(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161713
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】散水式暖房装置
(51)【国際特許分類】
F24D 15/00 20220101AFI20241113BHJP
F24H 9/16 20220101ALI20241113BHJP
A47K 4/00 20060101ALN20241113BHJP
【FI】
F24D15/00 B
F24H9/16 Z
A47K4/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076661
(22)【出願日】2023-05-08
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】390002886
【氏名又は名称】株式会社長府製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000228741
【氏名又は名称】日本サーモスタット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】朝枝 拓也
(72)【発明者】
【氏名】萩原 剛
(72)【発明者】
【氏名】根岸 功
【テーマコード(参考)】
2D132
3L072
【Fターム(参考)】
2D132GA02
2D132GA11
3L072AB06
(57)【要約】
【課題】運転完了後における確実な水抜きが可能な散水式暖房装置を提供する。
【解決手段】湯供給部と第2流体供給部と散水部とから成り、該湯供給部は、給湯時に、給湯が入力されて給湯用電磁弁と無負荷時開放型逆止弁とを経て出力され、該給湯用電磁弁の給湯下流側で排水管が分岐し、該排水口から排水可能であり、該排水管の途中に水抜き弁があり、該給湯用電磁弁が開いたとき該水抜き弁は閉じ、該給湯用電磁弁が閉じたとき該水抜き弁は開き、該第2流体供給部は、第2流体供給時に、第2流体が入力されて給水用電磁弁と逆止弁とを経て出力され、該無負荷時開放型逆止弁は、第2流体供給部側からの水圧が一定値以上高いときに閉じ、該一定値未満の時では開き、該湯供給部の出力と該第2流体供給部の出力とは1つとなり、該散水部に接続される構成を採用した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散水式暖房装置であって、
湯供給部と第2流体供給部と散水部とから成り、
該湯供給部は、給湯時に、給湯が入力されて給湯用電磁弁と無負荷時開放型逆止弁とを経て出力され、
該給湯用電磁弁の給湯下流側で排水管が分岐し、該排水口から排水可能であり、該排水管の途中に水抜き弁があり、
該給湯用電磁弁が開いたとき該水抜き弁は閉じ、該給湯用電磁弁が閉じたとき該水抜き弁は開き、
該第2流体供給部は、第2流体供給時に、第2流体が入力されて給水用電磁弁と逆止弁とを経て出力され、
該無負荷時開放型逆止弁は、第2流体供給部側からの水圧が一定値以上高いときに閉じ、該一定値未満の時では開き、
該湯供給部の出力と該第2流体供給部の出力とは1つとなり、該散水部に接続されることを特徴とする散水式暖房装置。
【請求項2】
前記無負荷時開放型逆止弁は、給湯時に開き、第2流体供給時に閉じ、給湯及び第2流体供給いずれでもないときには開くことを特徴とする請求項1に記載の散水式暖房装置。
【請求項3】
前記散水ノズルの高さは、前記水抜き弁の高さよりも高いことを特徴とする請求項1に記載の散水式暖房装置。
【請求項4】
前記一定値は3kPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の散水式暖房装置。
【請求項5】
前記無負荷時開放型逆止弁は、弁座面を有し弁ポートを構成する弁座部材と、
該弁座面に当接して該弁ポートを開閉する弁体と、該弁体を該弁座面より離間する方向に付勢するばねとを有し、
該弁体側の圧力値が、該弁座面側の圧力値より、一定値以上であったとき、弁体は弁座面に当接し、
該一定値以下の場合は、該弁体は該弁座面から離れていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の散水式暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室で用いる散水式暖房装置に関し、詳しくは、散水式暖房装置において、運転完了後に確実に水抜きが可能な構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室等での温水散水式暖房装置において、浴槽や浴室の壁の汚れを取るための除菌・抗菌作用を発揮し得る銀イオンを含んだ水を放出できるものも多い。その場合に、散水する管が2系統となり、全体として構造が複雑になる。
