IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 合同会社クロップウォッチの特許一覧

特開2024-161683移動量検知方法、移動量検知センサ、移動量検知システム及びプログラム
<>
  • 特開-移動量検知方法、移動量検知センサ、移動量検知システム及びプログラム 図1
  • 特開-移動量検知方法、移動量検知センサ、移動量検知システム及びプログラム 図2
  • 特開-移動量検知方法、移動量検知センサ、移動量検知システム及びプログラム 図3
  • 特開-移動量検知方法、移動量検知センサ、移動量検知システム及びプログラム 図4
  • 特開-移動量検知方法、移動量検知センサ、移動量検知システム及びプログラム 図5
  • 特開-移動量検知方法、移動量検知センサ、移動量検知システム及びプログラム 図6
  • 特開-移動量検知方法、移動量検知センサ、移動量検知システム及びプログラム 図7
  • 特開-移動量検知方法、移動量検知センサ、移動量検知システム及びプログラム 図8
  • 特開-移動量検知方法、移動量検知センサ、移動量検知システム及びプログラム 図9
  • 特開-移動量検知方法、移動量検知センサ、移動量検知システム及びプログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161683
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】移動量検知方法、移動量検知センサ、移動量検知システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
G01B21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076569
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】522317110
【氏名又は名称】合同会社クロップウォッチ
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】ケビン ケントレル
【テーマコード(参考)】
2F069
【Fターム(参考)】
2F069AA01
2F069AA06
2F069AA83
2F069DD16
2F069GG07
2F069JJ11
(57)【要約】
【課題】外部からの外力に強く、無人化を図る。
【解決手段】外部に設置された所定の物体の移動量を検知する移動量検知センサが実行する移動量検知方法は、現在位置を検知するステップと、現在位置の変化を検知しかつ、所定より大きい移動量又は回転の変化量である場合には、所定のコンピュータに、変化した位置を通知するステップと、を備える。移動量検知センサは、外装に全面が覆われた移動量検知センサであって、所定のコンピュータと通信を行うアンテナ部と、現在位置を検知する位置検知部と、前記位置検知部が現在位置の変化を検知しかつ、所定より大きい移動量又は回転の変化量である場合には、前記アンテナ部を介して前記コンピュータに、変化した位置を通知する通知部と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に設置された所定の物体の移動量を検知する移動量検知センサが実行する移動量検知方法であって、
現在位置を検知するステップと、
現在位置の変化を検知しかつ、所定より大きい移動量又は回転の変化量である場合には、所定のコンピュータに、変化した位置を通知するステップと、
を備える移動量検知方法。
【請求項2】
外装に全面が覆われた移動量検知センサであって、
所定のコンピュータと通信を行うアンテナ部と、
現在位置を検知する位置検知部と、
前記位置検知部が現在位置の変化を検知しかつ、所定より大きい移動量又は回転の変化量である場合には、前記アンテナ部を介して前記コンピュータに、変化した位置を通知する通知部と、
を備える移動量検知センサ。
【請求項3】
3次元方向の加速度を検知する加速度センサ、
を更に備え、
前記通知部は、前記加速度センサが加速度を検知しかつ、所定より大きい加速度である場合には、前記アンテナ部を介して前記コンピュータに、検知した加速度を通知する、
請求項2に記載の移動量検知センサ。
【請求項4】
請求項2に記載の移動量検知センサと前記コンピュータから構成される移動量検知システムであって、
