(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161758
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】調剤薬局支援システムおよび薬情報提供方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20241113BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076755
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】517307784
【氏名又は名称】株式会社くすりの窓口
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】山口 遊生
(72)【発明者】
【氏名】下平 宏一
(72)【発明者】
【氏名】堤 幸治
(72)【発明者】
【氏名】宇佐見 仁
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】できるだけ多くの患者を調剤対象客として取り込みたいという調剤薬局のニーズを満たすことができるようにする。
【解決手段】一の調剤薬局の薬局端末40に入力された対象患者の処方箋情報と、複数の患者の調剤履歴情報を記録した調剤履歴データベース100とに基づいて、処方箋情報により示される処方薬とは別の処方薬で、一の調剤薬局とは異なる他の調剤薬局で対象患者が調剤を受けたことのある処方薬を検出する処方薬検出部12と、検出された別の処方薬を一の調剤薬局に報知する処方薬報知部14とを備え、対象患者が一の調剤薬局においてある処方薬の調剤を受けた際に、他の調剤薬局で対象患者が調剤を受けたことのある別の処方薬を一の調剤薬局に報知することにより、この報知を受けた一の調剤薬局が、別の処方薬を調剤可能であることを対象患者に知らせるなどの対応をとることを可能にする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調剤薬局に対して処方薬に関する情報を提供する調剤薬局支援システムであって、
一の調剤薬局の端末に入力された対象患者の処方箋情報を取得する処方箋情報取得部と、
上記処方箋情報取得部により取得された上記処方箋情報と、複数の患者がそれぞれどの薬をどの調剤薬局で調剤しているかの履歴情報を記録した調剤履歴データベースとに基づいて、上記処方箋情報により示される処方薬とは別の処方薬で、上記一の調剤薬局とは異なる他の調剤薬局で上記対象患者が調剤を受けたことのある処方薬を検出する処方薬検出部と、
上記処方薬検出部により検出された上記別の処方薬を上記一の調剤薬局に報知する処方薬報知部とを備えた
ことを特徴とする調剤薬局支援システム。
【請求項2】
上記処方箋情報取得部は、システム利用登録された加盟店である上記一の調剤薬局の端末に入力された上記対象患者の処方箋情報を取得し、
上記処方薬検出部は、上記処方箋情報により示される処方薬とは別の処方薬で、システム利用登録されていない非加盟店である上記他の調剤薬局で上記対象患者が調剤を受けたことのある処方薬を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の調剤薬局支援システム。
【請求項3】
複数の調剤薬局のそれぞれにおける薬の在庫情報を記録した在庫データベースに基づいて、上記処方薬検出部により検出された上記別の処方薬を上記一の調剤薬局で調剤可能か否かを判定する調剤可否判定部を更に備え、
上記処方薬報知部は、上記調剤可否判定部により調剤可能と判定された場合に限り、上記処方薬検出部により検出された上記別の処方薬を上記一の調剤薬局に報知する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の調剤薬局支援システム。
【請求項4】
調剤薬局の端末に対して処方薬に関する情報を提供する薬情報提供方法であって、
コンピュータの処方箋情報取得部が、一の調剤薬局の端末に入力された対象患者の処方箋情報を取得する第1のステップと、
上記コンピュータの処方薬検出部が、上記処方箋情報取得部により取得された上記処方箋情報と、複数の患者がそれぞれどの薬をどの調剤薬局で調剤しているかの履歴情報を記録した調剤履歴データベースとに基づいて、上記処方箋情報により示される処方薬とは別の処方薬で、上記一の調剤薬局とは異なる他の調剤薬局で上記対象患者が調剤を受けたことのある処方薬を検出する第2のステップと、
上記コンピュータの処方薬報知部が、上記処方薬検出部により検出された上記別の処方薬を上記一の調剤薬局に報知する第3のステップとを有する
