(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161739
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】製袋充填包装機および袋の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20241113BHJP
B65B 9/20 20120101ALI20241113BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20241113BHJP
B65B 57/04 20060101ALI20241113BHJP
B65B 51/14 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
B65B51/10 P
B65B9/20
B65B57/00 H
B65B57/04
B65B51/14
B65B51/10 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076718
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗林 慎
(72)【発明者】
【氏名】江川 正和
【テーマコード(参考)】
3E050
3E094
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050AB08
3E050CA01
3E050CB01
3E050CB03
3E050DB01
3E050DC02
3E050DD03
3E050DD07
3E050DE10
3E050DF01
3E050FB01
3E050GB06
3E050HA01
3E050HA07
3E094AA13
3E094CA06
3E094CA12
3E094DA07
3E094DA08
3E094EA03
3E094FA05
3E094FA14
3E094GA05
3E094GA13
3E094HA08
(57)【要約】
【課題】袋の最端部に未シール部が形成されないようにすることが可能な製袋充填包装機および袋の製造方法を提供する。
【解決手段】製袋充填包装機の制御装置は、予定切断位置C1を挟んだ溝部25の溝幅D1分の所定範囲A1と第1シール面部24Aとが重なる第1所定位置Ps1に相対位置を位置付ける第1位置決め処理を実行し、第1所定位置Ps1で第1シール面部24Aおよび第2シール面部24Bで包材Wを挟持しながら包材Wをヒートシールする一次シール処理を実行し、相対位置を第1所定位置Ps1から所定移動量だけ移動し、予定切断位置C1とカッターとが重なる第2所定位置に相対位置を位置付ける第2位置決め処理を実行し、第2所定位置で第1シール面部24Aおよび前記第2シール面部24Bにより包材Wを挟持しながら包材Wをヒートシールする二次シール処理を実行し、第2所定位置でカッター23により包材Wを切断する切断処理を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填物が内部に供給される包材を繰り出す繰り出し装置と、
前記包材の繰り出し方向と直交する開閉方向に沿って開閉動作する一対のヒータブロックと、前記包材を切断する切断刃とを含むシール装置と、
前記包材と前記一対のヒータブロックとの相対位置を調整しながら、前記一対のヒータブロックで前記包材のうち袋となる部分の両端部をヒートシールし、ヒートシールされる範囲内に予め定められた予定切断位置で前記切断刃により前記包材を切断して袋を形成するように、前記繰り出し装置および前記シール装置を制御する制御装置と
を備え、
前記一対のヒータブロックは、前記繰り出し方向において互いに間隔を空けて設けられ、前記包材を挟み込む第1挟持部および第2挟持部と、前記第1挟持部と前記第2挟持部との間を前記開閉方向に沿って延び、前記切断刃の移動経路を形成する溝部とを含み、
前記第1挟持部および前記第2挟持部の少なくともいずか一方は、前記包材をヒートシールするシール面部であり、
前記制御装置は、
前記一対のヒータブロックが前記包材から離れた状態で、前記予定切断位置を挟んだ前記溝部の溝幅分の所定範囲と前記シール面部とが重なる第1所定位置に前記相対位置を位置付ける第1位置決め処理を実行し、
前記第1所定位置で前記一対のヒータブロックの前記第1挟持部および前記第2挟持部で前記包材を挟持しながら前記包材をヒートシールする一次シール処理を実行し、
前記一対のヒータブロックが前記包材から離れた状態で、前記相対位置を前記第1所定位置から所定移動量だけ移動し、前記予定切断位置と前記切断刃とが重なる第2所定位置に位置付ける第2位置決め処理を実行し、
前記第2所定位置で前記一対のヒータブロックの前記第1挟持部および前記第2挟持部で前記包材を挟持しながら前記包材をヒートシールする二次シール処理を実行し、
前記第2所定位置で前記切断刃により前記包材を切断する切断処理を実行する
製袋充填包装機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記繰り出し装置により前記包材を繰り出して前記相対位置を調整する請求項1に記載の製袋充填包装機。
【請求項3】
前記シール面部は、所定間隔を空けて形成された複数の線状凸部を含み、
前記所定移動量は、前記所定間隔の整数倍または前記所定間隔の1/2の整数倍とされる請求項1に記載の製袋充填包装機。
【請求項4】
前記シール面部は、所定間隔を空けて形成された複数の線状凸部と、前記一次シール処理と前記二次シール処理との双方でヒートシールされる前記包材の重複シール部を形成する平面部とを含む請求項1に記載の製袋充填包装機。
【請求項5】
前記第1挟持部の面幅、前記第2挟持部の面幅、前記溝部の溝幅、前記溝部の一端から前記切断刃までの間隔、前記溝部の他端から前記切断刃までの間隔および前記所定移動量は、前記予定切断位置から前記繰り出し方向における上流側にかけて前記包材に形成される第1シール部の長さと、前記予定切断位置から前記繰り出し方向における下流側にかけて前記包材に形成される第2シール部の長さとが同じになるように設定される請求項1に記載の製袋充填包装機。
【請求項6】
前記第2位置決め処理における前記一対のヒータブロックの前記包材に対する距離は、前記第1位置決め処理における前記一対のヒータブロックの前記包材に対する距離よりも短い請求項1に記載の製袋充填包装機。
【請求項7】
