IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -入力装置 図1
  • -入力装置 図2
  • -入力装置 図3
  • -入力装置 図4
  • -入力装置 図5
  • -入力装置 図6
  • -入力装置 図7
  • -入力装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161753
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/04 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
H01H25/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076741
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000233778
【氏名又は名称】任天堂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】沼田 哲
(72)【発明者】
【氏名】村中 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】太田 真喜
(72)【発明者】
【氏名】郡山 和彦
(72)【発明者】
【氏名】新井 重伸
(72)【発明者】
【氏名】田邨 嘉隆
【テーマコード(参考)】
5G031
【Fターム(参考)】
5G031GS12
5G031GS21
5G031HU02
5G031KS20
(57)【要約】
【課題】操作レバーの傾き方向に依らず、操作レバーに加えられた圧力を特定するための抵抗値として、一定の抵抗値を得ることができるようにすること。
【解決手段】入力装置は、2つの接続点を有する環状高抵抗体と、環状高抵抗体と対向して配置された環状低抵抗体と、環状高抵抗体と環状低抵抗体とを離間させるスペーサと、2つの接続点間の抵抗値を測定するセンサ回路と、環状高抵抗体と環状低抵抗体とのうちの上側に設けられている一方の部材を上側から支持する環状の弾性部材と、環状高抵抗体と環状低抵抗体とのうちの下側に設けられている他方の部材を下側から支持する支持板と、傾倒操作が可能な操作レバーと、操作レバーの上端部に設けられ、傾倒操作時に弾性部材を押圧可能な環状の下縁部を有する操作ノブと、操作レバーの傾きを検出する傾倒センサとを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの接続点を有する環状高抵抗体と、
前記環状高抵抗体と対向して配置された環状低抵抗体と、
前記環状高抵抗体と前記環状低抵抗体とを離間させるスペーサと、
前記2つの接続点間の抵抗値を測定するセンサ回路と、
前記環状高抵抗体と前記環状低抵抗体とのうちの上側に設けられている一方の部材を上側から支持する環状の弾性部材と、
前記環状高抵抗体と前記環状低抵抗体とのうちの下側に設けられている他方の部材を下側から支持する支持板と、
傾倒操作が可能な操作レバーと、
前記操作レバーの上端部に設けられ、前記傾倒操作時に前記弾性部材を押圧可能な環状の下縁部を有する操作ノブと、
前記操作レバーの傾きを検出する傾倒センサと
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記環状高抵抗体および前記環状低抵抗体は、互いに同一半径且つ同形状の円環状を有し、
前記2つの接続点は、前記環状高抵抗体において、互いに180°度離れた位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記操作ノブは、
前記弾性部材と対向する前記環状の下縁部を有する傘状部を有し、
前記傾倒操作時に、前記傘状部の前記下縁部が前記弾性部材を押圧することで、前記弾性部材を介して、前記環状低抵抗体を環状高抵抗体に接触させる
ことを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記弾性部材上に重ねて設けられ、且つ、前記弾性部材よりも剛性が高い、円環状の補強板を備える
ことを特徴とする請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記一方の部材は、前記環状低抵抗体であり、
前記他方の部材は、前記環状高抵抗体であり、
