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特開2024-161740再生設備活用促進装置および再生設備活用促進方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161740
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】再生設備活用促進装置および再生設備活用促進方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/00 20230101AFI20241113BHJP
【FI】
G06Q30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076720
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】東平 知丈
(72)【発明者】
【氏名】八木 将計
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB21
5L049BB21
(57)【要約】
【課題】施設に配備される設備の再生・再利用を促し、循環型社会の実現に近づける技術を提供する。
【解決手段】 再生設備活用促進装置であって、第一の施設の所定の設備を除去して再生した第一の再生設備を配備可能な第二の施設を適用先案として生成する再生設備適用先案生成部と、第一の再生設備を配備することによる第二の施設の価値の変化を評価する顧客価値評価部と、第一の再生設備を配備する配備者の利益を評価する配備者価値評価部と、価値の変化と利益が釣り合うよう第一の再生設備の価格を決定する設備価格決定部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の施設の所定の設備を除去して再生した第一の再生設備を配備可能な第二の施設を適用先案として生成する再生設備適用先案生成部と、
前記第一の再生設備を配備することによる前記第二の施設の価値の変化を評価する顧客価値評価部と、
前記第一の再生設備を配備する配備者の利益を評価する配備者価値評価部と、
前記価値の変化と前記利益が釣り合うよう前記第一の再生設備の価格を決定する設備価格決定部と、
を備えることを特徴とする再生設備活用促進装置。
【請求項2】
請求項1に記載の再生設備活用促進装置であって、
前記再生設備適用先案生成部は、前記第二の施設の候補を、該第二の施設における前記所定の設備の損傷率を含む指標値である優先度に従って抽出する、
ことを特徴とする再生設備活用促進装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の再生設備活用促進装置であって、
前記再生設備適用先案生成部は、前記第二の施設の候補を、該第二の施設における前記所定の設備の損傷率および配備からの経過時間を含む指標値である優先度に従って抽出する、
ことを特徴とする再生設備活用促進装置。
【請求項4】
請求項1に記載の再生設備活用促進装置であって、
前記第二の施設にて必要な仕様を前記第一の再生設備が満たすか否かを評価する再生設備適用可否評価部を備え、
前記再生設備適用先案生成部は、前記第二の施設にて必要な仕様を前記第一の再生設備が満たす場合に、該第二の施設を前記適用先案として生成する、
ことを特徴とする再生設備活用促進装置。
【請求項5】
請求項4に記載の再生設備活用促進装置であって、
前記第二の施設にて必要な前記仕様は、前記第一の再生設備の性能および前記第一の再生設備を配備するための空間である、
ことを特徴とする再生設備活用促進装置。
【請求項6】
請求項1に記載の再生設備活用促進装置であって、
前記顧客価値評価部は、前記第一の再生設備を配備することによる前記第二の施設における前記所定の設備のライフサイクルコストと、環境性能と、を含めて前記価値とする、
ことを特徴とする再生設備活用促進装置。
【請求項7】
請求項1に記載の再生設備活用促進装置であって、
前記配備者価値評価部は、前記第一の再生設備の再生プロセスに必要な費用を含めて、前記配備者の利益を評価する、
ことを特徴とする再生設備活用促進装置。
【請求項8】
請求項1に記載の再生設備活用促進装置であって、
前記設備価格決定部は、前記価値の変化と前記利益の多変量解析処理を行って前記第一の再生設備の価格を決定する、
ことを特徴とする再生設備活用促進装置。
【請求項9】
情報処理装置を用いた再生設備活用促進方法であって、
前記情報処理装置は、
第一の施設の所定の設備を除去して再生した第一の再生設備を配備可能な第二の施設を適用先案として生成する再生設備適用先案生成ステップと、
前記第一の再生設備を配備することによる前記第二の施設の価値の変化を評価する顧客価値評価ステップと、
前記第一の再生設備を配備する配備者の利益を評価する配備者価値評価ステップと、
前記価値の変化と前記利益が釣り合うよう前記第一の再生設備の価格を決定する設備価格決定ステップと、
を実施することを特徴とする再生設備活用促進方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生設備活用促進装置および再生設備活用促進方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、循環型社会の実現が重要視されつつある。具体的な例は、適用分野に応じて異なるが、例えば個人所有のマス製品の中古品売買等が活発になり、それを促進するためのコンピュータシステムも実現されつつある。
