(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161763
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】スライド式伸縮テント
(51)【国際特許分類】
E04H 15/50 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
E04H15/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076765
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】397064058
【氏名又は名称】グローバルハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(72)【発明者】
【氏名】森川 清
【テーマコード(参考)】
2E141
【Fターム(参考)】
2E141AA01
2E141BB01
2E141CC01
2E141DD12
2E141DD14
2E141DD22
2E141DD25
2E141DD26
2E141DD28
2E141FF05
(57)【要約】
【課題】トレーラーハウスのテラスなどにテントを設営する際の作業の煩雑さを回避すると共に設営後の安定性を確保するスライド式伸縮テントを提供する。
【解決手段】トレーラーハウス2のテラス3に設けられるスライド式伸縮テント1であって、前記テラス3の左右両側に設けられる一対のガイドレール19と、各ガイドレール19に沿って移動する移動支柱11a,11bと、移動支柱とテラスに固定された固定支柱13との間に架け渡された伸縮部17a,17bと、前記移動支柱11a,11b及び前記固定支柱13に支持されるテント幕15と、を備え、前記移動支柱11a11bが、前記伸縮部17a,17bの伸縮動作に伴って前記ガイドレール19上を移動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールと、
このガイドレールに沿って移動する少なくとも1本の移動支柱と、
前記移動支柱と固定された支柱との間に架け渡された伸縮部と、
前記移動支柱及び固定された支柱に支持されるテント幕と、を備え、
前記移動支柱が、伸縮部の伸縮動作に伴ってガイドレール上を移動するスライド式伸縮テント。
【請求項2】
前記移動支柱の下端にはキャスタが設けられ、前記移動支柱がガイドレールに沿って移動する際には、前記キャスタがガイドレールにスライド可能に支持される請求項1に記載のスライド式伸縮テント。
【請求項3】
前記移動支柱は、前記ガイドレールに沿って移動する方向とは直交する方向に少なくとも一対配置され、前記一対の移動支柱は剛体によって連結されている請求項1に記載のスライド式伸縮テント。
【請求項4】
前記少なくとも一本の移動支柱と固定された支柱との間にはワイヤが架け渡されている請求項1に記載のスライド式伸縮テント。
【請求項5】
前記伸縮部の伸縮動作に伴って上下動する突っ張り棒が設けられ、前記伸縮部が伸張する際には前記突っ張り棒が上方に移動し、前記伸縮部が縮小する際には前記突っ張り棒が下方に移動する請求項1に記載のスライド式伸縮テント。
【請求項6】
タイニーハウスのテラスに設けられるテントであって、
前記テラスの左右両側に設けられる一対のガイドレールと、
各ガイドレールに沿って移動する移動支柱と、
移動支柱とテラスに固定された固定支柱との間に架け渡された伸縮部と、
前記移動支柱及び前記固定支柱に支持されるテント幕と、を備え、
前記移動支柱が、前記伸縮部の伸縮動作に伴って前記ガイドレール上を移動するスライド式伸縮テント。
【請求項7】
タイニーハウスがハウス本体とハウス本体の出入口側に設けられるテラスとを備え、
前記移動支柱は前記テラスの前後方向に延びる前記ガイドレールに沿って移動する請求項6に記載のスライド式伸縮テント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テントの設営を簡易に行なうことができるスライド式伸縮テントに関する。
【背景技術】
【0002】
最近のグランピングブームの高まりにより、居住性の高いテントで楽しむ人が増えている。グランピング施設などで利用されるテントには、リビング空間を広く確保して快適性を高めたものが知られている。また最近では、テント型の宿泊施設以外に、トレーラーハウスやコンテナ、木造小屋などのタイニーハウスを宿泊施設とする需要も高まっており、タイニーハウスのテラスなどにテントを設営してアウターリビングとして利用する傾向もある。テラスにバーベキュー設備や炉端焼きテーブルなどを設けたり、テントを設営したりすることで、グランピング的な楽しみ方をすることができる。
