(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161702
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】ジョブ実行サービスシステム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241113BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20241113BHJP
【FI】
G06F3/12 336
G06F3/12 312
G06F3/12 331
G06F3/12 367
G06F3/12 387
H04W76/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076624
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩史
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD11
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE16
5K067EE25
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】クラウドが構内の情報処理装置のジョブを中継して同じ構内のジョブ実行装置に実行させるクラウドサービスを提供する場合において、ジョブをクラウド経由で実行させる場合に比して構内情報通信網を利用しなくてもジョブを早く終了させる。
【解決手段】クラウド8は、クラウドプリントサービス提供前に、各無線ネットワーク機器4から、当該機器が無線接続可能な無線ネットワーク機器4のSSIDリストを取得して通信可能リストを生成する。印刷を要求する要求PC10のユーザは、ジョブ情報をクラウド8に登録した後、プリンタ30からジョブの実行を指示する。クラウド8は、プリンタ30から実行指示を受け取ると、通信可能リストを参照して、要求PC10とプリンタ30の各SSIDリストに共通して含まれている無線ネットワーク機器4を、要求PC10にあるジョブをプリンタ30へ中継する中継PC20として選定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の無線通信方式に基づく無線通信機能を有する無線ネットワーク機器として構内に設置されている情報処理装置及びジョブ実行装置それぞれとインターネットを介して接続され、クラウドサービスを提供する際に前記情報処理装置が前記ジョブ実行装置へ送るジョブの中継を行うクラウド側プロセッサを備え、
前記クラウド側プロセッサは、
前記構内における前記無線ネットワーク機器間の通信可能な関係を示す通信関係情報を参照し、ユーザからの指示に応じて前記ジョブの実行要求元となる前記情報処理装置が前記ジョブの実行先となる前記ジョブ実行装置へ送る前記ジョブを中継する中継機器を前記無線ネットワーク機器の中から選定し、
前記中継機器との無線接続に必要な機器識別情報を前記ジョブの実行要求元及び実行先に提供し、
前記ジョブの中継を自ら行うことなく、前記ジョブの実行要求元から実行先への中継を前記中継機器に指示する、
ことを特徴とするジョブ実行サービスシステム。
【請求項2】
前記クラウド側プロセッサは、
前記無線ネットワーク機器それぞれから、当該無線ネットワーク機器が無線通信可能な無線ネットワーク機器のリスト情報を取得し、
取得した前記リスト情報を前記通信関係情報として保持する、
ことを特徴とする請求項1に記載のジョブ実行サービスシステム。
【請求項3】
前記クラウド側プロセッサは、前記ジョブの実行要求元と実行先から取得した前記リスト情報の双方に含まれている前記無線ネットワーク機器が存在する場合、当該無線ネットワーク機器を前記中継機器として選定することを特徴とする請求項2に記載のジョブ実行サービスシステム。
【請求項4】
前記クラウド側プロセッサは、前記ジョブの実行要求元と実行先から取得した前記リスト情報の双方に含まれている前記無線ネットワーク機器が存在しない場合、複数の前記中継機器を選定し、前記ジョブの実行要求元の前記ジョブを、選定した複数の前記中継機器に前記ジョブの実行先まで順番に中継させることを特徴とする請求項2に記載のジョブ実行サービスシステム。
【請求項5】
前記クラウド側プロセッサは、前記無線ネットワーク機器から中継不可情報を取得している場合、当該無線ネットワーク機器を前記中継機器の選定候補から除外することを特徴とする請求項1に記載のジョブ実行サービスシステム。
【請求項6】
前記クラウド側プロセッサは、
所定のタイミングで前記無線ネットワーク機器それぞれに、当該無線ネットワーク機器が無線通信可能な無線ネットワーク機器のリスト情報の送信を要求し、
当該要求に応じて前記無線ネットワーク機器それぞれから送信されてくるリスト情報を含む前記通信関係情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のジョブ実行サービスシステム。
【請求項7】
前記所定のタイミングは、いずれかの前記無線ネットワーク機器から設置位置の移動が通知されてきたタイミングであることを特徴とする請求項6に記載のジョブ実行サービスシステム。
【請求項8】
前記中継機器が備えるプロセッサは、
前記クラウド側プロセッサから前記ジョブの中継元及び中継先となる前記無線ネットワーク機器との無線接続に必要な機器識別情報が指定機器識別情報として送信されてきた場合、自機器の機器識別情報として現在設定中の機器識別情報を待避して、自機器の機器識別情報として前記指定機器識別情報を設定し、
前記ジョブの中継元から送られてきた前記ジョブを前記ジョブの中継先へ中継し、
中継が終了すると、待避していた機器識別情報を、自機器の機器識別情報として再設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のジョブ実行サービスシステム。
【請求項9】
前記クラウドサービスは、クラウドプリントサービスであり、
前記ジョブ実行装置は、印刷装置である、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のジョブ実行サービスシステム。
【請求項10】
所定の無線通信方式に基づく無線通信機能を有する無線ネットワーク機器として構内に設置されている情報処理装置及びジョブ実行装置それぞれとインターネットを介して接続され、クラウドサービスを提供する際に前記情報処理装置が前記ジョブ実行装置へ送るジョブの中継を行うコンピュータに、
前記構内における前記無線ネットワーク機器間の通信可能な関係を示す通信関係情報を参照し、ユーザからの指示に応じて前記ジョブの実行要求元となる前記情報処理装置が前記ジョブの実行先となる前記ジョブ実行装置へ送る前記ジョブを中継する中継機器を前記無線ネットワーク機器の中から選定する機能、
前記中継機器との無線接続に必要な機器識別情報を前記ジョブの実行要求元及び実行先に提供する機能、
前記ジョブの中継を自ら行うことなく、前記ジョブの実行要求元から実行先への中継を前記中継機器に指示する機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブ実行サービスシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
クラウドコンピューティングは、インターネットなどのコンピュータネットワークを経由して、コンピュータ資源をサービスの形で提供する利用形態である。一般には、略して「クラウド」と呼ばれることが多い。クラウドは、クラウドプリントなどと呼ばれる印刷サービスを提供している。クラウドプリントサービスは、インターネット等のネットワークを介してクラウドに接続可能なPC等の端末からネットワークに接続されているプリンタに印刷できるようにするサービスである。ユーザは、プリンタのデバイスドライバをインストールする必要もないし、プリンタのメンテナンスを行う必要もない。
【0003】
