(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161596
(43)【公開日】2024-11-19
(54)【発明の名称】タッチ及び指紋センサ付き表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20241112BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241112BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20241112BHJP
G06F 3/0354 20130101ALI20241112BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20241112BHJP
H10K 59/126 20230101ALI20241112BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G09F9/00 309A
G09F9/00 366A
G09F9/30 349C
G09F9/30 338
G06F3/041 412
G06F3/041 430
G06F3/0354 452
H10K59/40
H10K59/126
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024145479
(22)【出願日】2024-08-27
(62)【分割の表示】P 2022559279の分割
【原出願日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】P 2020182821
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501232056
【氏名又は名称】三国電子有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】田中 栄
(57)【要約】 (修正有)
【課題】応答速度に優れたタッチ及び指紋センサ付き表示装置を提供する。
【解決手段】タッチ及び指紋センサ付き表示装置は、第1方向に延びる第1センサ電極と第1方向と交差する第2方向に延びる第2センサ電極とを含むセンサ部と、センサ部と重なる領域を含む表示部と、センサ部と表示部とに挟まれたシールド電極と、第1センサ電極及び第2センサ電極とシールド電極との間の第1絶縁層と、シールド電極と表示部との間の第2絶縁層とを有する。表示部は第2センサ電極と重なるトランジスタを含み、シー
ルド電極は、第2センサ電極と重なる領域に開口部を有し、トランジスタはゲート電極を有し、ゲート電極が、第1絶縁層及び第2絶縁層を貫通するコンタクトホールにより第2センサ電極と電気的に接続され、コンタクトホールは、開口部と重なり、開口部より孔径が小さい。
【選択図】
図13A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる第1センサ電極と、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2セ
ンサ電極と、を含むセンサ部と、
前記センサ部と重なる領域を含む表示部と、
前記センサ部と前記表示部とに挟まれたシールド電極と、
前記第1センサ電極及び前記第2センサ電極と、前記シールド電極との間の第1絶縁層
と、
前記シールド電極と前記表示部との間の第2絶縁層と、
を有し、
前記表示部は、前記第2センサ電極と重なるトランジスタを含み、
前記シールド電極は、前記第2センサ電極と重なる領域に開口部を有し、
前記トランジスタはゲート電極を有し、前記ゲート電極が、前記第1絶縁層及び前記第
2絶縁層を貫通するコンタクトホールにより前記第2センサ電極と電気的に接続され、
前記コンタクトホールは、前記開口部と重なり、前記開口部より孔径が小さい、
ことを特徴とするタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項2】
前記第2方向に延びる補助電極を有し、
前記補助電極が、前記第2センサ電極の上面に接して設けられている、
請求項1に記載のタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項3】
前記コンタクトホールが前記補助電極と重なり、前記ゲート電極が前記補助電極と電気
的に接続されており、前記補助電極が走査信号線を兼ねている、
請求項2に記載のタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項4】
前記トランジスタが、前記第2絶縁層の上に設けられ、前記ゲート電極と重なる領域を
有する半導体層を含み、
前記半導体層が、前記第2センサ電極と重なるように配置されている、
請求項3に記載のタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項5】
前記半導体層と重なる遮光層を有し、
前記遮光層が、前記補助電極から延在する導電層で形成されている、
請求項4に記載のタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項6】
前記半導体層と重なる第2のゲート電極を有し、
前記第2のゲート電極が、前記シールド電極に接している、
請求項4に記載のタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項7】
前記コンタクトホールが、前記半導体層の外側の領域に設けられている、
請求項4に記載のタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項8】
前記第1センサ電極、前記第2センサ電極、及び前記シールド電極が透光性を有し、
前記第2センサ電極の幅が前記補助電極の幅より広い、
請求項2に記載のタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項9】
第1方向に延びる第1センサ電極と、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2セ
ンサ電極と、を含むセンサ部と、
前記センサ部と重なる領域を含む表示部と、
前記表示部の外側の周辺領域と、
前記センサ部と前記表示部とに挟まれたシールド電極と、
前記第1センサ電極及び前記第2センサ電極と、前記シールド電極との間の第1絶縁層
と、
前記シールド電極と前記表示部との間の第2絶縁層と、
を有し、
前記表示部は、前記第2センサ電極と重なるトランジスタと、走査信号線と、を含み、
前記第2センサ電極は、前記表示部から前記周辺領域にかけて設けられ、
前記シールド電極は、前記周辺領域において、前記第2センサ電極と重なる領域に開口
部を有し、
前記トランジスタは、前記走査信号線から延びるゲート電極を有し、
前記走査信号線が前記第2絶縁層の上に設けられ、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層
を貫通するコンタクトホールにより前記第2センサ電極と電気的に接続され、
前記コンタクトホールは、前記開口部と重なり、前記開口部より孔径が小さい、
ことを特徴とするタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項10】
前記第2方向に延びる補助電極を有し、
前記補助電極が、前記走査信号線と重ねて配置され、前記第2センサ電極の上面に接し
て設けられている、
請求項9に記載のタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項11】
前記コンタクトホールが前記補助電極と重なり、前記走査信号線が前記補助電極と電気
的に接続されている、
請求項10に記載のタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項12】
前記トランジスタが、前記第2絶縁層の上に設けられ、前記ゲート電極と重なる領域を
有する半導体層を含み、
前記半導体層が、前記第2センサ電極と重なるように配置されている、
請求項11に記載のタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項13】
前記半導体層と重なる遮光層を有し、
前記遮光層が、前記補助電極と同じ層に形成された導電層で形成されている、
請求項12に記載のタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項14】
前記半導体層と重なる第2のゲート電極を有し、
前記第2のゲート電極が、前記シールド電極に接している、
請求項12に記載のタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項15】
前記走査信号線の一端の側において、前記コンタクトホールが複数個設けられている、
請求項12に記載のタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【請求項16】
前記第1センサ電極、前記第2センサ電極、及び前記シールド電極が透光性を有し、
前記第2センサ電極の幅が、前記走査信号線及び前記補助電極の幅より広い、
請求項10に記載のタッチ及び指紋センサ付き表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、タッチセンサとしての機能に加え指紋、掌紋等の生体情報を検
出することのできるセンサが付加された表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不正利用を防ぎ、個人情報を保護するために、生体認証によって利用者の識別を行う電
子機器の開発が進められている。例えば、有機発光ダイオードで画素が形成された表示パ
ネルの背面に、指紋認証用のセンサが装着された表示装置が開示されている(特許文献1
参照)。また、表示パネルの上にタッチセンサが設けられ、指紋及びタッチ圧力の認識が
可能な表示装置が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-085114号公報
【特許文献2】特開2018-005910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示画面が機器の前面全体を占める携帯型電子機器は、機能性を高めるために、表示画
面のあらゆるところで指紋認証を可能にしたいという市場のニーズがある。このようなニ
ーズに対して、特許文献1で開示されるような表示装置は、指紋認証用のセンサが小さな
個別の部品として搭載されるために、画面の全体で指紋を検出することができないという
問題がある。仮に、全画面で指紋認証を可能にしようとすると、筐体が大型化してしまう
という問題がある。
【0005】
一方、特許文献2で開示される表示装置は、画像表示を行う回路と指紋センサを駆動す
る回路が完全に分離されているため、信号の入出力を行う接続端子の数が大幅に増加する
という問題がある。表示パネルの寸法は搭載する電子機器により決まっており、接続端子
を配置できる位置も限定される。従って、映像信号を入力するための接続端子に加え、指
紋センサの信号を出力する端子を加えると、接続端子を狭ピッチ化する必要がある。しか
し、端子電極のピッチが狭くなると、従来の異方性導電フィルム(ACF)を用いた接続
方法でフレキシブル配線基板との接続が難しくなり、歩留まりが低下することが問題とな
る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋検出機能付き表示装置は、複数のデータ信号
線、少なくとも1つの第1センサ電極、を含む表示部と、第1端子、第2端子を含む端子
部と、表示部と端子部との間に配置され、一つの入力端と複数の出力端を有し、一つの入
力端に入力される入力信号を複数の出力端に分配する切替回路とを含み、切替回路は、入
力側が第1端子と接続され、複数のデータ信号線が複数の出力端に接続され、少なくとも
1つの第1センサ電極が第2端子と接続された構造を有する。
【0007】
本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置は、第1方向の延伸する
第1センサ電極と、第1方向と交差する第2方向に延伸する第2センサ電極と、第2方向
に延伸する走査信号線と、第2センサ電極と重なる画素と、画素に設けられたトランジス
タとを有する。トランジスタのゲート電極は走査信号線と接続され、走査信号線は第2セ
ンサ電極に接続されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、複数のデータ信号線と接続する切替回路を有することで
、第1センサ電極を高密度で配置することができ、その場合であっても接続端子数の増加
を抑制することができる。その結果、端子部においてフレキシブル回路基板との接続不良
を低減することができる。本発明の一実施形態によれば、走査信号線が第2センサ電極と
接続されることで、走査信号線を第2センサ電極の補助電極として併用することができる
。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の展開図を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部、タッチ及び指紋センサ部、切替回路、駆動回路の構成を示す。
【
図3A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の動作を説明するタイミングチャートを示す。
【
図3B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の動作を説明するタイミングチャートを示す。
【
図4】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の画素の等価回路の一例を示す。
【
図5】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の切替回路、端子部、第2駆動回路の構成を示す。
【
図6】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の切替回路、端子部、第2駆動回路の構成を示す。
【
図7】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の切替回路、端子部、第2駆動回路の構成を示す。
【
図8】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の切替回路、端子部、第2駆動回路の構成を示す。
【
図9】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の画素の配列と第1及び第2センサ電極の配置を示す。
【
図10】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の画素の配列と第1及び第2センサ電極の配置を示し、第1センサ電極が2つの画素列に対して1本の割合で設けられ、第2センサ電極が2つの画素行に対して1本の割合で設けられる例を示す。
【
図11A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極の平面図を示す。
【
図11B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極の平面図に示すA1-A2線に対応する断面図を示す。
【
図12A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極の平面図を示す。
【
図12B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極の平面図に示すB1-B2線に対応する断面図を示す。
【
図13A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第2センサ電極の平面図を示す。
【
図13B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第2センサ電極の平面図に示すC1-C2線に対応する断面図を示す。
【
図14A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第2センサ電極の平面図を示す。
【
図14B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第2センサ電極の平面図に示すC3-C4線に対応する断面図を示す。
【
図14C】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第2センサ電極の平面図に示すC5-C6線に対応する断面図を示す。
【
図15】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素を構成する駆動トランジスタ、選択トランジスタ、容量素子、及びEL素子の平面レイアウトの一例を示す。
【
図16A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素の構成を示し、
図15に示すD1-D2線に対応する断面図を示す。
【
図16B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素の構成を示し、
図15に示すD3-D4線に対応する断面図を示す。
【
図17】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素を構成する駆動トランジスタ、選択トランジスタ、容量素子、及びEL素子の平面レイアウトの一例を示す。
【
図18】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素を構成する駆動トランジスタ、選択トランジスタ、容量素子、及びEL素子の平面レイアウトの一例を示す。
【
図19A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素の構成を示し、
図18に示すD5-D6線に対応する断面図を示す。
【
図19B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素の構成を示し、
図18に示すD7-D8線に対応する断面図を示す。
【
図20】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素を構成する駆動トランジスタ、選択トランジスタ、容量素子、及びEL素子の平面レイアウトの一例を示す。
【
図21A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素の構成を示し、
図20に示すD9-D10線に対応する断面図を示す。
【
図21B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素の構成を示し、
図20に示すD11-D12線に対応する断面図を示す。
【
図22A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極と引き出し配線との接続構造の一例として、遮光層が端子部の下に延びる構成を示す。
【
図22B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極と引き出し配線との接続構造の一例として、第1絶縁層が端子部の下に延びる構成を示す。
【
図23A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極と引き出し配線との接続構造の一例として、遮光層が端子部の下に延び第2絶縁層が引き出し配線の上に延びる構成を示す。
【
図23B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極と引き出し配線との接続構造の一例として、第1絶縁層が引き出し配線の下側に延び第2絶縁層が引き出し配線の上側に延びる構成を示す。
【
図24A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極と引き出し配線との接続構造の一例として、遮光層、第1絶縁層及び第2絶縁層が引き出し配線及び端子部の下に延びる構成を示す。
【
図24B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極と引き出し配線との接続構造の一例として、第1絶縁層及び第2絶縁層が端子部の下に延びる構成を示す。
【
図25A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極と引き出し配線との接続構造の一例として、端子部の下側に遮光層が設けられ、引き出し配線が複数のコンタクトホールにより第1センサ電極と接続される構成を示す。
【
図25B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極と引き出し配線との接続構造の一例として、引き出し配線が複数のコンタクトホールにより第1センサ電極と接続される構成を示す。
【
図26】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部、タッチ及び指紋センサ部、切替回路、及びフレキシブル回路基板の構成を示す。
