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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161672
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】シート撮影装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/63 20230101AFI20241113BHJP
   B65H 37/00 20060101ALI20241113BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20241113BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241113BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20241113BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20241113BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20241113BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20241113BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20241113BHJP
【FI】
H04N23/63
B65H37/00
G03B17/18
G03B15/00 T
G03B15/00 P
G03B15/02 Z
G03B7/091
H04N5/222 100
H04N23/56
G03B17/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076526
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】宮本 奈美
【テーマコード(参考)】
2H002
2H102
2H105
3F108
5C122
【Fターム(参考)】
2H002CD00
2H002FB71
2H002JA11
2H102AA00
2H102BB01
2H105AA03
2H105AA12
3F108GB06
5C122EA42
5C122FD02
5C122FF02
5C122FH11
5C122FK23
5C122FK34
5C122FK35
5C122GD01
5C122GD04
5C122GG17
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】撮影条件の設定の調整のためのシートを用いることなく、撮影条件の設定の調整が出来るシート撮影装置を提供する。
【解決手段】シート撮影ジョブで撮影されるシートのうちの1枚のシートを撮影位置まで搬送したのち、シートの搬送を停止させ、シート撮影装置の撮影条件の設定の確認を促すメッセージを表示させた後に、撮影条件の設定を確認したことを示すオペレータによる入力または撮影条件の設定が完了したことを示すシート撮影装置からの信号のうち少なくとも一方を受け付けると、撮影位置で停止しているシートを、撮影条件の設定の確認後に最初に実行するシート撮影ジョブで撮影するシートとして撮影するシート撮影装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートを撮影することでシート画像を生成する撮影手段と、
前記撮影手段の撮影範囲を照らす照明手段と、
少なくともオペレータへのメッセージを表示する表示手段と、
オペレータからの入力およびシート撮影装置からの信号のうち、少なくとも一方を受け付ける入力手段と、
前記搬送手段と前記撮影手段と前記照明手段と前記表示手段と前記入力手段とを制御する制御手段と、
を備えたシート撮影装置において、
前記制御手段は、前記搬送手段を、少なくとも1枚のシートを撮影するシート撮影ジョブで撮影されるシートのうちの1枚の前記シートを撮影位置まで搬送したのち、前記シートの搬送を停止するよう制御し、
前記制御手段は、前記シートが前記撮影位置で停止すると、前記表示手段を、前記シート撮影装置の撮影条件の設定の確認を促すメッセージを表示するよう制御し、
前記制御手段は、前記表示手段に前記シート撮影装置の撮影条件の設定の確認を促すメッセージを表示した後に、前記入力手段を、前記シート撮影装置の撮影条件の設定を確認したことを示すオペレータによる入力または前記シート撮影装置の撮影条件の設定が完了したことを示す前記シート撮影装置からの信号のうち少なくとも一方を受け付けるよう制御し、
前記制御手段は、前記入力手段が前記シート撮影装置の撮影条件の設定を確認したことを示すオペレータによる前記入力または前記シート撮影装置の撮影条件の設定が完了したことを示す前記シート撮影装置からの信号のうち少なくとも一方を受け付けると、前記撮影手段を、前記撮影位置で停止している前記シートを、前記シート撮影装置の撮影条件の設定の確認後に最初に実行する前記シート撮影ジョブで撮影する前記シートの1枚として撮影するよう制御する
ことを特徴とするシート撮影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、少なくとも、前記表示手段が前記シート撮影装置の撮影条件の設定の確認を促すメッセージを表示してから、前記入力手段が前記シート撮影装置の撮影条件の設定を確認したことを示すオペレータによる入力または前記シート撮影装置の撮影条件の設定が完了したことを示す前記シート撮影装置からの信号のうち少なくとも一方を受け付けるまでの間、前記撮影手段が撮影している撮影画像または撮影映像を表示するよう、前記表示手段を制御する
ことを特徴とする請求項1記載のシート撮影装置。
【請求項3】
前記撮影手段の位置を調整する撮影調整手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1または2記載のシート撮影装置。
【請求項4】
前記照明手段の明るさを調整する明るさ調整手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1または2記載のシート撮影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記シート撮影装置の撮影条件の設定の確認を促すメッセージを表示させないよう前記表示手段を制御し、
前記シート撮影装置の撮影条件の設定を確認したことを示すオペレータによる入力および前記シート撮影装置の撮影条件の設定が完了したことを示す前記シート撮影装置からの信号を受け付けさせないよう前記入力手段を制御し、
前記シート撮影装置を、前記シート撮影ジョブを実行することが選択可能なように制御する、