また、温水の散水を終了した後に、散水用ノズルから残湯等が出てしまうことがあり、品位低下の原因となっていた。
そこで、銀イオンを含んだ流体など第2の流体の散水機能を備える散水式の暖房装置であっても、給湯、給水による作業が完了した後、残湯や残水が出ることなく、管内の水抜きを確実に行える装置が求められていた。
【0003】
このような問題に対して、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、湯張に用いる管内の水抜きを確実に行う技術(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、給湯通路に電磁弁を設け、下流に逆止弁を設ける。電磁弁と逆止弁との間には、大気開放弁を接続する。更に、空気取入弁を接続する。この構成により、各管内の水抜きを行うことができる。
しかしながら、上記先行技術による構造では、銀イオン水など第2流体の散水機能を備えた場合の構造について記載されておらず、上記問題点の解決には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、運転完了後における確実な水抜きが可能な散水式暖房装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る散水式暖房装置は、湯供給部と第2流体供給部と散水部とから成り、該湯供給部は、給湯時に、給湯が入力されて給湯用電磁弁と無負荷時開放型逆止弁とを経て出力され、該給湯用電磁弁の給湯下流側で排水管が分岐し、該排水口から排水可能であり、該排水管の途中に水抜き弁があり、該給湯用電磁弁が開いたとき該水抜き弁は閉じ、該給湯用電磁弁が閉じたとき該水抜き弁は開き、該第2流体供給部は、第2流体供給時に、第2流体が入力されて給水用電磁弁と逆止弁とを経て出力され、該無負荷時開放型逆止弁は、第2流体供給部側からの水圧が一定値以上高いときに閉じ、該一定値未満の時では開き、該湯供給部の出力と該第2流体供給部の出力とは1つとなり、該散水部に接続される手段を採る。
【0007】
また、本発明は、前記無負荷時開放型逆止弁が、給湯時に開き、第2流体供給時に閉じ、給湯及び第2流体供給いずれでもないときには開く手段を採用し得る。
【0008】
さらに、本発明は、前記散水ノズルの高さが、前記水抜き弁の高さよりも高い手段を採る。
【0009】
またさらに、本発明は、前記一定値が3kPa以下である手段を採る。
【0010】
さらにまた、本発明は、前記無負荷時開放型逆止弁が、弁座面を有し弁ポートを構成する弁座部材と、該弁座面に当接して該弁ポートを開閉する弁体と、該弁体を該弁座面より離間する方向に付勢するばねとを有し、該弁体側の圧力値が、該弁座面側の圧力値より、一定値以上であったとき、弁体は弁座面に当接し、該一定値以下の場合は、該弁体は該弁座面から離れている手段を採る。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る散水式暖房装置によれば、第2流体の供給動作を含む場合でも、作業完了後に、確実に排水口側で水抜きを行うことが可能であって、排水の後垂れによる不快感を防止でき、衛生上、安全上の品位を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る散水式暖房装置の実施形態を示す全体模式図である。
【
図2】本発明に係る散水式暖房装置における無負荷時開放型逆止弁の実施形態を示す断面図である。
【
図3】本発明に係る散水式暖房装置における無負荷時開放型逆止弁の動作態様を示す模式図である。
【
図4】本発明に係る散水式暖房装置の各動作における水の流れを示す模式図である。
【
図5】本発明に係る散水式暖房装置の各動作における水の流れと高低差を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る散水式暖房装置は、作業完了後に、排水口側で確実に水抜きを行うことが可能であることを最大の特徴とする。
以下、本発明に係る散水式暖房装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
尚、以下に示される散水式暖房装置の全体構成態様及び各部の構成態様は、下記に述べる実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、構造等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0014】
図1から
図5にしたがって、本発明を説明する。
図1は、本発明に係る散水式暖房装置の実施形態を示す全体模式図である。
