(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161674
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】電気湯沸器
(51)【国際特許分類】
F24H 1/10 20220101AFI20241113BHJP
F24H 15/281 20220101ALI20241113BHJP
F24H 15/335 20220101ALI20241113BHJP
F24H 15/37 20220101ALI20241113BHJP
F24H 15/10 20220101ALI20241113BHJP
【FI】
F24H1/10 C
F24H15/281
F24H15/335
F24H15/37
F24H15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076533
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】松村 良司
(72)【発明者】
【氏名】柿田 恭史
【テーマコード(参考)】
3L034
【Fターム(参考)】
3L034BA12
(57)【要約】
【課題】回転操作部を操作するだけで、電源スイッチを開閉動作させることができるとともに電気ヒータの出力を調整することができる電気湯沸器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の電気湯沸器は、入水部1から供給される水を加熱する電気ヒータ2と、電気ヒータ2の出力を調整するボリューム4と、ボリューム4を手動操作する回転操作部5と、電気ヒータ2への通電と遮断とを行う電源スイッチ6とを有し、回転操作部5を回転することで電源スイッチ6を開閉動作させることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入水部から供給される水を加熱する電気ヒータと、
前記電気ヒータの出力を調整するボリュームと、
前記ボリュームを手動操作する回転操作部と、
前記電気ヒータへの通電と遮断とを行う電源スイッチと
を有する電気湯沸器であって、
前記回転操作部を回転することで前記電源スイッチを開閉動作させる
ことを特徴とする電気湯沸器。
【請求項2】
前記ボリュームによって、可変抵抗値が最大抵抗値から最小抵抗値に変化し、
前記ボリュームが、前記回転操作部を回転しても前記最大抵抗値が変わらない不感帯領域を有し、
前記電源スイッチによる前記通電を、前記不感帯領域で行う
ことを特徴とする請求項1に記載の電気湯沸器。
【請求項3】
前記電源スイッチによる前記通電が行われた後、前記回転操作部を回転しても所定のポジションまでは前記不感帯領域とする
ことを特徴とする請求項2に記載の電気湯沸器。
【請求項4】
前記入水部から供給される前記水を加圧する加圧ポンプを有し、
前記加圧ポンプが、前記電源スイッチの開閉動作によって駆動する
ことを特徴とする請求項3に記載の電気湯沸器。
【請求項5】
前記電源スイッチを、交流電源のライブ端子と前記電気ヒータとの間の電気回路に配置した
ことを特徴とする請求項1に記載の電気湯沸器。
【請求項6】
前記ボリュームの回転軸を中心にして円周方向に移動するカムを有し、
前記カムによって前記電源スイッチを開閉動作させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電気湯沸器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定運転モードを有する電気湯沸器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電源スイッチと、ヒータ出力調整ボリューム(熱源調整ボリューム)を備えた電気湯沸器であり、使用時は、出湯スイッチを押して、電源スイッチをONした後に、ボリュームを回転させて温度調節を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の電気湯沸器では、電源スイッチのONの後、温度調整をする場合は、ボリュームの調整が必要となり、2つの操作が必要となる。
【0005】