ことを特徴とする請求項1~4記載のシート撮影装置。
【請求項6】
前記撮影手段により生成された前記シート画像に含まれる文字画像からテキストデータまたは数値データを生成する画像認識手段を備え、
前記制御手段は、前記画像認識手段を制御する
ことを特徴とする請求項1~5記載のシート撮影装置。
【請求項7】
前記画像認識手段が生成した前記テキストデータまたは前記数値データに対して照合を行う照合手段を備え、
前記制御手段は、前記照合手段を制御する
ことを特徴とする請求項6記載のシート撮影装置。
【請求項8】
シート加工手段を備え、
前記制御手段は、前記シート加工手段を制御する
ことを特徴とする請求項1~7記載のシート撮影装置。
【請求項9】
前記制御手段は、
前記シート加工手段を、1枚に複数の成果物が印刷された前記シートを複数の前記成果物に分割するよう制御し、
前記搬送手段を、前記シート加工手段により複数に分割された前記成果物のうち、シート搬送方向における最下流側にある前記成果物を前記撮影位置まで搬送し、シート搬送方向における最下流側にある前記成果物以外の前記成果物を前記撮影位置よりも上流側に、停止させるよう制御する
ことを特徴とする請求項8記載のシート撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを撮影し、シート画像を生成するシート撮影装置、および、シート加工装置やシート検査装置におけるシート撮影手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、搬送されるシートを撮影し、シート画像を生成する場合、撮影手段であるカメラの焦点が、シート表面に合っていなければならない。しかし、搬送されるシートは、厚さも様々なので、シートとカメラの距離をシートに合わせて調整する必要がある。
また、シートに対するカメラの位置や、撮影範囲を照らす照明の明るさも適切な位置・明るさである必要がある。
このように、シートを撮影する装置において、シートに対するカメラの位置や、照明の明るさなど、適切な撮影条件で撮影することは不可欠である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003―108580号公報特許文献1では、イメージセンサで得られた画像を表示することで、ユーザが容易に撮像位置の調整を行えるようにしているが、撮像位置の調整の際にイメージセンサが撮像する対象については、記載がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、撮影条件の設定をするためには、調整用のシートを、撮影位置に置いた状態で、カメラ位置や照明の明るさなどの撮影条件の設定の調整が行われ、撮影条件の設定の調整後に、搬送路から当該調整用のシートが取り除かれることが多い。
しかし、調整のためのシートを常に準備する必要があるので、手間がかかり、煩わしい。
本発明は、調整のためのシートを用いることなく、撮影条件の設定の調整が出来るシート撮影装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、シート撮影装置において、シートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送されるシートを撮影することでシート画像を生成する撮影手段と、前記撮影手段の撮影範囲を照らす照明手段と、少なくともオペレータへのメッセージを表示する表示手段と、オペレータからの入力およびシート撮影装置からの信号のうち、少なくとも一方を受け付ける入力手段と、前記搬送手段と前記撮影手段と前記照明手段と前記表示手段と前記入力手段とを制御する制御手段と、を備えたシート撮影装置において、前記制御手段は、前記搬送手段を、少なくとも1枚のシートを撮影するシート撮影ジョブで撮影されるシートのうちの1枚の前記シートを撮影位置まで搬送したのち、前記シートの搬送を停止するよう制御し、前記制御手段は、前記シートが前記撮影位置で停止すると、前記表示手段を、前記シート撮影装置の撮影条件の設定の確認を促すメッセージを表示するよう制御し、前記制御手段は、前記表示手段に前記シート撮影装置の撮影条件の設定の確認を促すメッセージを表示した後に、前記入力手段を、前記シート撮影装置の撮影条件の設定を確認したことを示すオペレータによる入力または前記シート撮影装置の撮影条件の設定が完了したことを示す前記シート撮影装置からの信号のうち少なくとも一方を受け付けるよう制御し、前記制御手段は、前記入力手段が前記シート撮影装置の撮影条件の設定を確認したことを示すオペレータによる前記入力または前記シート撮影装置の撮影条件の設定が完了したことを示す前記シート撮影装置からの信号のうち少なくとも一方を受け付けると、前記撮影手段を、前記撮影位置で停止している前記シートを、前記シート撮影装置の撮影条件の設定の確認後に最初に実行する前記シート撮影ジョブで撮影する前記シートとして撮影するよう制御する、ことを特徴とするものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1記載のシート撮影装置において、前記制御手段は、少なくとも、前記表示手段が前記シート撮影装置の撮影条件の設定の確認を促すメッセージを表示してから、前記入力手段が前記シート撮影装置の撮影条件の設定を確認したことを示すオペレータによる入力または前記シート撮影装置の撮影条件の設定が完了したことを示す前記シート撮影装置からの信号のうち少なくとも一方を受け付けるまでの間、前記撮影手段が撮影している撮影画像または撮影映像を表示するよう、前記表示手段を制御する、ことを特徴とするものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2記載のシート撮影装置において、前記撮影手段の位置を調整する撮影調整手段を備えた、ことを特徴とするものである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1または2記載のシート撮影装置において、前記照明手段の明るさを調整する明るさ調整手段を備えた、ことを特徴とするものである。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1~4記載のシート撮影装置において、前記制御手段は、前記シート撮影装置の撮影条件の設定の確認を促すメッセージを表示させないよう前記表示手段を制御し、前記シート撮影装置の撮影条件の設定を確認したことを示すオペレータによる入力および前記シート撮影装置の撮影条件の設定が完了したことを示す前記シート撮影装置からの信号を受け付けさせないよう前記入力手段を制御し、前記シート撮影装置を、前記シート撮影ジョブを実行することが選択可能なように制御する、ことを特徴とするものである。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1~5記載のシート撮影装置において、前記撮影手段により生成された前記シート画像に含まれる文字画像からテキストデータまたは数値データを生成する画像認識手段を備え、前記制御手段は、前記画像認識手段を制御する、ことを特徴とするものである。
