(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161738
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】無線通信システム及び無線親機
(51)【国際特許分類】
H04W 4/38 20180101AFI20241113BHJP
H04W 84/22 20090101ALI20241113BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20241113BHJP
【FI】
H04W4/38
H04W84/22
H04W52/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076717
(22)【出願日】2023-05-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】中川 知美
(72)【発明者】
【氏名】中川 雅文
(72)【発明者】
【氏名】村上 貴之
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA43
5K067BB27
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】検針情報の通信に伴う消費電力を低減できる無線通信システムを提供する。
【解決手段】無線通信システムは、メータの検針情報を送信又は中継する複数の無線子機と、マルチホップネットワークとは異なる他の通信ネットワークを介してセンタと情報を送受信する無線親機と、無線子機と共にマルチホップネットワークに属し且つマルチホップネットワークと他の通信ネットワークとの通信において中継を行うGW無線機と、を備え、無線親機は、検針情報、及び、検針情報の伝送を中継した機器に関する中継履歴情報をGW無線機から受信し、検針情報の送信元の無線子機への検針情報の受信応答の伝送を中継する機器を指定する中継指定情報を中継履歴情報に基づいて生成し、中継指定情報及び受信応答をセンタに代わってGW無線機に送信し、検針情報を蓄積し、所定条件を具備した場合に検針情報の受信応答を不要に設定して検針情報をセンタに送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチホップネットワークに属し且つメータの検針情報を送信又は中継する複数の無線子機と、
前記マルチホップネットワークとは異なる他の通信ネットワークを介してセンタと情報を送受信する無線親機と、
前記無線子機と共に前記マルチホップネットワークに属し且つ前記マルチホップネットワークと前記他の通信ネットワークとの通信において中継を行うGW無線機と、を備え、
前記無線親機は、
前記検針情報、及び、前記検針情報の伝送を中継した機器に関する中継履歴情報を前記GW無線機から受信し、
前記検針情報の送信元の前記無線子機への前記検針情報の受信応答の伝送を中継する機器を指定する中継指定情報を前記中継履歴情報に基づいて生成し、
前記中継指定情報及び前記受信応答を前記センタに代わって前記GW無線機に送信し、
前記検針情報を蓄積し、所定条件を具備した場合に前記検針情報の受信応答を不要に設定して前記検針情報を前記センタに送信する、
無線通信システム。
【請求項2】
メータの検針情報を送信又は中継する複数の無線子機と共にマルチホップネットワークに属し且つ前記マルチホップネットワークと当該マルチホップネットワークとは異なる他の通信ネットワークとの通信において中継を行うGW無線機と情報を送受信し、且つ、前記他の通信ネットワークを介してセンタと情報を送受信する無線親機であって、
前記検針情報、及び、前記検針情報の伝送を中継した機器に関する中継履歴情報を前記GW無線機から受信し、
前記検針情報の送信元の前記無線子機への前記検針情報の受信応答の伝送を中継する機器を指定する中継指定情報を前記中継履歴情報に基づいて生成し、
前記中継指定情報及び前記受信応答を前記センタに代わって前記GW無線機に送信し、
前記検針情報を蓄積し、所定条件を具備した場合に前記検針情報の受信応答を不要に設定して前記検針情報を前記センタに送信する、
無線親機。
【請求項3】
前記センタに未送信の前記検針情報を蓄積する第1記憶部と、
前記センタに送信済みの前記検針情報を蓄積する第2記憶部と、を有し、
前記センタにて未受信と判定された前記検針情報の要求を受信した場合に前記第2記憶部の前記検針情報を前記センタに送信する、
請求項2に記載の無線親機。
【請求項4】
前記GW無線機から受信した情報が前記検針情報であるか否かを判定し、
前記情報が前記検針情報でない場合には、前記情報を蓄積せずに前記センタに送信する、
請求項2又は3に記載の無線親機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システム及び無線親機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線通信システムとして、例えば、特許文献1に示す無線通信システムが知られている。この無線通信システムでは、通信端末が、所定時刻になると需要家の電力メータの検針値を読み出し、読み出した検針値を無線通信集約装置に送信している。そして、無線通信集約装置は通信端末から一斉に送信された検針値を集約し、集約した検針値を上位サーバに送信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この上記特許文献1の無線通信集約装置は、複数の通信端末から送信された検針値を蓄積してから、その検針値をまとめて上位サーバに送信している。一般的には、上位サーバは、検針値を無線通信集約装置から受信すると、その応答電文を無線通信集約装置を介して通信端末に送信する。通信端末は、上位サーバからの応答電文に応じて検針値の送信処理を終了する。このように、無線通信集約装置が上位サーバ及び通信端末と通信するに伴い電力が消費される。このため、無線通信集約装置が電池を電源としている場合には、電池交換の回数が増えてしまう課題がある。
【0005】
本開示はこのような課題を解決するためになされたものであり、検針情報の通信に伴う消費電力を低減することができる無線通信システム及び無線親機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様に係る無線通信システムは、マルチホップネットワークに属し且つメータの検針情報を送信又は中継する複数の無線子機と、前記マルチホップネットワークとは異なる他の通信ネットワークを介してセンタと情報を送受信する無線親機と、前記無線子機と共に前記マルチホップネットワークに属し且つ前記マルチホップネットワークと前記他の通信ネットワークとの通信において中継を行うGW無線機と、を備え、前記無線親機は、前記検針情報、及び、前記検針情報の伝送を中継した機器に関する中継履歴情報を前記GW無線機から受信し、前記検針情報の送信元の前記無線子機への前記検針情報の受信応答の伝送を中継する機器を指定する中継指定情報を前記中継履歴情報に基づいて生成し、前記中継指定情報及び前記受信応答を前記センタに代わって前記GW無線機に送信し、前記検針情報を蓄積し、所定条件を具備した場合に前記検針情報の受信応答を不要に設定して前記検針情報を前記センタに送信する。
【0007】