【0003】
特許文献1には、「非対面の中古品取引システムにおいて、中古商品販売を希望する売り手の携帯端末である販売者端末は、販売を希望する商品の種類、使用期間、希望販売価格、購入時点、使用期間、製品状態、正規品認証情報など商品の品質、価格、価値を証明することができるデータ及び販売者登録情報を含む中古商品の販売情報を登録して受ける。中古商品の購買を希望する買い手の携帯端末である購買者端末は、買い手から、購買希望価格、購買商品の種類、購買希望時点、製品状態、取引地域などを含む中古商品の購買情報を登録して受ける。中古品取引仲介サーバは、登録された中古商品の販売情報及び中古商品の購買情報に基づいて、中古商品別の適正取引価格を算定し、中古商品の購買価格、中古商品の販売価格、中古品取引仲介空間のレンタル料、及び販売代行手数料を算出する。」ことが記載されている。
【0004】
このようなコンシューマ製品の中古流通を対象とするものであれば、膨大な類似の取引成立履歴等に基づいて中古市場相場が形成され、適正取引価格を決定することも比較的容易である。
【0005】
一方で、産業機械や設備、例えばビルの設備であるエレベータや空調設備については、仕様が配備先に最適化されていることが多く、ベンダー間で互換性は少ないため再利用先が限られる場合が多い。しかし、このような産業機械等は、温暖化ガス排出量や希少資源等の観点からも環境への影響が大きく、循環型社会を実現させるためには再生・再利用を望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-191187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような背景において、中古市場相場等が存在せず、かつ、配備先が限られるような産業機械等の循環利用を円滑に行うためには、配備先の選定や提供価格の決定を支援する仕組みの提供が重要である。
【0008】
本発明の目的は、施設に配備される設備の再生・再利用を促し、循環型社会の実現に近づける技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。上記の課題を解決する本発明の一態様に係る再生設備活用促進装置は、第一の施設の所定の設備を除去して再生した第一の再生設備を配備可能な第二の施設を適用先案として生成する再生設備適用先案生成部と、前記第一の再生設備を配備することによる前記第二の施設の価値の変化を評価する顧客価値評価部と、前記第一の再生設備を配備する配備者の利益を評価する配備者価値評価部と、前記価値の変化と前記利益が釣り合うよう前記第一の再生設備の価格を決定する設備価格決定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、施設に配備される設備の再生・再利用を促し、循環型社会の実現に近づける技術を提供することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】再生設備活用促進装置の構成例を示す図である。
図2】再生設備活用促進装置の利用方法の例を示す図である。
図3】提案支援処理の処理フローの例を示す図である。
図4】顧客情報のデータ構造の例である。
図5】顧客情報の詳細なデータの例を示す図である。
図6】顧客情報に含まれる設置制約情報の例を示す図である。
図7】提案方針選定画面の例を示す図である。
図8】構成詳細表示画面の例を示す図である。
図9】再生設備活用促進装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施例は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0013】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0014】
各種情報の例として、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて説明することがあるが、各種情報はこれら以外のデータ構造で表現されてもよい。例えば、「XXテーブル」、「XXリスト」、「XXキュー」等の各種情報は、「XX情報」としてもよい。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。また、これらの表現で説明される識別情報は、実施例において記号、数値、自然言語、又はそれらの組み合わせ等を用いて表すが、識別情報はこれら以外の形式でもよい。
【0015】
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0016】
実施例において、プログラムを実行して行う処理について説明する場合がある。ここで、計算機は、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によりプログラムを実行し、記憶資源(例えばメモリ)やインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら、プログラムで定められた処理を行う。そのため、プログラムを実行して行う処理の主体を、プロセッサとしてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路を含んでいてもよい。ここで、専用回路とは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等である。
