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特開2024-161733運行管理装置、運行管理方法および運行管理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161733
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】運行管理装置、運行管理方法および運行管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20241113BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20241113BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20241113BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20241113BHJP
   G08G 7/00 20060101ALI20241113BHJP
   G16Y 40/35 20200101ALI20241113BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G5/00 A
G16Y20/20
G16Y10/40
G08G7/00 A
G16Y40/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076711
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】待井 君吉
(72)【発明者】
【氏名】板東 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】ラトール スワン・シング
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA06
5H181AA15
5H181AA16
5H181AA26
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF27
5H181MA42
5H181MB08
(57)【要約】
【課題】飛行体と他社管理車両や公共交通機関等の地上車両との連携により、安全かつ効率の良い交通・物流を実現可能な運行管理装置を提供する。
【解決手段】運行管理装置1は、飛行体104の自己位置情報と、飛行体104の周辺環境情報と、飛行体104が着陸する代替着陸地点601の候補の情報である地点情報と、飛行体104の目的地607までの運航計画情報と、乗継ぎ先の地上車両606の候補の情報である地上車両情報と、に基づき、代替着陸地点601と、代替着陸地点601から目的地607に飛行体104の運搬物を搬送するための地上車両606と、を決定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体の自己位置情報と、前記飛行体の周辺環境情報と、前記飛行体が着陸する代替着陸地点の候補の情報である地点情報と、前記飛行体の目的地までの運航計画情報と、乗継ぎ先の地上車両の候補の情報である地上車両情報と、に基づき、
前記代替着陸地点と、前記代替着陸地点から前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記地上車両と、を決定する乗継ぎ決定部を備える
ことを特徴とする運行管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運行管理装置において、
前記地点情報は、前記代替着陸地点から前記地上車両に乗継ぐための乗継ぎ地点の候補の情報を含み、
前記乗継ぎ決定部は、前記代替着陸地点と、前記乗継ぎ地点と、前記乗継ぎ地点から前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記地上車両と、を決定する
ことを特徴とする運行管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の運航管理装置において、
前記飛行体の運航または前記運搬物の搬送に障害を及ぼす事象の種別および発生場所に関する情報を含む障害情報を受け取る環境情報受信部を備え、
前記乗継ぎ決定部は、前記障害情報に基づき、前記障害の緊急度と、前記代替着陸地点の条件と、を判別し、
前記代替着陸地点と、前記乗継ぎ地点と、前記乗継ぎ地点から前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記地上車両と、を決定する
ことを特徴とする運行管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の運行管理装置において、
前記地点情報は、前記乗継ぎ地点候補の公共交通機関該否に関する情報を含み、
前記指定着陸地点が公共交通機関である場合、前記乗継ぎ決定部は、前記地点情報に基づいて、前記代替着陸地点かつ前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記公共交通機関を決定する
ことを特徴とする運行管理装置。
【請求項5】
請求項2から4の何れか一項に記載の運行管理装置において、
前記地点情報は、前記代替着陸地点候補および前記乗継ぎ地点候補における前記地上車両の駐車可否に関する情報 を含み、
前記代替着陸地点候補において前記地上車両の駐車が可能である場合、前記乗継ぎ決定部は、前記代替着陸地点と、前記代替着陸地点から前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記地上車両と、を決定し、
前記代替着陸地点候補において前記地上車両の駐車が不可能である場合、前記乗継ぎ決定部は、前記代替着陸地点と、前記地上車両の駐車が可能な前記乗継ぎ地点と、前記乗継ぎ地点から前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記地上車両と、を決定する
