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特開2024-161691テープ貼付ユニット及びテープ貼付装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161691
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】テープ貼付ユニット及びテープ貼付装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20241113BHJP
   B65H 16/06 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
B65H35/07 L
B65H16/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076596
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】592026901
【氏名又は名称】マルゴ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100055
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 弘明
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀和
(72)【発明者】
【氏名】丸山 剛
【テーマコード(参考)】
3F052
3F062
【Fターム(参考)】
3F052BA20
3F052DA01
3F062BA08
3F062BC02
3F062BC08
3F062BF03
3F062BF31
3F062BG00
3F062FA21
(57)【要約】
【課題】幅広のテープであっても貼付精度や貼付品位の低下を防止することのできるテープ貼付装置を提供する。
【解決手段】テープ供給部120と、テープ架設経路上のテープの幅方向の位置及び架設方向を案内するテープ案内部115と、幅方向の一側に設置された第1の支持体111a及び幅方向の他側に設置された第2の支持体111b、並びに、第1の支持体と第2の支持体を幅方向に連結固定する連結部材111c、111d-111gを含む支持構造111とを備え、テープ供給部のテープリールの両端部、テープ案内部の案内ローラの両端部、及び、テープ貼付部の貼付ローラの両端部は、第1の支持体と第2の支持体によってそれぞれ支持されるか、或いは、前記連結部材によって支持される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープロールからテープ架設経路へテープを供給するテープ供給部と、前記テープ架設経路上の前記テープの幅方向の位置及び架設方向を案内するテープ案内部と、前記テープ架設経路を経た前記テープを貼付対象物に貼り付けるテープ貼付部と、前記幅方向の一側に設置された第1の支持体及び前記幅方向の他側に設置された第2の支持体、並びに、前記第1の支持体と前記第2の支持体を前記幅方向に連結固定する連結部材を含む支持構造と、を備え、
前記テープ供給部は、前記テープロールを保持するテープリールを備え、前記テープリールの前記幅方向の両端部は、前記第1の支持体と前記第2のリール枠によってそれぞれ支持されるか、或いは、前記連結部材によって支持され、
前記テープ案内部は、前記テープ架設経路に設置された案内ローラと、前記テープ架設経路上の前記テープの前記幅方向の位置及び架設方向を規制する経路規制機構と、を備え、前記案内ローラの前記幅方向の両端部は、前記第1の支持体と前記第2の支持体によってそれぞれ支持されるか、或いは、前記連結部材によって支持され、
前記テープ貼付部は、前記テープを貼り付けるための貼付ローラを備え、前記貼付ローラの前記幅方向の両端部は、前記第1の支持体と前記第2の支持体によってそれぞれ支持されるか、或いは、前記連結部材によって支持される、
ことを特徴とするテープ貼付ユニット。
【請求項2】
前記案内ローラがクラウンローラである、
請求項1に記載のテープ貼付ユニット。
【請求項3】
前記テープ案内部には、前記経路規制機構の架設方向の両側に第1の前記案内ローラと第2の前記案内ローラが設けられる、
請求項1又は2に記載のテープ貼付ユニット。
【請求項4】
前記経路規制機構は、前記テープの側縁に当接して案内規制する経路規制縁を備える、
請求項1又は2に記載のテープ貼付ユニット。
【請求項5】
前記経路規制機構は、前記テープの両側縁にそれぞれ対応する一対の前記経路規制縁を備える、
請求項4に記載のテープ貼付ユニット。
【請求項6】
前記テープリールは、巻芯と、前記巻芯に対して前記一側に取り付けられる第1のリール枠と、前記巻芯に対して前記他側に取り付けられる第2のリール枠とを備え、前記巻芯に対する前記第1のリール枠の軸線方向の位置と、前記巻芯に対する前記第2のリール枠の軸線方向の位置とがそれぞれ調整可能となるように構成される、
請求項1又は2に記載のテープ貼付ユニット。
【請求項7】
前記テープリールの前記幅方向の両端部の少なくとも一方が前記支持構造に対して着脱可能に構成される、
請求項1又は2に記載のテープ貼付ユニット。
【請求項8】
前記テープ案内部と前記テープ貼付部の間にある前記テープ架設経路上の切断位置で前記テープを切断するテープ切断部をさらに有する、
請求項1又は2に記載のテープ貼付ユニット。
【請求項9】
前記テープ架設経路上の前記切断位置と前記テープ案内部との間に設定されたクランプ位置で前記テープをクランプするとともに、前記テープ架設経路に沿って前記クランプ位置を前後に移動可能に構成するテープ保持部をさらに有する、
請求項8に記載のテープ貼付ユニット。
【請求項10】
前記テープ架設経路の所定箇所を一時的に延長させることにより前記テープを引き出し可能に構成するテープ引出部と、前記テープ引出部によって余分に引き出された前記テープを引き出し可能な態様で引き取るとともに、前記テープに所定の張力を付与するテープ引取部と、をさらに有する、
請求項1又は2に記載のテープ貼付ユニット。
【請求項11】
前記テープ引出部及び前記テープ引取部は、テープ架設経路上における前記テープ案内部に対して前記テープ貼付部とは反対側に設けられる、
請求項10に記載のテープ貼付ユニット。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の前記テープ貼付ユニットと、前記テープ貼付ユニットを移動させるユニット駆動機構と、前記テープ貼付ユニット及び前記ユニット駆動機構を被貼付物の被貼付面に貼り付けるように制御する制御部とを具備するテープ貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテープ貼付ユニット及びテープ貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、テープを各種対象物に貼り付けるためのテープ貼付ユニットは、仮止め、接着、密閉、表面保護、付加機能の付与などの機能を実現するための部材として、種々の分野で用いられている。近年、テープの用途が拡大してきていることから、テープの材質、厚み、幅などの種類も増大し、特に、テープ幅が大きな幅広のテープが多く用いられるようになってきている。
【0003】
従来の装置としては、テープサイズ変更に伴って幅方向の中心位置を変えずに対向間隔を変更することができる粘着テープ貼付装置が知られている(特許文献1参照)。また、テープリールと粘着テープ若しくはリール支持筒との間にライナ版を介在させることによって、リール構造をテープ幅に合わせることができるようにした構造も提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
また、比較的幅の狭い粘着テープに対応し、種々の対象物に任意にテープを貼り付けることが可能とされたテープ貼付ユニットの構造として、特許文献3及び4に示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-048455号報
【特許文献2】登実第3010771号公報
【特許文献3】特開2021-035876号公報
