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特開2024-161651バッテリーターミナルカバー及びバッテリーターミナルユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161651
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】バッテリーターミナルカバー及びバッテリーターミナルユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/591 20210101AFI20241113BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20241113BHJP
【FI】
H01M50/591
H01M50/588
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076474
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】八橋 仙昌
(72)【発明者】
【氏名】ヴーニャットヒエウ
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA19
5H043CA05
5H043DA19
5H043FA40
5H043GA23
5H043GA25
5H043GA30
5H043HA06D
5H043LA02D
5H043LA21D
5H043LA22D
(57)【要約】
【課題】バッテリーターミナルをバッテリーポストに組み付ける際に、バッテリーにおける公差を吸収しつつ、バッテリーターミナルを適切な位置に止めることができるバッテリーターミナルカバー及びバッテリーターミナルユニットを提供する。
【解決手段】バッテリーターミナルカバー40は、カバー部41及び回り止め部43を備える。回り止め部43は、面取りしてなる当接面45を有する。当接面45は、バッテリーターミナル20に設けられたコネクタ23に対する、相手側コネクタ50の移動領域MRから外れた位置に形成される。当接面45が、バッテリー壁5の角部6eに当接することで、バッテリーターミナル20における、バッテリー壁5に向かう方向の回転が規制される。当接面45は、バッテリーポスト7と、角部6eを形成するバッテリー壁5の壁面6a及び側面6dとの間の寸法公差を吸収可能に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーターミナルに装着可能なカバー部と、
前記カバー部から延設されて、面取りしてなる当接面を有する回り止め部と、
を備え、
前記当接面は、前記バッテリーターミナルに前記カバー部を装着した状態で、バッテリー筐体の上面に立設されたバッテリーポストに前記バッテリーターミナルを組み付ける際に、前記バッテリー筐体の上面に設けられたバッテリー壁の角部に当接し、
前記当接面は、前記バッテリーターミナルの一端側に設けられたコネクタに対する、相手側コネクタの移動領域から外れた位置に形成され、
前記当接面は、前記バッテリーポストと、前記角部を形成するバッテリー壁の第1面及び第2面との間の寸法公差を吸収可能に形成されており、
前記当接面が前記角部に当接することで、前記バッテリーターミナルにおける、前記バッテリーポストを回転中心とした、前記バッテリー壁に向かう方向の回転が規制されるバッテリーターミナルカバー。
【請求項2】
前記当接面は、1つの平面で構成されており、
前記バッテリーターミナルに前記カバー部を装着した状態において、前記回り止め部は、前記バッテリーターミナルの一端側に位置する請求項1に記載のバッテリーターミナルカバー。
【請求項3】
前記当接面は、2つの平面で構成されており、
前記バッテリーターミナルに前記カバー部を装着した状態において、前記回り止め部は、前記バッテリーターミナルの一端側に位置し、かつ、前記当接面は、前記バッテリーターミナル側に凹んでおり、
前記バッテリーターミナルの他端側には、スタッドボルトが設けられている請求項1に記載のバッテリーターミナルカバー。
【請求項4】
前記バッテリーポストと前記バッテリー壁の第1面との間の第1距離が、第1寸法公差内の最大値を有し、かつ、前記バッテリーポストと前記バッテリー壁の第2面との間の第2距離が、第2寸法公差内の最大値を有する場合、前記2つの平面のうち、前記回り止め部の先端側に位置する一方の平面が前記角部に当接し、
前記第1距離が前記第1寸法公差内の最小値を有し、かつ、前記第2距離が前記第2寸法公差内の最小値を有する場合、前記2つの平面のうち、前記回り止め部の根元側に位置する他方の平面が前記角部に当接する請求項3に記載のバッテリーターミナルカバー。
【請求項5】
バッテリー筐体の上面に立設されたバッテリーポストに組み付けられるバッテリーターミナルと、
請求項1~4の何れか一項に記載のバッテリーターミナルカバーと、
を備えるバッテリーターミナルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーターミナルカバー及びバッテリーターミナルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリー筐体の上面に立設されたバッテリーポストにバッテリーターミナルを組み付ける際に、バッテリーターミナルの回転を規制する部材が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたバッテリーターミナルには、バッテリーターミナルの回転を規制する部材として、ストッパが設けられている。当該ストッパは、第1回り止め部及び第2回り止め部を有する。