前記環状低抵抗体は、フレキシブル基板に設けられており、当該フレキシブル基板とともに、前記弾性部材によって上側から支持されている
ことを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記一方の部材は、前記環状低抵抗体であり、
前記他方の部材は、前記環状高抵抗体であり、
前記環状低抵抗体は、導電性ゴムからなり、且つ、前記弾性部材の下面に設けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【請求項7】
前記支持板は、リジッド配線基板であり、
前記リジッド配線基板に、前記環状高抵抗体と、前記傾倒センサと、前記センサ回路とが固定されている
ことを特徴とする請求項5または6に記載の入力装置。
【請求項8】
前記一方の部材は、前記環状高抵抗体であり、
前記他方の部材は、前記環状低抵抗体であり、
前記支持板は、リジッド配線基板であり、
前記環状低抵抗体は、前記リジッド配線基板上に金属膜で形成され、
前記リジッド配線基板に、前記傾倒センサと、前記センサ回路とが固定されており、
前記環状高抵抗体は、フレキシブル基板に設けられており、当該フレキシブル基板とともに、前記弾性部材によって上側から支持されている
ことを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【請求項9】
前記センサ回路は、
前記環状高抵抗体と直列に接続される外部抵抗体と、
前記2つの接続点間の電圧を測定する電圧測定回路とを有し、
前記環状高抵抗体と前記外部抵抗体とからなる直列回路の両端に、電圧を印加する為の端子が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、入力操作に伴って基板に力が加えられると、収容空間に収容された弾性部材である導電部材に弾性変形が生じ、この導電部材の弾性変形に応じて、可変抵抗部の抵抗値が変化し、信号生成部において生成される信号が変化することで、入力操作に伴って基板に加えられる力を簡易な構成で検出できるようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-021954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術を、操作レバーによる傾倒操作可能な入力装置に応用して、操作レバーを取り囲む円環状の可変抵抗部を設けることで、操作レバーの所定の限界角度以上の傾倒操作がなされたときに、操作レバーに加えられた圧力を検出できるようになる。
【0005】
しかしながら、この場合、従来の技術では、円環状の可変抵抗部を1本の導体で形成し、当該導体の両端部で抵抗値を測定する必要があるために、可変抵抗部を完全に繋がった円環状とすることができず、可変抵抗部がスリットを有する円環状(すなわち、一部が途切れた円環状)となるため、操作レバーの傾き方向に応じて、一定の抵抗値を得ることができなくなる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る入力装置は、2つの接続点を有する環状高抵抗体と、環状高抵抗体と対向して配置された環状低抵抗体と、環状高抵抗体と環状低抵抗体とを離間させるスペーサと、2つの接続点間の抵抗値を測定するセンサ回路と、環状高抵抗体と環状低抵抗体とのうちの上側に設けられている一方の部材を上側から支持する環状の弾性部材と、環状高抵抗体と環状低抵抗体とのうちの下側に設けられている他方の部材を下側から支持する支持板と、傾倒操作が可能な操作レバーと、操作レバーの上端部に設けられ、傾倒操作時に弾性部材を押圧可能な環状の下縁部を有する操作ノブと、操作レバーの傾きを検出する傾倒センサとを備える。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態に係る入力装置によれば、操作レバーの傾き方向に依らず、操作レバーに加えられた圧力を特定するための抵抗値として、一定の抵抗値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る入力装置の外観斜視図
図2】一実施形態に係る入力装置の分解斜視図
図3】一実施形態に係る入力装置の一部拡大断面図
図4】一実施形態に係る入力装置における環状低抵抗体および環状高抵抗体のパターンの一例を示す図
