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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161727
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】折り畳みブース
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
E04B2/74 561H
E04B2/74 561L
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076693
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】権藤 隆範
(72)【発明者】
【氏名】片庭 孝
(72)【発明者】
【氏名】田垣内 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】小高 菜穂子
(72)【発明者】
【氏名】大上 亜弓
(72)【発明者】
【氏名】石田 陽介
(57)【要約】      (修正有)
【課題】折り畳みのしやすさと移動の容易性とを向上した折り畳みブースを提供する。
【解決手段】折り畳みブース11は、平板状をなした正面壁12と、平板状をなして正面壁12と対向した背面壁13と、正面壁12と背面壁13とを接続する頂壁14と、正面壁12と背面壁13とを接続する一対の側面壁15と、正面壁12を支持する一対の第1キャスタ16と、背面壁を支持する一対の第2キャスタ17と、折り畳みの前後で頂壁14の第1壁部44を略水平な状態に保持する保持機構18とを有し、伸張した第1位置と畳まれた第2位置との間で回動可能な頂壁と、第1壁部に設けられた第1枢軸と、第1枢軸から略水平方向に離間して第1壁部に設けられた第2枢軸と、第1枢軸が貫通された第1端部と、第2壁部と接続される第2端部と、第1枢軸を中心に回転可能な第1アームと、第2枢軸が貫通された第3端部と、第3壁部と接続される第4端部とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1キャスタに支持された正面壁と、
第2キャスタに支持されるとともに前記正面壁と対向する背面壁と、
前記正面壁と前記背面壁とを連結する頂壁であって、中央部に位置する第1壁部と、前記正面壁と前記第1壁部とを連結する第2壁部と、前記背面壁と前記第1壁部とを連結する第3壁部と、を有し、伸張した第1位置と、前記第2壁部と前記第3壁部とが対向するように折り畳まれた第2位置と、の間で回動可能な頂壁と、
前記第1壁部に設けられた第1枢軸と、
前記第1枢軸から略水平方向に離間して前記第1壁部に設けられた第2枢軸と、
前記第1枢軸が貫通された第1端部と、前記第2壁部と接続される第2端部と、を有するとともに前記第1枢軸を中心に回転可能な第1アームと、
前記第2枢軸が貫通された第3端部と、前記第3壁部と接続される第4端部と、を有するとともに前記第2枢軸を中心に回転可能な第2アームと、
前記第1端部と一体的に設けられる第1ギア部と、
前記第3端部と一体的に設けられるとともに前記第1ギア部と噛み合う第2ギア部と、
を備える折り畳みブース。
【請求項2】
前記第1枢軸および前記第2枢軸は、前記第2位置にある前記頂壁の前記第2壁部と前記第3壁部との間に挟まれる位置に設けられる請求項1に記載の折り畳みブース。
【請求項3】
前記第2端部に設けられた第1ピンと、
前記第2壁部に設けられ前記第1ピンが通される第1長孔と、
前記第4端部に設けられた第2ピンと、
前記第3壁部に設けられ前記第2ピンが通される第2長孔と、
を備える請求項1に記載の折り畳みブース。
【請求項4】
前記第1アームおよび前記第2アームのそれぞれは、頂壁から遠ざかる方向に凸になるように湾曲している請求項1に記載の折り畳みブース。
【請求項5】
前記正面壁および前記背面壁の少なくとも一方と、前記頂壁と、の間に介在されるアクチュエータを備え、前記アクチュエータの駆動によって前記頂壁を前記第1位置と、前記第2位置と、の間で回動可能である請求項1に記載の折り畳みブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳むことが可能な折り畳みブースに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、人が入って作業等をするためのブースが知られている(例えば、特許文献1参照)。このブースは、隔壁の一部に通音領域Rと、通温領域Rの開放割合を調整可能な遮蔽カバーと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-200628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような据え付けタイプのブースでは、一度設置すると、撤去が容易ではない。仮に撤去しようとすると、その撤去のために時間と人手を要する問題がある。一方、このような既存のブースに対して、ニーズの変化に応じて、簡単に折り畳んでコンパクトに保管したり、或いは他の場所に簡単に移設したりしたいというニーズがあった。
従って、本発明の目的は、折り畳みのしやすさと折り畳み時の動作の安定性とを向上した折り畳みブースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の折り畳みブースは、
第1キャスタに支持された正面壁と、
