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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016166
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】デュアルモード電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/3827 20150101AFI20240130BHJP
   H04B 1/00 20060101ALI20240130BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20240130BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20240130BHJP
【FI】
H04B1/3827
H04B1/00 250
H04W52/02 111
H04W88/06
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188529
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2020537654の分割
【原出願日】2019-01-04
(31)【優先権主張番号】62/615,116
(32)【優先日】2018-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18154016.2
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ダン
(72)【発明者】
【氏名】グライタス ポール
(72)【発明者】
【氏名】ハン ドン
(72)【発明者】
【氏名】ユー ジン
(72)【発明者】
【氏名】ツァン ユ―ティン
(57)【要約】
【課題】電子デバイスにおける長距離通信技術への依存を低減する改善されたシステムの必要性がある。
【解決手段】電子デバイスは、長距離無線通信技術及び短距離無線通信技術の両方を使用して通信することができる。電子デバイスのトランシーバは、長距離無線通信技術の省電力モードに基づいてその動作モードを切り替える。とりわけ、電子デバイスは、長距離無線通信技術の省電力モードに基づいて短距離モードと長距離モードとで切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランシーバ、検出モジュール及びスイッチングユニットを備える電子デバイスであって、
前記トランシーバは、
該トランシーバが長距離無線通信技術を使用して少なくとも1つの外部デバイスと通信する長距離モードであって、前記長距離無線通信技術は、2つ以上の省電力モードを含む、長距離モードと、
該トランシーバが短距離無線通信技術を使用して少なくとも1つの近隣電子デバイスと通信する短距離モードと
を切り替え可能なように構成され、
前記検出モジュールは、前記長距離無線通信技術が省電力モードにあるかどうかを決定するように構成され、
前記スイッチングユニットは、前記長距離無線通信技術の決定された前記省電力モードに基づいて前記短距離モードと前記長距離モードとで前記トランシーバを切り替えるように構成される、電子デバイス。
【請求項2】
前記長距離無線通信技術は、セルラ方式であり、前記省電力モードは、不連続受信技術、拡張不連続受信及びスリープモードのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
当該電子デバイスは、前記短距離モードで動作している場合前記少なくとも1つの近隣電子デバイスから信号を受信するように構成され、
前記スイッチングユニットは、前記少なくとも1つの近隣電子デバイスから受信するオーバーライド信号に応答して前記短距離モードから前記長距離モードに前記トランシーバを切り替えるように構成される、請求項1又は2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記オーバーライド信号は、当該電子デバイスと通信するための前記少なくとも1つの外部デバイスからの要求を表す、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
当該電子デバイスは、前記短距離モードに入ることに応答して、プレゼンスメッセージを前記少なくとも1つの近隣電子デバイスにブロードキャストするように構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項6】
当該電子デバイスは、前記短距離モードを終了する前に、リーブメッセージを前記少なくとも1つの近隣電子デバイスにブロードキャストするように構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項7】
当該電子デバイスは、前記短距離モードを終了する前に、前記短距離無線通信技術を使用して通信される及び当該電子デバイスを対象とするデータのためのバッファとして機能する前記少なくとも1つの近隣電子デバイスのうちの1つ以上の近隣電子デバイスをノミネートするように構成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項8】
当該電子デバイスは、前記トランシーバが前記長距離モードにある場合、当該電子デバイスの内部クロックを前記少なくとも1つの外部デバイスのうちの1つの外部デバイスのクロックと同期させるように構成されるクロック同期ユニットを備える、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記検出モジュールは、前記トランシーバが、前記省電力モードに起因して前記長距離無線通信技術を使用して通信することができない期間を検出するように構成され、
前記スイッチングユニットは、前記期間の持続時間中前記短距離モードに前記トランシーバを切り替えるように構成される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記スイッチングユニットは、前記長距離無線通信技術の前記省電力モードに基づいて前記長距離モードと前記短距離モードとで前記トランシーバを周期的に切り替えるように構成される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項11】
当該電子デバイス及び前記少なくとも1つの近隣電子デバイスは、当該電子デバイスが前記短距離モードで動作している場合、短距離ネットワークを形成する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項12】
