(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161721
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】マイクロスイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 19/08 20060101AFI20241113BHJP
H01H 19/04 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H01H19/08 T
H01H19/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076678
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 龍介
(72)【発明者】
【氏名】浅田 泰洋
(72)【発明者】
【氏名】今瀬 隆則
(72)【発明者】
【氏名】堺 理人
【テーマコード(参考)】
5G219
【Fターム(参考)】
5G219HT04
5G219HU23
5G219KS02
5G219KY24
(57)【要約】
【課題】本発明は、大型化を抑えつつスイッチ全体としての端子配列が整列化されたデュアルタイプのマイクロスイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】マイクロスイッチ1が、ケース10と、端子設置面80を同一方向に向けてケース10内に並べられて収容された一対のスイッチ部分1aと、を備えたデュアルタイプのスイッチであって、一対のスイッチ部分1aそれぞれが、端子設置面80に端子81がL字型に複数配列されたものであり、端子設置面80に対する平面視で、一対のスイッチ部分1aの全ての端子81が格子配列となるように、一対のスイッチ部分1aは、一方が他方に対して反転した状態でケース10内に収容されていることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
端子設置面を同一方向に向けて前記ケース内に並べられて収容された一対のスイッチ部分と、を備えたデュアルタイプのスイッチであって、
前記一対のスイッチ部分それぞれが、前記端子設置面に端子がL字型に複数配列されたものであり、
前記端子設置面に対する平面視で、前記一対のスイッチ部分の全ての前記端子が格子配列となるように、前記一対のスイッチ部分は、一方が他方に対して反転した状態で前記ケース内に収容されていることを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項2】
前記一対のスイッチ部分それぞれが、
前記端子設置面に対する直交方向に移動して各スイッチ部分の接点の導通状態を切り替える作動軸と、
前記作動軸に対する交差方向に沿って帯板状に延在し、一端側を回転軸として回転可能に設けられ、他端側に外力を受けて中途部分で前記作動軸の一端を押圧することで当該作動軸を移動させる作動レバーと、を備えており、
前記一対のスイッチ部分の相互間において、前記格子配列における縦横何れかの軸に沿って前記作動軸が一列に並ぶとともに、前記作動レバーが互いに同じ側を前記回転軸として互いに同方向に延在するように、前記一対のスイッチ部分が前記ケース内に収容されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロスイッチ。
【請求項3】
前記一対のスイッチ部分それぞれの前記端子設置面が、各段に前記端子が配置された階段状の設置面となっていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロスイッチ。
【請求項4】
前記一対のスイッチ部分それぞれの通電部分における少なくとも最接近部分の相互間を遮断するように前記ケースの内部に配置された絶縁性の隔壁を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロスイッチ。
【請求項5】
