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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161764
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】リフター
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
B66F9/06 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076766
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 益男
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA03
3F333AB07
3F333AB13
3F333AE02
3F333BD05
3F333CA06
(57)【要約】
【課題】配電盤との機器の出し入れに十分な可動範囲を有しつつ、全高の低いリフターを提供する。
【解決手段】機器を配電盤へ搬入または配電盤から搬出するためのリフター1は、床面を移動可能な車輪が取り付けられた脚フレーム2と、床面に対して垂直に脚フレーム2に固定して取り付けられ、高さの伸縮が可能な機構を有するマスト(第1マスト3及び第2マスト6)と、マストに沿って昇降可能な昇降体4と、を備える。昇降体4は、機器を搭載可能な荷台41と、荷台41の幅方向の両側を支持する一対のブラケット42と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を配電盤へ搬入または前記配電盤から搬出するためのリフターであって、
床面を移動可能な車輪が取り付けられた脚フレームと、
前記床面に対して垂直に前記脚フレームに固定して取り付けられ、高さの伸縮が可能な機構を有するマストと、
前記マストに沿って昇降可能な昇降体と、を備え、
前記昇降体は、
前記機器を搭載可能な荷台と、
前記荷台の幅方向の両側を支持する一対のブラケットと、
を有する
ことを特徴とするリフター。
【請求項2】
請求項1に記載のリフターであって、
前記一対のブラケットは、一定の断面形状をなす形鋼の鋼材である
ことを特徴とするリフター。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリフターであって、
前記マストは、前記脚フレームに固定して取り付けられたマスト固定部と、前記マスト固定部に取り付けられ鉛直上下方向に可動するマスト可動部とを含み、
前記昇降体は、前記マスト可動部に取り付けられ、前記マスト可動部に沿って昇降する
ことを特徴とするリフター。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のリフターであって、
前記荷台は、第1搭載面と、前記第1搭載面と反対側且つ前記ブラケットが取り付けられる第2搭載面とを有し、
前記昇降体は、前記荷台を反転させて上面となる面を前記第1搭載面と前記第2搭載面との間で切り替える反転機構を有する、
ことを特徴とするリフター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器を配電盤へ搬入または配電盤から搬出するために使用されるリフターに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、非特許文献1に開示されるように、配電盤に対する真空遮断器(VCB:Vacuum Circuit Breaker)の出入操作に用いられるハンドリフターが知られている。図5に示すハンドリフター60は、昇降装置61に対するハンドル操作により昇降体63をマスト62に沿って昇降可能に構成されている。昇降体63は、荷台64と、荷台64を上方から支持する上方支持部材65とを有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】三菱電機株式会社,“三菱真空遮断器用リフター”,[online],2006年6月,[令和5年4月5日検索],インターネット<URL:https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/document/nproduct/vcbvmc/new-cb19/sin19a.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上方支持部材65は荷台64よりも高い位置に設けられるため、マスト62の高さは荷台64の最高位置よりも高い。図5に示す例では、荷台64の最高位置が床面から約1800[mm]であるのに対し、マスト62の高さは、床面から約2300[mm]必要である。ハンドリフター60が屋外変電所で使用される場合、リフター全高が高すぎるためハンドリフター60を変電所倉庫(物置)に収納することができないという問題があった。