【特許文献4】特開2022-142917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述のように、テープ幅の変化に応じて各所を調整可能に構成されたテープ貼付ユニットは存在するものの、テープ幅が増大していくと、テープロールやテープ自体の重量の増大による影響やテープの粘着力による引出抵抗の増大による影響により、各ローラの軸精度が低下し、これに伴うテープの伸びや変形によって、貼付対象物に対するテープの貼付精度が低下したり、貼り付けられたテープにしわや破れが発生したり気泡が形成されたりするなどの貼付品位の低下が生じたりするという問題がある。
【0007】
また、前述のように、テープ幅の変化に応じて各所を調整可能に構成することによって、テープの案内精度が低下し、この案内精度の低下によって、貼付対象物に対するテープの貼付精度が低下するといった問題もある。
【0008】
そこで、本発明は上記問題を解決するものであり、その課題は、幅広のテープであっても貼付精度や貼付品位の低下を防止することのできるテープ貼付ユニット及びテープ貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るテープ貼付ユニットは、テープロールからテープ架設経路へテープを供給するテープ供給部と、前記テープ架設経路上の前記テープの幅方向の位置及び架設方向を案内するテープ案内部と、前記テープ架設経路を経た前記テープを貼付対象物に貼り付けるテープ貼付部と、前記幅方向の一側に設置された第1の支持体及び前記幅方向の他側に設置された第2の支持体、並びに、前記第1の支持体と前記第2の支持体を前記幅方向に連結固定する連結部材を含む支持構造と、を備え、
前記テープ供給部は、前記テープロールを保持するテープリールを備え、前記テープリールの前記幅方向の両端部は、前記第1の支持体と前記第2の支持体によってそれぞれ支持されるか、或いは、前記連結部材によって支持され、
前記テープ案内部は、前記テープ架設経路に設置された案内ローラと、前記テープ架設経路上の前記テープの前記幅方向の位置及び架設方向を規制する経路規制機構と、を備え、前記案内ローラの前記幅方向の両端部は、前記第1の支持体と前記第2の支持体によってそれぞれ支持されるか、或いは、前記連結部材によって支持され、
前記テープ貼付部は、前記テープを貼り付けるための貼付ローラを備え、前記貼付ローラの前記幅方向の両端部は、前記第1の支持体と前記第2の支持体によってそれぞれ支持されるか、或いは、前記連結部材によって支持されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、幅方向の一側に設置される第1の支持体と、幅方向の他側に設置される第2の支持体と、第1の支持体と第2の支持体を幅方向に連結固定する連結部材とを備えた支持構造を有し、テープ供給部におけるテープリールの両端部が第1の支持体と第2の支持体によってそれぞれ支持されるか、或いは、連結部材によって支持され、テープ案内部における案内ローラの両端部が第1の支持体と第2の支持体によってそれぞれ支持されるか、或いは、連結部材によって支持され、テープ貼付部の貼付ローラの両端部が第1の支持体と第2の支持体によってそれぞれ支持されるか、或いは、連結部材によって支持されることにより、テープリール、案内ローラ及び貼付ローラの支持剛性を増大させることができることから、各ローラの軸精度が高精度に設定できるため、幅広テープであっても、テープリールによる供給精度、テープ案内部による案内規制精度及びテープ貼付部による貼付精度を高く確保することができるので、テープの伸びや変形に起因する貼付精度及び貼付品位の低下を防止することが可能になる。
【0011】
本発明において、前記案内ローラがクラウンローラであることが好ましい。これによれば、テープ架設経路上において、経路規制機構の前後いずれかに配置される案内ローラがクラウンローラであることにより、テープ案内部では、テープの幅方向の位置が片側にずれようとしても当該案内ローラの中央側に修正されるように機能するので、テープの幅方向の位置及び架設方向が自律的に保持されるため、テープの伸びや変形に起因する貼付精度及び貼付品位の低下をさらに防止することが可能になる。また、テープの幅方向の位置や架設方向のずれが抑制されるので、経路規制機構による経路規制作用が過剰になりテープに損傷や変形をもたらすことも防止できる。
【0012】
本発明において、前記テープ案内部には、前記経路規制機構の架設方向の両側に第1の前記案内ローラと第2の前記案内ローラが設けられることが好ましい。これによれば、経路規制機構の架設方向の両側に案内ローラがそれぞれ配置されることで、経路規制機構に対するテープの位置や姿勢を安定させることができるため、経路規制作用を確実かつ安定的に得ることができる。また、経路規制機構に対してテープの幅方向の位置や架設方向のばらつきを低減する効果もあるため、経路規制時にテープが損傷を受けたり、過剰な歪みなどの急激な変形が生じたりすることを防止できる。したがって、テープ案内部の案内規制作用をより効果的に実現でき、テープの幅方向の位置及び架設方向の精度をさらに高めることができる。この場合において、前記第1の案内ローラと前記第2の案内ローラの少なくとも一方がクラウンローラであることが望ましく、双方がクラウンローラであることがさらに望ましい。
【0013】
本発明において、前記経路規制機構は、前記テープの側縁に当接して案内規制する経路規制縁を備えることが好ましい。この場合において、前記経路規制機構は、前記テープの両側縁にそれぞれ対応する一対の前記経路規制縁を備えることが望ましい。また、前記経路規制縁の前記幅方向の位置が調整可能に構成されることが好ましい。これにより、異なる幅のテープの側縁を案内することが可能になる。ここで、一対の前記経路規制縁は、前記テープの前記幅方向の中央位置を変えずにテープの側縁の位置及び方向を規制可能に構成されることが好ましい。これによれば、テープ幅が変化しても、テープ案内部において幅方向の中心位置を変えずに幅方向の位置や架設方向を案内可能になるため、テープ供給部やテープ貼付部に対する機械的なバランスを崩さずに動作させることが可能になる。ここで、前記経路規制機構は、上記経路規制縁を備えた経路規制部材と、当該経路規制部材を連結する一対の位置決め軸と、を有し、前記経路規制部材は、一対の位置決め軸のうちの一方の第1の位置決め軸に対して螺合し、他方の第2の位置決め軸に対して軸線方向に摺動可能に嵌合することが望ましい。これによれば、第1の位置決め軸を回転操作することで経路規制部材を幅方向に移動させることができ、第2の位置決め軸によって経路規制部材の姿勢を維持することができるので、経路規制縁の幅方向の位置と架設方向に沿った姿勢とを適宜に設定することができる。
【0014】
本発明において、前記テープリールは、巻芯と、前記巻芯に対して前記一側に取り付けられる第1のリール枠と、前記巻芯に対して前記他側に取り付けられる第2のリール枠とを備え、前記巻芯に対する前記第1のリール枠の軸線方向の位置と、前記巻芯に対する前記第2のリール枠の軸線方向の位置とがそれぞれ調整可能となるように構成されることが好ましい。これによれば、巻芯によって連結された第1のリール枠と第2のリール枠の間隔を変えることができるので、テープリールにより異なる幅を備えたテープロールを保持することが可能になる。特に、前記テープリールの前記幅方向の中央位置にテープロールの幅方向の中央位置を一致させた状態で、前記第1のリール枠と前記第2のリール枠の軸線方向の位置を設定することにより、使用するテープ幅が変化しても、テープ供給部においてテープリールの幅方向の中央位置を変えずにテープロールを保持できるため、テープ案内部やテープ貼付部に対する機械的なバランスを崩さずに動作させることが可能になる。
【0015】
本発明において、前記テープリールの前記幅方向の両端部の少なくとも一方が前記支持構造に対して着脱可能に構成されることが望ましい。このようにテープリールの両端部の少なくとも一方が支持構造に対して着脱可能に構成されることにより、テープロールを容易に交換可能に構成することができる。
【0016】