前記一対のスイッチ部分のうちの一方の前記端子設置面に、他方の前記端子設置面と外観上で識別可能な表面加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース内に一対のスイッチ部分が並べられて収容されたデュアルタイプのマイクロスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器の装置等に用いられるマイクロスイッチが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載のマイクロスイッチは、ケース内に一対のスイッチ部分が並べられて収容されたデュアルタイプのマイクロスイッチとなっている。そして、このマイクロスイッチでは、各スイッチ部分の端子設置面が並んで配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開106708117号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した特許文献1記載のデュアルタイプのマイクロスイッチでは、各スイッチ部分の端子設置面が並んで配置されているのみであり、スイッチ全体としての端子配列が分かり難く使いづらいという問題がある。他方、端子配列が分かり易くなるように各スイッチ部分の端子設置面における端子配列を単純に整列化するとスイッチ全体のサイズが大型化する可能性がある。
【0005】
本発明は、大型化を抑えつつスイッチ全体としての端子配列が整列化されたデュアルタイプのマイクロスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、マイクロスイッチは、ケースと、端子設置面を同一方向に向けて前記ケース内に並べられて収容された一対のスイッチ部分と、を備えたデュアルタイプのスイッチであって、前記一対のスイッチ部分それぞれが、前記端子設置面に端子がL字型に複数配列されたものであり、前記端子設置面に対する平面視で、前記一対のスイッチ部分の全ての前記端子が格子配列となるように、前記一対のスイッチ部分は、一方が他方に対して反転した状態で前記ケース内に収容されていることを特徴とする。
【0007】
上記のマイクロスイッチによれば、一対のスイッチ部分それぞれの端子設置面における端子配列がL字型となっており、全ての端子が格子配列となるように、一対のスイッチ部分は、一方が他方に対して反転した状態でケース内に収容されている。一方が他方に対して反転した状態となることで、一方のL字型における凸配列が他方のL字型における凹配列に入り込むようにして格子配列が形成され、このような組み合わせではスイッチ全体のサイズの大型化も抑えられることとなる。即ち、上記の構成によれば、大型化を抑えつつスイッチ全体としての端子配列が整列化されたデュアルタイプのマイクロスイッチを得ることができる。
【0008】
ここで、前記一対のスイッチ部分それぞれが、前記端子設置面に対する直交方向に移動して各スイッチ部分の接点の導通状態を切り替える作動軸と、前記作動軸に対する交差方向に沿って帯板状に延在し、一端側を回転軸として回転可能に設けられ、他端側に外力を受けて中途部分で前記作動軸の一端を押圧することで当該作動軸を移動させる作動レバーと、を備えており、前記一対のスイッチ部分の相互間において、前記格子配列における縦横何れかの軸に沿って前記作動軸が一列に並ぶとともに、前記作動レバーが互いに同じ側を前記回転軸として互いに同方向に延在するように、前記一対のスイッチ部分が前記ケース内に収容されていることが好適である。
【0009】
この構成によれば、一対のスイッチ部分の作動軸が一列に並び、作動レバーが互いに同じ側を回転軸として互いに同方向に延在することから、単純に2つ並んでいるスイッチ部分の作動レバーが逆方向を向いておらず、同じ方向を向いて並んでいる為、マイクロスイッチとしての取り扱いやすさを向上させることができる。また、一対の作動軸が一列に並んでいる為、その配列方向に対する交差方向について、マイクロスイッチを小型化することができる。
【0010】
また、前記一対のスイッチ部分それぞれの前記端子設置面が、各段に前記端子が配置された階段状の設置面となっていることが好適である。
【0011】
この構成によれば、各段の端子に対する電線端子の固定作業が、他の段の端子に固定された電線端子から段差方向にずれた位置で邪魔されずに行われることから、端子固定作業についての作業性を向上させることができる。
【0012】
また、前記一対のスイッチ部分それぞれの通電部分における少なくとも最接近部分の相互間を遮断するように前記ケースの内部に配置された絶縁性の隔壁を更に備えたことが好適である。
【0013】
この構成によれば、反転配置によって仮に一対のスイッチ部分の通電部分が接近するようなことになっても、少なくとも最接近部分について隔壁によって遮断される。この遮断により、一対のスイッチ部分を一層近付けて並べることができ、つまりは、マイクロスイッチの大型化を更に抑えることができる。
【0014】
また、前記一対のスイッチ部分のうちの一方の前記端子設置面に、他方の前記端子設置面と外観上で識別可能な表面加工が施されていることが好適である。
【0015】
この構成によれば、一方の端子設置面に対する表面加工によって、各端子が、どのスイッチ部分に属するものであるのかが一目瞭然となるので、端子固定作業についての作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、大型化を抑えつつスイッチ全体としての端子配列が整列化されたデュアルタイプのマイクロスイッチを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係るマイクロスイッチを示す外観斜視図である。
