(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161759
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】着脱構造および流体制御装置
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
F16K27/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076759
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000145611
【氏名又は名称】株式会社コガネイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保坂 周一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佑哉
(72)【発明者】
【氏名】土岐 真人
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051BB02
3H051CC11
3H051CC14
3H051FF01
3H051FF02
(57)【要約】
【課題】流路ブロックに対して着脱ブロックを容易に着脱可能な着脱構造、および、当該着脱構造を備える流体制御装置を提供する。
【解決手段】流体が供給される供給ポート22を備える流路ブロック20に対して、着脱ブロック30を第1方向B1の一方側から着脱可能とする、流体制御装置10の着脱構造であって、流路ブロックまたは着脱ブロックのいずれか一方は、供給ポートに供給された流体を出力する出力ポート24を有し、出力ポートは、第1方向の一方側に配置され、流路ブロックおよび着脱ブロックは、当該流路ブロックと当該着脱ブロックとが係合する係合構造40を第1方向の他方側に有するとともに、当該流路ブロックと当該着脱ブロックとが締結される締結構造50を第1方向の一方側に有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が供給される供給ポートを備える流路ブロックに対して、着脱ブロックを第1方向の一方側から着脱可能とする着脱構造であって、
前記流路ブロックまたは前記着脱ブロックのいずれか一方は、前記供給ポートに供給された流体を出力する出力ポートを有し、
前記出力ポートは、前記第1方向の一方側に配置され、
前記流路ブロックおよび前記着脱ブロックは、当該流路ブロックと当該着脱ブロックとが係合する係合構造を前記第1方向の他方側に有するとともに、当該流路ブロックと当該着脱ブロックとが締結される締結構造を前記第1方向の一方側に有する、着脱構造。
【請求項2】
請求項1記載の着脱構造において、
前記締結構造は、
前記流路ブロックに形成される第1挿入孔および前記着脱ブロックに形成される第2挿入孔に挿入される締結部材と、
前記第1挿入孔に設けられ、前記締結部材を固定する固定部材と、
前記第2挿入孔に設けられ、前記締結部材が前記着脱ブロックから抜けるのを防止する抜け止め部材と、を有し、
前記締結部材の先端部には、前記固定部材に螺合可能なねじ部が設けられており、当該ねじ部の外径は、前記抜け止め部材の内径よりも大きい、着脱構造。
【請求項3】
請求項2記載の着脱構造において、
前記第1挿入孔および前記第2挿入孔は、前記第1方向と平行な線に対して傾斜して設けられる、着脱構造。
【請求項4】
請求項1記載の着脱構造において、
前記着脱ブロックは、少なくとも1つ以上の流体機器で構成される、着脱構造。
【請求項5】
請求項1記載の着脱構造において、
前記着脱ブロックは、当該着脱ブロックの一側面に、前記第1方向の他方側から一方側へ向かって傾斜する傾斜部を有する、着脱構造。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の着脱構造を備える、流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路ブロックに対する着脱ブロックの着脱構造、および、当該着脱構造を備える流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の
図3等には、流路ブロック20に対して流量制御器16や流体制御弁17~19を着脱可能な液体供給制御装置が開示されている。流量制御器16や流体制御弁17は、取付ボルトによって、流路ブロック20に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された液体供給制御装置では、流量制御器16や流体制御弁17が流路ブロック20に対して取り付けられる際、ドライバーなどの工具を用いて複数個所のねじ締め作業が必要となるため、それらを流路ブロック20に取り付けたり流路ブロック20から取り外したりする際の作業性が良くない。
【0005】