本発明において、前記テープ案内部と前記テープ貼付部の間にある前記テープ架設経路上の切断位置で前記テープを切断するテープ切断部をさらに有することが好ましい。これによれば、テープ案内部においてテープを幅方向の両側が案内されている状態に維持しつつ、切断によりテープの終端を形成することにより、テープ貼付部によって貼り付けられたテープの貼付作業を完了することができる。この場合において、前記テープ切断部は、前記テープ架設経路上の上記切断位置で前記テープを切断するカッタと、前記テープを切断する態様で前記カッタを前記幅方向に移動させるカッタ移動手段と、前記カッタによる前記テープの切断時において上記切断位置に隣接する位置で前記テープを前記幅方向に沿って押圧する押圧部材と、を備えることが望ましい。これによれば、押圧部材の押圧部によってカッタによる切断動作が実行される幅方向に沿ってテープを押圧することにより、テープに対して上記切断位置に隣接する位置で張力を与えることができるので、カッタが当接したときのテープの撓みなどの変形によって切断不良が生ずることを防止できる。なお、上記押圧部材は、前記テープ貼付部による前記テープの貼付面とは反対側の面を押圧することが望ましい。これによれば、貼付面に損傷を与えずに張力を与えることができるとともに、貼付面とは反対側から押圧部を当接させればよいので、機構も簡易に構成でき、ユニットの大型化も回避できる。また、上記押圧部材は、前記切断位置から離れた側から前記切断位置に向けて架設方向に延在し、その後、前記テープ架設経路に向けて突出するL字状の先端形状を備えることが望ましい。これによれば、カッタやカッタ移動手段と干渉することなしに、先端の押圧部による押圧位置を切断位置に近づけることが可能になる。
【0017】
本発明において、前記テープ架設経路上の前記切断位置と前記テープ案内部との間に設定されたクランプ位置で前記テープをクランプするとともに、前記テープ架設経路に沿って前記クランプ位置を前後に移動可能に構成するテープ保持部をさらに有することが好ましい。これによれば、テープ保持部によってテープ架設経路上のクランプ位置でテープをクランプすることによって、テープをテープ架設経路の前後方向に固定できるため、次回のテープ貼付けに備えてテープ先端を固定したり、テープ切断時にテープを保持したりすることができるとともに、クランプ位置をテープ架設経路の前後方向に移動させることにより、テープ先端を移動させることで、テープ貼付部によるテープの貼付開始に対応させたりすることが可能になる。上記テープ保持部は、テープのクランプ位置や前後動作の精度の観点から、前記テープ案内部と前記テープ貼付部の間に配置されていることが望ましい。また、テープの切断位置や切断動作の精度や確実性の観点から、テープ保持部とテープ貼付部の間にテープ切断部が配置されることが望ましい。
【0018】
本発明において、前記テープ架設経路の所定箇所を一時的に延長させることにより前記テープを引き出し可能に構成するテープ引出部と、前記テープ引出部によって余分に引き出された前記テープを引きだし可能な態様で引き取るとともに、前記テープに所定の張力を付与するテープ引取部と、をさらに有することが好ましい。これによれば、テープ引出部によってテープ架設経路の所定箇所を延長させてテープを余分に引き出し、その後、テープ架設経路を戻すことによって余分に引き出されたテープがテープ引取部によって引き取られた状態とされるとともに所定の張力が付与されるので、テープ引取部によって引き取られた分だけ、テープ供給部におけるテープロールからのテープの引出抵抗に影響されずに、上記所定の張力で下流側へ引き出すことが可能になる。このため、幅広テープであることなどによる粘着力の増加に起因する引出抵抗の増大によるテープ張力の変化やこれに伴うテープの伸びや変形を抑制することができる。特に、テープ保持部によりテープのクランプ位置を前方へ移動させる際や、テープ貼付開始時におけるテープ張力の不安定化やテープに過剰な張力が生ずることを防止できる。このテープ引出部及びテープ引取部は、前記テープ案内部よりも、テープ架設経路の上流側、すなわち、テープ貼付部(或いは、テープ保持部、テープ切断部及びテープ貼付部)に対して、テープ案内部の反対側(すなわち、テープ架設経路の下流側)に設置されることが好ましい。これにより、テープ引出動作やテープ引取動作などによるテープに対する貼付動作、切断動作、保持(クランプ)動作への影響を低減できる。
【0019】
本発明に係るテープ貼付装置は、前述のいずれかの前記テープ貼付ユニットと、前記テープ貼付ユニットを移動させるユニット駆動機構と、前記テープ貼付ユニット及び前記ユニット駆動機構を被貼付物の被貼付面に貼り付けるように制御する制御部とを具備する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、幅広のテープであっても貼付精度や貼付品位の低下を防止することのできるテープ貼付ユニット及びテープ貼付装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るテープ貼付装置の一実施形態の主要部であるテープ貼付ユニットの正面側の支持板を省略した様子を示す正面図である。
図2】同実施形態のテープ貼付ユニットの右側面図である。
図3】同実施形態のテープ貼付ユニットの背面側の支持板を省略した様子を示す背面図である。
図4】同実施形態のテープ貼付ユニットの平面図である。
図5】同実施形態のテープ貼付ユニットのテープ供給部のテープリールを中心とする部分を示す部分側面図である。
図6】同実施形態のテープリールから引き出されたテープの架設経路のうち、正面側及び背面側の支持体(支持板)を省略した状態で、上流側のテープ引取部、テープ引出部及びテープ案内部が設置された領域を斜め正面側から示す斜視図(a)、並びに、同領域を斜め背面側から示す斜視図(b)である。
図7】同実施形態のテープ貼付ユニットの底面図(a)及び経路規制部材の斜視図(b)である。
図8】同実施形態のテープ貼付ユニットのテープ架設経路を拡大して示す部分正面図(a)及び当該テープ架設経路の下流部分を拡大して模式的に示す拡大部分説明図(b)である。
図9】同実施形態のテープ貼付ユニットの正面側の支持板や外装カバーを省略した状態で斜め正面側やや下方から見た様子を示す斜視図である。
図10】上記テープ貼付ユニットを含むテープ貼付装置の全体構成を模式的に示す概略構成図である。
図11】テープ貼付装置の動作態様の一例を示すタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0023】
本発明に係るテープ貼付装置100は、図10に示すように、支持フレーム101に対して直接若しくは間接的に取り付けられたテープ貼付ユニット110と、作業台120と、ユニット駆動機構130を有し、各部を制御する制御部140を備える。本実施形態のテープ貼付装置100は、特に限定されるものではないが、作業台120上に配置された被貼付物121の被貼付面121aに粘着テープを貼り付けるための装置である。
【0024】
本実施形態のテープ貼付装置100は、このテープ貼付ユニット110に特徴を有するものである。テープ貼付ユニット110は、図示例の場合、ユニット駆動機構130に取付部110aが取り付けられることによって、吊り下げられた状態とされ、作業台120に対する相対的な平面方向であるX軸とY軸、上下方向であるZ軸に沿って移動可能に構成され、また、Z軸周りに回転可能に構成される。ただし、ユニット駆動機構130によるテープ貼付ユニット110の駆動態様は図示例に限らず、作業台120上に設置された被貼付物121の被貼付面121aに対して適宜の態様でテープを貼付可能に構成されていればよい。例えば、テープ貼付ユニット110のZ軸周りの回転やZ軸に沿った駆動の代わりに、作業台120をZ軸周りに回転可能に構成したり、Z軸方向に昇降可能に構成したりしてもよい。
【0025】
制御部140は、MPU(マイクロプロセッサユニット)などで構成することもできるが、特に限定されない。制御部140は、テープ貼付ユニット110の各部及びユニット駆動機構130を制御し、各部が適宜のタイミングで駆動されるように構成する。構成によっては作業台120を制御するように構成されていてもよい。
【0026】
次に、図1乃至図9を参照して、上記テープ貼付ユニット110の全体構成について説明する。テープ貼付ユニット110は、支持構造111と、この支持構造111によってそれぞれ支持された、テープ供給部112、テープ引取部113、テープ引出部114、テープ案内部115、テープ保持部116、テープ切断部117、及び、テープ貼付部118を備える。
【0027】
支持構造111は、第1の支持体(支持板)111a、第2の支持体(支持板)111b、第1の支持体111aと第2の支持体111bを連結固定する複数の連結軸111c及び横断部材111d、111e、111f、111gとを有する。上記連結軸111c及び上記横断部材111d-111gは、いずれも、前述の連結部材に相当する。ただし、連結軸111cは第1の支持体111aと第2の支持体111bを連結固定するための上記支持構造111内の専用部材であるのに対して、横断部材111d-111gは、テープ引出部114及びテープ案内部115、テープ保持部116、テープ切断部117、テープ切断部118の少なくとも一部をそれぞれ支持するための支持部材としても機能する。
