(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161773
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】端子ユニット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20241113BHJP
H01R 13/405 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H01R13/52 301E
H01R13/52 301H
H01R13/405
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076792
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】蔦川 友佑
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼本 光希
(72)【発明者】
【氏名】中野 克哉
(72)【発明者】
【氏名】久保 考広
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE06
5E087FF02
5E087GG02
5E087LL03
5E087LL04
5E087LL13
5E087MM09
5E087MM12
5E087QQ04
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】バスバの段差部が形成された部位でシール部材を保持した場合であっても、シール部材が段差部のエッジに干渉してしまうことを抑制することが可能な端子ユニットを提供する。
【解決手段】端子ユニット20は、ハウジング40とバスバ50とシール部材70とを備えている。ここで、バスバ50の側面50bに段差部531が形成されており、この段差部531に保持部5311が形成されている。また、段差部531における保持部5311よりも他端側にエッジ531aが形成されており、ハウジング40におけるエッジ531aよりも他端側に、バスバ50を保持するバスバ保持部423が形成されている。そして、バスバ保持部423は、エッジ531aよりも他端側に部分的に突出し、シール部材70の他端側への移動を抑制するようにシール部材70を押さえることが可能なバスバ押さえ部4231を有している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側端子ユニットが備える相手側ハウジングに形成された相手側嵌合部に一部を嵌合させた状態で、前記相手側ハウジングに取り付けることが可能な端子ユニットであって、
前記相手側ハウジングに取り付けられるハウジングと、前記ハウジングに保持されるバスバと、を有するバスバ付ハウジングと、
前記バスバに一端から挿入保持されて、前記バスバと前記ハウジングとの間をシールするシール部材と、
を備え、
前記バスバ付ハウジングがインサート成形品であり、
前記バスバの側面に段差部が形成されており、
前記バスバの前記段差部が形成された部位に前記シール部材を保持する保持部が形成されており、
前記段差部における前記保持部よりも他端側にエッジが形成されており、
前記ハウジングにおける前記エッジよりも他端側に、前記バスバを保持するバスバ保持部が形成されており、
前記バスバ保持部は、前記エッジよりも他端側に部分的に突出し、前記シール部材の他端側への移動を抑制するように前記シール部材を抑えることが可能なバスバ押さえ部を有している、
端子ユニット。
【請求項2】
前記エッジから外れた位置に前記バスバ押さえ部が形成されている、
請求項1に記載の端子ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の端子ユニットとしては、特許文献1に開示されたものが提案されている。この特許文献1には、自動車に搭載される機器ボックスの壁部に取り付けられるハウジングと、ハウジングに保持されるバスバと、を備える端子台(端子ユニット)が開示されている。
【0003】
