(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161787
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
G06F3/12 322
G06F3/12 338
G06F3/12 373
G06F3/12 392
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076810
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 佑樹
(57)【要約】
【課題】情報処理システムに接続されていない、または接続することが認められていない印刷装置であっても、情報処理システムが提供する特定の処理を利用して印刷することが可能な情報処理システム及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】クライアントコンピュータ14から印刷ジョブを、携帯端末16を宛先にしてクラウド上の印刷管理システム50に送信し、印刷管理システム50が、印刷ジョブを受け付けて、特定の処理として、ジョブログを保存し、印刷に対する承認処理を行って、クライアントコンピュータ14で指定された宛先の携帯端末16に特定の処理後の印刷ジョブを送信し、印刷ジョブを携帯端末16にスプールし、携帯端末16から近距離無線通信を用いて、印刷ジョブを画像形成装置12に送信することにより、特定の処理後の印刷ジョブが画像形成装置12により印刷される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
印刷対象の印刷情報を含む印刷要求を受け付けて、受け付けた印刷要求に含まれる前記印刷情報に対して予め定めた特定の処理を実行し、
前記特定の処理の実行後の前記印刷情報を含む前記印刷要求を印刷装置に送信する、予め登録された情報処理端末に送信する処理を行う情報処理システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記印刷要求を予め定めた共通形式の情報に変換してから前記情報処理端末に送信する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記特定の処理として、履歴管理処理、承認処理、及び機密処理の少なくとも1つの処理を実行する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記特定の処理の実行後の前記印刷要求を前記情報処理端末に送信する際の進捗を前記情報処理端末に表示する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記印刷要求に対して有効期限を設定して前記情報処理端末に送信する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、予め定めたタイミングで有効期限を確認し、期限切れの前記印刷要求を削除する請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記予め定めたタイミングは、前記情報処理端末のアプリケーションの起動時、前記アプリケーションがバックグラウンドからフォアグラウンドへ移行時、及び予め定めた一定時間経過時の少なくとも1つのタイミングである請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記特定の処理の実行後の前記印刷要求を送信する前記情報処理端末の選択結果を受け付け、選択された前記情報処理端末に送信する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記選択結果として、利用者が指定した前記情報処理端末、または利用者の全ての前記情報処理端末を受け付ける請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記情報処理端末に送信した前記印刷要求を、無線通信により前記印刷装置に送信する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項11】
コンピュータに、
印刷対象の印刷情報を含む印刷要求を受け付けて、受け付けた印刷要求に含まれる前記印刷情報に対して予め定めた特定の処理を実行し、
前記特定の処理の実行後の前記印刷情報を含む前記印刷要求を印刷装置に送信する、予め登録された情報処理端末に送信する処理を実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、情報処理装置のコンピュータを、サーバシステムを介さずに情報処理装置から印刷装置に対して送信された第1の形式の第1の印刷指示の印刷設定情報を取得する取得手段と、取得された印刷設定情報を編集する編集手段と、として機能させ、編集された印刷設定情報を含む第2の印刷指示を、サーバシステムへ送信するプログラムが提案されている。
【0003】
特許文献2には、デバイス上で実行するアプリケーションから、印刷要求をネットワークを介して受信するように構成され、ネットワークを介して印刷ダイアログをアプリケーションのユーザに提供するように構成されたアプリケーション・マネージャであって、印刷ダイアログは、ユーザのユーザアカウントと関連した、少なくとも1つのプリンタの選択を提供し、選択されたプリンタを該選択から受信するように構成されたアプリケーション・マネージャと、選択されたプリンタを指定する印刷ジョブを受信するように構成された形式変換手段であって、印刷ジョブは第1の形式で表現された印刷データおよび印刷特性を含み、印刷ジョブを第1の形式から選択されたプリンタと関連した、プリンタ固有の形式に変換するように構成された形式変換手段と、選択されたプリンタによって印刷されるために、プリンタ固有の形式を使用して、印刷ジョブをネットワークを介して印刷サーバから、選択されたプリンタと関連した印刷クライアントにルーティングするように構成された印刷ジョブ・ルータと、からなる印刷サーバが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-150559号公報
【特許文献2】特開2013-522774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
情報処理システムに接続されていない、または接続することが認められていない印刷装置による印刷を行う場合、情報処理システムが提供する、履歴管理、承認処理、及び機密処理等の特定の処理を利用することができなくなってしまう。
【0006】