電子デバイスのトランシーバを動作させる方法であって、前記トランシーバは、該トランシーバが長距離無線通信技術を使用して少なくとも1つの外部デバイスと通信する長距離モードであって、前記長距離無線通信技術は、2つ以上の省電力モードを含む、長距離モードと、該トランシーバが短距離無線通信技術を使用して少なくとも1つの近隣電子デバイスと通信する短距離モードとで切り替え可能なように構成され、当該方法は、
前記長距離無線通信技術が省電力モードにあるかどうかを決定するステップと、
前記長距離無線通信技術の決定された前記省電力モードに基づいて前記短距離モードと前記長距離モードとで前記トランシーバを切り替えるステップと
を含む、方法。
【請求項13】
当該方法は、
前記少なくとも1つの近隣電子デバイスからオーバーライド信号を受信するステップと、
前記オーバーライド信号に応答して前記短距離モードから前記長距離モードに前記トランシーバを切り替えるステップと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電子デバイスは、前記トランシーバが前記長距離モードにある場合、前記電子デバイスの内部クロックを前記少なくとも1つの外部デバイスのうちの1つの外部デバイスのクロックと同期させるステップを含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータで実行される場合に請求項12乃至14のいずれか一項に記載の方法を実施するためのコード手段を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランシーバを有する電子デバイスの分野に関し、とりわけ、異なるワイヤレス技術を使用して通信することができる電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ZigBee、Bluetooth、Wi-Fi、可視光通信等の短距離無線通信技術はよく知られており、電子デバイスに使用されている。しかしながら、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)の登場により、長距離無線通信技術への関心が当該分野で高まっている。NarrowBand-IoT及びマシンタイプコミュニケーション(Machine-Type Communication)向けのLTEの拡張(LTE-eMTC)等、さまざまな技術が開発され、IoTデバイスに望ましい小さなデータ伝送及び広範囲の低電力通信に最適化されている。
【0003】
関心のある長距離通信技術により、遠方の又は集中管理されるサーバがIoTデバイスと直接通信することができる。これは、IoTデバイスがリモートロケーションに位置付けられたり、複数のIoTデバイスが同時に更新されることを可能にし得る。
【0004】
しかしながら、IoTデバイスにおける長距離通信技術の導入が直面する重要な課題は、長距離通信に固有の遅延、データ消費及びコストである。長距離通信の遅延は、IoTデバイスの能力(capability)を制限する、例えば、IoTデバイスのリアルタイム更新を制限する。長距離通信のデータ消費及び/又はコストは、IoTデバイスに送られることができる又はIoTデバイスから受けることができるデータの量を効果的に制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、電子デバイスにおける長距離通信技術への依存を低減する改善されたシステムの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特許請求の範囲によって規定される。
【0007】
本発明の一態様による例によれば、トランシーバ、検出モジュール及びスイッチングユニットを備える電子デバイスが提供される。トランシーバは、該トランシーバが長距離無線通信技術を使用して少なくとも1つの外部デバイスと通信する長距離モードと、該トランシーバが短距離無線通信技術を使用して少なくとも1つの近隣電子デバイスと通信する短距離モードとで切り替え可能なように構成される。検出モジュールは、長距離無線通信技術の省電力モードを決定するように構成される。スイッチングユニットは、長距離無線通信技術の決定された省電力モードに基づいて短距離モードと長距離モードとでトランシーバを切り替えるように構成される。
【0008】
長距離通信技術の省電力モードは、該長距離通信技術を使用して通信することができるトランシーバの動作モードを定義するために使用される。とりわけ、トランシーバの動作モードは、省電力モードの1つ以上の特性に基づいて切り替えられてもよい。
【0009】
トランシーバは、短距離モードと長距離モードとで(すなわち、動作モードの間で)切り替え可能であり、切り替えは、省電力モードに基づいてスイッチングユニットによって実行される。
【0010】
省電力モードに基づいてトランシーバの動作モードを切り替えることは、例えばトランシーバがどのデバイスとも通信しない期間を回避するように、トランシーバのアイドル時間を減らす。さらに、これは、トランシーバが2つの別個の無線通信技術を使用して通信することを可能にし、第2の専用のトランシーバを不要にする。
【0011】
したがって、実施形態は、一方が長距離で他方が短距離である2つの異なる通信チャネルで動作可能な電子デバイスを提供する。どの通信チャネルで動作するかの選択は、長距離通信チャネルに関連する省電力モードに依存する。
【0012】
省電力モードのさまざまな特性が、どのように切り替えがさまざまな利点に対してなされるかを定義するために使用されてもよい。
【0013】
好ましくは、検出モジュールは、トランシーバが、省電力モードに起因して長距離無線通信技術を使用して通信することができない期間を検出するように構成され、スイッチングユニットは、前記期間の持続時間中短距離モードにトランシーバを切り替えるように構成される。
【0014】
長距離無線通信技術の省電力モードは、トランシーバが通信することができない少なくとも1つの期間を定義してもよい。例えば、省電力モードは、周期的期間、又は電子デバイスと外部デバイスとの間で長距離通信が送られない事前定義された時限期間(predefined, timed period)を識別してもよい。
【0015】
斯かる期間中にトランシーバを短距離モードに切り替えることは、トランシーバのデッド又はアイドルタイムを減らし、トランシーバの通信効率を最大化する。斯くして、トランシーバが(省電力モードによって定義される期間中に)長距離通信技術を使用して通信することができない場合、トランシーバは、短距離通信技術を使用して通信する。このようにして、トランシーバは、どちらの方法論(methodology)を使用しても通信機能を大幅に中断することなく長距離通信技術及び短距離通信技術の両方を使用して通信することができる。