【0028】
テープ供給部112にはテープリールが設けられ、このテープリールは、図5に示すように、巻芯112aと、この巻芯112aに対して軸線方向の一側に取り付けられた第1のリール枠112bと、巻芯112aに対して軸線方向の他側に取り付けられた第2のリール枠112cとを備える。巻芯112aはねじ軸構造を備え、図示例では環状溝を備える幅方向の中央部112a1に対して第1の支持体111aの側に図示しない軸受等を介して第1の支持体111aに含まれる軸支部111hによって軸支されている。ここで、中央部112a1は、支持構造111の第1の支持体111aと第2の支持体111bの間隔の半分の位置である中間位置に配置されていて、その幅方向の中間位置を以下では中央位置Cxという。また、この中央位置Cxよりも第1の支持体111aの側を以下では単に「一側」という。また、一側とは反対側である第2の支持体111bの側を「他側」という。巻芯112aの一側の領域には第1のリール枠112bが固定される。第1のリール枠112bは、巻芯112aのねじ構造と螺合する基部112b1を有し、この基部112b1に設けられたねじ穴112b2に装着される図示しない止めねじなどの固定手段によって巻芯112aに固定される。第1のリール枠112bは、上記固定手段を解除し、巻芯112aのねじ構造に対して回転させることにより、巻芯112aの軸線方向に移動可能となっている。このため、第1のリール枠112bは、回転操作によって巻芯112aに対する軸線方向の任意の位置に設定され、上記固定手段を用いて固定することができる。
【0029】
巻芯112aは第1のリール枠112bを貫通して、上記第1の支持体111aの一部である軸支部111hに回転自在に支持された状態とされる。巻芯112aの先端は軸支部111hに固定されたブレーキ機構112dに接続され、これにより、テープリールが所定の回転抵抗を受けるようになっている。ブレーキ機構112dは例えばスリッピングクラッチなどによって構成できる。
【0030】
また、上述のように第1のリール枠112bが装着された巻芯112aにテープロール102を通して第1のリール枠112bに当たるまで挿入した状態で、巻芯112aに第2のリール枠112cを装着し、クランプノブ112eを巻芯112aのねじ構造にねじ込むことで、第2のリール枠112cが巻芯112aに装着される。第2のリール枠112cを貫通して突出する巻芯112aの端部には軸受112fが装着されており、この軸受112fには、第2の支持体111bに含まれ、第2の支持体111bの他の部分に対して開閉可能に連結された軸支アーム111iがブッシュ111jを介して着脱可能に構成される。図2及び図9に示すように、軸支アーム111iは、第2の支持体111bの他の部分に対して開閉可能に連結されたヒンジ部111i1によって、第2の支持体111bに支持された状態で、巻芯112aの軸受112fに連結された軸支状態と、軸受112fから離間した解放状態とのいずれかを選択できるように構成される。なお、図示例では手動操作によって軸支状態と解放状態を選択するように構成されるが、自動機構によって軸支状態と解放状態を選択できるようにしてもよい。図示例では、軸支アーム111iの基部に着磁部111i2が設けられ、この着磁部111i2が軸支状態のときに吸着保持される磁性部(図示せず)と、解放状態のときに吸着保持される磁性部(図示せず)とが設けられることによって、軸支アーム111iの軸支状態と解放状態のそれぞれが維持されるようになっている。
【0031】
上記巻芯112a、第1のリール枠112b及び第2のリール枠112cは、軸線方向両端部が上述のように第1の支持体111aと第2の支持体111bに軸支された状態で、テープロール102を保持することができるテープリールを構成する。このテープリールに保持されたテープロール102から引き出されたテープ103は、テープ引取部113、テープ引出部114、テープ案内部115、テープ保持部116、テープ切断部117を順次通過するテープ架設経路に沿って引き出され、最終的に上記テープ貼付部118の貼付ローラ118aへと導かれる。テープ103は、図示例(実施形態)では片面粘着テープや、両面粘着テープの片面に離形紙を貼り付けたものとしている。ただし、本発明において、テープ103の具体的な構成は限定されない。
【0032】
テープ引取部113は、一般的な意味では張力付与機構であり、上記テープ架設経路上で隣接する二つのテンションローラ113a,113bを備える。二つのテンションローラ113aと113bは、回動軸113cに取り付けられた共通の回動部材113d,113eに対していずれも回転自在に軸支されている。図6に示すように、回動軸113cの軸線方向の両端部は、第1の支持体111aと第2の支持体111bにそれぞれ回転自在に軸支され、第1の回動部材113dと第2の回動部材113eに固定されている。回動軸113cは、一側において、第1の回動部材113dと第1の支持体111aに取り付けられた軸支部材113gとを貫通して、その外側に設置された弾性機構を構成する溝付きの案内部材113hと弾性部材(コイルばね)113iによって軸線周りに所定の弾性力を受けるように設置されている。また、回動軸113cは、他側において、第2の回動部材113eと第2の支持体111bに取り付けられた軸支部材113fによって回転自在に軸支されている。
【0033】
上記弾性機構により、回動部材113dと113eは図示時計回りの巻取方向Aに付勢されるので、テープ103の張力が低下すると、図1に示すように、テープ引取部113は巻取方向Aに回転し、テンションローラ113aと113bに架設されているテープ103を巻き取る態様で、上記弾性機構の付勢力に起因する張力をテープ103に付与する。これによって、テープ103には安定した張力が与えられる。なお、図示例のテープ引取部113のように二つのテンションローラ113a,113bにより巻き取る態様で張力を与える張力付与機構を用いることにより、コンパクトな構成で、テープ103の引き取り量を確保しつつ、テープ103に安定した張力を与えることができる。なお、図示例では、テープ引取部113は、テープ供給部112(テープリール)の下流側に隣接した位置に設けられているが、当該位置に限定されるものではなく、テープ架設経路上に設置されていればよい。但し、本実施形態では、テープ引取部113及び次のテープ引出部114が後述するテープ案内部115により上流側に設けられることで、引出・引取によるテープ103の動揺をテープ案内部115よりも下流側へ伝えにくくする構成とし、これにより、テープ103の貼付精度及び貼付品位の低下を防止することができる。
【0034】
第1のテンションローラ113aは、幅方向中央のローラ径が大きく、幅方向両側に向かうほどローラ径が小さくなるローラ形状を備えるクラウンローラとなっている。ローラ形状は太鼓形であってもよく、両端部がテーパ状(円錐状)となっているものでもよい。第1のテンションローラ113aをクラウンローラとすることにより、テープ103が幅方向の中央に維持されやすくなるため、幅方向の位置ずれが抑制される。なお、第2のテンションローラ113bは、テープ103の粘着面がローラ面に接するため、テープ103の幅方向の位置ずれが生じにくいとともに、テープ103に対する幅方向の位置修正機能も生じにくいことから、通常の円筒状のローラ形状としている。ただし、第2のテンションローラ113bをクラウンローラとすることを妨げるものではない。
【0035】
テープ引出部114は、引出ローラ114aを回転自在に軸支する軸支アーム114bがエアシリンダ等からなる駆動部114cにより図示の方向Bに出没動作するように構成される。上記のように駆動部114cによって引出ローラ114aが出没動作することにより、テープ架設経路が図示実線の状態から図示二点鎖線の状態に変更される。図示例の場合、引出ローラ114aの方向Bへの突出動作により、テープ架設経路が長くなることで、テープ103をテープロール102から余分に引き出し、その後、引出ローラ114aを復帰動作させて元の位置に戻すことにより、テープ引取部113によってテープ103が引き取られ(図示例では巻き取られ)る。なお、テープ引出部114によってテープ架設経路の長さが変化しても、テープ引取部113によってテープ103が多少でも引き取られた状態にある場合には、常に所定のテンションがテープ103に与えられる。なお、テープ引出部114(の駆動部114c)は前述の横断部材111dに支持(固定)されている。テープ引出部114の位置はテープ架設経路上であれば特に限定されないが、テープ架設経路上のテープ引取部113に隣接する領域であることが望ましい。なお、テープ引取部113及びテープ引出部114のテープ架設経路上の配置については前述のとおりである。
