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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161568
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】非燃焼式吸引器
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20241112BHJP
【FI】
A24F40/40
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139844
(22)【出願日】2024-08-21
(62)【分割の表示】P 2024091224の分割
【原出願日】2022-02-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2021079876
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤木 貴司
(72)【発明者】
【氏名】川中子 拓嗣
(72)【発明者】
【氏名】長浜 徹
(72)【発明者】
【氏名】青山 達也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 亮
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レセプタクルに対して適切な保護部品を接続することで、コストとサイズの増加を抑制しつつ、動作を安定させることが可能なエアロゾル生成装置の電源ユニットを提供する。
【解決手段】非燃焼式吸引器は、電源BATと、ヒータHTRが接続されるヒータコネクタCnと、MCU1、充電IC2と、レセプタクルRCPと、レセプタクルRCPの電源入力端子VBUSと充電IC2の入力端子VBUSを接続する電源ラインPLと、電源ラインPLに設けられる電源ライン保護部品205と、レセプタクルRCPのデータ端子とMCU1を接続するデータラインDL1~DL4と、データラインDL1~DL4に設けられるデータライン保護部品215と、を備える。電源ライン保護部品205の数は、データライン保護部品215の数より多い。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱するヒータが接続されるヒータコネクタと、
前記電源から前記ヒータコネクタへの電力の供給を制御可能に構成されるコントローラと、
入力端子と、前記電源へ接続される充電端子と、を含み、前記入力端子へ入力される電力を変換して前記充電端子から出力するように構成される充電ICと、
電源端子と、データ端子と、を含み、外部電源へ電気的に接続可能に構成されるレセプタクルと、
前記電源端子と前記入力端子を接続する電源ラインと、
前記データ端子と前記コントローラを接続するデータラインと、
前記電源ラインに設けられる第1保護部品と、
前記データラインに設けられる第2保護部品と、を備え、
前記第1保護部品の数は、前記第2保護部品の数より多い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
グランドを備え、
前記第1保護部品は、前記グランドに接続される素子である接地素子と、前記グランドに接続されない非接地素子と、を含み、
前記第2保護部品は、前記接地素子と前記非接地素子のうちいずれか一方のみを含む、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2保護部品は、前記接地素子と前記非接地素子のうち前記接地素子のみを含む、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源ラインにおいて、前記電源端子、前記非接地素子、前記接地素子、前記入力端子の順に接続される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1保護部品と前記第2保護部品とは、同一の素子を含む、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1保護部品と前記第2保護部品とは、同一の素子を含まない、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
第1基板と、
前記第1基板とは別体の第2基板と、を備え、
前記コントローラ及び前記充電ICは、前記第1基板に配置され、
前記レセプタクルは、前記第2基板に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1保護部品及び前記第2保護部品は、前記第1基板と前記第2基板のうち前記第2基板のみに配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項9】
請求項7又は8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2基板は、主面と前記主面の裏面である副面を有し、
前記レセプタクルは、前記主面に配置され、
前記第1保護部品は、前記副面に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項10】
請求項9に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1保護部品の少なくても一部は、前記第2基板に直交する方向から前記レセプタクルを投影した領域に配置されている、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2保護部品は、前記主面に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成装置の電源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、USBなどのレセプタクルを備えたエアロゾル生成装置の電源ユニットが記載されている。
【0003】
レセプタクルには、充電電力を供給するVBUS端子以外にも多くの端子が設けられている。
【0004】
一方、レセプタクルを介して外部電源から供給される電力を安全に装置内に導入するためには、外部電源が乱れた場合にこれらから装置内の電子部品を保護する保護部品を設けることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特表2020-504599号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0380388号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レセプタクルに設けられた複数の端子に対してどの様に保護部品を接続するかについては、検討の余地があった。
【0007】
本発明は、レセプタクルに対して適切な保護部品を接続することで、コストとサイズの増加を抑制しつつ、動作を安定させることが可能なエアロゾル生成装置の電源ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエアロゾル生成装置の電源ユニットは、
電源と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱するヒータが接続されるヒータコネクタと、
前記電源から前記ヒータコネクタへの電力の供給を制御可能に構成されるコントローラと、
入力端子と、前記電源へ接続される充電端子と、を含み、前記入力端子へ入力される電力を変換して前記充電端子から出力するように構成される充電ICと、
電源端子と、データ端子と、を含み、外部電源へ電気的に接続可能に構成されるレセプタクルと、
前記電源端子と前記入力端子を接続する電源ラインと、
前記データ端子と前記コントローラを接続するデータラインと、
前記電源ラインに設けられる第1保護部品と、
前記データラインに設けられる第2保護部品と、を備え、
前記第1保護部品の数は、前記第2保護部品の数より多い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エアロゾル生成装置の電源ユニットのコストとサイズの増加を抑制しつつ、その動作を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】非燃焼式吸引器の斜視図である。
図2】ロッドを装着した状態を示す非燃焼式吸引器の斜視図である。
図3】非燃焼式吸引器の他の斜視図である。
図4】非燃焼式吸引器の分解斜視図である。
図5】非燃焼式吸引器の内部ユニットの斜視図である。
図6図5の内部ユニットの分解斜視図である。
図7】電源及びシャーシを取り除いた内部ユニットの斜視図である。
図8】電源及びシャーシを取り除いた内部ユニットの他の斜視図である。
図9】吸引器の動作モードを説明するための模式図である。
図10】内部ユニットの電気回路の概略構成を示す図である。
図11】スリープモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図12】アクティブモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図13】加熱初期設定モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図14】加熱モードにおけるヒータの加熱時の電気回路の動作を説明するための図である。
図15】加熱モードにおけるヒータの温度検出時の電気回路の動作を説明するための図である。
図16】充電モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図17】レセプタクルから延びるラインとレセプタクルに対する保護部品を示す図である。
図18】レセプタクル搭載基板の主面を示す図である。
図19】レセプタクル搭載基板の副面を示す図である。
図20】MCU搭載基板の主面を示す図である。
図21】MCU搭載基板の副面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明におけるエアロゾル生成装置の一実施形態である吸引システムについて図面を参照しながら説明する。この吸引システムは、本発明の電源ユニットの一実施形態である非燃焼式吸引器100(以下、単に、「吸引器100」ともいう)と、吸引器100によって加熱されるロッド500と、を備える。以下の説明では、吸引器100が、加熱部を着脱不能に収容した構成を例に説明する。しかし、吸引器100に対し加熱部が着脱自在に構成されていてもよい。例えば、ロッド500と加熱部が一体化されたものを、吸引器100に着脱自在に構成したものであってもよい。つまり、エアロゾル生成装置の電源ユニットは、構成要素として加熱部を含まない構成であってもよい。なお、着脱不能とは、想定される用途の限りにおいて、取外しが行えないような態様を指すものとする。または、吸引器100に設けられる誘導加熱用コイルと、ロッド500に内蔵されるサセプタが協働して加熱部を構成してもよい。
【0012】
図1は、吸引器100の全体構成を示す斜視図である。図2は、ロッド500を装着した状態を示す吸引器100の斜視図である。図3は、吸引器100の他の斜視図である。図4は、吸引器100の分解斜視図である。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を、便宜上、前後方向、左右方向、上下方向とした、3次元空間の直交座標系を用いて説明する。図中、前方をFr、後方をRr、右側をR、左側をL、上方をU、下方をD、として示す。
【0013】
吸引器100は、エアロゾル源及び香味源を含む充填物などを有する香味成分生成基材の一例としての細長い略円柱状のロッド500(図2参照)を加熱することによって、香味を含むエアロゾルを生成するように構成される。
【0014】
<香味成分生成基材(ロッド)>
ロッド500は、所定温度で加熱されてエアロゾルを生成するエアロゾル源を含有する充填物を含む。
【0015】
