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特開2024-161791X線画像診断装置、X線画像の撮像制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161791
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】X線画像診断装置、X線画像の撮像制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20241113BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20241113BHJP
   A61B 6/50 20240101ALI20241113BHJP
【FI】
A61B6/03 330A
A61B6/00 320R
A61B6/00 331E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076820
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 信一
(72)【発明者】
【氏名】飯島 吉昭
(72)【発明者】
【氏名】神長 洋平
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA08
4C093AA22
4C093CA16
4C093CA34
4C093DA02
4C093EA02
4C093EC16
4C093EC28
4C093FA06
4C093FA13
4C093FA15
4C093FA36
4C093FA43
4C093FA45
4C093FA52
4C093FA53
4C093FA54
4C093FA59
4C093FC12
4C093FC16
4C093FF24
4C093FF28
4C093FH03
(57)【要約】
【課題】時間の短縮を図るとともに被ばく量を抑制すること。
【解決手段】実施形態のX線画像診断装置は、第1X線撮像装置と、第2X線撮像装置と、制御装置と、を持つ。第1X線撮像装置は、被検体の第1X線画像を撮像する。第2X線撮像装置は、前記被検体の第2X線画像を撮像する。制御装置は、前記第1X線画像に関する情報に基づいて、前記第1X線撮像装置による撮像後の前記被検体を撮像する際の前記第2X線撮像装置におけるX線照射条件を決定する決定部を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の第1X線画像を撮像する第1X線撮像装置と、
前記被検体の第2X線画像を撮像する第2X線撮像装置と、
前記第1X線画像に関する情報に基づいて、前記第1X線撮像装置による撮像後の前記被検体を撮像する際の前記第2X線撮像装置におけるX線照射条件を決定する決定部を含む制御装置と、を備える、
X線画像診断装置。
【請求項2】
前記第1X線撮像装置は、画像下治療装置であり、
前記第2X線撮像装置は、X線CT装置である、
請求項1に記載のX線画像診断装置。
【請求項3】
前記第1X線画像に関する情報は、前記第1X線画像を撮像する際の管電圧、管電流、またはパルス幅のうち少なくとも1つを含む、
請求項1に記載のX線画像診断装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記第1X線画像に関する情報と、予め定められた前記第1X線画像に関する情報を変換するパラメータと、に基づいて、前記X線照射条件を算出する、
請求項3に記載のX線画像診断装置。
【請求項5】
前記パラメータは、前記第1X線画像に対する目標画素値と前記第2X線画像に対する目標画素値との差が規定範囲内となる際の前記第1X線撮像装置のX線照射条件と、前記第2X線撮像装置のX線照射条件に基づいて算出される、
請求項4に記載のX線画像診断装置。
【請求項6】
前記第1X線画像に関する情報は、前記第1X線画像を撮像する際の前記第1X線撮像装置に対する前記被検体の位置関係を含む、
請求項1に記載のX線画像診断装置。
【請求項7】
前記決定部は、前記第2X線撮像装置により前記被検体を複数の方向から撮像する際のそれぞれのX線照射条件を決定する、
請求項1に記載のX線画像診断装置。
【請求項8】
前記第1X線画像に関する情報は、前記第1X線撮像装置におけるラストイメージホールドされる前記第1X線画像を撮像する際の情報を含む、
請求項1に記載のX線画像診断装置。
【請求項9】
被検体のX線画像を撮像するX線撮像装置であって、
前記被検体の他のX線画像を撮像する他のX線撮像装置により撮像された前記他のX線画像に関する情報に基づいて、前記他のX線撮像装置により前記他のX線画像を撮像した後に決定されたX線照射条件により、前記被検体のX線画像を撮像する、
X線画像診断装置。
【請求項10】
第1X線撮像装置が、被検体の第1X線画像を撮像し、
コンピュータが、前記第1X線画像に関する情報に基づいて、前記第1X線撮像装置による撮像後の前記被検体の第2X線画像を撮像する際の第2X線撮像装置におけるX線照射条件を決定し、
前記第2X線撮像装置が、前記コンピュータにより決定された前記X線照射条件で前記被検体の前記第2X線画像を撮像する、
X線画像の撮像制御方法。
【請求項11】
コンピュータに、第1X線撮像装置により撮像された第1X線画像に関する情報に基づいて、前記第1X線撮像装置による撮像後の被検体の第2X線画像を撮像する際の第2X線撮像装置におけるX線照射条件を決定させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線画像診断装置、X線画像の撮像制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
肝細胞癌の治療の1つとして、従来、肝動脈化学塞栓療法(TACE:Transcatheter Arterial Chemo-Embolization)が知られている。TACEは、アンギオ(Angio)装置とCT(Computed Tomography)装置を組み合わせたIVR(Interventional Radiology)-CTを利用した治療法(以下、IVR-CT治療)の1つである。TACEでは、アンギオ装置により患部を撮像し、腫瘍を栄養している血管を特定し、特定した血管に塞栓を埋め込むという治療を行う。続いて、X線CT装置により同じ患部を撮像し、治療結果の血行動態を確認するという治療確認を行う。
【0003】
肝細胞癌のTACEでは、アンギオ装置とX線CT装置を繰り返し切り替えて患部を撮像するシーンがある。従来、アンギオ装置からX線CT装置に切り替えて患部を撮像する際に場合には、X線CT装置による本撮像(ダイナミック撮像)を開始する前に、撮像範囲を確定させるためのスキャノ撮像が行われ、続いて、本撮像が行われる。
【0004】
X線CT装置におけるスキャノ撮像における撮像時間は、例えば5秒程度、特に、デュアルスキャノ撮像では30秒から40秒程度かかり、スキャノ撮像を実行するためには、さらに待ち時間等が加わり、5分から8分程度を要する。TACEでは、X線CT装置による撮像を行うたびにスキャノ撮像を行うので、時間的なロスが大きくなるとともに、被検体の被ばく量が多くなることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-151068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、時間の短縮を図るとともに被ばく量を抑制することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のX線画像診断装置は、第1X線撮像装置と、第2X線撮像装置と、制御装置と、を持つ。第1X線撮像装置は、被検体の第1X線画像を撮像する。第2X線撮像装置は、前記被検体の第2X線画像を撮像する。制御装置は、前記第1X線画像に関する情報に基づいて、前記第1X線撮像装置による撮像後の前記被検体を撮像する際の前記第2X線撮像装置におけるX線照射条件を決定する決定部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態のX線画像診断装置1の構成の一例を示す図。
図2】X線照射条件の特性係数及びパラメータ係数の一例を示す図。
