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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161634
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】導電性フィルム、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20241113BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20241113BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20241113BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20241113BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALN20241113BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H01B5/14 A
H01B5/14 B
G06F3/044 122
G06F3/041 490
G06F3/041 400
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166094
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】手塚 謙一
(72)【発明者】
【氏名】深谷 芽衣
【テーマコード(参考)】
5E338
5G307
5J046
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA12
5E338AA13
5E338AA16
5E338CC04
5E338CC06
5E338CD15
5E338EE11
5E338EE60
5G307FA02
5G307FB02
5G307FC09
5G307FC10
5J046AB08
5J046PA07
(57)【要約】
【課題】伝送特性の極端な低下を抑制しつつ、導電性パターンの端部における導電線の視認性を低くすることができる導電性フィルム、及び表示装置を提供する。
【解決手段】導電性フィルム20では、少なくとも何れかの端部メッシュ部65は、基本メッシュ部61と重ねた場合に、当該基本メッシュ部61よりも外側に位置する部分を有する。これにより、導電性パターン60Aの端部60Aa,60Abにおいて、導電線の潰れなどによって視認性が上がってしまうことを抑制することができる。また、端部メッシュ部65の平均開口面積は、基本メッシュ部61の平均開口面積の1.5倍未満である。従って、導電性パターン60Aの端部60Aa,60Abの端部メッシュ部65の開口面積が大きくなりすぎて、導電性パターン60Aの伝送特性が極端に低下することを抑制できる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状の基材と、前記基材の主面上に配置されるメッシュ状の導電性パターンと、を備える導電性フィルムであって、
前記導電性パターンは、前記主面に沿って延びると共に互いに交差し、前記導電性パターンの端部を構成する端部導電線に対して傾斜する複数の第1の導電線、及び複数の第2の導電線を含み、
前記導電性パターンは、
前記端部導電線を含み、第1の多角形を有する複数の第1のメッシュ部と、
前記端部導電線を一辺として含まず、第2の多角形を有する複数の第2のメッシュ部と、を少なくとも有し、
少なくとも何れかの前記第1のメッシュ部は、前記第2のメッシュ部と重ねた場合に、当該第2のメッシュ部よりも外側に位置する部分を有し、
前記第1のメッシュ部の平均開口面積は、前記第2のメッシュ部の平均開口面積の1.5倍未満である、導電性フィルム。
【請求項2】
前記第2のメッシュ部を構成する前記第1の導電線及び前記第2の導電線を前記端部導電線へ延ばした部分と、前記端部導電線と、によって構成される三角形の仮想メッシュ部を設定した場合、
前記第1のメッシュ部の開口面積は、前記仮想メッシュ部の開口面積より大きい、請求項1に記載の導電性フィルム。
【請求項3】
前記第1のメッシュ部の平均開口面積は、前記第2のメッシュ部の平均開口面積以下である、請求項1又は2に記載の導電性フィルム。
【請求項4】
前記第1のメッシュ部は、前記導電性パターンの両端部に互いに対称をなすように配置される、請求項1~3の何れか一項に記載の導電性フィルム。
【請求項5】
前記第1のメッシュ部は、前記導電性パターンの両端部に互いに非対称をなすように配置される、請求項1~3の何れか一項に記載の導電性フィルム。
【請求項6】
前記第1のメッシュ部の前記第1の多角形は、四角形以上である、請求項1~5の何れか一項に記載の導電性フィルム。
【請求項7】
前記端部導電線は、前記導電性パターンの延在方向に沿って延びる、請求項1~6の何れか一項に記載の導電性フィルム。
【請求項8】
前記第1のメッシュ部は、前記端部導電線の延在方向に沿って連続して配置される、請求項1~7の何れか一項に記載の導電性フィルム。
【請求項9】
前記第1の導電線及び前記第2の導電線の幅は2μm未満である、請求項1~8の何れか一項に記載の導電性フィルム。
【請求項10】
フィルム状の基材と、前記基材の主面上に配置されるメッシュ状の導電性パターンと、を備える導電性フィルムであって、
前記導電性パターンは、前記主面に沿って延びると共に互いに交差し、前記導電性パターンの端部を構成する端部導電線に対して傾斜する複数の第1の導電線、及び複数の第2の導電線を含み、
前記導電性パターンは、
前記端部導電線を含む複数の多角形領域と、
前記端部導電線を一辺として含まず、基本多角形を有する複数の基本メッシュ部と、を少なくとも有し、
前記多角形領域は、前記基本メッシュ部と重ねた場合に、当該基本メッシュ部よりも外側に位置する部分を有し、
前記多角形領域は、互いに対向する二辺を結ぶ分割導電線によって、複数の分割メッシュ部に分割され、
前記分割導電線と前記基本メッシュ部の辺との間のピッチは、前記基本メッシュ部のピッチよりも小さく、
前記導電性パターンにおける前記基本メッシュ部以外のメッシュ部の平均開口面積は、前記基本メッシュ部の平均開口面積の1.5倍未満である、導電性フィルム。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載の導電性フィルムを備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、導電性フィルム、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可撓性の透明板と、透明板の主面上に配置されるメッシュ部分を有するアンテナエレメントと、を備えるアンテナ装置が知られている(例えば特許文献1)。このアンテナ装置において、アンテナエレメントのメッシュ部分は、当該アンテナエレメントの延在方向に対して傾斜した状態で互いに交差する導電ラインを有する。アンテナエレメントのメッシュ部分は、交差する導電ラインを一定ピッチで配列することで形成される複数のメッシュ部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-205635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のようなアンテナ装置では、アンテナエレメントのメッシュ部分の端部に、基本メッシュ部よりも開口面積が小さいメッシュ部が形成される場合がある。このとき、端部のメッシュ部の開口面積が小さくなりすぎると、当該メッシュ部を構成する導電ライン同士が密集してしまう。この場合、製造時などにおいて、導電ライン同士が潰れなどによって接続されてしまう可能性がある。当該潰れが発生した場合、太い導電ラインが形成されてしまい、視認性が上がってしまう。アンテナ装置を表示装置に組み込んだ場合、導電ラインの視認性は低く抑制されることが求められる。その一方で、端部のメッシュ部の開口面積を大きくし過ぎると、アンテナエレメントのメッシュ部分の伝送特性が極端に低下してしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、伝送特性の極端な低下を抑制しつつ、導電性パターンの端部における導電線の視認性を低くすることができる導電性フィルム、及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る導電性フィルムは、フィルム状の基材と、基材の主面上に配置されるメッシュ状の導電性パターンと、を備える導電性フィルムであって、導電性パターンは、主面に沿って延びると共に互いに交差し、導電性パターンの端部を構成する端部導電線に対して傾斜する複数の第1の導電線、及び複数の第2の導電線を含み、導電性パターンは、端部導電線を含み、第1の多角形を有する複数の第1のメッシュ部と、端部導電線を一辺として含まず、第2の多角形を有する複数の第2のメッシュ部と、を少なくとも有し、少なくとも何れかの第1のメッシュ部は、第2のメッシュ部と重ねた場合に、当該第2のメッシュ部よりも外側に位置する部分を有し、第1のメッシュ部の平均開口面積は、第2のメッシュ部の平均開口面積の1.5倍未満である。
