IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シマノの特許一覧

<>
  • 特開-人力駆動車用の制御装置 図1
  • 特開-人力駆動車用の制御装置 図2
  • 特開-人力駆動車用の制御装置 図3
  • 特開-人力駆動車用の制御装置 図4
  • 特開-人力駆動車用の制御装置 図5
  • 特開-人力駆動車用の制御装置 図6
  • 特開-人力駆動車用の制御装置 図7
  • 特開-人力駆動車用の制御装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161566
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20241112BHJP
   B62M 9/122 20100101ALI20241112BHJP
【FI】
B62M6/45
B62M9/122
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139782
(22)【出願日】2024-08-21
(62)【分割の表示】P 2023076164の分割
【原出願日】2018-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高山 仁志
(57)【要約】
【課題】アシストモータを好適に制御できる人力駆動車両用制御装置を提供する。
【解決手段】人力駆動車用の制御装置は、車輪の回転数をクランクの回転数で割った商で定義される回転比率を変更する変速機を備える人力駆動車の推進をアシストするアシストモータの出力を、前記クランクに入力される人力駆動力に応じて制御する制御部を含み、前記制御部は、所定範囲に含まれる前記変速機の変速変数と、前記所定範囲外に含まれる前記変速機の前記変速変数と、の差分に応じて、前記アシストモータの出力上限値、前記アシストモータの出力、および、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの出力比率の少なくとも1つを制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
車輪の回転数をクランクの回転数で割った商で定義される回転比率を変更する変速機を備える前記人力駆動車の推進をアシストするアシストモータの出力を、前記クランクに入力される人力駆動力に応じて制御する制御部を含み、
前記制御部は、変速指令値を設定して前記変速機を駆動させ、
前記変速指令値は、前記変速機の動作位置、前記動作位置によって形成される変速比、および、前記回転比率の少なくとも1つに関する情報を含み、
前記制御部は、所定範囲に含まれ、前記変速指令値と対応する前記変速機の変速変数と、前記所定範囲外に含まれる前記変速機の前記変速変数と、の差分に応じて、前記アシストモータの出力上限値、前記アシストモータの出力、および、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの出力比率の少なくとも1つを制御し、
前記変速指令値と対応する前記変速変数を記憶する記憶部をさらに含み、
前記所定範囲に含まれる前記変速機の前記変速変数は、前記記憶部に記憶される前記変速指令値と対応する前記変速変数であり、
前記制御部は、前記記憶部に記憶される前記変速指令値と対応する前記変速変数と、検出部によって検出される前記変速変数との差分に応じて、前記アシストモータの前記出力上限値、前記アシストモータの前記出力、および、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの前記出力比率の少なくとも1つを制御し、
前記変速変数は、前記変速機の前記動作位置に関するものであり、
前記制御部は、前記変速機の前記動作位置が前記所定範囲外の第1範囲に含まれる場合、前記検出部によって検出される前記変速機の前記動作位置と、前記記憶部に記憶される前記変速指令値と対応する前記動作位置との差分が大きいほど前記アシストモータの前記出力上限値、前記アシストモータの前記出力、および、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの前記出力比率の少なくとも1つの増加量を大きくし、
前記第1範囲に含まれる前記回転比率は、前記所定範囲に含まれる前記回転比率よりも大きい、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記変速機の前記動作位置が前記第1範囲と異なり、かつ、前記所定範囲に含まれない第2範囲に含まれる場合、前記検出部によって検出される前記変速機の前記動作位置と、前記記憶部に記憶される前記変速指令値と対応する前記動作位置との差分が大きいほど、前記アシストモータの前記出力上限値、前記アシストモータの前記出力、および、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの前記出力比率の少なくとも1つの減少量を大きくし、
前記第2範囲に含まれる前記回転比率は、前記所定範囲に含まれる前記回転比率よりも小さい、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
人力駆動車用の制御装置であって、
車輪の回転数をクランクの回転数で割った商で定義される回転比率を変更する変速機を備える前記人力駆動車の推進をアシストするアシストモータの出力を、前記クランクに入力される人力駆動力に応じて制御する制御部を含み、
前記制御部は、変速指令値を設定して前記変速機を駆動させ、
前記変速指令値は、前記変速機の動作位置、前記動作位置によって形成される変速比、および、前記回転比率の少なくとも1つに関する情報を含み、
前記制御部は、所定範囲に含まれ、前記変速指令値と対応する前記変速機の変速変数と、前記所定範囲外に含まれる前記変速機の前記変速変数と、の差分に応じて、前記アシストモータの出力上限値、前記アシストモータの出力、および、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの出力比率の少なくとも1つを制御し、
前記変速指令値と対応する前記変速変数を記憶する記憶部をさらに含み、
前記所定範囲に含まれる前記変速機の前記変速変数は、前記記憶部に記憶される前記変速指令値と対応する前記変速変数であり、
前記制御部は、前記記憶部に記憶される前記変速指令値と対応する前記変速変数と、検出部によって検出される前記変速変数との差分に応じて、前記アシストモータの前記出力上限値、前記アシストモータの前記出力、および、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの前記出力比率の少なくとも1つを制御し、
前記変速変数は、前記変速機の前記動作位置に関するものであり、
前記制御部は、前記変速機の前記動作位置が前記所定範囲に含まれない第2範囲に含まれる場合、前記検出部によって検出される前記変速機の前記動作位置と、前記記憶部に記憶される前記変速指令値と対応する前記動作位置との差分が大きいほど、前記アシストモータの前記出力上限値、前記アシストモータの前記出力、および、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの前記出力比率の少なくとも1つの減少量を大きくし、
前記第2範囲に含まれる前記回転比率は、前記所定範囲に含まれる前記回転比率よりも小さい、制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定範囲に含まれる前記変速変数と、前記所定範囲外に含まれる前記変速変数と、の差分が大きくなるほど、前記アシストモータの前記出力上限値、前記アシストモータの前記出力、および、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの前記出力比率の少なくとも1つを大きくする、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記所定範囲に含まれる前記変速変数と、前記所定範囲外に含まれる前記変速変数と、の差分が大きくなるほど、前記アシストモータの前記出力上限値、前記アシストモータの前記出力、および、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの前記出力比率の少なくとも1つを直線的、段階的、または、指数関数的に大きくする、請求項4に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されている人力駆動車用制御装置は、人力駆動車両に入力される人力駆動力に対するアシストモータの出力の比率が所定の比率になるようにアシストモータを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-59260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、アシストモータを好適に制御できる人力駆動車両用制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、車輪の回転数をクランクの回転数で割った商で定義される回転比率を変更する変速機を備える人力駆動車の推進をアシストするアシストモータの出力を、前記クランクに入力される人力駆動力に応じて制御する制御部を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の走行中において、前記変速機の変速変数が所定範囲外の第1範囲にあり、かつ、前記変速機の変速変数が前記第1範囲に含まれる状態における前記回転比率が、前記変速変数が前記所定範囲に含まれる状態における前記回転比率よりも大きい場合に、前記アシストモータの出力上限値、前記アシストモータの出力、および、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの出力比率の少なくとも1つが増加するように前記アシストモータを制御する。