エアロゾル源の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質及び/又はそれらの構成成分を選択することができる。エアロゾル源は、固体であってもよいし、例えば、グリセリン、プロピレングリコールといった多価アルコールや、水などの液体であってもよい。エアロゾル源は、加熱することによって香味成分を放出するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物等の香味源を含んでいてもよい。香味成分が付加される気体はエアロゾルに限定されず、例えば不可視の蒸気が生成されてもよい。
【0016】
ロッド500の充填物は、香味源としてたばこ刻みを含有し得る。たばこ刻みの材料は特に限定されず、ラミナや中骨等の公知の材料を用いることができる。充填物は、1種又は2種以上の香料を含んでいてもよい。当該香料の種類は特に限定されないが、良好な喫味の付与の観点から、好ましくはメンソールである。香味源は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、又はハーブ等)を含有し得る。用途によっては、ロッド500は香味源を含まなくてもよい。
【0017】
<非燃焼式吸引器の全体構成>
続いて、吸引器100の全体構成について、図1図4を参照しながら説明する。
吸引器100は、前面、後面、左面、右面、上面、及び下面を備える略直方体形状のケース110を備える。ケース110は、前面、後面、上面、下面、及び右面が一体に形成された有底筒状のケース本体112と、ケース本体112の開口部114(図4参照)を封止し左面を構成するアウターパネル115及びインナーパネル118と、スライダ119と、を備える。
【0018】
インナーパネル118は、ケース本体112にボルト120で固定される。アウターパネル115は、ケース本体112に収容された後述するシャーシ150(図5参照)に保持されたマグネット124によって、インナーパネル118の外面を覆うようにケース本体112に固定される。アウターパネル115が、マグネット124によって固定されることで、ユーザは好みに合わせてアウターパネル115を取り替えることが可能となっている。
【0019】
インナーパネル118には、マグネット124が貫通するように形成された2つの貫通孔126が設けられる。インナーパネル118には、上下に配置された2つの貫通孔126の間に、さらに縦長の長孔127及び円形の丸孔128が設けられる。この長孔127は、ケース本体112に内蔵された8つのLED(Light Emitting Diode) L1~L8から出射される光を透過させるためのものである。丸孔128には、ケース本体112に内蔵されたボタン式の操作スイッチOPSが貫通する。これにより、ユーザは、アウターパネル115のLED窓116を介して8つのLED L1~L8から出射される光を検知することができる。また、ユーザは、アウターパネル115の押圧部117を介して操作スイッチOPSを押し下げることができる。
【0020】
図2に示すように、ケース本体112の上面には、ロッド500を挿入可能な開口132が設けられる。スライダ119は、開口132を閉じる位置(図1参照)と開口132を開放する位置(図2参照)との間を、前後方向に移動可能にケース本体112に結合される。図2においては、理解を容易にするためスライダ119を透過させ、スライダ119の外形のみを二点鎖線で示している点に留意されたい。
【0021】
操作スイッチOPSは、吸引器100の各種操作を行うために使用される。例えば、ユーザは、図2に示すようにロッド500を開口132に挿入して装着した状態で、押圧部117を介して操作スイッチOPSを操作する。これにより、加熱部170(図5参照)によって、ロッド500を燃焼させずに加熱する。ロッド500が加熱されると、ロッド500に含まれるエアロゾル源からエアロゾルが生成され、ロッド500に含まれる香味源の香味が当該エアロゾルに付加される。ユーザは、開口132から突出したロッド500の吸口502を咥えて吸引することにより、香味を含むエアロゾルを吸引することができる。
【0022】
ケース本体112の下面には、図3に示すように、コンセントやモバイルバッテリ等の外部電源と電気的に接続して電力供給を受けるための充電端子134が設けられている。本実施形態において、充電端子134は、USB(Universal Serial Bus) Type-C形状のレセプタクルとしているが、これに限定されるものではない。充電端子134を、以下では、レセプタクルRCPとも記載する。
【0023】
なお、充電端子134は、例えば、受電コイルを備え、外部電源から送電される電力を非接触で受電可能に構成されてもよい。この場合の電力伝送(Wireless Power Transfer)の方式は、電磁誘導型でもよいし、磁気共鳴型でもよいし、電磁誘導型と磁気共鳴型を組み合わせたものでもよい。別の一例として、充電端子134は、各種USB端子等が接続可能であり、且つ上述した受電コイルを有していてもよい。
【0024】
図1図4に示される吸引器100の構成は一例にすぎない。吸引器100は、ロッド500を保持して例えば加熱等の作用を加えることで、ロッド500から香味成分が付与された気体を生成させ、生成された気体をユーザが吸引することができるような、様々な形態で構成することができる。
【0025】
<非燃焼式吸引器の内部構成>
吸引器100の内部ユニット140について図5図8を参照しながら説明する。
図5は、吸引器100の内部ユニット140の斜視図である。図6は、図5の内部ユニット140の分解斜視図である。図7は、電源BAT及びシャーシ150を取り除いた内部ユニット140の斜視図である。図8は、電源BAT及びシャーシ150を取り除いた内部ユニット140の他の斜視図である。
【0026】
ケース110の内部空間に収容される内部ユニット140は、シャーシ150と、電源BATと、回路部160と、加熱部170と、通知部180と、各種センサと、を備える。
【0027】
シャーシ150は、前後方向においてケース110の内部空間の略中央に配置され上下方向且つ前後方向に延設された板状のシャーシ本体151と、前後方向においてケース110の内部空間の略中央に配置され上下方向且つ左右方向に延びる板状の前後分割壁152と、上下方向において前後分割壁152の略中央から前方に延びる板状の上下分割壁153と、前後分割壁152及びシャーシ本体151の上縁部から後方に延びる板状のシャーシ上壁154と、前後分割壁152及びシャーシ本体151の下縁部から後方に延びる板状のシャーシ下壁155と、を備える。シャーシ本体151の左面は、前述したケース110のインナーパネル118及びアウターパネル115に覆われる。
【0028】
ケース110の内部空間は、シャーシ150により前方上部に加熱部収容領域142が区画形成され、前方下部に基板収容領域144が区画形成され、後方に上下方向に亘って電源収容空間146が区画形成されている。
【0029】
加熱部収容領域142に収容される加熱部170は、複数の筒状の部材から構成され、これらが同心円状に配置されることで、全体として筒状体をなしている。加熱部170は、その内部にロッド500の一部を収納可能なロッド収容部172と、ロッド500を外周または中心から加熱するヒータHTR(図10図16参照)と、を有する。ロッド収容部172が断熱材で構成される、又は、ロッド収容部172の内部に断熱材が設けられることで、ロッド収容部172の表面とヒータHTRは断熱されることが好ましい。ヒータHTRは、ロッド500を加熱可能な素子であればよい。ヒータHTRは、例えば、発熱素子である。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。ヒータHTRとしては、例えば、温度の増加に伴って抵抗値も増加するPTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有するものが好ましく用いられる。これに代えて、温度の増加に伴って抵抗値が低下するNTC(Negative Temperature Coefficient)特性を有するヒータHTRを用いてもよい。加熱部170は、ロッド500へ供給する空気の流路を画定する機能、及びロッド500を加熱する機能を有する。ケース110には、空気を流入させるための通気口(不図示)が形成され、加熱部170に空気が流入できるように構成される。
【0030】
電源収容空間146に収容される電源BATは、充電可能な二次電池、電気二重層キャパシタ等であり、好ましくは、リチウムイオン二次電池である。電源BATの電解質は、ゲル状の電解質、電解液、固体電解質、イオン液体の1つ又はこれらの組合せで構成されていてもよい。
【0031】
通知部180は、電源BATの充電状態を示すSOC(State Of Charge)、吸引時の予熱時間、吸引可能期間等の各種情報を通知する。本実施形態の通知部180は、8つのLED L1~L8と、振動モータMと、を含む。通知部180は、LED L1~L8のような発光素子によって構成されていてもよく、振動モータMのような振動素子によって構成されていてもよく、音出力素子によって構成されていてもよい。通知部180は、発光素子、振動素子、及び音出力素子のうち、2以上の素子の組合せであってもよい。
【0032】
各種センサは、ユーザのパフ動作(吸引動作)を検出する吸気センサ、電源BATの温度を検出する電源温度センサ、ヒータHTRの温度を検出するヒータ温度センサ、ケース110の温度を検出するケース温度センサ、スライダ119の位置を検出するカバー位置センサ、及びアウターパネル115の着脱を検出するパネル検出センサ等を含む。
【0033】
吸気センサは、例えば、開口132の近傍に配置されたサーミスタT2を主体に構成される。電源温度センサは、例えば、電源BATの近傍に配置されたサーミスタT1を主体に構成される。ヒータ温度センサは、例えば、ヒータHTRの近傍に配置されたサーミスタT3を主体に構成される。上述した通り、ロッド収容部172はヒータHTRから断熱されることが好ましい。この場合において、サーミスタT3は、ロッド収容部172の内部において、ヒータHTRと接する又は近接することが好ましい。ヒータHTRがPTC特性やNTC特性を有する場合、ヒータHTRそのものをヒータ温度センサに用いてもよい。ケース温度センサは、例えば、ケース110の左面の近傍に配置されたサーミスタT4を主体に構成される。カバー位置センサは、スライダ119の近傍に配置されたホール素子を含むホールIC14(図10図16参照)を主体に構成される。パネル検出センサは、インナーパネル118の内側の面の近傍に配置されたホール素子を含むホールIC13(図10図16参照)を主体に構成される。
【0034】
回路部160は、4つの回路基板と、複数のIC(Integrate Circuit)と、複数の素子と、を備える。4つの回路基板は、主に後述のMCU(Micro Controller Unit)1及び充電IC2が配置されたMCU搭載基板161と、主に充電端子134が配置されたレセプタクル搭載基板162と、操作スイッチOPS、LED L1~L8、及び後述の通信IC15が配置されたLED搭載基板163と、カバー位置センサを構成するホール素子を含む後述のホールIC14が配置されたホールIC搭載基板164と、を備える。
【0035】
MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162は、基板収容領域144において互いに平行に配置される。具体的に説明すると、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162は、それぞれの素子配置面が左右方向及び上下方向に沿って配置され、MCU搭載基板161がレセプタクル搭載基板162よりも前方に配置される。MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162には、それぞれ開口部175、176(図18図21参照)が設けられる。MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162は、これら開口部175、176の周縁部同士の間に円筒状のスペーサ173を介在させた状態で前後分割壁152の基板固定部156にボルト136で締結される。即ち、スペーサ173は、ケース110の内部におけるMCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162の位置を固定する固定部材であり、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162とを機械的に接続する。これにより、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162が接触し、これらの間で短絡電流が生じることを抑制できる。また、スペーサ173は導電性を有し、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162のグランドがスペーサ173を介して接続される。これにより、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162のグランド電位を揃えることができ、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162との間の充電用電力、動作用電力の供給及び通信を安定させることができる。
【0036】
便宜上、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162の前方を向く面を、それぞれの主面161a、162aとし、主面161a、162aの反対面をそれぞれの副面161b、162bとすると、MCU搭載基板161の副面161bと、レセプタクル搭載基板162の主面162aとが、所定の隙間を介して対向する。MCU搭載基板161の主面161aはケース110の前面と対向し、レセプタクル搭載基板162の副面162bは、シャーシ150の前後分割壁152と対向する。MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162は、フレキシブル配線板165を介して電気的に接続されている。MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162に搭載される素子及びICについては後述する。
【0037】
LED搭載基板163は、シャーシ本体151の左側面、且つ上下に配置された2つのマグネット124の間に配置される。LED搭載基板163の素子配置面は、上下方向及び前後方向に沿って配置されている。換言すると、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162それぞれの素子配置面と、LED搭載基板163の素子配置面とは、直交している。このように、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162それぞれの素子配置面と、LED搭載基板163の素子配置面とは、直交に限らず、交差している(非平行である)ことが好ましい。なお、LED L1~L8とともに通知部180を構成する振動モータMは、シャーシ下壁155の下面に固定され、MCU搭載基板161に電気的に接続される。
【0038】
ホールIC搭載基板164は、シャーシ上壁154の上面に配置される。
【0039】
<吸引器の動作モード>
図9は、吸引器100の動作モードを説明するための模式図である。図9に示すように、吸引器100の動作モードには、充電モード、スリープモード、アクティブモード、加熱初期設定モード、加熱モード、及び加熱終了モードが含まれる。
【0040】
スリープモードは、主にヒータHTRの加熱制御に必要な電子部品への電力供給を停止して省電力化を図るモードである。
【0041】
アクティブモードは、ヒータHTRの加熱制御を除くほとんどの機能が有効になるモードである。吸引器100は、スリープモードにて動作している状態にて、スライダ119が開かれると、動作モードをアクティブモードに切り替える。吸引器100は、アクティブモードにて動作している状態にて、スライダ119が閉じられたり、操作スイッチOPSの無操作時間が所定時間に達したりすると、動作モードをスリープモードに切り替える。
【0042】
加熱初期設定モードは、ヒータHTRの加熱制御を開始するための制御パラメータ等の初期設定を行うモードである。吸引器100は、アクティブモードにて動作している状態にて、操作スイッチOPSの操作を検出すると、動作モードを加熱初期設定モードに切り替え、初期設定が終了すると、動作モードを加熱モードに切り替える。
【0043】
加熱モードは、ヒータHTRの加熱制御(エアロゾル生成のための加熱制御と、温度検出のための加熱制御)を実行するモードである。吸引器100は、動作モードが加熱モードに切り替わると、ヒータHTRの加熱制御を開始する。
【0044】
加熱終了モードは、ヒータHTRの加熱制御の終了処理(加熱履歴の記憶処理等)を実行するモードである。吸引器100は、加熱モードにて動作している状態にて、ヒータHTRへの通電時間又はユーザの吸引回数が上限に達したり、スライダ119が閉じられたりすると、動作モードを加熱終了モードに切り替え、終了処理が終了すると、動作モードをアクティブモードに切り替える。吸引器100は、加熱モードにて動作している状態にて、USB接続がなされると、動作モードを加熱終了モードに切り替え、終了処理が終了すると、動作モードを充電モードに切り替える。図9に示したように、この場合において、動作モードを充電モードに切り替える前に、動作モードをアクティブモードへ切り替えてもよい。換言すれば、吸引器100は、加熱モードにて動作している状態にて、USB接続がなされると、動作モードを加熱終了モード、アクティブモード、充電モードの順に切り替えてもよい。
【0045】
充電モードは、レセプタクルRCPに接続された外部電源から供給される電力により、電源BATの充電を行うモードである。吸引器100は、スリープモード又はアクティブモードにて動作している状態にて、レセプタクルRCPに外部電源が接続(USB接続)されると、動作モードを充電モードに切り替える。吸引器100は、充電モードにて動作している状態にて、電源BATの充電が完了したり、レセプタクルRCPと外部電源との接続が解除されたりすると、動作モードをスリープモードに切り替える。
【0046】
<内部ユニットの回路の概略>
図10は、内部ユニット140の電気回路の概略構成を示す図である。なお、図10では、主要な素子及びICのみを記載する。
【0047】
図10において太い実線で示した配線は、内部ユニット140の基準となる電位(グランド電位)と同電位となる配線(内部ユニット140に設けられたグランドに接続される配線)であり、この配線を以下ではグランドラインと記載する。図10では、複数の回路素子をチップ化した電子部品を矩形で示しており、この矩形の内側に各種端子の符号を記載している。チップに搭載される電源端子VCC及び電源端子VDDは、それぞれ、高電位側の電源端子を示す。チップに搭載される電源端子VSS及びグランド端子GNDは、それぞれ、低電位側(基準電位側)の電源端子を示す。チップ化された電子部品は、高電位側の電源端子の電位と低電位側の電源端子の電位の差分が、電源電圧となる。チップ化された電子部品は、この電源電圧を用いて、各種機能を実行する。
【0048】
MCU搭載基板161には、主要な電子部品として、吸引器100の全体を統括制御するMCU1と、電源BATの充電制御を行う充電IC2と、コンデンサ、抵抗器、及びトランジスタ等を組み合わせて構成されたロードスイッチ(以下、LSW)3と、USB接続検出用の分圧回路Pcと、が設けられている。
【0049】
充電IC2、及びLSW3の各々のグランド端子GNDは、グランドラインに接続されている。
【0050】
LED搭載基板163には、主要な電子部品として、パネル検出センサを構成するホール素子を含むホールIC13と、LED L1~L8と、操作スイッチOPSと、通信IC15と、が設けられている。通信IC15は、スマートフォン等の電子機器との通信を行うための通信モジュールである。ホールIC13の電源端子VSS及び通信IC15のグランド端子GNDの各々は、グランドラインに接続されている。通信IC15とMCU1は、通信線LNによって通信可能に構成されている。操作スイッチOPSの一端はグランドラインに接続され、操作スイッチOPSの他端はMCU1の端子P4に接続されている。
【0051】
レセプタクル搭載基板162には、主要な電子部品として、電源BATと電気的に接続される電源コネクタ(図では、この電源コネクタに接続された電源BATを記載)と、昇圧DC/DCコンバータ9(図では、昇圧DC/DC9と記載)と、保護IC10と、過電圧保護IC11と、レセプタクルRCPと、MOSFETで構成されたスイッチS3、S4と、オペアンプOP1と、ヒータHTRと電気的に接続される一対(正極側と負極側)のヒータコネクタCnと、が設けられている。
【0052】
レセプタクルRCPの2つのグランド端子GNDと、昇圧DC/DCコンバータ9のグランド端子GNDと、保護IC10の電源端子VSSと、過電圧保護IC11のグランド端子GNDと、オペアンプOP1の負電源端子は、それぞれ、グランドラインに接続されている。
【0053】
ホールIC搭載基板164には、カバー位置センサを構成するホール素子を含むホールIC14が設けられている。ホールIC14の電源端子VSSは、グランドラインに接続されている。ホールIC14の出力端子OUTは、MCU1の端子P8に接続されている。MCU1は、端子P8に入力される信号により、スライダ119の開閉を検出する。
【0054】
<内部ユニットの回路の詳細>
以下、図10を参照しながら各電子部品の接続関係等について説明する。
【0055】
レセプタクルRCPの2つの電源入力端子VBUSは、ヒューズFsなどの後述する保護素子を介して、過電圧保護IC11の入力端子INに接続されている。レセプタクルRCPにUSBプラグが接続され、このUSBプラグを含むUSBケーブルが外部電源に接続されると、レセプタクルRCPの2つの電源入力端子VBUSにUSB電圧VUSBが供給される。
【0056】
過電圧保護IC11の入力端子INには、2つの抵抗器の直列回路からなる分圧回路Paの一端が接続されている。分圧回路Paの他端はグランドラインに接続されている。分圧回路Paを構成する2つの抵抗器の接続点は、過電圧保護IC11の電圧検出端子OVLoに接続されている。過電圧保護IC11は、電圧検出端子OVLoに入力される電圧が閾値未満の状態では、入力端子INに入力された電圧を出力端子OUTから出力する。過電圧保護IC11は、電圧検出端子OVLoに入力される電圧が閾値以上(過電圧)となった場合には、出力端子OUTからの電圧出力を停止(LSW3とレセプタクルRCPとの電気的な接続を遮断)することで、過電圧保護IC11よりも下流の電子部品の保護を図る。過電圧保護IC11の出力端子OUTは、LSW3の入力端子VINと、MCU1に接続された分圧回路Pc(2つの抵抗器の直列回路)の一端と、に接続されている。分圧回路Pcの他端はグランドラインに接続されている。分圧回路Pcを構成する2つの抵抗器の接続点は、MCU1の端子P17に接続されている。
【0057】
LSW3の入力端子VINには、2つの抵抗器の直列回路からなる分圧回路Pfの一端が接続されている。分圧回路Pfの他端はグランドラインに接続されている。分圧回路Pfを構成する2つの抵抗器の接続点は、LSW3の制御端子ONに接続されている。LSW3の制御端子ONには、バイポーラトランジスタS2のコレクタ端子が接続されている。バイポーラトランジスタS2のエミッタ端子はグランドラインに接続されている。バイポーラトランジスタS2のベース端子は、MCU1の端子P19に接続されている。LSW3は、制御端子ONに入力される信号がハイレベルになると、入力端子VINに入力された電圧を出力端子VOUTから出力する。LSW3の出力端子VOUTは、充電IC2の入力端子VBUSと、LED L1~L8の各々のアノードと、に接続されている。
【0058】
