(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161760
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】システム間のデータフロー可視化システム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/75 20180101AFI20241113BHJP
G06F 9/52 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
G06F8/75
G06F9/52 150C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076760
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏海
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376BB08
5B376BC07
5B376BC44
5B376BC49
5B376DA22
(57)【要約】
【課題】複数のコンピュータシステム間の連携状況を容易に把握可能にするデータフロー可視化システムを提供する。
【解決手段】
システム間のデータフロー可視化システム1は、複数のコンピュータシステム2間におけるデータを含むファイルの入出力関係を示す入出力関係情報を取得する入出力関係取得部と、一のコンピュータシステム2においてデータに変更が生じる場合に、前記入出力関係に基づいて、他のコンピュータシステム2への影響の有無を判定する判定部と、前記影響の有無の判定結果を含むコンピュータシステム2間のデータフローを図示するためのデータフロー図示情報を生成する生成部と、前記データフロー図示情報を出力する出力部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンピュータシステム間におけるデータを含むファイルの入出力関係を示す入出力関係情報を取得する入出力関係取得部と、
一のコンピュータシステムにおいてデータに変更が生じる場合に、前記入出力関係に基づいて、他のコンピュータシステムへの影響の有無を判定する判定部と、
前記影響の有無の判定結果を含むコンピュータシステム間のデータフローを図示するためのデータフロー図示情報を生成する生成部と、
前記データフロー図示情報を出力する出力部と
を備える、システム間のデータフロー可視化システム。
【請求項2】
各コンピュータシステムにおける各データを用いた情報処理の内容を示す処理内容情報を取得する処理内容取得部
をさらに備え、
前記判定部は、前記処理内容情報に基づいて、変更されるデータが情報処理に用いられるか否かを判定し、用いられると判定した場合に影響ありと判定する、
請求項1に記載のシステム間のデータフロー可視化システム。
【請求項3】
上流のコンピュータシステムから下流のコンピュータシステムへ各データが伝搬されるか否かを示す伝搬有無情報を取得する伝搬有無取得部
をさらに備え、
前記判定部は、前記伝搬有無情報に基づいて、変更されるデータが伝搬されるか否かを判定し、伝搬されると判定した場合に影響ありと判定する、
請求項1又は2に記載のシステム間のデータフロー可視化システム。
【請求項4】
前記判定部によって変更されるデータが伝搬されないと判定された場合、前記生成部は、当該データが伝搬されないことを示す非伝搬情報を含む前記データフロー図示情報を生成する、
請求項3に記載のシステム間のデータフロー可視化システム。
【請求項5】
前記入出力関係情報には、上流のコンピュータシステムから下流のコンピュータシステムへファイルが入力されるタイミングを示すタイミング情報が含まれており、
前記生成部は、前記入力されるタイミングを含む前記データフロー図示情報を生成する、
請求項1又は2に記載のシステム間のデータフロー可視化システム。
【請求項6】
前記入出力関係情報には、各コンピュータシステムの担当者を示す担当者情報が含まれており、
前記生成部は、前記担当者を含む前記データフロー図示情報を生成する、
請求項1又は2に記載のシステム間のデータフロー可視化システム。
【請求項7】
前記担当者情報には、前記担当者の遷移状況を示す担当者遷移情報が含まれており、
前記生成部は、前記担当者の遷移状況を含む前記データフロー図示情報を生成する、
