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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016162
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】水頭症の治療
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20240130BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61L 27/34 20060101ALI20240130BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20240130BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20240130BHJP
   A61L 29/08 20060101ALI20240130BHJP
   A61L 29/14 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A61M1/00 161
A61M25/00 534
A61M25/00 610
A61M1/00 135
A61L27/34
A61L27/58
A61L27/56
A61L29/08 100
A61L29/14 400
A61L29/14 500
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023188306
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2022030746の分割
【原出願日】2019-05-03
(31)【優先権主張番号】62/666,636
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】517416374
【氏名又は名称】マイクロベンション インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROVENTION, INC.
【住所又は居所原語表記】35 Enterprise, Aliso Viejo, California 92656 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】バッドバーダ,ウェンマー
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,ガ ティン
(72)【発明者】
【氏名】ボーマン,ヒース
(72)【発明者】
【氏名】ビッガーズ,マット
(72)【発明者】
【氏名】ライ,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】シミズ,ジャレド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】過剰な脳脊髄液(CSF)蓄積の治療に用いられるシャントシステムについて記載される。
【解決手段】システムは、シャントシステムの一部を洗浄するか、またはCSFの排出をカスタマイズするように設計された様々な機械的、電気的、または電気機械的概念を利用する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳脊髄液シャントであって、
脳室カテーテルと、
脳脊髄液の前記脳室カテーテルへの流入を容易にする脳室カテーテルの一部に沿った複数のスリットと、
前記複数のスリットのうちの1つ以上のスリットを覆う被覆と、を備える脳脊髄液シャント。
【請求項2】
前記被覆が生体吸収性または生体分解性である、請求項1に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項3】
前記被覆が、ポリα-ヒドロキシ酸またはポリエステルアミドを含む、請求項2に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項4】
一部のスリットは、前記脳室カテーテルの異なるスリットを通る脳脊髄液流入容量を変化させるために、異なる量の被覆を含む、請求項2に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項5】
一部のスリットは、前記脳室カテーテルの異なるスリットを通る脳脊髄液流入容量を変化させるために、異なる吸収速度を有する被覆を含む、請求項2に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項6】
前記被覆が血漿タンパク質吸着抑制剤である、請求項2に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項7】
前記被覆がポリ2-メトキシエチルアクリレートである、請求項2に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項8】
前記スリットは、前記脳室カテーテルの異なるスリットを通る前記脳脊髄液流入容量を変化させるように異なる大きさとなる、請求項2に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項9】
脳脊髄液シャントであって、
脳室カテーテルと、
脳脊髄液の前記脳室カテーテルへの流入を容易にする前記脳室カテーテルの一部に沿った複数のスリットと、
前記複数のスリットのうちの1つ以上に及ぶ洗浄機構であって、前記脳室カテーテルに対して移動する可動要素を有する前記洗浄機構と、を備え、
前記可動要素は、前記可動要素が前記脳室カテーテルに対して移動するときに前記複数のスリットのうちの1つ以上の部分に接触するように構成された突起を含む、脳脊髄液シャント。
【請求項10】
前記洗浄機構は、前記可動要素に対して固定された固定要素をさらに含む、請求項9に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項11】
前記固定要素および前記可動要素の両方に接続されたばねをさらに備える、請求項10に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項12】
前記可動要素が内腔を含み、前記突起が前記内腔から突出する、請求項9に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項13】
前記固定要素が、前記脳室カテーテルよりも大きい内腔を含む、請求項9に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項14】
前記可動要素は、前記固定要素の外径よりも大きい内腔を含む、請求項9に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項15】
前記可動要素は、前記脳室カテーテルに対して回転可能である、請求項9に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項16】
脳脊髄液シャントであって、
脳室カテーテルと、
脳脊髄液の前記脳室カテーテルへの流入を容易にする前記脳室カテーテルの一部に沿った複数のスリットと、
前記脳室カテーテルの一部上に配置されたハウジングと、
前記ハウジングと前記脳室カテーテルとの間に配置される洗浄機構であって、前記脳室カテーテルに対して移動する可動要素を有する前記洗浄機構と、を備え、
前記可動要素は、前記洗浄機構が前記脳室カテーテルに対して移動するときに、前記脳室カテーテルの前記複数のスリットのうちの1つ以上を洗浄するように構成される、脳脊髄液シャント。
【請求項17】