ことを特徴とする薬情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調剤薬局支援システムおよび薬情報提供方法に関し、特に、調剤薬局に対して処方薬に関する情報を提供するシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、医療機関で処方箋を発行された患者は、院外の調剤薬局にて処方薬の交付を受ける。具体的には、患者は、調剤薬局に行き、医療機関から受け取った処方箋を手渡し、調剤を依頼する。そして、調剤が完了すると、患者は薬剤師から服薬指導を受けた上で処方薬を受け取り、代金を支払う。しかしながら、訪れた調剤薬局が必ずしも処方箋に記載された医薬品を調剤可能であるとは限らない。訪れた調剤薬局が処方薬を調剤できなかった場合、患者は改めて別の調剤薬局に行かなければならず、非常に面倒である。
【0003】
これに対し、処方箋の調剤が可能な調剤薬局を検索して患者に通知するようにしたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の処方仲介装置では、患者からのアクセスに応じて、医療機関から処方仲介装置に送信されてきた処方箋情報と、複数の調剤薬局それぞれから処方仲介装置に送信されて収集された調剤薬局情報とに基づいて調剤が可能な調剤薬局を抽出し、抽出した調剤薬局を患者に提示する。調剤薬局の提示を受けた患者が何れかの調剤薬局を選択すると、処方仲介装置は選択された調剤薬局に向けて処方箋情報を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のシステムは、患者の立場からすると利便性のよいシステムと言える。その一方で、調剤薬局の立場からすると、必ずしもニーズを満たすものとは言えない。ここでいうニーズとは、できるだけ多くの患者を調剤対象客として取り込みたいというニーズである。
【0006】
例えば、患者が初めての薬を処方されたときに特許文献1に記載のシステムを利用した場合、ある調剤薬局がその薬を調剤可能であることを示す調剤薬局情報をシステムに登録してあれば、その薬を調剤可能な薬局の1つとして患者に提示される。しかしながら、繰り返し発行される処方薬の場合、患者は前回までと同じ薬局でその薬を調剤してもらうのが普通であり、わざわざ特許文献1に記載のシステムを利用することは考えにくい。そのため、別の調剤薬局がその処方薬を調剤可能であることをシステムに登録していたとしても、別の調剤薬局がシステムから患者に情報として提示されることはない。よって、当該別の調剤薬局がその患者を新規の調剤対象客として取り込むことは難しいと言える。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、できるだけ多くの患者を調剤対象客として取り込みたいという調剤薬局のニーズを満たすことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明の調剤薬局支援システムでは、一の調剤薬局の端末に入力された対象患者の処方箋情報と、複数の患者がそれぞれどの薬をどの調剤薬局で調剤しているかの履歴情報を記録した調剤履歴データベースとに基づいて、処方箋情報により示される処方薬とは別の処方薬で、一の調剤薬局とは異なる他の調剤薬局で対象患者が調剤を受けたことのある処方薬を検出し、検出された別の処方薬を一の調剤薬局に報知するようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、対象患者が一の調剤薬局においてある処方薬の調剤を受けた際に、その処方薬とは別の処方薬で、一の調剤薬局とは異なる他の調剤薬局で対象患者が調剤を受けたことのある処方薬が一の調剤薬局に報知される。この報知を受けた一の調剤薬局は、例えば処方薬を調剤して交付する際などに、対象患者が他の調剤薬局で調剤を受けている別の処方薬を一の調剤薬局でも調剤可能であることを対象患者に知らせるなどの対応をとることが可能となる。これにより、本発明によれば、できるだけ多くの患者を調剤対象客として取り込みたいという調剤薬局のニーズを満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態による調剤薬局支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態による薬情報提供サーバの機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態による処方薬検出部および処方薬報知部の処理内容を説明するための模式図である。
【