【0016】
好ましくは、スイッチングユニットは、長距離無線通信技術の省電力モードに基づいて長距離モードと短距離モードとでトランシーバを周期的に切り替えるように構成される。
【0017】
省電力モードは、外部デバイスと電子デバイスとが互いに通信する周期的な間隔を定義してもよい。これらの周期的な間隔と間隔との間、電子デバイスは、長距離技術を使用して外部デバイスと通信することができず、そのため、電子デバイス又はトランシーバが長距離無線通信技術を使用しない周期的な期間がある。
【0018】
実施形態は、これらの期間中に短距離モードにトランシーバを切り替えることを提案し、その結果、トランシーバは、外部サーバ及び少なくとも1つの近隣電子デバイスの両方と周期的に通信し、トランシーバの通信能力の効率を最大化することができる。
【0019】
したがって、トランシーバによる切り替えの周期性は、長距離無線通信技術の省電力モードに基づいてもよい。
【0020】
少なくとも1つの実施形態では、当該電子デバイスは、短距離モードで動作している場合少なくとも1つの近隣電子デバイスから信号を受信するように構成され、スイッチングユニットは、少なくとも1つの近隣電子デバイスから受信するオーバーライド信号に応答して短距離モードから長距離モードにトランシーバを切り替えるように構成される。
【0021】
好ましくは、オーバーライド信号は、当該電子デバイスと通信するための少なくとも1つの外部デバイスからの要求を表す。
【0022】
このようにして、少なくとも1つの近隣電子デバイスを介して外部サーバから電子デバイスにメッセージを送信することが可能である。これにより、少なくとも1つの近隣電子デバイスは、トランシーバが短距離モードで動作する場合、外部サーバ及び電子デバイス間のブリッジとして機能することができる。
【0023】
とりわけ、メッセージは、短距離モードから長距離モードにトランシーバをトグルするための外部サーバから電子デバイスへの命令又はウェイクアップコマンドであってもよい。
【0024】
斯かる実施形態は、外部サーバが、短距離モードで動作している場合でさえ、電子デバイスと通信できることを確実にする。斯くして、電子デバイスが外部デバイスと直ちに通信する能力を低下させることのない、長距離通信のための省電力モードが達成され得る。
【0025】
好ましくは、当該電子デバイスは、短距離モードに入ることに応答して、プレゼンスメッセージ(presence message)を少なくとも1つの近隣電子デバイスにブロードキャストするように構成される。当該電子デバイスは、短距離モードを終了する前に、リーブメッセージ(leave message)を少なくとも1つの近隣電子デバイスにブロードキャストするように構成されてもよい。
【0026】
好ましくは、当該電子デバイスは、短距離モードを終了する前に、短距離無線通信技術を使用して通信される及び当該電子デバイスを対象とするデータのためのバッファとして機能するネットワークの少なくとも1つの近隣電子デバイスのうちの1つ以上の近隣電子デバイスをノミネートする(nominate)ように構成される。
【0027】
斯くして、1つ又は複数の近隣デバイスは、電子デバイスが短距離モードで動作していない場合、電子デバイスのための情報又はデータをバッファすることができる。電子デバイスが短距離モードに再び入る場合、1つ又は複数の近隣デバイスは、バッファリングされたデータを電子デバイスに送ってもよい。このようにして、電子デバイスは、長距離モードで動作している場合、短距離チャネルを介して送信されるデータ、メッセージ又はその他の情報を意図せずにミスすることがない。プレゼンスメッセージは、バッファリングされた情報が電子デバイスに転送されるためのプロンプトとして機能してもよい。
【0028】
好ましくは、当該電子デバイスは、トランシーバが長距離モードにある場合、当該電子デバイスの内部クロックを少なくとも1つの外部デバイスのうちの1つの外部デバイスのクロックと同期させるように構成されるクロック同期ユニットを備える。
【0029】
このようにして、電子デバイスは、外部デバイスと同期してもよい。これは、省電力モードによって定義されるタイミング(例えば、スリープモードの周期性又は長さ)が外部デバイス及び電子デバイスによって正確に監視されることを確実にする。これは、例えば、外部デバイスが、(例えば、同期されていないスケジュールに起因して)電子デバイスが長距離モードに切り替わった/長距離モードから切り替わったと誤って信じることを防止する。そのような誤った信念(belief)は、電子デバイスとの通信の不必要な試みにつながる可能性がある(なぜなら、斯かる通信は電子デバイスによって受信されないからである)。斯くして、システム全体の効率が向上する。
【0030】
当該電子デバイス及び少なくとも1つの近隣電子デバイスは、当該電子デバイスが短距離モードで動作している場合、短距離ネットワークを形成してもよい。好ましくは、短距離ネットワークは、メッシュネットワーク、ポイントツーポイントネットワーク又はスターネットワークを含む。
【0031】
本発明の別の態様による例によれば、電子デバイスのトランシーバを動作させる方法であって、トランシーバは、該トランシーバが長距離無線通信技術を使用して少なくとも1つの外部デバイスと通信する長距離モードと、該トランシーバが短距離無線通信技術を使用して少なくとも1つの近隣電子デバイスと通信する短距離モードとで切り替え可能なように構成される、方法が提供される。当該方法は、長距離無線通信技術の省電力モードを決定するステップと、長距離無線通信技術の決定された省電力モードに基づいて短距離モードと長距離モードとでトランシーバを切り替えるステップとを含む。
【0032】
当該方法は、省電力モードを決定するステップが、トランシーバが、省電力モードに起因して長距離無線通信技術を使用して通信することができない期間を検出することを含み、トランシーバを切り替えるステップが、前記期間の持続時間中短距離モードにトランシーバを切り替えることを含むように適合されてもよい。
【0033】
好ましくは、トランシーバを切り替えるステップは、長距離無線通信技術の省電力モードに基づいて長距離モードと短距離モードとでトランシーバを周期的に切り替えることを含んでもよい。
【0034】
提案される方法はさらに、少なくとも1つの近隣電子デバイスからオーバーライド信号を受信するステップと、オーバーライド信号に応答して短距離モードから長距離モードにトランシーバを切り替えるステップと、を含んでもよい。