MCU1は、USB接続がなされていない間は、バイポーラトランジスタS2をオンにする。これにより、LSW3の制御端子ONはバイポーラトランジスタS2を介してグランドラインへ接続されるため、LSW3の制御端子ONにはローレベルの信号が入力される。
【0059】
LSW3に接続されたバイポーラトランジスタS2は、USB接続がなされると、MCU1によってオフされる。バイポーラトランジスタS2がオフすることで、分圧回路Pfによって分圧されたUSB電圧VUSBがLSW3の制御端子ONに入力される。このため、USB接続がなされ且つバイポーラトランジスタS2がオフされると、LSW3の制御端子ONには、ハイレベルの信号が入力される。これにより、LSW3は、USBケーブルから供給されるUSB電圧VUSBを出力端子VOUTから出力する。なお、バイポーラトランジスタS2がオフされていない状態でUSB接続がなされても、LSW3の制御端子ONは、バイポーラトランジスタS2を介してグランドラインへ接続されているため、MCU1がバイポーラトランジスタS2をオフしない限り、LSW3の制御端子ONにはローレベルの信号が入力され続ける点に留意されたい。
【0060】
電源BATの正極端子は、保護IC10の電源端子VDDと、昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINと、充電IC2の充電端子batと、に接続されている。したがって、電源BATの電源電圧VBATは、保護IC10と、充電IC2と、昇圧DC/DCコンバータ9とに供給される。電源BATの負極端子には、抵抗器Raと、MOSFETで構成されたスイッチSaと、MOSFETで構成されたスイッチSbと、がこの順に直列接続されている。抵抗器RaとスイッチSaの接続点には、保護IC10の電流検出端子CSが接続されている。スイッチSaとスイッチSbの各々の制御端子は、保護IC10に接続されている。
【0061】
保護IC10は、電流検出端子CSに入力される電圧から、電源BATの充放電時において抵抗器Raに流れる電流値を取得し、この電流値が過大になった場合(過電流の場合)に、スイッチSaとスイッチSbの開閉制御を行って、電源BATの充電又は放電を停止させることで、電源BATの保護を図る。より具体的には、保護IC10は、電源BATの充電時に過大な電流値を取得した場合には、スイッチSbをオフすることで、電源BATの充電を停止させる。保護IC10は、電源BATの放電時に過大な電流値を取得した場合には、スイッチSaをオフすることで、電源BATの放電を停止させる。また、保護IC10は、電源端子VDDに入力される電圧から、電源BATの電圧値が異常になった場合(過充電又は過電圧の場合)に、スイッチSaとスイッチSbの開閉制御を行って、電源BATの充電又は放電を停止させることで、電源BATの保護を図る。より具体的には、保護IC10は、電源BATの過充電を検知した場合には、スイッチSbをオフすることで、電源BATの充電を停止させる。保護IC10は、電源BATの過放電を検知した場合には、スイッチSaをオフすることで、電源BATの放電を停止させる。
【0062】
昇圧DC/DCコンバータ9のスイッチング端子SWには、リアクトルLcの一端が接続されている。このリアクトルLcの他端は昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINに接続されている。昇圧DC/DCコンバータ9は、スイッチング端子SWに接続された内蔵トランジスタのオンオフ制御を行うことで、入力された電圧を昇圧して、出力端子VOUTから出力する。なお、昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINは、昇圧DC/DCコンバータ9の高電位側の電源端子を構成している。昇圧DC/DCコンバータ9は、イネーブル端子ENに入力される信号がハイレベルとなっている場合に、昇圧動作を行う。USB接続されている状態においては、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENに入力される信号は、MCU1によってローレベルに制御されてもよい。若しくは、USB接続されている状態においては、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENに入力される信号をMCU1が制御しないことで、イネーブル端子ENの電位を不定にしてもよい。
【0063】
昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTには、Pチャネル型MOSFETにより構成されたスイッチS4のソース端子が接続されている。スイッチS4のゲート端子は、MCU1の端子P15と接続されている。スイッチS4のドレイン端子には、抵抗器Rsの一端が接続されている。抵抗器Rsの他端は、ヒータHTRの一端と接続される正極側のヒータコネクタCnに接続されている。スイッチS4と抵抗器Rsの接続点には、2つの抵抗器からなる分圧回路Pbが接続されている。分圧回路Pbを構成する2つの抵抗器の接続点は、MCU1の端子P18と接続されている。スイッチS4と抵抗器Rsの接続点は、更に、オペアンプOP1の正電源端子と接続されている。
【0064】
昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTとスイッチS4のソース端子との接続ラインには、Pチャネル型MOSFETにより構成されたスイッチS3のソース端子が接続されている。スイッチS3のゲート端子は、MCU1の端子P16と接続されている。スイッチS3のドレイン端子は、抵抗器Rsと正極側のヒータコネクタCnとの接続ラインに接続されている。このように、昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTとヒータコネクタCnの正極側との間には、スイッチS3を含む回路と、スイッチS4及び抵抗器Rsを含む回路とが並列接続されている。スイッチS3を含む回路は、抵抗器を有さないため、スイッチS4及び抵抗器Rsを含む回路よりも低抵抗の回路である。
【0065】
昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENには、MCU1の端子P14が接続されている。
【0066】
オペアンプOP1の非反転入力端子は、抵抗器Rsと正極側のヒータコネクタCnとの接続ラインに接続されている。オペアンプOP1の反転入力端子は、ヒータHTRの他端と接続される負極側のヒータコネクタCnと、グランドラインと、に接続されている。オペアンプOP1の出力端子には抵抗器R4の一端が接続されている。抵抗器R4の他端は、MCU1の端子P9に接続されている。
【0067】
充電IC2の入力端子VBUSは、LED L1~L8の各々のアノードに接続されている。LED L1~L8の各々のカソードは、電流制限ための抵抗器を介して、MCU1の制御端子PD1~PD8に接続されている。すなわち、入力端子VBUSには、LED L1~L8が並列接続されている。LED L1~L8は、レセプタクルRCPに接続されたUSBケーブルから供給されるUSB電圧VUSBと、電源BATから充電IC2を経由して供給される電圧と、のそれぞれによって動作可能に構成されている。MCU1には、制御端子PD1~制御端子PD8の各々とグランド端子GNDとに接続されたトランジスタ(スイッチング素子)が内蔵されている。MCU1は、制御端子PD1と接続されたトランジスタをオンすることでLED L1に通電してこれを点灯させ、制御端子PD1と接続されたトランジスタをオフすることでLED L1を消灯させる。制御端子PD1と接続されたトランジスタのオンとオフを高速で切り替えることで、LED L1の輝度や発光パターンを動的に制御できる。LED L2~L8についても同様にMCU1によって点灯制御される。
【0068】
充電IC2は、入力端子VBUSに入力されるUSB電圧VUSBに基づいて電源BATを充電する充電機能を備える。充電IC2は、不図示の端子や配線から、電源BATの充電電流や充電電圧を取得し、これらに基づいて、電源BATの充電制御(充電端子batから電源BATへの電力供給制御)を行う。
【0069】
充電IC2は、更に、VBATパワーパス機能と、OTG機能とを備える。VBATパワーパス機能は、充電端子batに入力される電源電圧VBATと略一致するシステム電源電圧Vcc0を、出力端子SYSから出力する機能である。OTG機能は、充電端子batに入力される電源電圧VBATを昇圧して得られるシステム電源電圧Vcc4を、入力端子VBUSから出力する機能である。充電IC2のOTG機能のオンオフは、通信線LNを利用したシリアル通信によって、MCU1により制御される。なお、OTG機能においては、充電端子batに入力される電源電圧VBATを、入力端子VBUSからそのまま出力してもよい。この場合において、電源電圧VBATとシステム電源電圧Vcc4は略一致する。シリアル通信を行うためには、データ送信用のデータラインや同期用のクロックラインなどの複数の信号線が必要になるところ、簡略化のため1本の信号線のみ図10-16に記載されている点に留意されたい。
【0070】
充電IC2の出力端子SYSは、MCU1の電源端子VDDと、ホールIC13の電源端子VDDと、通信IC15の電源端子VCCと、ホールIC14の電源端子VDDと、操作スイッチOPSと接続された直列回路(抵抗器とコンデンサの直列回路)と、に接続されている。充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)は、抵抗器を介して、MCU1の端子P22に接続されている。なお、これら電源端子に供給される電圧を安定にするため、充電IC2の出力端子SYSに電圧レギュレータを接続してもよい。
【0071】
ホールIC13の出力端子OUTは、MCU1の端子P3に接続されている。アウターパネル115が外れると、ホールIC13の出力端子OUTからローレベルの信号が出力される。MCU1は、端子P3に入力される信号により、アウターパネル115の装着有無を判定する。
【0072】
LED搭載基板163には、操作スイッチOPSと接続された直列回路(抵抗器とコンデンサの直列回路)が設けられている。この直列回路は、充電IC2の出力端子SYSと、MCU1の電源端子VDD、ホールIC13の電源端子VDD、ホールIC14の電源端子VDD、及び通信IC15の電源端子VCCとを接続する電源ラインに接続されている。この直列回路の抵抗器とコンデンサの接続点は、MCU1の端子P4と、操作スイッチOPSと、に接続されている。操作スイッチOPSが押下されていない状態では、操作スイッチOPSは導通せず、MCU1の端子P4に入力される信号は、充電IC2の出力端子SYSから出力される電圧によりハイレベルとなる。操作スイッチOPSが押下されて操作スイッチOPSが導通状態になると、MCU1の端子P4に入力される信号は、グランドラインへ接続されるためローレベルとなる。MCU1は、端子P4に入力される信号により、操作スイッチOPSの操作を検出する。
【0073】
<吸引器の動作モード毎の動作>
以下、図11図16を参照して、図10に示す電気回路の動作を説明する。図11は、スリープモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。図12は、アクティブモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。図13は、加熱初期設定モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。図14は、加熱モードにおけるヒータHTRの加熱時の電気回路の動作を説明するための図である。図15は、加熱モードにおけるヒータHTRの温度検出時の電気回路の動作を説明するための図である。図16は、充電モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。図11図16の各々において、チップ化された電子部品の端子のうち、破線の楕円で囲まれた端子は、電源電圧VBAT、USB電圧VUSB、及びシステム電源電圧等の入力又は出力がなされている端子を示している。
