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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161696
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】測量装置及び測量システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
G01C15/00 103D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076609
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 太一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガイド光の光量を減少させることなく照射範囲を大きくすることが可能な測量装置及び測量システムを提供する。
【解決手段】測距光を発する発光素子と、測定対象物からの反射測距光を受光する受光素子とを有する距離測定部と、前記測距光を照射する回転部20と、該回転部を鉛直方向に回転させる鉛直回転駆動部と、前記回転部が設けられる托架部5と、該托架部を水平方向に回転させる水平回転駆動部と、前記回転部に向って異なる2つの光からなるガイド光を前記測距光と同一平面内に照射するガイド光照射部21と、前記受光素子への前記反射測距光の受光結果に基づき前記測定対象物迄の距離を演算する演算制御部とを具備し、前記回転部は前記測距光を透過し前記ガイド光を反射する可視光分離光学部材を有し、前記ガイド光は前記回転部の回転により前記ガイド光の広がり角以上の範囲で照射される様構成された。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測距光を発する発光素子と、測定対象物からの反射測距光を受光する受光素子とを有する距離測定部と、前記測距光を照射する回転部と、該回転部を鉛直方向に回転させる鉛直回転駆動部と、前記回転部が設けられる托架部と、該托架部を水平方向に回転させる水平回転駆動部と、前記回転部に向って異なる2つの光からなるガイド光を前記測距光と同一平面内に照射するガイド光照射部と、前記受光素子への前記反射測距光の受光結果に基づき前記測定対象物迄の距離を演算する演算制御部とを具備し、前記回転部は前記測距光を透過し前記ガイド光を反射する可視光分離光学部材を有し、前記ガイド光は前記回転部の回転により前記ガイド光の広がり角以上の範囲で照射される様構成された測量装置。
【請求項2】
前記回転部は走査ミラーと、該走査ミラーと一体に回転する窓部とを有し、前記可視光分離光学部材は前記窓部に蒸着されたロングパスフィルタである請求項1に記載の測量装置。
【請求項3】
前記回転部を囲繞する窓部を更に具備し、前記回転部は、走査ミラーと、該走査ミラーと一体に回転する可視光反射ミラーとを有し、前記可視光分離光学部材は前記可視光反射ミラーに蒸着されたロングパスフィルタである請求項1に記載の測量装置。
【請求項4】
前記回転部は、走査ミラーと、該走査ミラーと一体に回転する窓部と少なくとも1つの可視光反射ミラーであり、前記可視光分離光学部材は、前記窓部に蒸着されたロングパスフィルタである請求項1に記載の測量装置。
【請求項5】
前記回転部は、2つの三角プリズムを接合させた四角プリズムであり、前記可視光分離光学部材は、前記四角プリズムに入射した前記測距光の射出面に蒸着されたロングパスフィルタであり、前記射出面に隣接する少なくとも1面を可視光反射ミラーとした請求項1に記載の測量装置。
【請求項6】
前記回転部は、三角プリズムであり、前記可視光分離光学部材は、前記三角プリズムに入射した前記測距光の射出面に蒸着されたロングパスフィルタである請求項1に記載の測量装置。
【請求項7】
前記回転部は、前記距離測定部が収納された測定部であり、前記可視光分離光学部材は、前記測定部の下面に設けられた可視光反射ミラーである請求項1に記載の測量装置。
【請求項8】
前記ガイド光照射部は、前記回転部の回転方向と直交する方向に前記ガイド光の広がり角を拡大するアナモルフィック光学系を有する請求項2~請求項7のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項9】
前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記ガイド光照射部はガイド光軸が前記凹部の底面から前記回転部に向って延出し、前記測距光の光軸と同一平面内に位置する様前記可視光分離光学部材に偏向される様構成された請求項2~請求項7のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項10】
前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記凹部に掛渡って設けられたハンドル部と、該ハンドル部に設けられた前記ガイド光照射部とを有し、該ガイド光照射部はガイド光軸が前記ハンドル部から前記回転部に向って延出し、前記測距光の光軸と同一平面内に位置する様前記可視光分離光学部材に偏向される様構成された請求項2~請求項7のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項11】
前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記凹部に隣接して設けられたハンドル部と、該ハンドル部に設けられた前記ガイド光照射部とを有し、該ガイド光照射部はガイド光軸が前記ハンドル部から前記回転部に向って延出し、前記測距光の光軸と同軸又は略同軸となる様前記可視光分離光学部材に偏向される様構成された請求項2~請求項7のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項12】
前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記凹部に隣接して設けられたハンドル部と、該ハンドル部に設けられたミラーとを有し、前記ガイド光照射部はガイド光軸が前記ミラーに向って延出する様前記托架部に設けられ、前記ガイド光軸は前記ミラーと前記可視光分離光学部材により前記測距光の光軸と同軸又は略同軸となる様構成された請求項2~請求項7のうちのいずれか1項に記載の測量装置。
【請求項13】
請求項1に記載の測量装置と、所定の杭打ち点迄誘導されるターゲット装置とを有する測量システムであって、前記測量装置は前記測定対象物に前記測距光と同軸且つ前記ガイド光と同一平面内に追尾光を射出する追尾発光素子を有する追尾光射出部と、前記測定対象物からの反射追尾光を前記反射測距光と同軸で受光する追尾光受光部とを更に具備し、前記ターゲット装置はポールと、該ポールの上端に設けられた再帰反射性を有するターゲットと、前記測量装置と通信可能な表示端末とを具備し、前記演算制御部は、前記追尾光が前記ターゲットで反射された時の前記反射追尾光の受光量の増大に伴い前記ターゲットの追尾を開始させる様構成された測量システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の3次元座標を取得可能な測量装置及び測量システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザスキャナやトータルステーション等の測量装置は、測定対象物として再帰反射性を有するプリズムを用いたプリズム測距、反射プリズムを用いないノンプリズム測距により測定対象物迄の距離を検出する光波距離測定装置を有している。
【0003】
又、測量装置にガイド光を照射するガイド光照射部を設け、ガイド光に基づき測量装置の視準方向に反射プリズム等のターゲットを有するターゲット装置を誘導させる誘導処理を行う場合がある。
【0004】
誘導処理では、視準光軸を境界として左右で異なる色のガイド光を点灯させ、左右のガイド光の両方が視認できる位置に作業者を誘導し、ターゲット装置を杭打ち点等の目標地点迄移動させる様になっている。
【0005】