前記洗浄機構は、ばねとピストンに接続された前記ピストンとを備える、請求項16に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項18】
前記ピストンが、前記複数のスリットのうちの1つ以上と接触するように構成された内部突起を含む、請求項17に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項19】
前記ピストンが、前記ハウジングに接触するように構成された外部突起を含む、請求項17に記載の脳脊髄液シャント。
【請求項20】
前記可動要素が、前記脳室カテーテルに対して回転する、請求項16に記載の脳脊髄液シャント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、水頭症の治療および脳室腹腔シャントと題する2018年5月3日出願の米国仮出願第62/666,636号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
脳脊髄液(CSF)は、脳と脊髄に存在する液体である。CSFは脳室の脈絡叢で産生され、例えば、脳の緩衝材として作用したり、脳から栄養素を運搬したり老廃物を除去したりする機構として作用したり、脳内の圧力の変化を調節したりするなど、いくつかの目的を果たしている。CSFの産生量が吸収量を上回ると、CSFによる圧力が上昇してCSFが多量となり、これはCSF蓄積による脳の腫れである水頭症を起こす可能性がある。水頭症は、平衡感覚や視覚の問題、頭部の大きさの増大、脳内出血、脳浮腫、脳機能障害、脳ヘルニアなどの問題を引き起こすことがある。
【0003】
水頭症の治療法の1つはシャントとして知られており、脳から腹部、肺、心臓などの体の他の部位に脳脊髄液を送達することを伴う。有名な送達領域の1つは腹部内の腹腔であり、脳室から腹腔への送達は脳室腹腔シャント(VPシャント)として知られている。このシャントシステムでは、脳内の脳室カテーテルを用いてCSFを集めて送り、第2ドレナージカテーテルを用いてCSFを体の別の部位(例えば腹腔)に送り、それらの間にある弁を用いて脳からドレナージ部位へのCSFの流れを調節する。
【0004】
シャントに関連する問題はいくつかある。その1つは、CSFが時間の経過とともにカテーテルを詰まらせる可能性があることであり、脳室カテーテルはCSFによく曝露されるため、この問題がより顕著になる。この詰まりによりシャントの効果が薄れ、時間の経過に伴い交換が必要となる。次に、脳から適切な量のCSFを排出するために弁を正確に校正することは困難な場合がある。つまり、CSFの排出量が多すぎると利用可能なCSFが減少し、その一方で排出量が少なすぎると水頭症の問題に対処できない。さらに、ドレナージシステムへのCSFの流れを調節する一般的な機械的弁は、様々な理由により高い割合で故障する。
【0005】
これらの問題に対処するシャント装置およびシステムが必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、シャント処置に関する問題に対処するように設計された装置、システム、および方法に関する。
【0007】
いくつかの実施形態において、シャントシステムは、より広範なシャントシステムの脳室カテーテル内のCSFによる残留物を洗浄するように設計された洗浄機構を含む。一実施形態では、洗浄機構は、CSFが通過できるスリットを洗浄するために使用されるばねプランジング要素を含む。一実施形態では、洗浄機構は、CSFが通過できるスリットを洗浄するために使用される洗浄ピストン要素を含む。一実施形態では、洗浄機構は、CSFが通過できるスリットを洗浄するために使用される回転要素を含む。
【0008】
一実施形態では、CSF排出シャントシステムに使用される脳室カテーテルは、CSF排出を促進するためのスリットと、これらのスリットの1つ以上に沿った生分解性または生体吸収性物質とを含む。
【0009】
一実施形態では、カテーテルチューブとシャント弁要素との間の固定嵌合を容易にするロック機構が記載される。
【0010】
一実施形態では、加重された、または薄くされたディスク部を利用する機械弁が記載される。機械弁は、CSFの入口とCSFの出口との間の弁ハウジング内のCSFの流れを調節する。
【0011】
一実施形態では、ヒドロゲルを使用して、CSFシャント処置中に血管アクセスとして使用される孔開口部を密閉する。
【0012】
一実施形態では、CSFシャントシステムに関連する患者データをモニタおよび/または通信するために使用される電気システムが記載される。
【0013】
一実施形態では、シャントシステムは、CSFの流れを選択的に調節するための機械的、電気機械的、および/または電気的機構を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施形態が可能であるこれらおよび他の態様、特徴および利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の説明から明らかになり、解明されるであろう。
【0015】
図1図1は、シャントシステムを示す。
【0016】
図2図2は、CSFの流入を可能にする複数のスリットを有する脳室カテーテルを示す。
【0017】
図3図3は、一実施形態による、脳室カテーテルと共に使用される伸張構成におけるばねプランジャ洗浄機構を示す。
【0018】
図4図4は、一実施形態による、脳室カテーテルと共に使用される収縮構成におけるばねプランジャ洗浄機構を示す。
【0019】
図5図5は、伸張構成における図3のばねプランジャ洗浄機構の近接図を示す。
【0020】
図6図6は、収縮構成における図4のばねプランジャ洗浄機構の近接図を示す。
【0021】
図7図7は、一実施形態による、ばねプランジャ洗浄機構の固定片を示す。
【0022】
図8図8は、一実施形態による、ばねプランジャ洗浄機構の可動片を示す。
【0023】
図9図9は、一実施形態による、ばねプランジャ洗浄機構の可動片の内腔を示す。
【0024】
図10図10は、一実施形態による、ばねプランジャ洗浄機構の可動片の内腔を示す。
【0025】
図11図11は、一実施形態による、洗浄機構と共に使用可能な複数の小さなCSF入口スリットを利用する脳室カテーテルを示す。
【0026】
図12図12は、一実施形態による、伸張構成における、ばねおよびピストンを利用する洗浄機構を示す。
【0027】
図13図13は、一実施形態による、収縮構成における、ばねおよびピストンを利用する洗浄機構を示す。
【0028】
図14図14は、一実施形態による、洗浄機構と共に使用することができる複数の小さなスリットを利用する脳室カテーテルを示す。
【0029】
図15図15は、シャント弁インタフェースを示す。
【0030】
図16図16は、一実施形態による、シャント弁インタフェースのためのロック機構を示す。
【0031】
図17図17は、一実施形態による、シャント弁システムを示す。
【0032】
図18図18は、一実施形態による、図17のシャント弁システムに使用される弁を示す。
【0033】
図19図19は、一実施形態による、弁に使用される頂部ディスクを示す。
【0034】
図20図20は、一実施形態による、弁に使用される底部ディスクを示す。
【0035】
図21図21は、一実施形態による、シャントシステムの一部として使用される電気通信システムのためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明の具体的な実施形態について説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるために提供されるものであり、添付の図面に示される実施形態の詳細な説明において使用される用語は、本発明を限定することを意図するものではない。図面において、同様の番号は、同様の要素を指す。
