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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161666
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20241113BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20241113BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20241113BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20241113BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241113BHJP
【FI】
F21S2/00 434
F21S2/00 439
F21V19/00 150
F21V8/00 350
H05B47/155
F21S2/00 442
F21S2/00 431
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076508
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 ▲琢▼充
【テーマコード(参考)】
3K013
3K244
3K273
【Fターム(参考)】
3K013AA02
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA16
3K244AA05
3K244BA04
3K244BA14
3K244BA21
3K244BA31
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA16
3K244DA19
3K244EA02
3K244EA13
3K244EA34
3K244EE07
3K244FA07
3K244GA05
3K244HA01
3K273PA10
3K273QA06
3K273QA24
3K273QA28
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273UA22
3K273VA01
3K273VA08
(57)【要約】
【課題】導光板の周囲の発光色のみを調光することができる照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具は、第1方向に第1光が出射される第1光源と、第1方向に第2光が出射され、第1光源よりも長い波長成分を有する第2光源とを有する光源モジュールと、光源モジュールから出射された第1光を散乱させる散乱体を有し、第1方向の第1端面から入光した第1光の一部が、散乱体により散乱されて第1方向と直交する方向にむいた発光面部から出射されるとともに、第1端面から入光した第2光と、第1光の他の一部が、第1端面と反対の第2端面から出射される導光板と、を備え、発光面部の発光色を維持しながら、第2端面の発光色が変化するように、第1光源と、第2光源とが制御されている。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に第1光が出射される第1光源と、前記第1方向に第2光が出射され、前記第1光源よりも長い波長成分を有する第2光源とを有する光源モジュールと、
前記光源モジュールから出射された前記第1光を散乱させる散乱体を有し、前記第1方向の第1端面から入光した前記第1光の一部が、前記散乱体により散乱されて前記第1方向と直交する方向にむいた発光面部から出射されるとともに、前記第1端面から入光した前記第2光と、前記第1光の他の一部が、前記第1端面と反対の第2端面から出射される導光板と、
を備え、
前記発光面部の発光色を維持しながら、前記第2端面の発光色が変化するように、前記第1光源と、前記第2光源とが制御されている
照明器具。
【請求項2】
前記散乱体の大きさは、400nm以下である
請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記第1光源と、前記第2光源とは、
前記発光面部から出射される光の発光色を変化させずに、前記導光板を透過する光の発光色を変化させるように、出力が制御されている
請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記第2光源は、複数の長波長LEDを含み、
発光させる前記第2光源の前記長波長LEDの数を増加させることで、前記導光板の周囲に設けられた周囲発光フレームから出射される光の色温度が6500K以下に低下されるように構成されている
請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項5】
前記第1光源は、
短波長から中波長の波長を有する青色LED又は緑色LEDである
請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項6】
前記第1光源は、
青色LEDと、緑色LEDと、白色LEDとにより構成されている
請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項7】
前記第1光源は、
前記発光面部の発光色を変化させずに、前記第2端面の発光色を変化させる際に、
前記第1光源の出力が低減するように制御される
請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項8】
前記導光板を囲うように配置された、前記第1端面側に配置される周囲非発光フレームと、前記第2端面側に配置される周囲発光フレームと、を更に有し、
前記周囲発光フレームは、
前記発光面部と直交する方向に配置されている
請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項9】
前記光源モジュール及び前記導光板を収容している器具本体を更に有し、
前記第2端面から出射された前記第2光及び前記第1光の他の一部が、前記器具本体の壁面で反射され、前記第1方向に照射される
請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項10】
前記導光板の前記第2端面は、前記発光面部に対し、傾斜している