【0007】
本開示の一側面に係る導電性フィルムは、フィルム状の基材と、基材の主面上に配置されるメッシュ状の導電性パターンと、を備える導電性フィルムであって、導電性パターンは、主面に沿って延びると共に互いに交差し、導電性パターンの端部を構成する端部導電線に対して傾斜する複数の第1の導電線、及び複数の第2の導電線を含み、導電性パターンは、端部導電線を含む複数の多角形領域と、端部導電線を一辺として含まず、基本多角形を有する複数の基本メッシュ部と、を少なくとも有し、多角形領域は、基本メッシュ部と重ねた場合に、当該基本メッシュ部よりも外側に位置する部分を有し、多角形領域は、互いに対向する二辺を結ぶ分割導電線によって、複数の分割メッシュ部に分割され、分割導電線と基本メッシュ部の辺との間のピッチは、基本メッシュ部のピッチよりも小さく、導電性パターンにおける基本メッシュ部以外のメッシュ部の平均開口面積は、第2のメッシュ部の平均開口面積の1.5倍未満であってよい。
【0008】
本開示の一側面に係る表示装置は、上述の導電性フィルムを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一側面によれば、伝送特性の極端な低下を抑制しつつ、導電性パターンの端部における導電線の視認性を低くすることができる導電性フィルム、及び表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】導電性フィルムの一実施形態を示す平面図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3】表示装置の一実施形態を示す断面図である。
図4】導電性層の平面図である。
図5図4の「E」で示す部分の拡大図である。
図6】変形例に係る導電性フィルムの導電性層の拡大図である。
図7】変形例に係る導電性フィルムの導電性層の拡大図である。
図8】変形例に係る導電性フィルムの導電性層の拡大図である。
図9】変形例に係る導電性フィルムの導電性層の拡大図である。
図10】変形例に係る導電性フィルムの導電性層の拡大図である。
図11図10に示す導電性パターンの拡大図である。
図12】比較例に係る導電性フィルムの導電性層の拡大図である。
図13】比較例に係る導電性フィルムの導電性層の拡大図である。
図14】比較例に係る導電性フィルムの導電性層の拡大図である。
図15】実施例及び比較例の条件及び測定値を示す表である。
図16】実施例及び比較例の測定結果を示すグラフである。
図17】変形例に係る導電性フィルムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
図1は導電性フィルムの一実施形態を示す平面図であり、図2図1のII-II線に沿う断面図である。図1及び図2に示される導電性フィルム20は、フィルム状の光透過性基材1(基材)と、光透過性基材1の一方の主面1S上に設けられた導電性層5と、光透過性基材1の一方の主面1S上に設けられた光透過性樹脂層7Bとを備える。導電性層5は、光透過性基材1の主面1Sに沿った方向に延在し複数の開口3aを含むパターンを有する部分を含む導体部3と、導体部3の開口3a内を埋める絶縁樹脂部7Aとを有する。図2では、導電性層5がデフォルメされた状態で示されており、導体部3の幅が強調された状態で示されている。また、図1に示す例では、導電性フィルム20の一方の短辺付近に導電性層5が形成されているが、導電性層5が形成される位置は特に限定されず、長辺付近に導電性層5が形成されてもよい。
【0013】
光透過性基材1は、導電性フィルム20が表示装置に組み込まれたときに必要とされる程度の光透過性を有する。具体的には、光透過性基材1の全光線透過率が90~100%であってもよい。光透過性基材1のヘイズが0~5%であってもよい。
【0014】
光透過性基材1は、例えば透明樹脂フィルムであってもよく、その例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー(COP)、又はポリイミド(PI)のフィルムが挙げられる。あるいは、光透過性基材1がガラス基板であってもよい。
【0015】
例えば図17に示すように、光透過性基材1は、光透過性の支持フィルム11と、支持フィルム11上に順に設けられた中間樹脂層12及び下地層13とを有する積層体であってもよい。支持フィルム11は上記透明樹脂フィルムであることができる。下地層13は無電解めっき等によって導体部3を形成するために設けられる層である。他の方法によって導体部3を形成する場合、下地層13は必ずしも設けられなくてもよい。支持フィルム11と下地層13との間に中間樹脂層12が設けられていなくてもよい。
【0016】
光透過性基材1又はこれを構成する支持フィルム11の厚みは、10μm以上、20μm以上、又は35μm以上であってよく、500μm以下、200μm以下、又は100μm以下であってよい。
【0017】
中間樹脂層12が設けられることにより、支持フィルム11と下地層13との間の密着性が向上し得る。下地層13が設けられない場合、中間樹脂層12が支持フィルム11と光透過性樹脂層7Bとの間に設けられることにより、支持フィルム11と光透過性樹脂層7Bとの間の密着性が向上し得る。
【0018】
中間樹脂層12は、樹脂及び無機フィラーを含有する層であってもよい。中間樹脂層12を構成する樹脂の例としては、アクリル樹脂が挙げられる。無機フィラーの例としては、シリカが挙げられる。
【0019】
中間樹脂層12の厚みは、例えば5nm以上、100nm以上、又は200nm以上であってもよく、10μm以下、5μm以下、又は2μm以下であってもよい。
【0020】
下地層13は、触媒及び樹脂を含有する層であってもよい。樹脂は、硬化性樹脂組成物の硬化物であってもよい。硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂の例としては、アミノ樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエステル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、フラン樹脂、COPNA樹脂、ケイ素樹脂、ジクロペンタジエン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、エピスルフィド樹脂、エン-チオール樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物、アセナフチレン、並びに、不飽和二重結合、環状エーテル、及びビニルエーテル等の紫外線で重合反応を起こす官能基を含む紫外線硬化樹脂が挙げられる。
【0021】
下地層13に含まれる触媒は、無電解めっき触媒であってもよい。無電解めっき触媒は、Pd、Cu、Ni、Co、Au、Ag、Pd、Rh、Pt、In、及びSnから選ばれる金属であってもよく、Pdであってもよい。触媒は、1種類単独若しくは2種類以上の組合せであってもよい。通常、触媒は触媒粒子として樹脂中に分散している。
【0022】
下地層13における触媒の含有量は、下地層13全量を基準として、3質量%以上、4質量%以上、又は5質量%以上であってもよく、50質量%以下、40質量%以下、又は25質量%以下であってもよい。
【0023】
下地層13の厚みは、10nm以上、20nm以上、又は30nm以上であってもよく、500nm以下、300nm以下、又は150nm以下であってもよい。
【0024】
光透過性基材1は、支持フィルム11の光透過性樹脂層7B及び導体部3とは反対側の主面上に設けられた保護層を更に有していてもよい。保護層が設けられることにより、支持フィルム11の傷付きが抑制される。保護層は、中間樹脂層12と同様の層であることができる。保護層の厚みは、5nm以上、50nm以上、又は500nm以上であってもよく、10μm以下、5μm以下、又は2μm以下であってもよい。
【0025】