【0037】
水頭症およびそれに関連する問題状態を引き起こす過剰なCSF産生と蓄積は、前記背景技術の章において強調した。シャントは、水頭症や過剰なCSFに対処するために用いられる技術の1つである。この技術は、カテーテルを使用して脳脊髄液(CSF)を脳から排出し、カテーテルを使用してCSFを血管の別の部位に運び、そしてその間にある弁を使って2つのカテーテル間のCSFの流れを調節する。この弁により、脳から適切な量のCSFが排出される。CSFの排出量が多すぎると、本来の機能、例えば、脳の緩衝材として機能したり、脳から栄養素を運搬したり老廃物を除去したりする機構として機能したり、脳内の圧力の変化を調節したりすることを果たすのに十分な脳脊髄液が得られなくなるため、有害作用が生じる。CSFの排出が少なすぎると、患者は依然として水頭症を含むCSF過剰による問題に対処する必要があるだろう。
【0038】
シャントシステムは、CSFを肺、心臓、または脳の他の領域などの身体の様々な領域に送ることができる。VPシャントは、CSFを腹部内の腹腔へ送ることを伴う有名なシャント技術の1つである。本明細書の本発明の実施形態に記載されるシャントシステム、装置、技術、および方法は、我々にVPシャント(すなわち、CSFを腹部に送るシャントシステム)で説明されることが多いが、それはまた、体/血管系の他の場所にCSFを送るシャントシステムにおいて使用することもできる。
【0039】
図1は、VPシャントシステム100の概略を示す。シャントは、CSFを脳102から腹腔110に移動させるように作用する。ここで、シャントシステムは、集めること、すなわち脳室内のCSFを集め、脳室102からCSFを移送する脳室カテーテル104を含む。システムは、さらに、第2出口、すなわち集められたCSFを腹部の腹腔110内に導くドレナージカテーテル108を含む。二つのカテーテル間の流量を調節する弁106が二つのカテーテル104,108間にある。弁の目的は、脳(脳室カテーテル104を介して)から腹部(ドレナージカテーテル108を介して)へのCSFの輸送量を調節することである。弁106は、流れを調節するために、当該技術分野で一般的に知られている多くの機械的/電気的弁機構を含めることができる。
【0040】
シャントの失敗率は比較的高く、米国では毎年18,000~33,000のシャントが設置されていると推定されているが、これらの失敗のうち、最大1/3が最初の年に、最大50%が最初の二年間に生じる。失敗の原因は多数あり、例えば、CSFを排出するフロー弁の機械的故障、閉塞を引き起こすカテーテル内の物質蓄積などである。多くの場合、CSFにはタンパク質やカルシウムが含まれており、これらの物質がカテーテル内に蓄積し、カテーテル排出システムの閉塞につながることがある。この問題は、脳のCSFがシャントシステムに入るための入り口となり、それにより、より多くのCSFに曝露される脳室カテーテルにおいてより顕著である。時間の経過とともに、カテーテルがより多くの蓄積物質で満たされるため、CSFを送るシャントの効果が低下する。従って、時間の経過に伴い、新しい脳室カテーテルまたは全く新しいシャントシステムの移植が必要とされる。
【0041】
脳室カテーテル104は、図2にさらに詳細に示されている。脳室カテーテル104は、典型的には、カテーテルの端部区分(すなわち、脳室カテーテル104のうち弁106に対して最も遠い部分であり、脳室カテーテル104のうち脳室内でCSFに曝露される部分)に沿って間隔を置いて配置された複数の孔又はスリット114を含む。これらの孔又はスリット114は、CSFが脳室カテーテル104に入るための進入導管として働く。CSFがカテーテルに入るための十分な入口点が存在し、それによって排出能力が最大になるため、間隔をあけた孔/スリットは複数であることが好ましい。図2には4つの孔/スリット114が示されているが、これは単なる例示であり、脳室カテーテル104の様々な部分に沿って配置されている前記スリット又は孔を含めて、使用できる孔の数はこれより少なくても多くてもよい。これらの孔またはスリット114は、CSFからの蓄積物質(例えば、タンパク質またはカルシウム沈着物)が蓄積する傾向がある場所であることが多い。物質がこれらの進入ポートに蓄積するにつれて、脳室カテーテルに入ることができるCSFが減少し、その結果、シャントシステムがCSFを効果的に排出する機能を阻害する。以下の発明の実施形態は、これらのスリットまたは孔を洗浄するために使用される種々の機構を提供することによって、この問題に対処する。
【0042】
図3~4は、脳室カテーテル104のCSF入口スリット114を洗浄するために使用される洗浄機構120の一実施形態を示す。機構120は、脳室カテーテル104の一区分上に構築され、CSF入口孔114上に位置する。洗浄機構120は、往復運動によるアプローチを利用して入口スリット114を洗浄し、当該機構は、スリットを覆う第1拡張位置とスリットが露出する第2収縮位置とを有する。一実施形態では、脳室カテーテルの各スリットに対して一つの機構120が使用される。一実施形態では、各機構120は、各洗浄機構120によって複数のスリットが洗浄されるように複数のスリットを覆う。一実施形態では、洗浄機構120は、往復運動の基礎としてばねプランジャを利用する(これらは図5図6により詳細に示す)。洗浄機構120は、固定ベース片122および可動往復動片132を含むばねプランジャシステムを利用する。固定ベース片122は、プラットホーム124を有し、1つ以上のばね126が当該プラットホームに接続されている。1つ以上のばね126の一端はプラットホーム124に接続され、1つ以上のばね126の他端は可動往復動片132に接続される。往復動片は、完全には中実でないという点で中空であり、好ましくは、これには、薄い外壁及び薄い内壁が使用され、そこでは、ばねがこれらの2つの壁区分の間に配置される。このように、ばね126は往復動片132に連結することができる。ベース片122および往復動片126の各々は、内腔を含み、この管腔は、洗浄機構120全体が脳室カテーテル上を摺動できるようにするために必要であり、従って、ベース片122の内腔及び往復動片132の内腔は、脳室カテーテル104の外径よりも大きくなるだろう。これらの管腔は、図7~8にさらに詳細に示されており、固定片122は、脳室カテーテルの外径よりも大きい内腔122aを含み、可動片132も、脳室カテーテルの外径よりも大きい内腔132aを含む。
【0043】
1つまたは複数のばね126が考えられるが、一実施形態では、複数のばね126が、可動片132の内側部分に沿って円周方向に等間隔で離間して使用される。ばね126が完全に伸長すると、図3および図5に示すように、往復動片は、ベース片に対して最も遠い位置に配置される。これは、往復動片132が関連するスリット114を覆うことに対応する。ばね126が完全に圧縮すると、図4及び図6に示されるように、往復動片はベース片に対して収縮する。これは、往復動片132が関連するスリット114を露出させ、それによってCSFが関連するスリット/孔114へより容易に進入できることに対応する。
【0044】
ベース片122および可動片132は、図7~8にさらに詳細に示される。図7は、ベース片122を示しており、このベース片は、ベース片を脳室カテーテル上に取り付けることを可能にする内腔122aを含む。したがって、内腔122aは、上述したように、ベース片を脳室カテーテル上に配置することができるように、脳室カテーテルよりも大きいサイズであるべきである。固定/ベース片122はまた、プラットホーム124を含み、上述したように、1つ以上のばね126が取り付けられる。
【0045】