【
図2】
図1に示されているマイクロスイッチの、
図1中のA-A切断線に沿った断面図である。
【
図3】
図1及び
図2示されているマイクロスイッチを一対のスイッチ部分の端子設置面側から見た外観斜視図である。
【
図4】
図3に示されている一対の端子設置面を見た平面図である。
【
図5】
図4に示されている一対の端子設置面における端子配列を示す模式図である。
【
図6】
図1に示されているマイクロスイッチを、蓋部をその上面構造と共に外して内部のスイッチ部分が見えるように示した図である。
【
図7】
図6に示されている一対のスイッチ部分の相互間の絶縁性をケースの内部において高めるための構造を、マイクロスイッチの幅方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
【0019】
図1は、一実施形態に係るマイクロスイッチを示す外観斜視図であり、
図2は、
図1に示されているマイクロスイッチの、
図1中のA-A切断線に沿った断面図である。
【0020】
本実施形態に係るマイクロスイッチ1は、例えば、冷凍サイクルの圧縮機において冷媒の圧力を検出する圧力スイッチ等の一部を構成するものである。マイクロスイッチ1は、箱状のケース10の内部に、一対のスイッチ部分1aが並べられて収容されたデュアルタイプのスイッチとなっている。一対のスイッチ部分1aは、後述の端子設置面80を同一方向に向けてケース10内に並べられて収容されている。また、一対のスイッチ部分1aは、互いに同一の構造を有しており、以下、一方のスイッチ部分1aの構造に注目しつつ、
図1及び
図2を参照して説明を行う。
【0021】
スイッチ部分1aは、ケース10の上部に設けられる作動部20と、作動部20によって、後述の端子設置面80に対する直交方向となる軸方向に進退移動させられるマイクロ作動軸30と、を備えている。作動部20は、マイクロ作動軸30に対する交差方向に沿って帯板状に延在し、一端側を回転軸21として回転可能に設けられ、他端側に外力を受けて中途部分でマイクロ作動軸30の一端を押圧することで移動させる後述のレバー22を備えている。また、スイッチ部分1aは、マイクロ作動軸30と、マイクロ作動軸30が軸方向に変位した際の力が作用する切替手段50と、切替手段50によって導通先を切り替えられる接点60と、を備えている。更に、スイッチ部分1aは、接点60と電気的に接続された複数の端子81を備えており、各スイッチ部分1aの端子81は、ケース10の下部における端子部11aに固定されている。また、この端子部11aにおいて、端子81は、スイッチ部分1a毎にまとまって配置されており、端子部11aには、各スイッチ部分1aに対応した端子設置面80が形成されている。つまり、一対のスイッチ部分1aは、端子設置面80を同一方向に向けて端子部11aを構成するようにケース10内に収容されている。また、各端子81は、ネジ81aによって接続対象の電線端子等が接続される板状の金属端子となっている。
【0022】
尚、以降の説明では、図面において、矢印X、矢印Y、矢印Zを、互いに直交する方向とする。そして、後述するマイクロ作動軸30の軸方向を矢印Zで示し、「軸方向Z」と記す。そして、軸方向Z一方側を「上側Z1」、他方側を「下側Z2」と記す。また、水平方向を矢印X、矢印Yで示し、それぞれ「前後方向X」、「幅方向Y」と記す。そして、前後方向Xの一方側を「前側X1」、他方側を「後側X2」と記す。尚、これはあくまでも説明の便宜のためであり、必ずしもマイクロスイッチ1の実際の使用状態における方向と一致するとは限らず、マイクロスイッチ1の実際の使用状態における各方向を限定するものではない。これらの方向によると、マイクロスイッチ1における一対のスイッチ部分1aは幅方向Yに並べられている。
【0023】
ケース10は、略矩形箱状の箱部11と、箱部11の上側Z1に設けられる蓋部12と、を備えている。箱部11は、
図2に示すように、内部に収容空間13を備えている。収容空間13には、切替手段50、接点60等の構成部品が収容されている。箱部11の側壁のうち後側X2の側壁には、後側X2に突出する突出部14が形成されている。突出部14は、マイクロスイッチ1が搭載される装置(例えば上述した圧力スイッチ等の装置)に箱部11を固定するための部分であり、後述するベース部15とともに、箱部11を装置に接続する接続部分を構成している。蓋部12は、突出部14の上側Z1に配置されて上側Z1に延びるベース部15と、ベース部15に連続しベース部15に直交して前後方向Xに延びる蓋本体16と、を備えている。ベース部15は、厚板状に形成され、上述した突出部14とともに箱部11を装置に接続する接続部分を構成している。箱部11における底壁の外面に一対のスイッチ部分1aの端子設置面80が並ぶ端子部11aが形成されている。