図2は、本発明に係る散水式暖房装置における無負荷時開放型逆止弁の実施形態を示す断面図であり、(a)は逆方向の水圧が低く弁が開いている状態、(b)は逆方向の水圧が高く弁が閉じている状態を示している。
図3は、本発明に係る散水式暖房装置における無負荷時開放型逆止弁の動作態様を示す模式図であり、(a)は給湯時と給湯停止時の無負荷時開放型逆止弁の動作、(b)は第2流体給水時と給水停止時の無負荷時開放型逆止弁の動作を示している。
図4は、本発明に係る散水式暖房装置の各動作における水流を示す模式図であり、(a)は給湯中、(b)は給湯を停止し湯を排出している状態、(c)は第2流体給水中、(d)は給水を中止し水を排出している状態を示している。
図5は、本発明に係る散水式暖房装置の各動作における水流と高低差を示す説明図であり、(a)は給湯中、(b)は給湯を中止した瞬間の湯水の状態、(c)は給湯を停止し湯を排出している状態、(d)は銀イオン水給水中、(e)は給水を中止した瞬間の湯水の状態を示している。
【0015】
散水式暖房装置1は、浴室等を温めるために温水を散水する方式の暖房装置であり、浴室の壁等の汚れを抑制したり除菌・抗菌作用を施すための銀イオン水など、第2流体を温水の代わりに散水することも可能である。
散水式暖房装置1は、大きくは、湯供給部10と第2流体供給部40と散水部50とから成り、湯供給部10に無負荷時開放型逆止弁20を設けていることを特徴としている。
【0016】
湯供給部10は、給湯口11から供給される温水を散水部50に送る部分である。不要な湯水の排出も行う。
湯供給部10は、給湯用電磁弁12と水抜き弁16と無負荷時開放型逆止弁20から成る。
給湯用電磁弁12は、給湯口11からの温水を散水部50へ供給するか停止するかを制御する弁である。湯水を散水部50に供給する際は弁を開け、停止する際は弁を閉じる。電磁弁であるので、浴室以外の場所から制御することもできる。
給湯用電磁弁12の給湯時の下流で、給湯管13と排水管14が分岐し、給湯管13側には無負荷時開放型逆止弁20があり、排水管14側には、水抜き弁16がある。
【0017】
水抜き弁16は、不要な湯水を排出する際、開く弁である。水抜き弁16を開くことで、給湯管13等に溜まった不要な湯水を、排水管14を介して排水口15から排出することができる。
水抜き弁16は、給湯用電磁弁12の近くに配置され、給湯用電磁弁12に連動して動く。給湯用電磁弁12が開くときは、水抜き弁16は閉じ、給湯用電磁弁12が閉じるときは、水抜き弁16が開く構造である。
また、給湯用電磁弁12と水抜き弁16を合わせて、大気開放弁ともいう。
【0018】
無負荷時開放型逆止弁20の1つ目の目的は、第2流体供給部40から供給された第2流体を散水部50に供給する際、第2流体が湯供給部10側に逆流することを防ぐものである。動作としては、散水部50に温水を供給する際には温水を通過させ、第2流体供給部40で第2流体を散水部50に供給する際には、第2流体が湯供給部10に流入するのを防ぐ。
無負荷時開放型逆止弁20の2つ目の目的は、給湯や給水が終了した際、管内の残湯、残水を排出口15から排出するものである。動作としては、給湯や給水が終了し管内の水圧が下がった際に、弁を開けて管内の水が排水口から排出できるようにする。
無負荷時開放型逆止弁20の詳細の動作については、別途説明する。
【0019】
第2流体供給部40は、暖房用の温水を散水するための湯供給部10とは別に、暖房以外の他の機能を散水式暖房装置1に発揮させるための流体(第2流体)を散水部50に送る部分である。第2流体については、例えば浴室内の床等に残留するゴミを洗い流すための冷水であったり、浴室内の壁等の汚れやカビの発生、菌・ウイルスの付着を抑制するための銀イオン水などが考え得るが、特に限定するものではない。
第2流体供給部40は、給水用電磁弁41と逆止弁42とから成り、給水管46で接続されている。
給水用電磁弁41は、第2流体を散水部50へ供給するか停止するかを制御する弁である。第2流体を散水部50に供給する際は弁を開け、停止する際は弁を閉じる。
電磁弁であるので、浴室以外の場所から制御することもできる。
【0020】
給水用電磁弁41の給水時の下流側に、逆止弁42が配置されている。給水用電磁弁41は、第2流体の供給を停止した際、給水側に逆流することを防ぐ働きをする。給水用電磁弁41を開くことによって、第2流体が給水管46を通って、湯供給部10の給湯管13と同様に散水管52に流れ、散水部50に供給される。
第2流体が銀イオン水である場合には、逆止弁42の後段に、必要に応じて銀タンク43が配設される(
図1)。その場合、逆止弁42は、該銀タンク43で作られた銀イオン水の給水側への逆流を防ぐ働きをする。