図8は、可動/往復動片132をより詳細に示す。可動片132は、脳室カテーテル104及び固定片122の両方に対して可動である。可動片132は、脳室カテーテル上に配置することができ、そのため、上述のように、脳室カテーテルよりも大きいサイズとなる、それ自体の内腔132aを含む。この内腔132aは、ばねが圧縮されたときに可動片132が固定片122上を図4および図6に示すように摺動できるように、固定片132よりも大きいサイズであることが好ましい。可動片132は、可動片132の外周を規定する第1外壁と、内腔132aを規定する第2壁と、その間の開放空間とがあるという点で中空である。ばね126は、この開放空間通路区分を跨いで可動片132の内部に取り付けられている。ばね126の他端は、前述したように、固定ベース片122のプラットホーム区分に取り付けられる。ベース片122が脳室カテーテル表面に機械的に固定されている(例えば、接着剤、溶接などの接続媒体、またはベース片内腔122aとその下にある脳室カテーテルとの間における他の手段を介して)一方で、可動片132は固定されず、このように往復運動して、ばね126が収縮および伸長するときに図5図6に示す位置をとる。可動片132の内腔132aは、固定片122の幅又は直径よりも大きいため、可動片132は、図4及び図6に示すように、ばねが収縮すると、固定片122と重なる。
【0046】
ベース片126を往復/移動片132に接続する1つ以上のばね126は、心臓のポンプによる血流に基づいて変化する領域の圧力に従って圧縮および伸長する。従って、心拍およびその結果として生じる脈管構造を通る血液の自然な流れに従う伸長および圧縮の比較的一貫したサイクルが存在するはずである。この態様において、バッテリ、モータ、または他の外部ドライバは、可動片132の位置を制御するために必要とされないが、特定の実施形態においては、これらの追加の要素を使用して、可動片132の位置を電気機械的に制御してもよい。
【0047】
スリット上を可動片132が通過するときにスリット114を洗浄するために使用される機構に関しては、多くの方法で行うことができる。一実施形態では、内腔132aの周囲を形成する壁は、内腔132a内で半径方向内側に突出する一つ以上の突出構造を含むことができる。このようにして、突出構造は、可動片132がスリットを通過するときにスリット114の一部に軽く触れるか、またはそこに物理的に侵入し、それによってスリットを洗浄する。別の実施形態では、壁は、内腔132a内にわずかに突出し、可動片がスリットを通過するときにスリットに軽く触れたり、スリット内にわずかに突出したりする粗面または研磨面を含むことができる。別の実施形態では、内腔132aから突出する1つ以上のブラシが利用される。これらの構成は、図9図10に示されており、突出要素(棒など)、粗面/研磨要素、又はブラシ状要素134が、可動片132の内腔134の内部から延びるように示されている。これらの洗浄要素132、134は、内腔132aの壁から直接延びるか、または可動片132の内部から延びて内腔132a内に貫通することができる。
【0048】
可動片132の内腔132aは、固定片122よりも大きいため(上述したように、固定片122上の移動を容易にするために)、脳室カテーテルの孔に接触するために、突出部または粗面は、特に長くなければならない。これを緩和する一つの方法は、脳室カテーテル上に適合するようにも機能する可動片132上において別のより小さい内部2次管腔を含むことである。より小さい2次管腔を含むことにより、脳室カテーテル間のギャップが最小化され、また、このより小さい2次管腔で利用される突起または粗化領域を含むことは、突起/粗化区分をより小さくすることができる一方で依然として孔またはスリットに接触させてそれらを洗浄できることを意味する。
【0049】
一実施形態では、図9~10に示すように、スリットは、カテーテルの一方の側にのみ位置し、内腔は、内腔の一方の面にのみ位置する突起、研磨、ブラシ、または洗浄表面134を有する。別の実施形態では、スリットはカテーテルの対向する側面に沿って存在する。その後、洗浄表面は、管腔の両側に沿って配置され、両端のスリットを洗浄することができる。一実施形態では、可動片132の内腔132aの洗浄表面は、内腔132aの全体または一部にわたって半径方向および/または長手方向に間隔を置いて配置される(したがって、内腔132aの種々の領域に位置する)。
【0050】
一実施形態では、複数のスリット114が脳室カテーテル104に沿って使用され、これらのスリットの一部または全部は、各スリットがそれ自身の個々の洗浄機構120を利用するように構成される(図4に示すように)。一実施形態では、複数の洗浄機構120が使用され、可動片132は互いに接続される(例えば、ばねを介して)。このようにして、異なる洗浄機構120上における一部または全部の可動片132の動きを協働させることができ、それにより、可動片132が一体となって伸び、一体となって縮む(血流の拍動性だけに頼るのではなく)。外部電気機械的ドライバを使用して可動片132の動きを駆動する実施形態では、これらのサイクルは、共通のドライバを介して、または互いに同期する複数のドライバを介して調整することができる。
【0051】
一実施形態(図11に示す)では、脳室カテーテル104は、各スリットに対して単一の洗浄機構を使用することができるような大きなスリット144を使用するのではなく、複数の小さなスリット114を使用してもよい。この実施形態では、図3図10に上述して示したような単一のばねプランジャ洗浄機構120を利用して、複数のこれらのスリットを洗浄することができる。例えば、一つの洗浄機構120は、図11に示される複数のスリットにまたがる。可動片130の内腔132aの複数の洗浄面134は、複数のより小さいスリット144を洗浄するために使用される。このように、一つの洗浄機構120を複数(または全て)のスリット144に使用することができる。別の実施形態では、スリットは、脳室カテーテル上の異なるセグメントに間隔をあけて配置され、各セグメントは、その特定のカテーテルセグメント内の複数のスリットを洗浄するために、それ自身の洗浄機構120を利用する。可動片は、可動片が同調して動くように、または連結を使用せずに、血液の拍動性が可動片の動きを制御するように、上述のように任意に連結することができる(これは、一般に、すべての可動片にわたって比較的一貫した移動パターンを生じさせるはずである)。
【0052】
洗浄機構の別の実施形態を図12~13に示す。この実施形態は、脳室カテーテル104の端部区分(例えば、CSF入口孔またはスリット114を含む脳室カテーテルの区分)と重なるハウジング140を利用する。ハウジング140の内部には、図12図13に示すように、厚くなった端部領域148を有するピストン洗浄要素146と、ピストンが近位方向の構成と遠位方向の構成との間を往復できるようにピストンに接続されたばね150とが含まれる。ばねは、さまざまな変数に基づいて伸縮する。一例では、CSFがハウジング内に集まると、CSFはピストン146および接続されたばね150に圧力を加える。この圧力が増加すると、ばねが圧縮され、取り付けられたピストンが後退して脳室カテーテルの孔114の一部が露出し、CSFがこれらの孔114を通って脳室カテーテル104に入ることができる。このようにして、CSFは、脳室カテーテルのハウジング区分140内/近傍に蓄積されたCSFの量に応じて、制御された方法で脳室カテーテルに入る。ピストンは、脳室カテーテル端部区分よりも僅かに大きい内腔を有し、このようにしてピストン146は(ハウジング140及びばね150と同様に)脳室カテーテルの周囲に位置する。内腔は、図3図10図9~10および関連要素134で特に強調されている)に示され、議論される実施形態に関して先に議論された種々の突起、ブラシ、または粗面を利用する。これらの洗浄要素134は、ピストンが孔114上を前後に移動するのと同様に、孔114を洗浄する。ピストンの厚くなった端部領域148は、ハウジングにわずかに接触し、CSFの蓄積からハウジングの内面を洗浄するように機能する。この端部領域148は、ハウジング140の内部から蓄積物を洗浄または掻き取るのに役立つ同様の突起、ブラシまたは研磨界面を含むことができる。このハウジング要素140は、CSFが神経血管系に蓄積する脳室カテーテルの末端区分に配置されることが好ましく、一例では、この末端カテーテル区分は神経血管系の小脳橋角槽区分内に位置する。