上記第1側面の制御装置によれば、変速変数に応じて、アシストモータの出力上限値、アシストモータの出力、および、人力駆動力に対するアシストモータの出力比率の少なくとも1つが増加するようにアシストモータを制御できる。このため、アシストモータを好適に制御できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記変速変数は前記変速機の動作位置に関するものであり、前記動作位置が前記第1範囲にある場合の前記回転比率は、前記動作位置が前記所定範囲にある場合の前記回転比率よりも大きい。
上記第2側面の制御装置によれば、回転比率が大きい場合、アシストモータの出力上限値、アシストモータの出力、および、人力駆動力に対するアシストモータの出力比率の少なくとも1つが増加するようにアシストモータを制御するため、ライダの負荷を低減できる。
【0007】
前記第1側面に従う第3側面の制御装置において、前記制御部は、前記変速機の変速変数が、前記第1範囲と異なり、かつ、前記所定範囲に含まれない第2範囲にある場合、前記アシストモータの前記出力上限値、前記アシストモータの前記出力、および、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの前記出力比率の少なくとも1つが減少するように前記アシストモータを制御する。
上記第3側面の制御装置によれば、変速機の変速変数が第2範囲にある場合、アシストモータの出力上限値、アシストモータの出力、および、人力駆動力に対するアシストモータの出力比率の少なくとも1つが減少するようにアシストモータを制御するため、電力の消費量を抑制できる。
【0008】
前記第3側面に従う第4側面の制御装置において、前記変速変数は、前記変速機の動作位置に関するものであり、前記動作位置が前記第2範囲にある場合の前記回転比率は、前記動作位置が前記所定範囲にある場合の前記回転比率よりも小さい。
上記第4側面の制御装置によれば、変速機の動作位置が所定範囲にある場合の回転比率よりも小さい回転比率の場合、電力の消費量を抑制できる。
【0009】
前記第1側面に従う第5側面の制御装置において、前記変速変数は、前記回転比率に関するものである。
上記第5側面の制御装置によれば、回転比率に応じてアシストモータを好適に制御できる。
【0010】
前記第3側面に従う第6側面の制御装置において、前記変速変数は、前記回転比率に関するものであり、前記第2範囲に含まれる前記回転比率は、前記所定範囲に含まれる前記回転比率よりも小さい。
上記第6側面の制御装置によれば、回転比率が所定範囲にある場合よりも小さい回転比率の場合、電力の消費量を抑制できる。
【0011】
前記第3、第4、および、第6側面のいずれか1つに従う第7側面の制御装置において、前記制御部は、前記変速機の変速変数が、前記第1範囲および前記第2範囲の一方から前記所定範囲になると、前記アシストモータの前記出力上限値、前記アシストモータの前記出力、および、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの前記出力比率の少なくとも1つを、所定値に設定する。
上記第7側面の制御装置によれば、第1範囲および第2範囲の一方から所定範囲になった場合、アシストモータを所定値で好適に制御できる。
【0012】
前記第3、第4、第6、および、第7側面のいずれか1つに従う第8側面の制御装置において、前記制御部は、前記変速機の変速変数が、前記第1範囲および前記第2範囲の一方に含まれる場合、回生量および回生率の少なくとも1つを、前記変速変数が前記所定範囲に含まれる場合とは異なるように前記アシストモータを制御する。
上記第8側面の制御装置によれば、変速機の変速変数に応じてアシストモータの回生量および回生率の少なくとも1つを好適に制御できる。
【0013】
本発明の第9側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、車輪の回転数をクランクの回転数で割った商で定義される回転比率を変更する変速機を備える人力駆動車の推進をアシストするアシストモータを、前記クランクに入力される人力駆動力に応じて制御する制御部を含み、前記制御部は、前記変速機の変速変数が所定範囲に含まれない場合の前記アシストモータの回生状態と、前記変速変数が前記所定範囲に含まれる場合の前記アシストモータの回生状態と、が異なるように前記アシストモータを制御する。
上記第9側面の制御装置によれば、変速機の変速変数に応じて、アシストモータの回生状態を好適に制御できる。
【0014】
前記第9側面に従う第10側面の制御装置において、前記回生状態は、前記アシストモータの回生量および前記アシストモータの回生率の少なくとも1つを含む。
上記第10側面の制御装置によれば、アシストモータの回生量およびアシストモータの回生率を好適に制御できる。
【0015】
前記第10側面に従う第11側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の走行中において、前記変速機の変速変数が前記所定範囲に含まれない場合の前記アシストモータの前記回生量が、前記変速変数が前記所定範囲に含まれる場合の前記アシストモータの前記回生量よりも大きくなるように前記アシストモータを制御する。
上記第11側面の制御装置によれば、変速変数が所定範囲に含まれない場合の回生量を大きくできる。
【0016】
前記第10側面に従う第12側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の走行中において、前記変速機の変速変数が前記所定範囲に含まれない場合の前記アシストモータの前記回生率が、前記変速変数が前記所定範囲に含まれる場合の前記アシストモータの前記回生率よりも大きくなるように前記アシストモータを制御する。
上記第12側面の制御装置によれば、変速変数が所定範囲に含まれない場合の回生率を大きくできる。
【0017】
前記第10側面に従う第13側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の走行中において、前記変速機の前記変速変数が前記所定範囲に含まれない場合の前記アシストモータの前記回生量が、前記変速変数が前記所定範囲に含まれる場合の前記アシストモータの前記回生量よりも小さくなるように前記アシストモータを制御する。
上記第13側面の制御装置によれば、変速変数が所定範囲に含まれない場合の回生量を小さくできる。
【0018】
前記第10側面に従う第14側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の走行中において、前記変速機の前記変速変数が前記所定範囲に含まれない場合の前記アシストモータの前記回生率が、前記変速変数が前記所定範囲に含まれる場合の前記アシストモータの前記回生率よりも小さくなるように前記アシストモータを制御する。
上記第14側面の制御装置によれば、変速変数が所定範囲に含まれない場合の回生率を小さくできる。
【0019】
前記第10側面に従う第15側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の走行中において、前記変速機の前記変速変数が前記所定範囲外の第1範囲に含まれる場合の前記アシストモータの前記回生量が、前記変速変数が前記所定範囲に含まれる場合の前記アシストモータの前記回生量よりも小さくなるように前記アシストモータを制御し、前記変速機の前記変速変数が前記所定範囲外の第2範囲に含まれる場合の前記アシストモータの前記回生量が、前記変速変数が前記所定範囲に含まれる場合の前記アシストモータの前記回生量よりも大きくなるように前記アシストモータを制御する。
上記第15側面の制御装置によれば、変速変数が第1範囲に含まれる場合の回生量を小さくでき、変速変数が第2範囲に含まれる場合の回生量を大きくできる。
【0020】
前記第10側面に従う第16側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の走行中において、前記変速機の変速変数が前記所定範囲外の第1範囲に含まれる場合の前記アシストモータの前記回生率が、前記変速変数が前記所定範囲に含まれる場合の前記アシストモータの前記回生率よりも小さくなるように前記アシストモータを制御し、前記変速機の変速変数が前記所定範囲外の第2範囲に含まれる場合の前記アシストモータの前記回生率が、前記変速変数が前記所定範囲に含まれる場合の前記アシストモータの前記回生率よりも大きくなるように前記アシストモータを制御する。
上記第16側面の制御装置によれば、変速変数が第1範囲に含まれる場合の回生率を小さくでき、変速変数が第2範囲に含まれる場合の回生率を大きくできる。
【0021】
本発明の第17側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、車輪の回転数をクランクの回転数で割った商で定義される回転比率を変更する変速機を備える人力駆動車の推進をアシストするアシストモータの出力を、前記クランクに入力される人力駆動力に応じて制御する制御部を含み、前記制御部は、所定範囲に含まれる前記変速機の変速変数と、前記所定範囲外に含まれる前記変速機の前記変速変数と、の差分に応じて、前記アシストモータの出力上限値、前記アシストモータの出力、および、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの出力比率の少なくとも1つを制御する。