前記コンピュータは、前記変化した位置を前記移動量検知センサから受信すると、
地図上に当該移動量検知センサの現在位置が変化したことを通知する、
移動量検知システム。
【請求項5】
前記移動量検知センサが、鳥獣からの侵入を阻止するフェンスに備えられ、
前記コンピュータは、前記変化した位置を前記移動量検知センサから受信すると、
前記鳥獣が侵入又は侵入のためにフェンスに与えた衝撃位置を通知する、
請求項4に記載の移動量検知システム。
【請求項6】
3次元方向の加速度を検知する加速度センサを備える前記移動量検知センサが、2つ設けられ、
2つの前記移動量検知センサが検知した移動量又は回転の変化量の差と、加速度の差とに基づいて、
2つの前記移動量検知センサの間の位置に侵入しようとした鳥獣の侵入位置又は侵入のためにフェンスに与えた衝撃位置を算出する、
請求項5に記載の移動量検知システム。
【請求項7】
外部に設置された所定の物体の移動量を検知する移動量検知センサに、
現在位置を検知するステップ、
現在位置の変化を検知しかつ、所定より大きい移動量又は回転の変化量である場合には、所定のコンピュータに、変化した位置を通知するステップ、
を実行させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部に設置された所定の物体の移動量の検知に有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害等の監視をするシステムが知られている。
例えば、非特許文献1では、モバイル回線によるワイヤレス通信可能なクラウド対応の監視カメラシステムが開示されている。この監視カメラシステムにおいて、担当者が、カメラが撮影した監視画像をスマートフォンやタブレット端末等を用いて確認したり、過去の監視画像と照合したりすることにより、天候の変化に伴う災害の傾向を把握している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】NTTデータカスタマーサービス株式会社,“クラウド対応カメラ監視システムで災害状況をリアルタイムに把握。ICTの活用で、市民の安心・安全確保を全面サポート -山武市役所様-”,[online],[令和5年4月21日検索],インターネット<URL:https://www.nttdatacs.co.jp/casestudy/12.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1に記載されたシステムは、カメラ等のセンサを必要とするため、このようなセンサに直接的な外力がかかった場合に、耐久性が弱く、破損してしまうという問題がある。加えて、画像による自動検知に限界があり、撮影した画像を人が観て判断する必要がある。すなわち、人の労力を必要とし、完全な無人化を図ることが困難であった。
また、災害のみならず、災害以外の監視、例えば、鳥獣の監視においても、同様の問題が生じてしまう。
そのため、外部からの外力に強く、無人化を図ることができるセンサシステムが求められている。
【0005】
本発明は、外部に設置された所定の物体の移動量の検知において、外部からの外力に強く、無人化を図ることができる移動量検知方法、移動量検知センサ、移動量検知システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、外部に設置された所定の物体の移動量を検知する移動量検知センサが実行する移動量検知方法であって、
現在位置を検知するステップと、
現在位置の変化を検知しかつ、所定より大きい移動量又は回転の変化量である場合には、所定のコンピュータに、変化した位置を通知するステップと、
を備える移動量検知方法を提供する。
【0007】
本発明によれば、移動量検知センサが検知した移動量又は回転の変化量が所定よりも大きい場合(移動量検知センサを設置した物体が鳥獣等による被害を受けた場合等)に、通知を実行する。
従って、外部からの外力に強く、無人化を図ることができる。
【0008】
本発明は、方法のカテゴリであるが、システム及びプログラムであっても、カテゴリ特有の同様の作用、効果を奏する。
【0009】
また、本発明は、外装に全面が覆われた移動量検知センサであって、
所定のコンピュータと通信を行うアンテナ部と、
現在位置を検知する位置検知部と、
