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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161722
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 35/34 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
H01H35/34 B
H01H35/34 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076679
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】今瀬 隆則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 龍介
(72)【発明者】
【氏名】浅田 泰洋
【テーマコード(参考)】
5G056
【Fターム(参考)】
5G056DA01
5G056DB02
5G056DD08
5G056DD43
5G056DG04
(57)【要約】
【課題】本発明は、作動板の傾きを抑えて差圧板で作動板を付勢することができるスイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】スイッチ1は、外力F1を受けると、付勢力F3に抗して回動軸109回りに回動することで外力F1に応じた動作力F2でスイッチ部品の導通状態を切り替える作動板107と、作動板107において回動軸109から離れた被付勢箇所107dを、付勢力F3とは逆方向の調整力F4で付勢することで、作動板107における外力F1に対する動作力F2を調整する差圧板108と、を備え、差圧板108が、作動板107の被付勢箇所107dに接触するとともに、作動板107の幅方向Yについて両持ち状態で回動軸109回りに回動可能に軸支されて調整力F4を付与され、当該調整力F4で被付勢箇所107dを付勢することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ部品と、
所定の回動軸回りに回動可能に設けられ、所定の外力と逆向きの付勢力で付勢された板部材であって、前記外力を受けると、前記付勢力に抗して前記回動軸回りに回動することで前記外力に応じた動作力で前記スイッチ部品の導通状態を切り替える作動板と、
前記作動板において前記回動軸から離れた被付勢箇所を、前記付勢力とは逆方向の調整力で付勢することで、前記作動板における前記外力に対する前記動作力を調整する差圧板と、
を備え、
前記差圧板は、前記作動板の前記被付勢箇所に接触するとともに、前記作動板の幅方向について両持ち状態で前記回動軸回りに回動可能に軸支されて前記調整力を付与され、当該調整力で前記被付勢箇所を付勢することを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記差圧板は、前記被付勢箇所における前記幅方向の中央部に接触することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記差圧板は、前記被付勢箇所に点接触することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記差圧板は、前記作動板の前記被付勢箇所に貫通される、当該被付勢箇所の板厚よりも幅広のスリットが設けられ、当該スリットの内縁の一部を接触内縁として前記被付勢箇所に接触するものであり、
前記接触内縁が、前記スリットの内側に向かって凸の円弧状の縁であって、当該円弧状の前記接触内縁で前記被付勢箇所に点接触することを特徴とする請求項3に記載のスイッチ。
【請求項5】
前記差圧板は、当該差圧板における前記幅方向の中央部に前記調整力が付与されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器の装置等に用いられるスイッチとして、外力を作動板で受けてスイッチ部品に伝達して接点の導通状態を切り替えるスイッチが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1のスイッチには、作動板を付勢することで外力に対する作動板の動作力を調整する差圧板が設けられている。この差圧板は、作動板の片側に配置され、作動板の側縁から枝状に延出した被付勢箇所を付勢する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案登録211236707号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載のスイッチでは、差圧板による作動板の付勢が、作動板の片側に対して行われることとなり、その結果、作動板が傾いた状態となる可能性がある。作動板が傾くと、差圧板によって調整された作動板の動作力が目標の設定値からずれてしまう恐れがあり望ましいものではない。