【0035】
一部の方法は、トランシーバが長距離モードにある場合、電子デバイスの内部クロックを少なくとも1つの外部デバイスのうちの1つの外部デバイスのクロックと同期させるステップを含む。
【0036】
本発明の他の態様による例によれば、コンピュータで実行される場合に上述した任意の記載の方法を実施するためのコード手段を含むコンピュータプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
ここで、本発明の例が、添付の図面を参照して詳細に述べられる。
図1】本発明の一実施形態による電子デバイスを含む通信ネットワークを示す。
図2】一実施形態による方法のフローチャートである。
図3】一実施形態による方法のさらなるステップを示すフローチャートである。
図4】本発明の別の実施形態による電子デバイスを含む通信ネットワークを概念的に示す。
図5】本発明の一実施形態による電子デバイスのトランシーバを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の概念によれば、長距離無線通信技術及び短距離無線通信技術の両方を使用して通信することができる電子デバイスが提案される。電子デバイスのトランシーバは、長距離無線通信技術の省電力モードに基づいてその動作モードを切り替える。
【0039】
実施形態は、コスト及び電力消費を最小限に抑えるために、長距離無線通信技術は省電力モードに従って動作することがよくあるという認識に少なくとも部分的に基づいている。しかしながら、これは、電子デバイスの通信能力を著しく低下させる。本発明は、トランシーバが2つのモード(長距離モード及び短距離モード)のうちの1つで継続的に通信することを可能にするように長距離モードと短距離モードとでトランシーバの動作モードを切り替えることを提案する。例えば、長距離通信が省電力モードに起因して利用できない場合、トランシーバは、長距離非可用(long-range unavailability)の間、短距離モードに切り替えられてもよい。
【0040】
例示の実施形態は、例えば、メッシュ、スター又はポイントツーポイントネットワークの電子デバイスで使用されてもよい。一例では、メッシュ、スター又はポイントツーポイントネットワークは、(短距離技術を使用する)相互接続された照明デバイスが(長距離技術を使用する)セルラサービスを使用して通信することもできる照明ネットワークである。
【0041】
図1は、電子デバイス2、外部デバイス3及びネットワーク4を含む全体的な通信ネットワーク1を示す。
【0042】
図示のネットワーク4はメッシュネットワークである。しかしながら、ネットワーク4は、代わりに、スター、リング、デイジーチェーン又はポイントツーポイントネットワーク等、他の既知の短距離ベースのネットワークトポロジに従って動作する他の任意の適切な通信ネットワークであってもよい。
【0043】
電子デバイス2は、NarrowBand-IoT及びマシンタイプコミュニケーション(Machine-Type Communication)向けのLTEの拡張(LTE-eMTC)技術等、長距離無線通信技術を使用して外部デバイス3と通信するように構成される。したがって、外部デバイス3との通信は、長距離無線通信チャネルを介してもよい。
【0044】
電子デバイス2はまた、Bluetooth、ZigBee、Wi-Fi又は可視光通信方法等、短距離無線通信技術を使用してネットワーク4上の少なくとも1つの近隣デバイス5と通信するように構成される。ネットワーク4上のデバイスと通信する場合、電子デバイスは、ネットワーク4のノードと見なされてもよい。したがって、ネットワーク4上の近隣デバイス5との通信は、短距離無線通信チャネルを介してもよい。
【0045】
長距離無線通信技術/チャネル及び短距離無線ロケーション技術/チャネルは、既知の概念に従って、異なるベースバンドで動作する。
【0046】
電子デバイス2は、トランシーバ11を使用して通信する。トランシーバは、長距離無線通信モード(「長距離モード」)と短距離無線通信モード(「短距離モード」)とで切り替え可能であるように構成される。長距離無線通信モードにおいて、電子デバイス2は、長距離無線通信技術(「長距離技術」)のみを用いて外部と通信する。近距離無線通信モードにおいて、電子デバイスは、短距離無線通信技術(「短距離技術」)のみを用いて通信する。
【0047】
斯くして、電子デバイス2のトランシーバ11は、外部デバイス3と通信することができるモード(長距離モード)と、ネットワーク4の近隣デバイスと通信することができるモード(短距離モード)とで切り替え可能である。好ましくは、トランシーバ11は、ネットワーク4及び外部デバイス3と同時に通信することができない。すなわち、トランシーバ11は、長距離通信技術及び短距離通信技術を同時に使用して通信することができなくてもよい。
【0048】
電子デバイス2はまた、長距離技術の省電力モード(の特徴)を決定するように構成される検出モジュール12と、決定された省電力モードに基づいて短距離モードと長距離モードとでトランシーバを切り替えるように構成されるスイッチングユニット13とを備える。
【0049】
電力又はコストを節約するために、長距離技術を使用して通信することができる外部デバイス3又は電子デバイス2等のデバイスは、さまざまな省電力モード又は技術を使用することができる。省電力モードは、長距離技術の運用に必要な電力又はコストを削減する意図を有する長距離技術を使用した通信がどのようにして又はいつなされ得るかを定義する。
【0050】
一例は、トランシーバが指定された時間間隔でのみ通信を送る又は通信を監視する、不連続受信(DRX)技術である。例示の技術では、指定された時間間隔は、最大で2.56秒である。
【0051】
別の例は、第1の長距離チャネル(例えば、LTE-eMTC)での通信が第1の時間間隔でチェックされ、第2の長距離チャネル(NB-IoT等)での通信が第2の時間間隔でチェックされる、拡張不連続受信(eDRX)である。典型的には、第1の時間間隔は約48分であり、第2の時間間隔は約3時間である。
【0052】
さらに別の例では、電子デバイス2のトランシーバ11は、外部デバイスへのアタッチメント(attachment )及び登録を維持しているが、外部デバイス3との通信が可能ではない状態(「非通信状態」)である、スリープモード(代替的なラベルには、スリープ状態又は低電力モードが含まれる)で動作可能であってもよい。例えば、トランシーバは、外部デバイスとの通信リンクを開いたままであってもよく、ネットワークに登録されたままであってもよい。トランシーバは、例えば、長距離チャネル上でのデータ通信なしに所定の期間が経過することに応答してスリープモードに入ってもよい。トランシーバは、所定の期間(例えば、1時間、1日又は1週間)スリープモードに、すなわち、時限低電力モードに入ってもよい。このようなコンフィギュレーションは、長距離の外部デバイスと散発的に、例えば、過度に高い温度等の危険なセンシング値が検出された場合に通信することしか必要としない(温度センサ等の)超低電力デバイスにとってとりわけ重要である。
