IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2024-161796ショベル、及びショベルの遠隔操作システム
<>
  • -ショベル、及びショベルの遠隔操作システム 図1
  • -ショベル、及びショベルの遠隔操作システム 図2
  • -ショベル、及びショベルの遠隔操作システム 図3
  • -ショベル、及びショベルの遠隔操作システム 図4A
  • -ショベル、及びショベルの遠隔操作システム 図4B
  • -ショベル、及びショベルの遠隔操作システム 図5
  • -ショベル、及びショベルの遠隔操作システム 図6
  • -ショベル、及びショベルの遠隔操作システム 図7
  • -ショベル、及びショベルの遠隔操作システム 図8
  • -ショベル、及びショベルの遠隔操作システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161796
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】ショベル、及びショベルの遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/43 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
E02F3/43 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076825
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】本田 圭二
(72)【発明者】
【氏名】平手 奨二
(72)【発明者】
【氏名】佐野 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 将
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA01
2D003BA02
2D003BB05
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
(57)【要約】
【課題】操作者の操作負担を軽減する。
【解決手段】一態様に係るショベルは、下部走行体と、前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられたブームと、前記ブームに取り付けられたアームと、前記アームに取り付けられたエンドアタッチメントと、前記エンドアタッチメントの姿勢に関する検出情報を出力する姿勢検出部と、操作者から受け付けた操作に従って、前記ブーム及び前記アームのうちいずれか一つ以上の動作を制御すると共に、前記エンドアタッチメントに形成された面で、地表面に接するように、前記検出情報に基づいて前記エンドアタッチメントの姿勢を制御する制御装置と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられたブームと、
前記ブームに取り付けられたアームと、
前記アームに取り付けられたエンドアタッチメントと、
前記エンドアタッチメントの姿勢に関する検出情報を出力する姿勢検出部と、
操作者から受け付けた操作に従って、前記ブーム及び前記アームのうちいずれか一つ以上の動作を制御すると共に、前記エンドアタッチメントに形成された面で、地表面に接するように、前記検出情報に基づいて前記エンドアタッチメントの姿勢を制御する制御装置と、
を備えるショベル。
【請求項2】
前記制御装置は、前記操作に従って前記アームの開き又は閉じ動作と前記ブームの下げ動作とによって、前記面で前記地表面を転圧する際に、前記面で前記地表面に接するように、前記検出情報に基づいて前記エンドアタッチメントの姿勢を制御する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記制御装置は、前記操作に従って前記ブームの下げ動作が行われた場合に前記面で前記地表面に接するように、前記地表面に接する前に前記エンドアタッチメントの姿勢を予め制御する、
請求項2に記載のショベル。
【請求項4】
前記制御装置は、前記転圧で前記地表面が締固められたタイミングで、前記面で前記地表面に接しているように、前記検出情報に基づいて前記エンドアタッチメントの姿勢を制御する、
請求項2に記載のショベル。
【請求項5】
前記制御装置は、前記面が、前記地表面に略平行な状態を維持するように、前記検出情報に基づいて前記エンドアタッチメントの姿勢を制御する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項6】
前記制御装置は、前記エンドアタッチメントが前記地表面に接した際に、前記地表面の高さを認識し、当該高さで前記面で前記地表面に接するように、前記検出情報に基づいて前記エンドアタッチメントの姿勢を制御する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項7】
操作装置が受け付けた操作を示す操作信号を送信する遠隔操作装置と、
下部走行体と、前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられたブームと、前記ブームに取り付けられたアームと、前記アームに取り付けられたエンドアタッチメントと、前記エンドアタッチメントの姿勢に関する検出情報を出力する姿勢検出部と、前記遠隔操作装置から前記操作信号を受信する通信装置と、前記操作信号に従って、前記ブーム及び前記アームのうちいずれか一つ以上の動作を制御すると共に、前記エンドアタッチメントに形成された面で、地表面に接するように、前記検出情報に基づいて前記エンドアタッチメントの姿勢を制御する制御装置と、を備えるショベルと、