本開示のある態様に係る無線親機は、メータの検針情報を送信又は中継する複数の無線子機と共にマルチホップネットワークに属し且つ前記マルチホップネットワークと当該マルチホップネットワークとは異なる他の通信ネットワークとの通信において中継を行うGW無線機と情報を送受信し、且つ、前記他の通信ネットワークを介してセンタと情報を送受信する無線親機であって、前記検針情報、及び、前記検針情報の伝送を中継した機器に関する中継履歴情報を前記GW無線機から受信し、前記検針情報の送信元の前記無線子機への前記検針情報の受信応答の伝送を中継する機器を指定する中継指定情報を前記中継履歴情報に基づいて生成し、前記中継指定情報及び前記受信応答を前記センタに代わって前記GW無線機に送信し、前記検針情報を蓄積し、所定条件を具備した場合に前記検針情報の受信応答を不要に設定して前記検針情報を前記センタに送信する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、無線親機は、検針情報の受信応答をセンタに代わって送信することにより、センタから受信応答を送信する場合に比べて、センタから無線親機への受信応答の送信がないため、センタとの通信回数が低減される。また、例え無線通信システムにおける通信をセンタが管理している場合であっても、無線親機は受信応答の伝送ルート情報をセンタから取得せずに、受信応答の伝送を中継する機器を中継履歴情報に基づいて指定するため、センタとの通信回数が低減される。このような通信回数の低減によって、検針情報の通信に伴う消費電力を低減することができる無線通信システム及び無線親機を提供することができるという効果を奏する。
【0009】
本開示の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態及び変形例に係る無線通信システムを概略的に示す図である。
【
図2】センタ、親機、GW無線機及び子機の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】情報収集処理における通信シーケンスの一例である。
【
図4】親機が子機から受信した検針情報の電文の一例を示す図である。
【
図5】マルチホップネットワークにおけるGW無線機及び子機を示す図である。
【
図6】情報収集処理における親機の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】親機が子機に送信する検針情報の受信応答の電文の一例を示す図である。
【
図8】親機がセンタに送信する検針情報の電文の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<無線通信システム>
本開示の一実施の形態に係る無線通信システム10は、
図1に示すように、例えば需要家の都市ガス及びLPガス等のガスの使用量を検針するメータ11に関する情報を、無線子機(以下、子機20と称する。)から、GW無線機30及び無線親機(以下、親機40と称する。)を介してセンタ50に収集するシステムである。以下では、メータ11の検針対象をガスとして説明するが、検針対象はガスに限定されず、電気及び水道等であってもよい。
【0012】
子機20は、需要家のメータ11に通信可能に接続されており、メータ11と情報を送受信する。また、子機20は、マルチホップネットワーク12に属する無線機であって、メータ11に関する情報をセンタ50に送信する。このマルチホップネットワーク12は、複数の子機20がマルチホップ方式で情報を伝送するFAN(Field Area Network)などの通信ネットワークである。このため、子機20は、通信可能な他の子機20と情報を送受信することにより情報の伝送を中継する。これにより、マルチホップネットワーク12において、子機20は、他の子機20を介さずに直接、又は、1つ以上の他の子機20を介してGW無線機30と情報を送受信する。
【0013】
GW無線機30は、子機20と共にマルチホップネットワーク12に属する無線機であり、子機20と情報を送受信する。また、GW無線機30は、親機40と通信可能に接続されており、親機40と情報を送受信する。これにより、GW無線機30は、子機20と親機40との間の情報の伝送を中継する。
【0014】
親機40は、公衆通信網等のWAN(Wide Area Network)など通信ネットワーク13によりセンタ50と無線通信を行う無線機であり、通信ネットワーク13の基地局13aを介してセンタ50と情報を送受信する。これにより、親機40は、GW無線機30と共に子機20とセンタ50との情報の伝送を中継する。ここで、GW無線機30は、マルチホップネットワーク12と、マルチホップネットワーク12とは異なる他の通信ネットワーク13との通信において中継を行う。
【0015】
センタ50は、子機20からの情報を収集するサーバであって、例えば情報管理装置51及び通信管理装置52を備えている。情報管理装置51は、収集した情報を管理する装置であって、その情報に基づいたサービス及び情報などを需要家やメータ11を管理する事業者等に提供する。通信管理装置52は、マルチホップネットワーク12及び通信ネットワーク13における通信を管理する装置であって、情報管理装置51及び通信ネットワーク13の基地局13aと通信可能に接続されており、情報管理装置51と情報を送受信すると共に、通信ネットワーク13を介して親機40と情報を送受信する。
【0016】
<ランク>
例えば、マルチホップネットワーク12ではランクに基づいて子機20からGW無線機30に情報が伝送される。このランクは、マルチホップネットワーク12における子機20及びGW無線機30に記憶されている。GW無線機30のランクが0であり、GW無線機30と直接、通信可能な子機20のランクが1である。そして、複数の子機20においてGW無線機30から1ホップ離れるごとに子機20のランクは1ずつ増える。また、マルチホップネットワーク12に複数のGW無線機30がある場合には、子機20は複数のGW無線機30のそれぞれについてホップ数を有している。この場合、子機20のランクは複数のホップ数のうち一番小さいものである。
【0017】
マルチホップネットワーク12の機器(子機20及びGW無線機30)は、通信可能な機器と定期的にランクを交換して、自機のランクを決定し、自機のランク及び他の機器のランクをランク情報として記憶する。また、マルチホップネットワーク12の機器は、自機のランクをビーコンに格納して、ビーコンを例えば5秒毎の間欠周期で通信可能な機器に報知する。この報知によって、マルチホップネットワーク12の機器はビーコンを定期的に収集し、その収集したビーコンに格納されたランクに基づいて自機のランクを決定し、自機のランク及び他の機器のランクをランク情報として記憶する。
【0018】
このようにマルチホップネットワーク12の機器がランク情報を記憶している状態において、子機20がセンタ50に情報を送信する場合、子機20は、通信可能な他の子機20のうち、ランクが小さい子機20に情報を送信する。そして、情報を受信した他の子機20は、通信可能な他の子機20のうちランクが小さい子機20に情報を転送する。このような情報の転送がGW無線機30まで繰り返される。そして、情報は、GW無線機30から親機40を介してセンタ50に送信される。
【0019】
<センタ>
図2に示すように、センタ50の情報管理装置51は、情報管理制御部53、情報管理記憶部54及び情報管理通信部55を備えている。情報管理通信部55は、有線通信の通信インターフェースであって、通信管理装置52とケーブル等により接続されている。これにより、情報管理装置51は、通信管理装置52等を介して子機20からメータ11に関する情報を収集する。