【0005】
本発明は、作動板の傾きを抑えて差圧板で作動板を付勢することができるスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、スイッチは、スイッチ部品と、所定の回動軸回りに回動可能に設けられ、所定の外力と逆向きの付勢力で付勢された板部材であって、前記外力を受けると、前記付勢力に抗して前記回動軸回りに回動することで前記外力に応じた動作力で前記スイッチ部品の導通状態を切り替える作動板と、前記作動板において前記回動軸から離れた被付勢箇所を、前記付勢力とは逆方向の調整力で付勢することで、前記作動板における前記外力に対する前記動作力を調整する差圧板と、を備え、前記差圧板は、前記作動板の前記被付勢箇所に接触するとともに、前記作動板の幅方向について両持ち状態で前記回動軸回りに回動可能に軸支されて前記調整力を付与され、当該調整力で前記被付勢箇所を付勢することを特徴とする。
【0007】
上記のスイッチによれば、差圧板が、作動板の幅方向について両持ち状態で作動板と同じ回動軸回りに回動可能に軸支され、付与された調整力によって作動板における被付勢箇所を付勢する。作動板の幅方向について差圧板が両持ち状態で調整力を付与されていることから、調整力による差圧板の傾きが抑制され、この差圧板によって付勢される作動板の傾きも抑えられる。つまり、上記のスイッチによれば、作動板の傾きを抑えて差圧板で作動板を付勢することができる。
【0008】
ここで、前記差圧板は、前記被付勢箇所における前記幅方向の中央部に接触することが好適である。
【0009】
この構成によれば、差圧板が被付勢箇所の幅方向の中央部に接触することから、差圧板によって付勢される作動板の傾きを一層抑えることができる。
【0010】
また、前記差圧板は、前記被付勢箇所に点接触することが好適である。
【0011】
この構成によれば、仮に差圧板が調整力の付与によって傾くようなことがあったとしても、被付勢箇所との接触が点接触となっていることから、差圧板の傾きによる作動板への影響を抑えることができる。
【0012】
また、前記差圧板は、前記作動板の前記被付勢箇所に貫通される、当該被付勢箇所の板厚よりも幅広のスリットが設けられ、当該スリットの内縁の一部を接触内縁として前記被付勢箇所に接触するものであり、前記接触内縁が、前記スリットの内側に向かって凸の円弧状の縁であって、当該円弧状の前記接触内縁で前記被付勢箇所に点接触することが更に好適である。
【0013】
この構成によれば、作動板の被付勢箇所に対する差圧板の接触部分をスリットにおける円弧状の接触内縁とすることで、差圧板を作動板に効果的に点接触させることができる。
【0014】
また、前記差圧板は、当該差圧板における前記幅方向の中央部に前記調整力が付与されていることが好適である。
【0015】
この構成によれば、差圧板の中央部への調整力の付与により、差圧板の傾きが更に抑えられるので、この差圧板からの調整力で付勢される作動板の傾きを一層抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、作動板の傾きを抑えて差圧板で作動板を付勢することができるスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係るスイッチを示す図である。
図2図1に示されているスイッチにおける作動板と差圧板の取付け構造に係る分解斜視図である。
図3図1及び図2に示されている作動板と差圧板との係合関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、スイッチの一実施形態を、図1~3に基づいて説明する。
【0019】
図1は、一実施形態に係るスイッチを示す図であり、図2は、図1に示されているスイッチにおける作動板と差圧板の取付け構造に係る分解斜視図である。図1(A)にスイッチ1の側面図が示され、図1(B)にスイッチ1の正面図が示されている。尚、図1では、スイッチ1の内部構造が見えるように、最外側のカバーが取り外された状態でスイッチ1が示されている。図3は、図1及び図2に示されている作動板と差圧板との係合関係を説明するための説明図である。
【0020】