【0074】
いずれの動作モードにおいても、電源電圧VBATは、保護IC10の電源端子VDDと、昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINと、充電IC2の充電端子batに入力されている。
【0075】
<スリープモード:図11
MCU1は、充電IC2のVBATパワーパス機能を有効とし、OTG機能と充電機能を無効とする。充電IC2の入力端子VBUSにUSB電圧VUSBが入力されないことで、充電IC2のVBATパワーパス機能は有効になる。通信線LNからOTG機能を有効にするための信号がMCU1から充電IC2へ出力されないため、OTG機能は無効になる。このため、充電IC2は、充電端子batに入力された電源電圧VBATからシステム電源電圧Vcc0を生成して、出力端子SYSから出力する。出力端子SYSから出力されたシステム電源電圧Vcc0は、MCU1の電源端子VDDと、ホールIC13の電源端子VDDと、通信IC15の電源端子VCCと、ホールIC14の電源端子VDDと、に入力される。システム電源電圧Vcc0は、充電時に電源入力端子VBUSに外部電源から入力されるUSB電圧VUSBよりも低くなるように設定される。
【0076】
このように、スリープモードにおいては、充電IC2のOTG機能は停止しているため、LED L1~L8への電力供給は停止される。
【0077】
<アクティブモード:図12
MCU1は、図11のスリープモードの状態から、端子P8に入力される信号がハイレベルとなり、スライダ119が開いたことを検出すると、通信線LNを介して、充電IC2のOTG機能を有効化する。これにより、充電IC2は、充電端子batから入力された電源電圧VBATを昇圧して得られるシステム電源電圧Vcc4を、入力端子VBUSから出力する。入力端子VBUSから出力されたシステム電源電圧Vcc4は、LED L1~L8に供給される。
【0078】
<加熱初期設定モード:図13
図12の状態から、端子P4に入力される信号がローレベルになる(操作スイッチOPSの押下がなされる)と、MCU1は、加熱に必要な各種の設定を行った後、端子P14から、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENにハイレベルのイネーブル信号を入力する。これにより、昇圧DC/DCコンバータ9は、電源電圧VBATを昇圧して得られる駆動電圧Vbstを出力端子VOUTから出力する。駆動電圧Vbstは、スイッチS3とスイッチS4に供給される。この状態では、スイッチS3とスイッチS4はオフとなっている。その後、加熱モードへ移行する。
【0079】
<加熱モード時のヒータ加熱:図14
図13の状態において、MCU1は、端子P16に接続されたスイッチS3のスイッチング制御と、端子P15に接続されたスイッチS4のスイッチング制御を開始する。これらスイッチング制御は、上述した加熱初期設定モードが完了すれば自動的に開始されてもよいし、さらなる操作スイッチOPSの押下によって開始されてもよい。具体的には、MCU1は、図14のように、スイッチS3をオンし、スイッチS4をオフして、駆動電圧VbstをヒータHTRに供給し、エアロゾル生成のためのヒータHTRの加熱を行う加熱制御と、図15のように、スイッチS3をオフし、スイッチS4をオンして、ヒータHTRの温度を検出する温度検出制御と、を行う。
【0080】
<加熱モード時のヒータ温度検出:図15
図15に示すように、温度検出制御時には、駆動電圧VbstがオペアンプOP1の正電源端子に入力されると共に、分圧回路Pbに入力される。分圧回路Pbによって分圧された電圧は、MCU1の端子P18に入力される。MCU1は、端子P18に入力される電圧に基づいて、温度検出制御時におけるオペアンプOP1の正電源端子の電圧を取得する。
【0081】
また、温度検出制御時には、駆動電圧Vbstが、抵抗器RsとヒータHTRの直列回路に供給される。そして、この駆動電圧Vbstを抵抗器RsとヒータHTRによって分圧した電圧Vheatが、オペアンプOP1の非反転入力端子に入力される。オペアンプOP1は、反転入力端子に入力される電圧と非反転入力端子に入力される電圧Vheatの差を増幅して出力する。
【0082】
オペアンプOP1の出力信号は、MCU1の端子P9に入力される。MCU1は、端子P9に入力された信号と、端子P18の入力電圧に基づいて取得したオペアンプOP1の正電源端子の電圧と、既知の抵抗器Rsの電気抵抗値と、に基づいて、ヒータHTRの温度を取得する。
【0083】
<充電モード:図16
図16は、スリープモードの状態でUSB接続がなされた場合を例示している。USB接続がなされると、USB電圧VUSBが過電圧保護IC11を介してLSW3の入力端子VINに入力される。USB電圧VUSBは、LSW3の入力端子VINに接続された分圧回路Pfにも供給される。USB接続がなされた直後の時点では、バイポーラトランジスタS2がオンとなっているため、LSW3の制御端子ONに入力される信号はローレベルのままとなる。USB電圧VUSBは、MCU1の端子P17に接続された分圧回路Pcにも供給され、この分圧回路Pcで分圧された電圧が端子P17に入力される。MCU1は、端子P17に入力された電圧に基づいて、USB接続がなされたことを検出する。分圧回路Pcは、端子P17に入力される電圧を、MCU1の電源端子VDDに入力されるシステム電源電圧Vcc0以下にするように構成される。
【0084】
MCU1は、USB接続がなされたことを検出すると、端子P19に接続されたバイポーラトランジスタS2をオフする。バイポーラトランジスタS2のゲート端子にローレベルの信号を入力すると、分圧回路Pfによって分圧されたUSB電圧VUSBがLSW3の制御端子ONに入力される。これにより、LSW3の制御端子ONにハイレベルの信号が入力されて、LSW3は、USB電圧VUSBを出力端子VOUTから出力する。LSW3から出力されたUSB電圧VUSBは、充電IC2の入力端子VBUSに入力される。また、LSW3から出力されたUSB電圧VUSBは、そのままシステム電源電圧Vcc4として、LED L1~L8に供給される。
【0085】
MCU1は、USB接続がなされたことを検出すると、更に、端子P22から、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)に対してローレベルのイネーブル信号を出力する。これにより、充電IC2は、電源BATの充電機能を有効化し、入力端子VBUSに入力されるUSB電圧VUSBによる電源BATの充電を開始する。このとき、MCU1は、スイッチS3とスイッチS4はオフとしたままエアロゾル生成のためのヒータHTRの加熱を行わない。言い換えると、MCU1は、端子P17に入力された電圧に基づいてUSB接続がなされたことを検出した場合、電源BATからヒータコネクタCnへの電力の供給を禁止する。これにより、充電時における電源BATからの電力消費を回避できる。
【0086】
<レセプタクル>
レセプタクルRCPは、図10図17に示すように、挿入されたプラグのピンと電気的に接続される複数のピン(端子)を備える。具体的に説明すると、レセプタクルRCPは、一対のGNDピン(図中の“GND”、以下GNDピン対とも称する)、一対のVBUSピン(図中の“VBUS”、以下VBUSピン対とも称する)、CC1ピン(図中の “CC1”)、CC2ピン(図中の “CC2”)、一対のD-ピン(図中の“D-”、以下D-ピン対とも称する)、一対のD+ピン(図中の“D+”、以下D+ピン対とも称する)、SBU1ピン(図中の“SBU1”)、及びSBU2ピン(図中の“SBU2”)を備える。なお、本実施形態においては、レセプタクルRCPが備えるピンのうち主要なピンのみを記載している点に留意されたい。これらのピンの役割については、後述する。
【0087】
<レセプタクルに対する保護部品>
図17は、レセプタクルRCPから延びる電源ラインPL及びデータラインDL1~DL4とレセプタクルRCPに対する保護部品を示す図である。なお、保護部品は、保護素子(素子部品)、及び保護IC(集積回路)を含む概念である。
【0088】
レセプタクルRCPのGNDピン対は、グランドラインによってグランドされる。レセプタクルRCPのVBUSピン対は、レセプタクルRCPに挿入された外部電源のプラグから、吸引器100への電力の入力を受け付ける。例えば、レセプタクルRCPにプラグが挿入されると、挿入されたプラグから、VBUSピン対を介して、所定のUSBバスパワーが吸引器100に供給されるようになっている。また、レセプタクルRCPに挿入された外部電源のプラグから吸引器100に対して、USB PD(USB Power Delivery)に応じた電力が供給されてもよい。レセプタクルRCPのVBUSピン対とレセプタクルRCPのGNDピン対の間に印加される電圧が、電源BATの充電や吸引器100の動作に用いられるため、レセプタクルRCPのVBUSピン対は、電源端子として機能する。従って、レセプタクルRCPのVBUSピン対に接続するラインを電源ラインPLと呼称している。
【0089】
BUSピン対は電源ラインPLを介して過電圧保護IC11のINピンに接続される。電源ラインPLは、さらに過電圧保護IC11のOUTピンからフレキシブル配線板165を介してLSW3のVINピンに接続される。VBUSピン対と過電圧保護IC11の間の電源ラインPLには、複数の保護部品が設けられる。具体的に説明すると、電源ラインPLには、ヒューズFs、及びフェライトビーズFbがVBUSピン対と過電圧保護IC11との間にVBUSピン対側からこの順に配置される。さらに、電源ラインPLは、フェライトビーズFbよりも過電圧保護IC11側で、EMI(Electro Magnetic Interference)除去フィルタ200、ESD(Electro Static Discharge)サプレッサ202、コンデンサ203、204を介してグランドラインと接続される。EMI除去フィルタ200は、電磁妨害を解消(除去)するために主に用いられる。ESDサプレッサ202は、静電気放電やサージを解消(除去)するために主に用いられる。以下、これら電源ラインPLに設けられる、過電圧保護IC11、ヒューズFs、フェライトビーズFb、EMI除去フィルタ200、ESDサプレッサ202、及びコンデンサ203、204を電源ライン保護部品205と称することがある。
【0090】
ヒューズFsは、電源ラインPLに定格以上の大電流が流れたとき、回路を遮断する非接地素子である。非接地素子は、素子の両端が直接グランドラインに接続されない素子である。ヒューズFsは、定格以上の大電流を電力から検出する電力ヒューズであってもよいし、定格以上の大電流を温度から検出する温度ヒューズであってもよい。フェライトビーズFbは、インダクタの一種であり所定の帯域でノイズを熱に変換する非接地素子である。フェライトビーズFbの代わりに巻線タイプのインダクタを使用してもよい。
【0091】
ESDサプレッサ202は、2つの端子(電極)を有し、これら端子間に高電圧が印加されると急激に抵抗値が低下する性質を持つ素子である。ESDサプレッサ202は、一端が電源ラインPLに接続され、他端がグランドラインに接続される接地素子である。接地素子は、素子のいずれか一端が直接グランドラインに接続される素子である。したがって、例えば、レセプタクルRCPにプラグを挿入する際にこれらが擦れることによってVBUSピン対に静電気が発生しても、この静電気を、ESDサプレッサ202を介してグランドラインに逃がして過電圧保護IC11を保護することができる。
【0092】
コンデンサCD1、CD2は、入力電圧に含まれるリップル成分(脈動成分)をコンデンサの充電作用及び放電作用を利用して平滑化し、出力電圧を安定化させる。コンデンサCD1、CD2は、それぞれ一端が電源ラインPLに接続され、他端がグランドラインに接続される接地素子である。したがって、VBUSピン対にノイズやサージが発生しても、コンデンサCD1、CD2により、このノイズやサージから過電圧保護IC11を保護することができる。
【0093】