【0020】
情報管理記憶部54は、情報管理制御部53からアクセス可能なメモリであって、RAM及びROM等により構成されている。情報管理記憶部54は、情報処理等の各種処理を実行するためのプログラム及びこのプログラムに用いられる情報、並びに、収集したメータ11に関する情報を記憶している。
【0021】
情報管理制御部53は、コンピュータであって、例えば、CPU等のプロセッサなどにより構成されている。情報管理制御部53は、情報管理記憶部54に記憶されたプログラムを実行することにより、情報管理装置51の情報管理に関する各種処理を実行する。なお、情報管理制御部53は、単独の制御装置により構成されていてもよく、又は、複数の制御装置が分散配置されていて、それらが協働して情報管理制御部53の動作を行うよう構成されていてもよい。
【0022】
また、センタ50の通信管理装置52は、通信管理制御部56、通信管理記憶部57及び通信管理通信部58を備えている。通信管理制御部56、通信管理記憶部57及び通信管理通信部58は、情報管理制御部53、情報管理記憶部54及び情報管理通信部55とそれぞれ同様である。ただ、情報管理装置51は無線通信システム10の情報を管理しているのに対し、通信管理装置52は無線通信システム10の通信を管理している。
【0023】
このため、通信管理記憶部57は、無線通信システム10の通信管理に関するプログラム及び情報を記憶している。例えば、通信管理記憶部57は、親機40の識別情報、その親機40に接続されたGW無線機30の識別情報、GW無線機30と共にマルチホップネットワーク12を構成する子機20の識別情報、及び、子機20に接続されたメータ11の識別情報(メータID)を対応付けた対応情報を記憶している。これらの識別情報は、機器を識別するための固有の情報であって、例えばIPアドレス及び製造番号等が用いられる。
【0024】
また、通信管理記憶部57は、無線通信システム10における通信に関する通信情報、及び、無線通信システム10において情報が伝送されるルートに関する伝送ルート情報を記憶している。この伝送ルート情報は、例えば、センタ50からの情報の送信先である子機20の識別情報と、その子機20への情報の伝送を中継する親機40、GW無線機30及び子機20のそれぞれの識別情報とを対応付けて記憶している。例えば、無線通信システム10に複数の親機40がある場合、及び、マルチホップネットワーク12において子機20が複数の子機20と通信可能である場合には、センタ50と子機20との情報の伝送ルートが複数、存在し、その複数の伝送ルート情報を通信管理記憶部57は記憶している。
【0025】
通信管理制御部56は、コンピュータであって、通信管理記憶部57に記憶されたプログラムを実行することにより、通信管理装置52の通信管理に関する各種処理を実行する。例えば、通信管理制御部56は、子機20に情報を送信する場合、その子機20を送信先とする伝送ルート情報を通信管理記憶部57から取得し、その伝送ルート情報に基づいて情報を子機20へ送信する。ここで、複数の伝送ルート情報が存在する場合には、通信管理制御部56は、通信管理記憶部57に記憶されている通信情報に基づいて複数の伝送ルート情報から伝送ルート情報を指定し、その伝送ルート情報に従って情報を子機20へ送信する。これにより、通信管理装置52は、情報管理装置51と子機20との間の通信を制御する。
【0026】
通信情報は、例えばマルチホップネットワーク12においてGW無線機30から送信先の子機20までの中継回数であるホップ数のうち、最小のホップ数であるランクを含んでいてもよい。この場合、通信管理装置52は複数の伝送ルートのうちランクが小さい伝送ルートを指定することにより、情報の伝送を中継する機器が少ないため、情報の伝送の消費電力を低減することができる。また、通信情報は、受信電波強度及び送受信の遅延等に関する通信品質情報を含んでいてもよい。この場合、通信管理装置52は複数の伝送ルートのうち受信電波強度が大きい及び/又は送受信の遅延が小さい伝送ルートを指定することにより、情報の伝送をより確実に行うことができる。
【0027】
通信管理通信部58は、通信管理装置52の情報管理通信部55及び通信ネットワーク13との通信インターフェースであって、情報管理通信部55及び通信ネットワーク13の基地局13aのそれぞれとケーブル等により接続されている。これにより、通信管理装置52は、情報管理装置51と親機40との間の情報の伝送を中継する。なお、通信管理通信部58は情報管理通信部55及び/又は基地局13aと無線通信により接続されていてもよい。
【0028】
<親機>
親機40は、親機制御部41、親機記憶部42、第1親機通信部43、第2親機通信部44及びアンテナ45を備えている。親機記憶部42は、親機制御部41からアクセス可能なメモリであって、RAM及びROM等により構成されている。親機記憶部42は、各種処理を実行するためのプログラム及びこのプログラムに用いられる情報、並びに、子機20から受信した検針情報等のメータ11に関する情報を記憶している。また、親機制御部41は、コンピュータであって、例えば、CPU等のプロセッサ、又は、マイクロコンピュータなどにより構成されている。親機制御部41は、親機記憶部42に記憶されたプログラムを実行することにより、親機40の各種処理を実行する。
【0029】
第1親機通信部43は、無線通信の通信インターフェースであって、アンテナ45により通信ネットワーク13を経由してセンタ50の通信管理装置52と情報を送受信する。また、第2親機通信部44は、有線通信の通信インターフェースであって、GW無線機30にケーブルによって接続されており、GW無線機30と情報を送受信する。なお、親機40はGW無線機30と無線通信により接続されていてもよい。
【0030】
<GW無線機>
GW無線機30は、GW制御部31、GW記憶部32、第1GW通信部33、第2GW通信部34及びアンテナ35を備えている。GW記憶部32は、GW制御部31からアクセス可能なメモリであって、RAM及びROM等により構成されている。GW記憶部32は、各種処理を実行するためのプログラム及びこのプログラムに用いられる情報を記憶している。また、GW制御部31は、コンピュータであって、例えば、CPU等のプロセッサ、又は、マイクロコンピュータなどにより構成されている。GW制御部31は、GW記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、GW無線機30の各種処理を実行する。
【0031】
第1GW通信部33は、無線通信の通信インターフェースであって、アンテナ35によりマルチホップネットワーク12を介して子機20と情報を送受信する。また、第2GW通信部34は、有線通信の通信インターフェースであって、親機40とケーブルによって接続されており、親機40と情報を送受信する。なお、メータ11がガスメータである場合には、第2親機通信部44及び第2GW通信部34は、例えばNPO法人テレメータリング推進協議会で標準化された通信方式であるUバスに対応するインターフェースであってもよい。
【0032】
<子機>
子機20は、子機制御部21、子機記憶部22、第1子機通信部23、第2子機通信部24及びアンテナ25を備えている。子機記憶部22は、子機制御部21からアクセス可能なメモリであって、RAM及びROM等により構成されている。子機記憶部22は、各種処理を実行するためのプログラム及びこのプログラムに用いられる情報、並びに、検針情報等のメータ11に関する情報を記憶している。子機制御部21は、例えば、CPU等のプロセッサ、又は、マイクロコンピュータにより構成されており、子機記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、子機20の各種処理を実行する。