そこで、本開示は、情報処理システムに接続されていない、または接続することが認められていない印刷装置であっても、情報処理システムが提供する特定の処理を利用して印刷することが可能な情報処理システム及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1態様に係る情報処理システムは、プロセッサを備え、前記プロセッサは、印刷対象の印刷情報を含む印刷要求を受け付けて、受け付けた印刷要求に含まれる前記印刷情報に対して予め定めた特定の処理を実行し、前記特定の処理の実行後の前記印刷情報を含む前記印刷要求を印刷装置に送信する、予め登録された情報処理端末に送信する処理を行う。
【0008】
第2態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理システムは、前記プロセッサは、前記印刷要求を予め定めた共通形式の情報に変換してから前記情報処理端末に送信する。
【0009】
第3態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記特定の処理として、履歴管理処理、承認処理、及び機密処理の少なくとも1つの処理を実行する。
【0010】
第4態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記特定の処理の実行後の前記印刷要求を前記情報処理端末に送信する際の進捗を前記情報処理端末に表示する。
【0011】
第5態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記印刷要求に対して有効期限を設定して前記情報処理端末に送信する。
【0012】
第6態様に係る情報処理システムは、第5態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、予め定めたタイミングで有効期限を確認し、期限切れの前記印刷要求を削除する。
【0013】
第7態様に係る情報処理システムは、第6態様に係る情報処理システムにおいて、前記予め定めたタイミングは、前記情報処理端末のアプリケーションの起動時、前記アプリケーションがバックグラウンドからフォアグラウンドへ移行時、及び予め定めた一定時間経過時の少なくとも1つのタイミングである。
【0014】
第8態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記特定の処理の実行後の前記印刷要求を送信する前記情報処理端末の選択結果を受け付け、選択された前記情報処理端末に送信する。
【0015】
第9態様に係る情報処理システムは、第8態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記選択結果として、利用者が指定した前記情報処理端末、または利用者の全ての前記情報処理端末を受け付ける。
【0016】
第10態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記情報処理端末に送信した前記印刷要求を、無線通信により前記印刷装置に送信する。
【0017】
第11態様に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、印刷対象の印刷情報を含む印刷要求を受け付けて、受け付けた印刷要求に含まれる前記印刷情報に対して予め定めた特定の処理を実行し、前記特定の処理の実行後の前記印刷情報を含む前記印刷要求を印刷装置に送信する、予め登録された情報処理端末に送信する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0018】
第1態様によれば、情報処理システムに接続されていない、または接続することが認められていない印刷装置であっても、情報処理システムが提供する特定の処理を利用して印刷することが可能な情報処理システムを提供できる。
【0019】
第2態様によれば、印刷装置の種類に依存せず出力できる印刷ジョブにすることが可能となる。
【0020】
第3態様によれば、印刷の履歴管理、印刷の承認、及び印刷の機密保持の少なくとも1つが可能となる。
【0021】
第4態様によれば、特定の処理の実行後の印刷要求の送信する際の進捗を確認できる。
【0022】
第5態様によれば、有効期限付きの印刷要求を情報処理端末に送信できる。
【0023】
第6態様によれば、有効期限切れの印刷要求の印刷を防止できる。
【0024】
第7態様によれば、有効期限切れの印刷要求を削除できる。
【0025】
第8態様によれば、特定の処理の実行後の印刷情報を含む印刷要求の送信先を選択できる。
【0026】
第9態様によれば、特定の処理の実行後の印刷情報を含む印刷要求の送信先として、利用者が指定した情報処理端末、または利用者の全ての情報処理端末を選択できる。
【0027】
第10態様によれば、情報処理システムに接続されていない、または接続することが認められていない印刷装置に印刷要求を送信できる。
【0028】
第11態様によれば、情報処理システムに接続されていない、または接続することが認められていない印刷装置であっても、情報処理システムが提供する特定の処理を利用して印刷することが可能な情報処理プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理システムにおける画像形成装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る情報処理システムにおけるクラウドサーバ、クライアントコンピュータ、及び携帯端末の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る情報処理システムで行われる処理の概要を示す図である。
【
図5】携帯端末の印刷管理システムへの登録から利用開始までの流れを説明するための図である。
【
図6】携帯端末を印刷管理システムへ登録する際の登録画面一例を示す図である。
【
図7】印刷ジョブの印刷管理システムへの登録を説明するための図である。
【
図8】クライアントコンピュータの印刷ツールからスプール先の携帯端末を設定する際の印刷設定画面の一例を示す図である。
【
図9】印刷管理システムに登録された印刷ジョブを携帯端末にスプールするまでの流れの一例を説明するための図である。
【
図10】携帯端末にスプール中及びスプール完了後に表示する画面例を示す図である。
【
図11】携帯端末にスプールされた印刷ジョブを画像形成装置に送信するまでの流れを説明するための図である。
【
図12】スプールされている印刷ジョブ一覧画面の一例を示す図である。
【