ユーザがクラウドプリントサービスを利用する場合、印刷ジョブは、ユーザ端末からインターネット、クラウドを介してプリンタへ送信される。
【0004】
このように、クラウドプリントでは、印刷ジョブがインターネットを経由してプリンタへ送られることになるので、例えば、同じLAN(Local Area Network)に接続されているプリンタを利用する場合、端末から送信される印刷ジョブは、ネットワークの通信速度等を考慮するとLAN経由でプリンタへ送られる場合と比較して印刷が終了するまでに要する時間が長くなる傾向にある。
【0005】
そこで、従来では、クラウドプリントを利用する場合でも、インターネット経由ではなくLAN経由で印刷ジョブをプリンタへ送ることで印刷を実行する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-066266号公報
【特許文献2】特開2022-006255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年では、セキュリティ対策などで構内から構内情報通信網を廃止する環境移行が始まっている。クラウドが構内の情報処理装置のジョブを中継して同じ構内のジョブ実行装置に実行させるクラウドサービスを提供する場合において、構内情報通信網が廃止されると、クラウド経由ではなく構内情報通信網経由でジョブを実行させることができなくなる。
【0008】
本発明は、クラウドが構内の情報処理装置のジョブを中継して同じ構内のジョブ実行装置に実行させるクラウドサービスを提供する場合において、ジョブをクラウド経由で実行させる場合に比して構内情報通信網を利用しなくてもジョブを早く終了させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るジョブ実行サービスシステムは、所定の無線通信方式に基づく無線通信機能を有する無線ネットワーク機器として構内に設置されている情報処理装置及びジョブ実行装置それぞれとインターネットを介して接続され、クラウドサービスを提供する際に前記情報処理装置が前記ジョブ実行装置へ送るジョブの中継を行うクラウド側プロセッサを備え、前記クラウド側プロセッサは、前記構内における前記無線ネットワーク機器間の通信可能な関係を示す通信関係情報を参照し、ユーザからの指示に応じて前記ジョブの実行要求元となる前記情報処理装置が前記ジョブの実行先となる前記ジョブ実行装置へ送る前記ジョブを中継する中継機器を前記無線ネットワーク機器の中から選定し、前記中継機器との無線接続に必要な機器識別情報を前記ジョブの実行要求元及び実行先に提供し、前記ジョブの中継を自ら行うことなく、前記ジョブの実行要求元から実行先への中継を前記中継機器に指示する、ことを特徴とする。
【0010】
また、前記クラウド側プロセッサは、前記無線ネットワーク機器それぞれから、当該無線ネットワーク機器が無線通信可能な無線ネットワーク機器のリスト情報を取得し、取得した前記リスト情報を前記通信関係情報として保持する、ことを特徴とする。
【0011】
また、前記クラウド側プロセッサは、前記ジョブの実行要求元と実行先から取得した前記リスト情報の双方に含まれている前記無線ネットワーク機器が存在する場合、当該無線ネットワーク機器を前記中継機器として選定することを特徴とする。
【0012】
また、前記クラウド側プロセッサは、前記ジョブの実行要求元と実行先から取得した前記リスト情報の双方に含まれている前記無線ネットワーク機器が存在しない場合、複数の前記中継機器を選定し、前記ジョブの実行要求元の前記ジョブを、選定した複数の前記中継機器に前記ジョブの実行先まで順番に中継させることを特徴とする。
【0013】
また、前記クラウド側プロセッサは、前記無線ネットワーク機器から中継不可情報を取得している場合、当該無線ネットワーク機器を前記中継機器の選定候補から除外することを特徴とする。
【0014】
また、前記クラウド側プロセッサは、所定のタイミングで前記無線ネットワーク機器それぞれに、当該無線ネットワーク機器が無線通信可能な無線ネットワーク機器のリスト情報の送信を要求し、当該要求に応じて前記無線ネットワーク機器それぞれから送信されてくるリスト情報を含む前記通信関係情報を生成する、ことを特徴とする。
【0015】
また、前記所定のタイミングは、いずれかの前記無線ネットワーク機器から設置位置の移動が通知されてきたタイミングであることを特徴とする。
【0016】
また、前記中継機器が備えるプロセッサは、前記クラウド側プロセッサから前記ジョブの中継元及び中継先となる前記無線ネットワーク機器との無線接続に必要な機器識別情報が指定機器識別情報として送信されてきた場合、自機器の機器識別情報として現在設定中の機器識別情報を待避して、自機器の機器識別情報として前記指定機器識別情報を設定し、前記ジョブの中継元から送られてきた前記ジョブを前記ジョブの中継先へ中継し、中継が終了すると、待避していた機器識別情報を、自機器の機器識別情報として再設定する、ことを特徴とする。
【0017】
また、前記クラウドサービスは、クラウドプリントサービスであり、前記ジョブ実行装置は、印刷装置であることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るプログラムは、所定の無線通信方式に基づく無線通信機能を有する無線ネットワーク機器として構内に設置されている情報処理装置及びジョブ実行装置それぞれとインターネットを介して接続され、クラウドサービスを提供する際に前記情報処理装置が前記ジョブ実行装置へ送るジョブの中継を行うコンピュータに、前記構内における前記無線ネットワーク機器間の通信可能な関係を示す通信関係情報を参照し、ユーザからの指示に応じて前記ジョブの実行要求元となる前記情報処理装置が前記ジョブの実行先となる前記ジョブ実行装置へ送る前記ジョブを中継する中継機器を前記無線ネットワーク機器の中から選定する機能、前記中継機器との無線接続に必要な機器識別情報を前記ジョブの実行要求元及び実行先に提供する機能、前記ジョブの中継を自ら行うことなく、前記ジョブの実行要求元から実行先への中継を前記中継機器に指示する機能、を実現させる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、クラウドが構内の情報処理装置のジョブを中継して同じ構内のジョブ実行装置に実行させるクラウドサービスを提供する場合において、ジョブをクラウド経由で実行させる場合に比して構内情報通信網を利用しなくてもジョブを早く終了させることができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、無線ネットワーク機器間の通信関係に基づき中継機器を選定することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、ジョブの実行要求元と実行先の双方と無線通信可能な無線ネットワーク機器を中継機器として選定することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、ジョブの実行要求元と実行先の双方と無線通信可能な無線ネットワーク機器が存在しない場合でも、実行要求元から実行先へジョブを送ることができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、何らかの理由により中継を回避したい無線ネットワーク機器を、中継機器の選定候補から除外することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、通信関係情報を予め用意しておくことができる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、通信関係情報を最新の内容に更新することができる。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、自機器の機器識別情報をジョブの中継元及び中継先に公開せずに済む。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、クラウドプリントサービスに適用することができる。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、クラウドが構内の情報処理装置のジョブを中継して同じ構内のジョブ実行装置に実行させるクラウドサービスを提供する場合において、ジョブをクラウド経由で実行させる場合に比して構内情報通信網を利用しなくてもジョブを早く終了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係るジョブ実行サービスシステムの一実施の形態を示す全体構成図である。