【0024】
ベース部15の、前側X1を向く面には、幅方向Yに間隔をあけてそれぞれ前側X1に突出する一対の突起部15aが、幅方向Yに並ぶように合計2組形成されている。一対の突起部15aの間には、ベース部15の前側X1を向く面から前側X1に突出する直方体状の台座17が形成されている。台座17には、後述するレバー22を固定する固定部18が、締結部材19によって固定されている。固定部18は、金属製の板材を曲げ加工等して形成され、台座17の上側Z1の面及び幅方向Y両側面を覆うとともに、台座17の前側X1の端部よりも前側X1に突出している。蓋本体16は、前後方向X及び幅方向Yに延在する矩形板状に形成され、その中央部には、軸方向Zに貫通する挿通孔16aが貫通形成されている。
【0025】
作動部20は、外力を受けて変位することで、マイクロ作動軸30を軸方向に進退移動させる部分である。外力の例としては、マイクロスイッチ1が上述した冷媒の圧力を検出する圧力スイッチに用いられる場合、冷媒の圧力変化に応じて、感応部材としてのベローズが変位する際に発生し、伝達される力等が挙げられる。そして、この場合、作動部20は、ベローズ等の変位をマイクロ作動軸30に伝達する変位伝達部材として機能する。作動部20は、
図1、2に示すように、固定部18の幅方向Y両側壁を貫いて固定された回転軸21と、回転軸21に回転可能に支持されるレバー22と、を備えている。レバー22は、上述したようなベローズの変位によって発生し、伝達された力に基づいて、回転軸21の軸回り(本実施形態では、
図2に示す方向から見て左回り)に回転するように設けられている。レバー22は、前後方向Xに延在する板状部23を備え、板状部23には、上側Z1に突出する円錐状の軸受部24が形成されている。軸受部24の内周面は、マイクロ作動軸30の後述する一端部31に摺接する摺接面を構成している。
【0026】
マイクロ作動軸30は、作動部20におけるレバー22の回転運動に追従して軸方向Zに進退移動する軸部材であり、上述した蓋本体16の挿通孔16aに挿通し、軸方向Zに延びて形成され、軸方向Zに変位可能にケース10に固定されている。
図2、3に示すように、マイクロ作動軸30は、ケース10外に位置して上側Z1の端部を構成する一端部31と、ケース10内に位置して下側Z2の端部を構成する係合部33と、を備えている。一端部31は、レバー22の軸受部24の内周面に摺接する部分であり、その外面は、半球状に形成されている。係合部33は、切替手段50に係合する部分である。この係合部33が切替手段50に係合することで、マイクロ作動軸30が進退移動した際に、切替手段50に対して、軸方向Z(軸方向)の力が作用するようになっている。
【0027】
切替手段50は、
図2に示すように、マイクロ作動軸30の係合部33に係合する可動片51と、可動片51の先端部に当接し、後述する可動接点63を第一固定接点61又は第二固定接点62に向けて付勢するスナップ片52と、前側X1の端部に可動接点63を備える導通片53と、を備えている。接点60は、ケース10に設けられる複数の端子81にそれぞれ接続される導通部材であり、第一固定接点61と、第二固定接点62と、導通片53の前側X1の端部に固定される可動接点63と、を備えている。第一固定接点61は、収容空間13内でケース10に固定されている。第二固定接点62は、第一固定接点61の上側Z1に配置され、第一固定接点61と軸方向Zに対向して収容空間13内でケース10に固定されている。可動接点63は、第一固定接点61と第二固定接点62との間に配置され、第一固定接点61及び第二固定接点62のそれぞれに対して当接可能に設けられ、導通先を切り替え可能となっている。端子81は、各スイッチ部分1aについて、第一固定接点61、第二固定接点62、及び可動接点63に一対一に接続され、ケース10の下部の端子部11aにおける端子設置面80に3つずつ、合計で6つ設けられている。
【0028】
次に、マイクロスイッチ1における各スイッチ部分1aの動作について説明する。まず、