前記位置検知部が現在位置の変化を検知しかつ、所定より大きい移動量又は回転の変化量である場合には、前記アンテナ部を介して前記コンピュータに、変化した位置を通知する通知部と、
を備える移動量検知センサを提供する。
【0010】
本発明によれば、外装により、移動量検知センサ自身が外部からの外力に対した強くなるとともに、検知した移動量又は回転の変化量が所定よりも大きい場合(移動量検知センサを設置した物体が鳥獣等による被害を受けた場合等)に、通知を実行する。
従って、外部からの外力に強く、無人化を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外部からの外力に強く、無人化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】移動量検知システム1の概要を示す図である。
図2】移動量検知センサ2を説明する図であり、(2a)は、移動量検知センサ2の外観を示す斜視図であり、(2b)は、移動量検知センサ2の分解斜視図である。
図3】移動量検知センサ2を設置した状態を示す図である。
図4】移動量検知システム1の概要を説明するブロック図である。
図5】移動量検知システム1が実行する移動量検知センサ2が変化した位置を通知する工程のフローチャートを示す図である。
図6】移動量検知センサ2が電柱に設置された状態を示す図であり、(6a)は、移動量検知センサ2が電柱の最上部に設置された状態を示す図であり、(6b)は、電柱が所定の地点から折れた状態を示す図である。
図7】移動量検知センサ2が、鳥獣の侵入を阻止するフェンスに備えられた状態を示す図である。
図8】移動量検知システム1が実行する地図上に移動量検知センサ2の現在位置が変化したことを通知する工程のフローチャートを示す図である。
図9】コンピュータ10が地図上に移動量検知センサ2の現在位置が変化したことを通知する状態を示す図である。
図10】コンピュータ10が移動量検知センサ2の傾きを通知する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0014】
[移動量検知システム1の概要]
図1は、移動量検知システム1の概要を説明する図である。
図2aは、移動量検知センサ2の斜視図、図2bは、移動量検知センサ2の分解斜視図である。
図3は、移動量検知センサ2を設置した状態を示す図である。
図4は、移動量検知システム1の概要を説明するブロック図である。
図1図2図4を参照し、移動量検知システム1の構成物について説明する。
移動量検知システム1は、外部に設置された所定の物体(電柱、鳥獣の侵入を阻止するフェンス等)の移動量を検知するシステムであり、移動量検知センサ2及びコンピュータ10を備える。
【0015】
図2で示すように、移動量検知センサ2は、外装20により全面が覆われている。この外装20は、樹脂(PVC(polyvinyl chloride)等)製であり、所定の厚み(2mm程度等)を有する物体である。外装20は、その内部が空洞となっている。外装20は、回路22の全面を覆う形状であれば特に限定されるものではなく、本実施形態では、筒状である。外装20は、一方の端部にアンテナ部21を備える。このアンテナ部21は、外装20と同様に、樹脂製である。アンテナ部21は、回路22に備えられた通信部に接続されており、LoRaWANにより、コンピュータ10と通信を行う。
外装20は、第1部材20aと、第2部材20bとからなる。第1部材20aに、アンテナ部21は設けられている。第1部材20a及び第2部材20bは、その内部が空洞であり、その端部同士を嵌め込むことにより、回路22をこの空洞内部に収めた状態で、全面を覆う。移動量検知センサ2は、この外装20の存在により、防水や外部からの外力に対して強固な構造となる。
回路22は、センサの機能に必要な複数の回路が接続されたものである。回路22は、図4で示すように、CPU(Central Processing Unit)、バッテリー、通信部、GPS(Global Positioning System)センサ、加速度センサ、温度センサ等からなる。CPUは、回路22全体の制御やデータの演算等を行うものである。バッテリーは、回路22全体に電力を供給するものである。通信部は、LoRaWANにより、移動量検知センサ2を、公衆回線網等のネットワーク8にワイヤレス接続し、コンピュータ10と通信を行うものである。GPSセンサは、移動量検知センサ2自身の位置情報を、GPSから取得するものである。加速度センサは、移動量検知センサ2自身の3次元方向の加速度を検知するものである。温度センサは、移動量検知センサ2周辺の温度を検知するものである。