然し乍ら、従来では、ガイド光の到達距離を延長する為には、ガイド光の広がり角を小さくして単位面積当りの光量(密度)を確保する必要があるので、照射範囲が狭くなり視認性が低下する。一方で、ガイド光の視認性を向上させる為には、ガイド光の広がり角を大きくして照射範囲を広げる必要があるので、単位面積当りの光量が低下し、到達距離が短くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5725922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ガイド光の光量を減少させることなく照射範囲を大きくすることが可能な測量装置及び測量システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、測距光を発する発光素子と、測定対象物からの反射測距光を受光する受光素子とを有する距離測定部と、前記測距光を照射する回転部と、該回転部を鉛直方向に回転させる鉛直回転駆動部と、前記回転部が設けられる托架部と、該托架部を水平方向に回転させる水平回転駆動部と、前記回転部に向って異なる2つの光からなるガイド光を前記測距光と同一平面内に照射するガイド光照射部と、前記受光素子への前記反射測距光の受光結果に基づき前記測定対象物迄の距離を演算する演算制御部とを具備し、前記回転部は前記測距光を透過し前記ガイド光を反射する可視光分離光学部材を有し、前記ガイド光は前記回転部の回転により前記ガイド光の広がり角以上の範囲で照射される様構成された測量装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記回転部は走査ミラーと、該走査ミラーと一体に回転する窓部とを有し、前記可視光分離光学部材は前記窓部に蒸着されたロングパスフィルタである測量装置に係るものである。
【0010】
又本発明は、前記回転部を囲繞する窓部を更に具備し、前記回転部は、走査ミラーと、該走査ミラーと一体に回転する可視光反射ミラーとを有し、前記可視光分離光学部材は前記可視光反射ミラーに蒸着されたロングパスフィルタである測量装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記回転部は、走査ミラーと、該走査ミラーと一体に回転する窓部と少なくとも1つの可視光反射ミラーであり、前記可視光分離光学部材は、前記窓部に蒸着されたロングパスフィルタである測量装置に係るものである。
【0012】
又本発明は、前記回転部は、2つの三角プリズムを接合させた四角プリズムであり、前記可視光分離光学部材は、前記四角プリズムに入射した前記測距光の射出面に蒸着されたロングパスフィルタであり、前記射出面に隣接する少なくとも1面を可視光反射ミラーとした測量装置に係るものである。
【0013】
又本発明は、前記回転部は、三角プリズムであり、前記可視光分離光学部材は、前記三角プリズムに入射した前記測距光の射出面に蒸着されたロングパスフィルタである測量装置に係るものである。
【0014】
又本発明は、前記回転部は、前記距離測定部が収納された測定部であり、前記可視光分離光学部材は、前記測定部の下面に設けられた可視光反射ミラーである測量装置に係るものである。
【0015】
又本発明は、前記ガイド光照射部は、前記回転部の回転方向と直交する方向に前記ガイド光の広がり角を拡大するアナモルフィック光学系を有する測量装置に係るものである。
【0016】
又本発明は、前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記ガイド光照射部はガイド光軸が前記凹部の底面から前記回転部に向って延出し、前記測距光の光軸と同一平面内に位置する様前記可視光分離光学部材に偏向される様構成された測量装置に係るものである。
【0017】
又本発明は、前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記凹部に掛渡って設けられたハンドル部と、該ハンドル部に設けられた前記ガイド光照射部とを有し、該ガイド光照射部はガイド光軸が前記ハンドル部から前記回転部に向って延出し、前記測距光の光軸と同一平面内に位置する様前記可視光分離光学部材に偏向される様構成された測量装置に係るものである。
【0018】
又本発明は、前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記凹部に隣接して設けられたハンドル部と、該ハンドル部に設けられた前記ガイド光照射部とを有し、該ガイド光照射部はガイド光軸が前記ハンドル部から前記回転部に向って延出し、前記測距光の光軸と同軸又は略同軸となる様前記可視光分離光学部材に偏向される様構成された測量装置に係るものである。
【0019】
又本発明は、前記托架部に凹部が形成され、該凹部内に前記回転部が設けられ、前記凹部に隣接して設けられたハンドル部と、該ハンドル部に設けられたミラーとを有し、前記ガイド光照射部はガイド光軸が前記ミラーに向って延出する様前記托架部に設けられ、前記ガイド光軸は前記ミラーと前記可視光分離光学部材により前記測距光の光軸と同軸又は略同軸となる様構成された測量装置に係るものである。
【0020】
更に又本発明は、前記測量装置と、所定の杭打ち点迄誘導されるターゲット装置とを有する測量システムであって、前記測量装置は前記測定対象物に前記測距光と同軸且つ前記ガイド光と同一平面内に追尾光を射出する追尾発光素子を有する追尾光射出部と、前記測定対象物からの反射追尾光を前記反射測距光と同軸で受光する追尾光受光部とを更に具備し、前記ターゲット装置はポールと、該ポールの上端に設けられた再帰反射性を有するターゲットと、前記測量装置と通信可能な表示端末とを具備し、前記演算制御部は、前記追尾光が前記ターゲットで反射された時の前記反射追尾光の受光量の増大に伴い前記ターゲットの追尾を開始させる様構成された測量システムに係るものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、測距光を発する発光素子と、測定対象物からの反射測距光を受光する受光素子とを有する距離測定部と、前記測距光を照射する回転部と、該回転部を鉛直方向に回転させる鉛直回転駆動部と、前記回転部が設けられる托架部と、該托架部を水平方向に回転させる水平回転駆動部と、前記回転部に向って異なる2つの光からなるガイド光を前記測距光と同一平面内に照射するガイド光照射部と、前記受光素子への前記反射測距光の受光結果に基づき前記測定対象物迄の距離を演算する演算制御部とを具備し、前記回転部は前記測距光を透過し前記ガイド光を反射する可視光分離光学部材を有し、前記ガイド光は前記回転部の回転により前記ガイド光の広がり角以上の範囲で照射される様構成されたので、前記ガイド光の単位面積当りの光量を減少させることなく照射範囲を広げることができ、視認性の向上及び到達距離の延長を図ることができる。
【0022】
又本発明によれば、前記測量装置と、所定の杭打ち点迄誘導されるターゲット装置とを有する測量システムであって、前記測量装置は前記測定対象物に前記測距光と同軸且つ前記ガイド光と同一平面内に追尾光を射出する追尾発光素子を有する追尾光射出部と、前記測定対象物からの反射追尾光を前記反射測距光と同軸で受光する追尾光受光部とを更に具備し、前記ターゲット装置はポールと、該ポールの上端に設けられた再帰反射性を有するターゲットと、前記測量装置と通信可能な表示端末とを具備し、前記演算制御部は、前記追尾光が前記ターゲットで反射された時の前記反射追尾光の受光量の増大に伴い前記ターゲットの追尾を開始させる様構成されたので、前記ガイド光に基づき容易に前記ターゲット装置の誘導処理を開始することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の実施例に係る測量装置を示す正断面図である。
図2】第1の実施例に係る測量装置を示す斜視図である。
図3】第1の実施例に係る測量装置を示す平断面図である。
図4】(A)は第1の実施例に係る測量装置を示す側断面図であり、(B)は(A)のA矢視図である。
図5】(A)~(C)は、ターゲット装置の左右方向の誘導を説明する説明図である。
図6】(A)は第1の実施例に係る測量装置を示す側断面図であり、(B)はガイド光が水平よりも上側に偏向された場合のガイド光とターゲット装置との関係を説明する説明図である。
図7】(A)は第1の実施例に係る測量装置を示す側断面図であり、(B)はガイド光が水平よりも下側に偏向された場合のガイド光とターゲット装置との関係を説明する説明図である。