を備えるショベルの遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベル、及びショベルの遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アタッチメントの先端に設けられたエンドアタッチメントを用いて、様々な施工を行う傾向にある。当該施工には、例えばエンドアタッチメントに形成された面を地表面に押し付ける転圧作業が含まれている。転圧作業では、エンドアタッチメントに形成された面で地表面に押し付ける動作が行われるように操作者が操作を行う必要がある。しかしながら、当該操作は、転圧作業を行う領域を変更する毎に、エンドアタッチメントに形成された面で地表面に接するようにエンドアタッチメントの姿勢を調整する必要があるので難しい。このため、例えば、地表面に押し付ける動作を自動で行う技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。当該技術を用いた場合、作業部位で地表面に押し付ける動作が自動で行われるので、操作者の操作負担を軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/060109号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際に転圧作業を行う際には、転圧を行う場所を、操作者が手動で調整したい状況も存在する。
【0005】
本発明の一態様は、転圧を行う領域を操作者が調整可能にすることで利便性を向上させると共に、転圧を行えるようにエンドアタッチメントの姿勢の制御が行われるため操作者の操作負担を軽減できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るショベルは、下部走行体と、前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられたブームと、前記ブームに取り付けられたアームと、前記アームに取り付けられたエンドアタッチメントと、前記エンドアタッチメントの姿勢に関する検出情報を出力する姿勢検出部と、操作者から受け付けた操作に従って、前記ブーム及び前記アームのうちいずれか一つ以上の動作を制御すると共に、前記エンドアタッチメントに形成された面で、地表面に接するように、前記検出情報に基づいて前記エンドアタッチメントの姿勢を制御する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、エンドアタッチメントの姿勢が制御されるので、操作者の操作負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係るショベルの側面図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るショベルの構成の一例を概略的に示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るショベルの油圧システムの構成の一例を概略的に示す図である。
図4A図4Aは、第1の実施形態に係るアームシリンダの操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。
図4B図4Bは、第1の実施形態に係るブームシリンダの操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るショベルのアタッチメントの角度の関係を示した概念図である。
図6図6は、第1の実施形態に係るショベルにより行われる転圧作業を示した概念図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る自動制御部によるバケット角度の調整を例示した図である。
図8図8は、第1の実施形態の変形例に係る自動制御部によるバケット角度の調整を例示した図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る遠隔操作システムの一例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0010】
(作業機械の概要)
本実施形態では、作業機械の一例としてショベルを用いる例について説明するが、ショベルに制限するものではない。建設機械、標準機、応用器、林業機械、又は油圧ショベルをベースとした搬送機械に適用してもよい。
【0011】
図1を参照して、本実施形態に係るショベル100の概要について説明する。図1は、本実施形態に係る作業機械としてのショベル100の側面図である。
【0012】
本実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回自在に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメント(作業機)を構成するブーム4、アーム5、及び、バケット6と、キャビン10を備える。
【0013】
下部走行体1は、左右一対のクローラが走行油圧モータ1L,1R(後述する図2参照)でそれぞれ油圧駆動されることにより、ショベル100を走行させる。つまり、一対の走行油圧モータ1L,1R(走行モータの一例)は、被駆動部としての下部走行体1(クローラ)を駆動する。
【0014】
上部旋回体3は、旋回油圧モータ2A(後述する図2参照)で駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。つまり、旋回油圧モータ2Aは、被駆動部としての上部旋回体3を駆動する旋回駆動部であり、上部旋回体3の向きを変化させることができる。
【0015】
なお、上部旋回体3は、旋回油圧モータ2Aの代わりに、電動機(以下、「旋回用電動機」)により電気駆動されてもよい。つまり、旋回用電動機は、旋回油圧モータ2Aと同様、非駆動部としての上部旋回体3を駆動する旋回駆動部であり、上部旋回体3の向きを変化させることができる。
【0016】
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、エンドアタッチメントとしてのバケット6が上下回動可能に枢着される。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。
【0017】
なお、バケット6は、エンドアタッチメント(作業具)の一例であり、アーム5の先端には、作業内容等に応じて、バケット6の代わりに、土羽打ち可能な他のエンドアタッチメント、例えば、法面を整形するための法面用バケット等が取り付けられてもよい。
【0018】
キャビン10は、操作者が搭乗する運転室であり、上部旋回体3の前部左側に搭載される。
【0019】
[ショベルの構成]
次に、図1に加えて、図2を参照して、本実施形態に係るショベル100の具体的な構成について説明する。
【0020】
図2は、本実施形態に係るショベル100の構成の一例を概略的に示す図である。