上記第17側面の制御装置によれば、所定範囲に含まれる変速機の変速変数と、所定範囲外に含まれる変速機の変速変数と、の差分に応じて、アシストモータの出力上限値、アシストモータの出力、および、人力駆動力に対するアシストモータの出力比率の少なくとも1つを制御できる。このため、アシストモータを好適に制御できる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の人力駆動車両用の制御装置は、アシストモータを好適に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態の人力駆動車用制御装置を含む人力駆動車の側面図。
図2】第1実施形態の人力駆動車用制御装置の電気的な構成を示すブロック図。
図3図2の制御部によって実行される変速変数が変速機の動作位置に関するものである場合のアシストモータを制御する処理のフローチャート。
図4図2の制御部によって実行される変速変数が回転比率に関するものである場合のアシストモータを制御する処理のフローチャート。
図5】第2実施形態の制御部によって実行される変速変数が変速機の動作位置に関するものである場合のアシストモータの回生量を制御する処理のフローチャート。
図6】第2実施形態の制御部によって実行される変速変数が回転比率に関するものである場合のアシストモータの回生量を制御する処理のフローチャート。
図7】第2実施形態の第1変形例の制御部によって実行される変速変数が変速機の動作位置に関するものである場合のアシストモータの回生率を制御する処理のフローチャート。
図8】第2実施形態の第2変形例の制御部によって実行される変速変数が回転比率に関するものである場合のアシストモータの回生率を制御する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0025】
(第1実施形態)
図1から図5を参照して、第1実施形態の人力駆動車用の制御装置50について説明する。以後、人力駆動車用の制御装置50を、単に制御装置50と記載する。制御装置50は、人力駆動車10に設けられる。人力駆動車10は、少なくとも人力駆動力Hによって駆動することができる車両である。人力駆動車10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する車両も含む。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。自転車は、電気モータによって駆動力が与えられる電動自転車(E-bike)を含む。電動自転車は、電動モータによって車両の推進を補助する電動アシスト自転車を含む。電動自転車は、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施の形態において、人力駆動車10を、2つの車輪を有する自転車として説明する。
【0026】
人力駆動車10は、車輪12、クランク14、および、車体16を有する。車体16は、フレーム18およびシートポスト20を含む。クランク14には、人力駆動力Hが入力される。クランク14は、フレーム18に対して回転可能なクランク軸14Aと、クランク軸14Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられるクランクアーム14Bとを含む。各クランクアーム14Bには、一対のペダル22が個別に連結される。車輪12は、従動輪12Aおよび駆動輪12Bを含む。駆動輪12Bは、クランク14が回転することによって駆動される。駆動輪12Bは、フレーム18に支持される。クランク14と駆動輪12Bとは、駆動機構24によって連結される。駆動機構24は、クランク軸14Aに結合される第1回転体26を含む。クランク軸14Aと第1回転体26とは、一体に回転するように結合されていてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して結合されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク14が前転した場合に、第1回転体26を前転させ、クランク14が後転した場合に、第1回転体26を後転させないように構成される。第1回転体26は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構24は、第2回転体28と、連結部材30とをさらに含む。連結部材30は、第1回転体26の回転力を第2回転体28に伝達する。連結部材30は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0027】
第2回転体28は、駆動輪12Bに連結される。第2回転体28は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体28と駆動輪12Bとの間には、第2ワンウェイクラッチが設けられていることが好ましい。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体28が前転した場合に、駆動輪12Bを前転させ、第2回転体28が後転した場合に、駆動輪12Bを後転させないように構成される。人力駆動車10は、車輪12の回転数をクランク14の回転数で割った商で定義される回転比率Rを変更するために用いられる変速機46を含んでいてもよい。変速機46は、例えばフロントディレイラ、リアディレイラおよび内装変速機の少なくとも1つを含む。変速機46は、フロントディレイラのみ、リアディレイラのみ、内装変速機のみ、または、フロントディレイラ、リアディレイラおよび内装変速機のうちの任意の組合せを含んでいてもよい。本実施形態では、第1回転体26および第2回転体28の少なくとも1つは、複数のスプロケットを含む。第1回転体26のみ、第2回転体28のみ、または、第1回転体26および第2回転体28の両方が、複数のスプロケットを含んでいてもよい。本実施形態では、第1回転体26は、1枚のスプロケットを含み、第2回転体28は、複数のスプロケットを含む。ディレイラは、第1回転体26が複数のフロントスプロケットを含む場合、フロントディレイラを含み、第2回転体28が複数のフロントスプロケットを含む場合、リアディレイラを含む。変速機46が内装変速機を含む場合、内装変速機は、例えば、駆動輪12Bのハブに設けられる。
【0028】
人力駆動車10は、前輪および後輪を含む。フレーム18には、フロントフォーク32を介して前輪が取り付けられている。フロントフォーク32にはハンドル部34が取り付けられている。ハンドル部34は、ステム36およびハンドルバー38を含む。フロントフォーク32には、ハンドルバー38がステム36を介して連結されている。以下の実施形態では、後輪を駆動輪12Bとして説明するが、前輪が駆動輪12Bであってもよい。
【0029】
人力駆動車10は、バッテリ40をさらに含む。バッテリ40は、1または複数のバッテリセルを含む。バッテリセルは、充電池を含む。バッテリ40は、人力駆動車10に設けられ、バッテリ40と電気的に接続されている他の電気部品、例えば、制御装置50に電力を供給する。バッテリ40は、制御装置50と有線または無線によって通信可能に接続されている。バッテリ40は、例えば電力線通信(PLC;power line communication)によって制御装置50と通信可能である。バッテリ40は、フレーム18の外部に取り付けられてもよく、少なくとも一部がフレーム18の内部に収容されてもよい。
【0030】
人力駆動車10は、人力駆動車10の推進をアシストするように構成されるアシストモータ42を含む。人力駆動車10は、駆動回路44をさらに含む。駆動回路44は、インバータ回路を含む。アシストモータ42は、駆動回路44と同一のハウジングに設けられることが好ましい。駆動回路44は、バッテリ40からアシストモータ42に供給される電力を制御する。駆動回路44は、制御装置50と有線または無線によって通信可能に接続されている。駆動回路44は、例えばシリアル通信によって制御装置50の制御部52と通信可能である。駆動回路44は、制御装置50に含まれていてもよい。駆動回路44は、制御部52からの制御信号に応じてアシストモータ42を駆動させる。
【0031】
アシストモータ42は、電気モータを含む。アシストモータ42は、ペダル22から後輪までの人力駆動力Hの動力伝達経路、または、前輪に回転を伝達するように設けられる。アシストモータ42は、人力駆動車10のフレーム18、後輪、または、前輪に設けられる。本実施形態では、アシストモータ42は、クランク軸14Aから第1回転体26までの動力伝達経路に結合される。アシストモータ42とクランク軸14Aとの間の動力伝達経路には、クランク軸14Aを人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合にクランク14の回転力によってアシストモータ42が回転しないようにワンウェイクラッチが設けられるのが好ましい。アシストモータ42および駆動回路44が設けられるハウジングには、アシストモータ42および駆動回路44以外の構成が設けられてもよく、例えばアシストモータ42の回転を減速して出力する減速機が設けられてもよい。
【0032】