図2では、作動部20がマイクロ作動軸30を下側Z2に押圧しておらず、スナップ片52によって下側Z2に付勢された可動接点63が、第一固定接点61に当接して導通している。次に、外力が作動部20に伝達され、その外力により、作動部20のレバー22が回転軸21の軸回りの左回りに回転すると、マイクロ作動軸30が、レバー22の回転に追従して下側Z2に変位する。この変位によって、下側Z2に向かう荷重が切替手段50に作用し、可動片51が変形し、可動片51の変形に連動してスナップ片52が変形する。スナップ片52の変形量が一定量を超えると、導通片53に対する付勢力が反転し、導通片53が上側Z1に付勢されることとなり、これによって、可動接点63と第一固定接点61との導通状態が解除され、可動接点63と第二固定接点62とが当接し導通する。すなわち、切替手段50によって、接点60の導通先が切り替わる。このような接点60の導通先の切替えに伴い、端子設置面80における端子81の導通状態も切り替わることとなる。
【0029】
図3は、
図1及び
図2示されているマイクロスイッチを一対のスイッチ部分の端子設置面側から見た外観斜視図であり、
図4は、
図3に示されている一対の端子設置面を見た平面図であり、
図5は、
図4に示されている一対の端子設置面における端子配列を示す模式図である。
【0030】
マイクロスイッチ1を構成する一対のスイッチ部分1aそれぞれは、各端子設置面80に端子81がL字型に3つ配列されたものとなっている。これら3つの端子81は、上述したように、第一固定接点61、第二固定接点62、及び可動接点63に一対一に接続されており、それぞれ第1端子811、第2端子812、及びコモン端子813となっている。また、本実施形態では、一対のスイッチ部分1aのうちの一方が第一スイッチ部分1-1で他方が第二スイッチ部分1-2となり、特にマイクロスイッチ1が圧力スイッチに利用される場合、一対のスイッチ部分1aのうちの一方の第一スイッチ部分1-1が低圧検出用で他方の第二スイッチ部分1-2が高圧検出用となる。
【0031】
そして、マイクロスイッチ1では、端子設置面80に対する平面視で、全ての端子81が2行3列の格子配列となるように、一対のスイッチ部分1aは、一方が他方に対して180°反転した状態でケース10内に収容されている。この反転配置により、一方のL字型における凸配列が他方のL字型における凹配列に入り込むようにして格子配列が形成される。
図3~
図5の図示例では、一方のL字型における第1端子811が、他方のL字型におけるコモン端子813に隣接するように組み合わされて格子配列が形成されている。マイクロスイッチ1のケース10における箱部11の底壁外面の端子部11aは、このような格子配列を構成するように一対の端子設置面80が組み合わされたものとなっている。
【0032】
ここで、本実施形態では、一対のスイッチ部分1aそれぞれの端子設置面80が、各段に端子81が配置された階段状の設置面となっている。ただし、上記のように反転配置によってマイクロスイッチ1の端子部11a全体が上下二段の階段状となるように、一対のスイッチ部分1aの相互間では、各端子設置面80の各段に配置される端子81が異なっている。即ち、
図5に示されている第一スイッチ部分1-1の端子設置面80では、下段にコモン端子813が配置され、上段に第1端子811及び第2端子812の2つの端子81が配置される。他方、第二スイッチ部分1-2の端子設置面80では、下段に第1端子811及び第2端子812の2つの端子81が配置され、上段にコモン端子813が配置される。
【0033】
また、各端子設置面80では、上段の端子81は、軸方向Zについて最外面よりも一段下がった面に設置され、下段の端子81は、上段の端子81の設置面から更に一段下がってそのまま箱部11の後側X2の側面に至る面に設置されている。更に、上下それぞれの段には幅方向Yについて隣り合う端子81の相互間がリブ82で隔てられ、また、幅方向Yの両端部には、箱部11の側壁が軸方向Zに延出した側壁リブ83がリブ82と対向するように設けられている。各端子設置面80における階段構造、端子81の相互間のリブ82、及び側壁リブ83により、各端子81は、軸方向Zの下側Z2と前後方向Xの後側X2が開放されて三方を壁面で囲まれた状態となる。各端子81には、二方向の開放側から接続対象の電線端子等が接続される。
【0034】
更に、本実施形態では、一対の端子設置面80のうちの一方、
図4及び
図5の例では第二スイッチ部分1aの端子設置面80に、他方である第一スイッチ部分1-1の端子設置面80と外観上で識別可能な表面加工が施されている。具体的には、第二スイッチ部分1-2の端子設置面80に、しわ模様を付けるシボ加工が施されている。
【0035】
また、一対のスイッチ部分1aの反転配列は、マイクロ作動軸30及び作動部20のレバー22が次のように並ぶ配列となっている。
【0036】
図6は、
図1に示されているマイクロスイッチを、蓋部をその上面構造と共に外して内部のスイッチ部分が見えるように示した図である。
【0037】
この
図6に示されているように、一対のスイッチ部分1aは、180°の反転配列によって、ケース10の内部では、前後方向Xについて、切替手段50や接点60が互いに逆向きに配置されて、デュアルタイプのマイクロスイッチ1を構成している。その一方で、一対のスイッチ部分1aの相互間において、端子81の上記の格子配列における縦横何れかの軸(本実施形態では横軸に当たる幅方向Y)に沿って一対のマイクロ作動軸30が一列に並べられる。また、