前記シール装置に隣接して設けられ、前記開閉方向に沿って開閉動作し、前記包材を挟持する一対のしごき部材を含むしごき装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記第2位置決め処理において前記一対のしごき部材により前記包材を挟持させながら、前記相対位置を調整する請求項1に記載の製袋充填包装機。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の製袋充填包装機を用いて、前記包材と前記一対のヒータブロックとの相対位置を調整しながら、前記一対のヒータブロックで前記包材のうち袋となる部分の両端部をヒートシールし、ヒートシールされる範囲内に予め定められた予定切断位置で前記切断刃により前記包材を切断して袋を形成する袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製袋充填包装機および袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包材のうち袋となる部分の両端部をヒートシールし、切断刃で包材を切断して袋を製造する製袋充填包装機に関する技術が知られている。例えば、特許文献1には、包装フィルムに横シール部を周期的に形成するとともに当該フィルム筒内に製品を充填し、横シール部を中央から切断することにより包装袋を製造する縦形製袋充填包装機が記載されている。この製袋充填包装機では、一方の横シールブロックがカッターを内蔵しており、このカッターが切欠き溝内を水平移動することで、包装フィルムに形成された横シール部を切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシール装置では、カッターを収容するための溝部(切り欠き溝部)がヒータブロックに形成されるため、当該溝部に該当する部分で包材をヒートシールすることができず、袋の最端部が未シール部となってしまう。その結果、袋が未シール部で捲れやすくなり包装品質を損なうと共に、袋の美観を損なうおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、袋の最端部に未シール部が形成されないようにすることが可能な製袋充填包装機および袋の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の製袋充填包装機は、充填物が内部に供給される包材を繰り出す繰り出し装置と、前記包材の繰り出し方向と直交する開閉方向に沿って開閉動作する一対のヒータブロックと、前記包材を切断する切断刃とを含むシール装置と、前記包材と前記一対のヒータブロックとの相対位置を調整しながら、前記一対のヒータブロックで前記包材のうち袋となる部分の両端部をヒートシールし、ヒートシールされる範囲内に予め定められた予定切断位置で前記切断刃により前記包材を切断して袋を形成するように、前記繰り出し装置および前記シール装置を制御する制御装置とを備え、前記一対のヒータブロックは、前記繰り出し方向において互いに間隔を空けて設けられ、前記包材を挟み込む第1挟持部および第2挟持部と、前記第1挟持部と前記第2挟持部との間を前記開閉方向に沿って延び、前記切断刃の移動経路を形成する溝部とを含み、前記第1挟持部および前記第2挟持部の少なくともいずか一方は、前記包材をヒートシールするシール面部であり、前記制御装置は、前記一対のヒータブロックが前記包材から離れた状態で、前記予定切断位置を挟んだ前記溝部の溝幅分の所定範囲と前記シール面部とが重なる第1所定位置に前記相対位置を位置付ける第1位置決め処理を実行し、前記第1所定位置で前記一対のヒータブロックの前記第1挟持部および前記第2挟持部で前記包材を挟持しながら前記包材をヒートシールする一次シール処理を実行し、前記一対のヒータブロックが前記包材から離れた状態で、前記相対位置を前記第1所定位置から所定移動量だけ移動し、前記予定切断位置と前記切断刃とが重なる第2所定位置に位置付ける第2位置決め処理を実行し、前記第2所定位置で前記一対のヒータブロックの前記第1挟持部および前記第2挟持部で前記包材を挟持しながら前記包材をヒートシールする二次シール処理を実行し、前記第2所定位置で前記切断刃により前記包材を切断する切断処理を実行する。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の袋の製造方法は、上記製袋充填包装機を用いて、前記包材と前記一対のヒータブロックとの相対位置を調整しながら、前記一対のヒータブロックで前記包材のうち袋となる部分の両端部をヒートシールし、ヒートシールされる範囲内に予め定められた予定切断位置で前記切断刃により前記包材を切断して袋を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製袋充填包装機および袋の製造方法によれば、袋の最端部に未シール部が形成されないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の製袋充填包装機を示す概略構成図である。
【
図3】第1実施形態のシール制御の手順を示す説明図である。
【
図8】第2実施形態のシール制御の要部を示す説明図である。
【
図9】第3実施形態のシール制御の要部を示す説明図である。
【
図10】第4実施形態のシール制御の要部を示す説明図である
【
図11】第5実施形態のシール制御の要部を示す説明図である。
【
図12】第6実施形態のシール制御の手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の製袋充填包装機を示す概略構成図である。製袋充填包装機1は、製袋チューブ2と、ホッパ6と、フォーマ8と、包材フィーダ12と、縦シール装置16と、横シール装置20(シール装置)と、制御装置30とを備えた縦型製袋充填包装機である。製袋充填包装機1の各構成要素は、図示しない本体フレームにより支持されている。
【0012】
製袋チューブ2は、上下方向に延び、その上端に接続されたホッパ6を通じて粉粒体などの充填物の供給を受ける。製袋充填包装機1は、製袋チューブ2内に配置されたらせん状の羽根を有するオーガ軸を回転させ、ホッパら6から製袋チューブ2内に所定量の充填物を供給する。なお、製袋チューブ2の内部に上下方向に延びる充填チューブを配置し、当該充填チューブをホッパ6に接続させて、充填チューブを介して製袋チューブ2に充填物を供給してもよい。
【0013】
また、製袋チューブ2の上方かつホッパ6の下方には、フォーマ8が取り付けられ、フォーマ8から包材ロールWRまで包材繰出し経路11が延びている。包材ロールWRからは、ヒートシール可能なフィルムなどの包材Wが包材繰出し経路11に沿って繰り出され、フォーマ8を経て製袋チューブ2の外周に導かれる。包材Wは、フォーマ8によって製袋チューブ2を囲む筒状に形成され、製袋チューブ2に沿い下方に導かれる。また、フォーマ8を通過する際、筒状の包材Wの両側縁は所定の形態にて互いに重ね合わされたラップ部を形成する。