図3】テーブル位置の特性係数及びパラメータ係数の一例を示す図。
図4】第1の実施形態のX線画像診断装置1を用いてパラメータ係数を算出する処理の一例を示すフローチャート。
図5】第1の実施形態のX線画像診断装置1を用いて行われるIVR-CT治療の手順の一例を示すフローチャート。
図6】第2の実施形態のX線画像診断装置1を用いて行われるIVR-CT治療の手順の一例の一部を示すフローチャート。
図7】X線照射条件の特性係数及びパラメータ係数の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施形態のX線画像診断装置、X線画像の撮像制御方法、及びプログラムについて説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のX線画像診断装置1の構成の一例を示す図である。X線画像診断装置1は、例えば、IVR-CT治療に利用される。第1の実施形態のX線画像診断装置1は、例えば、アンギオ装置10と、X線CT装置20と、寝台装置30と、コンソール装置40と、を備える。
【0011】
アンギオ装置10は、例えば、IVR-CT治療における治療の際に利用される。アンギオ装置10は、X線画像が見ながら治療を行う医師が見る際のX線画像を生成する。アンギオ装置10は、画像下治療装置の一例である。アンギオ装置10は、例えば、X線発生部11と、X線検出部12と、支持機構13と、支持機構駆動部14と、投影画像生成部15とを備える。アンギオ装置10は、第1X線画像を撮像する第1X線撮像装置、他のX線画像を撮像する他のX線撮像装置の一例である。
【0012】
X線発生部11は、例えば、X線管と高電圧発生部とを有する。高電圧発生部は、コンソール装置40により出力されるX線照射条件に基づいて、X線撮像およびX線透視にそれぞれ適した管電圧の管電流をX線管に供給する。X線管は、高電圧発生部から供給された管電流と、高電圧発生部により印加された管電圧とに基づいて、X線の焦点からX線を照射する。
【0013】
X線検出部12は、X線発生部11により照射され、被検体Pを透過したX線を検出する。例えば、X線検出部12は、フラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector、以下、FPD)を有する。FPDは、複数の半導体検出素子を有する。半導体検出素子には、直接変換形と間接変換形とがある。
【0014】
直接変換形とは、入射X線を直接的に電気信号に変換する形式である。間接変換形とは、入射X線を蛍光体で光に変換しその光を電気信号に変換する形式である。X線の入射に伴って複数の半導体検出素子で発生された電気信号は、図示していないアナログデジタル変換器(Analog to Digital converter:以下、A/D変換器)に出力される。A/D変換器は、電気信号をデジタルデータに変換する。A/D変換器は、デジタルデータを、図示していない前処理部に出力する。なお、X線検出部12として、イメージインテンシファイア(Image Intensifier)が用いられてもよい。
【0015】
支持機構13は、X線発生部11とX線検出部12とを移動可能に支持する。具体的には、支持機構13は、例えば、Cアーム13AとCアーム支持部13Bとを有する。Cアーム13Aは、X線発生部11とX線検出部12とを、互いに向き合うように搭載する。なお、Cアーム13Aの代わりにΩアームが用いられてもよい。
【0016】
Cアーム支持部13Bは、そのC形状に沿う方向に、Cアーム13Aをスライド可能に支持する。Cアーム支持部13Bは、Cアーム13Aとの接続部を中心として、C形状に沿う方向に直交する方向に回転可能にCアームを支持する。Cアーム支持部13Bは、後述する寝台装置30における天板33の短軸方向(X方向)と長軸方向(Z方向)とに平行移動可能にCアーム13Aを支持することも可能である。Cアーム13Aは、X線発生部11とX線検出部12との距離(線源受像面間距離(SID:Source Image Distance)を変更可能に、X線発生部11とX線検出部12とを支持する。
【0017】
支持機構駆動部14は、コンソール装置40の制御のもとで、Cアーム13Aを駆動する。具体的には、支持機構駆動部14は、コンソール装置40からの制御信号に応じた駆動信号をCアーム支持部13Bに供給して、Cアーム13AをC形状に沿う方向にスライドさせ、またはC形状に沿う方向に直交する方向(尾頭方向(CRA)もしくは頭尾方向(CAU))に回転させる。X線透視時およびX線撮像時においては、X線発生部11とX線検出部12との間に、寝台装置30における天板に載置された被検体Pが配置される。
【0018】
支持機構駆動部14は、さらに、支持機構13をX方向及びZ方向に移動させる。支持機構駆動部14が支持機構13を移動させることにより、支持機構13は、支持機構駆動部14により、被検体Pを撮像可能な位置(以下、第1撮像位置)と、第1撮像位置からX方向またはZ方向に移動して退避した位置(以下、第1退避位置)との間で移動可能とされている。
【0019】
投影画像生成部15は、撮像位置においてX線撮像された後に前処理されたデジタルデータに基づいて、撮像画像を生成する。投影画像生成部15は、透視位置でX線透視された後に前処理されたデジタルデータに基づいて、透視画像を生成する。以下、撮像画像と透視画像とをまとめて投影画像という。投影画像生成部15は、生成した投影画像を、コンソール装置40に出力する。
【0020】
X線CT装置20は、アンギオ装置10により撮像したX線画像を見ながら医師が実行した治療の効果を確認するためのX線画像を撮像する。X線CT装置20は、例えば、X線管21と、ウェッジ22と、コリメータ23と、X線高電圧装置24と、X線検出器25と、データ収集システム(以下、DAS:Data Acquisition System)26と、回転フレーム27とを備える。X線管21、ウェッジ22、コリメータ23、X線高電圧装置24、X線検出器25、DAS26、及び回転フレーム27は、例えば架台(ガントリ)に収容されている。X線CT装置20は、第2X線撮像を撮像する第2X線撮像装置、被検体のX線画像を撮像するX線撮像装置の一例である。
【0021】
X線管21は、X線高電圧装置24からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生させる。X線管21は、真空管を含む。例えば、X線管21は、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管である。
【0022】
ウェッジ22は、X線管21から画像診断の対象となる被検体Pに照射されるX線量を調節するためのフィルタである。ウェッジ22は、X線管21から被検体Pに照射されるX線量の分布が予め定められた分布になるように、自身を透過するX線を減衰させる。ウェッジ22は、ウェッジフィルタ(wedge filter)、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。ウェッジ22は、例えば、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したものである。
【0023】
コリメータ23は、ウェッジ22を透過したX線の照射範囲を絞り込むための機構である。コリメータ23は、例えば、複数の鉛板の組み合わせによってスリットを形成することで、X線の照射範囲を絞り込む。コリメータ23は、X線絞りと呼ばれる場合もある。コリメータ23の絞り込み範囲は、機械的に駆動可能であってよい。
【0024】
X線高電圧装置24は、例えば、高電圧発生装置と、X線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器(トランス)および整流器などを含む電気回路を有し、X線管21に印加する高電圧を発生させる。X線制御装置は、X線管21に発生させるべきX線量に応じて高電圧発生装置の出力電圧を制御する。高電圧発生装置は、上述した変圧器によって昇圧を行うものであってもよいし、インバータによって昇圧を行うものであってもよい。X線高電圧装置24は、回転フレーム27に設けられてもよいし、架台の固定フレーム(不図示)の側に設けられてもよい。
【0025】