【
図2】本実施の形態におけるクラウドプリントサービスシステムの機能ブロック構成図である。
【
図3】本実施の形態における通信可能リスト生成処理を示すシーケンス図である。
【
図4】本実施の形態における通信可能リスト生成処理を模式的に示す図である。
【
図5A】本実施の形態におけるクラウドプリント処理を示すシーケンス図である。
【
図6】本実施の形態における通信可能リストの他の設定例を示す図である。
【
図7】本実施の形態において、複数の中継機器により印刷ジョブを中継させる場合を模式的に示す概念図である。
【
図8】本実施の形態における通信可能リストの他のデータ構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0031】
図1は、本発明に係るジョブ実行サービスシステムの一実施の形態を示す全体構成図である。
図1には、オフィスシステム2と、オフィスシステム2に含まれる無線ネットワーク機器4と、インターネット6を介して無線ネットワーク機器4を接続するクラウド8と、が示されている。オフィスシステム2は、あるオフィスの構内に構築されているネットワークシステムである。本実施の形態においては、クラウド8が提供するクラウドサービスとしてクラウドプリントサービスを例にして説明する。このため、本実施の形態におけるジョブ実行サービスは、印刷ジョブを実行するクラウドプリントサービスである。
【0032】
図1には、オフィスに設置されている無線ネットワーク機器4としてユーザ端末4a及びプリンタ4bが示されている。無線ネットワーク機器4には、それぞれ固有の名称が割り当てられている。本実施の形態の場合、ユーザ端末4aは、パーソナルコンピュータ(PC)で実現する場合を例示するので、PCi(i=1~n,nは自然数)という名称が割り当てられ、プリンタ4bには、PRj(j=1~m,mは自然数)という名称が割り当てられる。なお、
図1では、複数の無線ネットワーク機器4がオフィスに散在設置されていることを示しているに過ぎず、無線ネットワーク機器4の台数や位置は、
図1に限るものではない。
【0033】
ユーザ端末4aは、ユーザが使用する情報処理装置であり、本実施の形態では、前述したようにPCで実現するものとして説明する。ユーザ端末4aは、PC等の従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、ユーザ端末4aは、CPU、ROM、RAM、記憶手段としてのハードディスクドライブ(HDD)、マウスやキーボード等の入力手段及びディスプレイ等の表示手段を含むユーザインタフェース、通信手段としてクラウドサービス等を利用するためにインターネット6を介したネットワーク通信を行うためのネットワークインタフェースを有する。更に、本実施の形態におけるユーザ端末4aは、所定の無線通信方式としてWiFi(登録商標)に基づく無線通信機能を有するアクセスポイントを搭載する。アクセスポイントは、オフィス内において所定の通信範囲内に位置する他の無線ネットワーク機器4との間で無線通信を行うための手段である。前述したように、本実施の形態では、ユーザ端末4aとしてPCを例にして説明するが、アクセスポイントを搭載し、またプリンタ4bに印刷ジョブを実行させる機能を有していれば、例えばタブレット端末などPC以外の情報処理装置を利用してもよい。
【0034】
プリンタ4bは、印刷機能を搭載する印刷装置であり、本実施の形態では、例えば複合機等の画像形成装置で実現することができる。プリンタ4bは、コンピュータを内蔵した汎用的な装置構成にて実現できる。すなわち、プリンタ4bは、CPU、ROM、RAM、記憶手段としてのハードディスクドライブ(HDD)、ユーザインタフェースとしての操作パネル、プリンタを有する。また、本実施の形態におけるプリンタ4bは、通信手段として、ユーザ端末4aと同様にインターネット6を介したネットワーク通信を行うためのネットワークインタフェースと、オフィス内において所定の通信範囲内に位置する他の無線ネットワーク機器4との間でWiFiに基づき無線通信を行うためのアクセスポイントを搭載する。
【0035】
ところで、オフィスシステム2には、構内情報通信網としてのLANが設置されていない。LANが設置されていてもよいが、後述するようにクラウドプリントを利用する際にLANを利用しない。WiFi若しくはWiFiに基づくアクセスポイントは、無線LANと同義と解釈される場合があるが、本実施の形態では、有線の通信ケーブル又はルータ等の無線通信手段を構内に設置して構築されるLANと、アクセスポイントによる無線通信を利用する無線ネットワークとは異なるものとして取り扱う。従って、本実施の形態では、オフィスシステム2内の無線ネットワーク機器4を接続するLANは、オフィスに設置されていないと解釈する。
【0036】
クラウド8は、1又は複数のコンピュータにより構築されるコンピュータネットワークシステムの一形態である。本実施の形態におけるクラウド8は、オフィスシステム2に含まれる無線ネットワーク機器4、すなわちユーザ端末4a及びプリンタ4bそれぞれとインターネット6を介して接続され、クラウドプリントサービスを提供する際にユーザ端末4aがプリンタ4bへ送るジョブの中継を行う中継機能を有している。本実施の形態においては、クラウドサービスとして印刷ジョブを中継するクラウドプリントサービスを例にして説明するので、本実施の形態におけるプリンタ4bは、印刷ジョブを受け取って印刷を実行するジョブ実行装置として設けられている。
【0037】
図2は、本実施の形態におけるクラウドプリントサービスシステムの機能ブロック構成図である。
図2には、クラウド8と、クラウド8とインターネット6を介してそれぞれ接続される無線ネットワーク機器4と、が示されている。
図2における無線ネットワーク機器4には、要求PC10、中継PC20及びプリンタ30が含まれている。このうち「要求PC10」というのは、
図1に示すユーザ端末4aのうち印刷を要求するユーザ端末4aのことである。また、「中継PC20」というのは、
図1に示すユーザ端末4aのうち印刷ジョブの中継機器としてクラウド8により選定されたユーザ端末4aのことである。もちろん、プリンタ4bも無線ネットワーク機器4の一形態であることから、中継機器となり得る。
【0038】
説明の便宜上、
図2では、名称が“PC1”のユーザ端末4aが要求PC10であり、名称が“PC2”のユーザ端末4aがクラウド8により中継機器として選定されて中継PC20となっている。また、名称が“PR1”のプリンタ4bが要求PC10のユーザにより印刷ジョブを実行するプリンタ30として選ばれている。
【0039】
クラウド8は、サービス処理部81、中継制御部82、ジョブ情報記憶部83及び通信可能リスト記憶部84を有している。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図から省略する。サービス処理部81は、クラウドプリントサービスに関する処理を実行する。本実施の形態におけるサービス処理部81は、印刷ジョブの管理やジョブの実行制御等クラウドプリントに関する処理制御を実行する。詳細は後述するように、本実施の形態におけるクラウド8は、要求PC10がプリンタ4bに送信する印刷ジョブをいずれかのユーザ端末4aに中継機器(すなわち、中継PC20)に中継させるが、中継制御部82は、クラウド8が有する中継機能に加えて、通信可能リストの生成、中継機器の選定、印刷ジョブを中継させるための設定処理等、印刷ジョブの中継に関する種々の処理や制御を行う。
【0040】