導電性層5を構成する導体部3は、開口3aを含むパターンを有する部分を含む。開口3aを含むパターンは、互いに交差する複数の線状部によって形成された、規則的に配置された複数の開口3aを含むメッシュ状のパターンである。メッシュ状のパターンを有する導体部3は、例えばアンテナの放射素子、給電部、グラウンド部として良好に機能することができる。なお、導電性層5における導電性層5のパターンの構成の詳細については後述する。また、導体部3は、開口3aを含むパターンを有する部分の他に、グランド端子、給電端子等の導電部材に相当する部分を有していてもよい。
【0026】
導体部3は、金属を含んでいてもよい。導体部3は、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、銀、金、白金及びスズから選ばれる少なくとも1種の金属を含んでいてもよく、銅を含んでいてもよい。導体部3は、めっき法によって形成された金属めっきであってもよい。導体部3は、適切な導電性が維持される範囲で、リン等の非金属元素を更に含んでいてもよい。
【0027】
導体部3は、複数の層から構成される積層体であってもよい。また、導体部3は、光透過性基材1とは反対側の表層部として、黒化層を有していてもよい。黒化層は、導電性フィルムが組み込まれた表示装置の視認性向上に寄与し得る。
【0028】
絶縁樹脂部7Aは、光透過性を有する樹脂によって形成されており、導体部3の開口3aを埋めるように設けられており、通常、絶縁樹脂部7Aと導体部3とで平坦な表面が形成されている。
【0029】
光透過性樹脂層7Bは、光透過性を有する樹脂によって形成されている。光透過性樹脂層7Bの全光線透過率が90~100%であってもよい。光透過性樹脂層7Bのヘイズが0~5%であってもよい。
【0030】
光透過性基材1(又は光透過性基材1を構成する支持フィルムの屈折率)と、光透過性樹脂層7Bの屈折率との差が0.1以下であってもよい。これにより、表示画像の良好な視認性がより一層確保され易い。光透過性樹脂層7Bの屈折率(nd25)は、例えば、1.0以上であってもよく、1.7以下、1.6以下、又は1.5以下であってよい。屈折率は、反射分光膜厚計により測定することができる。光路長の均一性の観点から、導体部3、絶縁樹脂部7A、及び光透過性樹脂層7Bが実質的に同じ厚みを有していてもよい。
【0031】
絶縁樹脂部7A及び光透過性樹脂層7Bを形成する樹脂は、硬化性樹脂組成物(光硬化性樹脂組成物又は熱硬化性樹脂組成物)の硬化物であってもよい。絶縁樹脂部7A及び/又は光透過性樹脂層7Bを形成する硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含み、その例としては、アクリル樹脂、アミノ樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエステル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、フラン樹脂、COPNA樹脂、ケイ素樹脂、ジクロペンタジエン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、エピスルフィド樹脂、エン-チオール樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物、アセナフチレン、及び不飽和二重結合、並びに、環状エーテル、ビニルエーテル等の紫外線で重合反応を起こす官能基を含む紫外線硬化樹脂が挙げられる。
【0032】
絶縁樹脂部7Aを形成する樹脂と光透過性樹脂層7Bを形成する樹脂とが同じであってもよい。同じ樹脂によって形成された絶縁樹脂部7A及び光透過性樹脂層7Bは屈折率が等しいことから、導電性フィルム20を透過する光路長の均一性がより一層向上することができる。絶縁樹脂部7Aを形成する樹脂と光透過性樹脂層7Bを形成する樹脂とが同じである場合、例えば1層の硬化性樹脂層からインプリント法等によってパターン形成することによって、絶縁樹脂部7A及び光透過性樹脂層7Bを容易に一括して形成することができる。
【0033】
導電性フィルム20は、例えばインプリント法によるパターン形成を含む方法によって製造することができる。導電性フィルム20を製造する方法の一例は、支持フィルムと支持フィルムの一方の主面上に設けられた、中間樹脂層及び触媒を含有する下地層とを有する光透過性基材1を準備することと、光透過性基材1の下地層側の主面1S上に、硬化性樹脂層を形成させることと、凸部を有するモールドを用いたインプリント法により、下地層が露出するトレンチを形成させることと、トレンチを充填する導体部3を、下地層から金属めっきを成長させる無電解めっき法により形成することとを含む。硬化性樹脂層にモールドが押し込まれた状態で硬化性樹脂層を硬化させることにより、モールドの凸部の反転形状を有する開口を含むパターンを有する絶縁樹脂部7Aと光透過性樹脂層7Bとが一括して形成される。開口を含むパターンを有する絶縁樹脂部7Aを形成する方法は、インプリント法に限られず、フォトリソグラフィー等の任意の方法を適用できる。
【0034】
以上例示的に説明された導電性フィルムを、例えば平面状の透明アンテナとして表示装置に組み込むことができる。表示装置は、例えば、液晶表示装置、又は有機EL表示装置であってもよい。図3は、導電性フィルムが組み込まれた表示装置の一実施形態を示す断面図である。図3に示される表示装置100は、画像表示領域10Sを有する画像表示部10と、導電性フィルム20と、偏光板30と、カバーガラス40とを備える。導電性フィルム20、偏光板30、及びカバーガラス40は、画像表示部10の画像表示領域10S側において、画像表示部10側からこの順に積層されている。表示装置の構成は図3の形態に限られず、必要により適宜変更が可能である。例えば、偏光板30が画像表示部10と導電性フィルム20との間に設けられてもよい。画像表示部10は、例えば液晶表示部であってもよい。偏光板30及びカバーガラス40として、表示装置において通常用いられているものを用いることができる。偏光板30及びカバーガラス40は、必ずしも設けられなくてもよい。画像表示部10の画像表示領域10Sから出射される画像表示のための光が、導電性フィルム20を含む均一性の高い光路長の経路を通過する。これにより、モワレが抑制された均一性の高い良好な画像表示が可能である。
【0035】
次に、図4を参照して、導電性層5の構成について更に詳細に説明する。図4は、導電性層5の平面図である。図4は、導電性層5の一部を拡大して示している。なお、以降の説明においては、主面1Sと平行な平面に対してXY座標を設定して、説明を行うものとする。Y軸方向(延在方向)は、主面1Sに沿った方向であり、図1に示す例においては、導電性フィルム20の辺部と直交する方向に対応する。導電性フィルム20の中央側をY軸方向の正側とし、導電性フィルム20の外周側をY軸方向の負側とする。X軸方向は、主面1Sに沿ってY軸方向と直交する方向であり、図1に示す例においては、導電性フィルム20の辺部が延びる方向に対応する。導電性フィルム20の辺部が延びる一方側をX軸方向の正側とし、他方側をX軸方向の負側とする。
【0036】
図4に示すように、導電性層5のメッシュのパターンは、複数の第1の導電線50、及び複数の第2の導電線51を含む。第1の導電線50は、Y軸方向に対して(端部を構成する端部導電線52に対して)傾斜するように延びる直線状の導体部3である。第1の導電線50は、X軸方向の負側から正側へ向かうに従ってY軸方向の正側へ向かうように延びる。複数の第1の導電線50は、互いに離間すると共に互いに平行をなすように配置される。複数の第1の導電線50は、等ピッチで離間するように配置される。第2の導電線51は、Y軸方向に対して傾斜するように延びる直線状の導体部3である。X軸方向の負側から正側へ向かうに従ってY軸方向の負側へ向かうに延びる。複数の第2の導電線51は、互いに離間すると共に互いに平行をなすように配置される。複数の第2の導電線51は、等ピッチで離間するように配置される。このように、第1の導電線50及び第2の導電線51は、互いに交差する。なお、本実施形態では、第1の導電線50及び第2の導電線51は、Y軸方向に対して45°で傾斜する。導電線50,51の太さは特に限定されないが、1μm以上、2μm未満に設定されてよい。また、導電線50,51のピッチも特に限定されないが、例えば100~300μmに設定されてよい。
【0037】
