305】
・また、アイコンは1ゲームごとに1つのアイコンを対応させたが、例えば3ゲームに1つのアイコンを対応させるようにしてもよい。この場合、アイコンは3ゲーム消化する毎ごとにアイコンが1つずつ左に移動する。
【0306】
・特化ゾーンでは一画面上にアイコンを例えば5ゲーム分配置し表示したが、当該ゲームに対応するアイコンのみを配置し表示するようにしてもよい。
【0307】
・本実施形態に係る特化ゾーン中においては第1停止リールのみを報知するものとし、当該ゲームに対応するアイコンがiconB又はiconCである場合、第2停止リール又は第3停止リールの何れかの押し順を正解させることで押順ベルに正解(入賞)した場合(
図41のステップS1308:YES)に、上乗せ抽選処理を実行するものであった(
図41のステップS1309)。しかしながら、当該ゲームに対応するアイコンがiconB又はiconCである場合、抽選により第1停止リール、第2停止リール及び第3停止リールの全リールの押し順を報知するようにしてもよい。この場合、当該ゲームに対応するアイコンがiconB又はiconCである場合、遊技者は事実上押順ベルに正解(入賞)できるため、確実に上乗せ抽選処理を受けることができる。
【0308】
・主側RAM74のシナリオ配列記憶領域には、同時に少なくとも2つ分のシナリオ情報が格納できる第1シナリオ配列及び第2シナリオ配列領域が設けられものであったが(
図44、45)、1つのシナリオ配列のみ(例えば第1シナリオ配列のみ)が格納できるように構成することも可能である。この場合併せて、未確定回数である特化ゾーン継続回数に備え、シナリオ1~10のシナリオは1セット十分なG分(例えば100G分)のアイコン種類を設定する。但し理論的には低いとはいえ特化ゾーンが100G目に到達する可能性があるので、最後100G目のアイコンでは強制的に特化ゾーン終了条件を満たさせるアイコン種類(例えばiconZ)をセットする必要がある。この点、特化ゾーンは遊技者が当該終了条件を回避し続ける限り永久に特化ゾーンを継続できる点で上述の実施形態3の方が趣向性がより高い。
【0309】
・上述の実施形態においては、何れのシナリオにおいても共通して先頭最初(例えば1G目)の順序に不利ゲームに対応するiconAを配列しないようにその順番が定められていた。またもしくは、何れのシナリオにおいても共通して最後(例えば4G目)の順序にiconAを配列しないようにその順番が定められていた。第1シナリオの最後(例えば4G目)にiconA、且つ第2シナリオの先頭(例えば1G目)にiconAが配列されることがないようにするためである(即ち特化ゾーン中、不利ゲームが2回連続することを避けるため)。ここで、もう他の方法として、例えば、シナリオにおいては最後(例えば4G目)の順序にiconAを配列可能とし、第1シナリオとしてiconAが最後の4G目に配列されたシナリオが選択された場合には、何れのシナリオにも1G目にiconAが配置されていない特別シナリオ抽選テーブル(別途設けられる)の中から、第2シナリオを抽選で決定するようにしてもよい。このような方法でも同様に、第1シナリオの最後(例えば4G目)と、第2シナリオの先頭(例えば1G目)とでiconAが2回連続して配列されることがないため、特化ゾーン中、不利ゲームが2回連続することを避けることが可能である。
【0310】
・
図41に示した特化ゾーン処理は、ストップボタンの第3停止後の処理として行っていたが、例えば特に、S1303~S1305の処理については、レバーON時に実行するようにしてもよい。「アイコンD」は、有利ゲーム時に対応して出現し、当該ゲームがアイコンDに対応するゲームである場合、はずれ及び全役当選で上乗せ抽選が実行されるいわば「上乗せ確定アイコン」である。つまり、当該ゲームがアイコンDに対応するゲームである場合(
図41のS1302に相当)、レバーON時に上乗せ抽選により上乗せ差枚数(もしくは上乗せゲーム数)が決定するため(
図41のS1304に相当、
図46)、レバーONの契機で上乗せゲーム数を報知することとする。一方、S1306~S1312のように、押し順ベル正解又は不正解かの判定が必要な処理については、ストップボタンの第3停止後に上乗せ差枚数を決定し(
図41のS1309)、決定した上乗せ差枚数を報知する。
更にそのような場合、当該ゲームがアイコンDに対応するゲームであって押し順ベルの当選時には、レバーON時に獲得した上乗せ差枚数の獲得表示と、押順ベルの正解押し順(押順ナビ)とを報知することとする。但し、当該ゲームで、操作ミス等で押順ベル不正解となってしまった場合には、同ゲーム内で押し順ベルの押し順を間違えたことを示す演出を実行する。なお、通常の押順ナビに従わなかった場合の演出が「押し順失敗表示」+「画面の暗転」であるものとすると、この場合には「押し順失敗表示」だけとして「画面の暗転」は行わないようにするのが好ましい。上乗せに成功したことを報知したのにもかかわらず、押順ベル不正解によって画面が暗転してしまった場合に、上乗せしたことも取り消されてしまうような印象を遊技者に与えないようにするためである。
このように、S1303~S1305の処理について、レバーON時に実行することで、当該ゲームがアイコンDに対応するゲームである場合、具体的な上乗せ差枚数を報知したり、強演出を実行したりすることができるため、レバーON時と第3停止後とで、より適切な演出を見せることが可能となる。
【0311】
<実施形態4>
実施形態4について説明する。上述の
図26は、AT状態処理において、例えばスイカ、チェリー及び一枚役など、AT差枚数の上乗せ抽選契機役に当選した場合、上乗せ抽選処理が実行される(ステップS1102)。上乗せ抽選処理にて上乗せ当選となった場合(ステップS1103:YES)、主側RAM74に設けられたAT差枚数カウンタに当選上乗せ差枚数を加算するAT差枚数の上乗せ処理が実行される(ステップS1104)。
また、上述したように上乗せ差枚数は一律固定値(例えば「30」)とする他、抽選により決定することも可能である。例えば抽選により規定値10、20、30、50、100、200、300枚といった中から何れか一選択的に加算しうる。
【0312】
またこのように上乗せ差枚数を抽選により決定する場合、遊技者に対し当選した上乗せ枚数数を報知する画面上の上乗せ表示演出として、例えば一撃表示演出やPUSH連打表示演出が知られている。特にPUSH連打表示演出については、AT差枚数の上乗せ抽選に当選した場合、遊技者が所定のPUSHボタン(非図示)を連打する度に、当該1回のPUSHボタン押下で加算する上乗せ表示枚数を抽選により決定し、決定された分の上乗せ差枚数を毎回小刻みに加算してゆき、最終的に加算された累計枚数を遊技者が当選した上乗せ差枚数として報知する。
【0313】
ここで、主制御基板71のMPU72に内蔵されるROM73やRAM74には、遊技機に関する規則により記憶容量の制限があることが知られている(
図7)。このため、上乗せ抽選処理のうち、AT差枚数の上乗せ抽選処理それ自体は主制御基板71側で行われなければならないところ、本実施形態においては、AT差枚数の上乗せ抽選に当選した場合の上乗せ表示演出に係る処理、より具体的には1回のPUSHボタン押下で加算する上乗せ表示枚数を抽選により決定する処理については、サブ制御基板81側で行う。サブ制御基板81の演出側MPU82に内蔵されるROM83やRAM84には記憶容量の制限がないためである。