図13】本実施形態に係る情報処理システムにおいて、クライアントコンピュータから印刷ジョブを印刷管理システムに送信する際に、クライアントコンピュータで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】本実施形態に係る情報処理システムにおいて、印刷管理システムが印刷ジョブを受信する際にクラウドサーバで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図15】本実施形態に係る情報処理システムにおいて、印刷ジョブをスプールする際に携帯端末で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図16】本実施形態に係る情報処理システムにおいて、印刷ジョブのスプールが完了した携帯端末から画像形成装置に印刷ジョブを送信するに携帯端末で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図17】本実施形態に係る情報処理システムにおいて、携帯端末にスプール済みの印刷ジョブを削除す際に携帯端末で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本実施形態の一例を詳細に説明する。本実施形態では、クラウドサーバ11、画像形成装置、クライアントコンピュータ、及び携帯端末等が各種ネットワーク等の通信回線を介して各々接続された情報処理システムを一例として説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理システム10の概略構成を示す図である。
【0031】
本実施形態に係る情報処理システム10は、
図1に示すように、クラウドサーバ11、印刷装置の一例としての画像形成装置12、クライアントコンピュータ14、及び情報処理端末の一例としての携帯端末16等を含んでいる。クラウドサーバ11、画像形成装置12、及びクライアントコンピュータ14は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、イントラネット等の通信回線18を介して各々接続されている。そして、クラウドサーバ11、画像形成装置12、クライアントコンピュータ14、及び携帯端末16の各々は、通信回線18を介して各種データの送受信を相互に行うことが可能とされている。本実施形態では、クライアントコンピュータ14や携帯端末16からクラウドサーバ11を介して画像形成装置12に対して印刷を指示することにより、画像形成装置12において印刷指示に応じた画像を形成する。
【0032】
なお、
図1では、クラウドサーバ11、画像形成装置12、クライアントコンピュータ14、及び携帯端末16は1つ示すが、それぞれ複数でもよいし、何れかが複数でもよい。また、本実施形態に係る情報処理システム10では、携帯端末16からは、通信回線18を介しての印刷指示の他に、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を介しての印刷指示も可能とされている。また、携帯端末16としては、例えば、スマートフォン等の携帯電話や、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型パーソナルコンピュータ等が適用される。
【0033】
本実施形態に係る画像形成装置12は、画像形成処理を行う画像形成機能、原稿を読み取って原稿を表す画像情報を得る読取機能、原稿に記録された画像を用紙に複写する複写機能、図示しない電話回線を介して各種データの送受信を行うファクシミリ機能、読取機能等によって読み取った画像情報等の原稿情報を転送する転送機能、読み取った画像情報等の原稿情報を蓄積する蓄積機能等の複数の機能を有する。複数の機能としては、これらの全ての機能を有してもよいし、これらのうち2以上の機能を有してもよい。
【0034】
図2は、本実施形態に係る情報処理システム10における画像形成装置12の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【0035】
本実施形態に係る画像形成装置12は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、及びRAM(Random Access Memory)20Cを含むコントロール・ユニット20を備えている。CPU20Aは、画像形成装置12の全体の動作を司る。RAM20Cは、CPU20Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。ROM20Bは、アプリケーションプログラム等の各種情報処理プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。そして、画像形成装置12は、コントロール・ユニット20の各部がシステムバス42によって電気的に接続されている。
【0036】
一方、本実施形態に係る画像形成装置12は、各種のデータやアプリケーションプログラム等を記憶するHDD(hard disk drive)26を備えている。また、画像形成装置12は、ユーザインタフェース22に接続され、ユーザインタフェース22のディスプレイへの各種の操作画面等の表示を制御する表示制御部28を備えている。また、画像形成装置12は、ユーザインタフェース22に接続され、ユーザインタフェース22を介して入力される操作指示を検出する操作入力検出部30を備えている。そして、画像形成装置12では、HDD26、表示制御部28、及び操作入力検出部30がシステムバス42に電気的に接続されている。なお、本実施形態に係る画像形成装置12では、記憶部としてHDD26を適用しているが、これに限らず、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部を適用してもよい。また、本実施形態では、ユーザインタフェース22は、表示及び操作入力が可能なタッチパネルが適用されるものとするが、これに限るものではなく、ディスプレイと操作部が別のユーザインタフェースを適用してもよい。
【0037】
また、本実施形態に係る画像形成装置12は、原稿読取部44による光学的な画像の読み取り動作、及び原稿搬送部による原稿送り動作を制御する読取制御部32と、画像形成部24による画像形成処理、及び搬送部25による画像形成部24への用紙の搬送を制御する画像形成制御部34と、を備えている。また、画像形成装置12は、通信回線18に接続され、当該通信回線18に接続されたクライアントコンピュータ14等の他の外部装置と通信データの送受信を行う通信回線I/F(インタフェース)部36と、を備えている。また、画像形成装置12は、図示しない電話回線に接続され、当該電話回線に接続されているファクシミリ装置とファクシミリデータの送受信を行うファクシミリI/F(インタフェース)部38を備えている。また、画像形成装置12は、ファクシミリI/F部38を介したファクシミリデータの送受信を制御する送受信制御部40を備えている。また、画像形成装置12は、装置周辺の人を検知する人感センサ46を備えている。そして、画像形成装置12では、送受信制御部40、読取制御部32、画像形成制御部34、通信回線I/F部36、ファクシミリI/F部38、及び人感センサ46がシステムバス42に電気的に接続されている。