ジョブ情報記憶部83には、要求PC10から送られてくるジョブ情報が格納される。ジョブ情報自体は、従前と同じでよい。通信可能リスト記憶部84には、各無線ネットワーク機器4がWiFiによる無線接続可能な他の無線ネットワーク機器4のリスト(以下に説明する「SSIDリスト」)が収集され、収集されたSSIDリストを中継制御部82により集約されて生成される通信可能リストが記憶される。通信可能リストに関しては、動作の説明と合わせて説明する。
【0041】
クラウド8における各構成要素81~82は、クラウド8に含まれる1又は複数のコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部83~84は、クラウド8に搭載されるHDD等の記憶手段あるいはRAMで実現される。
【0042】
無線ネットワーク機器4は、SSIDリスト提供部41、中継状況設定部42及び移動通知部43を有する。すなわち、上記構成要素41~43は、ユーザ端末4a及びプリンタ4bに共通して設けられる。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図から省略する。
【0043】
SSIDリスト提供部41は、クラウド8からの要求に応じてSSIDリストを生成して返信する。SSID(Service Set IDentifier)は、WiFiにおけるアクセスポイントの識別名である。SSIDリストには、クラウド8からの要求時点において無線接続可能な無線ネットワーク機器4のSSIDが含まれる。つまり、SSIDリスト提供部41は、SSIDリストをクラウド8に提供することによって、自機器が現時点において無線接続可能な無線ネットワーク機器4を知らせる。なお、本実施の形態では、説明の便宜上、“PC1”や“PR1”など、
図1に示す無線ネットワーク機器4の名称をSSIDとしても使用する。
【0044】
中継状況設定部42は、自機器が中継機器として選定されることを許容若しくは拒否するための情報をクラウド8へ送信する。移動通知部43は、自機器の設置位置が移動されたことが検知されると、その旨をクラウド8に通知する。
【0045】
無線ネットワーク機器4における各構成要素41~43は、無線ネットワーク機器4を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。より詳細には、クラウドプリント機能を実現するアプリケーションを無線ネットワーク機器4にインストールすることによって、構成要素41~43が提供する機能は、無線ネットワーク機器4により実現される。
【0046】
要求PC10は、ジョブ登録部11、接続処理部12及び印刷指示部13を有する。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図から省略する。
【0047】
ジョブ登録部11は、要求PC10が有する印刷ジョブに関する情報をジョブ情報としてクラウド8に登録する。なお、本実施の形態において、クラウド8がジョブの中継機能を有しているとしてもジョブを中継させないので、要求PC10は、印刷ジョブの実体となるデータ自体をクラウド8へ送信しない。接続処理部12は、クラウド8による制御のもと、中継PC20との間で無線接続するための処理を行う。印刷指示部13は、印刷ジョブを送信することによって印刷の実行をプリンタ30に指示する。ただ、本実施の形態では、プリンタ30へ送信する印刷ジョブを中継PC20に中継させる。
【0048】
要求PC10における各構成要素11~13は、要求PC10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。より詳細には、クラウドプリント機能を実現するアプリケーションを要求PC10にインストールすることによって、各構成要素11~13が提供する各機能は、要求PC10により実現される。
【0049】
中継PC20は、接続環境設定部21及び中継部22を有する。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図から省略する。接続環境設定部21は、クラウド8からの指示に応じて自機器を中継機器として動作させるための設定を行う。中継部22は、要求PC10から送られてくる印刷ジョブをプリンタ30へ送信することによって印刷ジョブの中継を行う。
【0050】
中継PC20における各構成要素21~22は、中継PC20を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。より詳細には、クラウドプリント機能を実現するアプリケーションを中継PC20にインストールすることによって、各構成要素21~22が提供する各機能は、中継PC20により実現される。
【0051】
ところで、いずれかのユーザ端末4aは、クラウドプリント機能を利用して印刷をプリンタ4bに実行させることによって要求PC10として動作する。また、いずれかのユーザ端末4aは、クラウド8がクラウドプリントサービスを提供する際に中継機器として選定されることによって中継PC20として動作する。従って、各ユーザ端末4aは、要求PC10又は中継PC20として動作する可能性がある。より具体的にいうと、ユーザ端末4aは、要求PC10として動作する以外に、他の無線ネットワーク機器4のために中継PC20として動作する場合がある。また、中継PC20として動作したユーザ端末4aは、クラウドプリント機能を利用して印刷をプリンタ4bに実行させる場合、要求PC10となる。つまり、各ユーザ端末4aは、クラウドプリント機能を実現するアプリケーションがインストールされることによって、無線ネットワーク機器4が有する構成要素41~43が提供する機能に加えて、要求PC10における構成要素11~13及び中継PC20における構成要素21~22の機能を発揮することが可能となる。なお、クラウドプリント機能を実現するアプリケーションは、全てのユーザ端末4aにインストールされている。つまり、プリンタ4bも中継機器となり得る。
【0052】
プリンタ30は、印刷実行制御部31、接続処理部32及び印刷処理部33を有する。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図から省略する。
【0053】
印刷実行制御部31は、印刷ジョブの実行の制御を行う。接続処理部32は、クラウド8による制御のもと、中継PC20との間で無線接続するための処理を行う。印刷処理部33は、印刷ジョブを実行することによって印刷を行う。
【0054】
プリンタ30における各構成要素31~33は、プリンタ30に搭載されるコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。より詳細には、クラウドプリント機能を実現するアプリケーションをプリンタ30にインストールすることによって、各構成要素31~33が提供する各機能は、プリンタ30により実現される。
【0055】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0056】
本実施形態における「クラウドプリントシステム」を構成する無線ネットワーク機器4は、一例として単一の装置によって構成されたものとして記載したが、複数の装置によって構成されたものであってもよい。また、クラウド8は、一般に複数の装置によって構成されるが、単一の装置によって構成されたものでもよい。
【0057】
前述したように、本実施の形態においては、クラウドサービスとしてクラウドプリントサービスを提供する。クラウドプリントは、一般に次のように実行される。
【0058】
すなわち、クラウド8は、いずれかのユーザ端末4aから送信されてくる実行対象とする印刷ジョブに関する印刷ジョブ情報を蓄積する。従前のクラウドプリントでは、このときに印刷ジョブも合わせて取得するが、本実施の形態では取得しない。ユーザ端末4aのユーザは、印刷を実行させたいプリンタ4bの設置位置まで移動してログインし、操作パネルから所定の操作をして自分がクラウド8に登録している印刷ジョブのリストを操作パネルに表示させる。そして、表示されているリストの中から実行させたい印刷ジョブを選択する。このユーザ操作に応じて、プリンタ4bは、クラウド8から印刷ジョブを取得して印刷を実行する。