【0005】
本開示の目的は、配電盤との機器の出し入れに十分な可動範囲を有しつつ、全高の低いリフターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の観点は、機器を配電盤へ搬入または配電盤から搬出するためのリフターに関連する。リフターは、床面を移動可能な車輪が取り付けられた脚フレームと、床面に対して垂直に脚フレームに固定して取り付けられ、高さの伸縮が可能な機構を有するマストと、マストに沿って昇降可能な昇降体と、を備える。昇降体は、機器を搭載可能な荷台と、荷台の幅方向の両側を支持する一対のブラケットと、を有する。
【0007】
本開示の第2の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。一対のブラケットは、一定の断面形状をなす形鋼の鋼材である。
【0008】
本開示の第3の観点は、第1の観点又は第2の観点に加えて、次の特徴を更に有する。マストは、脚フレームに固定して取り付けられたマスト固定部と、マスト固定部に取り付けられ鉛直上下方向に可動するマスト可動部とを含む。また、昇降体は、マスト可動部に取り付けられ、マスト可動部に沿って昇降する。
【0009】
本開示の第4の観点は、第1の観点又は第2の観点に加えて、次の特徴を更に有する。荷台は、第1搭載面と、第1搭載面と反対側且つブラケットが取り付けられる第2搭載面とを有する。また、昇降体は、荷台を反転させて上面となる面を第1搭載面と第2搭載面との間で切り替える反転機構を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、配電盤との機器の出し入れに十分な可動範囲を有しつつ、全高の低い低床リフターを提供することが可能である。このような全高を抑えた低床リフターは、変電所倉庫で保管することができるため、錆が発生し難く、かつ、変電所の美観を損ねない長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係るリフターの概要を説明するための図である。
図2】実施の形態1に係るリフターの構成例を示す説明図である。
図3】実施の形態1に係るリフターの変形例を示す説明図である。
図4】実施の形態2に係るリフターの構成例を示す説明図である。
図5】従来のハンドリフターの構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態に係るリフターについて説明する。また、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0013】
1.実施の形態1
1-1.概要
図1は、実施の形態に係るリフター1の概要を説明するための図である。リフター1は、機器を配電盤へ搬入または機器を配電盤から搬出するために使用される低床リフターである。配電盤に搬入または配電盤から搬出される機器は、引出形機器であり、例えば、真空遮断器(VCB)、接地形計器用変圧器(EVT:Earthing Voltage Transformer)、コンタクタ、避雷器、等である。図1(A)は、配電盤に設置される2つの機器がともに真空遮断器(VCB)の場合の例を示しており、図1(B)は、当該2つの機器のそれぞれが真空遮断器(VCB)と接地形計器用変圧器(EVT)の場合の例を示している。尚、引出形機器には、例えば、出し入れを容易にするための車輪が取り付けられている。
【0014】
配電盤は、一般的にチャンネルベースの上に設置される。具体的には、図1(A)に示すように、配電盤30Aは、高さ寸法Hbのチャンネルベース32上に設置され、配電盤30Aの底面から寸法H1の高さに真空遮断器31aを、配電盤30Aの底面から寸法H2の高さに真空遮断器31bを収納している。別の例では、図1(B)に示すように、配電盤30Bは、高さ寸法Hbのチャンネルベース32上に設置され、更に、配電盤30Bの底面から寸法Hfの高さの底面フレームに真空遮断器34を、配電盤30Bの底面から寸法H3の高さに接地形計器用変圧器35を収納している。一部の屋内型の配電盤を除き、一般的に屋外型の配電盤のチャンネルベース32の高さ寸法Hbは約100mmである。また、真空遮断器等の重量物を収納する配電盤の底面フレームの高さ寸法Hfは約50mm程度である。また、一般的な配電盤の機器の収納スペースの高さは底面から2300mmである。