【0053】
他の例では、省電力モードは、長距離チャネルを介す通信能力を制限してもよい(例えば、3G接続が利用可能な場合でも2G接続のみに限定してもよい)。この制限は、例えば、周期的又は所定の期間であってもよい。
【0054】
斯くして、省電力モードは、周期的な省電力モード(DRX若しくはeDRX技術)又は動的な省電力モード(例えば、通信が所定の期間発生しないことに応答してスリープ状態に入る等)であってもよい。
【0055】
DRX及びeDRX技術の場合、トランシーバは、外部デバイスとの通信と通信の間の時間間隔中に(長距離通信に関して)スリープモードになってもよい。
【0056】
検出モジュール12は、トランシーバのスケジューラからの信号、例えば、スリープ状態に入るであろうことを示す信号に基づいて省電力モード(の特徴)を決定してもよい。代替的に、検出モジュールは、(例えば、省電力モードを識別する、スリープモードの周期性を示す)外部デバイス及び電子デバイス間のヒストリックな通信(historic communication)から、又は、省電力モードのアイデンティティを示し得る、外部デバイス及び電子デバイス間の通信のメタデータを取得してもよい。他の実施形態では、検出モジュールは、長距離無線通信技術のタイプに基づいて省電力モードを決定する(例えば、無線通信技術の既知の省電力モードに限定する)。一部の例では、電子デバイス2は、使用することとされる、すなわち、電子デバイス2にとって互換性のある省電力モードを示すこととされる省電力モードプロファイルを示すコンフィギュレーションパラメータを格納してもよい。
【0057】
本発明は、長距離無線通信技術の省電力モードがトランシーバの通信能力を制限することを認識している。
【0058】
例として、典型的なDRX技術は、トランシーバが、通信の監視と監視及び/又は通信の発行(issuing)と発行の間の間隔中に通信することができないという結果をもたらす。これは、トランシーバへの、したがって電子デバイスへの命令のレイテンシ(latency)に悪影響を及ぼす。
【0059】
検出モジュール12及び/又はスイッチングユニット13は、トランシーバが省電力モードに起因して長距離技術を使用して通信することがどのくらいできないかを決定してもよい。トランシーバが長距離技術を使用して通信することができない期間、トランシーバは、短距離モードに切り替えられる。これは、トランシーバの効率を向上させ、トランシーバが2つの異なるチャネルで効果的に通信することを可能にする。
【0060】
一部の実施形態は、省電力モードによって定義される周期的な間隔と間隔の間のギャップ中、トランシーバが短距離モードに入り、ネットワーク4と通信することを提案する。
【0061】
他の実施形態は、長距離無線通信技術が時限低電力モード又は時限スリープモードに入ると、トランシーバが時限低電力モードの持続時間の間短距離モードに切り替わることを提案する。
【0062】
さらに他の実施形態は、(省電力モードに基づいて)所定の量のデータを通信するために電子デバイスのトランシーバに必要とされる期間を決定すること、及び短距離モードに戻る前に当該期間長距離モードへ周期的に切り替わることを提案する。これは、特定の量のデータが周期的な間隔で送信される必要があり得る、低電力センサにとりわけ有用である。省電力モードは、どのように低電力センサが通信することができるかを制限してもよい(例えば、データ転送速度の制限)。
【0063】
長距離モードから短距離モードへの切り替えは、長距離モードに戻るためのタイマ又はカウントダウンを開始してもよい。タイマ/カウントダウンの長さは、長距離無線通信技術の省電力モードに依存する。とりわけ、タイマ/カウントダウンの長さは、トランシーバが省電力モードに起因して外部デバイスと通信することができない時間の長さによって定義されてもよい。タイマ/カウントダウンが経過すると、トランシーバは、長距離モードに戻される。
【0064】
斯くして、スイッチングユニット13は、一般にトランシーバ11を長距離モードで動作させ、(検出モジュール12によって検出される)省電力モードに起因して長距離モードでの通信が制限される場合トランシーバ11を短距離モードに切り替えてもよい。スイッチングユニット13は、省電力モードに従って長距離モードでの通信が制限されることが最早なくなるとトランシーバ11を長距離モードに戻す。
【0065】
したがって、長距離技術の省電力モードは、短距離モードと長距離モードとのトランシーバの切り替えを制御又は定義する。
【0066】
省電力モードがトランシーバ11及び外部デバイス2間の周期的通信だけを許可するものである、特定の実施形態では、省電力モードは、短距離モードと長距離モードとの切り替えの周期性を定義する。
【0067】
トランシーバ11を短距離モードと長距離モードとで切り替えることにより、スイッチングユニット13は、電子デバイス2が、外部デバイス3及びネットワーク4を含む少なくとも1つの他のデバイスと継続的に通信できることを確実にすることができる。これは、電子デバイス2が長距離通信チャネルを介して(例えば、外部デバイス3と)通信することを保証しながら、通信のためのトランシーバの無線リソースの使用を本質的に最適化する。
【0068】
実施形態はまた、各タイプの通信技術に対してトランシーバを提供する必要性を回避する。
【0069】
好ましくは、電子デバイス2が長距離モードで動作している場合、電子デバイス2は、スリープ状態で動作しているとネットワーク4のノードによって見なされる。同様に、短距離モードで動作している場合、電子デバイス2は、(例えば、省電力モードに従って)スリープ状態で動作していると外部デバイス3によって知覚される。
【0070】
図2は、本発明の一実施形態による上述した電子デバイスのトランシーバを動作させるための方法20を示す。
【0071】
方法20は、トランシーバが長距離通信技術を使用して通信する、長距離無線通信モードでトランシーバを動作させるステップ21を含む。
【0072】
方法20は、長距離通信技術の省電力モードを決定又は検出するステップ22を含む。
【0073】
ステップ22は、例えば、長距離技術の省電力モードに起因して長距離技術を使用する通信が制限される期間を決定することを含んでもよい。これは、例えば、長距離通信技術を使用する通信と通信の間の期間(省電力モードのインディケーション)、又は来たるスリープモードの長さを決定することであってもよい。
