(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161720
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】マイクロスイッチおよびスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 19/20 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
H01H19/20 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076677
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 龍介
(72)【発明者】
【氏名】今瀬 隆則
(72)【発明者】
【氏名】浅田 泰洋
(72)【発明者】
【氏名】堺 理人
【テーマコード(参考)】
5G219
【Fターム(参考)】
5G219GS33
5G219HT04
5G219HU23
5G219JU03
5G219KS02
5G219KU41
5G219KW03
(57)【要約】
【課題】本発明は、作動軸の作動性を円滑に保ちつつ、作動軸の位置ずれを抑制するマイクロスイッチおよびスイッチ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】マイクロスイッチ1は、接点50の導通先を切り替える切替手段40に対して軸方向Zに力を作用させるマイクロ作動軸30と、マイクロ作動軸30を軸方向Zに進退移動させる作動部20と、作動部20を回転可能に支持する回転軸23と、を備えている。マイクロ作動軸30には、作動部20に当接する当接部31が設けられ、作動部20には、当接部31を支持する軸受部26が設けられ、当接部31及び軸受部26のうち少なくとも一方には、作動部20の回転に伴って、当接部31及び軸受部26のうち他方に対して摺接する第一曲面部a1又は第二曲面部a2が設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点の導通先を切り替える切替手段に対して軸方向に力を作用させる作動軸と、
前記作動軸を前記軸方向に進退移動させる作動部と、
前記作動部を回転可能に支持する支点部と、を備え、
前記作動軸の前記軸方向の一端側には、前記作動部に当接する当接部が設けられ、
前記作動部には、前記当接部を支持する軸受部が設けられ、
前記当接部及び前記軸受部のうち少なくとも一方には、前記作動部の回転に伴って、前記当接部及び前記軸受部のうち他方に対して摺接する曲面部が設けられていることを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項2】
前記曲面部は、前記当接部及び前記軸受部の両方に設けられ、
前記当接部の前記曲面部は、半球状に形成され、
前記軸受部の前記曲面部は、円錐状に形成され、
前記曲面部同士が互いに前記作動軸の軸周りの周方向に摺接することを特徴とする請求項1に記載のマイクロスイッチ。
【請求項3】
前記曲面部は、円弧状に形成されて前記当接部に設けられ、
前記軸受部は、前記当接部に対して接触する一対の傾斜面を備え、
前記曲面部が一対の前記傾斜面に対して複数個所で線接触することを特徴とする請求項1に記載のマイクロスイッチ。
【請求項4】
前記軸受部は、断面視V字状の溝部で構成されていることを特徴とする請求項3に記載のマイクロスイッチ。
【請求項5】
前記曲面部は、円弧状に形成されて前記軸受部に設けられ、
前記当接部は、前記曲面部に当接する第一角部及び第二角部を備え、断面視矩形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロスイッチ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のマイクロスイッチを搭載したことを特徴とするスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロスイッチおよびスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロスイッチを搭載した装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載のサーモスタットは、接点機構を収容するスイッチボックスと、スイッチボックスに達する作動軸と、作動軸を軸方向に進退移動させるL字状作動板と、を有するマイクロスイッチを備えている。