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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161734
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】ガス製造装置、及びガス製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
B01D53/26 231
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076712
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】国保 典男
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA02
4D052CC00
4D052CC10
4D052CD00
4D052DA03
4D052DA05
4D052DB01
4D052GA01
4D052GA03
4D052GB04
4D052GB07
4D052GB08
4D052HA01
4D052HA02
4D052HA03
(57)【要約】
【課題】ガス製造効率を向上させること。
【解決手段】ガス製造装置10は、単一ガスとは別のガスであり、圧縮された再生用乾燥ガスを大気圧に減圧した状態で、再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給する再生用乾燥ガス供給部30と、再生工程後の吸着筒内の水分を含んだガスを真空引きしてガスを大気へ排出するガス真空引き工程を実行するために駆動するガス真空ポンプ40と、吸着工程後の吸着筒内の単一ガスを回収して供給ライン15へ還流させる単一ガス回収工程を実行するために駆動する単一ガス回収ポンプ41と、を備え、ガス真空引き工程後に吸着筒内に単一ガスを充填してから吸着工程を実行するとともに、単一ガス回収工程後に再生工程を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤を内部に収容する吸着筒を備え、
供給ラインから前記吸着筒内に供給される単一ガスに含まれている水分を前記吸着剤により吸着して乾燥ガスとして流出させる吸着工程と、前記吸着工程後に前記吸着剤に含まれている水分を離脱させて前記吸着剤を再生する再生工程と、が前記吸着筒にて交互に繰り返し実行され、
前記吸着工程後に前記再生工程にて前記吸着剤を再生して当該吸着剤を内部に収容する吸着筒にて前記吸着工程を再び実行するまでの間、別の吸着筒にて前記吸着工程を実行し得るべく前記吸着筒を複数備えたガス製造装置であって、
前記単一ガスとは別のガスであり、圧縮された再生用乾燥ガスを大気圧に減圧した状態で、前記再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給する再生用乾燥ガス供給部と、
前記再生工程後の吸着筒内の水分を含んだガスを真空引きして前記ガスを大気へ排出するガス真空引き工程を実行するために駆動するガス真空ポンプと、
前記吸着工程後の吸着筒内の単一ガスを回収して前記供給ラインへ還流させる単一ガス回収工程を実行するために駆動する単一ガス回収ポンプと、を備え、
前記ガス真空引き工程後に前記吸着筒内に単一ガスを充填してから前記吸着工程を実行するとともに、前記単一ガス回収工程後に前記再生工程を実行することを特徴とするガス製造装置。
【請求項2】
前記再生用乾燥ガスは、乾燥空気であり、
前記再生用乾燥ガス供給部は、
圧縮空気に含まれる水分を吸着して前記乾燥空気を流出させるエアドライヤと、
前記エアドライヤから流出した乾燥空気を大気圧に減圧するオリフィスと、
前記オリフィスを通過した乾燥空気が前記再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給されるべく前記乾燥空気の流れを切り換える乾燥空気切換弁と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のガス製造装置。
【請求項3】
前記再生工程にて水分を含んだガスを大気へ排出する第1切換状態と、前記ガス真空引き工程にて前記再生工程後の吸着筒内のガスを前記ガス真空ポンプの駆動によって真空引きして大気へ排出する第2切換状態と、に切換可能な第1切換弁を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガス製造装置。
【請求項4】
前記第1切換弁が前記第1切換状態のときに、前記再生工程にて水分を含んだガスを大気へ排出し、且つ、前記第1切換弁が前記第2切換状態のときに、前記ガス真空引き工程にて前記再生工程後の吸着筒内のガスを前記ガス真空ポンプの駆動によって真空引きして大気へ排出する第3切換状態と、前記単一ガス回収工程にて前記吸着工程後の吸着筒内の単一ガスを回収して前記供給ラインへ還流させる第4切換状態と、に切換可能な第2切換弁を備えていることを特徴とする請求項3に記載のガス製造装置。
【請求項5】
前記単一ガス回収ポンプは、
前記吸着工程後の吸着筒内の単一ガスを真空引きする単一ガス真空ポンプと、
前記単一ガス真空ポンプによって真空引きされた単一ガスを前記供給ラインへ還流させるために前記単一ガスを圧縮して吐出する圧縮ポンプと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のガス製造装置。
【請求項6】
前記圧縮ポンプは、前記供給ラインから前記圧縮ポンプの内部に向かう単一ガスの流れを遮断するチェック弁を有していることを特徴とする請求項5に記載のガス製造装置。
【請求項7】
前記供給ラインから前記単一ガス回収ポンプに向かう単一ガスの流れを遮断する逆止弁を備えていることを特徴とする請求項1に記載のガス製造装置。
【請求項8】
供給ラインから吸着筒内に供給される単一ガスに含まれている水分を吸着剤により吸着して乾燥ガスとして流出させる吸着工程と、前記吸着工程後に前記吸着剤に含まれている水分を離脱させて前記吸着剤を再生する再生工程と、を前記吸着筒にて交互に繰り返し実行し、
前記吸着工程後に前記再生工程にて前記吸着剤を再生して当該吸着剤を内部に収容する吸着筒にて前記吸着工程を再び実行するまでの間、別の吸着筒にて前記吸着工程を実行するガス製造方法であって、