ことを特徴とする運行管理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の運行管理装置において、
前記飛行体が前記代替着陸地点に着陸するための飛行経路を算出する飛行経路算出部と、
前記飛行経路を前記飛行体に送信する経路情報送信部と、を備える
ことを特徴とする運行管理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の運行管理装置において、
前記周辺環境情報は、前記飛行体周辺の、平地面積を計測した平地情報と、視界の良好度を示す視程レベル情報と、を含み
前記乗継ぎ決定部は、前記自己位置情報と、前記周辺環境情報と、に基づき、前記代替着陸地点の候補を探索する
ことを特徴とする運行管理装置。
【請求項8】
運航管理装置が飛行体の運航を管理する運行管理方法において、
前記飛行体の自己位置情報と、前記飛行体の周辺環境情報と、前記飛行体が着陸する代替着陸地点の候補の情報である地点情報と、前記飛行体の目的地までの運航計画情報と、乗継ぎ先の地上車両の候補の情報である地上車両情報とに基づき、
前記運航管理装置が、前記代替着陸地点と、前記代替着陸地点から前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記地上車両と、を決定する
ことを特徴とする運行管理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の運行管理方法において、
前記地点情報は、前記代替着陸地点から前記地上車両に乗継ぐための乗継ぎ地点の候補の情報を含み、
前記運航管理装置が、前記乗継ぎ地点と、前記代替着陸地点と、前記前記乗継ぎ地点から前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記地上車両と、を決定する
ことを特徴とする運行管理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の運航管理方法において、
前記運航管理装置が、前記飛行体の運航または前記運搬物の搬送に障害を及ぼす事象の種別および発生場所に関する情報を含む障害情報を受け取り、
前記障害情報に基づき、前記障害の緊急度と、前記代替着陸地点の条件と、を判別し、
前記代替着陸地点と、前記乗継ぎ地点と、前記乗継ぎ地点から前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記地上車両と、を決定する
ことを特徴とする運行管理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の運行管理方法において、
前記地点情報は、前記乗継ぎ地点候補の公共交通機関該否に関する情報を含み、
前記運航管理装置が、前記指定着陸地点が公共交通機関である場合、前記地点情報に基づいて、前記代替着陸地点かつ前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記公共交通機関を決定する
ことを特徴とする運行管理方法。
【請求項12】
請求項8から11の何れか一項に記載の運行管理方法において、
前記地点情報は、前記代替着陸地点候補および前記乗継ぎ地点候補における前記地上車両の駐車可否に関する情報 を含み、
前記運航管理装置が、前記代替着陸地点候補において前記地上車両の駐車が可能である場合、前記乗継ぎ決定部は、前記代替着陸地点と、前記代替着陸地点から前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記地上車両と、を決定し、
前記代替着陸地点候補において前記地上車両の駐車が不可能である場合、前記乗継ぎ決定部は、前記代替着陸地点と、前記地上車両の駐車が可能な前記乗継ぎ地点と、前記乗継ぎ地点から前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記地上車両と、を決定する
ことを特徴とする運行管理方法。
【請求項13】
請求項8に記載の運行管理方法において、
前記運航管理装置が、前記飛行体が前記代替着陸地点に着陸するための飛行経路を算出し、
前記飛行経路を前記飛行体に送信する
ことを特徴とする運行管理方法。
【請求項14】
請求項8に記載の運行管理方法において、
前記周辺環境情報は、前記飛行体周辺の平地面積を計測した平地情報と、視界の良好度を示す視程レベル情報と、を含み
前記運航管理装置が、前記自己位置情報と、前記周辺環境情報と、に基づき、前記代替着陸地点の候補を探索する
ことを特徴とする運行管理方法。
【請求項15】
飛行体の自己位置情報と、前記飛行体の周辺環境情報と、前記飛行体が着陸する代替着陸地点の候補の情報である地点情報と、前記飛行体の目的地までの運航計画情報と、乗継ぎ先の地上車両の候補の情報である地上車両情報とに基づき、前記代替着陸地点と、前記代替着陸地点から前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記地上車両と、を決定する乗継ぎ決定部と、前記飛行体が前記代替着陸地点に着陸するための飛行経路を算出する飛行経路算出部と、前記飛行経路を前記飛行体に送信する経路情報送信部と、を有する運行管理装置と、
前記周辺環境情報を前記運行管理装置に送信する環境情報送信部と、前記運行管理装置から飛行経路情報を受信する経路情報受信部と、前記経路情報受信部が受信した経路情報に基づいて、飛行を制御する飛行制御部と、を有する飛行体と、を備える
ことを特徴とする運行管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体と他の移動体との運行を管理する運行管理装置、運行管理方法および運行管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