本発明は、回転操作部を操作するだけで、電源スイッチを開閉動作させることができるとともに電気ヒータの出力を調整することができる電気湯沸器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の電気湯沸器は、入水部1から供給される水を加熱する電気ヒータ2と、前記電気ヒータ2の出力を調整するボリューム4と、前記ボリューム4を手動操作する回転操作部5と、前記電気ヒータ2への通電と遮断とを行う電源スイッチ6とを有する電気湯沸器であって、前記回転操作部5を回転することで前記電源スイッチ6を開閉動作させることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の電気湯沸器において、前記ボリューム4によって、可変抵抗値が最大抵抗値から最小抵抗値に変化し、前記ボリューム4が、前記回転操作部5を回転しても前記最大抵抗値が変わらない不感帯領域Mを有し、前記電源スイッチ6による前記通電を、前記不感帯領域Mで行うことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の電気湯沸器において、前記電源スイッチ6による前記通電が行われた後、前記回転操作部5を回転しても所定のポジションまでは前記不感帯領域Mとすることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の電気湯沸器において、前記入水部1から供給される前記水を加圧する加圧ポンプ3を有し、前記加圧ポンプ3が、前記電源スイッチ6の開閉動作によって駆動することを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1に記載の電気湯沸器において、前記電源スイッチ6を、交流電源のライブ端子Lと前記電気ヒータ2との間の電気回路2cに配置したことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1に記載の電気湯沸器において、前記ボリューム4の回転軸4aを中心にして円周方向に移動するカム20を有し、前記カム20によって前記電源スイッチ6を開閉動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回転操作部を操作するだけで、電源スイッチを開閉動作させることができるとともに電気ヒータの出力を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例による電気湯沸器の概略構成図
【
図4】同電気湯沸器のボリューム位置と抵抗値との関係、及びボリューム位置と電源スイッチの開閉動作とを示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による電気湯沸器は、回転操作部を回転することで電源スイッチを開閉動作させるものである。
本実施の形態によれば、回転操作部を操作するだけで、電源スイッチを開閉動作させることができるとともに電気ヒータの出力を調整することができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による電気湯沸器において、ボリュームによって、可変抵抗値が最大抵抗値から最小抵抗値に変化し、ボリュームが、回転操作部を回転しても最大抵抗値が変わらない不感帯領域を有し、電源スイッチによる通電を、不感帯領域で行うものである。
本実施の形態によれば、電源スイッチによる通電が行われるタイミングでは可変抵抗値が最大抵抗値であるため、電源スイッチによる通電が行われるタイミングで電気ヒータに過大電流が流れることを防止できる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による電気湯沸器において、電源スイッチによる通電が行われた後、回転操作部を回転しても所定のポジションまでは不感帯領域とするものである。
本実施の形態によれば、電源スイッチによる通電が行われた後、回転操作部を回転しても所定のポジションまでは不感帯領域であるため、電源スイッチによる通電が行われた後であっても、電気ヒータによって加熱されない水を利用することができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による電気湯沸器において、入水部から供給される水を加圧する加圧ポンプを有し、加圧ポンプが、電源スイッチの開閉動作によって駆動するものである。
本実施の形態によれば、電源スイッチによる通電が行われた後、回転操作部を回転しても所定のポジションまでは不感帯領域であるため、電気ヒータによる加熱を行うことなく加圧ポンプを駆動して加熱されない水を利用することができる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第1の実施の形態による電気湯沸器において、電源スイッチを、交流電源のライブ端子と電気ヒータとの間の電気回路に配置したものである。
本実施の形態によれば、電源スイッチの開(オープン)動作によって電気ヒータへの遮断を確実に行えるため安全性が高い。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第1の実施の形態による電気湯沸器において、ボリュームの回転軸を中心にして円周方向に移動するカムを有し、カムによって電源スイッチを開閉動作させるものである。