請求項6に記載のシステム間のデータフロー可視化システム。
【請求項8】
前記判定結果の修正の要否の確認を、各コンピュータシステムの担当者に対して促す催促部と、
前記担当者から前記判定結果の修正の指示を受け付けた場合、前記生成部は、当該修正を反映させた前記データフロー図示情報を生成する、
請求項1又は2に記載のシステム間のデータフロー可視化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンピュータシステム間のデータフローを可視化するデータフロー可視化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のコンピュータシステム間を連携するための連携条件を含む流通データを取得する取得部と、流通データの連携条件の内容を解析して求める解析部と、解析により求められた流通データの連携条件をモニタに表示する可視化制御部とを備えるシステム間連携データ可視化装置が開示されている。この装置によれば、流通データの連係条件を視覚的に確認することができるため、コンピュータシステム間の連携を容易に把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のシステム間連携データ可視化装置の場合、連携条件が表示されるのみであるため、例えばその連携条件に変更が生じる場合に各コンピュータシステムの影響範囲を把握することは困難である。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、複数のコンピュータシステム間を流れるデータに変更が生じる場合に、その影響範囲を視覚的に把握することができるシステム間のデータフロー可視化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一の態様のシステム間のデータフロー可視化システムは、複数のコンピュータシステム間におけるデータを含むファイルの入出力関係を示す入出力関係情報を取得する入出力関係取得部と、一のコンピュータシステムにおいてデータに変更が生じる場合に、前記入出力関係に基づいて、他のコンピュータシステムへの影響の有無を判定する判定部と、前記影響の有無の判定結果を含むコンピュータシステム間のデータフローを図示するためのデータフロー図示情報を生成する生成部と、前記データフロー図示情報を出力する出力部とを備える。
【0007】
前記態様において、各コンピュータシステムにおける各データを用いた情報処理の内容を示す処理内容情報を取得する処理内容取得部をさらに備え、前記判定部は、前記処理内容情報に基づいて、変更されるデータが情報処理に用いられるか否かを判定し、用いられると判定した場合に影響ありと判定してもよい。
【0008】
また、前記態様において、上流のコンピュータシステムから下流のコンピュータシステムへ各データが伝搬されるか否かを示す伝搬有無情報を取得する伝搬有無取得部をさらに備え、前記判定部は、前記伝搬有無情報に基づいて、変更されるデータが伝搬されるか否かを判定し、伝搬されると判定した場合に影響ありと判定してもよい。
【0009】
また、前記態様において、前記判定部によって変更されるデータが伝搬されないと判定された場合、前記生成部は、当該データが伝搬されないことを示す非伝搬情報を含む前記データフロー図示情報を生成してもよい。
【0010】
また、前記態様において、前記入出力関係情報には、上流のコンピュータシステムから下流のコンピュータシステムへファイルが入力されるタイミングを示すタイミング情報が含まれており、前記生成部は、前記入力されるタイミングを含む前記データフロー図示情報を生成してもよい。
【0011】
また、前記態様において、前記入出力関係情報には、各コンピュータシステムの担当者を示す担当者情報が含まれており、前記生成部は、前記担当者を含む前記データフロー図示情報を生成してもよい。
【0012】
また、前記態様において、前記担当者情報には、前記担当者の遷移状況を示す担当者遷移情報が含まれており、前記生成部は、前記担当者の遷移状況を含む前記データフロー図示情報を生成してもよい。
【0013】