【
図27】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置のフレキシブル回路基板の配線構造を示す。
【
図28】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の端子部とフレキシブル回路基板との接続構造を示す。
【
図29】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の端子部とフレキシブル回路基板との接続構造を示す。
【
図30】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部、タッチ及び指紋センサ部、切替回路、及びフレキシブル回路基板の構成を示す。
【
図31】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置のフレキシブル回路基板の配線構造を示す。
【
図32】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部、タッチ及び指紋センサ部、切替回路、駆動回路の構成を示す。
【
図33】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の出力切替回路の一例を示す。
【
図34】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の出力切替回路の一例を示す。
【
図35】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部、タッチ及び指紋センサ部、切替回路、駆動回路の構成を示す。
【
図36A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第2センサ電極の平面図を示す。
【
図36B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第2センサ電極の構造を示し、平面図に示すC7-C8線に対応する断面図を示す。
【
図36C】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第2センサ電極の構造を示し、平面図に示すC9-C10線に対応する断面図を示す。
【
図37】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の動作を説明するタイミングチャートを示す。
【
図38】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部、タッチ及び指紋センサ部、切替回路、駆動回路の構成を示す。
【
図39】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部、タッチ及び指紋センサ部、切替回路、駆動回路の構成を示す。
【
図40】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の端子部と駆動回路の接続構造を示す。
【
図41】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置に設けられる画素の等価回路の一例を示す。
【
図42】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の画素の駆動方法を説明するタイミングチャートを示す。
【
図43】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置に設けられる画素の等価回路の一例を示す。
【
図44】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の画素の駆動方法を説明するタイミングチャートを示す。
【
図45】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の端子部とフレキシブル回路基板との接続構造を示す。
【
図46】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部、タッチ及び指紋センサ部、切替回路、駆動回路の構成を示す。
【
図47】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部に設けられるデータ信号線とコモン配線の配置を示す。
【
図48】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素を構成する駆動トランジスタ、選択トランジスタ、容量素子、及びEL素子の平面レイアウトの一例を示す。
【
図49】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素の断面図を示す。
【
図50】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素に設けられる有機EL素子の平面レイアウトと、図中に示すE1-E2間及びE3-E4間の断面構造を示す。
【
図51】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置に設けられる画素の等価回路の一例を示す。
【
図52】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素を構成する駆動トランジスタ、選択トランジスタ、容量素子、及びEL素子の平面レイアウトの一例を示す。
【
図53】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素の断面図を示す。
【
図54】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素を構成する駆動トランジスタ、選択トランジスタ、容量素子、及びEL素子の平面レイアウトの一例を示す。
【
図55】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素の断面図を示す。
【
図56】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素の断面図であり、ワイヤグリッド偏光子と光散乱層が設けられた構造を示す。
【
図57】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素の断面図であり、ワイヤグリッド偏光子と光散乱層が設けられた構造を示す。
【
図58】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部に設けられるワイヤグリッド偏光子の断面構造を示す。
【
図59】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部に設けられるワイヤグリッド偏光子の断面構造を示す。
【
図60】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部に設けられるワイヤグリッド偏光子と、偏光軸回転板の偏光軸の関係を示す。
【
図61】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部に設けられるワイヤグリッド偏光子の配置を示す。
【
図62】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部に設けられるワイヤグリッド偏光子の配置を示す。
【
図63A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極と引き出し配線との接続構造の一例として、第2センサ電極とデータ信号線と同じ層で形成される引き出し配線の接続構造を示す。
【
図63B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極と引き出し配線との接続構造の一例として、第2センサ電極と走査信号線と同じ層で形成される引き出し配線の接続構造を示す。
【
図64A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極と引き出し配線との接続構造の一例として、第1センサ電極と走査信号線と同じ層で形成される引き出し配線の接続構造を示す。
【
図64B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極と引き出し配線との接続構造の一例として、有機EL素子の第2電極と引き出し配線の接続構造を示す。
【
図65A】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極と引き出し配線との接続構造として、データ信号線と引き出し配線との接続構造を示す。
【
図65B】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の第1センサ電極と引き出し配線との接続構造の一例として、第2センサ電極と引き出し配線の接続構造を示す。
【
図66】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の副画素の断面図であり、ワイヤグリッド偏光子と光散乱層が設けられた構造を示す。
【
図67】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置に設けられるワイヤグリッド偏光子の配置を示す。
【
図68】本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置の表示部に設けられるワイヤグリッド偏光子の断面構造と動作原理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異
なる態様を含み、以下に例示する実施形態に限定して解釈されるものではない。本明細書
に添付される図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形
状等について模式的に表される場合があるが、それはあくまで一例であって、本発明の内
容を必ずしも限定するものではない。また、本発明において、ある図面に記載された特定
の要素と、他の図面に記載された特定の要素とが同一又は対応する関係にあるときは、同
一の符号(又は符号として記載された数字の後にa、b等を付した符号)を付して、繰り
返しの説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記
された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がな
い限りそれ以上の意味を有しない。
【0011】
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」ある
とする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場
合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含む。すなわち、他の部
材又は領域の上方(又は下方)においてある部材又は領域との間に別の構成要素が含まれ
ている場合も含む。
【0012】
[第1実施形態]
本実施形態は、表示部とタッチ及び指紋センサ部が重ねて配置された表示装置の一例を
示す。
【0013】
1-1.タッチ及び指紋センサ付き表示装置の構成
図1は、本発明の一実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置100の展開図
を示す。タッチ及び指紋センサ付き表示装置100は、複数の画素104が配列された表
示部102と、少なくとも1つの第1センサ電極112及び少なくとも1つの第2センサ
電極114を含むタッチ及び指紋センサ部110とを含む。表示部102とタッチ及び指
紋センサ部110との間にはシールド電極116が配置される。
【0014】
少なくとも1つの第1センサ電極112はY方向に延伸するように配置され、少なくと
も1つの第2センサ電極114はX方向に延伸するように配置される。少なくとも1つの
第1センサ電極112は複数の第1センサ電極(以下同様に符号「112」が付される)
から成り、複数の第1センサ電極112はX方向に配列される。少なくとも1つの第2セ
ンサ電極114は複数の第2センサ電極(以下同様に符号「114」が付される)から成
り、複数の第2センサ電極114はY方向に配列される。複数の第1センサ電極112と
複数の第2センサ電極114とは図示されない絶縁層を挟んで交差するように配置される
。
【0015】
表示部102の外側の領域には、第1駆動回路118、切替回路120(「マルチプレ
ックス回路」、「デマルチプレクサ」ともいう)、端子部122が設けられる。シールド
電極116は、表示部102とタッチ及び指紋センサ部110とを電気的に分離するため
に設けられる。シールド電極116は一定の電位(例えば、接地電位)が印加される。
【0016】
複数の画素104のそれぞれは発光素子を含む。発光素子としては、例えば、エレクト
ロルミネセンス素子(以下、「EL素子」ともいう)が用いられる。複数の画素104の
それぞれに設けられるEL素子は、シールド電極116の側に光を出射するボトムエミッ
ション型である。第1センサ電極112、第2センサ電極114、及びシールド電極11
6は透光性を有する。第1センサ電極112、第2センサ電極114、及びシールド電極
116は透明導電膜で形成される。または、第1センサ電極112、第2センサ電極11
4、及びシールド電極116は、複数の画素104の配置に合わせて開口部が設けられて
いてもよい。このような構成により、EL素子の発光は、シールド電極116及びタッチ
及び指紋センサ部110を通して出射される。
【0017】
タッチ及び指紋センサ付き表示装置100は、表示部102に表示される画像をタッチ
及び指紋センサ部110が設けられた側から視認する構成を有する。タッチ及び指紋セン
サ部110は、表示部102と重畳するように設けられるため、タッチ及び指紋センサ付
き表示装置100は表示画面の任意の位置でタッチ及び指紋の検出が可能となる。
【0018】
表示部102の上には、封止層124が設けられていてもよい。封止層124は、表示
部102、第1駆動回路118、及び切替回路120を保護するために設けられる。封止
層124の構成は任意である。例えば、封止層124は、酸化シリコン膜、窒化シリコン
膜等の無機絶縁膜で形成される。また、封止層124は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂
、又はエポキシ樹脂等の樹脂材料を用いて形成されていてもよい。
【0019】
図2は、本実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置100の表示部102、
タッチ及び指紋センサ部110、第1駆動回路118、切替回路120、端子部122、
第2駆動回路128を示す。表示部102、タッチ及び指紋センサ部110、第1駆動回
路118、切替回路120、及び端子部122は透明樹脂基板200の上に設けられる。
第2駆動回路128はフレキシブル回路基板126の上に設けられる。第2駆動回路12
8はCOF(Chip on Film)によりフレキシブル回路基板126に実装される。
【0020】
表示部102は複数の画素104を含む。複数の画素104は、例えば、ストライプ配
列、デルタ配列、ベイヤー配列、ペンタイル配列、ダイヤモンドペンタイル配列等の配列
で配置される。表示部102には、データ信号線108と図示されない走査信号線が設け
られる。第1方向(列方向)及び第2方向(行方向)に配列する複数の画素104に対し
、データ信号線108は第1方向(列方向)に延伸し、走査信号線は第1方向と交差する
第2方向(行方向)に延伸するように配設される。
【0021】
第1駆動回路118は表示部102の外側の領域(以下、「周辺領域」ともいう。)に
配置される。第1駆動回路118は、図示されない走査信号線と接続される。第1駆動回
路118は表示部102の一辺に沿って配設される。図示されない複数のデータ信号線1
08は、第1方向(列方向)に配列され、切替回路120と接続される。
【0022】
透明樹脂基板200の一端に複数の接続端子が配列された端子部122が設けられる。
切替回路120は表示部102と端子部122との間の領域に配置される。切替回路12
0は一つの入力を複数の出力に分配する機能を有する。切替回路120は、端子部122
に設けられた一つの接続端子と複数のデータ信号線108とを接続する。
【0023】
タッチ及び指紋センサ部110は、第1方向(列方向)に延伸された複数の第1センサ
電極112と、第2方向(行方向)に延伸された複数の第2センサ電極114とを含む。
複数の第1センサ電極112のそれぞれは、端子部122に配設された接続端子と接続さ
れる。複数の第2センサ電極114は、第1駆動回路118と接続される。複数の第1セ
ンサ電極112と複数の第2センサ電極114とは図示されない絶縁層を挟んで交差する
ように配置され、指紋センサ、タッチセンサとしてとして機能する。
【0024】
フレキシブル回路基板126は、第1駆動回路118、切替回路120、及び第1セン
サ電極112と、第2駆動回路128とを接続する配線を含む。フレキシブル回路基板1
26は異方性導電材料を介して端子部122の接続端子と接続される。第2駆動回路12
8の走査信号線駆動回路ブロック130は、第1駆動回路118と接続され、データ信号
線駆動回路ブロック132は切替回路120と接続され、タッチ及び指紋センサ検出回路
ブロック134は第1センサ電極112と接続される。
【0025】
第2駆動回路128において、走査信号線駆動回路ブロック130は、表示部102の
走査信号及びタッチ及び指紋センサ部110のスキャン信号を出力する第1駆動回路11
8を駆動するための信号を出力する機能を有し、データ信号線駆動回路ブロック132は
ビデオ信号を出力する機能を有し、タッチ及び指紋センサ検出回路ブロック134は、第
1センサ電極112から出力されたセンシング信号を増幅してセンサ出力としてのデジタ
ル信号を生成する機能を有する。
【0026】
図2は、第2駆動回路128が、複数の回路ブロックを一つの半導体チップに集積化し
た複合集積回路(複合IC)で提供される例を示す。このような複合集積回路を用いるこ
とで、個別のICチップを実装する場合に比べ工程数を減らすことができ、製造コストを
低減することができる。なお、第2駆動回路128は、この例に限定されず、それぞれの
回路ブロックが個別の集積回路で実現されたものが用いられてもよい。
【0027】
図3A及び
図3Bは、
図2に示すタッチ及び指紋センサ付き表示装置100のタイミン
グチャートを示す。タッチ及び指紋センサ付き表示装置100は、第1駆動回路118が
、表示部102の走査信号線駆動回路とタッチ及び指紋センサ部110のスキャン信号出
力回路を兼ねている。そのため、タッチ及び指紋センサ付き表示装置100は、表示期間
とセンシング期間が交互に出現するように駆動される。
【0028】
図3Aは、1フレームの表示期間毎にセンシング期間が出現する例を示す。
図3Bは2
フレーム分の表示期間に1回の割合でセンシング期間が出現する例を示す。センシング期
間の長さは任意であり、1フレーム期間より短く設定することができる。フレーム周波数
は60Hz以上であるため、フレーム間にセンシング期間を設けても、表示部102には
視覚に影響を与えない状態で、画像を表示しつつタッチ又は指紋のセンシングを行うこと
ができる。
【0029】
1-2.画素の等価回路
図4は、画素104の等価回路の一例を示す。画素104は、第1副画素105r、第
2副画素105g、及び第3副画素105bを含む。第1副画素105rは、駆動トラン
ジスタ136、選択トランジスタ138、容量素子140、及びEL素子142、を含む
。第2副画素105g及び第3副画素105bも同じ構成を有する。
図4において、駆動
トランジスタ136及び選択トランジスタ138を示す記号は、2つのゲート電極で半導
体層を挟むデュアルゲート構造であることを示す。駆動トランジスタ136は、下側の第
1ゲート電極150と上側の第2ゲート電極151を有し、選択トランジスタ138は下
側の第1ゲート電極152と上側の第2ゲート電極153を有する。駆動トランジスタ1
36及び選択トランジスタ138は、nチャネル型トランジスタである。
【0030】
選択トランジスタ138の第2ゲート電極153は走査信号線106aと、ソース側が
データ信号線108と、ドレイン側が容量素子140及び駆動トランジスタ136の第2
ゲート電極151と接続される。駆動トランジスタ136の第1ゲート電極150はコモ
ン配線144bと、ソース側がコモン電極144aと、ドレイン側がEL素子142の陰
極と接続される。容量素子140は、一方の端子(第1端子)が選択トランジスタ138
のドレイン側と、他方の端子がコモン配線144bと接続される。EL素子142の陽極
は電源線154と接続される。
【0031】
図4において、コモン電極144aとコモン配線144bは等価回路において区別して
示されているが、両者は同電位であり、一定の電位(例えば、接地電位)に固定されてい
る点において機能的に同一である。電源線154は、コモン電極144a、コモン配線1
44bの電位より高い電源電位VDDが与えられる。駆動トランジスタ136がオン状態