【0038】
以上の構成により、本実施形態に係る画像形成装置12は、CPU20Aにより、RAM20C、ROM20B、及びHDD26へのアクセスを各々実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、表示制御部28を介したユーザインタフェース22のディスプレイへの操作画面、各種のメッセージ等の情報の表示の制御を実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、読取制御部32を介した原稿読取部44及び原稿搬送部の作動の制御を実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、画像形成制御部34を介した画像形成部24及び搬送部25の作動の制御と、通信回線I/F部36を介した通信データの送受信の制御と、を各々実行する。また、画像形成装置12は、CPU20Aにより、送受信制御部40によるファクシミリI/F部38を介したファクシミリデータの送受信の制御を実行する。さらに、画像形成装置12は、CPU20Aにより、操作入力検出部30によって検出された操作情報に基づくユーザインタフェース22における操作内容の把握が行われ、この操作内容に基づく各種の制御を実行する。
【0039】
続いて、本実施形態に係るクラウドサーバ11、クライアントコンピュータ14、及び携帯端末16の電気系の要部構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る情報処理システム10におけるクラウドサーバ11、クライアントコンピュータ14、及び携帯端末16の電気系の要部構成を示すブロック図である。なお、クラウドサーバ11、クライアントコンピュータ14、及び携帯端末16は、一般的なコンピュータ構成であるため、以下では、クラウドサーバ11を代表して説明する。
【0040】
本実施形態に係るクラウドサーバ11は、
図3に示すように、プロセッサの一例としてのCPU11A、ROM11B、RAM11C、ストレージ11D、操作部11E、表示部11F、及び通信回線I/F(インタフェース)部11Gを備えている。CPU11Aは、クラウドサーバ11の全体の動作を司る。ROM11Bは、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。RAM11Cは、CPU11Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。ストレージ11Dは、各種のデータやアプリケーションプログラム等が記憶される。操作部11Eは各種の情報を入力するために用いられる。表示部11Fは、各種の情報を表示するために用いられる。通信回線I/F部11Gは、通信回線18に接続され、当該通信回線18に接続された他の装置と各種データの送受信を行う。また、通信回線I/F部11Gは、周知の各種の無線通信を用いて、各機器と直接通信が可能な構成とてもよい。以上のクラウドサーバ11の各部はシステムバス11Iにより電気的に相互に接続されている。なお、本実施形態に係るクラウドサーバ11では、ストレージ11Dを記憶部として適用しているが、ストレージの一例としては、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部が適用される。
【0041】
以上の構成により、本実施形態に係るクラウドサーバ11は、CPU11Aにより、ROM11B、RAM11C、及びストレージ11Dに対するアクセス、操作部11Eを介した各種データの取得、表示部11Fに対する各種情報の表示を各々実行する。また、クラウドサーバ11は、CPU11Aにより、通信回線I/F部11Gを介した通信データの送受信の制御を実行する。
【0042】
なお、携帯端末16は、クラウドサーバ11にない構成としては、GPS(Global Positioning System)等によって携帯端末16の位置を検出する位置検出部16Hやカメラ等の撮影部(図示省略)を含む。
【0043】
このように構成された本実施形態に係る情報処理システム10では、クラウドサーバ11が、印刷ジョブに対して予め定めた特定の処理を行って画像形成装置12による印刷を行う印刷管理システムをクラウドサービスとして提供する。特定の処理の一例としては、印刷ジョブの履歴を管理する履歴管理処理、印刷ジョブに対する承認を行う承認処理、及び印刷ジョブに対して機密部分に対してマスク処理等を行う機密処理等がある。印刷管理システムは、例えば、クラウドサーバ11は、クライアントコンピュータ14から印刷ジョブを受け付けて、受け付けた印刷ジョブに対して承認処理を行ってから承認後の印刷ジョブを画像形成装置12に送信する。これにより、承認された印刷ジョブのみが画像形成装置12で印刷される。なお、印刷ジョブとは、印刷を実行するために画像形成装置12が実行する処理または処理の集まりをいう。
【0044】
しかしながら、情報処理システム10に接続されていない、または接続することが許可されていない画像形成装置12による印刷を行う場合、情報処理システム10が提供する特定の処理を利用することができなくなってしまう。
【0045】
そこで、本実施形態に係る情報処理システム10では、印刷対象の印刷情報を含む印刷要求としての印刷ジョブを受け付けて、受け付けた印刷ジョブに含まれる印刷情報に対して予め定めた特定の処理を実行し、特定の処理の実行後の印刷情報を含む印刷ジョブを画像形成装置12に送信する、予め登録された情報処理端末としての携帯端末16に送信する処理を行う。
【0046】
具体的には、
図4に示すように、クライアントコンピュータ14から印刷ジョブを、携帯端末16を宛先にしてクラウド上の印刷管理システム50に送信する。なお、
図4は、本実施形態に係る情報処理システム10で行われる処理の概要を示す図である。
【0047】
印刷管理システム50では、印刷ジョブを受け付けると、特定の処理として、履歴を管理するためにジョブログを保存し、印刷に対する承認処理を行う。なお、承認処理は、例えば、予め登録されたクライアントコンピュータ14に対して、印刷ジョブの印刷に対する承認を依頼し、承認結果を受信することにより承認を行う。具体的には、予め登録された承認者のメールアドレス宛に承認依頼のメールを送信する。承認者はクライアントコンピュータ14を操作してメールを開き、メール内のリンクからウェブブラウザを立ち上げて情報処理システムにログインして対象の印刷ジョブを確認して承認操作を行う。承認操作に基づき情報処理システムは対象の印刷ジョブを承認する。