小型飛行体を交通・物流インフラとして社会実装するにあたり、地上の既存車両と連携した次世代の交通サービスの実現による移動の効率化が期待されている。
【0003】
特許文献1には、飛行体が離着陸可能な離着陸部を有する車両が代替離着陸地点に移動するように管理する技術が記載されている。
【0004】
特許文献1によれば、飛行体が着陸予定時刻に離着陸場に着陸できないと判定された場合、着陸可能な代替離着陸地点を決定し、飛行体が離着陸可能な離着陸部を有する車両を、代替離着陸地点に移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7068386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、ドローン等の飛行体そのものを、離着陸部を有する車両により移動させる技術であり、飛行体を代替地に着陸させ、飛行体に搭乗した人や貨物を、代替地から目的地に種々の移動手段を用いて、如何にして移動させるかの技術については、記載されていない。
【0007】
このため、離着陸部を備えない他社管理車両や公共交通機関等を用いることができず、飛行体に搭乗した人や貨物を、代替地から目的地に適切に移動させることは困難である。
【0008】
本発明の目的は、小型飛行体と他社管理車両や公共交通機関等の地上車両との連携により、安全かつ効率の良い交通・物流を実現可能な運行管理装置、運行管理方法および運行管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明は、次のように構成される。
【0010】
運行管理装置において、飛行体の自己位置情報と、前記飛行体の周辺環境情報と、前記飛行体が着陸する代替着陸地点の候補の情報である地点情報と、前記飛行体の目的地までの運航計画情報と、乗継ぎ先の地上車両の候補の情報である地上車両情報と、に基づき、前記代替着陸地点と、前記代替着陸地点から前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記地上車両と、を決定する乗継ぎ決定部を備える。
【0011】
また、運航管理装置が飛行体の運航を管理する運行管理方法において、飛行体の自己位置情報と、前記飛行体の周辺環境情報と、前記飛行体が着陸する代替着陸地点の候補の情報である地点情報と、前記飛行体の目的地までの運航計画情報と、乗継ぎ先の地上車両の候補の情報である地上車両情報とに基づき、前記代替着陸地点と、前記代替着陸地点から前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記地上車両と、を決定する。
【0012】
また、運行管理システムにおいて、飛行体の自己位置情報と、前記飛行体の周辺環境情報と、前記飛行体が着陸する代替着陸地点の候補の情報である地点情報と、前記飛行体の目的地までの運航計画情報と、乗継ぎ先の地上車両の候補の情報である地上車両情報とに基づき、前記代替着陸地点と、前記代替着陸地点から前記目的地に前記飛行体の運搬物を搬送するための前記地上車両と、を決定する乗継ぎ決定部と、前記飛行体が前記代替着陸地点に着陸するための飛行経路を算出する飛行経路算出部と、前記飛行経路を前記飛行体に送信する経路情報送信部と、を有する運行管理装置と、前記周辺環境情報を前記運行管理装置に送信する環境情報送信部と、前記運行管理装置から飛行経路情報を受信する経路情報受信部と、前記経路情報受信部が受信した経路情報に基づいて、飛行を制御する飛行制御部と、を有する飛行体と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、小型飛行体と他社管理車両や公共交通機関等の地上車両との連携により、安全かつ効率の良い交通・物流を実現可能な運行管理装置、運行管理方法および運行管理システムを提供することができる。特に、小型飛行体の飛行中の何らかの原因により目的地到着が困難になった場合に、地上車両との連携により目的地に人や貨物を代替地から目的地に適切に移動させることが可能な運航管理装置、運行管理方法および運行管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1に係る運行管理装置が適用される状況の概念図である。
図2】実施例1に係る運行管理装置の概略構成図である。
図3】実施例1に係る小型飛行体の概略構成図である。
図4】実施例1における運行管理装置側システムと小型飛行体側システムの概略構成図である。
図5A】地点テーブルに登録されたデータ例を示す図である。
図5B】運航計画テーブルに登録されたデータ例を示す図である。
図5C】取引先テーブルに登録されたデータ例を示す図である。
図6】代替着陸地点から地上車両への乗継ぎによって旅客や貨物を目的地に移動させる場合の乗継ぎの概念図である。
図7】代替着陸地点から鉄道車両への乗継ぎによって旅客を目的地に移動させる場合の乗継ぎの概念図である。
図8A】運行管制装置の記憶装置および小型飛行体の記憶装置に格納される障害コードテーブルを示す図である。
図8B】運行管制装置の記憶装置および小型飛行体の記憶装置に格納される処理IDテーブルを示す図である。
図9】乗継ぎ決定部の動作フローチャートである。
図10図9のステップS904の詳細を示すフローチャートである。
図11図10のステップS1004の詳細を示すフローチャートである。
図12図10のステップS1005の詳細を示すフローチャートである。
図13図10のステップS1006の詳細を示すフローチャートである。
図14】小型飛行体側システムの動作フローチャートである。
図15A】小型飛行体から運行管理装置に送信する全体データフォーマットの説明図である。
図15B】小型飛行体から運行管理装置に送信する視程レベルのデータフォーマットの説明図である。
図16】運行管理装置の環境予測部の動作フローチャートである。