また、前記態様において、前記判定結果の修正の要否の確認を、各コンピュータシステムの担当者に対して促す催促部と、前記担当者から前記判定結果の修正の指示を受け付けた場合、前記生成部は、当該修正を反映させた前記データフロー図示情報を生成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、データの変更に伴って生じる各コンピュータシステムへの影響範囲を容易に把握することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】データフロー可視化システムの構成を示すブロック図。
【
図2】入出力関係データベースのレイアウトの一例を示す図。
【
図3】ファイル詳細データベースのレイアウトの一例を示す図。
【
図4】処理内容データベースのレイアウトの一例を示す図。
【
図5】第1データフロー可視化処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図9】第2データフロー可視化処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0017】
本実施の形態のデータフロー可視化システムは、複数のコンピュータシステム間を流れるデータに変更が生じる場合に、その影響範囲を視覚的に把握することができるものである。ここでのデータの変更には、種々のものが含まれる。例えば、データの形式、内容、サイズ、又は単位などの変更が、データの変更に含まれる。また、データで構成されるファイルのサイズ、そのファイルがコンピュータシステムで生成されるタイミング、又はコンピュータシステムがそのファイルを必要とするタイミングなどの変更も、データの変更に含まれる。
【0018】
(システムの構成)
図1は、本実施の形態のデータフロー可視化システムの構成を示すブロック図である。データフロー可視化システム(以下「可視化システム」という)1は、複数のコンピュータシステム2間のデータフローを可視化するコンピュータシステムである。各コンピュータシステム2は、例えば、相互にデータを入出力することによって連携しながら所定の業務を行う業務システムである。以下では、このコンピュータシステムを業務システムと称する。
【0019】
可視化システム1は、LAN等の通信ネットワークを介して、利用者端末3と通信する。利用者端末3は、業務システム2を管理する担当者によって用いられる情報端末であり、その例として、パーソナルコンピュータ及びタブレット端末等を挙げることができる。利用者端末3は、インターネットブラウザ又は専用のアプリケーションなどを用いて、可視化システム1から提供された情報を取得し、表示部に表示する。
【0020】
可視化システム1は、CPU、RAM、及びROMを含む制御部を備えるコンピュータで構成されており、この制御部によって後述する各処理が実行される。また、可視化システム1は、入出力関係データベース(DB)11、ファイル詳細データベース(DB)12、及び処理内容データベース(DB)13の各データベースを有している。以下、これらのデータベースの詳細について説明する。
【0021】
(A)入出力関係DB11
入出力関係DB11は、複数の業務システム2間におけるファイルの入出力関係を示す入出力関係情報を格納するデータベースである。この入出力関係情報は、業務システム2毎に生成され、その業務システム2と入出力を行う他の業務システム2に関する各種情報が規定される。
【0022】
図2は、入出力関係DB11のレイアウトの一例を示す図である。この
図2には、特定の一つの業務システム2に係る入出力関係情報が示されている。
図2に示すとおり、入出力関係DB11には、入出力の種別、当該一の業務システム2との間で入出力を行う業務システム2、その業務システム2を所管する部署、担当者、入出力されるファイル、及び、そのファイルが入出力(送受信)される時間を示す情報が格納されている。
【0023】
担当者については、現在の担当者の他、過去に別の担当者が存在する場合はその過去の担当者を示す情報も入出力関係DB11に格納される。その場合、複数の担当者が担当した順番が識別可能なようにそれらの担当者を示す情報が格納される。そのため、入出力関係DB11を参照することによって担当者の遷移状況を把握することが可能になる。
【0024】
なお、
図2には示されていないが、各担当者の連絡先(電子メールアドレス等)も入出力関係DB11に格納されている。後述するように、可視化システム1は、利用者端末3を介してその連絡先を担当者に提供する。その担当者は、必要に応じて、その連絡先を用いて別の業務システム2の担当者に連絡をとることができる。
【0025】
(B)ファイル詳細DB12