【0314】
このように、上乗せ表示演出処理をサブ制御基板81の演出側MPU82に実行させるようにすることで、主制御基板71のMPU72の記憶容量を削減又は節約するとともに、サブ制御基板81の演出側MPU82に内蔵されるROM83やRAM84には記憶容量の制限がないことに鑑みて、サブ制御基板81の十分なリソースを用いて趣向性の高い上乗せ表示演出を実現することが可能である。以下詳しく説明する。
【0315】
再び
図26を参照する。AT状態中、AT差枚数の上乗せ抽選契機役に当選した場合、主制御基板71は上乗せ抽選処理を実行する(ステップS1102)。上乗せ抽選処理では、上乗せ抽選テーブルを主側ROM73から読み出すとともに、主側RAM74において定期的(例えば2msec周期)に更新される抽選用カウンタの値を読み出し、抽選用カウンタの値を上記読み出した上乗せ抽選テーブルに対して照合する。
【0316】
図50は、上乗せ抽選テーブルの一例を示す図である。本実施形態に係る上乗せ抽選テーブルによれば、インデックス値IV=7の共通ベルが当選した場合、上乗せ抽選処理が実行され、上乗せ当選確率として、5%の当選確率で10枚、2%の当選確率で20枚の上乗せ差枚数に当選する。また、インデックス値IV=8のスイカが当選した場合、上乗せ抽選処理が実行され、上乗せ当選確率として、25%の当選確率で10枚、13%の当選確率で20枚、6%の当選確率で50枚、5%の当選確率で100枚、2%の当選確率で200枚の上乗せ差枚数に当選する。また、インデックス値IV=9のチェリーが当選した場合、上乗せ抽選処理が実行され、上乗せ当選確率として、25%の当選確率で10枚、25%の当選確率で20枚、25%の当選確率で50枚、13%の当選確率で100枚、5%の当選確率で200枚、2%の当選確率で300枚の上乗せ差枚数に当選する。また、インデックス値IV=10の1枚役が当選した場合、上乗せ抽選処理が実行され、上乗せ当選確率として、25%の当選確率で10枚、25%の当選確率で20枚、13%の当選確率で50枚、9%の当選確率で100枚、3%の当選確率で200枚の上乗せ差枚数に当選する。
【0317】
上乗せ抽選処理にて上乗せ当選となった場合(ステップS1103:YES)、主制御基板71は、AT差枚数の上乗せ処理を実行する(ステップS1104)。AT差枚数の上乗せ処理では、主側RAM74に設けられたAT差枚数カウンタに当選上乗せ差枚数を加算する。また、主制御基板71は、サブ制御基板81に当選上乗せ差枚数を通知する。
【0318】
(サブ制御基板81の上乗せ表示演出処理)
サブ制御基板81は、主制御基板71から当選上乗せ差枚数が通知された場合、まず上乗せ表示演出の種類を決定する。上乗せ表示演出の種類としては、例えば上述の一撃表示演出又はPUSH連打表示演出の何れかに振り分けられる。
【0319】
図51は、上乗せ表示演出振り分け抽選テーブルの一例を示す図である。上乗せ表示演出の種類を決定する場合、サブ制御基板81では、上乗せ表示演出振り分け抽選テーブルを演出側ROM83から読み出すとともに、演出側RAM84において定期的(例えば2msec周期)に更新される抽選用カウンタの値を読み出し、抽選用カウンタの値を読み出した上乗せ表示演出振り分け抽選テーブルに対して照合することができる。本上乗せ表示演出振り分け抽選テーブルよれば、上乗せ表示演出はそれぞれ50%の確率で一撃表示演出又はPUSH連打表示演出の何れかに振り分けられる。
【0320】
図52は、上乗せ表示演出の一例を示す図である。
図52(a)の一撃表示演出画面をでは、画面上に「PUSHボタンを押して、上乗せ枚数を獲得せよ!」との表示がなされている。また
図52(b)のPUSH連打表示演出画面では、画面上に「PUSHボタンを連打して、上乗せ枚数を獲得せよ!」との表示がなされている。
【0321】
図53は、上乗せ表示演出の一例を示す図である。
図53(a)の一撃表示演出画面では、遊技者によるPUSHボタン押下操作に伴って、1度に全ての当選上乗せ差枚数(例えば100枚)を報知する。画面上の「残り枚数」にも当選上乗せ差枚数分100枚が加算される。また
図53(b)のPUSH連打表示演出画面では、遊技者によるPUSHボタン押下連打操作に伴って、当選上乗せ差枚分を毎回小刻みに加算し表示しながら(例えば+5枚、+3枚、+10枚)、最終的に加算された累計枚数を遊技者が当選した上乗せ差枚数(例えば100枚)として報知する。なお、本実施形態に係るPUSH連打表示演出おいては、1回のPUSHボタン押下毎に画面上に加算表示する上乗せ表示差枚数は、例えば1枚、5枚といった固定枚数ではなく、例えば0枚、5枚、10枚、100枚、200枚、300枚といったように1回のPUSHボタン押下毎の毎回抽選により決定するPUSH連打上乗せ表示差枚数抽選処理が実行される。
【0322】
(PUSH連打表示演出処理)
図54は、PUSH連打上乗せ表示差枚数抽選処理を示すフローチャートである。サブ制御基板81は、上述したように主制御基板71から当選上乗せ差枚数が通知されると、まず上乗せ表示演出の種類を決定し、上乗せ表示演出の種類としてPUSH連打表示演出が振り分けられた場合に、本PUSH連打上乗せ表示差枚数抽選処理を実行する。
【0323】
まずサブ制御基板81は、演出側RAM84に設けられた「連打上乗せ差枚数」記憶領域に、今回のゲームにおいて主制御基板71から通知された当選上乗せ差枚数をセットする(ステップS1601)。例えば、今回のゲームにおける当選上乗せ差枚数が例えば100枚の場合、「連打上乗せ差枚数」に100がセットされる。
【0324】
ここで、演出側RAM84に設けられた「PHSH操作回数カウンタ」記憶領域及び「合計上乗せ表示差枚数」記憶領域のそれぞれに初期化値0をセットしておく(ステップS1602)。PHSH操作回数カウンタは、演出中の遊技者によるPUSHボタンの押下操作をカウントするためのカウンタである。PUSH連打表示演出終了時画面の一例を示す図である。合計上乗せ表示差枚数は、PUSH連打表示演出終了時又は次ゲーム開始時に、画面上で遊技者に報知する上乗せ表示差枚数である。
【0325】
次に遊技者によるスタートレバー41のON操作が行われたか否かを判定する(ステップS1603)。スタートレバー41のON操作が行われた場合(ステップS1603:YES)、レバーON時の差枚数反映処理を実行する。PUSH連打表示演出中にスタートレバー41のON操作があると、PUSH連打表示演出はキャンセルされてしまい、次ゲームに進行してしまう。このためレバーON時の差枚数反映処理は、遊技者がPUSH連打表示演出を最後まで参加しないままに(全く1回もPUSHボタン押下操作しないか、数回程度のPUSHボタン押下連打操作)、スタートレバー41のON操作した場合に、次ゲーム側で実行が必要となる処理である。ステップS1604のレバーON時の差枚数反映処理については再度後述する。
【0326】