【0011】
請求項7の発明は、請求項6記載のシート撮影装置において、前記画像認識手段が生成した前記テキストデータまたは前記数値データに対して照合を行う照合手段を備え、前記制御手段は、前記照合手段を制御する、ことを特徴とするものである。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1~7記載のシート撮影装置において、シート加工手段を備え、前記制御手段は、前記シート加工手段を制御する、ことを特徴とするものである。
【0013】
請求項9の発明は、請求項8記載のシート撮影装置において、前記制御手段は、前記シート加工手段を、1枚に複数の成果物が印刷された前記シートを複数の前記成果物に分割するよう制御し、前記搬送手段を、前記シート加工手段により複数に分割された前記成果物のうち、シート搬送方向における最下流側にある前記成果物を前記撮影位置まで搬送し、シート搬送方向における最下流側にある前記成果物以外の前記成果物を前記撮影位置よりも上流側に、停止させるよう制御する、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、シート撮影装置において、シートの撮影条件の設定に使用したシートをシート撮影ジョブの1枚として処理することからシート撮影装置の撮影条件の設定のためのシートを用意する手間が省ける。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、撮影条件の設定が調整できる期間に、撮影手段が撮影している撮影画像または撮影映像を見ながら撮影条件の設定の調整ができることから、容易に撮影条件の設定調整ができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、撮影調整手段を備えることにより、容易に撮影手段の位置を調整できる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、明るさ調整手段を備えることにより、容易に照明手段の明るさを調整できる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、シート撮影装置において、シートを撮影位置に停止させて、シート撮影装置の撮影条件の設定の確認することを行わないので、迅速にシート撮影ジョブを実行できる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、シート撮影装置において、撮影手段により生成したシート画像に含まれる文字画像からテキストデータまたは数値データを生成する画像認識手段を備えていることから、シートに印刷されている文字のテキストデータまたは数値データを取得できる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、シート撮影装置において、画像認識手段が生成したテキストデータまたは数値データに対して照合を行う照合手段を備えていることから、容易に搬送されるシートの照合ができる。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、シート撮影装置において、シートを加工するシート加工手段を備えていることから、一度の給紙でシート加工とシート撮影の両方を行うことができる。
【0022】
請求項9記載の発明によれば、シート撮影装置において、撮影対象が1枚に複数の成果物が印刷されたシートである場合であっても、シート撮影ジョブを実行する前の、シート撮影装置の撮影条件の設定を行うために、シート撮影ジョブに使用するシートに印刷されている成果物のうち、最下流側に配置された成果物を用い、撮影条件の設定に使用した成果物をシート撮影ジョブの1枚の成果物として処理することから、シート撮影装置の撮影条件の設定のためのシートを用意する手間が省ける。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】シート撮影装置の全体構成
図2】シート撮影装置を上方から見た全体構成
図3】シート撮影装置を搬送方向下流側から見た全体構成
図4】カメラ位置調整の制御フローチャート
図5】照明明るさ調整の制御フローチャート
図6】カメラ位置調整のあと、画像認識処理を行う場合の制御フローチャート
図7A】カメラ位置調整のあと、画像認識処理と照合処理を行う場合の制御フローチャートの前半
図7B】カメラ位置調整のあと、画像認識処理と照合処理を行う場合の制御フローチャートの後半
図8】シート加工機能を備えたシート撮影装置の斜視図
図9A】圧着葉書の宛名記載面の展開図
図9B】圧着葉書の宛名記載面と反対の面の展開図
図10】圧着葉書の斜視図
図11A】2面付けの圧着葉書の宛名記載面の展開図
図11B】2面付けの圧着葉書の宛名記載面と反対の面の展開図
図12】2面付けの圧着葉書の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、シート撮影装置1の構成を示した図である。
給紙手段を構成している要素である給紙トレイ100は、少なくとも1枚のシートが積載され、モータ(図示しない)により、昇降可能である。
シート撮影装置1は、給紙トレイ100のシート搬送方向Fの下流端の上方に配置され、給紙トレイ100に積載されたシート束の最上位のシート90に接した状態でモータ(図示せず)により回転する給紙ローラ110と、給紙ローラ110に対してシート搬送路を挟んで反対側に配置されたサバキ板120とにより、最上位のシート90のみを搬送手段であるベルト搬送機構200に搬送する。
ベルト搬送機構200は、給紙ローラ110により搬送されたシート90を受け取り、モータ(図示せず)により搬送ベルト202を回転させることで、シート90を下流側(図における右側)に搬送し、シート90を排紙トレイ400に排出する。
ローラ201は、給紙ローラ110により搬送されたシート90を搬送ベルト202に押し付けるローラである。
シート撮影装置1には、入力手段としての操作部850があり、複数のボタンまたはタッチパネルにより、オペレータからシート撮影装置1に入力がなされる。
また、シート撮影装置1には、表示手段としての表示器801があり、オペレータにシート撮影装置1の撮影条件の設定の確認を促すメッセージなどが表示される。また、シート撮影装置1の外部には、モニター800があり、表示器801と同じ内容のメッセージが表示される。オペレータにシート撮影装置1の撮影条件の確認を促すメッセージは、モニター800または表示器801のいずれか一方のみ、もしくは、両方に表示される。
また、シート撮影装置1には、給紙ローラ110、ベルト搬送機構200、カメラ300、モニター800、表示器801の制御を行う制御手段としての制御部500があり、一例としては、CPUである。
