(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161781
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】サイドミラー制御装置及びサイドミラー制御装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076804
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【弁理士】
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】マナワドゥ ウダラ
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA05
5H181AA21
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF27
5H181FF32
5H181FF33
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181MC19
(57)【要約】
【課題】車両の側方を通行する移動体が車両のサイドミラーへ接触することを抑制する。
【解決手段】車両のサイドミラーを制御するサイドミラー制御装置であって、車両の左右に設定された側方警戒エリアに対する移動体の進入を検出する移動体検出部と、車両の車速がサイドミラー格納閾値未満の場合に、側方警戒エリアに対する移動体の進入が検出されたとき、当該側方警戒エリアに対応する側のサイドミラーを急速に格納するサイドミラー制御部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のサイドミラーを制御するサイドミラー制御装置であって、
前記車両の左右に設定された側方警戒エリアに対する移動体の進入を検出する移動体検出部と、
前記車両の車速がサイドミラー格納閾値未満の場合に、前記側方警戒エリアに対する前記移動体の進入が検出されたとき、当該側方警戒エリアに対応する側の前記サイドミラーを急速に格納するサイドミラー制御部と、を備える、サイドミラー制御装置。
【請求項2】
前記サイドミラー制御部は、前記側方警戒エリアに対する前記移動体の進入が検出された場合であっても、当該側方警戒エリアに対応する前記車両側方の通行可能スペースの最小幅が第一閾値以上である場合には、前記サイドミラーの格納を行わない、請求項1に記載のサイドミラー制御装置。
【請求項3】
前記サイドミラー制御部は、前記側方警戒エリアに対する前記移動体の進入が検出された場合であっても、当該側方警戒エリアに対応する前記車両側方の通行可能スペースの最小幅から前記移動体の幅を差し引いた値が第二閾値以上である場合には、前記サイドミラーの格納を行わない、請求項1に記載のサイドミラー制御装置。
【請求項4】
前記サイドミラー制御部は、前記側方警戒エリアに対する前記移動体の進入の検出により前記サイドミラーを格納した後、当該側方警戒エリアに対する移動体の進入が一定時間検出されなかった場合に、前記車両のサイドミラーを格納状態から復帰させる、請求項1又は2に記載のサイドミラー制御装置。
【請求項5】
前記サイドミラー制御部は、前記側方警戒エリアに対する前記移動体の進入の検出により前記サイドミラーを格納した後、前記車両側方の環境変化により当該側方警戒エリアに対応する前記車両側方の通行可能スペースの最小幅が前記第一閾値以上となった場合に、前記車両のサイドミラーを格納状態から復帰させる、請求項2に記載のサイドミラー制御装置。
【請求項6】
車両のサイドミラーを制御するサイドミラー制御装置の制御方法であって、
前記車両の左右に設定された側方警戒エリアに対する移動体の進入を検出し、
前記車両の車速がサイドミラー格納閾値未満の場合に、前記側方警戒エリアに対する前記移動体の進入が検出されたとき、当該側方警戒エリアに対応する側の前記サイドミラーを急速に格納する、サイドミラー制御装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドミラー制御装置及びサイドミラー制御装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サイドミラー制御装置に関する技術文献として、特開平11-189097号公報が知られている。この公報には、車両のサイドミラーにセンサを取り付け、障害物がサイドミラーに接触すると判定した場合にサイドミラーを格納する装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、渋滞時などにおいて停止中又は低速で走行中の車両の側方を自転車やバイクが通り抜ける場合がある。路肩に駐車車両が存在する場合など、車両の側方に十分なスペースが無いときには自転車やバイクが車両のサイドミラーに衝突するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、車両のサイドミラーを制御するサイドミラー制御装置であって、車両の左右に設定された側方警戒エリアに対する移動体の進入を検出する移動体検出部と、車両の車速がサイドミラー格納閾値未満の場合に、側方警戒エリアに対する移動体の進入が検出されたとき、当該側方警戒エリアに対応する側のサイドミラーを急速に格納するサイドミラー制御部と、を備える。