【0059】
以上説明したクラウドプリントにおける印刷ジョブの流れに着目すると、印刷ジョブは、ユーザ端末4aからクラウド8を経由してプリンタ4bへ送られる。換言すると、クラウド8は、ユーザ端末4aからプリンタ4bへ送られる印刷ジョブを中継していることになる。従って、印刷ジョブは、インターネット6、クラウド8、そしてインターネット6を再度経由してプリンタ4bへ送信されることになるので、ユーザ端末4aとプリンタ4bとの間をオフィスシステム2の中で送受信されるより印刷が終了するまでに相対的に多くの時間を要すると考えられる。
【0060】
そこで、本実施の形態においては、ユーザがクラウドプリントサービスを利用して印刷する場合に、印刷ジョブを、クラウド8に経由させずにユーザ端末4aからプリンタ4bへ送信できるようにすることで、クラウド8を経由する場合に比して、ユーザがプリンタ4bを操作することで印刷を指示してから印刷が終了するまでの時間を相対的に短縮できるようにした。以下、本実施の形態においてユーザがクラウドプリントサービスを利用して印刷を行う場合の動作について説明する。
【0061】
まず、クラウドプリントサービスを利用させる前に実行する処理について、
図3に示すシーケンス図を用いて説明する。
【0062】
図3に示す処理は、クラウド8が通信可能リストを生成する処理である。通信可能リストは、オフィス内における無線ネットワーク機器4間の通信可能な関係を示す通信関係情報である。通信可能リストを生成するために、クラウド8における中継制御部82は、SSIDリスト送信要求を、オフィスシステム2に含まれる無線ネットワーク機器4それぞれに送信する(ステップS801)。クラウド8は、クラウドプリントサービスの契約上、SSIDリスト送信要求の送信先とする無線ネットワーク機器4を把握している。なお、
図3に示すステップS401における処理については、後述する。
【0063】
クラウド8から送信されてくるSSIDリスト送信要求を受信すると、各無線ネットワーク機器4におけるSSIDリスト提供部41は、アクセスポイントにWiFi電波を出力させる。ここでいう「WiFi電波」というのは、WiFiに基づき無線接続可能な通信相手を探し出すための無線信号であり、その無線信号には、自機器のSSIDが含まれている。各無線ネットワーク機器4は、他の無線ネットワーク機器4が発信したWiFi電波を受信することで、現時点、すなわちクラウド8からの送信要求時点において無線接続可能な無線ネットワーク機器4のSSIDを収集することができ、収集したSSIDを含むSSIDリストを生成することができる(ステップS402)。つまり、SSIDリストは、無線通信可能な無線ネットワーク機器4のリスト情報である。
【0064】
図4は、通信可能リストの生成処理を模式的に示す図である。
図4では、例えば名称が“PC1”の無線ネットワーク機器4(以下、「機器PC1」と記す。他の無線ネットワーク機器4においても同様に記す)におけるSSIDリスト44を参照すると、機器PC1は、機器PC2及び機器PC3から出力されたWiFi電波を受信できたので、機器PC2,PC3との間で無線接続が可能であり、無線通信が可能であることがわかる。
【0065】
各無線ネットワーク機器4におけるSSIDリスト提供部41は、生成したSSIDリストをクラウド8へ送信する(ステップS403)。
【0066】
中継制御部82は、送信したSSIDリスト送信要求に応じて全ての無線ネットワーク機器4から返信されてくるSSIDリストを収集し(ステップS802)、収集したSSIDリストを含むよう通信可能リストを生成し、通信可能リスト記憶部84に保存する(ステップS803)。なお、所定の時間内にSSIDリストを返信しない無線ネットワーク機器4が存在すれば、その無線ネットワーク機器4は無視してよい。
【0067】
図4には、以上の処理にて生成した通信可能リストのデータ構成例が示されている。通信可能リストは、各無線ネットワーク機器4の名称に、当該無線ネットワーク機器4から取得したSSIDリストが対応付けして設定される。つまり、中継制御部82は、各無線ネットワーク機器4から取得したSSIDリストの束を通信可能リストとして生成する。
【0068】
本実施の形態においては、ステップS401を除く上記説明した処理を、印刷要求がされる前までに実行する。また、必要により通信可能リスト生成処理を定期的に繰り返してもよい。
【0069】
続いて、本実施の形態におけるクラウドプリントの処理について、
図5A~
図5Cに示すシーケンス図を用いて説明する。
【0070】
なお、
図1に示すいずれかのユーザ端末4aのユーザがいずれかのプリンタ4bを用いて印刷を行うことにより、当該ユーザ端末4aがはじめて
図2に示す要求PC10に該当することになり、ユーザが印刷に使用すると選択したプリンタ4bがはじめて
図2に示すプリンタ30に該当することになるが、説明の便宜上、最初から印刷を行うユーザのユーザ端末4aを「要求PC10」と、ユーザが使用するプリンタ4bを「プリンタ30」と、それぞれ称して説明する。
【0071】
ユーザが要求PC10にログインして(ステップS111)、印刷ジョブを生成すると(ステップS112)、その印刷ジョブに関するジョブ情報をクラウド8にアップロードすることによりジョブの登録を依頼する(ステップS113)。
【0072】
クラウド8において、要求PC10からジョブ情報が送信されてくると、サービス処理部81は、そのジョブ情報をジョブ情報記憶部83に登録する(ステップS811)。なお、ジョブ情報には、登録依頼元のユーザを識別するユーザIDが含まれている。
【0073】
要求PC10のユーザは、ジョブ情報がクラウド8に登録されたことを確認した後、印刷に使用したいプリンタ30の設置位置まで移動し、プリンタ30にログインする(ステップS311)。続いて、ユーザは、ジョブリストを表示させるための所定の操作をプリンタ30の操作パネルから行う。プリンタ30における印刷実行制御部31は、このユーザ操作に応じてジョブリストの送信をクラウド8に要求する(ステップS312)。この送信要求には、プリンタ30にログインしたユーザのログインID、つまり当該ユーザのユーザIDが含まれている。
【0074】
クラウド8において、プリンタ30からジョブリストの送信要求が送信されてくると、サービス処理部81は、その送信要求に含まれているユーザIDを、ジョブ情報記憶部83に登録されている各ジョブ情報に含まれているユーザIDと照合し、ユーザIDが合致するジョブ情報をジョブ情報記憶部83から抽出してジョブリストを生成する(ステップS812)。そして、サービス処理部81は、生成したジョブリストをプリンタ30へ送信する(ステップS813)。
【0075】
ジョブリスト送信要求に応じてクラウド8からジョブリストが返信されてくると、印刷実行制御部31は、ジョブリストを操作パネルに表示する(ステップS313)。ユーザは、表示されたジョブリストを参照して、そのリストの中から実行したい印刷ジョブを選択することで、プリンタ30に印刷を指示する。そして、印刷実行制御部31は、選択された印刷ジョブをユーザによる印刷指示として受け付けると(ステップS314)、当該印刷ジョブの送信をクラウド8に要求する(ステップS315)。
【0076】
なお、前述したユーザがプリンタ30を操作することで印刷を要求するまでの一連の処理手順は、従前と同じでよい。
【0077】
クラウド8において、プリンタ30から印刷ジョブの送信要求が送られてくると、従前のサービス処理部81であれば、内部に保持する印刷ジョブをプリンタ30へ送信することになるが、本実施の形態では、要求PC10からの印刷ジョブをクラウド8に中継させないため保持していない。
【0078】
ところで、各無線ネットワーク機器4は、アクセスポイントを有しているので、無線ネットワーク機器4の間、すなわち要求PC10とプリンタ30との間で印刷ジョブを直接送受信させればよい。ただ、本実施の形態では、要求PC10とプリンタ30が無線通信できない状態、例えばアクセスポイントが出力する電波を送受信できないほど離れている位置関係にある場合を想定している。この場合、要求PC10は、印刷ジョブをプリンタ30に直接送信することはできない。