【0003】
タイニーハウスのテラスに簡易型のテントを設営する場合、テントの設営や折り畳みに要する時間を短縮し且つテントの組立を簡易にしたいとする要請がある。特許文献1には、蛇腹状の伸縮部を用いた組立式テントが開示されている。この組立式テントは、蛇腹状の伸縮部を前後、左右で別々に伸張させ、折り畳みフレームを伸張させることでテントを設営できるものである。テントを畳む場合には、前記伸張させた時とは逆の手順で蛇腹状の伸縮部を縮小させることで、折り畳みフレームを収納することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された組立式テントにあっては、蛇腹状の伸縮部を前後、左右で別々に伸張させ、折り畳みフレームを伸張させてテントを設営するものであるため、テラスに大型のテントを設営する場合などでは、組立作業が煩雑となる他、設営に時間がかかるといった問題があった。また、テラス上ではテントを支えるための張り綱などを簡単に用意することができない。そのため、折り畳みフレームを伸張してテラス上に載せ置いただけではテントが不安定になるといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、タイニーハウスのテラスなどにテントを設営する場合に、簡易な作業でかつ短時間でテントを組み立てることができ、設営した後も安定性を確保できるスライド式伸縮テントを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスライド式伸縮テントは、ガイドレールと、このガイドレールに沿って移動する少なくとも1本の移動支柱と、前記移動支柱と固定された支柱との間に架け渡された伸縮部と、前記移動支柱及び固定された支柱に支持されるテント幕と、を備え、前記移動支柱が、前記伸縮部の伸縮動作に伴って前記ガイドレール上を移動する。
【0008】
また、本発明のスライド式伸縮テントは、タイニーハウスのテラスに設けられるテントであって、前記テラスの左右両側に設けられる一対のガイドレールと、各ガイドレールに沿って移動する移動支柱と、移動支柱とテラスに固定された固定支柱との間に架け渡された伸縮部と、前記移動支柱及び前記固定支柱に支持されるテント幕と、を備え、前記移動支柱が、前記伸縮部の伸縮動作に伴って前記ガイドレール上を移動する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスライド式伸縮テントによれば、ガイドレールに沿って移動する移動支柱と固定された支柱との間に伸縮部を架け渡し、この伸縮部の伸縮動作に伴って移動支柱をガイドレールに沿って移動させ、移動支柱を伸張させることでテント幕を張ることができる。そのため、大型のテントであっても簡易に設営することができ、設営に要する時間も短時間で済む。また、移動支柱がガイドレースに支持されているので、設営後のテントの安定性が確保される。
【0010】
また、本発明のスライド式伸縮テントによれば、タイニーハウスのテラスにガイドレールを設け、このガイドレールに沿ってテントの移動支柱を移動させているので、テラス上にテントを素早く設営することができる。また、ガイドレールに沿って移動支柱をテラスに固定された支柱に向けて移動させるだけで、簡単にテントを畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係るスライド式伸縮テントをトレーラーハウスのテラスに設営した状態の斜視図である。
【
図2】前記スライド式伸縮テントを設営した状態の正面図である。
【
図3】前記スライド式伸縮テントを設営した状態の側面図である。
【
図4】前記スライド式伸縮テントを設営した状態の平面図である。
【
図5】前記スライド式伸縮テントを畳んだ状態の斜視図である。
【
図6】前記スライド式伸縮テントを畳んだ状態の側面図である。
【
図7】前記スライド式伸縮テントを畳んだ状態の平面図である。
【
図8】突っ張り棒の取付け構造を示す拡大図である。
【
図9】キャスタの支持構造を示す
図2のA部の正面拡大図である。
【
図10】キャスタのストッパ構造を示す
図2のA部の側面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のスライド式伸縮テントについて、図面を参照しながら実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、スライド式伸縮テントを模式的に表したものであり、これらの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、重複説明は適宜省略し、同一部材には同一符号を付与することがある。