ファイル詳細DB12は、業務システム2間で入出力されるファイルの詳細に関するファイル詳細情報を格納するデータベースである。
図3は、そのファイル詳細DB12のレイアウトの一例を示す図である。
図3に示すとおり、ファイル詳細DB12には、ファイルを処理する業務システム2、当該ファイル、及びそのファイルの定義書を示す情報が格納されている。なお、ファイルの定義書については、定義書そのものが格納されていてもよく、定義書の保存先等が格納されていてもよい。
【0026】
ファイルの定義書では、そのファイルに含まれるデータの項目の名称・内容、及びデータ型・変数の定義等、データの詳細が規定されている。可視化システム1は、その定義書を参照することにより、ファイル及びそのファイルに含まれるデータの詳細を把握することができる。
【0027】
(C)処理内容DB13
処理内容DB13は、各業務システム2において各種データを用いて実行される情報処理の内容に関する処理内容情報を格納するデータベースである。
図4は、その処理内容DB13のレイアウトの一例を示す図である。
図4に示すとおり、処理内容DB13には、情報処理を実行する業務システム2、その情報処理を実現するコンピュータプログラム、及びそのコンピュータプログラムの設計書を示す情報が格納されている。
【0028】
コンピュータプログラムの設計書では、各データに施される処理の詳細が規定されている。また、各データの全部または一部を下流の業務システム2へ伝搬させるか否かについても、この設計書に規定されている。後述するように、可視化システム1は、この設計書の内容に基づいて各データの全部または一部に処理が施される否か及び後続伝搬されるか否かなどを判定し、その結果に応じて下流の業務システム2への影響の有無を判定する。
【0029】
上述した入出力関係DB11、ファイル詳細DB12、及び処理内容DB13に格納される各情報は、マニュアルで可視化システム1に入力される。ただし、可視化システム1が、それらの情報の全部または一部を各業務システム2の各種定義書・設計書等から自動的に取得しても構わない。なお、いずれのデータベースに格納される情報についても、適宜更新されることによって最新の内容が維持される。
【0030】
なお、可視化システム1は、上述した各情報の他にも、各業務システム2の概要及び新規にリリースされる業務システム2のリリース予定日等、種々の情報を記憶部に記憶している。後述する各処理は、それらの情報も用いられながら実行される。
【0031】
(システムの動作)
業務システム2の担当者は、その業務システム2に実装されているコンピューラプログラムを改訂する場合、発生したトラブルを解消させる場合、及び新規に業務システム2を他の業務システム2と連携させる場合などに、各業務システム2間のデータフローを確認するために、利用者端末3を用いて可視化システム1にアクセスし、データフローの可視化を要求する。可視化システム1は、その要求を受けて、データフローの可視化を実現する。
【0032】
図5は、可視化システム1及び利用者端末3によって実行される第1データフロー可視化処理の手順の一例を示すフローチャートである。まず利用者端末3は、業務システム2の担当者からの指示にしたがって、業務システム2間のデータフローの可視化要求を可視化システム1に対して送信する(S101)。なお、この可視化要求には、その担当者が担当する業務システム2を識別するための情報が含まれている。そのため、可視化システム1は、今回の可視化要求がどの業務システム2の担当者によるものなのかを把握することができる。ここでは、当該担当者がXXXシステムを担当しているものとして、説明を続ける。
【0033】
可視化システム1は、利用者端末3から可視化要求を受信すると(S201)、入出力関係DB11から入出力関係情報を取得する(S202)。次に、可視化システム1は、その入出力関係情報に含まれるファイルに関するファイル詳細情報をファイル詳細DB12から取得し(S203)、さらに、そのファイルに対する処理内容を規定する処理内容情報を処理内容DB13から取得する(S204)。
【0034】
次に、可視化システム1は、上記のとおり取得した入出力関係情報、ファイル詳細情報、及び処理内容情報を用いて、業務システム2間のデータフローを図示するためのデータフロー図示情報を生成する(S205)。このデータフロー図示情報は、後述する第1乃至第3データフロー画面に表示される情報に相当する。そのため、その詳細については各画面を参照しながら後に説明する。