【0015】
ここで、機器を配電盤30Aあるいは配電盤30Bへ搬入、または機器を配電盤30Aあるいは配電盤30Bから搬出するときにおいて、機器を搭載するリフター1の荷台41の高さの可動範囲について考える。リフター1の荷台41の高さの可動範囲は、寸法Hmaxから寸法Hminで表される。寸法Hmaxとは、荷台41の搭載面を最高位置まで上昇させたときの搭載面の高さを意味する。寸法Hminとは、荷台41の搭載面を最低位置まで下降させたときの搭載面の高さを意味する。
【0016】
例えば、配電盤30Aあるいは配電盤30Bにおいて、寸法H1を600mm、寸法H2を1100mm、寸法H3を1600mmとした場合、荷台41の可動範囲の最高位置の寸法Hmaxは1800mmあれば足りる。具体的には、配電盤30Aあるいは配電盤30Bの上部に収納する重量物の機器の高さは一般的には500mm以上となることがほとんどである。よって、一般的な配電盤の機器の収納スペースの高さは底面から2300mmであることを考慮すると、荷台41の最高位置は1800mmあれば足りる。
【0017】
寸法Hminについて考える。図1(B)に示すように、真空遮断器34は、100mmの高さのチャンネルベース32の上に設けられた50mmの高さの盤フレーム33の上に設置される。すなわち、真空遮断器34は、床面から150mmの高さに配置される。そのため、荷台41の可動範囲の最低位置は150mmで十分であり、荷台41を床面まで下げられなくても問題はない。リフター1を配電盤30Aあるいは配電盤30Bの前面に移動させて、荷台41の高さを機器の設置場所に応じた高さに合わせることで、機器の出し入れが可能となる。
【0018】
更に、配電盤30Aあるいは配電盤30Bから搬出された機器は一般的に床に直置きされることはなく、フォークリフト等で移動しやすい様にパレット等の上に置かれて保管されることが多い。パレットの高さは、材質等に依存するが約150mm(例えばJIS Z 0601:2001によれば144mm)である。このように、荷台41の最低位置の寸法Hminは、約150mmあればパレットへの移動に際しても問題ない。
【0019】
従って、一例として、寸法Hminは約150mmであり、寸法Hmaxは約1800mmである。すなわち、荷台41の可動範囲は、約150mm~約1800mmである。以下、リフター1の構成例の詳細についての説明を行う。
【0020】
1-2.リフターの構成例
図2は、実施の形態に係るリフター1の構成例を示す説明図である。具体的には、図2(A)に示すように、リフター1は、フレーム部と、マスト機構部と、昇降部とで構成されている。フレーム部は、脚フレーム2を含んでいる。脚フレーム2には、床面を移動可能な車輪が取り付けられている。車輪は、複数の前輪21と、複数の後輪22とを含んでいる。
【0021】
マスト機構部は、第1マスト3と、第2マスト6とを備えている。第1マスト3は、床面に対して垂直に脚フレーム2に固定して取り付けられている。すなわち、第1マスト3は、床面に対して垂直に脚フレーム2に立てた状態で固定されている。第1マスト3は、マスト固定部の一例である。第2マスト6は、第1マスト3に取り付けられ、鉛直上下方向に可動する。これにより、リフター1は、高さの伸縮が可能な機構を有することとなる。第2マスト6は、マスト可動部の一例である。尚、第1マスト3と第2マスト6のそれぞれの高さは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0022】
昇降部は、昇降体4と、昇降装置5とを備えている。昇降体4は、荷台41と、ブラケット42と、固定板43とを含んでいる。昇降装置5は、第1昇降機91と、第2昇降機92とを含んでいる。荷台41は、上述したように、機器を搭載可能な搭載面を有している。ブラケット42は、荷台41の幅方向の両側を支持する部品である。つまり、一対のブラケット42により荷台41の幅方向の両側が支持される。固定板43は、一方が第1昇降機91に固定して取り付けられ、他方が荷台41及びブラケット42に固定して取り付けられている。第1昇降機91が第2マスト6に沿って鉛直上下方向に可動することで、荷台41が昇降される。つまり、昇降体4は、第2マスト6に沿って昇降するように構成されている。