請求項1または2に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関し、特に、導光板を有する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具において、日光をより忠実に再現しようとする試みがなされている。例えば、特許文献1には、凹形状を持ち、凹形状の底面の発光部と、その周辺部の側壁と呼ばれる発光面とを持つ照明器具が開示されている。発光部と発光面とがそれぞれ独立に制御されることで、日光がより現実感があるように再現されている。
【0003】
また、特許文献2には、ナノ粒子を持つ導光板があり、導光板の入射面から光が入射され、ナノ粒子で散乱された光が導光板の表面から散乱光として出射し、また、ナノ粒子で散乱されない光が、入射面の反対側の反射面から出射する照明器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6081663号公報
【特許文献2】国際公開第2019/220656号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1における凹形状の底面の発光部とその周辺部の各側壁の発光面とは、それぞれ独立した光源を持ち個々に制御する必要がある。このため、照明器具の構成部品が増加し、照明器具の部材コストが増大する傾向があり、また、構成部品が多いため照明器具の組み立てが煩雑になる。
【0006】
特許文献2における照明器具は、導光板の表面を光らせる光源と、反射面を光らせる光源とは同一であるため、照明器具の構造としては単純であり、照明器具の部材コストは抑えられる。しかし、導光板の周囲の反射面の光色を変化させようと光源の発光色を変えると、導光板の表面の発光色も変化してしまう。
【0007】
本開示は、導光板の表面の発光色を変えず、導光板の周囲の発光色のみを調光することができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る照明器具は、第1方向に第1光が出射される第1光源と、前記第1方向に第2光が出射され、前記第1光源よりも長い波長成分を有する第2光源とを有する光源モジュールと、前記光源モジュールから出射された前記第1光を散乱させる散乱体を有し、前記第1方向の第1端面から入光した前記第1光の一部が、前記散乱体により散乱されて前記第1方向と直交する方向にむいた発光面部から出射されるとともに、前記第1端面から入光した前記第2光と、前記第1光の他の一部が、前記第1端面と反対の第2端面から出射される導光板と、を備え、前記発光面部の発光色を維持しながら、前記第2端面の発光色が変化するように、前記第1光源と、前記第2光源とが制御されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る照明器具によれば、第1光源と、第1光源よりも長い波長成分を有する第2光源とが、制御されることで、光源モジュールから出射される光の波長成分が変化するため、発光面部の発光色を変化させずに、第2端面の発光色を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態1に係る照明器具の斜視図である。
図2】本開示の実施の形態1に係る照明器具を正面からみた平面図である。
図3】本開示の実施の形態1に係る照明器具の分解斜視図である。
図4】本開示の実施の形態1に係る照明器具の概略断面図である。
図5】本開示の実施の形態1に係る照明器具の光源モジュールにおける回路パターンを示す概略図である。
図6】本開示の実施の形態1に係る照明器具における光源モジュールの回路図である。
図7】本開示の実施の形態1に係る照明器具における光の経路の概略図である。
図8】本開示の実施の形態1に係る照明器具の導光板におけるレイリー散乱を説明する概略図である。
図9】本開示の実施の形態1に係る照明器具における散乱光の色度と導光板の第1端面からの距離との関係を示したグラフである。
図10】本開示の実施の形態1に係る照明器具における導光板からの発光の輝度と導光板の第1端面からの距離との関係を示したグラフである。
図11】本開示の実施の形態1に係る照明器具における白色LEDからの第1光による散乱現象と、長波長LEDからの第2光による散乱現象との比較を説明する概略図である。
図12】本開示の実施の形態1に係る照明器具における白色LEDによる周囲発光フレームの色を示す概略図である。
図13】本開示の実施の形態1に係る照明器具における白色LED及び長波長LEDによる周囲発光フレームの色を示す概略図である。
図14】本開示の実施の形態1に係る照明器具における時間に対する調光率と、光束と、相関色温度との変化を示す図である。
図15】本開示の実施の形態1に係る照明器具における昼間の周囲発光フレームを、正面から見た概略図である。
図16】本開示の実施の形態1に係る照明器具における夕方の周囲発光フレームを、正面から見た概略図である。
図17】本開示の実施の形態2に係る照明器具の部分断面図である。
図18】本開示の実施の形態2に係る照明器具を正面から見た概略図である。
図19】本開示の実施の形態3に係る照明器具の部分断面図である。
図20】本開示の実施の形態3に係る照明器具を正面から見た概略図である。
図21】本開示の実施の形態4に係る照明器具の断面図である。
図22】本開示の実施の形態5に係る照明器具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、照明器具の実施の形態について図面を参照して説明する。本開示の照明器具は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、種々に変形することが可能である。また、本開示の照明器具は、以下の実施の形態に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、明細書の全文において、床面から天井に向かう垂直な方向を「上方向」と呼び、天井側を「上側」と呼ぶこととする。また、同様に、天井から床面に向かう垂直な方向を「下方向」と呼び、床面側を「下側」と呼ぶこととする。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係または形状等が実際のものとは異なる場合がある。
【0012】
実施の形態1.