【0004】
バッテリーターミナルをバッテリーポストに組み付けた状態で、第1回り止め部は、バッテリー筐体の側面に当接し、かつ、第2回り止め部は、バッテリー筐体の側面と直交する、バッテリー筐体の上面に設けられたバッテリー壁の壁面に当接する。
【0005】
このような構成により、バッテリーポストを回転中心とした、バッテリーターミナルの回転を規制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-118855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、第1回り止め部がバッテリー筐体の側面に当接することにより、バッテリーポストを回転中心とした、バッテリー筐体に向かう方向(反時計回り)の回転を規制している。
【0008】
しかしながら、バッテリーポストとバッテリー筐体の側面との間には、製造上の誤差(寸法公差)が存在する。このため、バッテリーポストとバッテリー筐体の側面との間の距離が、寸法公差内で基準値よりも短くなると、第1回り止め部は、当該距離が短くなった分、反時計回りに余計に回転して、バッテリー筐体の側面に当接する。
【0009】
この場合、バッテリーが配置されるスペースは狭いため、電線などのバッテリーターミナルに接続される部品が、周辺部品と干渉する可能性がある。この場合、例えば、車両の振動などにより、電線の被覆が損傷するなどの影響がある。
【0010】
したがって、バッテリーにおける公差を吸収しつつ、バッテリーターミナルを適切な位置に止めることができるように、更なる改善が求められていた。
【0011】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、バッテリーターミナルをバッテリーポストに組み付ける際に、バッテリーにおける公差を吸収しつつ、バッテリーターミナルを適切な位置に止めることができるバッテリーターミナルカバー及びバッテリーターミナルユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1態様に係るバッテリーターミナルカバーは、バッテリーターミナルに装着可能なカバー部と、前記カバー部から延設されて、面取りしてなる当接面を有する回り止め部と、を備える。前記当接面は、前記バッテリーターミナルに前記カバー部を装着した状態で、バッテリー筐体の上面に立設されたバッテリーポストに前記バッテリーターミナルを組み付ける際に、前記バッテリー筐体の上面に設けられたバッテリー壁の角部に当接する。前記当接面は、前記バッテリーターミナルの一端側に設けられたコネクタに対する、相手側コネクタの移動領域から外れた位置に形成される。前記当接面は、前記バッテリーポストと、前記角部を形成するバッテリー壁の第1面及び第2面との間の寸法公差を吸収可能に形成されている。前記当接面が前記角部に当接することで、前記バッテリーターミナルにおける、前記バッテリーポストを回転中心とした、前記バッテリー壁に向かう方向の回転が規制される。
【0013】
本発明の第2態様に係るバッテリーターミナルユニットは、バッテリー筐体の上面に立設されたバッテリーポストに組み付けられるバッテリーターミナルと、第1態様に係るバッテリーターミナルカバーと、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バッテリーターミナルをバッテリーポストに組み付ける際に、バッテリーにおける公差を吸収しつつ、バッテリーターミナルを適切な位置に止めることができるバッテリーターミナルカバー及びバッテリーターミナルユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係るバッテリーターミナルユニットをバッテリーに取り付けた状態の一例を示す部分斜視図である。
図2図2は、図1の矢印IIから見た図である。
図3図3は、本実施形態に係るバッテリーターミナルユニットの平面図である。
図4図4は、バッテリーにおける公差を説明する説明図である。
図5A図5Aは、本実施形態に係るバッテリーターミナルカバーによる公差吸収を説明する説明図である。
図5B図5Bは、本実施形態に係るバッテリーターミナルカバーによる公差吸収を説明する説明図である。
図5C図5Cは、本実施形態に係るバッテリーターミナルカバーによる公差吸収を説明する説明図である。
図6図6は、本実施形態の変形例に係るバッテリーターミナルユニットの平面図である。
図7A図7Aは、本実施形態の変形例に係るバッテリーターミナルカバーによる公差吸収を説明する説明図である。
図7B図7Bは、本実施形態の変形例に係るバッテリーターミナルカバーによる公差吸収を説明する説明図である。
図7C図7Cは、本実施形態の変形例に係るバッテリーターミナルカバーによる公差吸収を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本実施形態に係るバッテリーターミナルユニット及びバッテリーターミナルカバーについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。また、同一の機能や構成には、同一又は類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0017】