また、特許文献1に開示の端子台は、バスバとハウジングとの間をシールするシール部材としてのOリングを備えており、このOリングをバスバに取り付けることで、バスバとハウジングとの間がこのOリングによってシールされるようにしている。この特許文献1では、バスバの側部に段差部が設けられており、この段差部が形成された部位でOリングがバスバに保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、バスバの段差部が形成された部位でシール部材を保持する端子ユニットにおいては、シール部材が段差部のエッジに干渉してしまうことを抑制できるようにするのが好ましい。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、バスバの段差部が形成された部位でシール部材を保持した場合であっても、シール部材が段差部のエッジに干渉してしまうことを抑制することが可能な端子ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る端子ユニットは、相手側端子ユニットが備える相手側ハウジングに形成された相手側嵌合部に一部を嵌合させた状態で、前記相手側ハウジングに取り付けることが可能な端子ユニットであって、前記相手側ハウジングに取り付けられるハウジングと、前記ハウジングに保持されるバスバと、を有するバスバ付ハウジングと、前記バスバに一端から挿入保持されて、前記バスバと前記ハウジングとの間をシールするシール部材と、を備え、前記バスバ付ハウジングがインサート成形品であり、前記バスバの側面に段差部が形成されており、前記バスバの前記段差部が形成された部位に前記シール部材を保持する保持部が形成されており、前記段差部における前記保持部よりも他端側にエッジが形成されており、前記ハウジングにおける前記エッジよりも他端側に、前記バスバを保持するバスバ保持部が形成されており、前記バスバ保持部は、前記エッジよりも他端側に部分的に突出し、前記シール部材の他端側への移動を抑制するように前記シール部材を抑えることが可能なバスバ押さえ部を有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バスバの段差部が形成された部位でシール部材を保持した場合であっても、シール部材が段差部のエッジに干渉してしまうことを抑制することが可能な端子ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る端子ユニットの一例と相手側端子ユニットの一例を示す斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る端子ユニットの一例を示す分解斜視図である。
【
図3】一実施形態に係る端子ユニットが備えるバスバの一例を示す平面図である。
【
図4】一実施形態に係る端子ユニットの一例を示す斜視図である。
【
図5】一実施形態に係るバスバ付ハウジングの一例を示す水平断面図である。
【
図6】一実施形態に係る端子ユニットの一例を示す図であって、第2のシール部材をバスバに取り付けている途中の状態を示す鉛直断面図である。
【
図7】一実施形態に係る端子ユニットの一例を示す図であって、第2のシール部材をバスバに取り付けた状態を示す水平断面図である。
【
図8】一実施形態に係る端子ユニットの一例を示す図であって、第2のシール部材をバスバに取り付けた状態を示す鉛直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係る端子ユニットについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0011】
以下では、端子ユニットとして、機器本体が収容される機器ボックスの壁部に取り付けられる端子台を例示する。この端子台は、車載機器の一部を構成しており、ワイヤハーネス等の外部接続端子を機器本体に電気的に接続する際に用いられるものである。
【0012】
本実施形態に係る端子台(端子ユニット)20は、機器ボックス(相手側端子ユニット)10が備える壁部(相手側ハウジング)11に取り付けることができるように構成されている。具体的には、端子台(端子ユニット)20は、端子台(端子ユニット)20の一部を壁部(相手側ハウジング)11に形成された挿通孔(相手側嵌合部)11aに嵌合させた状態で、壁部(相手側ハウジング)11に取り付けられるように構成されている。
【0013】
本実施形態では、機器ボックス10は、
図1に示すように、端子台20を固定する壁部11と、端子台20を組み付けるための挿通孔11aと、端子台20が備える位置決めピン412が挿入される位置決め凹部112と、を備えている。
【0014】
一方、端子台20は、壁部11に取り付けられる樹脂製のハウジング40と、ハウジング40に保持されるバスバ50と、ハウジング40に取り付けられて、ハウジング40と壁部11との間をシールする第1のOリング60と、を備えている。
【0015】
そして、ハウジング40にバスバ50を保持することでバスバ付ハウジング30が形成されるようにしている。本実施形態では、ハウジング40とバスバ50とをインサート成形することで、バスバ付ハウジング30を形成している。このように、本実施形態では、バスバ付ハウジング30は、インサート成形品となっている。
【0016】
また、端子台20は、