【0035】
可視化システム1は、生成したデータフロー図示情報を、利用者端末3に対して送信する(S206)。より詳しく説明すると、可視化システム1は、まず第1データフロー画面を表示するためのデータフロー図示情報を送信し、それ以降は、利用者端末3からの要求に応じて、第2及び第3データフロー画面を表示するためのデータフロー図示情報を送信することになる。
【0036】
利用者端末3は、可視化システム1からデータフロー図示情報を受信すると(S102)、そのデータフロー図示情報を用いてデータフロー画面を表示部に表示する(S103)。以下、このデータフロー画面の詳細について説明する。
【0037】
上述したとおり、本実施の形態では、第1乃至第3データフロー画面の3種類のデータフロー画面が利用者端末3の表示部に表示される。最初に表示されるのが、
図6にその一例を示す第1データフロー画面である。
図6に示すとおり、第1データフロー画面は、複数の業務システム2間でのファイルの入出力関係を矢印で示す画面である。この入出力関係は、入出力関係情報に基づいて可視化システム1によって生成されたものである。各業務システム2について、システムの名称、所管する部署の名称、及びそのシステムの概要が表示されており、ファイルの入出力がある業務システム2間にはそのファイルの流れが矢印で示されている。
【0038】
第1データフロー画面では、データフローの可視化を要求してきた担当者が担当する業務システム2が中央に位置付けられる(
図6に示す例では「XXXシステム」)。また、その業務システム2が担当のシステムであることが容易に理解できるように、他の業務システム2よりも太い枠で囲まれている。
【0039】
また、新規にリリースされる業務システム2については、そのことが容易に理解できるような態様で表示される。
図6に示す例では、新規にリリースされる「EEEシステム」が、破線の枠で囲まれている。さらに、そのリリースの予定日も表示されている。
【0040】
各業務システム2のシステム名の表示はリンクとなっており、これが押下されると、押下された業務システム2に係る第2データフロー画面を表示するためのデータフロー図示情報が、可視化システム1から利用者端末3へ送信される。以下では、「XXXシステム」に係る第2データフロー画面を例に挙げて説明する。
【0041】
利用者端末3は、可視化システム1から受信したデータフロー図示情報を用いて、第2データフロー画面を表示部に表示する。
図7A及び
図7Bは、その第2データフロー画面の一例を示す図である。
図7Aに示すとおり、第2データフロー画面には、他の業務システム2からXXXシステムへ入力されるファイルに関する入力ファイル情報、及びXXXシステムから他の業務システム2へ出力されるファイルに関する出力ファイル情報の2つのファイル情報が表示される。
【0042】
入力ファイル情報には、入力元の業務システム2の名称、担当部署、担当者、入力されるファイルの名称、及びそのファイルが入力される時間(受信時間)が含まれる。同様にして、出力ファイル情報には、出力先の業務システム2の名称、担当部署、現在の担当者、出力されるファイルの名称、及びそのファイルが出力される時間(送信時間)が含まれる。これらの各情報は、入出力関係DB11に格納されている情報である。
【0043】
現在の担当者を表示する欄には、手紙のアイコンが付されている。このアイコンにはその担当者の電子メールアドレスが紐付けられており、これが押下されると、利用者端末3にインストルールされているメーラーが起動してその電子メールアドレス宛の電子メールが自動で作成される。これにより、XXXシステムの担当者は、問合せをしたい他の業務システム2の担当者に容易に連絡することができる。
【0044】
XXXシステムの担当者は、他の業務システム2の現在の担当者ではなく、過去の担当者に連絡をとることを希望する場合、第2データフロー画面における担当者の表示欄中の「担当者遷移はこちら」の表示を押下する。この表示が押下されると、
図7Bに示すように、担当者の遷移状況がポップアップで表示される。これにより、XXXシステムの担当者は、連絡をとりたい担当者を知ることができる。なお、このポップアップ表示画面中の担当者の表示にはその担当者の電子メールアドレスが紐付けられており、その表示部分が押下された場合、上記の場合と同様にして電子メールが自動で作成され、当該担当者に容易に連絡することが可能となる。