前記再生工程では、前記単一ガスとは別のガスであり、圧縮された再生用乾燥ガスを大気圧に減圧した状態で、前記再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給し、
前記再生工程後の吸着筒内の水分を含んだガスを真空引きして前記ガスを大気へ排出するガス真空引き工程を実行し、
前記吸着工程後の吸着筒内の単一ガスを回収して前記供給ラインへ還流させる単一ガス回収工程を実行し、
前記ガス真空引き工程後に前記吸着筒内に単一ガスを充填してから前記吸着工程を実行するとともに、前記単一ガス回収工程後に前記再生工程を実行することを特徴とするガス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス製造装置、及びガス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素ガスや酸素ガス等の単一ガスを乾燥ガスとして利用するためには、単一ガスに含まれている水分を吸着して乾燥ガスとする必要がある。そこで、例えば特許文献1に開示されているように、吸着剤を内部に収容する吸着筒を備えたガス製造装置が知られている。このようなガス製造装置では、吸着工程と、再生工程と、が吸着筒にて交互に繰り返し実行される。吸着工程では、供給ラインから吸着筒内に供給される単一ガスに含まれている水分を吸着剤により吸着して乾燥ガスとして流出させる。再生工程では、吸着工程後に吸着剤に含まれている水分を離脱させて吸着剤を再生する。そして、ガス製造装置は、吸着工程後に再生工程にて吸着剤を再生して当該吸着剤を内部に収容する吸着筒にて吸着工程を再び実行するまでの間、別の吸着筒にて吸着工程を実行し得るべく吸着筒を複数備えている。
【0003】
このようなガス製造装置においては、吸着工程にて得られた乾燥ガスの一部を大気圧に減圧した状態で、再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給している。このようにすることで、再生工程を実行すべき対象である吸着筒内の雰囲気が乾燥ガスと平衡状態となろうとして、吸着剤に含まれている水分が乾燥ガスに効率良く離脱される。そして、再生工程にて水分を含んだガスはそのまま大気に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-148001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように、再生工程にて水分を含んだガスがそのまま大気に排出されると、結果的に、吸着工程にて得られた乾燥ガスの一部が無駄に大気に排出されることになるため、ガス製造効率が悪化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための各態様を記載する。
[態様1]
吸着剤を内部に収容する吸着筒を備え、
供給ラインから前記吸着筒内に供給される単一ガスに含まれている水分を前記吸着剤により吸着して乾燥ガスとして流出させる吸着工程と、前記吸着工程後に前記吸着剤に含まれている水分を離脱させて前記吸着剤を再生する再生工程と、が前記吸着筒にて交互に繰り返し実行され、
前記吸着工程後に前記再生工程にて前記吸着剤を再生して当該吸着剤を内部に収容する吸着筒にて前記吸着工程を再び実行するまでの間、別の吸着筒にて前記吸着工程を実行し得るべく前記吸着筒を複数備えたガス製造装置であって、
前記単一ガスとは別のガスであり、圧縮された再生用乾燥ガスを大気圧に減圧した状態で、前記再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給する再生用乾燥ガス供給部と、
前記再生工程後の吸着筒内の水分を含んだガスを真空引きして前記ガスを大気へ排出するガス真空引き工程を実行するために駆動するガス真空ポンプと、
前記吸着工程後の吸着筒内の単一ガスを回収して前記供給ラインへ還流させる単一ガス回収工程を実行するために駆動する単一ガス回収ポンプと、を備え、
前記ガス真空引き工程後に前記吸着筒内に単一ガスを充填してから前記吸着工程を実行するとともに、前記単一ガス回収工程後に前記再生工程を実行することを特徴とするガス製造装置。
【0007】
[態様2]
前記再生用乾燥ガスは、乾燥空気であり、
前記再生用乾燥ガス供給部は、
圧縮空気に含まれる水分を吸着して前記乾燥空気を流出させるエアドライヤと、
前記エアドライヤから流出した乾燥空気を大気圧に減圧するオリフィスと、
前記オリフィスを通過した乾燥空気が前記再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給されるべく前記乾燥空気の流れを切り換える乾燥空気切換弁と、を含むことを特徴とする[態様1]に記載のガス製造装置。
【0008】
[態様3]
前記再生工程にて水分を含んだガスを大気へ排出する第1切換状態と、前記ガス真空引き工程にて前記再生工程後の吸着筒内のガスを前記ガス真空ポンプの駆動によって真空引きして大気へ排出する第2切換状態と、に切換可能な第1切換弁を備えていることを特徴とする[態様1]又は[態様2]に記載のガス製造装置。
【0009】
[態様4]
前記第1切換弁が前記第1切換状態のときに、前記再生工程にて水分を含んだガスを大気へ排出し、且つ、前記第1切換弁が前記第2切換状態のときに、前記ガス真空引き工程にて前記再生工程後の吸着筒内のガスを前記ガス真空ポンプの駆動によって真空引きして大気へ排出する第3切換状態と、前記単一ガス回収工程にて前記吸着工程後の吸着筒内の単一ガスを回収して前記供給ラインへ還流させる第4切換状態と、に切換可能な第2切換弁を備えていることを特徴とする[態様3]に記載のガス製造装置。
【0010】
[態様5]
前記単一ガス回収ポンプは、
前記吸着工程後の吸着筒内の単一ガスを真空引きする単一ガス真空ポンプと、
前記単一ガス真空ポンプによって真空引きされた単一ガスを前記供給ラインへ還流させるために前記単一ガスを圧縮して吐出する圧縮ポンプと、を含むことを特徴とする[態様1]~[態様4]のいずれか1つに記載のガス製造装置。
【0011】
[態様6]
前記圧縮ポンプは、前記供給ラインから前記圧縮ポンプの内部に向かう単一ガスの流れを遮断するチェック弁を有していることを特徴とする[態様5]に記載のガス製造装置。