図2に示すように、楕円形のドーナツ形状を有する第1のOリング60と、楕円形のドーナツ形状を有し、第1のOリング60よりも小さく設定した第2のOリング(シール部材)70と、を備えている。ここで、第1のOリング60及び第2のOリング70は、ゴムなどの弾性材料を用いて形成されている。そして、第1のOリング60は、ハウジング40に取り付けられており、ハウジング40を壁部11に取り付けた際に、ハウジング40と壁部11との間に形成される隙間をシールするシール部材としての機能を有している。一方、第2のOリング70は、バスバ50に取り付けられており、ハウジング40とバスバ50との間に形成される空間S1をシールするシール部材としての機能を有している。
【0017】
また、端子台20は、バスバ50の先端(一端)に取り付けられる樹脂製のホルダ80を備えており、このホルダ80によって、第2のOリング70のバスバ50からの抜けが抑制されるようにしている。
【0018】
ハウジング40は、壁部11に固定されるハウジング本体41と、ハウジング本体41に一体成形されて挿通孔11a内に挿通嵌合されるバスバ収納部42と、を備えている。
【0019】
また、ハウジング本体41の一端側(壁部11と対向する側)には、第1のOリング60が収容されるシール部材収容溝411と、バスバ50の先端側(壁部11側)に向けて突出する一対の位置決めピン412と、が形成されている。さらに、ハウジング本体41には、端子台20を機器ボックス10に取り付けるためのボルトが挿入固定されるボルト固定孔413が形成されている。このように、一対の位置決めピン412を設けるようにすれば、ハウジング本体41を壁部11に取り付ける際に、ハウジング本体41が回転してしまうことを抑制することができるようになる。
【0020】
バスバ収納部42は、ハウジング本体41におけるシール部材収容溝411の内側からバスバ50の先端側(壁部11側)に向けて突出するように形成されており、略筒状をしている。そして、バスバ付ハウジング30を形成した際に、バスバ50の一部がこのバスバ収納部42内に収容されるようにしている。本実施形態では、バスバ50の一端側(先端側)及び他端側(根元側)を露出させた状態で、バスバ50の中央部がバスバ収納部42内に収容されるようにしている。そして、このようなバスバ付ハウジング30を形成し、バスバ収納部42を先端側から挿通孔11aに挿通嵌合させることで、バスバ50の一端側が機器ボックス10内に挿入されるようにしている。こうすることで、機器ボックス10内の図示省略した接続部材に電気的に接続させることができるようにしている。
【0021】
なお、バスバ収納部42には、ホルダ80の係止突起82が係止される係止孔421と、ホルダ80の係合突起83が係合される係合凹部422とが形成されている。そして、係止突起82を係止孔421に係止しつつ、係合突起83を係合凹部422に係合させることで、ホルダ80がバスバ収納部42に取り付けられるようにしている。
【0022】
バスバ50は、金属等の導電性を有する材料を用いて形成されており、略板状をしている。本実施形態では、バスバ50は、
図3に示すように、一端側(先端側)に形成されて、機器ボックス10内の図示省略した接続部材に電気的に接続することが可能な第1の端子接続部51を備えている。また、第1の端子接続部51には、バスバ50の板厚方向に貫通する挿通孔51aが形成されている。そして、図示せぬボルトをこの挿通孔51aに挿通することで、第1の端子接続部51と機器ボックス10内の接続部材とが電気的に接続されるようにしている。
【0023】
また、バスバ50は、他端側(根元側)に形成されて、外部接続端子に電気的に接続することが可能な第2の端子接続部52を備えており、この第2の端子接続部52には、バスバ50の板厚方向に貫通する挿通孔52aが形成されている。そして、図示せぬボルトをこの挿通孔52aに挿通することで、第2の端子接続部52と外部接続端子とが電気的に接続されるようにしている。
【0024】
さらに、本実施形態では、バスバ50は、第1の端子接続部51と第2の端子接続部52とを連結する連結部53を備えており、バスバ付ハウジング30を形成した際に、この連結部53がバスバ収納部42内に収容されるようにしている。
【0025】
この連結部53の幅方向の両側の側面50bには、幅方向の内側に凹むように段差部531が形成されており、バスバ50の段差部531が形成された部位に第2のOリング(シール部材)70を保持する保持部5311が形成されている。そして、バスバ付ハウジング30を形成しつつ、第2のOリング(シール部材)70を保持部5311で保持することで、バスバ収納部42とバスバ50との間に形成される空間S1が第2のOリング(シール部材)70によってシールされるようにしている。
【0026】