【0036】
テープ案内部115は、テープ架設経路の上流側に設置された第1の案内ローラ115aと、テープ架設経路の下流側に設置された第2の案内ローラ115bと、第1の案内ローラ115aと第2の案内ローラ115bとの間に設置された経路規制機構115cとを有する。第1の案内ローラ115a及び第2の案内ローラ115bの両端部は、いずれも、第1の支持体111aと第2の支持体111bによってそれぞれ軸支された状態となっている。ただし、第1の支持体111aと第2の支持体111bによって幅方向の両端部が固定された連結部材である、前述の横断部材111dによって各案内ローラの両端部が軸支されていてもよい。経路規制機構115cは、図7(a)に示すように、第1の経路規制縁115c1aと第2の経路規制縁115c2aとを備え、第1の経路規制縁115c1aと第2の経路規制縁115c2aがテープ103の幅方向の両側縁に当接したとき、テープ架設経路の幅方向の位置及び架設方向を規制する。経路規制機構115cは、幅方向の内側に向いた上記第1の経路規制縁115c1aを備える第1の経路規制部材115c1と、幅方向の内側に向いた上記第2の経路規制縁115c2aを備える第2の経路規制部材115c2とを有する。第1の経路規制部材115c1及び第2の経路規制部材115c2は、いずれも、幅方向に延在する第1の位置決め軸115c3と第2の位置決め軸115c4とによって幅方向の位置及び架設方向の姿勢が維持される。
【0037】
図7(b)に示すように、第1の経路規制部材115c1は、第1の位置決め軸115c3を摺動自在に挿通させる通孔Hbと、第2の位置決め軸115c4のねじ部(図示せず)と螺合するねじ孔Haと、このねじ孔Haの内部に臨む固定穴115c1bとを有し、図示しない止めねじ等の固定手段により固定穴115c1bを介して位置決め軸115c4に固定される。ここで、固定手段を解放して、第2の位置決め軸151c4の端部に設けられたレンチソケットなどの回転操作部115c4aを工具などで操作することで第2の位置決め軸151c4を回転させると、第2の位置決め軸151c4と螺合する第1の経路規制部材115c1は軸線方向(すなわち、テープ103の幅方向)に移動する。一方、第2の経路規制部材115c2は、図7(b)に示すように第1の経路規制部材115c1と同様に構成され、第1の位置決め軸115c3のねじ部(図示せず)と螺合するねじ孔Haと、第2の位置決め軸115c4を摺動自在に挿通させる通孔Hbと、上記ねじ孔Haの内部に臨む固定穴115c2bとを有し、図示しない止めねじ等の固定手段により固定穴115c2bを介して第1の位置決め軸115c3に固定される。ここで、固定手段を解放して、第1の位置決め軸151c3の端部に設けられた回転操作部115c3aを工具などで操作することで第1の位置決め軸151c3を回転させると、第1の位置決め軸151c3と螺合する第2の経路規制部材115c2は軸線方向(すなわち、テープ103の幅方向)に移動する。
【0038】
経路規制機構115cにおいては、上述のように第1の経路規制縁115c1aと第2の経路規制縁115c2aとがテープ103の両側縁に当接することにより、テープ103の幅方向の位置及び架設方向が規制される。このとき、両経路規制縁115c1a、115c2aは、それぞれ、テープ103の両側縁を案内規制する規制面Taを有し、この規制面Taの下縁には、下方(図示斜め上方)に向けて広がるように傾斜するテーパ面部Tbを備えるとともに、上記規制面Taに対してテープ架設経路の架設方向の両側にそれぞれ幅方向の外側へ退避するように傾斜する架設方向の両端部Tc,Tdを備える。これらの両端部Tc,Tdの縁部においても、下方(図7(b)の斜め上方)に向けて広がるように傾斜するテーパ面部Tbが規制面Taの縁部から連続して形成されている。このテーパ面部Tbは、テープ103の側縁に当接したときに、過剰な規制力を下方(図7(b)の斜め上方)に逃しつつ、テープ103の幅方向の位置及び架設方向を規制する。
【0039】
経路規制機構115cの経路規制作用は、テープ架設経路上において隣接する案内ローラ115a,115bの存在によって確保される。架設方向の上流側と下流側の少なくとも一方に案内ローラ115a,115bが存在することにより、上記経路規制縁115?1a、115?2aに対するテープ103の側縁の幅方向の位置及び架設方向が或る程度の範囲内に限定されるので、テープ案内部115の案内規制作用を確実かつ安定して得ることが容易化される。特に、案内ローラ115a,115bは、前述のように、軸方向(テープ103の幅方向)の両端部が第1の支持体111aと第2の支持体111bにそれぞれ支持されているために高い軸精度で設置されることになるので、案内ローラ115a,115bによって案内されるテープ103の幅方向の位置及び架設方向と経路規制機構115cとの位置関係も高精度化されることから、テープ案内部115の案内規制作用により、テープ103の幅方向の位置及び架設方向をさらに高精度に設定し、テープ架設経路の下流側へ送り出すことができる。
【0040】
とりわけ、本実施形態では、経路規制機構115cに対して、テープ架設経路上の上流側に第1の案内ローラ115aが配置され、下流側に第2の案内ローラ115bが配置されているため、これらの案内ローラ115aと115bによってテープ案内部115への導入側及び導出側のテープ103の姿勢が共に或る程度の範囲内に限定されるため、テープ案内部115の案内規制作用をさらに確実かつ安定して得ることができる。しかも、前述のように、経路規制機構115cの両側にある案内ローラ115aと115bの両端部は第1の支持体111aと第2の支持体111bにそれぞれ軸支されているため、高い軸精度を備えるから、案内規制作用によるテープ103の幅方向の位置及び架設方向の精度はさらに向上する。なお、上記の案内規制作用の前提として、第1の案内ローラ115aの軸線と第2の案内ローラ115bの軸線は相互に平行に設定され、第1の案内ローラ115a、経路規制縁115c1a,115c2a、及び、第2の案内ローラ115bは、経路規制縁115?1a,115?2aの延在方向に沿って一直線上に配置されている。当該延在方向は、図示例では、テープ貼付ユニット110の底面と平行に設定されている。
【0041】
図7に示すように、第1の案内ローラ115aと第2の案内ローラ115bは、いずれも、幅方向中央のローラ径が大きく、幅方向両側に向かうほどローラ径が小さくなるローラ形状を備えるクラウンローラとなっている。ローラ形状は図示のような太鼓形であってもよく、両端部がテーパ状(円錐状)となっているものでもよい。案内ローラ115aと115bをクラウンローラとすることにより、テープ103が幅方向の中央に維持されやすくなるため、幅方向の位置ずれが抑制される。なお、クラウンローラとするのは、案内ローラ115aと115bのいずれか一方のみでもよい。また、テープ案内部115は、テープ架設経路上に設けられていればよいが、テープ切断部117及びテープ貼付部118に近い領域であることが好ましい。特に、本実施形態では、テープ保持部116の上流側に隣接した位置に設けられることが望ましい。なお、クラウンローラとしての効果を十分に得るには、テープ103の全幅におけるローラ径の変化幅が、テープ架設経路の実質的な張力を受けた状態でテープ103が伸縮可能な範囲内となっていることにより、テープ103の幅方向の全面にわたりローラ面に接触し得るように構成されることが望ましい。
【0042】