【0012】
[態様7]
前記供給ラインから前記単一ガス回収ポンプに向かう単一ガスの流れを遮断する逆止弁を備えていることを特徴とする[態様1]~[態様6]のいずれか1つに記載のガス製造装置。
【0013】
[態様8]
供給ラインから吸着筒内に供給される単一ガスに含まれている水分を吸着剤により吸着して乾燥ガスとして流出させる吸着工程と、前記吸着工程後に前記吸着剤に含まれている水分を離脱させて前記吸着剤を再生する再生工程と、を前記吸着筒にて交互に繰り返し実行し、
前記吸着工程後に前記再生工程にて前記吸着剤を再生して当該吸着剤を内部に収容する吸着筒にて前記吸着工程を再び実行するまでの間、別の吸着筒にて前記吸着工程を実行するガス製造方法であって、
前記再生工程では、前記単一ガスとは別のガスであり、圧縮された再生用乾燥ガスを大気圧に減圧した状態で、前記再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給し、
前記再生工程後の吸着筒内の水分を含んだガスを真空引きして前記ガスを大気へ排出するガス真空引き工程を実行し、
前記吸着工程後の吸着筒内の単一ガスを回収して前記供給ラインへ還流させる単一ガス回収工程を実行し、
前記ガス真空引き工程後に前記吸着筒内に単一ガスを充填してから前記吸着工程を実行するとともに、前記単一ガス回収工程後に前記再生工程を実行することを特徴とするガス製造方法。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、ガス製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態におけるガス製造装置を示す模式図である。
図2図2は、吸着工程及び再生工程を説明するための図である。
図3図3は、吸着工程及びガス真空引き工程を説明するための図である。
図4図4は、吸着工程及び単一ガス充填工程を説明するための図である。
図5図5は、単一ガス回収工程及び吸着工程を説明するための図である。
図6図6は、再生工程及び吸着工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、ガス製造装置を具体化した一実施形態を図1図6にしたがって説明する。本実施形態のガス製造装置は、単一ガスである水素ガスに含まれている水分を吸着して乾燥ガスとする。
【0017】
<ガス製造装置の概要>
図1に示すように、ガス製造装置10は、第1吸着筒11及び第2吸着筒12を備えている。第1吸着筒11は、吸着剤としての第1吸着剤13を内部に収容する吸着筒である。第2吸着筒12は、吸着剤としての第2吸着剤14を内部に収容する吸着筒である。したがって、ガス製造装置10は、吸着筒を複数備えている。第1吸着剤13及び第2吸着剤14は、水分を吸着可能に構成されている。第1吸着剤13及び第2吸着剤14としては、例えば、活性アルミナ、シリカゲル、合成ゼオライト等が挙げられる。
【0018】
ガス製造装置10は、供給ライン15を備えている。供給ライン15は、供給メイン配管16と、第1供給分岐配管17と、第2供給分岐配管18と、を有している。供給メイン配管16の第1端は、水素ガス供給源19に接続されている。なお、水素ガス供給源19から供給される水素ガスは、電気分解により生成された水分を含んだ湿潤水素ガスである。
【0019】
第1供給分岐配管17の第1端及び第2供給分岐配管18の第1端は、供給メイン配管16の第2端にそれぞれ接続されている。したがって、第1供給分岐配管17及び第2供給分岐配管18は、供給メイン配管16の第2端から分岐している。第1供給分岐配管17の第2端は、第1吸着筒11の第1口11aに接続されている。第2供給分岐配管18の第2端は、第2吸着筒12の第1口12aに接続されている。
【0020】
供給ライン15は、第1供給切換弁20及び第2供給切換弁21を備えている。第1供給切換弁20は、第1供給分岐配管17に設けられている。第2供給切換弁21は、第2供給分岐配管18に設けられている。第1供給切換弁20及び第2供給切換弁21は、二方弁である。第1供給切換弁20及び第2供給切換弁21は、オンオフ弁である。
【0021】
ガス製造装置10は、乾燥ガス供給ライン22を備えている。乾燥ガス供給ライン22は、第1乾燥ガス供給配管23と、第2乾燥ガス供給配管24と、乾燥ガス合流配管25と、を有している。第1乾燥ガス供給配管23の第1端は、第1吸着筒11の第2口11bに接続されている。第2乾燥ガス供給配管24の第1端は、第2吸着筒12の第2口12bに接続されている。乾燥ガス合流配管25の第1端は、第1乾燥ガス供給配管23の第2端及び第2乾燥ガス供給配管24の第2端にそれぞれ接続されている。したがって、第1乾燥ガス供給配管23及び第2乾燥ガス供給配管24は、乾燥ガス合流配管25に合流している。乾燥ガス合流配管25の第2端は、乾燥ガスの図示しない供給対象に接続されている。
【0022】
乾燥ガス供給ライン22は、第1乾燥ガス切換弁26及び第2乾燥ガス切換弁27を備えている。第1乾燥ガス切換弁26は、第1乾燥ガス供給配管23に設けられている。第2乾燥ガス切換弁27は、第2乾燥ガス供給配管24に設けられている。第1乾燥ガス切換弁26及び第2乾燥ガス切換弁27は、二方弁である。第1乾燥ガス切換弁26及び第2乾燥ガス切換弁27は、オンオフ弁である。
【0023】
ガス製造装置10は、再生用乾燥ガス供給部30を備えている。再生用乾燥ガス供給部30は、エアドライヤ31と、オリフィス32と、乾燥空気切換弁33と、を含む。エアドライヤ31は、周知の構成であるヒートレス乾燥剤式ドライヤである。エアドライヤ31は、圧縮空気に含まれる水分を吸着して乾燥空気を流出させる。本実施形態の再生用乾燥ガスは、乾燥空気である。したがって、再生用乾燥ガスは、単一ガスである水素ガスとは別のガスである。
【0024】
乾燥空気切換弁33は、三方弁である。乾燥空気切換弁33は、第1接続口33a、第2接続口33b、及び第3接続口33cを有している。乾燥空気切換弁33は、第1接続口33aと第2接続口33bとを接続する第1状態と、第1接続口33aと第3接続口33cとを接続する第2状態と、に切換可能に構成されている。乾燥空気切換弁33は、オンオフ弁である。
【0025】