図17】運行管理装置の乗り継決定部における着陸地点候補検索の動作フローチャートである。
図18】入力装置の表示画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【実施例0016】
実施例1では、運航管理装置によって飛行体の代替着陸地点および飛行体の運搬物を搬送するための地上車両を決定する実施例について説明する。図1は、本発明の実施例に係る運行管理装置1(図2に示す)が適用される状況の概念図である。図1において、小型飛行体104は、離着陸ポート101にて離着陸する。カメラ102およびレーダ103は、小型飛行体104、離着陸ポート101の周囲の環境を検知し、管制センタ111内の運行管制装置1に伝達する。ビル110に設置された風況センサ105は、離着陸ポート101の近辺の風況106を検知し、運行管制装置1に伝達する。風況センサ105は、ドップラーライダを適用することができる。
【0017】
気象会社107による気象情報は運行管理装置1により把握することができる。小型飛行体104は、小型飛行体104に搭載したセンサ、マップ、運行管制装置1等からの情報に基づいて、飛行経路を決定する。
【0018】
図2は、運行管理装置1の概略構成図である。
【0019】
図2において、運行管理装置1は、制御部(CPU)201と、メモリ202と、通信装置203と、表示装置204と、入力装置205と、を備える。制御部201は、メモリ202、通信装置203、表示装置204、および入力装置205に接続されている。
【0020】
また、制御部201は、カメラ102、レーダ103、風況センサ105と接続されている。制御部201は、通信装置203を介して小型飛行体104と情報通信を行う。また、制御部201は、通信装置203を介して気象会社107からの情報を受信する。
【0021】
図3は、小型飛行体104の概略構成図である。
【0022】
図3において、小型飛行体104は、制御部(CPU)305と、メモリ306と、通信装置307と、記憶装置304と、を備える。制御部305は、メモリ306、通信装置307、記憶装置304に接続されている。
【0023】
また、制御部305は、カメラ103、レーダ102、GNSS(全地球航法衛星システム)303と接続されている。制御部305は、通信装置307を介して運行管制装置1と情報通信を行う。また、制御部305は、通信装置307を介して気象会社107からの情報を受信する。通信装置307は、小型飛行体104の機体・旅客・貨物等に障害が発生したこと等の情報を通知する機能を備える。障害とは、例えば事件や事故、悪天候、機器トラブル等、小型飛行体104の運航や離着陸、運搬物の搬送に悪影響を及ぼす事象のことである。
【0024】
図4は、小型飛行体側システム401と、運行管理装置側システム419における機能の説明図である。
【0025】
図4において、小型飛行体側システム400は、レーダ301およびカメラ302からの情報に基づき、小型飛行体104の周辺環境を認識する環境認識部401と、GNSS303からの情報に基づき、小型飛行体104の自己位置を推定する自己位置推定部402と、環境認識部401および自己位置推定部402からの情報を、運行管理装置側システム419に送信する環境情報送信部403と、備える。
【0026】
また、小型飛行体側システム400は、運行管理装置側システム419から送信される経路情報を受信する経路情報受信部404と、経路情報受信部404から送信される経路情報に基づいて飛行を制御する飛行制御部405と、を備える。
【0027】
環境認識部401、自己位置推定部402、環境情報送信部403、経路情報受信部404、および飛行制御部405は、小型飛行体104の制御部305内の機能に該当する。
【0028】
運行管理装置側システム419は、オペレータ418の指令等を入力する入力部417と、環境情報受信部406と、を備える。環境情報受信部406は、入力部417からの情報、気象会社107からの気象情報、および上述した環境情報送信部403からの情報を受信する。なお、入力部417は、図2に示した運行管理装置1の入力装置205に含まれている。また、環境情報受信部406は、通信装置203に含まれている。
【0029】
オペレータ418は、事件・事故等、気象会社107や風況センサ105等では得られない障害があった場合に、入力部417を介してその情報を環境情報受信部406へ入力する。また、オペレータ418による入力を介さず、障害に関する情報をネットワーク等から自動で取得し入力部417で受け付けてもよい。
【0030】
また、運行管理装置側システム419は、風況センサ105、レーダ103およびカメラ102からの情報に基づいて、環境を予測する環境予測部407と、この環境予測部407からの情報および環境情報受信部406からの情報が供給される乗継ぎ決定部408を備える。
【0031】
乗継ぎ決定部408は、地点テーブル414、運航計画テーブル415および取引先テーブル416の情報に基づいて、代替着陸地点を決定する着陸地点決定部409と、乗継ぎ車両を決定する車両決定部410と、乗継ぎ地点を決定する乗継ぎ地点決定部411と、を備える。
【0032】
さらに、運行管理装置側システム419は、乗継ぎ決定部408からの情報に基づいて小型飛行体104の飛行経路を算出する飛行経路算出部412と、飛行経路算出部412が算出した飛行経路情報を経路情報受信部404に送信する経路情報送信部413と、を備える。
【0033】
なお、地点テーブル414、運航計画テーブル415および取引先テーブル416は、運航管理装置1の記憶装置206に記憶されている。
【0034】
また、環境予測部407、環境情報受信部406および飛行経路算出部412は、運航管理装置1の制御部201に含まれている。そして、経路情報送信部413は、運航管理装置1の通信装置203に含まれている。
【0035】