<照明器具1の構成>
図1は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1の斜視図である。図2は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1を正面からみた平面図である。図1及び図2に示すように、照明器具1は、器具本体10と、導光板12と、周囲発光フレーム131と、周囲非発光フレーム132と、を備える。照明器具1は、例えば、天井に埋め込まれる天井埋め込み型の照明器具である。器具本体10は、矩形状の箱形に形成された筐体である。器具本体10は、上側が天井に埋め込まれており、下側が開口している。導光板12は、発光面部12aを有し、発光面部12aが青空を模して発光する。
【0013】
図3は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1の分解斜視図である。図4は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1の概略断面図である。図3及び4に示すように、周囲発光フレーム131と、周囲非発光フレーム132とは、導光板12の下方に配置されている。周囲発光フレーム131と、周囲非発光フレーム132とは、導光板12を囲うように配置されている。周囲発光フレーム131と、周囲非発光フレーム132とは、例えば、導光板12に対し、45°など、斜めになるように配置されている。周囲発光フレーム131と、周囲非発光フレーム132とは、例えば、下方に向かい広がる形状を有する。また、周囲発光フレーム131と、周囲非発光フレーム132とは、導光板12に対して0°と斜めではなく導光板12に対して平行に配置されてもよい。また、周囲発光フレーム131と、周囲非発光フレーム132とは、導光板12に対して90°と垂直になっていてもよい。
【0014】
周囲発光フレーム131は、導光板12の4つの辺のうちの隣接する2辺それぞれの下方に設けられている。周囲発光フレーム131は、光源モジュール14から発せられた光を導くことで発光する発光部である。周囲発光フレーム131は、発光することで太陽の光の差し込みを表現する。
【0015】
周囲非発光フレーム132は、導光板12の4つの辺のうちの隣接する2辺であって、周囲発光フレーム131が設けられていない辺のそれぞれの下方に設けられている。周囲非発光フレーム132は、非発光部であり、太陽の光が差し込む際にできる影を表現する。
【0016】
導光板12の第1端面12bには、光源モジュール14が配置されている。導光板12の第1端面12bは、導光板12の4つの辺のうちの周囲非発光フレーム132が配置されている2辺における端面である。導光板12の4つの辺のうちの周囲発光フレーム131が配置されている2辺における端面であって、第1端面12bと対向している端面は、第2端面12cである。
【0017】
光源モジュール14は、基板14aと、基板14aに取り付けられたLED光源140と、を有する。光源モジュール14は、LED光源140から第1方向D1に出射された光を、導光板12の第1端面12bから入射させる。第1方向D1は、光源モジュール14の法線方向に平行な方向である。光源モジュール14は、不図示の電源装置から不図示の配線を介して供給された電力により動作している。なお、図示は省略しているが、照明器具1は、例えば、ネジ及びバネにより組み立てられている。電源装置は、例えば、通信線を介して接続された不図示の制御コントローラにより制御されている。
【0018】
導光板12は、基材120と、基材120に添加された散乱体121と、を含む。基材120は、光を透過させる材料である。基材120は、例えば、固体である。基材120は、例えば、熱可塑性ポリマー、熱硬化性樹脂、又は、光重合性樹脂が用いられた樹脂フィルムから形成されている。樹脂フィルムとしては、例えば、アクリル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ビニル系ポリマー、セルロース系ポリマー、アミド系ポリマー、フッ素系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマー、又は、イミド系ポリマーを用いることができる。
【0019】
導光板12の下面は、発光面部12aになっている。発光面部12aは、第1方向D1と直交する第2方向D2を向く面であり、光が発せられる面である。導光板12の上部には、反射シート15が配置されている。反射シート15は、導光板12の上面から出射した光を反射させる。
【0020】
散乱体121は、粒径がナノオーダーのナノ粒子、つまり、ナノメートル[nm]オーダーの大きさを持つ粒子である。ナノ粒子は、一般的に、1nmから数100nmの粒径を有する粒子をいう。散乱体121は、球形、又は、別の形状をとり得る。散乱体121の粒径は、400nm以下である。散乱体121は、例えば、無機酸化物である。無機酸化物は、例えば、ZnO、TiO、ZrO、SiO、及び、Alである。
【0021】
導光板12の第2端面12c側には、反射面16が設けられている。反射面16は、例えば、照明器具1として器具本体10と一体に、つまり、照明器具1の筐体を構成するフレームに一体的に成型されている。反射面16は、器具本体10と別パーツで構成され、器具本体10に組み込まれていてもよい。
【0022】
<光源モジュール14の構成>
図5は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1の光源モジュール14における回路パターンを示す概略図である。図5に示すように、光源モジュール14は、LED光源140として、白色LED141と、長波長LED142とを有する。長波長LED142は、アンバー、又は、赤の発光色を有するLEDである。例えば、白色LED141は、青色LEDから出射された光を黄色蛍光体などの蛍光体に透過させて白色を発光させるLEDである。白色LED141から白色光を発光させる方式はこれに限定されず、白色光を発光できればLEDの方式はその他の方式でもよい。