【0053】
図12図13の洗浄インタフェースの利点の1つは、CSFが蓄積すると、それがピストン146およびばね150に圧力を及ぼすので、CSFの排出が計測されることである。この圧力が増加するにつれて、ピストンおよびばねを図13の構成へ押し、圧力が増加するとともに、より多くの孔114を露出させ、それによって、圧力が増加するとともにCSFの排出を増加させる。脳への緩衝や適切な栄養素の吸収を促進するために脳には一定量のCSFが必要であるため、CSFの過剰排出は問題である。CSFの排出不足は、CSFが過剰に蓄積し、脳への圧力上昇と水頭症を引き起こすため、よくない。この実施形態の方法では、CSFの排出は、CSFによって加えられる蓄積された圧力に基づいて制御されるので、いくらかのCSFは蓄積されるが、過剰なCSFは、ピストン/ばねインタフェースにより圧力が蓄積するとともに排出を引き起こす。いくつかの例では、ばね張力およびピストン重量をカスタマイズして、許容されるCSFの排出を正確に制御することができる。いくつかの実施形態では、電気的一体化システムが利用され、そこでは、ばねの張力は、一体化電気系測定システムによって行われる受動測定に基づいて機械的にカスタマイズ、変更され、それにより、適切な排出が、CSFの圧力(CSFがピストン148および/または、ばね150に作用している圧力)を測定する測定システムに基づいてカスタマイズされる。
【0054】
図12図13の概念と同様の別の実施形態において、回転要素は、ハウジング140内において機械ロッドに接続され、この回転要素は、孔114を洗浄するハウジングの内部中を循環する。回転要素は、カテーテルとハウジングとの間の空間内で、脳室カテーテル104の周囲に円周方向に配置される。回転要素はディスク(前記カテーテルの周囲に配置されるように、脳室カテーテル104よりも大きい管腔を有する)であり、様々な突起またはブラシを利用してスリット/孔114を洗浄することができる。一実施形態では、ディスクは、図12~13の実施形態と同様に、接続されたバネ要素を利用して近位方向および遠位方向に移動する。別の実施形態では、カテーテル104に沿って長さ方向に複数の孔にまたがる一つ以上のディスクが使用される。別の実施形態では、外部ハウジング140は使用されず、代わりに、カテーテル104の内部区分は、回転して様々なスリット114を洗浄する端部回転ディスク要素を利用する。一実施形態では、ディスクは、例えば、図12図13のばね150と同様の端部ばねへの接続を介して、近位および遠位に移動することができる。
【0055】
本発明の他の実施形態は、CSF入口孔114を含む脳室カテーテルの区分の脳室カテーテル表面上における特定の被覆を利用することによって、CSFおよび脳室カテーテルの流体入口位置に沿った関連する物質の蓄積の問題に対処することができる。これらの被覆は、上述した洗浄機構の概念とともに利用することもでき、あるいは単独の解決策として利用することもできる。例えば、脳室カテーテルまたは入口孔114は、限定されるものではないが、ポリ(2-メトキシエチルアクリレート)(PEMAまたはXコート)などの血漿タンパク質吸着抑制剤で被覆することができる。さらに、感染を防ぐために抗菌被覆を使用することもできる。入口孔114及びカテーテル内腔は、CSFの蓄積による詰まり及び閉塞を防止するのに役立つようにカスタマイズすることもでき、例えば、より大きな入口孔及びより大きな内腔を使用して閉塞を防止することができる。さらに、脳室カテーテル104の内壁において、カテーテルそれ自体の中に物質が蓄積するのを防ぐために、これらの被覆を利用することもできる。
【0056】
他の実施形態は、CSF入口孔114を覆うために生分解性または生体吸収性物質を利用することができ、それによって、物質は、異なる時間の経過とともに分解または再吸収され、孔を露出させる。ここでの考え方は、この物質を利用していないいくつかの孔が時間の経過とともにCSFで詰まり、分解性または再吸収性の被覆物質(時間の経過とともに消えたり分解したりする)を有する他の孔が開き、CSFがこれらの他の孔を通って排出できるようになるというものである。脳室カテーテルは、追加の孔またはスリット114を備えて製造される。その後、孔のいくつかは、限定されるものではないが、ポリα-ヒドロキシ酸および/またはポリエステルアミド(PEA)のような生分解性または生体吸収性物質の薄膜によって覆われ、これは、吸収するのに一定の時間を要する。複数の/異なる吸収速度を有する物質を用いて、種々の孔を覆うことができる。この吸収率の差は、被覆物質の厚さが厚いか薄いか、あるいは異なる吸収率を有する様々な物質が使用されていることに起因し得る。さらに、被覆層をカテーテル上に適用して(および/または脳室カテーテルに接続された流量制御弁により、選択的にCSFがドレナージカテーテルから腹部に排出されるようにする)、タンパク質の吸着をさらに防止することができる。図14は、複数の再吸収アプローチの例を示しており、ここで、孔114aは、完全に開口している(被覆なしの意味)ので、これらの孔は、CSFが流入する最初の孔となる(時間の経過とともに閉塞することもある)。孔114bは、例えば、12~24ヶ月後に吸収される膜を利用する。つまり、これらの孔は12~24ヶ月後に完全に開き、詰まった孔114aの一部を構成するのに役立つ。次いで、孔114cは、約3~4年で吸収する膜被覆を利用することができ、これは、詰まった孔114a~114bの一部を構成するのに役立つ。このパターンは、脳室カテーテル104の長さに沿った種々の孔セグメントで継続し得る。異なる吸収速度を有するこれらの孔はまた、カテーテルに沿って異なる位置に間隔をあけて、よりランダムなプロファイルを作り出すことができる。このように、特定の孔が詰まると、他の孔が開き、多数または複数の孔が同時に詰まる(この場合、CSFドレナージ効率を低下させる可能性がある)可能性が低くなる。このアプローチにより、新しい脳室カテーテルを移植しなければならない可能性が減少し、または少なくともこの処置が行われなければならない時間間隔を空ける。このアプローチのもう1つの利点は、校正されたCSFドレナージプロトコルが維持されることである。一部の孔は時間の経過とともに閉塞し、それによりCSFの流入/排出能力が低下する一方で、他の孔は新たに開口し、それによりCSFを排出するために任意の時点で利用可能な孔/スリットの総量を大まかに均衡させる。
【0057】
被覆は、様々な位置に適用することができ、例えば、上述したような、脳室カテーテルのスリット/孔/開口114に沿った場所を含む。一実施形態では、被覆は孔から外側に突出する。一実施形態では、被覆は、孔から半径方向内側に突出するように塗布される。一実施形態では、被覆は孔自体の平面と同一平面である。被覆は、機械式(手動式)被覆プロセスによって、または機械によってなど、様々な方法で適用することができる。一実施形態では、カテーテル全体(またはカテーテルの一部)それ自体が被覆溶液に浸漬され、カテーテルの浸漬された区分に被覆が均等に適用される。いくつかの実施形態では、ドレナージカテーテルもまた、細菌または物質の蓄積を防止するために被覆を利用する。いくつかの実施形態において、被覆は、物質の蓄積が機械的弁装置と干渉するのを防ぐために、弁に直接隣接するカテーテルの区分に沿って利用される。
【0058】