【0014】
包材フィーダ12(繰り出し装置)は、フォーマ8の下方にて、製袋チューブ2の両側に1つずつ配置されている。各包材フィーダ12は、無端状のサクションベルトを有し、サクションベルトに包材Wを吸着させる。包材フィーダ12のサクションベルトが一方向に走行すると、サクションベルトに吸着された包材Wが製袋チューブ2の外周面に沿って下方に繰り出される。
【0015】
縦シール装置16は、
図1に示すように、製袋チューブ2に対して包材ロールWRとは反対側で、製袋チューブ2の外周面における包材Wに近接して配置される。縦シール装置16は、製袋チューブ2に対して開閉動作し、包材Wの上記ラップ部をヒートシールする一対のヒータブロック17を備えている。縦シール装置16を通過した後の包材Wは、一対のヒータブロック17により両側縁が互いに接着される。
【0016】
横シール装置20は、製袋チューブ2の下方に設けられ、開閉可能な一対のヒータブロック21、22と、カッター23(切断刃。
図2参照)と、を有している。横シール装置20は、一対のヒータブロック21、22が包材Wを挟み付けてヒートシールすることで包材Wに横シールを形成し、カッター23により包材Wを切断する。それにより、切断後の包材Wの両端部が閉じられ、充填物が充填された袋Fが形成される。
【0017】
制御装置30は、製袋充填包装機1の全体制御を行う制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成される。制御装置30は、入出力装置で入力された各種設定などにしたがって製袋充填包装機1の各種装置、各種機器を制御する。例えば、制御装置30は、図示しないヒータブロック駆動装置により一対のヒータブロック21、22の開閉を制御すると共に、図示しないカッター駆動装置によりカッター23の移動を制御し、包材Wの両端部をヒートシールすると共にカッター23で包材Wを切断して袋Fを形成する。より詳細には、制御装置30は、包材Wと横シール装置20との相対位置を調整しながら、横シール装置20により包材Wのうち袋Fとなる部分の繰り出し方向Zにおける両端部をヒートシールし、包材Wのヒートシールされる範囲内に予め定められた予定切断位置C1(
図3参照)でカッター23により包材Wを切断して袋Fを形成するシール制御を実行する。
【0018】
次に、横シール装置20の構成について
図2を参照しながら説明する。
図2は、横シール装置20を示す側面図である。以下の説明では、一対のヒータブロック21、22が開閉する方向である水平方向の一方を「開閉方向X」と称し、開閉方向Xと直交する水平方向の他方を「方向Y」と称し、開閉方向Xおよび方向Yと直交する上下方向を「繰り出し方向Z」と称する。繰り出し方向Zは、製袋チューブ2に沿って包材Wが繰り出される方向である。
【0019】
図2に示すように、横シール装置20の一対のヒータブロック21、22は、包材Wを挟み込んでヒートシールするためのシール面部24を含む。各シール面部24は、繰り出し方向Zに沿って延び、開閉方向Xにおいて包材Wを挟んで互いに対向するように配置されている。また、繰り出し方向Zにおける各シール面部24の中央部には、開閉方向Xに沿って延びる溝部25が形成されている。各溝部25は、互いの開口部が対向するように並んで配置され、一方のヒータブロック21の溝部25内に収容された上記カッター23の移動経路を形成する。各溝部25は、その内部でカッター23が移動可能な程度の溝幅D1に形成されている。本実施形態では、カッター23が溝部25の中央に配置されておいる。つまり、溝部25の繰り出し方向Zにおける一端(上端)からカッター23の先端までの間隔G1、溝部25の繰り出し方向Zにおける他端(下端)からカッター23の先端までの間隔G2は、同じ長さである。なお、カッター23は、溝部25内の一端側や他端側に寄せて配置されてもよい。
【0020】
上記構成により、各シール面部24は、各溝部25を挟んで一方側(上側)に配置された第1シール面部24A(第1挟持部)と、他方側(下側)に配置された第2シール面部24B(第2挟持部)とを含む。本実施形態では、第1シール面部24Aの繰り出し方向Zの面幅D2Aおよび第2シール面部24Bの繰り出し方向Zの面幅D2Bは、互いに同じ長さとされている。また、面幅D2Aおよび面幅D2Bの長さは、溝部25の繰り出し方向Zの溝幅D1の長さ以上に設定される。
【0021】
また、各シール面部24には、複数の線状凸部24tが形成されている。複数の線状凸部24tは、その頂点が方向Yに沿って直線状に延びる。複数の線状凸部24tは、一対のヒータブロック21、22とで、その頂点と底部とが互い違いに当接可能となるように形成されている。複数の線状凸部24tは、一対のヒータブロック21、22とで互いに違いに形成された隣り合う頂点同士が、繰り出し方向Zにおいて所定間隔G3を空けて形成される。
【0022】
以上のように構成された一対のヒータブロック21、22は、図示しないヒータブロック駆動装置によって、各シール面部24で包材Wを挟み込む挟持状態(
図3のステップSt3参照)と、包材Wから離れた第1待機状態(
図3のステップSt1参照)および第2待機状態(
図3のステップSt4参照)との間で開閉動作可能とされている。また、溝部25内に収容されたカッター23は、図示しないカッター駆動装置によって、各溝部25内を開閉方向Xに沿って移動可能とされており、挟持状態に位置づけられた一対のヒータブロック21、22で挟み込まれた包材Wを予め定められた予定切断位置C1(
図3参照)で切断する。予定切断位置C1は、袋Fに要求される大きさに応じて、包材Wを切断すべき位置として、一対のヒータブロック21、22でヒートシールされる範囲内に設定される。包材Wにおいて、予定切断位置C1よりも繰り出し方向の下流側に位置する部分は、n回目(nは、1以上の整数)に製造される袋Fnとなり、予定切断位置C1よりも繰り出し方向の上流側に位置する部分は、n+1回目に製造される袋Fn+1となる。
【0023】
ここで、各ヒータブロック21、22には、カッター23の移動経路としての溝部25が形成されていることから、各シール面部24の溝部25に相当する部分では包材Wをヒートシールすることができず、カッター23で切断した位置の周囲、すなわち、袋Fの最端部が未シール部となってしまう。その結果、袋Fが未シール部で捲れやすくなり包装品質を損なうと共に、袋Fの美観を損なうおそれがあった。そこで、製袋充填包装機1では、袋Fに未シール部が発生することを防ぐため、以下に説明する実施形態の袋の製造方法によるシール制御を実行する。