【0006】
本発明の一態様に係るサイドミラー制御装置によれば、車両の左右に設定された側方警戒エリアにおいて移動体の進入が検出された場合に、当該側方警戒エリアに対応する側のサイドミラーを急速に格納するので、側方警戒エリアに進入した自転車やバイクなどの移動体のサイドミラーへの接触を抑制することができる。
【0007】
本発明の一態様に係るサイドミラー制御装置において、サイドミラー制御部は、側方警戒エリアに対する移動体の進入が検出された場合であっても、当該側方警戒エリアに対応する車両側方の通行可能スペースの最小幅が第一閾値以上である場合には、サイドミラーの格納を行わなくてもよい。
このサイドミラー制御装置によれば、車両側方の通行可能スペースの最小幅が第一閾値以上である場合には、移動体は車両から離れるように通行することにより車両のサイドミラーとの接触を回避することが容易であるため、サイドミラーの格納を行わないことで必要性の低いサイドミラーの格納を行うことを避けることができる。
【0008】
本発明の一態様に係るサイドミラー制御装置において、サイドミラー制御部は、側方警戒エリアに対する移動体の進入が検出された場合であっても、当該側方警戒エリアに対応する車両側方の通行可能スペースの最小幅から移動体の幅を差し引いた値が第二閾値以上である場合には、サイドミラーの格納を行わなくてもよい。
このサイドミラー制御装置によれば、車両側方の通行可能スペースの最小幅から移動体の幅を差し引いた値が第二閾値以上である場合には、移動体は車両から離れるように通行することにより車両のサイドミラーとの接触を回避することが容易であるため、サイドミラーの格納を行わないことで必要性の低いサイドミラーの格納を行うことを避けることができる。
【0009】
本発明の一態様に係るサイドミラー制御装置において、サイドミラー制御部は、側方警戒エリアに対する移動体の進入の検出によりサイドミラーを格納した後、当該側方警戒エリアにおける移動体の進入が一定時間検出されなかった場合に、車両のサイドミラーを格納状態から復帰させてもよい。
このサイドミラー制御装置によれば、側方警戒エリアに対する移動体の進入が一定時間検出されなかった場合に車両のサイドミラーを格納状態から自動で復帰させるので、手動で復帰させる場合と比べてドライバーの利便性を高めることができる。
【0010】
本発明の一態様に係るサイドミラー制御装置において、側方警戒エリアに対する移動体の進入の検出によりサイドミラーを格納した後、車両側方の環境変化により当該側方警戒エリアに対応する車両側方の通行可能スペースの最小幅が第一閾値以上となった場合に、車両のサイドミラーを格納状態から復帰させてもよい。
このサイドミラー制御装置によれば、最小幅が第一閾値未満であるためにサイドミラーが格納された後、車両側方の駐車車両が移動したなどの環境変化により車両側方の通行可能スペースの最小幅が第一閾値以上となった場合に車両のサイドミラーを格納状態から自動で復帰させるので、手動で復帰させる場合と比べてドライバーの利便性を高めることができる。
【0011】
本発明の他の態様は、車両のサイドミラーを制御するサイドミラー制御装置の制御方法であって、車両の左右に設定された側方警戒エリアに対する移動体の進入を検出し、車両の車速がサイドミラー格納閾値未満の場合に、側方警戒エリアに対する移動体の進入が検出されたとき、当該側方警戒エリアに対応する側のサイドミラーを急速に格納する。
【0012】
本発明の他の態様に係るサイドミラー制御装置の制御方法によれば、車両の左右に設定された側方警戒エリアにおいて移動体の進入が検出された場合に、当該側方警戒エリアに対応する側のサイドミラーを急速に格納するので、側方警戒エリアに進入した自転車やバイクなどの移動体のサイドミラーへの接触を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の各態様によれば、車両の側方を通行する移動体が車両のサイドミラーへ接触することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係るサイドミラー制御装置を示すブロック図である。
【
図2】車両側方の隙間を自転車が通行する状況を説明するための平面図である。
【
図3】車両の側方警戒エリアを説明するための平面図である。
【
図4】車両側方の通行可能スペースを説明するための平面図である。
【
図5】サイドミラー急速格納制御の一例を示すフローチャートである。
【
図6】サイドミラー急速格納制御の変形例を示すフローチャートである。
【
図7】サイドミラー復帰制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、一実施形態に係るサイドミラー制御装置100を示すブロック図である。
図1に示すサイドミラー制御装置100は、車両のサイドミラーを制御する装置である。車両は、乗用車であってもよく、貨物車であってもよく、自動運転車両であってもよい。車両は例えば四輪車である。
【0017】