【0033】
第1子機通信部23は、無線通信の通信インターフェースであって、アンテナ25によりマルチホップネットワーク12を介して他の子機20及び/又はGW無線機30と情報を送受信する。また、第2子機通信部24は、有線通信の通信インターフェースであって、メータ11とケーブルによって接続されており、メータ11と情報を送受信する。なお、メータ11がガスメータである場合には、第1GW通信部33及び第1子機通信部23は、NPO法人テレメータリング推進協議会で標準化された通信方式であるUバスエアに対応するインターフェースであってもよい。また、子機20は、メータ11と無線通信により接続されていてもよい。
【0034】
<情報収集処理>
無線通信システム10の情報収集処理では、メータ11に関する情報は、子機20からGW無線機30及び親機40を介してセンタ50に収集される。このメータ11に関する情報には、メータ11の検針処理による検針情報、及び、メータ11の保安処理による保安情報などが含まれる。例えば、保安処理では、メータ11は、ガスの流量及び使用時間等を監視し、それに異常が発生するとそれを示した保安情報を子機20等を介してセンタ50に送信する。
【0035】
また、検針処理では、
図3に示すように、子機20は所定時間(より具体的な例として、1日(24時間)の中で予め決められた1つの時刻(例えば21時00分))になると、自機に接続されているメータ11に検針値の要求を送信する。メータ11は、この要求に応じて、ガスの使用量を検針した検針値を送信する。子機20は、その受信した検針値と合わせて、検針日時(例えば、年月日時分秒)、メータ11の識別情報、及び、処理種別を含む検針情報を記憶する。この処理種別は、メータ11の処理を示す情報であって、例えば、検針処理及び保安処理等が挙げられる。
【0036】
なお、上記構成では子機20が検針値の送信動作の計時を行ったが、メータ11自身が送信動作の計時を行って、所定時間になると検針情報を子機20に送信してもよい。また、検針情報は、毎日、1回検針する定期検針の情報、及び、単位時間別(例えば30分毎)の検針値を積算したロードサーベイの情報等を含んでいる。
【0037】
子機20は、検針情報をメータ11から受信すると、この検針情報を例えばUバス及びUバスエアの通信方式で標準化されている電文のデータ部に格納し、この検針情報が格納された電文をセンタ50に送信する。ここで、複数の子機20及びGW無線機30はマルチホップネットワーク12を形成するため、子機20とGW無線機30との間で情報を伝送する複数の伝送ルートが存在する。このような複数の伝送ルートのうち、電文が中継された伝送ルートを特定するため、この電文の伝送を中継した機器に関する中継履歴情報が電文に加えられる。
【0038】
この電文は、
図4に示すように、ヘッダ及びデータを含んでいる。データは、処理種別、メータ11の識別情報(メータID)、検針値及び検針日時等の検針情報を含んでいる。ヘッダは、送信元、送信先、中継履歴情報及び通信種別を含んでいる。この送信元には、情報を送信する子機20の識別情報(子機ID)が設定される。送信先には、情報が送信されるセンタ50の識別情報(センタID)が設定される。通信種別には、送信先であるセンタ50に情報の受信応答を要求する応答要のセッション開始が設定されている。これにより、子機20は、この電文を送信すると、検針情報の送信に関するセッションを開始する。
【0039】
中継履歴情報は、送信元の子機20から送信先のセンタ50に電文が伝送される場合に、その伝送に関する情報であって、親機40までにその伝送を中継した機器に関する情報を含んでいる。例えば、中継履歴情報は、マルチホップネットワーク12において電文の伝送を中継した機器の履歴を示す情報であって、伝送を中継した機器の識別情報(機器ID)を含んでおり、さらに中継元である送信元の子機20の識別情報(機器ID)を含んでいてもよい。この伝送を中継した機器は、GW無線機30、又は、GW無線機30及び送信元の子機20以外の他の子機20を含んでいる。
【0040】
すなわち、
図5の例に示すマルチホップネットワーク12は、16台の子機20(第1の子機20a~第16の子機20p)及び1台のGW無線機30を含んでいる。このマルチホップネットワーク12では、第1の子機20a及び第3の子機20cは、GW無線機30と直接、通信可能であり、自機以外の他の子機20を介さずにGW無線機30と情報を送受信することができる。この場合、マルチホップネットワーク12において子機20とセンタ50との伝送を中継する機器は、GW無線機30であり、この中継履歴情報は、機器IDとしてGW無線機30の識別情報、及び、送信元の子機20(第1の子機20a、第3の子機20c)の識別情報を含んでいる。
【0041】
これに対し、第1の子機20a及び第3の子機20c以外の子機20(第2の子機20b及び第4の子機20d~第16の子機20p)は、自機以外の他の子機20を介してGW無線機30と情報を送受信する。この場合、マルチホップネットワーク12において子機20とセンタ50との伝送を中継する機器は、送信元の子機20以外の他の子機20、及び、GW無線機30である。この場合、中継履歴情報は、機器IDとして、GW無線機30の識別情報、他の子機20の識別情報、及び、送信元の子機20(第2の子機20b、第4の子機20d~第16の子機20p)の識別情報を含んでいる。
【0042】
ここで、例えば、第7の子機20gが検針情報を送信する場合、第7の子機20gは、電文の中継履歴情報に自機の識別情報(N7)を追加し、検針情報及び中継履歴情報を含む電文を通信可能な第2の子機20bに送信し、検針情報の送信に関するセッションを開始する。この第2の子機20bは、電文を受信すると、その電文の中継履歴情報において第7の子機20gの識別情報(N7)の次に自機の識別情報(N2)を追加し、通信可能な第1の子機20aに電文を送信する。第1の子機20aは、電文を受信すると、その電文の中継履歴情報において第2の子機20bの識別情報(N2)の次に自機の識別情報(N1)を追加し、通信可能なGW無線機30に電文を送信する。GW無線機30は、電文を受信すると、その電文の中継履歴情報において第1の子機20aの識別情報(N1)の次に自機の識別情報(N0)を追加する。
【0043】
このように、電文の送信元の子機20の識別情報、並びに、この電文の伝送を中継した機器(子機20及びGW無線機30、又は、GW無線機30の識別情報)が電文の中継履歴情報に順次追加される。これにより、中継履歴情報には、送信元の子機20からセンタ50への伝送のうち親機40まで伝送を中継した機器の識別情報がその中継順に並べられる。このため、中継履歴情報によれば、電文の送信元の子機20から、中継した機器(子機20及びGW無線機30、又は、GW無線機30)及び、このGW無線機30に接続された親機40を経由して、送信先のセンタ50までの電文の伝送ルートが定められる。
【0044】
図3に示すように、マルチホップネットワーク12に属する複数(
図5の例では16台)の子機20のそれぞれはGW無線機30に検針情報及び中継履歴情報を含む電文を送信する。GW無線機30は、電文を子機20から受信すると、その電文を親機40に送信する。そして、親機40は、例えば、