X線検出器25は、X線管21が発生させ、被検体Pを通過して入射したX線の強度を検出する。X線検出器25は、検出したX線の強度に応じた電気信号(光信号などでもよい)をDAS26に出力する。X線検出器25は、例えば、複数のX線検出素子列を有する。複数のX線検出素子列のそれぞれは、X線管21の焦点を中心とした円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたものである。複数のX線検出素子列は、スライス方向(列方向、row方向)に配列される。
【0026】
X線検出器25は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。それぞれのシンチレータは、シンチレータ結晶を有する。シンチレータ結晶は、入射するX線の強度に応じた光量の光を発する。グリッドは、シンチレータアレイのX線が入射する面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドは、コリメータ(一次元コリメータまたは二次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー:PMT)等の光センサを有する。光センサアレイは、シンチレータにより発せられる光の光量に応じた電気信号を出力する。X線検出器25は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であってもよい。
【0027】
DAS26は、例えば、増幅器と、積分器と、A/D変換器とを有する。増幅器は、X線検出器25の各X線検出素子により出力される電気信号に対して増幅処理を行う。積分器は、増幅処理が行われた電気信号をビュー期間に亘って積分する。A/D変換器は、積分結果を示す電気信号をデジタル信号に変換する。DAS26は、デジタル信号に基づく検出データをコンソール装置40に出力する。
【0028】
回転フレーム27は、X線管21、ウェッジ22、およびコリメータ23と、X線検出器25とを対向支持する円環状の部材である。回転フレーム27は、中央に円形の開口が形成された円形の両側面と、両側面の内側円同士を繋ぐ内側面と、両側面の外側円同士を繋ぐ外側面と、を備える円環状の部材である。回転フレーム27の両側面は平面であり、内側面及び外側面は曲面である。
【0029】
回転フレーム27は、不図示の固定フレームによって、内部に導入された被検体Pを中心として回転自在に支持される。回転フレーム27は、更にDAS26を支持する。DAS26が出力する検出データは、回転フレーム27に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から、光通信によって、架台に収容された非回転部分(例えば固定フレーム)に設けられたフォトダイオードを有する受信機に送信され、受信機によってコンソール装置40に転送される。なお、回転フレーム27から非回転部分への検出データの送信方法として、前述の光通信を用いた方法に限らず、非接触型の任意の送信方法を採用してよい。回転フレーム27は、X線管21などを支持して回転させることができるものであれば、円環状の部材に限らず、アームのような部材であってもよい。
【0030】
架台駆動機構28は、例えば、台車部と軌道部とを備える。台車部には、架台が搭載され、軌道部上を台車部が走行する。軌道部は、検査室内において、天板33の長手方向(Z方向)に沿って敷設されている。架台駆動機構28により架台を移動させることにより、被検体Pに形成されたボアの内側に導入される。
【0031】
架台におけるボアの内側は、被検体Pを撮像可能な位置(以下、第2撮像位置)であり、架台におけるボアの外側は、撮像位置から退避した位置(以下、第2退避位置)である。架台駆動機構28が架台を駆動することにより、架台は、第2撮像位置と第2退避位置の間を移動可能とされている。
【0032】
X線CT装置20は、例えば、X線管21とX線検出器25の双方が回転フレーム27によって支持されて被検体Pの周囲を回転するRotate/Rotate-TypeのX線CT装置(第3世代CT)であるが、これに限らず、円環状に配列された複数のX線検出素子が固定フレームに固定され、X線管21が被検体Pの周囲を回転するStationary/Rotate-TypeのX線CT装置(第4世代CT)であってもよい。
【0033】
寝台装置30は、スキャン対象となる被検体Pを載置して移動させる装置である。寝台装置30は、例えば、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、を備える。基台31は、天板33鉛直方向(Y軸方向)に移動可能に支持する筐体を含む。
【0034】
寝台駆動装置32は、モータやアクチュエータを含む。寝台駆動装置32は、コンソール装置40により出力されるテーブル位置の情報に基づいて、被検体Pが載置された天板33を、(Y方向)、天板33の長手方向(Z軸方向)及び幅方向(X方向)に移動させる。天板33は、被検体Pが載置される板状の部材である。
【0035】
コンソール装置40は、アンギオ装置10、X線CT装置20、及び寝台装置30を含むX線画像診断装置1の全体を制御する。コンソール装置40は、例えば、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路50とを有する。コンソール装置40は、投影画像に関する情報に基づいて、アンギオ装置10による撮像後の被検体Pを撮像する際のX線CT装置20におけるX線照射条件を決定する。コンソール装置40は、制御装置の一例である。コンソール装置40が備える各機能は、コンソール装置40から独立した他の装置、例えば、アンギオ装置10、X線CT装置20、または寝台装置30に対して設けられる各機器を制御する制御装置などが備えていてもよい。
【0036】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、投影画像、検出データ、投影データ、再構成画像データ、CT画像データ等を記憶する。これらのデータは、メモリ41ではなく(或いはメモリ41に加えて)、X線画像診断装置1が通信可能な外部メモリに記憶されてもよい。外部メモリは、例えば、外部メモリを管理するクラウドサーバが読み書きの要求を受け付けることで、クラウドサーバによって制御されるものである。
【0037】
メモリ41は、例えば、被検体Pのボリュームデータ、処理回路50により生成された投影画像、CT画像などを記憶する。メモリ41は、IVR-CT治療中にアンギオ装置10による投影画像の撮像が行われた際のX線発生部11のX線照射条件及び天板33のテーブル位置を記憶する。テーブル位置は、投影画像を撮像する際のアンギオ装置10に対する被検体Pの位置関係の一例である。
【0038】
メモリ41に記憶されるX線照射条件及びテーブル位置は、例えば、IVR-CT治療中にディスプレイ42ラストイメージホールド(Last Image Hold、以下、LIH)として表示される投影画像(以下、LIH投影画像)となる断面画像を撮像した際のX線発生部11におけるX線照射条件である。X線照射条件及びテーブル位置は、他のタイミングで断面撮像を撮像する際のX線照射条件及びテーブル位置でもよい。LIH投影画像は、例えばピクセルデータを含む。LIH投影画像には、例えば、X線照射条件及びテーブル位置などが付帯情報として付加される。
【0039】
メモリ41は、アンギオ装置10及びX線CT装置20のそれぞれにおけるX線照射条件の特性係数及びパラメータ係数を記憶する。図2は、X線照射条件の特性係数及びパラメータ係数の一例を示す図である。X線照射条件の特性係数は、アンギオ装置10及びX線CT装置20のそれぞれに設定され、X線照射条件のパラメータ係数は、アンギオ装置10におけるX線照射条件とX線CT装置20におけるX線照射条件を同定するためにX線CT装置20に対して設定される。
【0040】
X線照射条件の特性係数は、例えば、アンギオ装置10におけるX線発生部11のX線管またはX線CT装置20におけるX線管21に供給される電流の管電圧、管電流、パルス幅に各項目を含む。図2に示す特定係数及びパラメータ係数は、Cアーム13Aの回転角度が0度であるときの係数である。
【0041】