ガス製造装置10は、圧縮空気供給配管34と、乾燥空気供給配管35と、第1乾燥空気分岐配管36と、第2乾燥空気分岐配管37と、を有している。圧縮空気供給配管34の第1端は、圧縮空気供給源38に接続されている。圧縮空気供給配管34の第2端は、エアドライヤ31の第1口31aに接続されている。乾燥空気供給配管35の第1端は、エアドライヤ31の第2口31bに接続されている。乾燥空気供給配管35の第2端は、乾燥空気切換弁33の第1接続口33aに接続されている。乾燥空気供給配管35には、エアドライヤ31の第2口31bから流出した乾燥空気が流れる。
【0026】
第1乾燥空気分岐配管36の第1端は、乾燥空気切換弁33の第2接続口33bに接続されている。第1乾燥空気分岐配管36の第2端は、第1乾燥ガス供給配管23における第1乾燥ガス切換弁26よりも第1吸着筒11寄りの部分に接続されている。第2乾燥空気分岐配管37の第1端は、乾燥空気切換弁33の第3接続口33cに接続されている。第2乾燥空気分岐配管37の第2端は、第2乾燥ガス供給配管24における第2乾燥ガス切換弁27よりも第2吸着筒12寄りの部分に接続されている。
【0027】
オリフィス32は、乾燥空気供給配管35に設けられている。オリフィス32は、固定絞りである。オリフィス32は、乾燥空気供給配管35を流れる乾燥空気を大気圧に減圧可能に構成されている。したがって、オリフィス32は、エアドライヤ31から流出した乾燥空気を大気圧に減圧する。
【0028】
ガス製造装置10は、ガス真空ポンプ40と、単一ガス回収ポンプ41と、第1切換弁42と、第2切換弁43と、排出切換弁44と、を備えている。単一ガス回収ポンプ41は、単一ガス真空ポンプ60と、圧縮ポンプ61と、を含む。
【0029】
第1切換弁42は、三方弁である。第1切換弁42は、第1接続口42a、第2接続口42b、及び第3接続口42cを有している。第1切換弁42は、第1接続口42aと第2接続口42bとを接続する第1状態と、第1接続口42aと第3接続口42cとを接続する第2状態と、に切換可能に構成されている。第1切換弁42は、オンオフ弁である。
【0030】
第2切換弁43は、三方弁である。第2切換弁43は、第1接続口43a、第2接続口43b、及び第3接続口43cを有している。第2切換弁43は、第1接続口43aと第2接続口43bとを接続する第1状態と、第1接続口43aと第3接続口43cとを接続する第2状態と、に切換可能に構成されている。第2切換弁43は、比例弁である。
【0031】
排出切換弁44は、三方弁である。排出切換弁44は、第1接続口44a、第2接続口44b、及び第3接続口44cを有している。排出切換弁44は、第1接続口44aと第2接続口44bとを接続する第1状態と、第1接続口44aと第3接続口44cとを接続する第2状態と、に切換可能に構成されている。排出切換弁44は、オンオフ弁である。
【0032】
ガス製造装置10は、排出ライン45を備えている。排出ライン45は、第1排出接続配管46、第2排出接続配管47、合流排出配管48、第3排出接続配管49、大気排出配管50、及び第4排出接続配管51を有している。
【0033】
第1排出接続配管46の第1端は、第1供給分岐配管17における第1供給切換弁20よりも第1吸着筒11寄りの部分に接続されている。第1排出接続配管46の第2端は、排出切換弁44の第2接続口44bに接続されている。第2排出接続配管47の第1端は、第2供給分岐配管18における第2供給切換弁21よりも第2吸着筒12寄りの部分に接続されている。第2排出接続配管47の第2端は、排出切換弁44の第3接続口44cに接続されている。
【0034】
合流排出配管48の第1端は、排出切換弁44の第1接続口44aに接続されている。合流排出配管48の第2端は、第2切換弁43の第1接続口43aに接続されている。第3排出接続配管49の第1端は、第2切換弁43の第2接続口43bに接続されている。第3排出接続配管49の第2端は、第1切換弁42の第1接続口42aに接続されている。大気排出配管50の第1端は、第1切換弁42の第2接続口42bに接続されている。大気排出配管50の第2端は、大気に開放されている。第4排出接続配管51の第1端は、第1切換弁42の第3接続口42cに接続されている。第4排出接続配管51の第2端は、ガス真空ポンプ40の吸入口40aに接続されている。ガス真空ポンプ40の吐出口40bは、図示しない配管を介して大気に開放されている。
【0035】
ガス製造装置10は、回収ライン62を備えている。回収ライン62は、第1回収配管63、第2回収配管64、及び第3回収配管65を有している。第1回収配管63の第1端は、第2切換弁43の第3接続口43cに接続されている。第1回収配管63の第2端は、単一ガス真空ポンプ60の吸入口60aに接続されている。第2回収配管64の第1端は、単一ガス真空ポンプ60の吐出口60bに接続されている。第2回収配管64の第2端は、圧縮ポンプ61の吸入口61aに接続されている。第3回収配管65の第1端は、圧縮ポンプ61の吐出口61bに接続されている。第3回収配管65の第2端は、供給メイン配管16に接続されている。
【0036】
ガス製造装置10は、逆止弁66を備えている。逆止弁66は、第3回収配管65に設けられている。逆止弁66は、圧縮ポンプ61から第3回収配管65を介して供給メイン配管16に向かう水素ガスの流れを許容する。逆止弁66は、供給メイン配管16から第3回収配管65を介して圧縮ポンプ61に向かう水素ガスの流れを遮断する。したがって、逆止弁66は、供給ライン15から単一ガス回収ポンプ41に向かう水素ガスの流れを遮断する。
【0037】
圧縮ポンプ61は、チェック弁61vを有している。チェック弁61vは、例えば、圧縮ポンプ61の吐出口61bに設けられている。チェック弁61vは、吐出口61bから第3回収配管65に吐出される水素ガスの流れを許容する。チェック弁61vは、第3回収配管65から吐出口61bを介して圧縮ポンプ61の内部に向かう水素ガスの流れを遮断する。したがって、チェック弁61vは、供給ライン15から圧縮ポンプ61の内部に向かう水素ガスの流れを遮断する。
【0038】
ガス製造装置10は、第1タンク67及び第2タンク68を備えている。第1タンク67は、第1回収配管63に連通している。第2タンク68は、第2回収配管64に連通している。第1タンク67には、第1回収配管63を流れる水素ガスの一部が貯留される。第2タンク68には、第2回収配管64を流れる水素ガスの一部が貯留される。