L字状作動板は、水平方向に延びる横辺部と、垂直方向に延びる縦辺部と、横辺部の下面に設けられる回転支点を備え、作動軸は、L字状作動板の縦辺部に対して板厚方向に挿通している。そして、L字状作動板が回転支点を中心として回動することにより、その回動に追従して作動軸が軸方向に進退移動し、これによって接点機構が開閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したサーモスタットのような構成では、L字状作動板の回転運動を、作動軸の軸方向への進退運動に変換する必要があることから、この変換を円滑に行うために、作動軸と、L字状作動板における作動軸の挿通部分と、の間に所定のクリアランスを設ける必要がある。しかしながら、この場合、作動軸やL字状作動板に振動や衝撃等が加わると、クリアランス内で作動軸の位置が変化し、これによって作動軸の軸方向への変位量が変化し、接点機構の開閉が好適に行えないことがあった。一方、上記のようなクリアランスをなくした場合、L字状作動板の回転運動に作動軸が追従し難くなり、作動軸を進退運動させることが難しい。
【0005】
本発明は、作動軸の作動性を円滑に保ちつつ、作動軸の位置ずれを抑制するマイクロスイッチおよびスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明のマイクロスイッチは、接点の導通先を切り替える切替手段に対して軸方向に力を作用させる作動軸と、前記作動軸を前記軸方向に進退移動させる作動部と、前記作動部を回転可能に支持する支点部と、を備え、前記作動軸の前記軸方向の一端側には、前記作動部に当接する当接部が設けられ、前記作動部には、前記当接部を支持する軸受部が設けられ、前記当接部及び前記軸受部のうち少なくとも一方には、前記作動部の回転に伴って、前記当接部及び前記軸受部のうち他方に対して摺接する曲面部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
このような本発明によれば、作動軸の当接部及び作動部の軸受部のうち少なくとも一方に設けられた曲面部が、当接部及び軸受部のうち他方に対して常に接触することとなる。この接触により、作動軸や作動部に振動や衝撃等が加わった場合にも、作動軸の位置ずれを抑制することができる。また、この構成によれば、曲面部と当接部又は軸受部との摺接により作動部の回転運動に追従して作動軸を好適に進退移動させることができるため、上述した従来のマイクロスイッチが備えるようなクリアランスを設ける必要がない。したがって、作動軸の作動性を円滑に保ちつつ、作動軸の位置ずれを抑制するマイクロスイッチを提供することができる。
【0008】
また、この際、前記曲面部は、前記当接部及び前記軸受部の両方に設けられ、前記当接部の前記曲面部は、半球状に形成され、前記軸受部の前記曲面部は、円錐状に形成され、前記曲面部同士が互いに前記作動軸の軸周りの周方向に摺接することが好ましい。このような構成によれば、当接部と軸受部とで線接触する部分を作動軸の軸周りの周上に増大することができるので、作動軸の位置ずれを好適に抑制することができる。
【0009】
また、この際、前記曲面部は、円弧状に形成されて前記当接部に設けられ、前記軸受部は、前記当接部に対して接触する一対の傾斜面を備え、前記曲面部が一対の前記傾斜面に対して複数個所で線接触してもよい。このような構成によれば、当接部に設けられた曲面部を、軸受部の傾斜面に対して複数個所で線接触させることができるので、作動軸の位置ずれを好適に抑制することができる。
【0010】
また、前記軸受部は、断面視V字状の溝部で構成されていてもよい。このような構成によれば、V字状という比較的シンプルな形状で溝部を構成し、当接部の曲面部を、溝部に対して複数個所で線接触させ、作動軸の位置ずれを好適に抑制することができる。
【0011】
また、前記曲面部は、円弧状に形成されて前記軸受部に設けられ、前記当接部は、前記曲面部に当接する第一角部及び第二角部を備え、断面視矩形状に形成されていることが好ましい。このような構成によれば、軸受部に曲面部を構成し、作動軸の位置ずれを好適に抑制することができる。