このような移動量検知センサ2が、所定の物体の移動量を検知する。
図3で示すように、移動量検知センサ2は、所定の物体の任意の場所に設置される。同図では、鳥獣の侵入を阻止するフェンス30に取り付けられている。
【0016】
コンピュータ10は、例えば、プロセッサと、移動量検知センサ2とデータ通信を行う通信部と、地図上に移動量検知センサ2の現在位置が変化したことを通知する通知部と、各種データを記憶する記憶部とを備えており、1台のコンピュータで実現されても良いし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されても良い。なお、本明細書におけるクラウドコンピュータとは、ある特定の機能を果たす際に、任意のコンピュータをスケーラブルに用いるものや、あるシステムを実現するために複数の機能モジュールを含み、その機能を自由に組み合わせて用いるものの何れであっても良い。
コンピュータ10は、プロセッサとして、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
コンピュータ10は、ネットワーク8を介して、移動量検知センサ2と接続される。
コンピュータ10は、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部等を備える。
コンピュータ10は、地図上に移動量検知センサ2の現在位置が変化したことを通知する通知部等を備える。
【0017】
[装置構成]
図1及び図4に示すように、移動量検知システム1は、外部に設置された所定の物体の移動量を検知するシステムであり、少なくとも、移動量検知センサ2及びコンピュータ10が、公衆回線網等のネットワーク8を介して、データ通信可能に接続される。
なお、移動量検知システム1の構成物は、あくまでも一例であり、図示していない端末や装置類等については、その数、種類及び機能については、適宜変更可能である。
また、移動量検知センサ2の数についても、同様に、適宜変更可能である。更に、回路22を構成する各構成物についても、その一部のみにより構成されていても良いし、その他のセンサやモジュール等を有していても良く、その他のセンサやモジュール等についても、その種類及び機能については、適宜変更可能である。
【0018】
移動量検知センサ2は、上述した通り、所定の厚みを有する外装20により全面が覆われており、その内部に、自身が設置された物体の移動量、回転の変化量、加速度等を検知するために必要な回路22を備える。移動量検知センサ2は、GPSセンサにより自身の現在位置を検知し、加速度センサにより自身の3次元方向の加速度を検知し、アンテナ部21を介して、コンピュータ10と通信を行う。
【0019】
コンピュータ10は、プロセッサとして、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス、また、地図上に移動量検知センサ2の現在位置が変化したことを通知する通知部等を備える。
【0020】
移動量検知システム1が、外部に設置された所定の物体の移動量を検知する際の処理ステップの概要について図1を参照して説明する。
【0021】
移動量検知センサ2は、現在位置を検知する(ステップS1)。
移動量検知センサ2は、GPSから自身の現在位置を取得し、現在位置を検知する。
【0022】
移動量検知センサ2は、現在の変化を検知しかつ、所定より大きい移動量又は回転の変化量である場合には、所定のコンピュータ10に、変化した位置を通知する(ステップS2)。
移動量検知センサ2は、検知した現在位置に基づいて、所定より大きい移動量又は回転の変化量であるか否かを判断する。移動量検知センサ2は、所定より大きい移動量又は回転の変化量であると判断した場合には、コンピュータ10に、検知した現在位置を変化した位置として通知する。
【0023】
コンピュータ10は、変化した位置を移動量検知センサ2から受信する(ステップS3)と、地図上に移動量検知センサ2の現在位置が変化したことを通知する(ステップS4)。
コンピュータ10は、移動量検知センサ2が通知した変化した位置を受信する。
コンピュータ10は、受信した移動量検知センサ2が変化した位置に基づいて、地図上に移動量検知センサ2の現在位置が変化したことを通知する。