変速機46は、車輪12の回転数をクランク14の回転数で割った商で定義される回転比率Rを変更する。変速機46は、変速機46によって形成される変速比Sを段階的に変更可能に構成される。変速機46は、変速比Sを無段階に変更可能に構成されていてもよい。変速機46の変速比Sが大きいほど、回転比率Rは大きくなる。人力駆動車10が複数の変速機46を含む場合、回転比率Rは、各変速機46によって形成される変速比Sを乗算した値に相当する。変速機46は、アクチュエータによって変速動作する。アクチュエータは、例えば、電気モータを含む。変速機46のアクチュエータは、制御装置50と有線または無線によって通信可能に接続されている。変速機46は、変速機46の動作位置Pを変更することによって、変速比Sを変更する。変速機46がディレイラの場合、変速機46は、変速機46の動作位置Pを変更することによって、連結部材30を複数のスプロケットのうちの1つから他の1つへ掛け替え、変速機46によって形成される変速比Sを変更する。変速機46がリアディレイラの場合、変速機46の動作位置Pは、例えば、リアディレイラのフレーム18に固定するための固定部に対する可動部の位置を含み、かつ、可動部は、チェーンガイド、ガイドプーリ、テンションプーリ、リンク機構、および、付勢部材の少なくとも1つを含む。変速機46がフロントディレイラの場合、変速機46の動作位置Pは、例えば、フロントディレイラのフレーム18に固定するための固定部に対する可動部の位置を含み、かつ、可動部は、プレート、リンク機構、および、付勢部材の少なくとも1つを含む。変速機46が内装変速機の場合、変速機46の動作位置Pは、変速機46に含まれる歯車の回転状態を変更するための制御部材の位置を含む。変速機46が電気モータによって動作する場合、変速機46の動作位置Pは、電気モータの回転位相を含んでいてもよい。変速変数Xは、変速機46の動作位置Pに関する変速操作装置の位置を含んでいてもよい。変速操作装置の位置は、ユーザが操作可能な操作部の操作位置を含む。変速機46がケーブルによって動作する場合、変速操作装置の位置は、ケーブルの移動量であってもよい。
【0033】
制御装置50は、制御部52を含む。制御部52は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部52は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部52は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。制御装置50は、記憶部54をさらに含む。記憶部54には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部54は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。制御部52および記憶部54は、例えばアシストモータ42が設けられるハウジングに設けられる。
【0034】
制御装置50は、好ましくは、クランク回転センサ56、車速センサ58、および、トルクセンサ60をさらに含む。クランク回転センサ56、車速センサ58、および、トルクセンサ60は、アシストモータ42が設けられるハウジングの内部に設けられてもよく、外部に設けられてもよい。クランク回転センサ56、車速センサ58、および、トルクセンサ60の少なくとも1つは、制御装置50に含まれなくてもよい。
【0035】
クランク回転センサ56は、人力駆動車10のクランク14の回転速度Nを検出するために用いられる。クランク回転センサ56は、例えば人力駆動車10のフレーム18またはアシストモータ42が設けられるハウジングに取り付けられる。クランク回転センサ56は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、クランク軸14Aまたはクランク軸14Aから第1回転体26までの間の動力伝達経路に設けられる。クランク回転センサ56は、制御部52と有線または無線によって通信可能に接続されている。クランク回転センサ56は、クランク14の回転速度Nに応じた信号を制御部52に出力する。クランク回転センサ56は、クランク軸14Aから第1回転体26までの人力駆動力Hの動力伝達経路において、クランク軸14Aと一体に回転する部材に設けられてもよい。例えば、クランク回転センサ56は、クランク軸14Aと第1回転体26との間に第1ワンウェイクラッチが設けられない場合、第1回転体26に設けられてもよい。クランク回転センサ56は、人力駆動車10の走行速度Vを検出するために用いられてもよい。この場合、制御部52は、クランク回転センサ56によって検出されるクランク14の回転速度Nと、回転比率Rとに応じて、駆動輪12Bの回転速度を演算して、人力駆動車10の走行速度Vを検出する。回転比率Rに関する情報は、記憶部54に予め記憶されている。
【0036】
人力駆動車10に回転比率Rを変更するための変速機46が設けられる場合、制御部52は、人力駆動車10の走行速度Vと、クランク14の回転速度Nとに応じて、回転比率Rを演算してもよい。この場合、駆動輪12Bの周長、駆動輪12Bの直径、または、駆動輪12Bの半径に関する情報が記憶部54に予め記憶されている。制御装置50は、変速センサを含んでいてもよい。
【0037】
車速センサ58は、車輪12の回転速度を検出するために用いられる。車速センサ58は、有線または無線によって制御部52と電気的に接続されている。車速センサ58は、制御部52と有線または無線によって通信可能に接続されている。車速センサ58は、車輪12の回転速度に応じた信号を制御部52に出力する。制御部52は、車輪12の回転速度に基づいて人力駆動車10の走行速度Vを演算する。制御部52は、走行速度Vが所定値以上になると、アシストモータ42を停止する。所定値は、例えば時速25Km、または、時速45Kmである。車速センサは、例えば、リードスイッチを構成する磁性体リード、または、ホール素子を含む。車速センサ58は、フレーム18のチェーンステイに取り付けられ、後輪に取り付けられる磁石を検出する構成としてもよく、フロントフォーク32に設けられ、前輪に取り付けられる磁石を検出する構成としてもよい。別の例では、車速センサ58は、GPS(Global Positioning System)受信部を含む。制御部52は、GPS受信部によって取得したGPS情報と、記憶部54に予め記録されている地図情報と、時間とに応じて、人力駆動車10の走行速度Vを検出してもよい。制御部52は、時間を計るためのタイマを含むことが好ましい。
【0038】
トルクセンサ60は、人力駆動力HのトルクTHを検出するために用いられる。トルクセンサ60は、例えば、アシストモータ42が設けられるハウジングに設けられる。トルクセンサ60は、クランク14に入力される人力駆動力HのトルクTHを検出する。トルクセンサ60は、例えば、動力伝達経路に第1ワンウェイクラッチが設けられる場合、第1ワンウェイクラッチよりも上流側に設けられる。トルクセンサ60は、歪センサまたは磁歪センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。トルクセンサ60が歪センサを含む場合、歪センサは、好ましくは、動力伝達経路に含まれる回転体の外周部に設けられる。トルクセンサ60は、無線または有線の通信部を含んでいてもよい。トルクセンサ60の通信部は、制御部52と通信可能に構成される。
【0039】
制御部52は、例えば、人力駆動力Hに対するモータ駆動力が所定の出力比率Aになるように、アシストモータ42を制御する。制御部52は、例えば、人力駆動車10の人力駆動力HのトルクTHに対する、アシストモータ42によるモータ駆動力の出力トルクTMが所定の出力比率Aになるように、アシストモータ42を制御してもよい。制御部52は、例えば、人力駆動力Hに対するモータ駆動力の出力比率Aの異なる複数の動作モードから選択される1つの動作モードでアシストモータ42を制御する。人力駆動車10の人力駆動力HのトルクTHに対するアシストモータ42の出力トルクTMのトルク比率ATを、出力比率Aと記載する場合がある。制御部52は、例えば、人力駆動力Hの仕事率WH(ワット)に対して、アシストモータ42の仕事率WX(ワット)が所定の出力比率Aになるように、アシストモータ42を制御してもよい。人力駆動車10の人力駆動力Hの仕事率WHに対するモータ駆動力の仕事率WXの比率AWを、出力比率Aと記載する場合がある。人力駆動力Hの仕事率WHは、人力駆動力Hとクランク14の回転速度Nとの乗算によって算出される。アシストモータ42の出力が減速機を介して人力駆動力Hの動力伝達経路に入力される場合は、減速機の出力を、モータ駆動力とする。制御部52は、人力駆動力Hの仕事率WHまたはトルクTHに応じて、制御指令をアシストモータ42の駆動回路44に出力する。制御指令は、例えばトルク指令値を含む。
【0040】
制御部52は、アシストモータ42の出力上限値Lが所定値以下になるようにアシストモータ42を制御する。制御部52は、例えば、出力上限値Lの異なる複数の動作モードから選択される1つの動作モードでアシストモータ42を制御する。モータ駆動力は、アシストモータ42の出力トルクTMを含む。モータ駆動力は、アシストモータ42の仕事率WXを含んでいてもよい。この場合、制御部52は、アシストモータ42の仕事率WXが所定値WX1以下になるようにアシストモータ42を制御する。所定値WX1は、一例では、500ワットである。所定値WX1は、別の例では、300ワットである。制御部52は、トルク比率ATが所定トルク比率AT1以下になるようにアシストモータ42を制御してもよい。所定トルク比率AT1は、一例では、300%である。所定トルク比率AT1は、一例では、200%である。
【0041】
複数の動作モードのそれぞれにおいて、出力比率Aおよびアシストモータ42の出力上限値Lの少なくとも1つが異なっていてもよい。複数の動作モードのそれぞれにおいて、出力比率Aのみ、上限値のみ、または、出力比率Aおよびアシストモータ42の出力上限値Lの両方が異なっていてもよい。この場合、制御部52は、モータ駆動力が選択されているアシストモータ42の動作モードにおいて規定される出力比率A以下、かつ、所定値以下になるようにアシストモータ42を制御する。
【0042】
複数の動作モードは、例えば、出力比率Aが最大の最大動作モード、出力比率Aが最小の最小動作モード、および、出力比率Aが最大動作モードよりも小さくかつ最小動作モードよりも大きい中間動作モードを含む。複数の動作モードは、例えば、所定値が最大の最大動作モード、所定値が最小の最小動作モード、および、所定値が最大動作モードよりも小さくかつ最小動作モードよりも大きい中間動作モードを含んでいてもよい。複数の動作モードは、出力比率Aの異なる複数の中間動作モードを含んでいてもよく、中間動作モードを含んでいなくてもよい。制御部52は、動作モードを複数の動作モードのうちの1つから他の1つに変更する場合、各動作モードに規定される出力比率Aおよびアシストモータ42の出力上限値Lの少なくとも1つが段階的に大きくなるように、または、段階的に小さくなるように変更することが好ましい。