【0074】
方法は、ステップ23において、省電力モードに基づいて短距離モードにトランシーバをプレイスする(place)、維持する又は切り替えるかを決定することを含む。短距離モードでは、トランシーバは、短距離無線通信技術を使用して動作する。
【0075】
例として、ステップ22は、長距離技術の省電力モードに起因して長距離技術を使用する通信が制限される期間(すなわち、スリープモードの長さ)を決定することを含んでもよい。ステップ23は、トランシーバが当該期間内にあるかどうかを決定することを含んでもよい。トランシーバが当該期間内にある場合、方法はステップ24に進み、そうでない場合、方法はステップ21に戻る。
【0076】
別の例として、長距離モードから短距離モードへの切り替えは、トランシーバが外部デバイスに対して「非通信状態」又は「スリープ状態」に入ることによってトリガされてもよい。この切り替えは、タイマ/カウントダウンをトリガしてもよく、その長さは省電力モードに依存する。タイマ/カウントダウンが経過すると、トランシーバは、長距離モードに切り替えられてもよい。したがって、ステップ23は、タイマ/カウントダウンが進行中であるか、又は経過したかを決定することを含んでもよい。
【0077】
方法は、ステップ24において、ステップ23における決定が肯定的であることに応答して、短距離モードで動作することを含む。
【0078】
方法20はさらに、電子デバイスの内部クロックを外部デバイスのクロックに同期させるステップ25を含んでもよい。これは、有利なことに、長距離モードと短距離モードとの切り替えが、外部デバイスの観点から長距離技術の省電力モードと同期してなされることを確実にする。
【0079】
例として、長距離技術の省電力モードは、2.8秒の間隔でのみ通信を許可し得る。電子デバイスの内部クロックを外部デバイスの内部クロックと同期させることは、各デバイスによって監視される2.8秒の間隔が(例えば、クロック速度の自然な違い(natural difference)に起因して)離れ離れになっていく(drift apart)可能性を低くする。
【0080】
図3は、電子デバイスのトランシーバを動作させる方法30に対するさらなるステップを示す。とりわけ、図3は、短距離モードに入る及び短距離モードを終了する際に実行されるプロシージャを示す。
【0081】
ステップ31は、短距離モードに入るステップである。ステップ31は、長距離モードから短距離モードにトランシーバを切り替えることを含んでもよい。
【0082】
ステップ32は、トランシーバから、少なくとも1つの近隣電子デバイスにプレゼンスメッセージをブロードキャストすることを含む。これは、有利なことに、電子デバイスが(短距離無線通信技術を使用して)ネットワーク上の近隣デバイスと通信することができることをネットワークの他のノードに示す。その後、近隣電子デバイスは、電子デバイスと通信することができる。
【0083】
好ましくは、プレゼンスメッセージは、電子デバイスが短距離モードで動作することが予想される持続時間に関する情報を含む。予想される持続時間は、(例えば、長距離通信が不可能な持続時間を示し得る)省電力モードに基づいて決定される。この情報の提供は、有利なことに、近隣電子デバイスが、いつデバイス更新等のデータが電子デバイスに送られ得るかをスケジュール、アレンジ(arrange)又は決定することを可能にする。
【0084】
ステップ23は、短距離モードにトランシーバを維持する又はプレイスするかを決定することを含む。これは、特定の期間が経過したかどうかを判断する等、前述の任意の方法を使用して実行されてもよい。
【0085】
ステップ24は、前述のように、短距離モードでトランシーバを動作させることを含み、トランシーバが短距離モードに維持又はプレイスされるべきであるとステップ23が決定することに応答して実行される。
【0086】
ステップ23が最早トランシーバを短距離モードに維持又はプレイスしないと決定する場合、方法30は、ステップ35に移動する。ステップ35は、リーブメッセージを近隣電子デバイスにブロードキャストすることを含む。リーブメッセージは、例えば、電子デバイスが最早短距離モードで動作しなくなると予想される持続時間に関する情報を含んでもよい。リーブメッセージは、電子デバイスが(ネットワーク内の他のデバイス/ノードの観点から)スリープモードで動作するであろうことを示してもよい。
【0087】
一部の例では、ステップ35は、代わりに又は追加的に、バッファデバイスとして機能するネットワークの別のノード又は近隣デバイスをノミネート/委譲する(delegate)ことを含む。ノミネートされたバッファデバイスは、電子デバイスが短距離モードに戻るまで電子デバイスのためのデータ(例えば、ネットワークの他のノードからの通信)をバッファリング又は一時的に格納するように構成されてもよい。その後、バッファリングされたデータは、(例えば、ステップ32のプレゼンスメッセージによってアナウンスされるように)短距離モードへの再エントリの際に電子デバイスに供給されてもよい。それにより、プレゼンスメッセージは、ノミネートされたバッファデバイスからのバッファリングされたデータの要求を含んでもよい。
【0088】
斯くして、リーブメッセージは、バッファデバイスとして機能する近隣デバイスをノミネートする情報を含んでもよい。代替的に、この情報は、リーブメッセージとは別個に送信されてもよい。
【0089】
斯かる実施形態は、有利なことに、電子デバイスが、該電子デバイス宛に送信された関連情報を受信することを確実にする。
【0090】
ステップ35に続いて、方法30は、長距離無線通信モードにトランシーバを切り替えるステップ36に移動する。
【0091】
トランシーバが短距離モードで動作している場合、電子デバイスは、ZigBee、Bluetooth、Wi-Fi、IEEE 802.11、可視光通信、又はIEEE 802.15.4技術標準等の短距離無線通信技術を使用して1つ以上の近隣電子デバイスと通信してもよい。短距離通信技術に適したメッシュ又はスター又はポイントツーポイントネットワークは、当技術分野でよく知られており、デバイスが互いに通信するための中央ブリッジを含んでもよい。
【0092】
とりわけ、電子デバイスは、ブロードキャスト/マルチキャスト又はユニキャスト方法論を使用して(データログ、ファームウェア、コンフィギュレーションデータ等の)アプリケーションデータをネットワーク内の近隣デバイスに送信又は近隣デバイスから受信してもよい。ユニキャスト方法論に従って動作する場合、宛先ノード又はデバイスは、典型的には、アプリケーション層でのデータの受信をアクノレッジする必要がある。