第2キャスタに支持されるとともに前記正面壁と対向する背面壁と、
前記正面壁と前記背面壁とを連結する頂壁であって、中央部に位置する第1壁部と、前記正面壁と前記第1壁部とを連結する第2壁部と、前記背面壁と前記第1壁部とを連結する第3壁部と、を有し、伸張した第1位置と、前記第2壁部と前記第3壁部とが対向するように折り畳まれた第2位置と、の間で回動可能な頂壁と、
前記第1壁部に設けられた第1枢軸と、
前記第1枢軸から略水平方向に離間して前記第1壁部に設けられた第2枢軸と、
前記第1枢軸が貫通された第1端部と、前記第2壁部と接続される第2端部と、を有するとともに前記第1枢軸を中心に回転可能な第1アームと、
前記第2枢軸が貫通された第3端部と、前記第3壁部と接続される第4端部と、を有するとともに前記第2枢軸を中心に回転可能な第2アームと、
前記第1端部と一体的に設けられる第1ギア部と、
前記第3端部と一体的に設けられるとともに前記第1ギア部と噛み合う第2ギア部と、
を備える。
【0006】
また、本発明(2)の折り畳みブースは、(1)記載の折り畳みブースであって、
前記第1枢軸および前記第2枢軸は、前記第2位置にある前記頂壁の前記第2壁部と前記第3壁部との間に挟まれる位置に設けられる。
【0007】
また、本発明(3)の折り畳みブースは、(1)記載の折り畳みブースであって、
前記第2端部に設けられた第1ピンと、
前記第2壁部に設けられ前記第1ピンが通される第1長孔と、
前記第4端部に設けられた第2ピンと、
前記第3壁部に設けられ前記第2ピンが通される第2長孔と、
を備える。
【0008】
また、本発明(4)の折り畳みブースは、(1)記載の折り畳みブースであって、
前記第1アームおよび前記第2アームのそれぞれは、頂壁から遠ざかる方向に凸になるように湾曲している。
【0009】
また、本発明(5)の折り畳みブースは、(1)に記載の折り畳みブースであって、
前記正面壁および前記背面壁の少なくとも一方と、前記頂壁と、の間に介在されるアクチュエータを備え、前記アクチュエータの駆動によって前記頂壁を前記第1位置と、前記第2位置と、の間で回動可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、折り畳みのしやすさと移動の容易性とを向上した折り畳みブースを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の折り畳みブースを示す斜視図である。
図2図1に示す折り畳みブースの正面図である。
図3図1に示す折り畳みブースの背面図である。
図4図1に示す折り畳みブースの右側面図である。
図5図1に示す折り畳みブースの左側面図である。
図6図1に示す折り畳みブースの平面図である。
図7図1に示す折り畳みブースの底面図である。
図8図6に示す折り畳みブースの頂壁の連結する部分(第1ヒンジ部)を拡大して示す断面図であり、頂壁が第1位置にある状態を示す断面図である。
図9図8に示す第1ヒンジ部を示す断面図であり、頂壁が第2位置にある状態を示す断面図である。
図10図1に示す折り畳みブースの緩衝部を示す部分拡大図である。
図11図1に示す折り畳みブースの保持機構を拡大して示す斜視図である。
図12】第1フレームを通る面で折り畳みブースを切断して、図1に示す折り畳みブースの保持機構を拡大して示す断面図である。
図13】折り畳みブースの頂壁が第1位置から第2位置に移動する途中の状態の図12に示す保持機構を示した断面図である。
図14】折り畳みブースの頂壁が第2位置に移動完了した状態の図12に示す保持機構を示した断面図である。
図15図1に示す折り畳みブースの頂壁が第1位置から第2位置に移動する途中の状態を示した斜視図である。
図16図1に示す折り畳みブースの頂壁が第2位置に移動完了した状態を示した斜視図である。
図17図16に示す折り畳みブースの縦方向に沿った断面図である。
図18図16に示す折り畳みブースの横方向に沿った断面図である。
図19】第2実施形態の折り畳みブースを示し、第1フレームを通る面で折り畳みブースを切断して、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面を参照して、本発明の折り畳みブースの実施形態について説明する。本発明の折り畳みブースは、主としてオフィスなどの屋内に設けられ、この内部に利用者が入ってWeb会議などを行うことができるものである。
[第1実施形態]
【0013】
図面を参照して、本発明の折り畳みブース11について説明する。本発明の折り畳みブース11は、内部に人が入れるスペースを有する中空の箱状をなしている。図1図7に示すように、第1実施形態の折り畳みブース11は、平板状をなした正面壁12と、平板状をなして正面壁12と対向した背面壁13と、正面壁12と背面壁13とを接続する頂壁14と、正面壁12と背面壁13とを接続する一対の側面壁15と、正面壁12を支持する一対の第1キャスタ16と、背面壁13を支持する一対の第2キャスタ17と、折り畳みの前後で頂壁14の後述する第1壁部44を略水平な状態に保持する保持機構18と、を有する。正面壁12、背面壁13、頂壁14、および一対の側面壁15のそれぞれは、例えば、アルミニウム合金製であり、アルミニウム合金の押出材等で形成されている。一対の第1キャスタ16および一対の第2キャスタ17は、ストッパを作動させて回転不能な状態と、回転可能な状態と、を切り替えて使用することができる。以下では、図1に示すように、正面壁12の幅方向Wとし、側面壁15の延びている方向を前後方向FRとし、高さ方向(鉛直方向、上下方向)をHとして説明する。