サイドミラーとは、車両のドライバーが車両の後側方を確認するために車両の左右に設けられたミラーである。サイドミラーには、車両の左側に設けられた左サイドミラーと車両の右側に設けられた右サイドミラーとが含まれる。本実施形態におけるサイドミラーは、後述するサイドミラーアクチュエータによって電動で格納可能な構成となっている。サイドミラーの格納とは、車体側方に突出しているサイドミラーを車体に向かって折りたたまれた格納状態になることである。
【0018】
サイドミラー制御装置100は、自転車などの移動体が車両の側方の隙間をすり抜けようとした場合に、車両のサイドミラーを急速に格納することで、サイドミラーと移動体との接触を抑制する。移動体は、バイクなどの二輪車であってもよく、パーソナルモビリティであってもよく、歩行者であってもよい。パーソナルモビリティには、電動キックスクーター、二輪の自立式電動モビリティ、電動ユニサイクル、電動スケートボード、電動ローラスケート、電動車椅子などのうち少なくとも一つが含まれる。歩行者には、キックスターター、ローラスケート、スケートボードなどを利用して移動中の人間が含まれてもよい。
【0019】
図2は、車両側方の隙間を自転車が通行する状況を説明するための平面図である。
図2に、車両30(自車両)、車両30の走行する走行車線21、走行車線21の右側に隣接する隣接車線22、走行車線21上で車両30の後方から接近する自転車40、及び自転車40の進路Rを示す。また、
図2に、車両30の先行車51、車両30の後続車52、隣接車線22上で停止している他車両53~55、走行車線21の左側のパーキングスペースに駐車している駐車車両61、及び信号機70を示す。
【0020】
図2では信号機70が赤信号(通行禁止の点灯状態)であるため走行車線21及び隣接車線22上の全ての車両が停車している。自転車40は、進路Rとして示すように、停車している車両30と駐車車両61との間をすり抜けるように通行する。本実施形態に係るサイドミラー制御装置100は、
図2に示すような自転車40の存在により所定の条件が満たされた場合に車両30のサイドミラーを急速に格納することで、自転車40が車両30のサイドミラーと接触することを抑制する。
【0021】
[サイドミラー制御装置の構成]
以下、本実施形態に係るサイドミラー制御装置100の構成について説明する。
図1に示すように、サイドミラー制御装置100は、システムを統括的に管理するECU[Electronic Control Unit]10を備えている。ECU10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。なお、サイドミラー制御装置100がECU10を備えるのではなく、車両30の各種制御を統括するECUの一部がサイドミラー制御装置100として機能する態様であってもよい。ここでは、理解を容易にするためサイドミラー制御装置100がECU10を備えるものとして説明する。
【0022】
ECU10は、CPU[Central Processing Unit]とROM[Read OnlyMemory]又はRAM[Random Access Memory]などの記憶部を有する電子制御ユニットである。ECU10では、例えば、記憶部に記憶されているプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。
【0023】
ECU10は、レーダセンサ1、カメラ2、車速センサ3、サイドミラーアクチュエータ4、及びHMI[Human Machine Interface]5と接続されている。
【0024】
レーダセンサ1は、電波(例えばミリ波)又は光を利用して車両30の周囲の物体を検出する検出機器である。レーダセンサ1には、ミリ波レーダ又はライダー[LIDAR:Light Detection and Ranging]が含まれる。レーダセンサ1は、電波又は光を車両30の周囲に送信し、物体で反射された電波又は光を受信することで物体を検出する。レーダセンサ1は、検出した物体の情報をECU10へ送信する。
【0025】
カメラ2は、車両30の外部状況を撮像する撮像機器である。カメラ2は、車両30の前方及び後方に設けられ、車両30の前後を撮像する。カメラ2は、車両30の側方を撮像する側方カメラを有していてもよい。カメラ2は、車両30の外部状況に関する撮像情報をECU10へ送信する。カメラ2は、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。
【0026】
車速センサ3は、車両30の車速を検出する検出器である。車速センサ3としては、例えば、車両30の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。車速センサ3は、検出した車速情報(車輪速情報)をECU10に送信する。
【0027】
サイドミラーアクチュエータ4は、車両30のサイドミラーを駆動するための機器である。サイドミラーアクチュエータ4としては、例えば電動モーターを用いることができる。サイドミラーアクチュエータ4は、ECU10からの制御信号に応じてサイドミラーの格納及び位置調整を行う。
【0028】