脳室カテーテルの閉塞の他に、シャント処置に伴う別の問題は、脳室カテーテル(CSFを神経血管系からシャント弁装置に送る)およびドレナージカテーテル(CSFをシャント弁装置から腹腔などのドレナージ部位に送る)が弁装置に接続された状態を確実にすることである。これらのカテーテルのいずれかが外れたり緩んだりすると、シャントの能力が制限され、脳からCSFを効果的に集めて送ることができなくなる。以下の実施形態は、シャント弁と接続されたカテーテルとの間のより良好な接続を可能にするロック機構を提供することによって、この問題に対処する。
【0059】
図15は、典型的なシャント接続インタフェースを示す。典型的なシステムは、CSFを選択的に測定するための弁要素を含むシャントハウジング/弁200を含む。また、第一202および第二204結合インタフェース/フィッティングが、それぞれ脳室カテーテル(その第1端部は脳のCSF蓄積領域にあり、その第2端部は結合インタフェース202に付着している)およびドレナージカテーテル(その第1端部は、結合インタフェース204に取り付けられ、その第2端部は、例えば腹部のようなドレナージ領域への経路を有する)に接続する。典型的なインタフェースは、隆起部202a及び204aを含み、この隆起部上にカテーテルが配置されて、カテーテルとシャント弁との間のぴったりとした(snug)接続を可能にする。しかし、この区分は必ずしもカテーテルを固定するものではなく、カテーテルはフィッティングおよび結合インタフェースから分離され得ることが多い。
【0060】
図16は、複数の接続要素206aを利用する結合インタフェースまたはフィッティング206(このフィッティングは、2つのフィッティング202、204の1つまたは一方を表すことができ、これらのフィッティングは、シャント弁ハウジング200のいずれかの端部にある)の実施形態を示す。これらの要素は、フィッティング206の表面内に延びる雌部の窪み若しくは凹み、フィッティング206の表面から外側に延びる雄部の突起、又はこれら2つの組合せである。カテーテルの端部区分、特にフィッティング上に配置されたカテーテルの区分は、カテーテルとフィッティングとがそれぞれのインタフェース間の嵌合によって結合されるように、対応するインタフェース(例えば、フィッティング206の凹部に嵌合する凸部、フィッティング206の凸部に嵌合する凹部等)を含む。接続要素206aの一部または全部を使用することができ、それによってカテーテルは、接続要素206aの一部または全部と連結するそれ自身の対応するフィッティングインタフェースを利用することができる。一例では、図16で黒く表示した接続要素206aは、フィッティング206から外側に延びる突起と考えることができ、白く表示した接続要素206aは、フィッティング206から内側に後退する凹部と考えることができる。次いで、接続カテーテルの端部上の対応するインタフェース表面は、この領域と係合する対応する表面を有する(例えば、黒く表示した突起206aと嵌合するための凹んだ又は雌部領域、及び白く表示した雌凹部206aと嵌合するための雄部突起)。全ての接続要素206aを係合させる必要はない。例えば、接続要素206aの一部は、フィッティングをその上にあるカテーテルに結合するために実際に使用される。一実施形態では、突起部区分のみまたは凹部区分のみが使用される。例えば、フィッティングインタフェース206aは、雌凹状構造のみを利用し、カテーテルインタフェースは、雄凸状構造のみを備えている。あるいは、フィッティングインタフェース206aは、雄凸状構造のみであり、カテーテルインタフェースは、雌凹状構造のみを備えている。
【0061】
典型的なシャント弁は、ばねに押し付けるルビーボールを含む一方向弁設計を利用し、一定の圧力に達すると弁が開き、CSFが弁出口区分を通ってドレナージカテーテルに入ることを可能にする。時には、患者ごとに望ましいCSF流量を最適化するために磁石をさらに使用する。しかし、機械部品が多数あるために、弁部品の機械的故障が起こるのが一般的である。以下の実施形態は、この弁故障問題に対処するために、より少ない機械部品を利用する弁の概念を説明する。
【0062】
シャント弁ハウジング200は、図17に示されており、CSFを収集する脳室カテーテルに接続された入口端202と、CSFを排出するドレナージカテーテルに接続された出口端204とを含んでいる。図17の状況では、CSFは左から右に流れる。弁ハウジング200は、プレチャンバ208と、弁210を収容する弁室209とを含み、CSFは、まず、プレチャンバ208内に流れ、次に、弁室209内に入る。弁室209は、頂部区分209a及び底部区分209bと、これらの間の流量を調節する弁210とを含む。
【0063】
弁210は、図18により詳細に示されており、ステム214と突出アンカー212とを含み、アンカーは、孔を介して弁室209の頂部区分に固定されている。アンカーの周囲には、図17に示すようにCSFの流入を可能にする入口孔211がある。弁210は、頂部ディスク216および底部ディスク218を含む。両方のディスクは、図19~20にそれぞれより詳細に示されており、弁ステム214の通過を可能にする中間孔を含み、それによって弁ステム214は、二つのディスクを一緒に結合する。次に、弁210の開閉動作である機械的な弁操作についてより詳細に説明する。
【0064】
弁210は、上述したように、頂部ディスク216および底部ディスク218を含む。頂部ディスク216は、複数の孔220を含み、これらの孔は、弁室209の入口孔211と整列している。CSFが弁室209に入ると、CSFは入口孔211を通って頂部ディスク216の孔220に流入する。底部ディスク218には、このような複数の孔が設けられておらず、底部ディスク218の一部(例えば、出口204に対向する部分であるディスクの右側)が他の部分(例えば左側)よりも軽くなるように重み付けされている。この様々な重み付けは、多くの方法で達成することができ、それには例えば、底部ディスク218のより軽い部分に、より軽い物質を使用することや、または底部ディスクの一部をより薄くすることによるものがある。CSFの重量および圧力は、それが弁室209の頂部区分に蓄積し、頂部ディスク216の孔に入るにつれて増加し、重量は増加し、それによって底部ディスク218のより軽い区分が最終的に旋回してCSFが出てくる。この旋回動作は、ステム区分214が底部ディスクよりもわずかに長いか、または底部ディスク218に直接固定されていないことを意味し、底部ディスク218は、いくらかの伸縮性を有し、CSF重量が増加するにつれて、わずかに動くことを意味する。
【0065】
十分なCSFが蓄積されると、底部ディスクのより重いまたはより厚い左側も旋回し、CSFが弁室209の底部チャンバを通って出ることができる。この態様において、CSF閾値重量を超えないとき、弁210は閉じた状態となり、そこではCSFが弁から出ることができないように、頂部および底部ディスクはぴったりと合わさっている。次に、弁210は、部分的に開放された状態となり、そこでは底部ディスク218のより薄いまたはより軽い部分(例えば、シャント弁システムの出口端204に近いディスク区分)は、開いて部分的にCSFを流出できる。最後に、弁210は、完全に開いた状態となり、そこでは、底部ディスク208全体が、頂部ディスクに対して開くかまたは旋回して、CSFを最大限に排出することを可能にする。
【0066】
一実施形態では、弁210のディスク216、218は、共にシリコンであり、直径が約0.3インチである。頂部ディスク216は、約0.07インチの厚さであり、周囲の周りに6~8個の孔220を含む。底部ディスク218は、上述したように、ディスクの周囲を移動するにつれて厚さが減少し、最も厚い区分は約0.07インチであり、最も薄い区分は約0.02インチである。先の説明では、底部ディスク218の出口204に対向する部分が最も薄いものとして具体的に説明したが、CSFが弁室209の底部チャンバ209b内に蓄積され、底部チャンバがCSFで満たされると、CSFが出口204を通って押される可能性が高いため、実際には、底部ディスク218のどの区分がより薄いかは、必ずしも問題ではない。従って、底部ディスク219のいずれの部分もより薄い(または軽い)限り、閾値重量又は圧力に達したときに、CSFが弁室209の頂部区分から排出されることを可能にする。したがって、この設計は、圧力勾配一方向弁を形成し、2ディスクインタフェースがCSFの逆流を防止する。