導電性層5は、放射素子部5Aと、給電部5Bと、グラウンド部5Cと、を有する。放射素子部5Aは、アンテナとして信号を放射する領域である。放射素子部5Aは、Y軸方向に平行な二辺、及びX軸方向に平行な二辺を有する正方形状を有する。給電部5Bは、放射素子部5Aへ給電を行う領域である。給電部5Bは、Y軸方向に平行に延びる帯状の形状を有している。給電部5Bは、放射素子部5AのY軸方向の負側の辺部に接続される。給電部5Bは、図示されない給電端子部に接続されている。グラウンド部5Cは、電気的にグラウンド状態となる領域である。グラウンド部5Cは、図示されないグラウンド端子と接続される。グラウンド部5Cは、放射素子部5A及び給電部5Bの周囲を取り囲むように形成される。グラウンド部5Cと放射素子部5Aの各辺との間、及びグラウンド部5Cと給電部5Bの各辺との間には、メッシュが形成されていないスリット部6が形成される。スリット部6には絶縁樹脂部7Aが形成される。これにより、グラウンド部5Cと、放射素子部5A及び給電部5Bとは電気的に絶縁された状態となる。
【0038】
次に、図5を参照して、導電性層5のパターンについて更に詳細に説明する。図5は、図4の「E」で示す部分の拡大図である。図5は、給電部5BのX軸方向の負側の端部5Ba及び正側の端部5Bb付近の構成を拡大している。なお、グラウンド部5Cは、スリット部6を介して、給電部5Bの端部5Baと対向する端部5Ca、及び給電部5Bの端部5Bbと対向する端部5Cbを有する。図5は、グラウンド部5Cの端部5Ca,5Cb付近も拡大している。図5に示すように、端部5Ba,5Bb,5Ca,5Cbは、Y軸方向に平行に延びる端部導電線52によって構成される。
【0039】
導電性フィルム20は、光透過性基材1の主面1S上に配置されるメッシュ状の導電性パターン60A、及び導電性パターン60Bを有する。導電性パターン60A及び導電性パターン60Bは、第1の導電線50及び第2の導電線51を含む。導電性パターン60Aは、給電部5Bに形成される。導電性パターン60Bは、グラウンド部5Cの端部5Ca,5Cb付近に形成される。なお、導電性パターン60AのX軸方向の負側の端部60Aaは給電部5Bの端部5Baに該当し、正側の端部60Abは給電部5Bの端部5Bbに該当する。導電性パターン60Bにおける導電性パターン60Aと対向する端部60Ba,60Bbは、グラウンド部5Cの端部5Ca,5Cbに該当する。従って、各導電性パターン60A,60Bの端部60Aa,60Ab,60Ba,60Bbは、端部導電線52によって構成される。
【0040】
なお、導電性パターン60Aの構成を説明するために、導電性パターン60Aの第1の導電線50を「第1の導電線50A~50C」と識別する場合がある。導電性パターン60Aの任意の位置の第1の導電線50を「第1の導電線50A」とし、Y軸方向の正側へ向かって順に「第1の導電線50B」「第1の導電線50C」とする。また、導電性パターン60Aの第2の導電線51を「第2の導電線51A~51C」と識別する場合がある。導電性パターン60Aの任意の位置の第2の導電線51を「第2の導電線51A」とし、Y軸方向の正側へ向かって順に「第2の導電線51B」「第2の導電線51C」とする。また、導電性パターン60Aにおける基準線を「基準線CL1」とする。このとき、基準線CL1は、Y軸方向に連続する基本メッシュ部61に対して設定される中心線である。導電線50A,51Aの交点、導電線50B,51Bの交点、及び導電線50C,51Cの交点は、基準線CL1上に配置される。
【0041】
導電性パターン60Aは、基本メッシュ部61(第2のメッシュ部)と、端部メッシュ部65(第1のメッシュ部)と、を有する。端部メッシュ部65は、端部導電線52を含み、所定の多角形(第1の多角形)を有するメッシュ部である。本実施形態において、端部メッシュ部65は、導電性パターン60Aにおける基本メッシュ部61以外のメッシュ部である。導電性パターン60Aは、端部メッシュ部65として、メッシュ部62A(第1のメッシュ部)と、メッシュ部62B(第1のメッシュ部)と、を有する。
【0042】
基本メッシュ部61は、端部導電線52を一辺として含まず、正方形(第2の多角形、基本多角形)を有する。基本メッシュ部61は、一対の第1の導電線50A,50Bと、一対の第2の導電線51A,51Bと、を備える。基本メッシュ部61は、基準線CL1を中心として左右対称な形状を有する。また、基本メッシュ部61は、基準線CL1上において、導電性パターン60Aの延在方向であって端部導電線52の延在方向であるY軸方向に沿って連続して配置される。なお、基本メッシュ部61は、放射素子部5A、給電部5B、及びグラウンド部5Cにおける基本形状となる。すなわち、放射素子部5A、給電部5B、及びグラウンド部5Cの端部以外の箇所では基本メッシュ部61がX軸方向及びY軸方向に連続する。
【0043】
メッシュ部62Aは、導電性パターン60Aの端部60Aaを構成する端部導電線52を含み、台形(第1の多角形)を有する。メッシュ部62Aは、一対の第1の導電線50B,50Cと、第2の導電線51Bと、端部60Aaを構成する端部導電線52と、を備える。メッシュ部62Aにおいて、第1の導電線50Bは台形の下底辺を構成し、第1の導電線50Cは台形の上底辺を構成する。
【0044】
メッシュ部62Bは、導電性パターン60Aの端部60Abを構成する端部導電線52を含み、台形(第1の多角形)を有する。メッシュ部62Bは、一対の第2の導電線51B,51Cと、第1の導電線50Bと、端部60Abを構成する端部導電線52と、を備える。メッシュ部62Bにおいて、第2の導電線51Bは台形の下底辺を構成し、第2の導電線51Cは台形の上底辺を構成する。
【0045】
端部メッシュ部65は、導電性パターン60Aの両端部60Aa,60Abに互いに対称をなすように配置される。ここでは、メッシュ部62A,62Bは、導電性パターン60Aの両端部60Aa,60Abにおいて、基準線CL1を中心として互いに対称をなすように配置される。また、メッシュ部62A,62Bは、導電性パターン60Aの端部導電線52の延在方向であるY軸方向に沿って連続して配置される。なお、本実施形態では、メッシュ部62A,62Bは、基準線CL1を中心として互いに線対称をなすように配置されているが、基準線CL1上の任意の基準点を中心に回転対称をなすように配置されていても構わない。
【0046】
次に、基本メッシュ部61及びメッシュ部62Aとの大きさの関係について説明する。なお、メッシュ部62Bは、メッシュ部62Aと同趣旨の形状及び大きさを有しているため、説明を省略する。また、以降の説明のために、三角形の仮想メッシュ部VE1を設定する。図5では、仮想メッシュ部VE1にハッチングが付されている。図5において、仮想メッシュ部VE1は、基本メッシュ部61を構成する第1の導電線50B及び第2の導電線51Aを端部60Aaの端部導電線52へ延ばした部分と、端部60Aaの端部導電線52と、によって構成される。なお、基本メッシュ部61を構成する第2の導電線51Aから端部導電線52へは、仮想線VL1が延ばされる。これにより、仮想メッシュ部VE1は、端部導電線52と、第1の導電線50Bと、仮想線VL1とによって構成される。なお、本実施形態では、仮想メッシュ部VE1は、メッシュ部62Aの一部の領域に該当する。
【0047】
メッシュ部62Aは、基本メッシュ部61と重ねた場合に、当該基本メッシュ部61よりも外側に位置する部分を有する。図5では、メッシュ部62Aに対して重ねたと仮定した場合の基本メッシュ部61がグレースケールにて仮想基本メッシュ部61VEとして示されている。以降の説明においては、メッシュ部62Aと仮想基本メッシュ部61VEとの重なりの態様に基づいて、基本メッシュ部61と重ねた場合のメッシュ部62Aについて説明する。なお、メッシュ部62Aと基本メッシュ部61の重ね合わせとして、次のような態様が一例として挙げられる。すなわち、メッシュ部62Aにおける第1の導電線50B及び第2の導電線51Bの一部とその交点が、基本メッシュ部61における第1の導電線50A及び第2の導電線51Bの一部とその交点に対して、一致するように重ね合わせてよい。
【0048】
図5に示すように、メッシュ部62Aは、第1の導電線50Bと、第1の導電線50Cと、第2の導電線51Bと、仮想線VL1と、端部導電線52と、を含む領域にて、仮想基本メッシュ部61VEと重なり合う。すなわち、メッシュ部62Aの辺部のうち、第1の導電線50Bの一部、第1の導電線50C、及び第2の導電線51Bの辺部において、仮想基本メッシュ部61VEの辺部と一致する。その一方、メッシュ部62Aは、仮想線VL1よりもY軸方向の負側の部分において、仮想基本メッシュ部61VEよりも外側に位置する。本実施形態では、メッシュ部62Aのうち、仮想メッシュ部VE1に対応する部分において、仮想基本メッシュ部61VEよりも外側へ位置する。
【0049】