また、段差部531における保持部5311よりも根元側(他端側)には、エッジ531aが形成されている。そして、ハウジング40とバスバ50とをインサート成形した際に、ハウジング40におけるエッジ531aよりも根元側(他端側)に、バスバ50を保持するバスバ保持部423が形成されるようにしている。具体的には、バスバ収納部42におけるエッジ531aよりも根元側(他端側)を厚肉に成形し、バスバ収納部42の内面をバスバの外面に接触させることで、エッジ531aよりも根元側(他端側)にバスバ保持部423が形成されるようにしている。
【0027】
ここで、本実施形態では、バスバ50の段差部531が形成された部位で第2のOリング(シール部材)70を保持した場合であっても、第2のOリング(シール部材)70が段差部531のエッジ531aに干渉してしまうことを抑制できるようにしている。
【0028】
具体的には、インサート成形により形成されたハウジング40のバスバ保持部423を、部分的にエッジ531aよりも先端側(一端側)に突出させるようにしている。本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、バスバ保持部423が、エッジ531aよりも根元側(他端側)に部分的に突出し、第2のOリング(シール部材)70を抑えることが可能なバスバ押さえ部4231を有するようにしている。そして、
図7及び
図8に示すように、バスバ50の保持部5311に第2のOリング(シール部材)70を取り付けた際に、第2のOリング(シール部材)70の根元側への移動が、このバスバ押さえ部4231によって抑制されるようにしている。
【0029】
こうすることで、振動や水圧等により第2のOリング(シール部材)70が動いたとしても、第2のOリング(シール部材)70のエッジ531aへの干渉を抑制することができるようにしている。こうすれば、第2のOリング(シール部材)70が破損してしまうことを、より確実に抑制することができるようになる。
【0030】
このように、本実施形態で示した端子ユニット20とすることで、バスバ50の段差部531が形成された部位で第2のOリング(シール部材)70を保持した場合であっても、段差部531のエッジ531aへの干渉を抑制することができるようにしている。そして、第2のOリング(シール部材)70の破損を抑制することができるようにし、第2のOリング(シール部材)70によるシール性能が低下してしまうことを、より確実に抑制することができるようにしている。
【0031】
このとき、エッジ531aから外れた位置にバスバ押さえ部4231が形成されるようにしている。すなわち、エッジ531aがバスバ押さえ部4231によって覆われない(エッジ531aが空間S1に露出する)ようにしている。本実施形態では、幅方向の両側に形成された一対のエッジ531aの間の上面50a及び下面50cに、エッジ531aから外れた状態で、極力幅広となるように、バスバ押さえ部4231を形成している。こうすることで、より確実に、段差部531のエッジ531aへの干渉を抑制できるようにしている。
【0032】
このように、エッジ531aから外れた位置にバスバ押さえ部4231が形成されるようにすれば、より簡素な構成をした金型を用いたインサート成形によってバスバ押さえ部4231を形成することができるようになる。すなわち、より簡素な構成をした金型を用いたインサート成形によって、第2のOリング(シール部材)70のエッジ531aへの干渉を抑制することが可能なバスバ付ハウジング30を得ることができるようになる。
【0033】
また、本実施形態では、ハウジング本体41に第1のOリング60を保持することが可能な係止部4122を設け、第1のOリング60に係止部4122に係止される被係止部62を設けるようにしている。こうすることで、第1のOリング60が、ハウジング本体41から外れてしまうことを抑制できるようにしている。
【0034】
具体的には、第1のOリング60が、楕円形のドーナツ形状を有する本体部61と、本体部61に連設されて係止部4122に係止される被係止部62と、を備えるようにしている。そして、ハウジング40を壁部11に取り付けた際に、本体部61が壁部11の外側(端子台20側)における挿通孔11aの周囲111に圧縮された状態で当接するようにしている。このとき、挿通孔11aの全周を囲うようにした状態で本体部61を壁部11に当接させるようにしている。こうすることで、ハウジング本体41と壁部11との間の隙間から挿通孔11a内に水等の液体が浸入しないようにしている。
【0035】
このように、本実施形態では、ハウジング本体41と壁部11との間が本体部61によってシールされるようにしている。
【0036】
さらに、本実施形態では、位置決めピン412の根元側に係止部4122が形成されるようにしている。すなわち、位置決めピン412が、先端側に形成された位置決め部4121と、位置決め部4121の根元側に形成された係止部4122と、を備えるようにしている。
【0037】