テープ保持部116は、図1に示すように、テープ103の供給方向(架設方向)に沿った仮想平面内で方向Cに沿って移動可能に構成される本体部116aと、この本体部116aに対して回転可能に軸支されたクランプローラ116bと、本体部116aに対して回転可能に軸支されたガイドローラ116cと、本体部116aに対して回動軸116dを中心に回動可能に取り付けられた回動アーム116eと、が設けられる。この回動アーム116eの先端には、図8(a)に示すように、上記クランプローラ116bに対してテープ103を介して当接可能に構成されたクランプ部116fが形成される。また、回動アーム116eは、上記クランプ部116fがテープ103を挟んでクランプローラ116bに押し付けられるクランプ(締付)状態と、クランプ部116fがクランプローラ116b及びテープ103から離れるリリース(解放)状態とを設定可能にするために、上記回動アーム116eの上記クランプ部116fとは回動軸116dの反対側にある基端部が、本体116aに対して回動可能に取り付けられたエアシリンダ等からなる駆動部116gの駆動軸116hに対して回動可能に連結されている。本体部116aは、上記横断部材111eに対して、エアシリンダ等からなる移動駆動部116iによって上記方向Cに移動可能に案内される。なお、上記本体部116aの方向Cに沿った移動は、クランプローラ116bとクランプ部116fによってテープ103が挟持されることにより把持されるクランプ位置も同様に移動させる。また、弾性部材116jは、クランプ力を設定するためのクランプローラ116bに向かう弾性力をクランプ部116fに付与する。
【0043】
テープ切断部117は、図1に示すように、カッタ117aと、カッタ117aを保持する保持アーム117bと、カッタ117a及び保持アーム117bを図1の紙面と直交する方向に往復移動させるロッドレスシリンダ等からなる移動駆動部117cとを有する。移動駆動部117cは、ベース部材117dに支持されている。ベース部材117dは、横断部材111fに支持された出没駆動部117eによって、上記方向Cと直交する出没方向Dに往復移動可能に構成される。カッタ117aの初期位置は、テープ架設経路上の切断位置において、テープ103に対して幅方向の一側(第1の支持体111aの側)の外方に離れた位置に設定され、カッタ117aの到達位置も、テープ103に対して幅方向の他側(第2の支持体111bの側)の外方に離れた位置に設定される。カッタ117aは、移動駆動部117cによって初期位置から到達位置へテープ103の幅方向にスライド移動し、その後、到達位置から初期位置へ戻るように動作する。
【0044】
ベース部材117dには、上記カッタ117a及び上記保持アーム117bと間隔を有して離れた状態でほぼ平行に伸びる保持アーム117fが取り付けられ、この保持アーム117fに押圧部材117gが取り付けられている。押圧部材117gは、カッタ117aに対して、テープ103の架設方向の上流側に配置され、保持アーム117fからテープ架設経路に向けて接近する方向に突出し、テープ架設経路の手前でカッタ117aのある架設方向の下流側に屈折し、その後、カッタ117aに隣接する位置で再びテープ架設経路の側に突出するL字状の構造を有する。押圧部材117gは、図示例では、ベース部材117dに対して保持アーム117fを介して固定され、出没駆動部117eによって出没動作する。押圧部材117gの先端に設けられた、テープ103に当接する押圧部117gaは、テープ103をその幅方向の全体にわたり均等に押圧する。本実施形態では、押圧部117gaは、テープ103の貼付面とは反対側の粘着性のない面に当接し、押圧するため、出没動作時においてテープ103に対して影響を与えないという利点がある。
【0045】
このテープ切断部117では、移動駆動部117cによってカッタ117a及び保持アーム117bが図1の紙面と直交する方向にスライド移動し、これによってテープ103を幅方向にカットすることができる。このカッタ117aによるカット動作は、押圧部材117gが図示斜め上方からテープ103の貼付面とは逆側の面に押し当てられ、テープ103にテープ架設経路上で付与されている張力よりもさらに高い張力が与えられた状況で実施される。この高い張力の付与は、テープ103が上記クランプ位置と貼付ローラ118aによる貼付位置との両側で把持された状態にあることによって両位置の間の領域に限定して実現される。これにより、テープ103の切断位置に近い箇所で押圧部材117gによる追加の張力を幅方向の全体にわたり与えることができるため、カッタ117aによる切断を容易化できるとともに、カッタ117aの切断動作時に生ずるおそれのあるテープ103の側縁のめくれなどの変形を防止できる。このとき、押圧部材117gを前述のようなL字状の突出構造とすることで、押圧部材117gは、カッタ117a及び保持アーム117bとの干渉を回避しつつ、カッタ117aによるテープ103の切断位置に十分に近い位置(隣接位置)でテープ103を押圧することができる。その結果、上述の作用効果をさらに高めることができる。
【0046】
上記カッタ117a及び保持アーム117b並びに上記押圧部材117g及び保持アーム117fは、テープ103を切断する際には、出没駆動部117eの駆動によってテープ架設経路上に相当する位置に突出し、テープ103を切断した後、並びに、テープ103を貼付けしている際には、テープ架設経路上に相当する位置から図示斜め上方へ退避する。
【0047】
図1に示すように、テープ貼付部118は、エアシリンダ等の駆動機構118cを有し、この駆動機構118cにより、貼付ローラ118aを図10に示す作業台120上に設置された被貼付物121の被貼付面121aに接近・離反可能に構成される。貼付ローラ118aの両端は、軸支アーム118bによって回転自在に軸支され、軸支アーム118bは、駆動機構118cを介して横断部材111gに支持固定されている。貼付ローラ118aの移動方向は、被貼付物121の表面である被貼付面121a若しくは作業台120の表面を基準とする水平面に対して、テープ架設経路の上流側に斜めに向かうように傾斜した上記方向Dに設定される。すなわち、貼付ローラ118aが被貼付物121へ向けて繰り出されるとき、貼付ローラ118aは、テープ架設経路の上流側(図示右側)に徐々に平面位置をずらしながら降下する。
【0048】
図3に示すように、レーザセンサ等によって構成される距離検出器119は、支持構造111(第1の支持体111a)に対して固定され、テープ貼付ユニット110と被貼付面121aとの間の距離を測定することができる。このように測定された距離に基づいて、上記制御部140は、テープ貼付ユニット110をユニット駆動機構130を介して被貼付面121a上の適宜の高さ位置に配置することも可能である。ただし、本実施形態では、レーザ光を被貼付面121aに照射し、貼付開始位置の調整時の目印(ポインター)として用いている。上記貼付開始位置は、貼付ローラ118aが降下したときにテープ103の先端103aが被貼付面121a上に配置される位置に相当する。
【0049】
上記テープ架設経路を構成する、テンションローラ113a,113b、上記引出ローラ114a、案内ローラ115a,115b、クランプローラ116b及びガイドローラ116c、並びに、貼付ローラ118aは、テープ103の最も幅広のテープに対応できるように、ローラ幅が設定されている。本実施形態では、テープ幅は80mmから120mm程度まで対応できるように構成されるが、特に限定されるものではない。本実施形態では、上記テープ供給部112において、テープ103のテープロール102を、巻芯112aの中央位置Cxを中心とする両側に均等な幅方向の範囲にセットすることができる。すなわち、テープロール102やテープ103の幅をWとすれば、中央部112a1(中央位置Cx)から一側にW/2の位置に上記第1のリール枠112bの内面を位置決め固定し、テープロール102をセットした後、第2のリール枠112cをクランプノブ112dによって固定し、軸支アーム111iを軸受112fに装着すれば、テープロール102及びテープ103は、支持構造111の中央位置Cxを中心とした幅方向の範囲にセットされる。すなわち、テープ103の幅方向の中央位置は、上記中央位置Cxと一致する。このようにすると、異なる幅のテープ103を用いる場合でも、テープ103の中央位置が各ローラの幅方向の中央位置Cxに配置されることとなるため、幅方向に固定された軸支構造でそれぞれ設けてある、前述のテンションローラ113a,113b、上記引出ローラ114a、案内ローラ115a,115b、クランプローラ116b及びガイドローラ116c、並びに、貼付ローラ118aを、幅方向にバランスよく用いることが可能になる。したがって、各ローラの両端を支持する支持構造111の剛性を効果的に利用することができるため、テープの貼付精度や貼付品位をさらに向上させることができる。
【0050】