図1に示されているように、作動部20のレバー22は、互いに同じ側を回転軸21として互いに同方向に延在している。
【0038】
また、本実施形態では、ケース10の内部における一対のスイッチ部分1aの相互間の絶縁性が次のような構造によって高められている。
【0039】
図7は、
図6に示されている一対のスイッチ部分の相互間の絶縁性をケースの内部において高めるための構造を、マイクロスイッチの幅方向から見た側面図である。
【0040】
本実施形態では、上記の絶縁性を高めるために、ケース10の内部に絶縁性の隔壁90が配置されている。この隔壁90は、一対のスイッチ部分1aそれぞれにおける切替手段50、接点60、及び接続用バスバ等を含む通電部分1a-1(
図6中におけるハッチング部分)の、最接近部分1a-2を含む部分の相互間を遮断するようにケース10の内部に配置される。マイクロスイッチ1の内部では、ケース10の上側Z1に通電部分1a-1が多く配置されているため、
図7に示されているように、隔壁90は、ケース10の蓋部12の下面からリブ状に突出するように設置されている。このリブ状の隔壁90が、一対の通電部分1a-1の相互間に、前後方向Xに延在するように差し入れられる。また、隔壁90における中央部は、通電部分1a-1における最接近部分1a-2を確実に遮断するように、舌片状に突出しており、この突出部分91が最接近部分1a-2の相互間に差し入れられる。
【0041】
以上に説明した実施形態のマイクロスイッチ1によれば、一対のスイッチ部分1aそれぞれの端子設置面80における端子配列がL字型となっている。そして、全ての端子81が格子配列となるように、一対のスイッチ部分1aは、一方が他方に対して反転した状態でケース10内に収容されている。一方が他方に対して反転した状態となることで、一方のL字型における凸配列が他方のL字型における凹配列に入り込むようにして格子配列が形成され、このような組み合わせではスイッチ全体のサイズの大型化も抑えられることとなる。即ち、上記の構成によれば、大型化を抑えつつスイッチ全体としての端子配列が整列化されたデュアルタイプのマイクロスイッチ1を得ることができる。
【0042】
ここで、本実施形態では、一対のスイッチ部分1aそれぞれが、接点60の導通状態を切り替えるマイクロ作動軸30と、このマイクロ作動軸30を移動させる作動部20のレバー22と、を備えている。そして、一対のスイッチ部分1aの相互間において、端子81の格子配列における横軸(幅方向Yの軸)に沿ってマイクロ作動軸30が一列に並ぶ。更に、作動部20のレバー22は、互いに同じ側を回転軸21として互いに同方向に延在する。この構成によれば、一対のマイクロ作動軸30が一列に並び、一対の作動部20のレバー22が互いに同じ側を回転軸21として互いに同方向に延在することから、単純に2つ並んでいるスイッチ部分1aのレバー22が逆方向を向いておらず、同じ方向を向いて並んでいる為、マイクロスイッチ1としての取り扱いやすさを向上させることができる。また、一対のマイクロ作動軸30が一列に並んでいる為、その配列方向に対する交差方向について、マイクロスイッチ1を小型化することができる。本実施形態では、マイクロ作動軸30が幅方向Yに並んでおり、マイクロスイッチ1は、前後方向Xについて小型化されている。
【0043】
また、本実施形態では、一対のスイッチ部分1aそれぞれの端子設置面80が、各段に端子81が配置された階段状の設置面となっている。この構成によれば、各段の端子81に対する電線端子の固定作業が、他の段の端子81に固定された電線端子から段差方向にずれた位置で邪魔されずに行われることから、端子固定作業についての作業性を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、一対のスイッチ部分1aそれぞれの通電部分1a-1における少なくとも最接近部分1a-2の相互間を遮断するように、ケース10の内部に絶縁性の隔壁90が配置されている。この構成によれば、反転配置によって仮に一対のスイッチ部分1aの通電部分1a-1が接近するようなことになっても、最接近部分1a-2を含む相互間について隔壁90によって遮断される。この遮断により、一対のスイッチ部分1aを一層近付けて並べることができ、つまりは、マイクロスイッチ1の大型化を更に抑えることができる。
【0045】
また、本実施形態では、一対のスイッチ部分1aの端子設置面80うち、高圧用の端子設置面80に、低圧用の端子設置面80と外観上で識別可能な表面加工としてのシボ加工が施されている。この構成によれば、一方の端子設置面80に対する表面加工によって、各端子81が、どのスイッチ部分1aに属するものであるのかが一目瞭然となるので、端子固定作業についての作業性を向上させることができる。