一方、スタートレバー41のON操作が行われていない場合(ステップS1603:NO)、遊技者によるPUSH操作が行われたか否かを判定する(ステップS1605)。PUSH操作が行われた場合(ステップS1605:YES)、PHSH操作回数カウンタに1を加算・カウントアップする(ステップS1606)。PHSH操作回数カウンタの値は、遊技者が全く1回もPUSHボタン押下操作しなかった場合は0となる。
【0327】
次にPUSH連打上乗せ表示差枚数抽選を実行する(ステップS1607)。PUSH連打上乗せ表示差枚数抽選においては、当該1回のPUSHボタン押下で加算する上乗せ表示差枚数を抽選により決定する。例えば
図53(b)の「+5」、「+3」、「+10」といった上乗せ表示差枚数は、1回のPUSHボタン押下毎に抽選で決定された上乗せ表示差枚数である。
【0328】
図55は、PUSH回数1~7回用上乗せ表示差枚数抽選テーブルを示す。
図56は、PUSH回数8回以降用上乗せ表示差枚数抽選テーブルを示す。演出側ROM83には、PHSH操作回数カウンタの値が1~7の場合と、PHSH操作回数カウンタの値が8以上の場合とで、2つの上乗せ表示差枚数抽選テーブルが予め記憶されている。
【0329】
具体的に、PUSH連打上乗せ表示差枚数抽選において、サブ制御基板81はまず演出側RAM84の「PHSH操作回数カウンタ」の値を参照し、参照すべき上乗せ表示差枚数抽選テーブルを決定する。例えばPHSH操作回数カウンタの値が1~7の場合、サブ制御基板81は演出側ROM83からPUSH回数1~7回用上乗せ表示差枚数抽選テーブルを読み出す。
【0330】
次に、サブ制御基板81は、演出側RAM84の「連打上乗せ差枚数」を参照し、連打上乗せ差枚数の枚数値に応じた抽選確率で上乗せ表示差枚数の抽選を行う。例えばPUSH回数1~7回用上乗せ表示差枚数抽選テーブルによれば、連打上乗せ差枚数が100枚の場合、上乗せ表示差枚数として0枚、1枚、2枚、3枚、4枚、5枚、6枚、7枚、8枚、9枚、10枚、20枚、30枚、50枚、100枚が選択される確率は、それぞれ0.00%、10.31%、10.31%、10.31%、10.31%、10.31%、10.31%、0.00%、10.31%、10.31%、5.15%、5.15%、5.15%、2.06%、0.00%となっている。
【0331】
なお、PUSH回数1~7回用上乗せ表示差枚数抽選テーブルによれば、連打上乗せ差枚数が何れであっても、上乗せ表示差枚数として0枚が選択されることはない。PUSH回数が比較的少ないうちは0枚が選択されることを避けるようにしたためである。また上乗せ表示差枚数として7枚が選択されるのは、連打上乗せ差枚数が300枚以上の場合のみである。この場合、画面上に上乗せ表示差枚数として7枚が表示されるので、今回ゲームでの上乗せ表示差枚数が大量枚数の300枚以上であることを遊技者に示唆し趣向性を向上できる。
【0332】
一方、PHSH操作回数カウンタの値が8回以上の場合(遊技者によりPHSH連打操作が8回以上行われた場合)、サブ制御基板81は演出側ROM83からPUSH回数8回以降用上乗せ表示差枚数抽選テーブルを読み出す。
【0333】
次に、サブ制御基板81は、演出側RAM84の「連打上乗せ差枚数」を参照し、連打上乗せ差枚数の枚数値に応じた抽選確率で上乗せ表示差枚数の抽選を行う。例えばPUSH回数8回以降用上乗せ表示差枚数抽選テーブルによれば、連打上乗せ差枚数が10枚の場合、上乗せ表示差枚数として0枚、1枚、2枚、3枚、4枚、5枚、6枚、7枚、8枚、9枚、10枚、20枚、30枚、50枚、100枚が選択される確率は、それぞれ12.09%、15.41%、15.38%、10.99%、10.99%、8.79%、8.79%、0.00%、6.59%、6.59%、4.39%、0.00%、0.00%、0.00%、0.00%となっている。
【0334】
なお、PUSH回数8回以降用上乗せ表示差枚数抽選テーブルによれば、連打上乗せ差枚数が1~19枚の場合のみ、上乗せ表示差枚数として0枚が選択される。上乗せ表示差枚数として0枚が選択された場合には、PUSH連打上乗せ表示差枚数抽選を終了(いわゆる転落扱い)させるとともに、残る連打上乗せ差枚数分(1~19枚の何れか)は、当ゲームのPUSH連打表示演出内で表示しないものとし、その分は後乗せする。
【0335】
再び
図54に戻り、PUSH連打上乗せ表示差枚数抽選(ステップS1607)の後、PUSH連打上乗せ表示差枚数抽選の抽選結果(上乗せ表示差枚数)が0であるか否かを判定する(ステップS1608)。なお、抽選結果(上乗せ表示差枚数)として0枚が選択されるのは、PUSH回数8回以降且つ連打上乗せ差枚数が1~19枚何れかの場合のみである。
【0336】
PUSH連打上乗せ表示差枚数抽選の抽選結果(上乗せ表示差枚数)が0でない場合(ステップS1608:NO)、演出側RAM84の「合計上乗せ差枚数」に当該抽選結果(上乗せ表示差枚数)を加算する(ステップS1609)。また演出側RAM84の「連打上乗せ差枚数」から当該抽選結果(上乗せ表示差枚数)を減算する(ステップS1610)。そして、
図53(b)に示されるように、当該抽選結果(上乗せ表示差枚数)を画面上に表示する(ステップS1611)。
【0337】
次に演出側RAM84の「連打上乗せ差枚数」が0になった否かを判定する(ステップS1612)。連打上乗せ差枚数が0でない場合(ステップS1612:NO)、再びS1603へ進む。一方、連打上乗せ差枚数が0になった場合(ステップS1612:YES)、演出側RAM84の「合計上乗せ表示差枚数」を画面上に表示する(ステップS1613)。
【0338】
図57は、PUSH連打表示演出終了時画面の一例を示す図である。PUSH連打により上乗せ表示された合計上乗せ表示差枚数が例えば100枚であることが画面上表示される。なお、
図57の合計上乗せ表示差枚数は、今回のゲームにおいて当選した上乗せ差枚数の全枚数100枚と等しい。
【0339】
一方、PUSH連打上乗せ表示差枚数抽選の抽選結果(上乗せ表示差枚数)が0である場合(ステップS1608:YES)、抽選結果(上乗せ表示差枚数)として0枚が選択されたのは、PUSH回数8回以降且つ連打上乗せ差枚数が1~19枚何れかの場合のみであるため、残る連打上乗せ差枚数分(1~19枚の何れか)については、当ゲームのPUSH連打表示演出内で表示しないものとしその分は後乗せさせる。つまり、演出側RAM84に設けられた「後乗せ差枚数」記憶領域に「連打上乗せ差枚数」をセットする(ステップS1614)。そしてPUSH連打表示演出処理を終了(いわゆる転落扱い)させるとともに、演出側RAM84の「合計上乗せ差枚数」を画面上に表示する(ステップS1615)。
【0340】
図58は、PUSH連打表示演出終了時画面の一例を示す図である。PUSH連打により上乗せ表示された合計上乗せ表示差枚数が例えば81枚であることが画面上表示される。なお、
図58の合計上乗せ表示差枚数は、今回のゲームにおいて当選した上乗せ差枚数の全枚数100枚のうちその一部の81枚分であり、残る19枚は演出側RAM84の「後乗せ差枚数」に繰り越されており、繰り越された後乗せ差枚数は遊技者に対して次ゲーム以降に報知される。
【0341】
(レバーON時の差枚数反映処理)