【0043】
制御部52は、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに応じて変速機46を制御することが好ましい。制御部52は、例えば、人力駆動力Hが第1駆動力よりも大きい場合、回転比率Rが小さくなるように変速機46を制御し、人力駆動力Hが第1駆動力よりも小さい第2駆動力よりも小さい場合、回転比率Rが大きくなるように変速機46を制御する。制御部52は、例えば、クランク14の回転速度Nが第1回転速度よりも大きい場合、回転比率Rが大きくなるように変速機46を制御し、クランク14の回転速度Nが第1回転速度よりも小さい第2回転速度よりも小さい場合、回転比率Rが小さくなるように変速機46を制御する。制御部52は、例えば、人力駆動車10のピッチ角度が第1角度よりも大きい場合、回転比率Rが小さくなるように変速機46を制御し、人力駆動車10のピッチ角度が第1角度よりも小さい第2角度よりも小さい場合、回転比率Rが大きくなるように変速機46を制御する。
【0044】
制御部52は、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つ、および、変速操作装置の操作によって変速機46を制御する場合、変速指令値を設定して変速機46のアクチュエータを駆動させる。制御部52は、変速指令値を記憶部54に記憶させることが好ましい。変速指令値は、変速機46の動作位置P、変速機46の動作位置Pによって形成される変速比S、および、回転比率Rの少なくとも1つに関する情報を含む。
【0045】
制御部52は、記憶部54に記憶される変速指令値と対応する動作位置P、変速比S、および、回転比率Rの少なくとも1つが、実際の検出値と異なっている場合、記憶部54に記憶される変速指令値と対応する動作位置P、変速比S、および、回転比率Rの少なくとも1つと実際の検出値とが一致するように変速機46を動作させてもよい。制御部52は、記憶部54に記憶される変速指令値と対応する動作位置P、変速比S、および、回転比率Rの少なくとも1つが、実際の検出値と異なっている場合、記憶部54に記憶される変速指令値と対応する動作位置P、変速比S、および、回転比率Rの少なくとも1つを実際の検出値と対応する動作位置P、変速比S、および、回転比率Rの少なくとも1つになるように更新してもよい。
【0046】
制御部52は、変速機46を備える人力駆動車10の推進をアシストするアシストモータ42の出力Mを、クランク14に入力される人力駆動力Hに応じて制御する。
【0047】
制御部52は、人力駆動車10の走行中において、変速機46の変速変数Xに応じて、アシストモータ42を制御する。制御部52は、人力駆動車10の走行中において、回転比率Rまたは変速機46の動作位置Pに応じて、アシストモータ42を制御する。
【0048】
一例では、変速変数Xは変速機46の動作位置Pに関するものである。変速変数Xが変速機46の動作位置Pに関するものである場合、変速変数Xの所定範囲DAは、動作位置Pの所定範囲DPAを含み、変速変数Xの第1範囲D1は、動作位置Pの第1範囲DP1を含み、変速変数Xの第2範囲D2は、動作位置Pの第2範囲DP2を含む。動作位置Pが変化すると、変速比Sが変化し、回転比率Rが変化する。所定範囲DRAは、記憶部54に記憶される変速指令値と対応する変速機46の動作位置Pを含む。変速機46の動作位置Pが記憶部54に記憶される変速指令値と対応している位置にある場合、動作位置Pは所定範囲DRAに含まれる。
【0049】
別例では、変速変数Xは、回転比率Rに関するものである。変速変数Xが回転比率Rに関するものである場合、変速変数Xの所定範囲DAは、回転比率Rの所定範囲DRAを含み、変速変数Xの第1範囲D1は、回転比率Rの第1範囲DR1を含み、変速変数Xの第2範囲D2は、回転比率Rの第2範囲DR2を含む。所定範囲DRAは、記憶部54に記憶される変速指令値と対応する回転比率Rを含む。回転比率Rが記憶部54に記憶される変速指令値と対応している場合、回転比率Rは所定範囲DRAに含まれる。制御部52は、記憶部54に記憶される変速指令値が、動作位置Pに関する情報を記憶している場合、予め記憶される動作位置Pと回転比率Rとを対応付けた情報を用いて変速指令値と対応する回転比率Rを算出し、算出した回転比率Rを用いて所定範囲DRA、第1範囲DR1、および、第2範囲DR2を設定してもよい。制御部52は、記憶部54に記憶される変速指令値が、変速比Sに関する情報を記憶している場合、かつ、人力駆動車10が1つの変速機46のみを含む場合、変速指令値と対応する変速比Sを変速指令値と対応する回転比率Rとして用いて所定範囲DRA、第1範囲DR1、および、第2範囲DR2を設定してもよい。
【0050】
制御装置50は、変速機46の動作位置Pを検出するための第1検出部62および回転比率Rを検出するための第2検出部64の少なくとも1つを含むことが好ましい。第1検出部62は、変速状態センサを含んでもよい。この場合、制御部52は、予め記憶部54に記憶される情報を用いて変速機46の動作位置Pを取得してもよい。第2検出部64は、クランク回転センサ56および車速センサ58を含んでいてもよい。この場合、制御部52は、車速センサ58によって検出される車輪12の回転数をクランク14の回転数で割った商を回転比率Rとして演算してもよい。制御部52は、人力駆動車10が1つの変速機46のみを含む場合、回転比率Rを変速比Sとして用いる。
【0051】
制御部52は、人力駆動車10の走行中において、変速機46の変速変数Xが所定範囲DA外の第1範囲D1にあり、かつ、変速機46の変速変数Xが第1範囲D1に含まれる状態における回転比率Rが、変速変数Xが所定範囲DAに含まれる状態における回転比率Rよりも大きい場合に、アシストモータ42の出力上限値L、アシストモータ42の出力M、および、人力駆動力Hに対するアシストモータ42の出力比率Aの少なくとも1つが増加するようにアシストモータ42を制御する。
【0052】
制御部52は、変速機46の変速変数Xが、第1範囲D1と異なり、かつ、所定範囲DAに含まれない第2範囲D2にある場合、アシストモータ42の出力上限値L、アシストモータ42の出力M、および、人力駆動力Hに対するアシストモータ42の出力比率Aの少なくとも1つが減少するようにアシストモータ42を制御することが好ましい。
【0053】
制御部52は、変速機46の変速変数Xが、第1範囲D1および第2範囲D2の一方から所定範囲DAになると、アシストモータ42の出力上限値L、アシストモータ42の出力M、および、人力駆動力Hに対するアシストモータ42の出力比率Aの少なくとも1つを、所定値に設定することが好ましい。所定値は、例えば、アシストモータ42の動作モードごとに設定される出力上限値L、出力M、または、出力比率Aと対応する。
【0054】
変速変数Xは変速機46の動作位置Pに関するものであり、動作位置Pが第1範囲DP1にある場合の回転比率Rは、動作位置Pが所定範囲DPAにある場合の回転比率Rよりも大きいことが好ましい。動作位置Pが第1範囲DP1にある場合の変速比Sは、動作位置Pが所定範囲DPAにある場合の変速比Sよりも大きいことが好ましい。
【0055】
変速変数Xは、変速機46の動作位置Pに関するものであり、動作位置Pが第2範囲DP2にある場合の回転比率Rは、動作位置Pが所定範囲DPAにある場合の回転比率Rよりも小さいことが好ましい。動作位置Pが第2範囲DP2にある場合の変速比Sは、動作位置Pが所定範囲DPAにある場合の変速比Sよりも小さいことが好ましい。
【0056】
変速変数Xが変速機46の動作位置Pに関するものである場合、制御部52は、人力駆動車10の走行中において、変速機46の動作位置Pが第1範囲DP1にある場合に、アシストモータ42の出力上限値L、アシストモータ42の出力M、および、人力駆動力Hに対するアシストモータ42の出力比率Aの少なくとも1つが増加するようにアシストモータ42を制御することが好ましい。
【0057】
変速変数Xが変速機46の動作位置Pに関するものである場合、制御部52は、変速機46の動作位置Pが、第1範囲DP1と異なり、かつ、所定範囲DPAに含まれない第2範囲DP2にある場合、アシストモータ42の出力上限値L、アシストモータ42の出力M、および、人力駆動力Hに対するアシストモータ42の出力比率Aの少なくとも1つが減少するようにアシストモータ42を制御することが好ましい。
【0058】
変速変数Xは、変速機46の動作位置Pに関するものであり、制御部52は、変速機46の動作位置Pが、第1範囲DP1および第2範囲DP2の一方から所定範囲DPAになると、アシストモータ42の出力上限値L、アシストモータ42の出力M、および、人力駆動力Hに対するアシストモータ42の出力比率Aの少なくとも1つを、所定値に設定することが好ましい。
【0059】
図3を参照して、変速変数Xが変速機46の動作位置Pに関するものである場合のアシストモータ42を制御する処理について説明する。制御部52は、制御部52に電力が供給されると、処理を開始して図3に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部52は、図3のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS11からの処理を繰り返す。
【0060】
制御部52は、ステップS11において、人力駆動車10が走行中か否かを判定する。制御部52は、例えば、走行速度Vが所定走行速度以上の場合、および、クランク14の回転速度Nが所定回転速度以上の場合の少なくとも1つの場合に、人力駆動車10が走行中と判定する。制御部52は、人力駆動車10が走行中ではない場合、処理を終了する。制御部52は、人力駆動車10が走行中の場合、ステップS12に移行する。