【0012】
また、本発明のスイッチ装置は、上述したいずれかのマイクロスイッチを搭載したことを特徴とする。このような構成によれば、作動軸の作動性を円滑に保ちつつ、作動軸の位置ずれを抑制するマイクロスイッチを用いて、スイッチ装置を構成することができる。なお、スイッチ装置としては、例えば、冷凍サイクルの中で冷媒の圧力を検知する圧力スイッチや、冷媒の温度を検出する温度スイッチ等が挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作動軸の作動性を円滑に保ちつつ、作動軸の位置ずれを抑制するマイクロスイッチおよびスイッチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマイクロスイッチの斜視図。
【
図3】マイクロスイッチの一部を構成するレバーとマイクロ作動軸の拡大断面図。
【
図7】(A)は、第二実施形態に係るレバーとマイクロ作動軸の拡大断面図であり、(B)は、第二実施形態に係る作動部の溝部の拡大断面図。
【
図8】第二実施形態に係るレバー及びマイクロ作動軸の要部拡大図。
【
図11】(A)は、第三実施形態に係るレバーとマイクロ作動軸の拡大断面図であり、(B)は、第三実施形態の変形例に係るレバー及びマイクロ作動軸の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、
図1~6に基づいて説明する。本実施形態に係るマイクロスイッチ1は、例えば、冷凍サイクルの圧縮機において冷媒の圧力を検出する圧力スイッチや冷媒の温度を検出する温度スイッチなどのスイッチ装置に搭載され、スイッチ装置の一部を構成するものである。マイクロスイッチ1は、箱状のケース10と、ケース10の上部に設けられる作動部20と、作動部20によって軸方向に進退移動させられるマイクロ作動軸30(作動軸)と、マイクロ作動軸30が軸方向に変位した際の力が作用する切替手段40と、切替手段40によって導通先を切り替えられる接点50と、を備えている。
【0016】
なお、以降の説明では、図面において、矢印X、矢印Y、矢印Zを、互いに直交する方向とする。そして、後述するマイクロ作動軸30の移動方向を矢印Zで示し、「軸方向Z」と記す。そして、軸方向Z一方側を「上側Z1」、他方側を「下側Z2」と記す。また、水平方向を矢印X、矢印Yで示し、それぞれ「前後方向X」、「幅方向Y」と記す。そして、前後方向Xの一方側を「前側X1」、他方側を「後側X2」と記す。これはあくまでも説明の便宜のためであり、必ずしもマイクロスイッチ1の実際の使用状態における方向と一致するとは限らず、マイクロスイッチ1の実際の使用状態における各方向を限定するものではない。
【0017】
ケース10は、略矩形箱状の箱部11と、箱部11の上側Z1に設けられる蓋部12と、を備えている。箱部11は、
図2に示すように、内部に収容空間13を備えている。収容空間13には、切替手段40、接点50等の構成部品が収容されている。箱部11の側壁のうち後側X2の側壁には、後側X2に突出する突出部14が形成されている。突出部14は、マイクロスイッチ1が搭載される装置(例えば上述した圧力スイッチ等の装置)に箱部11を固定するための部分であり、後述するベース部15とともに、箱部11を装置に接続する接続部分を構成している。蓋部12は、突出部14の上側Z1に配置されて上側Z1に延びるベース部15と、ベース部15に連続しベース部15に直交して前後方向Xに延びる蓋本体16と、を備えている。ベース部15は、厚板状に形成され、上述した突出部14とともに継手管の接続部を構成している。
【0018】
ベース部15の、前側X1を向く面には、幅方向Yに間隔をあけてそれぞれ前側X1に突出する一対の突起部15aが、幅方向Yに並ぶように合計2組形成されている。一対の突起部15aの間には、ベース部15の前側X1を向く面から前側X1に突出する直方体状の台座17が形成されている。台座17には、後述するレバー22を固定する固定部18が、締結部材19によって固定されている。固定部18は、金属製の板材を曲げ加工等して形成され、台座17の上側Z1の面及び幅方向Y両側面を覆うとともに、台座17の前側X1の端部よりも前側X1に突出している。蓋本体16は、前後方向X及び幅方向Yに延在する矩形板状に形成され、その中央部には、軸方向Zに貫通する挿通孔16aが貫通形成されている。