図5Aは、地点テーブル414に登録されたデータ例を示す図である。地点テーブル414には、代替着陸地点および乗継ぎ地点の候補である地点名称501A毎に、緯度502、経度503、代替着陸地点および乗継ぎ地点の属性504、および地上車両の駐車が可能か不可能かの情報505が登録されている。
【0036】
図5Bは、運航計画テーブル415に登録されたデータ例を示す図である。運航計画テーブル415には、小型飛行体104の運航計画毎に、目的地名称501B、目的地緯度506、目的地経度507、運搬物の属性を示す積荷508、運搬物のサイズ509および数量510が登録されている。
【0037】
図5Cは、取引先テーブル416に登録されたデータ例を示す図である。取引先テーブル416には、乗継ぎ先候補の地点名称501C毎に、緯度511、経度512、乗継ぎ先の地上車両の車種513、および料金514が登録されている。
【0038】
車種513は、物品、旅客等の貨物の輸送に適した車種が定められている。
【0039】
図6は、代替着陸地点から地上車両への乗継ぎによって旅客や貨物を目的地に移動させる場合の乗継ぎの概念図である。
【0040】
図6において、小型飛行体104の運航に関して何らかの障害が発生した際に、小型飛行体104は、運航管理装置側システム419の乗継ぎ決定部408で決定された着陸地点601(代替着陸地点)に着陸し、旅客604と、貨物605等との運搬物は、着陸地点601から運航管理装置側システム419の乗継ぎ決定部408で決定された待合わせ地点(乗継ぎ地点)602に移動する。旅客は、小型飛行体104の表示装置または放送装置により、障害が発生したこと、着陸地点601から待ち合わせ地点602に移動する必要があることが事前に通知されている。
【0041】
車両管理会社603は、航管理装置側システム419の乗継ぎ決定部408で決定された車両606を待合わせ地点602に移動させる。なお、着陸地点601に車両606の駐車が可能である場合、着陸地点601を待合わせ地点602として設定してもよい。
【0042】
車両606は、待合わせ地点602で旅客604および貨物605を搭載し、目的地607に移動させる。
【0043】
図7は、代替着陸地点から鉄道車両への乗継ぎによって旅客を目的地に移動させる場合の乗継ぎの概念図である。
【0044】
図7において、小型飛行体104の運航に関して何らかの障害が発生した際に、小型飛行体104は、運航管理装置側システム419の乗継ぎ決定部408で決定された着陸地点601に着陸し、旅客604は、運航管理装置側システム419の乗継ぎ決定部408で決定された鉄道の駅701(乗継ぎ地点)に移動する。旅客604は、駅701から鉄道車両により目的地607に移動する。ここで、乗継ぎ先は鉄道に限らず、バスなどのその他公共交通機関としてもよい。
【0045】
図8Aは、運行管制装置1の記憶装置206および小型飛行体104の記憶装置304に格納される障害コードテーブルを示す図である。障害コードテーブル8Aに登録された内容にしたがって、小型飛行体104の運航が決定される。
【0046】
図8Aにおいて、事件・事故等の種別を示す障害801毎に、障害の発生場所802、小型飛行体104の積載物803、処理ID804、指令着陸地点805が設定されている。図8Aにおいて、「Any」は、対象を限定しない意味であり、「NA」は指定着陸地点を限定しないという意味である。なお、図8Aにおける障害の種別は一例であり、小型飛行体104の運航や離着陸、運搬物の搬送に障害を及ぼす事象であれば、これらに限定されない。
【0047】
障害が発生した場合、障害の種類、発生場所、小型飛行体104の積載物の種類に応じて処理が異なる。図8A図8Bにおいて、処理ID804、806は障害の緊急度合いの高さを示す。緊急度が高いほど、小型飛行隊104は、早急に着陸する必要がある。
【0048】
障害のうち、事件、火災および事故の情報は自動的に運行管理装置1に入ってくるとは限らないので、運航管理装置1のオペレータ418が情報を入力装置205から手入力してもよい。障害が、気象情報の場合は風況センサ105、カメラ103や気象会社107の情報を使用することができる。
【0049】
図8Bは、運行管制装置1の記憶装置206および小型飛行体104の記憶装置304に格納される処理IDテーブルを示す図である。処理IDテーブルは、障害の緊急度の高さを示す処理ID806毎に、障害に対する処理類型807、処理詳細808、着陸条件809が設定されている。
【0050】
障害が噴火の場合は、どこでどんな災害になるかわからないので、処理IDは5であり、運航停止となり、処理の詳細は「最寄の障害回避可能場所へ着陸」である。
【0051】
障害が事件、火災で、目的地付近で発生した場合は、目的地に近づけないため、処理IDは5であり、運航停止である。ただし、経路途中で旅客を乗せている場合の火災においては、処理IDは3であり、旅客を安全な場所に避難させる目的を兼ねて公共交通機関(駅)の近くに着陸する。
【0052】
障害が交通事故であり、目的地付近で発生した場合かつ規制線が張られている可能性がある場合は、処理IDは5であり、運航停止となり、経路途中で発生した場合は、処理IDは3であり、飛行禁止空域が設定された場合に回避経路で飛行継続となる。回避の後、機体SoC(機体充電容量)が低下した場合は機体SoC低下の処理に準ずる。
【0053】
障害が霧の場合は、処理IDは1であり、回避経路で運航継続である。回避経路で運航の後、機体SoCが低下した場合は、機体SoC低下の処理に準ずる。
【0054】
障害が豪雨の場合は、機体落下の危険性があるため、処理IDは4であり、最寄りの着陸地点に着陸する。但し、貨物や旅客を保護する目的で、貨物の場合は宅配業者の近く、旅客の場合は公共交通機関(駅)の近くで着陸する。
【0055】
障害が機体故障の場合は、それ以上飛ぶのは危険なので、処理IDは4であり、すぐに最寄の着陸可能地点に着陸する。
【0056】
障害が機体SoC低下の場合は、処理IDは2であり、目的地までの最適経路に基づいて着陸する。