【0039】
<ガス製造装置10の電気的構成>
ガス製造装置10は、制御装置70を備えている。制御装置70は、中央処理制御装置(CPU)を備えている。また、制御装置70は、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等により構成されるメモリを備えている。さらに、制御装置70は、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えている。
【0040】
制御装置70は、第1供給切換弁20、第2供給切換弁21、第1乾燥ガス切換弁26、第2乾燥ガス切換弁27、乾燥空気切換弁33、第1切換弁42、第2切換弁43、及び排出切換弁44に電気的に接続されている。制御装置70は、第1供給切換弁20、第2供給切換弁21、第1乾燥ガス切換弁26、第2乾燥ガス切換弁27、乾燥空気切換弁33、第1切換弁42、第2切換弁43、及び排出切換弁44それぞれの駆動を制御する。
【0041】
制御装置70は、エアドライヤ31、ガス真空ポンプ40、単一ガス真空ポンプ60、及び圧縮ポンプ61に電気的に接続されている。制御装置70は、エアドライヤ31、ガス真空ポンプ40、単一ガス真空ポンプ60、及び圧縮ポンプ61の駆動を制御する。
【0042】
<各工程>
図2に示すように、制御装置70には、第1吸着筒11にて吸着工程を実行するとともに第2吸着筒12にて再生工程を実行する第1プログラムが予め記憶されている。吸着工程では、供給ライン15から第1吸着筒11内に供給される水素ガスに含まれている水分を第1吸着剤13により吸着して乾燥ガスとして流出させる。再生工程では、吸着工程後に第2吸着剤14に含まれている水分を離脱させて第2吸着剤14を再生する。
【0043】
第1プログラムでは、第1供給切換弁20を開弁状態にするとともに第2供給切換弁21を閉弁状態にする。第1プログラムでは、第1乾燥ガス切換弁26を開弁状態にするとともに第2乾燥ガス切換弁27を閉弁状態にする。第1プログラムでは、乾燥空気切換弁33を、第1接続口33aと第3接続口33cとを接続する第2状態に切り換える。第1プログラムでは、第1切換弁42を第1接続口42aと第2接続口42bとを接続する第1状態に切り換える。第1プログラムでは、第2切換弁43を第1接続口43aと第2接続口43bとを接続する第1状態に切り換える。第1プログラムでは、排出切換弁44を第1接続口44aと第3接続口44cとを接続する第2状態に切り換える。第1プログラムでは、エアドライヤ31が駆動している。第1プログラムでは、ガス真空ポンプ40、単一ガス真空ポンプ60、及び圧縮ポンプ61の駆動が停止している。
【0044】
図3に示すように、制御装置70は、第1吸着筒11にて吸着工程を実行するとともに第2吸着筒12にてガス真空引き工程を実行する第2プログラムが予め記憶されている。ガス真空引き工程では、再生工程後の第2吸着筒12内の水分を含んだガスである空気を真空引きして空気を大気へ排出する。第2プログラムは、第1プログラムが開始されてから一定時間経過後に実行されるように予め設定されている。なお、「一定時間」とは、第2吸着剤14に含まれている水分が再生工程によって十分に離脱して第2吸着剤14の再生が完了したと推定される時間である。この「一定時間」は、実験等によって予め求められている。
【0045】
第2プログラムでは、第1切換弁42を第1接続口42aと第3接続口42cとを接続する第2状態に切り換える。第2プログラムでは、ガス真空ポンプ40が駆動している。ガス真空ポンプ40は、ガス真空引き工程を実行するために駆動する。第2プログラムでは、エアドライヤ31の駆動が停止している。
【0046】
図4に示すように、制御装置70は、第1吸着筒11にて吸着工程を実行するとともに第2吸着筒12にて単一ガス充填工程を実行する第3プログラムが予め記憶されている。単一ガス充填工程では、ガス真空引き工程後の第2吸着筒12内に水素ガスを充填する。第3プログラムは、第2プログラムが開始されてから一定時間経過後に実行されるように予め設定されている。なお、「一定時間」とは、第2吸着筒12内の乾燥空気がガス真空引き工程によって十分に真空引きされたと推定される時間である。この「一定時間」は、実験等によって予め求められている。第3プログラムでは、第2供給切換弁21を開弁状態にする。第3プログラムでは、ガス真空ポンプ40の駆動が停止している。
【0047】
図5に示すように、制御装置70は、第1吸着筒11にて単一ガス回収工程を実行するとともに第2吸着筒12にて吸着工程を実行する第4プログラムが予め記憶されている。単一ガス回収工程では、吸着工程後の第1吸着筒11内の水素ガスを回収して供給ライン15へ還流させる。第4プログラムは、第3プログラムが開始されてから一定時間経過後に実行されるように予め設定されている。なお、「一定時間」とは、第2吸着筒12内に水素ガスが単一ガス充填工程によって十分に充填されたと推定される時間である。この「一定時間」は、実験等によって予め求められている。したがって、ガス製造装置10は、ガス真空引き工程後に第2吸着筒12内に水素ガスを充填してから吸着工程を実行する。
【0048】
第4プログラムでは、第1供給切換弁20を閉弁状態にする。第4プログラムでは、第1乾燥ガス切換弁26を閉弁状態にするとともに第2乾燥ガス切換弁27を開弁状態にする。第4プログラムでは、第2切換弁43を第1接続口43aと第3接続口43cとを接続する第2状態に切り換える。第4プログラムでは、排出切換弁44を第1接続口44aと第2接続口44bとを接続する第1状態に切り換える。第4プログラムでは、単一ガス真空ポンプ60及び圧縮ポンプ61が駆動している。単一ガス回収ポンプ41は、単一ガス回収工程を実行するために駆動する。
【0049】
図6に示すように、制御装置70は、第1吸着筒11にて再生工程を実行するとともに第2吸着筒12にて吸着工程を実行する第5プログラムが予め記憶されている。第5プログラムは、第4プログラムが開始されてから一定時間経過後に実行されるように予め設定されている。なお、「一定時間」とは、第1吸着筒11内の水素ガスが単一ガス回収工程によって十分に回収されたと推定される時間である。この「一定時間」は、実験等によって予め求められている。したがって、ガス製造装置10は、単一ガス回収工程後に再生工程を実行する。