【0024】
図3は、第1実施形態のシール制御の手順を示す説明図である。また、
図4は、
図3のステップSt3を示す説明図であり、
図5は、
図3のステップSt5を示す説明図であり、
図6は、
図3のステップSt6を示す説明図であり、
図7は、
図3のステップSt7を示す説明図である。
図5から
図7は、包材Wを開閉方向Xから視た図であり、一対のヒータブロック21、22を破線により模式的に示している。
【0025】
第1実施形態のシール制御は、
図3に示すように、第1待機ステップSt1と、第1位置決めステップSt2と、一次シールステップSt3と、第2待機ステップSt4と、第2位置決めステップSt5と、二次シールステップSt6と、切断ステップSt7とを含む。シール制御は、ステップSt1からステップSt7をこの順番に繰り返し実行する。また、シール制御において、横シール装置20を含む製袋充填包装機1の構成要素は、制御装置30により制御される。
【0026】
第1待機ステップSt1は、
図3に示すように、一対のヒータブロック21、22を第1待機状態とするステップである。一対のヒータブロック21、22は、第1待機状態において、互いに第1所定距離L1だけ離れた位置に位置付けられる。第1所定距離L1は、製袋チューブ2に沿って筒状に形成された包材Wと一対のヒータブロック21、22とが干渉しない程度の距離として設定される。
【0027】
次に、第1位置決めステップSt2(第1位置決め処理)は、一対のヒータブロック21、22を第1待機状態に維持したまま、包材Wを繰り出し方向Zに繰り出して一対のヒータブロック21、22と包材Wとの相対位置を第1所定位置Ps1に位置付けるステップである。第1所定位置Ps1は、
図4に示すように、包材Wの予定切断位置C1を挟んだ溝部25の溝幅D1分の所定範囲A1(灰色を付した範囲内において破線で囲んだ範囲)と、一対のヒータブロック21、22の各第1シール面部24Aとが開閉方向Xにおいて重なったときの上記相対位置である。本実施形態では、上記相対位置が第1所定位置Ps1となると、包材Wの繰り出しを一旦停止させる。
【0028】
次に、一次シールステップSt3(一次シール処理)は、上記相対位置が第1所定位置Ps1となった包材Wを一対のヒータブロック21、22によりヒートシールするステップである。一次シールステップSt3では、
図3に示すように、一対のヒータブロック21、22を挟持位置に位置づけて包材Wを挟持させる。これにより、包材Wは、
図4で灰色を付した範囲に示すように、各第1シール面部24Aで挟持される上記所定範囲A1を含む範囲がヒートシールされると共に、第2シール面部24Bで挟持される範囲がヒートシールされる。このとき、包材Wには、溝幅D1分の未シール部A2(灰色を付した範囲の間に白抜きで示した範囲)が生じることになる。
【0029】
次に、第2待機ステップSt4は、一対のヒータブロック21、22を第2待機状態とするステップである。一対のヒータブロック21、22は、
図3に示すように、第2待機状態において、互いに第2所定距離L2だけ離れた位置に位置付けられる。上記一次シールステップSt3において一対のヒータブロック21、22で包材Wが挟持されることで、包材Wは、筒状の状態から面状に押しつぶされた状態とされている。したがって、第2待機状態では、第1待機状態に比べて一対のヒータブロック21、22を包材Wから大きく離す必要がなく、第2所定距離L2は、第1所定距離L1よりも短い距離として設定される。そのため、次に実行される第2位置決めステップSt5における一対のヒータブロック21、22の包材Wに対する距離は、第1位置決めステップSt2における一対のヒータブロック21、22の包材Wに対する距離よりも短い。
【0030】
次に、第2位置決めステップSt5(第2位置決め処理)は、一対のヒータブロック21、22を第2待機状態に維持したまま包材Wを繰り出し方向Zに繰り出すことで、上記相対位置を第1所定位置Ps1から所定移動量ΔD(
図5参照)だけ移動させて第2所定位置Ps2に位置付けるステップである。第2所定位置Ps2は、
図5に示すように、包材Wに対して予め定められた予定切断位置C1と、カッター23の先端位置C2とが開閉方向Xにおいて並んだときの上記相対位置である。つまり、第2所定位置Ps2は、カッター23により包材Wを予定切断位置C1で切断するときの上記相対位置である。本実施形態では、包材Wが第2所定位置Ps2となると、包材Wの繰り出しを一旦停止させる。なお、第2位置決めステップSt5は、第2待機ステップSt4において一対のヒータブロック21、22が包材Wから離れた時点で開始されてもよい。第1位置決めステップSt2および第2位置決めステップSt5における包材Wと一対のヒータブロック21、22との相対移動量の合計は、最終的に製造される上下端部がシールされた袋Fn分の長さに相当する。
【0031】
また、第2位置決めステップSt5では、上記未シール部A2が第2シール面部24Bと開閉方向Xにおいて重なるように上記相対位置を位置決めすることが好ましい。具体的には、所定移動量ΔDが溝幅D1以上であれば、未シール部A2が第2シール面部24Bの上端から下流側に位置することになる。また、所定移動量ΔDが第2シール面部24Bの面幅D2B以下であれば、未シール部A2が第2シール面部24Bの下端から上流側に位置することになる。したがって、所定移動量ΔDは、次式(1)を満たすように設定される。
【0032】
D1≦ΔD≦D2B …(1)
【0033】
次に、二次シールステップSt6(二次シール処理)は、上記相対位置が第2所定位置Ps2となった包材Wを一対のヒータブロック21、22により挟持してヒートシールするステップである。二次シールステップSt6では、
図3に示すように、一対のヒータブロック21、22を挟持位置に位置付けて各シール面部24により包材Wをヒートシールする。これにより、包材Wには、
図6に示すように、予定切断位置C1から繰り出し方向Zにおける上流側にかけて第1シール部Se1(灰色を付した範囲)が形成されると共に、予定切断位置C1から繰り出し方向Zにおける下流側にかけて第2シール部Se2(灰色を付した範囲)が形成される。第1シール部Se1と第2シール部Se2とは連続して形成され、未シール部を含まない。また、第1シール部Se1および第2シール部Se2において、濃い灰色を付した範囲は、一次シールステップSt3および二次シールステップSt6の双方で1回ずつヒートシールされた重複シール部Se3となる。
【0034】
次に、切断ステップSt7(切断処理)は、カッター23により包材Wを予め定められた予定切断位置C1で切断するステップである。