図6に示すように電文に対して処理を行う。
図6は、親機40の動作の一例を示すフローチャートである。
【0045】
まず、親機40は、GW無線機30から電文を受信したか否かを監視する(ステップS1)。親機40は電文を受信しないと(ステップS1:NO)、後述のステップS5の処理に進む。一方、親機40は電文を受信すると(ステップS1:YES)、電文が検針情報を含むか否かを判定する(ステップS2)。すわなち、子機20は、メータ11の検針情報に加えて、これ以外のその他の情報としてメータ11の保安情報等もセンタ50に送信する。このため、親機40は、電文の処理種別等の情報に基づいて、電文が検針情報を含むか否かを判定する。
【0046】
ここで、親機40は、電文が検針情報を含むと判定した場合には(ステップS2:YES)、検針情報の受信に対する応答として受信応答、及び、この受信応答を送信するための中継指定情報を含む応答電文をGW無線機30に送信する(ステップS3)。ここで、
図7の例に示すように、親機40は、応答電文のデータに検針情報の受信応答と設定する。また、親機40は、ヘッダの通信種別をセッション終了と設定する。これにより、検針情報の送信元である子機20は、応答電文を受信すると、検針情報の送信に関するセッションを終了する。
【0047】
また、親機40は、ヘッダの送信元をセンタ50の識別情報(センタID)と設定し、送信先を子機20の識別情報(子機ID)を設定する。これにより、応答電文は、センタ50の代理として親機40により子機20に送信される。
【0048】
さらに、親機40は、受信応答の伝送を中継する機器を指定する中継指定情報を
図4の中継履歴情報に基づいて生成する。例えば、親機40は、中継履歴情報に列挙されている機器IDを逆の順に並べて、中継指定情報を生成する。これにより、中継指定情報には、親機40から子機20までの間に応答電文の伝送を中継する機器の識別情報が、中継順に列挙される。このため、中継指定情報によって、マルチホップネットワーク12における複数の伝送ルートのうち、子機20からGW無線機30までの検針情報の電文の伝送ルートを逆行するような、GW無線機30から子機20までの応答電文の伝送ルートが指定される。
【0049】
図5の例では、
図7の応答電文の中継指定情報に示すように、GW無線機30の機器ID(N0)、第1の子機20aの機器ID(N1)、第2の子機20bの機器ID(N2)、及び、送信先の第7の子機20gの機器ID(N7)が順に並べられる。このため、親機40は、この応答電文をGW無線機30に送信すると、GW無線機30は、応答電文を受信し、その中継指定情報において自機の機器IDの次に指定された機器IDの第1の子機20aに応答電文を送信する。続いて、第1の子機20aは、応答電文を受信すると、その中継指定情報において自機の機器IDの次に指定された機器IDの第2の子機20bに応答電文を送信する。そして、第2の子機20bは、応答電文を受信すると、その中継指定情報において自機の機器IDの次に指定された機器IDの第7の子機20gに応答電文を送信する。このように、応答電文は、中継指定情報により指定された機器に中継されて、中継指定情報において最後に指定された第7の子機20gに送信される。そして、第7の子機20gは、応答電文を受信すると、その応答電文に応じて検針情報の送信に関するセッションを終了する。
【0050】
また、親機40は、検針情報の電文を親機記憶部42に記憶する(ステップS4)。続いて、親機40は、所定条件を具備するか否かを判定する(ステップS5)。また、上述の通り、親機40は、ステップS1の処理でNOと判定すると、所定条件を具備するか否かを判定する(ステップS5)。このステップS5の処理で、親機40は、例えば所定時間でなければ、所定条件が具備されていないと判定し(ステップS5:NO)、ステップS1~S4の処理を繰り返す。これにより、親機40は、無線通信システム10における子機20からの検針情報の電文を受信すると、その度に、その受信応答及び中継指定情報を含む応答電文を子機20に送信すると共に、検針情報の電文を親機記憶部42に記憶する。これにより、無線通信システム10における複数の子機20からの検針情報の電文が親機記憶部42に蓄積されていく。
【0051】
そして、親機40は、例えば所定時間になると、所定条件が具備されたと判定し(ステップS5:YES)、続いて、検針情報が親機記憶部42に記憶されているか否かを判定する(ステップS6)。ここで、親機40は、検針情報が親機記憶部42に記憶されていない場合には(ステップS6:NO)、検針情報が親機記憶部42に記憶されていないことを示す通知電文をセンタ50に送信する(ステップS7)。これにより、親機40は、自機が動作していること、及び、検針情報が親機記憶部42に記憶されていないこと、をセンタ50に通知することができる。この場合も、親機40は通知電文を応答不要でセンタ50に送信することにより、センタ50は通知電文を受信しても、その受信応答を親機40に送信しないため、通信回数が少なくし、通知電文の通信に伴う消費電力の増加を抑制することができる。
【0052】
一方、親機40は、1つ以上の検針情報が親機記憶部42に記憶されている場合には(ステップS6:YES)、親機記憶部42に記憶(蓄積)されている検針情報の電文を取得する。そして、親機40は、
図8に示すように、
図4に示す電文の通信種別を応答不要に修正して、その電文をセンタ50に送信する(ステップS8)。これにより、センタ50では通信管理装置52が検針情報の電文を受信すると、その応答電文を親機40に送信せずに、検針情報の電文を情報管理装置51に送信する。そして、情報管理装置51は電文を受信すると、情報管理記憶部54に記憶し、必要に応じて検針情報に対して処理を行い、処理した情報を需要家等に送信する。
【0053】
また、
図8の電文に示すように、親機40は、
図4に示す電文の中継履歴情報を削除して、その電文をセンタ50に送信してもよい。これにより、親機40からセンタ50に送信される電文のデータサイズを小さくすることができる。
【0054】
ここで、親機40は、所定条件が具備されたときに親機記憶部42に1つの検針情報の電文が記憶されている場合には、その1つの検針情報の電文をセンタ50に送信する。また、親機40は、所定条件が具備されたときに親機記憶部42に複数の検針情報の電文が記憶(蓄積)されている場合には、その複数の電文を連続してセンタ50に送信することにより、複数の検針情報をまとめて送信する。なお、親機40は、複数の電文から検針情報を抽出し、複数の検針情報を1つの電文のデータに格納して電文を送信したり、複数の電文を1つのパケットに格納してパケットを送信したりすることにより、複数の検針情報をまとめて送信してもよい。
【0055】
このように親機40は、複数の検針情報をまとめて送信することにより、検針情報の通信に伴う消費電力を低減することができる。すなわち、親機40は、例えば、eDRX(extended Discontinuous Reception)動作等の間欠動作により基地局13aを介してセンタ50と通信を行っている。そして、親機40は、センタ50に送信すべき情報(例えば、検針情報)が発生すると、間欠動作を停止してから、その検針情報の電文をセンタ50に送信し、その後に、間欠動作を再び開始する。親機40は、この間欠動作の開始時及び停止時に通信制御動作を行い、また、間欠動作の開始時に基地局13aとのコネクト動作を行う。この通信制御動作及びコネクト動作の消費電力は、1つの電文を送信する際の消費電力よりも大きい。このため、親機40は、間欠動作を停止してから再開するまでの間に複数の検針情報の電文をまとめて送信する。このような送信方法により、親機40は、検針情報を受信する度に間欠動作の停止、検針情報の電文の送信及び間欠動作の再開を行う場合よりも、間欠動作の通信制御動作及びコネクト動作の回数を低減できるため、検針情報の通信に伴う消費電力を低減することができる。