ここで、幅の異なるテープを用いたり、粘着力の異なる粘着層を備えるテープを用いたり、伸びや変形度合の異なる基材を備えるテープを用いたりする場合には、テープ供給部112のテープリールに装着されたテープロール102からの引出抵抗が大きく変化する。このため、テープ103の貼付を行う過程で、テープ103に与えられる張力も大きく増減する。これに対して、上記テープ引出部114によるテープ103の引出動作と、その復帰動作後のテープ引取部113による引き取り動作及び張力付与動作によって、テープ103の張力が安定し、その引き取り量に対応して、張力安定状態の一定量の引出余裕が形成される。このため、後述するようにテープ保持部116のクランプ位置が後退位置から前進位置に移動するとき、テープ103の張力の不安定化や過剰な張力が加わることを防止できる。すなわち、後述するように、テープ103の先端103a(図8(b)参照)の位置を前進させ、貼付ローラ112aに近づけて、テープ貼付開始時の貼付ローラ118aによる貼付開始動作を行う際に、テープ引取部113による安定した張力が生ずるようにすることにより、テープ保持部116により把持されたテープ103に対してテープ供給部112のテープリールの側から生ずる過剰な張力が加わらないようにすることができる。
【0051】
また、テープ保持部116が前進した後であっても、テープ103のテープ貼付部118による貼付開始時において、テープ引取部113による引出余裕が存在するように構成することにより、すなわち、上記のようにテープ引出部114とテープ引取部113による張力の安定した状態での引出余裕を確保することにより、テープ貼付部118によるテープ103の貼付開始時におけるテープ架設経路上のテープ103の張力が小さく、かつ、安定した値に設定される。これにより、テープ貼付当初の張力の不安定性や過剰な張力に起因する貼付品位の低下を防止できる。この場合、テープ貼付動作が一旦始まると、上記引出余裕がなくなった後でも、テープロール102からの引出抵抗はそれほどテープ103の貼付品位に影響しなくなるため、大きな問題は生じにくくなる。
【0052】
次に、上記のように構成されたテープ貼付装置100を用いたテープ103の貼付方法の一例について図8及び図11を参照して説明する。最初に、上記制御部140の制御により、テープ貼付ユニット110は、ユニット駆動部130の駆動に従って移動し(動作開始)、被貼付物121の被貼付面121aに対するテープ貼付動作時の位置よりも上方の準備位置に配置される。これは、前回のテープ切断部117による切断によって生じたテープ103の先端103aが誤って被貼付面121aに接触しないようにするためである。このとき、テープ貼付部118の貼付ローラ118aは、被貼付面121aより離反するように待機位置(上部位置)に配置されている。また、テープ保持部116のクランプローラ116bとクランプ部116fはテープ103をクランプ位置で把持した状態にあり、テープ103の先端103aはクランプ位置からテープ架設経路の架設方向の下流側に突出し、その先端縁は自由端となっている。当初、移動駆動体116iにより本体部116aは後退位置にあり、したがって、テープ103のクランプ位置も後退位置にある。
【0053】
上記の準備位置へのテープ貼付ユニット110の配置は、予め入力されたり、送信されたりしたテープ貼付データに基づいて、制御部140がユニット駆動機構130を制御することにより、テープ貼付ユニット110を移動させることによって実行される。テープ貼付ユニット110は、準備位置に配置されると、被貼付面121aに対するテープ103の貼付に適した高さとなるように初期位置に降下して停止する。テープ貼付ユニット110が初期位置に配置されるのと前後して、テープ保持部116は架設方向の前方へ移動し、テープ103を把持したクランプ位置も前進し、テープ103の先端103aが被貼付面121a上の貼付位置により接近した位置に配置される。このとき、テープ貼付ユニット110を僅かに貼付動作の向きに進める。これは、テープ103の先端103aが下方へ垂れ下がり、湾曲して被貼付面121a上に接触してしまったり、丸まった状態となったりした場合にこれらを解消する目的で、クランプ位置を貼付動作の向きに移動させることで、テープ103の先端103aを伸ばすためである。この場合、この僅かな貼付動作の向きへの進行分を予め考慮して初期位置を設定しておくことが望ましい。なお、この工程は、テープ貼付ユニット110の移動ではなく、テープ保持部116の前進量を余分に設定しておき、その後にテープ保持部116を僅かに後退させることにより実現してもよい。
【0054】
次に、テープ貼付部118の貼付ローラ118aを貼付位置まで降下させ、図8(b)に示すように、テープ103の上記先端103aを被貼付面121aに押し付ける。この位置がテープ103の貼付開始位置となる。その後、テープ保持部116のクランプ部116fがテープ103及びクランプローラ116bから離反し、テープ103を解放すると、制御部140は、テープ貼付ユニット110を貼付動作の向きに移動させることで(貼付開始)、テープ103をテープロール102から引き出しつつ、被貼付面121aに貼り付けていく。この動作は、予め入力されていたテープ103の貼付範囲のデータに従って貼付終了動作が開始されるまで続く。このとき、前述したように、テープ103の貼付開始時において、テープ引取部113における引出余裕が存在するように設定されていれば、テープ103の貼付開始時においてテープ103に加わる張力を小さく、安定した値とすることができるので、テープ103の過剰な伸び、変形などによる貼付品位の低下、例えば、貼付後のテープ103に皺や破れが発生したり、テープ103と被貼付面121aとの間に気泡が入ってしまったりすることを防止できる。このテープ貼付開始後には、テープ保持部116が後退し、クランプ位置も後退させて基準位置に戻される。
【0055】
次に、予め設定されたテープ103の貼付長がほぼ達成されると、制御部140はテープ貼付ユニット110の貼付方向への移動動作を停止させ、テープ引出部114の引出ローラ114aを突出動作させて、テープ引取部113と第1の案内ローラ115aの間の引出領域において、テープ103の架設経路長を一時的に増大させることによって、テープ103をテープロール102から余分に引き出す。その後、テープ引出部114の引出ローラ114aを復帰動作させ、上記架設経路長を元に戻すと、テープ引取部(張力付与機構)113が作動して、上記引出領域のテープ103を引き取りながら、所定の張力(上記弾性部材113iにより与えられる既定の張力)を付与する。図示例の場合、引き出されたテープ103の引き取り動作は、回動軸113cが回動して回動部材113dと113eに軸支されたテンションローラ113aと113bに巻き取られることによって行われる。
【0056】
その後、テープ保持部116の回動アーム116eを駆動し、クランプローラ116b上のテープ103をクランプ部116fにより把持し、テープ103が、上記のクランプ位置と、貼付ローラ118aによる貼付位置との間で固定された状態とする。この状態で、テープ切断部117を上記方向Dに繰り出した位置において、カッタ114aを幅方向にスライド動作させ(切断開始)、テープ103を上記貼付位置とクランプ位置の間の切断位置で切断する。このとき、テープ103の貼付位置の側の切断縁が、現在の被貼付面121a上に貼り付けている貼付範囲に対応するテープ103の末端となる。また、テープ103のクランプ位置の側の切断縁が、次に貼り付けられる予定のテープ103の先端103aとなる。
【0057】
ここで、現在貼付中のテープ103の末端は、制御部140によりテープ貼付ユニット110を貼付方向に僅かに移動させることによって、テープ切断部117の切断構造(カッタ117aや押圧部材117g)から架設方向の下流側へ引き離され、被貼付面121a上に貼り付けられる(末端貼付)。その後、まず、貼付ローラ118aが待機位置に戻り、また、テープ貼付ユニット110が上昇して準備位置に戻る。これにより、テープ貼付装置100は最初の状態に復帰する(初期状態)。
【0058】
以上説明した本実施形態のテープ貼付装置100によれば、第1の支持体111a、第2の支持体111b、第1の支持体111aと第2の支持体111bを連結する連結部材111c,111d-111gからなる支持構造111を設けることにより、当該支持構造111の剛性を確保し、テープ供給部112、テープ案内部115、及び、テープ貼付部118の両端部を、上記支持構造111の第1の支持体111aと第2の支持体111bにそれぞれ固定するか、或いは、連結部材111d-111gに固定することにより、各部の軸芯の精度を向上させることができるので、テープ103の貼付精度及び貼付品位を向上させることができる。