図59は、PUSH連打上乗せ表示差枚数抽選処理を示すフローチャートである。スタートレバー41のON操作が行われた場合(ステップS1603:YES)、レバーON時の差枚数反映処理を実行する(ステップS1604)。PUSH連打表示演出中でスタートレバー41のON操作があると、PUSH連打表示演出はキャンセルされてしまい、次ゲームに進行してしまう。レバーON時の差枚数反映処理は、遊技者がPUSH連打表示演出を最後まで参加しないままに(全く1回もPUSHボタン押下操作しないか、数回程度のPUSHボタン押下連打操作)、PUSH連打表示演出中でスタートレバー41のON操作した場合に、次ゲーム側で実行が必要となる処理である。
【0342】
まずサブ制御基板81は、演出側RAM84の「PHSH操作回数カウンタ」の値が0であるか否かを判定する(ステップS1701)。PHSH操作回数カウンタの値が0である場合とは、遊技者がPUSH連打表示演出を全く1回もPUSHボタン押下操作しないままに、スタートレバー41のON操作を行った場合に該当する。よってPHSH操作回数カウンタの値が0である場合(ステップS1701:YES)、演出側RAM84の「合計上乗せ差枚数」に「連打上乗せ差枚数」(例えば今回ゲームにおける全当選上乗せ差枚数100枚)を加算するとともに(ステップS1702)、連打上乗せ差枚数に0をセットする(ステップS1703)。そして、次ゲーム開始時に、
図57と同様の「合計上乗せ差枚数」を画面上に表示する(ステップS1704)。なおここで表示される合計上乗せ差枚数は、前回ゲームにおける全当選上乗せ差枚数(例えば100枚)である。
【0343】
これにより、PUSH連打表示演出のPUSH連打に参加したくない遊技者に対しても、PUSH連打表示演出をキャンセルする手段を提供すると共に、獲得した全当選上乗せ差枚数(例えば100枚)を迅速に報知することができる。
【0344】
一方、PHSH操作回数カウンタの値が0でない場合とは、遊技者がPUSH連打表示演出において数回程度のPUSHボタン押下連打操作を行ったものの、演出途中でスタートレバー41のON操作を行った場合に該当する。よってPHSH操作回数カウンタの値が0でない場合(ステップS1701:NO)、演出側RAM84の「後乗せ差枚数」に「連打上乗せ差枚数」をセットする(ステップS1705)。そして次ゲーム開始時に、
図58と同様の「合計上乗せ差枚数」を画面上に表示する(ステップS1704)。なおここで表示される合計上乗せ差枚数は、遊技者のPUSH連打に伴い、S1609で加算し、S1611で表示された抽選結果を合計(累積)した上乗せ表示差枚数である。
【0345】
これにより、PUSH連打表示演出の途中からPUSH連打に参加したくなくなった遊技者に対しても、PUSH連打表示演出をキャンセルする手段を提供すると共に、それ迄のPUSH連打表示演出で獲得した当選上乗せ差枚数(例えば81枚)を迅速に報知することができる。
【0346】
最後に、S1614及びS1705においてセットされた後乗せ差枚数について言及する。S1614及びS1705においてセットされた演出側RAM84の「後乗せ差枚数」は、本来的に主制御基板71の上乗せ抽選処理にて当選した上乗せ差枚数の一部枚数分であるものの、サブ制御基板81によるPUSH連打表示演出終了時又は次ゲーム開始時に、画面上で遊技者に表示される「合計上乗せ表示差枚数」に反映されなかった枚数分であり、いわば遊技者に対する未報知分ともいえる。よって、サブ制御基板81は次ゲーム以降に、その時点までに累積していた演出側RAM84の「後乗せ差枚数」を所定の任意タイミング及び任意演出を伴って報知することができる。
【0347】
なお、以下の形態についても言及する。
・上述の実施形態において、サブ制御基板81は、演出側RAM84の「連打上乗せ差枚数」に今回のゲームにおいて上乗せ当選した当選上乗せ差枚数をセットしたが(ステップS1601)、当該今回のゲーム以前において演出側RAM84の「後乗せ差枚数」記憶領域に記憶された後乗せ差枚数がある場合には、演出側RAM84の「連打上乗せ差枚数」に対して、今回のゲームにおいて上乗せ当選した当選上乗せ差枚数に加え、演出側RAM84に記憶されている後乗せ差枚数を足した差枚数をセットしてもよい。例えば今回のゲームで上乗せ差枚数に100枚が当選した場合であって、更にその時点で既に「後乗せ差枚数」に100枚が記憶されていた場合には、演出側RAM84の「連打上乗せ差枚数」に200をセットする。この場合、当該PUSH連打表示演出において、遊技者に報知可能な上限枚数を200枚に増やすことができる。
【0348】
上述の実施形態に係るスロットマシン10は、差枚数管理型のAT機であるため、AT中は獲得可能な差枚数で管理されるものであったが、AT中を遊技可能なゲーム数で管理してもよい。この場合のスロットマシン10は、ゲーム数管理型のAT機であるため、1セットのATはAT継続ゲーム数(例えば50G)となるとともに、上乗せ対象は上乗せ差枚数ではなく、上乗せゲーム数(例えば100G)となる。
【0349】
遊技者に対し当選した上乗せ枚数数を報知する画面上の上乗せ表示演出として、例えば一撃表示演出やPUSH連打表示演出を例示したが、他にも例えばPUSH長押し表示演出に適用してもよい。PUSH長押し表示演出は、遊技者がPUSH連打する代わりに、PUSH押下操作状態を維持することで、所定時間経過毎(例えば0.5秒毎)に加算する上乗せ表示枚数を抽選により決定し、決定された分の上乗せ差枚数を毎回小刻みに加算し表示してゆき、最終的に加算された累計枚数を遊技者が当選した上乗せ差枚数として報知する。
【0350】
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0351】
(特徴A1)
図柄を変動表示する図柄表示手段(リールユニット31)と、
前記図柄表示手段における図柄の変動表示を開始させるべく操作される開始操作手段(スタートレバー41)と、
前記開始操作手段が操作されたことに基づいて役の抽選処理を実行する役抽選手段(主側MPU72におけるステップS207の処理を実行する機能)と、
前記図柄表示手段における図柄の変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段(ストップボタン42~44)と、
前記図柄の変動表示後に、前記役の抽選処理にて当選となった役が入賞した場合に、当選役対応の入賞成立として当該当選役対応の制御を実行する対応実行手段(主側MPU72におけるステップS210の処理を実行する機能)とを備える遊技機であって、
報知対象役(押順ベル)の当選ゲームにおいて該報知対象役を入賞させるための操作方法(リール停止順序)を報知する報知状態(AT状態)に移行させる報知状態移行手段と、
前記報知状態中に獲得可能な遊技媒体の差枚数を示すカウンタ(差枚数カウンタ)の値が所定条件(0枚以下)を満たした場合に、前記報知状態(AT状態)を終了可能な報知状態終了手段と、
特定役(特定1枚役)に対応した図柄組み合わせが入賞した場合には最大賭数未満の枚数の遊技媒体(1枚)を払い出す役入賞払出手段と、
前記カウンタ(差枚数カウンタ)に対応した値を、遊技者に視認可能に表示する表示手段と、