【0021】
なお、図2において、機械的動力系、作動油ライン、パイロットライン、及び電気制御系は、それぞれ、二重線、実線、破線、及び点線で示されている。
【0022】
本実施形態に係るショベル100の駆動系は、エンジン11と、レギュレータ13と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17を含む。また、本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1L,1R、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。
【0023】
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源であり、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。具体的には、エンジン11は、後述するコントローラ30による直接或いは間接的な制御下で、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。
【0024】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御する。例えば、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じて、メインポンプ14の斜板の角度(傾転角)を調節する。レギュレータ13は、例えば、後述の如く、レギュレータ13L,13Rを含む。
【0025】
メインポンプ14は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載され、高圧油圧ラインを通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、上述の如く、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、上述の如く、コントローラ30による制御下で、レギュレータ13により斜板の傾転角が調節されることでピストンのストローク長が調整され、吐出流量(吐出圧)が制御される。メインポンプ14は、例えば、後述の如く、メインポンプ14L,14Rを含む。
【0026】
コントロールバルブ17は、ショベル100における油圧システムを制御する油圧制御装置である。本実施形態では、コントロールバルブ17は、制御弁171~176を含む。制御弁175は制御弁175L及び制御弁175Rを含み、制御弁176は制御弁176L及び制御弁176Rを含む。コントロールバルブ17は、制御弁171~176を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できるように構成されている。制御弁171~176は、例えば、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量、及び、油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御する。油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行油圧モータ1L、1R、及び旋回油圧モータ2Aを含む。より具体的には、制御弁171は、左走行油圧モータ1Lに対応し、制御弁172は、右走行油圧モータ1Rに対応し、制御弁173は、旋回油圧モータ2Aに対応する。また、制御弁174は、バケットシリンダ9に対応し、制御弁175は、ブームシリンダ7に対応し、制御弁176は、アームシリンダ8に対応する。また、制御弁175は、例えば、後述の如く、制御弁175L,175Rを含み、制御弁176は、例えば、後述の如く、制御弁176L,176Rを含む。制御弁171~176の詳細は、後述する。
【0027】
パイロットポンプ15は、パイロット圧生成装置の一例であり、パイロットラインを介して油圧制御機器に作動油を供給できるように構成されている。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロット圧生成装置は、メインポンプ14によって実現されてもよい。すなわち、メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給する機能に加え、パイロットラインを介して各種油圧制御機器に作動油を供給する機能を備えていてもよい。この場合、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。
【0028】
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。アクチュエータは、油圧アクチュエータ及び電動アクチュエータの少なくとも一方を含む。
【0029】
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出するように構成されている。本実施形態では、吐出圧センサ28は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。吐出圧センサ28は、例えば、後述の如く、吐出圧センサ28L,28Rを含む。
【0030】
操作センサ29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出するように構成されている。本実施形態では、操作センサ29は、アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。本実施形態では、コントローラ30は、操作センサ29の出力に応じて比例弁31の開口面積を制御する。そして、コントローラ30は、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給する。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、原則として、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じた圧力である。このように、操作装置26は、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できるように構成されている。
【0031】