【0061】
制御部52は、ステップS12において、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPA外か否かを判定する。制御部52は、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPA外ではない場合、処理を終了する。制御部52は、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPA外の場合、ステップS13に移行する。
【0062】
制御部52は、ステップS13において、変速機46の動作位置Pが第1範囲DP1にあるか否かを判定する。制御部52は、変速機46の動作位置Pが第1範囲DP1にある場合、ステップS14に移行する。制御部52は、ステップS14において、出力上限値L、出力M、および、出力比率Aの少なくとも1つが増加するようにアシストモータ42を制御し、ステップS17に移行する。
【0063】
制御部52は、ステップS13において、変速機46の動作位置Pが第1範囲DP1にない場合、ステップS15に移行する。制御部52は、ステップS15において、変速機46の動作位置Pが第2範囲DP2にあるか否かを判定する。制御部52は、変速機46の動作位置Pが第2範囲DP2にない場合、処理を終了する。
【0064】
制御部52は、ステップS15において、変速機46の動作位置Pが第2範囲DP2にある場合、ステップS16に移行する。制御部52は、ステップS16において、出力上限値L、出力M、および、出力比率Aの少なくとも1つが減少するようにアシストモータ42を制御し、ステップS17に移行する。
【0065】
制御部52は、ステップS17において、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPAにあるか否かを判定する。制御部52は、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPAになるまで、ステップS17の処理を繰り返す。制御部52は、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPAになると、ステップS18に移行する。制御部52は、ステップS18において、出力上限値L、出力M、および、出力比率Aの少なくとも1つを所定値にして処理を終了する。制御部52は、ステップS18において、出力上限値L、出力M、および、出力比率Aの少なくとも1つをステップS14またはステップS16において変更する前の値に戻して処理を終了してもよい。
【0066】
変速変数Xは、回転比率Rに関するものであり、第1範囲DR1に含まれる回転比率Rは、所定範囲DRAに含まれる回転比率Rよりも大きいことが好ましい。
変速変数Xは、回転比率Rに関するものであり、第2範囲DR2に含まれる回転比率Rは、所定範囲DRAに含まれる回転比率Rよりも小さいことが好ましい。
【0067】
変速変数Xが回転比率Rに関するものである場合、制御部52は、人力駆動車10の走行中において、回転比率Rが第1範囲DR1にある場合に、アシストモータ42の出力上限値L、アシストモータ42の出力M、および、人力駆動力Hに対するアシストモータ42の出力比率Aの少なくとも1つが増加するようにアシストモータ42を制御することが好ましい。
【0068】
変速変数Xが回転比率Rに関するものである場合、制御部52は、回転比率Rが、第1範囲DR1と異なり、かつ、所定範囲DRAに含まれない第2範囲DR2にある場合、アシストモータ42の出力上限値L、アシストモータ42の出力M、および、人力駆動力Hに対するアシストモータ42の出力比率Aの少なくとも1つが減少するようにアシストモータ42を制御することが好ましい。
【0069】
変速変数Xは、回転比率Rに関するものであり、制御部52は、変速機46の回転比率Rが、第1範囲DR1および第2範囲DR2の一方から所定範囲DRAになると、アシストモータ42の出力上限値L、アシストモータ42の出力M、および、人力駆動力Hに対するアシストモータ42の出力比率Aの少なくとも1つを、所定値に設定することが好ましい。
【0070】
図4を参照して、変速変数Xが回転比率Rに関するものである場合のアシストモータ42を制御する処理について説明する。制御部52は、制御部52に電力が供給されると、処理を開始して図4に示すフローチャートのステップS21に移行する。制御部52は、図4のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS21からの処理を繰り返す。
【0071】
制御部52は、ステップS21において、人力駆動車10が走行中か否かを判定する。制御部52は、例えば、走行速度Vが所定走行速度以上の場合、および、クランク14の回転速度Nが所定回転速度以上の場合の少なくとも1つの場合に、人力駆動車10が走行中と判定する。制御部52は、人力駆動車10が走行中ではない場合、処理を終了する。制御部52は、人力駆動車10が走行中の場合、ステップS22に移行する。
【0072】
制御部52は、ステップS22において、回転比率Rが所定範囲DRA外か否かを判定する。制御部52は、回転比率Rが所定範囲DRA外ではない場合、処理を終了する。制御部52は、回転比率Rが所定範囲DRA外の場合、ステップS23に移行する。
【0073】
制御部52は、ステップS23において、回転比率Rが第1範囲DR1にあるか否かを判定する。制御部52は、回転比率Rが第1範囲DR1にある場合、ステップS24に移行する。制御部52は、ステップS24において、出力上限値L、出力M、および、出力比率Aの少なくとも1つが増加するようにアシストモータ42を制御し、ステップS27に移行する。
【0074】
制御部52は、ステップS23において、回転比率Rが第1範囲DR1にない場合、ステップS25に移行する。制御部52は、ステップS25において、回転比率Rが第2範囲DR2にあるか否かを判定する。制御部52は、回転比率Rが第2範囲DR2にない場合、処理を終了する。
【0075】
制御部52は、ステップS25において、回転比率Rが第2範囲DR2にある場合、ステップS26に移行する。制御部52は、ステップS26において、出力上限値L、出力M、および、出力比率Aの少なくとも1つが減少するようにアシストモータ42を制御し、ステップS27に移行する。
【0076】
制御部52は、ステップS27において、回転比率Rが所定範囲DRAにあるか否かを判定する。制御部52は、回転比率Rが所定範囲DRAになるまで、ステップS27の処理を繰り返す。制御部52は、回転比率Rが所定範囲DRAになると、ステップS28に移行する。制御部52は、ステップS28において、出力上限値L、出力M、および、出力比率Aの少なくとも1つを所定値にして処理を終了する。制御部52は、ステップS28において、出力上限値L、出力M、および、出力比率Aの少なくとも1つをステップS24またはステップS26において変更する前の値に戻して処理を終了してもよい。
【0077】
変速変数Xが所定範囲DAよりも回転比率Rの大きい第1範囲D1にある場合、ライダの負荷は変速変数Xが所定範囲DAにある場合よりも大きくなる。このため、ライダが違和感を覚えることがある。制御部52は、変速変数Xが第1範囲D1にある場合、アシストモータ42の出力上限値L、出力M、および、出力比率Aの少なくとも1つを大きくするため、ライダの負荷を低減できる。また、ライダが違和感を覚えにくくなる。
【0078】
変速変数Xが所定範囲DAよりも回転比率Rの小さい第2範囲D2にある場合、ライダの負荷は変速変数Xが所定範囲DAにある場合よりも小さくなる。このため、ライダが違和感を覚えることがある。変速変数Xが第2範囲D2にある場合、制御部52は、アシストモータ42の出力上限値L、出力M、および、出力比率Aの少なくとも1つを小さくするため、ライダが違和感を覚えにくくなる。また、アシストモータ42の消費電力を抑制できる。
【0079】
(第2実施形態)
図5および図6を参照して、第2実施形態の制御装置50について説明する。第2実施形態の制御装置50は、変速変数Xに応じて回生状態を変更する点が異なる点以外は、第1実施形態の制御装置50と同様であるため、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0080】
制御部52は、アシストモータ42を回生状態にする回生モードを含む。回生モードでは、アシストモータ42によって人力駆動車10の推進をアシストするアシスト状態と、アシストモータ42を回生させる回生状態とを切り替える。人力駆動車10は、回生モードにおいて、回生量および回生率の少なくとも1つを変更可能に構成される。制御部52は、回生モードにおいて、回生量を変更可能に構成されることが好ましい。回生量は、車輪12の所定回転量あたりの電力の発生量であってもよく、所定時間あたりの電力の発生量であってもよい。制御部52は、アシストモータ42の回生によって生じた電力をバッテリ40に充電する。制御装置50は、搭乗者が回生モードを選択するための操作部を含んでいてもよい。制御部52は、回生モードへの切り替え条件が成立した場合、回生モードに切り替えるようにしてもよい。回生モードへの切り替え条件は、例えば、バッテリ40の残量が所定量以下であることが含まれる。
【0081】
例えば、制御部52は、回生モードにおいて、アシスト状態と回生状態とを人力駆動力HのトルクTHまたは仕事率WHによって切り替え、アシスト状態と回生状態とを切り替えるトルクTHまたは仕事率WHを変更することによって、回生量を変更する。例えば、制御部52は、回生モードにおいて、トルクTHまたは仕事率WHが第1値以下になった場合、アシスト状態から回生状態へ切り替え、第1値を大きくすることによって、回生量を増やす。第1値は、ゼロ以下の値を選択することもできる。制御部52は、回生モードにおいて、アシスト状態の時間と回生状態の時間との比率を変更することによって、回生量を変更してもよい。制御部52は、例えば、クランク14の回転位相が所定位相範囲にある場合、アシストモータ42を駆動し、所定位相範囲外にある場合、アシストモータ42を回生させる。この場合、制御部52は、所定位相範囲を小さくすることによって、回生量を増やす。