EMI除去フィルタ200は、ESDサプレッサとコンデンサとが並列に接続された並列回路の一端が電源ラインPLに接続され、他端がグランドラインに接続される接地素子である。したがって、例えば、レセプタクルRCPにプラグを挿入する際にこれらが擦れることによってVBUSピン対に電磁障害を引き起こし得るノイズが発生しても、このノイズをEMI除去フィルタを介してグランドラインに逃がす又はコンデンサに留めて過電圧保護IC11を保護することができる。
【0094】
電源ライン保護部品205は、前述したMCU1及び充電IC2が配置されたMCU搭載基板161とレセプタクルRCPが配置されたレセプタクル搭載基板162とのうち、レセプタクル搭載基板162のみに配置される。これにより、MCU搭載基板161に至る前に、電源ライン保護部品205によって外部電源から供給される電力から十分にノイズやサージが除去されるので、MCU搭載基板161、及びMCU搭載基板161に配置されるMCU1及び充電IC2を保護することができる。電源ライン保護部品205の具体的な配置位置については後述する。
【0095】
本実施形態では、電源ライン保護部品205として、過電圧保護IC11、ヒューズFs、フェライトビーズFb、EMI除去フィルタ200、ESDサプレッサ202、コンデンサ203、204を例示したが、電源ライン保護部品の種類及び数は、任意に設定することができる。電源ライン保護部品205としては、グランドラインに接続される素子である接地素子と、グランドラインに接続されない非接地素子の両方を含むことが好ましい。大きな電流が流れる電源ラインPLに接地端子と非接地端子の両方を配置することで、手厚い保護を図ることができる。
【0096】
また、電源ライン保護部品の並び順も任意に設定することができる。本実施形態のように、電源ラインPLにおいて、VBUSピン対、非接地素子(ヒューズFs、フェライトビーズFb)、接地素子(EMI除去フィルタ200、ESDサプレッサ202、コンデンサ203、204)、充電IC2の入力端子VBUSの順に配置することで、他の電子部品が接続されるグランドに逃がすノイズなどを予め非接地素子で低減できるので、吸引器100が安定に動作する。
【0097】
また、電源ライン保護部品205のいくつかをMCU搭載基板161に配置してもよいが、レセプタクル搭載基板162に配置される電源ライン保護部品205の数は、MCU搭載基板161に配置される電源ライン保護部品205の数より多いことが好ましい。これによっても、MCU搭載基板161、及びMCU搭載基板161に配置される充電IC2を保護することができる。
【0098】
レセプタクルRCPのCC1ピン及びCC2ピンは、コンフィギュレーションチャンネルピンであり、レセプタクルRCPに挿入されたプラグの上下の向きを検出するために利用されるピンである。つまり、CC1ピン及びCC2ピンは、データ端子としての性質を持つ。
【0099】
レセプタクルRCPのD-ピン対及びD+ピン対は、レセプタクルRCPに挿入された外部電源のプラグを介して、外部電源とデータ転送をするためのピンである。つまり、D-ピン及びD+ピンは、データ端子としての性質を持つ。
【0100】
レセプタクルRCPのCC1ピン、CC2ピン、D-ピン対、及びD+ピン対は、それぞれデータラインDL1~DL4を介してMCU1に接続される。データラインDL1~DL4には、それぞれ保護部品が設けられる。これらの保護部品は非接地素子と接地素子のいずれか一方のみを含むことが好ましく、接地素子のみであることがさらに好ましい。小さな電流が流れるデータラインDL1~DL4では保護素子の数を絞ることで、吸引器100のコストとサイズの増加を抑制しつつ、その動作を安定させることができる。特に、データラインDL1~DL4には、ノイズなどをグランドに逃がせる接地素子を設けることで、少ない保護素子で効果的に保護を図ることができる。
【0101】
本実施形態について具体的に説明すると、CC1ピンのデータラインDL1には、EMI除去フィルタ206の一端が接続され、CC2ピンのデータラインDL2には、EMI除去フィルタ208の一端が接続され、D-ピン対のデータラインDL3には、ESDサプレッサ210の一端が接続され、D+ピン対のデータラインDL4には、ESDサプレッサ212の一端が接続され、EMI除去フィルタ206、208及びESDサプレッサ210、212の他端がグランドラインに接続される。したがって、例えば、レセプタクルRCPにプラグを挿入する際にこれらが擦れることによってこれらのピンに静電気やノイズが発生しても、この静電気やノイズを、EMI除去フィルタ206、208又はESDサプレッサ210、212を介してグランドラインに逃がすことができる。これにより、MCU1を保護したり、MCU1の誤動作を抑制したりすることができる。以下、これらデータラインDL1~L4に設けられる、EMI除去フィルタ206、208、及びESDサプレッサ210、212をデータライン保護部品215と称することがある。
【0102】
データライン保護部品215は、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162とのうち、レセプタクル搭載基板162のみに配置される。これにより、MCU搭載基板161に至る前に、データライン保護部品215によって外部電源から供給される電力から十分にノイズが除去されるので、MCU搭載基板161、及びMCU搭載基板161に配置されるMCU1を保護することができる。
【0103】
また、データライン保護部品215のいくつかをMCU搭載基板161に配置してもよいが、レセプタクル搭載基板162に配置されるデータライン保護部品215の数は、MCU搭載基板161に配置されるデータライン保護部品215の数より多いことが好ましい。これによっても、MCU搭載基板161、及びMCU搭載基板161に配置される充電IC2を保護することができる。
【0104】
本実施形態によれば、電源ライン保護部品205及びデータライン保護部品215が、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162とのうち、レセプタクル搭載基板162のみに配置される。したがって、MCU搭載基板161に至る前に、電源ライン保護部品205及びデータライン保護部品215によって外部電源から供給される電力から十分にノイズやサージが除去されるので、MCU搭載基板161、及びMCU搭載基板161に配置される充電IC2を保護することができる。
【0105】
本実施形態では、データライン保護部品215として、EMI除去フィルタ206、208、及びESDサプレッサ210、212を例示したが、データライン保護部品の種類及び数は、任意に設定することができる。データラインDL1~L4をより適切に保護するために、EMI除去フィルタ206、208、及びESDサプレッサ210、212以外の電子部品をデータライン保護部品215に用いてもよい。
【0106】
データライン保護部品215は、電源ライン保護部品205と同一の保護素子を含んでいてもよい。電源ラインPLとデータラインDL1~DL4で共通の保護素子を用いることで、この保護素子の調達コストを低減でき、吸引器100のコストを低減できる。一方、データライン保護部品215は、電源ライン保護部品205と同一の保護素子を含まなくてもよい。電源ラインPLとデータラインDL1~DL4に対し、それぞれに適した保護素子を接続できるので、吸引器100の動作をより安定にすることができる。
【0107】
本実施形態では、電源ライン保護部品205として、過電圧保護IC11、ヒューズFs、フェライトビーズFb、EMI除去フィルタ200、ESDサプレッサ202、及びコンデンサ203、204の7つが設けられ、データライン保護部品215として、EMI除去フィルタ206、208、及びESDサプレッサ210、212の4つが設けられている。前述したように、電源ライン保護部品205を構成する保護部品の数や種類、及びデータライン保護部品215を構成する保護部品の数や種類は、これに限定されるものではないが、電源ライン保護部品205は、データライン保護部品215の数より多いことが好ましい。より大きな電流が供給されるラインの方に多くの保護素子を配置することで、吸引器100のコストとサイズの増加を抑制しつつ、その動作を安定させることができる。
【0108】
<基板の詳細説明>
ここで、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162に配置されたIC及び素子の配置について説明する。
【0109】
図18は、レセプタクル搭載基板162の主面162aを示す図である。上下方向に延設されたレセプタクル搭載基板162の主面162aには、上側にヒータコネクタCnが配置され、下端部にレセプタクルRCPが配置され、ヒータコネクタCnとレセプタクルRCPとの間に昇圧DC/DCコンバータ9のリアクトルLcが配置されている。レセプタクルRCPとリアクトルLcの間であって、レセプタクルRCPの近傍には、データライン保護部品215のうちCC2ピンのデータラインDL2に配置されるEMI除去フィルタ208、D-ピン対のデータラインDL3に配置されるESDサプレッサ210、及びD+ピン対のデータラインDL4に配置されるESDサプレッサ212が配置されている。データライン保護部品215は、レセプタクル搭載基板162の主面162aに配置されるので、基板面積を有効活用でき、レセプタクル搭載基板162のサイズが大きくなることを抑制できる。これにより、吸引器100のコストとサイズを低減できる。
【0110】
また、レセプタクルRCPの近傍には、これらのデータライン保護部品215を左右方向に挟むように、右側に正極側のバッテリコネクタ222(以下、正極側バッテリコネクタ222)が配置され、左側にスペーサ173を固定する開口部176が配置されている。さらに昇圧DC/DCコンバータ9のリアクトルLcの左側には、負極側のバッテリコネクタ224(以下、負極側バッテリコネクタ224)及び電源温度センサを構成するサーミスタT1に接続される電源温度検出用コネクタ234が配置され、負極側バッテリコネクタ224に対し左右方向で反対側には、ヒータHTRの温度を検出するためのスイッチS4が配置されている。正極側バッテリコネクタ222には、電源BATの正極端子から延びる正極側電源バスバー236(図7、8参照)が接続され、負極側バッテリコネクタ224には、電源BATの負極端子から延びる負極側電源バスバー238(図7、8参照)が接続される。
【0111】
スペーサ173を固定するレセプタクル搭載基板162の開口部176は、下端部に配置されたレセプタクルRCPに近接する位置、言い換えると中央に対し上端部より下端部側に設けられている。外部電源から供給される電力が通る経路の近くでは、この電流を原因とするノイズが生じている虞があるが、ノイズの影響を受けないスペーサ173をこの経路の近くに設けることで、レセプタクル搭載基板162の基板面積を有効活用できる。
【0112】
さらに、電源BATとレセプタクル搭載基板162とを電気的に接続する正極側バッテリコネクタ222は、下端部に配置されたレセプタクルRCPに近接する位置、言い換えると中央に対し上端部より下端部側に設けられている。導体である正極側バッテリコネクタ222は、少なからずノイズの影響を受けるが、正極側バッテリコネクタ222を通る電流値が大きいことからノイズの影響は軽微であるため、この経路の近くに正極側バッテリコネクタ222を設けることで、レセプタクルRCPの基板面積を有効活用できる。これらの工夫により、レセプタクル搭載基板162のサイズが大きくなることを抑制できるので、吸引器100のコストとサイズを低減できる。
【0113】
図19は、レセプタクル搭載基板162の副面162bを示す図である。レセプタクル搭載基板162の副面162bには、開口部176の下方に電源ライン保護部品205が配置される。具体的に説明すると、電源ライン保護部品205を構成する、過電圧保護IC11、ヒューズFs、フェライトビーズFb、EMI除去フィルタ200、ESDサプレッサ202、及びコンデンサ203、204が、レセプタクル搭載基板162の副面162bの下端部に配置されている。このように、レセプタクルRCPが配置される主面162aと反対側の副面162bに電源ライン保護部品205を配置することで、レセプタクルRCPと電源ライン保護部品205を同一面に配置した場合と比べて基板面積を有効活用でき、レセプタクル搭載基板162のサイズが大きくなることを抑制できる。これにより、吸引器100のコストとサイズを低減できる。