【0019】
作動部20は、外力を受けて変位することで、マイクロ作動軸30を軸方向Zに進退移動させる部分である。外力の例としては、マイクロスイッチ1が上述した冷媒の圧力を検出する圧力スイッチまたは冷媒の温度を検出する温度スイッチに用いられる場合、冷媒の圧力変化または温度変化に応じて、感応部材としてのベローズが変位する際に発生し、伝達される力などが挙げられる。そして、この場合、作動部20は、ベローズ等の変位をマイクロ作動軸30に伝達する変位伝達部材として機能する。作動部20は、
図3に示すように、支持部21と、支持部21の前側X1に配置される作動金具としてのレバー22と、支持部21とレバー22とを接続する回転軸23(支点部)と、を備えている。支持部21は、ケース10に固定され、レバー22を支持している。レバー22は、回転軸23を支点とし、上述した外力を受けることで回転軸23の軸回り(本実施形態では、
図3に示す方向から見て左回り)に回転可能に設けられている。
【0020】
レバー22は、
図5、6に示すように、幅方向Y及び前後方向Xに延在する平板状の押圧板部24と、押圧板部24の幅方向Y両側の端縁から下側Z2に立ち上がる側壁部25と、を備えている。押圧板部24の中央後側X2の部分には、下側Z2に開口し、上側Z1に向かって円錐状に突出する軸受部26が形成されている。軸受部26の内面は、円錐状に凹み、マイクロ作動軸30の後述する当接部31に対して摺接する第一曲面部a1(曲面部)を構成している。すなわち、軸受部26の第一曲面部a1は、円錐状に形成され、当接部を介してマイクロ作動軸30を支持している。側壁部25の後側X2の端部は、押圧板部24の後側X2の端部から後側X2に突出し、この突出部分は、回転軸23を幅方向Yに挿通させる挿通部27を構成している。回転軸23は、レバー22を回転可能に支持する軸である。回転軸23は、台座17に固定された固定部18の幅方向Y両側壁を貫くとともに、支持部21の前側X1の端部とレバー22の挿通部27を幅方向Yに貫き、固定部18に固定されている。
【0021】
マイクロ作動軸30は、作動部20におけるレバー22の回転運動に追従して軸方向Zに進退移動する軸部材であり、上述した蓋本体16の挿通孔16aに挿通し、軸方向Zに延びて形成され、軸方向Zに変位可能にケース10に固定されている。
図2に示すように、マイクロ作動軸30は、ケース10外に位置する上側Z1の端部(一端側)に形成される当接部31と、ケース10内に位置する下側Z2の端部を構成する係合部32と、を備えている。
図3、4に示すように当接部31は、レバー22の軸受部26に当接する部分であり、その外面は、半球状の第二曲面部a2を構成している。第二曲面部a2は、レバー22の回転に伴って、第一曲面部a1に対して、マイクロ作動軸30の軸周りの周方向に摺接可能となっている。
【0022】
すなわち、曲面部(第一曲面部a1と第二曲面部a2)が当接部31及び軸受部26の両方に設けられ、曲面部同士が互いにマイクロ作動軸30の軸周りの周方向に摺接することとなっている。換言すると、当接部31及び軸受部26のうち少なくとも一方には、レバー22の回転に伴って、当接部31及び軸受部26のうち他方に対して摺接する曲面部が設けられている。係合部32は、切替手段40に係合する部分であり、この係合部32が切替手段40に係合することで、マイクロ作動軸30が進退移動した際に切替手段40に対して、軸方向Zの力が作用するようになっている。
【0023】
切替手段40は、
図2に示すように、マイクロ作動軸30の係合部32に係合する可動片41と、可動片41の先端部に当接し、後述する可動接点53を第一固定接点51または第二固定接点52に向けて付勢するスナップ片42と、前側X1の端部に可動接点53を備える導通片43と、を備えている。接点50は、ケース10に設けられる複数の不図示の端子にそれぞれ接続される導通部材であり、第一固定接点51と、第二固定接点52と、導通片43の前側X1の端部に固定される可動接点53と、を備えている。第一固定接点51は、ケース10の収容空間13内でケース10に固定され、不図示の第一端子に接続されている。第二固定接点52は、第一固定接点51の上側Z1に配置され、第一固定接点51と軸方向Zに対向して収容空間13内でケース10に固定されている。第二固定接点52は、不図示の第一端子に接続されている。可動接点53は、第一固定接点51と第二固定接点52との間に配置され、第一固定接点51及び第二固定接点52のそれぞれに対して当接することで、導通可能となっている。