【0056】
さらに、親機40が検針情報をセンタ50に送信する時間は、予め設定されていてもよいし、プログラムにより設定されていてもよいし、センタ50や、検針員により操作される携帯端末である設定器により設定されてもよい。プログラムによる送信時間の設定では、親機40は、分散幅(例えば、12)を10倍して分散時間幅(例えば、120分)を取得する。そして、親機40は、分散起点時間(例えば、21時00分)から分散時間幅の間(例えば、21時~23時)において、親機40からの検針情報の送信時間が分散するように、親機40の識別番号及び製造番号等の数字に基づいて検針情報を送信する時間を設定する。さらに、親機40は、送信時間の秒をランダムに設定する。これにより、例えば無線通信システム10に複数の親機40が備えられている場合であっても、これらの親機40がセンタ50に電文を送信する時間が分散する。このため、センタ50は、受信した電文に関する情報処理を円滑に行うことができる。
【0057】
また、
図6のステップS2の処理において、親機40は、電文が検針情報を含まないと判定した場合には(ステップS2:NO)、その他の情報を含む電文を親機記憶部42に記憶(蓄積)せずにセンタ50に送信する(ステップS9)。このように、保安情報等の情報は緊急性を有する場合があるので、親機40は電文をできるだけ早急にセンタ50に送信する。これにより、センタ50は電文に応じて保安処理を迅速に実行することができる。
【0058】
上述の通り、無線通信システム10では、親機40は、検針情報の応答電文をセンタ50に代理して子機20に送信する。この場合、センタ50から子機20に応答電文を送信する場合に比べて、センタ50から親機40への応答電文の送信がないため、通信回数を低減し、検針情報の通信に伴う消費電力を低減することができる。また、子機20は、センタ50からの応答電文を待つことなく、親機40からの応答電文に応じて、検針情報の送信に関するセッションを迅速に終了することができる。
【0059】
また、無線通信システム10では、親機40は、中継履歴情報に基づいた中継指定情報により、検針情報の応答電文を中継するGW無線機30及び子機20(又は、GW無線機30)を指定して、この応答電文を送信先の子機20に送信する。このため、検針情報の通信に伴う消費電力を低減すると共に、親機記憶部42の記憶容量の大型化を抑制することができる。
【0060】
すなわち、センタ50の通信管理装置52によりマルチホップネットワーク12における子機20の通信が管理されている場合、親機40が応答電文をセンタ50の代理で子機20に送信するには、子機20に応答電文を送信するための伝送ルート情報を通信管理装置52に要求し且つこの伝送ルート情報を通信管理装置52から受信しなければならなかった。これに対して、親機40は、中継履歴情報に基づいた中継指定情報により応答電文の伝送ルートを指定することにより、このような通信管理装置52との通信なく、応答電文を子機20に送信することができるため、検針情報の通信に伴う消費電力を低減することができる。また、親機40は、中継履歴情報に基づいた中継指定情報により応答電文の伝送ルートを指定することにより、マルチホップネットワーク12における伝送ルート情報を親機記憶部42に記憶しておかなくてもよく、親機記憶部42の記憶容量の大型化を抑制することができる。
【0061】
さらに、無線通信システム10では、親機40は、マルチホップネットワーク12における複数の子機20の検針情報を蓄積してまとめてセンタ50に送信する。これにより、親機40は、上述の通り、例えばセンタ50との通信において基地局13aと間欠動作を行っている場合であっても、その通信制御動作及びコネクト動作の回数を低減できるため、検針情報の通信に伴う消費電力を低減することができる。
【0062】
また、無線通信システム10では、親機40は、検針情報の受信応答を不要と設定して検針情報の電文をセンタ50に送信する。これにより、センタ50は検針情報を受信しても、その応答電文を親機40に送信しないため、通信回数を低減し、検針情報の通信に伴う消費電力を低減することができる。
【0063】
さらに、この無線通信システム10に、例えば、検針情報を蓄積する機能がある親機40、及び、このような蓄積機能がない親機が混在している場合がある。このような場合であっても、蓄積機能がある親機40は電文の通信種別に応答不要と設定するのに対し、蓄積機能がない親機は電文の通信種別に応答要と設定する。このため、センタ50は、電文の通信種別に基づいて、いずれの親機40から送信されたかを判定することができる。そして、センタ50は、応答不要の電文に対しては受信応答を送付せず、また、応答要の電文に対しては受信応答を送付することによって、これらの親機40が混在する無線通信システム10が可能になる。
【0064】
なお、親機40は、検針情報を蓄積する機能を有効及び無効に切り換えられてもよい。この場合、無線通信システム10に検針情報の蓄積機能がある親機40と検針情報の蓄積機能がない親機が混在している場合に、親機40は、検針情報を蓄積する機能を有効から無効に切り換えることにより、無線通信システム10における全ての親機が検針情報を蓄積せずにセンタ50に送信するように統一することができる。このため、蓄積機能がない親機を用いた従来のセンタ運用も可能になる。
【0065】
<変形例>
変形例に係る無線通信システム10では、上記実施の形態において、
図2に示すように、親機記憶部42は第1記憶部42a及び第2記憶部42bを有している。第1記憶部42aには、子機20から送信されてきた検針情報のうち、センタ50に送信する前の未送信の検針情報が記憶される。第2記憶部42bには、子機20から送信されてきた検針情報のうち、センタ50に送信した後の送信済みの検針情報が記憶される。このため、親機40は、
図6のステップS4の処理では検針情報を含む電文を第1記憶部42aに記憶する。また、親機40は、ステップS8の処理で検針情報を第1記憶部42aから取得し、その検針情報の電文をセンタ50に送信してから、送信済みの検針情報の電文を第2記憶部42bに記憶する。
【0066】
センタ50では情報管理装置51が、例えば所定時間になると、メータ11の検針情報の電文を受信したか否かを判定する。ここで、情報管理装置51は、例えば、検針情報が情報管理記憶部54に記憶されている場合、検針情報の電文が受信されていると判定する。また、情報管理装置51は、検針情報が情報管理記憶部54に所定時間に記憶されていない場合には、所定時間までに検針情報の電文が受信されていないと判定し、その未受信の検針情報の要求を通信管理装置52に送信する。
【0067】
そして、通信管理装置52は、通信管理記憶部57に記憶されている対応情報等に基づいて、未受信の検針情報のメータ11に対応する親機40を特定し、その親機40に検針情報の要求を送信する。これに対し、親機40は、要求を受信すると、要求に対応する検針情報を第2記憶部42bから取得し、その検針情報の電文をセンタ50に送信する。
【0068】
このように、