図2は、図1のシート撮影装置1を上方から見た図であり、給紙トレイ100、ベルト搬送機構200、排紙トレイ400と、ベルト搬送機構200の上方に配置されている撮影手段であるカメラ300と、照明手段であるLED350を示している。図3は、シート撮影装置1をシート搬送方向下流側から見た方向(図1図2におけるα方向)からみた図である。
【0025】
ベルト搬送機構200の上方に配置されているカメラ300は、カメラ300の位置を調整するカメラ位置調整機構を備えている。
本実施形態では、第1カメラ位置調整機構310、第2カメラ位置調整機構320、第3カメラ位置調整機構330と3つのカメラ位置調整機構が備えられている。
第1カメラ位置調整機構310は、カメラ300をシート90に近づく方向と離間する方向(図1におけるD1の方向)に移動させることができる機構であり、シート表面にカメラの焦点が合うように、シート90の厚さに応じて、カメラ300の位置を調整する機構である。
また、カメラ300をD1の方向に移動させることで、撮影できる範囲も変更することができる。この場合、カメラ300とシート90の距離が変化しても、カメラ300の焦点がシート表面に合うよう、カメラ300にピント調整機能が必要となる。
第2カメラ位置調整機構320は、カメラ300を、シート90の面と平行で、且つシート搬送方向(図2におけるD2の方向)およびシート搬送方向と直交する方向(以下、「シート幅方向(図2におけるD3の方向)」とする)に移動させることができる機構である。第2カメラ位置調整機構320でカメラ位置を調整することで、シート90の任意の場所を撮影できる。
第3カメラ位置調整機構330は、シートに対して、カメラ300の角度を調整できる機構であり、シート90の真上から撮影するときにシート撮影装置1のフレームなどとカメラ300が接触する場合に、カメラ300の角度を変更することで、シート90の斜め上から、シート90における所望の個所を撮影することができる。
カメラ300の角度は、D3の方向の回転軸を中心に回転させる方向(図1におけるD4の方向)と、D2の方向の回転軸を中心に回転させる方向(図3におけるD5の方向)、それぞれの方向で角度を変更できる。
第1カメラ位置調整機構310、第2カメラ位置調整機構320、第3カメラ位置調整機構330は、それぞれ手動で移動させる機構でもよく、モータなどの駆動装置により移動させる機構でもかまわない。
また、本実施形態では、3つのカメラ位置調整機構を備えているが、不要なカメラ位置調整機構はなくても構わない。例えば、カメラの角度調整が不要で、かつ、撮影するシートが薄いシートばかりの場合(すなわち、焦点合わせが不要な場合)、第1カメラ位置調整機構310および第3カメラ位置調整機構330を備えず、第2カメラ位置調整機構320だけ備えていてもかまわない。
【0026】
シート撮影装置1は、カメラ300の撮影位置30を照らす照明手段としてのLED350と、照明の明るさを調整する明るさ調整機構360を備えている。
図1に示す実施形態では、操作部850が明るさ調整機構360に該当し、操作部850を操作することで、LED350の明るさを調整する。
明るさ調整機構360は、LED350に搭載されている場合もある。
【0027】
図4は、シート撮影ジョブを実行する前のカメラ300の位置調整と、カメラ300の位置調整後のシート撮影ジョブを実行するシート撮影装置1の制御フローチャートである。
制御部500は、給紙ローラ110を回転させ、シート撮影ジョブで撮影するシートが積載された給紙トレイ100から最上位にある1枚のシート90を、ベルト搬送機構200まで搬送させる(ステップS2)。シート90がベルト搬送機構200まで搬送されると、制御部500は、ベルト搬送機構200の搬送ベルト202を回転させてシート90を撮影位置30まで搬送した後に搬送を停止させる(ステップS3)とともに、シート撮影装置1の撮影条件の設定の確認を促す表示をモニター800に表示させる(ステップS4)。
本実施形態では、モニター800には、シート撮影装置1の撮影条件の設定の具体的な項目として、カメラ300の位置の設定の確認を促すメッセージを表示させる。
また、モニター800には、撮影位置30で停止したシート90を撮影した撮影映像も表示させる(ステップS5)。
オペレータは、モニター800に表示されたカメラ300が撮影した撮影映像を見て、カメラ300の位置調整の必要性を判断する(ステップS6)。
ステップS6において、オペレータが、カメラ300の位置調整が必要と判断した場合(ステップS6において、YESの場合)、オペレータは、第1カメラ位置調整機構310または第2カメラ位置調整機構320または第3カメラ位置調整機構330のうち少なくとも一つのカメラ位置調整機構によりカメラ300の位置を調整し(ステップS7)、カメラ300の位置調整が完了した後に操作部850に対してカメラ位置調整完了を示す操作を行う(ステップS8)。
ステップS6において、オペレータが、カメラ300の位置調整が不要と判断した場合(ステップS6において、NOの場合)は、カメラ300の位置調整を行わずに、カメラ位置調整完了を示す操作を行う(ステップS8)。
カメラ位置調整完了を示す操作は、オペレータが操作部850を操作する場合のほかに、シート撮影装置1が、カメラ300が撮影した撮影映像からカメラ300の位置調整不要と判断して、カメラ300の位置調整が完了したとする内部信号を発信し、シート撮影装置1に設けられた受信部860が内部信号を受信することで、カメラ位置調整完了を示す操作がなされた、とみなすこともある。
シート撮影装置1が、操作部850または受信部860がカメラ位置調整完了の操作または信号を受け付けると、制御部500は、カメラ300に、撮影位置30に停止しているシート90を再度撮影させて、シート画像910を生成させ(ステップS9)、生成されたシート画像910を記憶装置600に記憶させる(ステップS10)とともに、ベルト搬送機構200に、撮影位置30に停止していたシート90を搬送させて、シート90を排紙トレイ400に排出させる(ステップS11)。
記憶装置600は、HDD(ハードディスクドライブ)のような不揮発性メモリだけでなく、RAMのような揮発性メモリの場合もある。
制御部500は、排紙トレイに排出されたシート90の枚数が、シート撮影ジョブで予定していた枚数に達したか、を判定し(ステップS12)、予定枚数に達していないと判定された場合(ステップS12において、NOの場合)は、給紙トレイ100に積載されている次のシート90の搬送を開始させて(ステップS13)、シート90が撮影位置30に到達したらカメラ300で撮影する。
制御部500は、排出されたシート90の枚数が、シート撮影ジョブで予定していた枚数に達したと判定された場合(ステップS12において、YESの場合)は、シート撮影ジョブを終了させる(ステップS100)。