次に、メッシュ部62A,62B及び基本メッシュ部61の開口面積について説明する。一対の第1の導電線50、及び一対の第2の導電線51に囲まれた領域の面積は、一つ当たりの基本メッシュ部61の「開口面積」に該当する。更に、複数の基本メッシュ部61の平均値を「平均開口面積」とする。一対の第1の導電線50、第2の導電線51、及び端部60Aaの端部導電線52に囲まれた領域の面積は、一つ当たりのメッシュ部62Aの「開口面積」に該当する。一つ当たりのメッシュ部62Bの開口面積も同趣旨である。端部メッシュ部65の平均開口面積は、複数のメッシュ部62A,62Bの開口面積の平均値である。
【0050】
端部メッシュ部65の平均開口面積は、基本メッシュ部61の平均開口面積の1.5倍未満であってよい。また、端部メッシュ部65の平均開口面積は、基本メッシュ部61の平均開口面積以下であってよい。また、一つ当たりの端部メッシュ部65の開口面積は、仮想メッシュ部VE1の開口面積より大きい。なお、本実施形態では、端部メッシュ部65として開口面積が等しいメッシュ部62A及びメッシュ部62Bだけが存在している。従って、端部メッシュ部65の平均開口面積は、一つあたりのメッシュ部62A,62Bの開口面積と等しくなる。図5に示す構成においては、仮想基本メッシュ部61VEのうち、端部60Aaの端部導電線52よりもX軸方向の負側に配置される部分の面積は、仮想メッシュ部VE1よりも大きい。従って、端部メッシュ部65の平均開口面積は、基本メッシュ部61の平均開口面積の1.5倍未満であり、基本メッシュ部61の平均開口面積以下である。
【0051】
なお、導電性パターン60Bは、基本メッシュ部61をX軸方向及びY軸方向に連続的に並べた連続パターン構成を有しており、端部60Ba,60Bb付近においては、当該連続パターン構成をスリット部6の端部導電線52によって分断した構成を有する。なお、図5に示すように、仮想基本メッシュ部61VEの一部が、導電性パターン60Bの端部60Ba付近のメッシュ部を構成している。このように、導電性パターン60Aと導電性パターン60Bとは、同一の連続パターン構成に基づいた構成を有している。なお、導電性パターン60Bの端部60Ba付近のメッシュ部は、導電性パターン60Aのメッシュ部62Bと同様の構成を備えていても構わない。また、導電性パターン60Bの端部60Bb付近のメッシュ部は、導電性パターン60Aのメッシュ部62Aと同様の構成を備えていても構わない。これにより、導電性パターン60Bにおいても、導電線の潰れなどによって視認性が上がってしまうことを抑制することができる。また、放射素子部5Aにおいては、導電性パターン60AのX軸方向における両端及びY軸方向における両端のいずれもが、端部メッシュ部65を有するように構成されても構わない。さらに、グラウンド部5Cにおいては、端部5Ca,5Cb以外のX軸方向及びY軸方向における端部が端部メッシュ部65を有するように構成されても構わない。
【0052】
次に、本実施形態に係る導電性フィルム20、及び表示装置100の作用・効果について説明する。
【0053】
導電性フィルム20によれば、導電性パターン60Aは、主面1Sに沿って延びると共に互いに交差し、導電性パターン60Aの端部導電線52の延在方向に対して傾斜する複数の第1の導電線50、及び複数の第2の導電線51を含む。導電性パターン60Aは、端部導電線52を一辺として含まず、第2の多角形を有する複数の基本メッシュ部61を有する。それに加え、導電性パターン60Aは、導電性パターン60Aの端部60Aa,60Abを構成する端部導電線52を含み、第1の多角形を有する複数の端部メッシュ部65を有する。このように導電性パターン60Aの端部60Aa,60Abに配置される端部メッシュ部65は、開口面積が小さくなりすぎて導電線が潰れることを抑制するための調整が必要となる。
【0054】
例えば、図12に示すような比較例においては、基本メッシュ部61の導電線50,51を端部導電線52へ延ばした部分に三角形のメッシュ部113Aが形成される。このようなメッシュ部113Aは開口面積が狭く、製造時などにおいて、導電線50,51,52同士が潰れなどによって接続されてしまう可能性がある。当該潰れが発生した場合、太い導電線が形成されてしまい、視認性が上がってしまう。
【0055】
これに対し、本実施形態に係る導電性フィルム20では、少なくとも何れかの端部メッシュ部65は、基本メッシュ部61と重ねた場合に、当該基本メッシュ部61よりも外側に位置する部分を有する。すなわち、端部メッシュ部65の第1の多角形は、基本メッシュ部61と重なる部分に対して、基本メッシュ部61よりも外側に位置する部分を組み合わせたような形状となる。端部メッシュ部65の開口面積は、各部分(特に仮想メッシュ部VE1)が独立したメッシュ部として存在していた場合の開口面積よりも、大きくなる。これにより、導電性パターン60Aの端部60Aa,60Abにおいて、導電線の潰れなどによって視認性が上がってしまうことを抑制することができる。また、端部メッシュ部65の平均開口面積は、基本メッシュ部61の平均開口面積の1.5倍未満である。従って、導電性パターン60Aの端部60Aa,60Abの端部メッシュ部65の開口面積が大きくなりすぎて、導電性パターン60Aの伝送特性が極端に低下することを抑制できる。以上より、伝送特性の極端な低下を抑制しつつ、導電性パターン60Aの端部60Aa,60Abにおける導電線の視認性を低くすることができる。
【0056】
基本メッシュ部61を構成する第1の導電線50B及び第2の導電線51Aを端部導電線52へ延ばした部分と、端部導電線52と、によって構成される三角形の仮想メッシュ部VE1を設定した場合、端部メッシュ部65の開口面積は、仮想メッシュ部VE1の開口面積より大きくてよい。このように設定された仮想メッシュ部VE1は、独立したメッシュ部として存在していた場合に、開口面積が小さくなり易い部分である。端部メッシュ部65の開口面積は、このような仮想メッシュ部VE1の開口面積よりは大きいため、導電線の潰れなどによって視認性が上がってしまうことを抑制することができる。
【0057】
端部メッシュ部65の平均開口面積は、基本メッシュ部61の平均開口面積以下であってよい。これにより、導電性パターン60Aの端部60Aa,60Abの端部メッシュ部65の開口面積が大きくなりすぎて、導電性パターン60Aの伝送特性が極端に低下することを抑制できる。
【0058】
端部メッシュ部65は、導電性パターン60Aの両端部60Aa,60Abに互いに対称をなすように配置されてよい。この場合、導電性パターン60Aをシンプルな形状とすることができる。
【0059】
端部メッシュ部65の第1の多角形は、四角形以上であってよい。この場合、端部メッシュ部65の開口面積を広く確保することができる。
【0060】
端部導電線52は、導電性パターン60Aの延在方向に沿って延びてよい。この場合、導電性パターン60Aに電気が流れる方向に沿って端部導電線52が延びる。すなわち、電気の流れに対する両端部において、上述のような伝送特性の低下を抑制した端部メッシュ部65を設けることができる。
【0061】
端部メッシュ部65は、導電性パターン60Aの端部導電線52の延在方向に沿って連続して配置されてよい。この場合、導電性パターン60Aを一定のパターンにて容易に設計することができる。
【0062】
第1の導電線50及び第2の導電線51の幅は2μm未満であってよい。この場合、導電線50,51を十分に細くして、視認性を低くすることができる。
【0063】
本実施形態に係る表示装置100は、上述の導電性フィルム20を備える。
【0064】
表示装置100によれば、上述の導電性フィルム20と同様な作用・効果を得ることができる。
【0065】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0066】
例えば、図6に示す導電性パターン60Aを採用してもよい。図6に示す導電性パターン60Aは、端部メッシュ部65として、メッシュ部72A,72B(第1のメッシュ部)と、メッシュ部73A,73B(第1のメッシュ部)と、を有する。
【0067】
メッシュ部72Aは、導電性パターン60Aの端部60Aaを構成する端部導電線52を含み、三角形(第1の多角形)を有する。メッシュ部72Aは、第1の導電線50Bと、第2の導電線51Bと、端部60Aaを構成する端部導電線52と、を備える。メッシュ部73Aは、導電性パターン60Aの端部60Aaを構成する端部導電線52を含み、五角形(第1の多角形)を有する。メッシュ部73Aは、一対の第1の導電線50C,50Dと、一対の第2の導電線51B,51Cと、端部60Aaを構成する端部導電線52と、を備える。メッシュ部72A,73Aとメッシュ部72B,73Bとは、導電性パターン60Aの両端部60Aa,60Abにおいて、基準線CL1を基準として互いに対称をなすように配置される。