【0046】
尚、以上に説明した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これらに限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によっても尚本発明のマイクロスイッチの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0047】
例えば、上述の実施形態では、マイクロスイッチの一例として、圧力スイッチとして利用されるマイクロスイッチ1が例示されている。しかしながら、マイクロスイッチは、これに限るものではなく、何らかの外力を受けてスイッチ部分の導通状態を切り替えるものであれば、圧力スイッチ以外の各種スイッチとして利用されるものであってもよい。
【0048】
また、上述の実施形態では、スイッチ部分の一例として、端子設置面80の3つの端子81がL字型に配置されたスイッチ部分1aが例示されている。しかしながら、スイッチ部分は、これに限るものではなく、端子設置面における端子の数は、L字型の配置が可能であればその具体的な設置数を問うものではない。
【0049】
また、上述の実施形態では、マイクロスイッチの一例として、マイクロ作動軸30が一列に並び、作動部20のレバー22が互いに同方向に延在するように一対のスイッチ部分1aは反転配置されたマイクロスイッチ1が例示されている。しかしながら、マイクロスイッチは、これに限るものではなく、一対のスイッチ部分の全ての端子が格子配列となるのであれば、作動軸が互いにずれて配置され、作動レバーが互いに逆向きに延在することとしてもよい。ただし、マイクロ作動軸30が一列に並び、作動部20のレバー22が互いに同方向に延在することで、一対のレバー22を介した一対のマイクロ作動軸30の動作性を向上させることができる点は上述した通りである。
【0050】
また、上述の実施形態では、端子設置面の一例として、各段に端子81が配置された階段状の端子設置面80が例示されている。しかしながら、端子設置面は、これに限るものではなく、単純平坦面であってもよい。ただし、端子設置面80を階段状に形成することで、端子固定作業についての作業性を向上させることができる点は上述した通りである。
【0051】
また、上述の実施形態では、マイクロスイッチの一例として、一対のスイッチ部分1aそれぞれの通電部分1a-1における少なくとも最接近部分1a-2の相互間を遮断する絶縁性の隔壁90を備えたマイクロスイッチ1が例示されている。しかしながら、マイクロスイッチは、これに限るものではなく、一対のスイッチ部分それぞれの通電部分の相互間は、如何なる構造も設けず空間を空けた状態としてもよい。ただし、上記の絶縁性の隔壁90を設けることで、一対のスイッチ部分1aを一層近付けて並べることができ、つまりは、マイクロスイッチ1の大型化を更に抑えることができる点は上述した通りである。
【0052】
また、上述の実施形態では、マイクロスイッチの一例として、高圧用の端子設置面80に、低圧用の端子設置面80と外観上で識別可能な表面加工としてのシボ加工が施されたマイクロスイッチ1が例示されている。しかしながら、マイクロスイッチは、これに限るものではなく、一対の端子設置面を互いに表面状態が同一の一様な面としてもよい。ただし、一方の端子設置面80に対する表面加工によって、端子固定作業についての作業性を向上させることができる点は上述した通りである。尚、一方の端子設置面に対する識別用の表面加工は、シボ加工に限るものではなく、他方の端子設置面と外観上で識別可能となるものであれば、任意の表面加工を採用し得るものである。
【符号の説明】
【0053】
1 マイクロスイッチ
1a スイッチ部分
1a-1 通電部分
1a-2 最接近部分
1-1 第一スイッチ部分
1-2 第二スイッチ部分
10 ケース
11 箱部
11a 端子部
12 蓋部
13 収容空間
14 突出部
15 ベース部
15a 突起部
16 蓋本体
16a 挿通孔
17 台座
18 固定部
19 締結部材
20 作動部
21 回転軸
22 レバー
23 板状部
24 軸受部
30 マイクロ作動軸
31 一端部
33 係合部
50 切替手段
51 可動片
52 スナップ片
53 導通片
60 接点
61 第一固定接点
62 第二固定接点
63 可動接点
70 固定部材
80 端子設置面
81 端子
81a ネジ
82 リブ
83 側壁リブ
90 隔壁
91 突出部分
811 第1端子
812 第2端子
813 コモン端子
X 前後方向
X1 前側
X2 後側
Y 幅方向
Z 軸方向
Z1 上側
Z2 下側