のとき、EL素子142には電源線154からコモン電極144aにかけて電流が流れる
状態となる。このとき流れる電流は、駆動トランジスタ136のドレイン電流でもあり、
第2ゲート電極151の電位によって電流量(EL素子の発光強度でもある)を制御する
ことが可能である。
【0032】
なお、
図4に示す画素の等価回路は一例であり、本実施形態に係るタッチ及び指紋セン
サ付き表示装置100は、他の回路構成を有する画素回路を適用することもできる。例え
ば、駆動トランジスタのしきい値電圧を補正する回路が組み込まれた画素回路を適用する
ことができる。
【0033】
1-3.切替回路
図5は、本実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置100の切替回路120
(120_1~120_h)、端子部122、第2駆動回路128の構成を示す。切替回
路120(120_1~120_h)及び端子部122は透明樹脂基板200に設けられ
る。第2駆動回路128はフレキシブル回路基板126に実装される。
【0034】
端子部122は第1接続端子146a及び第2接続端子146bを含む。第1接続端子
146aは切替回路120(120_1~120_h)と接続される端子であり、第2接
続端子146bは第1センサ電極112(112_1~112_k)と接続される端子で
ある。フレキシブル回路基板126は、第3接続端子148a及び第4接続端子148b
を含む。第1接続端子146aは第3接続端子148aと、第2接続端子146bは第4
接続端子148bと接続される。透明樹脂基板200側に設けられる接続端子とフレキシ
ブル回路基板126側に設けられる接続端子とは異方性導電接着材により接続される。
【0035】
切替回路120(120_1~120_h)は、一つの入力端と3つの出力端とを含む
。切替回路120(120_1~120_h)は、入力端と出力端との間に設けられた第
1スイッチング素子156a、第2スイッチング素子156b、及び第3スイッチング素
子156cを含む。第1スイッチング素子156a、第2スイッチング素子156b、及
び第3スイッチング素子156cはトランジスタで形成される。第1スイッチング素子1
56a、第2スイッチング素子156b、及び第3スイッチング素子156cは、トラン
ジスタのゲートに接続される制御信号線157a、157b、157cによってオン及び
オフが制御される。
【0036】
第1切替回路120_1は、第1スイッチング素子156a、第2スイッチング素子1
56b、及び第3スイッチング素子156cを含み、制御信号線157a、157b、1
57cの制御信号により排他的にスイッチングする。すなわち、第1スイッチング素子1
56aは制御信号線157aの制御信号により、第2スイッチング素子156bは制御信
号線157bの制御信号により、及び第3スイッチング素子156cは制御信号線157
cの制御信号により、これらのスイッチング素子のうちいずれか一つのスイッチング素子
がオンとなり、他の二つのスイッチング素子がオフとなるように制御される。このような
動作は、他の切替回路120_2~120_hも同様である。
【0037】
第1切替回路120_1は、入力端に第1接続端子146aが接続され、出力端に複数
のデータ信号線108(S1~S3)が接続される。詳細には、第1切替回路120_1
において、第1スイッチング素子156aが第1接続端子146aとデータ信号線108
(S1)との間に接続され、第2スイッチング素子156bが第1接続端子146aとデ
ータ信号線108(S2)との間に接続され、第3スイッチング素子156cが第1接続
端子146aとデータ信号線108(S3)との間に接続される。他の切替回路120_
2~120_hについても同様の回路構成を有する。第1切替回路120_1は、第1ス
イッチング素子156a、第2スイッチング素子156b、第3スイッチング素子156
cのスイッチング動作により、第1接続端子146aに入力された信号を、複数のデータ
信号線108(S1~S3)に分配する機能を有する。他の切替回路120_2~120
_hも同様の機能を有する。
【0038】
第1切替回路120_1と第2切替回路120_2との間には第1センサ電極112_
1が配設される。第1センサ電極112_1は、第2接続端子146bと接続される。他
の第1センサ電極112_2~112_kも同様に他の切替回路120_2~120_h
の間に配設される。
【0039】
シールド電極116は、端子部122の領域と重なるように設けられる。シールド電極
116の端部は、第1接続端子146a及び第2接続端子146bの外側に位置している
。第1接続端子146a及び第2接続端子146bは、図示されない絶縁層を挟んでシー
ルド電極116の上層側に設けられる。第1接続端子146a及び第2接続端子146b
は、シールド電極116の上側に設けられることで、フレキシブル回路基板126を接続
するときの圧着処理に耐えることができ、陥没、変形、及び剥離を防止することができる
。また、第1接続端子146a及び第2接続端子146bがシールド電極116の上側に
設けられることで、ビデオ信号がノイズとしてタッチ及び指紋センサ部110に伝搬する
のを防止することができる。
【0040】
第1センサ電極112_1~112_kは、図示されない絶縁層を挟んでシールド電極
116の下層側に設けられる。第1センサ電極112_1と第2接続端子146bから伸
びる配線とを接続するために、シールド電極116に第1開口部158が設けられ、その
第1開口部158の内側に図示されない絶縁層を貫通する第1コンタクトホール159が
設けられる。第1センサ電極112_1と第2接続端子146bとは、第1開口部158
の口径よりも小さい孔径を有する第1コンタクトホール159により接続される。
【0041】
第2駆動回路128は、データ信号線駆動回路ブロック132とタッチ及び指紋センサ
検出回路ブロック134とを含む(さらに図示されない走査信号線駆動回路ブロック13
0を含む)。データ信号線駆動回路ブロック132は、切替回路120(120_1~1
20_h)の動作を制御する回路を含む。第2駆動回路128においてそれぞれの回路ブ
ロックの配置は任意であり、データ信号線駆動回路ブロック132とタッチ及び指紋セン
サ検出回路ブロック134の配置が図示される配置と入れ替わっていてもよい。
【0042】
接続端子が配列される端子部において、複数のデータ信号線及び複数の第1センサ電極
の全てを個々の接続端子でそれぞれ別々に独立して接続しようとすると、接続端子のピッ
チが小さくなる。一般に、端子部に設ける接続端子のピッチが小さくなるとフレキシブル
回路基板との接続が難しくなり、不良が発生し、製造歩留まりが低下することが問題とな
る。
【0043】
これに対し本実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置100は、切替回路1
20(120_1~120_h)が設けられることにより接続端子の数が削減されている
。すなわち、切替回路120を設けることにより、一つの第1接続端子146aに対し複
数のデータ信号線108(例えば、S1~S3)を接続することが可能となり、接続端子
の数が削減されている。これにより、端子部122に第1センサ電極112と接続される
第2接続端子146bが追加されても接続端子数の単純増加が防止され、接続端子の狭ピ
ッチ化を防止することができる。その結果、フレキシブル回路基板126との接続不良を
防止することができる。
【0044】
図6は、切替回路120(120_1~120_h)を構成する第1スイッチング素子
156a、第2スイッチング素子156b、及び第3スイッチング素子156cをデュア
ルゲート型のトランジスタで構成した例を示す。第1スイッチング素子156a、第2ス
イッチング素子156b、及び第3スイッチング素子156cとしてデュアルゲート型の
トランジスタを用いることで、スイッチングの立ち上がり及び立ち下がりが急峻になり、
切替回路120(120_1~120_h)の駆動周波数を高くしても動作することがで
きる。これにより、タッチ及び指紋センサ付き表示装置100のフレーム周波数が高くな
った場合でも、切替回路120(120_1~120_h)をフレーム周波数に同期して
動作させることができる。また、第1スイッチング素子156a、第2スイッチング素子
156b、及び第3スイッチング素子156cとしてデュアルゲート型のトランジスタに
することで、オフ電流(スイッチがオフのときの漏れ電流)を低減することができ、確実
なスイッチング動作を行うとともに、消費電力を低減することができる。
【0045】
図7は、シールド電極116の端部が端子部122より内側に配置された例を示す。シ
ールド電極116の端部は端子部122と第1開口部158との間の領域に配置され、第
1接続端子146a及び第2接続端子146bはシールド電極116の外側に配置される
。このような構造によれば、第1接続端子146a及び第2接続端子146bと、シール
ド電極116との間の寄生容量を低減することができ消費電力を低減することができる。
なお、
図7において、シールド電極116以外の構成は
図5に示すものと同様である。
【0046】
図5は、画素104の一列の配列に対して1本の第1センサ電極112が設けられると
きの構成を示す。指紋センサとしての感度がある程度低下しても許容できる場合には、第
1センサ電極112の本数を減らすことも可能である。例えば、画素104の2列の配列
に対して1本の第1センサ電極112が設けられてもよい。
図8は、この場合の切替回路
120と第1センサ電極112の配列を示す。
図8に示すように、第1センサ電極112
の数を減らす場合であっても切替回路120を配置することができ、端子部122の接続
端子のピッチを大きくすることができる。
【0047】
なお、
図5、
図6、
図7、及び
図8では端子部122の接続端子のピッチが均一に配置
されていないが、端子部122とフレキシブル回路基板126とを接続する工程の歩留ま
りをさらに向上させるには、接続端子のピッチを均一に配置することが好ましい。
【0048】
1-4.センサ電極の構造
1-4-1.第1センサ電極
図9は、複数の画素104の配列と、複数の第1センサ電極112及び複数の第2セン
サ電極114の配置を示す。
図9は、複数の画素104が、赤色(R)に対応する第1副
画素105r、緑色(G)に対応する第2副画素105g、青色(B)に対応する第3副
画素105bを含み、各色に対応する副画素が第1方向(列方向)にストライプ状に配列
された例を示す。第1方向(列方向)に延伸する第1センサ電極112は、複数の画素1
04の第1方向(列方向)の配列に対応して配置され、第2方向(行方向)に延伸する第
2センサ電極114も複数の画素104の第2方向(行方向)の配列に対応して配置され
る。
【0049】
指紋を検出するために、第1センサ電極112は25μm~120μmのピッチで設け
ることが必要であり、45μm~75μmのピッチ範囲が最も適している。第2センサ電
極114も同様のピッチで設けることが必要となる。第1センサ電極112及び第2セン
サ電極114のピッチが大きすぎると分解能が低下し指紋を正確に検出できなくなる。一
方、ピッチを25μm未満にしても指紋の検出精度の向上はなく、センサ電極の数が増え
るばかりでオーバースペックとなる。
【0050】
図9には図示されないが、データ信号線は第1副画素105r、第2副画素105g、
及び第3副画素105bの第1方向(列方向)の配列に対応して設けられる。したがって
、第1センサ電極112は3本のデータ信号線に対して1本の割合で設けられる。第1副
画素105r、第2副画素105g、及び第3副画素105bに対応したデータ信号線の
ピッチは、例えば、5.5インチ、フルハイビジョン対応のスマートフォンの表示パネル
の場合17μmとなる。したがって、各画素104の列方向に対応して第1センサ電極1
12を配設すると、第1センサ電極112のピッチは51μmとなる。この場合、
図5、
図6、及び
図7を参照すれば、第1接続端子146aが51μmのピッチで配置され、そ
の間に第2接続端子146bが配置されることになるので、端子部122における接続端
子のピッチは25.5μmとなる。なお、第2センサ電極114に関しては、第1副画素
105r、第2副画素105g、及び第3副画素105bの第2方向(行方向)に対応し
た走査信号線のピッチが51μmとなり、第2センサ電極114のピッチも同様に51μ
mとなる。
【0051】
指紋を検出するセンサとしては、分解能の観点からセンサ電極のピッチは50μm程度
が必要であると考えられる。指紋センサとしての感度がある程度低下しても許容できる場
合には、第1センサ電極112の本数を減らしてもよい。例えば、第1センサ電極112
を1画素おきに配設してもよい。その場合、上記の例に従えば、第1センサ電極112の
ピッチは102μmとなり、端子部122における接続端子のピッチを34μm程度に広
げることが可能となる。
【0052】
図10は、
図9に示す第1センサ電極112及び第2センサ電極114の配列に対して
、両方のセンサ電極のピッチを大きくした場合の一例を示す。すなわち、
図10は、画素
104の列方向の2列の配列に対し1本の第1センサ電極112が設けられ、行方向の2
行の配列に対し1本の第2センサ電極114が設けられる例を示す。前述のように第1セ
ンサ電極112と第2センサ電極114のピッチは100μm程度となるが、このような
ピッチであっても指紋を検出することができる。
図10に示す第1センサ電極112の配
列に対し、切替回路120と端子部122における接続端子の配列は
図8に示すようにな
り、接続端子のピッチを広げることができる。
【0053】
【0054】
第1センサ電極112は、表示部102において第1方向(列方向)に沿って伸びるス
トライプ状のパターンを有する。第1センサ電極112は透光性を有する第1センサ電極
層204で形成される。第1センサ電極層204は、例えば、酸化インジウムスズ(Indi
um Tin Oxide:ITO)、アルミニウム(Al)やガリウム(Ga)をドープした酸化亜
鉛(Zinc Oxide:ZnO)、酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide:IZO)、酸化
スズ(Tin Oxide:SnO2)、ニオブ(Nb)をドープした酸化チタン(TiOx)等
の導電性を有する金属酸化物、窒化チタン(TiNx) 、酸窒化チタン(TiON)等
の金属窒化物又は金属酸窒化物等の導電性透明導電膜、ポリアニリン、グラフェン等の導
電性を有する有機物で形成される。第1センサ電極112の幅W1は、副画素105の幅
Wpより広くなるように設けられる。第1センサ電極層204は、副画素105の第1方
向(列方向)の配列に合わせて配設されるので、第1センサ電極112は副画素105の
全体を覆うように設けられる。
【0055】
第1センサ電極層204には第1補助電極205aが付加されていてもよい。第1補助
電極205aは、第1センサ電極層204のストライプ状のパターンの両側の上縁に沿っ
た細線状のパターンを有する。また、第1補助電極205aは、第1方向(列方向)に配
列する副画素105同士が離間する領域で、両側の細線状のパターンを繋ぐ帯状のパター
ンが含まれていてもよい。第1補助電極205aは、第1センサ電極層204を形成する
透明導電膜材料よりも低抵抗材料で形成される。例えば、第1補助電極205aはアルミ
ニウム(Al)等の金属膜、窒化チタン(TiN)等の金属窒化物、チタンシリサイド(
TiSix)等の金属シリサイド等の導電性材料で形成される。このような導電性材料で
形成される第1補助電極205aは、表示部102に設けられるデータ信号線108と実
質的に同じ幅(太さ)で形成され、データ信号線108と重なる位置に配置される。第1
センサ電極層204に接する第1補助電極205aを設けることで、第1センサ電極11
2の低抵抗化を図ることができる。
【0056】
第1センサ電極層204の幅W1が副画素105の幅Wpより大きいことにより、副画
素105の開口率を低下させずに、第1センサ電極112の低抵抗化を図ることができる
。例えば、前述で例示された5.5インチ、フルハイビジョン対応のスマートフォンの表
示パネルの場合、第1センサ電極112の幅を17μm(51μm/3)より広く20μ
mとすることができる。また、第1補助電極205aの帯状のパターンのピッチL1は、
副画素105の長さLpより大きいことが好ましい。この帯状のパターンのピッチL1は
、走査信号線のピッチと同じであってもよい。前述の例に従えば、ピッチL1は51μm
であってもよい。
【0057】
この帯状のパターンの幅(太さ)は、走査信号線106と実質的に同じ幅(太さ)に形
成され、走査信号線106と重なる位置に配置される。このような配置により、開口率を
低下させずに第1センサ電極112の低抵抗化を実現することができる。
【0058】
このように第1センサ電極層204に第1補助電極205aを設けることで、第1セン
サ電極112の低抵抗化を図ることができる。これにより、タッチ及び指紋センサ部11
0の感度の低下、応答速度の低下を防ぐことができる。
【0059】
【0060】
第1補助電極205bが第1センサ電極層204に接して設けられる。第1補助電極2
05bは、第1センサ電極層204の中央部分に設けられる細線状のパターンと、副画素
105が配列する間の領域に設けられる帯状のパターンとが複合化された形状を有する。
第1補助電極205bは金属膜、金属窒化物膜、金属シリサイド膜で形成される。
図12
A及び
図12Bに示す形状の第1補助電極205bは、表示部102のデータ信号線10
8と実質的に同じ幅(太さ)で形成され、データ信号線108と重なるように配置される
。第1補助電極205bの帯状のパターンは走査信号線106と実質的に同じ幅(太さ)
で形成され、走査信号線106と重なるように配置される。このような第1補助電極20
5bによっても第1センサ電極112の低抵抗化を図ることができる。
【0061】
1-4-2.第2センサ電極
図13Aは第2センサ電極114の平面図を示す。
図13Aは、さらに第2センサ電極
114の上に設けられる選択トランジスタ138の一部の構造(第1ゲート電極152、
第2酸化物半導体層180b、第2ゲート電極153)を点線で示す。
図13Bは、
図1
3Aに示すC1-C2間に対応する断面構造を示す。
【0062】
第2センサ電極114は、表示部102において第2方向(行方向)に沿って伸びるス
トライプ状のパターンを有する。第2センサ電極114は表示部102を第2方向(行方
向)に沿って横断し、両端が周辺領域に達するように設けられる。第2センサ電極114
は透光性を有する第2センサ電極層206で形成される。第2センサ電極層206は、第
1センサ電極層204と同様に透明導電膜で形成される。
【0063】
第2センサ電極114は、第2補助電極207が設けられる。第2補助電極207は第
2センサ電極層206に接して設けられる。第2補助電極207は、第2センサ電極層2
06の長手方向に沿って設けられる。第2補助電極207は金属膜、金属窒化物膜、金属
シリサイド膜で形成される。第1センサ電極112と同様に、第2センサ電極114も第
2センサ電極層206と第2補助電極207とで形成されることにより低抵抗化が図られ
る。
【0064】
図13Bは、透明樹脂基板200として、第1透明樹脂層202a、第2透明樹脂層2
02b、第3透明樹脂層202c、第4透明樹脂層202d、第1絶縁層210、第2絶
縁層212が積層された構造を示す。第2センサ電極層206は、第2透明樹脂層202
bと第3透明樹脂層202cとの間に設けられる。第2補助電極207は、第2センサ電
極層206と第3透明樹脂層202cとの間に設けられる。シールド電極116は第3透
明樹脂層202cの上に設けられる。シールド電極116の上には第4透明樹脂層202
dが設けられる。第4透明樹脂層202dの上には第1絶縁層210が設けられる。また
、第2酸化物半導体層180bが、第1絶縁層210と第2絶縁層212の間に設けられ
、第2ゲート電極153が第2絶縁層212の上に設けられる。
【0065】
第1ゲート電極152の下層側に第2遮光層208bが設けられる。第2遮光層208
bは、第2補助電極207から連続する導電膜で形成される。別言すれば、
図13Aに示
すように、第2方向(行方向)に延伸する第2補助電極207の線状のパターンが、選択
トランジスタ138が設けられる領域で凸状に突出するパターンを有する。このようなパ
ターンを有する第2補助電極207は、副画素105に対する第2遮光層208bとして
の機能を有する。なお、第2補助電極207から突出する第2遮光層208bの平面視に
おける形状は任意であり、
図13Aに示される形状に限定されない。
【0066】
第2補助電極207は、表示部102の走査信号線(ゲートバスライン)106として
の機能も有する。第2ゲート電極153は第2絶縁層212の上に設けられる。第2ゲー
ト電極153は、副画素105ごとに分離され個別に設けられる。第2ゲート電極153
は、第2絶縁層212、第1絶縁層210、第4透明樹脂層202d、第3透明樹脂層2
02cを貫通する第3コンタクトホール163によって第2補助電極207と接続される
。第3透明樹脂層202cと第4透明樹脂層202dとの間に配置されるシールド電極1
16には、第3コンタクトホール163の孔径d2よりも大きな口径d1を有する第3開