X線照射条件の特性係数及びパラメータ係数は、例えば、工場出荷時に設定され、定期メンテナンス時に更新される。X線照射条件の特性係数及びパラメータ係数は、その他のタイミングで更新されるものでもよいし、更新されないものでもよい。X線照射条件の特性係数及びパラメータ係数を設定する手順については、後に説明する。
【0042】
メモリ41は、アンギオ装置10及びX線CT装置20のそれぞれにおけるテーブル位置の特性係数及びパラメータ係数を記憶する。図3は、テーブル位置の特性係数及びパラメータ係数の一例を示す図である。ここでのテーブル位置の特性係数は、アンギオ装置10及びX線CT装置20のそれぞれに設定され、テーブル位置のパラメータ係数は、アンギオ装置10で被検体Pを撮像する際のテーブル位置とX線CT装置20で被検体Pを撮像する際のテーブル位置を同定するためにX線CT装置20に対して設定される。
【0043】
テーブル位置の特性係数は、例えば、アンギオ装置10及びX線CT装置20のそれぞれにおいて断面画像及びX線CT画像が撮像される際の天板33の高さ位置(Y方向位置)、縦方向位置(Z方向位置)、及び横方向位置(X方向位置)の各項目を含む。図3に示す特定係数及びパラメータ係数は、Cアーム13Aの回転角度が0度であるときの係数である。
【0044】
テーブル位置のパラメータ係数は、アンギオ装置10におけるX線発生部11のX線管に対する相対位置と、X線CT装置20におけるX線管21に対する相対位置との関係に基づいて算出される。通常、アンギオ装置10におけるX線発生部11のX線管は、被検体Pの下側からX線を照射することが多く、X線CT装置20におけるX線管21は、被検体Pの上側からX線を照射することが多い。このため、テーブル位置のパラメータ係数は、X線を照射する際のアンギオ装置10におけるX線発生部11のX線管及びX線CT装置20におけるX線管21の位置を考慮して設定されている。
【0045】
テーブル位置の特性係数及びパラメータ係数は、例えば、工場出荷時に設定され、定期メンテナンス時に更新される。テーブル位置の特性係数及びパラメータ係数は、その他のタイミングで更新されるものでもよいし、更新されないものでもよい。テーブル位置の特性係数及びパラメータ係数を算出する手順については、後に説明する。
【0046】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、15により送信された投影画像、処理回路50によって生成された医用画像(CT画像)、医師や技師などの操作者による各種操作を受け付けるGUI(Graphical User Interface)画像等を表示する。
【0047】
ディスプレイ42は、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。ディスプレイ42は、架台に設けられてもよい。ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40の本体部と無線通信可能な表示装置(例えばタブレット端末)でもよい。
【0048】
入力インターフェース43は、操作者による各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作の内容を示す電気信号を処理回路50に出力する。例えば、入力インターフェース43は、検出データまたは投影データを収集する際の収集条件、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件などの入力操作を受け付ける。
【0049】
入力インターフェース43は、例えば、マウスやキーボード、タッチパネル、トラッグボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、ダイヤル、カメラ、赤外線センサ、マイク等により実現される。入力インターフェース43は、コンソール装置40の本体部と無線通信可能な表示装置(例えばタブレット端末)により実現されてもよい。
【0050】
なお、本明細書において入力インターフェースはマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0051】
処理回路50は、アンギオ装置10及びX線CT装置20を含むX線画像診断装置1の全体の動作を制御する。処理回路50は、例えば、システム制御機能51と、取得機能52と、画像生成処理機能53と、決定機能54と、設定機能55とを備える。処理回路50は、例えば、ハードウェアプロセッサが記憶装置(記憶回路)に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0052】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU、GPU、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理デバイスまたは複合プログラマブル論理デバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイなどの回路を意味する。記憶装置にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。記憶装置は、非一時的(ハードウェアの)記憶媒体でもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。
【0053】
コンソール装置40または処理回路50が有する各構成要素は、分散化されて複数のハードウェアにより実現されてもよい。処理回路50は、コンソール装置40が有する構成ではなく、コンソール装置40と通信可能な処理装置によって実現されてもよい。処理装置は、例えば、一つのX線CT装置と接続されたワークステーション、或いは、複数のX線CT装置に接続され、以下に説明する処理回路50と同等の処理を一括して実行する装置(例えばクラウドサーバ)である。処理回路50に含まれる各機能は、複数の回路に分散されていてもよいし、メモリ41に記憶されたアプリケーションソフトを起動させることで利用可能となるようにしてもよい。
【0054】
システム制御機能51は、入力インターフェース43が受け付けた入力操作等に基づいて、処理回路50の各種機能を制御することにより、アンギオ装置10、X線CT装置20、及び寝台装置30を含むX線画像診断装置1の全体を制御する。システム制御機能51は、例えば、IVR-CT治療を実行する際のアンギオ装置10やX線CT装置20の移動や撮像、寝台装置30の移動などを制御する。
【0055】
システム制御機能51は、例えば、ワークフローに設定された撮像条件、あるいは決定機能54により決定された撮像条件に基づいて、アンギオ装置10におけるX線発生部11のX線管やX線CT装置20におけるX線管21により照射させるX線を制御する。撮像条件は、例えば、X線照射条件及び投影画像やCT画像を撮像する際のテーブル位置を含む。
【0056】
IVR-CT治療を実行する際、システム制御機能51は、例えば、アンギオ装置10におけるX線発生部11のX線管及びX線CT装置20におけるX線管21のX線管のX線照射条件を制御する。さらに、システム制御機能51は、例えば、寝台装置30における天板33のテーブル位置を制御する。
【0057】
システム制御機能51は、X線照射条件及びテーブル位置をメモリ41に記憶させ、例えば、システム制御機能51は、LIH投影画像を撮像する際のX線発生部11のX線管のX線照射条件及び天板33のテーブル位置をメモリ41に記憶させる。システム制御機能51は、アンギオ装置10における投影画像の撮像条件のリソースをX線CT装置20と共有させる。
【0058】
リソースの共有は、例えば、メモリ空間上で実現してよく、LIH投影画像のピクセルデータは、アンギオ装置10及びX線CT装置20の双方のビデオメモリ空間にマップで見るようにしてよい。それ以外のデータは、例えば、DICOM形式でメモリ空間上に配置してよい。
【0059】
リソースの共有は、排他的なものとしてよい。この場合、アンギオ装置10における撮像が完了した後にリソースの占有権をアンギオ装置10からX線CT装置20に移行させ、X線CT装置20におけるCT画像の撮像画像の完了した後にリソースの占有権をX線CT装置20からアンギオ装置10に移行させてよい。
【0060】