図5】一実施形態に係る入力装置における押圧位置毎の測定値の変化量の検証結果を示す図
図6】一実施形態に係る入力装置が備えるセンサ回路の回路構成例を示す図
図7】一実施形態の第1変形例に係る入力装置の一部拡大断面図
図8】一実施形態の第2変形例に係る入力装置の一部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、図中Z軸方向を、上下方向とし、図中X軸方向を、前後方向とし、図中Y軸方向を、左右方向とする。但し、Z軸正方向を上方向とし、X軸正方向を前方向とし、Y軸正方向を右方向とする。
【0010】
(入力装置100の構成)
図1は、一実施形態に係る入力装置100の外観斜視図である。図2は、一実施形態に係る入力装置100の分解斜視図である。図3は、一実施形態に係る入力装置100の一部拡大断面図である。
【0011】
図1および図2に示す入力装置100は、ゲーム機のコントローラ、車載装置のコントローラ等に用いられる。図1および図2に示すように、入力装置100は、操作ノブ101、補強板102、弾性部材103、上側絶縁基板104、スペーサ105、下側絶縁基板106、リジッド配線基板107、センサ回路130、アナログスティックコントローラ120、ホルダ108、および基台109を備える。
【0012】
操作ノブ101は、アナログスティックコントローラ120が有する操作レバー122の上端に取り付けられ、操作者の手による接触操作がなされる部材である。操作ノブ101は、比較的硬質な樹脂素材が用いられて形成される。
【0013】
操作ノブ101は、被操作部101Aおよび傘状部101Bを有する。被操作部101Aは、アナログスティックコントローラ120が有する操作レバー122の上端に取り付けられて、操作者の手による接触操作がなされる部分である。被操作部101Aは、概ね円柱状を有するが、その他の形状であってもよい。傘状部101Bは、被操作部101Aの下側(Z軸負側)に設けられ、且つ、上方(Z軸正方向)に向かって凸状を有するドーム状の部分である。傘状部101Bは、その頂部において、被操作部101Aの底面と繋がっている。すなわち、傘状部101Bは、被操作部101Aの下側(Z軸負側)において、操作レバー122の周囲を取り囲むドーム状を有する。
【0014】
操作ノブ101は、傘状部101Bの下縁部101Cが、補強板102と同一半径の円環状を有し、且つ、補強板102の上側に離間して設けられている。これにより、操作ノブ101の下縁部101Cは、操作レバー122の所定の限界角度以上の傾倒操作時に、補強板102を介して弾性部材103を押圧可能である。
【0015】
補強板102は、比較的硬質な素材(例えば、フッ素系樹脂素材、金属素材等)からなる平型且つ円環状の部材である。補強板102は、操作ノブ101の下縁部101C、および、弾性部材103と同一半径の円環状を有する。補強板102は、操作ノブ101の下縁部101Cの下側に離間して設けられており、且つ、弾性部材103の上面に重ねて設けられている。すなわち、補強板102は、操作ノブ101の下縁部101Cと弾性部材103との間に設けられている。さらに、補強板102は、任意の接着手段(例えば、両面テープ、接着剤等)によって、弾性部材103の上面に接着されている。補強板102は、操作レバー122の所定の限界角度以上の傾倒操作がなされて、操作ノブ101の下縁部101Cによって押圧されたときに、弾性部材103が損傷および劣化しないように、弾性部材103を補強する。したがって、補強板102は、少なくとも弾性部材103よりも剛性が高い素材が用いられて形成される。これにより、耐久性および耐摩耗性が高められている。
【0016】
弾性部材103は、弾性素材(例えば、ゴム、シリコン等)からなる平型且つ円環状の部材である。弾性部材103は、補強板102、および、上側絶縁基板104に設けられている環状低抵抗体104Bと同一半径の円環状を有する。弾性部材103は、補強板102の下面に重ねて設けられており、且つ、上側絶縁基板104の上面に重ねて設けられている。すなわち、補強板102は、補強板102と上側絶縁基板104との間に設けられている。さらに、弾性部材103の下面には、任意の接着手段(例えば、両面テープ、接着剤等)によって、上側絶縁基板104が接着されている。これにより、弾性部材103は、上側絶縁基板104を上側(Z軸正側)から支持し、すなわち、上側絶縁基板104が有する環状低抵抗体104B(「上側に設けられている一方の部材」の一例)を上側(Z軸正側)から支持する。