【0017】
プログラムは、プログラムソースから計算機にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、実施例において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0018】
また、本発明は典型的には情報処理装置により実現されるものであるが、本発明の機能を有するプラットフォームとして実現されてもよい。
【0019】
まず、発明の理解を容易にするために、図2を用いて、再生設備活用促進装置の利用方法の例を説明する。図2は、再生設備活用促進装置の利用方法の例を示す図である。
【0020】
再生設備活用促進装置100は、ネットワーク50を介して、設備モニタリング装置200と、営業端末300と、に通信可能に接続される。ネットワーク50は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、VPN(Virtual Private Network)、インターネット等の一般公衆回線を一部又は全部に用いた通信網、携帯電話通信網等、のいずれか又はこれらの複合したネットワークである。なお、ネットワーク50は、Wi-Fi(登録商標)や5G(Generation)等の無線による通信網であってもよい。
【0021】
設備モニタリング装置200は、いわゆるビル管理システムであり、設備保守担当30が設備の保守情報を随時入力する、あるいはセンサ等を用いて自動的に設備のモニタリング情報を収集する。収集されたモニタリング情報、例えばエレベータ設備であれば、稼働時間や昇降距離、消費電力等の稼働・保守実績は、リアルタイムに、あるいは所定のタイミングで、再生設備活用促進装置100にネットワーク50を介して受け渡される。
【0022】
営業端末300は、ビルオーナー20に対して、施設の設備等の運用に関する営業を担当する営業10により用いられる端末である。営業10は、例えばエレベータのリニューアルをビルオーナーに提案するが、その際に営業端末300を用いて再生設備活用促進装置100にアクセスし、リニューアルに際して再生設備を活用する提案や見積り、場合によってはエレベータの技術者に依頼して設計を支援する。
【0023】
再生設備活用促進装置100は、設備モニタリング装置200から受け渡された稼働・保守実績の情報を用いて、リニューアル対象となる設備の洗い出し、再利用する設備の選定、それらの組み合わせの決定に際しての顧客価値の評価、配備者(再生設備を配備する業者)の利益等の価値の評価等を行う。また、再生設備活用促進装置100は、営業10がビルオーナー20に対して行うリニューアルの提案に必要な資料等を出力する。
【0024】
図1は、再生設備活用促進装置の構成例を示す図である。例えば再生設備活用促進装置100は、記憶部110と、処理部120と、入力受付部130と出力処理部140と、通信部150と、を備える情報処理装置である。
【0025】
記憶部110には、顧客情報111と、新品情報112と、経営・財務情報113と、中古品情報114と、再生プロセス情報115と、再生設備情報116と、が含まれる。顧客情報111には、例えば、顧客の施設が備える設備仕様、設備の修繕計画、稼働・保守実績、設備の劣化状況等の顧客に関する各種の情報が含まれる。新品情報112には、設備の新品状態の仕様である新品仕様、新品設備の在庫量である新品在庫、新品標準価格、新品設備の寿命である新品寿命等の情報等が含まれる。
【0026】
経営・財務情報113には、再生設備を配備する業者の目標売上/利益率と、現在の売上/利益率の実績情報等が含まれる。
【0027】
中古品情報114には、中古設備あるいは除去予定の稼働中の設備の中古品状態の仕様である中古品仕様、中古品の現状の在庫量である中古品現状在庫、中古品の将来の各時点での在庫量である中古品将来在庫、中古品を回収するのに必要な輸送費等を含む中古品回収費用等の情報等が含まれる。
【0028】
再生プロセス情報115には、中古品情報114に含まれる中古設備の再生を行うプロセスに関する情報が含まれる。例えば、再生プロセスを特定する再生プロセス種類、再生プロセスに係る納期である再生処理納期、再生ラインの稼働を特定する再生ライン稼働、再生に必要な費用である再生費用等の情報が含まれる。
【0029】
再生設備情報116には、中古設備の再生後の状態の仕様である再生設備仕様、再生設備の在庫量である再生設備在庫、再生設備標準価格、再生設備の寿命である再生設備寿命等の情報等が含まれる。
【0030】
処理部120には、再生設備適用可否評価部121と、再生設備適用先案生成部122と、設備価格決定部123と、顧客価値評価部124と、配備者価値評価部125と、が含まれる。
【0031】
再生設備適用可否評価部121は、再生設備を配備する第二の施設にて必要な仕様(例えば、再生設備の性能および再生設備を配備するための空間)を再生設備が満たすか否かを評価する。
【0032】