【0059】
本実施形態では、テープ供給部112において、テープリールを構成する、巻芯112a、第1のリール枠112b及び第2のリール枠112cの両端部が、支持構造111の第1の支持体111aと第2の支持体111bに支持されるか、或いは、連結部材に支持されるように構成することにより、テープ供給部112から供給されるテープ103の幅方向の位置及び供給方向の精度を向上させることができる。特に、図示例では、テープリールの両端部が第1の支持体111a(111h)と第2の支持体111b(111i)に直接に支持されているため、軸精度をさらに高めることができる。
【0060】
また、本実施形態では、テープ案内部115において、テープ架設経路上で隣接する案内ローラ115a,115bと経路規制機構115cとを有することにより、経路規制機構115cの経路規制縁115c1a,115c2aによるテープ103の幅方向の位置及び架設方向の経路規制作用を案内ローラ115a、115bによって確実化・安定化させ、位置や方向の精度のばらつきを抑制しつつ、案内精度をさらに向上させることができる。特に、剛性の高い支持構造111によって高い取付精度を備えるテープ供給部112により供給されるテープ103は、幅方向の位置及び架設方向の精度が確保されて送られてくるが、その後のテープ架設経路上では、テープ案内部115における高い軸精度を備えた案内ローラ115a,115bと高い規制精度を備えた経路形成機構115cとによって、テープ貼付部118に至るまでテープ103の案内精度が維持され、さらに向上する。このため、上記と同様に高い軸精度を備える貼付ローラ118aをさらに用いることにより、テープ103の貼付精度及び貼付品位をさらに向上させることができる。
【0061】
特に、支持構造111の幅方向の中央位置Cxを中心とする範囲にテープロール102やテープ103をセットすることにより、テープ供給部112,テープ案内部115及びテープ貼付部118における支持構造111の剛性に基づく効果をバランスよく享受することができる。これにより、テープ供給部112におけるテープ103の幅方向の位置及び供給方向の精度(供給精度)を向上させることができ、テープ案内部115におけるテープ103の幅方向の位置及び架設方向の精度(案内精度)を向上させることができる。これらの結果、テープ貼付部118におけるテープ103の幅方向の位置及び貼付方向の精度(貼付精度)やテープ103の貼付後の品位(貼付品位)を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、テープ引出部114により引き出されたテープ103をテープ引取部113によって引き取ることで所定の引出余裕を確保するとともに所定の張力を付与することにより、次のテープ貼付けやテープ103のクランプ位置の前進時におけるテープ103の張力を安定させることができる。これにより、テープ103のクランプ箇所の損傷や、テープロール102からの引出時の剥離による張力変動や過剰な張力によるテープ基材の伸び等の損傷などを防止することができる。特に、上記引出余裕をテープ貼付動作の開始時に保有することにより、テープ貼付時の初期にテープ103に与えられる張力を制限し、安定化させることができるので、テープの損傷防止に限らず、皺や破れの発生や、気泡の生成などといった、テープ103の貼付品位の低下をも防止できる。
【0063】
なお、本発明のテープ貼付装置は、上述の図示例に基づいて説明されたもののみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、テープ切断部117の切断構造としてテープ103の幅方向にスライド移動するカッタ117aを用いているが、鋏状に構成された一対の切断部材を用いるものや、相互に平行な刃先を備えた一対の切断部材を開閉可能に構成したものなど、その切断構造は特に限定されない。
【0064】
また、上記実施形態では、クランプローラ116bとクランプ部116fによりテープ103を挟持することで把持し、把持しないときにはクランプローラ116bのみを用いるように構成されたテープ保持部116の構造を採用しているが、本発明では、このような構成に限定されず、例えば、把持しないときにはテープ103に全く接触しないように構成したクランプ構造を用いることも可能である。
【0065】
さらに、テープ引取部(張力付与機構)113はテープ103を巻き取りながら張力を与えるように構成されるが、何等かの方法でテープ103を引き取ることができ、その結果、所定の張力をテープ103に与えれられるようになっているものであれば、特に限定されない。
【0066】
なお、上記実施形態では、支持構造111として、各部の幅方向の一側に配置された第1の支持体111aと、他側に配置された第2の支持体111bと、第1の支持体111aと第2の支持体111bを連結する連結部材である連結軸111c及び横断部材111d-111gとを備えたものとしているが、支持構造111としては図示例の構造が支持剛性を高めるとともにコストを低減するためには最も好ましいものの、図示例とは異なり、各支持体や連結部材は、単一部材として構成されている必要はなく、複数の部材を固定したもので構成でき、或いは、各支持体や連結部材が適宜に一体化されてなる支持構造を備えていても構わない。
【0067】
また、上記実施形態では、上記テープ供給部112のテープリール、テープ引取部113のテンションローラ113a,113b、及び、テープ案内部115の案内ローラ115a,115bの軸方向(テープの幅方向)の両端部が第1の支持体111aと第2の支持体111bにそれぞれ支持され、テープ引出部114、テープ案内部115の経路規制機構115c、テープ保持部116、テープ切断部117、及び、テープ貼付部118の軸方向(テープの幅方向)の両端部が連結部材(横断部材111d-111g)に支持されているが、いずれに支持されているとしても、直接若しくは間接的に第1の支持体111aと第2の支持体111bによって支持されていることには変わりがない。ただし、より高い剛性による精度を追求しようとすれば、各部の両端部が第1の支持体111aと第2の支持体111bによってそれぞれ直接に支持される構造がより望ましい。
【符号の説明】
【0068】
100…テープ貼付装置、101…支持フレーム、110…テープ貼付ユニット、110a…取付部、111…支持構造、111a…第1の支持体、111b…第2の支持体、111c…連結軸、111d~111g…横断部材、111h…軸支部、111i…軸支アーム、111j…ブッシュ、112…テープ供給部、112a…巻芯、112a1…幅方向の中央部、112b…第1のリール枠、112c…第2のリール枠、112d…ブレーキ機構、112e…クランプノブ、112f…軸受、Cx…中央位置、113…テープ引取部、113a,113b…テンションローラ、113c…回動軸、113d…第1の回動部材、113e…第2の回動部材、113f,113g…軸支部材、113h…弾性機構の案内部材、113i…弾性機構の弾性部材、A…巻取方向、114…テープ引出部、114a…引出ローラ、114b…軸支アーム、114c…駆動部、B…引出の方向、115…テープ案内部、115a…第1の案内ローラ、115b…第2の案内ローラ、115c…経路規制機構、115c1…第1の経路規制部材、115c2…第2の経路規制部材、115c1a,115c2a…経路規制縁、115c1b,115c2b…ねじ穴、115c3…第1の位置決め軸、115c4…第2の位置決め軸、115c3a,115c4a…回転操作部、Ha…ねじ穴、Hb…通孔、Ta…規制面、Tb…テーパ面、Tc,Td…端部、116…テープ保持部、116a…本体部、116b…クランプローラ、116c…ガイドローラ、116d…回動軸、116e…回動アーム、116f…クランプ部、116g…駆動部、116h…駆動軸、116i…移動駆動部、116j…弾性部材、C…本体部116aの移動の方向、117…テープ切断部、117a…カッタ、117b…保持アーム、117c…移動駆動部、117d…ベース部材、117e…出没駆動部、117f…保持アーム、117g…押圧部材、117ga…押圧部、118…テープ貼付部、118a…貼付ローラ,118b…軸支アーム、118c…駆動部(エアシリンダ)、119…距離検出器、120…作業台、121…被貼付物、121a…被貼付面、130…ユニット駆動機構、140…制御部
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