[バッテリーの構成]
最初に、図1を用いて、バッテリー1の構成を説明する。図1は、バッテリーターミナルユニット10をバッテリー1に取り付けた状態の一例を示す部分斜視図である。
【0018】
図1に示すように、バッテリー1は、車両に搭載される蓄電装置であり、バッテリー筐体3、バッテリー壁5、及びバッテリーポスト7を備える。バッテリー筐体3は、バッテリー1の構成部品を収容する。バッテリー筐体3は、上面3a、正面3b、及び側面3cを有する。上面3aは、鉛直方向におけるバッテリー筐体3の上側に形成される。正面3b及び側面3cは、上面3aと直交しており、バッテリー筐体3の周面に含まれる。バッテリー筐体3の上面3aには、バッテリー壁5が設けられる。
【0019】
バッテリー壁5は、バッテリー1の角部において、バッテリー筐体3の平面視にて、略L字状に切り欠かれた切り欠き部5aを有する。このため、バッテリー1の角部では、バッテリー筐体3の上面3aが露出している。なお、切り欠き部5aを有するバッテリー1の角部の数は、少なくとも1つである。
【0020】
バッテリー壁5は、壁面6a,6b、上面6c、及び側面6dを有する。バッテリー壁5の切り欠き部5aでは、壁面6a,6bが露出している。壁面6aは、バッテリー筐体3の側面3cに平行な面と直交する。壁面6bは、壁面6aに連接しており、バッテリー筐体3の側面3cと平行である。上面6cは、鉛直方向におけるバッテリー壁5の上側に形成される。側面6dは、壁面6aに連接しており、バッテリー筐体3の側面3cと平行である。
【0021】
バッテリー壁5の壁面6a及び側面6dは、バッテリー壁5の角部6eを形成する。後述するように、バッテリーターミナルユニット10をバッテリー1に取り付ける際に、バッテリーターミナルユニット10が、バッテリー壁5の角部6eに当接する。この場合、バッテリーターミナルユニット10は、バッテリー筐体3の側面3c側から、バッテリー壁5の角部6eに当接する。なお、角部6eを形成する壁面6a及び側面6dは、それぞれ、第1面及び第2面とも呼称される。
【0022】
バッテリーポスト7は、略円柱状に形成されており、バッテリー1の角部で露出しているバッテリー筐体3の上面3aに立設される。バッテリーポスト7の中心軸Cは、バッテリー筐体3の上面3aと直交する。
【0023】
[バッテリーターミナルユニットの構成]
次に、図1図3を用いて、バッテリーターミナルユニット10の構成を説明する。図2は、図1の矢印IIから見た図である。図3は、バッテリーターミナルユニット10の平面図である。
【0024】
図1図3に示すように、バッテリーターミナルユニット10は、バッテリー1に取り付けられる部品であり、バッテリーターミナル20、及びバッテリーターミナルカバー40を備える。バッテリーターミナル20は、バッテリーポスト7に組み付けられて、バッテリー1と、バッテリーターミナル20に接続される部品とを電気的に接続するのに用いられる部品である。
【0025】
バッテリーターミナル20は、本体部21、コネクタ23、スタッドボルト25、及び締付部27を備える。本体部21には、コネクタ23、スタッドボルト25、及び締付部27が設けられる。本体部21は、略直方体状に形成されて、上面21a、及び側面21b~21eを有する(図3参照)。なお、本体部21の形状は、略直方体形状に限定されない。
【0026】
ここで、図3に示したX方向は、本体部21の短辺方向に対応する。図3に示したY方向は、本体部21の長辺方向に対応しており、X方向に直交する。図3に示したZ方向は、本体部21の高さ方向に対応しており、X方向及びY方向に直交する。
【0027】
上面21aは、鉛直方向(Z方向)における本体部21の上側に形成される。側面21b~21eは、上面21aと直交しており、本体部21の周面を構成する。側面21bは、本体部21の長辺側の側面であり、本体部21の短辺の一端側(-X側)に形成されている。側面21cは、本体部21の長辺側の側面であり、本体部21の短辺の他端側(+X側)に形成されている。
【0028】
側面21dは、本体部21の短辺側の側面であり、本体部21の長辺の一端側(-Y側)に形成されている。側面21eは、本体部21の短辺側の側面であり、本体部21の長辺の他端側(+Y側)に形成されている。
【0029】
コネクタ23は、コネクタ本体部23a及びコネクタ嵌合部23bを有する。コネクタ本体部23aは、本体部21の長辺方向(Y方向)における、本体部21の上面21aの中央付近に設けられる。なお、コネクタ本体部23aの設置位置は、上面21aの中央付近に限定されず、上面21aの側面21d側(-Y側)であってもよい。
【0030】
コネクタ嵌合部23bは、コネクタ本体部23aの一端23a1(-Y側)に設けられて、相手側コネクタ50に嵌合される。相手側コネクタ50は、バッテリー1が搭載された車両内の装置に接続されたケーブル51の端部に取り付けられている(図1参照)。
【0031】
図3に示した移動領域MRは、相手側コネクタ50がコネクタ嵌合部23bに嵌合する際に、相手側コネクタ50が移動する領域を示している。移動領域MRで示したように、相手側コネクタ50は、本体部21の長辺方向(Y方向)に沿って移動して、本体部21の側面21d側から、コネクタ23のコネクタ嵌合部23bに嵌合する。相手側コネクタ50は、コネクタ嵌合部23bに嵌合すると、コネクタ23を介して、バッテリー1と電気的に接続される。移動領域MRは、結線軌道とも呼称される。