【0014】
図2に示すように、正面壁12は、ドア21と、ドア21の横並び位置に設けられた覗き窓10と、その外面であってドア21を間に挟んだ左右の両側(図1の折り畳みブース11の幅方向Wの両端部)に一対に設けられた手掛け部22と、を有する。手掛け部22は、折り畳みブース11を開閉したり、移動する際に作業者が手を掛ける部分である。
【0015】
ドア21は、例えば、アルミニウム合金で形成された枠体24と、枠体24の内側に嵌め込まれたガラス板25と、ノブ(ドアレバー)26と、を有する。ドア21は開閉することができ、利用者が折り畳みブース11内に出入りすることができる。
【0016】
図3に示すように、背面壁13は、平坦に形成されている。背面壁13は、電源、給気用の孔等を有する。背面壁13は、その外面において、左右の両側(ブースの幅方向Wの両端部)に一対の手掛け部22を有する。手掛け部22の構造および配置は、正面壁12の手掛け部22の構造および配置と同様である。本実施形態では、正面壁12および背面壁13に手掛け部22を設け、側面壁15に手掛け部22等を設けていない。このため、2台の折り畳ブース11が隣り合わせになるように側面壁15同士を近づけた状態でも、手掛け部22同士が干渉することがなく、折り畳みブース11同士を横並びで集約的に配置することができる。これによって、限られたオフィス内のスペースを有効に活用することができる。
【0017】
図2図3に示すように、背面壁13は、その内面に、上下方向の中央部に横方向に帯状に設けられた操作部27と、操作部27の下側位置で回動可能に取り付けられたテーブル28と、を有する。折り畳みブース11は、さらに、操作部27よりも上側位置で背面壁13を覆う機能パネル32(第2吸音パネル32)を備える。背面壁13は、操作部27よりも下側位置では、第2吸音パネル32で覆われておらず、この部分で十分な熱伝導性が確保されている。テーブル28は、水平方向に延びた使用状態と、鉛直方向に折り畳まれた折り畳み状態と、の間で回動できる。なお、本発明において、機能パネルは、吸音パネルに限られず、ブース11に何等かの機能を追加できるものであればよく、その機能は、吸音、断熱、耐火、内部の明るさ向上、湿度(吸湿)、装飾(木目調等)、消臭、抗菌、匂い付き等の公知の様々な機能を備えたパネルや、正面壁12、背面壁13、側面壁15、頂壁14と同質の素材で補強する等の目的で備えるものでも良く、使用用途に応じて公知のパネル素材を使用することができる。
【0018】
第2吸音パネル32は、多孔質(スポンジ状)の内部構造を有する一般的な吸音パネルで構成され、背面壁13に対して接着又は磁石によって着脱可能に固定されている。磁石を用いて第2吸音パネル32を固定する場合には、例えば、背面壁13に鉄板(スチール板)およびマグネット板のいずれか一方を固定し、第2吸音パネル32に鉄板(スチール板)およびマグネット板のいずれか他方を固定することで実現できる。
【0019】
操作部27には、電源となるコンセント33や、照明をオンオフするスイッチ35、社内LAN等に接続するためのLANケーブルを差し込める差し込み口36、およびブース外から空気を取り入れるための給気孔37を有する。
【0020】
図6図7に示すように、折り畳みブース11は、さらに、ハンドル41と、照明34と、換気扇42と、消火設備43と、を有する。ハンドル41、照明34、および換気扇42は、頂壁14の後述する第1壁部44の内面に集約的に設けられている。図1に示すように、消火設備43および消火設備43を取り囲む目隠し壁45は、第1壁部44の外面(上側)に設けられている。
【0021】
頂壁14は、図1に示す伸張した第1位置P1と、図14等に示す正面壁12および背面壁13の間の位置で内側に折り畳まれた第2位置P2と、の間で回動可能である。図11に示すように、頂壁14は、前後方向FRにおける中央部に位置する第1壁部44と、正面壁12と第1壁部44とを接続する第2壁部46と、背面壁13と第1壁部44とを接続する第3壁部47と、を有する。第2位置P2において、頂壁14は、第2壁部46と第3壁部47とが対向するように折り畳まれることが可能である。図10に示すように、折り畳みブース11は、さらに、頂壁14の少なくとも一部を覆う第1機能パネル51(第1吸音パネル51)を有する。ここで、機能パネルの意味は、上記と同様である。
【0022】
第1吸音パネル51は、第2壁部46の少なくとも一部を覆う第1吸音パネル片51Aと、第3壁部47の少なくとも一部を覆う第2吸音パネル片51Bと、を有する。第1吸音パネル片51Aおよび第2吸音パネル片51Bの構造は、第2吸音パネル32と同様である。また、第2壁部46に対する第1吸音パネル片51Aの固定方法および第3壁部47に対する第2吸音パネル片51Bの固定方法は、背面壁13に対する第2吸音パネル32の固定方法と同様で接着又は磁石によって着脱可能に固定されている。
【0023】
図11図12に示すように、頂壁14は、複数の第1ヒンジ部52と、複数の第2ヒンジ部53と、を有する。第1ヒンジ部52の1つは、第1壁部44と第2壁部46とを互いに回動可能に連結している。第1ヒンジ部52の他の1つは、第1壁部44と第3壁部47とを互いに回動可能に連結している。第2ヒンジ部53の1つは、第2壁部46と正面壁12とを互いに回動可能に連結している。第2ヒンジ部53の他の1つは、第3壁部47と背面壁13とを互いに回動可能に連結している。第1ヒンジ部52および第2ヒンジ部53のそれぞれは、ギア付きヒンジで構成されている。第1ヒンジ部52および第2ヒンジ部53は、同一の構成を有するため、以下では第1ヒンジ部52のみを説明する。