再生設備適用先案生成部122は、設備を除去する予定のある第一の施設の所定の設備を除去して再生した第一の再生設備を配備可能な第二の施設を適用先案として生成する。例えば、再生設備適用先案生成部122は、第二の施設の候補を、該第二の施設における所定の設備の損傷率を含む指標値である優先度に従って抽出する。
【0033】
あるいは、再生設備適用先案生成部122は、第二の施設の候補を、該第二の施設における所定の設備の損傷率および配備からの経過時間を含む指標値である優先度に従って抽出する。なお、再生設備適用先案生成部122は、第二の施設にて必要な仕様を第一の再生設備が満たす場合に、該第二の施設を適用先案として生成する。
【0034】
設備価格決定部123は、第二の施設の価値の変化と、第一の再生設備を配備する配備者の利益が釣り合うよう第一の再生設備の価格を決定する。具体的には、設備価格決定部123は、価値の変化と利益の多変量解析処理を行って第一の再生設備の価格を決定する。
【0035】
顧客価値評価部124は、第一の再生設備を配備することによる第二の施設の価値の変化を評価する。具体的には、顧客価値評価部124は、第一の再生設備を配備することによる第二の施設における所定の設備のライフサイクルコストと、環境性能と、を含めて価値とする。
【0036】
配備者価値評価部125は、第一の再生設備を配備する配備者の利益を評価する。具体的には、配備者価値評価部125は、第一の再生設備の再生プロセスに必要な費用を含めて、配備者の利益を評価する。
【0037】
入力受付部130は、各種データの入力を受け付ける。具体的には、入力受付部130は、営業端末300から、リニューアル提案に関する営業10からの入力を受け付ける。また、入力受付部130は、設備モニタリング装置200から、設備の稼働実績等の情報を受け付ける。
【0038】
出力処理部140は、営業端末300に対して、要求された提案書の記載内容等を出力する。あるいは例えば、出力処理部140は、営業端末300に表示させる画面情報を出力する。
【0039】
通信部150は、ネットワーク50を介して他の装置との通信を行う。他の装置には、設備モニタリング装置200と、営業端末300と、を含む。
【0040】
図3は、提案支援処理の処理フローの例を示す図である。提案支援処理は、再生設備活用促進装置100が、営業10等から開始指示を受けたときに開始される。あるいは、提案支援処理は、所定の日時(例えば、毎日午後1時)、あるいは所定の間隔で(例えば、1週間ごと)開始されるものであってもよい。
【0041】
まず、再生設備適用先案生成部122は、顧客情報111、新品情報112、経営・財務情報113、再生設備情報116等の記憶部110の情報を読み込む(ステップS001)。具体的には、再生設備適用先案生成部122は、配備者の財務状況と、修繕予定が近い施設(納入年月日からの経過時間が長いビル等)と、損傷率等の顧客情報を記憶部110から読み込む。
【0042】
そして、再生設備適用可否評価部121は、再生設備適用可否評価を行う(ステップS002)。具体的には、再生設備適用可否評価部121は、再生設備を配備する候補となる修繕予定が近い施設、あるいは優先度の高い施設(設備の損傷率が高く、配備からの経過時間の高い施設)にて必要な仕様(例えば、再生設備の性能および再生設備を配備するための空間)を再生設備が満たすか否かを評価する。
【0043】
ここで、再生設備適用可否評価部121は、中古品情報114および再生プロセス情報115を参照して、再生設備の性能、納品可能時期、再生費用等の算出を行って再生設備情報116を更新する。なお、再生プロセスによっては、再生設備の配備のために必要な空間が大きくなる/小さくなる場合がともに存在するため、再生設備適用可否評価部121は、再生設備の配備可能な空間についても適用可否の基準に含めて良い。また、再生設備適用可否評価部121は、著しく損傷している、あるいは過走行の設備は、再生設備から除外する。
【0044】
そして、再生設備適用先案生成部122は、制約条件入力を受け付ける(ステップS003)。具体的には、再生設備適用先案生成部122は、優先度の高い施設の制約条件のうち、不足している情報を受け付ける。例えば、再生設備適用先案生成部122は、施設の余剰空間のサイズや、温室効果ガス(例えば、CO)の削減目標や、保守コストの目標の入力を受け付ける。
【0045】
そして、再生設備適用可否評価部121は、再生設備適用先評価を行う(ステップS004)。具体的には、再生設備適用可否評価部121は、再生設備を配備する候補となる修繕予定が近い施設、あるいは優先度の高い施設(設備の損傷率が高く、配備からの経過時間の高い施設)のそれぞれについて、利用可能な再生設備を組み合わせた場合に再生設備が要求性能および再生設備を配備するための空間を満たす組み合わせの候補をn個(nは整数)列挙する。
【0046】
そして、顧客価値評価部124は、顧客価値を評価する(ステップS005)。具体的には、顧客価値評価部124は、利用可能な再生設備を配備することによる施設における所定の設備のライフサイクルコスト(リニューアルの一時コスト、リニューアル後の電気代、保守費用、固定資産税等の各種の税を含む長期的なコスト)と、環境性能(リニューアル時の電気使用量およびリニューアル後の電気使用量に基づくCO排出量の削減量等)と、を含めて価値とする。
【0047】