取得機能52は、IVR-CT治療中にアンギオ装置10の投影画像生成部15により生成された投影画像を取得する。取得機能52は、取得した投影画像をメモリ41に記憶させる。取得機能52は、X線CT装置20のDAS26により出力された検出データを取得する。取得機能52は、取得した検出データをメモリ41に記憶させる。
【0061】
取得機能52は、IVR-CT治療中に被検体Pを撮像する装置をアンギオ装置10からX線CT装置20に移行させる際に、メモリ41に記憶されたX線発生部11のX線管のX線照射条件及び天板33のテーブル位置を読み出して取得する。取得機能52は、例えば、LIH投影画像を撮像する際のX線照射条件及びテーブル位置を読み出して取得する。取得機能52は、取得部の一例である。
【0062】
画像生成処理機能53は、投影画像生成部15により生成された投影画像やメモリ41に記憶された被検体Pのボリュームデータ等に基づいて、投影画像上の指定位置を含む断面画像を生成する。画像生成処理機能53は、DAS26により出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を行って、投影データを生成する。画像生成処理機能53は、生成した投影データをメモリ41に記憶させる。
【0063】
画像生成処理機能53は、前処理して生成した投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等による再構成処理を行って、変換前CT画像を生成する。画像生成処理機能53は、生成した変換前CT画像をメモリ41に記憶させる。画像生成処理機能53は、入力インターフェース43が受け付けた入力操作に基づいて、変換前CT画像を公知の方法により、三次元画像や任意断面の断面像データであるCT画像に変換する。三次元画像への変換は、前処理の段階で行われてもよい。
【0064】
決定機能54は、アンギオ装置10により撮像されメモリ41に記憶された投影画像に関する情報に基づいて、アンギオ装置10による撮像後の被検体Pを撮像する際のX線CT装置20におけるX線管21のX線照射条件を決定する。決定機能54は、例えば、IVR-CT治療において、被検体Pを撮像する装置をアンギオ装置10からX線CT装置20に移行させる際にX線管21のX線照射条件を決定する。投影画像に関する情報は、例えば、X線照射条件及びテーブル位置の情報を含む。決定機能54は、決定部の一例である。
【0065】
決定機能54は、さらに、メモリ41に記憶されたパラメータ係数に基づいて、アンギオ装置10により投影画像を撮像した際の撮像条件(以下、投影画像撮像条件)を、X線CT装置20におけるCT画像を撮像する際の撮像条件(以下、CT画像撮像条件)に変換する。CT画像撮像条件は、従来のX線CT装置では、スキャノ画像により得られた条件である。
【0066】
設定機能55は、IVR-CT治療に利用されるX線照射条件及びテーブル位置のパラメータ係数を算出する。設定機能55は、算出したパラメータ係数をメモリ41に記憶させる。設定機能55は、オペレータの操作に応じて、パラメータ係数を工場出荷時に設定し、メンテナンス時に更新する。
【0067】
続いて、第1の実施形態のX線画像診断装置1におけるX線照射係数及びテーブル位置のパラメータ係数を算出する処理について説明する。X線照射係数及びテーブル位置のパラメータ係数は、例えば、人体ファントム(以下、ファントム)にX線を照射した投影画像やX線CT画像を利用することにより算出される。図4は、第1の実施形態のX線画像診断装置1を用いてパラメータ係数を算出する処理の一例を示すフローチャートである。パラメータ係数を算出する処理は、例えば、オペレータがX線画像診断装置1を操作することにより実行される。
【0068】
パラメータ係数を算出するにあたり、アンギオ装置10における支持機構13は第1退避位置に位置し、X線CT装置20における架台は第2退避位置に位置している。オペレータは、まず、寝台装置30の天板33にファントムを載置する(ステップS101)。続いて、オペレータは、入力インターフェース43を操作してアンギオ装置10における支持機構駆動部14に支持機構13を第1撮像位置に移動させることにより、アンギオ装置10をセットする(ステップS103)。
【0069】
アンギオ装置10がセットされると、設定機能55は、アンギオ装置10におけるX線照射条件及びテーブル位置を調整して(ステップS105)設定する。アンギオ装置10では、X線発生部11によりX線が照射される前に、初期設定またはオペレータの入力操作に応じて調整されたたテーブル位置に基づいて、寝台装置30における天板33の高さ位置、縦方向位置、及び横方向位置が調整される。
【0070】
続いて、オペレータは、初期設定またはオペレータ自らの入力操作に応じて調整されたX線照射条件によるX線を、ファントムに向けてX線発生部11に照射させる。X線発生部11により照射されたX線は、X線検出部12により検出される。X線検出部12は、検出したX線に基づく電気信号を投影画像生成部15に出力する。投影画像生成部15は、出力された電気信号に基づいて投影画像を生成し(ステップS107)、コンソール装置40に出力する。
【0071】
一方、オペレータは、投影画像における観察領域や対象領域(Region Of Interest:以下、ROI)を予め指定して定めておく。設定機能55は、指定された観察領域およびROIの画素値(画素レベル)を測定する(ステップS109)。続いて、設定機能55は、測定した画素値が投影画像に対する目標画素値に到達しているか否かを判定する(ステップS111)。
【0072】
設定機能55は、測定された画素値が目標画素値に到達していないと判定された場合、処理をステップS105に戻す。アンギオ装置10では、測定された画素値が目標画素値に到達したと判定するまでステップS105からステップS111の処理が繰り返され、X線照射条件を連続的に調整しながら投影画像の画質を調整する。
【0073】
測定された画素値が目標画素値に到達したと設定機能55が判定した場合、システム制御機能51は、X線発生部11によるX線の照射を終了する。このとき、ディスプレイ42には、LIH投影画像が表示されている。設定機能55は、LIH投影画像を撮像する際の投影条件及びテーブル位置に基づいて、アンギオ装置10の特性係数を算出して決定し(ステップS113)、決定した特性係数を設定する。
【0074】
アンギオ装置10の特性係数が設定されたら、システム制御機能51は、オペレータの入力操作に応じて、アンギオ装置10を第1撮像位置から第1退避位置に退避させる(ステップS115)。さらに、システム制御機能51は、X線CT装置20における架台駆動機構28に架台を第2退避位置から第2撮像位置に移動させることにより、X線CT装置20をセットする(ステップS117)。
【0075】
X線CT装置20がセットされると、設定機能55は、X線CT装置20におけるX線照射条件及びテーブル位置を調整する(ステップS119)。X線CT装置20では、X線管21によりX線が照射される前に、テーブル位置の調整に基づいて、寝台装置30における天板33の高さ位置、縦方向位置、及び横方向位置が調整される。
【0076】
続いて、オペレータは、調整されたX線照射条件によるX線を、ファントムに向けてX線管21に照射させる。X線管21により照射されたX線は、X線検出器25により検出される。X線検出器25は、検出したX線に基づく電気信号を画像生成処理機能53に出力する。画像生成処理機能53は、出力された電気信号に基づいてCT画像を生成し(ステップS121)、メモリ41に記憶させる。
【0077】
続いて、設定機能55は、投影画像の場合と同様にして、CT画像における予め定められた観察領域およびROIの画素値を測定する(ステップS123)。続いて、設定機能55は、測定した画素値がCT画像に対する目標画素値に到達しているか否かを判定する(ステップS125)。CT画像に対する目標画素値は、投影画像に対する目標画素値との差が規定範囲内となる値である。規定範囲は、どのような値でもよく、0でもよいし、0を超える値でもよい。規定範囲が0の場合には、投影画像に対する目標画素値とCT画像に対する目標画素値が一致する。
【0078】
設定機能55は、測定された画素値が目標画素値に到達していないと判定した場合、処理をステップS119に戻す。X線CT装置20では、測定された画素値が目標画素値に到達したと判定するまでステップS119からステップS125の処理が繰り返され、X線照射条件を連続的に調整しながら投影画像の画質を調整する。