【0068】
図6の変形例を説明するために、新たな仮想メッシュ部VE2を設定する。仮想メッシュ部VE2は、基本メッシュ部61を構成する第1の導電線50C及び第2の導電線51Bを端部60Aaの端部導電線52へ延ばした部分と、端部60Aaの端部導電線52と、によって構成される。なお、基本メッシュ部61を構成する第1の導電線50Cから端部導電線52へは、仮想線VL2が延ばされる。これにより、仮想メッシュ部VE2は、端部導電線52と、第2の導電線51Bと、仮想線VL2とによって構成される。
【0069】
メッシュ部72Aは、第1の導電線50Bと、第2の導電線51Bと、仮想線VL1と、仮想線VL2と、端部導電線52と、を含む領域にて、仮想基本メッシュ部61VEと重なり合う。その一方、メッシュ部72Aは、仮想線VL1よりもY軸方向の負側の部分、及び仮想線VL2よりもY軸方向の正側の部分において、仮想基本メッシュ部61VEよりも外側に位置する。本実施形態では、メッシュ部72Aのうち、仮想メッシュ部VE1,VE2に対応する部分において、仮想基本メッシュ部61VEよりも外側へ位置する。なお、メッシュ部73Aは、仮想基本メッシュ部61VEと全域で重なり合い、外側へはみ出る部分を有していない。
【0070】
また、図7に示す導電性パターン60Aを採用してもよい。図7に示す導電性パターン60Aは、端部メッシュ部65として、メッシュ部82(第1のメッシュ部)と、メッシュ部83(第1のメッシュ部)と、を有する。図7の端部メッシュ部65は、端部60Aa側と端部60Ab側とで対称な構成を有していない。すなわち、メッシュ部82とメッシュ部83とは、基準線CL1を基準として対称となっていない。また、図7では、基本メッシュ部61のX軸方向の正側の頂点が端部60Abの端部導電線52に達している。なお、端部導電線52は、基本メッシュ部61の頂点で接しているだけであって基本メッシュ部61の多角形の辺を構成していないため、基本メッシュ部61は端部導電線52を含むメッシュ部には該当しない。
【0071】
メッシュ部82は、導電性パターン60Aの端部60Aaを構成する端部導電線52を含み、台形(第1の多角形)を有する。メッシュ部82は、第1の導電線50Bと、一対の第2の導電線51A,51Bと、端部60Aaを構成する端部導電線52と、を備える。メッシュ部82において、第2の導電線51Bは台形の下底辺を構成し、第2の導電線51Aは台形の上底辺を構成する。メッシュ部83は、導電性パターン60Aの端部60Abを構成する端部導電線52を含み、三角形(第1の多角形)を有する。メッシュ部83は、第1の導電線50Bと、第2の導電線51Bと、端部60Abを構成する端部導電線52と、を備える。
【0072】
メッシュ部82は、第1の導電線50Bと、一対の第2の導電線51A,51Bと、仮想線VL2と、端部導電線52と、を含む領域にて、仮想基本メッシュ部61VEと重なり合う。その一方、メッシュ部82は、仮想線VL2よりもY軸方向の正側の部分において、仮想基本メッシュ部61VEよりも外側に位置する。本実施形態では、メッシュ部82のうち、仮想メッシュ部VE2に対応する部分において、仮想基本メッシュ部61VEよりも外側へ位置する。なお、メッシュ部83は、仮想基本メッシュ部61VEと全域で重なり合い、外側へはみ出る部分を有していない。
【0073】
上述のように、端部メッシュ部65は、導電性パターン60Aの両端部60Aa,60Abに互いに非対称をなすように配置されてよい。この場合、導電性パターン60Aをフレキシブルに設計することができる。
【0074】
また、図8に示す導電性パターン60Aを採用してもよい。図8に示す導電性パターン60Aは、端部メッシュ部65として、メッシュ部92(第1のメッシュ部)と、メッシュ部93(第1のメッシュ部)と、メッシュ部94(第1のメッシュ部)を有する。図8の端部メッシュ部65は、端部60Aa側と端部60Ab側とで対称な構成を有していない。すなわち、メッシュ部92,93とメッシュ部94とは、基準線CL1を基準として対称となっていない。また、図8では、基本メッシュ部61のX軸方向の正側の頂点が端部60Abの端部導電線52に達している。
【0075】
メッシュ部92は、導電性パターン60Aの端部60Aaを構成する端部導電線52を含み、五角形(第1の多角形)を有する。メッシュ部92は、一対の第1の導電線50B,50Cと、一対の第2の導電線51A,51Bと、端部60Aaを構成する端部導電線52と、を備える。メッシュ部93は、導電性パターン60Aの端部60Aaを構成する端部導電線52を含み、三角形(第1の多角形)を有する。メッシュ部93は、第1の導電線50Bと、第2の導電線51Aと、端部60Aaを構成する端部導電線52と、を備える。メッシュ部94は、導電性パターン60Aの端部60Abを構成する端部導電線52を含み、三角形(第1の多角形)を有する。メッシュ部94は、第1の導電線50Bと、第2の導電線51Aと、端部60Abを構成する端部導電線52と、を備える。
【0076】
図8の変形例を説明するために、新たな仮想メッシュ部VE3,VE4を設定する。仮想メッシュ部VE3は、基本メッシュ部61を構成する第1の導電線50A及び第2の導電線51Aを端部60Abの端部導電線52へ延ばした部分と、端部60Abの端部導電線52と、によって構成される。なお、基本メッシュ部61を構成する第1の導電線50Aから端部導電線52へは、仮想線VL3が延ばされる。これにより、仮想メッシュ部VE3は、端部導電線52と、第2の導電線51Aと、仮想線VL3とによって構成される。仮想メッシュ部VE4は、基本メッシュ部61を構成する第1の導電線50B及び第2の導電線51Bを端部60Abの端部導電線52へ延ばした部分と、端部60Abの端部導電線52と、によって構成される。なお、基本メッシュ部61を構成する第2の導電線51Bから端部導電線52へは、仮想線VL4が延ばされる。これにより、仮想メッシュ部VE4は、端部導電線52と、第1の導電線50Bと、仮想線VL4とによって構成される。
【0077】
メッシュ部94は、第1の導電線50Bと、第2の導電線51Aと、仮想線VL3と、仮想線VL4と、を含む領域にて、仮想基本メッシュ部61VEと重なり合う。その一方、メッシュ部94は、仮想線VL3よりもY軸方向の負側の部分、及び仮想線VL4よりもY軸方向の正側の部分において、仮想基本メッシュ部61VEよりも外側に位置する。本実施形態では、メッシュ部94のうち、仮想メッシュ部VE3,VE4に対応する部分において、仮想基本メッシュ部61VEよりも外側へ位置する。なお、メッシュ部92,93は、仮想基本メッシュ部61VEと全域で重なり合い、外側へはみ出る部分を有していない。
【0078】
例えば、図9に示す導電性パターン60Aを採用してもよい。図9に示す導電性パターン60Aは、端部メッシュ部65として、メッシュ部102A,102B(第1のメッシュ部)を有する。図9の導電性パターン60Aは、両端部60Aa,60Ab間の距離を大きくした点以外は、図5に示す導電性パターンと同趣旨である。メッシュ部102Aは、仮想基本メッシュ部61VEの全域が重なるような大きさとなっている。
【0079】
例えば、図10に示す導電性パターン60Aを採用してもよい。導電性パターン60Aは、導電性パターン60Aの端部60Aa,60Abを構成する端部導電線52を含む複数の多角形領域EA,EBを有する。一つあたりの多角形領域EAは図5のメッシュ部62Aと同じ形状を有する。一つあたりの多角形領域EBは図5のメッシュ部62Bと同じ形状を有する。
【0080】
多角形領域EAは、互いに対向する二辺を結ぶ分割導電線53によって、複数の分割メッシュ部66A,67Aに分割される。多角形領域EBは、互いに対向する二辺を結ぶ分割導電線53によって、複数の分割メッシュ部66B,67Bに分割される。分割導電線53と基本メッシュ部61の辺との間のピッチ(例えば分割導電線53と第2の導電線51Bとのピッチ)は、基本メッシュ部61のピッチよりも小さい。
【0081】
次に、図11を参照して、分割メッシュ部66A及び分割メッシュ部67Aの詳細な構成について説明する。なお、特段の注記が無い限り、ここでは導電性パターン60A中の一つの基本メッシュ部61と、当該基本メッシュ部61に対して第1の導電線50Bを介して隣り合う一つの多角形領域EAと、の構成について説明する。説明のために、頂点P1~P6を設定する。頂点P1は、多角形領域EAの頂点であり、第1の導電線50Bと端部導電線52との交点である。頂点P2は、多角形領域EA及び基本メッシュ部61の頂点であり、第1の導電線50Bと第2の導電線51Bとの交点である。頂点P3は、多角形領域EA及び基本メッシュ部61の頂点であり、第1の導電線50Cと第2の導電線51Bとの交点である。頂点P4は、多角形領域EAの頂点であり、第1の導電線50Cと端部導電線52との交点である。頂点P5は、基本メッシュ部61の頂点であり、第1の導電線50Bと、第2の導電線51Aとの交点である。頂点P6は、仮想線VL1と端部導電線52との交点である。