【0024】
図8に示すように、第1ヒンジ部52のそれぞれは、第1ギア54と、第1ギア54に取り付けられた第1取付部55と、第1ギア54を回転可能に支持する第1軸部56と、第1ギア54に噛み合う第2ギア57と、第2ギア57に取り付けられた第2取付部58と、第2ギア57を回転可能に支持する第2軸部61と、第1ギア54と第2ギア57を覆うカバー62と、を有する。カバー62は、断面C字状(箱状)に形成されており、第1軸部56および第2軸部61と一体的に設けられる。第1取付部55は、第1壁部44に固定されている。第2取付部58は、第2壁部46(第3壁部47)に固定されている。一方、第2ヒンジ部53の第1取付部55は、第2壁部46(第3壁部47)に固定され、第2ヒンジ部53の第2取付部58は、正面壁12(背面壁13)に固定される。第1ヒンジ部52の各部材は、例えば、アルミニウム合金の押出材で構成されている。
【0025】
このように、第1ヒンジ部52および第2ヒンジ部53をギア付きヒンジで構成することにより、第1取付部55および第2取付部58の折り畳み(それらの回動角度)が同期してなされることとなる。これによって、頂壁14の折り畳み時に頂壁14の形状が不安定化することを防止すると共に、折り畳みブース11全体の左右、前後及び頂壁14の動作形状が終始安定するので、折り畳みブース11の開閉をスムーズに行うことができる。なお、本発明において、使用するヒンジはギア付きにヒンジに限られず、本実施形態では、後述する保持機構18によって頂壁14の折り畳みをバランスよく安定的に行うことができるために、このようにギアを内蔵する第1ヒンジ部52および第2ヒンジ部53に代えて、ギアを用いない通常のヒンジを用いてもよく、このようなヒンジを用いることにより、ブース全体の製造の簡易化が図られるとともにコストダウンを図ることもできる。
【0026】
図10に示すように、折り畳みブース11は、さらに、正面壁12と第2壁部46との間に介在された第1緩衝部63と、背面壁13と第3壁部47との間に介在された第2緩衝部64と、を有する。第1緩衝部63および第2緩衝部64のそれぞれは、一般的なオイルダンパーで構成される。第1緩衝部63は、折り畳みブース11を折り畳む際に、正面壁12に対して第2壁部46の付勢を抑制することができ、第2壁部46が勢いよく近づくことを防止できる。第2緩衝部64は、折り畳みブース11を折り畳む際に、背面壁13に対して第3壁部47の付勢を抑制することができ、第3壁部47が勢いよく近づくことを防止できる。
【0027】
側面壁15同士は、互いに同一の構成を有する。このため、ここでは、一対の側面壁15の一方についてのみ説明する。側面壁15は、図1に示すように伸張した第3位置P3と、図18に示すように内側に折り畳まれた第4位置P4と、の間で回動可能である。図1に示すように、側面壁15は、上下方向に細長く延びて正面壁12又は背面壁13に対して固定的に設けられた平板状の枠部65と、第1パネル66と、第2パネル67と、第1パネル66と第2パネル67とを互いに回動可能に連結する第3ヒンジ部68と、枠部65に対して第1パネル66および第2パネル67のいずれか一方を回動可能に連結する第4ヒンジ部71と、上部に設けられた開口部72と、開口部72を塞ぐように着脱可能に設けられた第3パネル73と、を有する。第3パネル73は、平板状に構成され頂壁14を支持し、頂壁14を定位置に保持でき、消火設備43等の自重で下方に落ち込むことを阻止するストッパの役割を兼ねることができる。
【0028】
図10に示すように、折り畳みブース11は、第1パネル66の上側略半分および第2パネル67の上側略半分を覆う第3機能パネル74(第3吸音パネル74)を有する。側面壁15は、下側位置では、第3吸音パネル74で覆われておらず、この部分でアルミ合金の性質を活かした十分な熱伝導性が確保されている。機能パネルの意味は、上記と同様である。
【0029】
第3吸音パネル74は、第1パネル66に対応する第1部分74Aと、第2パネル67に対応する第2部分74Bと、に2分割されている。第1部分74Aは、第1パネル66に対して、第1吸音パネル51と同様の方式で固定されている。第2部分74Bは、第2パネル67に対して、第1吸音パネル51と同様の方式で固定されている。
【0030】
第3ヒンジ部68および第4ヒンジ部71のそれぞれは、ギア付きヒンジで構成され、第1ヒンジ部52と同一の構成を有する。すなわち、第3ヒンジ部68および第4ヒンジ部71のギアは、歯数および直径において、第1ヒンジ部52のギアと同一である。このため、同一の名称を用いて説明する。第3ヒンジ部68において、第1取付部55は、第1パネル66に固定されている。第3ヒンジ部68において、第2取付部58は、第2パネル67に固定されている。一方、第4ヒンジ部71において、第1取付部55は枠部65に固定されている。第4ヒンジ部71において、第2取付部58は、第1パネル66又は第2パネル67に固定されている。
【0031】