【0032】
なお、図1及び図3に示すように、本体部21の長辺方向において、コネクタ嵌合部23bの端部23b1は、本体部21の側面21dよりも-Y側に位置する。このような構成により、コネクタ嵌合部23bの端部23b1は、本体部21よりも-Y側に突き出ている。
【0033】
また、バッテリーターミナル20をバッテリーポスト7に組み付けた状態では、本体部21の高さ方向(Z方向)において、バッテリー壁5の上面6cは、コネクタ23の下端23b2よりも上方に位置する(図2参照)。また、相手側コネクタ50がコネクタ嵌合部23bに嵌合した状態では、本体部21の高さ方向(Z方向)において、バッテリー壁5の上面6cは、相手側コネクタ50の下端50aよりも上方に位置する(図2参照)。
【0034】
スタッドボルト25は、本体部21の側面21e側(+Y側)に設けられて、本体部21の上面21aから突出する軸部25aを有する。軸部25aには、ケーブルの端部に取り付けられた相手側端子が接続可能である。相手側端子は、軸部25aに接続されると、スタッドボルト25を介して、バッテリー1と電気的に接続される。
【0035】
締付部27は、本体部21の側面21b側に設けられて、延伸部位27a、挿入部位27b、及び締付部位27cを有する。延伸部位27aは、本体部21の側面21bから、本体部21から離れる方向に延伸する。延伸部位27aの延伸方向は、本体部21の短辺方向(X方向)と平行である。
【0036】
挿入部位27bは、延伸部位27aに連接される。挿入部位27bは、略円環状に形成されて、ポスト挿入孔27b1を有する。バッテリーターミナル20をバッテリーポスト7に組み付ける際に、ポスト挿入孔27b1内にバッテリーポスト7が挿入される。
【0037】
締付部位27cは、挿入部位27bに連接されて、ボルト31及びナット33を有する。締付部位27cは、ポスト挿入孔27b1内にバッテリーポスト7を挿入した状態で、ボルト31及びナット33を用いて、挿入部位27bの端部を締め付ける。締付部位27cが挿入部位27bの端部を締め付けると、ポスト挿入孔27b1の径が縮小されて、バッテリーポスト7がポスト挿入孔27b1に固定される。このように、バッテリーターミナル20は、締付部位27cの締付力により、バッテリーポスト7に組み付けられる。
【0038】
バッテリーターミナルカバー40は、バッテリーターミナル20の本体部21の外周面を囲むように、バッテリーターミナル20に装着される。例えば、バッテリーターミナルカバー40は、バッテリーターミナルカバー40の内周面に設けられた係合部(図示略)を、バッテリーターミナル20の本体部21の外周面に設けられた被係合部(図示略)に係合することにより、バッテリーターミナル20に装着される。
【0039】
バッテリーターミナルカバー40は、バッテリーターミナル20をバッテリーポスト7に組み付ける際に、バッテリーポスト7を回転中心とした、バッテリーターミナル20の回転を規制するのに用いられる部材である。また、バッテリーターミナルカバー40は、バッテリーターミナル20を保護する部材でもある。
【0040】
バッテリーターミナルカバー40は、樹脂材料などで形成されて、カバー部41、及び回り止め部43を備える。カバー部41は、バッテリーターミナル20の本体部21の外周面に沿うように、矩形の枠状に形成されている。バッテリーターミナルカバー40をバッテリーターミナル20に装着した状態において、カバー部41の短辺方向、長辺方向、及び高さ方向は、それぞれ、バッテリーターミナル20の本体部21の短辺方向、長辺方向、及び高さ方向に対応する。
【0041】
カバー部41は、上面41a、及び側面41b,41cを有する。上面41aは、鉛直方向におけるカバー部41の上側に形成される。側面41b,41cは、上面41aと直交しており、カバー部41の周面に含まれる。側面41bは、カバー部41の長辺側の側面であり、カバー部41の短辺の一端側に形成されている。側面41cは、カバー部41の短辺側の側面であり、カバー部41の長辺の一端側に形成されている。
【0042】
なお、バッテリーターミナルカバー40をバッテリーターミナル20に装着した状態では、バッテリーターミナル20の本体部21の高さ方向(Z方向)において、カバー部41の上面41aは、本体部21の上面21a、及びコネクタ23のコネクタ嵌合部23bの下端23b2よりも下方に位置する(図2参照)。また、バッテリーターミナル20をバッテリーポスト7に組み付けた状態では、バッテリーターミナル20の本体部21の高さ方向(Z方向)において、カバー部41の上面41aは、バッテリー壁5の上面6cよりも下方に位置する(図2参照)。更に、相手側コネクタ50がコネクタ嵌合部23bに嵌合した状態では、バッテリーターミナル20の本体部21の高さ方向(Z方向)において、カバー部41の上面41aは、相手側コネクタ50の下端50aよりも下方に位置する(図2参照)。
【0043】
側面41bには、貫通部41b1が形成されている。バッテリーターミナルカバー40をバッテリーターミナル20に装着した状態において、バッテリーターミナル20の締付部27の延伸部位27aは、カバー部41の貫通部41b1を介して、本体部21の側面21bから、本体部21から離れる方向に延伸する。
【0044】