【0079】
測定された画素値が目標画素値に到達したと判定した場合、設定機能55は、生成したCT画像を撮像した際の投影条件及びテーブル位置に基づいて、X線CT装置20の特性係数を算出して決定し(ステップS127)、決定した特性係数を設定する。続いて、設定機能55は、設定したアンギオ装置10の特定係数及びX線CT装置20の特定係数に基づいて、パラメータ係数を算出し(ステップS129)、算出したパラメータ係数を設定する。
【0080】
従来のIVR-CT治療では、アンギオ装置及びX線CT装置において、投影画像撮像条件及びCT画像撮像条件をそれぞれ調整しながら、目標画素値に到達するまで投影画像及びCT画像の画素値を調整する。例えば、IVR-CT治療を行う従来のアンギオ装置では、観察領域やROI(以下、対象部位)の画素値が目標画素値に到達するまで、管電圧、管電流、パルス幅を連続的に調整しながら投影画像の画質を調整する。
【0081】
従来のアンギオ装置では、支持機構におけるCアーム13Aが回転を伴う場合においても、その調整が働いている。さらに、従来のアンギオ装置における投影画像の画素値が目標画素値となったときには、例えば、管電圧、管電流、パルス幅、アーム角度(Cアーム13Aの回転角度)、照射方向を含む投影画像撮像条件の情報が保持される。
【0082】
一方、従来のIVR-CTにおけるX線CT装置においては、本撮像(ダイナミック撮像)が実行される前にスキャノ撮像を実行し、被検体Pの体厚、対象部位、撮像領域等を確定しながら、本撮像時の撮像条件を決定する。従来のX線CT装置におけるX線管による本撮像時の撮像条件は、IVR-CTによるTACEの手技の場合では、同一の被検体における同一の部位において、患者となる被検体Pは、アンギオ装置10による治療とX線CT装置20による治療確認とを行う間、天板33の上でほぼ動くことがない。
【0083】
このため、アンギオ装置におけるX線管と、X線CT装置におけるX線管の特性を差し引くことにより、アンギオ装置における直前の撮像の際に設定された投影画像撮像条件をX線CT装置による撮像の際に設定するCT画像撮像条件に変換できると考えられる。
【0084】
そこで、実施形態のX線画像診断装置1において、ファントムをアンギオ装置10及びX線CT装置20でそれぞれ撮像し、目標画素値となった際のX線照射条件について特性係数を比較することにより、パラメータ係数を算出できる。特性係数及びパラメータ係数は、例えば、Cアーム13Aの回転角度ごとに設定してよい。
【0085】
具体的に、例えば、X線照射条件に関する特定係数として、図2に示すように、アンギオ装置10について、管電圧特定係数An_kV、管電流特定係数An_mA、パルス幅特定係数An_mSecとする。また、X線CT装置20について、管電圧特定係数CT_kV、管電流特定係数CT_mA、パルス幅特定係数CT_mSecとする。
【0086】
これらの特定係数を用いて算出されるX線照射条件のパラメータ係数f(pkV,pmA,pmSec)の各要素は、例えば、下記(1)式~(3)式により示すことができる。
pkV=CT_kV/An_kV ・・・(1)
pmA=CT_mA/An_mA ・・・(2)
pmSec=CT_mSec/An_mSec ・・・(3)
【0087】
例えば、ファントムを撮像した投影画像及びCT画像における対象領域の画素値がいずれも目標画素値(=128)となるときのアンギオ装置10における管電圧特定係数An_kV(=70)、X線CT装置20における管電圧特定係数CT_kV(=60)であるとする。この場合の管電圧パラメータ係数pkVは、下記(4)式により示すことができる。
pkV=CT_kV(60)/An_kV(70)=60/70 ・・・(4)
【0088】
同様にして、管電流パラメータ係数pmA、パルス幅パラメータ係数pmSecを算出することができる。さらに、テーブル位置に関する特定係数として、図3に示すように、アンギオ装置10について、高さ位置特定係数An_tblPos、縦方向位置特定係数An_V、横方向位置特定係数An_Hとする。また、X線CT装置20の特性係数として、高さ位置特定係数CT_tblPos、縦方向位置特定係数CT_V、横方向位置特定係数CT_Hとする。
【0089】
これらの特定係数を用いて算出されるテーブル位置のパラメータ係数f(ptblPosV,pV,pH)の各要素は、例えば、下記(5)式~(7)式により示すことができる。
pAn_tblPos=CT_tblPos/An_tblPos ・・・(5)
pV=CT_V/An_V ・・・(6)
pH=CT_H/An_H ・・・(7)
【0090】
こうして、パラメータ係数が算出されることにより、図4に示す処理が終了する。
【0091】
続いて、第1の実施形態のX線画像診断装置1を用いて行われるIVR-CT治療の手順について説明する。IVR-CT治療は、第1の実施形態のX線画像診断装置1を操作する技師などのアシスタント及び医師等により実行される。IVR-CT治療は、ワークフローに沿って実行され、ワークフローには、複数の治療が設定されている。
【0092】
ワークフローでは、例えば、アンギオ装置10による治療を行った後、X線CT装置20による治療の効果の確認が計画される。アンギオ装置10が実行した透視や撮像データには、例えば、LIH投影画像のピクセルデータ及びそのピクセルデータに関する被検体Pの患者情報、検査に関する検査情報のほか、撮像部位、X線管の管電流、管電圧、寝台装置30における天板33の位置、Cアーム13Aの回転角度等の情報が含まれる。
【0093】
これらの情報は、常時リソース共有については、メモリ41におけるメモリ空間上に存在させ、アンギオ装置10側の都合、例えばアンギオ装置10により投影画像が生成されたときや一定周期などで常時上書き更新される。続いて、アンギオ装置10の退避開始のタイミングでメモリ空間上の占有権をアンギオ装置10からX線CT装置20に移行させる。
【0094】
X線CT装置20は、例えば、コンソール装置40のビデオメモリに共有されたメモリ空間上のLIH投影画像のピクセルデータをディスプレイ42に表示させる。コンソール装置40は、LIH投影画像の付帯情報をX線CT装置20に利用し、X線CT装置20に対する寝台装置30の天板33の相対的な位置を特定する。
【0095】
アンギオ装置10とX線CT装置20では、寝台座標系が共通であるため、X線CT装置20では、画像の拡大率、寝台の縦方向位置、横方向位置、高さから肝臓の上端と下端はカバー可能な範囲を特定できる。このため、X線CT装置20における独立したスキャノ撮像を省略できるので、スキャノ撮像し試し取り等の時間がかかる準備作業を削減することができる。
【0096】
一方、X線CT装置20におけるCT画像撮像条件は、メモリ41における共有メモリ空間上から読み出されたアンギオ装置10の投影画像撮像条件に基づいて設定する。X線CT装置20における撮像にあたり、X線CT装置20における直前の撮像時の札上場権を利用できる場合には、その条件を再利用してもよい。
【0097】
ワークフローでは、1の治療に対する治療目標が達成されると次の治療が開始され、全ての治療に対する治療目標が達成されることで、IVR-CT治療が完了する。図5は、第1の実施形態のX線画像診断装置1を用いて行われるIVR-CT治療の手順の一例を示すフローチャートである。
【0098】
IVR-CT治療を行うにあたり、アンギオ装置10における支持機構13は第1退避位置に位置し、X線CT装置20における架台は第2退避位置に位置している。まず、アシスタントは、寝台装置30の天板33に患者となる被検体Pを載置する(ステップS201)。続いて、アシスタントは、入力インターフェース43を操作してアンギオ装置10における支持機構駆動部14に支持機構13を第1撮像位置に移動させることにより、アンギオ装置10をセットする(ステップS203)。
【0099】
アンギオ装置10がセットされると、設定機能55は、アンギオ装置10におけるX線照射条件及びテーブル位置を調整する(ステップS205)。アンギオ装置10では、X線発生部11によりX線が照射される前に、初期設定またはアシスタントの入力操作に応じて調整されたテーブル位置に基づいて、寝台装置30における天板33の高さ位置、縦方向位置、及び横方向位置が調整される。