このように、一対の側面壁15のそれぞれに設けられた第3ヒンジ部68および第4ヒンジ部71をギア付きヒンジで構成することにより、一対の側面壁15の折り畳み(回動角度)が同期してなされることとなる。また、この一対の側面壁15の折り畳み(それらの回動角度)は、頂壁14の第1~第3壁部47の折り畳み(それらの回動角度)とも同期してなされる。これによって、側面壁15の折り畳み時に側面壁15の形状が不規則になって不安定化することを防止する。従って、折り畳みブース11全体の左右、前後及び頂壁14の動作形状が終始安定するので、折り畳みブース11の開閉を更にスムーズに行うことができる。なお、本実施形態では、保持機構18によって頂壁14の折り畳みを安定的に行うことができるために、側面壁15の折り畳みも安定し、このようにギアを内蔵する第3ヒンジ部68および第4ヒンジ部71に代えて、ギアを用いない通常のヒンジを用いてコストダウンを図ることもできる。
【0032】
図1に示すように、開口部72は、矩形の貫通孔として形成されており、側面壁15の高さの約1/4の高さを占める高さで形成されている。第3パネル73は、矩形板状のパネルで構成されている。図10に示すように、折り畳みブース11は、第3パネル73に固定された第4吸音パネル76を有する。側面壁15は、さらに、第3パネル73を頂壁14に固定するための固定部材を有する。本実施形態において、固定部材は、ねじで構成されている。なお、固定部材の構成は第3パネル73を固定するものであればこれに限られるものではない。固定部材は、スイッチを押下することで、軸部が突出したり後退して元に戻ったり可能な部品(プッシュラッチ)で構成されていてもよい。
【0033】
折り畳みブース11は、一対の側面壁15の内面の底部に対して着脱可能に取り付けられる一対の規制具81を有する。規制具81は、例えば、アルミニウム合金によって平板状に形成されている。図16に示すように、規制具81は、貫通孔81Bを有する。図示省略したが、規制具81は、側面壁15の底部の内面に係合した状態で、一対の側面壁15が伸長した第3位置P3から内側に折り畳まれた第4位置P4に移動することを規制することができる。
【0034】
また、図16に示すように、規制具81は、折り畳み状態の折り畳みブース11において、貫通孔81Bに対して枠部65の外面に設けられた突起82を通すことで、側面壁15(枠部65)の外面に係合することができる。規制具81は、側面壁15の外面に係合した状態で、正面壁12と背面壁13とを連結する連結具となっており、移動中に、折り畳み状態として接近した正面壁12と背面壁13とが分離してしまう不具合を生じることを防止できる。
【0035】
保持機構18は、頂壁14の上面(外側)で、側面壁15の一方に近接した位置に設けられている。図11に示すように、頂壁14の第1壁部44は、第1壁部44の本体と一体的に設けられた断面U字形の第1フレーム44Aを含んでいる。図11図12に示すように、保持機構18は、第1フレーム44Aを介して第1壁部44に設けられた第1枢軸91と、第1フレーム44Aを介して第1壁部44に設けられた第2枢軸92と、第1枢軸91に対して第1端部93Aを介して回転可能な第1アーム93と、第2枢軸92に対して第3端部94Aを介して回転可能な第2アーム94と、第1端部93Aと一体的に設けられる第1ギア部95と、第3端部94Aと一体的に設けられる第2ギア部96と、を有する。
【0036】
第1フレーム44Aの形状は断面略凹状になっており、第1壁部44から突出する一対の起立辺を有する。第1枢軸91および第2枢軸92のそれぞれは、一対の起立辺に対してこれらを貫通するように固定されている。第2枢軸92は、第1枢軸91と横並びの位置に設けられている。第2枢軸92は、第1枢軸91から略水平方向に離間して設けられている。第1枢軸91および第2枢軸92は、第2位置P2にある頂壁14の第2壁部46と第3壁部47との間に挟まれる第1壁部44の中央端部位置に設けられる。
【0037】
第1アーム93は、第1アーム本体93Cと、第1枢軸91が貫通される第1端部93Aと、第2壁部46と接続される第2端部93Bと、第2端部93Bに設けられた第1ピン97と、を有する。第1アーム本体93Cは、頂壁14から遠ざかる方向に凸になるように湾曲したロッド状をなしている。第1アーム本体93Cは、第1ヒンジ部52を迂回するように湾曲している。第1アーム93は、第1枢軸91を中心に回転可能である。この第1端部93Aに対して、第1ギア部95が溶接等で一体的に設けられている。
【0038】
頂壁14の第2壁部46は、第2壁部46の本体と一体的に設けられた断面L字形の第2フレーム46Aを有している。第2フレーム46Aは、第2壁部46の本体と平行に略水平方向に延びる第1長孔101を有している。第2端部93Bは、第1端部93Aとは反対側に設けられている。第1ピン97は、第1長孔101の内側に通されている。
【0039】
第2アーム94は、第2アーム本体94Cと、第2枢軸92が貫通される第3端部94Aと、第3壁部47と接続される第4端部94Bと、第4端部94Bに設けられた第2ピン98と、を有する。第2アーム本体94Cは、頂壁14から遠ざかる方向に凸になるように湾曲したロッド状をなしている。第2アーム本体94Cは、第1ヒンジ部52を迂回するように湾曲している。第2アーム94は、第2枢軸92を中心に回転可能である。この第3端部94Aに対して、第2ギア部96が溶接等で一体的に設けられている。第2ギア部96は、第1ギア部95と同径のギアで構成され、第1ギア部95とかみ合うように構成されている。
【0040】
頂壁14の第3壁部47は、第3壁部47の本体と一体的に設けられた断面L字形の第3フレーム47Aを有している。第3フレーム47Aは、第3壁部47の本体と平行に略水平方向に延びる第2長孔102を有している。第4端部94Bは、第3端部94Aとは反対側に設けられている。第2ピン98は、第2長孔102の内側に通されている。