口部162が設けられる。第3コンタクトホール163は、第3開口部162の内側の領
域を貫通するように設けられる。
【0067】
第1ゲート電極152は、シールド電極116との上に接続された状態で設けられる。
第1ゲート電極152はシールド電極116と同じ電位に固定される。選択トランジスタ
138は、第2ゲート電極153の反対側(バックチャネル側)に一定電位が印加された
第1ゲート電極152が設けられることにより電気的な特性変動が抑制される。
【0068】
図13A及び
図13Bに示す構造は、走査信号線106が、第2酸化物半導体層180
bより下層側に配置されるので、第2絶縁層212の膜厚を100nm~200nm程度
まで薄くすることができる。第2ゲート電極153はデータ信号線108と交差しないの
で、第2絶縁層212の膜厚を薄くしても両者が短絡することはない。ゲート絶縁層とし
て機能する第2絶縁層212が薄膜化されることで、スイッチング特性に優れ応答速度の
速い選択トランジスタ138を得ることができる。
【0069】
なお、
図13Aは選択トランジスタ138のみを示し、駆動トランジスタ136が省略
されている。しかし、第2補助電極207を形成する金属層を用いて駆動トランジスタ1
36に対しても同様に遮光層を設けることができる。
【0070】
図14A及び
図14Bは、第2センサ電極114が
図13A及び
図13Bに示す構造と
異なる態様を示す。
図14Aは第2センサ電極114の平面図を示す。
図14Aは、さら
に第2センサ電極114の上に設けられる選択トランジスタ138の一部の構造(第1ゲ
ート電極152、第2酸化物半導体層180b、第2ゲート電極153、走査信号線10
6)を示す。
図14Bは、
図14Aに示すC3-C4間に対応する断面構造を示し、
図1
4Cは、
図14Aに示すC5-C6間に対応する断面構造を示す。
【0071】
第2センサ電極114は、第2センサ電極層206及び第2補助電極207で形成され
る。第2補助電極207は表示部102において第2センサ電極114の長手方向に沿っ
て伸びる線状のパターンを有する。第2センサ電極114の上には、第2補助電極207
を形成する金属膜により、第2酸化物半導体層180bと重なる第2遮光層208bが設
けられる。
【0072】
第2絶縁層212の上に第2ゲート電極153及び走査信号線106が設けられる。第
2ゲート電極153は走査信号線106から連続するパターンで形成される。すなわち、
第2ゲート電極153と走査信号線106とは同じ導電層で形成される。第2ゲート電極
153は、副画素105の行毎に走査信号線106により連結された状態で設けられる。
【0073】
走査信号線106は、周辺領域において第2補助電極207と接続される。周辺領域に
おいてシールド電極116には第4開口部164が設けられる。走査信号線106は、第
4開口部164の内側に設けられ、第4開口部164の口径よりも小さな孔径を有する第
4コンタクトホール165により第2補助電極207と接続される。第2遮光層208b
は、図示されるように第2補助電極207と分離されていてもよいし、
図13Bに示すよ
うに第2補助電極207から連続するように設けられていてもよい。
【0074】
このように、走査信号線106を第2補助電極207と周辺領域で接続することにより
配線抵抗を低減することができる。別言すれば、第2補助電極207を、走査信号線10
6に対する補助配線として用いることができる。
【0075】
なお、
図14A及び
図14Cは選択トランジスタ138のみを示し駆動トランジスタ1
36が省略されている。駆動トランジスタ136は選択トランジスタ138と同様の構造
を有し、第2補助電極207を形成する金属膜を用いて第2遮光層208bが設けられて
いてもよい。
【0076】
1-5.画素及びセンサの部分構造
図15は、
図4の等価回路に示す副画素105(第1副画素105r、第2副画素10
5g、第3副画素105bのそれぞれに対応)の平面レイアウトの一例を示す。なお、図
15において、第1センサ電極112及び第2センサ電極114、並びにEL素子142
の積層構造の詳細は省略されている。
【0077】
図15に示すように、副画素105は駆動トランジスタ136、選択トランジスタ13
8、容量素子140、EL素子142を含む。副画素105の領域には、走査信号線10
6a、データ信号線108、コモン電極144a、コモン配線144bが設けられる。駆
動トランジスタ136は、第1酸化物半導体層180aを挟んで第1ゲート電極150(
下層側)及び第2ゲート電極151(上層側)が設けられた構造を有する。選択トランジ
スタ138は、第2酸化物半導体層180bを挟んで第1ゲート電極152(下層側)と
第2ゲート電極153(上層側)が設けられた構造を有する。駆動トランジスタ136の
下層側には第1遮光層208aが設けられ、選択トランジスタ138の下層側には第2遮
光層208bが設けられる。第1遮光層208a及び第2遮光層208bは走査信号線1
06aを形成する導電層と同じ導電層で形成される。第1遮光層208a及び第2遮光層
208bは、走査信号線106aから連続するパターンで形成される。
【0078】
駆動トランジスタ136は、第1酸化物半導体層180a、第1金属酸化物導電層17
6a、及び第2金属酸化物導電層176bを含む。第1金属酸化物導電層176a及び第
2金属酸化物導電層176bは、第1酸化物半導体層180aと接するように設けられる
。第1金属酸化物導電層176aと第2金属酸化物導電層176bとは、端部が離隔し対
向するように配置された領域を含む。その端部及び離隔する領域は第1ゲート電極150
、第2ゲート電極151、及び第1酸化物半導体層180aと重なる位置に配置される。
駆動トランジスタ136のチャネルは第1金属酸化物導電層176aと第2金属酸化物導
電層176bとが離隔する部分に形成される。
【0079】
第1金属酸化物導電層176aはソース配線170と接して設けられる。ソース配線1
70は、第5コンタクトホール166を介してコモン電極144aと接続される。第2金
属酸化物導電層176bは、EL素子142を形成する第1電極220と接して形成され
る。第2金属酸化物導電層176bと第1電極220とは連続するパターンで設けられる
。
【0080】
第2金属酸化物導電層176bはEL素子142の領域に延伸され、第1電極(陰極)
220を形成する。第1酸化物半導体層180aは、EL素子142の領域に延伸され、
第1電子輸送層222aを形成する。第1電子輸送層222aは第1電極220を覆うよ
うに設けられる。
【0081】
選択トランジスタ138は、第2酸化物半導体層180b、第3金属酸化物導電層17
6c、及び第4金属酸化物導電層176dを含む。第3金属酸化物導電層176c及び第
4金属酸化物導電層176dは、第2酸化物半導体層180bと接するように設けられる
。第3金属酸化物導電層176cと第4金属酸化物導電層176dとは、端部が離隔し対
向するように配置された領域を含む。その端部及び離隔する領域は第1ゲート電極152
、第2ゲート電極153、及び第2酸化物半導体層180bと重なる位置に配置される。
選択トランジスタ138のチャネルはその第3金属酸化物導電層176cと第4金属酸化
物導電層176dとが離隔する部分に形成される。
【0082】
第3金属酸化物導電層176cはデータ信号線108と重なり接する領域を含むように
設けられる。第4金属酸化物導電層176dは、ドレイン配線173と接するように設け
られる。第4金属酸化物導電層176d及びドレイン配線173は、容量素子140の領
域に延伸するように設けられる。
【0083】
選択トランジスタ138の第2ゲート電極153は副画素105ごとに個別に設けられ
ており、第3コンタクトホール163を介して走査信号線106a(207)と接続され
る。駆動トランジスタ136の第2ゲート電極151は、第7コンタクトホール168を
介してドレイン配線173と接続される。
【0084】
容量素子140は、ドレイン配線173及び第4金属酸化物導電層176dと、コモン
配線144bとが重なる領域に形成される。ドレイン配線173及び第4金属酸化物導電
層176dと、コモン配線144bとの間には絶縁層が介在する(
図15では図示されな
い)。
【0085】
図16Aは、
図15に示すD1-D2線に対応する副画素105の断面構造を示す。図
16Bは、
図15に示すD3-D4線に対応する副画素105の断面構造を示す。
図16
Aは駆動トランジスタ136及びEL素子142の断面構造を示し、
図16Bは選択トラ
ンジスタ138及び容量素子140の断面構造を示す。
【0086】
第1センサ電極112及び第2センサ電極114は透明樹脂基板200に設けられる。
駆動トランジスタ136、選択トランジスタ138、容量素子140、及びEL素子14
2は透明樹脂基板200の上に設けられる。透明樹脂基板200は複数の透明樹脂層が積
層された構造を有する。透明樹脂基板200は、第1透明樹脂層202a、第2透明樹脂
層202b、及び第3透明樹脂層202cが積層された構造を有する。第1透明樹脂層2
02aと第2透明樹脂層202bとの間には第1センサ電極112が設けられ、第2透明
樹脂層202bと第3透明樹脂層202cとの間には第2センサ電極114が設けられる
。タッチ及び指紋センサ部110は、透明樹脂基板200に埋め込まれた状態で設けられ
る。
【0087】
本実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置100は、画素104(具体的に
は各副画素105に設けられるEL素子142)の発光が透明樹脂基板200側から出射
される。画素104と重なる領域に配置される第1センサ電極112及び第2センサ電極
114は、画素104から出射される光が透過するように透明導電膜で形成される。また
は、第1センサ電極112及び第2センサ電極114の配置に合わせて光が通過する開口
部が設けられていてもよい。すなわち、第1センサ電極112及び第2センサ電極114
は、
図11A及び
図11Bに示す第1補助電極205aのような梯子形のパターンを有す
るアルミニウム(Al)等の金属膜、窒化チタン(TiN)等の金属窒化物膜、チタンシ
リサイド(TiSi
x)等の金属シリサイド膜で形成されていてもよい。
【0088】
第1透明樹脂層202a、第2透明樹脂層202b、第3透明樹脂層202c、及び第
4透明樹脂層202dは、3μm~20μm、好ましくは10μm~15μmの厚さを有
する。透明樹脂基板200は、このような膜厚の透明樹脂層が積層された構造により可撓
性を有する。タッチ及び指紋センサ付き表示装置100は、透明樹脂基板200側がセン
シング及び表示面となる。第1センサ電極112及び第2センサ電極114を、指紋を検
出するための電極として用いる場合、第1透明樹脂層202aの厚さは薄いことが好まし
い。第1透明樹脂層202a及び第2透明樹脂層202bは10μm~15μm程度の厚
さで設けられることにより高い指紋の検出感度を得ることができる。コンタクトホールを
形成するために第2透明樹脂層202b、第3透明樹脂層202c、第4透明樹脂層20
2dは、ピンホールが生成されなければ可能な限り薄い方が好ましいが、寄生容量が増大
する問題が生じるので実際には3μm~5μmの厚さを有することが好ましい。第1透明
樹脂層202aは、透明樹脂基板200の骨格となる層であるため、20μm~50μm
程度の厚さを有することが好ましい。
【0089】
第2センサ電極114の上には、駆動トランジスタ136と重なる第1遮光層208a
及び選択トランジスタ138と重なる第2遮光層208bが設けられる。第1遮光層20
8a及び第2遮光層208bは金属膜、金属窒化物膜、金属シリサイド膜で形成される。
第1遮光層208a及び第2遮光層208bは、
図15に示すように第2センサ電極11
4に設けられる走査信号線106a(第2補助電極207でもある)と同じ層に設けられ
る。
【0090】
駆動トランジスタ136、選択トランジスタ138、容量素子140、及びEL素子1
42と、第1センサ電極112及び第2センサ電極114との間にはシールド電極116
が設けられる。シールド電極116は第3透明樹脂層202cと第4透明樹脂層202d
との間に設けられる。シールド電極116は表示部102の全体に亘って設けられる。
【0091】
シールド電極116は透明導電膜で形成される。透明導電膜としては、酸化インジウム
スズ(Indium Tin Oxide:ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(Indium
Zinc Oxide:IZO)、酸化スズ(SnO2)等の導電性を有する金属酸化物、窒化チ
タン(TiNx)酸窒化チタン(TiON)等の金属窒化物又は金属酸窒化物等の導電性
透明導電膜、ポリアニリン、グラフェン等の導電性を有する有機物が用いられる。また、
別の形態として、シールド電極116が、アルミニウム、チタン、銅等の金属材料で形成
され、画素の配置に合わせて光が透過するように開口部が設けられた構造を有していても
よい。シールド電極116の上面に接してコモン電極144a、コモン配線144bが設
けられる。コモン配線144bは、走査信号線106aが延伸する方向と同じ方向に延伸
するように設けられる。コモン電極144a、コモン配線144bはアルミニウム(Al
)等の金属膜で形成される。コモン電極144a、コモン配線144bとシールド電極1
16は同電位であり一定電位が印加される。例えば、シールド電極116及びコモン電極
144a、コモン配線144bは接地電位が印加される。
【0092】
シールド電極116の上には駆動トランジスタ136の第1ゲート電極150、及び選
択トランジスタ138の第1ゲート電極152が設けられる。第1ゲート電極150及び
第1ゲート電極152はコモン電極144a、コモン配線144bと同じ層に形成される
。第1ゲート電極150及び第1ゲート電極152は金属膜で形成される。第1ゲート電
極150及び第1ゲート電極152はシールド電極116の上面に接して設けられる。第
1ゲート電極150及び第1ゲート電極152はシールド電極116と同じ電位が印加さ
れる。
【0093】
タッチ及び指紋センサ部110において、第1センサ電極112はレシーバ電極(Rx
電極)であり、第2センサ電極114はトランスミッタ電極(Tx電極)としての機能を
有する。タッチ及び指紋センサ部110が駆動するとき、第2センサ電極114には矩形
パルス電圧が印加される。第2センサ電極114に印加された矩形パルス電圧により発生
する電界はシールド電極116により遮蔽される。シールド電極116の電界遮蔽効果に
より、表示部102とタッチ及び指紋センサ部110は相互に干渉しないで駆動すること
が可能となる。タッチ及び指紋センサ部110は表示部102の駆動に伴うノイズの影響
が排除され、精度の高い指紋検出をすることができる。また、表示部102は、タッチ及
び指紋センサ部110の影響を受けずに安定した状態で画像を表示することができる。
【0094】
シールド電極116の上には第4透明樹脂層202dが設けられる。第1透明樹脂層2
02a、第2透明樹脂層202b、第3透明樹脂層202c、及び第4透明樹脂層202
dは樹脂組成物を塗布して形成されるため、第1センサ電極112、第2センサ電極11
4、第1ゲート電極150、第1ゲート電極152、及びコモン電極144a、コモン配
線144bによる凹凸を埋め込むことができ、第4透明樹脂層202dの表面を平坦化す
ることができる。
【0095】
第1透明樹脂層202a、第2透明樹脂層202b、第3透明樹脂層202c、第4透
明樹脂層202dを形成する樹脂材料として、透明ポリイミド樹脂、透明ポリエチレンナ
フタレート樹脂、透明パラ系ポリアミド樹脂等が用いられる。透明ポリイミド樹脂、透明
ポリエチレンナフタレート樹脂は、ガラス基板に比べてガスバリア性が劣るため、さらに
、窒化シリコン膜等で形成されるガスバリア膜が設けられていてもよい。一方、透明パラ
系ポリアミド樹脂は、透明性、耐熱性、ガスバリア性を有するので、透明樹脂基板200
を形成する材料として好適に用いることができる。第1透明樹脂層202a、第2透明樹
脂層202b、第3透明樹脂層202c、及び第4透明樹脂層202dは、同じ樹脂材料
で形成されていてもよいし、一部の層又は全部の層が異なる樹脂材料で形成されていても
よい。例えば、第4透明樹脂層202dは、剛性が高くガスバリア性の高い透明パラ系ポ
リアミド樹脂を用いることで、EL素子142の長期信頼性を高めることができる。
【0096】
透明樹脂基板200は、150℃~400℃の耐熱性を有していることが好ましい。駆
動トランジスタ136及び選択トランジスタ138を形成するときの最高プロセス温度(
加熱温度)が250℃以下の場合は、樹脂材料としてパラ系ポリアミド樹脂を用いること
ができる。パラ系ポリアミド樹脂を用いることで、透明樹脂基板200自体にガスバリア
性を持たせることができる。一方、駆動トランジスタ136及び選択トランジスタ138
を形成するときの最高プロセス温度(加熱温度)が250℃以上であるときは、耐熱性の
観点から透明樹脂基板200を形成する材料として透明ポリイミド樹脂を用いることが好
ましい。
【0097】
また、透明ポリイミド樹脂及び透明パラ系ポリアミド樹脂に対し、ナノセルロースファ
イバ(CNF)が透明ポリイミド樹脂、透明パラ系ポリアミド樹脂に混合されていてもよ
い。ナノセルロースファイバ(CNF)が混合された透明ポリイミド樹脂及び透明パラ系
ポリアミド樹脂は、剛性が向上し、収縮が抑制されて寸法の安定性が向上するという利点
を有する。透明樹脂基板200の耐熱性を向上させるために、第1透明樹脂層202a、
第2透明樹脂層202b、及び第3透明樹脂層202c、並びに第4透明樹脂層202d
の少なくとも1つの層にナノセルロースファイバ(CNF)が混合されていてもよい。透
明ポリイミド樹脂及び透明パラ系ポリアミド樹脂に対するナノセルロースファイバ(CN
F)の混合比率は、1重量%~10重量%であることが好ましい。
【0098】
図16Aに示す駆動トランジスタ136は、第1ゲート電極150、第1絶縁層210
、第1酸化物半導体層180a、第2絶縁層212、第2ゲート電極151が積層された
構造を有する。第1ゲート電極150は第1絶縁層210を介して第1酸化物半導体層1
80aと重なるように配置され、第2ゲート電極151は第2絶縁層212を介して第1
酸化物半導体層180aと重なるように配置される。第1ゲート電極150、第2ゲート
電極151、及び第1酸化物半導体層180aは、相互に重畳する領域を有し、駆動トラ
ンジスタ136はその重畳する領域にチャネルが形成される。なお、駆動トランジスタ1
36は、第1ゲート電極150がシールド電極116と同じ電位が印加され、第2ゲート
電極151にデータ信号に基づく電圧(ビデオ信号に基づく電圧)が印加される。
【0099】
第1金属酸化物導電層176a及び第2金属酸化物導電層176bは、第1絶縁層21
0と第1酸化物半導体層180aとの間に配置される。第1金属酸化物導電層176aと
第2金属酸化物導電層176bは、平面視において第1ゲート電極150及び第2ゲート
電極151を両側から挟むように配置される。第1金属酸化物導電層176a及び第2金
属酸化物導電層176bは、第1酸化物半導体層180aの下面と接するように設けられ
る。駆動トランジスタ136は、第2金属酸化物導電層176bが第1酸化物半導体層1
80aと接する領域がドレイン領域となり、第1金属酸化物導電層176aが第1酸化物
半導体層180aと接する領域がソース領域となる。
【0100】
第1酸化物半導体層180aは、金属酸化物半導体材料を用いて形成される。金属酸化
物半導体材料として、四元系金属酸化物材料、三元系金属酸化物材料、二元系金属酸化物
材料、及び一元系金属酸化物半導体材料が用いられる。これらの金属酸化物半導体材料は
単層構造であってもよいし、積層構造を有していてもよい。また、金属酸化物半導体材料
は、アモルファスであってもよいし、結晶性を有していてもよい。
【0101】
四元系酸化物材料として、In2O3-Ga2O3-SnO2-ZnO系酸化物材料、
三元系酸化物材料としてIn2O3-Ga2O3-SnO2系酸化物材料、In2O3-
Ga2O3-ZnO系酸化物材料、In2O3-SnO2-ZnO系酸化物材料、In2
O3-Al2O3-ZnO系酸化物材料、Ga2O3-SnO2-ZnO系酸化物材料、
Ga2O3-Al2O3-ZnO系酸化物材料、SnO2-Al2O3-ZnO系酸化物
材料、二元系酸化物材料としてIn2O3-ZnO系酸化物材料、SnO2-ZnO系酸
化物材料、Al2O3-ZnO系酸化物材料、MgO-ZnO系酸化物材料、SnO2-
MgO系酸化物材料、In2O3-MgO系酸化物材料、一元系酸化物材料として、In
2O3系金属酸化物材料、SnO2系金属酸化物材料、ZnO系金属酸化物材料等を用い
ることができる。また、上記酸化物半導体にシリコン(Si)、ニッケル(Ni)、タン
グステン(W)、ハフニウム(Hf)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)が含まれてい
てもよい。なお、例えば、上記で示すIn-Ga-Zn-O系酸化物材料は、少なくとも
InとGaとZnを含む酸化物材料であり、その組成比に特に制限はない。なお、上記の
四元系酸化物材料、三元系酸化物材料、二元系酸化物材料、一元系酸化物材料は、含まれ