図8】(A)は第2の実施例に係るガイド光照射部を示す構成図であり、(B)は該ガイド光照射部から照射されるガイド光を示す説明図である。
図9】第3の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
図10】第4の実施例に係る測量装置を示す斜視図である。
図11】第4の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
図12】第5の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
図13】第6の実施例に係る測量装置を示す斜視図である。
図14】第6の実施例に係る測量装置を示す平断面図である。
図15】第6の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
図16】第7の実施例に係る測量装置を示す平断面図である。
図17】第8の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
図18】(A)は前記測量装置の走査プリズムを示す斜視図であり、(B)は前記走査プリズムを示す平面図である。
図19】(A)(B)は、第8の実施例の変形例に係る測量装置の回転部を示す説明図である。
図20】第9の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
図21】(A)は前記測量装置の走査プリズムを示す斜視図であり、(B)は前記走査プリズムを示す平面図である。
図22】第10の実施例に係る測量装置を示す斜視図である。
図23】第10の実施例に係る測量装置を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0025】
先ず、図1図3に於いて、本発明の第1の実施例に係る測量装置について説明する。
【0026】
測量装置1は、例えばレーザスキャナであり、三脚(図示せず)に取付けられる整準部2と、該整準部2に取付けられた測量装置本体3とから構成される。
【0027】
前記整準部2は整準ネジ10を有し、該整準ネジ10により前記測量装置本体3を水平に整準する。
【0028】
該測量装置本体3は、固定部4と、托架部5と、水平回転軸6と、水平回転軸受7と、水平回転駆動部としての水平回転モータ8と、水平角検出部としての水平角エンコーダ9と、鉛直回転軸11と、鉛直回転軸受12と、鉛直回転駆動部としての鉛直回転モータ13と、鉛直角検出部としての鉛直角エンコーダ14と、走査ミラー15と、操作部と表示部とを兼用する操作パネル16と、演算制御部17と、記憶部18と、距離測定部19と、ガイド光照射部21等を具備(収納)している。尚、前記演算制御部17としては、本装置に特化したCPU、或は汎用CPUが用いられる。
【0029】
前記水平回転軸受7は前記固定部4に固定される。前記水平回転軸6は鉛直な軸心6aを有し、前記水平回転軸6は前記水平回転軸受7に回転自在に支持される。又、前記托架部5は前記水平回転軸6に支持され、前記托架部5は水平方向に前記水平回転軸6と一体に回転する様になっている。
【0030】
前記水平回転軸受7と前記托架部5との間には前記水平回転モータ8が設けられ、該水平回転モータ8は前記演算制御部17により制御される。該演算制御部17は、前記水平回転モータ8により、前記托架部5を前記軸心6aを中心に回転させる。
【0031】
前記托架部5の前記固定部4に対する相対回転角は、前記水平角エンコーダ9によって検出される。該水平角エンコーダ9からの検出信号は前記演算制御部17に入力され、該演算制御部17により水平角データが演算される。該演算制御部17は、前記水平角データに基づき、前記水平回転モータ8に対するフィードバック制御を行う。
【0032】
又、前記托架部5には、水平な軸心11aを有する前記鉛直回転軸11が設けられている。該鉛直回転軸11は、前記鉛直回転軸受12を介して回転自在となっている。尚、前記軸心6aと前記軸心11aの交点が、測距光の射出位置であり、前記測量装置本体3の座標系の原点となっている。
【0033】
前記托架部5には、凹部22が形成されている。前記鉛直回転軸11は、一端部が前記凹部22内に延出し、前記一端部に前記走査ミラー15が固着され、該走査ミラー15は前記凹部22に収納されている。又、前記鉛直回転軸11の他端部には、前記鉛直角エンコーダ14が設けられている。
【0034】
前記軸心6a上であり、前記走査ミラー15と対向する位置は、ガラス等の透明材料で形成され、該走査ミラー15と一体に回転する窓部23が設けられている。該窓部23は、前記軸心6aに対して所定角度傾斜すると共に、表面に近赤外光を透過し、可視光を反射する可視光分離光学部材としてのロングパスフィルタが蒸着され、可視光分離面24が形成される。ロングパスフィルタは、前記窓部23の裏面に蒸着されていてもよい。尚、前記走査ミラー15と前記窓部23と前記可視光分離面24とで、前記鉛直回転モータ13により前記鉛直回転軸11を介して一体に鉛直方向に回転される回転部20を構成する。
【0035】
又、前記凹部22の底面は、中心部に形成された水平部22aと、該水平部22aの両端部から外側に向ってそれぞれ下り傾斜する傾斜部22b、22cとからなっている。尚、本実施例では、前記傾斜部22bが設けられる側を前記測量装置1の正面側、前記傾斜部22cが設けられる側を前記測量装置1の背面側としている。又、他の実施例に於いても、前記傾斜部22b側を正面側、前記傾斜部22c側を背面側とする。
【0036】
前記托架部5には、前記傾斜部22bに開口する前記ガイド光照射部21が設けられている。該ガイド光照射部21のガイド光軸25は、上方に向って、特に前記托架部5が水平姿勢の場合は鉛直上方に向って延出する。即ち、前記ガイド光軸25は前記回転部20に向って延出し、前記ガイド光軸25に沿ってガイド光26(後述)が照射される。又、前記回転部20が所定の回転位置に位置する場合に、前記ガイド光26は前記可視光分離面24で所定の方向に反射される様に構成されている。
【0037】
前記鉛直回転軸11に前記鉛直回転モータ13が設けられ、該鉛直回転モータ13は前記演算制御部17に制御される。該演算制御部17は、前記鉛直回転モータ13により前記鉛直回転軸11を回転させ、前記走査ミラー15は前記軸心11aを中心に回転される。
【0038】
前記走査ミラー15の回転角は、前記鉛直角エンコーダ14によって検出され、検出信号は前記演算制御部17に入力される。該演算制御部17は、検出信号に基づき前記走査ミラー15の鉛直角データを演算し、該鉛直角データに基づき前記鉛直回転モータ13に対するフィードバック制御を行う。
【0039】
又、前記演算制御部17で演算された水平角データ、鉛直角データや測定結果は、前記記憶部18に保存される。該記憶部18としては、磁気記憶装置としてのHDD、光記憶装置としてのCD、DVD、半導体記憶装置としてのメモリカード、USBメモリ等種々の記憶手段が用いられる。該記憶部18は、前記托架部5に対して着脱可能であってもよく、或は図示しない通信手段を介して外部記憶装置や外部データ処理装置にデータを送出可能としてもよい。
【0040】
前記記憶部18には、測距作動を制御するシーケンスプログラム、測距作動により距離を演算する演算プログラム、水平角データ及び鉛直角データに基づき角度を演算する演算プログラム、距離と角度に基づき所望の測定点の3次元座標を演算するプログラム、前記ガイド光照射部21を制御する為の制御プログラム、前記鉛直角データに基づき前記ガイド光26の照射方向を制御する為の制御プログラム等の各種プログラムが格納される。又、前記演算制御部17により各種プログラムが実行されることで、各種処理が実行される。
【0041】
前記操作パネル16は、例えばタッチパネルであり、測距の指示や測定条件、例えば測定点間隔の変更等を行う操作部と、測距結果や画像等を表示する表示部とを兼用している。
【0042】
次に、図3を参照して、前記距離測定部19について説明する。尚、図2中では、前記距離測定部19は便宜上正面図として図示している。
【0043】
該距離測定部19は、測距光射出部27と測距光受光部28と追尾光射出部29と追尾光受光部31とを有している。尚、前記測距光射出部27と前記測距光受光部28とにより測距部が構成され、前記追尾光射出部29と前記追尾光受光部31とにより追尾部が構成される。