【0023】
光源モジュール14の基板14a上には、第1回路パターン143と、第2回路パターン144とが、それぞれ独立してパターニングされている。第1回路パターン143には、白色LED141が実装されており、第2回路パターン144には、長波長LED142が実装されている。白色LED141と、長波長LED142とは、それぞれから発せられる光が合成光として導光板12内で混ざりやすくなるように、光源モジュール14の上で、交互に配置されている。白色LED141と、長波長LED142とは、それぞれ1個ずつ交互に配置されていてもよく、白色LED141が2個、長波長LED142が1個、それぞれ交互に配置されていてもよい。白色LED141と、長波長LED142とは、出力特性、又は、狙う合成光に合わせて配置され、実装されていればよい。
【0024】
なお、白色LED141に代えて、短~中波長LEDが用いられていてもよい。白色LED141は、第1光源の一例である。長波長LED142は、第2光源の一例である。
【0025】
<回路の構成>
図6は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1における光源モジュール14の回路図である。図6に示すように、白色LED141と、長波長LED142とは、それぞれLED制御電源100に接続されており、独立に制御されている。
【0026】
<導光板の動作>
図7は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1における光の経路の概略図である。光源モジュール14のLED光源140で発せられたLED光2は、LED光源140から第1方向D1に出射される。LED光源140から出射されたLED光2は、光源モジュール14の第1方向D1に位置している導光板12の第1端面12bから導光板12に進入する。第1端面12bは、LED光源140から出射されたLED光2が進入する導光板12の入光部である。
【0027】
導光板12に進入したLED光2は、導光板12内を進み、散乱体121に衝突すると、全方位に散乱される。散乱体121により散乱されたLED光2のうち、導光板12の発光面部12aに、臨界角未満の入射角で入射したLED光2は、散乱光3として発光面部12aから出射され、これにより、発光面部12aが発光する。
【0028】
一方、導光板12内を進む過程で散乱体121に衝突しなかったLED光2は、散乱体121で散乱されることなく導光板12を通過し、導光板抜け光4として導光板12の第2端面12cから出射される。導光板12の第2端面12cから出射された導光板抜け光4は、反射面16において反射され、周囲発光フレーム131を通過して、出射光6として出射され、これにより、周囲発光フレーム131が発光する。
【0029】
図8は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1の導光板12におけるレイリー散乱を説明する概略図である。図8に示すように、光源モジュール14から発せられたLED光2は、その一部が導光板12においてレイリー散乱され、進路が変更される。レイリー散乱とは、光が波長よりも小さいサイズの粒子により散乱される性質をいう。導光板12に入射したLED光2は、レイリー散乱により、散乱光3及び導光板抜け光4になって導光板12から出射される。
【0030】
光源モジュール14から発せられるLED光2は、短波長成分71と、中波長成分72と、長波長成分73と、を含む380nmから700nmまでの波長成分で構成されている。短波長成分71は、青の発光色を示し、中波長成分72は、黄から緑の発光色を示し、長波長成分73は、赤の発光色を示す。導光板12に含まれている散乱体121は、粒径が400nm以下で可視光域の波長帯より小さいサイズであるため、LED光2が導光板12内を進行すると、LED光2のうち、長波長成分より短波長成分の光が散乱体121により拡散されやすい。つまり、レイリー散乱においては、短波長の光ほど散乱される確率が高く、光が可視光の全域にわたってスペクトル分布を持つ場合には、青色の光が優先的に散乱される。
【0031】
従って、LED光2の波長成分のうち、最も拡散されやすいのは、短波長成分71であり、次に中波長成分72であり、長波長成分73は最も拡散されにくい。その結果、散乱体121で散乱されず、導光板12を抜けて、導光板12から出射する導光板抜け光4に含まれる波長成分は、減衰が小さく抜けやすいものから順に多く含まれ、長波長成分73>中波長成分72>短波長成分71となる。つまり、導光板12を抜けて導光板12から出射される導光板抜け光4は、導光板12に入射したLED光2に比べ、長波長側、つまり、赤側にシフトした色となる。
【0032】
<散乱光量の比較>
図9は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1における散乱光3の色度と導光板12の第1端面12bからの距離との関係を示したグラフである。図9において、横軸は、導光板12の第1端面12bからの距離を示し、縦軸は、CIE色度座標xyのうちのxを示している。図9に示すように、導光板12の第1端面12bから離れるほど、色度座標xの値が大きくなっており、白色側、つまり、長波長側にシフトしていることが分かる。この現象は、導光板12で散乱された散乱光3が、レイリー散乱を起こすことから説明される。
【0033】