【0045】
入力ファイル及び出力ファイルの何れについても、ファイル名の表示はリンクとなっており、これが押下されると、押下されたファイルを含むファイル群の関係を示す第3データフロー画面を表示するためのデータフロー図示情報が、可視化システム1から利用者端末3へ送信される。以下では、
図7A及び
図7Bにおける「A-1ファイル」が押下された場合の第3データフロー画面を例に挙げて説明する。
【0046】
利用者端末3は、可視化システム1から受信したデータフロー図示情報を用いて、第3データフロー画面を表示部に表示する。
図8A乃至
図8Dは、その第3データフロー画面の一例を示す図である。
図8Aに示すとおり、第3データフロー画面には、XXXシステムへ入力されるA-1ファイルを含む各入力ファイルに関する情報、その入力ファイルを受けたXXXシステムによって最終的に生成される生成ファイルに関する情報、及び生成ファイルが生成される前にXXXシステムにおいて実行される中間処理で処理される中間層に関する情報が表示される。なお、以下では、中間層についてもファイルと称する場合がある。
【0047】
入力ファイル、中間層、及び生成ファイルのそれぞれについて、業務システム2及びファイル名の名称、並びに、各ファイルに含まれるデータの項目名及び物理名が表示されており、データの入出力があるファイル間には項目毎のデータの流れが矢印で示されている。これらの表示されている情報は、ファイル詳細DB12で特定可能な各ファイルの定義書にて規定されているものである。
【0048】
XXXシステムの担当者が、第3データフロー画面で表示されているデータの項目名にカーソルを合わせると、その項目に関する詳細な情報がポップアップで表示される。例えば、入力ファイルにおけるデータの項目名にカーソルが合わされると、
図8Bに示すように、その項目の意味及びその項目が規定されている定義書が表示される。
【0049】
また、中間層及び生成ファイルにおけるデータの項目名にカーソルが合わされると、
図8C及び
図8Dのそれぞれに示すように、データの集約・計算条件及びその条件を用いた情報処理を実現するコンピュータプログラムの設計書が表示される。なお、これらの情報は、処理内容DB13で特定可能なコンピュータプログラムの設計書を用いて得られる。
【0050】
XXXシステムの担当者は、上述した第1乃至第3データフロー画面を参照することにより、自身が担当している業務システム2と他の業務システム2との連携状況を容易に把握することができるため、メンテナンス等の作業を円滑に行うことが可能になる。
【0051】
次に、データに変更が生じる場合にその影響範囲を含むデータフローを可視化する第2データフロー可視化処理について説明する。この第2データフロー可視化処理は、上記の第1データフロー可視化処理の結果、
図8A乃至
図8Dに示すような第3データフロー画面が利用者端末3の表示部に表示されている場合に、実行することができる。
【0052】
図9は、第2データフロー可視化処理の手順の一例を示すフローチャートである。また、
図10A乃至
図10Dは、第2データフロー可視化処理において利用者端末3の表示部に表示される第3データフロー画面の一例を示す図である。担当者によって、
図8A乃至
図8Dに例示される第3データフロー画面に表示されているデータの項目名の表示領域が押下されると、利用者端末3は、データ変更の影響範囲を検索するための影響範囲検索ウインドウを表示する(S301)。
【0053】
図10Aは、影響範囲検索ウインドウを含む第3データフロー画面の一例を示している。
図10Aに示すとおり、影響範囲検索ウインドウ111には、業務システム2及びファイルの名称、並びにそのファイルのデータの項目名を表示する表示欄と、変更箇所を入力する入力欄と、検索の開始及び取消を指示するためのボタンとが表示されている。なお、
図10Aには、変更箇所として「FE_NY_100T」が入力されている例が示されている。これは、項目「商品名」に属する変数の一つである。ここでは、この変数「FE_NY_100T」の定義に変更が生ずるものとして、説明を続ける。
【0054】
担当者は、影響範囲検索ウインドウ111の入力欄に変更箇所を入力して検索ボタンを押下すると、検索情報の入力が完了する。利用者端末3は、担当者から検索情報の入力を受け付けると(S302)、入力された変更箇所並びにファイル名及び項目名を含む検索要求を可視化システム1に対して送信する(S303)。