【0024】
移動量検知システム1が、ステップS1及びS2において変化した位置を通知する際の処理ステップの概要について図5図6図7を参照して説明する。
【0025】
移動量検知センサ2は、現在位置を検知する(ステップS10)。
移動量検知センサ2は、GPSセンサにより、GPSから自身の現在位置を取得し、現在位置を検知する。
【0026】
移動量検知センサ2は、加速度を検知する(ステップS11)。
移動量検知センサ2は、加速度センサにより、自身の3次元方向の加速度を検知する。
【0027】
移動量検知センサ2は、移動量又は回転の変化量を特定する(ステップS12)。
移動量検知センサ2は、検知した現在位置及び加速度に基づいて、設置した時点における自身の位置から、検知時における自身の位置への移動量又は回転の変化量を特定する。
【0028】
ここで、移動量検知センサ2が、実際に物体に設置された状態において、どのような処理を実行するかについて図6図7を参照して説明する。
【0029】
図6は、移動量検知センサ2が、電柱に設置された状態を模式的に示す図である。図6aは、電柱40及びこの電柱40の最上部に移動量検知センサ2が設置された状態を示しており、図6bは、電柱40が所定の地点から折れた状態を示している。
移動量検知センサ2は、電柱40に対して何らかの衝撃が加わった場合に(鳥獣が電柱に衝突した等)、自身の現在位置及び加速度を検知する。移動量検知センサ2は、検知した加速度に基づいて、自身の設置位置からの傾きの変化量を検知する。移動量検知センサ2は、検知した傾きの変化量(X,Y,Z)に基づいて、自身の傾き角度を検知する。移動量検知センサ2は、検知した現在位置と、傾き角度とに基づいて、電柱40が折れ曲がった位置41を特定する。
移動量検知センサ2は、この折れ曲がった位置41と、設置した時点における自身の位置とに基づいて、移動量又は回転の変化量を特定する。移動量検知センサ2は、この折れ曲がった位置41から、設置した時点における自身の位置に変化するために必要な移動量又は回転の変化量を特定し、特定した結果を、移動量又は回転の変化量とみなす。
【0030】
図7は、移動量検知センサ2が、鳥獣の侵入を阻止するフェンスに備えられた状態を模式的に示す図である。同図において、移動量検知センサ2は、フェンス50に複数個(2個)設置されている。鳥獣51が、2個の移動量検知センサ2の間の位置に侵入しようとした場合を例として説明する。
各移動量検知センサ2は、フェンス50に対して鳥獣51が侵入又は侵入のために衝突した場合に、自身の現在位置及び加速度を検知する。各移動量検知センサ2は、検知した加速度に基づいて、自身の設置位置からの傾きの変化量を検知する。移動量検知センサ2は、傾きの変化量に基づいて、自身の傾き角度を検知する。移動量検知センサ2は、検知した現在位置と、傾き角度とに基づいて、フェンス50が折れ曲がった位置52を特定する。移動量検知センサ2は、移動した変化量(X,Y,Z)を、ニュートン力に変換し、Haversine_formulaを使用し、折れ曲がった位置(鳥獣51の侵入位置又は侵入のためにフェンス50に与えた衝撃位置)52を算出する。
各移動量検知センサ2は、この折れ曲がった位置52と、設置した時点における自身の各位置とに基づいて、移動量又は回転の変化量を特定する。各移動量検知センサ2は、この折れ曲がった位置52から、設置した時点における自身の各位置に変化するために必要な移動量又は回転の変化量を特定し、特定した結果を、移動量又は回転の変化量とみなす。
【0031】
図5に戻り、処理の続きを説明する。
移動量検知センサ2は、移動量又は回転の変化量が、所定の値よりも大きいか否かを判断する(ステップS13)。
所定の値は、予め設定された値であれば良く、適宜設計可能である。
移動量検知センサ2は、移動量又は回転の変化量が、所定の値よりも小さいと判断した場合(ステップS13 NO)、本処理を終了する。
【0032】
一方、移動量検知センサ2は、移動量又は回転の変化量が、所定の値よりも大きいと判断した場合(ステップS13 YES)、アンテナ部21を介してコンピュータ10に、変化した位置を通知する(ステップS14)。
移動量検知センサ2は、アンテナ部21を介してコンピュータ10に、変化した位置を送信することにより、コンピュータ10に、変化した位置を通知する。