前記抽選処理の抽選結果が第1結果(ハズレ)となった場合に、前記カウンタ(差枚数カウンタ)の値を、所定値変動(「残り枚数」を+3)させる第1結果時カウンタ変動手段と、(
図29)
前記報知状態中に前記特定役が当選した場合に、前記カウンタ(差枚数カウンタ)の値を、前記第1結果時と同じ前記所定値変動(「残り枚数」を+3)させる特定役時カウンタ変動手段と、(
図30)
を備えることを特徴とする遊技機。
【0352】
(特徴A2)
前記第1結果は、役の非入賞を示すハズレであること、(
図29)
を特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
【0353】
これにより、遊技者は例えば1枚役の入賞を認識し難くなり、つまり、遊技者からは1枚役の入賞時でも完全なハズレと見えるようにすることで、1枚役の入賞時、突然に1枚の払い出しが行われるといった違和感を低減させることができる。またひいては遊技者が1枚役の存在自体を認識しなくなり(遊技者の技量が遊技結果に与える影響の存在を感じにくくなり)、特に初心者は、安心して遊技を行うことができる。このような表示は、例えば誰でも安心して遊技できるといったコンセプトの下に開発される初心者向けのスロットマシンに特に有用である。
【0354】
(特徴A3)
前記特定役の入賞成立に対応した図柄の前記停止結果は、どのラインにも同一図柄の組み合わせが直線上に揃わない結果であること、(
図30)
を特徴とする特徴A2に記載の遊技機。
【0355】
遊技者としては役が揃ったと認識しにくいため、ハズレと同じ枚数変化でも違和感がない。つまり図柄配列上、1枚役入賞は同じ図柄が全ラインいずれでも一直線に揃わない停止出目となっているため、遊技者からは図柄上においても、1枚役入賞と認識し難く、特に初心者にとっては完全なハズレ出目とも見えるようにしている。
【0356】
(特徴A4)
前記特定役以外の役の入賞時(ベル入賞時等)は所定音(払い出し音)を出力し、前記特定役(特定1枚役)の入賞時は前記所定音を非出力する又は所定音よりも小さい音を出力する音声出力手段と、
を備えることを特徴とする特徴A2に記載の遊技機。
【0357】
特定1枚役の入賞時には、メダル1枚の払い出しは実際行われるものの、その他小役時に出力発生される払い出し音は出力しないようにする。これにより、遊技者は1枚役の入賞をより認識し難くなり、遊技者からは1枚役の入賞時でも完全なハズレといっそう見えるようになる。
【0358】
(特徴A5)
前記役入賞払出手段が払い出した遊技媒体の枚数を示すカウンタ(獲得枚数カウンタ)の値を、遊技者に視認可能に表示する表示手段と、(
図30の「獲得枚数」)
を備えることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
【0359】
差枚数カウンタは、例えば1枚役の当選且つ入賞時など、実際に払い出されたメダル数と必ずしも一致しないが、「獲得枚数」には実際に払い出されたメダル数が正確に表示されるため、遊技者は正確に払い出されたメダル数を把握することができる。
【0360】
(特徴A6)
前記報知状態中に前記報知対象役(押順ベル)が当選した場合に、該報知対象役の入賞可否にかかわらず、前記カウンタ(差枚数カウンタ)の値を、該報知対象役の入賞時と同じ所定値変動(「残り枚数」を-4)させる報知対象役時カウンタ変動手段と、(
図31)
を備えることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
【0361】
AT中、押順ベルの当選且つ非入賞時、即ち押順ナビを無視するなどして押順ベルを取りこぼすと「残り枚数」が減らないようにした場合、遊技者が意図的に不正解の押し順を押下することでAT終了を引き延ばし、レア役等による差枚数の上乗せを狙うという攻略が可能となってしまう。このため、押順ナビが発生したにも関わらず不正解の押し順を押下した場合は、7枚の押順ベルに入賞したものとして扱い、「残り枚数」は-4枚とした。これにより、意図されない攻略を防止することができる。
【0362】
(特徴A7)
前記役入賞払出手段は、所定役(チェリー役)が入賞した場合には最大賭数未満の枚数の遊技媒体(2枚)を払い出し、
前記所定役(チェリー役)が当選した場合に、
該所定役の入賞時、前記カウンタ(差枚数カウンタ)の値を、該入賞役に対応した所定値変動(「残り枚数」を+2)させ、
該所定役の非入賞時、前記カウンタ(差枚数カウンタ)の値を、前記第1結果時と同じ所定値変動(「残り枚数」を+3)させる所定役時カウンタ変動手段と、
を備えることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
【0363】
特定1枚役のみならず、例えばチェリーやスイカなど、取りこぼし発生小役であって、入賞時払い出しメダル数が、ベットメダル枚数未満(例えば3枚)の小役入賞時にも同様に、画面上で差枚数を示すの「残り枚数」の表示を、ハズレ時と同様な表示とすることも可能である。但し、チェリー等は1枚役と比べ高確率小役であり頻繁に当選する点、遊技者にとって入賞時の識別性が高い点(例えばチェリーは左リールにチェリー図柄停止で入賞)に鑑み、チェリーやスイカ役の入賞時にもハズレ時と同様な表示とすることは必ずしも適しない。よって、本実施形態においては、チェリーの入賞時には本来の表示(「残り枚数」を+2)とし、非入賞時にはハズレ時と同様な表示(「残り枚数」を+3)とするものとした。
【0364】
(特徴A8)
前記特定役時カウンタ変動手段は、前記報知状態中に前記特定役が当選した場合に、該特定役の入賞可否にかかわらず、前記カウンタ(差枚数カウンタ)の値を、前記第1結果時と同じ前記所定値変動(「残り枚数」を+3)させること、
を特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
【0365】
(特徴A9)
図柄を変動表示する図柄表示手段(リールユニット31)と、
前記図柄表示手段における図柄の変動表示を開始させるべく操作される開始操作手段(スタートレバー41)と、
前記開始操作手段が操作されたことに基づいて役の抽選処理を実行する役抽選手段(主側MPU72におけるステップS207の処理を実行する機能)と、
前記図柄表示手段における図柄の変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段(ストップボタン42~44)と、
前記図柄の変動表示後に、前記役の抽選処理にて当選となった役が入賞した場合に、当選役対応の入賞成立として当該当選役対応の制御を実行する対応実行手段(主側MPU72におけるステップS210の処理を実行する機能)とを備える遊技機であって、
報知対象役(押順ベル)の当選ゲームにおいて該報知対象役を入賞させるための操作方法(リール停止順序)を報知する報知状態(AT状態)に移行させる報知状態移行手段と、
前記報知状態中に獲得可能な遊技媒体の差枚数を示すカウンタ(差枚数カウンタ)の値が所定条件(0枚以下)を満たした場合に、前記報知状態(AT状態)を終了可能な報知状態終了手段と、