【0013】
図1には本発明の一実施形態に係るスライド式伸縮テント1をトレーラーハウス2のテラス3に設営した状態が示されている。また、
図2乃至
図7にはスライド式伸縮テント1をテラス3の上で設営し又は畳んだ状態が示されている。トレーラーハウス2は、前端に牽引用の車輪4を有する牽引部5を備え、この牽引部5に連結した牽引車(図示せず)によって所定の場所まで牽引されたのち設置される。なお、トレーラーハウス2は、前記牽引部5の車輪4の他に、走行用の車輪6を備えている。
【0014】
トレーラーハウス2の出入口側には矩形状の大きなテラス3が設けられている。このテラス3は、例えば多数の床束に渡した根太の上に天然木材又は合成木材からなる床材を敷き詰めてウッドデッキとしたものである。ウッドデッキの大きさは特に限定されないが、
図1のようにトレーラーハウス2に大きな面積のテラス3を設けることで、テラス3での用途が広がると共に開放感が得られるといったメリットがある。
【0015】
このテラス3は、トレーラーハウス2の出入口側に隣接して配置される。トレーラーハウス2との間に隙間を設けることなく配置され、また、トレーラーハウス2の玄関口9やリビングルーム10の出入り口との間に段差をなくすることで、トレーラーハウス2との一体感が得られる。
【0016】
スライド式伸縮テント1は、テラス3の上を移動する複数の移動支柱11,12と、トレーラーハウス2に接した位置でテラス3に固定された複数の固定支柱13,14とを備える。また、各移動支柱11,12及び固定支柱13,14に支持され、各支柱によって囲まれたエリアの上方を覆うテント幕15を備える。複数の移動支柱11,12は、テラス3の左右両側に前後2本ずつ配置されたサイド移動支柱11a,11bと、テラス3の中央において左右に1本ずつ配置されたセンタ移動支柱12と、を備えている。センタ移動支柱12の本数はテラス3の広さに応じて配置され、この実施形態では2本が配置されている。これらサイド移動支柱11a,11b及びセンタ移動支柱12の下端にはそれぞれキャスタ16が取り付けられている。また、前記固定支柱は、左右両側のサイド移動支柱11bの後方に設けられたサイド固定支柱13と、中央のセンタ移動支柱12の後方に設けられたセンタ固定支柱14とからなる。
【0017】
前後2本のサイド移動支柱11a,11b同士の間、及び後側のサイド移動支柱11bとサイド固定支柱13との間には、蛇腹状の第1伸縮部17a,17bがそれぞれ架け渡されている。また、センタ移動支柱12とセンタ固定支柱14との間には、第2伸縮部18が架け渡されている。
【0018】
前記第1伸縮部17a,17b及び第2伸縮部18は、2本のフレームをクロスさせて、その中央部を回動可能に連結したクロスフレーム17’,18’を基本形状とし、各クロスフレームの端部を隣接するクロスフレームの端部又は支柱に回動可能に連結したものである。第1伸縮部17a,17b及び第2伸縮部18の長さは、スライド式伸縮テント1の大きさに応じて適宜設定される。この実施形態では、第1伸縮部17a,17bは、前後の支柱間に2個のクロスフレーム17’が配置された長さであり、第2伸縮部18は、センタ移動支柱12とセンタ固定支柱14との間に4個のクロスフレーム18’が配置された長さである。各クロスフレーム17’,18’の端部と支柱との連結では、2本のフレームのうち一方のフレームの上側端部が支柱に回動可能に連結される一方、他方のフレームの下側端部が支柱に対してスライド可能に連結されている。そのため、第1伸縮部17a,17b及び第2伸縮部18が伸び縮みする際、各クロスフレーム17’,18’は、一方のフレームの上側端部の高さ位置が常に一定である一方、他方のフレームの下側端部が支柱を上下にスライドすることで高さ位置が変化し、クロスフレーム17’,18’のひし形形状を変化させることができる。
【0019】
このように、クロスフレーム17’,18’の形状を変化させることによって、伸縮部での伸縮動作を可能としている。この実施形態では、第1伸縮部17a,17b及び第2伸縮部18が伸び縮みすることで、前後2本のサイド移動支柱11a,11bの間、及びセンタ移動支柱12とセンタ固定支柱14との間の間隔を広げたり狭めたりすることができる。同様に、後側のサイド移動支柱11bとサイド固定支柱13との間の間隔も変化させることができる。
【0020】
この実施形態では、前後2本のサイド移動支柱11a,11bの間、及び後側のサイド移動支柱11bとサイド固定支柱13との間に、上下2本のワイヤ26が掛け渡されている。このワイヤ26bは、第1伸縮部17a,17bに沿ってその上下に配置され、