【0093】
外部デバイスは、例えば、電子デバイスと通信するためのセルラネットワークの基地局又はエンドサーバであってもよい。長距離無線通信技術は、情報の信頼することができる転送を提供するので、セルラ通信技術であることが好ましい。適切なセルラ技術の例には、2G、3G、4G又は5G通信プロトコルが含まれる。
【0094】
図4は、電子デバイス42、外部デバイス43及びネットワーク44を含む第2の全体的な通信ネットワーク40を示す。
【0095】
第2の通信ネットワーク40では、外部デバイス43は、ネットワーク44の他のノード45(すなわち、近隣電子デバイス45)と通信するように構成される。例えば、ネットワークの2つ以上のノードが、前述の(すなわち、長距離及び短距離無線通信技術を使用して通信することができる)電子デバイスからなってもよい。ネットワーク40の他の態様は、前述のように具現化されてもよい。
【0096】
外部デバイス43は、ネットワーク44(の1つ以上のノード)を介して、短距離モードで動作する電子デバイス42と通信することができてもよい。斯くして、ネットワーク44は、外部デバイス43から電子デバイス42に及びその逆にメッセージ/データをルーティングしてもよい。このようにして、1つ以上の近隣電子デバイス45は、外部デバイス43から電子デバイス42に及びその逆にメッセージをルーティングしてもよい。
【0097】
このようにして、外部デバイス43は、電子デバイスが長距離モードで動作していない場合でも、電子デバイス42と通信し続けてもよい。
【0098】
好ましくは、外部デバイス43は、電子デバイスに短距離モードから長距離モードへの切り替えを要求するように構成される。とりわけ、外部デバイスは、ネットワーク44のノードに、電子デバイス42にオーバーライド信号を提供するように命令してもよく、オーバーライド信号は、長距離モードに切り替えるための命令であってもよい。言い換えると、電子デバイスのトランシーバの動作モードをトグルするために、長距離モードで動作している、近隣電子デバイス45又はネットワーク44のノード45のトランシーバを介してメッセージを送信することが可能である。
【0099】
したがって、電子デバイスのスイッチングユニットは、ネットワーク44又は(ネットワーク44の)近隣電子デバイス45からオーバーライド信号を受信する、及びオーバーライド信号に応答して短距離モードから長距離モードにトランシーバを切り替えることができてもよい。
【0100】
実施形態は、有利には、外部デバイスが、電子デバイスの短距離インターフェースを介して電子デバイスの長距離インターフェースをウェイクアップすることを可能にする。これは、外部デバイスが、電子デバイスのトランシーバが長距離モードに戻るのを待つ必要がないことを意味する。これは、IoTデバイスの省電力能力にとりわけ関心がある。斯くして、外部デバイスは、電子デバイスと通信するために(例えば、電子デバイスがスリープモードから切り替わっている場合)ウェイクアップタイムスロットを待つ必要がない。
【0101】
他の例では、外部デバイス43から電子デバイス42にメッセージ又は情報をルーティングする近隣デバイス45の能力が、長距離通信チャネル上のトラフィックを低減するために利用されてもよい。
【0102】
例えば、アプリケーションサーバ等の外部デバイス43が、大きなファームウェア更新を、電子デバイス42を含むネットワーク44内のすべてのデバイスにプッシュしたいというシナリオを考える。ネットワーク44のノード45は、長距離無線技術を介してファームウェア更新を受信し、それを、短距離無線技術を使用して、電子デバイス42等のネットワークの他のノードに配信してもよい。斯くして、ファームウェア更新を受信するためにすべてのノードが外部デバイス43と通信する必要があるわけではなく、より高価な長距離通信チャネルを介した通信が最小限に抑えられる。
【0103】
好ましい実装形態では、ネットワークの1つ以上のノードが、長距離モードで動作するためにオーバーライド信号を使用してウェイクアップされる。その後、1つ以上のノードは、ファームウェアイメージの複製を受信し、その後、短距離モードを使用して、ファームウェア更新をネットワーク内の他のノードにさらに配信してもよい。これは、外部サーバからファームウェア更新を配信する効率を向上させる。
【0104】
上述の概念は、スケジューリング情報等、外部デバイス43からネットワーク44のノードへの任意のデータの転送に適用されてもよい。
【0105】
同様の概念は、外部デバイス43と通信する近隣電子デバイスを介して情報をルーティングすることにより、電子デバイス42から外部デバイス43にデータを転送することにも当てはまる。斯くして、電子デバイス42は、外部デバイス43に送られるべきデータを近隣電子デバイス45に送るように構成されてもよい。
【0106】
図5は、一実施形態による電子デバイスのためのトランシーバを示す。トランシーバ50は、システムオンチップ(System-on-a-Chip)として形成されてもよい。
【0107】
電子デバイスは、アナログ高周波フロントエンド51、デュアルモードデジタルベースバンドモジュール52、プロセッサユニット53、ホストインターフェース54、(例えば、ROM、SRAM、DRAM、セキュリティモジュール及び/又はファイアウォールを含む)メモリユニット55、周辺インターフェース56及び電力管理ユニット57を含む。
【0108】
デジタルベースバンドモジュール52は、2つの異なる動作モード、すなわち、短距離モード及び長距離モードで動作可能であるように構成される。フロントエンド51及びデジタルベースバンドモジュール52は共に、データ送信及び受信のために同じフロントエンドを共有しながら、トランシーバにおける2つ以上のベースバンドの実装を可能にする。斯くして、(例えば、単一のアンテナ51Aを含む)単一のフロントエンドしか、短距離通信能力及び長距離通信能力の両方に対して必要とされない。
【0109】
デジタルベースバンドモジュール52は、アナログデジタル変換器(ADC)及びデジタルアナログ変換器(DAC)から形成される変換モジュール52Aを備える。第1のデジタルモジュール52Bは、短距離通信を制御し、第2のデジタルモジュール52Cは、長距離通信を動作させる。第1及び第2のデジタルモジュールは、プロセッサの態様(aspect)を表してもよい。スケジューラ52Dは、短距離モードと長距離モードとの切り替えを制御する(すなわち、少なくともスイッチングユニットとして機能する)。プロセッサユニット53は、検出モジュールとして機能する(及びスケジューラの動作を制御する)ためにデジタルベースバンドモジュール52から受信した信号を処理してもよい。