特定役(特定1枚役)に対応した特定図柄組合せが入賞した場合には最大賭数未満の枚数の遊技媒体(1枚)を払い出す役入賞払出手段と、
前記報知状態中に前記特定役が当選し該特定役が入賞した場合に、前記カウンタの値を特定の値(最大賭数と同数の値)変動させる特定役時カウンタ変動手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
【0366】
これにより、遊技者は例えば1枚役の入賞を認識し難くなり、つまり、遊技者からは1枚役の入賞時でも完全なハズレと見えるようにすることで、1枚役の入賞時、突然に1枚の払い出しが行われるといった違和感を低減させることができる。またひいては遊技者が1枚役の存在自体を認識しなくなり(遊技者の技量が遊技結果に与える影響の存在を感じにくくなり)、特に初心者は、安心して遊技を行うことができる。このような表示は、例えば誰でも安心して遊技できるといったコンセプトの下に開発される初心者向けのスロットマシンに特に有用である。
【0367】
(特徴B1)
図柄を変動表示する図柄表示手段(リールユニット31)と、
前記図柄表示手段における図柄の変動表示を開始させるべく操作される開始操作手段(スタートレバー41)と、
前記開始操作手段が操作されたことに基づいて役の抽選処理を実行する役抽選手段(主側MPU72におけるステップS207の処理を実行する機能)と、
前記図柄表示手段における図柄の変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段(ストップボタン42~44)と、
前記図柄の変動表示後に、前記役の抽選処理にて当選となった役が入賞した場合に、当選役対応の入賞成立として当該当選役対応の制御を実行する対応実行手段(主側MPU72におけるステップS210の処理を実行する機能)とを備える遊技機であって、
報知対象役(押順ベル)が当選した場合に該報知対象役を入賞させるための操作方法(リール停止順序)を報知可能な報知状態(AT状態)に移行させる報知状態移行手段と、
前記報知状態中に所定カウンタ(差枚数カウンタ)の値が所定条件(0枚以下)を満たした場合に、前記報知状態(AT状態)を終了可能な報知状態終了手段と、
前記報知状態中に、報知された前記操作方法(リール停止順序)が行われた場合と、報知された前記操作方法が行われない場合とで、前記所定カウンタ(差枚数カウンタ)を同じ所定値(共に4カウントダウン)変動させる報知対象役カウンタ変動手段と、
変動した前記所定カウンタ(差枚数カウンタ)に対応した画像(「残り枚数」)を、遊技者に視認可能に表示する表示手段とを備え、
前記表示手段は、
報知された前記操作方法が行われた場合に、第1の表示態様(押し順正解時における「残り枚数」の表示態様)により前記所定カウンタ(差枚数カウンタ)に対応した画像(「残り枚数」)を表示し、
報知された前記操作方法が行われない場合に、前記第1の表示態様とは異なる第2の表示態様(押し順ミス時における「残り枚数」の表示態様)により前記所定カウンタ(差枚数カウンタ)に対応した画像(「残り枚数」)を表示すること、
を特徴とする遊技機。
【0368】
(特徴B2)
前記第2の表示態様(押し順ミス時における「残り枚数」の表示態様)は、前記第1の表示態様(押し順正解時における「残り枚数」の表示態様)よりも、変動した前記所定カウンタ(差枚数カウンタ)に対応した画像(「残り枚数」)の視認性が低い表示態様であること、
を特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
【0369】
(特徴B3)
前記第2の表示態様は、変動した前記所定カウンタ(差枚数カウンタ)に対応した画像(「残り枚数」)を含む表示領域を、切り替え前よりも暗色に切り替えた表示態様であること(
図34)、
を特徴とする特徴B2に記載の遊技機。
【0370】
(特徴B4)
前記第2の表示態様は、変動した前記所定カウンタ(差枚数カウンタ)に対応した画像(「残り枚数」)を、切り替え前よりも輝度を高くした表示態様であること(
図35)、
を特徴とする特徴B2に記載の遊技機。
【0371】
(特徴B5)
前記第2の表示態様は、変動した前記所定カウンタ(差枚数カウンタ)に対応した画像(「残り枚数」)を含む表示領域に、所定の演出画像を重畳させた表示態様であること(
図36)、
を特徴とする特徴B2に記載の遊技機。
【0372】
AT中に遊技者が押し順ミス等により不本意にも押順ベル役に入賞できなかった場合、入賞時と同じく「残り枚数」の表示は4カウントダウンされるものの(-4枚)、押順ベル役の入賞時と異なる表示態様により「残り枚数」の視認性が低下するため、遊技者の不本意感を低減させることが可能となる。
【0373】
(特徴B6)
前記表示手段は、
第1のタイミングで(第3停止時)、前記第1の表示態様により前記所定カウンタ(差枚数カウンタ)に対応した画像(「残り枚数」)を表示し、
第2のタイミングで(押し順ミス発生時)、前記第2の表示態様により前記所定カウンタ(差枚数カウンタ)に対応した画像(「残り枚数」)を表示すること、
を特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
【0374】
通常は押順ベルに入賞すると第3停止でカウントダウン表示されるところ、押し順ミス発生の直後にカウントダウン表示されることで、遊技者の注意は画面全体が急に暗色表示されたことに意識が集中し、「残り枚数」の細かいカウントダウン表示にいっそう気付きにくくすることができる。
【0375】
(特徴B7)
前記第2の表示態様は、前記第1の表示態様よりも、前記所定カウンタ(差枚数カウンタ)に対応した画像(「残り枚数」)の変動する時間が短い表示態様であること、
を特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
【0376】
遊技者が押し順に正解した場合、「残り枚数」のカウントダウンは、1枚ずつ例えば-1、-2、-3、-4という4段階で「残り枚数」の表示を切り替えるとすると、遊技者が押し順ミスをした場合には、「残り枚数」のカウントダウンは1枚ずつ行わずに-4という1段階で「残り枚数」の表示を切り替える。これにより「残り枚数」のカウントダウンを1枚ずつ行う場合と比べ、カウントダウンに対する遊技者の注意が行きにくくなるともにカウントダウンに要する時間も短時間となり、遊技者は「残り枚数」のカウントダウン表示に気付きにくくなるため、遊技者の不本意感を低減させることが可能となる。
【0377】
(特徴B8)
前記第2の表示態様の表示に伴い出力される所定音(払い出し音)を、前記第1の表示態様の表示に伴い出力される所定音よりも、小さい音を出力する音声出力手段と、
を備えることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
【0378】
押し順ミス時に伴う演出音(カウントダウン音)は出力しないようにする。これにより、遊技者の「残り枚数」のカウントダウン表示により気付きにくくなる。もしくは、演出音(カウントダウン音)は、全く非出力・無音とするのみならず、押し順成功時に伴う演出音(通常時)よりも小さい払い出し音(微音)を出力する。
【0379】
(特徴C1)