銀タンク43は、銀イオン水を生成する部分である。銀イオン水生成用タブレットをタンク内に入れることで、タブレット内の銀イオンが溶け、銀タンク43内に銀イオンが満たされる。給水用電磁弁41を開くことによって、銀タンク43内に新たな水が供給され、溢れた銀イオン水が給水管46を通って、湯供給部10の給湯管13と同様に散水管52に流れ、散水部50に供給される。銀タンク43のメンテナンス時は、銀タンク排水部44より内部の水を排水して、確認を行う。
タブレットから銀イオンが溶け出すには、ある程度の時間がかかるので、銀タンク43内は、常にタブレットを含む水で満たされていると好適である。
【0021】
散水部50は、浴室内に、暖房用温水や第2流体を散水する部分である。
湯供給部10から送られる温水と第2流体供給部40から送られる第2流体は、同じ散水管52を通って散水部50の散水ノズル51に達する。散水ノズル51は複数あり、それぞれのノズルから温水や第2流体を浴室内に散水する。
【0022】
無負荷時開放型逆止弁20の構造について、
図2、
図3に沿って説明する。
無負荷時開放型逆止弁20は、全体として弁ポート21を構成し、弁座部材23と弁体30とばね24と弁体支持部26を持つ。
弁座部材23は、弁体30と当接する弁座面22を持ち、ばね24を保持するばね保持部25を管の中央付近に持つ。
弁体支持部26は、弁体30を管の軸方向に移動可能に保持する部分であり、弁体30の軸部33を保持する。
弁体30が水圧により移動することで、弁が開閉する。
弁体30は、ばね用穴32、軸部33、環状ゴム34を持つ。環状ゴム34は、弁が閉じる際に弁座面22と当接し、水流が隙間から漏れることを防止する。
ばね用穴32は、ばね保持部25で保持されたばね24を受ける穴である。ばね保持部25とばね24によって、弁体30は常に、弁座部材23から離れる方向に付勢されている。したがって、水圧がかからない、又は、極めて弱い場合には、弁体30が弁座面22から離れ、弁は開いた状態となる。
弁体支持部26によって、弁体30が管の軸方向に移動可能に保持されている。移動の範囲は、弁体30が弁座面22側に移動し、弁体30の環状ゴム34が弁座面22に当接する位置と、弁体30が弁体支持部26側に移動し、弁体30全体が弁体支持部26に当たる位置との間である。
弁体30が弁座面22側に移動し、弁体30の環状ゴム34が弁座面22に当接することで、弁は閉じる。逆に、弁体30が弁体支持部26側に移動することで弁は開き、弁体30全体が弁体支持部26に当たることで、弁は全開となる。
【0023】
給湯時と第2流体給水時について、無負荷時開放型逆止弁20の動作を説明する。
給湯時は、弁座部材23側から弁体30側に温水が流れており、無負荷時開放型逆止弁20は開く(
図3(a)左)。次に、給湯を停止した際には、流れは無くなる。無負荷時開放型逆止弁20は、水流の圧力が一定圧力より小さい場合に弁が開くので、弁は開いたままである(
図3(a)右)。そのため、わずかな流れであれば、弁は開いたままとなって、逆方向へ流れることが可能である。
第2流体給水時は、弁体30側から弁座部材23側に第2流体が流れようとするので、無負荷時開放型逆止弁20は閉じる(
図3(b)左)。次に、第2流体の給水を停止した際には、流れは無くなる。無負荷時開放型逆止弁20は、水流の圧力が一定圧力より小さい場合に弁が開くので、弁は開いたままである(
図3(b)右)。そのため、わずかな流れであれば、弁は開いたままとなって、逆方向へ流れることが可能である。
【0024】
図4,5に沿って、給湯並びに第2流体給水の動作中、停止中の湯水の流れを説明する。
図5は、本実施形態の施工例である。
給湯口11から入った温水は、給湯用電磁弁12を通り、無負荷時開放型逆止弁20を通り、給湯管13から散水管52を通り、散水部50の散水ノズル51から散水される。無負荷時開放型逆止弁20は、順方向の流れなので、問題なく通過する。水抜き弁16は閉じているので、排水口15から排水されることは無い(
図4(a)、
図5(a))。
【0025】
図5(a)に沿って、各部分の高さを確認する。湯供給部10は、最も低い位置にある。排水のため、水抜き弁16、排水口15を、他の部分よりも低い位置にする必要があるためである。給湯時の下流で、散水管46と接続する部分は、最も高い位置にある。
散水管52は、所定の下り勾配を持って、散水ノズル51に達する。したがって、給湯時の全体の配管で見ると、給湯管13と散水管52の接続点を頂点とする、逆U字型になっているといえる。その際、散水ノズル51よりも水抜き弁16の高さのほうが低く、高低差はAとなっている。
第2流体供給部40は、給湯管13と散水管52と給水管46の接続点の高さと同じ高さであり、排水時に、排水の給水管46への影響を少なくしている。
【0026】
給湯口11から入った温水について、給湯用電磁弁12を閉じることで、散水部50の散水ノズル51からの散水が停止する。