マシンコントロール用制御弁として機能する比例弁31は、パイロットポンプ15とコントロールバルブ17内の制御弁のパイロットポートとを接続する管路に配置され、その管路の流路面積を変更できるように構成されている。本実施形態では、比例弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。そのため、コントローラ30は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31を介し、コントロールバルブ17内の制御弁のパイロットポートに供給できる。比例弁31は、例えば、後述の如く、比例弁31AL,31AR,31BL,31BR,31CL,31CRを含む。
【0032】
この構成により、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われていない場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータを動作させることができる。
【0033】
本実施形態に係るショベル100の制御系は、コントローラ30と、表示装置40と、入力装置42と、音声出力装置43と、記憶装置47と、ブーム角度センサS1と、アーム角度センサS2と、バケット角度センサS3と、機体傾斜センサS4と、旋回状態センサS5と、撮像装置S6と、測位装置PSと、通信装置T1を含む。
【0034】
コントローラ30(制御装置の一例)は、例えば、キャビン10内に設けられ、ショベル100の駆動制御を行う。コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは、その組み合わせにより実現されてよい。例えば、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、不揮発性の補助記憶装置と、各種入出力インターフェース等を含むマイクロコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、例えば、ROMや不揮発性の補助記憶装置に格納される各種プログラムをCPU上で実行することにより各種機能を実現する。
【0035】
例えば、コントローラ30は、操作者等の操作等に基づき、目標回転数を設定し、エンジン11を一定回転させる駆動制御を行う。
【0036】
また、例えば、コントローラ30は、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。
【0037】
また、例えば、コントローラ30は、例えば、操作者による操作装置26を通じたショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能に関する制御を行う。また、コントローラ30は、例えば、操作者による操作装置26を通じたショベル100の手動操作を自動的に支援するマシンコントロール機能に関する制御を行う。つまり、コントローラ30は、マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能に関する機能部として、マシンガイダンス部50を含む。
【0038】
なお、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。即ち、コントローラ30の機能は、複数のコントローラにより分散される態様で実現されてもよい。例えば、マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能は、専用のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。
【0039】
表示装置40は、キャビン10内の着座した操作者から視認し易い場所に設けられ、コントローラ30による制御下で、各種情報画像を表示する。表示装置40は、CAN(Controller Area Network)等の車載通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されていてもよいし、一対一の専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。
【0040】
入力装置42は、キャビン10内の着座した操作者から手が届く範囲に設けられ、操作者による各種操作入力を受け付け、操作入力に応じた信号をコントローラ30に出力する。入力装置42は、各種情報画像を表示する表示装置のディスプレイに実装されるタッチパネル、レバー装置26A~26Cのレバー部の先端に設けられるノブスイッチ、表示装置40の周囲に設置されるボタンスイッチ、レバー、トグル、回転ダイヤル等を含む。入力装置42に対する操作内容に対応する信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0041】
音声出力装置43は、例えば、キャビン10内に設けられ、コントローラ30と接続され、コントローラ30による制御下で、音声を出力する。音声出力装置43は、例えば、スピーカやブザー等である。音声出力装置43は、コントローラ30からの音声出力指令に応じて各種情報を音声出力する。
【0042】
記憶装置47は、例えば、キャビン10内に設けられ、コントローラ30による制御下で、各種情報を記憶する。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、ショベル100の動作中に各種機器が出力する情報を記憶してもよく、ショベル100の動作が開始される前に各種機器を介して取得する情報を記憶してもよい。記憶装置47は、例えば、通信装置T1等を介して取得される、或いは、入力装置42等を通じて設定される目標施工面に関するデータを記憶していてもよい。当該目標施工面は、ショベル100の操作者により設定(保存)されてもよいし、施工管理者等により設定されてもよい。
【0043】