【0023】
第1昇降機91は、第2マスト6に搭載され、第2マスト6に沿って鉛直上下方向に可動する。第1昇降機91には、複数の第1ガイドローラ51が設けられている。第1ガイドローラ51は、例えば、第2マスト6に備えられたレール(不図示)に取り付けられ、第2マスト6に沿って鉛直上下方向にガイドする部品である。
【0024】
第2昇降機92は、第1マスト3に搭載され、第1マスト3に沿って鉛直上下方向に可動する。第2昇降機92には、複数の第2ガイドローラ52が設けられている。第2ガイドローラ52は、例えば、第1マスト3に備えられたレール(不図示)に取り付けられ、第1マスト3に沿って鉛直上下方向にガイドする部品である。第2昇降機92は、第2マスト6に固定して取り付けられている。第2昇降機92が第1マスト3に沿って鉛直上下方向に可動することで、第2マスト6が昇降される。つまり、第2マスト6は、第1マスト3に沿って昇降するように構成されている。
【0025】
昇降装置5は、更に、巻き取りローラ7と、ハンドル8と、ワイヤーロープ9とを含んで構成されている。巻き取りローラ7は、ハンドル8に固定して取り付けられ、ハンドル8が回されることで連動して回転するローラである。また、巻き取りローラ7は、ハンドル8が回されることで、ワイヤーロープ9の巻き取り又はワイヤーロープ9の巻き出しを行う。巻き取りローラ7は、第2昇降機92や第2マスト6の昇降の妨げとならない配置(例えば反対側)で且つ第1マスト3に取り付けられている。
【0026】
ワイヤーロープ9は、一端が巻き取りローラ7に固定して取り付けられており、他端が第1昇降機91の上部に固定して取り付けられている。なお、ワイヤーロープ9の巻き取りや巻き出しに影響を与えない場合、ワイヤーロープ9の他端の固定部は第1昇降機91の上部に限定されない。ワイヤーロープ9の他端の固定部は、例えば、第1昇降機91の中央部や下部であってもよい。ワイヤーロープ9の他端の固定部が第1昇降機91の下部に近いほど荷台41の搭載面の最高位置の寸法Hmaxを高くすることができる。巻き取りローラ7と第1昇降機91との間のワイヤーロープ9は、第1プーリー71と、第2プーリー72と、第3プーリー73とにそれぞれ掛けられている。
【0027】
第1プーリー71は、第1マスト3の外側上部の巻き取りローラ7側に固定して取り付けられ、ワイヤーロープ9の流動に伴って受動的に回転する滑車である。第2プーリー72は、第2昇降機92の内側上部に固定して取り付けられ、ワイヤーロープ9の流動に伴って受動的に回転する動滑車である。第3プーリー73は、第1マスト3の内側上部に固定して取り付けられ、ワイヤーロープ9の流動に伴って受動的に回転する滑車である。
【0028】
昇降装置5は、ハンドル8が回されることで、第1プーリー71、第2プーリー72、及び第3プーリー73に掛けられたワイヤーロープ9の巻き取り又は巻き出しを行う。昇降装置5によりワイヤーロープ9の巻き取り又は巻き出しが行われた場合、少なくとも第1昇降機91が第1ガイドローラ51にガイドされて第2マスト6に沿って鉛直上下方向に可動することで、荷台41が昇降される。
【0029】
具体的には、図2(A)に示すように、荷台41の高さが最低位置の場合、ワイヤーロープ9が巻き取られていない状態、すなわち、ワイヤーロープ9が最も巻き出された状態であり、第1昇降機91の高さは第2マスト6の下限に位置し、第2昇降機92の高さも第1マスト3の下限に位置する。
【0030】
図2(B)には、昇降装置5によりワイヤーロープ9が巻き取られ、荷台41の高さが所定の高さとなる場合の例が示されている。この場合、第1昇降機91は第1ガイドローラ51にガイドされて第2マスト6に沿って鉛直上方向に可動する。可動後の第1昇降機91の高さは第2マスト6の上限に位置することができる。例えば、第2マスト6の上部に第1ストッパ(不図示)が設けられ、第1昇降機91が第2マスト6に対する相対的上限(すなわち、第1昇降機91が鉛直上方向に可動する高さ制限)が物理的に定められている。相対的上限は第1ガイドローラ51が第2マスト6のレールから逸脱する位置よりも低い。従って、第1ストッパは第1ガイドローラ51が第2マスト6のレールから逸脱しないように設けられる。この場合、図2(B)に示すように、第2昇降機92の高さは第1マスト3の下限に位置した状態を維持する。
【0031】