【0082】
制御部52は、回生状態において、バッテリ40の充電に代えてまたは加えて、アシストモータ42以外の電気コンポーネントへの電力の供給を行ってもよい。電気コンポーネントは、例えば、ランプ、または、制動装置を含む。
【0083】
制御部52は、変速機46を備える人力駆動車10の推進をアシストするアシストモータ42を、クランク14に入力される人力駆動力Hに応じて制御する。制御部52は、変速機46の変速変数Xが所定範囲DAに含まれない場合のアシストモータ42の回生状態と、変速変数Xが所定範囲DAに含まれる場合のアシストモータ42の回生状態と、が異なるようにアシストモータ42を制御する。変速機46は、車輪12の回転数をクランク14の回転数で割った商で定義される回転比率Rを変更する。変速機46は、第1実施形態の変速機46と同様に構成される。
【0084】
回生状態は、アシストモータ42の回生量およびアシストモータ42の回生率の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0085】
例えば、制御部52は、人力駆動車10の走行中において、変速機46の変速変数Xが所定範囲DAに含まれない場合のアシストモータ42の回生量が、変速変数Xが所定範囲DAに含まれる場合のアシストモータ42の回生量よりも大きくなるようにアシストモータ42を制御する。例えば、制御部52は、人力駆動車10の走行中において、変速機46の変速変数Xが所定範囲DAに含まれない場合のアシストモータ42の回生量が、変速変数Xが所定範囲DAに含まれる場合のアシストモータ42の回生量よりも小さくなるようにアシストモータ42を制御する。制御部52は、人力駆動車10の走行中において、変速機46の変速変数Xが所定範囲DA外の第1範囲D1に含まれる場合のアシストモータ42の回生量が、変速変数Xが所定範囲DAに含まれる場合のアシストモータ42の回生量よりも小さくなるようにアシストモータ42を制御し、変速機46の変速変数Xが所定範囲DA外の第2範囲D2に含まれる場合のアシストモータ42の回生量が、変速変数Xが所定範囲DAに含まれる場合のアシストモータ42の回生量よりも大きくなるようにアシストモータ42を制御することが好ましい。
【0086】
例えば、変速変数Xが変速機46の動作位置Pに関するものである場合、制御部52は、人力駆動車10の走行中において、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPAに含まれない場合のアシストモータ42の回生量が、動作位置Pが所定範囲DPAに含まれる場合のアシストモータ42の回生量よりも大きくなるようにアシストモータ42を制御する。例えば、変速変数Xが変速機46の動作位置Pに関するものである場合、制御部52は、人力駆動車10の走行中において、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPAに含まれない場合のアシストモータ42の回生量が、動作位置Pが所定範囲DPAに含まれる場合のアシストモータ42の回生量よりも小さくなるようにアシストモータ42を制御する。変速変数Xが変速機46の動作位置Pに関するものである場合、制御部52は、人力駆動車10の走行中において、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPA外の第1範囲DP1に含まれる場合のアシストモータ42の回生量が、動作位置Pが所定範囲DPAに含まれる場合のアシストモータ42の回生量よりも小さくなるようにアシストモータ42を制御し、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPA外の第2範囲DP2に含まれる場合のアシストモータ42の回生量が、動作位置Pが所定範囲DPAに含まれる場合のアシストモータ42の回生量よりも大きくなるようにアシストモータ42を制御することが好ましい。
【0087】
図5を参照して、変速変数Xが変速機46の動作位置Pに関するものである場合のアシストモータ42の回生量を制御する処理について説明する。制御部52は、制御部52に電力が供給されると、処理を開始して図5に示すフローチャートのステップS31に移行する。制御部52は、図5のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS31からの処理を繰り返す。
【0088】
制御部52は、ステップS31において、人力駆動車10が走行中か否かを判定する。制御部52は、例えば、走行速度Vが所定走行速度以上の場合、および、クランク14の回転速度Nが所定回転速度以上の場合の少なくとも1つの場合に、人力駆動車10が走行中と判定する。制御部52は、人力駆動車10が走行中ではない場合、処理を終了する。制御部52は、人力駆動車10が走行中の場合、ステップS32に移行する。
【0089】
制御部52は、ステップS32において、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPA外か否かを判定する。制御部52は、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPA外ではない場合、処理を終了する。制御部52は、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPA外の場合、ステップS33に移行する。
【0090】
制御部52は、ステップS33において、変速機46の動作位置Pが第1範囲DP1にあるか否かを判定する。制御部52は、変速機46の動作位置Pが第1範囲DP1にある場合、ステップS34に移行する。制御部52は、ステップS34において、回生量が減少するようにアシストモータ42を制御し、ステップS37に移行する。
【0091】
制御部52は、ステップS33において、変速機46の動作位置Pが第1範囲DP1にない場合、ステップS35に移行する。制御部52は、ステップS15において、変速機46の動作位置Pが第2範囲DP2にあるか否かを判定する。制御部52は、変速機46の動作位置Pが第2範囲DP2にない場合、処理を終了する。
【0092】
制御部52は、ステップS35において、変速機46の動作位置Pが第2範囲DP2にある場合、ステップS36に移行する。制御部52は、ステップS36において、回生量が増加するようにアシストモータ42を制御し、ステップS37に移行する。
【0093】
制御部52は、ステップS37において、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPAにあるか否かを判定する。制御部52は、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPAになるまで、ステップS37の処理を繰り返す。制御部52は、変速機46の動作位置Pが所定範囲DPAになると、ステップS38に移行する。制御部52は、ステップS38において、回生量を所定値にして処理を終了する。制御部52は、ステップS38において、回生量をステップS34またはステップS36において変更する前の値に戻して処理を終了してもよい。
【0094】
例えば、変速変数Xが回転比率Rに関するものである場合、制御部52は、人力駆動車10の走行中において、回転比率Rが所定範囲DRAに含まれない場合のアシストモータ42の回生量が、回転比率Rが所定範囲DRAに含まれる場合のアシストモータ42の回生量よりも大きくなるようにアシストモータ42を制御する。例えば、変速変数Xが回転比率Rに関するものである場合、制御部52は、人力駆動車10の走行中において、回転比率Rが所定範囲DRAに含まれない場合のアシストモータ42の回生量が、回転比率Rが所定範囲DRAに含まれる場合のアシストモータ42の回生量よりも小さくなるようにアシストモータ42を制御する。変速変数Xが回転比率Rに関するものである場合、制御部52は、人力駆動車10の走行中において、回転比率Rが所定範囲DRA外の第1範囲DR1に含まれる場合のアシストモータ42の回生量が、回転比率Rが所定範囲DRAに含まれる場合のアシストモータ42の回生量よりも小さくなるようにアシストモータ42を制御し、回転比率Rが所定範囲DRA外の第2範囲DR2に含まれる場合のアシストモータ42の回生量が、回転比率Rが所定範囲DRAに含まれる場合のアシストモータ42の回生量よりも大きくなるようにアシストモータ42を制御することが好ましい。
【0095】
図6を参照して、変速変数Xが回転比率Rに関するものである場合のアシストモータ42を制御する処理について説明する。制御部52は、制御部52に電力が供給されると、処理を開始して図6に示すフローチャートのステップS41に移行する。制御部52は、図6のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS41からの処理を繰り返す。
【0096】
制御部52は、ステップS41において、人力駆動車10が走行中か否かを判定する。制御部52は、例えば、走行速度Vが所定走行速度以上の場合、および、クランク14の回転速度Nが所定回転速度以上の場合の少なくとも1つの場合に、人力駆動車10が走行中と判定する。制御部52は、人力駆動車10が走行中ではない場合、処理を終了する。制御部52は、人力駆動車10が走行中の場合、ステップS42に移行する。
【0097】
制御部52は、ステップS42において、回転比率Rが所定範囲DRA外か否かを判定する。制御部52は、回転比率Rが所定範囲DRA外ではない場合、処理を終了する。制御部52は、回転比率Rが所定範囲DRA外の場合、ステップS43に移行する。