【0024】
以下、マイクロスイッチ1の動作について説明する。ここでは、マイクロスイッチ1は上述した冷媒の圧力を検出する圧力スイッチに搭載されて、冷媒の圧力が小さい低圧状態と、冷媒の圧力が低圧状態より所定量大きい高圧状態と、で接点50の導通先を切り替えるものとする。なお、
図2は、冷媒が低圧状態にある場合のマイクロスイッチ1を示している。この状態では、作動部20がマイクロ作動軸30を下側Z2に押圧しておらず、スナップ片42によって下側Z2に付勢された可動接点53が、第一固定接点51に当接して導通し、低圧状態であることが検出される。次に、冷媒の圧力が上昇すると、圧力スイッチのベローズに圧力が作用し、それによってベローズが変位し、その変位が不図示の伝達部材を介して作動部20に伝達され、作動部20に下側Z2に向かう外力を加える。これにより、
図3に示すように、作動部20のレバー22が、回転軸23の軸回りの左回りに回転する。この際、レバー22の回転に伴って、軸受部26の第一曲面部a1が、マイクロ作動軸30の当接部31の第二曲面部a2に摺接し、レバー22の回転力をマイクロ作動軸30に伝達する。
【0025】
次に、上記摺接によって、マイクロ作動軸30が、レバー22の回転に追従して下側Z2に変位する。そして、マイクロ作動軸30が下側Z2に変位することで、下側Z2に向かう押圧力が切替手段40に作用し、可動片41が変形し、可動片41の変形に連動してスナップ片42が変形する。スナップ片42の変形量が一定量を超えると、導通片43に対する付勢力が反転し、導通片43が上側Z1に付勢されることとなり、これによって、可動接点53と第一固定接点51との導通状態が解除され、可動接点53と第二固定接点52とが当接し導通する。すなわち、切替手段40によって、接点50の導通先が切り替わる。これによって、マイクロスイッチ1が低圧状態から高圧状態に切り替わったことが検出される。
【0026】
なお、本実施形態では、
図2は、冷媒が低圧状態にある場合のマイクロスイッチ1を示しているものとしたが、これとは逆に、
図2は、冷媒が高圧状態にある場合のマイクロスイッチ1を示していてもよい。すなわち、
図2に示す状態で高圧状態であることが検出されてもよい。そして、この状態から、冷媒の圧力が低下した場合にベローズが変位し、その変位が作動部20に伝達され、マイクロ作動軸30が下側Z2に変位し、スナップ片42の付勢力が反転し、可動接点53と第一固定接点51との導通状態が解除されるとともに可動接点53と第二固定接点52とが導通し、マイクロスイッチ1が高圧状態から低圧状態に切り替わったことが検出されてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、マイクロスイッチ1の動作について、マイクロスイッチ1が冷媒の圧力を検出する圧力スイッチに搭載された場合の説明をしたが、これはあくまでも例示であり、例えば、マイクロスイッチ1が冷媒の温度を検出する温度スイッチに搭載され、冷媒の温度が低い低温状態と、冷媒の温度が低温状態より所定量高い高温状態とで、接点50の導通先を切り替えるものとした場合も同様に成り立つ。この場合、例えば、
図2の状態を、冷媒が低温状態にある状態とする。ここから冷媒の温度が上昇すると、ベローズが膨張するなどして変位し、その変位が不図示の伝達部材を介して作動部20に伝達され、作動部20に対して下側Z2に向かう外力を加える。これにより、圧力スイッチの場合と同様に、マイクロ作動軸30が下側Z2に変位し、当該変位によって生じた荷重が切替手段40に作用し、スナップ片42による付勢力が反転し、可動接点53と第一固定接点51との導通状態が解除され、可動接点53と第二固定接点52とが導通する。これによって、マイクロスイッチ1が低温状態から高温状態に切り替わったことが検出される。
【0028】