【0017】
上側絶縁基板104は、絶縁性を有するシート状または平板状の基板である。本実施形態では、上側絶縁基板104として、可撓性を有する樹脂素材(例えば、PET、ポリイミド等)からなるシート状のフレキシブル基板を用いている。上側絶縁基板104の下面には、導電性を有する薄膜状且つ円環状の環状低抵抗体104Bが設けられている。環状低抵抗体104Bは、例えば、導電性且つ比較的低い抵抗率(少なくとも環状高抵抗体106Bよりも低い抵抗率)を有するインク(例えば、カーボンインク)が印刷されることによって用いられて形成される。
【0018】
一例として、上側絶縁基板104は、上方(Z軸正方向)からの平面視にて、正方形状の外形状を有する。また、上側絶縁基板104の中央部には、円形状の開口部104Aが形成されている。開口部104Aには、アナログスティックコントローラ120が挿通される。
【0019】
スペーサ105は、上側絶縁基板104と下側絶縁基板106との間に設けられている、一定の厚さを有する平板状の部材である。スペーサ105は、環状低抵抗体104Bの厚さと環状高抵抗体106Bの厚さとを足し合わせた厚さよりも厚い厚さを有する。これにより、環状低抵抗体104Bと環状高抵抗体106Bとを離間させる。
【0020】
一例として、スペーサ105は、上方(Z軸正方向)からの平面視にて、正方形状の外形状を有する。また、スペーサ105の中央部には、円形状の開口部105Aが形成されている。開口部105Aには、アナログスティックコントローラ120が挿通される。
【0021】
また、一例として、本実施形態では、スペーサ105として比較的硬質な樹脂が用いられている。そして、スペーサ105は、両面テープによって、上側絶縁基板104と下側絶縁基板106に貼り付けられている。これにより、本実施形態では、スペーサ105によって、環状低抵抗体104Bと環状高抵抗体106Bとを離間させるとともに、上側絶縁基板104と下側絶縁基板106を互いに貼り合わせることができるようになっている。なお、スペーサ105は、弾性部材103とリジッド配線基板107との間に設けられてもよい。
【0022】
下側絶縁基板106は、絶縁性を有するシート状または平板状の基板である。本実施形態では、下側絶縁基板106の一例として、可撓性を有する樹脂素材(例えば、PET、ポリイミド等)からなるシート状のフレキシブル基板を用いている。下側絶縁基板106の上面には、導電性を有する薄膜状且つ円環状の環状高抵抗体106Bが設けられている。環状高抵抗体106Bは、環状低抵抗体104Bの下側に、環状低抵抗体104Bと対向して配置されている。環状高抵抗体106Bは、環状低抵抗体104Bと同一半径且つ同形状の円環状を有する。環状高抵抗体106Bは、導電性且つ比較的高い抵抗率(少なくとも環状低抵抗体104Bよりも高い抵抗率)を有するインク(例えば、カーボンインク)が印刷されることによって形成される。
【0023】
一例として、下側絶縁基板106は、上方(Z軸正方向)からの平面視にて、正方形状の外形状を有する。また、下側絶縁基板106の中央部には、円形状の開口部106Aが形成されている。開口部106Aには、アナログスティックコントローラ120が挿通される。
【0024】
なお、本実施形態では、環状高抵抗体106Bは、下側絶縁基板106の上面に設けられているが、これに限らず、リジッド配線基板107の上面に設けられてもよい。
【0025】
リジッド配線基板107は、絶縁性を有する平板状の基板である。リジッド配線基板107は、硬質な樹脂素材が用いられて形成される。リジッド配線基板107としては、例えば、PWBが用いられる。リジッド配線基板107の上面には、下側絶縁基板106が設けられており、さらに、任意の固定手段(例えば、両面テープ、接着剤等)によって、下側絶縁基板106が固定されている。これにより、リジッド配線基板107(「支持板」の一例)は、下側絶縁基板106(下側に設けられている「他方の部材」の一例)を下側(Z軸負側)から支持する。
【0026】
なお、本実施形態では、リジッド配線基板107の上面には、下側絶縁基板106のみならず、センサ回路130が固定されている。センサ回路130は、環状高抵抗体106Bと接続されており、環状高抵抗体106Bにおける抵抗値を測定することができる。
【0027】