ブーム角度センサS1は、ブーム4に取り付けられ、ブーム4の上部旋回体3に対する俯仰角度(以下、「ブーム角度」)、例えば、側面視において、上部旋回体3の旋回平面に対してブーム4の両端の支点を結ぶ直線が成す角度を検出する。ブーム角度センサS1は、例えば、ロータリエンコーダ、加速度センサ、6軸センサ、IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)等を含んでよい。また、ブーム角度センサS1は、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、ブーム角度に対応する油圧シリンダ(ブームシリンダ7)のストローク量を検出するシリンダストロークセンサ等を含んでもよい。以下、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3についても同様である。ブーム角度センサS1によるブーム角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0044】
アーム角度センサS2は、アーム5に取り付けられ、アーム5のブーム4に対する回動角度(以下、「アーム角度」)、例えば、側面視において、ブーム4の両端の支点を結ぶ直線に対してアーム5の両端の支点を結ぶ直線が成す角度を検出する。アーム角度センサS2によるアーム角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0045】
バケット角度センサ(姿勢検出部の一例)S3は、バケット6に取り付けられ、バケット6のアーム5に対する回動角度(以下、「バケット角度」)、例えば、側面視において、アーム5の両端の支点を結ぶ直線に対してバケット6の支点と先端(爪先)とを結ぶ直線が成す角度を検出する。バケット角度センサS3によるバケット角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0046】
機体傾斜センサS4は、水平面に対する機体(上部旋回体3或いは下部走行体1)の傾斜状態を検出する。機体傾斜センサS4は、例えば、上部旋回体3に取り付けられ、ショベル100(即ち、上部旋回体3)の前後方向及び左右方向の2軸回りの傾斜角度(以下、「前後傾斜角」及び「左右傾斜角」)を検出する。機体傾斜センサS4は、例えば、ロータリエンコーダ、加速度センサ、6軸センサ、IMU等を含んでよい。機体傾斜センサS4による傾斜角度(前後傾斜角及び左右傾斜角)に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0047】
旋回状態センサS5は、上部旋回体3の旋回状態に関する検出情報を出力する。旋回状態センサS5は、例えば、上部旋回体3の旋回角速度及び旋回角度を検出する。旋回状態センサS5は、例えば、ジャイロセンサ、レゾルバ、ロータリエンコーダ等を含んでよい。旋回状態センサS5による上部旋回体3の旋回角度や旋回角速度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0048】
空間認識装置としての撮像装置S6は、ショベル100の周辺を撮像する。撮像装置S6は、ショベル100の前方を撮像するカメラS6F、ショベル100の左方を撮像するカメラS6L、ショベル100の右方を撮像するカメラS6R、及び、ショベル100の後方を撮像するカメラS6Bを含む。
【0049】
カメラS6Fは、例えば、キャビン10の天井、即ち、キャビン10の内部に取り付けられている。また、カメラS6Fは、キャビン10の屋根、ブーム4の側面等、キャビン10の外部に取り付けられていてもよい。カメラS6Lは、上部旋回体3の上面左端に取り付けられ、カメラS6Rは、上部旋回体3の上面右端に取り付けられ、カメラS6Bは、上部旋回体3の上面後端に取り付けられている。
【0050】
撮像装置S6(カメラS6F,S6B,S6L,S6R)は、それぞれ、例えば、非常に広い画角を有する単眼の広角カメラである。また、撮像装置S6は、ステレオカメラや距離画像カメラ等であってもよい。撮像装置S6による撮像画像は、表示装置40を介してコントローラ30に取り込まれる。
【0051】
空間認識装置としての撮像装置S6は、物体検知装置として機能してもよい。この場合、撮像装置S6は、ショベル100の周囲に存在する物体を検知してよい。検知対象の物体には、例えば、人、動物、車両、建設機械、建造物、穴等が含まれうる。また、撮像装置S6は、撮像装置S6又はショベル100から認識された物体までの距離を算出してもよい。物体検知装置としての撮像装置S6には、例えば、ステレオカメラ、距離画像センサ等が含まれうる。そして、空間認識装置は、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子を有する単眼カメラであり、撮像した画像を表示装置40に出力する。また、空間認識装置は、空間認識装置又はショベル100から認識された物体までの距離を算出するように構成されていてもよい。また、撮像装置S6に加えて、空間認識装置として、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、LIDAR、赤外線センサ等の他の物体検知装置が設けられてもよい。空間認識装置としてミリ波レーダ、超音波センサ、又はレーザレーダ等を利用する場合には、多数の信号(レーザ光等)を物体に発信し、その反射信号を受信することで、反射信号から物体の距離及び方向を検出してもよい。
【0052】
なお、撮像装置S6は、直接、コントローラ30と通信可能に接続されてもよい。
【0053】
ブームシリンダ7にはブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bが取り付けられている。アームシリンダ8にはアームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bが取り付けられている。バケットシリンダ9にはバケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bが取り付けられている。ブームロッド圧センサS7R、ブームボトム圧センサS7B、アームロッド圧センサS8R、アームボトム圧センサS8B、バケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bは、集合的に「シリンダ圧センサ」とも称される。
【0054】