図3に示したように、サイド移動支柱11a,11bが伸張してテントの設営位置にあるときには、第1伸縮部17a,17bに沿ってピンと伸びることで、テント幕15に張りを持たせることができる。また、
図6に示したように、テントの畳んだ時にはワイヤ26a,26bが支柱間で緩むため、サイド移動支柱11a,11bの移動に支障を生じさせない。
【0021】
この実施形態において、左右のサイド移動支柱11aとセンタ移動支柱12との間、及び左右のセンタ移動支柱12同士の間には、剛体からなる水平部材27がそれぞれ掛け渡されている。この水平部材27は、二本の長い水平棒27aに数段の横木27bをつけて梯子状としたものである。左右のサイド移動支柱11a及びセンタ移動支柱12には、水平部材27の端部を受けるコの字状の保持部材(図示せず)が設けられており、この保持部材が各支柱間に架け渡した水平部材27の端部を受けて保持することで、4本の支柱が水平部材によって一直線上に連結された状態となり、各支柱間の距離が一定に保たれる。テラス3の後側に位置する左右のサイド固定支柱13とセンタ固定支柱14との間、及び左右のセンタ固定支柱14同士の間にも、上記と同様の水平部材27が架け渡されている。
【0022】
この実施形態において、前記センタ移動支柱12とセンタ固定支柱14との間に架け渡されている第2伸縮部18のほぼ中間部には、その伸縮動作に伴って上下動する突っ張り棒20が設けられている。この突っ張り棒20は、
図8に示されるように、隣接するクロスフレーム18’の下側連結部21aに固定され、上側連結部21bにはスライド可能に取り付けられている。そのため、前記第2伸縮部18が伸張する際には、
図8(a)に示したように前記突っ張り棒20が上方に移動して、突っ張り棒20の上部が第2伸縮部18の上方に突出する一方、前記第2伸縮部18が縮小する際には、
図8(b)に示したように前記突っ張り棒20が下方に移動して、突っ張り棒20が第2伸縮部18内に引っ込むようになっている。なお、突っ張り棒20は、第2伸縮部17bに着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0023】
この実施形態では、テラス3の左右両側に一対のガイドレール19が配設されている。このガイドレール19は、テラス3の左右両側で前後方向に延び、サイド固定支柱13の近傍からテラス3の前方に向かって真っ直ぐに延びている。一実施形態では、ガイドレール19は、少なくともスライド式伸縮テント1が伸張して設営された状態において、前側のサイド移動支柱11aの先端位置まで延びている。
図9及び
図10に示されるように、各ガイドレール19は、断面形状が略U字形の長いレール状部材であり、各支柱のキャスタ16を両側から支持して、キャスタ16の転動をガイドする。なお、テラス3の中央にはセンタ移動支柱12の下端に取り付けられたキャスタ16を支持するためのガイドレールは設けられていない。これは、スライド式伸縮テント1を伸張させてテラス3上で設営する際、又は設営されたテント3を畳む際に、少なくとも左右のサイド移動支柱11a,11bを、ガイドレール19に沿って安定した状態で移動させることができるので、センタ移動支柱12の移動にもさほど支障を来さないことと、テラス3上にガイドレールなどの突起物をなくすことでテラスでの居住性を高めるためである。
【0024】
前記移動支柱11,12及び固定支柱13,14の上部を覆うテント幕15は、軽くて丈夫な防炎性シートによって形成されるのが望ましい。テント幕15は平面視が矩形状であり、四隅が左右の前側サイド移動支柱11aの上端と、左右のサイド固定支柱13の上端とによって支持され、四辺が左右の後側サイド移動支柱11bの上端と、2本のセンタ移動支柱12の上端と、2本のセンタ固定支柱14の上端とによって支持されている。この実施形態では、テラス前方側の左右のサイド移動支柱11a,11a間、及びテラス後方側の左右のサイド固定支柱13,13間が、剛体の水平部材27によって連結されており、また、前後のサイド移動支柱11,11b間、及び後側のサイド移動支柱11bとサイド固定支柱13との間は、テント設営時にはワイヤ26がピンと伸びているので、テント幕15の四隅及び四辺が確実に支持される。そのため、テント幕15がしっかりと伸びた状態で設営することができ、テント幕15のたわみなどは生じない。
【0025】