図4】本実施形態による薬情報提供サーバの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による調剤薬局支援システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の調剤薬局支援システム1は、薬情報提供サーバ10、在庫管理サーバ20、調剤履歴データベース100、加盟店データベース101および在庫データベース200を備えて構成される。薬情報提供サーバ10と在庫管理サーバ20との間は、インターネット等の通信ネットワーク60を介して接続される。
【0012】
また、
図1に示すように、本実施形態の調剤薬局支援システム1は、お薬手帳管理サーバ30と通信ネットワーク60を介して接続され、お薬手帳管理サーバ30によりお薬手帳データベース300にて管理されている調剤履歴情報をお薬手帳管理サーバ30から取得して利用する。お薬手帳データベース300に記録される調剤履歴情報は、処方薬の調剤を受ける患者が使用する患者端末50にインストールされているお薬手帳アプリや、処方薬の調剤を行う調剤薬局(後述する加盟店および非加盟店の両方を含む)の端末から収集されるものである。お薬手帳アプリは、患者が服用している処方薬に関する種々のお薬情報を管理するためのアプリケーションであり、患者は当該お薬手帳アプリの使用を通じて各種の電子お薬手帳サービスを受けることが可能である。
【0013】
また、本実施形態の調剤薬局支援システム1は、システム利用登録された加盟店の調剤薬局が使用する薬局端末40と通信ネットワーク60を介して接続され、薬局端末40から処方箋情報を取得するとともに、当該処方箋情報で示される処方薬とは異なる別の処方薬に関する情報を薬局端末40に提供する。システム利用登録された加盟店とは、本実施形態の調剤薬局支援システム1を利用することについて運営事業者との間で所定の契約を締結した調剤薬局である。本実施形態では、加盟店の調剤薬局に対し、できるだけ多くの患者を調剤対象客として取り込みたいというニーズを満たすことを可能にする情報を提供する。
【0014】
薬情報提供サーバ10は、薬局端末40から処方箋情報を取得するとともに、当該処方箋情報で示される処方薬とは異なる別の処方薬に関する情報を薬局端末40に提供する処理を実行する。なお、薬情報提供サーバ10は、1つのサーバ装置により構成してもよいし、複数のサーバ装置により構成してもよい。例えば、薬局端末40から取得した処方箋情報をもとに別の処方薬に関する情報を検出する処理を行うサーバ装置と、検出した別の処方薬に関する情報を薬局端末40に提供する処理を行うサーバ装置とを別に構成してもよい。
【0015】
薬情報提供サーバ10は、以上の処理を実行する際、調剤履歴データベース100に記録されている調剤履歴情報および加盟店データベース101に記録されている加盟店情報を利用する。加盟店データベース101は、システム利用登録された加盟店の調剤薬局を示す情報を記録している。調剤薬局と調剤薬局支援システム1の運営事業者との間で契約が締結されると、加盟店となった調剤薬局を示す情報が加盟店データベース101に記録される。
【0016】
調剤履歴データベース100は、複数の患者がそれぞれどの薬をどの調剤薬局で調剤しているかの履歴情報を記録したデータベースである。この調剤履歴データベース100に記録される調剤履歴情報は、薬局端末40およびお薬手帳管理サーバ30から収集される。なお、調剤履歴データベース100に記録される調剤履歴情報は、健康保険組合が管理するデータベースから収集するようにしてもよい。ここで、調剤履歴データベース100に対して調剤履歴情報を記録する処理を行うためのサーバ装置を、別の処方薬に関する情報を薬局端末40に提供する処理を行うためのサーバ装置とは別に構成してもよい。
【0017】
薬局端末40は、いわゆるレセコンを含む。レセコンは、調剤薬局から健康保険組合などの支払い機関に対し調剤報酬を請求するためのレセプト(報酬明細書)を作成するためのコンピュータシステムである。調剤薬局では患者から処方箋を受け付けて調剤を行う際に、処方箋に示されている各種の情報をレセコンに入力する。薬局端末40は、レセコンに入力された処方箋情報を薬情報提供サーバ10に送信し、薬情報提供サーバ10は薬局端末40から受信した処方箋情報に基づいて調剤履歴情報を調剤履歴データベース100に記録する。本実施形態において、薬局端末40から薬情報提供サーバ10に送信する処方箋情報は、レセコンに入力された各種情報の全てである必要はなく、患者の氏名および処方薬の情報が少なくとも含まれていればよい。なお、更にその他の情報が含まれていてもよい。
【0018】
薬手帳管理サーバ30は、お薬手帳データベース300に記録されている調剤履歴情報を薬情報提供サーバ10に送信し、薬情報提供サーバ10はお薬手帳管理サーバ30から受信した調剤履歴情報を調剤履歴データベース100に記録する。お薬手帳管理サーバ30から薬情報提供サーバ10に送信する調剤履歴情報も、患者の氏名および処方薬の情報が少なくとも含まれていればよく、更にその他の情報が含まれていてもよい。
【0019】