【0082】
分割メッシュ部66Aは、導電性パターン60Aの端部60Aaを構成する端部導電線52を含むメッシュ部である。分割メッシュ部67Aは、分割導電線53を介して分割メッシュ部66Aと隣り合うメッシュ部である。本実施形態では、分割導電線53の一端53aは、基本メッシュ部61における頂点P5を除く第1の導電線50B上に配置される。分割導電線53の一端53aは、第1の導電線のうち頂点P5と頂点P2との間に配置される。分割導電線53の他端53bは、端部導電線52上に配置される。分割導電線53の他端53bは、端部導電線52のうち頂点P6と頂点P4との間に配置される。
【0083】
これにより、分割メッシュ部66Aは、第1の導電線50Bと、分割導電線53と、端部導電線52と、を備え、三角形を有する。分割メッシュ部67Aは、一対の第1の導電線50B,50Cと、第2の導電線51Bと、端部導電線52と、分割導電線53と、を備え、五角形を有する。
【0084】
分割導電線53は、仮想メッシュ部VE1の仮想線VL1よりも、第2の導電線51Bに近い位置に配置される。これにより、分割導電線53は、仮想メッシュ部VE1の外側に配置される。また、分割導電線53の長さは、仮想メッシュ部VE1の仮想線VL1より長くなる。且つ、分割導電線53の長さは、基本メッシュ部61の第2の導電線51Aの長さ以下である。ここでは、分割導電線53と仮想線VL1とは、互いに平行である。
【0085】
多角形領域EAは、基本メッシュ部61と重ねた場合に、当該基本メッシュ部61よりも外側に位置する部分を有する。ここでは、分割メッシュ部67A全体は仮想基本メッシュ部61VEと重なる。また、分割メッシュ部66Aの一部が仮想基本メッシュ部61VEと重なる。分割メッシュ部66Aのうち、仮想メッシュ部VE1に対応する部分において、仮想基本メッシュ部61VEよりも外側へ位置する。
【0086】
次に、分割メッシュ部66A,67A及び基本メッシュ部61の開口面積について説明する。端部メッシュ部65の平均開口面積は、複数の分割メッシュ部66A,67A,66B,67Bの開口面積の平均値である。端部メッシュ部65の平均開口面積は、基本メッシュ部61の平均開口面積の1.5倍未満であってよい。また、端部メッシュ部65の平均開口面積は、基本メッシュ部61の平均開口面積以下であってよい。分割メッシュ部66Aの開口面積、及び分割メッシュ部67Aの開口面積は、それぞれ仮想メッシュ部VE1の開口面積よりも大きい。
【0087】
以上のような図10及び図11に示す導電性パターン60Aにおいて、多角形領域EAは、基本メッシュ部61と重ねた場合に、当該基本メッシュ部61よりも外側に位置する部分を有する。すなわち、多角形領域EAは、基本メッシュ部61と重なる部分に対して、基本メッシュ部61よりも外側に位置する部分を組み合わせたような形状となる。すなわち、多角形領域EAの面積は、各部分が独立したメッシュ部として存在していた場合の開口面積よりも、大きくなる。このような多角形領域EAは、互いに対向する二辺を結ぶ分割導電線53によって、複数の分割メッシュ部66A,67Aに分割される。また、分割導電線53と基本メッシュ部61の辺との間のピッチは、基本メッシュ部61のピッチよりも小さい。従って、分割導電線53が他の導電線50,52と密集し過ぎることで、端部導電線52付近の分割メッシュ部66Aの開口面積が小さくなり過ぎることを抑制できる。これにより、導電性パターン60Aの端部60Aa,60Abにおいて、導電線の潰れなどによって視認性が上がってしまうことを抑制することができる。また、導電性パターン60Aにおける基本メッシュ部61以外のメッシュ部の平均開口面積は、基本メッシュ部61の平均開口面積の1.5倍未満である。従って、導電性パターン60Aの端部60Aa,60Abの分割メッシュ部66A,67Aの開口面積が大きくなりすぎて、導電性パターン60Aの伝送特性が極端に低下することを抑制できる。以上より、伝送特性の極端な低下を抑制しつつ、導電性パターン60Aの端部60Aa,60Abにおける導電線の視認性を低くすることができる。
【0088】
なお、図10に示す導電性パターン60Aの分割導電線53の位置は一例に過ぎず、適宜変更してよい。例えば、分割導電線53の他端53bは、端部導電線52上ではなく第1の導電線50C上に配置されてもよい。また、分割導電線53は、仮想線VL1と平行でなくてもよい。
【0089】
導電性パターン60Aの構成は、上述の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してよい。例えば、端部メッシュ部65が、導電性パターン60Aの両端部60Aa,60Abに互いに非対称をなすように配置される形態において、端部メッシュ部65が四角形以上のメッシュ部を有していてもよい。
【0090】
また、図4に示す構成は導電性層5の構成の一例に過ぎず、放射素子部5A、給電部5B、及びグラウンド部5Cの形状を適宜変更してもよい。
【0091】
図1は導電性フィルムの全体構成の一例に過ぎず、導電性フィルムの中で導電性層をどのような範囲、形状で形成してもよい。
【0092】
導電性フィルムの適用装置として表示装置を例示したが、他の装置に導電性フィルムを適用してもよい。例えば、建物や自動車等のガラスに導電性フィルムを適用してもよい。
【0093】
[実施例]
上述の実施形態のうち、図5図6図7図8、及び図9に示す導電性パターン60Aをそれぞれ実施例1~5として準備した。これらの実施例1~5の端部メッシュ部65の平均面積比を図15の表にしめす。平均面積比とは、基本メッシュ部61の開口面積を「1」としたときにおける、端部メッシュ部65の平均開口面積の比率である。
【0094】
比較例1として、図12に示すような導電性パターン60Aを準備した。比較例1に係る導電性パターン60Aは、基本メッシュ部61の配列に対して、そのままスリット部6を形成したような構成を有する。そのため、端部導電線52付近には、幅狭な三角形のメッシュ部113A,113Bと、五角形のメッシュ部112A,112Bと、が形成される。
【0095】
比較例2として、図13に示すような導電性パターン60Aを準備した。比較例2に係る導電性パターン60Aは、図8に示す導電性パターン60Aに対し、メッシュ部92,93及び基本メッシュ部61を組み合わせて一つの大きいメッシュ部122とし、メッシュ部92,93を組み合わせて一つの大きいメッシュ部123としたような構成を有する。図15の表に示すように、図13に示す比較例2の導電性パターン60Aの端部メッシュ部65の平均面積比は1.5よりも大きくなる。
【0096】
比較例3として、図14に示すような導電性パターン60Aを準備した。比較例3に係る導電性パターン60Aは、図9に示す導電性パターン60Aに対し、メッシュ部102Aと対応するものをメッシュ部132とし、メッシュ部102Bを上下対称としたものをメッシュ部133としたような構成を有する。また、図14に示す比較例3は、基本メッシュ部61がY軸方向に長手方向を有する菱形となるように、導電線50,51の傾斜角度が調整されている。図15の表に示すように、図14に示す比較例3の導電性パターン60Aの端部メッシュ部65の平均面積比は1.5よりも大きくなる。
【0097】
なお、上述の実施例1~5及び比較例1~3において、導電線の太さは1μmに設定され、基本メッシュ部61のピッチは100μmに設定される。図5に示す実施例1、図6に示す実施例2、図7に示す実施例3、図8に示す実施例4、図12に示す比較例1、及び図13に示す比較例2において、導電性パターン60AのX軸方向の寸法は、200μmに設定される。図9に示す実施例5において、導電性パターン60AのX軸方向の寸法は、269.42μmに設定される。図14に示す比較例3において、導電性パターン60AのX軸方向の寸法は、284.84μmに設定される。
【0098】
実施例1~5及び比較例1~3について、伝送特性を確認するため、伝送ロス「S21」を電磁界シミュレーションにより評価した。このシミュレーションには、電磁界解析ソフトウエアHFSS(ANSYS社)を用いた。実施例1,2のシミュレーション結果を図16(a)に示し、実施例3~5のシミュレーション結果を図16(b)に示し、比較例2,3のシミュレーション結果を図16(c)に示す。なお、図16の各グラフに比較例1の結果を示す。図16のグラフの縦軸は伝送ロス「S21」の値(dB)を示し、横軸は周波数を示す。また、28GHzにおける伝送ロス「S21」の値を図15の表に示す。