図柄を変動表示する図柄表示手段(リールユニット31)と、
前記図柄表示手段における図柄の変動表示を開始させるべく操作される開始操作手段(スタートレバー41)と、
前記開始操作手段が操作されたことに基づいて役の抽選処理を実行する役抽選手段(主側MPU72におけるステップS207の処理を実行する機能)と、
前記図柄表示手段における図柄の変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段(ストップボタン42~44)と、
前記図柄の変動表示後に、前記役の抽選処理にて当選となった役が入賞した場合に、当選役対応の入賞成立として当該当選役対応の制御を実行する対応実行手段(主側MPU72におけるステップS210の処理を実行する機能)とを備える遊技機であって、
所定処理を実行する際に用いられる特定情報(例えば不利ゲームに対応するiconA)及び所定情報(例えば有利ゲームに対応するiconB、C、D)の実行順序(出現順序)を定めた実行順序情報(シナリオ情報)であって、各々異なる実行順序が定められた複数の実行順序情報(シナリオ抽選テーブル内の1~10のシナリオ情報)の中から、第1の実行順序情報(第1シナリオ情報)を選択する第1選択手段(
図42のS1401)と、
前記第1の実行順序情報に定められた第1の実行順序(
図42のS1402、
図44の第1アイコン[0]~[3])に従って、所定単位の契機毎(1ゲームや3ゲーム毎)に前記特定情報及び前記所定情報に応じた前記所定処理(
図41のS1304及びS1305の上乗せ抽選、S1313の特化ゾーン継続処理、S1312の特化ゾーン終了処理)を実行する所定処理手段と、を備え、
前記実行順序情報に定められる実行順序は、前記特定情報が連続しない実行順序であること、
を特徴とする遊技機。
【0380】
シナリオ抽選テーブルの各シナリオには、出現するアイコン種類が順番に定められているところ、何れのシナリオにおいても不利ゲームに対応するiconAが連続して配列しないようにその順番が定められているという特徴がある。こうすることで、前のゲームが不利ゲームだったか等を判定しその場合には今回不利ゲームが連続しないように制御するといった判定処理をすることなく、特化ゾーン中、不利ゲームが2回連続するようなことを効率よく避けることができる。
【0381】
(特徴C2)
前記複数の実行順序情報(シナリオ抽選テーブル内の1~10のシナリオ情報)の中から、第2の実行順序情報(第2シナリオ情報)を選択する第2選択手段(
図42のS1403)と、
前記処理手段は、前記第1の実行順序の後に続く前記第2の実行順序情報に定められた第2の実行順序(
図42のS1404、
図44の第2アイコン[0]~[3])に従って、所定単位の契機毎に前記特定情報及び前記所定情報に応じた所定処理を実行し、
全ての前記実行順序情報に定められる実行順序は共通して、前記特定情報が最初に実行されない実行順序(前記有利ゲームが最初に出現する出現順序)であるか、もしくは、前記特定情報が最後に実行されない実行順序(前記有利ゲームが最後に出現する出現順序)であること、
を特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
【0382】
何れのシナリオにおいても共通して先頭最初(例えば1G目)の順序に不利ゲームに対応するiconAを配列しないようにその順番が定められている。もしくは、何れのシナリオにおいても共通して最後(例えば4G目)の順序にiconAを配列しないようにその順番が定められている。こうすることで、シナリオ抽選テーブルから抽選され何れの第1シナリオ、及び第1シナリオの後に続く第2シナリオを、シナリオ配列記憶領域に同時に格納した場合であっても、第1シナリオの最後(例えば4G目)にiconA、且つ第2シナリオの先頭(例えば1G目)にiconAが配列されることがない。即ち特化ゾーン中、不利ゲームが2回連続するようなことを避けることができる。
【0383】
(特徴C3)
所定条件を満たした場合に(
図47のS1502:YES)、第3の実行順序情報(再びの第2シナリオ情報)を選択する第3選択手段(
図47のS1504~S1505)と、を備え、
前記処理手段は、前記第2の実行順序の後に続く前記第3の実行順序情報に定められた第3の実行順序(
図49の第2アイコン[0]~[3])に従って、所定単位の契機毎に前記特定情報及び前記所定情報を実行し、実行した該ゲームに応じた所定処理を実行すること、
を特徴とする特徴C2に記載の遊技機。
【0384】
シナリオ抽選テーブルから第1シナリオないし第2シナリオを選択し、第1シナリオないし第2シナリオ内の有限であるアイコンが全て消化された場合、いつかは強制的に特化ゾーン終了条件をセットする必要があるが、また、繰り返しシナリオ抽選テーブルから続くあらたなシナリオを抽選により選択し、選択した当該シナリオに従って、不利ゲーム及び有利ゲームを繰り返し出現させることで、遊技者が当該終了条件を回避し続ける限り永久に特化ゾーンを継続できる。
【0385】
(特徴C4)
画面上に、前記第1の実行順序と前記第2の実行順序に従って、一の前記実行順序情報に実行順序が定められたゲーム数分以上の、前記特定情報及び前記所定情報の実行順序を表示する表示手段と、(
図37、アイコン3701を例えば5ゲーム分配置し表示)
を特徴とする特徴C2又はC3に記載の遊技機。
【0386】
特化ゾーン中の画面にアイコン3701を、第1シナリオ配列内のアイコン数分以上のゲーム数分、配置し表示し続けることができる(
図37)。遊技者は当該ゲームに加え、向こう複数ゲーム分に対応するアイコン種類を認識することが可能である。
【0387】
(特徴D1)
図柄を変動表示する図柄表示手段(リールユニット31)と、
前記図柄表示手段における図柄の変動表示を開始させるべく操作される開始操作手段(スタートレバー41)と、
前記開始操作手段が操作されたことに基づいて役の抽選処理を実行する役抽選手段(主側MPU72におけるステップS207の処理を実行する機能)と、
前記図柄表示手段における図柄の変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段(ストップボタン42~44)と、
前記図柄の変動表示後に、前記役の抽選処理にて当選となった役が入賞した場合に、当選役対応の入賞成立として当該当選役対応の制御を実行する対応実行手段(主側MPU72におけるステップS210の処理を実行する機能)と、
特定状態中(AT中)に前記役抽選手段により前記抽選処理で当選した当選役に基づいて、特定状態中の特典数(上乗せ差枚数(又は上乗せゲーム数))を抽選する特典数抽選手段(主側MPU72におけるステップS1102、ステップS1104)と、
演出の実行を制御する演出制御手段と(演出側MPU82)、
を備える遊技機であって、
前記演出制御手段(演出側MPU82)は、
前記演出制御手段に設けられた第1記憶領域(演出側RAM84)に、前記特典数(上乗せ差枚数がセットされた連打上乗せ差枚数)を記憶する第1記憶手段(ステップS1601)と、