また、リジッド配線基板107の略中央部には、上方(Z軸正方向)からの平面視にて、アナログスティックコントローラ120が有するケース121の外形状と略同形状の開口部107Aが形成されている。これにより、リジッド配線基板107は、当該リジッド配線基板107にアナログスティックコントローラ120を挿通させて、アナログスティックコントローラ120の一部を、当該リジッド配線基板107よりも上方に突出させることができる。
【0028】
アナログスティックコントローラ120は、操作レバー122による傾倒操作可能な装置である。アナログスティックコントローラ120は、ケース121と、操作レバー122と、FPC(Flexible Printed Circuits)123とを有する。
【0029】
ケース121は、樹脂製且つ容器状の部材である。本実施形態では、ケース121は、上方に向かって凸状のドーム形状を有する。ケース121は、アナログスティックコントローラ120が備える各種構成部品(例えば、操作レバー122を傾倒可能に支持する傾倒機構、操作レバー122の傾きを検出する傾倒センサ、等)を内部に収容する。ケース121は、ドーム形状を有する部分の頂部に、上方からの平面視において円形状をなす開口部121Aを有する。
【0030】
操作レバー122は、ケース121の開口部121Aから上方(Z軸正方向)に向って延在する柱状を有し、傾倒操作可能である。操作レバー122は、前後方向(X軸方向)および左右方向(Y軸方向)のみならず、これらの方向の間の全方向への傾倒操作が可能である。
【0031】
FPC123は、可撓性を有するシート状の配線部材である。FPC123は、ケース121の底面から側方に引き出されており、外部に接続される。また、FPC123は、ケース121の内部において、操作レバーの傾きを検出する傾倒センサ(図示省略)と接続されている。これにより、FPC123は、操作レバー122の傾倒操作(傾倒方向および傾倒角度)に応じた操作信号を、外部へ出力することができる。
【0032】
ホルダ108は、基台109の凹部109B内に配置され、アナログスティックコントローラ120のケース121の外周部を上方(Z軸正方向)から押さえ付けることにより、基台109に対して、アナログスティックコントローラ120を固定する。一例として、ホルダ108は、上方(Z軸正方向)からの平面視にて、ケース121の3辺に沿った形状を有する。ホルダ108は、硬質な素材(例えば、樹脂素材、金属素材等)が用いられて形成される。
【0033】
基台109は、アナログスティックコントローラ120と、リジッド配線基板107とを、所定の位置で安定的に支持するブロック状の部材である。具体的には、基台109は、水平な上面109Aの所定の位置に対し、リジッド配線基板107が任意の固定手段(本実施形態では、ネジ止め)によって固定される。これにより、基台109は、リジッド配線基板107を所定の位置で安定的に支持する。また、基台109は、上面109Aから下方(Z軸負方向)に向かって凹んだ形状の凹部109Bを有する。凹部109Bは、上方(Z軸正方向)からの平面視にて、アナログスティックコントローラ120の外形状と略同形状を有する。凹部109Bには、アナログスティックコントローラ120が設置される。これにより、基台109は、アナログスティックコントローラ120を所定の位置で安定的に支持する。なお、本実施形態では、基台109は、上下方向(Z軸方向)に一定の厚さを有する、直方体形状を有する。また、基台109は、硬質な素材(例えば、樹脂素材、金属素材等)が用いられて形成される。
【0034】
(環状低抵抗体104Bおよび環状高抵抗体106Bのパターンの一例)
図4は、一実施形態に係る入力装置100における環状低抵抗体104Bおよび環状高抵抗体106Bのパターンの一例を示す図である。図4は、同一平面状に並べて設けられた下側絶縁基板106および上側絶縁基板104を上方から平面視したときの平面図である。
【0035】
図4に示すように、下側絶縁基板106は、開口部106Aを取り囲む、円環状の環状高抵抗体106Bを有する。また、上側絶縁基板104は、開口部104Aを取り囲む、円環状の環状低抵抗体104Bを有する。環状高抵抗体106Bおよび環状低抵抗体104Bは、互いに同一半径且つ同形状の円環状を有する。
【0036】
また、図4に示すように、環状高抵抗体106Bは、2つの接続点106Cを有する。特に、2つの接続点106Cは、環状高抵抗体106BにおけるX軸正側の端部とX軸負側の端部とに設けられており、すなわち、環状高抵抗体106Bにおける互いに180°度離れた位置に設けられている。