【0050】
第5プログラムでは、乾燥空気切換弁33を、第1接続口33aと第2接続口33bとを接続する第1状態に切り換える。第5プログラムでは、第2切換弁43を第1接続口43aと第2接続口43bとを接続する第1状態に切り換える。第5プログラムでは、エアドライヤ31が駆動している。第5プログラムでは、単一ガス真空ポンプ60及び圧縮ポンプ61の駆動が停止している。
【0051】
これ以降、第2プログラムから第4プログラムにおいて、第1吸着筒11及び第2吸着筒12の各工程が逆になるように実行される。そして、第1プログラムに戻って再度第5プログラムまで実行される。このようにして、ガス製造装置10では、吸着工程と、再生工程と、が第1吸着筒11及び第2吸着筒12にて交互に繰り返し実行される。したがって、ガス製造装置10は、吸着工程後に再生工程にて吸着剤を再生して当該吸着剤を内部に収容する吸着筒にて吸着工程を再び実行するまでの間、別の吸着筒にて吸着工程を実行し得るべく吸着筒を複数備えている。
【0052】
[実施形態の作用]
次に、ガス製造方法の説明をしながら本実施形態の作用を説明する。ここでは、第1吸着筒11にて吸着工程から再生工程に移行するとともに第2吸着筒12にて再生工程から吸着工程に移行するまでの作用を説明する。なお、第1吸着筒11にて再生工程から吸着工程に移行するとともに第2吸着筒12にて吸着工程から再生工程に移行するまでの作用は、以下で説明する作用の逆となるだけであるため、その詳細な説明を省略する。
【0053】
図2に示すように、制御装置70は、まず、第1プログラムを実行する。すると、水素ガス供給源19から供給される水素ガスは、供給ライン15の供給メイン配管16及び第1供給分岐配管17を介して第1吸着筒11内に供給される。このとき、逆止弁66及びチェック弁61vによって、供給メイン配管16から単一ガス回収ポンプ41に向かう水素ガスの流れが遮断されている。
【0054】
そして、第1吸着筒11にて吸着工程が実行される。吸着工程では、供給ライン15から第1吸着筒11内に供給された水素ガスに含まれている水分を第1吸着剤13により吸着して乾燥ガスとして流出させる。第1吸着筒11から流出した乾燥ガスは、乾燥ガス供給ライン22の第1乾燥ガス供給配管23及び乾燥ガス合流配管25を介して乾燥ガスの供給対象に供給される。
【0055】
一方で、圧縮空気供給源38からの圧縮空気が、圧縮空気供給配管34を介してエアドライヤ31に供給される。エアドライヤ31は、圧縮空気供給源38から供給された圧縮空気に含まれている水分を吸着して乾燥空気として流出させる。エアドライヤ31から流出した乾燥空気は、乾燥空気供給配管35、第2乾燥空気分岐配管37、及び第2乾燥ガス供給配管24を通過して再生工程を実行すべき対象である第2吸着筒12内に供給される。オリフィス32は、エアドライヤ31から流出した乾燥空気を大気圧に減圧する。したがって、再生用乾燥ガス供給部30から第2吸着筒12内に供給される乾燥空気は、大気圧に減圧された状態で第2吸着筒12内に供給されている。
【0056】
第2吸着筒12内の雰囲気は、乾燥空気と平衡状態となろうとする。これにより、第2吸着剤14に含まれている水分が乾燥空気に効率良く離脱される。このようにして、吸着工程後に第2吸着剤14に含まれている水分を離脱させて第2吸着剤14を再生する再生工程が実行される。
【0057】
再生工程にて第2吸着筒12内で水分を含んだ空気は、第2吸着筒12内から第2供給分岐配管18、第2排出接続配管47、合流排出配管48、第3排出接続配管49、及び大気排出配管50を介して大気に排出される。したがって、第1プログラムでは、第1切換弁42は、再生工程にて水分を含んだ空気を大気へ排出する第1切換状態に切り換わっている。
【0058】
図3に示すように、制御装置70は、続けて、第1プログラムが開始されてから一定時間経過後に第2プログラムを実行する。すると、再生用乾燥ガス供給部30から第2吸着筒12内への乾燥空気の供給が停止される。そして、ガス真空ポンプ40の駆動によってガス真空引き工程が実行される。すると、再生工程後の第2吸着筒12内の水分を含んだ空気が真空引きされて、第2供給分岐配管18、第2排出接続配管47、合流排出配管48、第3排出接続配管49、及び第4排出接続配管51を介してガス真空ポンプ40から大気へ排出される。したがって、第2プログラムでは、第1切換弁42は、ガス真空引き工程にて再生工程後の第2吸着筒12内の空気をガス真空ポンプ40の駆動によって真空引きして大気へ排出する第2切換状態に切り換わっている。よって、第1切換弁42は、第1切換状態と、第2切換状態と、に切換可能である。そして、第1プログラムから第2プログラムまでの間では、第2切換弁43は、第1切換弁42が第1切換状態のときに、再生工程にて水分を含んだ空気を大気へ排出し、且つ、第1切換弁42が第2切換状態のときに、ガス真空引き工程にて再生工程後の第2吸着筒12内の空気をガス真空ポンプ40の駆動によって真空引きして大気へ排出する第3切換状態に切り換わっている。
【0059】
図4に示すように、制御装置70は、続けて、第2プログラムが開始されてから一定時間経過後に第3プログラムを実行する。すると、水素ガス供給源19から供給される水素ガスの一部は、供給ライン15の供給メイン配管16及び第2供給分岐配管18を介して第2吸着筒12内に供給される。このようにして、ガス真空引き工程後の第2吸着筒12内に水素ガスを充填する単一ガス充填工程が行われる。
【0060】
図5に示すように、制御装置70は、続けて、第3プログラムが開始されてから一定時間経過後に第4プログラムを実行する。すると、水素ガス供給源19から供給ライン15を介した第1吸着筒11内への水素ガスの供給が停止される。一方で、第2吸着筒12にて吸着工程が実行される。したがって、ガス製造装置10は、ガス真空引き工程後に第2吸着筒12内に水素ガスを充填してから吸着工程を実行する。吸着工程では、供給ライン15から第2吸着筒12内に供給された水素ガスに含まれている水分を第2吸着剤14により吸着して乾燥ガスとして流出させる。第2吸着筒12から流出した乾燥ガスは、乾燥ガス供給ライン22の第2乾燥ガス供給配管24及び乾燥ガス合流配管25を介して乾燥ガスの供給対象に供給される。
【0061】