また、この実施形態ではテント幕15は寄棟型の屋根形状をしている。これは、テント幕15の中央部の2か所を前述した2本の突っ張り棒20の上端で押し上げ、突っ張り棒20の上端に架け渡した横長パイプ22によってテント幕15に張りを持たせ、大棟を形成しているからである。なお、横長パイプ22は、その両端部22’が突っ張り棒20の上部に差し込まれたボルト・ナットなどのストッパピン25によって支えられているので、ずり落ちることがない。
【0026】
この実施形態ではテント幕15の下部に所定幅の垂幕15’が全周に設けられている。垂幕15’を設けることでテント幕15に張りを持たせることができると共に、垂幕15’で支柱の上端部分を覆い隠すことによって、第1伸縮部17a,17b、第2伸縮部18及びワイヤ26が外部から見えなくなり、テント全体の見栄えが良くなる。なお、この実施形態ではテント幕15を寄棟型の屋根形状としているが、突っ張り棒20の突出高さ、突出位置、本数などを変えることによって、あるいはテント幕の縫製を変えることによって、寄棟型以外の屋根形状とすることもできる。また、テント幕15の屋根勾配が緩いような場合には、テント幕15の四隅の形状を前述したワイヤ26を利用して所定形状に作ることもできる。
【0027】
さらに、この実施形態ではテラス3の四隅と、テラス中央の前端と後端に、それぞれポスト23,24が設けられている。これらのポスト23,24は1辺が約10cm、長さが約120cmの角材からなり、人工木もしくは木材などによって作られる。テラス3の左右両側の前端に設けられる2本ポスト23は、ガイドレール19の先端部付近でテラス3に固定され、テラス3の中央の前端に設けられる2本のポスト23は、センタ移動支柱12が伸張した時の位置に対応したテラス3の前端付近でテラス3に固定されている。これらテラス3の前端に設けられた4本のポスト23は、
図1に示したように、スライド式伸縮テント1を伸張させてトレーラーハウス2のテラス3に設営した際に、各支柱をポスト23にゴムバンドなどの結束バンド28で結び付けることで支柱の安定性を確保する。一方、テラス3の後端に設けられた4本のポスト24は、サイド固定支柱13及びセンタ固定支柱14の近傍でテラス3に固定されている。これら4本のポスト24は、
図5に示したように、スライド式伸縮テント1をトレーラーハウス2のテラス3の後端付近に畳む際に、各移動支柱11,12を固定支柱13,14と共に結束バンド29で結び付けることで支柱がばらけるのを防止する。
【0028】
次に、上記構成からなるスライド式伸縮テント1をテラス3上に設営する場合について説明する。
図5に示すように、スライド式伸縮テント1がテラス3で畳まれた状態にある場合、まず結束バンド29を解いてポスト24から移動支柱11,12を解除すると共に、移動支柱11,12の各キャスタ16のストッパを外して、各移動支柱11,12の動きをフリーにする。
【0029】
次いで、
図1に示すように、サイド移動支柱11a,11bをガイドレール19に沿ってテラス3の前方側に移動させる。この場合、左右両側のサイド移動支柱11a,11bを同時に移動させて左右のバランスをとる。第1伸縮部17a,17bが伸びることで前後2本のサイド移動支柱11a,11bがガイドレール19に沿って伸張し、前後2本のサイド移動支柱11a,11bの間隔、及び後側サイド移動支柱11bとサイド固定支柱13との間隔が広がる。その際、前後のサイド移動支柱11a,11bの間、及び後側のサイド移動支柱11bとサイド固定支柱13との間に張られたワイヤ26も次第に伸びていく。なお、センタ移動支柱12は、サイド移動支柱11a,11bの移動に伴って前方に引っ張られて移動する。その際、センタ移動支柱12は、下端に設けられたキャスタ16がテラス3の床材の上を転動しながら移動する。上記各移動支柱11,12の移動に伴ってテント幕15が次第に広がる。そして、左右の前側サイド移動支柱11aがガイドレール19の先端部まで移動した所で、ワイヤ26がピンと伸びているのを確認してキャスタ16のロックレバー16’を押し下げてロックする。また、センタ移動支柱12は所定の位置まで移動させたのちにキャスタ16をロックする。
【0030】
次に、左右のサイド移動支柱11a及び2本のセンタ移動支柱12をテラス3の前端に設けられた各ポスト23に結束バンド28で結び付けることで、各移動支柱を位置決めすると共に各移動支柱の安定性を確保する。
【0031】
最後に、第1伸縮部17a,17b及び第2伸縮部18の各クロスフレーム17’,18’を構成する2本のフレームの下側端部を支柱にロックして、第1伸縮部17a,17b及び第2伸縮部18の伸縮動作を拘束する。なお、上述したように、2本の突っ張り棒20は、センタ移動支柱12の前方への移動に伴って上方に突出し、テント幕15の中央部を押し上げる。なお、前記突っ張り棒20が上方に突出する際、一緒に横長パイプ22も上方に移動する。