【0028】
なお、ステップS4で表示するシート撮影装置1の撮影条件の設定の確認を促すメッセージの表示と、ステップS5で表示するカメラ300が撮影した撮影映像の表示を行う表示手段は、モニター800に限らず、シート撮影装置1の表示器801に表示しても構わないし、モニター800と表示器801両方に同時に表示してもかまわない。
【0029】
ステップS7において、カメラ300の位置調整を行うとき、モニター800に表示されるのが、カメラ300で撮影した映像(動画)である場合、オペレータは、撮影している映像をリアルタイムで表示しながらカメラ300の位置を調整する。
また、モニター800に表示されるのが、カメラ300で撮影した画像(静止画)であっても構わない。この場合、オペレータは、カメラ300の位置を調整した後、再度、撮影を行い、撮影画像を確認することで、位置調整後のカメラ300が希望する位置に調整できているか否か、を判断する。もし、カメラ300の位置が希望する位置からずれている場合は、再度、位置を調整し、撮影を行い、カメラ300の位置が希望する位置にあるか否か、を確認する。これを繰り返し、カメラ300の位置を調整する。
【0030】
ステップS7における、撮影調整手段であるカメラ位置調整機構(310、320、330)は、手動でカメラ位置を調整する構成のほか、カメラ位置調整機構(310、320、330)がモータなどの駆動手段を備え、オペレータが操作部850を操作することによって、駆動手段がカメラ300の位置を調整することもある。
さらに、駆動手段が、自動的に、予め設定された位置にカメラ300を調整することもある。
【0031】
また、ステップS8において、カメラ300の位置調整完了を示す操作を行う、としているが、これはオペレータによる手動操作に限らない。
例えば、制御部500が、カメラ300が撮影している映像(または画像)に基づいて、カメラ300が適切な位置にあると判断したとき、シート撮影装置1が自動的にカメラ300の位置調整完了を示す内部信号を発信する場合もある。
【0032】
以上のように、シート撮影ジョブを実行する前の、シート撮影装置1の撮影条件の設定を行うために、シート撮影ジョブに使用するシート90を用いることで、従来はシート撮影装置1の撮影条件の設定に必要だった専用シートを不要にすることができる。
また、シート撮影装置1の撮影条件の設定完了後に、シート撮影装置1の撮影条件の設定するために停止させた撮影位置30で、シート90を撮影し、シート撮影ジョブの1枚として処理することにより、シート90を給紙トレイに戻す手間をかけることなく、シート撮影ジョブを開始させることができる。
【0033】
また、シート撮影装置において、シート撮影ジョブの撮影開始前に、シート90を撮影位置30まで搬送することで、シート搬送経路上の異物の有無、シートのカールの有無のように、シート搬送に関する問題の有無を、オペレータが確認することができる。
【0034】
また、撮影条件の一つであるカメラ300の位置を設定するとき、カメラ300で撮影した撮影映像をモニター800に表示し、表示された撮影映像を見ることができるので、カメラ300が撮影位置30を撮影できる位置にあるか否か、を正確に把握できる。
【0035】
カメラ300の位置を調整するカメラ位置調整機構(310、320、330)があることで、容易にカメラ300の位置の調整ができる。
【0036】
なお、本実施形態において、給紙トレイ100に積載されたシート束から1枚のシート90を取り出すとき、最上位のシート90を1枚取り出しているが、シート束の下方に配置したローラまたはベルトにより、シート束の最も下の位置にある最下位シートを1枚取り出す構成でも構わない。
また、搬送手段としては、ベルト搬送機構200のようにベルト上面にシートを載せて搬送する構成に限らない。シートを搬送ベルトの下面に吸引しつつ搬送する吸引搬送ベルトによる搬送、ローラ上面にシートを乗せて搬送するローラ搬送、回転するローラ対の間にシートを挟んで搬送するローラ搬送のいずれかであっても構わない。
また、カメラ300の位置は、シートの上方に限らず、シート下方からシート下面を撮影する場合もある。
【0037】
(第2の実施形態)
図5は、シート撮影ジョブの実行する前のLED350の明るさ調整と、シート撮影ジョブを実行するシート撮影装置1の制御フローチャートである。
シート撮影ジョブにおいて、希望するシート画像が得るためには、撮影位置30において、適切な照明の明るさが必要である。
制御部500は、シート撮影ジョブを開始する前に、給紙ローラ110にシートが積載された給紙トレイ100から最上位にある1枚のシート90の搬送を開始させ(ステップS2)、ベルト搬送機構200に撮影位置30に到達したシート90の搬送を停止させ(ステップS3)、モニター800にシート撮影装置1の撮影条件の設定の確認を促すメッセージをモニター800に表示させる(ステップS4)。
本実施形態では、シート撮影装置1の撮影条件の設定の具体的な項目として、撮影位置30を照らす、LED350の明るさの設定の確認するよう促す表示を行う。
制御部500は、シート撮影装置1の撮影条件の設定の確認を促すメッセージをモニター800に表示させた後、シート搬送を停止した時点でのカメラ300が撮影した映像をモニター800に表示させる(ステップS5)。このとき、カメラ300が撮影した映像を表示するのは、モニター800に限らず、シート撮影装置1の表示器801であっても構わないし、モニター800と表示器801両方に同時に表示しても構わない。
オペレータは、モニター800に表示されたカメラ300が撮影した映像を見て、LED350の明るさの調整の必要性を判断する(ステップS6-2)。
オペレータが、LED350の明るさ調整が必要と判断した場合(ステップS6-2において、YESの場合)、オペレータは、明るさ調整機構360によりLED350の明るさを調整し(ステップS7-2)、LED350の明るさ調整を終えたら、LED350の明るさ調整完了を示す操作を行う(ステップS8-2)。
ステップS6-2において、オペレータがLED350の明るさ調整が不要と判断した場合(ステップS6-2において、NOの場合)は、オペレータは、LED350の明るさ調整を行わずに、LED350の明るさ調整完了を示す操作を行う(ステップS8-2)。
LED350の明るさ調整完了を示す操作は、オペレータが操作部850を操作する場合のほかに、カメラ300が撮影した撮影映像から、制御部500が自動的に、LED350の明るさ調整完了と判断し、シート撮影装置1がLED350の明るさ調整が完了したことを示す内部信号を発信し、シート撮影装置1に設けられた受信部860が内部信号を受信することで、LED350の明るさ調整完了を示す操作がなされた、とみなすこともある。
操作部850がLED明るさ調整完了の操作、または、受信部860がLED明るさ調整完了の信号のいずれかを受け付けると、制御部500は、カメラ300に、撮影位置30に停止しているシート90を撮影させ、シート画像910を生成させ(ステップS9)、生成したシート画像910を記憶装置600に記憶させる(ステップS10)。