【0067】
プレチャンバ208の目的は、CSFが弁室209に入る前にCSFを蓄積することである。しかし、いくつかの実施形態において、プレチャンバ208はまた、CSFの皮下サンプリングのために使用することができ、および/または適切な弁機能をテストするために使用することができる。プレチャンバは、検査目的のために圧迫または触診/振り動かされ得る。例えば、弁流は、プレチャンバを完全に満たすほどにはプレチャンバ内に十分な量の流体はないが、一定量の流体が常にプレチャンバ内にあるように構成することができる。プレチャンバの気泡を押し下げることができない場合、プレチャンバは完全に充填されるため、遠位カテーテル閉塞を示す。一方、プレチャンバの気泡が加圧後も下降している場合、それは近位カテーテル閉塞を示すことになり、したがって、プレチャンバ物質特性は、脳室(脳)カテーテルおよびドレナージ(腹部)カテーテルの適切な機能性の指標として作用するように構成することができる。
【0068】
シャント処置やその他の方法で過剰なCSFを除去するために、神経血管系の第3脳室領域に孔を開けて過剰なCSFを除去し、脳圧を低下させることが多い。この処置は、シャント処置の代わりに、またはシャント処置と併用して、血流内にCSFを戻すための排出路を確保するために用いられることが多い。しかし、この開口部を密閉することは困難であり得る。ヒドロゲルは特定の刺激に反応して膨張する化合物群である。血管治療目的のためのヒドロゲルは、水性物質との接触(例えば、血液の水性部分)またはpH(例えば血液のpH)に基づいて膨張するように設計されることが多い。一実施形態において、限定されない例として、ポリエチレングリコールまたはポリテトラメチレンオキシドのようなヒドロゲルをその領域に塗布して、形成された開口部を密閉するのに役立てることができる。一実施形態では、脳室カテーテルの遠位先端部の一部(神経血管系CSF蓄積点内の脳室カテーテルの末端部分を意味する)は、開口部の密閉に役立てるために、例えば、遠位先端部から約5センチメートル離れた部分などにおいて、ヒドロゲルを利用する。あるいは、カテーテルを神経血管系の脳室内の所定の位置に配置した後、注射器を用いてヒドロゲルを適用することができる。同様に、シャント弁を血管内に留置する場合は、下錐体静脈洞などの静脈を穿刺して弁を留置する。ヒドロゲルはシャントの先端に塗布することができ、そこではシャントが血管壁に固定され、穿刺部を密閉してシャントをしっかりと固定するのに役立つ。
【0069】
本明細書に提示される実施形態の多くは、脳室カテーテルの詰まりまたは弁の故障に関連する問題に対処しており、この問題に対処するために種々の機械的な装置およびシステムが記載されている。この問題は、無線通信プロトコルを利用して頭蓋内圧の変化をモニタする電気通信システムを介して解決することも可能であり、それによると、閉塞またはCSFドレナージ処置に伴う他の問題は頭蓋内圧(ICP)の顕著な増加をもたらす。ICPは所与の時間間隔にわたって測定され、最大および最小圧力が保存、分析されて、ICPの意味のある表示が行われ、それによって、有意な偏差は、シャントシステムに問題があることを示す。次いで、情報は、限定されるものではないが、ブルートゥース低エネルギー(BLE)のような通信プロトコルを介して無線で送信され、患者に警告するためにICPの変化について事前に警告を行う。次に、この情報は、腕時計、携帯電話、モバイルコンピュータなどのポータブルワイヤレス対応デバイスにワイヤレスで転送される。このシステムに必要な手順と要素を図21のフローチャートに示す。
【0070】
図21のフローチャートに含まれる圧力センサは、ICPをモニタするために使用され、一実施形態では、マイクロエレクトロメカニカル(MEMS)シリコンベースの圧力センサを使用する。シリコンベースの圧力センサは、センサ内に配置された抵抗素子の比例変化を利用する。圧力センサは、脳室カテーテル、弁ハウジング、またはドレナージカテーテル内を含めて、シャントシステム内のどこにでも配置することができ、さらに、様々な圧力感知要素をシャントシステムの様々な領域(例えば、脳室カテーテル内の1つと弁ハウジング内の1つ)に配置して、より広範なICP表示を行い、閉塞がどこにあるかを特定するのに役立てることができる。あるいは、圧力が、CSFが蓄積する脳室領域内のICPを物理的に表すように別の圧力センサを脳室カテーテルの近くに移植することもできる。
【0071】
フローチャートは、無線対応デバイス(時計、スマートフォン、コンピュータ、またはタブレットなど)にデータを送信するために使用されるアンテナシステムも含む。電気システムのアンテナ部分の一実施形態は、シャントカテーテルの表面内に設計され、アンテナインタフェース回路に接続される非磁性導電性トレースパターンを利用する(例えば、金メッキされた銅、白金、ベリリウムの利用)。導電区分は、測定用センサ(圧力センサ等)をアンテナに接続して関連データを送信するか、または関連データをコンパイルするコントローラを送信用アンテナに接続する。導電パターンは、選択された無線通信プロトコル上で光無線周波数伝送特性を有するように設計される(例えば、2.4~2.4835GHzのBLE周波数)。
【0072】
電気システムのアンテナ部分に対する別の実施形態は、脳室アンカーを利用する。脳室アンカーは、神経血管系のCSF蓄積血管から出て、カテーテルは静脈内に位置し、それによってアンカーは、脳室カテーテルを適所に維持するのに役立つ。この実施形態は、必要とされる周波数のRF送信特性のための寸法を有する導電性物質(例えば、ステンレス鋼、白金コバルトクロム等)からなる脳室アンカーを利用し、この場合、アンカー自体がアンテナとして機能するか、またはアンテナのための導電性電気通信媒体として機能する。
【0073】
電気システムの電力要求量は比較的低く、ICPが測定され、関連データが送信されるたびに、約3~4マイクロワット時を必要とする。一実施形態は、脳室カテーテルの壁内に埋め込まれた容量性貯蔵要素を利用するというエネルギー貯蔵概念を利用する。容量性貯蔵要素は、異なる直径の2つの同心の管から構成され、2つの導電性管の間の空間は、誘電体物質で充填される。誘電体は、電気システムが動作するのに十分なエネルギーを蓄積するのに十分な容量を2つの管の間に提供するのに十分な誘電率を有する。コンデンサは、充電コントローラによって制御される誘導結合充電ステーションまたは環境発電(例えば、熱、RFまたは圧電エネルギー)などの外部電荷源を介して充電される。あるいは、電気システムは、リチウム-ヨウ素またはリチウム-フッ化炭素電池を利用する、密閉された移植可能な電池を利用する。
【0074】
一実施形態では、上述し、図21に示す電気通信システムは、ICPを受動測定して、この情報を外部装置に伝達し、この情報をユーザに中継する。別の実施形態では、電気システムは、測定されたICPデータに基づいて弁特性を変化させる(例えば、CSFの排出を増加または減少させるために弁を緩めるまたは締める)。上述したように、一定量のCSFが必要であるため、シャント弁はCSFを常に排出することはできず、代わりに典型的には一定の圧力を超えるとCSFを排出する。典型的には、このシステムは、閾値圧力を超えると機械的に開くか、または機械的に流す機械弁を利用する。特定の状況では、各患者は異なるので、最適な弁を設計することは困難であり得る(例えば、各患者の脳の大きさやCSF産生量などが異なる)。しかし、上述した電気システムでは、モニタシステム自体が弁に連結され、計算されたICPに基づいて弁を開閉して、カスタマイズ可能な弁プロファイルを提供することができる。このようにして、ある閾値を超えると、電気システムは弁と通信し、電気機械弁を開く。この閾値は、観察された現象に基づいて常に更新することができ、または医師が使用可能な保存されたプロファイルに基づいて校正することができる。このシステムはまた、CSFを連続的にモニタし、連続的な小さな調整を行い、弁がどのように「開く」かを制御し、常に更新される弁プロファイルを作成することができ、そこでは弁開度プロファイルの小さな調整が必要に応じて比較的連続的に行われる。このようにして、マスター電気通信システムがICPをモニタするために使用され、このシステムは弁に直接連結されて、弁を通るより多くのCSFの流れを可能にするか、または必要に応じて弁を通るCSFの流れを制限するように弁を調整する。