HMI5は、ECU10とドライバーとの間で情報の入出力を行うためのインターフェイスである。HMI5は、例えば、車室内に設けられたディスプレイ、スピーカーなどを備えている。HMI5は、ECU10からの制御信号に応じて、ディスプレイの画像出力及びスピーカーからの音声出力を行う。ディスプレイは、MID[Multi Information Display]であってもよく、HUD[HeadUp Display]であってもよい。HMI5は、各種のインジケータを備えていてもよい。
【0029】
次に、ECU10の機能的構成について説明する。ECU10は、移動体検出部11、車速判定部12、及びサイドミラー制御部13を有している。
【0030】
移動体検出部11は、車両30の左右に設定された側方警戒エリアに対する移動体の進入を検出する。移動体検出部11は、レーダセンサ1の検出結果及びカメラ2の撮像情報のうち少なくとも一方に基づいて移動体を検出する。
【0031】
ここで、
図3は、車両30の側方警戒エリアを説明するための平面図である。
図3に、周辺警戒エリア80及び側方警戒エリア90を示す。また、
図3に、車両30の左サイドミラー31と右サイドミラー32を示す。
【0032】
図3に示す周辺警戒エリア80は、車両30の周囲を囲むように設定されるエリアである。周辺警戒エリア80は、例えば平面視で車両30の外周縁から所定距離までの範囲を含むように設定されている。この周辺警戒エリア80内に側方警戒エリア90が含まれる。なお、周辺警戒エリア80は必ずしも設定する必要はない。
【0033】
側方警戒エリア90は、車両30のサイドミラーに接触する可能性のある移動体を検出するために設定されるエリアである。側方警戒エリア90は、サイドミラーの急速格納の要否を判定するためのRRZ[Rapid retract zone]と呼ぶことができる。側方警戒エリア90は、車両30の左右にそれぞれ設定されるエリアである。側方警戒エリア90は、車両30のサイドミラー(左サイドミラー31及び右サイドミラー32)に接触する可能性がある移動体を検出するために設定される。
【0034】
図3に示すように、側方警戒エリア90は、左側警戒エリア91と右側警戒エリア92とを含んでいる。左側警戒エリア91は、車両30の左側に設定されるエリアである。左側警戒エリア91は、例えば、平面視で車両30の車体の左側面から所定の幅のエリアとして設定される。左側警戒エリア91の幅は、左サイドミラー31の車体からの最大突出量(例えば左サイドミラー31の幅)より大きくなるように設定される。
【0035】
また、
図3に示す左側警戒エリア91は、車両30の前後方向における長さが車両30の全長より長くなるように設定されている。左側警戒エリア91の長さは、車両30の前方と比べて車両30の後方に突出するように設定されている。左側警戒エリア91の前端は、車両30の左前端のコーナに合わせて外縁が円弧を描くように設定されている。左側警戒エリア91の後端も同様である。
【0036】
右側警戒エリア92は、車両30の右側に設定されるエリアである。右側警戒エリア92の形状は、平面視で車両30の前後軸を基準として左側警戒エリア91を線対称で移動させた形状と同じであるため説明を省略する。なお、側方警戒エリア90の形状は上述した形状に限定されない。
【0037】
図3に示す状況において、自転車40は、停車している車両30の後方から接近して周辺警戒エリア80と左側警戒エリア91に進入し、左サイドミラー31の近くを通過して車両30の前方へと通り抜ける。
図3において、左側警戒エリア91に進入したときの自転車40の位置を符号40aとして示す。また、自転車40が左側警戒エリア91を通り抜けたときの自転車40の位置を符号40bとして示す。移動体検出部11は、
図3の位置40aに至った自転車40が左側警戒エリア91に進入していることを検出する。
【0038】
なお、移動体検出部11は、
図3の自転車40が周辺警戒エリア80に進入した場合、自転車40を監視対象として認識してもよい。移動体検出部11は、監視対象として認識した自転車40について側方警戒エリア90への進入の有無を検出する態様であってもよい。
【0039】
車速判定部12は、車速センサ3の検出した車速情報に基づいて、車両30の車速がサイドミラー格納閾値未満であるか否かを判定する。サイドミラー格納閾値は予め設定された値の閾値である。サイドミラー格納閾値は、ドライバーによるサイドミラー確認の必要性が十分に低いと考えられる車速の値であれば特に限定されない。サイドミラー格納閾値は、2km/hであってもよく、3km/hであってもよく、5km/hであってもよく、7km/hであってもよく、10km/hであってもよい。
【0040】
サイドミラー格納閾値は、車両30が自動運転の実行中である場合、車両30が手動運転の場合と比べて大きい値としてもよい。自動運転の実行中である場合には、手動運転の場合と比べてドライバーの周辺確認の必要性が低くなると考えることができる。自動運転とは、予め設定された目標ルートに沿って自動で車両30を走行させる車両制御である。自動運転では、ドライバーが運転操作を行う必要が無く、車両30が自動で走行する。手動運転とは、ドライバーの運転操作に応じて車両30が走行する状態である。手動運転には運転支援制御の実行中も含まれる。
【0041】