る酸化物が化学量論的組成のものに限定されず、化学量論的組成からずれた組成を有する
酸化物材料によって構成されてもよい。このような金属酸化物半導体材料は、3.0eV
以上のバンドギャップを有し、可視光帯域の光に対して透明である。
【0102】
第1金属酸化物導電層176a及び第2金属酸化物導電層176bは、導電性を有する
金属酸化物材料、金属窒化物材料又は金属酸窒化物材料を用いて作製される。導電性を有
する金属酸化物材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(Zn
O)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)、ニオブが添加された酸化
チタン(TiNbOx)等が用いられる。また、窒化チタン(TiNx)、酸窒化チタン
(TiON)等の、透明性と導電性を有する金属窒化物及び金属酸窒化物を用いることも
できる。
【0103】
駆動トランジスタ136のソース電極(第1金属酸化物導電層176a)はコモン電極
144aと接続される。第1金属酸化物導電層176aは第5コンタクトホール166を
介してコモン電極144aと接するように設けられる。第1金属酸化物導電層176aの
上には金属膜で形成されるソース配線170が設けられる。ソース配線170は第5コン
タクトホール166の領域に延伸して設けられる。第5コンタクトホール166は、第1
絶縁層210、第4透明樹脂層202dを貫通するように形成される。ソース配線170
及びコモン電極144a、コモン配線144bは、チタン(Ti)、アルミニウム(Al
)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)等の金属材料で形成される。
【0104】
第1絶縁層210は、例えば、第4透明樹脂層202dの側から、第1窒化シリコン膜
214a、第1酸化シリコン膜215aが積層された構造を有する。第2絶縁層212は
、例えば、第1酸化物半導体層180aの側から、第2酸化シリコン膜215b、第2窒
化シリコン膜214bが積層された構造を有する。第1酸化物半導体層180aは、第1
酸化シリコン膜215a及び第2酸化シリコン膜215bと接して設けられる。第1酸化
物半導体層180aは、上面及び下面が酸化シリコン膜と接して設けられることで、酸素
欠損の生成が抑制される。
【0105】
第1ゲート電極150及び第2ゲート電極151は、アルミニウム(Al)、モリブデ
ン(Mo)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、銅(Cu)等の金属材料を用
いて作製される。アルミニウム合金としては、アルミニウム-ネオジム合金(AlNd)
、アルミニウム・ネオジム-ニッケル合金(AlNdNi)、アルミニウム・カーボン・
ニッケル合金(AlCNi)、銅-ニッケル合金(CuNi)等を用いることができる。
例えば、第1ゲート電極150及び第2ゲート電極151は、アルミニウム(Al)、モ
リブデン-タングステン(MoW)合金、モリブデン-チタン(MoTi)合金等の膜で
形成される。
【0106】
選択トランジスタ138は、第1ゲート電極152、第1絶縁層210、第2酸化物半
導体層180b、第2絶縁層212、第2ゲート電極153が積層された構造を有する。
選択トランジスタ138は、第2酸化物半導体層180bが、第1ゲート電極152及び
第2ゲート電極153と重畳する領域にチャネルが形成される。第1ゲート電極152は
、シールド電極116と接して設けられる。
【0107】
第3金属酸化物導電層176c及び第4金属酸化物導電層176dは第1絶縁層210
と第2酸化物半導体層180bとの間に設けられる。第3金属酸化物導電層176c及び
第4金属酸化物導電層176dは、第2酸化物半導体層180bの下面と接して設けられ
ることで、ソース領域、ドレイン領域として機能する。第3金属酸化物導電層176cと
第4金属酸化物導電層176dとは、平面視において第1ゲート電極152及び第2ゲー
ト電極153両側から挟むように設けられる。
【0108】
第3金属酸化物導電層176cは、データ信号線108の下面に接して設けられる。デ
ータ信号線108は、第3金属酸化物導電層176cと直接接触することでコンタクトホ
ールを介して接続される場合と比べて接触面積が増大し、接触抵抗が低減される。
【0109】
第4金属酸化物導電層176dの上面にドレイン配線173が接して設けられる。第2
酸化物半導体層180bは、第4金属酸化物導電層176d及びドレイン配線173の上
面を覆うように設けられる。ドレイン配線173は、駆動トランジスタ136の第2ゲー
ト電極151と第7コンタクトホール168を介して接続される。
【0110】
図16Bに示す容量素子140は、ドレイン配線173、第4金属酸化物導電層176
d、第1絶縁層210、第4透明樹脂層202d、コモン配線144bが重畳する領域に
形成される。容量素子140は、第4金属酸化物導電層176d及びドレイン配線173
が一方の容量電極を形成し、コモン配線144bが他方の容量電極を形成する。容量素子
140は、選択トランジスタ138のドレイン電極とコモン配線144bとの間に設けら
れる。
【0111】
駆動トランジスタ136及び選択トランジスタ138は、第3絶縁層216で覆われる
。第3絶縁層216は、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン
樹脂、ポリアミド樹脂等の有機樹脂材料で形成される。第3絶縁層216は、これらの樹
脂組成物により形成されることで駆動トランジスタ136及び選択トランジスタ138を
埋め込む平坦化膜としての機能を有する。第3絶縁層216は、酸化シリコン膜、窒化シ
リコン膜等の無機絶縁膜で形成されていてもよい。
【0112】
図16Aに示すように、EL素子142は、透明樹脂基板200の側から、陰極に相当
する第1電極220、電子輸送層222(第1電子輸送層222a、第2電子輸送層22
2b)、電子注入層224、発光層226、正孔輸送層228、正孔注入層230、陽極
に相当する第2電極232が積層された構造を有する。EL素子は、便宜上、陽極の上に
正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極のように陽極側から積層する構造を順積み構造と
呼び、その逆の積層順を有する場合を逆積み構造と呼ばれることがある。
図16Aに示す
EL素子142は逆積み構造に分類される。
【0113】
第1電極220は第1金属酸化物導電層176aから連続し、第1電子輸送層222a
は、第1酸化物半導体層180aから連続する構造を有する。このような構造を有するこ
とにより駆動トランジスタ136とEL素子142とがコンタクトホールを用いずに接続
された状態が形成される。陰極に相当する第1電極220は、第1金属酸化物導電層17
6aと同じ金属酸化物導電材料で形成される。また、第1電子輸送層222aは、第1酸
化物半導体層180aと同じ酸化物半導体材料で形成される。
【0114】
EL素子142が形成される領域には、第3絶縁層216及び第2絶縁層212に第3
開口部234が設けられる。第3開口部234により、第1電極220の上層側に配置さ
れた第1電子輸送層222aの上面が露出される。第1電子輸送層222aの上には、第
2電子輸送層222b、電子注入層224、発光層226、正孔輸送層228、正孔注入
層230、陽極としての第2電極232が積層される。これらの積層体と、第1電極22
0とが重なる領域がEL素子142の発光領域となる。
【0115】
第1電極220の上層には、第1酸化物半導体層180aと同じ層で形成される第1電
子輸送層222aが設けられる。第1電子輸送層222aは、バンドギャップが3.0e
V以上であり可視光に対して透光性を有することが好ましい。第2電子輸送層222bは
、インジウム酸化物、亜鉛酸化物、ガリウム(Ga)酸化物、スズ(Sn)酸化物、マグ
ネシウム(Mg)酸化物、シリコン(Si)酸化物、ハフニウム(Hf)酸化物、タンタ
ル(Ta)酸化物、ニオブ(Nb)酸化物から選ばれた一種又は複数種の元素を含む金属
酸化物材料で形成される。これらの金属酸化物材料はバンドギャップが3.0eV以上で
あり、可視光に対して透光性を有する。第2電子輸送層222bは、50nm~1000
nmの膜厚で形成される。EL素子142は、第2電子輸送層222bがこの範囲の膜厚
を有することにより第1電極220と第2電極232との短絡が防止されている。
【0116】
第2電子輸送層222bのキャリア濃度は、第1電子輸送層222aのキャリア濃度の
10分の1以下、好ましくは100分の1以下であることが好ましい。具体的には、第2
電子輸送層222bのキャリア濃度が1013/cm3~1017/cm3であるのに対
し、第1電子輸送層222aのキャリア濃度は1015/cm3~1019/cm3の範
囲にあり、双方のキャリア濃度の差は上述のように1桁以上、好ましくは2桁以上差があ
ることが好ましい。第1電子輸送層222aは、キャリア濃度が1015/cm3~10
19/cm3の範囲にあることで、駆動トランジスタ136とEL素子142との接続に
おいて抵抗損失を低減し、駆動電圧の上昇を抑えることができる。第2電子輸送層222
bは、キャリア濃度が1020/cm3以上となると、発光層226における励起状態が
失活して発光効率が低下する。一方、第2電子輸送層222bのキャリア濃度が1013
/cm3未満であると、発光層226に供給されるキャリアが低減し十分な輝度を得るこ
とができない。このように、第1電子輸送層222aを第2電子輸送層222bと接して
設けると共に、双方のキャリア濃度を異ならせることで、駆動電圧の上昇を防ぎ、EL素
子142の発光効率を高めることができる。
【0117】
第1電子輸送層222a及び第2電子輸送層222bのキャリア濃度は、酸化物半導体
の酸素欠損の濃度により制御することができる。酸化物半導体の酸素欠損はドナーとして
作用する。酸化物半導体の酸素欠損密度を増加させるとキャリア濃度が増加し、酸素欠損
密度を低下させるとキャリア濃度が低下する。酸化物半導体の酸素欠損は、例えば、水素
を作用させることにより増加させることができ、酸素を供給することにより減少させるこ
とができる。
【0118】
EL素子において電子注入層は陰極から電子輸送層へ電子を注入するためのエネルギー
障壁を小さくするために用いられる。電子注入層224は第2電子輸送層222bから発
光層226へ電子が注入されやすくするために設けられる。電子注入層224は、第2電
子輸送層222bと発光層226との間に設けられる。
【0119】
電子注入層224は仕事関数が小さい材料が用いられる。電子注入層224は、例えば
、C12A7(12CaO・7Al2O3)エレクトライド、Mg0.3Zn0.7O、
Zn0.7Si0.3Oxを含む酸化物半導体材料で形成される。電子注入層224は1
nm~100nmの厚さで形成される。このような電子注入層224を用いることで第2
電子輸送層222bから発光層226へ注入される電子の量を増やすことができ、発光効
率を高めることができる。
【0120】
発光層226は、種々の発光材料の適用が可能である。発光層226は、例えば、蛍光
材料、燐光を発光する燐光材料、熱活性化遅延蛍光(TADF:Thermally Activated De
layed Fluorescence)材料を用いて形成される。発光層226は、画素104に含まれる
複数の副画素105に対応して発光色が異なる材料が用いられる。発光層226を白色発
光層とするには、青色発光層と黄色発光層とが積層された構造が用いられる。発光層22
6は、蒸着法、転写法、スピンコート法、スプレーコート法、グラビア印刷法等により作
製することができる。発光層226の膜厚は適宜選択されればよいが、例えば、10nm
~100nmの範囲で設けられる。
【0121】
正孔輸送層228は、例えば、アリールアミン系化合物、カルバゾール基を含むアミン
化合物、およびフルオレン誘導体を含むアミン化合物等で形成される。正孔輸送層228
は、真空蒸着法、塗布法等によって作製される。正孔輸送層228は、10nm~500
nmの膜厚で形成される。正孔注入層230が形成される場合、正孔輸送層228は省略
されてもよい。
【0122】
正孔注入層230は、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タン
グステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いて形成される。また、正孔注入層
230は、フタロシアニン(H2Pc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)
、ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボンニトリル(HAT-(CN)6)等の材料を
用いて形成される。正孔注入層230は、1nm~100nmの厚さで形成される。
【0123】
陽極に相当する第2電極232は、仕事関数が4.0eV以上の材料で形成されること
が好ましい。第2電極232は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウ
ム亜鉛(IZO)、酸化タングステン(WOx)及び酸化亜鉛(ZnO)を含有した酸化
インジウム(IWZO)等の導電性金属酸化物を用いて形成される。EL素子142はボ
トムエミッション型であるため、第2電極232は光反射面を有していることが好ましい
。前述の導電性金属酸化物は透光性を有しているので、アルミニウム(Al)、銀(Ag
)等の金属膜を積層させて光反射面を形成することが好ましい。
【0124】
図16A及び
図16Bでは省略されているが、EL素子142の上に酸素、水分の浸入
を遮断するパッシベーション膜が設けられていてもよい。
【0125】
このように、本実施形態に係る副画素105は、nチャネル型の駆動トランジスタ13
6とEL素子142とが接続された構造を有する。EL素子142は、ボトムエミッショ
ン型でありシールド電極116の側に光を出射する構造を有する。EL素子142は、電
子輸送層及び電子注入層が無機金属酸化物半導体材料で形成されるので、水分(H2O)
や酸素(O2)による発光特性の劣化を抑制する構造を有している。
【0126】
図17は、副画素105の他の構成を示す平面レイアウト図を示す。
図17で示される
副画素105は、選択トランジスタ138の第2ゲート電極153と走査信号線106a
が同じ導電層で形成された構造を有する。第2センサ電極114の上には第2補助電極2
07が設けられる(
図17は第2センサ電極114のパターンが省略され、第2補助電極
207のみが示されている)。第1遮光層208a及び第2遮光層208bは、第2補助
電極207と同じ金属膜で形成され、第2センサ電極114の上に設けられる。
【0127】
図18は副画素105の平面レイアウトを示し、
図15に示す副画素105に対して駆
動トランジスタ136とコモン電極144aとの接続構造が異なる態様を示す。また、図
19Aは、
図18に示すD5-D6線に対応する断面構造を示し、
図19BはD7-D8
線に対応する断面構造を示す。
【0128】
図18及び
図19Aに示すように、駆動トランジスタ136のソース配線170は、第
2ゲート電極151と同じ導電層で形成される接続配線172によってコモン電極144
aと接続される。接続配線172は、第2絶縁層212に形成された第8コンタクトホー
ル171によりソース配線170と接続され、第2絶縁層212、第1絶縁層210、及
び第4透明樹脂層202dに形成された第5コンタクトホール166によりコモン電極1
44aと接続される。このような接続構造によっても、
図4の等価回路に示す第1副画素
105r、第2副画素105g、及び第3副画素105bのそれぞれを実現することがで
きる。
【0129】
図20は副画素105の平面レイアウトを示し、
図18に示す副画素105に対して選
択トランジスタ138とデータ信号線108との接続構造が異なる態様を示す。また、図
21Aは、
図20に示すD9-D10線に対応する断面構造を示し、
図21BはD11-
D12線に対応する断面構造を示す。
【0130】
図20及び
図21Bに示すように、選択トランジスタ138のソース電極174は第2
ゲート電極153と同じ導電層で形成されるデータ信号線108と接続される。データ信
号線108は、第2絶縁層212の上に設けられ、第9コンタクトホール175を介して
ソース電極174と接続される。走査信号線106aは、第1絶縁層210よりも下層側
に設けられている。そのため、第2絶縁層212を薄く形成した場合であっても、第2ゲ
ート電極153と同じ層に設けられるデータ信号線108を走査信号線106aと交差す
るように設けても交差部での短絡を防止することができる。
【0131】
1-6.封止構造
図22Aは、第1センサ電極112と引き出し配線147との接続構造の一例を示す。
引き出し配線147は、第1センサ電極112と第2接続端子146bとを接続する配線
である。第1センサ電極112は、表示部102の外側領域で引き出し配線147と接続
される。引き出し配線147は、第2接続端子146bと同様に第4透明樹脂層202d
の上に設けられる。
図5に示す構造と同様に、シールド電極116は、第2接続端子14
6bの下まで延伸して設けられる。第2接続端子146bは、シールド電極116の上側
に設けられることで、フレキシブル回路基板126を接続するときの圧着処理に耐えるこ
とができ、第2接続端子146bの陥没、変形、及び剥離を防止することができる。
【0132】
シールド電極116は、第1開口部158を有する。この部分に第1開口部158の口
径よりも小さな孔径を有する第1コンタクトホール159が設けられる。第1コンタクト
ホール159は、第4透明樹脂層202d、第3透明樹脂層202c、及び第2透明樹脂
層202bを貫通し、第1センサ電極112の上面を露出させている。引き出し配線14
7は、第2接続端子146bから第1コンタクトホール159まで延伸され第1センサ電
極112と接続される。
【0133】
第4透明樹脂層202dの上に、第1絶縁層210、第2絶縁層212、及び第3絶縁
層216が設けられる。第3絶縁層216の上に第2電極232が設けられる。
図22は
、第2電極232の上層側に封止層236が設けられた状態を示す。封止層236の構造
は様々であるが、例えば、シリコン窒化炭素膜237a、窒化シリコン膜238、シリコ
ン窒化炭素膜237bが積層された構造を有する。
【0134】
引き出し配線147は、第3絶縁層216、封止層236に覆われた領域から外側(透
明樹脂基板200の端部側)に延伸され、第2接続端子146bと接続される。引き出し
配線147と第2接続端子146bとは同じ導電層で形成され、一つの連続するパターン
で形成される。
【0135】
図22Aは、透明樹脂基板200の端部近傍の領域に分断領域240を有する態様を示
す。透明樹脂基板200は製造工程において図示されない支持基板の上に設けられ、個々
のパネルに個片化するときに分断領域240で分断される。分断領域240には、表示パ
ネルを囲むように連続する開口溝が形成される。開口溝は、例えば、レーザ加工により形
成される。透明樹脂基板200は、分断領域240を形成した後レーザアブレーション加
工により支持基板から剥離される。
【0136】
図22Bは、
図7に示すようにシールド電極116が第2接続端子146bの領域まで
延伸しない構造を示す。この構造では、引き出し配線147及び第2接続端子146bの
下側に第1絶縁層210が設けられていることが好ましい。引き出し配線147は、第1
絶縁層210、第4透明樹脂層202d、第3透明樹脂層202c、及び第2透明樹脂層
202bを貫通する第1コンタクトホール159により第1センサ電極112と接続され
る。
【0137】
第2接続端子146bの下側にシールド電極116が設けられない場合でも、第1絶縁
層210が設けられることで、フレキシブル回路基板126を接続するときの圧着処理に
耐えることができ、第2接続端子146bの陥没、変形、及び剥離を防止することができ
る。なお、図示されないが、第2接続端子146bの下層側に第1絶縁層210及びシー
ルド電極116の両方が設けられていても同様の効果を得ることができる。また、
図22
A及び
図22Bには示されないが、端子部における第1接続端子146aの構造も第2接
続端子146bと同様であり、同様の効果を得ることができる。
【0138】
【0139】
図23Aは、第2接続端子146bの下にシールド電極116が設けられた構造を有し
、かつ引き出し配線147の上に第2絶縁層212が設けられた構造を有する。第2絶縁
層212は、引き出し配線147の上面及び側面を覆い、図示されないが引き出し配線1
47が設けられない領域では第4透明樹脂層202dに接して設けられる。第2絶縁層2
12は、第3絶縁層216の外側(第2接続端子146bの側)に延伸して設けられる。
第2絶縁層212は、第3絶縁層216の外側で封止層236と接する領域を有する。
【0140】
第2絶縁層212と封止層236とは、無機絶縁材料で形成される絶縁膜を含む。この
ような第2絶縁層212と封止層236とが、第3絶縁層216の外側で接して設けられ
ることで、封止性能を高めることができる。
図16Aに示すように、EL素子142を形
成する層は第3絶縁層216に接して設けられる。EL素子142に接する第3絶縁層2