本発明の目的は、流路ブロックに対して、流量制御器や流体制御弁などを備える着脱ブロックを容易に着脱可能な着脱構造、および、当該着脱構造を備える流体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態に係る着脱構造は、流体が供給される供給ポートを備える流路ブロックに対して、着脱ブロックを第1方向の一方側から着脱可能とする着脱構造であって、前記流路ブロックまたは前記着脱ブロックのいずれか一方は、前記供給ポートに供給された流体を出力する出力ポートを有し、前記出力ポートは、前記第1方向の一方側に配置され、前記流路ブロックおよび前記着脱ブロックは、当該流路ブロックと当該着脱ブロックとが係合する係合構造を前記第1方向の他方側に有するとともに、当該流路ブロックと当該着脱ブロックとが締結される締結構造を前記第1方向の一方側に有する。
【0007】
一実施の形態に係る流体制御装置は、上記着脱構造を備える。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態に係る着脱構造および流体制御装置によれば、出力ポートが有り、着脱ブロックが着脱される第1方向の一方側で、着脱ブロックと流路ブロックとの締結を行えばよく、他方側では、着脱ブロックを流路ブロックに係合させるだけでよいので、流路ブロックに対して着脱ブロックを容易に着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る流体制御装置の斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る流体制御装置を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)のA-A線断面図、(C)は抜け止め用ナットおよびねじ部の拡大図である。
【
図3】第1実施形態に係る流体制御装置の、流路ブロックから着脱ブロックを離脱する様子を示す図である。
【
図4】(A)は流体制御装置が上下方向に配置されている様子を示す斜視図であり、(B)は流路ブロックから着脱ブロックを離脱する様子を示す斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係る流体制御装置の斜視図である。
【
図6】第3実施形態に係る流体制御装置を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)のB-B線断面図、(C)は流路ブロックから着脱ブロックを離脱する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る流体制御装置は、流体(液体や気体)が流れる量や方向を制御する機器であり、
図1~
図4に示す第1実施形態の流体制御装置10、
図5に示す第2実施形態の流体制御装置110、および
図6に示す第3実施形態の流体制御装置210を含む。各実施形態において、同一の構成には同一の符号を付して、繰り返しの説明を省略する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る流体制御装置10の斜視図である。
図2は、流体制御装置10を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)のA-A線断面図、(C)は抜け止め用ナット31およびねじ部51cの拡大図である。
【0012】
図1に示すように、流体制御装置10は、流路ブロック20と着脱ブロック30とを備えている。また、流体制御装置10は、流路ブロック20に対して、着脱ブロック30を第1方向B1の一方側から着脱可能とする着脱構造を備えている。
図2(B)に示すように、着脱構造は、係合構造40と締結構造50とを備えている。流路ブロック20、着脱ブロック30、および係合構造40は、例えば樹脂(ポリブチレンテレフタレートなど)により構成されている。
【0013】
第1方向B1は、流路ブロック20および着脱ブロック30の長手方向である。
図1において、第1方向B1の一方側を前側とも称し、第1方向B1の他方側を後ろ側とも称する。第2方向B2は、流路ブロック20および着脱ブロック30の短手方向であって、第1方向B1と水平面内で直交する方向である。
【0014】
着脱ブロック30は、前後方向に長い直方体形状の筐体である。着脱ブロック30の内部には、図示しないが、少なくとも1つ以上の流体機器が配置されている。流体機器は、例えば、電空レギュレータなど比例制御弁や、電磁弁などの方向制御弁や、レギュレータなどの圧力制御弁である。
【0015】
図1および
図2(A)に示すように、着脱ブロック30の下側の右前側には、突出部30bが設けられている。突出部30bには、流体機器の制御基板などが収容されている。着脱ブロック30の一側面である上面30cの左前側には、第1方向B1の他方側から一方側へ向かって下り傾斜する傾斜部30dが設けられている。着脱ブロック30の前面からは、前記制御基板の通信コネクタ30eが突出している。