さらに、単一ガス真空ポンプ60及び圧縮ポンプ61の駆動により、吸着工程後の第1吸着筒11内の水素ガスが回収されて供給ライン15へ還流される。具体的には、単一ガス真空ポンプ60の駆動により、第1吸着筒11内の水素ガスは、第1供給分岐配管17、第1排出接続配管46、合流排出配管48、及び第1回収配管63を介して単一ガス真空ポンプ60に流出する。このように、単一ガス真空ポンプ60は、吸着工程後の第1吸着筒11内の水素ガスを真空引きする。
【0062】
このとき、第1吸着筒11内から単一ガス真空ポンプ60に向けて流出する水素ガスの圧力は、第2切換弁43の開度が調整されることにより減圧されている。また、第1吸着筒11内から単一ガス真空ポンプ60に向けて流出する水素ガスの圧力は、第1回収配管63を流れる水素ガスの一部が第1タンク67に貯留されることにより減圧されている。これにより、単一ガス真空ポンプ60は、第1吸着筒11内から流れ込んでくる水素ガスの圧力に耐え得るようになっている。
【0063】
単一ガス真空ポンプ60によって真空引きされた水素ガスは、第2回収配管64を介して圧縮ポンプ61に吸入される。第2回収配管64を流れる水素ガスの圧力は、第2回収配管64を流れる水素ガスの一部が第2タンク68に貯留されることにより減圧されている。これにより、圧縮ポンプ61は、第2回収配管64を介して圧縮ポンプ61に吸入される水素ガスの圧力に耐え得るようになっている。圧縮ポンプ61は、単一ガス真空ポンプ60によって真空引きされた水素ガスを供給ライン15へ還流させるために水素ガスを圧縮して吐出する。圧縮ポンプ61から吐出された水素ガスは、第3回収配管65を介して供給ライン15の供給メイン配管16に還流する。このように、単一ガス回収ポンプ41の駆動によって単一ガス回収工程が実行される。
【0064】
第4プログラムでは、第2切換弁43は、単一ガス回収工程にて吸着工程後の第1吸着筒11内の水素ガスを回収して供給ライン15へ還流させる第4切換状態に切り換わっている。したがって、第2切換弁43は、第3切換状態と、第4切換状態と、に切換可能である。
【0065】
図6に示すように、制御装置70は、続けて、第4プログラムが開始されてから一定時間経過後に第5プログラムを実行する。すると、圧縮空気供給源38からの圧縮空気が、圧縮空気供給配管34を介してエアドライヤ31に供給される。エアドライヤ31は、圧縮空気供給源38から供給された圧縮空気に含まれている水分を吸着して乾燥空気として流出させる。エアドライヤ31から流出した乾燥空気は、乾燥空気供給配管35、第1乾燥空気分岐配管36、及び第1乾燥ガス供給配管23を通過して再生工程を実行すべき対象である第1吸着筒11内に供給される。オリフィス32は、エアドライヤ31から流出した乾燥空気を大気圧に減圧する。したがって、再生用乾燥ガス供給部30から第1吸着筒11内に供給される乾燥空気は、大気圧に減圧された状態で第1吸着筒11内に供給されている。このように、乾燥空気切換弁33は、オリフィス32を通過した乾燥空気が再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給されるべく乾燥空気の流れを切り換える。
【0066】
第1吸着筒11内の雰囲気は、乾燥空気と平衡状態となろうとする。これにより、第1吸着剤13に含まれている水分が乾燥空気に効率良く離脱される。このようにして、吸着工程後に第1吸着剤13に含まれている水分を離脱させて第1吸着剤13を再生する再生工程が実行される。したがって、再生用乾燥ガス供給部30は、圧縮された乾燥空気を大気圧に減圧した状態で、再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給する。
【0067】
再生工程にて第1吸着筒11内で水分を含んだ空気は、第1吸着筒11内から第1供給分岐配管17、第1排出接続配管46、合流排出配管48、第3排出接続配管49、及び大気排出配管50を介して大気に排出される。
【0068】
[実施形態の効果]
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)再生用乾燥ガス供給部30からの圧縮された乾燥空気が大気圧に減圧された状態で、再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給される。これにより、吸着筒内の雰囲気が乾燥空気と平衡状態となろうとして、吸着剤に含まれている水分が乾燥空気に効率良く離脱される。ガス真空ポンプ40の駆動によってガス真空引き工程が実行されることにより、再生工程後の吸着筒内の乾燥空気が真空引きされて乾燥空気が大気へ排出される。そして、ガス真空引き工程後に吸着筒内に単一ガスを充填してから吸着工程が実行される。一方で、単一ガス回収ポンプ41の駆動によって単一ガス回収工程が実行されることにより、吸着工程後の吸着筒内の単一ガスが回収されて供給ライン15へ還流される。そして、単一ガス回収工程後に再生工程が実行される。このようにすることにより、吸着工程にて得られた乾燥ガスの一部が無駄になることを回避しつつも、吸着工程及び再生工程を繰り返し実行することができるため、ガス製造効率を向上させることができる。
【0069】
(2)エアドライヤ31と、オリフィス32と、乾燥空気切換弁33と、を含む再生用乾燥ガス供給部30は、圧縮された乾燥空気を大気圧に減圧した状態で、再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給する構成として好適である。
【0070】
(3)ガス製造装置10は、第1切換弁42を備えている。これによれば、再生工程と、ガス真空引き工程と、を容易に切り換えることができる。
(4)ガス製造装置10は、第2切換弁43を備えている。これによれば、再生工程と、ガス真空引き工程と、単一ガス回収工程と、を容易に切り換えることができる。
【0071】
(5)単一ガス真空ポンプ60と、圧縮ポンプ61と、を含む単一ガス回収ポンプ41は、吸着工程後の吸着筒内の水素ガスを回収して供給ライン15へ還流させる単一ガス回収工程を実行するための構成として好適である。
【0072】
(6)圧縮ポンプ61は、チェック弁61vを有している。これによれば、供給ライン15から圧縮ポンプ61の内部に向かって水素ガスが流れ込んでくることを抑制することができる。