前記第1記憶領域に記憶された特典数のうち、所定抽選(ステップS1607のPUSH連打上乗せ表示差枚数抽選)により決定された特典数に応じた報知演出を行う特典数報知演出手段(PUSH連打表示演出処理、ステップS1611)と、
前記第1記憶領域に記憶された特典数のうち全ての特典数を前記所定抽選により決定された特典数に応じた報知演出で使用しない場合に、残りの特典数を後報知用として前記演出制御手段に設けられた第2記憶領域(演出側RAM84)に記憶する第2記憶手段(ステップS1614)と、
を備えることを特徴とする遊技機。
【0388】
上乗せ表示演出処理をサブ制御基板81の演出側MPU82に実行させるようにすることで、主制御基板71のMPU72の記憶容量を削減又は節約するとともに、サブ制御基板81の演出側MPU82に内蔵されるROM83やRAM84には記憶容量の制限がないことに鑑みて、サブ制御基板81の十分なリソースを用いて趣向性の高い上乗せ表示演出を実現することが可能である。
【0389】
(特徴D2)
前記特典数報知演出手段は、遊技者の特定操作(PUSH連打操作、PUSH長押し押下操作)に応じて、前記所定抽選を実行すること、
を特徴とする特徴D1に記載の遊技機。
【0390】
遊技者の特定操作(PUSH連打操作、PUSH長押し押下操作)に応じて、所定抽選(PUSH連打上乗せ表示差枚数抽選)をサブ制御基板81の演出側MPU82に実行させるようにすることで、主制御基板71のMPU72の記憶容量を削減又は節約するとともに、サブ制御基板81の演出側MPU82に内蔵されるROM83やRAM84には記憶容量の制限がないことに鑑みて、サブ制御基板81の十分なリソースを用いて趣向性の高い上乗せ表示演出を実現することが可能である。
【0391】
(特徴D3)
遊技者により前記特定操作の後に前記所定操作(レバーON)が行われた場合(ステップS1603:YES、ステップS1701:NO)に、
前記第2記憶手段は、前記残りの特典数(後乗せ差枚数)を前記第2記憶領域に記憶すること、(ステップS1705)
を特徴とする特徴D2に記載の遊技機。
【0392】
これにより、PUSH連打表示演出の途中からPUSH連打に参加したくなくなった遊技者に対しても、PUSH連打表示演出をキャンセルする手段を提供すると共に、それ迄のPUSH連打表示演出で獲得した当選上乗せ差枚数(例えば81枚)を迅速に報知することができる。また、今回のゲームにおいて当選した上乗せ差枚数の全枚数(例えば100枚)のうち未報知の残る差枚数(例えば19枚)は演出側RAM84の「後乗せ差枚数」に繰り越されており、繰り越された後乗せ差枚数は遊技者に対して次ゲーム以降に報知できる。
【0393】
(特徴D4)
前記第2記憶領域に前記残りの特典数(後乗せ差枚数)が記憶されている場合に、
前記特典数報知演出手段は、前記第1記憶領域に記憶された特典数と前記第2記憶領域に記憶された前記残りの特典数とを含む特典数のうち、所定抽選により決定された特典数の報知演出を行うこと、
を特徴とする特徴D3に記載の遊技機。
【0394】
今回のゲーム以前において「後乗せ差枚数」がある場合、「連打上乗せ差枚数」に、今回のゲームにおいて上乗せ当選した当選上乗せ差枚数に加え「後乗せ差枚数」を足した差枚数をセットしてもよい。例えば今回のゲームで上乗せ差枚数に200枚が当選した場合であって、更にその時点で既に後乗せ差枚数に100枚が記憶されていた場合には、当該PUSH連打表示演出において、報知上限枚数を200枚に設定することができる。
【0395】
(特徴D5)
遊技者により前記特定操作の前に前記所定操作(レバーON)が行われた場合(ステップS1603:YES、ステップS1701:YES)に、
前記特典数報知演出手段は、前記所定操作の後に、前記第1記憶領域(演出側RAM84)に記憶された特典数の報知演出(ステップS1702、ステップS1704)を行うこと、
を特徴とする特徴D2に記載の遊技機。
【0396】
これにより、PUSH連打表示演出のPUSH連打に参加したくない遊技者に対しても、PUSH連打表示演出をキャンセルする手段を提供すると共に、獲得した全当選上乗せ差枚数(例えば100枚)を迅速に報知することができる。
【0397】
(特徴D6)
前記特典数報知演出手段は、前記第1記憶領域に記憶された特典数が所定数以上の場合のみ決定される特典数の報知演出を行うこと、
を特徴とする特徴D1ないし5何れか一に記載の遊技機。
【0398】
上乗せ表示差枚数として所定数7枚が選択されるのは、連打上乗せ差枚数が300枚以上の場合のみである。この場合、画面上に上乗せ表示差枚数として7枚が表示されるので、今回ゲームでの上乗せ表示差枚数が大量枚数の300枚以上であることを遊技者に示唆し趣向性を向上できる。
【0399】
上記特徴群に係る発明によれば、以下の課題を解決することが可能である。
【0400】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUなどの制御手段、ROMなどの読み出し専用の記憶手段及びRAMなどの読み書き両用の記憶手段などを備えている。制御手段は、読み書き両用の記憶手段への情報の書き込み及び当該記憶手段からの情報の読み出しを行いながら、読み出し専用の記憶手段から読み出したプログラムに従って処理を実行する。この処理の実行に際しては、制
御手段に対してセンサなどからの情報の入力が行われるとともに、電動アクチュエータや発光素子などに対する制御手段からの情報の出力が行われる。なお、制御手段、読み出し専用の記憶手段及び読み書き両用の記憶手段などが1チップ化されたものも知られている。
【0401】
スロットマシンについて具体的には、メダルがBETされている状況でスタートレバーが操作されて新たなゲームが開始される場合に制御手段にて役の抽選処理が実行される。また、役の抽選処理が実行された場合には制御手段にて回転開始制御が実行されることによりリールの回転が開始され、当該リールの回転中にストップボタンが操作された場合には制御手段にて回転停止制御が実行されることによりリールの回転が停止される。そして、リールの回転停止後の停止結果が役の抽選処理における当選役に対応したものである場合には、当該当選役に対応した特典が遊技者に付与される。当該特典の付与として、例えば遊技媒体が付与される。
【0402】
ここで、上記例示等のような遊技機においては遊技の興趣向上を図る必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【0403】
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
【0404】
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
【0405】
スロットマシン等の回胴式遊技機:始動操作手段の操作に基づき周回体の回転を開始させ、停止操作手段の操作に基づき周回体の回転を停止させ、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
【符号の説明】
【0406】
10…スロットマシン、31…リールユニット、32L,32M,32R…リール、4
1…スタートレバー、42~44…ストップボタン、66…画像表示装置、72…主側M
PU、82…演出側MPU