そして、配備者価値評価部125は、自社価値を評価する(ステップS006)。具体的には、配備者価値評価部125は、利用可能な再生設備を配備することによる再生設備の再生プロセスに必要な中古品回収費用、再生コスト、設置コスト等の費用と、再生設備の価格および保守契約額等の利益と、を算出する。
【0048】
そして、設備価格決定部123は、最適な適用先と、価格と、を提示する(ステップS007)。具体的には、設備価格決定部123は、最適な適用先である第二の施設の価値の変化と、第一の再生設備を配備する配備者の利益と、が釣り合うよう第一の再生設備の価格を決定する。具体的には、設備価格決定部123は、価値の変化と利益の多変量解析処理を行って、第一の再生設備の最適な価格を決定し提示する。
【0049】
そして、ステップS005~S007の処理をn回繰り返し、組み合わせの候補n個のそれぞれについて最適な再生品の価格を決定する。
【0050】
そして、再生設備適用先案生成部122は、評価結果を所定のビューで営業端末300に表示させる(ステップS008)。
【0051】
以上が提案支援処理のフローの例である。提案支援処理によれば、中古市場相場等が存在せず、かつ、配備先が限られるような産業機械等について、再生設備の配備先の選定・提供価格の決定を支援する情報を出力可能となる。
【0052】
図4は、顧客情報のデータ構造の例である。顧客情報111には、上述のように例えば、顧客の施設が備える設備仕様、設備の修繕計画、稼働・保守実績、設備の劣化状況等の顧客に関する各種の情報が含まれる。具体的には、顧客情報111は、図4~6に示すデータを含むことができる。
【0053】
顧客情報111には、建物111aと、優先度111bと、ステータス111cと、処理日111dと、損傷率111eと、売上見込み111fと、台数111gと、納入年月日111hと、階床数111jと、が含まれてよい。
【0054】
建物111aは、顧客の建物を特定する情報である。優先度111bは、顧客の建物のリニューアルの優先度を示す情報である。優先度は、設備の損傷率あるいは配備からの経過時間またはそれらのいずれも含む指標値である。
【0055】
ステータス111cは、提案の進行度合いを示す情報である。処理日111dは、提案業務がなされた日を示す情報である。損傷率111eは、設備の寿命(経年数、走行距離等)からみた設備の稼働の進行割合を示す情報である。売上見込み111fは、リニューアルの規模を示す情報である。台数111gは、施設に含まれる設備の台数である。納入年月日111hは、設備の導入年月日の情報である。階床数111jは、施設のフロア数である。
【0056】
図5は、顧客情報の詳細なデータの例を示す図である。顧客情報111には、さらに、建物111aに対して、含まれる設備の設備ID111kが対応付けられている。また、設備がエレベータの場合、エレベータの仕様が併せて対応付けられている。積載量111m、定員111n、速度111p、用途111q、備考111sは、それぞれエレベータの積載量、定員、速度、用途、備考等の仕様を示す。納入日111rは、エレベータが納入された日を示す情報である。
【0057】
図6は、顧客情報に含まれる設置制約情報の例を示す図である。顧客情報111には、さらに、建物111aおよび含まれる設備の設備ID111kについて、設備の見取り図等の図面111tと、設備の設置スペースのx方向の長さである巻き上げ機設置空間サイズX111uと、設備の設置スペースのy方向の長さである巻き上げ機設置空間サイズY111vと、顧客のCO削減目標111wと、保守コスト目標111xとを含む設置制約情報が対応付けられる。
【0058】
図7は、提案方針選定画面の例を示す図である。提案方針選定画面400は、提案支援処理のステップS008にて営業端末300に表示される画面の例である。提案方針選定画面400には、提案方針一覧表401が含まれる。提案方針一覧表401には、所定の提案方針ごとにコストおよび環境負荷を含む評価値が表示される。
【0059】
なお、図7では、コストとして、リニューアル作業において必要となる一時的な導入コストであるRNコストと、設備のライフサイクル全体のコストであるLCコストと、環境負荷の一例として重視されるCO排出量と、が例示されている。しかし、これに限られるものではなく、その他の指標値が表示されるものであってもよい。
【0060】
また、提案方針一覧表401には、所定の提案方針ごとに、入力を受け付けると構成内容の詳細を確認する画面へ遷移する確認ボタン402と、入力を受け付けると構成内容の詳細を出力(例えば、印刷あるいはポストスクリプト等のファイルへ出力)する出力ボタン403と、が含まれる。
【0061】
図8は、構成詳細表示画面の例を示す図である。構成詳細表示画面500は、提案方針選定画面400の確認ボタン402への入力を受け付けると、表示される。構成詳細表示画面500には、確認ボタン402への入力を受け付けた提案方針に沿った再生設備あるいは新品によるリニューアルを行う構成の詳細情報501が設備ごとに表示される。構成の詳細情報には、性能仕様、配備のための必要空間、コスト、環境負荷の情報の詳細が含まれる。
【0062】
また、構成詳細表示画面500には、ライフサイクルコストグラフ502と、環境負荷グラフ503と、が含まれる。ライフサイクルコストグラフ502は、縦軸にコスト、横軸に経過年数を設け、設備のリニューアル後についてシミュレーションした結果の累積コストを経年に応じて示す。環境負荷グラフ503は、縦軸に環境負荷としてのCO排出量、横軸に経過年数を設け、設備のリニューアル後についてシミュレーションした結果の累積CO排出量を経年に応じて示す。