【0016】
図2(B)に示すように、着脱ブロック30には、第2挿入孔30aが形成されている。第2挿入孔30aは、第1方向B1と平行な線に対して傾斜して設けられており、第1実施形態では、着脱ブロック30の前面から、第1方向B1の一方側から他方側へ向かって下り傾斜で設けられていて、下面まで貫通している。第2挿入孔30aには、締結構造50の一部である締結ねじ棒51が挿入されている。第2挿入孔30aの内周には、ねじは形成されていない。着脱ブロック30の前面には、締結凹部30fが形成されている。締結凹部30fには、締結金具52が嵌合している。
【0017】
第2挿入孔30aには、抜け止め用ナット31が設けられている。抜け止め用ナット31の内周には、雌ねじが形成されている。抜け止め用ナット31には、締結ねじ棒51の軸部51aが挿入されている。抜け止め用ナット31は、締結ねじ棒51が着脱ブロック30から抜けるのを防止する抜け止め部材の一例であるが、これについては
図2(C)を参照して後述する。
【0018】
図1は、流体機器として、2つの電空レギュレータが着脱ブロック30に搭載された例を示す。流路ブロック20は、前後方向に長い直方体形状である。流路ブロック20には、供給ポート22、排出ポート23、および出力ポート24が形成されている。供給ポート22および排出ポート23は、流路ブロック20の第1方向B1の他方側に設けられており、第2方向B2で流路ブロック20を貫通している。出力ポート24は、流路ブロック20の第1方向B1の一方側に2つ設けられている。流路ブロック20の内部には、供給ポート22に連通している供給通路22a、排出ポート23に連通している排出通路23a、および出力ポート24に連通している出力通路24aが形成されている。
【0019】
流体供給源から供給された流体(例えば、圧縮エア)は、供給ポート22から流路ブロック20内に流入して、供給通路22aから着脱ブロック30内の流体機器に流入する。流体機器から排出された流体は、排出通路23aを通って、排出ポート23から流路ブロック20外に排出される。また流体機器から出力された流体は、出力通路24aを通って、出力ポート24からエアシリンダや電磁弁などの外部機器に出力される。
【0020】
例えば流体機器が電空レギュレータである場合には、外部制御装置から通信コネクタ30eへ入力信号が入力され、その入力に比例して空気圧力が連続的に制御される。そして、供給ポート22に供給された流体は、その制御に応じて、電空レギュレータを介して出力ポート24から出力されたり、排出ポート23から排出されたりする。
【0021】
また、流体機器が電磁弁である場合には、外部制御装置から通信コネクタ30eへ入力信号が入力され、電磁弁のオン・オフが制御される。そして、供給ポート22に供給された流体は、その制御に応じて、電磁弁を介して出力ポート24から出力されたり、排出ポート23から排出されたりする。
【0022】
流路ブロック20は、第2方向B2で該流路ブロック20を貫通している2つの連結孔25,25を備えている。連結孔25,25は、第1方向B1の他方側に設けられている。図示しないが、流路ブロック20は、並列に複数連結されて、マニホールドを形成してもよい。複数の流路ブロック20が並べられた際に、各流路ブロック20の連結孔25,25に図示しない連結棒が挿通されることによって、各流路ブロック20が位置ズレなく並列に連結される。
【0023】
なお、各流路ブロック20間における供給ポート22および排出ポート23の連通箇所から流体が漏れないように、各流路ブロック20間には図示しないシール部材(例えば、ガスケット)が設けられている。また、流路ブロック20と着脱ブロック30との間からも流体が漏れないように、該流路ブロック20と着脱ブロック30との間には図示しないシール部材(例えば、ガスケット)が設けられている。
【0024】
図1および
図2(A)に示すように、流路ブロック20の右前側には、溝部20bが形成されている。溝部20bには、着脱ブロック30の突出部30bが嵌合される。
【0025】
図1および
図2(B)に示すように、流路ブロック20には、第1挿入孔20aが形成されている。第1挿入孔20aは、第1方向B1と平行な線に対して傾斜して設けられており、第1実施形態では、流路ブロック20の上面から、第1方向B1の一方側から他方側へ向かって下り傾斜で設けられていて、下面までは貫通していない。流路ブロック20に着脱ブロック30が装着されると、第1挿入孔20aと第2挿入孔30aとは連通する。第1挿入孔20aには、締結ねじ棒51が挿入されている。第1挿入孔20aの内周には、ねじは形成されていない。流路ブロック20の前面には、締結凹部20dが形成されている。締結凹部20dには、締結金具52が嵌合している。
【0026】