【0048】
続いて、印刷管理システム50は、クライアントコンピュータ14で指定された宛先の携帯端末16に特定の処理後の印刷ジョブを送信して、印刷ジョブを携帯端末16にスプールする。なお、スプールとは、印刷情報を画像形成装置12に直接送信するのではなく、一時的に別の場所に一旦記憶することをいう。
【0049】
そして、携帯端末16から近距離無線通信を用いて、印刷ジョブを画像形成装置12に送信することにより、特定の処理後の印刷ジョブが画像形成装置12により印刷される。これにより、情報処理システムに接続されていない、または接続することが認められていない画像形成装置12であっても、情報処理システム10が提供する特定の処理を利用して印刷が行われる。なお、本実施形態では、携帯端末16から近距離無線通信により画像形成装置12に印刷ジョブを送信するものとして説明するが、近距離無線通信に限定されるものではなく、通信回線18に接続して送信してもよいし、有線接続して送信してもよい。
【0050】
ここで、携帯端末16に印刷ジョブをスプールして画像形成装置12による印刷を行う方法について具体的に説明する。
【0051】
まず、利用者の携帯端末16の印刷管理システム50への登録から利用開始までの流れについて説明する。
図5は、携帯端末16の印刷管理システム50への登録から利用開始までの流れを説明するための図である。
【0052】
クライアントコンピュータ14または利用者48の携帯端末16からウェブブラウザを介して、クラウド上の印刷管理システム50にログインし、利用者48の携帯端末16を登録する。
【0053】
登録内容は携帯端末16を一意に特定できる情報を登録する。例えば、UDID(Unique Device Identifier)、シリアル番号、IMEI(International Mobile Equipment Identity)番号、MACアドレス(Media Access Control address)等を登録する。
【0054】
また、携帯端末に対応アプリケーションをインストールし、システムにログインする。これにより、印刷ジョブをスプールできる状態となる。
【0055】
利用者48の携帯端末16を登録する際には、例えば、
図6に示す登録画面52をウェブブラウザで表示し、携帯端末16の登録を受け付ける。
図6は、携帯端末16を印刷管理システム50へ登録する際の登録画面52の一例を示す図である。なお、携帯端末16の登録は、クライアントコンピュータ14、または携帯端末16から登録する。
【0056】
図6の登録画面52の例では、携帯端末の名称として、「XXXPhone」が入力され、UDIDとして、「ABCDEFGH-XXXXXXXXXX]が入力された例を示す。
図6の「登録」を操作することで、携帯端末16が印刷管理システム50に登録される。一方、
図6の「キャンセル」を操作することで、携帯端末16の登録がキャンセルされる。
【0057】
次に、印刷ジョブの印刷管理システム50への登録について説明する。
図7は、印刷ジョブの印刷管理システム50への登録を説明するための図である。
【0058】
クラウド印刷に対応したプリンタドライバやウェブUI(User Interface)等の印刷ツールを利用して印刷ジョブの登録を行う。
【0059】
具体的には、プリンタドライバやウェブUI等の印刷ツールの印刷設定画面を表示する際に、印刷管理システム50にログインした利用者48に紐づくスプール先の携帯端末16の一覧を印刷管理システム50からダウンロードすることにより取得する。
【0060】
携帯端末16の一覧の中から利用者48は、スプール先の携帯端末16を設定してジョブ登録を行う。スプール先の携帯端末16の設定は、利用者48の全ての携帯端末16、または利用者48が指定した携帯端末16の何れかを選択できるものとする。
【0061】
図8は、クライアントコンピュータ14の印刷ツールからスプール先の携帯端末16を設定する際の印刷設定画面54の一例を示す図である。
【0062】
図8の印刷設定画面54では、ファイル名が「提案資料.pdf」、部数が「1」、カラーモードが「フルカラー」、両面印刷が「片面」の印刷設定が行われている例を示す。また、
図8の印刷設定画面54では、承認者へのコメントとして「○△□プロジェクトの提案資料をY拠点で印刷します。」が入力された例を示す。さらに、
図8の印刷設定画面54では、スプール先の携帯端末設定が有効とされ、「この利用者の指定した携帯端末」が選択され、携帯端末16が「xxxPhone」が選択されている例を示す。
図8の「ジョブ登録」を操作することで、印刷ジョブが印刷管理システム50に登録される。一方、「キャンセル」を操作することで、印刷ジョブの登録がキャンセルされる。
【0063】
次に、印刷管理システム50に登録された印刷ジョブを携帯端末16にスプールするまでの流れについて説明する。
図9は、印刷管理システム50に登録された印刷ジョブを携帯端末16にスプールするまでの流れの一例を説明するための図である。なお、以下では、特定の処理として、履歴管理処理、承認処理、及び有効期限設定を行う例を説明する。
【0064】
印刷管理システム50に印刷ジョブが登録されると、クラウド上の印刷管理システム50でジョブログの保存、承認依頼して承認を得る印刷承認、及びジョブの有効期限の設定が行われてから携帯端末16に印刷ジョブがスプールされる。詳細には、
図9に示すように、印刷管理システム50は、ジョブログを保存し、承認印刷が有効な場合は承認処理を行う。すなわち、印刷管理システム50は、利用者48の上司のクライアントコンピュータ14に対して承認依頼を送信し、印刷ジョブに対する承認結果を受信する。承認結果を受信して印刷ジョブが承認されると、印刷管理システム50は、ジョブの有効期限を設定する。有効期限の設定は、例えば、予め定めた期限を設定する。予め定めた期限としては、承認印刷の期間や、デフォルトの期間等を予め設定しておき、予め設定した期間から期限を導出することにより有効期限を設定する。
【0065】
また、全ての処理が完了した後に、ジョブ登録時に設定したスプール先の携帯端末16に印刷ジョブをスプールする。
図9では、利用者48の指定する携帯端末16に送信する場合として携帯端末A(XXXXPhone)にスプールする例と、利用者48の全ての携帯端末16に送信する場合として携帯端末A(XXXXPhone)及び携帯端末B(YYYYPhone)にスプールする例を示す。
【0066】
スプールされる印刷ジョブの構成は、「印刷情報」と「印刷情報の属性情報」とを含み、これらをまとめて「印刷ジョブ」と称するものとする。また、属性情報とは、印刷情報とは別で管理される印刷設定情報や、印刷ジョブの有効期限を含む情報である。
【0067】