【0044】
前記測距光射出部27は、測距光軸32を有している。又、前記測距光射出部27は、発光側から順に、前記測距光軸32上に設けられた発光素子33、例えば所定の波長の近赤外光を測距光34として射出するレーザダイオード(LD)と、投光レンズ35と、ダイクロイックミラー36と、該ダイクロイックミラー36の透過光軸上に設けられたミラー37とを有している。又、該ミラー37の反射光軸上に反射プリズム38が設けられ、該反射プリズム38の反射光軸上に前記走査ミラー15が設けられている。更に、該走査ミラー15の反射光軸上に、前記窓部23が設けられている。
【0045】
尚、本実施例では、前記測距光軸32と、前記ミラー37で反射された前記測距光軸32と、前記反射プリズム38で反射された前記測距光軸32とを総称して、該測距光軸32としている。
【0046】
前記ダイクロイックミラー36は、前記測距光34を透過し、追尾光39(後述)を反射する光学特性を有している。又、前記ダイクロイックミラー36は、前記測距光34と前記追尾光39の共通光路上(前記測距光軸32と追尾光軸41(後述)の交差位置)に設けられ、前記追尾光軸41が前記測距光軸32と合致する様に前記追尾光軸41を偏向(反射)する。従って、前記測距光34と前記追尾光39とは同軸で測定対象物に向って照射される。
【0047】
前記反射プリズム38は、2つの台形状のプリズムを接合させて形成され、各プリズムの接合面42で前記測距光34と前記追尾光39を反射する様に構成されている。前記反射プリズム38の射出面は、前記接合面42で反射された前記測距光軸32が僅かに傾斜して入射する様構成されており、前記反射プリズム38の射出面で内部反射された前記測距光34が受光素子43(後述)に受光されるのを防止している。尚、前記接合面42の傾斜角は、前記測距光軸32が受光光軸44(後述)及び前記軸心11aと合致する様、前記測距光軸32を偏向(反射)させる角度となっている。又、前記受光素子43としては、例えばアバランシェフォトダイオード(APD)、或は同等の光電変換素子が用いられる。
【0048】
前記測距光受光部28は、前記受光光軸44を有している。又、前記測距光受光部28は、受光側から順に、前記受光光軸44上に設けられた前記受光素子43と、受光プリズム45を有すると共に、該受光プリズム45で反射された前記受光光軸44上に設けられた所定のNA(Numerical Aperture)を有する受光レンズ46を有している。
【0049】
前記受光プリズム45は、分離面としてのダイクロイック膜47を有している。前記受光プリズム45は、測定対象物で反射された前記測距光34(反射測距光48)と、該反射測距光48と同軸で入射した前記追尾光39(反射追尾光49)とを少なくとも1回内部反射させる様構成されている。又、前記ダイクロイック膜47は、前記反射測距光48を反射し、前記反射追尾光49を透過する光学特性を有している。
【0050】
尚、本実施例では、前記受光光軸44と、前記受光プリズム45及び前記ダイクロイック膜47で反射された前記受光光軸44とを総称して、該受光光軸44としている。
【0051】
前記追尾光射出部29は、前記追尾光軸41を有している。又、前記追尾光射出部29は、発光側から順に、前記追尾光軸41上に設けられた追尾発光素子51、例えば前記測距光34とは波長の異なる近赤外光を前記追尾光39として射出するレーザダイオード(LD)と、追尾投光レンズ52と、前記ダイクロイックミラー36とを有すると共に、該ダイクロイックミラー36の反射光軸上に設けられた前記ミラー37と、該ミラー37の反射光軸上に設けられた前記反射プリズム38とを有している。
【0052】
前記追尾光受光部31は、追尾受光光軸53を有している。又、前記追尾光受光部31は、受光側から順に、前記追尾受光光軸53上に設けられた追尾受光素子54、受光プリズム45及び該受光プリズム45の反射光軸上に設けられた前記受光レンズ46を有している。尚、本実施例では、前記追尾受光光軸53と前記受光プリズム45で反射された前記追尾受光光軸53とを総称して、該追尾受光光軸53としている。
【0053】
前記追尾受光素子54は、画素の集合体であるCCD、或はCMOSセンサであり、各画素は前記追尾受光素子54上での位置が特定できる様になっている。例えば、各画素は、前記追尾受光素子54の中心を原点とした画素座標を有し、該画素座標によって前記追尾受光素子54上での位置が特定される。
【0054】
前記距離測定部19は、前記演算制御部17により制御される。前記発光素子33から前記測距光軸32上にパルス状の前記測距光34が射出されると、前記投光レンズ35、前記ダイクロイックミラー36を透過し、前記ミラー37で反射される。前記測距光34は、前記反射プリズム38に入射し、前記接合面42で前記受光光軸44及び前記軸心11aと同軸になる様反射される。前記反射プリズム38から射出される前記測距光34は、前記走査ミラー15によって直角に偏向され、前記窓部23と前記可視光分離面24を透過して測定対象物に照射される。前記走査ミラー15が前記軸心11aを中心に回転することで、前記測距光34は前記軸心11aと直交し、且つ前記軸心6aを含む平面内で回転(走査)される。
【0055】
尚、前記窓部23は、前記測距光軸32に対して所定角度傾斜しているので、前記窓部23で反射された前記測距光34の前記受光素子43への入射が防止される。又、前記走査ミラー15の前記測距光34の反射位置、即ち該測距光34の反射位置は、前記測量装置1の機械中心55であり、該機械中心55は前記軸心6a上且つ前記軸心11a上に位置している。
【0056】
測定対象物で反射された前記反射測距光48は、前記可視光分離面24及び前記窓部23を透過し、前記走査ミラー15で直角に反射され、前記受光レンズ46及び前記受光プリズム45を通過する過程で前記ダイクロイック膜47に反射され、前記受光素子43で受光される。
【0057】
前記演算制御部17は、前記発光素子33の発光タイミングと、前記受光素子43の受光タイミングの時間差(即ち、パルス光の往復時間)と光速に基づき、前記測距光34の1パルス毎に測距を実行し(Time Of Flight)、測定対象物迄の距離を演算する。尚、前記発光素子33の発光のタイミング、即ちパルス間隔は、前記操作パネル16を介して変更可能となっている。又、測距結果と前記水平角エンコーダ9及び前記鉛直角エンコーダ14で得られた水平角データ及び鉛直角データに基づき、測定対象物の3次元座標を演算できる。
【0058】
又、前記測距光34を所定のパルス間隔で射出しつつ、前記托架部5と前記走査ミラー15とをそれぞれ定速で回転させることで、該走査ミラー15の鉛直方向の回転と、前記托架部5の水平方向の回転との協動により、前記測距光34が2次元に走査される。又、各パルス光毎に前記鉛直角エンコーダ14、前記水平角エンコーダ9により鉛直角、水平角を検出することで、鉛直角データ、水平角データが取得できる。鉛直角データ、水平角データ、測距データとにより、測定対象物の3次元座標及び測定対象物に対応する3次元の点群データが取得できる。
【0059】
又、測距作動と並行して、追尾発光素子51から発せられた前記測距光34とは異なる波長の前記追尾光39は、前記追尾投光レンズ52で僅かに発散された後、前記ダイクロイックミラー36により前記測距光34と同軸となる様に偏向される。
【0060】
前記測距光34と同軸で測定対象物に照射され、測定対象物で反射された前記反射追尾光49は、前記可視光分離面24及び前記窓部23を透過し、前記受光レンズ46及び前記受光プリズム45を通過する過程で、前記ダイクロイック膜47で前記反射測距光48と分離され、前記ダイクロイック膜47を透過して前記追尾受光素子54で受光される。又、該追尾受光素子54への前記反射追尾光49の受光により、追尾像(図示せず)を得ることができる。
【0061】
前記演算制御部17は、前記追尾受光素子54の中心と、該追尾受光素子54に対する前記反射追尾光49の受光位置との位置偏差を演算し、該位置偏差に基づき、前記水平回転モータ8と前記鉛直回転モータ13を駆動させ、測定対象物を追尾する様に構成される。
【0062】
次に、図4(A)、図4(B)を参照して、前記ガイド光照射部21について説明する。該ガイド光照射部21は、前記演算制御部17によって制御される。