【0037】
2つの接続点106Cの各々は、下側絶縁基板106に設けられた2つの配線部106Dの各々を介して、入力装置100が備えるセンサ回路130に接続されている。これにより、センサ回路130は、2つの接続点106C間の抵抗値を測定することができる。
【0038】
なお、2つの配線部106Dの各々は、接続点106Cから、環状高抵抗体106Bに沿って、環状高抵抗体106Bの外側を曲線状に延伸し、さらに、環状高抵抗体106BのY軸負側の端部の近傍から、Y軸負方向に直線状に延伸されている。
【0039】
また、2つの配線部106Dの各々は、導電性を有する素材(例えば、銀インク)が用いられて帯状且つ薄膜状に形成される。
【0040】
(入力装置100の動作)
以上のように構成された入力装置100は、操作レバー122の所定の限界角度以上の傾倒操作がなされると、操作ノブ101の下縁部101Cによって、補強板102を介して弾性部材103を押圧し、弾性部材103を介して環状低抵抗体104Bが押圧される。
【0041】
これにより、環状低抵抗体104Bが環状高抵抗体106Bに接触し、環状高抵抗体106Bに設けられた2つの接続点106C間の抵抗値が変化する。そして、センサ回路130が、2つの接続点106C間の抵抗値を測定することにより、操作レバー122の所定の限界角度以上の傾倒操作がなされたことを検出できる。
【0042】
ここで、操作レバー122の傾倒角度が大きくなるにつれて、操作ノブ101の下縁部101Cによる弾性部材103の押圧力が高くなり、弾性部材103の押し潰される量が多くなることで、環状低抵抗体104Bに対する弾性部材103の接触面積が増加する。
【0043】
このため、操作レバー122の傾倒角度が大きくなるにつれて、環状低抵抗体104Bと環状高抵抗体106Bとの接触面積が増加し、よって、2つの接続点106C間の抵抗値が低くなる。したがって、センサ回路130は、測定された2つの接続点106C間の抵抗値に基づいて、操作レバー122の傾倒角度を推定することができる。
【0044】
(抵抗値の変化量の検証結果)
図5は、一実施形態に係る入力装置100における押圧位置毎の測定値の変化量の検証結果を示す図である。図5は、図4に示す環状高抵抗体106B上の押圧位置P1,P2,P3,P4の各々について、一定の押圧力(一例として、4.9N)で押圧したときの、2つの接続点106C間の測定値の変化量の検証結果を示すものである。
【0045】
なお、押圧位置P1は、環状高抵抗体106B上のY軸正側の端部の位置であり、すなわち、操作レバー122によってY軸正側に所定の限界角度以上の傾倒操作がなされたときに、操作ノブ101の下縁部101Cによって押圧される位置である。
【0046】
また、押圧位置P2は、環状高抵抗体106B上のX軸負側の端部の位置であり、すなわち、操作レバー122のX軸負側に所定の限界角度以上の傾倒操作がなされたときに、操作ノブ101の下縁部101Cによって押圧される位置である。
【0047】
また、押圧位置P3は、環状高抵抗体106B上のY軸負側の端部の位置であり、すなわち、操作レバー122によってY軸負側に所定の限界角度以上の傾倒操作がなされたときに、操作ノブ101の下縁部101Cによって押圧される位置である。
【0048】
また、押圧位置P4は、環状高抵抗体106B上のX軸正側の端部の位置であり、すなわち、操作レバー122のX軸正側に所定の限界角度以上の傾倒操作がなされたときに、操作ノブ101の下縁部101Cによって押圧される位置である。
【0049】
図5に示すように、一実施形態に係る入力装置100は、環状高抵抗体106Bがスリット部を有しないため、押圧位置P1,P2,P3,P4のいずれが押圧された場合であっても、2つの接続点106C間の測定値の変化量は略一定である。
【0050】
図5に示す検証結果により、一実施形態に係る入力装置100は、環状高抵抗体106Bがスリット部を有しないため、操作レバー122の傾き方向に依らず、一定の抵抗値を得ることができるものであることが確認された。
【0051】
(センサ回路130の回路構成例)
図6は、一実施形態に係る入力装置100が備えるセンサ回路130の回路構成例を示す図である。
【0052】