印刷ジョブのスプールは、通常はクラウドからプッシュ方式で送信する形態とするが、利用者48の任意のタイミングで、プル方式で受信する形態を取ってもよい。
【0068】
また、他拠点や訪問先で携帯端末16から印刷するシーンでは、出力先が自社の画像形成装置12ではない場合もあるので、画像形成装置12の種類に依存せず出力できるよう、印刷ジョブの形式を予め定めた共通形式に変換して携帯端末16にスプールする。共通形式としては、pdf(Portable Document Format)やMopria等の各社共通フォーマットに変換して携帯端末16にスプールする。
【0069】
図10は、携帯端末16にスプール中に表示する進捗画面56及びスプール完了後に表示するスプール完了画面58の画面例を示す図である。
【0070】
携帯端末16に印刷ジョブをスプールする際には、
図10に示す進捗画面56のように、スプール中の進捗状況を表示する。
図10の進捗画面56の例では、「提案資料.pdf」がスプール中で、65%のスプールが終了している例を示す。また、スプールが完了すると、スプール完了画面58を表示する。
図10のスプール完了画面58の例では、「提案資料.pdf」のスプールが完了し、すぐに印刷できることを表示した例を示す。
【0071】
続いて、携帯端末16にスプールされた印刷ジョブを画像形成装置12に送信するまでの流れを説明する。
図11は、携帯端末16にスプールされた印刷ジョブを画像形成装置12に送信するまでの流れを説明するための図である。
【0072】
携帯端末16の対応アプリケーションを起動し、
図11に示すように、接続先の画像形成装置12のIPアドレス(Internet Protocol Address)を取得して設定し、ジョブを画像形成装置12に送信する。
【0073】
画像形成装置12に接続するための情報は、利用者48が手入力で設定してもよいし、画像形成装置12に設置されているNFC(Near Field Communication)タグやQR(Quick Response)コードを読み取って設定してもよい。
【0074】
印刷ジョブの送信は、利用者48の操作により実行する。携帯端末16の対応アプリケーションには、例えば、
図12に示すように、スプールされている印刷ジョブ一覧画面60を表示し、利用者48は、印刷したい印刷ジョブを選択し、送信ボタンを押下して送信する。
図12は、スプールされている印刷ジョブ一覧画面60の一例を示す図である。
図12の例では、ジョブ一覧のうち、「提案資料.pdf」及び「XX社調査資料.pdf」の2つのジョブが選択され、他の「報告書.docx」等が未選択とされている例を示す。
【0075】
携帯端末16の対応アプリケーションは、スプール済の印刷ジョブの属性情報から有効期限を定期的にチェックし、画像形成装置12に送信したか否かを問わず有効期限を経過していることを検出したら当該ジョブを削除する。
【0076】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る情報処理システム10の各部で行われる具体的な処理について説明する。
【0077】
まず、クライアントコンピュータ14から印刷ジョブを印刷管理システム50に送信する際に、クライアントコンピュータ14で行われる処理について説明する。
図13は、本実施形態に係る情報処理システム10において、クライアントコンピュータ14から印刷ジョブを印刷管理システム50に送信する際に、クライアントコンピュータ14で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図13の処理は、例えば、利用者48がクライアントコンピュータ14を操作して印刷ツールが起動された場合に開始する。
【0078】
ステップ100では、CPU14Aが、クラウド印刷対応の印刷ツールを起動してステップ102へ移行する。すなわち、プリンタドライバ等の印刷ツールを起動する。
【0079】
ステップ102では、CPU14Aが、クラウドからスプール先の携帯端末16を取得してステップ104へ移行する。すなわち、印刷管理システム50にログインした利用者48に紐づくスプール先の携帯端末16の一覧を印刷管理システム50からダウンロードすることにより取得する。
【0080】
ステップ104では、CPU14Aが、スプール先の携帯端末16の登録があるか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ106へ移行し、否定された場合にはステップ112へ移行する。
【0081】
ステップ106では、CPU14Aが、スプール先の携帯端末16を利用者48に提示してステップ108へ移行する。すなわち、印刷管理システム50から取得した携帯端末16の一覧を表示部14Fに表示する。
【0082】
ステップ108では、CPU14Aが、スプール先の指定があるか否かを判定する。該判定は、例えば、
図8の印刷設定画面54で「スプール先の携帯端末設定」が有効に設定されたか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ110へ移行し、否定された場合にはステップ112へ移行する。
【0083】
ステップ110では、CPU14Aが、印刷ジョブにスプール先の情報を付加してステップ112へ移行する。
【0084】
ステップ112では、CPU14Aが、印刷ジョブを印刷管理システム50に送信して一連の処理を終了する。
【0085】
続いて、クラウド上の印刷管理システム50が印刷ジョブを受信する際の処理について説明する。
図14は、本実施形態に係る情報処理システム10において、印刷管理システム50が印刷ジョブを受信する際にクラウドサーバ11で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図14の処理は、クライアントコンピュータ14から印刷ジョブが送信された場合に開始する。
【0086】
ステップ200では、CPU11Aが、印刷ジョブを受信してステップ202へ移行する。すなわち、上述のステップ112で、クライアントコンピュータ14から送信された印刷ジョブを受信する。
【0087】
ステップ202では、CPU11Aが、ジョブログを保存してステップ204へ移行する。すなわち、特定の処理としてジョブの履歴を除ブログとして保存する。
【0088】
ステップ204では、CPU11Aが、承認印刷が有効であるか否かを判定する。該判定は、印刷ジョブに承認印刷が設定されているか否かを判定してもよいし、印刷管理システム50の設定で承認印刷が有効とされているか否かを判定してもよい。該判定が肯定された場合にはステップ206へ移行し、否定された場合にはステップ212へ移行する。
【0089】