回り止め部43は、カバー部41から離れる方向に突出するように、カバー部41の側面41cから延設される。回り止め部43の延設方向は、カバー部41の長辺方向と平行である。回り止め部43の高さは、カバー部41の側面41cの高さと同じである(図2参照)。
【0045】
回り止め部43は、当接面45、傾斜面47、及び先端面49を有する。当接面45は、回り止め部43の一方の先端角部を面取りしてなる平面であり、カバー部41の側面41bに連接する。傾斜面47は、回り止め部43の他方の先端角部を面取りしてなる平面であり、カバー部41の側面41cに連接する。先端面49は、カバー部41の側面41cに平行であり、当接面45及び傾斜面47に連接する。
【0046】
図3に示すように、当接面45は、コネクタ23に対する、相手側コネクタ50の移動領域MRから外れた位置に形成される。後述するように、バッテリーターミナル20をバッテリーポスト7に組み付ける際に、当接面45が、バッテリー壁5の角部6eに当接することで、バッテリーターミナル20における、バッテリーポスト7を回転中心とした、バッテリー壁5に向かう方向の回転が規制される。
【0047】
なお、当接面45における、カバー部41の側面41b側は、回り止め部43の根元側とも呼称される。また、当接面45における、先端面49側は、回り止め部43の先端側とも呼称される。
【0048】
[バッテリーにおける公差]
次に、図4を用いて、バッテリー1における公差を説明する。図4は、バッテリー1における公差を説明する説明図である。本実施形態では、バッテリー1における公差として、バッテリーポスト7と、バッテリー壁5の角部6eを形成するバッテリー壁5の壁面6a及び側面6dとの間の公差を対象とする。
【0049】
図4に示すように、本実施形態では、バッテリー1の平面視において、バッテリーポスト7の中心CTとバッテリー壁5の壁面6aとの間の距離は、基準値D1に対して、-d1~+d1の寸法公差が許容されているものとする。このため、バッテリーポスト7の中心CTとバッテリー壁5の壁面6aとの間の距離は、D1-d1~D1+d1の範囲内の値を有する。なお、基準値D1に対する-d1~+d1の寸法公差は、第1寸法公差とも呼称される。また、バッテリーポスト7の中心CTとバッテリー壁5の壁面6aとの間の距離は、第1距離とも呼称される。
【0050】
同様に、本実施形態では、バッテリー1の平面視において、バッテリーポスト7の中心CTとバッテリー壁5の側面6dとの間の距離は、基準値D2に対して、-d2~+d2の寸法公差が許容されているものとする。このため、バッテリーポスト7の中心CTとバッテリー壁5の側面6dとの間の距離は、D2-d2~D2+d2の範囲内の値を有する。なお、基準値D2に対する-d2~+d2の寸法公差は、第2寸法公差とも呼称される。また、バッテリーポスト7の中心CTとバッテリー壁5の側面6dとの間の距離は、第2距離とも呼称される。
【0051】
バッテリーポスト7とバッテリー壁5の側面6dとの間の公差は、バッテリーポスト7とバッテリー筐体3の側面3cとの間の公差と、バッテリー壁5の側面6dとバッテリー筐体3の側面3cとの間の公差とに基づいて決定されてもよい。
【0052】
[バッテリーターミナルカバーによる公差吸収]
次に、図5A図5Cを用いて、バッテリーターミナルカバー40による公差吸収を説明する。図5Aは、第1,2距離が基準値である場合における、バッテリーターミナルカバー40による公差吸収を説明する説明図である。図5Bは、第1,2距離が第1,2寸法公差内の最小値を有する場合における、バッテリーターミナルカバー40による公差吸収を説明する説明図である。図5Cは、第1,2距離が第1,2寸法公差内の最大値を有する場合における、バッテリーターミナルカバー40による公差吸収を説明する説明図である。
【0053】
最初に、バッテリーターミナルユニット10の回転について説明する。バッテリーターミナルユニット10は、バッテリーターミナルカバー40をバッテリーターミナル20に装着することにより構成される。
【0054】
バッテリーターミナル20をバッテリーポスト7に組み付けるために、バッテリーターミナルユニット10を構成した状態で、バッテリーターミナル20の締付部27における、挿入部位27bのポスト挿入孔27b1に、バッテリー1のバッテリーポスト7が挿入される。バッテリーポスト7をポスト挿入孔27b1に挿入すると、バッテリーターミナル20の締付部27における、締付部位27cのナット33を時計回りに回転させて、挿入部位27bの端部を締め付ける。
【0055】
この際、バッテリーターミナルユニット10は、ナット33の回転に伴って、バッテリーポスト7の中心軸Cを回転中心として時計回りに回転する。バッテリーターミナルユニット10は、バッテリーターミナルカバー40の回り止め部43の当接面45が、バッテリー壁5の角部6eに当接するまで回転する(図5A図5C参照)。
【0056】
当接面45がバッテリー壁5の角部6eに当接すると、バッテリーターミナルユニット10の回転が止められる。この状態で、当接面45をバッテリー壁5の角部6eに当接させつつ、ナット33を時計回りに更に回転させて、挿入部位27bの端部を確実に締め付けることで、バッテリーポスト7がポスト挿入孔27b1に固定される。これにより、バッテリーターミナル20がバッテリーポスト7に組み付けられて、バッテリーターミナルユニット10は、バッテリー1に取り付けられる。
【0057】