薬局端末40は処方箋情報をレセコンから入力したときにその処方箋情報を薬情報提供サーバ10にリアルタイムに送信するのに対し、薬手帳管理サーバ30はお薬手帳データベース300に記録されている複数の調剤履歴情報を所定のインターバル期間ごとにバッチ的に送信する。また、薬局端末40から送信される処方箋情報に基づいて調剤履歴データベース100に記録される調剤履歴情報は、加盟店の調剤薬局において調剤された処方薬に関する調剤履歴情報であるのに対し、お薬手帳管理サーバ30から送信される調剤履歴情報は、加盟店の調剤薬局において調剤された処方薬のみならず、システム利用登録されていない非加盟店の調剤薬局において調剤された処方薬に関する調剤履歴情報も含む。
【0020】
また、薬情報提供サーバ10は、別の処方薬に関する情報を薬局端末40に提供する処理を実行する際、当該別の処方薬の在庫情報を在庫管理サーバ20から取得して利用する。在庫管理サーバ20は、複数の薬局端末40から、それぞれの調剤薬局において使用している各種薬の在庫状況を示す情報を逐次取得し、在庫情報を生成して在庫データベース200に記録する。薬局端末40から送信される在庫状況を示す情報は、例えば薬の入出庫情報であってもよいし、薬の残数情報であってもよい。在庫管理サーバ20は、薬情報提供サーバ10からの要求に応じて、別の処方薬の在庫情報を在庫データベース200から読み出して薬情報提供サーバ10に提供する。
【0021】
図2は、本実施形態による薬情報提供サーバ10の機能構成例を示すブロック図である。なお、
図2では本実施形態に係る要部構成のみを示しており、調剤履歴データベース100に対して調剤履歴情報を記録する処理に関する機能構成は図示を省略している。
【0022】
図2に示すように、薬情報提供サーバ10は、機能構成として、処方箋情報取得部11、処方薬検出部12、調剤可否判定部13および処方薬報知部14を備えている。これらの機能ブロック11~14は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、機能ブロック11~14は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0023】
処方箋情報取得部11は、加盟店である一の調剤薬局の薬局端末40に入力された対象患者の処方箋情報を薬局端末40から取得する。すなわち、一の調剤薬局が患者から処方箋を受け付けて、処方箋に示されている各種の情報をレセコンに入力すると、薬局端末40は、レセコンに入力された処方箋情報を薬情報提供サーバ10に送信する。薬情報提供サーバ10の処方箋情報取得部11は、このようにして薬局端末40から送信された処方箋情報を取得する。
【0024】
なお、一の調剤薬局における処方箋の受け付けは、調剤薬局に訪れた患者からの手渡しにより行われる。あるいは、患者端末50のお薬手帳アプリを通じて送信される処方箋画像の受信により処方箋の受け付けを行うようにしてもよい。すなわち、患者端末50のお薬手帳アプリを通じて患者がお薬手帳管理サーバ30から受けることが可能なサービスの1つとして、調剤予約サービスがある。患者は、医療機関から渡された処方箋を患者端末50のカメラ機能を用いて撮影し、処方箋画像をお薬手帳管理サーバ30に送信して所望の調剤薬局に対する調剤を予約することが可能である。このときお薬手帳管理サーバ30は、患者端末50から取得した処方箋画像を指定の薬局端末40に送信して調剤の予約を行う。調剤薬局では、お薬手帳管理サーバ30から受信した処方箋画像に基づいて、処方箋情報をレセコンに入力する。
【0025】
処方薬検出部12は、処方箋情報取得部11により取得された対象患者の処方箋情報と、調剤履歴データベース100に記録されている複数の患者の調剤履歴情報とに基づいて、処方箋情報により示される処方薬とは別の処方薬で、一の調剤薬局とは異なる他の調剤薬局で対象患者が調剤を受けたことのある処方薬を検出する。ここでは、非加盟店である他の調剤薬局で対象患者が調剤を受けたことのある別の処方薬を検出する。調剤薬局が加盟店であるか非加盟店であるかは、加盟店データベース101を参照することによって把握することが可能である。
【0026】
図3は、この処方薬検出部12の処理内容を説明するための模式図である。なお、
図3は、後述する処方薬報知部14の処理内容も含んでいる。
図3において、対象患者Pは、病院H1で処方された薬Aについて、加盟店である一の調剤薬局D1に調剤を依頼したとする。また、それよりも前に対象患者Pは、病院H2で処方された薬Bについて、非加盟店である他の調剤薬局D2で調剤を受けたことがあり、そのことを示す調剤履歴情報が調剤履歴データベース100に記録されているものとする。
【0027】