その後、制御部500は、ベルト搬送機構200に撮影位置30に停止していたシート90を搬送させ、シート90を排紙トレイ400に排出させる(ステップS11)。
そして、制御部500は、排出されたシート90の枚数が、シート撮影ジョブで予定していた枚数に達したか、を判定し(ステップS12)、予定枚数に達していないと判定された場合(ステップS12において、NOの場合)は、給紙ローラ110およびベルト搬送機構200に、給紙トレイ100に積載されている次のシート90を撮影位置30まで搬送させて(ステップS13)、シート90が撮影位置30に到達したらカメラ300で撮影する。
ステップS12において、搬送したシート90の枚数が予定枚数に達したと判定された場合(ステップS12において、YESの場合)は、シート撮影ジョブを終了とする(ステップS100)。
【0038】
ステップS7-2において、明るさ調整機構360によりLED350の明るさ調整を行うとき、モニター800に表示されているのが、LED350で撮影した映像(動画)である場合、オペレータは、リアルタイムで撮影映像を表示しながら、明るさ調整機構360によりLED350の明るさを調整する。
また、モニター800に表示されているのが、LED350で撮影した画像(静止画)である場合、オペレータは、明るさ調整機構360によりLED350の明るさを調整した後、再度、撮影を行い、撮影画像を確認することで、明るさ調整後のLED350が希望するシート画像が得られる明るさになっているか否か、を判断する。LED350の明るさが希望するシート画像が得られる明るさではない場合、オペレータは、再度、明るさを調整し、撮影を行う。これを繰り返し、LED350の明るさ調整を行う。
【0039】
ステップS7-2において、明るさ調整機構360によりLED350の明るさ調整は、オペレータが、手動操作で明るさ調整を行う。
また、明るさ調整機構360が自動調整機構を備えている場合は、撮影されたシート画像を画像認識処理し、最適な明るさになるよう明るさ調整機構360を自動的に操作することでLED350の明るさを調整する。
【0040】
ステップS8-2における、LED350の明るさ調整完了を示す操作は、オペレータによる手動操作に限らない。
例えば、制御部500が、カメラ300が撮影している映像に基づいて、LED350の明るさが適切な明るさであると判断したとき、シート撮影装置1が自動的に明るさ調整完了を示す内部信号を発し、その内部信号を受信部860が受信することで、LED350の明るさ調整完了を示す操作、とする場合もある。
【0041】
LED350の明るさを調整する明るさ調整機構360により、容易にLED350を最適な明るさに調整できる。
【0042】
シート撮影装置1は、同じ撮影条件で実行するシート撮影ジョブを続けて実行するとき、後で実行するシート撮影ジョブの開始前にカメラ300の位置とLED350の明るさの確認および調整が不要となる場合がある。
この場合、制御部500は、後で実行するシート撮影ジョブを実行する前に、モニター800に撮影条件の設定の確認を促すメッセージを表示させず、操作部850及び受信部860に撮影条件の設定の確認完了を示すオペレータの操作およびシート撮影装置からの内部信号を受け付けさせずに、シート撮影ジョブを実行するよう、シート撮影装置1を設定することができる。
【0043】
シート撮影ジョブの実行前に、撮影条件の確認を促すメッセージをモニター800に表示させず、撮影条件の設定の確認完了を示すオペレータの操作およびシート撮影装置からの内部信号を受け付けないよう、シート撮影装置1を設定することで、シート撮影装置1の撮影条件の設定を確認することを行わずにシート撮影ジョブを実行するので、シート加工ジョブを迅速に開始することができる。
【0044】
(第3の実施形態)
シート撮影装置1は、シート90を撮影して生成されたシート画像910に対し画像認識処理を行い、シート90に印刷されている文字や数値を認識し、テキストデータや数値データを生成する画像認識処理部1100を有することがある。
制御部500は、画像認識処理部1100に、カメラ300でシート90を撮影することで生成されるシート画像910に対して画像認識処理を行わせ、シート画像910に含まれる文字または数字が書かれた範囲の画像(以下、「文字画像」)からテキストデータまたは数値データを生成させる。
【0045】
図6は、シート撮影装置1の制御フローチャートである。
図6において、オペレータがカメラ300の位置を調整した後、制御部500が、カメラ300に撮影位置30に停止しているシート90を撮影させ、シート画像910として生成させ、ベルト搬送機構200に撮影位置30に停止させていたシート90を排紙トレイ400に排出させる、までの間の制御(ステップS1~ステップS11)は第1の実施形態と同じである。
制御部500は、ステップS9において生成したシート画像910を、画像認識処理部1100に入力し、画像認識処理部1100にシート画像910内にある文字を示す文字画像に対して画像認識処理を行わせ、テキストデータまたは数値データを生成させる(ステップS14)。
そして、制御部500は、撮影したシートが処理した枚数情報からシート撮影ジョブの最後のシートであるか否か、または、ステップS14において生成されたテキストデータまたは数値データとシート撮影ジョブにおいて設定されているシート撮影ジョブの最後のシートであることを示すテキストまたは数値が同じであるか否か、を判定する(ステップS12-2)。
そして、シート撮影ジョブで予定していた枚数に達していないと判定した場合、または、ステップS14において生成されたテキストデータまたは数値データとシート撮影ジョブにおいて設定されているシート撮影ジョブの最後のシートであることを示すテキストまたは数値が異なる場合(ステップS12-2において、NOの場合)、制御部500は、給紙ローラ110に給紙トレイ100に積載されている次のシート90の搬送を開始させ(ステップS13)、ベルト搬送機構200にシート90を撮影位置30で停止させ、カメラ300に撮影位置30に停止したシート90を撮影させて、シート画像910を生成させる(ステップS9)。
シート撮影ジョブで予定していた枚数に達したと判定した場合、または、生成されたテキストデータまたは数値データとシート撮影ジョブにおいて設定されているシート撮影ジョブの最後のシートであることを示すテキストまたは数値が同じである場合(ステップS12-2において、YESの場合)、シート撮影ジョブの最後のシート90が排出されたことになるので、制御部500は、シート撮影ジョブを終了させる(ステップS100)。
【0046】
画像認識処理によりシート画像910に含まれる文字画像から生成されるテキストデータまたは数値データは、シート画像に比べてデータ量が少ない。そのため、少ないデータ量で撮影したシート90の記録を残すことができる。