第1挿入孔20aには、固定用ナット21が設けられている。固定用ナット21の内周には、雌ねじが形成されている。固定用ナット21には、締結ねじ棒51の先端部に設けられているねじ部51cが螺合している。固定用ナット21は、締結ねじ棒51を固定する固定部材の一例である。流路ブロック20は、第2方向B2で該流路ブロック20を貫通している取付孔20cを備えている。固定用ナット21は、取付孔20cから挿入されて、第1挿入孔20a内に取り付けられる。
【0027】
流路ブロック20と着脱ブロック30とを係合する係合構造40は、流体制御装置10の第1方向B1の他方側に設けられている。係合構造40は、流路ブロック20に設けられる第1係合部41と、着脱ブロック30に設けられる第2係合部42と、からなる。
【0028】
第1係合部41は、
図1にも示すように、流路ブロック20の後ろ側の上面から突出して設けられている。第1係合部41の前側には、第1方向B1の他方側に向けて下側がえぐれた形状の凹部41aが設けられている。第2係合部42は、
図2(B)に示すように、着脱ブロック30の後面から陥没して設けられている。第2係合部42の後ろ側には、第1方向B1の他方側に向けて下側が突出した形状の凸部42aが設けられている。第1係合部41の凹部41aに、第2係合部42の凸部42aが係合する(引っかかる)ことにより、流路ブロック20と着脱ブロック30とが係合される。
【0029】
流路ブロック20と着脱ブロック30とを締結する締結構造50は、流体制御装置10の第1方向B1の一方側に設けられている。締結構造50は、締結ねじ棒51と、締結金具52と、固定用ナット21と、抜け止め用ナット31と、を含む。締結構造50は、金属(ステンレス鋼など)により構成されている。
【0030】
締結ねじ棒51は、第1挿入孔20aおよび第2挿入孔30aに挿入される締結部材の一例である。締結ねじ棒51は、中間部の軸部51aと、第1方向B1の一方側の操作部51bと、第1方向B1の他方側のねじ部51cと、を有する。操作部51bは、締結ねじ棒51の後端部であり、ねじ部51cは、締結ねじ棒51の先端部である。軸部51aと操作部51bの外周には、ねじは形成されていない。ねじ部51cの外周には、雄ねじが形成されている。
【0031】
軸部51aの外径は、第1挿入孔20aおよび第2挿入孔30aの内径よりも小さいので、軸部51aは、第1挿入孔20aおよび第2挿入孔30aの内部を進退可能である。操作部51bは、作業者が締結ねじ棒51の回転、挿入、および引き抜きを行うためのつまみである。操作部51bの外径は、第2挿入孔30aの内径よりも大きいので、操作部51bは、第2挿入孔30aに進入不能である。ねじ部51cの外径は、第1挿入孔20aおよび第2挿入孔30aの内径よりも小さいので、ねじ部51cは、第1挿入孔20aおよび第2挿入孔30aの内部を進退可能である。なお、作業者は工具を用いず締結ねじ棒51を操作することができるが、操作部51bに溝等を設けるなどすると、作業者は工具を用いて締結ねじ棒51を操作することもできる。
【0032】
締結ねじ棒51を組み付ける際には、第2挿入孔30aにねじ部51cが挿入された状態で操作部51bが回転されると、該ねじ部51cが、抜け止め用ナット31の内周に形成されている雌ねじに螺合される。操作部51bの回転が継続されると、ねじ部51cと該雌ねじとの螺合が解除されて、該ねじ部51cが、抜け止め用ナット31を通過する。抜け止め用ナット31を通過したねじ部51cおよび軸部51aは、第1挿入孔20aおよび第2挿入孔30aの内部を進む。固定用ナット21に到達したねじ部51cは、固定用ナット21の内周に形成された雌ねじに螺合される。これにより、流路ブロック20と着脱ブロック30とが締結される。
【0033】
締結ねじ棒51の、操作部51bと軸部51aとの間には、締結金具52が取り付けられている。締結金具52には、軸部51aが挿通される貫通孔が形成されている。軸部51aには凹溝が形成されており、該凹溝にはOリング53が嵌合されている。締結金具52は、操作部51bとOリング53との間で位置保持されるように構成されている。
【0034】
締結金具52は、金属製の薄板である。締結金具52の下端には、薄板が第1方向B1の他方側に折り曲げられた、締結下片52aが形成されている。締結金具52の上端には、薄板が第1方向B1の他方側に折り曲げられた、締結上片52bが形成されている。締結ねじ棒51が組み付けられると、締結下片52aが流路ブロック20の締結凹部20dに嵌合され、締結上片52bが着脱ブロック30の締結凹部30fに嵌合されて、締結金具52により、流路ブロック20と着脱ブロック30とが挟み込まれる。
【0035】
着脱ブロック30に対しては、供給通路22aから流出する流体圧によって、流路ブロック20から持ち上げる上向きの力がかかるため、締結ねじ棒51の強度と、その周囲における流路ブロック20および着脱ブロック30の樹脂の強度のみでは、締結が外れてしまうおそれがあるところ、締結金具52により、流路ブロック20と着脱ブロック30とが挟み込まれるので、締結が外れることがない。
【0036】