【0063】
前記ガイド光照射部21は、図4(B)に示される様に、第1発光素子56と、該第1発光素子56の射出光軸上に設けられた直角プリズムミラー57と、該直角プリズムミラー57の反射光軸上に設けられた照射レンズ58と、保護ガラス59とを有している。又、前記ガイド光照射部21は、前記直角プリズムミラー57に関して前記第1発光素子56と対称な位置に設けられた第2発光素子61を有し、該第2発光素子61の射出光軸上に前記直角プリズムミラー57が位置し、該直角プリズムミラー57の反射光軸上に前記照射レンズ58と前記保護ガラス59とが位置している。
【0064】
前記直角プリズムミラー57は、直角二等辺三角柱状のプリズムであり、2面の反射面57a,57bを有している。前記第1発光素子56は、例えばLD又はLEDであり、緑色の可視光を第1ガイド光26aとして前記第1反射面57aの先端近傍に照射し、前記第1ガイド光26aは前記第1反射面57aで直角に反射される様構成されている。又、前記第2発光素子61は、例えばLD又はLEDであり、赤色の可視光を第2ガイド光26bとして前記第2反射面57bの先端近傍に照射し、前記第2ガイド光26bは前記第2反射面57bで直角に反射される様に構成されている。
【0065】
又、前記第1反射面57aで反射された前記第1ガイド光26aの射出光軸と、前記第2反斜面57bで反射された前記第2ガイド光26bの射出光軸は、前記直角プリズムミラー57の頂点(稜線)を通る前記ガイド光軸25と合致するか、平行且つ略合致する。
【0066】
前記直角プリズムミラー57で反射された前記第1ガイド光26aと前記第2ガイド光26bは、前記ガイド光26として前記照射レンズ58で所定の広がり角とされ、前記保護ガラス59を透過して前記回転部20の前記可視光分離面24に入射する。前記ガイド光26は、前記回転部20の回転位置、即ち前記可視光分離面24に対する入射角に対応して所定の方向に偏向される。又、前記ガイド光軸25と、前記測距光軸32と、追尾光軸41とは、前記軸心6a及び前記機械中心55を含む同一平面内に位置する。即ち、前記ガイド光26は、前記測距光34と同一平面内で照射される。
【0067】
尚、前記ガイド光26の照射方向と前記回転部20の回転位置との関係は、予め前記記憶部18に保存されており、前記演算制御部17が前記鉛直角エンコーダ14の検出結果に基づき前記回転部20の回転位置を制御することで、前記ガイド光26を所望の方向に照射可能となっている。
【0068】
又、前記回転部20が所定の回転位置に位置する場合、前記ガイド光軸25は前記可視光分離面24により水平方向に反射され、水平な前記ガイド光軸25aとなる。尚、図4(A)中、32aは、前記機械中心55を通り、前記測距光34が前記走査ミラー15で水平方向、即ち前記測量装置1の正面に向って偏向(反射)されたときの測距光軸を示している。前記ガイド光軸25が水平であるとき、水平な前記ガイド光軸25aは前記測距光軸32aと平行であり、且つ該測距光軸32aと既知のオフセット距離を有する様になっている。
【0069】
尚、前記第1発光素子56の射出光軸と、前記第1反射面57aで反射された前記第1発光素子56の射出光軸と、前記第2発光素子61の射出光軸と、前記第2反斜面57bで反射された前記第2発光素子61の射出光軸とを総称して、前記ガイド光軸25としている。
【0070】
前記ガイド光照射部21は、前記直角プリズムミラー57を用いることで、緑色と赤色の2色の可視光を、前記直角プリズムミラー57の頂点(稜線)を通る前記ガイド光軸25と同軸又は略同軸で照射する様に構成されている。即ち、前記ガイド光26は、緑色の前記第1ガイド光26aと赤色の前記第2ガイド光26bからなる2色の可視光となっており、前記測距光軸32と正対したときの前記ガイド光26の色と、前記測距光軸32の左側から見た時の前記ガイド光26の色と、前記測距光軸の左側から見た時の前記ガイド光26の色とが、それぞれ異なる色となる様に構成されている。
【0071】
例えば、前記ガイド光26は、前記測距光軸32と正対したときには緑色の前記第1ガイド光26aと赤色の前記第2ガイド光26bの両方の光が見え、前記測距光軸32の左側からは前記第1ガイド光26aのみが見え、前記測距光軸32の右側からは前記第2ガイド光26bのみが見える様に構成されている。
【0072】
次に、前記測量装置1を用いた誘導処理について説明する。図5(A)~図5(C)中、63は杭打ち作業等に用いられるターゲット装置を示している。該ターゲット装置63は、下端が尖端となったポール64と、該ポール64の上端に設けられた再帰反射性を有するターゲット、例えばコーナキューブ65と、前記ポール64の所定の位置に設けられた表示端末66とを有している。
【0073】
前記コーナキューブ65の光学中心は、前記ポール64の軸心上に位置し、該ポール64の下端から前記コーナキューブ65の光学中心迄の距離は既知となっている。又、ポール64には、図示しない気泡管等の傾斜検出器が設けられており、該傾斜検出器に基づき前記ポール64を垂直姿勢とすることができる。
【0074】
前記表示端末66は、前記測量装置1と通信可能となっており、前記測量装置1で測定された前記コーナキューブ65の3次元座標や、前記測量装置1で予め設定された杭打ち点67(図5(C)参照)の3次元座標を表示可能である。又、前記表示端末66は、前記演算制御部17が演算した前記コーナキューブ65の位置を基準とした前記杭打ち点67の位置、即ち前記コーナキューブ65から前記杭打ち点67迄の距離、前記コーナキューブ65を基準とした前記杭打ち点67の方向を表示可能となっている。更に、前記表示端末66は、前記コーナキューブ65の位置と前記杭打ち点67の距離や方向が合致した際に、音等のアラームで作業者に通知する様に構成されている。
【0075】
又、前記測量装置1は、前記コーナキューブ65を測定し、追尾すると共に、該コーナキューブ65の測定結果と前記ポール64の下端から前記コーナキューブ65の光学中心迄の距離に基づき前記ポール64の下端、即ち前記杭打ち点67の3次元座標を演算可能となっている。
【0076】
前記ターゲット装置63の前記杭打ち点67への誘導処理を行う際には、先ず、前記測量装置1を既知の3次元座標を有する設置点に設置し、任意の方向に向ける。次に、前記操作パネル16を介して前記測量装置1に前記杭打ち点67の3次元座標を入力し、前記演算制御部17に処理を開始させる。
【0077】
前記演算制御部17は、前記鉛直回転モータ13を駆動させ、前記走査ミラー15を回転させる。又、該走査ミラー15の回転と並行して、前記測距光34と前記追尾光39を照射すると共に、前記ガイド光照射部21を駆動させ、前記ガイド光26を照射する。
【0078】
前記ガイド光26は、前記回転部20の回転位置に対応して、前記可視光分離面24で所定の方向に反射され、照射される。例えば、図6(A)に示される様に、前記ガイド光軸25が水平な前記ガイド光軸25aよりも上方に偏向される場合、図6(B)に示される様に、前記ガイド光26は水平よりも上方に照射される。又、図7(A)に示される様に、前記ガイド光軸25が前記ガイド光軸25aよりも下方に偏向される場合、図7(B)に示される様に、前記ガイド光26は水平よりも下方に照射される。即ち、前記ガイド光26は、鉛直方向に於いて前記ガイド光26の広がり角以上の範囲で回転照射される。尚、前記ガイド光26が前記可視光分離面24に入射しない時には、前記ガイド光26が正面に向って照射されない。然し乍ら、前記回転部20は高速回転し、正面への前記ガイド光26の照射が途切れる時間は僅かであるので、前記ガイド光26は連続照射されていると見なすことができる。
【0079】
作業者は、前記ガイド光26を参照し、前記ターゲット装置63を搬送する。ここで、図5(A)に示される様に、前記ターゲット装置63から見て前記測量装置1が前記第1ガイド光26aと前記第2ガイド光26bとの境界線26cよりも左側に存在している場合、前記ターゲット装置63は前記第1ガイド光26aの照射範囲に位置するので、作業者は緑色の前記第1ガイド光26aのみを視認する。又、前記ターゲット装置63から見て前記測量装置1が前記境界線26cよりも右側に位置している場合、前記ターゲット装置63は前記第2ガイド光26bの照射範囲に位置するので、作業者は赤色の前記第2ガイド光26bのみを視認する。