以上、上述した実施形態によれば、マイクロ作動軸30の当接部31及び作動部20の軸受部26のうち少なくとも一方に設けられた曲面部(第一曲面部a1、第二曲面部a2)が、当接部31及び軸受部26のうち他方に対して常に接触することとなる。この接触により、マイクロ作動軸30や作動部20に振動や衝撃等が加わった場合にも、マイクロ作動軸30の位置ずれを抑制することができる。また、この構成によれば、第一曲面部a1と第二曲面部a2との摺接により作動部20の回転運動に追従してマイクロ作動軸30を好適に進退移動させることができるため、上述した従来のマイクロスイッチが備えるようなクリアランスを設ける必要がない。したがって、マイクロ作動軸30の作動性を円滑に保ちつつ、マイクロ作動軸30の位置ずれを抑制するマイクロスイッチ1を提供することができる。また、本実施形態によれば、当接部31と軸受部26との両方に曲面部を設けたので、当接部31と軸受部26とで線接触する部分を作動軸の軸周りの周上に増大することができ、マイクロ作動軸30の位置ずれを好適に抑制することができる。また、上述した実施形態および変形例によれば、マイクロ作動軸30の作動性を円滑に保ちつつ、マイクロ作動軸30の位置ずれを抑制するマイクロスイッチ1を用いて、圧力スイッチや温度スイッチなどのスイッチ装置を構成することができる。
【0029】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図7(A)は、第二実施形態に係るレバー22とマイクロ作動軸30の拡大断面図であり、
図7(B)は、第二実施形態に係る作動部20の溝部28の拡大断面図である。
図8は、第二実施形態に係るレバー22及びマイクロ作動軸30の要部拡大図である。
図9は、第二実施形態に係るレバー22の背面図であり、
図10は、
図9のC-C線矢視断面図である。
図9に示すように、第二実施形態では、作動部20の押圧板部24に、貫通孔24aが形成されている。貫通孔24aの幅方向Y両隣には、上側Z1に向かって突出する軸受部260が形成されている。
図7(B)に示すように、軸受部260の内面は、前側X1に向かうに従って下側Z2に位置する第一傾斜面28a(
図7(B)にのみ図示)と、後側X2に向かうに従って下側Z2に位置する第二傾斜面28b(
図7(Bにのみ図示))と、で構成された断面視V字状の溝部28を構成している。
【0030】
図10に示すように、マイクロ作動軸30は、幅方向Y及び軸方向Zに延在する板状に形成されている。マイクロ作動軸30の上側Z1の端部には、上側Z1に突出する挿通突起33が形成されている。挿通突起33は、押圧板部24の貫通孔24aに挿通する突起であり、
図9に示すように、背面視矩形の第一挿通突起33aと、第一挿通突起33aの前側X1に配置され、第一挿通突起33aより幅方向Yの寸法が小さい第二挿通突起33bと、で構成されている。第一挿通突起33aと第二挿通突起33bの幅方向Yの寸法が異なっていることで、マイクロ作動軸30を取り付ける際に、マイクロ作動軸30の前後方向Xの向きが逆になることが防止されている。
【0031】
挿通突起33の幅方向Y両側には、溝部28に当接する当接部310が形成されている。当接部310は、外面が側面視で円弧状に形成された第三曲面部a3(曲面部)を構成している。第三曲面部a3は、溝部28の第一傾斜面28aと、第二傾斜面28bと、に対して、二線で接触している。このように、第三曲面部a3(曲面部)は、円弧状に形成されて当接部310に設けられ、軸受部260は、当接部310に対して接触する一対の傾斜面(第一傾斜面28a、第二傾斜面28b)を備え、第三曲面部a3が一対の傾斜面に対して複数個所で線接触することとなっている。
【0032】
第二実施形態においても、上述した一実施形態と同様に、マイクロスイッチ1は動作する。すなわち、冷媒の圧力や温度が変化すると、圧力スイッチのベローズに圧力が作用し、それによってベローズが変位し、その変位が不図示の伝達部材を介して作動部20に伝達され、作動部20に下側Z2に向かう外力を加え、これによりレバー22が回転軸23の軸周りに回転する。レバー22が回転すると、軸受部260の溝部28に対して、マイクロ作動軸30の第三曲面部a3が摺接し、レバー22の回転力がマイクロ作動軸30に伝達される。このような構成によれば、当接部310に設けられた第三曲面部a3を、軸受部260の傾斜面に対して複数個所で線接触させることができることから、マイクロ作動軸30の位置ずれを好適に抑制することができる。なお、本実施形態では、第三曲面部a3に摺接する部分を断面視V字状のシンプルな形状の溝部28で構成したが、これはあくまでも例示であり、摺接部分の形状は、適宜調整することができる。例えば、上述した一対の傾斜面(第一傾斜面28a、第二傾斜面28b)の間に、接続面として前後方向Xに延びる平坦面や、円弧面等を加える等してもよい。また、第一傾斜面28aと第二傾斜面28bとの間に、接続面として、第一傾斜面28aや第二傾斜面28bとは傾斜角度の異なる複数の傾斜面を追加して軸受部260を形成してもよい。