このように、本実施形態では、位置決めピン412としての機能を有する位置決め部4121と、第1のOリング60の被係止部62が係止される係止部4122とが、同軸上に位置するようにしている。こうすることで、ハウジング本体41における位置決めピン412が形成された部位とは異なる場所に、第1のOリング60の被係止部62が係止される係止部を設ける必要がなくなるようにしている。そして、ハウジング本体41が大型化してしまうことを抑制できるようにしている。
【0038】
このように、本実施形態では、位置決め部4121と係止部4122とを同軸上に位置させることで、第1のOリング60のハウジング本体41からの脱落を抑制しつつ、ハウジング本体41の小型化を図ることができるようにしている。
【0039】
さらに、本実施形態では、一対の位置決めピン412のそれぞれの根元側に係止部4122を形成している。そして、第1のOリング60の本体部61に連設された一対の被係止部62が、各位置決めピン412に形成された係止部4122に係止されるようにしている。こうすることで、一対の被係止部62によって、第1のOリング60がハウジング本体41に取り付けられるようにし、第1のOリング60がハウジング本体41に対して回転してしまうことを抑制できるようにしている。
【0040】
また、本実施形態では、一対の係止部4122が位置決め部4121よりも大径の円柱状をしており、一対の被係止部62が略円環状の係止孔621となっている。そして、自然状態における係止孔621の内径が、係止部4122の外径よりも小径となるようにしている。こうすることで、係止孔621を拡径させた状態で被係止部62が係止部4122に係止されるようにしている。こうすれば、被係止部62の弾性復元力によって被係止部62を係止部4122に係止させることができるようになるため、係止孔621を係止部4122に、より強固に係止させることができるようになる。その結果、第1のOリング60がハウジング本体41から外れてしまうことを、より確実に抑制することができるようになる。
【0041】
なお、本実施形態では、一対の位置決め部4121のうちの一方の位置決め部4121の形状が楕円柱状をしており、他方の位置決め部4121の形状が円柱状をしている。このように、一対の位置決め部4121の形状を異ならせるようにすることで、位置決め部4121の位置決め凹部112への誤挿入が防止されるようにしている。
【0042】
また、本実施形態では、一対の係止部4122及び一対の被係止部62は、左右で高さが異なるように(左右非対称の形状となるように)形成されている。
【0043】
そして、一対の係止部4122及び一対の被係止部62が、ハウジング40及び第1のOリング60を位置決めピン412が突出する方向を軸にして180度回転させた際に同じ位置となるようにしている。すなわち、ハウジング40を位置決めピン412が突出する方向を軸にして180度回転させた際に、回転前の一方の係止部4122の位置に、他方の係止部4122が位置するようにしている。そして、回転前の他方の係止部4122の位置に、一方の係止部4122が位置するようにしている。同様に、第1のOリング(シール部材)60を位置決めピン412が突出する方向を軸にして180度回転させた際に、回転前の一方の被係止部62の位置に、他方の被係止部62が位置するようにしている。そして、回転前の他方の被係止部62の位置に、一方の被係止部62が位置するようにしている。
【0044】
こうすることで、左右非対称となるように一対の係止部4122及び一対の被係止部62を形成した場合であっても、左右を反転させた2つの向きで第1のOリング60をハウジング本体41に取り付けることができるようにしている。こうすれば、第1のOリング60のハウジング本体41への取り付けを、より容易に行うことができるようになる。
【0045】
また、ホルダ80は、バスバ収納部42の開口を塞ぐように取り付けられるホルダ本体81と、係止孔421に係止される係止突起82と、係合凹部422に係合される係合突起83と、を備えている。また、ホルダ本体81には、バスバ50の先端部が挿通される挿通孔811が形成されており、この挿通孔811にバスバ50の先端部を挿通させた状態で、ホルダ本体81がバスバ収納部42の先端に取り付けられるようになっている。
【0046】
[作用・効果]
以下では、上記実施形態で示した端子ユニットの特徴的構成及びそれにより得られる効果を説明する。
【0047】
上記実施形態で示した端子ユニット20は、機器ボックス(相手側端子ユニット)10が備える壁部(相手側ハウジング)11に取り付けることが可能なものである。このとき、端子台(端子ユニット)20は、端子台(端子ユニット)20の一部を壁部(相手側ハウジング)11に形成された挿通孔(相手側嵌合部)11aに嵌合させた状態で、壁部(相手側ハウジング)11に取り付けられるように構成されている。
【0048】