【0100】
続いて、アシスタントは、初期設定または自らの入力操作に応じて調整されたX線照射条件によるX線を、被検体Pに向けてX線発生部11に照射させる。X線発生部11により照射されたX線は、X線検出部12により検出される。X線検出部12は、検出したX線に基づく電気信号を投影画像生成部15に出力する。投影画像生成部15は、出力された電気信号に基づいて投影画像を生成して、コンソール装置40に出力する。コンソール装置40は、出力された投影画像を取得機能52により取得する。取得機能52は、取得した投影画像をメモリ41に記憶させる。
【0101】
この間、アシスタントは、投影画像における観察領域やROIを設定しておく。コンソール装置40は、決定機能54において、観察領域およびROIの画素値(画素レベル)を測定し、測定した画素値が目標画素値に到達しているか否かを判定する(ステップS207)。
【0102】
決定機能54は、測定された画素値が目標画素値に到達していないと判定された場合、処理をステップS205に戻す。アンギオ装置10では、測定された画素値が目標画素値に到達したと判定するまでステップS205からステップS207の処理が繰り返され、X線照射条件を連続的に調整しながら投影画像の画質を調整する。
【0103】
測定された画素値が目標画素値に到達したと決定機能54が判定した場合、システム制御機能51は、X線発生部11によるX線の照射を終了する。このとき、ディスプレイ42には、LIH投影画像が表示されている。医師は、ディスプレイ42に表示された投影画像を見ながら、被検体Pに対する治療を実行する(ステップS209)。
【0104】
続いて、医師は、ワークフローに従い、治療目標を達成したか否かを判定する(ステップS211)。医師は、治療目標が達成されていないと判定した場合には、処理をステップS209に戻す。医師は、治療目標を達成するまでステップS209及びステップS211の処理を繰り返す。
【0105】
治療目標を達成したと医師が判定した場合、決定機能54は、LIH投影画像を撮像する際のX線照射条件及びテーブル位置(以下、LIH撮像条件)をメモリ41に記憶させることにより保持する(ステップS213)。続いて、システム制御機能51は、ワークフローに従い、アンギオ装置10を第1撮像位置から第1退避位置に退避させる(ステップS215)。続いて、システム制御機能51は、X線CT装置20における架台駆動機構28に架台を第2退避位置から第2撮像位置に移動させることにより、X線CT装置20をセットする(ステップS217)。
【0106】
続いて、取得機能52は、メモリ41に記憶されたLIH撮像条件及びパラメータ係数を読み出す。決定機能54は、取得機能52により読み出されたパラメータ係数及びLIH撮像条件を用いて、X線CT装置20におけるX線管21によりX線を被検体Pに照射する際のX線照射条件として推奨される推奨X線照射条件を算出する。決定機能54は、X線管21によりX線を被検体Pに照射する際のX線照射条件を推奨X線照射条件に設定する(ステップS219)。
【0107】
決定機能54は、例えば、次の手順で推奨X線照射条件及び推奨テーブル位置を算出する。例えば、メモリ41に記憶されたLIH撮像条件は、LIH投影画像を撮像する際の管電圧An_kV(LIH)、管電流An_mA(LIH)、パルス幅An_mSec(LIH)、天板33の高さ位置An_tblPos(LIH)、縦方向位置An_V(LIH)、横方向位置An_H(LIH)を含む。
【0108】
決定機能54は、例えば、推奨X線照射条件として、推奨管電流CT_mA(re)、推奨管電圧CT_kV(re)、及び推奨パルス幅CT_mSec(re)を下記(8)式から(10)式により算出する。
CT_kV(re)=pkV・An_kV(LIH) ・・・(8)
CT_mA(re)=pmA・An_mA(LIH) ・・・(9)
CT_mSec(re)=pmSec・An_mSec(LIH) ・・・(10)
【0109】
上記(8)式から(10)式に代えて、X線照射条件のパラメータ係数を利用して、例えば下記(11)式によりX線CT装置20におけるX線管21の推奨管電圧CT_kV(re)、推奨管電流CT_mA(re)、推奨パルス幅CT_mSec(re)を求めてもよい。
CT_kV(re),CT_mA(re),CT_mSec(re)
=f(pkV,pmA,pmSec)
・(An_kV,An_mA,An_mSec) ・・・(11)
【0110】
決定機能54は、テーブル位置のパラメータ係数を利用して、アンギオ装置10により投影画像が撮像される対象領域と、X線CT装置20によりC画像が撮像される領域が一致するように、天板33のテーブル位置を決定する(ステップS221)。システム制御機能51は、決定機能54により決定された位置に天板33を移動させる。
【0111】
続いて、システム制御機能51は、決定機能54により設定された推奨X線照射条件で照射されるX線を、被検体Pに向けてX線管21に照射させる。X線管21により照射されたX線は、X線検出器25により検出される。X線検出器25は、検出したX線に基づく電気信号をコンソール装置40に出力する。コンソール装置40は、画像生成処理機能53において、出力された電気信号に基づいてCT画像を生成する。画像生成処理機能53は、生成したCT画像をディスプレイ42に表示させる。
【0112】
医師は、ディスプレイ42に表示されたCT画像を見ながら治療の状況を判定し、治療効果が確認されたか否かを判定する(ステップS223)。治療効果が確認されないと判定した場合、医師は、処理をステップS203に戻し、X線CT装置20を退避させ、アンギオ装置10をセットして、アンギオ装置10による治療を再開する。
【0113】
治療効果が確認されたと医師が判定した場合、アシスタントは、ワークフローを参照し、ワークフローに設定されたすべての検査が完了したか否かを判定する(ステップS225)。ワークフローに設定されたすべての検査が完了していないと判定した場合、アシスタントは、処理をステップS203に戻し、ワークフローに従い、次の検査を開始する。ワークフローに設定されたすべての検査が完了していないと判定した場合、アシスタントは、図5に示す処理を終了する。
【0114】
第1の実施形態のX線画像診断装置1は、IVR-CT治療において、投影画像撮像条件に含まれるアンギオ装置10により投影画像を撮像した際のX線照射条件に基づいて、CT画像撮像条件に含まれるX線CT装置20におけるX線照射条件を決定する。このため、アンギオ装置10により実行された治療の効果をX線CT装置20により確認する際に、スキャノ画像の生成を省略することができる。したがって、X線画像診断装置1によりIVR-CT治療を行う際の時間の短縮を図るとともに被ばく量を抑制することができる。
【0115】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態のX線画像診断装置では、X線CT装置20において、1つのX線照射条件を生成したが、第2の実施形態では、複数、例えば2つのX線照射条件を決定する。X線CT装置20は、複数のX線照射条件を利用して、CT画像を撮像する。
【0116】
第2の実施形態のX線画像診断装置1において決定されるX線照射条件は、被検体を第1方向からX線を照射してCT画像を撮像する際の第1X線照射条件と、被検体を第2方向からX線を照射してCT画像を撮像する際の第2X線照射条件とを含む。その他の点は、上記第1の実施形態と共通である。
【0117】
第1方向及び第2方向は、例えば、従来のX線CT装置において、いわゆるデュアルスキャノ撮像により撮像される2つのスキャノ画像を生成する際に、それぞれ被検体PにX線を照射する方向である。第2の実施形態において、決定機能54は、X線CT装置20により被検体Pを第1方向及び第2方向の複数の方向から撮像する際のそれぞれの第1X線照射条件及び第2X線照射条件を決定する。X線を照射する方向は、X線画像を撮像する方向に相当する。
【0118】
図6は、第2の実施形態のX線画像診断装置1を用いて行われるIVR-CT治療の手順の一例の一部を示すフローチャートである。X線画像診断装置1において、IVR-CT治療を行う際には、まず、第1の実施形態と同様、図5に示すステップS201からステップS217までの処理を実行する。