図10は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1における導光板12からの発光の輝度と導光板12の第1端面12bからの距離との関係を示したグラフである。図10において、横軸は、導光板12の第1端面12bからの距離を示し、縦軸は、導光板12からの発光の輝度を示している。図10に示すように、導光板12の第1端面12bから離れるほど、輝度が減少していることが分かる。
【0034】
<散乱現象>
図11は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1における白色LED141からの第1光21による散乱現象と、長波長LED142からの第2光22による散乱現象との比較を説明する概略図である。図11に示すように、白色LED141から出射された第1光21と、長波長LED142から出射された第2光22とでは、散乱の現象が異なる。
【0035】
白色LED141から発せられた第1光21は、導光板12の第1端面12bから導光板12に進入すると、一部が導光板12に含まれる散乱体121により散乱され、散乱光3として、導光板12の表面、つまり、発光面部12aから出ていく。また、第1光21のうち、散乱体121で散乱されなかった他の一部は、導光板12を出る第1導光板抜け光41として、導光板12の第2端面12cから出射される。導光板12を出る第1導光板抜け光41は、レイリー散乱により、導光板12に入る第1光21に対して長波長にシフトした波長成分をもっている。白色LED141ではなく、短波長から中波長LEDであって、例えば、青、緑、又は、黄の発光色を有するLEDの場合も同様の散乱現象をみることができる。
【0036】
一方、長波長LED142から発せられた第2光22は、導光板12の散乱体121では散乱され難い。このため、長波長LED142から発せられた第2光22は、散乱されず、そのまま第2導光板抜け光42として、導光板12の第2端面12cから出射される。
【0037】
ここで、導光板12に短波長から中波長の単波長光が進入した場合、短波長から中波長の単波長光は、散乱体121で散乱されるが、単波長光はブロードな波長を持たないため、導光板12を出る第1導光板抜け光41の色度シフトはない。つまり、単波長光が青色からオレンジ色へ変化することは生じない。ブロードな波長とは、つまり、可視光領域の波長である380nmから700nmまでの波長において、どの波長でも満遍なく光強度がある状態である。ブロードな波長を持たない場合には、特定の波長でのみ、例えば、450nmにおいてのみ、光強度がピークとなり、且つ、ピークが数10nmの幅程度の鋭いピークとなるような分布を持つ。
【0038】
レイリー散乱では、短い波長がよく散乱され、長い波長、つまり、赤などは散乱されにくい。白色などの、分光分布、つまり、スペクトルで考えると、白色光は、短い波長から長い波長の成分を満遍なく持つため、その中の、青色などの短い波長を持つ光が散乱されて無くなり、白色が、オレンジになる。一方、単波長のみを含む場合、他の成分を持たないため、短い波長の単波長、例えば、青色のピークのみの光が導光板12により散乱され、青色は変わらず青色になる。また、長い波長の単波長、例えば、赤色のピークのみの光も、短い波長の短波長と同様、赤色は変わらず赤色になる。なお、短い波長の単波長は、散乱されることで光強度が低下する一方、長い波長の単波長では、散乱されにくいため、短い波長の単波長ほどには光強度が低下しない。
【0039】
<白色または短~中波長光の散乱と透過>
図12は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1における白色LED141による周囲発光フレーム131の色を示す概略図である。図12に示すように、白色LED141から導光板12に入射された白色、又は、短~中波長光であるLED光2は、一部が導光板12の散乱体121で散乱され、導光板抜け光4となって出射される。導光板抜け光4は、照明器具1の反射面16において反射され、周囲発光フレーム131から出射される。この結果、周囲発光フレーム131からは、導光板12に進入するLED光2に対し、長波長側にシフトされた光が出射される。
【0040】
ここで、周囲発光フレーム131から出射される光は、一般的な白色光の色温度である5000Kを示すことが望ましい。しかし、導光板12からの導光板抜け光4は、導光板12により長波長側にシフトされてはいるものの、色温度が10000K~7000Kであり青みがかっている。これは、導光板12の発光面部12aから出射される散乱光3が、青空に模して発光するように、導光板12に、短~中波長のLED光2が入射されるためである。
【0041】
<白色または短~中波長光と、長波長光との散乱と透過>
図13は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1における白色LED141及び長波長LED142による周囲発光フレーム131の色を示す概略図である。図13に示すように、光源モジュール14からは、白色LED141と、長波長LED142とが合成されたLED光2が発せられ、導光板12に進入する。
【0042】
LED光2のうち、白色LED141から出射された第1光21は、導光板12に進入すると、一部が導光板12の散乱体121により散乱された散乱光3となり、発光面部12aから出射される。また、第1光21の他の一部は、第1導光板抜け光41となって、導光板12の第2端面12cから出射される。第1導光板抜け光41は、白色LED141から出射された第1光21に対し、長波長側にシフトされた波長を有する。
【0043】
LED光2のうち、長波長LED142から出射された第2光22は、導光板12に進入すると、導光板12でほぼ散乱されることなく導光板12を進行し、導光板12の第2端面12cから第2導光板抜け光42となって出射される。