【0114】
これら過電圧保護IC11、ヒューズFs、フェライトビーズFb、EMI除去フィルタ200、ESDサプレッサ202、及びコンデンサ203、204は、レセプタクル搭載基板162の素子配置面に直交する方向(前後方向)から見てレセプタクルRCPと重なる位置、即ち、前後方向においてレセプタクルRCPを投影した部分であるレセプタクル投影領域220に配置されている。したがって、レセプタクルRCPのVBUSピン対と電源ライン保護部品205の間の距離を極限まで短くすることができ、電源ライン保護部品205で保護される前の電力がレセプタクル搭載基板162に配置される他の電子部品へ与える影響を低減できる。これにより、吸引器100の耐久性を向上させ、その動作を安定にすることができる。なお、電源ライン保護部品205の全てをレセプタクル投影領域220に配置する必要はなく、少なくとも一部がレセプタクル投影領域220に配置されていればよい。
【0115】
また、開口部176の右側には、データライン保護部品215を構成するEMI除去フィルタ206が配置され、さらにその上側には、保護IC10、オペアンプOP1、昇圧DC/DCコンバータ9、及び、エアロゾル生成用のスイッチS3が配置されている。
【0116】
前述したように、EMI除去フィルタ206を除くデータライン保護部品215(EMI除去フィルタ208、ESDサプレッサ210、及びESDサプレッサ212)は、レセプタクル搭載基板162の主面162aに配置される。電源ライン保護部品205がレセプタクル搭載基板162の副面162bに配置されるのに対し、多くのデータライン保護部品215を主面162aに配置し搭載面を変えることで、基板面積を有効活用できることができる。これにより、レセプタクル搭載基板162のサイズが大きくなることを抑制でき、吸引器100のコストとサイズを低減できる。なお、EMI除去フィルタ206も含めて全てのデータライン保護部品215をレセプタクル搭載基板162の主面162aに集約して配置してもよい。
【0117】
図20は、MCU搭載基板161の主面161aを示す図である。上下方向に延設されたMCU搭載基板161の主面161aには、上側に充電IC2が配置され、下側にMCU1が配置され、充電IC2とMCU1との間にLSW3が配置されている。充電IC2のさらに上側には、ヒータ温度センサを構成するサーミスタT3が導線を介して接続されるヒータ温度検出用コネクタ240が配置されている。MCU1の斜め左下には、スペーサ173を固定する開口部175が配置されている。また、MCU搭載基板161の主面161aには、MCU1とMCU搭載基板161の右縁部との間に、2つの抵抗器の直列回路である分圧回路Pcが配置されている。
【0118】
レセプタクルRCPが配置されたレセプタクル搭載基板162に対し、MCU1及び充電IC2をMCU搭載基板161に配置することで、MCU1及び充電IC2がレセプタクルRCPから離されるため、レセプタクルRCPから侵入する虞がある静電気などの影響を受けにくくなる。これにより、吸引器100の動作をより安定にすることができる。
【0119】
また、電源ラインPLを開閉可能、且つ、電源ライン保護部品205と充電IC2の入力端子VBUSの間に設けられるLSW3がMCU搭載基板161に配置される。したがって、電源ライン保護部品205によりノイズなどが除去された外部電源から供給される電力が、LSW3によりさらに充電IC2に対していきなり供給されることが防がれる。これにより、充電IC2に対して突入電流や短絡電流が入力されることが防がれるので充電IC2をより一層保護することができる。
【0120】
LSW3は、前述したようにMCU1の端子P19に接続されるバイポーラトランジスタS2を介して制御端子ONに入力される信号がハイレベルになると充電IC2に対し電力を供給する。言い換えるとLSW3は自動的にONにならず、MCU1の指令を受けて初めてONになる。LSW3にMCU1の制御を介在させることで、LSW3の誤動作を抑制できるので、充電IC2をより一層保護することができる。
【0121】
一方、MCU1は、レセプタクルRCPの電源入力端子VBUSから供給される電圧の端子P17への入力に基づき、電源BATからヒータコネクタCnへの電力の供給を制御する。具体的には、MCU1は、電源入力端子VBUSから供給される電圧が端子P17へ入力されると、電源BATからヒータコネクタCnへの電力の供給を禁止する。したがって、外部電源から供給される電力から保護されたMCU1によって、外部電源の検知に基づく制御を実行できる。これにより充電制御をより確実に実行できるので、吸引器100の性能が向上する。また、充電時における電源BATからの電力消費を回避できる。
【0122】
また、分圧回路Pcには、電源ライン保護部品205によりノイズなどが除去された外部電源から供給される電力が入力される。これにより、分圧回路Pcが破損しにくくなり、MCU1による制御をより確実に実行できるので、吸引器100の性能が向上する。分圧回路Pcは、システム電源電圧Vcc0より高い電圧がMCU1に入力されることを防ぎ、吸引器100を安定的に動作させる。
【0123】
分圧回路Pcの2つの抵抗器は、MCU1が最も近接するMCU搭載基板161の縁である右縁部とMCU1の間に配置される。具体的には、分圧回路Pcの2つの抵抗器は、MCU搭載基板161の右縁部とMCU1の端子P17の間に配置される。なお、必ずしも分圧回路Pcの2つの抵抗器の両方がMCU搭載基板161の縁である右縁部とMCU1の間に配置される必要はなく、少なくとも一方が配置されていればよい。これにより、分圧回路Pcの少なくとも一部が、MCU搭載基板161の右縁部から侵入するノイズに対する障壁となることで、MCU1が破損したり誤作動しにくくなるので、吸引器100が安定的に動作するようになる。
【0124】
図21は、MCU搭載基板161の副面161bを示す図である。MCU搭載基板161の副面161bには、開口部175の上側に振動モータMが導線を介して接続されるモータコネクタ226が配置され、さらに上側に、ケース温度センサを構成するサーミスタT4が導線を介して接続されるケース温度検出用コネクタ228、及び吸気センサを構成するサーミスタT2が導線を介して接続される吸気検出用コネクタ230が配置されている。
【0125】
MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162を電気的に接続するフレキシブル配線板165は、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162のFPC接続部231、232同士を接続する。FPC接続部231、232は、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162それぞれの右端部、且つ、上下方向において略中央部から下方に向かって開口部175、176近傍に至る箇所に位置する。
【0126】
図20に示すように、MCU搭載基板161において、LSW3は、充電IC2よりFPC接続部231に近接して配置される。即ち、外部電源から供給される電力がMCU搭載基板161へ入力される箇所の至近にLSW3が設けられる。これにより、突入電流や短絡電流などがLSW3で低減される時に生じるノイズが、MCU搭載基板161に配置された他の素子やICへ与える影響を低減できるのでMCU搭載基板161の保護をより一層図ることができる。なお、LSW3は、MCU搭載基板161に配置されるいずれのICよりFPC接続部231に近接して配置されることが好ましい。
【0127】
図18に示すように、レセプタクル搭載基板162のFPC接続部232は、下端部に配置されたレセプタクルRCPに近接する位置、言い換えると中央に対し上端部より下端部側に設けられている。これにより、レセプタクル搭載基板162全体を外部電源から供給される電力が通ることがなくなり、この電流によって生じるノイズが、レセプタクル搭載基板162に配置される他の素子やICに与える影響を低減できる。
【0128】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0129】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0130】
(1) 電源(電源BAT)と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱するヒータ(ヒータHTR)が接続されるヒータコネクタ(ヒータコネクタCn)と、
前記電源から前記ヒータコネクタへの電力の供給を制御可能に構成されるコントローラ(MCU1)と、
入力端子(入力端子VBUS)と、前記電源へ接続される充電端子(充電端子bat)と、を含み、前記入力端子へ入力される電力を変換して前記充電端子から出力するように構成される充電IC(充電IC2)と、
電源端子(電源入力端子VBUS)と、データ端子(CC1ピン、CC2ピン、D-ピン、D+ピン)と、を含み、外部電源へ電気的に接続可能に構成されるレセプタクル(レセプタクルRCP)と、
前記電源端子と前記入力端子を接続する電源ライン(電源ラインPL)と、
前記データ端子と前記コントローラを接続するデータライン(データラインDL1~DL4)と、
前記電源ラインに設けられる第1保護部品(電源ライン保護部品205)と、
前記データラインに設けられる第2保護部品(データライン保護部品215)と、を備え、
前記第1保護部品の数は、前記第2保護部品の数より多い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット(非燃焼式吸引器100)。
【0131】
(1)によれば、より大きな電流が供給されるラインの方に多くの保護素子を配置するので、エアロゾル生成装置の電源ユニットのコストとサイズの増加を抑制しつつ、その動作を安定させることができる。
【0132】
(2) (1)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
グランドを備え、
前記第1保護部品は、前記グランドに接続される素子である接地素子(EMI除去フィルタ200、ESDサプレッサ202、コンデンサ203、204)と、前記グランドに接続されない非接地素子(ヒューズFs、フェライトビーズFb)と、を含み、
前記第2保護部品は、前記接地素子と前記非接地素子のうちいずれか一方のみを含む、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0133】
(2)によれば、大きな電流が流れる電源ラインは接地端子と非接地端子で手厚い保護を図りつつ、小さな電流が流れるデータラインには保護素子の数を絞ることで、エアロゾル生成装置の電源ユニットのコストとサイズの増加を抑制しつつ、その動作を安定させることができる。
【0134】
(3) (2)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2保護部品は、前記接地素子と前記非接地素子のうち前記接地素子のみを含む、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0135】
(3)によれば、データラインには、ノイズなどをグランドに逃がせる接地素子を設けることで、少ない保護素子で効果的に保護を図ることができる。これにより、エアロゾル生成装置の電源ユニットのコストとサイズの増加を抑制しつつ、その動作を安定させることができる。
【0136】
(4) (2)又は(3)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源ラインにおいて、前記電源端子、前記非接地素子、前記接地素子、前記入力端子の順に接続される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0137】