また、シート画像からテキストデータ(または数値データ)を得ることで、後述する照合が可能となる。
【0047】
(第4の実施形態)
シート撮影装置1には、シート90を撮影して生成されたシート画像910に対して画像認識処理を行うことで得られたテキストデータや数値データを用いて、照合処理を行う照合部1200を有することがある。
照合部1200は、カメラ300がシート90を撮影することで生成されたシート画像910に対して、画像認識処理部1100が生成したテキストデータまたは数値データと、予め記憶装置600に記憶させていたマスタデータと、を照合する。
【0048】
(照合の内容)
図7Aおよび図7Bは、照合部1200を有するシート撮影装置1の制御フローチャートである。
図7Aおよび図7Bにおいて、オペレータがカメラ300の位置を調整した後、制御部500が、カメラ300に撮影位置30に停止しているシート90を撮影させ、シート画像910として生成させ、撮影位置に停止させていたシート90を排出させ、さらに生成したシート画像910を画像認識処理部1100に入力させてテキストデータまたは数値データを生成させる、まで(図7A図7BにおけるステップS1~ステップS14)の間の制御は、第3の実施形態と同じである。
制御部500は、照合部1200に、カメラ300がシート90を撮影することで生成されたシート画像910に対する画像認識処理により生成されたテキストデータまたは数値データと記憶装置600に記憶させていたマスタデータとによる照合処理を行わせ(ステップS20)、モニター800に照合処理の結果を表示させる(ステップS21)。
また、照合処理において、エラーが発生した場合(ステップS22において、YESの場合)、制御部500は、モニター800に、エラーが発生した旨を表示させ(ステップS23)、ベルト搬送機構200およびカメラ300を停止させて(ステップS24)、ジョブを中断またはジョブを終了させる(ステップS101)。
【0049】
照合部1200が、照合処理を行うことで、撮影される必要のあるシート90が全て撮影されたか否か、撮影されるべきではないシート90が撮影されたか否か、が判定でき、必要なシート90が撮影されていない、または、撮影されるべきではないシート90が撮影されている、といった不具合を容易に検出することができる。
【0050】
(第5の実施形態)
図8は、給紙トレイ100とカメラ300の間に、シート90に対して切断加工を行う切断加工部700、折り加工を行う折り加工部710、圧着加工を行う圧着加工部720からなるシート加工部70を備えたシート撮影装置1である。
シート加工部70の下流側には、LED350を内蔵したカメラ300が備えられている。また、本実施形態では、シート排出先として、排紙トレイ400ではなく、排紙コンベア450を備えている。
【0051】
図8のシート加工機能を備えたシート撮影装置1で加工するシートの例として、圧着葉書が印刷されたシートSを図9A図9B図10に示す。
図9A図9Bは、シートSの展開図であり、図10は、切断加工と折り加工が施されたシートSの斜視図である。
図9Aは、シートSの宛名記載面を示し、図9BはシートSの宛名記載面と反対の面を示す。
図9Aおよび図9Bにおいて、Kは切断線(切断加工部700で切断する位置)を示しており、M1~M3の部分は、切断後、搬送経路から除去され、P1~P3の部分が、加工部70で加工されて圧着葉書となる。
q(q1およびq2)は、折り加工線であり、折り加工部710にて折る位置を示す。
Gは圧着糊塗布面を示しており、宛名記載面、宛名記載面と反対の面、それぞれ1箇所ずつ圧着糊が塗布されている。シートSは、折り加工部710で折られたのち、切断加工部700で切断され、圧着加工部720で加工されると、圧着糊塗布面G(P1の宛名記載面)と圧着糊塗布面Gと向かい合う面(P2の宛名記載面)とが圧着され、さらに、もう一つの圧着糊塗布面G(P2の宛名記載面と反対の面)と圧着糊塗布面Gと向かい合う面(P3の宛名記載面と反対の面)とが圧着される。
図10は、切断加工された後のシートSで、M1~M3の部分が搬送経路から除去される前のシートSの斜視図である。
【0052】
カメラ300の位置調整またはLED350の明るさ調整のうち、少なくともいずれか一方を行う場合、制御部500は、シート90が積載された給紙トレイ100から1枚だけ繰り出したシートSをシート加工部70に搬送し、折り加工部710、切断加工部700、圧着加工部720での加工を順に行わせる。これにより、シートSは、折り畳まれた状態の圧着葉書となってシート加工部70から排出される。シート加工部70から排出されるとき、圧着葉書は、宛名記載面(図9AのP3の部分)がカメラ300のほうを向いている向きで排出される。
また、M1、M2、M3の部分は、切断加工部700でシート90が切断されたときに不要部分として搬送経路から除去され、シート加工部70から下流側には搬送されない。
なお、本実施形態では、切断加工部700は、折り加工部710の下流側に配置しているが、折り加工部710の上流側に配置される場合、又は、折り加工部710の上流側と下流側両方に配置される場合もある。
制御部500は、シート加工部70から排出された圧着葉書を、搬送手段により撮影位置30まで搬送し、撮影位置30にて圧着葉書を停止させる。そして、制御部500は、カメラ300に圧着葉書を撮影させ、撮影した映像をモニター800に表示させる。
オペレータは、モニター800に表示された撮影映像を見ながら、カメラ300の位置調整、または、LED350の明るさ調整を、必要に応じて行う。ここで、カメラ300の位置調整、LED350の明るさ調整は、第1の実施形態、第2の実施形態で示したように、オペレータの手動操作のほか、自動的に調整を行う場合もある。
【0053】
カメラ300の位置調整、または、LED350の明るさ調整のいずれかが終わると、オペレータは、カメラ300の位置調整またはLED350の明るさ調整のうち、一方または両方が完了した旨を知らせる操作を行う。
制御部500は、カメラ300の位置調整と、LED350の明るさ調整がともに完了したことを示す操作を受け付けると、カメラ300に撮影位置30に停止している圧着葉書を再度撮影させ、圧着葉書のシート画像920を生成させる。このとき、再度撮影した圧着葉書のシート画像920は、モニター800に表示しても構わないし、表示しなくても構わない。
そして、制御部500は、再度撮影したことで生成された圧着葉書のシート画像920を、シート撮影ジョブの圧着葉書のシート画像として、取り扱う。
シート撮影ジョブの圧着葉書として取り扱われる、撮影位置30に停止していた圧着葉書は、再撮影後に排紙コンベア450に搬送される。