車速判定部12は、車両30のサイドミラーが格納された後、車両30の車速がサイドミラー復帰閾値以上となったか否かを判定する。サイドミラー復帰閾値は予め設定された値の閾値である。サイドミラー復帰閾値は、サイドミラーを格納状態から復帰させることが望ましいと考えられる車速の値であれば特に限定されない。サイドミラー復帰閾値は、2km/hであってもよく、3km/hであってもよく、5km/hであってもよく、7km/hであってもよく、10km/hであってもよい。サイドミラー復帰閾値はサイドミラー格納閾値と同じ値であってもよい。
【0042】
サイドミラー制御部13は、移動体検出部11の検出結果及び車速判定部12の判定結果に基づいて、車両30のサイドミラーを急速に格納する急速格納制御を実行する。サイドミラー制御部13は、サイドミラーアクチュエータ4に制御信号を送信することでサイドミラーを急速に格納する。急速格納は、ドライバーの操作なしで自動でサイドミラーの格納が開始されることである。急速格納では、例えば通常の格納時と比べて短い時間でサイドミラーが格納状態となる。なお、急速格納と通常の格納との格納スピードが同じであってもよい。
【0043】
サイドミラー制御部13は、HMI5に制御信号を送信することでドライバーにサイドミラーの急速格納の実行を伝えてもよい。HMI5は、例えばスピーカーから音声によりサイドミラーの急速格納の実行をドライバーに伝える。HMI5は、ディスプレイの画像表示やインジケータによる点滅表示を行ってもよい。サイドミラー制御部13は、車両30のハザードランプを点滅させてもよい。サイドミラー制御部13は、例えば二秒間のハザードランプの点滅を行うことで車両30に近接する移動体に対して注意喚起を行うことができる。
【0044】
具体的に、サイドミラー制御部13は、車速判定部12により車両30の車速がサイドミラー格納閾値未満であると判定され、且つ、移動体検出部11により側方警戒エリア90に対する移動体の進入が検出された場合に、左側警戒エリア91及び右側警戒エリア92のうち移動体が進入した側のサイドミラーを急速に格納する。サイドミラー制御部13は、車速がサイドミラー格納閾値未満である場合に、左側警戒エリア91及び右側警戒エリア92の両方にそれぞれ移動体が進入したときには、左サイドミラー31及び右サイドミラー32の両方の急速格納を実行する。これにより、移動体と車両30のサイドミラーとの接触を抑制することができる。
【0045】
サイドミラー制御部13は、更に車両30の周辺環境を踏まえて、サイドミラーの急速格納制御の要否を判断してもよい。サイドミラー制御部13は、例えば車速がサイドミラー格納閾値未満である場合に側方警戒エリア90に対する移動体の進入が検出されたときであっても、当該側方警戒エリア90に対応する車両側方の通行可能スペースの最小幅が第一閾値以上である場合には、サイドミラーの格納を行わない。
【0046】
サイドミラー制御部13は、レーダセンサ1の検出結果及びカメラ2の撮像情報のうち少なくとも一方に基づいて車両側方の通行可能スペースの最小幅を算出する。サイドミラー制御部13は、例えばレーダセンサ1により車両側方の道路端の構造物又は他車両などの障害物を検出し、車両30から道路端の構造物又は障害物までの横方向距離の中で最も短い距離を最小幅として認識する。道路端の構造物には、縁石、ガードレール、フェンス、壁などが含まれる。サイドミラー制御部13は、車両30から道路端の構造物又は障害物までの横方向距離の中で最も短い距離から車両30のサイドミラーの突出量を差し引いた値を最小幅として認識してもよい。
【0047】
第一閾値は予め設定された値の閾値である。第一閾値は、例えば自転車やバイクなどの二輪車が余裕をもって通行できる幅の値を設定することができる。第一閾値は、1mであっても、1.2mであってもよく、1.5mであってもよい。第一閾値は、車両30が自動運転の実行中である場合、車両30が手動運転の場合と比べて大きい値としてもよい。
【0048】
ここで、
図4は、車両側方の通行可能スペースを説明するための平面図である。
図4に、車両30の左側の通行可能スペースの最小幅Dと自転車40の幅Wを示す。
図4では、車両30の左側の左側警戒エリア91に対する自転車40の進入が検出されている。通行可能スペースとは、車両30の側方を移動体が通行可能なスペースである。
図4では、車両30と駐車車両61との間のスペースが通行可能スペースとなる。車両30の左側の通行可能スペースの最小幅Dは、通行可能スペースにおける最も幅の狭い距離である。
図4において最小幅Dは、車両30の左サイドミラー31と駐車車両61の右サイドミラーとの間の距離に相当する。
【0049】
図4に示す状況において、サイドミラー制御部13は、例えば左側警戒エリア91に対する自転車40の進入が検出されても、自転車40の進入が検出された左側警戒エリア91に対応する車両30の側方の通行可能スペースの最小幅Dが第一閾値以上である場合には、左サイドミラー31の格納を行わない。これにより、自転車などの移動体がサイドミラーとの接触を回避する余裕がある場合に必要性の低いサイドミラーの格納を避けることができる。
【0050】