【0080】
作業者は、視認された前記ガイド光26が赤色であれば前記ターゲット装置63を右側に搬送し、緑色であれば前記ターゲット装置63を左側に搬送する。作業者は、該ターゲット装置63を前記境界線26c上迄、即ち前記第1ガイド光26aと前記第2ガイド光26bの両方が視認できるまで前記ターゲット装置63を搬送する。
【0081】
尚、前記追尾光39は、前記走査ミラー15の回転により鉛直方向に回転照射され続けており、前記追尾光39が前記コーナキューブ65で反射された際には、該コーナキューブ65以外を照射した場合と比べて反射光量が大幅に増大する。
【0082】
前記追尾受光素子54に入射する前記反射追尾光49の受光量が増大が検知されると、即ち、前記追尾光39で前記コーナキューブ65が検出されると、前記演算制御部17は、前記測量装置1に前記コーナキューブ65の追尾を開始させる。又、前記追尾光39は前記測距光34と同軸で照射されているので、前記コーナキューブ65の追尾と並行して該コーナキューブ65の測定(測距及び測角)が実行される。即ち、該コーナキューブ65の3次元座標がリアルタイムで演算される。
【0083】
前記演算制御部17は、前記コーナキューブ65の測定結果(3次元座標)に対する前記杭打ち点67の位置、即ち該杭打ち点67迄の距離と方向を演算し、前記表示端末66に送信する。
【0084】
作業者は、前記表示端末66に表示された杭打ち点67迄の距離と方向に基づき、該杭打ち点67に向って前記ターゲット装置63を搬送する。ここで、前記コーナキューブ65は、追尾と並行してリアルタイムで測定されているので、前記杭打ち点67迄の距離と方向はリアルタイムで更新される。
【0085】
前記杭打ち点67迄の距離が0となると、即ち前記ターゲット装置63が前記杭打ち点67上迄移動されると、前記表示端末66は音等で誘導完了のアラームを通知し、前記ターゲット装置63の誘導処理が完了する。誘導処理の完了後は、誘導された前記杭打ち点67に杭打ち作業を実行する。又、他にも誘導すべき杭打ち点が存在する場合には、前記測量装置1の次の杭打ち点への誘導処理が行われる。
【0086】
上述の様に、第1の実施例では、前記ガイド光照射部21が前記距離測定部19とは異なる位置、即ち前記凹部22の傾斜部22bに開口する様に設けられている。又、前記走査ミラー15と一体に回転する前記窓部23の表面に、可視光を反射し、近赤外光を透過する可視光分離光学部材としてのロングパスフィルタが蒸着された前記可視光分離面24が形成されており、前記反射測距光48と前記反射追尾光49のみが前記距離測定部19に入射し、可視光である前記ガイド光26は前記可視光分離面24で反射される様に構成されている。
【0087】
従って、前記ガイド光照射部21を前記距離測定部19内に組込む必要がないので、該距離測定部19の光学系を小型化することができ、前記測量装置1全体の小型化を図ることができる。
【0088】
又、前記回転部20の回転位置に対応して、前記ガイド光26の偏向方向が鉛直方向に変化するので、鉛直方向に於いては該ガイド光26の広がり角以上の範囲で該ガイド光26を回転照射することができ、該ガイド光26の照射範囲が拡大され、該ガイド光26の視認性を向上させることができる。
【0089】
又、前記ガイド光26の広がり角を変更することなく、即ち該ガイド光26の単位面積当りの光量(密度)を減少させることなく鉛直方向の照射範囲を広げることができるので、狭い広がり角の前記照射レンズ58を用いることができ、前記ガイド光26の到達距離を伸すことができる。
【0090】
又、前記測距光軸32及び前記追尾光軸41と、前記ガイド光軸25は、前記軸心6aと前記機械中心55を含む同一平面内に位置している。即ち、前記整準部2で前記測量装置本体3を水平に整準した際には、前記ガイド光軸25と前記測距光軸32及び前記追尾光軸41は、鉛直な平面内に位置する。
【0091】
従って、前記第1ガイド光26aと前記第2ガイド光26bの両方が視認可能な前記境界線26c上が、前記測距光軸32と前記追尾光軸41が存在する平面となるので、前記ガイド光26に基づき、前記コーナキューブ65を前記追尾光39で容易に検出させ、追尾を開始させることができる。
【0092】
更に、前記ガイド光26の光源を複数設けることなく該ガイド光26の単位面積当りの光量(密度)を確保できるので、前記ガイド光照射部21の光学系の小型化及び製作コストの低減を図ることができる。
【0093】
尚、第1の実施例では、任意の方向に向けられた前記測量装置1に前記コーナキューブ65を検出させ、追尾させた後に前記ターゲット装置63の誘導処理を行っている。一方で、入力された前記杭打ち点67の3次元座標に基づき、前記測量装置1の向きを前記杭打ち点67に予め向けさせ、前記ガイド光26に基づき左右方向の誘導を行った後、前記測量装置1に前記コーナキューブ65の検出及び追尾を実行させ、前後方向の誘導を行ってもよい。
【0094】
又、第1の実施例では、前記回転部20が前記鉛直回転軸11を介して等速で全周回転しており、前記ガイド光26は前記回転部20が1周するうちの一部、即ち前記ガイド光26が前記可視光分離面24に入射する間だけ正面側に向って前記ガイド光26を照射する様に構成されている。一方で、予め設定した所定の鉛直角範囲、例えば前記ガイド光26が常時前記可視光分離面24に入射する範囲で前記回転部20を揺動回転(往復回転)させてもよい。
【0095】
該回転部20を揺動回転させることで、前記ガイド光26が途切れることなく常時正面側へと照射され続けるので、該ガイド光26の光量を更に増大させることができる。
【0096】
又、第1の実施例では、前記ガイド光照射部21の前記ガイド光軸25は、前記回転部20に向って延出する構成となっているが、該回転部20が所定の回転位置である場合には、例えば前記測距光軸32が水平な測距光軸32aと合致している場合には、前記ガイド光軸25が前記回転部20と交差せず、前記ガイド光26が鉛直上方に照射される様、前記ガイド光照射部21を配置してもよい。
【0097】
又、第1の実施例では、前記ガイド光26は、前記第1発光素子56から発せられた緑色の前記第1ガイド光26aと、前記第2発光素子61から発せられた赤色の前記第2ガイド光26bとから構成されている。一方で、前記第1発光素子56と前記第2発光素子から同色の光を射出させ、一方の光を連続照射される第1ガイド光26aとし、他方の光を点滅発光される第2ガイド光26bとしてもよい。
【0098】
次に、図8(A)、図8(B)に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、図8(A)、図8(B)中、図4(A)、図4(B)中と同等のものには同符号を付しその説明を省略する。
【0099】
第2の実施例に於いては、ガイド光照射部21が、第1の実施例に於ける照射レンズ58に代えて、アナモルフィック光学系68を有している。他の構成については、第1の実施例と同様である。
【0100】
該アナモルフィック光学系68は、鉛直方向と水平方向とで焦点距離が異なる様に構成されている。例えば、図8(B)に示される様に、鉛直方向の広がり角を0.5°~2°とした場合、水平方向の広がり角は5°~10°となる、即ち、水平方向の広がり角は、鉛直方向の広がり角の5~10倍程度となる。
【0101】
尚、前記アナモルフィック光学系68としては、焦点距離が異なる2つのシリンドリカルレンズを用いてもよいし、鉛直方向と水平方向とで焦点距離が異なる自由曲面レンズを用いてもよいし、コリメータレンズとアナモルフィックプリズムペアを用いた光学系を用いてもよい。
【0102】
第2の実施例では、ガイド光26が鉛直方向には狭い広がり角を有し、水平方向には鉛直方向の5~10倍の広い広がり角を有する様、前記ガイド光照射部21が前記アナモルフィック光学系68を有している。又、前記ガイド光26は、回転部20(図4(A)参照)の回転に対応して、鉛直方向に前記ガイド光26の広がり角以上の範囲に照射される。
【0103】
従って、水平方向の広がり角を拡大するだけで、水平方向及び鉛直方向に大きい広がり角の前記ガイド光26を照射することができるので、該ガイド光26の到達距離を長くすることができると共に、該ガイド光26の視認性を向上させることができる。
【0104】