16が、第2絶縁層212と封止層236とで挟まれて、かつ第3絶縁層216の端部が
、第2絶縁層212及び封止層236の外側端部より内側に設けられることでEL素子1
42の劣化を防止する性能を高めることができる。さらに、第2絶縁層212は、引き出
し配線147の保護膜としての機能を有するので、配線の劣化及び損傷を防止することが
できる。他の構造は
図22Aと同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0141】
図23Bは、第2接続端子146bの下に第1絶縁層210が設けられた構造を有し、
かつ引き出し配線147の上に第2絶縁層212が設けられた構造を有する。この構造も
、
図23Aに示す構造と同様に封止性能を高めることができる。他の構造は
図22Bと同
様であり、同様の作用効果を得ることができる。なお、
図23Bには図示されないが、第
2接続端子146bの下層側に第1絶縁層210及びシールド電極116の両方が設けら
れていても同様の効果を得ることができる。
【0142】
【0143】
図24A及び
図24Bは、第2接続端子146bの下にシールド電極116が設けられ
た構造を有し、かつ引き出し配線147及び第2接続端子146bの下に第1絶縁層21
0及び第2絶縁層212が設けられた構造を有する。第1絶縁層210及び第2絶縁層2
12は、第2接続端子146bの下側全面に設けられるので、フレキシブル回路基板12
6を接続するときの圧着処理に耐えることができ、第2接続端子146bの陥没、変形、
及び剥離に対する耐性をより高めることができる。
【0144】
また、第3絶縁層216外側の領域で、封止層236が引き出し配線147と接し、及
び第2絶縁層212とも接する(図示されず)領域を有するので封止性能を高めることが
でき、EL素子142の劣化を防止することができる。
【0145】
【0146】
図25A及び
図25Bに示すように、第1センサ電極112と第2接続端子146bの
接続構造は、複数のコンタクトホールと複数の引き出し配線とによって接続される構造を
有する。具体的には、第2透明樹脂層202bにコンタクトホール169aが形成され、
第1引き出し配線147aが第1センサ電極112と接続され、第3透明樹脂層202c
にコンタクトホール169bが形成され、第2引き出し配線147bが第1引き出し配線
147aと接続され、第4透明樹脂層202dにコンタクトホール169cが形成され、
第3引き出し配線147cが第2引き出し配線147bと接続された構造を有する。
【0147】
第1引き出し配線147aを第1センサ電極112と接続するために設けられるコンタ
クトホール169aと、第2引き出し配線147bを第1引き出し配線147aと接続す
るためのコンタクトホール169bの位置は異なっている。また。第2引き出し配線14
7bを第1引き出し配線147aと接続するためのコンタクトホール169bの位置と、
第3引き出し配線147cを第2引き出し配線147bと接続するためのコンタクトホー
ル169cの位置は異なっている。このように、複数のコンタクトホールの位置をずらし
て設けることで、一段当たりのコンタクトホールの深さを浅くすることができ、引き出し
配線の接続を確実に形成することができる。
【0148】
【0149】
1-7.フレキシブル回路基板及び集積回路
図26は、表示部102及びタッチ及び指紋センサ部110が設けられた透明樹脂基板
200の構成と、第2駆動回路128が設けられるフレキシブル回路基板126の構成を
示す。
【0150】
フレキシブル回路基板126は、フィルム基材127に設けられた第3接続端子148
a、第4接続端子148b、第5接続端子148c、第6接続端子149、及び配線群1
29a、129bを含む。配線群129は、第3接続端子148a~第5接続端子148
cと第2駆動回路128との間、及び第2駆動回路128と第6接続端子149との間を
接続する。第3接続端子148aは、透明樹脂基板200側の第1接続端子146aと接
続され、第4接続端子148bは、透明樹脂基板200側の第2接続端子146bと接続
され、第5接続端子148cは、透明樹脂基板200側の第1駆動回路118に接続され
る接続端子と接続される。第6接続端子149は、タッチ及び指紋センサ付き表示装置1
00を駆動する外部回路と接続される。
【0151】
第2駆動回路128は、
図5で示すように、第1走査信号線駆動回路ブロック、データ
信号線駆動回路ブロック、タッチ及び指紋センサ検出回路ブロックが一体化された複合集
積回路である。第2駆動回路128はCOF(Chip on Film)によりフィルム基材127
の表面に実装される。
【0152】
図27は、フレキシブル回路基板126の平面図を示す。フレキシブル回路基板126
は、ポリイミド等で形成されるフィルム基材127の第1の側に第3接続端子148a、
第4接続端子148b、及び第5接続端子148cが設けられ、第1の側と反対の第2の
側に第6接続端子149が設けられる。第2駆動回路128は、フィルム基材127の中
央側の領域に実装される。
図27は、第2駆動回路128が実装される領域を点線で示す
。
【0153】
第3接続端子148a、第4接続端子148b、及び第5接続端子148cと第2駆動
回路128との間の領域には配線群129aが設けられる。第2駆動回路128と第6接
続端子149との間の領域には配線群129bが設けられる。配線群129bのそれぞれ
の配線は、第6接続端子149から第2駆動回路128のパッド135が位置する領域に
引き込まれている。配線群129aのそれぞれの配線は、第2駆動回路128のパッド1
35が位置する領域から第3接続端子148a、第4接続端子148b、及び第5接続端
子148cまで引き出されている。
【0154】
第2駆動回路128のパッド135は、機能ブロックに対応して設けられる。すなわち
、第2駆動回路128のパッド135は、走査信号線駆動回路ブロック130、データ信
号線駆動回路ブロック132、タッチ及び指紋センサ検出回路ブロック134に対応して
、それぞれの回路ブロックの領域に配置される。配線群129a、129bのそれぞれの
配線とパッド135との接続は導電性材料により接続される。また、第3接続端子148
a、第4接続端子148b、及び第5接続端子148cと、透明樹脂基板200側の接続
端子との接続も導電性材料により接続される。
【0155】
図28は、
図7に示す切替回路120及び第1センサ電極112の構成に対応し、端子
部122にフレキシブル回路基板126が重ねられ、導電性材料で接続端子が接続された
状態を示す。フレキシブル回路基板126は、透明樹脂基板200の端子部122に設け
られた第1接続端子146a及び第2接続端子146bに対応して、第3接続端子148
a及び第4接続端子148bが設けられる。
図5を参照して説明したように、第1接続端
子146aは切替回路120に接続され、第2接続端子146bはシールド電極116の
第1開口部158の内側の領域に設けられた第1コンタクトホール159を介して第1セ
ンサ電極112と接続される。
【0156】
第1接続端子146aと第3接続端子148a、及び第2接続端子146bと第4接続
端子148bとは離間した状態で対向配置される。第1接続端子146aと第3接続端子
148aとの間には少なくとも1つの導電性粒子242が設けられる。少なくとも1つの
導電性粒子242は、第1接続端子146aと第3接続端子148aとの間で加圧変形し
た状態で保持される。少なくとも1つの導電性粒子242は第1接続端子146a及び第
3接続端子148aに接触している。第1接続端子146aと第3接続端子148aとは
、少なくとも1つの導電性粒子242により電気的に接続される。第2接続端子146b
と第4接続端子148bとの間にも同様に導電性粒子が設けられる。なお、少なくとも1
つの導電性粒子242は、複数の導電性粒子から成っていることが好ましい。
【0157】
導電性粒子242は、樹脂244の中に分散された状態で第1接続端子146a(又は
第3接続端子148a)の上に配置される。この状態で第1接続端子146aと第3接続
端子148aとを対向させ、導電性粒子242が加圧変形する程度にまで両者の間隔を狭
めると、導電性粒子242が樹脂244からはみ出して第1接続端子146a及び第3接
続端子148aと直接接触させることができる。
【0158】
樹脂244の中には複数の導電性粒子242が含まれていることが好ましい。例えば、
一つの樹脂244の領域の中に2~7個の導電性粒子242が含まれていることが好まし
い。その結果、第1接続端子146aと第3接続端子148aとの間に複数の導電性粒子
242が介在することになり、電気的な接続を確実に図ることができる。
【0159】
図28に示すように、複数の導電性粒子242を含む樹脂244は、第1接続端子14
6aと第3接続端子148aとの間で複数箇所に分散するように配置される。換言すれば
、第1接続端子146aと第3接続端子148aとの間には、導電性粒子242が、その
数及び位置が制御された状態で配置される。このように、第1接続端子146aと第3接
続端子148aとの間の領域に、導電性粒子242の数及び位置を制御した状態で配置す
ることで、電気的な接続状態を確実に形成することができ、また隣接する接続端子と短絡
することを防止することができる。このような構成は、接続端子のピッチが狭くなった場
合において有効に作用する。
【0160】
導電性粒子242の直径は2μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましい。こ
のような大きさであれば、接続端子のピッチが30μm以下になっても隣接する接続端子
間の短絡を防止することができる。また、
図28に示すように、導電性粒子242を含む
樹脂244が接続端子間に複数箇所に離散するように配置される場合は、その離散する間
隔は5μm以上であることが好ましい。このような配置にすることで、導電性粒子242
を含む樹脂244が第1接続端子146a及び第3接続端子148aからはみ出さないよ
うにすることができ、第1接続端子146a及び第3接続端子148aの間隔を一定に保
つことができる。
【0161】
導電性粒子242の構造、形状、材質に限定はないが、例えば、高硬質樹脂材料をゴム
状弾性樹脂で被覆した粒子核、又は高硬質無機材料をゴム状無機弾性体で被覆した粒子核
を、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)等の金属で被覆した金属被覆粒子であっ
てもよい。また、導電性粒子242の形状は球形に限定されず、長球状、コンペイトー型
であってもよい。
【0162】
樹脂244は硬化性樹脂材料が用いられる。硬化性樹脂材料はラジカル重合型樹脂を含
む。ラジカル重合型樹脂材料としては、(メタ)アクリルモノマーまたは(メタ)アクリ
レートオリゴマーであることが好ましく、エステル型で結合しているものがより好ましい
。(メタ)アクリルオリゴマーは、(メタ)アクリロイル基を少なくとも1つ以上有する
もので、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレ
ート、ポリブタジエンアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレー
ト、シリコーン樹脂アクリレート、メラミンアクリレート等を用いることができる。単官
能性、多官能性のどちらでも良いが、多官能性モノマーまたはオリゴマーを含むことがよ
り好ましい。硬化性樹脂材料は、(メタ)アクリレートモノマーおよび(メタ)アクリレ
ートオリゴマーから2種類以上を選択して構成してもよい。
【0163】
図示されないが、樹脂244の周りには第2樹脂が設けられていてもよい。第2樹脂は
硬化性樹脂材料が用いられる。硬化性樹脂材料としては、フルオレン系アクリレートを用
いることができ、また、アリルエーテル基、ビニルエーテル基、アクリレート基及びメタ
クリレート基からなる群より選択される官能基を分子内に2以上有するエン化合物又は上
記エン化合物の2種以上の混合物であるエン化合物、及び、1分子中に2個以上のチオー
ル基を有するチオール化合物を含むエン/チオール系硬化性樹脂を酸化性化合物処理する
ことによって得られたものを用いてもよい。
【0164】
樹脂244及び第2樹脂は、さらに光硬化開始成分を含む。光硬化開始成分は、光ラジ
カル開始剤であって、紫外線または可視光線を照射することにより、ラジカルを発生する
化合物であれば良い。紫外線ラジカル開始剤としては、例えば、アセトフェノン系開始剤
、ベンゾインエーテル系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、αジケトン系開始剤、および
チオキサントン系開始剤等を用いることができる。
【0165】
導電性粒子242を含む樹脂244は印刷法によって第1接続端子146a(又は第3
接続端子148a)の上に設けることができる。印刷法としては、オフセット印刷法が用
いられる。インクに相当する樹脂244が導電性粒子242を含むことから、オフセット
印刷法の中でも凹版を使用するパッド印刷法を用いることが好ましい。
【0166】
導電性粒子242を含む樹脂244を印刷法で第1接続端子146a(又は第3接続端
子148a)に配置して、透明樹脂基板200にフレキシブル回路基板126を接続する
ので、接続端子が微細化し、ピッチが狭くなっても正確に接続することができる。本実施
形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置100は、タッチ及び指紋センサ部110
の第1センサ電極112が微細化されていることにより、センサ信号を取り出す接続端子
の数が増加する。
図26に示すように、端子部122の中に表示部102に映像を表示す
るための信号を入力する接続端子と、タッチ及び指紋センサ部110用の接続端子を同じ
配列の中に含ませることで狭ピッチ化した場合であっても、導電性粒子242を含む樹脂
244によってフレキシブル回路基板126と接続をすることで、フレキシブル回路基板
126を端子部122に貼り合わせて電気的な接続を形成することができる。
【0167】
図29は、
図8に示す切替回路120及び第1センサ電極112の構成に対応し、端子
部122にフレキシブル回路基板126が重ねられ、導電性材料で接続端子が接続された
状態を示す。
図29は、画素104の2列の配列に対して1本の第1センサ電極112が
設けられる。そのため、端子部122に設けられ切替回路120に接続される第1接続端
子146aと、フレキシブル回路基板126に設けられる第3接続端子148aとは近接
して設けられる。このような接続端子の配列であっても、第1接続端子146aと第3接
続端子148aを接続する際に、樹脂244の中に個数が制御された状態で分散された導
電性粒子242を用いることで隣接する端子間の短絡を防ぐことができる。
【0168】
図30は、第2駆動回路128が、複数の機能が集積された複合集積回路で構成される
例を示す。本実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置100はこの例に限定さ
れず、
図30に示すように、表示部102を駆動するドライバIC125aとタッチ及び
指紋センサを駆動するドライバIC125bとが別々のICチップで形成されてフレキシ
ブル回路基板126に実装されていてもよい。
【0169】
図31は、表示部102を駆動するドライバIC125aとタッチ及び指紋センサを駆
動するドライバIC125bとが実装されたフレキシブル回路基板126の平面図を示す
。第1センサ電極112の信号が出力される配線は、表示部を駆動するドライバIC12
5aの領域を通過し、タッチ及び指紋センサを駆動するドライバIC125bに達するよ
うに配設される。表示部を駆動するドライバIC125aと第6接続端子149とを接続
する配線は、タッチ及び指紋センサを駆動するドライバIC125bの領域を通過し第6
接続端子149に達するように配設される。
【0170】
表示部を駆動するドライバIC125aは、走査信号線駆動回路ブロック130とデー
タ信号線駆動回路ブロック132に区画されていてもよい。本実施形態は、
図2に示すよ
うに、第1駆動回路118が走査信号線駆動回路と第2センサ電極114の駆動回路を兼
ねている。第1駆動回路118に対し、走査信号線を駆動する信号は表示部を駆動するド
ライバIC125aから出力され、第2センサ電極の駆動を制御する信号は、タッチ及び
指紋センサを駆動するドライバIC125bから出力される。
【0171】
図30及び
図31に示すように、表示部を駆動するドライバICとタッチ及び指紋セン
サ部を駆動するドライバICとを個別に設ける場合であっても、配線構造を変更すること
によりフレキシブル回路基板126に2つのドライバICを実装することができる。
【0172】
本実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置によれば、データ信号線を切替回
路に接続することで、タッチ及び指紋センサ部を設けた場合であっても接続端子の増加を
抑制することができる。別言すれば、データ信号線を切替回路に接続することで、第1セ
ンサ電極(レシーバ電極)を高密度に配置しても接続端子の増加を抑制することができる
。その結果、端子部においてフレキシブル回路基板との接続不良を低減することができる
。
【0173】
本実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置によれば、タッチ及び指紋センサ
部110の第2センサ電極(トランスミッタ電極)と表示部102の走査信号線とを接続
することで、表示部102の走査信号線を第2センサ電極の抵抗を低減する補助電極とし
て併用することができる。また、走査信号線を第2センサ電極と接して設け、第2ゲート
電極と走査信号線とをコンタクトホールを介して接続することで、第2ゲート絶縁層を薄
くしてもデータ信号線と走査信号線との短絡を防止することができ、トランジスタ(薄膜
トランジスタ)の駆動能力を高めることができる。さらに、走査信号線を第2センサ電極
に接する金属層で形成することで、当該金属層でトランジスタに対する遮光層を形成する
ことができる。
【0174】
[第2実施形態]
図32は、画素104が配列された表示部102、第1センサ電極112及び第2セン
サ電極114が配置されたタッチ及び指紋センサ部110、第1駆動回路118、切替回
路120、端子部122、フレキシブル回路基板126が設けられたタッチ及び指紋セン
サ付き表示装置100を示す。第1駆動回路118は、走査信号線に走査信号及び第2セ
ンサ電極114にスキャン信号を出力する走査信号線駆動回路118aと、走査線と第2
センサ電極114との接続を切り替える出力切替回路118bとを含む。
【0175】
第2駆動回路128は、第1実施形態と同様に異なる機能を有する回路ブロックが一体
化された複合集積回路で形成されていてもよい。走査信号線駆動回路118a及び出力切
替回路118bの制御信号は、走査信号線駆動回路ブロック130から出力される。
【0176】
図33は、
図9に示す第2センサ電極114の配列に対応する出力切替回路118bの
一例を示す。出力切替回路118bは、第1駆動回路118の出力に対し、走査信号線(
G_1)に接続される第1スイッチング素子141_1と第2センサ電極114(SC_
1)に接続される第2スイッチング素子145_1を含む。第1スイッチング素子141
_1と第2スイッチング素子145_1は並列に接続される。走査信号線(G_1~G_
n)に対して第1スイッチング素子141_1~141_nが設けられ、第2センサ電極
114(SC_1~SC_n)に対して第2スイッチング素子145_1~145_nが
設けられる。第1スイッチング素子141_1と第2スイッチング素子145_1はトラ
ンジスタで形成され、オンオフを制御するゲートが第1出力切替信号線143a、第2出
力切替信号線143bに接続される。第1出力切替信号線143a及び第2出力切替信号
線143bは第2駆動回路128に接続されており、走査信号線駆動回路ブロック130
から出力される制御信号によりオンオフが制御される。
【0177】
表示期間において、第1出力切替信号線143aの制御信号により第1スイッチング素
子141_1~141_nがオンになり、第2出力切替信号線143bの制御信号により
第2スイッチング素子145_1~145_nがオフになり、走査信号線(G_1~G_
n)に走査信号が順次出力される。センシング期間においては、第1出力切替信号線14
3aの制御信号により第1スイッチング素子141_1~141_nがオフになり、第2
出力切替信号線143bの制御信号により第2スイッチング素子145_1~145_n
がオンになり、第2センサ電極114(SC_1~SC_n)にスキャン信号が順次出力
される。このように、第1駆動回路118は、第1スイッチング素子141_1~141
_n及び第2スイッチング素子145_1~145_nにより、走査信号線(G_1~G
_n)及び第2センサ電極114(SC_1~SC_n)を切り替えることにより、表示
部102を駆動する走査信号線駆動回路とタッチ及び指紋センサ部110のスキャン回路
とを共通化することができる。
【0178】
図34は、
図10に示す第2センサ電極114の配列に対応する切替回路118bの構
成を示す。