本実施形態に係るスイッチ1は、例えば冷凍サイクルの圧縮機において冷媒の圧力を検出する圧力スイッチとして利用されるものである。スイッチ1は、全体として矩形ブロック状の外観を有し、不図示のカバーの内側に、本体フレーム101、補強板102、レンジスプリング受板103、差圧スプリング受板104、レンジスプリング105、差圧スプリング106、を備えている。更に、スイッチ1は、作動板107、差圧板108、回動軸109、エレメント110、及びスイッチ部品150、を備えている。また、このスイッチ1では、本体フレーム101の内側において、スイッチ部品150を2つ並べて収容することでデュアルタイプのマイクロスイッチ160を構成している。このため、スイッチ部品150の導通状態を切り替える外力F1の導入部としてのエレメント110も、2つのスイッチ部品150に対応する位置に設けられている。
【0021】
ここで、本実施形態では、2つのスイッチ部品150のうち、図1(B)の正面図の左側に示されている一のスイッチ部品150について、エレメント110からの外力F1に応じて導通状態を切り替える構造として、図2及び図3に示された構造が設けられている。以下、本実施形態のスイッチ1について、この一のスイッチ部品150に対する導通状態の切換構造に注目して説明を行う。尚、図1図3では、レンジスプリング105及び差圧スプリング106の伸縮方向を矢印Zで示し、「上下方向Z」と記す。そして、上下方向Z一方側を「上側Z1」、他方側を「下側Z2」と記す。また、水平方向を矢印X、矢印Yで示し、それぞれ「前後方向X」、「幅方向Y」と記す。そして、前後方向Xの一方側を「前側X1」、他方側を「後側X2」と記す。これはあくまでも説明の便宜のためであり、必ずしもスイッチ1の実際の使用状態における方向と一致するとは限らず、スイッチ1の実際の使用状態における各方向を限定するものではない。
【0022】
マイクロスイッチ160は、概ね矩形ブロック状のスイッチ素子であり、本体フレーム101の内部に、スイッチ部品150を幅方向Yに2つ並べて収容している。そのうち、図1(B)の正面図の左側に示されている一のスイッチ部品150には、図1(A)に示すようにエレメント110からの外力F1に応じた動作力F2を作動板107から受けるマイクロ作動板151が設けられている。このマイクロ作動板151は、一端を回動軸端151a、他端を可動端151bとした帯板状の部材であり、可動端151bに対する押圧及び押圧解除によって内部のスイッチ機構の導通状態が切り替えられる。
【0023】
エレメント110は、継手管111を介して導入される圧力流体の圧力変化に応じて内部のベローズを上下方向Zに変形させ、この変形を外力F1として作動板107に加える素子である。
【0024】
本体フレーム101は、矩形状の金属板を側面視でC字状に折曲げ形成されたフレーム部材であり、その内側に、2つのスイッチ部品150が幅方向Yに並べられて配置されている。また、下側Z2の側壁101aにおける、各スイッチ部品150に対応する位置にエレメント110が1つずつ、外側へと継手管111を突出させた状態で取り付けられている。
【0025】
以下、本体フレーム101内における幅方向Yについて図1(B)の左側の一のスイッチ部品150に対する導通状態の切換構造について説明を行う。
【0026】
図1(A)に示すように補強板102は、本体フレーム101内において、幅方向Yについて一のスイッチ部品150の隣に嵌め込まれる、矩形状の金属板を側面視でC字状に折曲げ形成されたフレーム部材である。この補強板102の内側に、レンジスプリング受板103、差圧スプリング受板104、レンジスプリング105、差圧スプリング106、作動板107、差圧板108、及び回動軸109、が配置されている。
【0027】
レンジスプリング受板103は、本体フレーム101内において、幅方向Yについてスイッチ部品150の隣に配置され、レンジスプリング105における上側Z1の端部に当接して保持する金属板である。レンジスプリング受板103は、本体フレーム101の上側Z1の側壁101bからレンジスプリング105の内側を上下方向Zに垂下するレンジ調整ボルト103aに上下方向Zの位置を調整可能に螺合している。このレンジスプリング受板103の位置を調整することで、圧縮ばねであるレンジスプリング105の圧縮量が調整される。これにより、このレンジスプリング105による作動板107に対する付勢力F3が調整され、その結果、エレメント110からの外力F1に応じた作動板107によるスイッチ部品150の動作力F2が調整される。
【0028】