【0119】
続いて、取得機能52は、メモリ41に記憶されたLIH撮像条件及びパラメータ係数を読み出す。決定機能54は、取得機能52により読み出されたパラメータ係数及びLIH撮像条件を用いて、X線CT装置20におけるX線管21により第1方向からX線を被検体Pに照射する際の第1X線照射条件として推奨される第1推奨X線照射条件を算出する。第1推奨X線照射条件は、例えば、第1の実施形態における推奨X線照射条件と共通する。決定機能54は、X線管21によりX線を被検体Pに照射する際の第1X線照射条件を第1推奨X線照射条件に設定する(ステップS301)。
【0120】
第2の実施形態におけるメモリ41は、アンギオ装置10及びX線CT装置20のそれぞれにおけるX線照射条件の特性係数及びパラメータ係数を記憶する。図7は、X線照射条件の特性係数及びパラメータ係数の一例を示す図である。X線照射条件の特性係数は、アンギオ装置10に1つ、X線CT装置20に2つ(第1特性係数及び第2特定係数)設定される。X線照射条件のパラメータ係数として、X線CT装置20における第1特性係数及び第2特定係数に対応する第1パラメータ係数及び第2パラメータ係数が設定される。
【0121】
図7に示す特定係数及びパラメータ係数は、第1の実施形態と同様、Cアーム13Aの回転角度が0度であるときの係数である。X線照射条件の特性係数及びパラメータ係数は、例えば、工場出荷時に設定され、定期メンテナンス時に更新される。X線照射条件の特性係数及びパラメータ係数は、その他のタイミングで更新されるものでもよいし、更新されないものでもよい。
【0122】
ステップS217において、X線CT装置をセットした後、X線画像診断装置1は、決定機能54において、取得機能52により読み出されたパラメータ係数及びLIH撮像条件を用いて、X線CT装置20におけるX線管21により第2方向からX線を被検体Pに照射する際の第1X線照射条件として推奨される第1推奨X線照射条件を算出する。決定機能54は、X線管21によりX線を被検体Pに照射する際の第1X線照射条件を第1推奨X線照射条件に設定する(ステップS301)。
【0123】
続いて、決定機能54は、取得機能52により読み出されたパラメータ係数及びLIH撮像条件を用いて、X線CT装置20におけるX線管21によりX線を被検体Pに照射する際の第2X線照射条件として推奨される第2推奨X線照射条件を算出する。決定機能54は、X線管21によりX線を被検体Pに照射する際の第2X線照射条件を第2推奨X線照射条件に設定する(ステップS303)。
【0124】
続いて、決定機能54は、テーブル位置のパラメータ係数を利用して、アンギオ装置10により投影画像が撮像される対象領域と、X線CT装置20によりC画像が撮像される領域が一致するように、天板33のテーブル位置を決定する(ステップS221)。以後、第1の実施形態と同様の処理を実行し、X線画像診断装置1は、図6に示す処理を終了する。
【0125】
第2の実施形態のX線画像診断装置1は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。また、第2の実施形態のX線画像診断装置1は、X線CT装置20により被検体Pを第1方向及び第2方向の複数の方向から撮像する際のそれぞれの第1X線照射条件及び第2X線照射条件を決定する。このため、従来デュアルスキャノ撮像によりスキャノ画像を撮像していたX線CT装置に対して、スキャノ撮像を省くことができる。したがって、デュアルスキャノ撮像に要する時間やデュアルスキャノ撮像による被ばく量を低減することができる。
【0126】
従来のアンギオ装置及びX線CT装置を備えるX線画像診断装置において、IVR-CT治療を行うにあたり、アンギオ装置による治療が終了した後、X線CT装置により治療の効果を確認するために、スキャノ撮像を行う。スキャノ撮像は、例えば、治療効果の確認を行うたびに実行されるので、例えば、5回の治療及び治療効果の確認を実行するワークフローでは、5回分のスキャノ撮像が実行され、その分の被ばく量及び撮像時間を要してしまう。さらに、例えば、通常のスキャノ撮像では、1回の撮像に5秒程度の時間を要するが、デュアルスキャノ撮像では、約30秒から40秒の時間を要し、さらに60秒程度の回転待ち時間が生じる。
【0127】
この点、第2の実施形態のX線画像診断装置1では、X線CT装置20による撮像前のデュアルスキャノ撮像を省略できるので、従来のX線画像診断装置と比較して、500秒(=8分20秒)程度のCT画像(デュアルスキャノ画像)の撮像を省略できるので、被検体の被ばく量を大幅に少なくし、治療時間を大幅に短縮することができる。
【0128】
上記各実施の形態では、X線照射条件として、管電流、管電圧、及びパルス幅を対象とするが、X線照射条件は、これらの中の一部を対象としてもよいし、他の条件を対象としてもよい。例えば、X線CT装置では、X線を連続的に照射するので、パルス幅に関しては管電流で調整し、パルス幅を対象から除いてもよい。あるいは、X線照射条件にアンギオ装置10におけるCアーム13Aのアーム角度やX線管によるX線の照射方向を加えてもよい。
【0129】
このため、例えば、パルス幅特定係数CT_mSecに代えて、天板33の移動速度に対する特定係数及びパラメータ係数を設定してもよい。この場合、アンギオ装置10では、線量の大きさを管電流及びパルス幅で調整し、X線CT装置20では、線量の大きさを管電流及び天板33の移動速度で調整することとなる。
【0130】
また、アンギオ装置10とX線CT装置20ではX線検出器(X線検出部12、X線検出器25)が異なるので、X線CT装置20におけるパラメータ係数に対して、ゲインを設定してもよい。ゲインとは、例えば、X線検出器により出力される電気信号にかける係数である。ただし、ゲインを設定した場合には、ノイズ成分及び信号成分のそれぞれをゲインで強調することとなるので、ゲインは上げすぎないようにしてよい。
【0131】
また、アンギオ装置10では、被検体Pの下側からX線を照射する(アンダーチューブ)ことが多く、X線CT装置20では、被検体Pの上側からX線を照射する(オーバーチューブ)ことが多い。このため、アンギオ装置10とX線CT装置20では、X線管から被検体Pにおける対象領域までの距離(被検体Pの体厚)が異なること多いので、例えば、被検体Pを通過することによるX線の減衰を考慮して特定係数及びパラメータ係数を設定してよい。
【0132】
また、上記各実施の形態では、LIH投影画像を利用してパラメータ係数を決定したり推奨X線照射条件等を算出したりするが、LIH投影画像以外の画像を利用してもよい。例えば、アンギオ装置10における過去の回転DA(digital angiography)や回転DSA(Digital Subtraction Angiography)撮像時の投影画像を利用してもよい。
【0133】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、被検体の第1X線画像を撮像する第1X線撮像装置と、前記被検体の第2X線画像を撮像する第2X線撮像装置と、前記第1X線画像に関する情報に基づいて、前記第1X線撮像装置による撮像後の前記被検体を撮像する際の前記第2X線撮像装置におけるX線照射条件を決定する決定部を含む制御装置と、を持つことにより、時間の短縮を図るとともに被ばく量を抑制することができる。
【0134】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0135】
1…X線画像診断装置
10…アンギオ装置
11…X線発生部
12…X線検出部
13…支持機構
13A…Cアーム
13B…Cアーム支持部
14…支持機構駆動部
15…投影画像生成部
20…X線CT装置
21…X線管
22…ウェッジ
23…コリメータ
24…X線高電圧装置
25…X線検出器
26…DAS
27…回転フレーム
28…架台駆動機構
30…寝台装置
31…基台
32…寝台駆動装置
33…天板
40…コンソール装置
41…メモリ
42…ディスプレイ
43…入力インターフェース
50…処理回路
51…システム制御機能
52…取得機能
53…画像生成処理機能
54…決定機能
55…設定機能
P…被検体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7