ステップ206では、CPU11Aが、承認依頼を行ってステップ208へ移行する。例えば、予め登録された上司等のクライアントコンピュータ14に承認依頼を送信する。
【0090】
ステップ208では、CPU11Aが、承認結果を受信したか否かを判定する。該判定が肯定されるまで待機してステップ210へ移行する。
【0091】
ステップ210では、CPU11Aが、印刷が承認されたか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ212へ移行し、否定された場合には一連の処理を終了する。
【0092】
ステップ212では、CPU11Aが、ジョブの有効期限を設定してステップ214へ移行する。例えば、管理者等によって予め設定期間から算出した有効期限を印刷ジョブに設定する。
【0093】
ステップ214では、CPU11Aが、スプール先があるか否かを判定する。該判定は、例えば、上述のステップ110でスプール先の情報が印刷ジョブに付加されているか否かを破堤する。該判定が肯定された場合にはステップ216へ移行し、否定された場合には一連の処理を終了する。
【0094】
ステップ216では、CPU11Aが、スプール先の携帯端末16を特定してステップ218へ移行する。すなわち、
図8の印刷設定画面54で設定されたスプール先の携帯端末16を特定する。
【0095】
ステップ218では、CPU11Aが、スプール先の携帯端末16と通信が確立したか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ220へ移行し、否定された場合には一連の処理を終了する。なお、否定された場合には予め定めた時間経過後等に再度通信を行って確立できたか否かを判定してもよい。また、この場合、予め定めた回数繰り返しても通信が確立しない場合に一連の処理を終了してもよい。
【0096】
ステップ220では、CPU11Aが、携帯端末16への印刷ジョブのスプールを開始して一連の処理を終了する。
【0097】
続いて、印刷ジョブをスプールする際に携帯端末16で行われる処理について説明する。
図15は、本実施形態に係る情報処理システム10において、印刷ジョブをスプールする際に携帯端末16で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図15の処理は、印刷管理システム50からスプール対象の印刷ジョブが送信された場合に開始する。
【0098】
ステップ300では、CPU16Aが、印刷管理システムから送信された印刷ジョブを受信してステップ302へ移行する。
【0099】
ステップ302では、CPU16Aが、印刷ジョブ受信の進捗を表示部16Fに表示してステップ304へ移行する。例えば、
図10に示すように、スプール中の進捗画面56を表示する。
【0100】
ステップ304では、CPU16Aが、印刷ジョブを全て受信したか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ306へ移行し、否定された場合にはステップ300に戻って上述の処理を繰り返す。
【0101】
ステップ306では、CPU16Aが、印刷ジョブを表示してステップ308へ移行する。すなわち、印刷管理システム50から受信した印刷ジョブを表示部16Fに表示する。例えば、
図12に示すように、スプールされている印刷ジョブ一覧画面60を表示部16Fに表示する。
【0102】
ステップ308では、CPUが、他にスプールする印刷ジョブなしであるか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ300に戻って上述の処理を繰り返し、判定が肯定されたところで一連の処理を終了する。
【0103】
次に、印刷ジョブのスプールが完了した携帯端末16から画像形成装置12に印刷ジョブを送信する際の処理について説明する。
図16は、本実施形態に係る情報処理システム10において、印刷ジョブのスプールが完了した携帯端末16から画像形成装置12に印刷ジョブを送信するに携帯端末16で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図16の処理は、例えば、印刷ジョブを印刷管理システム50からスプール後に、携帯端末16にインストールされた対応アプリケーションを起動して、画像形成装置12への印刷ジョブの送信を開始する予め定めた操作が行われた場合に開始する。
【0104】
ステップ400では、CPU16Aが、接続先を設定してステップ402へ移行する。すなわち、接続先の画像形成装置12のIPアドレスを取得して設定する。
【0105】
ステップ402では、CPU16Aが、スプール済みの印刷ジョブから印刷対象を選択してステップ404へ移行する。例えば、
図12に示すように、スプールされている印刷ジョブ一覧を表示し、印刷対象の印刷ジョブの選択を受け付ける。
【0106】
ステップ404では、CPU16Aが、選択された印刷ジョブが、有効期限内の印刷ジョブであるか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ406へ移行し、否定された場合にはステップ410へ移行する。
【0107】
ステップ406では、CPU16Aが、選択された印刷ジョブを画像形成装置12に送信してステップ408へ移行する。
【0108】
ステップ408では、CPU16Aが、送信が成功したか否かを判定する。該判定が肯定された場合には一連の処理を終了し、否定された場合にはステップ410へ移行する。なお、送信が成功した場合に、送信した印刷ジョブを削除してから処理を終了してもよい。
【0109】
ステップ410では、CPU16Aが、エラーを表示部16Fに表示して一蓮の処理を終了する。
【0110】
続いて、携帯端末16にスプール済みの印刷ジョブを削除する際の処理について説明する。
図17は、本実施形態に係る情報処理システム10において、携帯端末16にスプール済みの印刷ジョブを削除す際に携帯端末16で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図17の処理は、例えば、アプリケーションの起動時、アプリケーションがバックグラウンドからフォアグラウンドへ移行時、及び予め定めた一定時間経過時 (例えば、1時間毎)の少なくとも1つのタイミングで開始する。
【0111】
ステップ500では、CPU16Aが、スプール済みの印刷ジョブがあるか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ502へ移行し、否定された場合には一連の処理を終了する。
【0112】
ステップ502では、CPU16Aが、印刷ジョブの属性情報から有効期限を確認してステップ504へ移行する。
【0113】