本実施の形態によれば、カムによって電源スイッチ(=大電流の入り切りが可能な、接点を有する機械スイッチ)を開閉動作させることで、例えば3Kwを超える電気ヒータの出力を調整するボリュームであっても電源スイッチを開閉動作させることができる。
【実施例0015】
以下、本発明の一実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1は本実施例による電気湯沸器の概略構成図である。
図1(a)から(c)に示すように、本実施例による電気湯沸器は、入水部1から供給される水を加熱する電気ヒータ2と、入水部1から供給される水を加圧する加圧ポンプ3と、電気ヒータ2の出力を調整するボリューム4と、ボリューム4を手動操作する回転操作部5と、電気ヒータ2への通電と遮断とを行う電源スイッチ6と、加熱された湯を吐出する出湯部7と、制御部8と、漏電遮断器9とを有している。
漏電遮断器9は、外部の交流電源に接続されている。
入水部1から供給される水は、電気ヒータ2で加熱され、加熱された湯は、出湯部7から吐出される。出湯部7には、例えばシャワーヘッドを端部に備えたシャワーホースが接続される。
【0016】
図1(d)に示すように、電気湯沸器の外装面には回転操作部5を有している。回転操作部5を時計回りに回転させることで、電源スイッチ6が閉(クローズ)となって通電状態となる。通電状態となった後には、更に回転操作部5を時計回りに回転させることで、電気ヒータ2における加熱温度は高くなる。
【0017】
図1(e)に示すように、漏電遮断器9を介して、交流電源のライブ端子Lと電気ヒータ2との間の電気回路2cに電源スイッチ6を配置している。電気回路2cには、制御部8、サーモスタット11、12、及びトライアック13が接続されている。
加圧ポンプ3への給電回路3cは電気ヒータ2と並列に接続され、加圧ポンプ3は電源スイッチ6の開閉動作によって駆動する。
このように、電源スイッチ6の開動作によって電気ヒータ2への遮断を確実に行えるため安全性が高い。
【0018】
図2は本実施例による電気湯沸器の回路図であり、
図2を用いて回路の動作を説明する。
回転操作部5を時計回りに回転させることで、電源スイッチ6が閉となって通電状態となる。通電状態となると、コンデンサー14における静電容量Vc1が増大し、トリガ・ダイオード15(DIAC)が動作電圧となる。動作電圧になると、トライアック13が動作する(トリガポイント)。そして、T1とT2との間に電流が流れ、電気ヒータ2が加熱される。
トリガ・ダイオード15がトリガポイントに至る時間は、ボリューム4によるVRの位置で決まる。
【0019】
図3は本実施例による電気湯沸器の電気ヒータ出力を示す説明図であり、
図3(a)は電気ヒータ出力がMINの位置、
図3(b)は電気ヒータ出力がMAXの位置を示している。
図3(a)に示すように、電気ヒータ出力がMINの位置では、可変抵抗値が最大抵抗値となり
図2に示す電流iは最小値となるため、コンデンサー14へのチャージ時間が長くなり、トリガポイントまでの時間も長くなる。その結果、トライアック13の動作は遅れ、電気ヒータ2への通電時間は短くなる。
図3(b)に示すように、電気ヒータ出力がMAXの位置では、可変抵抗値が最小抵抗値となり
図2に示す電流iは最大値となるため、コンデンサー14へのチャージ時間が短くなり、トリガポイントまでの時間も短くなる。その結果、トライアック13の動作は早く、電気ヒータ2への通電時間は長くなる。
【0020】
図4は本実施例による電気湯沸器のボリューム位置と抵抗値との関係、及びボリューム位置と電源スイッチの開閉動作とを示す図である。
図4(a)に示すように、ボリューム4によって、可変抵抗値は最大抵抗値から最小抵抗値まで変化するが、ボリューム4は、回転操作部5を回転しても最大抵抗値が変わらない不感帯領域Mを有している。
電源スイッチ6による通電は、不感帯領域Mで行う。
図4(a)に示す矢印Aは、電源スイッチ6による通電が行われるタイミングを示している。
このように、電源スイッチ6による通電が行われるタイミングAでは可変抵抗値が最大抵抗値であるため、電源スイッチ6による通電が行われるタイミングAで電気ヒータ2に過大電流が流れることを防止できる。
また、電源スイッチ6による通電が行われた後、回転操作部5を回転しても、所定のポジションまでは不感帯領域Mとしている。
このように、電源スイッチ6による通電が行われた後、回転操作部5を回転しても、所定のポジションまでは不感帯領域Mであるため、電源スイッチ6による通電が行われた後であっても、電気ヒータ2によって加熱されない水を利用することができる。