図5Aに示すように、第1,2距離が基準値である場合、バッテリーターミナルユニット10の回転に伴って、当接面45は、カバー部41の側面41b側(回り止め部43の根元側)で、バッテリー壁5の角部6eに当接する。これにより、バッテリー壁5が、相手側コネクタ50の移動領域MR内に侵入するのを回避することができる。このため、コネクタ23のコネクタ嵌合部23bに相手側コネクタ50を嵌合することができる。
【0058】
図5Bに示すように、第1距離及び第2距離が第1,2寸法公差内の最小値を有する場合、バッテリーターミナルユニット10の回転に伴って、当接面45は、カバー部41の側面41b付近(回り止め部43の根元付近)で、バッテリー壁5の角部6eに当接する。これにより、バッテリー壁5が、相手側コネクタ50の移動領域MR内に侵入するのを回避することができる。このため、コネクタ23のコネクタ嵌合部23bに相手側コネクタ50を嵌合することができる。
【0059】
図5Cに示すように、第1,2距離が第1,2寸法公差内の最大値を有する場合、バッテリーターミナルユニット10の回転に伴って、当接面45は、先端面49側(回り止め部43の先端側)で、バッテリー壁5の角部6eに当接する。これにより、バッテリー壁5が、相手側コネクタ50の移動領域MR内に侵入するのを回避することができる。このため、コネクタ23のコネクタ嵌合部23bに相手側コネクタ50を嵌合することができる。
【0060】
なお、図5A図5Cに示した何れの場合でも、回り止め部43の一方の先端角部を面取りしない、すなわち、当接面45を形成しなくても、バッテリー壁5の角部6eが、相手側コネクタ50の移動領域MR内に侵入するのを回避することができる。しかしながら、この場合、バッテリーターミナルユニット10は、回り止め部43に当接面45を形成する場合と比較して、コネクタ23のコネクタ嵌合部23bが、バッテリー1から離れた位置で止まる。このため、コネクタ23のコネクタ嵌合部23bに相手側コネクタ50を嵌合する場合に、ケーブル51が周辺部品100と干渉する可能性がある。
【0061】
このように、バッテリーターミナルカバー40の回り止め部43に当接面45を形成することにより、バッテリー1における公差を吸収しつつ、バッテリーターミナル20を適切な位置に止めることができる。
【0062】
[作用・効果]
本実施形態によれば、バッテリーターミナルカバー40は、カバー部41及び回り止め部43を備える。カバー部41は、バッテリーターミナル20に装着可能である。回り止め部43は、カバー部41から延設されて、面取りしてなる当接面45を有する。
【0063】
バッテリーターミナル20にカバー部41を装着した状態で、バッテリー筐体3の上面3aに立設されたバッテリーポスト7にバッテリーターミナル20を組み付ける際に、当接面45は、バッテリー筐体3の上面3aに設けられたバッテリー壁5の角部6eに当接する。当接面45は、バッテリーターミナル20の一端側に設けられたコネクタ23に対する、相手側コネクタ50の移動領域MRから外れた位置に形成される。当接面45がバッテリー壁5の角部6eに当接することで、バッテリーターミナル20における、バッテリーポスト7を回転中心とした、バッテリー壁5に向かう方向の回転が規制される。
【0064】
上述した構成により、バッテリーポスト7にバッテリーターミナル20を組み付ける際に、バッテリー壁5が、コネクタ23に対する相手側コネクタ50の移動領域MR内に侵入するのを回避しつつ、バッテリー1の近傍でバッテリーターミナルの回転を止めることができる。このため、バッテリー1を配置するスペース内に、周辺部品100が存在する場合でも、作業者は、相手側コネクタ50及びケーブル51を、バッテリー壁5及び周辺部品100と干渉させずに、コネクタ23に取り付けることができる。
【0065】
本実施形態によれば、当接面45は、バッテリーポスト7と、バッテリー壁5の角部6eを形成するバッテリー壁5の壁面6a及び側面6dとの間の寸法公差を吸収可能に形成されている。
【0066】
上述した構成により、作業者は、バッテリー1における公差を吸収して、相手側コネクタ50を、コネクタ23に確実に取り付けることができる。
【0067】
したがって、このように構成されたバッテリーターミナルカバー40を用いることにより、バッテリー1における公差を吸収しつつ、バッテリーターミナル20を適切な位置に止めることができる。
【0068】
本実施形態によれば、当接面は、1つの平面(当接面45)で構成されている。バッテリーターミナル20にカバー部41を装着した状態において、回り止め部43は、バッテリーターミナル20の一端側に位置する。
【0069】
上述した構成により、簡易な構成により、バッテリー1における公差を吸収しつつ、バッテリーターミナル20を適切な位置に止めることができる。
【0070】
本実施形態によれば、バッテリーターミナルユニット10は、バッテリー筐体3の上面3aに立設されたバッテリーポスト7に組み付けられるバッテリーターミナル20と、上述したバッテリーターミナルカバー40と、を備える。
【0071】
上述した構成により、バッテリーターミナルユニット10を用いることにより、バッテリー1における公差を吸収しつつ、バッテリーターミナル20を適切な位置に止めることができる。
【0072】
[変形例]
上述した実施形態では、当接面は1つの平面で構成されていたが、これに限定されない。当接面は2つの平面で構成されてもよい。
【0073】