【0041】
続いて、図12図16を参照して、本実施形態の折り畳みブース11の開いた状態から閉じるまでの折り畳み作業について説明する。本実施形態の折り畳みブース11では、基本的に1名の作業員によって折り畳み作業を簡単に完結することができる。
【0042】
折り畳みに先立ち、作業者は、テーブル28を使用状態の水平位置から持ちあげて起立位置に移動させる。側面壁15の固定部材を取り外して、頂壁14と第3パネル73との固定状態を解除する。そして、第3パネル73を開口部72から取り外す。
【0043】
側面壁15上部の開口部72から取り外された第3パネル73は、背面壁13の下部に設けられた図示しないフック部に対して吊下げることができる。さらに、側面壁15の底部から規制具81を取り外す。一対の側面壁15から一対の規制具81を取り外すことで、側面壁15は、伸張した第3位置P3から内側に折り畳まれた第4位置P4に移動することができるようになる。
【0044】
この状態で、ドア21を開放して作業者が折り畳みブース11内に入って、頂壁14のハンドル41を下方に牽引する。これによって、図15に示すように、複数の第1ヒンジ部52の作用によって、頂壁14の第1壁部44が下方に下がるとともに、第1壁部44に対して第2壁部46が折り畳まれ、第1壁部44に対して第3壁部47が折り畳まれる(なお、作図の関係上、図15では、ドア21が閉まった状態となっているが、実際の作業はドア21を開放した状態でなされる。)。また、第2ヒンジ部53の作用により、正面壁12に対しても第2壁部46が折り畳まれるとともに、背面壁13に対しても第3壁部47が折り畳まれる。その際、図8図9に示すように、ギア付きヒンジで構成される第1ヒンジ部52および第2ヒンジ部53の作用によって、各壁部の回動が同期してなされ、各壁部の間で回動角度を揃えてバランスよく折り畳みが行われる。
【0045】
図11図14を参照して、上記の頂壁14および側面壁15の折り畳みと同時に動作する保持機構18の作用について説明する。
【0046】
作業者がハンドル41を下方に牽引すると、頂壁14が第1位置P1(初期位置)から第2位置P2(折り畳み位置)にまで移動する。その際、図12図14に示すように、第1ギア部95および第2ギア部96の作用によって第1アーム93と第2アーム94とが同期して回動する。すなわち、折り畳みブース11の開閉動作の途中において、第1アーム93の初期位置(頂壁14が第1位置P1にある状態)からの回転角度と、第2アーム94の初期位置(頂壁14が第1位置P1にある状態)からの回転角度と、が常に同一になる。このように、保持機構18が作用することで、折り畳みブース11の折り畳みの前後およびその途中で頂壁14の第1壁部44を略水平な状態に維持することができる。これによって、第2壁部46および第3壁部47の折り畳み時の水平面に対する傾き(角度)が同一となり、折り畳み時の頂部14および側面壁15の姿勢を良好にして、折り畳み動作および組み立て動作を円滑にすることができる。
【0047】
また、本実施形態では、正面壁12と第2壁部46との間の第1緩衝部63が設けられ、背面壁13と第3壁部47との間に第2緩衝部64が設けられているため、作業者がハンドルを大きな力で牽引する場合でも、頂壁14が伸長した第1位置P1から折り畳まれた第2位置P2に勢いよく折り畳まれてしまうことが防止される。このため、折り畳みブース11内で作業をしている作業者に危険を生じることがない。
【0048】
正面壁12および背面壁13は、第1キャスタ16および第2キャスタ17によって支持されている。このため、頂壁14が第1位置P1から第2位置P2に移動する際に、頂壁14の折り畳みに起因して第1キャスタ16および第2キャスタ17の作用によって正面壁12と背面壁13との間の距離が小さくなるように、正面壁12と背面壁13とが接近する。
【0049】
正面壁12と背面壁13とが接近することによって、側面壁15の折り畳みも半自動的になされる。すなわち、第3ヒンジ部68および第4ヒンジ部71の作用によって第1パネル66と第2パネル67との折り畳みが同期してなされ、第1パネル66と第2パネル67との間で回動角度を揃えてバランスよく折り畳みが行われる。
【0050】
作業者が頂壁14の下方への牽引を完了し、頂壁14が第1位置P1から第2位置P2に移動完了し、側面壁15が第3位置P3から第4位置P4に移動完了すると、図16に示すように、折り畳みブース11が完全に折り畳まれた状態となる。この状態で、図16に示すように、側面壁15の枠部65の外面側の突起82に対して規制具81の貫通孔81Bを通すことで、正面壁12と背面壁13とが分離しないようにこれらを連結・固定できる。この状態で、作業者は、望みの場所に折り畳みブース11を移動することができる。その際、頂壁14が第2位置P2にあるときに、消火設備が正面壁12および背面壁13の高さの範囲内に位置されるために、折り畳みブース11がコンパクトになり、折り畳みブース11を移動中に消火設備が建物の天井や梁などに干渉してしまう危険を防止できる。
【0051】
折り畳みブース11の移動が完了し、再び折り畳みブース11を折り畳み状態から開かれた使用状態にする場合には、上記と逆の手順でなされる。
【0052】