差圧スプリング受板104は、本体フレーム101内において、幅方向Yについてスイッチ部品150の隣で、前後方向Xについて差圧スプリング受板104の前側X1に配置される金属板である。差圧スプリング受板104は、差圧スプリング106における上側Z1の端部に連結されて当該端部を保持する。差圧スプリング受板104は、本体フレーム101の上側Z1の側壁101bから差圧スプリング106の内側を上下方向Zに垂下する差圧調整ボルト104aに上下方向Zの位置を調整可能に螺合している。この差圧スプリング受板104の位置を調整することで、引張りばねである差圧スプリング106の伸長量が調整される。これにより、この差圧スプリング106によって上下方向Zに付勢される差圧板108の、作動板107の動作力F2に対する調整力F4が増減される。
【0029】
レンジスプリング105は、レンジ調整ボルト103aが内部と通った状態でレンジスプリング受板103と作動板107との間に介装された圧縮ばねである。レンジスプリング105は、レンジスプリング受板103によって調整される付勢力F3で、エレメント110からの外力F1とは逆向きに作動板107を付勢する。
【0030】
差圧スプリング106は、差圧調整ボルト104aが内部と通った状態で一端部が差圧スプリング受板104に連結され、他端部が差圧板108に連結された引張りばねである。差圧スプリング106は、差圧スプリング受板104によって調整された伸長量に応じた付勢力を、エレメント110からの外力F1と同方向に差圧板108を引き上げることで、作動板107に対する調整力F4として付与する。
【0031】
作動板107は、エレメント110から外力F1を受ける板部材である。作動板107は、この外力F1に応じてスイッチ部品150におけるマイクロ作動板151の可動端151bを押圧したり、その押圧を解除したりすることでスイッチ部品150のスイッチ機構の導通状態を切り替える部材となっている。作動板107は、図2に示されているように、エレメント110から外力F1を受ける作動受板107aと、マイクロ作動板151を押圧する押圧アーム107bと、が幅方向Yからの側面視でL字型をなすように連結されて形成されている。また、作動受板107aにおける押圧アーム107bとの連結端近傍には、回動軸109が幅方向Yに貫通する軸受部107cが、一対設けられている。作動板107は、これら一対の軸受部107cにおいて補強板102に、回動軸109回りに回動可能に軸支されて設けられている。そして、作動受板107aがレンジスプリング105によって外力F1と逆向きの付勢力F3で付勢される。作動板107は、作動受板107aでエレメント110からの外力F1と差圧板108からの調整力F4の合計がレンジスプリング105からの付勢力F3よりも大きいと、この付勢力F3に抗して回動軸109回りに回動する。そして、この回動により、押圧アーム107bが、マイクロ作動板151の可動端151bを押圧する。逆に、外力F1と調整力F4の合計がレンジスプリング105からの付勢力F3よりも小さいと、作動板107が付勢力F3によって逆方向に回動し、押圧アーム107bによるマイクロ作動板151の押圧が解除される。エレメント110からの外力F1に応じたこのような回動により、作動板107はスイッチ部品150の導通状態を切り替える。
【0032】
差圧板108は、作動板107の作動受板107aにおいて回動軸109から離れた被付勢箇所107dを、レンジスプリング105からの付勢力F3とは逆方向の調整力F4で付勢する。この調整力F4は、上述のように、差圧スプリング106の引き上げによって付与される。また、作動板107における被付勢箇所107dは、作動受板107aにおける回動軸109側と反対側の先端部となっている。差圧板108は、差圧スプリング106から付与される調整力F4で被付勢箇所107dを引き上げることで、エレメント110からの外力F1に対する作動板107の動作力F2を調整する。即ち、マイクロ作動板151に対する作動板107の動作力F2は、エレメント110からの外力F1と差圧板108による調整力F4との合計と、レンジスプリング105からの付勢力F3と、の差分に調整される。
【0033】
この差圧板108は、図2に斜視図で示されているように、作動板107の被付勢箇所107dに接触して被付勢箇所107dを付勢する付勢部分108aと、一対の回動アーム108bと、を備えている。一対の回動アーム108bは、付勢部分108aの幅方向Yの両端部それぞれから延出した腕部分であって、各延出端部108cが回動軸109によって貫通されることで、補強板102に、両持ち状態で回動軸109回りに回動可能に軸支されている。
【0034】