【0021】
図4(b)及び
図4(c)に示すように、ボリューム4の回転軸4aを中心にして円周方向に移動するカム20を有している。本実施例では、カム20はボリューム4に設けている。
図4(b)は電源スイッチ6(例えば、ノーマルクローズタイプのマイクロスイッチ)が開、すなわち遮断状態を示しており、
図4(c)は電源スイッチ6が閉、すなわち通電状態を示している。
このように、電源スイッチ6は、カム20によって開閉動作する。カム20によって電源スイッチ6を開閉動作させることで、例えば3Kwを超える電気ヒータ2の出力を調整するボリューム4であっても電源スイッチ6を開閉動作させることができる。
図4(b)に示すように、ボリューム4が停止位置から回転角度αの範囲で電源スイッチ6が開状態にある。
また、
図4(c)に示すように、ボリューム4が、停止位置から回転角度αを越えると電源スイッチ6が閉状態となるが、回転角度βの範囲では可変抵抗値は最大抵抗値である。
すなわち、ボリューム4が停止位置から回転角度α+βまでが不感帯領域Mとなっている。
このように、電源スイッチ6による通電が行われた後、回転操作部5を回転しても所定のポジションまでは不感帯領域Mであるため、電気ヒータ2による加熱を行うことなく加圧ポンプ3を駆動して加熱されない水を利用することができる。
以上のように、本実施例によれば、回転操作部5を操作するだけで、電源スイッチ6を開閉動作させることができるとともに電気ヒータ2の出力を調整することができる。
本実施例では、電源スイッチ6が、ノーマルクローズタイプのマイクロスイッチを採用した場合で説明したが、ノーマルオープンタイプを採用した場合でも、カム20の論理を入れ替えることで、本発明を実現することは可能となる。
【0022】
[上記実施例によりサポートされる構成]
上記実施例は、以下の構成をサポートする。
【0023】
(構成1)
入水部から供給される水を加熱する電気ヒータと、前記電気ヒータの出力を調整するボリュームと、前記ボリュームを手動操作する回転操作部と、前記電気ヒータへの通電と遮断とを行う電源スイッチとを有する電気湯沸器であって、前記回転操作部を回転することで前記電源スイッチを開閉動作させることを特徴とする電気湯沸器。
この構成によれば、回転操作部を操作するだけで、電源スイッチを開閉動作させることができるとともに電気ヒータの出力を調整することができる。
【0024】
(構成2)
前記ボリュームによって、可変抵抗値が最大抵抗値から最小抵抗値に変化し、前記ボリュームが、前記回転操作部を回転しても前記最大抵抗値が変わらない不感帯領域を有し、前記電源スイッチによる前記通電を、前記不感帯領域で行うことを特徴とする構成1に記載の電気湯沸器。
この構成によれば、電源スイッチによる通電が行われるタイミングでは可変抵抗値が最大抵抗値であるため、電源スイッチによる通電が行われるタイミングで電気ヒータに過大電流が流れることを防止できる。
【0025】
(構成3)
前記電源スイッチによる前記通電が行われた後、前記回転操作部を回転しても所定のポジションまでは前記不感帯領域とすることを特徴とする構成2に記載の電気湯沸器。
この構成によれば、電源スイッチによる通電が行われた後、回転操作部を回転しても所定のポジションまでは不感帯領域であるため、電源スイッチによる通電が行われた後であっても、電気ヒータによって加熱されない水を利用することができる。
【0026】
(構成4)
前記入水部から供給される前記水を加圧する加圧ポンプを有し、前記加圧ポンプが、前記電源スイッチの開閉動作によって駆動することを特徴とする構成1から構成3のいずれか1つの構成に記載の電気湯沸器。
この構成によれば、電源スイッチによる通電が行われた後、回転操作部を回転しても所定のポジションまでは不感帯領域であるため、電気ヒータによる加熱を行うことなく加圧ポンプを駆動して加熱されない水を利用することができる。
【0027】
(構成5)
前記電源スイッチを、交流電源のライブ端子と前記電気ヒータとの間の電気回路に配置したことを特徴とする構成1から構成4のいずれか一つの構成に記載の電気湯沸器。
この構成によれば、電源スイッチの開動作によって電気ヒータへの遮断を確実に行えるため安全性が高い。
【0028】
(構成6)
前記ボリュームの回転軸を中心にして円周方向に移動するカムを有し、前記カムによって前記電源スイッチを開閉動作させることを特徴とする構成1から構成5のいずれか一つの構成に記載の電気湯沸器。
この構成によれば、カムによって電源スイッチを開閉動作させることで、例えば3Kwを超える電気ヒータの出力を調整するボリュームであっても電源スイッチを開閉動作させることができる。