【0057】
障害が管制故障の場合は、運航継続は危険が伴うので、処理IDは5であり、運航を停止する。
【0058】
障害が強風の場合、飛行継続は危険なため、処理IDは4であり、最寄りの場所へ着陸する。
【0059】
図9は、乗継ぎ決定部408の動作フローチャートである。
【0060】
図9のステップS901において、乗継ぎ決定部408は、環境情報受信部406または環境予測部407からの情報を受け、障害があるか否かを判定し、障害が無ければ、処理は終了する。障害が有れば、ステップS902に進む。
【0061】
ステップS902において、乗継ぎ決定部408は、障害の種類、発生場所、積載物情報を取得する。
【0062】
次に、ステップS903において、乗継ぎ決定部408は、取得した障害情報に対応する処理IDと指定着陸地点を記憶装置206に保存された障害コードテーブル8Aから検索する。
【0063】
そして、ステップS904において、乗継ぎ決定部408は、処理ID毎に処理を振り分ける。
【0064】
図10は、図9のステップS904の詳細を示すフローチャートである。
【0065】
図10のステップS1001において、乗継ぎ決定部408は、処理IDをキーに着陸条件を記憶装置206に保存された処理IDテーブル8Bから検索する。次にステップS1002に進み、ステップS1001で検索した着陸条件の着陸地点を記憶装置206に保存された障害コードテーブル8Aから取得する。
【0066】
次に、ステップS1003において、乗継ぎ決定部408は、取得した指定着陸地点と、着陸条件とに基づき処理を分岐する。ステップS1003において、指定着陸地点があり、着陸条件が最寄の指定着陸地点であれば、ステップS1004に進み、最寄の指定着陸地点を地点テーブル414から検索する。ステップS1003において、指定着陸地点がなく、着陸条件が最寄の着陸可能地点であれば、ステップS1005に進み、最寄の着陸可能地点を地点テーブル414から検索する。ステップS1003において、その他(処理類型が回避飛行または継続飛行)の場合は、ステップS1006に進み、着陸可能地点を地点テーブル414から検索する。
【0067】
ステップS1004、S1005またはS1006の処理の後、ステップS1007に進み、乗継ぎ決定部408は、着陸地点および待ち合わせ地点を決定する。
【0068】
図11は、図10のステップS1004の詳細を示すフローチャートである。
【0069】
指定着陸地点があり、着陸条件が最寄の指定着陸地点である場合、図11のステップS1101において、乗継ぎ決定部408は、ステップS1004において地点テーブル414から検索した最寄の指定着陸地点の属性504が公共機関か否かを判断し、公共機関であれば、処理を終了し、公共機関ではなく、その他の属性であれば、ステップS1102に進む。
【0070】
ステップS1102において、乗継ぎ決定部408は、ステップS1004において地点テーブル414から検索した最寄の指定着陸地点が、地上車両の駐車が可能か不可能かを判断し、駐車可能であれば、ステップS1105に進み、着陸地点を待合せ地点として選択する。ステップS1105の処理の後は、ステップS1106に進む。
【0071】
ステップS1102において、乗継ぎ決定部408は、ステップS1004において地点テーブル414から検索した最寄の指定着陸地点が駐車不可能であれば、ステップS1103に進み、指定着陸地点付近かつ地上車両の駐車が可能な待合せ地点候補を地点テーブル414から検索する。そして、ステップS1104に進む。
【0072】
ステップS1104において、乗継ぎ決定部408は、ステップS1103で検索した候補より、指定着陸地点から最短時間で行ける候補を待合せ地点として選択する。そして、ステップS1106に進む。
【0073】
ステップS1106において、乗継ぎ決定部408は、ステップ1104で選択した候補と、小型飛行体104の運航計画テーブル415を参照し、待合せ地点周辺かつ小型飛行体104の積載物の運搬に適した地上車両を取引先テーブル416から検索し、ステップS1107において、待合せ地点への所要時間が最小かつ積載物の運搬が可能な結果を地上車両として選択する。
【0074】
指定着陸地点がなく、着陸条件が最寄の着陸可能地点である場合、図12は、図10のステップS1005の詳細を示すフローチャートである。
【0075】
図12のステップS1201において、乗継ぎ決定部408は、ステップS1005において地点テーブル414から検索した最寄の着陸可能地点が、地上車両の駐車が可能か不可能かを判断し、駐車可能であれば、ステップS1204に進み、着陸地点を待合せ地点として選択する。ステップS1204の処理の後は、ステップS1205に進む。
【0076】
ステップS1201において、乗継ぎ決定部408は、ステップS1005において地点テーブル414から検索した最寄の着陸可能地点が駐車不可能であれば、ステップS1202に進み、着陸可能地点付近かつ地上車両の駐車が可能な待合せ地点候補を地点テーブル414から検索する。そして、ステップS1203に進む。
【0077】
ステップS1203において、乗継ぎ決定部408は、ステップS1202で検索した候補より、着陸可能地点から最短時間で行ける候補を待合せ地点として選択する。そして、ステップS1205に進む。
【0078】
ステップS1205において、乗継ぎ決定部408は、ステップS1203で選択した候補と、小型飛行体104の運航計画テーブル415を参照し、待合せ地点周辺かつ小型飛行体104の積載物の運搬に適した地上車両を取引先テーブル416から検索し、ステップS1206において、待合せ地点への所要時間が最小かつ積載物の運搬が可能な結果を地上車両として選択する。
【0079】
図13は、図10のステップS1006の詳細を示すフローチャートである。
【0080】