図2(C)には、昇降装置5によりワイヤーロープ9が更に巻き取られ、荷台41の高さが最高位置となる場合の例が示されている。この場合、第1昇降機91の高さが第2マスト6の上限に位置した状態を維持しつつ、第2昇降機92は第2ガイドローラ52にガイドされて第1マスト3に沿って鉛直上方向に可動する。可動後の第2昇降機92の高さは第1マスト3の上限に位置する。この場合、第1昇降機91の高さは第2マスト6の上限に位置した状態を維持する。
【0032】
尚、第1昇降機91の高さが第2マスト6の上限に位置する場合、第1昇降機91が第3プーリー73に接触しないように、第1ストッパ(不図示)が設けられている。第1ストッパは、第3プーリー73と兼用してもよい。また、第2昇降機92の高さが第1マスト3の上限に位置する場合、第2ガイドローラ52が第1マスト3の上限の位置から逸脱しないように、第1マスト3の上限の位置には、例えば、第2ストッパ(不図示)が設けられていてもよい。第1ストッパおよび第2ストッパは、例えば、衝撃吸収材である。衝撃吸収材としては、ゴム製のストッパが挙げられる。また、第1ストッパおよび第2ストッパは、例えば、それぞれのマストのレール内に設けられた突起であってもよい。
【0033】
1-3.効果
実施の形態1に係るリフター1によれば、機器を配電盤へ搬入または機器を配電盤から搬出する高さに応じて、少なくとも第1昇降機91を可動させることで荷台41が昇降される。これにより、配電盤との機器の出し入れに十分な可動範囲(約150mm~約1800mm)を確保することができる。更に、実施の形態に係るリフター1では、マストを縮めた状態のリフター1の高さは、第1マスト3及び第2マスト6のいずれか一方の高さと等しくなる。これにより、全高の低い低床リフターを実現することが可能となる。このような全高を抑えた低床リフターは、変電所倉庫で天候の影響を受けずに保管することができるため、錆が発生し難く、かつ、変電所の美観を損ねない長所がある。
【0034】
1-4.変形例
図3は、実施の形態1に係るリフター1における昇降体4の変形例を示す説明図である。図3(A)に示すように、昇降体4に含まれる一対のブラケット42は、一定の断面形状をなす形鋼の鋼材である。形鋼は、図3(B)に示すように、H形鋼あるいはI形鋼あるいはL形鋼であってもよいし、図3(C)に示すように、T形鋼であってもよい。ブラケット42は、例えば、溶接等により固定板43に固定されている。これにより、ブラケット42を荷台41の長手方向に沿うように取り付けることができる。従って、図5に示すような荷台41よりも高い位置に設けられる上方支持部材65が不要になることから、固定板43の高さを低くすることができる。更に、荷台41は軽量且つ高強度の形鋼で支持されるため、荷台41は安定した状態で保持される。ゆえに、少なくとも上述した効果と同様の効果が得られる。
【0035】
また、昇降体4に含まれる荷台41には、荷台41に搭載された機器の落下を防止するための落下防止材45が設けられていてもよい。落下防止材45は、例えば、少なくとも荷台41の幅方向の両端側の鉛直上方向に取り付けられる。これにより、荷台41に搭載された機器の落下を防止することが可能となる。尚、落下防止材45を側面から見た形状は、図3(A)に示すように三角形であるが、これに限定されるものではなく、四角形でもよい。また、落下防止材45は、荷台41の先端(図3(A)において荷台41の右端)までカバーする形状であってもよい。
【0036】
2.実施の形態2
図4は、実施の形態2に係るリフター1における昇降体4の構成例を示す説明図である。実施の形態2に係るリフター1における昇降体4では、機器を配電盤へ搬入または機器を配電盤から搬出する高さに応じて、荷台41の搭載面が反転される。
【0037】
具体的には、図4(A)に示すように、固定板43は、第1固定板43Aと第2固定板43Bとを含んでいる。第1固定板43Aは、第1昇降機91に固定して取り付けられている。第2固定板43Bは、第1固定板43Aに設けられた回転可能な回転軸48に取り付けられている。また、第2固定板43Bは、複数の固定部品80を用いて第1固定板43Aに固定して取り付けられている。更に、第2固定板43Bには、荷台41と、ブラケット42と、落下防止材45とが固定して取り付けられており、荷台41とブラケット42との間は固定して取り付けられている。これらを固定する方法としては、溶接、接着、ネジ等が例示される。これにより、固定部品80を取り外した状態では、第2固定板43Bを時計回り又は反時計回りに回転させることができ、固定部品80を取り付けた状態では、第2固定板43Bを回転させないように固定することができる。尚、図4(B)に示すように、第1固定板43A及び第2固定板43Bのそれぞれには、複数の固定部品80を取り付けるための複数の取付穴49が設けられている。複数の取付穴49は、回転軸48を中心とする同心円上に配置される。