【0044】
その結果、導光板12の発光面部12aから出射される散乱光3の色度は、白色LED141のみによる散乱光3と同等である。一方、周囲発光フレーム131から出射される導光板抜け光4は、第1導光板抜け光41と、第2導光板抜け光42との合成光となり、長波長側、つまり、赤色側に色度シフトされる。
【0045】
このように、光源モジュール14が白色LED141と、長波長LED142とを有するため、導光板12の発光面部12aから出射される散乱光3の色度を変更させずに、周囲発光フレーム131から出射される導光板抜け光4の色度を変化させることができる。また、光源モジュール14の長波長LED142が追加されることで、導光板12を抜ける導光板抜け光4の色度が、更に長波長側にシフトされる。これにより、10000K~7000Kであった色温度が、6500K程度を下回るまでに低下し、導光板抜け光4の色温度を一般的な白色光の色温度に近似させることができる。
【0046】
<光束及び相関色温度の関係>
図14は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1における時間に対する調光率と、光束と、相関色温度との変化を示す図である。図14に示すように、光源モジュール14の第1回路パターン143により構成されるA回路と、光源モジュール14の第2回路パターン144により構成されるB回路とは、それぞれ、時刻に従って、光源モジュール14による調光率と光束とを制御している。
【0047】
調光率及び光束は、例えば、A回路及びB回路を流れる電流を制御して調整される。調光率及び光束の調整は、例えば、外部の制御コントローラからPWM信号により調光指令を行い、制御することができる。なお、照明器具1の電源が、直接LAN、又は、通信などで命令を受け取ることができる場合には、通信等から得た命令をマイコンで受取り、LED制御電源100の出力回路が制御される。
【0048】
<昼間発光と夕方発光>
図15は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1における昼間の周囲発光フレーム131を、正面から見た概略図である。図15に示すように、光源モジュール14からは、昼間、例えば、時刻13:00において、短波長から中波長の光が発せられる。このとき、A回路における調光率は100%であり、B回路における調光率は0%になるように調整されている。これにより、導光板12の発光面部12aは、青空を模した発光色となり、周囲発光フレーム131は、昼間の太陽の光の差し込みを表現した発光色となる。
【0049】
図16は、本開示の実施の形態1に係る照明器具1における夕方の周囲発光フレーム131を、正面から見た概略図である。図16に示すように、光源モジュール14からは、夕方、例えば、時刻17:00において、短波長から中波長及び長波長の光が発せられる。このとき、A回路における調光率は35%であり、B回路における調光率は100%になるように調整されている。これにより、導光板12の発光面部12aは、青空を模した発光色に維持されるとともに、周囲発光フレーム131は、夕方の太陽の光の差し込みを表現した発光色となる。
【0050】
<変形例>
光源モジュール14の長波長LED142が追加されることで、導光板12を抜ける導光板抜け光4の色度を更に長波長側にシフトさせることができるが、周囲発光フレーム131に、蛍光体シート、又は、カラーフィルムを設けた構成とすることもできる。これにより、周囲発光フレーム131を透過する光が、全体的に色温度が低下する方向にシフトし、10000K~7000Kであった色温度を、6500K程度を下回るまでに低下させることができる。
【0051】
以上説明した、実施の形態1に係る照明器具1によれば、光源モジュール14に白色LED141と、長波長LED142とが実装されており、第1光21の一部が導光板12の発光面部12aから出射される。また、第2光22と、第1光21の他の一部とは、導光板12の第2端面12cから出射される。そして、白色LED141と、長波長LED142とは、第1光21による発光面部12aの発光色を変化させずに、第2光22による周囲発光フレーム131の発光色が変化するように制御される。このため、発光面部12aの発光色を変化させず、周囲発光フレーム131の発光色のみを調光することができる。また、白色LED141と、長波長LED142とが制御されればよいため、照明器具1の構造も単純になり、照明器具1の組立が容易で、部材コストも抑制される。
【0052】
また、散乱体121の大きさが、400nm以下であるため、短波長成分71及び中波長成分72をもつ光をレイリー散乱により散乱させることで、導光板12を透過する第1光21による色度を変化させることができる。
【0053】
また、白色LED141と長波長LED142との出力が制御されるため、白色LED141による発光色と長波長LED142による発光色とが調整され、周囲発光フレーム131の発光色のみを調光することができる。
【0054】
また、長波長LED142が搭載される数が増加されることで、導光板12を透過する導光板抜け光4が長波長側に色度シフトされるため、導光板抜け光4による周囲発光フレーム131の色温度を白色光に近似させることができる。
【0055】
また、白色LED141は、短波長から中波長の波長を有する青色LED又は緑色LEDであってもよい。
【0056】
また、白色LED141は、出力が変動されるように制御されるため、発光面部12aの発光色を変化させずに、周囲発光フレーム131の発光色を変化させることができる。例えば、出力が低減されると、発光色の色温度を低い側に変化させることができる。
【0057】
実施の形態2.