【0075】
シャントの問題のひとつは、仰臥位または臥位(例えば、寝ているときなど)から立位になったときのCSFの排出率の変化である。この動きの変化により、患者が直立する時にドレナージカテーテルが水平位置から垂直位置に移動するため、重力によって、CSFが突然排出されることがある。しかし、この排出の増加は、CSFの蓄積によるものではなく、患者の向きが変化したことによるものであるため、望ましくない場合がある。神経血管系のCSFが少なすぎると、脳室の虚脱、血管の断裂、頭痛、硬膜下血腫、脳室が小さくなるスリット脳室症候群、脳の緩衝材が少なすぎる、および/または栄養吸収および老廃物除去過程が低下するため、CSFの過度の排出は危険である。本発明の一実施形態は、CSFの圧力及び流量を測定するセンサを使用して弁の流れを調整及び制御する電気機械弁を利用することによってこの問題に対処する。一つ以上の微小加速度計センサが、シャント弁に一体化されるか、又はカテーテル管に沿って配置され、これらのセンサは、患者の動き及び向き(例えば、仰臥位または立位)を検出するために使用される。シャントが移植されると、医師は、異なる身体位置で患者のベースラインとなる向きを作成することによって微小加速度計を校正する。校正されると、加速度計は患者が仰臥位、立位、部分的に仰臥位、部分的に立位などであるかどうかを判断する。加速度計により、患者が仰臥位/水平位から立位に移動していることが計測されると、信号が電気機械弁に送られ、CSFの過剰排出を防ぐために流量が減少する。小さな変化が観察されると(例えば、患者が座位から立位、または前かがみの姿勢からまっすぐな姿勢になった時)、小さな変化も起こり得る。体の姿勢に基づく予めプログラムされた流量調整に加えて、CSFシャントはAIアルゴリズムを用いてプログラムすることもでき、それにより下流の流量センサ(例えば、ドレナージカテーテル内の流量センサ)を用いて、CSFの過剰サイホン(over-siphoning)作用/過剰排出を防止するために弁が調整された最後の出来事の有効性を検出するために使用される。様々な体の姿勢に基づく弁の設定は装置のメモリに保存され、各出来事の発生後において、プログラムは体の姿勢の変化およびそれに対応する電気機械的シャント弁の流量特性
に基づいたサイホン作用を防止するために保存された履歴データを使用して最適設定を正確に特定する。このようにして、患者は、サイホン防止のための最適設定を有し、弁を調整するために医師を訪問する必要性が少なくなる。本システムはまた、上述し、図21に示す無線システムと共に使用して、ICP特性を通信およびモニタすることができ、ここで、ユーザの姿勢は、観察された現象に基づいてモニタおよび調整するようにシステムが構成される別の測定値である。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図15
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図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2023-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ャントであって、
テーテルと、
前記カテーテルの一部に沿った複数の孔またはスリットと、
複数の個別の被覆であって、前記複数の個別の被覆のそれぞれが、前記複数の孔またはスリットのうちの1つを覆って、またはそれに沿って塗布され、前記複数の個別の被覆のそれぞれが、それぞれ生体吸収性または生体分解性である、複数の個別の被覆と、
を備えるシャント。
【請求項2】
前記複数の個別の被覆が、それぞれ、ポリα-ヒドロキシ酸、ポリエステルアミド(PEA)、ポリ(2-メトキシエチルアクリレート)(PEMA)、血漿タンパク質吸着抑制剤、または抗菌被覆のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシャント。
【請求項3】
前記複数の孔またはスリットのうちの第1の孔またはスリットを覆うか、またはそれに沿う第1の複数の個別の被覆が第1の厚さを有し、前記複数の孔またはスリットのうちの第2の孔またはスリットを覆うか、またはそれに沿う第2の複数の個別の被覆が、前記第1の厚さとは異なる第2の厚さを有し、前記複数の孔またはスリットのうちの前記第1の孔またはスリットを介した脳脊髄液の前記カテーテルへの流入と前記複数の孔またはスリットのうちの前記第2の孔またはスリットを介した脳脊髄液の前記カテーテルへの流入とを変化させる、請求項1に記載のシャント。
【請求項4】
前記複数の孔またはスリットのうちの第1の孔またはスリットを覆うか、またはそれに沿う第1の複数の個別の被覆が第1の吸収速度を有し、前記複数の孔またはスリットのうちの第2の孔またはスリットを覆うか、またはそれに沿う第2の複数の個別の被覆が、前記第1の吸収速度とは異なる第2の吸収速度を有し、前記複数の孔またはスリットのうちの前記第1の孔またはスリットを介した脳脊髄液の前記カテーテルへの流入と前記複数の孔またはスリットのうちの前記第2の孔またはスリットを介した脳脊髄液の前記カテーテルへの流入とを変化させる、請求項1に記載のシャント。
【請求項5】
第1の血漿タンパク質質吸着抑制剤被覆と、第2の抗菌被覆を含む、請求項1に記載のシャント
【請求項6】
前記複数の個別の被覆が、12~24か月後に吸収されるよう画定された第1の被覆と、3~4年後に吸収されるように画定された第2の被覆と、を含む、請求項1に記載のシャント。
【請求項7】
前記複数の孔またはスリットが、前記カテーテルの遠位端の近くに位置する第1の複数の穴またはスリットと、前記第1の複数の穴またはスリットの近位に位置する第2の複数の穴またはスリットとを含み、前記第1の複数の穴またはスリットを覆うか、またはそれに沿う第1の複数の個別の被覆が第1の吸収速度を有し、前記第2の複数の穴またはスリットを覆うか、またはそれに沿う第2の複数の個別の被覆が前記第1の吸収速度とは異なる第2の吸収速度を有する、請求項1に記載のシャント。
【請求項8】
前記複数の孔またはスリットが、前記第2の複数の穴またはスリットの近位に位置する第3の複数の穴またはスリットと、前記第3の複数の穴またはスリットの近位に位置する第4の複数の穴またはスリットとを含み、前記第3の複数の穴またはスリットを覆うか、またはそれに沿う第3の複数の個別の被覆が前記第1の吸収速度を有し、前記第4の複数の穴またはスリットを覆うか、またはそれに沿う第4の複数の個別の被覆が前記第2の吸収速度を有する、請求項7に記載のシャント。
【請求項9】
前記複数の個別の被覆が前記複数の孔またはスリットから半径方向内側に突出している、請求項1に記載のシャント。
【請求項10】
前記複数の個別の被覆が前記複数の孔またはスリットから半径方向外側に突出している、請求項1に記載のシャント。
【請求項11】
記複数の孔またはスリットが、脳脊髄液の前記カテーテルへの流入を容易にするよう画定されている、請求項1に記載のシャント。
【外国語明細書】