【0038】
図4(B)に示すように、荷台41は、第1搭載面41Aと、第2搭載面41Bとを含んでいる。第2搭載面41Bは、第1搭載面41Aと反対側且つブラケット42が取り付けられている面である。ブラケット42は、第2搭載面41Bの左右両側に配置され、第2搭載面41Bを上面としたときに搭載物の落下防止の役割も果たすことができるように構成される。これにより、第1搭載面41Aと第2搭載面41Bのいずれの面も、その面を上面とすることで機器を搭載することが可能となる。回転軸48の中心は第2固定板43Bの幅方向(図4(B)に示す水平方向)の中心かつ第1搭載面41A側に配置される。ここで図4(B)において、第1搭載面41A側の第2固定板43Bの上部端面から回転軸48の中心までの寸法を寸法L1、回転軸48の中心から第1搭載面41A側までの寸法を寸法L2、荷台41の厚みを寸法L3、第2搭載面41Bから第2固定板43Bの下部端面までの寸法を寸法L4とした場合、寸法L1>寸法L4となるように、回転軸48の中心が配置される。
【0039】
ここで、機器を搭載する荷台41の上面について考える。例えば、機器を配電盤へ搬入または機器を配電盤から搬出する高さが第1高さ未満の場合、図4(A)及び図4(B)に示すように、荷台41の上面となる面を第1搭載面41Aにする。すなわち、第1搭載面41Aを用いて配電盤から機器の搬入または搬出を行う。機器を配電盤へ搬入または機器を配電盤から搬出する高さが第1高さよりも高い第2高さ以上の場合、図4(C)に示すように、荷台41の上面となる面を第2搭載面41Bにする。すなわち、第2搭載面41Bを用いて配電盤から機器の搬入または搬出を行う。また、搬入または搬出する機器の高さが第1高さと第2高さの中間の場合は、どちらの搭載面を使用してもよい。
【0040】
例えば、荷台41の上面の初期状態が第1搭載面41Aであり、荷台41の上面となる面を第2搭載面41Bに切り替える場合、昇降体4は、複数の固定部品80が取り外された状態で荷台41を反転させて上面となる面を第2搭載面41Bに切り替える。その後、昇降体4は、複数の固定部品80のそれぞれを図4(D)に示す複数の取付穴49のそれぞれに取り付ける。
【0041】
このように、実施の形態2に係るリフター1における昇降体4は、荷台41を反転させて上面となる面を第1搭載面41Aと第2搭載面41Bとの間で切り替える反転機構を有している。これにより、第1昇降機91の高さが所定の位置において、第2搭載面41Bを用いて配電盤から機器の搬入または搬出を行う場合、第1搭載面41Aを用いて配電盤から機器の搬入または搬出を行う場合と比べて、搭載面の高さを、2×寸法L2+寸法L3高くすることができる。すなわち、荷台41の可動範囲の最高位置の寸法Hmaxが実施の形態1に比べて大きくなる。
【0042】
更に、落下防止材45の強度を大きくすることにより、図5に示す従来のハンドリフターにおける上方支持部材65と同等の機能を有することになる。従って、ブラケット42の強度を下げて小型化することができる。これにより、寸法L4をさらに短くすることができ、荷台41の可動範囲の最低位置の寸法Hminは実施の形態1に比べて小さくすることができる。従って、荷台41の可動範囲を広くすることができる。ゆえに、第1マスト3の高さの上限まで荷台41を上昇させることや第1マスト3の高さの下限まで荷台41を下降させることができる。従って、少なくとも上述した実施の形態1と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0043】
1…リフター, 2…脚フレーム, 3…第1マスト, 4…昇降体, 5…昇降装置, 6…第2マスト, 8…ハンドル, 9…ワイヤーロープ, 21…前輪, 22…後輪, 41…荷台, 41A…第1搭載面, 41B…第2搭載面, 42…ブラケット, 43…固定板, 43A…第1固定板, 43B…第2固定板, 45…落下防止材, 48…回転軸, 49…取付穴, 51…第1ガイドローラ, 52…第2ガイドローラ, 60…ハンドリフター, 61…昇降装置, 62…マスト, 63…昇降体, 64…荷台, 65…上方支持部材, 71…第1プーリー, 72…第2プーリー, 73…第3プーリー, 80…固定部品, 91…第1昇降機, 92…第2昇降機
図1
図2
図3
図4
図5