回動軸109は、補強板102に設けられた一対の軸受フランジ102a、差圧板108の一対の回動アーム108b、及び作動板107の一対の軸受部107c、をこの記載順で幅方向Yに貫通する軸部材である。この回動軸109により、作動板107及び差圧板108は同軸状態で補強板102に軸支される。
【0035】
ここで、本実施形態では、作動板107における被付勢箇所107dは、作動受板107aの先端側で、幅方向Yの中央部が前側X1に突出した舌片状の突出端部となっている。差圧板108は、この被付勢箇所107dに、図3に示すように点接触する。差圧板108における付勢部分108aは、一対の回動アーム108bにおける延出端部108cとは反対側を幅方向Yに繋ぐブリッジ部108dから矩形板状の付勢壁部108eが下側Z2に垂下したものとなっている。さらに、付勢部分108aでは、ブリッジ部108dにおける幅方向Yの中央部から上側Z1へと三角板状の被牽引部108fが延出している。差圧板108は、このような付勢部分108aと、一対の回動アーム108bが、展開形状の金属板に対する折曲げ加工によって形成されている。
【0036】
また、差圧板108の付勢部分108aにおける付勢壁部108eには、作動板107の被付勢箇所107dの板厚よりも幅広のスリット108e-1が設けられている。作動板107の被付勢箇所107dはこのスリット108e-1を貫通している。そして、このスリット108e-1の内縁の一部である下側Z2の内縁を接触内縁108e-2として被付勢箇所107dに接触する。ここで、接触内縁108e-2は、スリット108eの内側に向かって凸の円弧状の縁となっている。差圧板108は、この円弧状の接触内縁108e-2における接触点P1で被付勢箇所107dに点接触する。
【0037】
そして、付勢部分108aのブリッジ部108dにおける幅方向Yの中央部から延出した被牽引部108fに設けられた係止孔108f-1に、差圧スプリング106の下端フック106a(図1)が引っ掛けられて調整力F4が付与される。
【0038】
以上に説明した実施形態のスイッチ1によれば、差圧板108が、作動板107の幅方向Yについて両持ち状態で作動板107と同じ回動軸109回りに回動可能に軸支されている。そして、差圧板108は、付与された調整力F4によって作動板107における被付勢箇所107dを付勢する。この差圧板108が両持ち状態で調整力F4を付与されていることから、調整力F4による差圧板108の傾きが抑制され、この差圧板108によって付勢される作動板107の傾きも抑えられる。つまり、上記のスイッチ1によれば、作動板107の傾きを抑えて差圧板108で作動板107を付勢することができる。
【0039】
ここで、本実施形態では、差圧板108は、作動板107の被付勢箇所107dにおける幅方向Yの中央部に接触する。この構成によれば、差圧板108が被付勢箇所107dの幅方向Yの中央部に接触することから、差圧板108によって付勢される作動板107の傾きを一層抑えることができる。
【0040】
また、本実施形態では、差圧板108は、作動板107の被付勢箇所107dに点接触する。この構成によれば、仮に差圧板108が調整力F4の付与によって傾くようなことがあったとしても、被付勢箇所107dとの接触が点接触となっていることから、差圧板108の傾きによる作動板107への影響を抑えることができる。
【0041】
また、本実施形態では、差圧板108は、作動板107の被付勢箇所107dに貫通されるスリット108e-1が設けられ、その内縁の一部を接触内縁108e-2として被付勢箇所107dに接触する。この接触内縁108e-2は、スリット108e-1の内側に向かって凸の円弧状の縁であって、差圧板108は、この円弧状の接触内縁108e-2で被付勢箇所107dに点接触する。この構成によれば、作動板107の被付勢箇所107dに対する差圧板108の接触部分をスリット108e-1における円弧状の接触内縁108e-2とすることで、差圧板108を作動板107に効果的に点接触させることができる。
【0042】
また、本実施形態では、差圧板108は、当該差圧板108における幅方向Yの中央部に調整力F4が付与されている。この構成によれば、差圧板108の中央部への調整力F4の付与により、差圧板108の傾きが更に抑えられるので、この差圧板108からの調整力F4で付勢される作動板107の傾きを一層抑えることができる。
【0043】
尚、以上に説明した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これらに限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によっても尚本発明のスイッチの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0044】