【0079】
そこで、本実施の形態においては、要求PC10からの印刷ジョブをプリンタ30まで中継する中継機器(
図2に示す中継PC20)をクラウド8に選定させ、印刷ジョブをその選定された中継機器に中継させることによってプリンタ30まで間接的に送り届けるようにしたことを特徴としている。なお、要求PC10がプリンタ30に印刷ジョブを直接送信できるのであれば、送信させればよい。
【0080】
クラウド8における中継制御部82は、次のようにして中継機器を選定する(ステップS814)。まず、中継制御部82は、通信可能リスト記憶部84に記憶されている通信可能リストを参照し、印刷ジョブの実行要求元となる要求PC10及び印刷ジョブの実行先となるプリンタ30それぞれから取得したSSIDリストの双方に共通して含まれる無線ネットワーク機器4を探し出す。
図4に示す通信可能リストの設定例によると、機器PC2のみが要求PC10である機器PC1とプリンタ30である機器PR2の双方のSSIDリストに含まれていることがわかる。従って、中継制御部82は、無線ネットワーク機器4の中から機器PC2を中継機器(
図2に示す中継PC20)として選定する。
【0081】
なお、
図4に示す通信可能リストの設定例によると、機器PC1のSSIDリストに含まれている機器PC3は、機器PR1からのSSIDリストに含まれていないので、中継機器として選定されない。同様に、機器PR1のSSIDリストに含まれている機器PR2は、機器PC1からのSSIDリストに含まれていないので、中継機器として選定されない。
【0082】
また、
図4では、便宜的に1台の中継機器のみが選定される設定例を示しているが、要求PC10とプリンタ30双方のSSIDリストに、共通する無線ネットワーク機器4が複数含まれている場合も想定できる。この場合、例えば無線ネットワーク機器4の種別、性能、中継実績等を判断指標とする所定の選定基準を予め設定しておき、1台の無線ネットワーク機器4を選定できるようにしてもよい。その逆に、要求PC10とプリンタ30双方のSSIDリストに、共通する無線ネットワーク機器4が1台も含まれていない場合も想定できる。この場合については後述する。
【0083】
中継機器が選定できると、中継制御部82は、中継機器に設定するアクセスポイント(AP)情報を生成する(ステップS815)。アクセスポイント情報は、中継機器として動作する際に使用するSSIDとパスワードの組により構成される。パスワードは、指定機器識別情報としてのワンタイムパスワードを用いる。そして、中継制御部82は、印刷ジョブの中継を自ら行うことなく、アクセスポイント情報を中継機器として選定した無線ネットワーク機器4へ送信することで、中継機器として動作することを指示する(ステップS816)。
【0084】
前述したように、機器PC2は、中継機器としての中継PC20に相当する。中継PC20として動作することになる機器PC2は、クラウド8から送信されてくるアクセスポイント情報を受信することで、自機器が中継機器として選定されたことを知る。この場合、接続環境設定部21は、現在、自機器に設定されているSSIDとパスワードから成るアクセスポイント情報を一時的に所定の格納場所に待避し(ステップS211)、その後、クラウド8から受け取ったアクセスポイント情報を自機器のアクセスポイント情報として設定する(ステップS212)。これにより、中継PC20は、要求PC10とプリンタ30のためにテザリングを開始することになる(ステップS213)。中継PC20がテザリングを開始すると、接続環境設定部21は、中継機器として動作するための準備が終了したことをクラウド8に通知する(ステップS214)。
【0085】
クラウド8において、中継PC20から準備終了通知が送られてくると、中継制御部82は、印刷ジョブの実行要求元の要求PC10と、印刷ジョブの実行先となるプリンタ30それぞれに中継PC20との無線接続を指示する(ステップS817)。この指示には、ステップS816において中継PC20に送ったとの同じアクセスポイント情報が含まれている。このクラウド8が提供するアクセスポイント情報は、要求PC10及びプリンタ30それぞれが中継PC20と無線接続するために必要な中継PC20の機器識別情報である。
【0086】
上記のように、本実施の形態では、アクセスポイント情報にワンタイムパスワードを用いるようにしたので、中継PC20が使用しているアクセスポイント情報を、ジョブ実行要求元の要求PC10とジョブ実行先のプリンタ30に知らせる必要がない。このため、中継PC20にとってみれば、セキュリティの観点からして望ましい。もちろん、中継PC20が使用しているアクセスポイント情報をそのまま使用してもよい。この場合、ステップS816においては、中継機器として動作することを指示するための通知を送ればよい。また、ステップS816においては、中継制御部82は、中継PC20が使用しているアクセスポイント情報を取得して、要求PC10とプリンタ30に送ることになる。中継PC20は、自機器のアクセスポイント情報を、例えば準備終了通知に含めるなどしてクラウド8に提供する。
【0087】
要求PC10において、接続指示が送られてくると、接続処理部12は、接続指示に含まれているアクセスポイント情報により特定される中継PC20に対して接続を要求することによって無線接続される(ステップS114)。このようにして、要求PC10と中継PC20との間に無線通信回線が確立されると、接続処理部12は、自機器のIPアドレスを含む接続情報をクラウド8にアップロードする(ステップS115)。プリンタ30における接続処理部32も同様に処理することで、プリンタ30は、中継PC20と無線接続され(ステップS316)、その後、自機器のIPアドレスを含む接続情報をクラウド8にアップロードする(ステップS317)。
【0088】
クラウド8において、中継制御部82が双方から接続情報を受信することによって要求PC10及びプリンタ30がそれぞれ中継PC20と無線接続されたことを確認すると、サービス処理部81は、要求PC10に対して印刷ジョブの送信を指示する(ステップS818)。この送信指示には、ステップS313において表示されたジョブリストの中からユーザが選択した印刷ジョブを特定するジョブID及びプリンタ30の接続情報が含まれている。
【0089】
要求PC10における印刷指示部13は、クラウド8からの送信指示に応じて、送信指示に含まれているジョブIDに対応し、接続情報から特定されるプリンタ30宛ての印刷ジョブを、中継PC20に向けて送信する(ステップS116)。
【0090】
中継PC20における中継部22は、要求PC10からプリンタ30宛ての印刷ジョブが送信されてくると、その印刷ジョブをプリンタ30へ送信する。このようにして、中継PC20は、印刷ジョブを中継する(ステップS215)。
【0091】
プリンタ30における印刷処理部33は、要求PC10から印刷ジョブが中継PC20を経由して送信されてくると、その印刷ジョブに基づき印刷を実行する(ステップS318)。印刷の実行が終了すると、印刷処理部33は、印刷ログをクラウド8へ送信することで、印刷が終了したことを通知する(ステップS319)。
【0092】
以上のように、ユーザがプリンタ30の操作パネルに表示されたジョブリストの中から印刷ジョブを選択することで行った印刷指示に応じて、印刷が実行されることになる。本実施の形態においては、印刷ジョブを、クラウド8を経由させることなくオフィスシステム2の中で送受信させるようにした。このため、印刷ジョブがインターネット6及びクラウド8を介して送受信されない分、ユーザにより印刷指示がされてから終了するまでの時間を短縮することが可能となる。また、要求PC10がプリンタ30へ印刷ジョブを直接送信できない場合でも、オフィスシステム2の中のいずれかの無線ネットワーク機器4に印刷ジョブを中継させるようにしたので、プリンタ30に印刷を実行させることができる。
【0093】
ところで、