(4)によれば、他の電子部品が接続されるグランドに逃がすノイズなどを予め非接地素子で低減できるので、エアロゾル生成装置の電源ユニットが安定に動作する。
【0138】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1保護部品と前記第2保護部品とは、同一の素子を含む、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0139】
(5)によれば、電源ラインとデータラインで共通の保護素子を用いることで、この保護素子の調達コストを低減できる。これにより、エアロゾル生成装置の電源ユニットのコストを低減できる。
【0140】
(6) (1)から(4)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1保護部品と前記第2保護部品とは、同一の素子を含まない、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0141】
(6)によれば、電源ラインとデータラインに対し、それぞれに適した保護素子を接続できるので、エアロゾル生成装置の動作をより安定にすることができる。
【0142】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
第1基板(MCU搭載基板161)と、
前記第1基板とは別体の第2基板(レセプタクル搭載基板162)と、を備え、
前記コントローラ及び前記充電ICは、前記第1基板に配置され、
前記レセプタクルは、前記第2基板に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0143】
(7)によれば、コントローラ及び充電ICは、レセプタクルから離されることで、レセプタクルから侵入する虞がある静電気などの影響を受けにくくなる。これにより、エアロゾル生成装置の電源ユニットの動作をより安定にすることができる。
【0144】
(8) (7)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1保護部品及び前記第2保護部品は、前記第1基板と前記第2基板のうち前記第2基板のみに配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット
【0145】
(8)によれば、コントローラ及び充電ICが配置される第1基板に至る前に、第1保護部品及び第2保護部品によって外部電源から供給される電力から十分にノイズが除去されるので、エアロゾル生成装置の電源ユニットの動作をより安定にすることができる。
【0146】
(9) (7)又は(8)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2基板は、主面(主面162a)と前記主面の裏面である副面(副面162b)を有し、
前記レセプタクルは、前記主面に配置され、
前記第1保護部品は、前記副面に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0147】
(9)によれば、レセプタクルと第1保護部品を同一面に配置した場合と比べて基板面積を有効活用できることで、第2基板のサイズが大きくなることを抑制できる。これにより、エアロゾル生成装置の電源ユニットのコストとサイズを低減できる。
【0148】
(10) (9)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1保護部品の少なくても一部は、前記第2基板に直交する方向から前記レセプタクルを投影した領域(レセプタクル投影領域220)に配置されている、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0149】
(10)によれば、レセプタクルの電源端子と第1保護部品の間の距離を極限まで短くすることができ、第1保護部品で保護される前の電力が第2基板に配置される他の電子部品へ与える影響を低減できる。これにより、エアロゾル生成装置の電源ユニットの耐久性を向上させ、その動作を安定にすることができる。
【0150】
(11) (9)又は(10)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2保護部品は、前記主面に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0151】
(11)によれば、レセプタクルを配置した主面の空きスペースに第2保護部品を配置することで、第2基板のサイズが大きくなることを抑制できる。これにより、エアロゾル生成装置の電源ユニットのコストとサイズを低減できる。
【0152】
なお、本出願は、2021年5月10日出願の日本特許出願(特願2021-079876)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【符号の説明】
【0153】
1 MCU(コントローラ)
2 充電IC
100 非燃焼式吸引器(エアロゾル生成装置の電源ユニット)
161 MCU搭載基板(第1基板)
162 レセプタクル搭載基板(第2基板)
162a 主面
162b 副面
205 電源ライン保護部品(第1保護部品)
215 データライン保護部品(第2保護部品)
220 レセプタクル投影領域CC1ピン(データ端子)CC2ピン(データ端子)D-ピン(データ端子)D+ピン(データ端子)
DL1 データライン
DL2 データライン
DL3 データライン
DL4 データライン
BAT 電源
HTR ヒータ
Cn ヒータコネクタ
RCP レセプタクル
PL 電源ライン
BUS 電源入力端子(電源端子)
VBUS 入力端子(入力端子)
bat 充電端子
Fs ヒューズ(非接地素子)
Fb フェライトビーズ(非接地素子)
200 EMI除去フィルタ(接地素子)
202 ESDサプレッサ(接地素子)
203 コンデンサ(接地素子)
204 コンデンサ(接地素子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2024-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱する誘導加熱式のヒータが接続されるヒータコネクタと、
電源端子を含み、且つ、前記電源から前記ヒータコネクタへの電力の供給を制御可能に構成されるMCUと、
部電源へ電気的に接続可能であり、且つ、電源入力端子を含む充電端子と、
前記電源入力端子と前記電源端子を接続する電源ラインと
記電源ラインに設けられ、且つ、ヒューズ,フェライトビーズ,ESDサプレッサのうちいずかである第1保護部品と、
第1基板と、
前記第1基板とは別体の第2基板と、を備え、
前記MCUは、前記第1基板に配置され、
前記充電端子は、前記第2基板に配置され、
前記第1保護部品は、前記第1基板と前記第2基板のうち前記第2基板のみに配置される
非燃焼式吸引器
【請求項2】
請求項1に記載の非燃焼式吸引器であって、
前記MCUは、入力端子を含み、
前記MCUは、前記電源入力端子から供給される電力の前記入力端子への入力に基づき、前記電源から前記ヒータコネクタへの電力の供給を制御するように構成される、
非燃焼式吸引器。
【請求項3】
請求項2に記載の非燃焼式吸引器であって、
前記MCUは、前記電源入力端子から供給される電力が前記入力端子へ入力されると、前記電源から前記ヒータコネクタへの電力の供給を禁止するように構成される、
非燃焼式吸引器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の非燃焼式吸引器であって、
前記第2基板は、主面と前記主面の裏面である副面を有し、
前記充電端子は、前記主面に配置され、
前記第1保護部品は、前記副面に配置される、
非燃焼式吸引器。
【請求項5】
請求項4に記載の非燃焼式吸引器であって、
前記第1保護部品の少なくとも一部は、前記第2基板に直交する方向から前記充電端子を投影した領域に配置されている、
非燃焼式吸引器。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の非燃焼式吸引器であって、
前記充電端子は、データ端子をさらに含み、
前記非燃焼式吸引器は、
前記データ端子と前記MCUを接続するデータラインと、
前記データラインに設けられる第2保護部品と、をさらに備え、
前記第2保護部品は、前記主面に配置される、
非燃焼式吸引器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の非燃焼式吸引器であって、
前記MCUは、入力端子を含み、
前記電源ラインに設けられ、且つ、第1抵抗器と前記第1抵抗器へ直列接続される第2抵抗器とを含む分圧回路を備え、
前記入力端子は、前記第1抵抗器と前記第2抵抗器の間に接続され、
前記分圧回路は、前記第1基板と前記第2基板のうち前記第1基板のみに配置される、
非燃焼式吸引器。
【請求項8】
請求項7に記載の非燃焼式吸引器であって、
前記MCUの前記電源端子に入力される電圧は、前記充電端子の前記電源入力端子から供給される電圧より低く、
前記分圧回路は、前記充電端子の前記電源入力端子から供給され且つ前記MCUの前記入力端子に入力される電圧を、前記MCUの前記電源端子に入力される電圧以下にするように構成される、
非燃焼式吸引器。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の非燃焼式吸引器であって、
前記第1抵抗器と前記第2抵抗器の少なくとも一方は、前記MCUが最も近接する前記第1基板の縁と前記MCUの間に配置される、
非燃焼式吸引器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の非燃焼式吸引器であって、
前記電源ラインは、前記第1基板と前記第2基板を接続する接続ラインを含み、
前記第2基板は、所定方向に延設され、
前記充電端子は、前記所定方向における一端に設けられ、
前記接続ラインと前記第2基板が接続される箇所である接続箇所は、前記所定方向における他端より、前記充電端子に近接する位置に設けられている、
非燃焼式吸引器。
【請求項11】
請求項10に記載の非燃焼式吸引器であって、
前記電源と、前記MCUと、前記電源ラインと、前記第1保護部品と、前記第1基板と、前記第2基板と、を収容するケースと、
前記ケースの内部における前記第1基板と前記第2基板の位置を固定し、且つ、前記第1基板と前記第2基板とを機械的に接続する第1コネクタと、をさらに備え、
前記第1コネクタと前記第2基板とが接続する箇所は、前記所定方向における前記他端より、前記所定方向における前記一端に近接する、
非燃焼式吸引器。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の非燃焼式吸引器であって、
前記電源と前記第2基板とを電気的に接続する第2コネクタをさらに備え、
前記第2コネクタと前記第2基板とが接続する箇所は、前記所定方向における前記他端より、前記所定方向における前記一端に近接する、
非燃焼式吸引器。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の非燃焼式吸引器は、
電源と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱する誘導加熱式のヒータが接続されるヒータコネクタと、
電源端子を含み、且つ、前記電源から前記ヒータコネクタへの電力の供給を制御可能に構成されるMCUと、
部電源へ電気的に接続可能であり、且つ、電源入力端子を含む充電端子と、
前記電源入力端子と前記電源端子を接続する電源ラインと
記電源ラインに設けられ、且つ、ヒューズ,フェライトビーズ,ESDサプレッサのうちいずかである第1保護部品と、
第1基板と、
前記第1基板とは別体の第2基板と、を備え、
前記MCUは、前記第1基板に配置され、
前記充電端子は、前記第2基板に配置され、
前記第1保護部品は、前記第1基板と前記第2基板のうち前記第2基板のみに配置される。