【0110】
無論、ネットワークの2つ以上のデバイスが、前述の方法による電子デバイスとして具現化されてもよい。すなわち、長距離モードと短距離モードとで切り替え可能なトランシーバを有する2つ以上の電子デバイスを含む、メッシュネットワーク等のネットワークが提供されてもよい。
【0111】
ネットワークは、照明ネットワークであってもよく、ネットワークの各ノードは、トランシーバを備える照明デバイスである。前述の電子デバイスは、(例えば、照明器具を含む)照明デバイスとして具現化されてもよい。
【0112】
省電力モードのアイデンティティ、省電力モードのデータ転送能力、省電力モードのデータ転送制限等、省電力モードの他の特性が、トランシーバの動作モードの切り替えを制御するために使用されてもよい。
【0113】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する他の変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「含む(comprising)」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。請求項中のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランシーバ、検出モジュール及びスイッチングユニットを備える電子デバイスであって、
前記トランシーバは、
該トランシーバが長距離無線通信技術を使用して少なくとも1つの外部デバイスと通信する長距離モードであって、前記長距離無線通信技術は、電力モードを含む、長距離モードと、
該トランシーバが短距離無線通信技術を使用して少なくとも1つの近隣電子デバイスと通信する短距離モードと
を切り替え可能なように構成され、
前記検出モジュールは、前記トランシーバが、前記省電力モードに起因して前記長距離無線通信技術を使用して通信することができない期間を検出するように構成され、
前記スイッチングユニットは、前記期間の持続時間中前記短距離モードに前記トランシーバを切り替えるように構成される、電子デバイス。
【請求項2】
前記長距離無線通信技術は、セルラ方式であり、前記省電力モードは、不連続受信技術、拡張不連続受信及びスリープモードのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
当該電子デバイスは、前記短距離モードで動作している場合前記少なくとも1つの近隣電子デバイスから信号を受信するように構成され、
前記スイッチングユニットは、前記少なくとも1つの近隣電子デバイスから受信するオーバーライド信号に応答して前記短距離モードから前記長距離モードに前記トランシーバを切り替えるように構成される、請求項1又は2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記オーバーライド信号は、当該電子デバイスと通信するための前記少なくとも1つの外部デバイスからの要求を表す、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
当該電子デバイスは、前記短距離モードに入ることに応答して、プレゼンスメッセージを前記少なくとも1つの近隣電子デバイスにブロードキャストするように構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項6】
当該電子デバイスは、前記短距離モードを終了する前に、リーブメッセージを前記少なくとも1つの近隣電子デバイスにブロードキャストするように構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項7】
当該電子デバイスは、前記短距離モードを終了する前に、前記短距離無線通信技術を使用して通信される及び当該電子デバイスを対象とするデータのためのバッファとして機能する前記少なくとも1つの近隣電子デバイスのうちの1つ以上の近隣電子デバイスをノミネートするように構成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項8】
当該電子デバイスは、前記トランシーバが前記長距離モードにある場合、当該電子デバイスの内部クロックを前記少なくとも1つの外部デバイスのうちの1つの外部デバイスのクロックと同期させるように構成されるクロック同期ユニットを備える、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記スイッチングユニットは、前記長距離無線通信技術の前記省電力モードに基づいて前記長距離モードと前記短距離モードとで前記トランシーバを周期的に切り替えるように構成される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項10】
当該電子デバイス及び前記少なくとも1つの近隣電子デバイスは、当該電子デバイスが前記短距離モードで動作している場合、短距離ネットワークを形成する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項11】
電子デバイスのトランシーバを動作させる方法であって、前記トランシーバは、該トランシーバが長距離無線通信技術を使用して少なくとも1つの外部デバイスと通信する長距離モードであって、前記長距離無線通信技術は、電力モードを含む、長距離モードと、該トランシーバが短距離無線通信技術を使用して少なくとも1つの近隣電子デバイスと通信する短距離モードとで切り替え可能なように構成され、当該方法は、
前記トランシーバが、前記省電力モードに起因して前記長距離無線通信技術を使用して通信することができない期間を検出するステップと、
前記期間の持続時間中前記短距離モードに前記トランシーバを切り替えるステップと
を含む、方法。
【請求項12】
当該方法は、
前記少なくとも1つの近隣電子デバイスからオーバーライド信号を受信するステップと、
前記オーバーライド信号に応答して前記短距離モードから前記長距離モードに前記トランシーバを切り替えるステップと
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電子デバイスは、前記トランシーバが前記長距離モードにある場合、前記電子デバイスの内部クロックを前記少なくとも1つの外部デバイスのうちの1つの外部デバイスのクロックと同期させるステップを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータで実行される場合に請求項11乃至13のいずれか一項に記載の方法を実施するためのコード手段を含むコンピュータプログラム。