図6のステップS8の処理で親機40が、検針情報の受信応答を不要と設定して検針情報の電文をセンタ50に送信し、仮にその検針情報がセンタ50に受信されない場合であっても、センタ50からの要求に応じて検針情報が親機40からセンタ50に再送される。このため、センタ50は検針情報をより確実に収集することができる。また、センタ50からの要求に応じて検針情報を親機40からセンタ50に送信した場合は、検針情報を子機20からセンタ50に送信する場合よりも、親機40と子機20との通信が削減され、検針情報の通信に伴う消費電力を低減することができる。
【0069】
そして、例えば、センタ50からの要求に応じて検針情報を送信した場合、又は、
図6のステップS8で送信した検針情報を第1記憶部42aから第2記憶部42bに移動する場合、又は、所定時間になった場合、親機40は、所定条件を具備したと判定する。そして、親機40は、第2記憶部42bに記憶されている検針情報を削除する。これにより、親機40は、ステップS8で送信した第1記憶部42aの検針情報を第2記憶部42bに移動することができる。
【0070】
なお、上記構成では、センタ50の情報管理装置51がメータ11の検針情報を未受信と判定した場合、その検針情報を親機40に要求したが、その検針情報を子機20に要求してもよい。この場合、通信管理装置52は、通信管理記憶部57に記憶されている対応情報等に基づいて、未受信の検針情報のメータ11に対応する子機20、及び、その子機20への伝送ルート情報を特定する。そして、通信管理装置52は、その子機20に検針情報の要求及び、伝送ルート情報に基づいた中継指定情報を送信する。これにより、要求は、中継指定情報に従って親機40、GW無線機30及び子機20に中継されて、メータ11に対応する子機20に送信される。この要求に応じて、子機20は、子機記憶部22に記憶されているメータ11の検針情報をセンタ50に送信することにより、センタ50は検針情報をより確実に収集することができる。
【0071】
<その他の変形例>
上記実施の形態及び全変形例に係る無線通信システム10では、親機40は、
図6のステップS3の処理において検針情報の応答電文をGW無線機30を介して子機20に送信した。そして、子機20は、この応答電文を受信すると、検針情報の送信に関するセッションを終了した。しかしながら、電波環境の揺れ等の事情で子機20が応答電文を受信しない場合、子機20は、検針情報及び中継指定情報を再送する。
【0072】
これに対して、親機40は、子機20から検針情報を受信すると、この受信した検針情報と、親機記憶部42に記憶されている検針情報とを比較する。この比較の結果、これらの検針情報においてメータ11の識別情報(メータID)及び検針日時等の情報が一致している場合、親機40はこの検針情報は既に受信していると判定する。そして、親機40は、子機20により再送された検針情報を親機記憶部42に記憶せずに破棄して、検針情報の受信応答、及び、中継指定情報に基づいた中継指定情報を含む応答電文を子機20に送信する。これにより、子機20は検針情報の送信に関するセッションを終了するため、これ以降に検針情報が再送されずに、検針情報の再送に伴う消費電力を低減することができる。また、親機40は、親機記憶部42の容量を大きくせずに、所定数の検針情報を親機記憶部42に記憶することができる。
【0073】
さらに、上記実施の形態及び全変形例に係る無線通信システム10では、親機40は、
図6のステップS3の処理において、ステップS1の処理で取得した検針情報の電文の中継履歴情報に基づいて中継指定情報を生成した。しかしながら、その電文に中継履歴情報が含まれていない場合には、親機40はセンタ50の通信管理装置52から伝送ルート情報を取得し、その伝送ルート情報に基づいて中継指定情報を生成してもよい。そして、親機40は中継指定情報及び検針情報の受信応答を含む電文を子機20に送信すると、子機20は受信応答に従ってセッションを終了する。これにより、子機20は、受信応答を受信できずに検針情報を再送することがないので、この再送の通信に伴う消費電力を低減することができる。
【0074】
また、上記実施の形態及び全変形例に係る無線通信システム10では、親機40は、
図6のステップS5の処理において所定時間になると、所定条件が具備されたと判定した。但し、この所定条件はこれに限定されない。例えば、親機記憶部42に記憶された検針情報の数が、親機記憶部42に記憶可能な検針情報の数に達すると、親機40は所定条件が具備されたと判定してもよい。この場合、無線通信システム10において親機40を介してセンタ50と通信を行う子機20の数は、親機記憶部42の容量によって制限されない。
【0075】
また、親機40は、センタ50からの送信要求を受信すると、所定条件が具備されたと判定してもよい。この場合、センタ50は、その情報処理等の状況に応じた最適な時間に親機40に検針情報の送信要求を送信して、親機40から検針情報を受信することができる。さらに、親機40は、FOTA(Firmware Over-The-Air)の前に所定条件が具備されたと判定してもよい。この場合、FOTAによる検針情報の変更及び削除前に、親機40は検針情報をセンタ50に送信するため、センタ50は検針情報をより確実に収集することができる。
【0076】
また、上記実施の形態及び全変形例に係る無線通信システム10では、親機40は、
図6のステップS4で検針情報を記憶(蓄積)してから、ステップS8にて複数の検針情報をまとめてセンタ50に送信した。しかしながら、例えばGW無線機30を介して親機40に接続された子機20が1台である場合等では、親機40は、センタ50に送信する検針情報の数が1つである。このような場合には、親機40は、その検針情報を記憶せずにセンタ50に送信するような動作に設定変更できる機能を有していてもよい。これにより、親機40は、検針情報の通信に伴う消費電力を増加させずに、検針情報を遅滞なくセンタ50に送信することができる。
【0077】
上記実施の形態及び全変形例に係る無線通信システム10では、GW無線機30は、メータ11に通信可能に接続されていてもよい。この場合、GW無線機30は、親機40との通信機能を有する子機20により構成されていてもよい。このGW無線機30は、検針情報等のメータ11に関する情報を親機40を介してセンタ50に送信する。
【0078】
なお、上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良及び他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更することができる。
【0079】
<付記>
以上の実施の形態及び変形例の記載により、下記の技術が開示される。
技術1は、マルチホップネットワークに属し且つメータの検針情報を送信又は中継する複数の無線子機と、前記マルチホップネットワークとは異なる他の通信ネットワークを介してセンタと情報を送受信する無線親機と、前記無線子機と共に前記マルチホップネットワークに属し且つ前記マルチホップネットワークと前記他の通信ネットワークとの通信において中継を行うGW無線機と、を備え、前記無線親機は、前記検針情報、及び、前記検針情報の伝送を中継した機器に関する中継履歴情報を前記GW無線機から受信し、前記検針情報の送信元の前記無線子機への前記検針情報の受信応答の伝送を中継する機器を指定する中継指定情報を前記中継履歴情報に基づいて生成し、前記中継指定情報及び前記受信応答を前記センタに代わって前記GW無線機に送信し、前記検針情報を蓄積し、所定条件を具備した場合に前記検針情報の受信応答を不要に設定して前記検針情報を前記センタに送信する、無線通信システムである。