第1実施形態によれば以下のことがいえる。折り畳みブース11は、第1キャスタ16に支持された正面壁12と、第2キャスタ17に支持されるとともに正面壁12と対向する背面壁13と、正面壁12と背面壁13とを連結する頂壁14であって、中央部に位置する第1壁部44と、正面壁12と第1壁部44とを連結する第2壁部46と、背面壁13と第1壁部44とを連結する第3壁部47と、を有し、伸張した第1位置P1と、第2壁部46と第3壁部47とが対向するように折り畳まれた第2位置P2と、の間で回動可能な頂壁14と、第1壁部44に設けられた第1枢軸91と、第1枢軸91から略水平方向に離間して第1壁部44に設けられた第2枢軸92と、第1枢軸91が貫通された第1端部93Aと、第2壁部46と接続される第2端部93Bと、を有するとともに第1枢軸91を中心に回転可能な第1アーム93と、第2枢軸92が貫通された第3端部94Aと、第3壁部47と接続される第4端部94Bと、を有するとともに第2枢軸92を中心に回転可能な第2アーム94と、第1端部93Aと一体的に設けられる第1ギア部95と、第3端部94Aと一体的に設けられるとともに第1ギア部95と噛み合う第2ギア部96と、を備える。
【0053】
この構成によれば、第1ギア部95と第2ギア部96とが噛み合うことによって、第1アーム93と第2アーム94とを同期して回動させ、それによって第2壁部46と第3壁部47とを同期して回動させることができる。これによって、頂壁14を第1位置P1と第2位置P2との間で移動させる際に、第1壁部44の昇降を常に略水平な状態に維持できる。これによって、頂壁14の第1位置P1と第2位置P2との間で移動をスムーズに行うことができるので、ギア付きヒンジを通常のヒンジに代えることができる上、後述するアクチュエータなどの駆動機構を利用する自動開閉を安定してスムーズに行うことができる。
【0054】
第1枢軸91および第2枢軸92は、第2位置P2にある頂壁14の第2壁部46と第3壁部47との間に挟まれる位置に設けられる。
【0055】
この構成によれば、頂壁14を第2位置P2に折り畳んだ際に、第1枢軸91および第2枢軸92が露出してしまうことがなく、これらが折り畳みブース11の移動時に邪魔になってしまうことを防止できる。
【0056】
折り畳みブース11は、第2端部93Bに設けられた第1ピン97と、第2壁部46に設けられ第1ピン97が通される第1長孔101と、第4端部94Bに設けられた第2ピン98と、第3壁部47に設けられ第2ピン98が通される第2長孔102と、を備える。
【0057】
この構成によれば、頂壁14の第1位置P1と第2位置P2との間の回動を円滑に行うことができる。
【0058】
第1アーム93および第2アーム94のそれぞれは、頂壁14から遠ざかる方向に凸になるように湾曲している。この構成によれば、第1壁部44と第2壁部46との間の連結構造に対して第1アーム93が干渉してしまうことを防止できる。また、第1壁部44と第3壁部47との間の連結構造に対して第2アーム94が干渉してしまうことを防止できる。
【0059】
以下の実施形態では、主として上記実施形態と異なる部分について説明し、上記実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第2実施形態]
【0060】
図19を参照して、第2実施形態の折り畳みブース11について説明する。
【0061】
本実施形態では、第1緩衝部63および第2緩衝部64の代わりに、第1アクチュエータ111および第2アクチュエータ112を設けている。すなわち、第1アクチュエータ111は、正面壁12と第2壁部46との間に介在されている。第2アクチュエータ112は、背面壁13と第3壁部47との間に介在されている。
【0062】
折り畳みブース11は、さらに、第1アクチュエータ111および第2アクチュエータ112を伸長または短縮させる制御するための制御盤113を有する。制御盤113は、例えば、正面壁12および背面壁13のいずれか一方に取り付けられていることが望ましい。制御盤113は、第1アクチュエータ111および第2アクチュエータ112に電力を供給する電源回路114と、第1アクチュエータ111および第2アクチュエータ112の伸長および短縮を制御する制御部115と、第1アクチュエータ111および第2アクチュエータ112の伸長を指示するための開スイッチ116と、第1アクチュエータ111および第2アクチュエータ112の短縮を指示するための閉スイッチ117と、を含んでいる。制御部115は、例えば、ワンチップマイコン、第1アクチュエータ111および第2アクチュエータ112を直接制御するドライバ、およびこれらを実装した制御回路等、で構成されている。ワンチップマイコンには、第1アクチュエータ111および第2アクチュエータ112を同期して伸長または短縮させる制御を行うソフトウェアがインストールされている。
【0063】
第1アクチュエータ111および第2アクチュエータ112のそれぞれは、軸方向に伸長したり短縮したりすることが可能な、例えば、空気圧シリンダで構成されている。なお、第1アクチュエータ111および第2アクチュエータ112は、空気圧シリンダに限られるものではなく、油圧シリンダやモータ、ソレノイド、その他のアクチュエータであってもよい。
【0064】
続いて、図19等を参照して、本実施形態の折り畳みブース11の折り畳み作業について説明する。本実施形態の折り畳みブース11では、第1アクチュエータ111および第2アクチュエータ112の駆動によって折り畳み作業および組立作業を半自動的に完結することができる。
【0065】
折り畳みに先立ち、作業者は、テーブル28を使用状態の水平位置から持ちあげて起立位置に移動させる。側面壁15の固定部材を取り外して、頂壁14と第3パネル73との固定状態を解除する。そして、作業者は、第3パネル73を開口部72から取り外す。