図3は、流体制御装置10の、流路ブロック20から着脱ブロック30を離脱する様子を示す図である。締結ねじ棒51の操作部51bを、締結ねじ棒51の組み付け時とは逆方向に回転させると、ねじ部51cと固定用ナット21との螺合が解除されて、締結ねじ棒51を流路ブロック20の第1挿入孔20aから引き抜き可能となる。
【0037】
ここで、
図2(C)に示すように、ねじ部51cの外径D
1は、抜け止め用ナット31の内径D
2よりも大きいので、ねじ部51cは、抜け止め用ナット31に引っかかり、抜け止め用ナット31から抜けることがない。
【0038】
図3(A)は、締結ねじ棒51のねじ部51cが抜け止め用ナット31に引っかかっている様子を示す。締結金具52は、操作部51bとOリング53とに挟まれて位置保持されているので、流路ブロック20の締結凹部20dおよび着脱ブロック30の締結凹部30fから抜けている。
【0039】
この状態から、締結ねじ棒51を第1方向B1の一方側に移動させると、
図3(B)に示すように、締結ねじ棒51に引っ張られて着脱ブロック30が第1方向B1の一方側に移動し、流路ブロック20の第1係合部41と着脱ブロック30の第2係合部42との係合が外れる。締結ねじ棒51を第1方向B1の一方側にさらに移動させると、
図3(C)に示すように、流路ブロック20から着脱ブロック30が離脱される。
【0040】
このように、締結ねじ棒51が抜け止め用ナット31から抜けずに引っかかるので、締結ねじ棒51を第1方向B1の一方側に移動させることで、流路ブロック20から着脱ブロック30を容易に離脱させることができる。また、締結ねじ棒51を紛失してしまうことがないので、再締結時に困ることがない。なお、ねじ部51cが抜け止め用ナット31に当接した後に締結ねじ棒51を回転させると、ねじ部51cが抜け止め用ナット31に螺合した後に締結ねじ棒51を抜くことができる。
【0041】
また、出力ポート24と締結構造50が同じ側(第1方向B1の一方側)にあることで、作業者は、出力ポート24へのチューブ配管作業(取り付け、取り外し)と、着脱ブロック30の着脱作業とを同じ側で出来るので、作業性が良く、特に作業スペースに制約がある場合には、その効果が顕著である。
【0042】
流路ブロック20に着脱ブロック30を再装着する場合には、
図3(A)に示すように、流路ブロック20の第1係合部41と着脱ブロック30の第2係合部42とを係合させた後に、抜け止め用ナット31に引っかかっているねじ部51cを、
図2(B)に示すように、固定用ナット21に螺合させて、流路ブロック20と着脱ブロック30とを再締結すればよい。
【0043】
このように、出力ポート24が有り、着脱ブロック30が着脱される第1方向B1の一方側で、着脱ブロック30と流路ブロック20との締結を行えばよく、他方側では、着脱ブロック30を流路ブロック20に係合させるだけでよいので、流路ブロック20に対して着脱ブロック30を容易に着脱できる。
【0044】
図4(A)は、流体制御装置10が上下方向に配置されている様子を示す斜視図である。流体制御装置10は、下方と上方に、対称に配置されている。ここでは説明の便宜上、下方に配置されている流体制御装置10を装置10A、上方に配置されている流体制御装置10を装置10Bと称する。装置10Aの傾斜部30dは、装置10Bの上面30cと対向しており、装置10Bの傾斜部30dは、装置10Aの上面30cと対向している。
【0045】
前記
図3では、流路ブロック20から着脱ブロック30を平行に引き抜いたが、
図4(A)の状態から、装置10Aの着脱ブロック30を少し前進させることにより流路ブロック20との係合を解除して、斜め上方向(例えば締結ねじ棒51の軸線方向)に傾斜させると、
図4(B)に示すように、装置10Aの傾斜部30dが装置10Bの上面30cと当接し、装置10Bの傾斜部30dが装置10Aの上面30cと当接する。
【0046】
上下方向に配置される装置10Aと装置10Bとの間隔が狭く、着脱ブロック30の上面30cに傾斜部30dを設けていない場合には、着脱ブロック30を傾斜させても、流路ブロック20との間で十分なクリアランスを確保できない。すると、着脱ブロック30と流路ブロック20との間に設けられたシール部材(ガスケット)が着脱時の摩擦によって摩耗する場合がある。これに対し、傾斜部30dを設けていれば、着脱ブロック30を傾斜させることによって、流路ブロック20との間で十分なクリアランスを確保できるので、それらの間に設けられたシール部材(ガスケット)が着脱時の摩擦によって摩耗することが抑制される。なお、
図3に示すように、上下方向に流体制御装置10が配置されていない場合であっても、着脱ブロック30を傾斜させてから引き抜いてもよい。
【0047】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係る流体制御装置110の斜視図である。流体制御装置110は、流路ブロック120と着脱ブロック130とを備えている。流体制御装置110は、前記流体制御装置10と比較して、着脱ブロック130が突出部30bを有さず、流路ブロック120が溝部20bを有さない点のみが異なる。