湯供給部10については、給湯用電磁弁12を閉じ、水抜き弁16を開いたので、給湯用電磁弁12から水抜き弁16まで、水が滞留している(
図5(b))。
給湯が終了すると、散水ノズル51と水抜き弁16に大気圧がかかり、配管内の排水が行われる。
詳しくは、散水ノズル51側も水抜き弁16側も大気に開放されており、散水ノズル51の高さは水抜き弁16の高さよりも高い。また、無負荷時開放型逆止弁20は、水の流れがほとんど無いことから、弁が開いた状態である。そのため、両端が大気に開放された管となるので、サイフォンの原理により、散水管52、給湯管13内に滞留した水は、低いほうの出口である水抜き弁16側から排出される。
そのため、
図4(b)、
図5(c)に示すように、散水式暖房装置1内の水は、すべて排水口15から排出される。
散水ノズル51付近の水も排水口15から排出されるので、散水ノズル51から残水が出ることが無く、製品の品位を高めることができる。
【0027】
給水された第2流体は、給水用電磁弁41を通り、逆止弁42を通り、必要に応じて銀タンク43内で銀イオン水となり、給水管46から散水管52を通り、散水部50の散水ノズル51から散水される。無負荷時開放型逆止弁20には、逆方向の大きな圧力がかかるので、弁は閉じ、湯供給部10への第2流体の逆流は無い。また、湯供給部10には、残湯(温水の残留分62)が残っているものとする(
図4(c)、
図5(d))。
【0028】
給水された水は、給水用電磁弁41を閉じることで、散水部50の散水ノズル51からの散水が停止する。
このときの、散水式暖房装置1内の流体(温水含む)の滞留状態を
図5(e)に示す。散水を停止した直後なので、散水ノズル51を含む散水部50全体に、流体が滞留している。また、給湯管13内には、給湯した際の水である温水の残留分62が残っている。
散水ノズル51の高さは水抜き弁16の高さよりも高い。また、無負荷時開放型逆止弁20は、水の流れがほとんど無いことから、弁が開いた状態である。そのため、サイフォンの原理により、散水管52、給湯管13内に滞留した流体は、低いほうの出口である水抜き弁16側から排出される。
そのため、
図4(d)、
図5(c)に示すように、散水式暖房装置1内の流体は、すべて排水口15から排出される。
散水ノズル51付近の流体も排水口15から排出されるので、散水ノズル51から残水が出ることが無く、製品の品位を高めることができる。
【0029】
無負荷時開放型逆止弁20の逆流での弁の閉じ圧力を3kPaとした場合、水は、高低差10mで約1気圧(0.1MPa)であるので、排出時の逆流圧力を3kPa以下とすると、散水ノズル51と水抜き弁16の高さの差Aは、30cm程度である。
よって、散水ノズル51の高さと水抜き弁16の高低差Aは、30cm以下20cm以上であると好適である。
【0030】
このように、本発明によれば、第2流体の供給動作を含む散水式暖房装置1において、作業完了後に、排水口15側から確実に水抜きを行うことができ、排水の後垂れによる不快感を防止でき、衛生上及び安全上の品位を向上させることができる。
【0031】
また、温水と第2流体の2種類の流体を別方向からそれぞれ同じ配管を使用して散水する態様であり、更に、一方からの給水の場合には開状態を保持し、他方からの給水の場合には閉状態になる逆止弁を設け、各給水圧が低下する場合は開弁状態を保持する態様を採ることで、配管内の排水を確実に行うことができる。
【0032】
そしてまた、2方向から流体を通水させる装置において、常時開状態の逆止弁を設けることで、大気開放部材の位置関係を緩和でき、排水方向を自由に決定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る散水式暖房装置は、銀イオン水による汚れ防止機能をはじめ、2種類の流体を散水し得る機能を備えた場合でも、作業が完了した後、残湯や残水の発生を防止することが可能であり、温水を使って浴室等を温めるための散水式の暖房装置以外にも、2種類の流体が同じ配管から散水される態様のあらゆる装置に採用することが可能である。したがって、本発明に係る「散水式暖房装置」の産業上の利用可能性は、大きいものと思料する。
【符号の説明】
【0034】
1 散水式暖房装置
10 湯供給部
11 給湯口
12 給湯用電磁弁
13 給湯管
14 排水管
15 排水口
16 水抜き弁
20 無負荷時開放型逆止弁
21 弁ポート
22 弁座面
23 弁座部材
24 ばね
25 ばね保持部
26 弁体支持部
30 弁体
32 ばね用穴
33 軸部
34 環状ゴム
40 第2流体供給部
41 給水用電磁弁
42 逆止弁
43 銀タンク
44 銀タンク排水部
45 タブレット投入口
46 給水管
50 散水部
51 散水ノズル
52 散水管
60 温水の流れ
61 銀イオン水の流れ
62 温水の残留分