(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161735
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】接続端子
(51)【国際特許分類】
H01R 4/18 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
H01R4/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076714
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 智彦
【テーマコード(参考)】
5E085
【Fターム(参考)】
5E085BB02
5E085BB12
5E085CC03
5E085CC09
5E085DD14
5E085EE05
5E085FF01
5E085GG07
5E085HH27
5E085HH34
5E085JJ35
(57)【要約】
【課題】導体圧着部の変形を抑制でき、電気的な接続信頼性を保持することができる接続端子を提供する。
【解決手段】相手端子と電気的に接続される電気接続部9と、電気接続部9と連続する一部材で形成され、電線3に接続される電線接続部11とを備えた接続端子1において、電線接続部11が、電線3の導体5に圧着される導体圧着部23を有し、電気接続部9と電線接続部11との間に、電気接続部9と電線接続部11とを連結する電気連結部21を設け、電気連結部21に、表面から突出され、導体圧着部23の圧着時における変形方向に沿って延出されたインデント部37を設けた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手端子と電気的に接続される電気接続部と、
前記電気接続部と連続する一部材で形成され、電線に接続される電線接続部と、
を備え、
前記電線接続部は、前記電線の導体に圧着される導体圧着部を有し、
前記電気接続部と前記電線接続部との間には、前記電気接続部と前記電線接続部とを連結する電気連結部が設けられ、
前記電気連結部には、表面から突出され、前記導体圧着部の圧着時における変形方向に沿って延出されたインデント部が設けられている接続端子。
【請求項2】
前記インデント部は、前記電線と離間して配置されている請求項1に記載の接続端子。
【請求項3】
前記インデント部は、前記電気連結部の内面から突出されている請求項1又は2に記載の接続端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接続端子としては、相手端子と電気的に接続される電気接続部と、電気接続部と連続する一部材で形成され、電線に接続される電線接続部とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この接続端子では、電線接続部が、電線の導体に圧着される導体圧着部を有する。導体圧着部には、内面から内方に向けて突出され、導体圧着部の圧着時における変形方向に沿って延出されたインデント部が設けられている。インデント部は、導体圧着部の剛性を高め、温度変化などによって導体圧着部が変形することを抑制し、電気的な接続信頼性を保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の接続端子では、導体圧着部にインデント部が設けられているので、導体圧着部を電線の導体に圧着させるときに、インデント部も導体圧着部の変形に追従して変形する。導体圧着部の圧着時の変形は、他の部分に比較して、大きく、インデント部の変形も大きくなる。インデント部の変形が大きくなると、導体圧着部の変形を抑制するという機能が低下することがあり、電気的な接続信頼性が低下する可能性があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、導体圧着部の変形を抑制でき、電気的な接続信頼性を保持することができる接続端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る接続端子は、相手端子と電気的に接続される電気接続部と、前記電気接続部と連続する一部材で形成され、電線に接続される電線接続部とを備え、前記電線接続部は、前記電線の導体に圧着される導体圧着部を有し、前記電気接続部と前記電線接続部との間には、前記電気接続部と前記電線接続部とを連結する電気連結部が設けられ、前記電気連結部には、表面から突出され、前記導体圧着部の圧着時における変形方向に沿って延出されたインデント部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導体圧着部の変形を抑制でき、電気的な接続信頼性を保持することができる接続端子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係る接続端子について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る接続端子1は、例えば、車両に搭載された電源と機器との間、或いは機器と機器との間など、電気部品の間を電気的に接続する。接続端子1は、例えば、相手ハウジング(不図示)と嵌合可能なハウジング(不図示)に収容される。ハウジングに収容された接続端子1は、ハウジングが相手ハウジングと嵌合することにより、相手ハウジングに収容された相手端子(不図示)と電気的に接続される。接続端子1は、相手端子と電気的に接続されることにより、電気部品が電気的に接続される。接続端子1は、電気部品に電気的に接続された電線3の端末部に接続されている。