【0048】
着脱ブロックの内部に配置される流体機器の数,大きさ,種類によっては、流体制御装置110のように、突出部30bを有さない着脱ブロック130や、溝部20bを有さない流路ブロック120とすることが可能であり、流路ブロック120および着脱ブロック130の構成がシンプルになるので、製作コストを低減できる。
【0049】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態に係る流体制御装置210を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)のB-B線断面図、(C)は流路ブロック220から着脱ブロック230を離脱する状態を示す図である。流体制御装置210は、流路ブロック220と着脱ブロック230とを備えている。流体制御装置210は、前記流体制御装置10と比較して、着脱ブロック230が突出部30bを有さず、流路ブロック220が溝部20bを有さない点が異なる。この点は、前記流体制御装置110と同様である。
【0050】
また、流体制御装置210は、前記流体制御装置10と比較して、第1挿入孔220aおよび第2挿入孔230aが第1方向B1と平行に設けられる点、および締結金具52が設けられない点が異なる。
図6(B)に示すように、着脱ブロック230は、第1方向B1の一方側に、下面から下側に垂れ下がる形状の下垂部230bを有する。下垂部230bには、第2挿入孔230aが形成されている。第2挿入孔230aは、下垂部230bの前面から第1方向B1と平行に設けられており、後面まで貫通している。第2挿入孔230aには、抜け止め用ナット31が設けられている。流路ブロック220には、第1挿入孔220aが形成されている。第1挿入孔220aは、流路ブロック220の前面から第1方向B1と平行に設けられており、貫通はしていない。第1挿入孔220aには、固定用ナット21が設けられている。締結ねじ棒51は、ねじ部51cが固定用ナット21に螺合され、軸部51aが第1挿入孔220a,第2挿入孔230a,および抜け止め用ナット31に挿通されている。
【0051】
この状態から、締結ねじ棒51の操作部51bを回転させると、ねじ部51cと固定用ナット21との螺合が解除されて、締結ねじ棒51を流路ブロック220の第1挿入孔220aから引き抜き可能となり、締結ねじ棒51を第1方向B1の一方側に移動させると、
図6(C)に示すように、流路ブロック220から着脱ブロック230が離脱される。
【0052】
図6(A)に示すように、この第3実施形態は、2つの出力ポート24,24の間隔が広く、出力ポート24,24の間に締結ねじ棒51の操作部51bを配置可能な場合に有効である。一方、
図2(A)に示すように、第1実施形態は、2つの出力ポート24,24の間隔が狭く、出力ポート24,24の間に締結ねじ棒51の操作部51bを配置不能な場合に有効である。すなわち、第1実施形態では、第1挿入孔20aおよび第2挿入孔30aが、第1方向B1と平行な線に対して傾斜して設けられていることにより、それらに挿入される締結ねじ棒51の操作部51bを、出力ポート24,24の間に配置しなくて済むので、小型な流体制御装置10を構成することができる。
【0053】
[変形例]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0054】
上記の実施形態では、出力ポート24が流路ブロックに形成されている例について説明したが、出力ポート24は着脱ブロックに形成されていてもよい。
【0055】
上記の実施形態では、流路ブロック20に出力ポート24が2つ形成されていたが、着脱ブロック30に搭載する流体機器の数に応じて、出力ポートの数は変更してもよい。
【0056】
上記の実施形態では、締結部材(締結ねじ棒51)が、締結と引き抜きの2つの機能を担っている例について説明したが、締結部材は締結機能のみとし、引き抜き機能を実現する部材(例えば着脱ブロック30の前面につまみ)を別途設けてもよい。
【0057】
上記の第1実施形態では、締結構造50が締結金具52を備えている例について説明したが、締結ねじ棒51の強度と、その周囲における流路ブロック20および着脱ブロック30の樹脂の強度が十分である場合には、締結金具52を設けなくてもよい。
【0058】
上記の実施形態では、係合構造40が樹脂である例について説明したが、金属にしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 流体制御装置
20 流路ブロック
20a 第1挿入孔
21 固定用ナット(固定部材)
22 供給ポート
24 出力ポート
30 着脱ブロック
30a 第2挿入孔
30c 上面
30d 傾斜部
31 抜け止め用ナット(抜け止め部材)
40 係合構造
41 第1係合部
42 第2係合部
50 締結構造
51 締結ねじ棒(締結部材)
51c ねじ部