【0098】
制御部52は、ステップS43において、回転比率Rが第1範囲DR1にあるか否かを判定する。制御部52は、回転比率Rが第1範囲DR1にある場合、ステップS44に移行する。制御部52は、ステップS44において、回生量が減少するようにアシストモータ42を制御し、ステップS47に移行する。
【0099】
制御部52は、ステップS43において、回転比率Rが第1範囲DR1にない場合、ステップS45に移行する。制御部52は、ステップS45において、回転比率Rが第2範囲DR2にあるか否かを判定する。制御部52は、回転比率Rが第2範囲DR2にない場合、処理を終了する。
【0100】
制御部52は、ステップS45において、回転比率Rが第2範囲DR2にある場合、ステップS46に移行する。制御部52は、ステップS46において、回生量が増加するようにアシストモータ42を制御し、ステップS47に移行する。
【0101】
制御部52は、ステップS47において、回転比率Rが所定範囲DRAにあるか否かを判定する。制御部52は、回転比率Rが所定範囲DRAになるまで、ステップS47の処理を繰り返す。制御部52は、回転比率Rが所定範囲DRAになると、ステップS48に移行する。制御部52は、ステップS48において、回生量を所定値にして処理を終了する。制御部52は、ステップS48において、回生量をステップS44またはステップS46において変更する前の値に戻して処理を終了してもよい。
【0102】
変速変数Xが所定範囲DAよりも回転比率Rの大きい第1範囲D1にある場合、ライダの負荷は変速変数Xが所定範囲DAにある場合よりも大きくなる。このため、ライダが違和感を覚えることがある。変速変数Xが第1範囲D1にある場合、制御部52は、アシストモータ42の回生量を小さくするため、ライダの負荷を低減できる。また、ライダが違和感を覚えにくくなる。
【0103】
変速変数Xが所定範囲DAよりも回転比率Rの小さい第2範囲D2にある場合、ライダの負荷は変速変数Xが所定範囲DAにある場合よりも小さくなる。このため、ライダが違和感を覚えることがある。変速変数Xが第2範囲D2にある場合、制御部52は、アシストモータ42の回生量を大きくするため、ライダが違和感を覚えにくくなる。また、発電量を大きくできる。
【0104】
(変形例)
実施形態に関する説明は、本発明に従う人力駆動車用の制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う人力駆動車用の制御装置は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0105】
・第2実施形態において、制御部52は、変速機46の変速変数Xが、第1範囲D1および第2範囲D2の一方に含まれる場合、回生率を、変速変数Xが所定範囲DAに含まれる場合とは異なるようにアシストモータ42を制御するようにしてもよい。回生率は、例えば、人力駆動力Hの仕事率WHまたはトルクTHのうちの回生に用いる割合である。例えば、アシストモータ42のロータに伝達される人力駆動力Hの割合を切り替え可能な切替装置をアシストモータ42に設け、制御部52は、切替装置を制御することによって、回生率を変更する。
例えば、制御部52は、人力駆動車10の走行中において、変速機46の変速変数Xが所定範囲DAに含まれない場合のアシストモータ42の回生率が、変速変数Xが所定範囲DAに含まれる場合のアシストモータ42の回生率よりも大きくなるようにアシストモータ42を制御する。例えば、制御部52は、人力駆動車10の走行中において、変速機46の変速変数Xが所定範囲DAに含まれない場合のアシストモータ42の回生率が、変速変数Xが所定範囲DAに含まれる場合のアシストモータ42の回生率よりも小さくなるようにアシストモータ42を制御する。制御部52は、人力駆動車10の走行中において、変速機46の変速変数Xが所定範囲DA外の第1範囲D1に含まれる場合のアシストモータ42の回生率が、変速変数Xが所定範囲DAに含まれる場合のアシストモータ42の回生率よりも小さくなるようにアシストモータ42を制御し、変速機46の変速変数Xが所定範囲DA外の第2範囲D2に含まれる場合のアシストモータ42の回生率が、変速変数Xが所定範囲DAに含まれる場合のアシストモータ42の回生率よりも大きくなるようにアシストモータ42を制御することが好ましい。
具体的には、変速変数Xが変速機46の動作位置Pに関するものである場合、図7に示されるように、図5のステップS34を図7のステップS51に変更し、図5のステップS36を図7のステップS52に変更し、図5のステップS38を図7のステップS53に変更する。制御部52は、ステップS51において、回生率が減少するようにアシストモータ42を制御し、ステップS37に移行する。制御部52は、ステップS52において回生率が増加するようにアシストモータ42を制御し、ステップS37に移行する。制御部52は、ステップS53において、回生率を所定値にして処理を終了する。
変速変数Xが回転比率Rに関するものである場合、図8に示されるように、図6のステップS44を図8のステップS61に変更し、図6のステップS46を図8のステップS62に変更し、図6のステップS48を図8のステップS63に変更する。制御部52は、ステップS61において、回生率が減少するようにアシストモータ42を制御し、ステップS47に移行する。制御部52は、ステップS62において回生率が増加するようにアシストモータ42を制御し、ステップS47に移行する。制御部52は、ステップS63において、回生率を所定値にして処理を終了する。
【0106】
・第1実施形態において、制御部52は、変速機46の変速変数Xが、第1範囲D1および第2範囲D2の一方に含まれる場合、回生量および回生率の少なくとも1つを、変速変数Xが所定範囲DAに含まれる場合とは異なるようにアシストモータ42を制御してもよい。
【0107】
・制御部52は、所定範囲DAに含まれる変速機46の変速変数Xと、所定範囲DA外に含まれる変速機46の変速変数Xと、の差分に応じて、アシストモータ42の出力上限値L、アシストモータ42の出力M、および、人力駆動力Hに対するアシストモータ42の出力比率Aの少なくとも1つを制御してもよい。変速機46は、車輪12の回転数をクランク14の回転数で割った商で定義される回転比率Rを変更する。変速機46は、第1実施形態の変速機46と同様に構成される。所定範囲DAに含まれる変速機46の変速変数Xは、記憶部54に記憶される変速指令値と対応する変速変数Xであることが好ましい。制御部52は、記憶部54に記憶される変速指令値と対応する変速変数Xと、第1検出部62または第2検出部64によって検出される変速変数Xとの差分に応じて、アシストモータ42の出力上限値L、アシストモータ42の出力M、および、人力駆動力Hに対するアシストモータ42の出力比率Aの少なくとも1つを制御することが好ましい。例えば、制御部52は、変速機46の動作位置Pが第1範囲DP1に含まれる場合、第1検出部62によって検出される変速機46の動作位置Pと、記憶部54に記憶される変速指令値と対応する動作位置Pとの差分が大きいほど、出力上限値L、出力M、および、出力比率Aの少なくとも1つの増加量を大きくする。例えば、制御部52は、変速機46の動作位置Pが第2範囲DP2に含まれる場合、第1検出部62によって検出される変速機46の動作位置Pと、記憶部54に記憶される変速指令値と対応する動作位置Pとの差分が大きいほど、出力上限値L、出力M、および、出力比率Aの少なくとも1つの減少量を大きくする。例えば、制御部52は、回転比率Rが第1範囲DR1に含まれる場合、第2検出部64によって検出される回転比率Rと、記憶部54に記憶される変速指令値と対応する回転比率Rとの差分が大きいほど、出力上限値L、出力M、および、出力比率Aの少なくとも1つの増加量を大きくする。例えば、制御部52は、回転比率Rが第2範囲DR2に含まれる場合、第2検出部64によって検出される回転比率Rと、記憶部54に記憶される変速指令値と対応する回転比率Rとの差分が大きいほど、出力上限値L、出力M、および、出力比率Aの少なくとも1つの減少量を大きくする。制御部52は、所定範囲DAに含まれる変速変数Xと、所定範囲DA外に含まれる変速変数Xと、の差分が大きくなるほど、アシストモータ42の出力上限値L、アシストモータ42の出力M、および、人力駆動力Hに対するアシストモータ42の出力比率Aの少なくとも1つを直線的に大きくしてもよく、段階的に大きくしてもよく、指数関数的に大きくしてもよい。
【0108】
・制御部52は、動作位置Pに変えて、変速比Sに応じてアシストモータ42を制御してもよい。この場合、制御装置50は、変速比Sを検出するための第3検出部を含むことが好ましい。第3検出部は、例えば、変速機46よりも上流の回転体の回転速度と、変速機46よりも下流の回転体の回転速度とを検出する。制御部52は、変速機46よりも下流の回転体の回転速度を、変速機46よりも上流の回転体の回転速度で除算することによって、変速比Sを算出する。制御部52は、人力駆動車10が複数の変速機46を含む場合、各変速機46の変速比Sに応じてアシストモータ42を制御してもよく、複数の変速機46の変速比Sを乗算した回転比率Rに応じてアシストモータ42を制御してもよい。
【0109】
・変速機46は、アクチュエータを有さず、変速操作装置と機械式のケーブルによって接続されていてもよい。この場合、制御部52は、検出された変速操作装置の操作に応じた変速変数Xを記憶部54に記憶することが好ましい。この場合、所定範囲DAは、記憶部54に記憶される変速変数Xを含む範囲である。
【符号の説明】
【0110】
10…人力駆動車、12…車輪、14…クランク、42…アシストモータ、46…変速機、50…人力駆動車用の制御装置、52…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8