図6に示すように、センサ回路130は、環状高抵抗体106Bと直列に接続される外部抵抗体131と、2つの前記端子間の電圧を測定する電圧測定回路132とを有する。
【0053】
また、センサ回路130において、環状高抵抗体106Bと外部抵抗体131とからなる直列回路の両端には、電圧を印加するための端子133,134が設けられている。
【0054】
これにより、センサ回路130は、端子133,134から電圧を印加して、環状高抵抗体106Bと外部抵抗体131との間の電圧値を測定することで、環状高抵抗体106Bの抵抗値を測定できる。
【0055】
(効果)
以上説明したように、一実施形態に係る入力装置100は、2つの接続点106Cを有する環状高抵抗体106Bと、環状高抵抗体106Bと対向して配置された環状低抵抗体104Bと、環状高抵抗体106Bと環状低抵抗体104Bとを離間させるスペーサ105と、2つの接続点106C間の抵抗値を測定するセンサ回路130と、環状高抵抗体106Bと環状低抵抗体104Bとのうちの上側に設けられている一方の部材を上側から支持する環状の弾性部材103と、環状高抵抗体106Bと環状低抵抗体104Bとのうちの下側に設けられている他方の部材を下側から支持する支持板と、傾倒操作が可能な操作レバー122と、操作レバー122の上端部に設けられ、傾倒操作時に弾性部材103を押圧可能な環状の下縁部101Cを有する操作ノブ101と、操作レバー122の傾きを検出する傾倒センサとを備える。
【0056】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、操作レバー122の所定の限界角度以上の傾倒操作がなされたとき、操作レバー122に加えられた圧力を特定するための抵抗値を、薄型化可能な環状高抵抗体106Bおよび環状低抵抗体104Bによって検出できる。この際、一実施形態に係る入力装置100は、環状高抵抗体106Bがスリット部を有しないため、操作レバー122の傾き方向に依らず、一定の抵抗値を得ることができる。
【0057】
一実施形態に係る入力装置100において、環状高抵抗体106Bおよび環状低抵抗体104Bは、互いに同一半径且つ同形状の円環状を有し、2つの接続点106Cは、環状高抵抗体106Bにおいて、互いに180°度離れた位置に設けられている。
【0058】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、操作レバー122の傾き方向に依らず、一定の抵抗値を得ることができる。
【0059】
また、一実施形態に係る入力装置100において、操作ノブ101は、弾性部材103と対向する環状の下縁部101Cを有する傘状部101Bを有し、傾倒操作時に、傘状部101Bの下縁部101Cが弾性部材103を押圧することで、弾性部材103を介して、環状低抵抗体104Bを環状高抵抗体106Bに接触させる。
【0060】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、傘状部101Bの下縁部101Cによって、環状高抵抗体106Bおよび環状低抵抗体104Bに対いて、上方から押圧力を加えることができるため、抵抗値の変化量を大きくできる。
【0061】
また、一実施形態に係る入力装置100は、弾性部材103上に重ねて設けられ、且つ、弾性部材103よりも剛性が高い、円環状の補強板102を備える。
【0062】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、操作レバー122の傾き方向がいずれの方向であっても、傘状部101Bの下縁部101Cが、補強板102を介して弾性部材103を押圧できるため、弾性部材103の耐久性および耐摩耗性を高めることができる。
【0063】
また、一実施形態に係る入力装置100において、一方の部材は、環状低抵抗体104Bであり、他方の部材は、環状高抵抗体106Bであり、環状低抵抗体104Bは、フレキシブル基板(上側絶縁基板104)に設けられており、当該フレキシブル基板とともに、弾性部材103によって上側から支持されている。
【0064】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、環状低抵抗体104Bを比較的容易に形成することができる。
【0065】
また、一実施形態に係る入力装置100において、支持板は、リジッド配線基板107であり、リジッド配線基板107に、環状高抵抗体106Bと、センサ回路130とが固定されている。