この場合、処方薬検出部12は、一の調剤薬局D1の薬局端末40から送信される対象患者Pの処方箋情報と、調剤履歴データベース100に記録されている複数の患者の調剤履歴情報と、加盟店データベース101に記録されている加盟店情報とに基づいて、一の調剤薬局D1とは異なる非加盟店の他の調剤薬局D2で対象患者Pが調剤を受けたことのある別の処方薬Bを検出する。
【0028】
すなわち、対象患者Pの処方箋情報には、対象患者Pの氏名と処方薬Aを示す情報とが含まれている。一方、調剤履歴データベース100には、対象患者Pが処方薬Bを調剤薬局D2で調剤してもらったことがあることを示す調剤履歴情報が記録されている。また、調剤薬局D2に関する情報は加盟店データベース101に記録されておらず、調剤薬局D2が非加盟店であることを把握可能な状況となっている。これにより、処方薬検出部12は、一の調剤薬局D1から送信された処方箋情報により示される処方薬Aとは別の薬で、一の調剤薬局D1とは異なる非加盟店の他の調剤薬局D2で対象患者Pが調剤を受けたことのある別の処方薬Bを検出することが可能である。
【0029】
なお、調剤薬局D2が加盟店である場合には、処方薬検出部12により処方薬Bは検出されない。また、調剤薬局D2が非加盟店であっても、処方薬Bが別の患者に対して調剤されたことを示す調剤履歴情報のみが調剤履歴データベース100に記録されていて、対象患者Pに対して調剤されたことを示す調剤履歴情報が調剤履歴データベース100に記録されていない場合も、処方薬検出部12により処方薬Bは検出されない。
【0030】
調剤可否判定部13は、複数の調剤薬局のそれぞれにおける薬の在庫情報を記録した在庫データベース200に基づいて、処方薬検出部12により検出された別の処方薬を一の調剤薬局で調剤可能か否かを判定する。すなわち、調剤可否判定部13は、処方薬検出部12により検出された別の処方薬(
図3の例の場合は処方薬B)について、一の調剤薬局(
図3の例の場合は調剤薬局D1)に在庫があるか否かを在庫管理サーバ20に問い合わせる。在庫管理サーバ20は、在庫データベース200を参照し、調剤薬局D1が処方薬Bの在庫を有しているか否かを確認し、その確認結果を調剤可否判定部13に通知する。調剤可否判定部13は、調剤薬局D1が処方薬Bの在庫を有しているとの通知を受けた場合、処方薬検出部12により検出された処方薬Bを一の調剤薬局D1で調剤可能と判定する。一方、調剤可否判定部13は、調剤薬局D1が処方薬Bの在庫を有していないとの通知を受けた場合、処方薬検出部12により検出された処方薬Bを一の調剤薬局D1で調剤不可能と判定する。
【0031】
処方薬報知部14は、処方薬検出部12により検出された別の処方薬を一の調剤薬局に報知する。本実施形態では、処方薬報知部14は、調剤可否判定部13により調剤可能と判定された場合に限り、処方薬検出部12により検出された別の処方薬を一の調剤薬局に報知する。その報知の方法は任意である。例えば、薬局端末40に対する電子メールの送信によって報知してもよいし、薬局端末40に接続されているプリンタ(図示せず)に対する印刷コマンドの送信によって報知してもよい。後者の場合、印刷コマンドは印刷データを含み、印刷コマンドを受信した薬局端末40は印刷データの印刷をプリンタに実行させる。
【0032】
この報知を受けた一の調剤薬局D1は、例えば
図3に示すように、処方薬Aを調剤して対象患者Pに交付する際に、対象患者Pが他の調剤薬局D2で調剤を受けている別の処方薬Bを一の調剤薬局D1でも調剤可能であることを対象患者Pに知らせるなどの対応をとることが可能となる。この後、対象患者Pが病院H2で薬Bを処方されたときに、調剤薬局D1で調剤してもらうか調剤薬局D2で調剤してもらうかは対象患者Pの自由であるが、調剤薬局D1での調剤を選択する可能性はある。対象患者Pが調剤薬局D1の方が都合がよいと判断した場合には、次回以降は調剤薬局D1を選択するであろう。
【0033】
図4は、以上のように構成した本実施形態による薬情報提供サーバ10の動作例を示すフローチャートである。まず、処方箋情報取得部11は、加盟店である一の調剤薬局の薬局端末40に入力された対象患者の処方箋情報を薬局端末40から取得する(ステップS1)。すなわち、一の調剤薬局が患者から受け付けた処方箋に示されている各種の情報をレセコンに入力すると、レセコンに入力された処方箋情報が薬局端末40から薬情報提供サーバ10に送信されるので、処方箋情報取得部11はこの処方箋情報を取得する。
【0034】
次に、処方薬検出部12は、処方箋情報取得部11により取得された対象患者の処方箋情報と、調剤履歴データベース100に記録されている複数の患者の調剤履歴情報と、加盟店データベース101に記録されている加盟店情報とに基づいて、処方箋情報により示される処方薬とは別の処方薬で、一の調剤薬局とは異なる非加盟店の他の調剤薬局で対象患者が調剤を受けたことのある処方薬を検出する(ステップS2)。
【0035】