図4では、機器PC2が中継機器として選定される通信可能リストの設定例を示した。ただ、前述したように、要求PC10とプリンタ30の各SSIDリストに共通して設定されている無線ネットワーク機器4が存在しない場合も想定できる。この場合、クラウド8における中継制御部82は、通信可能リストを更に分析して複数の中継機器を選定することを試みる。
【0094】
図6は、本実施の形態における通信可能リストの他の設定例を示す図である。上記と同様に、機器PC1が要求PC10であり、機器PR1がプリンタ30であるとする。
図6に示す設定例によると、機器PC1と機器PR1の各SSIDリストには、共通する無線ネットワーク機器4が存在しない。この場合、中継制御部82は、前述した中継機器の選定方法を繰り返すことで、複数の中継機器を連携させて中継が可能かどうかを調べる。
図6に示す通信可能リストの設定例によると、機器PC1のSSIDリストに含まれている機器PC2と機器PC4のうち、機器PC2と機器PR1の各SSIDリストには、共通する無線ネットワーク機器4としてPC3が存在する。従って、中継制御部82は、機器PC1からの印刷ジョブを中継させる中継機器として、機器PC2及び機器PC3を選定する。本実施の形態においては、このように複数の中継機器を選定することにより印刷ジョブを中継させるようにしてもよい。この機器PC2及び機器PC3を複数の中継機器として選定して中継する場合の概念図を
図7に示す。
図7に示すように、印刷の実行要求元にある機器PC1の印刷ジョブは、中継機器として選定された機器PC2及機器PC3により中継されて、印刷実行先の機器PR1へ送られる。
【0095】
次に、無線ネットワーク機器4に含まれる中継状況設定部42が有する機能について説明する。
【0096】
本実施の形態では、クラウド8が通信可能リストを参照して中継機器を選定しているが、無線ネットワーク機器4の現状を考慮せずに選定している。無線ネットワーク機器4は、例えば負荷の高い処理を実行しているとか、セキュリティ上、現時点では他の無線ネットワーク機器4との通信を回避したいなど、現状を考慮すると中継機器として動作したくない状態にある場合が想定できる。また、ユーザが自機器を中継機器として利用されたくない場合も想定しうる。また、ある無線ネットワーク機器4が中継機器としてすでに選択され動作しているときに、更に他の無線ネットワーク機器4の中継機器として選定されることによって、テザリングを重複して行うことになると、セキュリティ上の問題も発生しうる。そうすると、アクセスポイント情報の設定や管理も面倒になるかもしれない。
【0097】
そこで、本実施の形態では、無線ネットワーク機器4の現状を考慮して、無線ネットワーク機器4が中継機器として動作することを回避できるようにするための機能を設けてもよい。
【0098】
図8は、本実施の形態における通信可能リストの他のデータ構成例を示す図である。
図8に示す通信可能リストでは、無線ネットワーク機器4の名称に、中継の可否を示す中継情報(
図8に示す「中継」)が更に対応付けされている。中継情報は、フラグ情報であり、中継機器として選定可能な場合には「可」が、中継機器として選定可能でない場合には「不可」が設定される。初期値は、「可」としてよい。
【0099】
上記例示したように、無線ネットワーク機器4が中継機器として選定されることを回避したい状況にある場合、その無線ネットワーク機器4における中継状況設定部42は、その旨を示す中継不可情報をクラウド8へ送信する。クラウド8における中継制御部82は、いずれかの無線ネットワーク機器4から中継不可情報が送信されてくると、通信可能リストの、当該無線ネットワーク機器4に対応する中継情報に「不可」を設定する。これにより、中継制御部82は、
図5Bに示すステップS814において中継機器を選定する際、中継情報を参照して「不可」と設定されている無線ネットワーク機器4を中継機器の選定候補から除外する。
【0100】
ところで、中継状況設定部42が中継不可情報をクラウド8へ送信する所定のタイミングとして自動的に行うようにしてもよいし、ユーザからの指示に応じて行うようにしてもよい。前者としては、例えば現在、中継機器としてすでに選定されている場合、あるいは所定の閾値以上の通信負荷が自機器にかかっている場合など、中継不可の要因となる所定の条件を予め設定しておく。そして、中継状況設定部42は、現在、自機器が所定の条件に合致している状況に該当すると判断できるタイミングで自動的に送信するよう処理してもよい。後者としては、ユーザの手動による所定の操作に応じて中継不可情報をクラウド8へ送信するよう処理してもよい。また、ステップS403において送信するSSIDリストに含めて送るようにしてもよい。
【0101】
また、中継不可情報とは逆に、現在、通信可能リストの中継情報に「不可」と設定されている場合において、中継状況設定部42は、その不可を解除するために、中継可の旨を示す中継可情報をクラウド8へ送信するようにしてもよい。中継可情報を送信するタイミングとしては、中継不可情報と反対に、前述した中継不可の要因となる所定の条件が解消された場合に自動的に送信するように処理してもよいし、ユーザの手動による所定の操作に応じて中継可情報をクラウド8へ送信するよう処理してもよい。
【0102】
以上説明したように、中継状況設定部42は、自機器の現在の状況に応じて中継情報として中継不可情報又は中継可情報をクラウド8へ送信する。中継制御部82は、いずれかの無線ネットワーク機器4から送信されてくる中継情報を取得すると、中継情報の内容に応じて、通信可能リストにおける当該無線ネットワーク機器4に対応する中継情報に「可」若しくは「不可」を設定する。
【0103】
ここで、
図3に示す通信可能リスト生成処理におけるステップS401について説明する。このステップS401における処理は、移動通知部43が主として実行する。
【0104】
図3におけるステップS402において、各無線ネットワーク機器4は、クラウド8からSSIDリストの送信が要求された時点でSSIDリストを生成する。前述したように、SSIDリストには、送信要求がされた時点で無線接続可能な他の無線ネットワーク機器4のSSIDが含まれることになる。他の無線ネットワーク機器4と無線接続可能ということは、自機器から発信するWiFi電波が届く範囲内に当該他の無線ネットワーク機器4が設置されていることに等しい。
【0105】
上記説明においては、特に言及しなかったが、無線ネットワーク機器4は、基本的には現在の設置位置から移動されないことを前提としていた。つまり、要求PC10のユーザは、要求PC10が持ち運び可能だとしても、印刷要求時に無線接続可能なプリンタ30の近傍まで移動させないこととして説明した。ただ、無線ネットワーク機器4は、所属の異動等何らかの事情により移動される可能性もある。自機器若しくは他の無線ネットワーク機器4の設置位置が移動されると、自機器から発信するWiFi電波が届く範囲内に設置されていた他の無線ネットワーク機器4にWiFi電波が届かなくなる可能性が生じてくる。そうすると、クラウド8において保持管理されている通信可能リスト、換言すると他の無線ネットワーク機器4の間で無線接続が可能であることを前提として生成されている通信可能リストの設定内容では、中継機器を正しく選定できなくなる可能性が生じてくる。
【0106】
そこで、本実施の形態においては、このような不具合な状況の発生を事前に回避するための機能を有する。具体的には、自機器の設置場所が移動されたことを検知すると、移動通知部43は、設置位置が移動された旨を通知する(ステップS401)。なお、設置位置の移動は、例えば各無線ネットワーク機器4に搭載されている加速度センサなどによって検知することが可能である。
【0107】
クラウド8における中継制御部82は、移動された旨の通知を受けると、SSIDリスト送信要求を各無線ネットワーク機器4へ送信する(ステップS801)。その後の処理は、すでに説明しているので説明を省略する。
【0108】
このように、SSIDリスト送信要求を送信する所定のタイミングとしては、前述したクラウドプリントサービスを提供する前に加えて、ここで説明したように無線ネットワーク機器4から設置位置の移動が通知されてきたときがある。
【0109】