移動量検知センサ2は、電柱40に設置されている場合には、電柱40が折れ曲がった位置41をコンピュータ10に通知することになり、フェンス50に設置されている場合には、鳥獣51が侵入又は侵入のためにフェンス50に与えた衝撃位置を通知することになる。
【0033】
なお、移動量検知センサ2は、変化した位置のみを、コンピュータ10に通知しているが、これに合わせて、検知した加速度についても同様に、加速度が所定の値よりも大きいか否かを判断し、所定より大きい場合には、アンテナ部21を介してコンピュータ10に、検知した加速度を通知しても良い。
【0034】
以上が、移動量検知システム1が、ステップS1及びS2において変化した位置を通知する際の処理ステップの概要である。
【0035】
移動量検知システム1が、ステップS3及びS4において地図上に移動量検知センサ2の現在位置が変化したことを通知する際の処理ステップの概要について図8図9図10を参照して説明する。
【0036】
コンピュータ10は、変化した位置を受信する(ステップS20)。
コンピュータ10は、移動量検知センサ2が通知した変化した位置を受信する。
【0037】
コンピュータ10は、地図上に移動量検知センサ2の現在位置が変化したことを通知する(ステップS21)。
コンピュータ10は、移動量検知センサ2毎に、その現在位置を地図上に表示する。コンピュータ10は、各移動量検知センサ2の位置を所定のアイコン(ピン、マーク、文字、記号等)により、地図上に表示する。この地図は、世界地図が基本であり、コンピュータ10の操作者による所定の入力操作(マウスによるクリック、タップ操作等)や、移動量検知センサ2からの通知により、拡大縮小がなされる。
コンピュータ10は、世界地図の状態から、現在位置が変化したことが通知された移動量検知センサ2のアイコンが配置された周辺の地図に拡大するとともに、アイコンの表示態様を変更(アイコンの点灯、色の変更等)し、地図上に移動量検知センサ2の現在位置が変化したことを通知する。
【0038】
図9は、コンピュータ10が表示する通知画面の例を模式的に示す図である。同図において、通知画面60が示されている。
通知画面60において、地図表示領域61及び移動量検知センサ2の情報表示領域62が示されている。地図表示領域61は、地図63が表示される領域である。情報表示領域62は、各移動量検知センサ2の情報(識別子、個数、管理者、状態等)が表示される領域である。
コンピュータ10は、表示している世界地図を拡大し、現在位置が変化したことが通知された移動量検知センサ2のアイコン64の周辺の地図63を表示する。コンピュータ10は、地図63において、今回、現在位置が変化した移動量検知センサ2に対応するアイコン64周辺に表示内容を世界地図から拡大し、アイコン64の表示態様を変更する。例えば、アイコン64は、点灯表示されるととともに、その色が変更される。
【0039】
図10は、コンピュータ10が表示する通知画面の別の例を模式的に示す図である。同図において、通知画面70が示されている。コンピュータ10は、通知画面60に表示された情報表示領域62における移動量検知センサ2の情報に対する入力操作、地図63に存在するアイコン64に対する入力操作等に基づいて、通知画面60から通知画面70に遷移しても良いし、それ以外の方法により、通知画面60から通知画面70に遷移しても良いし、通知画面60とは無関係な状態で、通知画面70に遷移しても良い。本実施形態において、アイコン64に対する入力操作に基づいて通知画面70に遷移したものとして説明する。
通知画面70において、移動量検知センサ2の情報表示領域71、移動量検知センサ2が設置された周辺の画像表示領域72、移動量検知センサ2の3次元モデルの3次元モデル表示領域73が示されている。
情報表示領域71は、移動量検知センサ2の状態(Status OK)、移動量検知センサ2の傾き角度(Tilt 0° off center)、移動量検知センサ2のバッテリー残量(Battery 98%)が表示される領域である。アイコン64に該当する移動量検知センサ2に関する情報が表示されている。移動量検知センサ2の状態は、例えば、正常か異常かが示される。移動量検知センサ2の傾き角度は、現在位置が変化した際の変化量を角度の数値として示される。この傾き角度は、3次元(X,Y,Z)で表示可能であり、所定の入力操作を受け付けることにより、任意の軸による角度が表示可能である。移動量センサ2のバッテリー残量は、アイコン64に該当する移動量検知センサ2のバッテリーの残量が示される。