【0055】
可視化システム1は、検索要求を受信すると(S401)、今回の変更箇所を含むファイルが入力される業務システム2に係る入出力情報を入出力関係DB11から取得する(S402)。次に、可視化システム1は、その入出力関係情報に含まれるファイルに関するファイル詳細情報をファイル詳細DB12から取得し(S403)、さらに、そのファイルに対する処理内容を規定する処理内容情報を処理内容DB13から取得する(S404)。
【0056】
次に、可視化システム1は、取得した入出力関係情報、ファイル詳細情報、及び処理内容情報に基づいて、今回の変更による各業務システム2への影響の有無を判定する(S405)。その判定の具体例を説明すると、例えば、変更箇所を含むファイルが入力された業務システム2において、その変更箇所について所定の処理を行うコンピュータプログラムが存在する場合、その業務システム2の当該コンピュータプログラムには影響があると判定される。これに対して、その業務システム2においてそのようなコンピュータプログラムが存在しない場合は、当該業務システム2の各コンピュータプログラムに対する影響はないものと判定される。
【0057】
また、変更箇所を含むファイルが入力された業務システム2において、その変更箇所について所定の処理を行うコンピュータプログラムが存在する場合であっても、そのコンピュータプログラムによって当該変更箇所が下流の業務システム2に伝搬されない場合、その下流の業務システム2の各コンピュータプログラムについては影響がないものと判定される。
【0058】
次に、可視化システム1は、先行する第1データフロー可視化処理によって生成されたデータフロー図示情報に影響の有無の判定結果を反映させることによって、新たなデータフロー図示情報を生成する(S406)。このデータフロー図示情報は、
図10B乃至
図10Dに例示する第3データフロー画面に表示される情報に相当する。なお、後述するように、その後に第1及び第2データフロー画面が表示される場合があるが、これらの画面については第1データフロー可視化処理の場合と同様で、特に変更は生じない。
【0059】
可視化システム1は、生成したデータフロー図示情報を、利用者端末3に対して送信する(S407)。利用者端末3は、このデータフロー図示情報を受信すると(S304)、そのデータフロー図示情報を用いて第3データフロー画面を表示部に表示する(S305)。
【0060】
図10B乃至
図10Dには、上述したステップS406で生成されたデータフロー図示情報の内容を示す第3データフロー画面の例が示されている。
図10Bに示す例では、影響ありとの判定結果を示す情報として、太線の矢印が用いられている。より具体的に説明すると、ステップS404において影響ありと判定されたコンピュータプログラムがある場合、その判定結果の原因となったデータの流れを示す矢印が、細線から太線に変更されて表示される。
図10Bでは、4本の矢印が太線で表示されている。
【0061】
また、変更箇所が下流の業務システム2に伝搬されないために影響なしと判定された場合、その伝搬されないことが明示されると、参考情報として有益である。そのため、その変更箇所に係るデータの流れを示す矢印が、実線から破線に変更されて表示される。
図10Bでは、2本の矢印が破線で表示されている。
【0062】
担当者は、第3データフロー画面における太線の矢印を参照することによって、データの変更による影響範囲を把握することができる。また、同じく破線の矢印を参照することによって、途中で伝搬されなくなったデータを容易に確認することができる。なお、これらの太線及び破線は例示に過ぎず、別の態様(例えば、色を変える、点滅させる等)で表現してもよいことは勿論である。
【0063】
担当者が、第3データフロー画面で表示されているデータの項目名にカーソルを合わせると、変更箇所に関する処理内容を示す情報がポップアップで表示される。例えば、中間層におけるデータの項目名にカーソルが合わされると、
図10Cに示すように、変更箇所(ここでは変数「FE_NY_100T」)に関する処理の概要及びその処理を実現するコンピュータプログラムの設計書が表示される。生成ファイルにおけるデータの項目名にカーソルが合わされる場合も同様で、
図10Dに示すように、変更箇所に関する処理の概要及びその処理を実現するコンピュータプログラムの設計書が表示される。これらの表示により、担当者は、メンテナンス等に有益な情報を効率良く取得することができる。