本実施の形態においては、いずれかの無線ネットワーク機器4から設置位置が移動された旨の通知を受け取ったタイミングで通信可能リストを再生成することができるので、中継機器を正しく選定できなくなる事態を未然に回避することができる。
【0110】
本実施の形態では、クラウド8が提供するクラウドサービスはクラウドプリントサービスである場合を例にして説明した。これにより、ジョブ実行システムが実行するジョブは印刷ジョブであり、ジョブ実行装置は印刷装置である場合で説明した。ただ、クラウドサービスは、クラウドプリントサービスに限る必要はない。すなわち、印刷ジョブ以外のジョブの実行をジョブ実行装置に要求する情報処理装置から当該ジョブ実行装置にジョブを中継する機能を有するクラウドサービスを提供するシステムであれば、本実施の形態において説明したジョブ実行サービスシステムを適用することが可能である。
【0111】
上記実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0112】
また上記実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施の形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0113】
(付記)
(((1)))
所定の無線通信方式に基づく無線通信機能を有する無線ネットワーク機器として構内に設置されている情報処理装置及びジョブ実行装置それぞれとインターネットを介して接続され、クラウドサービスを提供する際に前記情報処理装置が前記ジョブ実行装置へ送るジョブの中継を行うクラウド側プロセッサを備え、
前記クラウド側プロセッサは、
前記構内における前記無線ネットワーク機器間の通信可能な関係を示す通信関係情報を参照し、ユーザからの指示に応じて前記ジョブの実行要求元となる前記情報処理装置が前記ジョブの実行先となる前記ジョブ実行装置へ送る前記ジョブを中継する中継機器を前記無線ネットワーク機器の中から選定し、
前記中継機器との無線接続に必要な機器識別情報を前記ジョブの実行要求元及び実行先に提供し、
前記ジョブの中継を自ら行うことなく、前記ジョブの実行要求元から実行先への中継を前記中継機器に指示する、
ことを特徴とするジョブ実行サービスシステム。
(((2)))
前記クラウド側プロセッサは、
前記無線ネットワーク機器それぞれから、当該無線ネットワーク機器が無線通信可能な無線ネットワーク機器のリスト情報を取得し、
取得した前記リスト情報を前記通信関係情報として保持する、
ことを特徴とする(((1)))に記載のジョブ実行サービスシステム。
(((3)))
前記クラウド側プロセッサは、前記ジョブの実行要求元と実行先から取得した前記リスト情報の双方に含まれている前記無線ネットワーク機器が存在する場合、当該無線ネットワーク機器を前記中継機器として選定することを特徴とする(((2)))に記載のジョブ実行サービスシステム。
(((4)))
前記クラウド側プロセッサは、前記ジョブの実行要求元と実行先から取得した前記リスト情報の双方に含まれている前記無線ネットワーク機器が存在しない場合、複数の前記中継機器を選定し、前記ジョブの実行要求元の前記ジョブを、選定した複数の前記中継機器に前記ジョブの実行先まで順番に中継させることを特徴とする(((2)))に記載のジョブ実行サービスシステム。
(((5)))
前記クラウド側プロセッサは、前記無線ネットワーク機器から中継不可情報を取得している場合、当該無線ネットワーク機器を前記中継機器の選定候補から除外することを特徴とする(((1)))に記載のジョブ実行サービスシステム。
(((6)))
前記クラウド側プロセッサは、
所定のタイミングで前記無線ネットワーク機器それぞれに、当該無線ネットワーク機器が無線通信可能な無線ネットワーク機器のリスト情報の送信を要求し、
当該要求に応じて前記無線ネットワーク機器それぞれから送信されてくるリスト情報を含む前記通信関係情報を生成する、
ことを特徴とする(((1)))に記載のジョブ実行サービスシステム。
(((7)))
前記所定のタイミングは、いずれかの前記無線ネットワーク機器から設置位置の移動が通知されてきたタイミングであることを特徴とする(((6)))に記載のジョブ実行サービスシステム。
(((8)))
前記中継機器が備えるプロセッサは、
前記クラウド側プロセッサから前記ジョブの中継元及び中継先となる前記無線ネットワーク機器との無線接続に必要な機器識別情報が指定機器識別情報として送信されてきた場合、自機器の機器識別情報として現在設定中の機器識別情報を待避して、自機器の機器識別情報として前記指定機器識別情報を設定し、
前記ジョブの中継元から送られてきた前記ジョブを前記ジョブの中継先へ中継し、
中継が終了すると、待避していた機器識別情報を、自機器の機器識別情報として再設定する、
ことを特徴とする(((1)))に記載のジョブ実行サービスシステム。
(((9)))
前記クラウドサービスは、クラウドプリントサービスであり、
前記ジョブ実行装置は、印刷装置である、
ことを特徴とする(((1)))から(((8)))のいずれか1つに記載のジョブ実行サービスシステム。
(((10)))
所定の無線通信方式に基づく無線通信機能を有する無線ネットワーク機器として構内に設置されている情報処理装置及びジョブ実行装置それぞれとインターネットを介して接続され、クラウドサービスを提供する際に前記情報処理装置が前記ジョブ実行装置へ送るジョブの中継を行うコンピュータに、
前記構内における前記無線ネットワーク機器間の通信可能な関係を示す通信関係情報を参照し、ユーザからの指示に応じて前記ジョブの実行要求元となる前記情報処理装置が前記ジョブの実行先となる前記ジョブ実行装置へ送る前記ジョブを中継する中継機器を前記無線ネットワーク機器の中から選定する機能、
前記中継機器との無線接続に必要な機器識別情報を前記ジョブの実行要求元及び実行先に提供する機能、
前記ジョブの中継を自ら行うことなく、前記ジョブの実行要求元から実行先への中継を前記中継機器に指示する機能、
を実現させるためのプログラム。
【0114】
(((1)))に記載の発明によれば、クラウドが構内の情報処理装置のジョブを中継して同じ構内のジョブ実行装置に実行させるクラウドサービスを提供する場合において、ジョブをクラウド経由で実行させる場合に比して構内情報通信網を利用しなくてもジョブを早く終了させることができる。
(((2)))に記載の発明によれば、無線ネットワーク機器間の通信関係に基づき中継機器を選定することができる。
(((3)))に記載の発明によれば、ジョブの実行要求元と実行先の双方と無線通信可能な無線ネットワーク機器を中継機器として選定することができる。
(((4)))に記載の発明によれば、ジョブの実行要求元と実行先の双方と無線通信可能な無線ネットワーク機器が存在しない場合でも、実行要求元から実行先へジョブを送ることができる。
(((5)))に記載の発明によれば、何らかの理由により中継を回避したい無線ネットワーク機器を、中継機器の選定候補から除外することができる。
(((6)))に記載の発明によれば、通信関係情報を予め用意しておくことができる。
(((7)))に記載の発明によれば、通信関係情報を最新の内容に更新することができる。
(((8)))に記載の発明によれば、自機器の機器識別情報をジョブの中継元及び中継先に公開せずに済む。
(((9)))に記載の発明によれば、クラウドプリントサービスに適用することができる。
(((10)))に記載の発明によれば、クラウドが構内の情報処理装置のジョブを中継して同じ構内のジョブ実行装置に実行させるクラウドサービスを提供する場合において、ジョブをクラウド経由で実行させる場合に比して構内情報通信網を利用しなくてもジョブを早く終了させることができる。
【符号の説明】
【0115】
2 オフィスシステム、4 無線ネットワーク機器、4a ユーザ端末、4b,30 プリンタ、6 インターネット、8 クラウド、11 ジョブ登録部、12,32 接続処理部、13 印刷指示部、21 接続環境設定部、22 中継部、31 印刷実行制御部、33 印刷処理部、41 SSIDリスト提供部、42 中継状況設定部、43 移動通知部、81 サービス処理部、82 中継制御部、83 ジョブ情報記憶部、84 通信可能リスト記憶部。