その後、制御部500は、給紙トレイ100に積載されたシート束の最上位のシートSをシート撮影ジョブにおけるシートSとして搬送し、折り加工部710、切断加工部700、圧着加工部720で加工が施されて圧着葉書となる。そして、制御部500は、圧着葉書を撮影位置30まで搬送し、カメラ300により圧着葉書を撮影し、圧着葉書のシート画像920を生成する。
【0054】
シート撮影装置において、カメラ300によるシートの撮影とともに、切断加工部700、折り加工部710、圧着加工部720が、シートを加工することで、シート加工とシート撮影とが、同時に行うことができる。
【0055】
(第6の実施形態)
シート加工部70を備えたシート撮影装置1において、1枚に複数の成果物が印刷されているシートSSを扱う場合がある。
図11Aおよび図11Bは、1枚に2つの成果物(圧着葉書950、960)が印刷されたシートSSの展開図であり、図12は、切断加工と折り加工が施されたシートSSの斜視図である。本実施形態では、シートSSに印刷された成果物のことを「圧着葉書」と呼ぶ。
図11Aは、シートSSの宛名記載面を示し、図11BはシートSSの宛名記載面と反対の面を示す。
図11Aおよび図11Bにおいて、Kは切断線(切断加工部700で切断する位置)を示しており、切断後、シートSSは2つの圧着葉書(950、960)に分割される。
q(q1およびq2)は、折り加工線を示し、折り加工部710にて折る位置を示す。
Gは圧着糊塗布面を示しており、宛名記載面、宛名記載面と反対の面、それぞれ1箇所ずつ圧着糊が塗布されている。シートSSは、切断加工部700で切断されて2つの圧着葉書(950、960)に分割され、折り加工部710で折られたのち、圧着加工部720で加工されると、圧着糊塗布面G(P1の宛名記載面)と圧着糊塗布面Gと向かい合う面(P2の宛名記載面)とが圧着され、さらに、もう一つの圧着糊塗布面G(P2の宛名記載面と反対の面)と圧着糊塗布面Gと向かい合う面(P3の宛名記載面と反対の面)とが圧着される。
図12は、圧着加工される前の圧着葉書950、960の斜視図を示す。
【0056】
制御部500は、1枚に複数の圧着葉書が印刷されているシートSSを扱う場合、切断加工部700に1枚のシートSSを複数の圧着葉書に切断させる。
本実施形態では、1枚のシートに2つの圧着葉書が印刷されている例を示す。
1枚のシートSSには、2つの圧着葉書(950、960)が印刷されており、制御部500は、シート加工部70の切断加工部700に、シートSSを2つの圧着葉書(950、960)に分割させる。ここで、シート搬送方向における下流側に配置された圧着葉書を圧着葉書950、上流側に配置された圧着葉書を圧着葉書960とする。
このように1枚に複数の圧着葉書が印刷されたシートSSを使い、カメラ300の位置調整またはLED350の明るさ調整のうち、少なくともいずれか一方を行う場合、制御部500は、2つの圧着葉書のうち、搬送方向下流側に配置された圧着葉書950を撮影位置30に停止させるよう、シート加工部70およびベルト搬送機構200を制御し、カメラ300の位置調整またはLED350の明るさ調整のうち、少なくとも一方を行う。
搬送方向下流側に配置された圧着葉書950を撮影位置30に停止させているとき、制御部500は、もう1つの圧着葉書960をシート加工部70の内部、または、シート加工部70と撮影位置30との間の搬送手段上で停止させるよう、シート加工部70およびベルト搬送機構200を制御する。
制御部500は、カメラ300の位置調整またはLED350の明るさ調整のうち、少なくともいずれか一方が完了したことを知らせるオペレータによる入力操作を操作部850が受け付ける、または、シート撮影装置1の内部信号を受信部860が受け付けると、カメラ300に撮影位置30に停止している圧着葉書950を撮影させ、圧着葉書の成果物画像951を生成させる。制御部500は、圧着葉書の成果物画像951が生成された圧着葉書950を、排紙コンベア450まで搬送するよう、ベルト搬送機構200を制御する。
そして、制御部500は、シート加工部70の内部またはシート加工部70と撮影位置30の間で停止していた2枚目の圧着葉書960を撮影位置30まで搬送するようシート加工部70またはベルト搬送機構200を制御し、カメラ300に圧着葉書960を撮影させて、成果物画像961を生成させる。そして、制御部500は、成果物画像961が生成された成果物960を、排紙コンベア450まで搬送するよう、ベルト搬送機構200を制御する。
制御部500は、生成された圧着葉書の成果物画像951、961を画像認識処理部1100に入力させて、画像認識処理部1100に、画像認識処理を行わせ、成果物画像951、961に含まれる文字画像からテキストデータまたは数値データを生成させる。生成されたテキストデータまたは数値データは、照合処理に使用する。
【0057】
撮影対象が1枚に複数の圧着葉書(950、960)が印刷されたシートSSである場合、制御部500は、シート撮影ジョブに使用するシートに印刷されている圧着葉書(950、960)のうち、最下流側に配置された圧着葉書950を撮影位置30に停止するようシート加工部70およびベルト搬送機構200を制御し、シート撮影装置1の撮影条件の設定の確認を促すメッセージをモニター800に表示させる。
そして、オペレータが撮影条件の設定が必要と判断した場合、撮影位置30に停止させた圧着葉書950を用いて、撮影条件の設定を行う。これにより、シート撮影装置1の撮影条件の設定を、専用シートを使うことなく設定することができる。
また、シート撮影装置1の撮影条件の設定後に、シート撮影装置1の撮影条件を設定するために停止させた撮影位置30で、圧着葉書950を撮影し、シート撮影ジョブの1枚として処理することにより、シートSSに印刷された圧着葉書950を給紙トレイ100に戻す手間をかけることなく、シート撮影ジョブを開始させることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 シート撮影装置
100 給紙トレイ
110 給紙ローラ
120 サバキ板
200 ベルト搬送機構
201 ローラ
202 搬送ベルト
30 撮影位置
300 カメラ
310 第1カメラ位置調整機構(上下)
320 第2カメラ位置調整機構(水平)
330 第3カメラ位置調整機構(角度)
350 LED
360 明るさ調整機構
400 排紙トレイ
450 排紙コンベア
500 制御部
600 記憶装置
70 シート加工部
700 切断加工部
710 折り加工部
720 圧着加工部
800 モニター
801 表示器
850 操作部
860 受信部
90 シート
900 シート束
910 シート画像
920 圧着葉書のシート画像
950 下流側の圧着葉書(成果物)
951 下流側の圧着葉書の成果物画像
960 上流側の圧着葉書(成果物)
961 上流側の圧着葉書の成果物画像
1000 設定部
1100 画像認識処理部
1200 照合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12