図3に示すように、カッター23を各溝部25内で移動させることで、一対のヒータブロック21、22で挟み込まれた包材Wが切断される。これにより、
図7に示すように、切断後の包材Wが袋Fnを形成する。袋Fnの一端部(下端部)には、第1シール部Se1が形成され、他端部(上端部)には、第2シール部Se2が形成されることになる。その後、一対のヒータブロック21、22を再び第1待機状態とする第1待機ステップSt1へと戻る。
【0035】
以上説明したように、第1実施形態の製袋充填包装機1および袋の製造方法では、第1位置決めステップSt2(第1位置決め処理)で包材Wの予め定められた予定切断位置C1を挟んで溝部25の溝幅D1分の所定範囲A1を第1シール面部24A(シール面部)と重なる位置に位置づけ、一次シールステップSt3(一次シール処理)で当該所定範囲A1を予めヒートシールしておく。そして、第2位置決めステップSt5(第2位置決め処理)で所定移動量ΔDだけ上記相対位置を移動し、二次シールステップSt6(二次シール処理)で包材Wを第1シール面部24Aおよび第2シール面部24Bで挟持してヒートシールする。それにより、切断ステップSt7(切断処理)で予定切断位置C1において包材Wを切断することが可能となる。その結果、製造される袋Fnには、予定切断位置C1を挟む所定範囲A1に該当する部分に未シール部A2が含まれない。つまり、袋Fnの最端部に未シール部が形成されないようにして、袋Fnの包装品質を向上させることができると共に、袋Fnの美観を向上させることができる。
【0036】
また、袋Fnの最端部に未シール部が形成されないということは、言い換えると、袋Fnから本来的に不必要な部分を除外することができることになる。したがって、不必要な部分を除外した分だけ袋Fnの端部(ヒートシールされる部分)の長さを短く設定し、省資源化を図ることが可能となる。
【0037】
また、一対のヒータブロック21、22が第1シール面部24A(第1挟持部)および第2シール面部24B(第2挟持部)と、その間に形成されたカッター23を収容する溝部25とを含む横シール装置20(シール装置)により、袋Fnの最端部に未シール部が形成されないようにすることができる。つまり、包材Wをヒートシールするための一対のヒータブロック21、22と、包材Wを切断するための切断装置とを別体の装置とする必要がない。このように、一対のヒータブロック21、22とカッター23とがアッセンブリ化された横シール装置20を用いることで、部品点数の増加を抑制し、装置の省スペース化を図ることができる。
【0038】
また、第2位置決めステップSt5において、包材Wを繰り出して上記相対位置を調整することで、横シール装置20を移動させるための構成が必要なく、製袋充填包装機1を簡易な構成とすることができる。
【0039】
また、第2位置決めステップSt5における一対のヒータブロック21、22の包材Wに対する距離は、第1位置決めステップSt3における一対のヒータブロック21、22の包材Wに対する距離よりも短い。つまり、第2所定距離L2が第1所定距離L1よりも短い。これにより、第2位置決めステップSt5、二次シールステップSt6で一対のヒータブロック21、22の開閉動作を速やかに行うことができる。
【0040】
[第2実施形態]
次に、
図8を参照しながら第2実施形態の製袋充填包装機および袋の製造方法としてのシール制御について説明する。
図8は、第2実施形態のシール制御の要部を示す説明図である。
図8では、第2実施形態における一次シールステップSt3、第2位置決めステップSt5、二次シールステップSt6の処理において、包材Wを開閉方向Xから視た状態を示している。第2実施形態の製袋充填包装機1においては、横シール装置20が第1実施形態の溝部25に代えて溝部252を備えている。溝部252は、その溝幅D1が各シール面部24に形成された複数の線状凸部24tの所定間隔G3の整数倍に設定されている。
【0041】
第2実施形態のシール制御について説明する。
図8の一次シールステップSt3に示すように、各シール面部24で包材Wをヒートシールすると、包材Wには、複数の線状凸部24tの頂点に沿った直線状部40が形成されることになる。なお、
図8では、直線状部40の数や間隔の一例を示している。そして、第2実施形態のシール制御では、第2位置決めステップSt5における所定移動量ΔDが、各シール面部24に形成された複数の線状凸部24tの所定間隔G3の整数倍に設定される。これにより、第2位置決めステップSt5において複数の直線状部40と第1シール面部24Aに形成された複数の線状凸部24tとが一直線上に並ぶことになる。
【0042】
また、溝幅D1も複数の線状凸部24tの所定間隔G3の整数倍に設定されていることで、第1シール面部24Aのみならず、第2シール面部24Bでも直線状部40と線状凸部24tとが一直線上に並ぶ。なお、仮に第2シール面部24Bが複数の線状凸部24tを含まない場合、第2シール面部24Bにおいて直線状部40と線状凸部24tとの位置を考慮する必要がない。そのため、その場合には、溝幅D1は、複数の線状凸部24tの所定間隔G3の整数倍または所定間隔G3の整数倍でなくてもよい。
【0043】
上記構成により、二次シールステップSt6において各シール面部24で包材Wを挟持してヒートシールすると、包材Wに形成される重複シール部Se3において、複数の直線状部40が不均一な間隔で形成されないようにすることができる。つまり、直線状部40同士が干渉しあったり近接しすぎたりすることで、重複シール部Se3の美観が損なわれることを抑制することが可能となる。
【0044】
なお、ここでは、所定移動量ΔDおよび溝幅D1を所定間隔G3の整数倍に設定したが、所定移動量ΔDおよび溝幅D1は、所定間隔G3の1/2の整数倍に設定されてもよい。その場合、一次シールステップSt3で形成された複数の直線状部40の間に、二次シールステップSt6で複数の直線状部40が形成され得るが、重複シール部Se3において複数の直線状部40が不均一な間隔で形成されないようにすることができる点には変わりはない。
【0045】
[第3実施形態]
次に、
図9を参照しながら第3実施形態の製袋充填包装機および袋の製造方法としてのシール制御について説明する。