【0066】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、環状高抵抗体106Bおよびセンサ回路130を、リジッド配線基板107とともに一体的且つ容易に取り扱うことができる。
【0067】
(第1変形例)
以下、図7を参照して、一実施形態に係る入力装置100の第1変形例について説明する。図7は、一実施形態の第1変形例に係る入力装置100-2の一部拡大断面図である。
【0068】
図7に示すように、第1変形例に係る入力装置100-2は、上側絶縁基板104および環状低抵抗体104Bを有してなく、代わりに、弾性部材103の下面に、弾性部材103よりも抵抗値が低い導電性ゴムからなる円環状の環状低抵抗体103Aが、弾性部材103と一体に設けられている点で、入力装置100と異なる。
【0069】
例えば、弾性部材103および環状低抵抗体103Aは、シリコンゴムが用いられて形成され、さらに、環状低抵抗体103Aは、カーボンが含有されることで、弾性部材103よりも抵抗値が低められる。
【0070】
このように、一実施形態の第1変形例に係る入力装置100-2において、一方の部材は、環状低抵抗体103Aであり、他方の部材は、環状高抵抗体106Bであり、環状低抵抗体103Aは、導電性ゴムからなり、且つ、弾性部材103の下面に設けられている。
【0071】
これにより、一実施形態の第1変形例に係る入力装置100-2は、センサ回路130によって測定される抵抗値の分解能を高めることができる。
【0072】
(第2変形例)
以下、図8を参照して、一実施形態に係る入力装置100の第2変形例について説明する。図8は、一実施形態の第2変形例に係る入力装置100-3の一部拡大断面図である。
【0073】
図8に示すように、第2変形例に係る入力装置100-3は、環状低抵抗体104B、下側絶縁基板106、および環状高抵抗体106Bを有してなく、代わりに、上側絶縁基板104(フレキシブル基板)の下面に、導電性を有する薄膜状且つ円環状の環状高抵抗体104Cが設けられており、リジッド配線基板107の上面に、導電性を有する薄膜状且つ円環状の環状低抵抗体107Bが設けられている点で、入力装置100と異なる。
【0074】
特に、環状低抵抗体107Bは、リジッド配線基板107の上面に対し、比較的低い抵抗率(少なくとも環状高抵抗体104Cよりも低い抵抗率)を有する金属膜が用いられて形成される。
【0075】
このように、一実施形態の第2変形例に係る入力装置100-3において、一方の部材は、環状高抵抗体104Cであり、他方の部材は、環状低抵抗体107Bであり、支持板は、リジッド配線基板107であり、環状高抵抗体104Cは、リジッド配線基板107上に金属膜で形成され、リジッド配線基板107に、センサ回路130が固定されており、環状高抵抗体104Cは、フレキシブル基板に設けられており、当該フレキシブル基板とともに、弾性部材103によって上側から支持されている。
【0076】
これにより、一実施形態の第2変形例に係る入力装置100-3は、センサ回路130が搭載されるリジッド配線基板107上に、金属膜からなる配線を形成する方法と同一の方法で、金属膜からなる環状高抵抗体104Cを形成できるため、環状高抵抗体104Cの形成コストを抑制することができる。
【0077】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
100,100-2,100-3 入力装置
101 操作ノブ
101A 被操作部
101B 傘状部
101C 下縁部
102 補強板
103 弾性部材
103A 環状低抵抗体
104 上側絶縁基板
104A 開口部
104B 環状低抵抗体
104C 環状高抵抗体
105 スペーサ
105A 開口部
106 下側絶縁基板
106A 開口部
106B 環状高抵抗体
106C 接続点
106D 配線部
107 リジッド配線基板
107A 開口部
107B 環状低抵抗体
108 ホルダ
109 基台
109A 上面
109B 凹部
120 アナログスティックコントローラ
121 ケース
121A 開口部
122 操作レバー
123 FPC
130 センサ回路
131 外部抵抗体
132 電圧測定回路
133,134 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8