図17は、本開示の実施の形態2に係る照明器具1の部分断面図である。図18は、本開示の実施の形態2に係る照明器具1を正面から見た概略図である。実施の形態2は、周囲非発光フレーム132が配置される位置が、実施の形態1と相違する。実施の形態2では、実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。図17において、点線で示しているのは、実施の形態1における周囲非発光フレーム132が配置される位置である。図17及び図18に示すように、周囲非発光フレーム132は、上端が光源モジュール14から距離X1の位置になるように配置されており、発光面部12aに長波長LED142からの第2光22による照射を見ることができる。
【0058】
LEDから発せられる光は、レーザー光と異なり、ある一定の広がり、つまり、配向角を持つため、長波長LED142で発せられた第2光22は、一部が反射シート15の範囲151に照射される。範囲151への照射された長波長LED142からの第2光22は、反射シート15により反射される。
【0059】
実施の形態1の場合のように、周囲非発光フレーム132が光源モジュール14から距離X1よりも大きい距離X2の位置に配置されていると、第2光22の一部が照射される反射シート15の範囲151が周囲非発光フレーム132に遮られる位置に配置される。このため、反射シート15により反射された長波長LED142からの第2光22が発光面部12aに到達せず、発光面部12aから、長波長LED142で発せられた第2光22による直接の照射を見ることができない。
【0060】
実施の形態2では、周囲非発光フレーム132が、光源モジュール14から距離X1の位置に配置されており、実施の形態1の場合と比較して、光源モジュール14に近接し、より光源モジュール14側に配置されている。このため、反射シート15により反射された長波長LED142からの第2光22は、周囲非発光フレーム132に遮られることなく発光面部12aに到達する。これにより、発光面部12aの下面から、長波長LED142で発せられた第2光22による直接の照射を見ることができる。
【0061】
夕方の発光を行っている場合、周囲非発光フレーム132が、底色温度白色、アンバー、又は、赤として発光するとともに、導光板12の発光面部12aの周囲非発光フレーム132近傍では、アンバー又は赤色の発光を見ることができる。このように、導光板12が、青空だけではなく、赤、又は、アンバーに染まることにより、周囲非発光フレーム132の発光だけの場合よりも、夕方の様子をよく再現することができる。
【0062】
なお、周囲非発光フレーム132が配置される位置は、光源モジュール14からの距離X1が、距離X2よりも小さい位置であって、反射シート15により反射された長波長LED142からの第2光22を遮らない位置であればよい。周囲非発光フレーム132が配置される位置は、例えば、導光板12の屈折率から導き出すことができる。
【0063】
実施の形態3.
図19は、本開示の実施の形態3に係る照明器具1の部分断面図である。図20は、本開示の実施の形態3に係る照明器具1を正面から見た概略図である。実施の形態3は、周囲発光フレーム131が配置される角度が、実施の形態1及び2と相違する。実施の形態3では、実施の形態1及び2と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1及び2との相違点を中心に説明する。図19において、点線で示しているのは、実施の形態1における周囲発光フレーム131が配置される角度である。
【0064】
図19及び図20に示すように、周囲発光フレーム131は、導光板12と直交する方向に、立ち上がった角度で配置されている。導光板12の第2端面12cから出射した導光板抜け光4は、器具本体10の反射面16において反射され、周囲発光フレーム131から、広がりを有する出射光6として出射される。周囲発光フレーム131から、出射された出射光6は、一部が導光板12に入り込み、導光板12の上部に配置されている反射シート15において反射され、発光面部12aから出射される。
【0065】
周囲発光フレーム131が、導光板12に対し、斜めになるように配置されている場合、周囲発光フレーム131から、出射された出射光6が導光板12に入り込むことはない。この場合、出射光6が導光板12の上部に配置されている反射シート15に到達することがないため、反射シート15において反射された周囲発光フレーム131からの映り込みによる発光152を発光面部12aの下面側から見ることはできない。
【0066】
周囲発光フレーム131が、導光板12に対して直角に配置されていると、夕方の発光を行っている場合には、周囲発光フレーム131が、低色温度白色、アンバー、又は、赤として発光する。また、導光板12の発光面部12aの周囲発光フレーム131近傍では、アンバー又は赤色の発光を見ることができる。アンバー又は赤色の発光は、周囲発光フレーム131からの映り込みによる発光152である。このように、導光板12が、青空だけではなく、赤、又は、アンバーに染まることにより、周囲発光フレーム131の発光だけの場合よりも、夕方の様子をよく再現することができる。なお、周囲発光フレーム131の角度は、必ずしも導光板12と直交する方向でなくてもよく、導光板12に対する角度が出射された出射光6が導光板12に入り込むことができる角度であればよい。
【0067】
以上説明した、実施の形態3に係る照明器具1によれば、周囲発光フレーム131が、導光板12の発光面部12aと交差する方向に配置されているため、導光板12の発光面部12aに、周囲発光フレーム131からの映り込みによる発光152が見られる。これにより、導光板12が、青空だけではなく、赤、又は、アンバーに染まり、夕方の様子をよりよく再現することができる。
【0068】
実施の形態4.
図21は、本開示の実施の形態4に係る照明器具1の断面図である。実施の形態4は、周囲発光フレーム131が配置されていない点で、実施の形態1~3と相違する。実施の形態4では、実施の形態1~3と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1~3との相違点を中心に説明する。
【0069】
図21に示すように、導光板12の第2端面12cから出射した導光板抜け光4は、広がりを有する照射光43となって、器具本体10の内部であって、導光板12の第2端面12cと対向する壁面10aに照射され、壁面10aが発光する。この場合にも、光源モジュール14の白色LED141と、長波長LED142とを調整することで、導光板12の発光面部12aの発光色を変更させず、導光板12の周囲の壁面10aの発光色を調光することができる。
【0070】
以上説明した、実施の形態4に係る照明器具1によれば、導光板抜け光4が器具本体10の壁面10aに照射され、反射されることで、壁面10aが発光する。このため、光源モジュール14の白色LED141と、長波長LED142とを調整することで、導光板12の発光面部12aの発光色を変更させずに、壁面10aの発光色を調光することができる。
【0071】
実施の形態5.