次に、図9に於いて、本発明の第3の実施例について説明する。尚、図9中、図4(A)中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0105】
第3の実施例では、走査ミラー15と、該走査ミラー15と一体に回転する可視光分離光学部材としての可視光反射ミラー69とにより回転部71が構成される。該可視光反射ミラー69は、例えば近赤外光を透過し、可視光を反射するロングパスフィルタが蒸着されたガラス板となっている。即ち、前記可視光反射ミラー69は、測距光34と反射測距光48を透過し、ガイド光26を反射する。
【0106】
又、前記回転部71の正面側には、傾斜部22bに垂直に立設されたガラス板72aが設けられ、前記回転部71の背面側には、傾斜部22cに垂直に立設されたガラス板72bが設けられると共に、前記回転部71の上側には前記ガラス板72aと前記ガラス板72bとに掛渡ってガラス板72cが設けられている。前記ガラス板72a,72b,72cは、それぞれ近赤外光、及び可視光を透過する光学特性を有しており、前記ガラス板72a,72b,72cにより前記回転部71を囲繞する窓部72が構成されている。
【0107】
従って、前記走査ミラー15で反射され、前記可視光反射ミラー69を透過した前記測距光34と前記ガイド光26は、前記窓部72を透過して測定対象物に照射され、測定対象物で反射された反射測距光48は、前記窓部72を透過して前記回転部71に入射する様に構成されている。
【0108】
第3の実施例に於いては、前記ガイド光照射部21が第1の実施例よりも中心側に設けられており、凹部22の水平部22a且つ前記機械中心55よりも正面側に開口している。即ち、ガイド光軸25と機械中心55との距離が第1の実施例よりも近くなっている。
【0109】
従って、前記回転部71が1周するうちで、前記ガイド光26が前記可視光反射ミラー69に入射する鉛直角範囲を第1の実施例よりも大きくすることができるので、前記ガイド光26の鉛直方向に於ける照射範囲を更に大きくすることができ、該ガイド光26の視認性を更に向上させることができる。又、前記回転部71が1周する時間当りの前記ガイド光26の照射時間が長くなるので、実質的な光量を増加させることができる。
【0110】
次に、図10図11に於いて、本発明の第4の実施例について説明する。尚、図10図11中、図2図4(A)中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0111】
第4の実施例に於いては、凹部22に上方から掛渡る様に、上方に突出するコ字状のハンドル部73が托架部5に着脱可能に設けられている。該ハンドル部73の水平方向に延出する長手部73aは、例えば軸心11a(図1参照)と平行となっている。
【0112】
又、前記長手部73aには、下方に開口するガイド光照射部74が設けられ、該ガイド光照射部74のガイド光軸75は鉛直下方、即ち軸心6a(図1参照)と平行に前記回転部20に向って下方に延出している。尚、第4の実施例に於いては、傾斜部22bに設けられたガイド光照射部21(図4(A)参照)は省略されている。その他の構成は、第1の実施例と同様である。又、前記ガイド光照射部74の構成は前記ガイド光照射部21の構成と同様となっている。
【0113】
第4の実施例に於いても、追尾光軸41と前記ガイド光軸75が前記軸心6aを含む同一平面上に位置し、第1ガイド光26aと第2ガイド光26bの境界線26c上に前記追尾光軸41が位置するので、作業者が容易に前記追尾光軸41の位置を把握でき、前記ターゲット装置63(図5参照)を容易に前記追尾光39で検出させることができる。
【0114】
次に、図12に於いて、本発明の第5の実施例について説明する。尚、図12中、図11中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0115】
第5の実施例では、長手部73a且つ前記機械中心55よりも正面側に、下方に開口する第1ガイド光照射部76が設けられると共に、凹部22の水平部22a且つ前記機械中心55よりも正面側に、上方に開口する第2ガイド光照射部77が設けられている。
【0116】
前記第1ガイド光照射部76の第1ガイド光軸78は、軸心6a(図1参照)と平行に前記回転部20に向って下方に延出している。又、前記第2ガイド光照射部77の第2ガイド光軸79は鉛直上方、即ち前記軸心6aと平行に前記回転部20に向って上方に延出している。更に、前記第1ガイド光照射部76と前記第2ガイド光照射部77は、前記第1ガイド光軸78と前記第2ガイド光軸79とが合致する様に配置されている。その他の構成は、第4の実施例と同様である。又、前記第1ガイド光照射部76と前記第2ガイド光照射部77の構成は、第1の実施例に於けるガイド光照射部21(図4(A)参照)と同様となっている。
【0117】
第5の実施例に於いては、前記第1ガイド光照射部76から照射される第1ガイド光81と、前記第2ガイド光照射部77から照射される第2ガイド光82のうちのいずれかが可視光分離面24で反射され、測量装置1の正面側に向って照射される。
【0118】
従って、前記可視光分離面24に前記ガイド光81,82が入射する前記回転部20の角度範囲が広がり、前記ガイド光81,82の単位面積当りの光量を減少させることなく鉛直方向の照射範囲を広げることができるので、前記ガイド光81,82の到達距離を伸すことができる。又、作業者が視認する前記ガイド光81,82の光量が実質的に増加するので、該ガイド光81,82の視認性を更に向上させることができる。
【0119】
次に、図13図15に於いて、本発明の第6の実施例について説明する。尚、図13図15中、図10図11中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0120】
第6の実施例では、托架部5の正面側であり、凹部22と隣接する位置に正面側に突出するコ字状のハンドル部83が着脱可能に設けられている。該ハンドル部83の上下方向に延出する長手部83aは、例えば軸心6a(図1参照)と平行となっている。
【0121】
前記長手部83aには、ガイド光照射部84が設けられ、ガイド光軸85は回転部20に向って延出し、可視光分離面24で反射される様に構成されている。又、前記ガイド光照射部84は、測距光軸32が走査ミラー15で水平に変更された際に、前記ガイド光軸85が前記可視光分離面24上で測距光軸32と交差し、且つ前記可視光分離面24で水平に偏向されたガイド光軸85が前記測距光軸32と完全に同軸となる様に配置されている。即ち、測距光34と追尾光39はガイド光86と同軸で射出される。その他の構成は第4の実施例と同様である。
【0122】
第6の実施例では、水平に偏向された前記測距光軸32と前記可視光分離面24で偏向された前記ガイド光軸85とが完全に同軸となる様、前記ガイド光照射部84が前記ハンドル部83に設けられている。従って、前記測距光軸32や追尾光軸41の位置をより正確に把握することができる。
【0123】
又、前記ガイド光照射部84を距離測定部19に組込む必要がないので、該距離測定部19の光学系を小型化することができ、前記測量装置1全体の小型化を図ることができる。
【0124】
更に、第6の実施例に於いても、単位面積当りの光量を減少させることなく鉛直方向に前記ガイド光86の広がり角以上の範囲で該ガイド光86を照射することができ、該ガイド光86の到達距離を伸せると共に視認性を向上させることができる。
【0125】
次に、図16に於いて、本発明の第7の実施例について説明する。尚、図16中、図13中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
第7の実施例では、ガイド光照射部84が托架部5内に設けられ、ガイド光軸85は測量装置1の正面側に向って延出している。又、ハンドル部83には、前記ガイド光軸85を偏向するミラー87が設けられている。該ミラー87は、可視光分離面24上で前記ガイド光軸85が水平な測距光軸32と交差し、且つ前記可視光分離面24で偏向されたガイド光軸85が前記測距光軸32と完全に同軸となる様に前記ガイド光軸85を偏向する。即ち、ガイド光86は測距光34及び追尾光39と同軸で射出される。その他の構成は第6の実施例と同様である。
【0127】