【0011】
図1~
図7に示すように、電線3は、導電性材料からなる導体5の外周を、絶縁性材料からなる絶縁被覆7で被覆した被覆電線からなる。なお、導体5は、1本の芯線に限らず、複数本の芯線で構成されてもよい。電線3の一端側は、電気部品に電気的に接続されている。電線3の他端側は、絶縁被覆7が所定の長さ剥がされ、導体5を露出させる端末処理が施された後、接続端子1が接続される。
【0012】
図1~
図8に示すように、接続端子1は、1枚の導電性材料からなる板材に対して、プレス加工や折り曲げ加工を施すことによって成形される。接続端子1は、電気接続部9と、電線接続部11とを備えている。
【0013】
電気接続部9は、底板13と、一対の圧接片15,15とを有する。底板13は、電線3の長さ方向に沿って延出されている。底板13には、内面から内方に向けて突出された補助接点部17が設けられている。補助接点部17は、底板13の中央部に、底板13の長さ方向に沿って延出されると共に、底板13の幅方向に沿って延出されている。一対の圧接片15,15は、底板13の幅方向の両側面に、それぞれ底板13と連続する一部材で、底板13の長さ方向に沿って延出されると共に、底板13の幅方向に沿って延出されている。一対の圧接片15,15は、底板13の側面から上方に向けて屈曲された後、先端が底板13の内面と対向するように、湾曲して屈曲されている。一対の圧接片15,15の先端は、補助接点部17と離間して配置される接点部19,19となっている。
【0014】
電気接続部9には、補助接点部17と接点部19,19との間に、相手端子のタブ状の相手接続部(不図示)が挿入される。挿入された相手接続部は、補助接点部17と接点部19,19とに挟み込まれるように接触する。相手接続部と補助接点部17と接点部19,19との接触により、接続端子1と相手端子とが電気的に接続される。
【0015】
電線接続部11は、底板13の電気連結部21を介して電気接続部9と連続する一部材で形成されている。電線接続部11は、導体圧着部23と、被覆固定部25とを備えている。
【0016】
導体圧着部23は、底板13と、一対の圧着片27,27とを有する。一対の圧着片27,27は、底板13の幅方向の両側面に、それぞれ底板13と連続する一部材で、底板13の長さ方向に沿って延出されると共に、底板13の幅方向に沿って延出されている。底板13と一対の圧着片27,27との内面には、複数の凹部からなるセレーション29が形成されている。
【0017】
導体圧着部23は、まず、例えば、治具としてのアンビル(不図示)に配置され、底板13に、電線3の導体5が配置される。そして、例えば、治具としてのクリンパ(不図示)によって、一対の圧着片27,27が、互いの先端部が当接して導体5に向かうように屈曲され、底板13及び一対の圧着片27,27の内面が導体5に圧着される。このとき、セレーション29によって、底板13及び一対の圧着片27,27の内面や電線3の導体5の表面に形成された酸化被膜が破壊され、新生面同士が接触する。導体圧着部23は、電線3の導体5に圧着されることにより、電線3と接続端子1とを電気的に接続する。
【0018】
被覆固定部25は、底板13の電線連結部31を介して導体圧着部23と連続する一部材で形成されている。被覆固定部25は、底板13と、一対の固定片33,33とを有する。一対の固定片33,33は、底板13の幅方向の両側面に、それぞれ底板13と連続する一部材で、底板13の長さ方向に沿って延出されると共に、底板13の幅方向に沿って延出されている。底板13と一対の固定片33,33との内面には、電線3の長さ方向と直交する方向に延出された溝部35が長さ方向に複数(ここでは2つ)設けられている。
【0019】
被覆固定部25は、まず、例えば、圧着治具としてのアンビル(不図示)に配置され、底板13に、電線3の絶縁被覆7が配置される。そして、例えば、治具としてのクリンパ(不図示)によって、一対の固定片33,33が、互いの先端部が当接するように屈曲され、絶縁被覆7に固定される。このとき、複数の溝部35が、絶縁被覆7に食い込み、電線3の長さ方向への移動が規制される。被覆固定部25は、電線3の絶縁被覆7に固定されることにより、接続端子1を電線3に固定する。
【0020】
電気連結部21と電線連結部31とには、それぞれインデント部37が設けられている。
【0021】
電気連結部21のインデント部37は、電気連結部21の外面に打ち出し加工を施すことにより、電気連結部21の内面から内方に向けて突出されている。インデント部37を電気連結部21の内面から内方に向けて突出させることにより、インデント部37が接続端子1の外面から張り出すことがなく、インデント部37が周辺部材と干渉することがない。電気連結部21のインデント部37は、導体圧着部23の圧着時における変形方向に沿って、電気連結部21の幅方向に延出されている。電気連結部21のインデント部37は、接続端子1の剛性を高め、温度変化によって、接続端子1に生じる熱収縮や熱膨張による変形を抑制する。
【0022】
ここで、導体圧着部23には、導体5への圧着によって、長さ方向の両側に、それぞれベルマウス39と称される大きな変形が生じる。ベルマウス39が位置する部分にインデント部37が配置されていると、導体圧着部23の圧着時に、インデント部37の変形が大きくなり、インデント部37による変形の抑制機能が低下してしまう可能性がある。
【0023】
そこで、電気連結部21にインデント部37を設けることにより、導体圧着部23の圧着によるインデント部37の変形を抑制することができる。このため、インデント部37による変形の抑制機能を保持することができ、温度変化などによって導体圧着部23が変形することを抑制することができる。加えて、導体圧着部23を導体5に圧着させるときに、インデント部37が導体5と干渉することがなく、導体圧着部23を導体5に安定して圧着させることができる。