図6は、本変形例に係るバッテリーターミナルユニット10aの平面図である。図6に示すように、バッテリーターミナルユニット10aは、バッテリーターミナル20及びバッテリーターミナルカバー40aを備える。バッテリーターミナル20の構成は、上述した実施形態で説明したため、本変形例では説明を省略する。
【0074】
バッテリーターミナルカバー40aは、カバー部41、及び回り止め部43aを備える。カバー部41の構成は、上述した実施形態で説明したため、本変形例では説明を省略する。回り止め部43aは、当接面45a,45b、傾斜面47、及び先端面49を有する。傾斜面47及び先端面49は、上述した実施形態で説明したため、本変形例では説明を省略する。
【0075】
当接面45a,45bは、回り止め部43aの一方の先端角部を面取りしてなる2つの平面である。バッテリーターミナルカバー40aをバッテリーターミナル20に装着した状態において、当接面45a,45bは、バッテリーターミナル20側に凹むように形成されている。
【0076】
当接面45aは、カバー部41の側面41b及び当接面45bに連接する。当接面45bは、先端面49に連接する。当接面45a,45bは、コネクタ23に対する、相手側コネクタ50の移動領域MRから外れた位置に形成される。
【0077】
本変形例では、当接面45bは、カバー部41の長辺方向と平行に形成されており、かつ、当接面45a,45bのなす角は、鈍角に形成されている。なお、当接面45bは、カバー部41の長辺方向と平行に形成されることに限定されず、バッテリー壁5の設置位置と、バッテリーポスト7の設置位置と、バッテリー1の周囲に配置された周辺部品の設置位置との関係に基づいて、適宜設定される。同様に、当接面45a,45bのなす角は、鈍角に形成されることに限定されず、バッテリー壁5の設置位置と、バッテリーポスト7の設置位置と、バッテリー1の周囲に配置された周辺部品の設置位置との関係に基づいて、適宜設定される。
【0078】
当接面45aは、回り止め部43の根元側に位置する一方の平面とも呼称される。また、当接面45bは、回り止め部43の先端側に位置する他方の平面とも呼称される。
【0079】
図7Aは、第1,2距離が基準値である場合における、バッテリーターミナルカバー40aによる公差吸収を説明する説明図である。図7Bは、第1,2距離が第1,2寸法公差内の最小値を有する場合における、バッテリーターミナルカバー40aによる公差吸収を説明する説明図である。図7Cは、第1,2距離が第1,2寸法公差内の最大値を有する場合における、バッテリーターミナルカバー40aによる公差吸収を説明する説明図である。
【0080】
図7Aに示すように、第1,2距離が基準値である場合、バッテリーターミナルユニット10aの回転に伴って、当接面45aが、当接面45a,45bの境界付近で、バッテリー壁5の角部6eに当接する。これにより、バッテリー壁5が、コネクタ23に対する相手側コネクタ50の移動領域MR内に侵入するのを回避することができる。このため、コネクタ23のコネクタ嵌合部23bに相手側コネクタ50を嵌合することができる。
【0081】
図7Bに示すように、第1,2距離が第1,2寸法公差内の最小値を有する場合、バッテリーターミナルユニット10aの回転に伴って、当接面45aが、カバー部41の側面41b付近で、バッテリー壁5の角部6eに当接する。これにより、バッテリー壁5が、コネクタ23に対する相手側コネクタ50の移動領域MR内に侵入するのを回避することができる。このため、コネクタ23のコネクタ嵌合部23bに相手側コネクタ50を嵌合することができる。
【0082】
図7Cに示すように、第1,2距離が第1,2寸法公差内の最大値を有する場合、バッテリーターミナルユニット10の回転に伴って、当接面45bが、先端面49側で、バッテリー壁5の角部6eに当接する。これにより、バッテリー壁5が、コネクタ23に対する相手側コネクタ50の移動領域MR内に侵入するのを回避することができる。このため、コネクタ23のコネクタ嵌合部23bに相手側コネクタ50を嵌合することができる。
【0083】
なお、図7A図7Cに示した何れの場合でも、当接面が1つの面で構成されていれば、バッテリー壁5の角部6eが、コネクタ23に対する相手側コネクタ50の移動領域MR内に侵入するのを回避し、かつ、相手側コネクタ50のケーブル51が周辺部品100と干渉するのを回避することができる。しかしながら、この場合、バッテリーターミナルユニット10aは、当接面が2つの面で構成される場合と比較して、コネクタ23のコネクタ嵌合部23bが、バッテリー1から離れた位置で止まる。このため、バッテリーターミナル20のスタッドボルト25に、相手側端子60を接続する場合に、相手側端子60のケーブル61が周辺部品200と干渉する可能性がある。
【0084】
このように、バッテリーターミナルカバー40aの回り止め部43aに当接面45a,45bを形成することにより、バッテリー1における公差を吸収して、バッテリーターミナル20をより適切な位置に止めることができる。
【0085】
また、回り止め部43aの一方の先端角部を面取りして、当接面45aのみを形成した場合、当接面45aの一部は、相手側コネクタ50の移動領域MR内に形成される。このため、例えば、第1,2距離が第1,2寸法公差内で最大値を有する場合、バッテリーターミナルユニット10aの回転に伴って、バッテリー壁5が、相手側コネクタ50の移動領域MR内に侵入する可能性がある。しかしながら、この場合でも、当接面45aが、相手側コネクタ50の移動領域MRから外れた位置で当接面45bに連接することにより、バッテリーターミナルユニット10aの回転に伴って、バッテリー壁5が、相手側コネクタ50の移動領域MR内に侵入するのを回避することができる。