【0033】
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図11(A)は、第三実施形態に係るレバー22とマイクロ作動軸30の要部拡大図である。第三実施形態では、
図11(A)に示すように、レバー22の押圧板部24に、上側Z1に突出する軸受部261が形成されている。軸受部261の内面は、断面円弧状に凹んだ第四曲面部a4を構成している。マイクロ作動軸30の上側Z1の端部は、第四曲面部a4に摺接する当接部311となっている。当接部311は、
図11(A)に示す断面視で矩形状に形成されている。当接部311は、第四曲面部a4に当接する第一角部34及び第二角部35を備えている。すなわち、当接部311は、第一角部34と第二角部35を介して第四曲面部a4に二線で接触している。第三実施形態においても、上述した一実施形態及び第二実施形態と同様に、マイクロスイッチ1は動作する。この際、レバー22が、回転軸23の軸周りに回転すると、軸受部261の第四曲面部a4に対して、マイクロ作動軸30の当接部311の第一角部34及び第二角部35が摺接し、レバー22の回転力がマイクロ作動軸30に伝達される。
【0034】
次に、第三実施形態の変形例について説明する。
図11(B)は、第三実施形態の変形例に係るレバー22及びマイクロ作動軸30の要部拡大図である。
図11(B)に示すように、第三実施形態の変形例では、レバー22の押圧板部24に第二実施形態と同様の貫通孔24aが形成されている。そして、貫通孔24aの幅方向Y両隣には、上側Z1に突出する軸受部262が形成されている。軸受部262の内面は、断面半球状に凹んだ第五曲面部a5を構成している。第五曲面部a5には、マイクロ作動軸30の当接部311が、第一角部34、第二角部35によって二線以上で摺接するようになっている。第三実施形態の変形例においても、上述した一実施形態、第二実施形態及び第三実施形態と同様に、マイクロスイッチ1は動作する。レバー22が、回転軸23の軸周りに回転すると、軸受部262の第五曲面部a5に対して、マイクロ作動軸30の当接部311が二線以上で摺接し、レバー22の回転力がマイクロ作動軸30に伝達される。このような第三実施形態及び第三実施形態の変形例によれば、軸受部261、262側に、曲面部(第四曲面部a4、第五曲面部a5)を構成し、マイクロ作動軸30の位置ずれを好適に抑制することができる。
【0035】
尚、以上に説明した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これに限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によっても尚本発明のマイクロスイッチ1の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。例えば、上述した実施形態及び変形例では、マイクロ作動軸30側の曲面部を、軸受部26側に凸の形状に形成したが、この反対に、マイクロ作動軸30側の曲面部を軸受部26側に向かって凹形状に形成し、軸受部26側を凸形状としてもよい。また、同様に、軸受部26側の曲面部をマイクロ作動軸30側に凸の形状に形成してもよい。この際、マイクロ作動軸30側に、上述した一対の傾斜面(第一傾斜面28a、第二傾斜面28b)を備えた溝部を形成してもよい。すなわち、当接部31及び軸受部26のうち少なくとも一方には、作動部20の回転に伴って、当接部31及び軸受部26のうち他方に対して摺接する曲面部が設けられていればよい。
【符号の説明】
【0036】
a1 第一曲面部(曲面部)
Z 軸方向
1 マイクロスイッチ
20 作動部
23 回転軸(支点部)
26 軸受部
30 マイクロ作動軸(作動軸)
31 当接部
40 切替手段
50 接点