第7の実施例に於いても、水平に偏向された前記測距光軸32と前記可視光分離面24で偏向された前記ガイド光軸85が同軸となり、前記測距光軸32の位置を正確に把握することができると共に、距離測定部19に前記ガイド光照射部84を組込む必要がないので、該距離測定部19の光学系を小型化することができ、前記測量装置1全体の小型化を図ることができる。
【0128】
又、単位面積当りの光量(密度)を減少させることなく鉛直方向に前記ガイド光86の広がり角以上の範囲で該ガイド光86を照射することができ、該ガイド光86の到達距離を伸せると共に視認性を向上させることができる。
【0129】
次に、図17図18に於いて、本発明の第8の実施例について説明する。尚、図17図18中、図4(A)中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0130】
第8の実施例では、測距光34を回転照射させる為の鉛直回転部として、走査ミラーに代えて走査プリズム88が用いられている。該走査プリズム88は2つの三角形のプリズムを接合させて形成された略立方体の四角プリズムであり、図18(A)に示される様に、各三角プリズムの接合面は近赤外光、即ち測距光34や追尾光39を反射する反射面89となっている。
【0131】
又、図18(B)に示される様に、前記走査プリズム88の面のうち、測距光34の射出面である可視光反射面91aには可視光分離部材としてのロングパスフィルタが蒸着される。又、前記測距光34の入射面と鉛直回転軸11(図1参照)に固着された面以外の面、即ち軸心6a(図1参照)と交差する4つの面のうち、前記可視光反射面91aを除く3つの面には、それぞれ該可視光反射面91aと同様のロングパスフィルタ又は可視光反射膜が蒸着され、可視光反射ミラーとしての可視光反射面91b,91c,91dが形成される。前記可視光反射面91a~91dにより可視光反射面91が形成される。尚、図18(B)中では、4つの面に前記可視光反射面91が形成されているが、該可視光反射面91は、4つの面のうち前記走査プリズム88に入射した前記測距光34の射出面と該射出面に隣接する少なくとも1面即ち少なくとも2面であればよい。又、前記可視光反射面91のうち、前記測距光34の射出面は戻り光防止の為前記測距光軸32に対して僅かに傾斜させてもよい。尚、前記走査プリズム88が回転部を構成する。
【0132】
第8の実施例では、ガイド光照射部21が托架部5に設けられ、凹部22の水平部22a且つ前記機械中心55よりも正面側に開口している。前記ガイド光照射部21のガイド光軸25は、前記走査プリズム88に向って鉛直上方、即ち軸心6a(図1参照)と平行な方向に延出している。
【0133】
第8の実施例では、前記走査プリズム88が4つの前記可視光反射面91a~91dを有し、前記走査プリズム88に向って照射されたガイド光26は、前記可視光反射面91a~91dのいずれかによって前記測量装置1の正面側に常時照射され続ける様に構成されている。従って、作業者が視認する前記ガイド光26の光量が実質的に増加するので、該ガイド光26の視認性を更に向上させることができる。
【0134】
図19(A)、図19(B)は、第8の実施例の変形例を示している。該変形例では、鉛直回転部として走査ミラー15が用いられる。又、可視光分離面としては、ロングパスフィルタが蒸着された窓部23と、可視光反射ミラーとして可視光反射膜が蒸着された1枚~3枚のガラス板92とが用いられる。尚、図19(A)は該ガラス板92が1枚である場合を示し、図19(B)は該ガラス板92が3枚(図示では92a~92c)である場合を示している。該ガラス板92は可視光反射ミラーとして機能し、前記ガイド光軸25と交差する位置に配置されることで、前記可視光反射面91と同等の効果を得ることができる。又、前記走査ミラー15と各ガラス板92とで回転部93が構成される。
【0135】
次に、図20図21に於いて、本発明の第9の実施例について説明する。尚、図20図21中、図17図18中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0136】
第9の実施例では、測距光34を回転照射させる為の鉛直回転部として、走査ミラーに代えて走査プリズム94が用いられている。又、托架部5には、凹部22の水平部22a且つ前記機械中心55よりも正面側に開口するガイド光照射部21が設けられている。該ガイド光照射部は、図17の第1の実施例に於ける前記ガイド光照射部21と同様の構成となっている。
【0137】
前記走査プリズム94は三角プリズムであり、図21(A)、図21(B)に示される様に、近赤外光、即ち測距光34や追尾光39を反射する反射面95を有している。又、図21(A)、図21(B)に示される様に、前記測距光34の射出面には可視光分離光学部材としてのロングパスフィルタが蒸着され、可視光のみを反射する可視光反射面96を形成し、ガイド光軸25が前記可視光反射面96で偏向される様構成されている。
【0138】
第9の実施例に於いても、前記反射面95で偏向された測距光軸32及び追尾光軸41は前記可視光反射面96で水平に偏向された前記ガイド光軸25と同一平面上に位置している。従って、前記測距光軸32及び前記追尾光軸41の位置を容易に把握することができるので、前記追尾光39によるターゲット装置63(図7参照)の検出が容易に行え、容易に誘導処理を開始することができる。
【0139】
又、単位面積当りの光量(密度)を減少させることなく鉛直方向に前記ガイド光26の広がり角以上の範囲で該ガイド光26を照射することができ、該ガイド光26の到達距離を伸せると共に視認性を向上させることができる。
【0140】
次に、図22図23に於いて、本発明の第10の実施例について説明する。尚、図22図23中、図4(A)中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0141】
第10の実施例に於いては、測量装置1はトータルステーションとなっている。該測量装置1は、托架部5に凹部22が形成され、該凹部22に回転部としての測定部97が設けられている。
【0142】
該測定部97は、鉛直回転軸11(図1参照)を介して前記托架部5に回転可能に支持され、鉛直回転駆動部としての鉛直回転モータ13によって機械中心55を中心として鉛直方向に回転される。又、前記測定部97には、距離測定部19が収納され、前記測定部97の回転と対応して、測距光軸32の方向も鉛直方向に変化する。尚、前記測定部97の回転位置に拘らず、前記機械中心55は前記測距光軸32の延長線上に位置しており、前記測定部97の回転角と前記測距光軸32の回転角とは合致している。
【0143】
前記托架部5には、前記凹部22の傾斜部22bに開口するガイド光照射部21が設けられ、該ガイド光照射部21は、ガイド光軸25が鉛直上方、即ち軸心6a(図1参照)と平行な方向、即ち前記測定部97に向って延出する様に配置されている。
【0144】
又、該測定部97の下面には、可視光(ガイド光26)を反射する可視光分離光学部材としての可視光反射ミラー98が設けられている。該可視光反射ミラー98は、例えば可視光反射膜が蒸着されたガラス板となっている。前記ガイド光26は、前記可視光反射ミラー98で反射されることで、前記測量装置1の正面側に向って照射される。
【0145】
第10の実施例に於いても、前記測定部97から延出する測距光軸32及び追尾光軸41は前記可視光反射ミラー98で偏向された前記ガイド光軸25と同一平面上に位置している。従って、前記測距光軸32及び前記追尾光軸41の位置を容易に把握することができるので、前記追尾光39によるターゲット装置63(図7参照)の検出が容易に行え、容易に誘導処理を開始することができる。
【0146】
又、単位面積当りの光量(密度)を減少させることなく鉛直方向に前記ガイド光26の広がり角以上の範囲で該ガイド光26を照射することができ、該ガイド光26の到達距離を伸せると共に視認性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0147】
1 測量装置
3 測量装置本体
5 托架部
8 水平回転モータ
13 鉛直回転モータ
15 走査ミラー
17 演算制御部
19 距離測定部
20 回転部
21 ガイド光照射部
23 窓部
24 可視光分離面
26 ガイド光
63 ターゲット装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23