サイドミラー制御部13は、移動体の幅Wを踏まえてサイドミラーの急速格納制御の要否を判断してもよい。サイドミラー制御部13は、例えば車速がサイドミラー格納閾値未満である場合に側方警戒エリア90に対する移動体の進入が検出されたときであっても、当該側方警戒エリア90に対応する車両側方の通行可能スペースの最小幅Dから移動体の幅を差し引いた値が第二閾値以上である場合には、サイドミラーの格納を行わない。車両側方の通行可能スペースの最小幅Dから移動体の幅を差し引いた値は、
図4における車両30の側方の通行可能スペースの最小幅Dから自転車40の幅Wを差し引いた値に相当する。
【0051】
第二閾値は予め設定された値の閾値である。第二閾値は、例えば自転車やバイクなどの二輪車がサイドミラーから適切な距離を取ることができるマージンとして設定することができる。第二閾値は、15cmであっても、20cmであってもよく、30cmであってもよい。第二閾値は、車両30が自動運転の実行中である場合、車両30が手動運転の場合と比べて大きい値としてもよい。
【0052】
図4に示す状況において、サイドミラー制御部13は、例えば左側警戒エリア91に対する自転車40の進入が検出されても、自転車40の進入が検出された左側警戒エリア91に対応する車両30の側方の通行可能スペースの最小幅Dから自転車40の幅Wを差し引いた値が第二閾値以上である場合には、左サイドミラー31の格納を行わない。なお、車両30の右サイドミラー32の急速格納制御についても同様とすることができる。
【0053】
続いて、サイドミラー格納後の復帰制御について説明する。サイドミラー制御部13は、移動体の側方警戒エリア90への進入によりサイドミラーを格納した後、車速判定部12によって車両30の車速がサイドミラー復帰閾値以上となったと判定された場合、格納されたサイドミラーの位置を復帰させる。
【0054】
サイドミラー制御部13は、サイドミラーアクチュエータ4に制御信号を送信することでサイドミラーの位置を復帰させる。サイドミラー制御部13は、HMI5に制御信号を送信することでドライバーにサイドミラーの位置の復帰を伝えてもよい。HMI5は、例えばスピーカーから音声によりサイドミラーの位置の復帰をドライバーに伝える。HMI5は、ディスプレイの画像表示やインジケータによる点滅表示を行ってもよい。これにより、車両30の車速がサイドミラー復帰閾値以上となってドライバーが周辺確認のためにサイドミラーを利用する場合にサイドミラーを格納状態から復帰させることができる。なお、サイドミラー制御部13は、サイドミラーを格納前の位置に復帰させてもよく、予め設定された設定位置に復帰させてもよい。
【0055】
また、サイドミラー制御部13は、サイドミラーを格納した後、サイドミラーを格納した側の側方警戒エリア90における移動体の進入が一定時間検出されなかった場合に、車両30のサイドミラーを格納状態から復帰させてもよい。これにより、移動体の進入が一定時間検出されなかった場合にはサイドミラーを自動で復帰させることができる。一定時間は特に限定されない。一定時間は、30秒であってもよく、45秒であってもよく、1分であってもよく、2分であってもよく、3分であってもよい。一定時間は、車両30が自動運転の実行中である場合、車両30が手動運転の場合と比べて長い時間としてもよい。
【0056】
サイドミラー制御部13は、車両側方の通行可能スペースの最小幅Dが第一閾値未満であることを条件の一つとしてサイドミラーの格納が行われた場合において、車両側方の環境変化により最小幅Dが第一閾値以上となったときに車両のサイドミラーを復帰させてもよい。車両側方の環境変化とは、例えば
図4における駐車車両61が移動して、車両30の側方の空間が空いた場合である。車両側方の環境変化には、信号機の赤信号により停止していた隣接車線22の他車両53~55が前進することで車両30の側方の空間が空いた場合も含まれる。これにより、車両側方の環境変化により通行可能スペースが広がり、移動体が進入してもサイドミラーと接触する可能性が低くなった場合にサイドミラーを自動で格納状態から復帰させることができる。
【0057】
[サイドミラー制御装置の制御方法]
次に、本実施形態に係るサイドミラー制御装置100の制御方法について図面を参照して説明する。
図5は、サイドミラー急速格納制御の一例を示すフローチャートである。サイドミラー急速格納制御は、例えば車両30のエンジンが始動しているときに実行される。サイドミラー急速格納制御は、左サイドミラー31と右サイドミラー32でそれぞれ独立して実行されてもよい。
【0058】
図5に示すように、サイドミラー制御装置100のECU10は、S10として、移動体検出部11により車両30の側方警戒エリア90に対する移動体の進入を検出する。ECU10は、側方警戒エリア90に対する移動体の進入が検出された場合(S10:YES)、S11に移行する。ECU10は、側方警戒エリア90に対する移動体の進入が検出されなかった場合(S10:NO)、サイドミラー急速格納制御を終了する。その後、ECU10は、一定時間後に再びS10から処理を繰り返す。
【0059】
S11において、ECU10は、車速判定部12により車両30の車速がサイドミラー格納閾値未満であるか否かを判定する。ECU10は、車速がサイドミラー格納閾値未満であると判定された場合(S11:YES)、S12に移行する。ECU10は、車速がサイドミラー格納閾値未満であると判定されなかった場合(S11:NO)、サイドミラー急速格納制御を終了する。その後、ECU10は、一定時間後に再びS10から処理を繰り返す。