【0073】
(7)ガス製造装置10は、逆止弁66を備えている。これによれば、供給ライン15から単一ガス回収ポンプ41に向かって水素ガスが流れ込んでくることを抑制することができる。
【0074】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0075】
・実施形態において、第1切換弁42は、三方弁でなくてもよい。ガス製造装置10は、例えば、大気排出配管50に設けられる二方弁と、第4排出接続配管51に設けられる二方弁と、を含む第1切換弁を備えていてもよい。
【0076】
・実施形態において、第2切換弁43は、三方弁でなくてもよい。ガス製造装置10は、例えば、第3排出接続配管49に設けられる二方弁と、第1回収配管63に設けられる二方弁と、を含む第2切換弁を備えていてもよい。
【0077】
・実施形態において、乾燥空気切換弁33は、三方弁でなくてもよい。ガス製造装置10は、例えば、第1乾燥空気分岐配管36に設けられる二方弁と、第2乾燥空気分岐配管37に設けられる二方弁と、を含む乾燥空気切換弁を備えていてもよい。
【0078】
・実施形態において、排出切換弁44は、三方弁でなくてもよい。ガス製造装置10は、例えば、第1排出接続配管46に設けられる二方弁と、第2排出接続配管47に設けられる二方弁と、を含む排出切換弁を備えていてもよい。
【0079】
・実施形態において、単一ガス回収ポンプ41は、単一ガス真空ポンプ60の機能、及び圧縮ポンプ61の機能の両方ともを兼ね備えた1つのポンプであってもよい。
・実施形態において、圧縮ポンプ61は、チェック弁61vを有していない構成であってもよい。
【0080】
・実施形態において、ガス製造装置10は、逆止弁66を備えていない構成であってもよい。
・実施形態において、ガス製造装置10は、第1タンク67を備えていない構成であってもよい。
【0081】
・実施形態において、ガス製造装置10は、第2タンク68を備えていない構成であってもよい。
・実施形態において、第2切換弁43は、比例弁ではなく、オンオフ弁であってもよい。
【0082】
・実施形態において、ガス製造装置10は、第1吸着筒11及び第2吸着筒12をそれぞれ複数備えていてもよい。例えば、複数の第1吸着筒11が互いに並列接続されていてもよいし、複数の第1吸着筒11が互いに直列接続されていてもよい。同様に、例えば、複数の第2吸着筒12が互いに並列接続されていてもよいし、複数の第2吸着筒12が互いに直列接続されていてもよい。
【0083】
・実施形態において、例えば、第1乾燥空気分岐配管36と第2乾燥空気分岐配管37各々にヒータを設けてもよい。そして、第1乾燥空気分岐配管36及び第2乾燥空気分岐配管37各々を流れる乾燥空気をヒータで加熱する加熱再生式により再生工程の効率を向上させるようにしてもよい。
【0084】
・実施形態において、再生用乾燥ガス供給部30は、再生用乾燥ガスとして、例えば、圧縮された乾燥窒素ガスを大気圧に減圧した状態で、再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給してもよい。要は、再生用乾燥ガス供給部30は、単一ガスとは別のガスであり、圧縮された再生用乾燥ガスを大気圧に減圧した状態で、再生工程を実行すべき対象である吸着筒内に供給すればよい。
【0085】
・実施形態において、例えば、第1吸着筒11内及び第2吸着筒12内各々に湿度センサを設けてもよい。そして、制御装置70は、第1プログラムにおいて、湿度センサにより検出される湿度が、予め実験等によって求められた湿度の閾値に到達することにより再生工程の完了を検知すると、第2プログラムを実行するようにしてもよい。
【0086】
・実施形態において、例えば、合流排出配管48に圧力センサを設けてもよい。そして、制御装置70は、第2プログラムにおいて、圧力センサにより検出される圧力が予め実験等によって求められた圧力に到達することによりガス真空引き工程によって十分に乾燥空気が真空引きされたことを検知すると、第3プログラムを実行するようにしてもよい。
【0087】
・実施形態において、例えば、第1吸着筒11の第2口11b及び第2吸着筒12の第2口12b各々に圧力センサを設けてもよい。そして、制御装置70は、第3プログラムにおいて、圧力センサにより検出される圧力が予め設定された圧力に到達することにより、単一ガス充填工程によって水素ガスが十分に充填されたことを検知すると、第4プログラムを実行するようにしてもよい。
【0088】
・実施形態において、例えば、合流排出配管48に圧力センサを設けてもよい。そして、制御装置70は、第4プログラムにおいて、圧力センサにより検出される圧力が予め実験等によって求められた圧力に到達することにより単一ガス回収工程によって水素ガスが十分に回収されたことを検知すると、第5プログラムを実行するようにしてもよい。
【0089】
・実施形態において、例えば、第1乾燥空気分岐配管36及び第2乾燥空気分岐配管37各々にオリフィスを設けてもよい。これによれば、乾燥空気切換弁33に必要な有効断面積を小さくすることができるため、乾燥空気切換弁33の小型化を図ることができる。
【0090】
・実施形態において、第1供給切換弁20、第2供給切換弁21、第1乾燥ガス切換弁26、第2乾燥ガス切換弁27、乾燥空気切換弁33、第1切換弁42、第2切換弁43、及び排出切換弁44は、電気的制御ではなく、手動式であってもよい。
【0091】
・実施形態において、ガス製造装置10は、例えば、単一ガスである酸素ガスに含まれている水分を吸着して乾燥ガスとしてもよい。要は、単一ガスは、水素ガスに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0092】
10…ガス製造装置、11…吸着筒である第1吸着筒、12…吸着筒である第2吸着筒、13…吸着剤としての第1吸着剤、14…吸着剤としての第2吸着剤、15…供給ライン、30…再生用乾燥ガス供給部、31…エアドライヤ、32…オリフィス、33…乾燥空気切換弁、40…ガス真空ポンプ、41…単一ガス回収ポンプ、42…第1切換弁、43…第2切換弁、60…単一ガス真空ポンプ、61…圧縮ポンプ、61v…チェック弁、66…逆止弁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6