【0024】
電気連結部21のインデント部37は、導体圧着部23から露出する電線3の導体5と離間して配置されている。このため、導体圧着部23が導体5に圧着された状態では、インデント部37が導体5と干渉することがなく、インデント部37が導体5と導体圧着部23との電気的な接続に影響を与えることがない。加えて、電気連結部21のインデント部37は、電気連結部21の内面から内方に向けて突出しているが、インデント部37が導体5と干渉することがないので、導体5が導体圧着部23から浮き上がることを防止することができる。なお、導体圧着部23から露出する電線3の導体5は、防食材によって覆われることがある。インデント部37による導体5の底板13からの浮き上がりを防止することにより、導体圧着部23から露出する導体5を防食材で覆い易くすることができる。
【0025】
電線連結部31のインデント部37は、電線連結部31の外面に打ち出し加工を施すことにより、電線連結部31の内面から内方に向けて突出されている。インデント部37を電線連結部31の内面から内方に向けて突出させることにより、インデント部37が接続端子1の外面から張り出すことがなく、インデント部37が周辺部材と干渉することがない。電線連結部31に配置された導体5は、絶縁被覆7の厚さにより、被覆固定部25側の方が、電線連結部31の内面から浮いた状態となっている。そこで、電線連結部31のインデント部37の突出長さは、電線3の絶縁被覆7の厚さより短く設定されている。このため、導体圧着部23から露出する導体5とインデント部37との干渉を抑制することができ、インデント部37が導体5と導体圧着部23との電気的な接続に与える影響を抑制することができる。電線連結部31のインデント部37は、導体圧着部23の圧着時における変形方向に沿って、電線連結部31の幅方向に延出されている。電線連結部31のインデント部37は、電気連結部21のインデント部37と同様に、接続端子1の剛性を高め、温度変化によって、接続端子1に生じる熱収縮や熱膨張による変形を抑制する。
【0026】
電線連結部31にインデント部37を設けることにより、導体圧着部23の圧着によるインデント部37の変形を抑制することができる。このため、インデント部37による変形の抑制機能を保持することができ、温度変化などによって導体圧着部23が変形することを抑制することができる。加えて、導体圧着部23の長さ方向の両側に位置する電気連結部21と電線連結部31とにそれぞれインデント部37を設けることにより、温度変化などによって導体圧着部23が変形することをさらに抑制することができる。さらに、導体圧着部23を導体5に圧着させるときに、インデント部37が導体5と干渉することがなく、導体圧着部23を導体5に安定して圧着させることができる。
【0027】
このような接続端子1では、相手端子と電気的に接続される電気接続部9と、電気接続部9と連続する一部材で形成され、電線3に接続される電線接続部11とを備えている。また、電線接続部11は、電線3の導体5に圧着される導体圧着部23を有する。さらに、電気接続部9と電線接続部11との間には、電気接続部9と電線接続部11とを連結する電気連結部21が設けられている。そして、電気連結部21には、表面から突出され、導体圧着部23の圧着時における変形方向に沿って延出されたインデント部37が設けられている。
【0028】
電気連結部21にインデント部37を設けることにより、導体圧着部23の圧着によるインデント部37の変形を抑制することができる。このため、インデント部37による変形の抑制機能を保持することができ、温度変化などによって導体圧着部23が変形することを抑制することができる。加えて、導体圧着部23を導体5に圧着させるときに、インデント部37が導体5と干渉することがなく、導体圧着部23を導体5に安定して圧着させることができる。
【0029】
従って、このような接続端子1では、導体圧着部23の変形を抑制でき、電気的な接続信頼性を保持することができる。
【0030】
また、インデント部37は、電線3と離間して配置されている。
【0031】
このため、導体圧着部23が導体5に圧着された状態では、インデント部37が導体5と干渉することがなく、インデント部37が導体5と導体圧着部23との電気的な接続に影響を与えることがない。
【0032】
また、インデント部37は、電気連結部21の内面から突出されている。
【0033】
このため、インデント部37が接続端子1の外面から張り出すことがなく、インデント部37が周辺部材と干渉することがない。
【0034】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0035】
例えば、電気接続部は、一対の圧接片を有するように構成されているが、これに限らず、電気接続部を、箱状に形成して、内部に接点部を有する弾性片を有する構成、タブ状に形成する構成など、電気接続部の構成はどのようなものであってもよい。
【0036】
また、インデント部は、電気連結部及び電線連結部に、1つ設けられているが、これに限らず、インデント部を、電気連結部及び電線連結部に複数設けてもよい。この場合には、インデント部を、電気連結部及び電線連結部の幅方向に複数に分割する、電気連結部及び電線連結部の長さ方向に複数配置するなどすればよい。
【符号の説明】
【0037】
1 接続端子
3 電線
5 導体
9 電気接続部
11 電線接続部
21 電気連結部
23 導体圧着部
37 インデント部