【0063】
図9は、再生設備活用促進装置のハードウェア構成の例を示す図である。再生設備活用促進装置100は、プロセッサ901と、RAM(Random Access Memory)等のハードウェアのメモリ902と、ハードディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)やSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置903と、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性を有する記憶媒体904に対して情報を読む読取装置905と、キーボードやマウス、バーコードリーダ、タッチパネルなどの入力装置906と、ディスプレイなどの出力装置907と、LANやインターネットなどの通信ネットワークを介して他のコンピュータと通信する通信装置908とを備えた一般的なコンピュータ900、あるいはこのコンピュータ900を複数備えたネットワークシステムで実現できる。なお、読取装置905は、可搬性を有する記憶媒体904の読取だけでなく、書き込みも可能なものであっても良い。
【0064】
プロセッサ901は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、あるいはGPU(Graphics Processing Unit)である。プロセッサ901は、外部記憶装置903からメモリ902にロードした所定の各種プログラムを実行することにより、各種処理を実行する。該プログラムは、例えば、OS(Operating System)プログラム上で実行可能なアプリケーションプログラムである。該プログラムは、例えば、読取装置905を介して可搬性を有する記憶媒体904から、外部記憶装置903にインストールされてもよいし、あるいは、通信装置908を介してネットワークからダウンロードされてプロセッサ901により実行されるようにしてもよい。
【0065】
例えば、再生設備適用可否評価部121と、再生設備適用先案生成部122と、設備価格決定部123と、顧客価値評価部124と、配備者価値評価部125とは、外部記憶装置903に記憶されているプログラムをメモリ902にロードしてプロセッサ901で実行することで実現可能である。
【0066】
入力受付部130は、プロセッサ901が入力装置906と、通信装置908とを利用することで実現可能である。出力処理部140は、プロセッサ901が出力装置907と、通信装置908とを利用することで実現可能である。記憶部110は、プロセッサ901がメモリ902又は外部記憶装置903を利用することにより実現可能である。通信部150は、プロセッサ901が通信装置908を利用することにより実現可能である。
【0067】
以上が、本発明の実施形態に係る再生設備活用促進装置100の例である。なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、実施形態の構成の一部について、削除をすることも可能である。
【0068】
例えば、上記した実施形態では、エレベータ設備および空調設備を対象として例示したが、これに限られず、産業機械、産業用途がより強い空気圧縮機や各種加工機、重機、配管等についても適用することが可能である。また、環境負荷の指標についても、COに限られず、各種の温室効果ガスを含む。
【0069】
なお、温室効果ガスは、各種の温室効果があるとされる気体を包含する。代表的なものとしては、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、亜酸化窒素(NO)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF)が含まれるが、これらに限定されるものではなく、またこれらを必ずしも含む必要はなくいずれかであってもよいし、温室効果をいずれかの気体に換算したものであってもよい。
【0070】
上記の各部、各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各部、各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0071】
なお、上述した実施形態にかかる制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えても良い。以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。
【符号の説明】
【0072】
100:再生設備活用促進装置、110:記憶部、111:顧客情報、112:新品情報、113:経営・財務情報、114:中古品情報、115:再生プロセス情報、116:再生設備情報、120:処理部、121:再生設備適用可否評価部、122:再生設備適用先案生成部、123:設備価格決定部、124:顧客価値評価部、125:配備者価値評価部、130:入力受付部、140:出力処理部、150:通信部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9