【0066】
側面壁15上部の開口部72から取り外された第3パネル73は、背面壁13の下部に設けられた図示しないフック部に対して吊下げることができる。さらに、作業者は、側面壁15の底部から規制具81を取り外す。一対の側面壁15から一対の規制具81を取り外すことで、側面壁15は、伸張した第3位置P3から内側に折り畳まれた第4位置P4に移動することができるようになる。
【0067】
この状態で、作業者が制御盤113の閉スイッチ117を押下する。これによって、第1アクチュエータ111および第2アクチュエータ112が短縮することによって、頂壁14の第1壁部44が下方に下がるとともに、第1壁部44に対して第2壁部46が折り畳まれ、第1壁部44に対して第3壁部47が折り畳まれる。また、第2ヒンジ部53の作用により、正面壁12に対しても第2壁部46が折り畳まれるとともに、背面壁13に対しても第3壁部47が折り畳まれる。その際、図11図14に示すように、保持機構18の作用、および、ギア付きヒンジで構成される第1ヒンジ部52および第2ヒンジ部53の作用によって、第1アーム93の初期位置(頂壁14が第1位置P1にある状態)からの回転角度と、第2アーム94の初期位置(頂壁14が第1位置P1にある状態)からの回転角度と、が常に同一になる。このように、保持機構18が作用することで、折り畳みブース11の折り畳みの前後で頂壁14の第1壁部44を略水平な状態に維持することができる。これによって、第2壁部46および第3壁部47の折り畳み時の水平面に対する傾き(角度)が同一となり、折り畳み時の頂部14および側面壁15の姿勢を良好にして、折り畳み動作および組み立て動作を円滑にすることができる。
【0068】
頂壁14が第1位置P1から第2位置P2に移動完了し、側面壁15が第3位置P3から第4位置P4に移動完了すると、図16に示すように、折り畳みブース11が完全に折り畳まれた状態となる。この状態で、図16に示すように、側面壁15の枠部65の外面側の突起82に対して規制具81の貫通孔81Bを通すことで、正面壁12と背面壁13とが分離しないようにこれらを連結・固定できる。この状態で、作業者は、望みの場所に折り畳みブース11を移動することができる。その際、頂壁14が第2位置P2にあるときに、消火設備が正面壁12および背面壁13の高さの範囲内に位置されるために、折り畳みブース11がコンパクトになり、折り畳みブース11を移動中に消火設備が建物の天井や梁などに干渉してしまう危険を防止できる。
【0069】
折り畳みブース11の移動が完了し、再び折り畳みブース11を折り畳み状態から開かれた使用状態にする場合には、上記と逆の手順でなされる。すなわち、面壁15の枠部65の外面側の突起82から規制具81を取り外し、作業者が制御盤の開スイッチ116を押下する。これによって第1アクチュエータ111および第2アクチュエータ112が伸長し、頂壁14の第1壁部44が上方に上がるとともに、第1壁部44に対して第2壁部46が伸長し、第1壁部44に対して第3壁部47が伸長する。
【0070】
第1アクチュエータ111および第2アクチュエータ112の作用によって、頂壁14が第2位置P2から第1位置P1に移動完了し、側面壁15が第4位置P4から第3位置P3に移動完了する。さらに、作業者は、側面壁15の内面の底部に規制具81を装着する。作業者は、第3パネル73を開口部72に装着する。これによって、折り畳みブース11の組み立てが完了する。
【0071】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。折り畳みブース11は、正面壁12および背面壁13の少なくとも一方と、頂壁14と、の間に介在されるアクチュエータを備え、前記アクチュエータの駆動によって頂壁14を第1位置P1と、第2位置P2と、の間で回動可能である。
【0072】
この構成によれば、人力によらないで、アクチュエータの駆動力によって自動で頂壁14を第1位置P1と第2位置P2との間で回動できる。これによって、ユーザフレンドリーな折り畳みブース11を実現できる。
【0073】
上記した実施形態は、さらなる種々の置き換えや変形を加えて実施できる。例えば、第1実施形態および第2実施形態において、開口部72および第3パネル73を、折り畳みブース11の高さの約1/2の高さを占める高さで、且つ折り畳みブース11の高さの上半分を占める高さで、第1実施形態および第2実施形態よりも大きく形成してもよい。これによって、そのように構成した2つの折り畳みブース11を、開口部72同士が対向するように隣接して設置し、第3パネル73を取り外した状態で利用することで、隣接した折り畳みブース11に入っている利用者同士でコミュニケーションを取ることを可能にできる。これによって、1つの会議に2名以上が参加する形態での利用も実現可能とすることができる。
【符号の説明】
【0074】
11 折り畳みブース
12 正面壁
13 背面壁
14 頂壁
16 第1キャスタ
17 第2キャスタ
18 保持機構
44 第1壁部
46 第2壁部
47 第3壁部
P1 第1位置
P2 第2位置
91 第1枢軸
92 第2枢軸
93 第1アーム
93A 第1端部
93B 第2端部
94 第2アーム
94A 第3端部
94B 第4端部
95 第1ギア部
96 第2ギア部
97 第1ピン
98 第2ピン
101 第1長孔
102 第2長孔
111 第1アクチュエータ
112 第2アクチュエータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19