画像表示領域72は、移動量検知センサ2が設置された場所周辺の航空画像が表示される領域である。アイコン64に該当する移動量検知センサ2が設置された場所周辺の航空画像が表示されている。画像表示領域72は、所定の入力操作に基づいて、航空画像の拡大及び縮小が可能である。なお、画像表示領域72が表示する画像は、航空画像に限定されるものではない。
3次元モデル表示領域73は、現在位置が変化した状態の移動量検知センサ2の3次元モデルが表示される領域である。3次元モデルは、情報表示領域71における傾き角度に応じて傾斜した状態で表示可能である。
【0040】
以上が、移動量検知システム1の概要である。
本移動量検知システム1によれば、外部からの外力に強く、無人化を図ることができる。
【0041】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態やクラウドサービスで提供されて良い。また、プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供されて良い。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしても良い。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0043】
本実施形態に開示される第1の態様は、外部に設置された所定の物体の移動量を検知する移動量検知センサが実行する移動量検知方法であって、
現在位置を検知するステップと、
現在位置の変化を検知しかつ、所定より大きい移動量又は回転の変化量である場合には、所定のコンピュータに、変化した位置を通知するステップと、
を備える移動量検知方法を提供する。
【0044】
本実施形態に開示される第2の態様は、外装に全面が覆われた移動量検知センサであって、
所定のコンピュータと通信を行うアンテナ部と、
現在位置を検知する位置検知部と、
前記位置検知部が現在位置の変化を検知しかつ、所定より大きい移動量又は回転の変化量である場合には、前記アンテナ部を介して前記コンピュータに、変化した位置を通知する通知部と、
を備える移動量検知センサを提供する。
【0045】
本実施形態に開示される第3の態様は、3次元方向の加速度を検知する加速度センサ、
を更に備え、
前記通知部は、前記加速度センサが加速度を検知しかつ、所定より大きい加速度である場合には、前記アンテナ部を介して前記コンピュータに、検知した加速度を通知する、
第2の態様に記載の移動量検知センサを提供する。
【0046】
本実施形態に開示される第4の態様は、第2の態様に記載の移動量検知センサと前記コンピュータから構成される移動量検知システムであって、
前記コンピュータは、前記変化した位置を前記移動量検知センサから受信すると、
地図上に当該移動量検知センサの現在位置が変化したことを通知する、
移動量検知システムを提供する。
【0047】
本実施形態に開示される第5の態様は、前記移動量検知センサが、鳥獣からの侵入を阻止するフェンスに備えられ、
前記コンピュータは、前記変化した位置を前記移動量検知センサから受信すると、
前記鳥獣が侵入又は侵入のためにフェンスに与えた衝撃位置を通知する、
第4の態様に記載の移動量検知システムを提供する。
【0048】
本実施形態に開示される第6の態様は、3次元方向の加速度を検知する加速度センサを備える前記移動量検知センサが、2つ設けられ、
2つの前記移動量検知センサが検知した移動量又は回転の変化量の差と、加速度の差とに基づいて、
2つの前記移動量検知センサの間の位置に侵入しようとした鳥獣の侵入位置又は侵入のためにフェンスに与えた衝撃位置を算出する、
第5の態様に記載の移動量検知システムを提供する。
【符号の説明】
【0049】
1 移動量検知システム
2 移動量検知センサ
8 ネットワーク
10 コンピュータ
20 外装
20a 第1部材
20b 第2部材
21 アンテナ部
22 回路
30 フェンス
40 電柱
41 折れ曲がった位置
50 フェンス
51 鳥獣
52 折れ曲がった位置
60 通知画面
61 地図表示領域
62 情報表示領域
63 地図
64 アイコン
70 通知画面
71 情報表示領域
72 画像表示領域
73 3次元モデル表示領域

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10