図9は、第3実施形態のシール制御の要部を示す説明図である。第2実施形態の製袋充填包装機1は、横シール装置20が第1実施形態の一対のヒータブロック21、22に代えて、一対のヒータブロック213、223を備えている。一対のヒータブロック213、223は、図示するように、各シール面部24に複数の線状凸部24tが省略された平面部24Fが形成されている。平面部24Fは、上記重複シール部Se3をシールする部分としてシール面部24に形成される。平面部24Fの形成範囲、各第1シール面部24Aの面幅D2A、各第2シール面部24Bの面幅D2B、溝部25の溝幅D1、第1所定位置Ps1、第2所定位置Ps2、所定間隔G3および所定移動量ΔDは、平面部24Fで重複シール部Se3をシールすることが可能となるように適宜設定されればよい。ここでは、各第1シール面部24Aの下端部と、各第2シール面部24Bの上端部とが平面部24Fとされる。
【0046】
この構成により、
図9の一次シールステップSt3に示すように、各シール面部24で包材Wをヒートシールすると、包材Wの平面部24Fでヒートシールされた箇所には直線状部40が形成されない。そして、第2位置決めステップSt5に示すように包材Wを所定移動量ΔDだけ繰り出し、二次シールステップSt6に示すように各シール面部24で包材Wを挟持してヒートシールする。この際、重複シール部Se3を平面部24Fでヒートシールすることで、重複シール部Se3では複数の線状凸部24tが設けられた部分でヒートシールされる回数が1回以下となる。その結果、重複シール部Se3で複数の直線状部40が不均一な間隔を空けて形成されないようにし、直線状部40同士が干渉しあったり近接しすぎたりすることで、重複シール部Se3の美観が損なわれることを抑制することが可能となる。
【0047】
[第4実施形態]
次に、
図10を参照しながら第4実施形態の製袋充填包装機および袋の製造方法としてのシール制御について説明する。
図10は、第4実施形態のシール制御の要部を示す説明図である。
図10では、二次シールステップSt6での包材Wを示している。第4実施形態の製袋充填包装機1は、横シール装置20が一対のヒータブロック21、22に代えて、一対のヒータブロック214、224を備えている。
【0048】
ここで、上記第1実施形態から第3実施形態で示した例では、包材Wに形成される第1シール部Se1の長さと第2シール部Se2の長さとが不均一となっていた。第1シール部Se1の長さLS1は、
図10に示すように、次式(2)にしたがって算出される。一方、第2シール部Se2の長さLS2は、次式(3)にしたがって算出される。なお、間隔G1、G2は、
図2や式(4)に示すように、その合計が溝幅D1となる。式(2)、(3)から、例えば第1実施形態から第3実施形態で示した構成のように、面幅D2Aと面幅D2Bとが同じ値であり、間隔G1と間隔G2とが同じ値であれば、第2シール部Se2は、所定移動量ΔD(ここでは、包材Wの繰り出し量)分だけ第1シール部Se1よりも長くなる。
【0049】
LS1=D2A+G1 …(2)
LS2=D2B+G2+ΔD …(3)
D1=G1+G2 …(4)
【0050】
第4実施形態では、第1シール部Se1の長さLS1と第2シール部Se2の長さLS2と等しくするため、一対のヒータブロック214、224において、各第2シール面部24Bの面幅D2Bが第1実施形態に比べて短く設定されている。より詳細には、面幅D2Bは、面幅D2Aよりも所定移動量ΔD分だけ短く設定される。なお、間隔G1と間隔G2とは同じ長さとする。その結果、式(2)で算出される第1シール部Se1の長さLS1と、式(3)で算出される第2シール部Se2の長さLS2とを同じ値とすることが可能となる。
【0051】
これにより、袋Fnの両端部に形成されるヒートシールされた部分の長さを均一にし、袋Fnの美観を向上させることができる。なお、式(2)で算出される長さLS1と式(3)で算出される長さLS2とを同じ値とすることができれば、面幅D2A、D2B以外を調整してもよい。すなわち、第1シール面部24A(第1挟持部)の面幅D2A、第2シール面部24B(第2挟持部)の面幅D2B、溝幅D1、溝部25の一端からカッター23までの間隔G1、溝部25の他端からカッター23までの間隔G2および所定移動量ΔDが、第1シール部Se1の長さLS1と、第2シール部Se2との長さLS2とを同じ長さとするように設定されればよい。また、これらの値を調整することで、第1シール部Se1の長さLS1と、第2シール部Se2との長さLS2とを任意の異なる長さとしてもよい。
【0052】
[第5実施形態]
次に、
図11を参照しながら第5実施形態の製袋充填包装機および袋の製造方法としてのシール制御について説明する。
図11は、第5実施形態のシール制御の要部を示す説明図である。第5実施形態の製袋充填包装機1は、横シール装置20が一対のヒータブロック21、22に代えて、一対のヒータブロック215、225を備えている。一対のヒータブロック215、225は、各シール面部24において、上記第2シール面部24Bに相当する部分が熱を発生させない非加熱面部24C(第2挟持部)とされている。また、非加熱面部24Cは、上記複数の線状凸部24tを含まず平坦に形成される。なお、非加熱面部24Cは、包材Wをヒートシールしない程度の低温面部であってもよい。
【0053】
第5実施形態では、
図11の一次シールステップSt3に示すように、第1シール面部24Aおよび非加熱面部24Cで包材Wを挟持し、上記所定範囲A1を含む範囲を第1シール面部24Aのみで包材Wをヒートシールする。第2位置決めステップSt5では、所定移動量ΔDだけ包材Wを繰り出して一対のヒータブロック21、22と包材Wとの相対位置を第2所定位置Ps2に位置付ける。そして、二次シールステップSt6では、再び第1シール面部24Aおよび非加熱面部24Cで包材Wを挟持し、再び第1シール面部24Aのみで包材Wをヒートシールする。
【0054】
これにより、包材Wに第1シール部Se1、第2シール部Se2および重複シール部Se3が形成され、予定切断位置C1の周囲に未シール部が発生することはない。また、この構成では、一次シールステップSt3において、ヒートシールされる範囲内に第1実施形態で示した未シール部A2が発生しない。そのため、所定移動量ΔDは、上記相対位置を第2所定位置Ps2とすることができる長さであればよい。このように、横シール装置20は、包材Wを挟持する第1挟持部および第2挟持部の少なくともいずれか一方が、シール面部24でなくともよい。
【0055】
[第6実施形態]
次に、
図12を参照しながら第6実施形態の製袋充填包装機および袋の製造方法としてのシール制御について説明する。
図12は、第6実施形態のシール制御の手順を示す説明図である。また、
図13は、
図12のステップSt13を示す説明図であり、
図14は、
図12のステップSt15を示す説明図であり、
図15は、
図12のステップSt16を示す説明図である。第6実施形態の製袋充填包装機1は、横シール装置20に代えて横シール装置206を備えている。また、第6実施形態の製袋充填包装機1は、しごき装置50を備えている。