図22は、本開示の実施の形態5に係る照明器具1の断面図である。実施の形態5は、導光板12の第2端面12cが傾斜を有する点で、実施の形態1~4と相違する。実施の形態5では、実施の形態1~4と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1~4との相違点を中心に説明する。
【0072】
図22に示すように、導光板12は、第2端面12cにテーパ部122を有する。テーパ部122は、導光板12の発光面部12aに対し、例えば、45°の角度に傾斜している。テーパ部122は、ミラー構造を有し、反射面16のように機能する。導光板12の散乱体121で散乱されなかった導光板抜け光4は、テーパ部122において反射され、出射光6として出射される。
【0073】
導光板12を下方から見ると、テーパ部122が導光板抜け光4により照射されることで、テーパ部122が発色し、発光する。この場合にも、光源モジュール14の白色LED141と、長波長LED142とを調整することで、導光板12の発光面部12aの発光色を変更させずに、テーパ部122の発光色を調光することができる。
【0074】
以上説明した、実施の形態5に係る照明器具1によれば、導光板12が発光面部12aに対し傾斜しているテーパ部122を有するため、散乱体121で散乱されなかった導光板抜け光4が、テーパ部122で反射され、出射光6として出射される。このため、光源モジュール14の白色LED141と、長波長LED142とを調整することで、導光板12の発光面部12aの発光色を変更させずに、テーパ部122の発光色を調光することができる。
【0075】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0076】
(付記1)
第1方向に第1光が出射される第1光源と、前記第1方向に第2光が出射され、前記第1光源よりも長い波長成分を有する第2光源とを有する光源モジュールと、
前記光源モジュールから出射された前記第1光を散乱させる散乱体を有し、前記第1方向の第1端面から入光した前記第1光の一部が、前記散乱体により散乱されて前記第1方向と直交する方向にむいた発光面部から出射されるとともに、前記第1端面から入光した前記第2光と、前記第1光の他の一部が、前記第1端面と反対の第2端面から出射される導光板と、
を備え、
前記発光面部の発光色を維持しながら、前記第2端面の発光色が変化するように、前記第1光源と、前記第2光源とが制御されている
照明器具。
(付記2)
前記散乱体の大きさは、400nm以下である
付記1に記載の照明器具。
(付記3)
前記第1光源と、前記第2光源とは、
前記発光面部から出射される光の発光色を変化させずに、前記導光板を透過する光の発光色を変化させるように、出力が制御されている
付記1または2に記載の照明器具。
(付記4)
前記第2光源は、複数の長波長LEDを含み、
発光させる前記第2光源の前記長波長LEDの数を増加させることで、前記導光板の周囲に設けられた周囲発光フレームから出射される光の色温度が6500K以下に低下されるように構成されている
付記1~3のいずれか一つに記載の照明器具。
(付記5)
前記第1光源は、
短波長から中波長の波長を有する青色LED又は緑色LEDである
付記1~4のいずれか一つに記載の照明器具。
(付記6)
前記第1光源は、
青色LEDと、緑色LEDと、白色LEDとにより構成されている
付記1~4のいずれか一つに記載の照明器具。
(付記7)
前記第1光源は、
前記発光面部の発光色を変化させずに、前記第2端面の発光色を変化させる際に、
前記第1光源の出力が低減するように制御される
付記1~6のいずれか一つに記載の照明器具。
(付記8)
前記導光板を囲うように配置された、前記第1端面側に配置される周囲非発光フレームと、前記第2端面側に配置される周囲発光フレームと、を更に有し、
前記周囲発光フレームは、
前記発光面部と直交する方向に配置されている
付記1~7のいずれか一つに記載の照明器具。
(付記9)
前記光源モジュール及び前記導光板を収容している器具本体を更に有し、
前記第2端面から出射された前記第2光及び前記第1光の他の一部が、前記器具本体の壁面で反射され、前記第1方向に照射される
付記1~7のいずれか一つに記載の照明器具。
(付記10)
前記導光板の前記第2端面は、前記発光面部に対し、傾斜している
付記1~7のいずれか一つに記載の照明器具。
【符号の説明】
【0077】
1 照明器具、2 LED光、3 散乱光、4 導光板抜け光、6 出射光、10 器具本体、10a 壁面、12 導光板、12a 発光面部、12b 第1端面、12c 第2端面、14 光源モジュール、14a 基板、15 反射シート、16 反射面、21 第1光、22 第2光、41 第1導光板抜け光、42 第2導光板抜け光、43 照射光、71 短波長成分、72 中波長成分、73 長波長成分、100 LED制御電源、120 基材、121 散乱体、122 テーパ部、131 周囲発光フレーム、132 周囲非発光フレーム、140 LED光源、141 白色LED、142 長波長LED、143 第1回路パターン、144 第2回路パターン、151 範囲、152 映り込みによる発光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22