ステップ504では、CPU16Aが、有効期限切れの印刷ジョブがあるか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ506へ移行し、否定された場合には一連の処理を終了する。
【0114】
ステップ506では、CPU16Aが、有効期限切れの印刷ジョブを削除して一連の処理を終了する。
【0115】
なお、上記の実施形態では、印刷管理システム50から携帯端末16に印刷ジョブをスプールしてから画像形成装置12に印刷ジョブを送信する例を説明したが、携帯端末16にスプールした情報の送信先は画像形成装置12以外であってもよい。例えば、処理対象の情報をクラウドサーバ11に登録し、登録した処理対象の情報を携帯端末16にスプールし、他のクラウドサーバや、画像処理装置等の処理装置にスプールした情報を送信する形態としてもよい。
【0116】
また、上記の実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0117】
また、上記の実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0118】
また、本実施形態における「システム」は、一例として、複数の装置によって構成されたものとして記載したが、単一の装置によって構成されたものであってもよい。
【0119】
また、上記の実施形態に係る情報処理システム10で行われる処理は、ソフトウエアで行われる処理としてもよいし、ハードウエアで行われる処理としてもよいし、双方を組み合わせた処理としてもよい。また、情報処理システム10で行われる処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0120】
また、本開示は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0121】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(((1)))
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
印刷対象の印刷情報を含む印刷要求を受け付けて、受け付けた印刷要求に含まれる前記印刷情報に対して予め定めた特定の処理を実行し、
前記特定の処理の実行後の前記印刷情報を含む前記印刷要求を印刷装置に送信する、予め登録された情報処理端末に送信する処理を行う情報処理システム。
【0122】
(((2)))
前記プロセッサは、前記印刷要求を予め定めた共通形式の情報に変換してから前記情報処理端末に送信する(((1)))に記載の情報処理システム。
【0123】
(((3)))
前記プロセッサは、前記特定の処理として、履歴管理処理、承認処理、及び機密処理の少なくとも1つの処理を実行する(((1)))又は(((2)))に記載の情報処理システム。
【0124】
(((4)))
前記プロセッサは、前記特定の処理の実行後の前記印刷要求を前記情報処理端末に送信する際の進捗を前記情報処理端末に表示する(((1)))~(((3)))の何れか1つに記載の情報処理システム。
【0125】
(((5)))
前記プロセッサは、前記印刷要求に対して有効期限を設定して前記情報処理端末に送信する(((1)))~(((4)))の何れか1つに記載の情報処理システム。
【0126】
(((6)))
前記プロセッサは、予め定めたタイミングで有効期限を確認し、期限切れの前記印刷要求を削除する(((5)))に記載の情報処理システム。
【0127】
(((7)))
前記予め定めたタイミングは、前記情報処理端末のアプリケーションの起動時、前記アプリケーションがバックグラウンドからフォアグラウンドへ移行時、及び予め定めた一定時間経過時の少なくとも1つのタイミングである(((6)))に記載の情報処理システム。
【0128】
(((8)))
前記プロセッサは、前記特定の処理の実行後の前記印刷要求を送信する前記情報処理端末の選択結果を受け付け、選択された前記情報処理端末に送信する(((1)))~(((7)))の何れか1つに記載の情報処理システム。
【0129】
(((9)))
前記プロセッサは、前記選択結果として、利用者が指定した前記情報処理端末、または利用者の全ての前記情報処理端末を受け付ける(((8)))に記載の情報処理システム。
【0130】
(((10)))
前記プロセッサは、前記情報処理端末に送信した前記印刷要求を、無線通信により前記印刷装置に送信する(((1)))~(((9)))の何れか1つに記載の情報処理システム。
【0131】
(((11)))
印刷対象の印刷情報を含む印刷要求を受け付けて、受け付けた印刷要求に含まれる前記印刷情報に対して予め定めた特定の処理を実行し、
前記特定の処理の実行後の前記印刷情報を含む前記印刷要求を印刷装置に送信する、予め登録された情報処理端末に送信する処理を実行させるための情報処理プログラム。
【0132】
(((1)))によれば、情報処理システムに接続されていない、または接続することが認められていない印刷装置であっても、情報処理システムが提供する特定の処理を利用して印刷することが可能な情報処理システムを提供できる。
【0133】
(((2)))によれば、印刷装置の種類に依存せず出力できる印刷ジョブにすることが可能となる。
【0134】
(((3)))によれば、印刷の履歴管理、印刷の承認、及び印刷の機密保持の少なくとも1つが可能となる。
【0135】
(((4)))によれば、特定の処理の実行後の印刷要求の送信する際の進捗を確認できる。
【0136】
(((5)))によれば、有効期限付きの印刷要求を情報処理端末に送信できる。
【0137】
(((6)))によれば、有効期限切れの印刷要求の印刷を防止できる。
【0138】
(((7)))によれば、有効期限切れの印刷要求を削除できる。
【0139】
(((8)))によれば、特定の処理の実行後の印刷情報を含む印刷要求の送信先を選択できる。
【0140】
(((9)))によれば、特定の処理の実行後の印刷情報を含む印刷要求の送信先として、利用者が指定した情報処理端末、または利用者の全ての情報処理端末を選択できる。
【0141】
(((10)))によれば、情報処理システムに接続されていない、または接続することが認められていない印刷装置に印刷要求を送信できる。
【0142】
(((11)))によれば、情報処理システムに接続されていない、または接続することが認められていない印刷装置であっても、情報処理システムが提供する特定の処理を利用して印刷することが可能な情報処理プログラムを提供できる。
【符号の説明】
【0143】
10 情報処理システム
11 クラウドサーバ
11A、16A CPU
12 画像形成装置
14 クライアントコンピュータ
16 携帯端末
50 印刷管理システム
54 印刷設定画面
56 進捗画面