この端子台(端子ユニット)20は、壁部(相手側ハウジング)11に取り付けられるハウジング40と、ハウジング40に保持されるバスバ50と、を有するバスバ付ハウジング30を備えており、このバスバ付ハウジング30がインサート成形品となっている。
【0049】
また、端子台(端子ユニット)20は、バスバ50に先端(一端)から挿入保持されて、バスバ50とハウジング40との間をシールする第2のOリング(シール部材)70を備えている。
【0050】
ここで、バスバ50の側面50bに段差部531が形成されており、バスバ50の段差部531が形成された部位に第2のOリング(シール部材)70を保持する保持部5311が形成されている。また、段差部531における保持部5311よりも根元側(他端側)にエッジ531aが形成されており、ハウジング40におけるエッジ531aよりも根元側(他端側)に、バスバ50を保持するバスバ保持部423が形成されている。
【0051】
そして、バスバ保持部423は、エッジ531aよりも根元側(他端側)に部分的に突出し、第2のOリング(シール部材)70の根元側への移動を抑制するように第2のOリング(シール部材)70を抑えることが可能なバスバ押さえ部4231を有している。
【0052】
このように、上記実施形態で示した端子ユニット20では、インサート成形により形成されたハウジング40のバスバ保持部423を、部分的にエッジ531aよりも先端側(一端側)に突出させるようにしている。こうすれば、振動や水圧等により第2のOリング(シール部材)70が動いたとしても、第2のOリング(シール部材)70のエッジ531aへの干渉を抑制することができるようになる。その結果、第2のOリング(シール部材)70が破損してしまうことを、より確実に抑制することが可能になる。
【0053】
このように、上記実施形態で示した端子ユニット20とすれば、バスバ50の段差部531が形成された部位で第2のOリング(シール部材)70を保持した場合であっても、段差部531のエッジ531aへの干渉を抑制することが可能になる。その結果、第2のOリング(シール部材)70の破損を抑制することができるようになる。そして、第2のOリング(シール部材)70の破損を抑制できるようにすれば、第2のOリング(シール部材)70によるシール性能が低下してしまうことを、より確実に抑制することができるようになる。
【0054】
また、エッジ531aから外れた位置にバスバ押さえ部4231が形成されていてもよい。
【0055】
こうすれば、より簡素な構成をした金型を用いたインサート成形によって、第2のOリング(シール部材)70のエッジ531aへの干渉を抑制することが可能なバスバ付ハウジング30を得ることができるようになる。
【0056】
[その他]
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0057】
例えば、上記実施形態では、端子ユニットとして端子台20を例示したが、相手側コネクタの嵌合部に一部を嵌合させた状態で相手側コネクタのハウジングに取り付けられるコネクタに本発明を適用することも可能である。
【0058】
また、上記実施形態では、幅方向の両側に形成された一対のエッジ531aの間に、エッジ531aから外れた状態で、極力幅広となるようにバスバ押さえ部4231を形成したものを例示している。しかしながら、バスバ押さえ部4231の形状は、このような形状に限られるものではなく様々な形状とすることが可能である。例えば、バスバ押さえ部4231の突出幅をバスバ50の幅の半分程度とすることが可能である。なお、第2のOリング(シール部材)70のエッジ531aへの干渉を抑制するためには、バスバ押さえ部4231の突出幅をバスバ50の幅の半分以上とするのが好ましい。また、少なくとも先端側が離間した複数本の突起(例えば、中央と両端に形成された3本の突起)となるようにしたバスバ押さえ部4231とし、第2のOリング(シール部材)70を複数個所で押さえるようにすることも可能である。こうすれば、バスバ押さえ部4231の突出幅をバスバ50の幅の半分以下となるようにしつつ、第2のOリング(シール部材)70のエッジ531aへの干渉をより確実に抑制することができるようになる。
【0059】
また、バスバやハウジング、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)を適宜に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 機器ボックス(相手側端子ユニット)
11 壁部(相手側ハウジング)
11a 挿通孔(相手側嵌合部)
20 端子台(端子ユニット)
30 バスバ付ハウジング
40 ハウジング
423 バスバ保持部
4231 押さえ部
50 バスバ
531 段差部
5311 保持部
531a エッジ
70 第2のOリング(シール部材)