【0099】
メッシュの密度の最も高い比較例1が、最も良好な伝送特性を有する。各実施例については、当該比較例1の伝送ロス「S21」の値からの低下が抑制されているほど、伝送特性が良いと言える。図15の表、及び図16のグラフから理解されるように、平均面積比が1.5未満の実施例1~5では、何れも28GHzにおける伝送ロス「S21」の値が-4.3(dB)以上となっていたため、伝送特性の低下が抑制されていた。一方、平均面積比が1.5以上の比較例2,3では、伝送特性が極端に低下していた。
【0100】
本開示に係る技術には、以下の構成例が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0101】
本開示の一側面に係る導電性フィルムは、フィルム状の基材と、基材の主面上に配置されるメッシュ状の導電性パターンと、を備える導電性フィルムであって、導電性パターンは、主面に沿って延びると共に互いに交差し、導電性パターンの端部を構成する端部導電線に対して傾斜する複数の第1の導電線、及び複数の第2の導電線を含み、導電性パターンは、端部導電線を含み、第1の多角形を有する複数の第1のメッシュ部と、端部導電線を一辺として含まず、第2の多角形を有する複数の第2のメッシュ部と、を少なくとも有し、少なくとも何れかの第1のメッシュ部は、第2のメッシュ部と重ねた場合に、当該第2のメッシュ部よりも外側に位置する部分を有し、第1のメッシュ部の平均開口面積は、第2のメッシュ部の平均開口面積の1.5倍未満である。
【0102】
上述の導電性フィルムによれば、導電性パターンは、主面に沿って延びると共に互いに交差し、導電性パターンの端部を構成する端部導電線に対して傾斜する複数の第1の導電線、及び複数の第2の導電線を含む。導電性パターンは、端部導電線を一辺として含まず、第2の多角形を有する複数の第2のメッシュ部を有する。それに加え、導電性パターンは、導電性パターンの端部を構成する端部導電線を含み、第1の多角形を有する複数の第1のメッシュ部を有する。このように導電性パターンの端部に配置される第1のメッシュ部は、開口面積が小さくなりすぎて導電線が潰れることを抑制するための調整が必要となる。ここで、少なくとも何れかの第1のメッシュ部は、第2のメッシュ部と重ねた場合に、当該第2のメッシュ部よりも外側に位置する部分を有する。すなわち、第1のメッシュ部の第1の多角形は、第2のメッシュ部と重なる部分に対して、第2のメッシュ部よりも外側に位置する部分を組み合わせたような形状となる。第1のメッシュ部の開口面積は、各部分が独立したメッシュ部として存在していた場合の開口面積よりも、大きくなる。これにより、導電性パターンの端部において、導電線の潰れなどによって視認性が上がってしまうことを抑制することができる。また、第1のメッシュ部の平均開口面積は、第2のメッシュ部の平均開口面積の1.5倍未満である。従って、導電性パターンの端部の第1のメッシュ部の開口面積が大きくなりすぎて、導電性パターンの伝送特性が極端に低下することを抑制できる。以上より、伝送特性の極端な低下を抑制しつつ、導電性パターンの端部における導電線の視認性を低くすることができる。
【0103】
また、第2のメッシュ部を構成する第1の導電線及び第2の導電線を端部導電線へ延ばした部分と、端部導電線と、によって構成される三角形の仮想メッシュ部を設定した場合、第1のメッシュ部の開口面積は、仮想メッシュ部の開口面積より大きくてもよい。このように設定された仮想メッシュ部は、独立したメッシュ部として存在していた場合に、開口面積が小さくなり易い部分である。第1のメッシュ部の開口面積は、このような仮想メッシュ部の開口面積よりは大きいため、導電線の潰れなどによって視認性が上がってしまうことを抑制することができる。
【0104】
また、第1のメッシュ部の平均開口面積は、第2のメッシュ部の平均開口面積以下であってもよい。これにより、導電性パターンの端部の第1のメッシュ部の開口面積が大きくなりすぎて、導電性パターンの伝送特性が極端に低下することを抑制できる。
【0105】
また、第1のメッシュ部は、導電性パターンの両端部に互いに対称をなすように配置されてもよい。この場合、導電性パターンをシンプルな形状とすることができる。
【0106】
また、第1のメッシュ部は、導電性パターンの両端部に互いに非対称をなすように配置されてもよい。この場合、導電性パターンをフレキシブルに設計することができる。
【0107】
また、第1のメッシュ部の第1の多角形は、四角形以上であってもよい。この場合、第1のメッシュ部の開口面積を広く確保することができる。
【0108】
また、端部導電線は、導電性パターンの延在方向に沿って延びてもよい。この場合、導電性パターンに電気が流れる方向に沿って端部導電線が延びる。すなわち、電気の流れに対する両端部において、上述のような伝送特性の低下を抑制した第1のメッシュ部を設けることができる。
【0109】
また、第1のメッシュ部は、端部導電線の延在方向に沿って連続して配置されてもよい。この場合、導電性パターンを一定のパターンにて容易に設計することができる。
【0110】
また、第1の導電線及び第2の導電線の幅は2μm未満であってもよい。この場合、導電線を十分に細くして、視認性を低くすることができる。
【0111】
本開示の一側面に係る導電性フィルムは、フィルム状の基材と、基材の主面上に配置されるメッシュ状の導電性パターンと、を備える導電性フィルムであって、導電性パターンは、主面に沿って延びると共に互いに交差し、導電性パターンの端部を構成する端部導電線に対して傾斜する複数の第1の導電線、及び複数の第2の導電線を含み、導電性パターンは、端部導電線を含む複数の多角形領域と、端部導電線を一辺として含まず、基本多角形を有する複数の基本メッシュ部と、を少なくとも有し、多角形領域は、基本メッシュ部と重ねた場合に、当該基本メッシュ部よりも外側に位置する部分を有し、多角形領域は、互いに対向する二辺を結ぶ分割導電線によって、複数の分割メッシュ部に分割され、分割導電線と基本メッシュ部の辺との間のピッチは、基本メッシュ部のピッチよりも小さく、導電性パターンにおける基本メッシュ部以外のメッシュ部の平均開口面積は、基本メッシュ部の平均開口面積の1.5倍未満であってよい。
【0112】
上述の導電性フィルムによれば、多角形領域は、基本メッシュ部と重ねた場合に、当該基本メッシュ部よりも外側に位置する部分を有する。すなわち、多角形領域は、第2のメッシュ部と重なる部分に対して、第2のメッシュ部よりも外側に位置する部分を組み合わせたような形状となる。すなわち、多角形領域の面積は、各部分が独立したメッシュ部として存在していた場合の開口面積よりも、大きくなる。このような多角形領域は、互いに対向する二辺を結ぶ分割導電線によって、複数の分割メッシュ部に分割される。また、分割導電線と基本メッシュ部の辺との間のピッチは、基本メッシュ部のピッチよりも小さい。従って、分割導電線が他の導電線と密集し過ぎることで、端部導電線付近の分割メッシュ部の開口面積が小さくなり過ぎることを抑制できる。これにより、導電性パターンの端部において、導電線の潰れなどによって視認性が上がってしまうことを抑制することができる。また、導電性パターンにおける基本メッシュ部以外のメッシュ部の平均開口面積は、第2のメッシュ部の平均開口面積の1.5倍未満である。従って、導電性パターンの端部の分割メッシュ部の開口面積が大きくなりすぎて、導電性パターンの伝送特性が極端に低下することを抑制できる。以上より、伝送特性の極端な低下を抑制しつつ、導電性パターンの端部における導電線の視認性を低くすることができる。
【0113】
本開示の一側面に係る表示装置は、上述の導電性フィルムを備える。
【0114】
上述の表示装置によれば、上述の導電性フィルムと同様な作用・効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0115】
1…光透過性基材(基材)、1S…基材の主面、20…導電性フィルム、50…第1の導電線、51…第2の導電線、52…端部導電線、53…分割導電線、60A…導電性パターン、61…基本メッシュ部(第2のメッシュ部)、62A,62B,72A,72B,73A,73B,82,83,92,93,94,102A,102B…メッシュ部(第1のメッシュ部)、65…端部メッシュ部(第1のメッシュ部)、66A,66B,67A,67B…分割メッシュ部、100…表示装置、EA,EB…多角形領域、VE1,VE2,VE3,VE4…仮想メッシュ部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17