【0032】
このように、左右両側のサイド移動支柱11a,11bは、下端がガイドレール19によって支持されているので、サイド固定支柱13と共にテント幕15の四隅を安定した状態で支持することができる。テント幕15は、移動支柱11,12が伸張するのに伴って大きく広げられて、固定支柱13,14を含む全ての支柱の上部を覆うように張られ、最終的には上述した寄棟型の屋根形状を形成する。さらに、この実施形態では、移動支柱11,12が伸張したときの支柱の安定性をより一層高めるために、左右両側のサイド移動支柱11a及び中央のセンタ移動支柱12を、結束バンド28で各ポスト23に結び付けている。支柱が安定することでテント全体のゆがみを有効に防ぐことができる。
【0033】
次に、設営されているスライド式伸縮テント1を畳む場合について説明する。まず、ポスト23の結束バンド28を解いて、各移動支柱11,12の拘束を解除する、次いで、移動支柱11,12の各キャスタ16のロックレバー16aを引き上げ、各移動支柱11,12の動きをフリーにする。続いて、第1伸縮部17a,17b及び第2伸縮部18の各クロスフレーム17’,18’のうち、支柱に固定されているフレームの下側端部のロックを解除して、第1伸縮部17a,17b及び第2伸縮部18の動きをフリーにする。
【0034】
このように全てのロックを解除してから、左右両側のサイド移動支柱11a,11bを、ガイドレール19に沿ってサイド固定支柱13側へ向けて移動させる。この移動に伴ってセンタ移動支柱12も一緒に移動する。第1伸縮部17a,17b及び第2伸縮部18は、次第に縮小しながらクロスフレーム17’,18’を縦長のひし形形状に変化させていく。左右両側のサイド移動支柱11a,11bは、キャスタ16がガイドレール19に支持されながら転動するので、安定した状態で移動する。そして、
図5に示したように、すべての移動支柱11,12を固定支柱13,14側に畳んだのち、各支柱の下端に取り付けられているキャスタ16をロックすると共に、各支柱がばらけることのないように、全ての支柱をまとめてポスト24に結束バンド29で結び付けて撤去作業が完了する。なお、ワイヤ26は、テントが畳まれた際、前後のサイド移動支柱11a,11b間、及び後側のサイド移動支柱11bとサイド固定支柱13との間で、弛んだ状態で保持される。また、突っ張り棒20は、前記センタ移動支柱12が移動する際に第2伸縮部18内に引っ込み、同時に横長パイプ22はクロスフレーム18’の上側連結部21bの位置まで下降する。
【0035】
上記の実施形態では、移動支柱11,12及び固定支柱13,14は、それぞれが1本のアルミパイプによって形成されている場合について説明したが、各支柱を2本以上のアルミパイプで伸縮可能に形成し、縮小時の支柱長さを短くしたものであってもよい。こうすることで、スライド式伸縮テント1を畳む際には支柱の長さを短くできテント全体がコンパクトになる。また、各支柱を移動させる際にも支柱を短くしておくと取り扱いが容易となる。スライド式伸縮テント1を設営する際には、支柱を所定位置まで移動させた所で各支柱を伸ばすことでテントの高さを確保することができる。
【0036】
また、上記の実施形態では、スライド式伸縮テント1が固定支柱を備えている場合について説明したが、トレーラーハウスの外壁を固定支柱の代用とすることもできる。また、上記の実施形態ではトレーラーハウスのテラスにスライド式伸縮テントを設営する場合について説明したが、トレーラーハウス以外のタイニーハウス、例えばコンテナや木造小屋などのテラスに同様のテントを設けることができる。さらには、タイニーハウスのテラス以外の場所に設営することも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 スライド式伸縮テント
2 トレーラーハウス
3 テラス
4 牽引用の車輪
5 牽引部
6 走行用の車輪
9 玄関口
10 リビングルーム
11 移動支柱
11a,11b サイド移動支柱
12 センタ移動支柱(移動支柱)
13 サイド固定支柱(固定支柱)
14 センタ固定支柱(固定支柱)
15 テント幕
15’ 垂幕
16 キャスタ
16’ ロックレバー
17a,17b 第1伸縮部
17’ 第1伸縮部のクロスフレーム
18 第2伸縮部
18’ 第2伸縮部のクロスフレーム
19 ガイドレール
20 突っ張り棒
21a クロスフレームの下側連結部
21b クロスフレームの上側連結部
22 横長パイプ
22’ パイプの端部
23,24 ポスト
25 ストッパピン
26 ワイヤ
27 水平部材
27a 水平棒
27b 横木
28,29 結束バンド