【0086】
同様に、回り止め部43aの一方の側部を面取りして、当接面45bのみを形成した場合、当接面45bは、カバー部41の側面41b側に露出したカバー部41の側面41cに連接する。このため、例えば、第1距離が第1寸法公差内で最小値を有し、かつ、第2距離が第2寸法公差内で最大値を有する場合、バッテリーターミナルユニット10aが、当接面45a,45bを形成した場合と比較して、バッテリー壁5に向けて、時計回りに余計に回転する可能性がある。この場合、相手側コネクタ50のケーブル51がバッテリー筐体3の側面3cと干渉する可能性がある。しかしながら、この場合でも、当接面45bが当接面45aと連接することにより、バッテリーターミナルユニット10aが、バッテリー壁5に向けて、時計回りに余計に回転するのを回避することができる。
【0087】
本変形例によれば、当接面は、2つの平面(当接面45a,45b)で構成されている。バッテリーターミナル20にカバー部41を装着した状態において、回り止め部43aは、バッテリーターミナル20の一端側に位置し、かつ、当接面45a,45bは、バッテリーターミナル20側に凹んでいる。バッテリーターミナル20の他端側には、スタッドボルト25が設けられている。
【0088】
上述した構成により、バッテリーポスト7にバッテリーターミナル20を組み付ける際に、バッテリー壁5が、コネクタ23に対する相手側コネクタ50の移動領域MR内に侵入するのを回避しつつ、更にバッテリー1の近傍でバッテリーターミナルの回転を止めることができる。このため、バッテリー1を配置するスペース内に、周辺部品100,200が存在する場合でも、作業者は、相手側コネクタ50及びケーブル51を、バッテリー壁5及び周辺部品100と干渉させず、かつ、相手側端子60のケーブル61を、周辺部品200に干渉させずに、コネクタ23に取り付けることができる。
【0089】
したがって、このように構成されたバッテリーターミナルカバー40aを用いることにより、バッテリー1における公差を吸収しつつ、バッテリーターミナル20をより適切な位置に止めることができる。
【0090】
本変形例によれば、バッテリーポスト7とバッテリー壁5の壁面6aとの間の第1距離が、第1寸法公差内の最大値を有し、かつ、バッテリーポスト7とバッテリー壁5の側面6dとの間の第2距離が、第2寸法公差内の最大値を有する場合、当接面45a,45bのうち、回り止め部43aの先端側に位置する当接面45bが角部6eに当接する。バッテリーポスト7とバッテリー壁5の壁面6aとの間の第1距離が、第1寸法公差内の最小値を有し、かつ、バッテリーポスト7とバッテリー壁5の側面6dとの間の第2距離が、第2寸法公差内の最小値を有する場合、当接面45a,45bのうち、回り止め部43aの根元側に位置する当接面45bが角部6eに当接する。
【0091】
上述した構成により、簡易な構成により、バッテリー1における公差を確実に吸収することができる。
【0092】
[その他の変形例]
上述した実施形態では、バッテリー壁5の側面6dは、バッテリー筐体3の側面3cと平行に形成されているが、これに限定されない。例えば、バッテリー壁5の側面6dは、バッテリー筐体3の上面3aから離れるにつれて、バッテリー筐体3の側面3cから離れるように、上面3aに対して傾斜するように形成されてもよい。
【0093】
上述した実施形態では、バッテリー壁5の側面6dと、バッテリー筐体3の側面3cとは、1つの平面を形成していないが、これに限定されない。バッテリー壁5の側面6dと、バッテリー筐体3の側面3cとは、1つの平面を形成してもよい。この場合、バッテリーポスト7とバッテリー壁5の側面6dとの間の公差は、バッテリーポスト7とバッテリー筐体3の側面3cとの間の公差に一致する。この場合、バッテリーポスト7とバッテリー壁5の側面6dとの間の公差を、バッテリーポスト7とバッテリー筐体3の側面3cとの間の公差に置き換えることができる。
【0094】
上述した実施形態では、バッテリーターミナルユニット10は、バッテリー壁5の壁面6a及び側面6dにより形成される、バッテリー壁5の角部6eに当接するが、これに限定されない。例えば、バッテリーターミナルユニット10は、バッテリー壁5の壁面6bと、バッテリー筐体3の正面3bに平行なバッテリー壁の側面とにより形成される、バッテリー壁5の角部に当接してもよい。この場合、バッテリーターミナルユニット10は、反時計回りに回転して、バッテリー筐体3の正面3b側から、バッテリー壁5の角部に当接する。
【0095】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0096】
3 バッテリー筐体
3a 上面
5 バッテリー壁
6a 壁面
6d 側面
6e 角部
7 バッテリーポスト
10、10a バッテリーターミナルユニット
20 バッテリーターミナル
23 コネクタ
25 スタッドボルト
40、40a バッテリーターミナルカバー
41 カバー部
43、43a 回り止め部
45、45a、45b 当接面
50 相手側コネクタ
MR 移動領域
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C