【0056】
横シール装置206は、繰り出し方向Zに沿って移動可能に構成されている。横シール装置206の移動は、図示しないシーラ移動用駆動装置を制御装置30が駆動制御することにより制御される。また、しごき装置50は、
図12に示すように、横シール装置206に隣接して設けられ、横シール装置206に対して繰り出し方向Zの下流側(下方側)に配置されている。しごき装置50は、開閉方向Xにおいて包材Wを挟んで設けられた一対のしごき部材51、52を備えている。一対のしごき部材51、52は、図示しないしごき部材駆動装置によって、互いに包材Wを挟み込んだ挟持状態(ステップSt3参照)と、包材Wから離れた待機状態(ステップSt1参照)との間で開閉動作可能とされている。一対のしごき部材51、52は、制御装置30によりその位置が制御される。
【0057】
第6実施形態のシール制御は、
図12に示すように、第1待機ステップSt11と、第1位置決めステップSt12と、一次シールステップSt13と、第2待機ステップSt14と、第2位置決めステップSt15と、二次シールステップSt16と、切断ステップSt17とを含む。
【0058】
第1待機ステップSt11は、
図12に示すように、一対のヒータブロック21、22を第1待機状態とすると共に一対のしごき部材51、52を待機状態とするステップである。
【0059】
次に、第1位置決めステップSt12は、一対のヒータブロック21、22を第1待機状態に維持すると共に、一対のしごき部材51、52を待機状態に維持したまま、包材Wを繰り出し方向Zに繰り出して一対のヒータブロック21、22と包材Wとの相対位置を第1所定位置Ps1に位置付けるステップである。ここでの第1所定位置Ps1は、所定範囲A1(
図13参照)と一対のヒータブロック21、22の各第2シール面部24Bとが開閉方向Xにおいて重なったときの上記相対位置である。上記相対位置が第1所定位置Ps1となると、包材Wの繰り出しを一旦停止させる。
【0060】
次に、一次シールステップSt13は、上記相対位置が第1所定位置Ps1となった包材Wを一対のヒータブロック21、22によりヒートシールするステップである。一次シールステップSt13では、
図12に示すように、一対のヒータブロック21、22および一対のしごき部材51、52を挟持位置に位置づけて包材Wを挟持させ、各シール面部24により包材Wをヒートシールする。これにより、包材Wは、
図13で灰色を付した範囲に示すように、各第1シール面部24Aで挟持される範囲がヒートシールされると共に、第2シール面部24Bで挟持される上記所定範囲A1を含む範囲がヒートシールされる。このとき、包材Wには、溝幅D1分の未シール部A2が生じることになる。
【0061】
次に、第2待機ステップSt14は、一対のヒータブロック21、22を第2待機状態とするステップである。このとき、一対のしごき部材51、52は、包材Wを挟持した挟持状態で維持される。
【0062】
次に、第2位置決めステップSt15は、一対のヒータブロック21、22を第2待機状態に維持し、一対のしごき部材51、52を挟持状態に維持したまま、一対のヒータブロック21、22および一対のしごき部材51、52を繰り出し方向Zに所定移動量ΔDだけ移動させ、一対のヒータブロック21、22と包材Wとの相対位置を第2所定位置Ps2に位置付けるステップである。したがって、一対のしごき部材51、52によって包材Wを挟持したまま上記相対位置を調整することができ、包材Wが一対のしごき部材51、52で挟持されて押しつぶされる。なお、第2所定位置Ps2は、第1実施形態と同様に、予定切断位置C1とカッター23の先端位置C2とが開閉方向Xにおいて並んだ状態での包材Wの位置である。所定移動量ΔDは、未シール部A2が第1シール面部24Aと開閉方向Xにおいて重なるように上記相対位置を位置決めすることが好ましい。具体的には、
図14に示すように、所定移動量ΔDが溝幅D1以上であれば、未シール部A2が第1シール面部24Aの下端から上流側に位置することになる。また、所定移動量ΔDが第2シール面部24Bの面幅D2A以下であれば、未シール部A2が第1シール面部24Aの上端から下流側に位置することになる。したがって、所定移動量ΔDは、上記式(1)の“D2B”を“D2A”に置き換えた式を満たすように設定される。包材Wが第2所定位置Ps2となると、包材Wの繰り出しを一旦停止させる。なお、第2位置決めステップSt15は、第2待機ステップSt14において一対のヒータブロック21、22が包材Wから離れた時点で開始されてもよい。第1位置決めステップSt12および第2位置決めステップSt15における包材Wと一対のヒータブロック21、22との相対移動量の合計は、最終的に製造される上下端部がシールされた袋Fn分の長さに相当する。
【0063】
次に、二次シールステップSt16は、上記相対位置が第2所定位置Ps2となった包材Wを一対のヒータブロック21、22により挟持してヒートシールするステップである。これにより、包材Wには、予定切断位置C1から繰り出し方向Zの上流側にかけて第1実施形態と同様の第2シール部Se2が形成されると共に、予定切断位置C1から繰り出し方向Zの下流側にかけて第1実施形態と同様の第1シール部Se1が形成される。第1シール部Se1と第2シール部Se2とは連続して形成され、未シール部を含まない。また、第1シール部Se1および第2シール部Se2は、第1実施形態と同様に重複シール部Se3を含む。
【0064】
次に、切断ステップSt17は、カッター23により包材Wを予め定められた予定切断位置C1で切断するステップである。
図12に示すように、カッター23を各溝部25内で開閉方向Xに沿って移動させることで、一対のヒータブロック21、22で挟み込まれた包材Wが切断され、切断後の包材Wが袋Fnを形成する。その後、一対のヒータブロック21、22を再び第1待機状態とすると共に、一対のしごき部材51、52を待機状態とする第1待機ステップSt11へと戻る。
【0065】
このように、第6実施形態では、第2位置決めステップSt15(第2位置決め処理)において、一対のしごき部材51、52により包材Wを挟持させたまま、上記相対位置を第2所定位置Ps2とする。したがって、二次シールステップSt16で一対のヒータブロック21、22で包材Wを押しつぶすことがないため、一対のヒータブロック21、22により包材Wの一部を噛み込んでしまうことを抑制可能となる。
【0066】