【0064】
上述したようにして第3データフロー画面が表示された後、担当者の操作によって、第1及び第2データフロー画面を再度表示させることができる。これにより、担当者は、各業務システム2及び各ファイルの詳細等を随時参照しながら、必要な措置をとることができる。例えば、担当者は、第3データフロー画面にて影響範囲を確認した後、第2データフロー画面を表示させて影響があるファイルの送受信時間を確認することによって、その影響が顕在化する時間を把握することができる。これにより、例えばデータの変更に起因する障害の発生を未然に防止したり、トラブル対応を効率的に行ったりすることが可能になる。
【0065】
なお、本実施の形態では、第1乃至第3データフロー画面が別画面で表示されているが、第1乃至第3データフロー画面のうちの少なくとも2つ以上の画面が一画面で表示されてもよい。これによって情報の一覧性を向上させることができる。
【0066】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態において、可視化システム1は、処理内容DB13に格納されている処理内容情報を用いて影響の有無を判定しているが(S405)、これに限定されるわけではなく、処理内容情報を用いずに影響の有無を判定してもよい。例えば、可視化システム1が、入出力関係情報及びファイル詳細情報を用いることにより、変更に係るデータを含むファイルが入出力されているか否かを判定し、その判定結果のみに基づいて影響の有無を判定するようにしてもよい。
【0067】
なお、可視化システム1では把握できていない仕様書などの内容によって影響の有無の判定結果が変わる場合、上記の実施の形態では正確な判定ができないおそれがある。そのため、判定結果をマニュアルで修正できる機能があると便宜である。例えば、そこで、可視化システム1による判定結果が妥当ではないと判断した担当者がマニュアルで修正できるようにするために、
図11に示すように、第3データフロー画面に修正ボタン112及び修正内容を登録するための登録ボタン113を設けるようにしてもよい。この場合、担当者が修正ボタン112を押下した後、修正したい箇所にカーソルを移動させてさらに押下すると、その箇所の判定結果が反転して表示される。この
図11に示す例では、「A-1ファイル」と「中間層X-1」との間における項目名「商品名」のデータの流れが太線で表示されていたところ(
図10Bを参照)、修正の結果、細線での表示、すなわち影響なしとの判定結果に変更されている。その後、登録ボタン113が押下されると、その変更内容を示す情報が、利用者端末3から可視化システム1へ送信される。可視化システム1は、この情報に基づいて、担当者からの修正内容を反映させたデータフロー図示情報を生成し、これを各担当者に提供するようにする。これにより、各担当者はより正確なデータフローを把握することが可能になる。また、可視化システム1は、この変更内容を示す情報を記憶しておき、各担当者からの次回以降の問合せの際に、その情報にも基づいた上で影響の有無を判定するようにする。これにより、次回以降はより正確な判定が期待できるようになる。
【0068】
上記のとおり、可視化システム1が、担当者によるマニュアル修正を実現する機能を有する場合、そのマニュアル修正が可能であることを各担当者に通知する機能があると、各担当者の知識を活用して精度良く判定できるようになるため、望ましい。そこで、第2データフロー可視化処理において、可視化システム1が、第3データフロー画面に表示される各業務システム2の担当者に、修正の要否を確認するための通知をするようにしてもよい。この通知は、例えば、入出力関係DB11に格納されている各担当者の電子メールアドレスを用いて行うことができる。この場合、通知を受けた担当者が利用者端末3を用いて可視化システム1にアクセスすると、その利用者端末3の表示部には、例えば
図11に示すような第3データフロー画面が表示される。ここで、各担当者が、修正及びその修正内容の登録を適宜行うことによって、より正確に影響範囲を把握することが可能になる。
【符号の説明】
【0069】
1 データフロー可視化システム
11 入出力関係データベース
12 ファイル詳細データベース
13 処理内容データベース
2 コンピュータシステム(業務システム)
3 利用者端末
101 通信ネットワーク