図10は、画素104の2行に対して1本の第2センサ電極114が配設され
るため、第2センサ電極114の本数は走査信号線の本数の半分となる。そのため、出力
切替回路118bは、第1駆動回路118の出力に対し、走査信号線(G_1)に接続さ
れる第1スイッチング素子141_1と第2センサ電極114(SC_1)に接続される
第2スイッチング素子145_1とが並列に設けられる回路と、第2走査信号線(G_2
)に接続される第1スイッチング素子141_2のみの回路とが交互に配置された構成を
有する。
図34に示す切替回路118bの構成によっても同様に走査信号線(G_1~G
_n)及び第2センサ電極114(SC_1~SC_(n+1)/2)を切り替えてタッ
チ及び指紋センサ付き表示装置100を駆動することができる。
【0179】
図32に示すタッチ及び指紋センサ付き表示装置は、第1駆動回路118の構成が異な
る他は第1実施形態に示すタッチ及び指紋センサ付き表示装置と同様であり、同様の作用
効果を得ることができる。
【0180】
[第3実施形態]
本実施形態は、第1実施形態に対し、走査信号及びスキャン信号を出力する駆動回路の
構成が異なっているタッチ及び指紋センサ付き表示装置の一例を示す。以下の説明におい
ては、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0181】
図35は、画素104が配列された表示部102、第1センサ電極112及び第2セン
サ電極114が配置されたタッチ及び指紋センサ部110、第1駆動回路118、切替回
路120、端子部122、フレキシブル回路基板126が設けられたタッチ及び指紋セン
サ付き表示装置100を示す。第1駆動回路118は、走査信号線に走査信号を出力する
走査信号線駆動回路118cと第2センサ電極114にスキャン信号を出力するスキャン
回路118dとの2つの回路ブロックに分けられている。
【0182】
第2駆動回路128は、第1実施形態と同様に異なる機能を有する回路ブロックが一体
化された複合集積回路で形成されていてもよい。表示部102の走査信号線駆動回路11
8c及びタッチ及び指紋センサ部110のスキャン回路118dへの制御信号は走査信号
線駆動回路ブロック130から出力される。
【0183】
図35に示すタッチ及び指紋センサ付き表示装置100は、走査信号線駆動回路118
cとスキャン回路118dとが独立した2つの回路ブロックで形成されていることにより
画像の表示とタッチ及び指紋センサのセンシングを同時に行うことができる。
【0184】
図36Aは、
図35に示す構成に対応する第2センサ電極114の平面図を示す。
図3
6Bは、また、第2センサ電極114の上に設けられる走査信号線106、選択トランジ
スタ138を点線で示す。
図36Bは、
図36Aに示すC7-C8間に対応する断面構造
を示し、
図36CはC9-C10間に対応する断面構造を示す。
【0185】
図36Aに示すように、第2センサ電極114は第2センサ電極層206及び第2補助
電極207で構成される。
図36Bに示すように、第2センサ電極114と走査信号線1
06との間には、第4透明樹脂層202d、第1絶縁層210、及び第2絶縁層212が
設けられ、両者は絶縁されている。このような配線構造によれば、第2センサ電極114
に対するスキャン信号と走査信号線106に対する走査信号とを同時に入力することがで
きる。すなわち、タッチ及び指紋センサ付き表示装置100は、画像を表示しながら指紋
の検出を行うことができる。
【0186】
図37は、
図35に示すタッチ及び指紋センサ付き表示装置100のタイミングチャー
トを示す。
図37に示すように、本実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置1
00は、表示期間とセンシング期間が同じタイミングで出現する。本実施形態に係るタッ
チ及び指紋センサ付き表示装置100は、第1駆動回路118において、表示部102の
走査信号線駆動回路118cとタッチ及び指紋センサ部110のスキャン回路118dと
が独立した回路ブロックで設けられており、また第2駆動回路128においてデータ信号
線駆動回路ブロック132とタッチ及び指紋センサ検出回路ブロック134も独立した回
路ブロックで設けられているため画像の表示とセンシングを同時に行うことが可能である
。
【0187】
本実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置100によれば、例えば、動画を
表示しながらタッチ又は指紋のセンシングをすることができる。他構成は、第1実施形態
におけるタッチ及び指紋センサ付き表示装置と同じであり、同様の効果を奏することがで
きる。
【0188】
[第4実施形態]
本実施形態は、第1実施形態に示すタッチ及び指紋センサ付き表示装置100に対し、
透明樹脂基板200の一部を超薄型強化ガラス(Ultra-Thin Glass:UTG)で置き換え
た一例を説明する。
【0189】
図38は、透明樹脂基板200の一部に超薄型強化ガラスが用いられたタッチ及び指紋
センサ付き表示装置100を示す。具体的に本実施形態に係る透明樹脂基板200は、図
16A及び
図16Bに示す透明樹脂基板200の構造において、第1透明樹脂層202a
に超薄型強化ガラスが適用される。適用される超薄型強化ガラスの厚さは25μm~50
μm、例えば30μmである。
図38に示すように、本実施形態に係る透明樹脂基板20
0は、破損を防ぐために、4つの角部が半径(R)2mm~5mmのラウンド形状に加工
されている。超薄型強化ガラスは折り曲げ可能であり、このような透明樹脂基板200を
用いたタッチ及び指紋センサ付き表示装置100は、表示画面を折り畳むことのできる電
子機器(例えば、スマートフォン、タブレット端末等)に適用することができる。なお、
本実施形態に係る構成は第2実施形態及び第3実施形態に示すタッチ及び指紋センサ付き
表示装置に適用することができる。
【0190】
[第5実施形態]
本実施形態は、駆動回路の実装方式として、チップ・オン・プラスチック(Chip On Pl
astic:COP)による実装方法を採用したタッチ及び指紋センサ付き表示装置の一例を
示す。
【0191】
図39は、透明樹脂基板200の一部に超薄型強化ガラスが用いられたタッチ及び指紋
センサ付き表示装置100を示す。表示部102、タッチ及び指紋センサ部110、第1
駆動回路118、切替回路120、端子部122、及び透明樹脂基板200は、第4実施
形態に示すものと同様である。一方、本実施形態においては、第2駆動回路128が透明
樹脂基板200に実装されている点で相違する。
【0192】
第4実施形態で示す透明樹脂基板と同様に、本実施形態の透明樹脂基板200も4つの
角部は半径(R)2mm~5mmのラウンド形状に加工される。透明樹脂基板200に超
薄型強化ガラスを用いる場合、このような角部の形状を有することによりアセンブリ工程
において4隅の破損を防止し、歩留まりを向上させることができる。
【0193】
図40は、第2駆動回路128が実装される領域と端子部122の断面構造を示す。第
2駆動回路128は、第1パッド135a及び第2パッド135bを含む。第1パッド1
35aは第1接続端子146aと導電性粒子242を介して接続され、第2パッド135
bは第2接続端子146bと導電性粒子242を介して接続される。第2駆動回路128
は、非加熱室温加圧実装技術を採用することで透明樹脂基板200に実装することができ
る。導電性粒子242は樹脂244に分散されており、この詳細は
図28の説明の中で詳
細に述べた通りである。
【0194】
第2駆動回路128が実装される領域の外側に端子部122が設けられる。
図40は、
シールド電極116、第1絶縁層210が、第2駆動回路128が実装される領域から端
子部122の領域まで延伸された構造を示す。このような構造とすることで、第2駆動回
路128を実装する領域の剛性を高めることができ、接続端子の変形や剥離を防止するこ
とができる。それにより、第2駆動回路128を接続する工程の歩留まりを向上させるこ
とができる。また、第4透明樹脂層202dに剛性の高いパラ系ポリアミド樹脂を用いる
とさらに好ましい。
【0195】
図39及び
図40に示すように、透明樹脂基板200に第2駆動回路128をCPOで
実装することによっても、タッチ及び指紋センサ付き表示装置100を実現することがで
きる。本実施形態に係るタッチ及び指紋センサ付き表示装置100は、第2駆動回路12
8が透明樹脂基板200上に実装されたことによりフレキシブル回路基板が省略され、部
品点数及び製造工程を削減することができる。
【0196】
[第6実施形態]
本実施形態は、画素104の回路構成が第1実施形態とは異なる態様を有するタッチ及
び指紋センサ付き表示装置100の構成を示す。
【0197】
図41は、画素104の等価回路の一例であって、電圧書き込み方式の画素回路の一例
を示す。第1実施形態で説明するように、画素104は第1副画素105r、第2副画素
105g、第3副画素105bを含むが、
図41は第1副画素105rと第2副画素10
5gの構成を詳細に示す。画素104は、第1副画素105rの列、第2副画素105g
の列、及び第3副画素105bの列がストライプ状に配列する構成を有する。
【0198】
第1副画素105rは、駆動トランジスタ136r、選択トランジスタ138r、容量
素子140r、及びEL素子142rを含み、第2副画素105gは、駆動トランジスタ
136g、選択トランジスタ138g、容量素子140g、及びEL素子142gを含む
。第1副画素105rの選択トランジスタ138rは、第2ゲート電極が走査信号線10
6(GBn)に接続されソース側がデータ信号線108(Dm)に接続される。第2副画
素105gの選択トランジスタ138gは、第2ゲート電極が走査信号線136(GAn
)に接続されソース側がデータ信号線108(Dm+1)に接続される。また、第3副画
素105bの選択トランジスタ138bは、第2ゲート電極が走査信号線136(GBn
)に接続されソース側がデータ信号線108(Dm+1)に接続される。このように、本
実施形態に係る画素回路は、隣接する副画素の選択トランジスタの第2ゲート電極が異な
る走査信号線に接続され、かつソース側が同じデータ信号線に接続される構成を有する。
また、画素104は、コモン配線144が第1副画素105rの列Lrと第2副画素10
5gの列Lgとで共有するように配設されている。
【0199】
図42は、
図41に示す画素104を駆動するときのタイミングチャートを示す。
図4
2は、走査信号線106(GAn)の走査信号が時刻t
-1でローレベル(Lレベル)か
らハイレベル(Hレベル)に遷移して選択トランジスタ138gがオンとなり、これに同
期してデータ信号線108(Dm+1)にデータ信号が入力され第2副画素105gにデ
ータが書き込まれ、時刻t
0で走査信号がLレベルに遷移して選択トランジスタ138g
がオフとなり、同時に走査信号線106(GBn)の走査信号が時刻t
0でローレベル(
Lレベル)からハイレベル(Hレベル)に遷移して選択トランジスタ138r及び選択ト
ランジスタ138bがオンとなり、これに同期してデータ信号線108(Dm)及びデー
タ信号線108(Dm+1)にデータ信号が入力され第1副画素108r及び第3副画素
108bにデータが書き込まれ、時刻t
1で走査信号がLレベルに遷移して選択トランジ
スタ138r及び選択トランジスタ1438bがオフとなる動作を示す。
【0200】
このように、隣接する副画素(第1副画素105rと第2副画素105g、第2副画素
105gと第3副画素105b)の選択トランジスタが異なる走査信号線に接続されるこ
とで、隣接する副画素(例えば、第2副画素105bと第3副画素105b)同士でデー
タ信号線108(Dm+1)を共有し、それぞれ異なるタイミングでデータを書き込むこ
とができる。このような画素回路の構成により、データ信号線の本数を減らすことができ
る。すなわち、端子部122における接続端子の数を減らすことができる。
【0201】
図43は、画素104の等価回路の一例であって、電流書き込み方式の画素回路の一例
を示す。画素104は第1副画素105r、第2副画素105g、第3副画素105bを
含むが、
図43は第1副画素105rと第2副画素105gの構成を詳細に示す。
【0202】
第1副画素105rは、第1トランジスタ138r(選択トランジスタ)、第2トラン
ジスタ139r、駆動トランジスタ136r、発光制御トランジスタ137r、容量素子
140r、及びEL素子142rを含む。第1トランジスタ138r及び第2トランジス
タ139rは、第2ゲート電極が走査信号線106(GBn)に接続されソース側がデー
タ信号線108(Dm)に接続される。第1トランジスタ138rのドレイン側が駆動ト
ランジスタ136の第2ゲート電極及び容量素子140に接続され、データ信号を書き込
むタイミングを制御するために用いられる。第2トランジスタ139rは、駆動トランジ
スタ136のドレインに接続され、第1トランジスタ138rと同じタイミングでオンオ
フ動作が制御され、駆動トランジスタ136rのしきい値電圧を補償するために設けられ
る。発光制御トランジスタ137rはEL素子142rと駆動トランジスタ136rとの
間に直列に接続され、第2ゲートが第2走査信号線107(En)に接続されてEL素子
142rの発光のタイミングを制御する。第2副画素105gも同様の構成を有する。
【0203】
第2走査信号線107と第1トランジスタ138rのドレインとの間には、第2容量素
子274rが設けられていてもよい。第2容量素子274rを設けることで、第1トラン
ジスタ138rが立ち下がったときのゲート-ドレイン間容量Cgdの変動に伴い、容量
素子140rの電圧がΔVgdだけ変動することを抑制することができる。
【0204】
なお、図示されないが、第1副画素105rの列Lrと同様の構成を有し第1トランジ
スタ及び第2トランジスタのソース側がデータ信号線108(Dm+1)に接続され、第
2ゲート電極が走査信号線106(GBn)に接続され、発光制御トランジスタの第2ゲ
ート電極が第2走査信号線107(En)に接続される第3副画素105bの列を有する
。
【0205】
図44は、
図43に示す画素104を駆動するときのタイミングチャートを示す。
図4
4は、走査信号線106(GAn)の走査信号が時刻t
0でローレベル(Lレベル)から
ハイレベル(Hレベル)に遷移して第1トランジスタ138g及び第2トランジスタ13
9gがオンとなり、これに同期してデータ信号線108(Dm+1)にデータ信号が入力
され第2副画素105gにデータが書き込まれ、また、駆動トランジスタ136gのしき
い値電圧を補償する動作が行われる。時刻t
1で走査信号線106(GAn)の走査信号
がLレベルに遷移して第1トランジスタ138g及び第2トランジスタ139gがオフと
なり、同時に走査信号線106(GBn)の走査信号が時刻t
1でローレベル(Lレベル
)からハイレベル(Hレベル)に遷移して第1トランジスタ138r及び第2トランジス
タ139rがオンとなり、これに同期してデータ信号線108(Dm)にデータ信号が入
力され第1副画素108rでデータの書き込みと駆動トランジスタ136rのしきい値電
圧を補償する動作が行われる。このようなデータ書き込み期間において、第2走査信号線
107(En)はLレベルとなっており、発光制御トランジスタ137r、137gはオ
フとなっている。
【0206】
データ書き込み期間が終了すると、発光期間に遷移する。すなわち、第2走査信号線1
07がLレベルからHレベルに遷移して発光信号が入力され、発光制御トランジスタ13
7r、137gがオンになる。これにより、第1副画素105r及び第2副画素108g
では駆動トランジスタ136r、136gのドレイン電流に応じた電流がEL素子142
r、142gに流れ発光する。
【0207】
隣接する副画素(第1副画素105rと第2副画素105g)の選択トランジスタが異
なる走査信号線に接続されることで、データ信号線108の本数を削減することができ、
端子部122における接続端子の数を減らすことができる。
【0208】
図47は、
図41及び
図43に示すデータ信号線108とコモン配線144の配置を示
す。データ信号線108は第4透明樹脂層202dよりも上層側に設けられるのに対し、
コモン配線144は第3透明樹脂層202cと第4透明樹脂層202dとの間であって、
シールド電極116と接するように設けられる。シールド電極116が透明導電膜で形成
されるのに対し、コモン配線144は金属膜で形成される。コモン配線144がストライ
プ状のパターンでシールド電極116の一端から他端にかけて延びるように設けられるこ
とで、シールド電極116の低抵抗化を図ることができる。
【0209】
図46は、本実施形態に係る透明樹脂基板200の一部に超薄型強化ガラスが用いられ
たタッチ及び指紋センサ付き表示装置100を示す。
図46に示すタッチ及び指紋センサ
付き表示装置100は、切替回路120が設けられておらず、第3接続端子148a及び
第2走査信号線駆動回路118eの構成が異なる他は、
図39に示すものと同様の構成を
有する。
【0210】
第2駆動回路128において、データ信号線駆動回路ブロック132に設けられた第3
接続端子148aは、データ信号線108に接続されており、切替回路を介さずにデータ
信号が表示部102の各画素104に出力される。
図41及び
図43に示すように、デー
タ信号線108の本数は隣接する画素列で共有するように配設されているので、第3接続
端子148aの数は従来に比べて削減されている。
【0211】
図45は、透明樹脂基板200と第2駆動回路128との接続部の詳細を示す。透明樹
脂基板200は第1接続端子146a及び第2接続端子146bが設けられる。第1接続
端子146aはデータ信号線108が接続され、第2接続端子146bは第1センサ電極
112が接続される。第2駆動回路128の第3接続端子148aは第1接続端子146
aと接続され、第4端子148bは第2接続端子146bと接続される。接続部には樹脂
244の中に分散された導電性粒子242が用いられる。接続構造の詳細は
図28に示す
構造と同様である。
【0212】
本実施形態によれば、表示部102がストライプ状に各色に対応した画素が配列される
構成を有する場合において、隣接する画素列がデータ信号線108を共用する画素回路を
有することで、データ信号線108の本数を削減し、ひいては切替回路120を用いなく
ても接続端子の数を削減することができる。
【0213】
[第7実施形態]
本実施形態は、
図43に示す電圧書き込み型の画素104を構成する各素子のレイアウ
トの一例を示す。
【0214】
図48は、第1副画素105r及び第2副画素105gのレイアウトの一例を示す。第
1副画素105rは、第1トランジスタ138r、第2トランジスタ139r、駆動トラ
ンジスタ136r、発光制御トランジスタ137r、容量素子140rを有し、第2副画
素105gは、第1トランジスタ138g、第2トランジスタ139g、駆動トランジス
タ136g、発光制御トランジスタ137g、容量素子140gを有する。なお、EL素
子142r、142gを構成する各層は省略されている。また、第1センサ電極112及
び第2センサ電極114も省略されている。
【0215】
第1副画素105rに着目すると、第1トランジスタ138rは、第1酸化物半導体層
180a、ソースを形成する第3金属酸化物導電層176c、ドレインを形成する第4金
属酸化物導電層176d、第1走査信号線106(GBn)と積層され、第1トランジス
タ138rの領域に延びる透明導電膜で形成される第2ゲート電極153が、図示されな
い第2絶縁層212を介して積層され、また、図示されない第1絶縁層210を介してシ
ールド電極116によって形成される第1ゲート電極152が積層された構造を有する。
第1酸化物半導体層180aに対し、第1ゲート電極152は下層に設けられ、第2ゲー
ト電極153は上層に設けられる。
【0216】
第2トランジスタ139rは、第1トランジスタ138rと同様の構成を有し、ドレイ
ンを形成する第5金属酸化物導電層176eが駆動トランジスタ136rを形成する第2
金属酸化物導電層176aに接続される構成を有する。
【0217】
駆動トランジスタ136rは、第1酸化物半導体層180a、第1金属酸化物導電層1
76a、及び第2金属酸化物導電層176bを覆うように第2ゲート電極153と同層の
第2ゲート電極151が設けられた構造を有する。第2ゲート電極151と第2金属酸化
物導電層176bが重なる領域に容量素子140rが形成される。
【0218】
発光制御トランジスタ137rは、第1酸化物半導体層180a、第1金属酸化物導電
層176aに接続される第6金属酸化物導電層176f、この導電層に間隙をもって配置
される第7金属酸化物導電層176g、この2つの金属酸化物導電層と重なり、かつ第2
走査信号線107(En)を形成し、発光制御トランジスタ137rの領域と重なる領域
に形成される第2ゲート電極268、図示されないシールド電極116によって形成され
る第1ゲート電極(266)が積層された構造を有する。そして、図示されないEL素子
142rは、第8コンタクトホール264を介して発光制御トランジスタ137rと接続
される。
【0219】
第2副画素105gも同様の構成を有し、第1副画素105rをコモン配線144を中
心に反転させ、さらに上下方向を反転させたレイアウトを有する。
【0220】