最寄りの地点に着陸する必要がない場合、図13のステップS1301において、乗継ぎ決定部408は、最小見積時間の初期値を設定する。図示した例では9999分としてあるが、最小見積時間は考えうる最大時間以上の範囲で任意の値に設定可能である。
【0081】
次に、ステップS1302において、乗継ぎ決定部408は、環境情報受信部406、環境予測部407、小型飛行体104の運航計画テーブル415の情報に基づき着陸地点までの飛行時間を計算し、ステップS1303において、乗継ぎ決定部408は、地点テーブル414から着陸地点候補付近の待合せ地点候補を検索する。そして、ステップS1304において、乗継ぎ決定部408は、地点テーブル414を参照し、着陸地点候補から当該待ち合わせ地点候補までの移動時間を求め、ステップS1305において、乗継ぎ決定部408は、地点テーブル414を参照し、指定着陸地点が公共機関かその他の着陸地点かを判断する。
【0082】
ステップS1305において、指定着陸地点が公共機関の場合は、ステップS1306に進み、指定着陸地点がその他の着陸地点の場合は、ステップS1310に進む。
【0083】
ステップS1306において、乗継ぎ決定部408は、地点テーブル414および運航計画テーブル415の情報に基づき、待合せ地点候補から目的地までの移動時間を求める。
【0084】
次に、ステップS1307において、乗継ぎ決定部408は、環境情報受信部406、環境予測部407、地点テーブル414、運航計画テーブル415の情報に基づき、目的地までの見積旅行時間を計算する。目的地までの見積旅行時間は、小型飛行体104の位置から着陸地点までの移動時間と、着陸地点から待合せ地点までの移動時間と、待ち合わせ地点から目的地までの移動時間とを加えた時間である。
【0085】
そして、ステップS1308において、乗継ぎ決定部408は、見積旅行時間が最小見積時間より小か否かを判断し、見積旅行時間が最小見積時間より小であれば、ステップS1309に進み、最小見積時間を見積旅行時間として車両数の処理ループを抜け、待ち合わせ地点候補数だけステップS1304からステップS1315を繰り返す。
【0086】
ステップS1308において、見積旅行時間が最小見積時間より以上であればそのまま車両数の処理ループを抜け、待ち合わせ地点候補数だけステップS1304からステップS1315を繰り返す。
【0087】
ステップS1305において、指定着陸地点が公共機関以外の場合は、ステップS1310に進み、乗継ぎ決定部408は、待ち合わせ地点に来られる車両を取引先テーブル416から検索する。
【0088】
そして、ステップS1311において、乗継ぎ決定部408は、地点テーブル414および取引先テーブル416の情報に基づき、車両管理会社603から待合せ地点候補までの移動時間を求める。次にステップS1312において、乗継ぎ決定部408は、地点テーブル414の情報に基づき、待合せ地点候補から目的地までの移動時間を求める。
【0089】
ステップS1313において、乗継ぎ決定部408は、乗継ぎ決定部408は、環境情報受信部406、環境予測部407、地点テーブル414、運航計画テーブル415、取引先テーブル416の情報に基づき、目的地までの見積旅行時間を計算する。目的地までの見積旅行時間は、max(飛行体位置から着陸地点までの時間と+着陸地点から待合せ地点までの時間、車両管理会社603から待合せ地点の時間までの時間+待ち合わせ地点から目的地までの時間)である。尚、maxとは最大値を意味する。
【0090】
次に、ステップS1314において、乗継ぎ決定部408は、見積旅行時間が最小見積時間より小か否かを判断する。見積旅行時間が最小見積時間より小である場合は、ステップS1315に進み、最小見積時間を見積旅行時間とし、そうでない場合、最小見積時間はそのままとする。そして、予め定めた車両数となるまで、ステップS1311からS1315を繰り返す。
【0091】
予め定めた車両数の処理ループを抜けると、着陸地点候補数まで、ステップS1302からステップS1315を繰り返す。
【0092】
そして、着陸地点候補数の処理ループを抜けると、ステップS1316に進み、乗継ぎ決定部408は、最小見積時間を実現する着陸地点および待ち合わせ地点を選択し、処理は終了する。
【実施例0093】
実施例2では、小型飛行体により新たな着陸地点の候補を探索する実施例について説明する。
【0094】
図14は、小型飛行体側システム400の動作フローチャートである。
【0095】
図14のステップS1401において、小型飛行体104のGNSS303で自己位置を計測し、ステップS1402にて、レーダ301を地面に向けて照射する。
【0096】
ステップS1403において、小型飛行体104の制御部305は、ステップS1402で計測した地面の、高さ座標が一定範囲の個所をグルーピングし、平地とみなす。
【0097】
そして、ステップS1404において、制御部305は、ステップS1403で求めた平地の平地面積が予め定めた閾値より大か否かを判断し、閾値より大であれば、ステップS1405で着陸地点候補に追加する。
【0098】
ステップS1404において、制御部305は、ステップS1403で求めた平地の平地面積が予め定めた閾値以下であれば、次の平地を判断する。ステップS1404およびS1405は、所定の平地数となるまで繰り返す。
【0099】
ステップS1406において、小型飛行体104は、所定の数の着陸地点候補の平地近傍についてカメラ302により視程を計測する。
【0100】
図15Aは、小型飛行体104から運行管理装置1に送信する着陸候補地についての全体データフォーマットの説明図であり、図15Bは視程レベルに関するデータフォーマット説明図である。
【0101】
図15Aにおいて、全体データフォーマットは、飛行体ID1501と、送信時刻1502と、自己位置1503と、飛行速度1507と、指定推定結果1512と、平地検知結果1518とからなる。
【0102】