【0080】
この構成によれば、無線親機は、検針情報を受信すると、その受信応答をセンタに代わってGW無線機に送信すると共に、受信応答を不要と設定した検針情報をセンタに送信する。これにより、検針情報の受信応答は、センタから送信されずに、無線親機からGW無線機を介して無線子機に送信される。この場合、受信応答がセンタから送信される場合よりも、センタと無線親機との通信回数が少ないため、検針情報の通信に伴う消費電力を通信システム全体で低減することができる。
【0081】
また、無線親機は、中継履歴情報に基づいた中継指定情報により受信応答の伝送を中継する機器を指定する。これにより、例えば無線通信システムにおける情報の伝送ルートがセンタにより管理されている場合であっても、無線親機は受信応答の伝送ルート情報をセンタに要求せずに、中継履歴情報に基づいた中継指定情報により受信応答を無線子機に送信することができる。このような、伝送ルート情報の要求に関する無線親機とセンタとの間の通信がないため、検針情報の通信に伴う消費電力を低減することができる。
【0082】
さらに、無線親機は、検針情報を蓄積してまとめて送信するため、検針情報を1つずつ送信する場合よりも、検針情報の通信に伴う消費電力を低減することができる。すなわち、例えば無線親機がセンタとの通信において他の通信ネットワークの基地局と間欠動作で通信する場合、検針情報を送信する度に、無線親機は通信制御動作及びコネクト動作を行う。このような場合、検針情報をまとめて送信することにより、このような動作の回数が、検針情報を1つずつ送信する場合よりも少ないため、検針情報の通信に伴う消費電力を低減することができる。
【0083】
技術2は、メータの検針情報を送信又は中継する複数の無線子機と共にマルチホップネットワークに属し且つ前記マルチホップネットワークと当該マルチホップネットワークとは異なる他の通信ネットワークとの通信において中継を行うGW無線機と情報を送受信し、且つ、前記他の通信ネットワークを介してセンタと情報を送受信する無線親機であって、前記検針情報、及び、前記検針情報の伝送を中継した機器に関する中継履歴情報を前記GW無線機から受信し、前記検針情報の送信元の前記無線子機への前記検針情報の受信応答の伝送を中継する機器を指定する中継指定情報を前記中継履歴情報に基づいて生成し、前記中継指定情報及び前記受信応答を前記センタに代わって前記GW無線機に送信し、前記検針情報を蓄積し、所定条件を具備した場合に前記検針情報の受信応答を不要に設定して前記検針情報を前記センタに送信する、無線親機である。
【0084】
この構成によれば、技術1の構成と同様に、無線親機は、検針情報を受信すると、その受信応答をセンタに代わってGW無線機に送信すると共に、受信応答を不要と設定した検針情報をセンタに送信する。また、無線親機は、中継履歴情報に基づいた中継指定情報により受信応答の伝送を中継する機器を指定する。さらに、無線親機は、検針情報を蓄積してまとめて送信する。これらにより、検針情報に関する通信回数等を少なく抑えられるため、検針情報の通信に伴う消費電力を低減することができる。
【0085】
技術3は、前記センタに未送信の前記検針情報を蓄積する第1記憶部と、前記センタに送信済みの前記検針情報を蓄積する第2記憶部と、を有し、前記センタにて未受信と判定された前記検針情報の要求を受信した場合に前記第2記憶部の前記検針情報を前記センタに送信する、技術2に記載の無線親機である。
【0086】
この構成によれば、例えば無線親機が検針情報をセンタに送信しても、何らかの事情によりセンタが検針情報を未受信と判定する場合がある。このような場合であっても、無線親機は、センタからの検針情報の要求に応じて、第2記憶部に記憶されている検針情報をセンタに送信することができる。この場合、検針情報を無線子機からセンタに送信する場合よりも、無線親機と無線子機と間の通信を減らせるため、検針情報の通信に伴う消費電力を低減することができる。
【0087】
技術4は、前記GW無線機から受信した情報が前記検針情報であるか否かを判定し、前記情報が前記検針情報でない場合には、前記情報を蓄積せずに前記センタに送信する、技術2又は3に記載の無線親機である。
【0088】
この構成によれば、受信した情報が検針情報でない場合には、保安情報等の緊急性を有する場合があるので、無線親機はその情報を蓄積せずにセンタに送信する。これにより、センタはその情報に迅速に対応することができる。
【符号の説明】
【0089】
10 :無線通信システム
11 :メータ
12 :マルチホップネットワーク
13 :通信ネットワーク(他の通信ネットワーク)
20 :子機(無線子機)
30 :GW無線機
40 :親機(無線親機)
42a :第1記憶部
42b :第2記憶部
50 :センタ
【手続補正書】
【提出日】2023-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチホップネットワークに属し且つメータの検針情報をセンタへ送信又は中継する複数の無線子機と、
前記マルチホップネットワークとは異なる他の通信ネットワークを介して前記センタと情報を送受信する無線親機と、
前記無線子機と共に前記マルチホップネットワークに属し且つ前記マルチホップネットワークと前記他の通信ネットワークとの通信において中継を行うGW無線機と、を備え、
前記無線親機は、
前記検針情報、及び、前記検針情報の伝送を中継した機器に関する中継履歴情報を前記GW無線機から受信し、
前記検針情報の送信元の前記無線子機への前記検針情報の受信応答の伝送を中継する機器を指定する中継指定情報を前記中継履歴情報に基づいて生成し、
前記中継指定情報及び前記受信応答を前記センタに代わって前記GW無線機に送信し、
前記検針情報を蓄積し、所定条件を具備した場合に前記検針情報の受信応答を不要に設定して前記検針情報を前記センタに送信する、
無線通信システム。
【請求項2】
メータの検針情報をセンタへ送信又は中継する複数の無線子機と共にマルチホップネットワークに属し且つ前記マルチホップネットワークと当該マルチホップネットワークとは異なる他の通信ネットワークとの通信において中継を行うGW無線機と情報を送受信し、且つ、前記他の通信ネットワークを介して前記センタと情報を送受信する無線親機であって、
前記検針情報、及び、前記検針情報の伝送を中継した機器に関する中継履歴情報を前記GW無線機から受信し、
前記検針情報の送信元の前記無線子機への前記検針情報の受信応答の伝送を中継する機器を指定する中継指定情報を前記中継履歴情報に基づいて生成し、
前記中継指定情報及び前記受信応答を前記センタに代わって前記GW無線機に送信し、
前記検針情報を蓄積し、所定条件を具備した場合に前記検針情報の受信応答を不要に設定して前記検針情報を前記センタに送信する、
無線親機。
【請求項3】
前記センタに未送信の前記検針情報を蓄積する第1記憶部と、
前記センタに送信済みの前記検針情報を蓄積する第2記憶部と、を有し、
前記センタにて未受信と判定された前記検針情報の要求を受信した場合に前記第2記憶部の前記検針情報を前記センタに送信する、
請求項2に記載の無線親機。
【請求項4】
前記GW無線機から受信した情報が前記検針情報であるか否かを判定し、
前記情報が前記検針情報でない場合には、前記情報を蓄積せずに前記センタに送信する、
請求項2又は3に記載の無線親機。