例えば、上述の実施形態では、スイッチの一例として、圧力スイッチとして利用されるデュアルタイプのマイクロスイッチ160を有するスイッチ1が例示されている。また、このスイッチ1では、圧力流体の圧力変化がエレメント110内のベローズを介して作動板107に伝えられることとなっている。しかしながら、スイッチは、これに限るものではなく、何らかの外力を作動板で受け、その外力に応じた動作力でスイッチ部品の導通状態を切り替えるものであれば、圧力スイッチ以外の各種スイッチとして利用されるものであってもよい。また、圧力スイッチとして利用する場合であっても、圧力変化の作動板への伝達は、ベローズ以外の例えばダイヤフラム等といった部材を介して行われることとしてもよい。また、スイッチタイプについても、デュアルタイプに限るものではなく、スイッチ部品を1つだけ有するシングルタイプとしてもよい。
【0045】
また、上述の実施形態では、スイッチ部品の一例として、マイクロ作動板151を介して導通状態が切り替えられる一のスイッチ部品150が例示されている。しかしながら、スイッチ部品は、これに限るものではなく、その具体的なスイッチ態様を問うものではない。
【0046】
また、上述の実施形態では、差圧板の一例として、付勢部分108aと一対の回動アーム108bを備えた折曲げ加工品としての差圧板108が例示されている。しかしながら、差圧板は、これに限るものではなく、両持ち状態で軸支されるものであれば、その具体的な形状等を問うものではない。
【0047】
また、上述の実施形態では、差圧板の一例として、作動板107の被付勢箇所107dにおける幅方向Yの中央部に接触する差圧板108が例示されている。しかしながら、差圧板は、これに限るものではなく、幅方向について作動板における中央部からずれた位置に接触するものであってもよい。ただし、差圧板108が作動板107の幅方向Yの中央部に接触することで、作動板107の傾きを一層抑えることができる点は上述した通りである。
【0048】
また、上述の実施形態では、差圧板の一例として、作動板107の被付勢箇所107dに点接触する差圧板108が例示されている。しかしながら、差圧板は、これに限るものではなく、作動板に線接触あるいは面接触するものであってもよい。ただし、差圧板108を作動板107に点接触させることで、仮に差圧板108が傾くようなことがあったとしても、作動板107への影響を抑えることができる点は上述した通りである。
【0049】
また、上述の実施形態では、作動板に対する差圧板の点接触の一例として、差圧板108に設けられたスリット108e-1の円弧状の接触内縁108e-2で作動板107の被付勢箇所107dに点接触する形態が例示されている。しかしながら、点接触の形態は、これに限るものではなく、その具体的な接触形態を問うものではない。ただし、スリット108e-1の円弧状の接触内縁108e-2で作動板107に点接触する形態によれば、差圧板108を作動板107に効果的に点接触させることができる点は上述した通りである。
【0050】
また、上述の実施形態では、差圧板の一例として、幅方向Yの中央部に調整力F4が付与される差圧板108が例示されている。しかしながら、差圧板は、これに限るものではなく、幅方向について中央部からずれた位置に調整力が付与されるものであってもよい。ただし、幅方向Yの中央部に調整力F4が付与されることで、作動板107の傾きを一層抑えることができる点は上述した通りである。
【符号の説明】
【0051】
1 スイッチ
101 本体フレーム
101a,101b 側壁
102 補強板
103 レンジスプリング受板
103a レンジ調整ボルト
104 差圧スプリング受板
104a 差圧調整ボルト
105 レンジスプリング
106 差圧スプリング
106a 下端フック
107 作動板
107a 作動受板
107b 押圧アーム
107c 軸受部
107d 被付勢箇所
108 差圧板
108a 付勢部分
108b 回動アーム
108c 延出端部
108d ブリッジ部
108e 付勢壁部
108e-1 スリット
108e-2 接触内縁
108f 被牽引部
108f-1 係止孔
109 回動軸
110 エレメント
111 継手管
150 スイッチ部品
151 マイクロ作動板
151a 回動軸端
151b 可動端
160 マイクロスイッチ
F1 外力
F2 動作力
F3 付勢力
F4 調整力
P1 接触点
X 前後方向
X1 前側
X2 後側
Y 幅方向
Z 上下方向
Z1 上側
Z2 下側
図1
図2
図3