また、上記相対位置を調整するとき、包材Wを繰り出し方向Zに繰り出さなくとも、横シール装置20を繰り出し方向Zに沿って移動可能な構成とすることで、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第6実施形態において、しごき装置50を省略し、第2位置決めステップSt15において上記相対位置を第2所定位置Ps2とした後、二次シールステップSt16において、一対のヒータブロック21、22で包材Wを押しつぶすものとしてもよい。
【0067】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、第1実施形態から第5実施形態では、第2位置決めステップSt5において、包材Wを繰り出し方向Zの下流側に繰り出すことで上記相対位置を第2所定位置Ps2とすることとした。ただし、包材Wを繰り出し方向Zの上流側に繰り出すことで上記相対位置を第2所定位置Ps2としてもよい。その場合、第1実施形態から第4実施形態では、第1位置決めステップSt2において、上記所定範囲A1が第2シール面部24Bと重なるように第1所定位置Ps1を設定すればよい。また、第5実施形態では、第1シール面部24Aと非加熱面部24Cとの配置関係を逆とし、第1位置決めステップSt2において、上記所定範囲A1が第1シール面部24Aと重なるように第1所定位置Ps1を設定すればよい。
【0068】
同様に、第6実施形態において、横シール装置20を繰り出し方向Zの上流側に移動させることで相対位置を第2所定位置Ps2としてもよい。その場合、第1位置決めステップSt2において、上記所定範囲A1が第1シール面部24Aと重なるように第1所定位置Ps1を設定すればよい。また、しごき装置50は、横シール装置20の移動方向側に設けられればよい。
【0069】
また、しごき装置50は、第1実施形態から第6実施形態の構成においても横シール装置20に隣接して設けられてもよい。しごき装置50は、第2位置決めステップSt5で包材Wを繰り出し方向Zの下流側に繰り出す場合には、横シール装置20に対して当該下流側に配置されればよく、第2位置決めステップSt5で包材Wを繰り出し方向Zの上流側に繰り出す場合には、横シール装置20に対して当該上流側に配置されればよい。また、一対のしごき部材51、52の開閉動作は第6実施形態で示したものと同様でよい。
【0070】
また、一対のしごき部材51、52は、開閉方向Xに沿って移動可能となるように、一対のヒータブロック21、22に取り付けられてもよい。より具体的には、しごき部材51をヒータブロック21に開閉方向Xに沿って延在する弾性部材(例えばスプリング)を介して取り付ける。また、他方のしごき部材52を他方のヒータブロック22に開閉方向Xに沿って延在する弾性部材(例えばスプリング)を介して取り付ける。
【0071】
この際、一対のヒータブロック21、22が第1待機状態(
図12のステップSt11、St12)であり、弾性部材が収縮していない状態では、各しごき部材51、52の先端が包材Wと接触しないようにしつつ、各ヒータブロック21、22よりも包材W側に突出するように構成する。また、一対のヒータブロック21、22が第2待機状態(ステップSt14、St15)となったとき、一対のしごき部材51、52と一対のヒータブロック21との間で弾性部材が収縮し、弾性部材により一対のしごき部材51、52が包材W側に付勢されて包材Wを挟持する状態を維持するように構成する。一対のヒータブロック21、22が挟持位置(ステップSt13、St16、St17)となったときには、弾性部材により一対のしごき部材51、52が包材W側に付勢されて包材Wを挟持する状態が維持される。この構成により、しごき部材駆動装置を省略しても、
図12に示す動作を行うことが可能となる。
【0072】
また、第6実施形態の構成と、第2実施形態から第5実施形態の構成とは、適宜組み合わせて用いられてもよい。すなわち、第6実施形態の構成において、所定移動量ΔDや溝幅D1を複数の線状凸部24tの所定間隔G3の整数倍または所定間隔G3の1/2の整数倍に設定してもよい。また、第6実施形態の構成において、各シール面部24は、平面部24Fを含んでもよい。また、第6実施形態の構成において、面幅D2A、面幅D2A、溝幅D1、間隔G1、間隔G2および所定移動量ΔDは、第1シール部Se1と、第2シール部Se2との長さが同じになるように設定されてもよい。また、第6実施形態の構成において、第1シール面部24Aと第2シール面部24Bとのいずれか一方は、非加熱面部24Cとされてもよい。
【0073】
また、第1実施形態から第6実施形態では、第1位置決めステップSt2で上記相対位置が第1所定位置Ps1となった場合および第2位置決めステップSt5で上記相対位置が第2所定位置Ps2となった場合に、包材Wの繰り出しを一旦停止させるものとした。ただし、横シール装置20が繰り出し方向Zに沿って移動可能なものであれば、上記相対位置を第1所定位置Ps1または第2所定位置Ps2に維持したまま包材Wを連続的に繰り出し、一対のヒータブロック21、22で包材Wを挟持してヒートシールを行うものとしてもよい。
【0074】
また、第1実施形態から第6実施形態では、縦型製袋充填包装機である製袋充填包装機1を例として本発明について説明した。ただし、本発明は、横型製袋充填包装機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 製袋充填包装機
12 包材フィーダ(繰り出し装置)
20、206 横シール装置(シール装置)
21、22、213、223、214、224、215、225 一対のヒータブロック
23 カッター(切断刃)
24 シール面部
24A 第1シール面部(第1挟持部)
24B 第2シール面部(第2挟持部)
24C 非加熱面部(第2挟持部)
24F 平面部
24t 複数の線状凸部
25、252 溝部
30 制御装置
40 複数の直線状部
50 しごき装置
51、52 一対のしごき部材
A1 所定範囲
A2 未シール部
C1 予定切断位置
C2 先端位置
D1 溝幅
D2A、D2B 面幅
D3 所定間隔
F、Fn、Fn+1 袋
G1、G2 間隔
G3 所定間隔
L1 第1所定距離
L2 第2所定距離
Ps1 第1所定位置
Ps2 第2所定位置
Se1 第1シール部
Se2 第2シール部
Se3 重複シール部
St1、St11 第1待機ステップ
St2、St12 第1位置決めステップ(第1位置決め処理)
St3、St13 一次シールステップ(一次シール処理)
St4、St14 第2待機ステップ
St5、St15 第2位置決めステップ(第2位置決め処理)
St6、St16 二次シールステップ(二次シール処理)
St7、St17 切断ステップ(切断処理)
W 包材
X 開閉方向
Z 繰り出し方向
ΔD 所定移動量