自己位置1503は、X座標1504と、Y座標1505と、Z座標1506と、を含んでいる。また、飛行速度1507は、方位情報1508と、速さ1511と、を含み、方位情報1508は、垂直角度1509と、水平角度1510と、を含む。
【0103】
視程推定結果1512は、方位数1513と、方位情報1514と、を含み、方位情報1514は、視程レベル1515と、垂直角度1516と、水平角度1517と、を含む。
【0104】
平地検知結果1518は、検知数1519と、方位情報1320と、を含み、方位情報1320は、距離1521と、垂直角度1522と、水平角度1523と、を含む。
【0105】
図15Bにおいて、視程レベルは、1、2、3、4の4レベルであり、レベル1のステータスは「雲または霧で視程が悪い」であり、値は-1である。レベル2のステータスは「障害物あり」であり、値は0である。レベル3のステータスは「視程良好」であり、値は1である。レベル4のステータスは「飛行禁止」であり、値は-10である。
【0106】
図16は、運行管理装置1の環境予測部407の動作フローチャートである。
【0107】
図16のステップS1601において、環境予測部407は、小型飛行体104の環境情報送信部403から受信したデータ(図15A)から自己位置情報を取り出し、ステップS1602において、受信したデータ(図15A)から視程推定結果を取り出す。
【0108】
次に、ステップS1603において、環境予測部407は、自己位置情報に基づき、ブレゼンハムのアルゴリズムを用いて視程を割り当てるボクセル座標を算出する。次に、ステップS1604において、環境予測部407は、視程推定結果に基づき、視程レベルに対応した値をステップS1603で視程を割り当てたボクセルの値に加算する。ステップS1604の動作は、割り当てボクセル数だけ繰り返される。そして、ステップS1603およびステップS1604の動作は、方位数だけ繰り返される。
【0109】
次に、ステップS1605において、環境予測部407は、ステップS1604で視程レベルの値を付加したボクセル座標における風況予測結果を風況センサ105または環境情報受信部406より得て、ステップS1606にて、風向と風速に基づいてボクセルの値を移動する。ステップS1605およびS1606の動作は、ボクセル数だけ繰り返される。さらに、ステップS1605およびS1606の動作は、予測時刻数だけ繰り返される。そして、処理は終了する。
【0110】
図17は、運行管理装置1の乗継ぎ決定部408における着陸地点候補検索の動作フローチャートである。
【0111】
図17のステップS1701において、乗継ぎ決定部408は、地点テーブル414に対して小型飛行体104の位置周辺における地点検索のSQL(データベース言語)を発行する。次にステップS1701において、乗継ぎ決定部408は、環境予測部407で演算した着陸地点候補に対して「視界良好」の範囲か否かを判断し、「視界良好」の範囲であれば、ステップS1703に進み、着陸地点候補リストに追加する。そして、ヒット数だけ、ステップS1702とS1703を繰り返す。ステップS1702において、「視界良好」の範囲ではなかった場合も、ヒット数まで、ステップS1702とS1703を繰り返す。
【実施例0112】
実施例3では、運航管理装置1の入力装置205に関する実施例を説明する。
【0113】
図18は、入力装置205の入力画面1801の表示例を示す図である。
【0114】
図18に示した例は、オペレータ418が障害を入力する画面例であり、障害の発生範囲、障害の内容、障害のレベルが表示されている。マウスポインタ1803により、障害(図示した例では、工場1802における火災)が発生した範囲1804を指定し入力することができる。
【0115】
(その他の実施例)
なお、上述した実施例において、旅客604や貨物605の目的地までの移動を引き継ぐ車両の検出ができないか、車両の検出に時間がかかり、検出が遅延する場合が考えられる。この場合は、乗り継ぎ地点の上空でホバリングして、待機するか、他の代替地点に着陸して待機するかを選択して、小形飛行体104に通信するように構成してもよい。
【0116】
なお、上述した例において、本発明は、小型飛行体104に限らず、小型以外の飛行体にも適用可能である。
【0117】
また、運搬物は、旅客および貨物の総称である。
【符号の説明】
【0118】
1・・・運行管理装置、101・・・離着陸ポート、102・・・カメラ、103・・・レーダ、104・・・小型飛行体、105・・・風況センサ、106・・・風況、107・・・気象会社、108・・・家屋、109・・・飛行禁止エリア、110・・・ビル、111・・・管制センタ、201・・・制御部(CPU)、202・・・メモリ、203・・・通信装置、204・・・表示装置、205・・・入力装置、303・・・GNSS(全地球航法衛星システム)、304・・・記憶装置、305・・・制御部(CPU)、306・・・メモリ、400・・・小型飛行体側システム、401・・・環境認識部、402・・・自己位置推定部、403・・・環境情報送信部、404・・・経路情報受信部、405・・・飛行制御部、406・・・環境情報受信部、407・・・環境予測部、408・・・乗継ぎ決定部、409・・・着陸地点決定部、410・・・車両決定部、411・・・乗継ぎ地点決定部、412・・・飛行経路算出部、413・・・経路情報送信部、414・・・地点テーブル、415・・・運航計画テーブル、416・・・取引先テーブル、417・・・入力部、418・・・オペレータ、419・・・運行管理装置側システム、601・・・着陸地点、602・・・待ち合わせ地点、603、車両管理会社、604・・・旅客、605・・・貨物、606・・・車両、607・・・目的地、701・・・駅、1801・・・表示画面、1802・・・工場、1803・・・マウスポインタ、1804・・・指定範囲
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18