図49は、第1副画素105rの部分的な断面構造を示し、主として
図48で説明した
発光制御トランジスタ137r、容量素子140r、EL素子142rの断面構造を示す
。
図49に示すように、発光制御トランジスタ137rは、第6金属酸化物導電層176
f及び第2金属酸化物導電層176gは、第1絶縁層210と第1酸化物半導体層180
aとの間に設けられ、第1ゲート電極248はシールド電極116と同じ層で形成され、
第2ゲート電極250(第2走査信号線107)は第2絶縁層212を介して第1酸化物
半導体層180aと重なるように設けられる。また、容量素子140rは、第2絶縁層2
12を挟んで重畳する第2ゲート電極151を形成する透明導電膜と第2金属酸化物導電
層176bとによって形成される。第2金属酸化物導電層176bは、第5コンタクトホ
ール166によってシールド電極116に接続される構造を有する。EL素子142rは
、第1電極220(陰極)側から、電子輸送層222、電子注入層224、発光層226
、電子ブロッキング層227、正孔輸送層228、正孔注入層230、第2電極232が
積層された構造を有する。発光制御トランジスタ137r等の素子の上に平坦化層246
、パッシベーション層248が設けられる。EL素子142rは平坦化層246の上に設
けられる。
【0221】
図50は、EL素子142の平面レイアウトと、E1-E2間及びE3-E4間の断面
構造を示す。第1電極220は周縁部が隔壁262で覆われている。また、第1電極22
0が発光制御トランジスタ137と接続される第8コンタクトホール264も隔壁262
に覆われる位置に設けられる。電子輸送層222が塗布型の材料で形成される場合、電子
輸送層222は第1電極220の上面であって、隔壁262に囲まれる領域に設けられる
。電子注入層224、電子ブロッキング層227、正孔輸送層228、正孔注入層230
が蒸着法で作製される場合、隔壁262を覆って表示部102の全体に広がるように設け
られる。発光層226は蒸着の際にシャドーマスクが用いられ、隔壁262の開口部に重
なるように設けられる。また、発光層226は、インクジェット塗布法、グラビアオフセ
ット印刷法等を用いて形成することも可能である。
【0222】
図48及び
図50を参照すれば明らかなように、EL素子142と、第1トランジスタ
138、第2トランジスタ139、駆動トランジスタ136、及び発光制御トランジスタ
137とが重なるように配置される。画素回路を形成するこれらのトランジスタのゲート
電極、ソース及びドレイン電極、並びに酸化物半導体層は可視光を透過する透明材料で形
成されるため、EL素子142がボトムエミッション型であっても、透明樹脂基板200
を通して光を外部に出射することができる。
【0223】
[第8実施形態]
EL素子142を駆動する駆動トランジスタ136は、データ信号に基づいた電圧を保
持するために容量素子140を有する。ここで、容量素子140に書き込まれた電圧情報
が、選択トランジスタ138のゲート-ドレイン間容量Cgdにより、ゲート電圧が立ち
下がるときにΔVgdだけ変動する。容量素子140の容量が大きい場合には問題となら
ないが、中小型ディスプレイにおいて高精細化されたことにより画素サイズが縮小し容量
素子140の容量を大きくとれないときはこの影響を無視できなくなる。また、電流書き
込み方式では、容量素子140の容量を大きくすると書き込み時間を長くする必要がある
が、画素数及び駆動周波数の関係で十分な書き込み時間がとれないために階調表現に支障
をきたすという問題がある。
【0224】
図51は、上記のようなΔVgdの変動を抑制することのできる画素回路の一例を示す
。具体的には、副画素105が、第1トランジスタ138(選択トランジスタ)が駆動ト
ランジスタ136のゲートにデータ信号を印加するように接続され、EL素子142と駆
動トランジスタ136との間に発光制御トランジスタ137が接続される構成において、
第2トランジスタ139をデータ線信号108と発光制御トランジスタ137のドレイン
との間に接続し、さらに、第2トランジスタ139と駆動トランジスタ136の第2ゲー
ト電極との間に第2容量素子274を接続することで、第1トランジスタ138のゲート
電圧が立ち下がるときに容量素子140の電圧がΔVgdだけ変動しないようにしている
。
【0225】
図52は、
図51に示す副画素105の平面レイアウトを示し、
図53は副画素105
の部分的な断面構造であって、第1トランジスタ138、第2容量素子274、及びその
上層側に配置されるEL素子142の断面構造を示す。第2容量素子274は、第2容量
電極272が第1トランジスタ138から延びる第4金属酸化物導電層176dと第2絶
縁層212を介して重なるように設けられた構造を有する。第2容量電極272は、駆動
トランジスタ136の第2ゲート電極151と同じ層で形成することができるので、新た
な層を追加する必要がなく、フォトマスクの枚数を増加させないで形成することができる
。
【0226】
また、
図54の副画素105のレイアウト図及び
図55の副画素105の部分断面図に
示すように、駆動トランジスタ136の第2ゲート電極151を発光制御トランジスタ1
37のドレインと接続し、第1トランジスタ138から延びる第4金属酸化物導電層17
6dと第2絶縁層212を介して重なるように設けることで第2容量素子274を形成す
るようにしてもよい。
【0227】
このように、第2容量素子274を設けることで、選択トランジスタ138のゲート-
ドレイン間容量Cgdによりゲート電圧が立ち下がるときにΔVgdだけ変動することに
よる容量素子140の電圧変動を抑制することができる。本実施形態は、第1実施形態に
示すタッチ及び指紋センサ付き表示装置と適宜組み合わせて実施することができる。
【0228】
[第9実施形態]
本実施形態は、タッチ及び指紋センサ付き表示装置100に設けられるEL素子142
の光取り出し構造の一例を示す。
【0229】
図56は、本実施形態に係る副画素105の断面構造を示す。本実施形態に係る副画素
105は、EL素子142が光を出射する側にワイヤグリッド偏光子250が設けられた
構造を有する。例えば、ワイヤグリッド偏光子250は、第1センサ電極112及び第2
センサ電極114が設けられた透明樹脂基板200とEL素子142との間に設けられる
。具体的に
図56は、ワイヤグリッド偏光子250はシールド電極116の上面に設けら
れる一例を示す。EL素子142は、
図16Aを参照して説明したように、第1電極22
0と第2電極232との間に、電子輸送層222、電子注入層224、発光層226、正
孔輸送層228、正孔注入層230が積層された構造を有する。
【0230】
EL素子142は、透明樹脂基板200の側に光を出射するため、第1電極220が透
明導電膜で形成され第2電極232が金属膜で形成される。本実施形態に示すEL素子1
42は、さらに電子注入層230と第2電極232との間に光散乱層251が設けられた
構造を有する。光散乱層251は、透明光散乱ビーズ252を含む透明接着インク254
を電子注入層230の上に塗布することにより形成される。例えば、透明光散乱ビーズ2
52を含む透明接着インク254を、インクジェット印刷法等の印刷法により副画素10
5の領域に塗布することで、光散乱層251を形成することができる。
【0231】
図58は、ワイヤグリッド偏光子250の詳細な構造を示す。ワイヤグリッド偏光子2
50は、細線パターンが周期的に並んだ構造を有する。細線パターンは、アルミニウム(
Al)、アルミニウム-銀合金(AlAg)、シリコン又はネオジムが添加されたアルミ
ニウム合金(Al-Si、Al-Nd)等で形成される金属細線258で形成される。金
属細線258のシールド電極116側には、可視光を吸収する光吸収層256が設けられ
ていてもよい。光吸収層256は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコン
ゲルマニウム(SiGe)等の可視光に光吸収帯を有する半導体材料、高融点金属シリサ
イド(クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、モリ
ブデン(Mo)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)等の高融点金属とシリコンとの化合物
)で形成されることが好ましい。金属細線258の幅は、100nm以下、好ましくは7
0nm以下、厚さは100nm以上、好ましくは200nm以上を有し、可視光の波長の
半分以下のピッチ(例えば、200nm以下)で配設される。このため、目視では金属の
光沢面が視認されるが、ワイヤグリッド偏光子250の視認される側の面に金属細線25
8に重ねて光吸収層256が設けられることで、表示画面の鏡面化を防止することができ
る。
【0232】
図59は、絶縁層260の上にワイヤグリッド偏光子250を設けた一例を示す。ワイ
ヤグリッド偏光子250を構成する金属細線258は、可視光の波長の半分以下のピッチ
(例えば、200nm以下)で配設されるため、シールド電極116を兼ねることができ
る。このとき、金属細線258は、シールド電極116と同様に、一定の電位(例えば、
接地電位)に制御されていることが好ましい。
【0233】
ワイヤグリッド偏光子250は直線偏光子であり、透過偏光軸と反射偏光軸を有する。
図68に示すように、ワイヤグリッド偏光子250が設けられることにより、EL素子1
42の出射光の内、透過偏光軸に平行な偏光成分(TM波)は透過して透明樹脂基板20
0から出射され、反射偏光軸に平行な偏光成分(TE波)は反射される。すなわち、EL
素子142から出射された光の半分はワイヤグリッド偏光子250で反射され再びEL素
子142に入射する。EL素子142に再入射した光は光散乱層251で散乱され偏光軸
がランダムになる。そして再びEL素子142から出射され、一部はワイヤグリッド偏光
子250を透過して外部に出射され、残りの成分は反射される。このようにワイヤグリッ
ド偏光子250と光散乱層251を設けることで、EL素子142から出射される光を多
重反射させ、出射光の偏光軸を一方向に収斂するようにすることができる。
【0234】
図56には図示されないが、タッチ及び指紋センサ付き表示装置100には、コントラ
スト向上のため表示画面側に偏光軸回転板が設けられる。偏光軸回転板は、直線偏光板に
1/2位相差板を組み合わせたものであり、直線偏光軸と1/2位相差遅延軸とが45度
傾いた状態で組合わされている。このとき、
図60に示すように、ワイヤグリッド偏光子
250の透過偏光軸に対し偏光軸回転板の直線偏光軸を45度傾けて配置することで、E
L素子142から出射される光の取り出し効率を大きく向上させることができる。
【0235】
ワイヤグリッド偏光子250の透過偏光軸の方向は、金属細線258が延びる方向を変
えることにより自由に設定することができる。
図61は、走査信号線106とデータ信号
線108とで囲まれる領域内(副画素105の領域)に金属細線258のパターンが設け
られる一例を示す。
図61に示すように、金属細線258は、走査信号線106が延びる
方向と平行な方向に伸長するパターンを有することにより、透過偏光軸がデータ信号線1
08の伸長する方向と平行な方向に配置される。なお、図示されないが、金属細線258
が、データ信号線108が延びる方向と平行な方向に伸長するパターンを有していてもよ
い。
図62は、金属細線258のパターンが、走査信号線106及びデータ信号線108
に対し所定の角度で傾いて配置されたパターンを有することにより、透過偏光軸が金属細
線258の長手方向と直行する方向に配置される例を示す。
【0236】
図57は、ワイヤグリッド偏光子250が平坦化層246に埋め込まれるように設けら
れた一例を示す。金属細線258は、100nm~200nm程度の厚さで形成される。
このような金属細線258を平坦化膜246に埋め込むように設けることで、ワイヤグリ
ッド偏光子250を所謂インセルの形態で設けても、平坦性を阻害しないでEL素子14
2を設けることができる。
【0237】
図66は、第1電極220の上面にワイヤグリッド偏光子250が設けられた一例を示
す。ワイヤグリッド偏光子250を構成する金属細線258及び光吸収層256は、第1
電極220を形成する透明導電膜の上に形成される。金属細線258及び光吸収層256
は、第1電極220の上面に凹凸構造を形成するが、電子輸送層222を塗布型の材料で
金属細線258を埋め込むように設けることで発光層226へ影響が及ばないようにし、
第2電極232との短絡を防止することができる。
【0238】
図67は、第1電極220と金属細線258の平面図を示す。金属細線258は、第1
電極220を形成する透明導電膜の上に設けられる。第1電極220の一端の側から他端
の側へ延伸するように金属細線258が形成される。また、
図67に示すように、金属細
線258を形成する金属膜で第1電極238の外周を囲む金属パターンを設け、金属細線
258が繋がることで透明導電膜(第1電極220)の低抵抗化を図ることができる。
【0239】
本実施形態に示すように、タッチ及び指紋センサ付き表示装置100を形成する層の中
にワイヤグリッド偏光子250を設けることで、コントラストの向上を図るために偏光軸
回転板が設けられたとしても、光の取り出し効率を大きく向上させることができる。
【0240】
[第10実施形態]
本実施形態は、第1実施形態に示す封止構造及び引き出し配線の構造のさらなるバリエ
ーションを示す。
【0241】
図63Aは、データ信号線108と同じ層で形成される引き出し配線147によって第
2センサ電極114が透明樹脂基板200上の配線又は回路と接続される構造を示す。引
き出し配線147は第1絶縁層210の上に設けられ、第1絶縁層210、第4透明樹脂
層202d、及び第3透明樹脂層202cを貫通するコンタクトホール159と接続され
る構造を示す。第1引き出し配線147及び第1コンタクトホール159の上には第2絶
縁層212が設けられ、さらに窒化シリコン膜214cで覆われていることにより、外部
からの水分の侵入を防ぐことができる。
【0242】
図63Bは、走査信号線106又は第2走査信号線107と同じ層で形成される引き出
し配線147によって第2センサ電極114が透明樹脂基板200上の配線又は回路と接
続される構造を示す。この引き出し配線147は第2絶縁層212上に設けられており、
第2絶縁層212、第1絶縁層210、第4透明樹脂層202dを貫通するコンタクトホ
ール159によって、第3透明樹脂層202c上にシールド電極116と同じ層に形成さ
れた第1引き出し配線147aと接続される。さらに第1引き出し配線147aは、第3
透明樹脂層202cに形成されたコンタクトホール169によって第2センサ電極114
と接続されている。このような構造によっても、第2センサ電極114が透明樹脂基板2
00上の配線又は回路と接続することができる。
【0243】
図64Aは、
図22Aに示す構造に対し、引き出し配線147が第2絶縁層212の上
に設けられた構造を示す。引き出し配線147は第2走査信号線107と同じ層で形成さ
れる。引き出し配線147の上が窒化シリコン膜214cで覆われていることにより、引
き出し配線147が第2接続端子146bを形成するように外側に延びた構造を有してい
ても、封止層236と密着する構造を形成することができ、信頼性を高めることができる
。
【0244】
図64Bは、第2電極232と、第3接続端子146cとの接続構造を示す。第2電極
232は、透明樹脂基板200の端部に引き出され、第2走査信号線107と同じ層で形
成される引き出し配線147と接続される。引き出し配線147は、第3接続端子146
cを形成するように外側に延びた構造を有するが、この構造においても引き出し配線14
7が窒化シリコン膜214cで覆われることにより、封止層236と密着する構造を形成
することができ、信頼性を高めることができる。
【0245】
図65Aは、データ信号線108と第1接続端子146aとの接続構造を示す。データ
信号線108は、透明樹脂基板200の端部に引き出され、第2走査信号線107と同じ
層で形成される引き出し配線147と接続される。この引き出し配線147は、第1接続
端子146aを形成するように外側に延びた構造を有するが、この構造においても引き出
し配線147が窒化シリコン膜214cで覆われることにより、封止層236と密着する
構造を形成することができ、信頼性を高めることができる。
【0246】
図65Bは、
図63Bに対し、第2絶縁層212、第1絶縁層210、第4透明樹脂層
202d、第3透明樹脂層202cを貫通するコンタクトホール159によって、引き出
し配線147が第2センサ電極114と直接接続される構造を示す。このような構成によ
っても第2センサ電極114が透明樹脂基板200上の配線又は回路と接続することがで
きる。
【0247】
図16、
図19、
図21、
図49、
図53、及び
図55において、外界から表示パネル
内部に入射する外光が、表示パネルを構成する各種金属によって反射され、再度外界へ出
射されることでコントラストが著しく低下してしまう。このようなコントラストの低下を
防止するために、実際には円偏光板(直線偏光板と1/4波長板とを組み合わせた光学部
材)が透明樹脂層202aと密着するように設置されるが、上記の図面では省略されてい
る。
【0248】
図56、
図57、及び
図66は、光の取り出し効率を向上させるためにワイヤグリッド
偏光子250を内蔵した表示パネルを示すが、外光が入射すると表示パネルを構成する金
属材料で形成される各種電極及び配線によって反射され、再度外界へ出射されることでコ
ントラストが著しく低下してしまう。このようなコントラストの低下を防止するために、
表示パネルを構成する金属材料で形成される電極及び配線の下層には、ワイヤグリッド偏
光子250を構成する光吸収層256と同様の光吸収層が設けられることが好ましいが、
上記の図面では省略されている。
【符号の説明】
【0249】
100・・・タッチ及び指紋センサ付き表示装置、102・・・表示部、104・・・画
素、105・・・副画素、106・・・走査信号線、107・・・第2走査信号線、10
8・・・データ信号線、110・・・タッチ及び指紋センサ部、112・・・第1センサ
電極、114・・・第2センサ電極、116・・・シールド電極、118・・・第1駆動
回路、118b・・・出力切替回路、118c・・・走査信号線駆動回路、118d・・
・スキャン回路、120・・・切替回路、122・・・端子部、124・・・封止層、1
25・・・ドライバIC、126・・・フレキシブル回路基板、127・・・フィルム基
材、128・・・第2駆動回路、129・・・配線群、130・・・走査信号線駆動回路
ブロック、132・・・データ信号線駆動回路ブロック、134・・・タッチ及び指紋セ
ンサ検出回路ブロック、135・・・パッド、136・・・駆動トランジスタ、137・
・・発光制御トランジスタ、138・・・選択トランジスタ(第1トランジスタ)、13
9・・・第2トランジスタ、140・・・容量素子、142・・・EL素子、141・・
・第1スイッチング素子、143・・・出力切替信号線、144a・・・コモン電極、1
44b・・・コモン配線、145・・・第2スイッチング素子、146・・・接続端子、
147・・・引き出し配線、148・・・接続端子、149・・・第6接続端子、150
・・・第1ゲート電極、151・・・第2ゲート電極、152・・・第1ゲート電極、1
53・・・第2ゲート電極、154・・・電源線、156・・・スイッチング素子、15
7・・・制御信号線、158・・・第1開口部、159・・・第1コンタクトホール、1
60・・・第2開口部、161・・・第2コンタクトホール、162・・・第3開口部、
163・・・第3コンタクトホール、164・・・第4開口部、165・・・第4コンタ
クトホール、166・・・第5コンタクトホール、168・・・第7コンタクトホール、
169・・・コンタクトホール、170・・・ソース配線、171・・・第8コンタクト
ホール、172・・・接続配線、173・・・ドレイン配線、174・・・ソース電極、
175・・・第9コンタクトホール、176・・金属酸化物導電層、180・・・酸化物
半導体層、200・・・透明樹脂基板、202・・・透明樹脂層、204・・・第1セン
サ電極層、205・・・第1補助電極、206・・・第2センサ電極層、207・・・第
2補助電極、208・・・遮光層、210・・・第1絶縁層、212・・・第2絶縁層、
214・・・窒化シリコン膜、215・・・酸化シリコン膜、216・・・第3絶縁層、
220・・・第1電極、222・・・電子輸送層、224・・・電子注入層、226・・
・発光層、227・・・電子ブロッキング層、228・・・正孔輸送層、230・・・正
孔注入層、232・・・第2電極、234・・・第3開口部、236・・・封止層、23
7・・・シリコン窒化炭素膜、238・・・窒化シリコン膜、240・・・分断領域、2
42・・・導電性粒子、244・・・樹脂、246・・・平坦化層、248・・・パッシ
ベーション層、250・・・ワイヤグリッド偏光子、251・・・光散乱層、252・・
・ビーズ、254・・・接着インク、256・・・光吸収層、258・・・金属細線、2
60・・・絶縁層、262・・・隔壁、264・・・第8コンタクトホール、266・・
・第1ゲート電極、268・・・第2ゲート電極、270・・・第2容量素子、272・
・・容量電極、274・・・第2容量素子