そして、調剤可否判定部13は、処方薬検出部12により検出された別の処方薬について、一の調剤薬局に在庫があるか否かを在庫管理サーバ20に問い合わせることにより、薬の在庫情報を記録した在庫データベース200に基づいて、処方薬検出部12により検出された別の処方薬を一の調剤薬局で調剤可能か否かを判定する(ステップS3)。
【0036】
ここで、別の処方薬を一の調剤薬局で調剤可能と判定された場合、処方薬報知部14は、その別の処方薬を一の調剤薬局に報知する(ステップS4)。これにより、
図4に示すフローチャートの処理は終了する。一方、別の処方薬を一の調剤薬局で調剤可能ではないと判定された場合、ステップS4の処理は行わず、
図4に示すフローチャートの処理を終了する。
【0037】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、加盟店である一の調剤薬局の薬局端末40において入力された対象患者の処方箋情報と、複数の患者がそれぞれどの薬をどの調剤薬局で調剤しているかの履歴情報を記録した調剤履歴データベース100とに基づいて、処方箋情報により示される処方薬とは別の処方薬で、一の調剤薬局とは異なる非加盟店の他の調剤薬局で対象患者が調剤を受けたことのある処方薬を検出し、検出された別の処方薬を一の調剤薬局に報知するようにしている。
【0038】
このように構成した本実施形態によれば、対象患者が一の調剤薬局においてある処方薬の調剤を受けた際に、その処方薬とは別の処方薬で、一の調剤薬局とは異なる他の調剤薬局で対象患者が調剤を受けたことのある処方薬が一の調剤薬局に報知される。この報知を受けた一の調剤薬局は、例えば処方薬を調剤して交付する際などに、対象患者が他の調剤薬局で調剤を受けている別の処方薬を一の調剤薬局でも調剤可能であることを対象患者に知らせるなどの対応をとることが可能となる。これにより、本実施形態によれば、できるだけ多くの患者を調剤対象客として取り込みたいという調剤薬局のニーズを満たすことができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、対象患者が別の処方薬について調剤を受けたことのある他の調剤薬局が非加盟店である場合に限り、その別の処方薬を処方薬検出部12により検出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、対象患者が別の処方薬について調剤を受けたことのある他の調剤薬局が加盟店である場合にも、その別の処方薬を処方薬検出部12により検出するようにしてもよい。例えば、加盟年数、納入加盟金、店舗規模その他の要素に基づいて各加盟店をランク分けし、他の調剤薬局が一の調剤薬局よりもランクが低い場合に、対象患者が他の調剤薬局で調剤を受けたことのある別の処方薬を検出するようにしてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、4つの機能ブロック11~14を全て薬情報提供サーバ10が備える構成例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、調剤可否判定部13および処方薬報知部14を薬情報提供サーバ10とは異なるサーバ装置または薬局端末40が備える構成としてもよい。調剤可否判定部13および処方薬報知部14を薬局端末40が備える場合、調剤可否判定部13は、個々の調剤薬局が独自に保有する在庫データベースを参照して、処方薬検出部12により検出された別の処方薬(薬情報提供サーバ10より通知される)を一の調剤薬局で調剤可能か否かを判定する。
【0041】
また、調剤可否判定部13、在庫管理サーバ20および在庫データベース200を省略し、処方薬検出部12により検出された別の処方薬を一の調剤薬局に報知するようにしてもよい。この場合、例えば報知を受けた一の調剤薬局において、対象患者が他の調剤薬局で調剤を受けている別の処方薬を一の調剤薬局でも調剤可能であることを対象患者に知らせるか否かを判断し、必要な場合に告知を行うようにすることが可能である。
【0042】
あるいは、在庫管理サーバ20および在庫データベース200を省略し、加盟店の調剤薬局でどの薬を取り扱っているかを示す取扱薬情報を加盟店情報として加盟店データベース101に記録するようにして、調剤可否判定部13がこの取扱薬情報を参照することにより、処方薬検出部12により検出された別の処方薬を一の調剤薬局で調剤可能か否かを判定するようにしてもよい。
【0043】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 調剤薬局支援システム
10 薬情報提供サーバ
11 処方箋情報取得部
12 処方薬検出部
13 調剤可否判定部
14 処方薬報知部
20 在庫管理サーバ
40 薬局端末
100 調剤履歴データベース
101 加盟店データベース
200 在庫データベース