【0060】
S12において、ECU10は、サイドミラー制御部13により車両側方の通行可能スペースのうち移動体が進入した側の最小幅Dが第一閾値未満であるか否かを判定する。ECU10は、最小幅Dが第一閾値未満であると判定された場合(S12:YES)、S13に移行する。ECU10は、最小幅Dが第一閾値未満であると判定されなかった場合(S12:NO)、サイドミラー急速格納制御を終了する。その後、ECU10は、一定時間後に再びS10から処理を繰り返す。なお、最小幅Dが第一閾値未満ではないとは、最小幅Dが第一閾値以上ということである。
【0061】
S13において、ECU10は、サイドミラー制御部13により移動体が進入した側のサイドミラーの急速格納を実行する。サイドミラー制御部13は、サイドミラーアクチュエータ4に制御信号を送信することでサイドミラーの急速格納を行う。サイドミラー制御部13は、HMI5に制御信号を送信することでサイドミラーの急速格納の実行を音声によりドライバーに伝える。サイドミラー制御部13は、車両30のハザードランプを点滅させてもよい。その後、ECU10は、サイドミラー急速格納制御を終了する。
【0062】
図6は、サイドミラー急速格納制御の変形例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートでは、
図5のフローチャートと比べて、S22の処理のみが異なっている。
図6のS20及びS21は、
図5のS10及びS11の処理と同じであるため説明を省略する。
【0063】
図6に示すように、サイドミラー制御装置100のECU10は、S22として、サイドミラー制御部13により車両側方の通行可能スペースのうち移動体が進入した側の最小幅Dから移動体の幅Wを差し引いた値が第二閾値未満であるか否かを判定する。
【0064】
ECU10は、最小幅Dから移動体の幅Wを差し引いた値が第二閾値未満であると判定された場合(S22:YES)、S23に移行する。ECU10は、最小幅Dから移動体の幅Wを差し引いた値が第二閾値未満であると判定されなかった場合(S22:NO)、サイドミラー急速格納制御を終了する。その後、ECU10は、一定時間後に再びS10から処理を繰り返す。なお、最小幅Dから移動体の幅Wを差し引いた値が第二閾値未満ではないとは、最小幅Dから移動体の幅Wを差し引いた値が第二閾値以上ということである。
【0065】
S23において、ECU10は、サイドミラー制御部13により移動体が進入した側のサイドミラーの急速格納を実行する。サイドミラー制御部13は、サイドミラーアクチュエータ4に制御信号を送信することでサイドミラーの急速格納を行う。その後、ECU10は、サイドミラー急速格納制御を終了する。
【0066】
図7は、サイドミラー復帰制御の一例を示すフローチャートである。
図7に示すサイドミラー復帰制御は、
図5のサイドミラー急速格納制御が実行された場合に格納されたサイドミラーに対して行われる。すなわち、車両側方の通行可能スペースのうち移動体が進入した側の最小幅Dが第一閾値未満であることが前提となっている。
【0067】
図7に示すように、サイドミラー制御装置100のECU10は、S30として、車速判定部12により車両30の車速がサイドミラー復帰閾値未満であるか否かを判定する。ECU10は、車速がサイドミラー復帰閾値未満であると判定された場合(S30:YES)、S33に移行する。ECU10は、車速がサイドミラー復帰閾値未満であると判定されなかった場合(S30:NO)、S31に移行する。
【0068】
S31において、ECU10は、サイドミラー制御部13によりサイドミラーを格納した側の側方警戒エリア90における移動体の進入が一定時間検出されなかったか否かを判定する。ECU10は、移動体の進入が一定時間検出されなかったと判定された場合(S31:YES)、S33に移行する。ECU10は、移動体の進入が一定時間検出されなかったと判定されなかった場合(S31:NO)、S32に移行する。
【0069】
S32において、ECU10は、サイドミラー制御部13により車両側方の通行可能スペースの最小幅Dが第一閾値以上となったか否かを判定する。例えば
図4における駐車車両61が移動した場合に、通行可能スペースの最小幅Dが変化する。ECU10は、最小幅Dが第一閾値以上となったと判定された場合(S32:YES)、S33に移行する。ECU10は、最小幅Dが第一閾値以上となったと判定されなかった場合、(S32:NO)、サイドミラー復帰制御を終了する。その後、ECU10は、一定時間後に再びS30から処理を繰り返す。
【0070】
S33において、ECU10は、サイドミラー制御部13により格納状態のサイドミラーの復帰を行う。サイドミラー制御部13は、サイドミラーアクチュエータ4に制御信号を送信することでサイドミラーを格納状態から復帰させる。その後、ECU10は、サイドミラー復帰制御を終了する。
【0071】
以上説明した本実施形態に係るサイドミラー制御装置100(及びサイドミラー制御装置100の制御方法)によれば、車両30の左右に設定された側方警戒エリア90において移動体の進入が検出された場合に、当該側方警戒エリア90に対応する側のサイドミラーを急速に格納するので、側方警戒エリア90に進入した自転車やバイクなどの移動体のサイドミラーへの接触を抑制することができる。
【0072】
また、サイドミラー制御装置100によれば、車両側方の通行可能スペースの最小幅Dが第一閾値以上である場合には、移動体は車両30から離れるように通行することにより車両30のサイドミラーとの接触を回避することが容易であるため、サイドミラーの格納を行わないことで必要性の低いサイドミラーの格納を行うことを避けることができる。同様に、サイドミラー制御装置100において、車両側方の通行可能スペースの最小幅Dから移動体の幅Wを差し引いた値が第二閾値以上である場合には、移動体は車両30から離れるように通行することにより車両30のサイドミラーとの接触を回避することが容易であるため、サイドミラーの格納を行わないことで必要性の低いサイドミラーの格納を行うことを避けることができる。
【0073】
また、サイドミラー制御装置100によれば、側方警戒エリア90に対する移動体の進入が一定時間検出されなかった場合に車両30のサイドミラーを格納状態から自動で復帰させるので、手動で復帰させる場合と比べてドライバーの利便性を高めることができる。
【0074】
更に、サイドミラー制御装置100によれば、最小幅Dが第一閾値未満であるためにサイドミラーが格納された後、車両側方の駐車車両61が移動したなどの環境変化により車両側方の通行可能スペースの最小幅Dが第一閾値以上となった場合に車両30のサイドミラーを格納状態から自動で復帰させるので、手動で復帰させる場合と比べてドライバーの利便性を高めることができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
【0076】
例えば、側方警戒エリア90は上述した内容に限定されるものではない。側方警戒エリア90は、車両側面の近傍を通行する自転車などの移動体の進入を適切に検出できるエリア形状であればよい。側方警戒エリアは、平面視で長方形状のエリアとしてもよい。側方警戒エリア90は、車両30のサイドミラーから後方に向かって延びるように設定されてもよい。この場合、側方警戒エリア90は、サイドミラーより前方のエリアを有さない。
【0077】
側方警戒エリア90は、レーダセンサ1又はカメラ2により縁石などの道路端の段差構造が検出された場合において、道路端の段差構造を超えないようにエリア幅が調整されてもよい。側方警戒エリアは、三次元空間においてサイドミラーより低い空間を除くように設定されてもよい。或いは、移動体検出部11は、移動体が側方警戒エリア90に進入したとしても、移動体の高さが車両30のサイドミラーより低い場合には、側方警戒エリア90に対する移動体の進入を検出しなくてもよい。
【0078】
図5に示すフローチャートにおいて、S10、S11、S12の順番は限定されない。S11の車速判定処理が最初に行われてもよく、S12の最小幅判定処理が最初に行われてもよい。例えば、ECU10は、車速がサイドミラー格納閾値未満であると判定された場合に、移動体の側方警戒エリア90への進入の検出を開始する態様であってもよい。ECU10は、車両側方の通行可能スペースの最小幅Dが第一閾値未満である場合に、移動体の側方警戒エリア90への進入の検出を開始する態様であってもよい。
図6におけるS10、S11、S12の順番についても同様である。
【0079】
ECU10は、
図5に示すサイドミラー急速格納制御において、必ずしもS12の判定を行う必要はない。ECU10は、S10の移動体の検出とS11の車速の判定がYESである場合に、サイドミラーの急速格納を実行する態様であってもよい。
【0080】
また、ECU10は、
図5に示すサイドミラー急速格納制御において、
図6のS22の処理を行う態様であってもよい。すなわち、ECU10は、
図5に示すサイドミラー急速格納制御において、移動体が進入した通行可能スペースの最小幅Dから移動体の幅Wを差し引いた値が第二閾値以上である場合にはサイドミラーの格納を行わない態様であってもよい。
【0081】
ECU10は、
図7に示すサイドミラー復帰制御において、必ずしもS31とS32の判定処理を行う必要はない。ECU10は、S30に加えて、S31又はS32の処理の何れか一方のみを実行してもよく、S31及びS32のいずれも実行しない態様であってもよい。
【0082】
その他、ECU10は、サイドミラーの格納後、サイドミラーを格納した側の側方警戒エリア90における移動体の進入が一定時間検出されないことを判定する場合において、側方警戒エリア90に移動体が進入したとしても、通行可能スペースの最小幅Dから当該移動体の幅Wを差し引いた値が第二閾値以上であるときには、一定時間のカウントを継続する態様であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
10…ECU、11…移動体検出部、12…車速判定部、13…サイドミラー制御部、30…車両、31…左サイドミラー、32…右サイドミラー、90…側方警戒エリア、100…サイドミラー制御装置、D…最小幅。