ブームロッド圧センサS7Rはブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(以下、「ブームロッド圧」とする。)を検出し、ブームボトム圧センサS7Bはブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(以下、「ブームボトム圧」とする。)を検出する。アームロッド圧センサS8Rはアームシリンダ8のロッド側油室の圧力(以下、「アームロッド圧」とする。)を検出し、アームボトム圧センサS8Bはアームシリンダ8のボトム側油室の圧力(以下、「アームボトム圧」とする。)を検出する。バケットロッド圧センサS9Rはバケットシリンダ9のロッド側油室の圧力(以下、「バケットロッド圧」とする。)を検出し、バケットボトム圧センサS9Bはバケットシリンダ9のボトム側油室の圧力(以下、「バケットボトム圧」とする。)を検出する。
【0055】
測位装置PSは、上部旋回体3の位置及び向きを測定する。測位装置PSは、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)コンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを検出し、上部旋回体3の位置及び向きに対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。また、測位装置PSの機能のうちの上部旋回体3の向きを検出する機能は、上部旋回体3に取り付けられた方位センサにより代替されてもよい。
【0056】
通信装置T1は、基地局を末端とする移動体通信網、衛星通信網、インターネット網等を含む所定のネットワークを通じて外部機器と通信を行う。通信装置T1は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールや、衛星通信網に接続するための衛星通信モジュール等である。
【0057】
[ショベルの油圧システム]
次に、図3を参照して、本実施形態に係るショベル100の油圧システムについて説明する。
【0058】
図3は、本実施形態に係るショベル100の油圧システムの構成の一例を概略的に示す図である。
【0059】
なお、図3において、機械的動力系、作動油ライン、パイロットライン、及び電気制御系は、図2等の場合と同様、それぞれ、二重線、実線、破線、及び点線で示されている。
【0060】
当該油圧回路により実現される油圧システムは、エンジン11により駆動されるメインポンプ14L,14Rのそれぞれから、センタバイパス油路C1L,C1R、パラレル油路C2L,C2Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。
【0061】
センタバイパス油路C1Lは、メインポンプ14Lを起点として、コントロールバルブ17内に配置される制御弁171,173,175L,176Lを順に通過し、作動油タンクに至る。
【0062】
センタバイパス油路C1Rは、メインポンプ14Rを起点として、コントロールバルブ17内に配置される制御弁172,174,175R,176Rを順に通過し、作動油タンクに至る。
【0063】
制御弁171は、メインポンプ14Lから吐出される作動油を走行油圧モータ1Lへ供給し、且つ、走行油圧モータ1Lが吐出する作動油を作動油タンクに排出させるスプール弁である。
【0064】
制御弁172は、メインポンプ14Rから吐出される作動油を走行油圧モータ1Rへ供給し、且つ、走行油圧モータ1Rが吐出する作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
【0065】
制御弁173は、メインポンプ14Lから吐出される作動油を旋回油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
【0066】
制御弁174は、メインポンプ14Rから吐出される作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
【0067】
制御弁175L,175Rは、それぞれ、メインポンプ14L,14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
【0068】
制御弁176L,176Rは、メインポンプ14L,14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出させる。
【0069】
制御弁171,172,173,174,175L,175R,176L,176Rは、それぞれ、パイロットポートに作用するパイロット圧に応じて、油圧アクチュエータに給排される作動油の流量を調整したり、流れる方向を切り換えたりする。
【0070】
パラレル油路C2Lは、センタバイパス油路C1Lと並列的に、制御弁171,173,175L,176Lにメインポンプ14Lの作動油を供給する。具体的には、パラレル油路C2Lは、制御弁171の上流側でセンタバイパス油路C1Lから分岐し、制御弁171,173,175L,176Rのそれぞれに並列してメインポンプ14Lの作動油を供給可能に構成される。これにより、パラレル油路C2Lは、制御弁171,173,175Lの何れかによってセンタバイパス油路C1Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
【0071】
パラレル油路C2Rは、センタバイパス油路C1Rと並列的に、制御弁172,174,175R,176Rにメインポンプ14Rの作動油を供給する。具体的には、パラレル油路C2Rは、制御弁172の上流側でセンタバイパス油路C1Rから分岐し、制御弁172,174,175R,176Rのそれぞれに並列してメインポンプ14Rの作動油を供給可能に構成される。パラレル油路C2Rは、制御弁172,174,175Rの何れかによってセンタバイパス油路C1Rを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
【0072】
レギュレータ13L,13Rは、それぞれ、コントローラ30による制御下で、メインポンプ14L,14Rの斜板の傾転角を調節することによって、メインポンプ14L,14Rの吐出量を調節する。
【0073】
吐出圧センサ28Lは、メインポンプ14Lの吐出圧を検出し、検出された吐出圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。吐出圧センサ28Rについても同様である。これにより、コントローラ30は、メインポンプ14L,14Rの吐出圧に応じて、レギュレータ13L,13Rを制御することができる。
【0074】
センタバイパス油路C1L,C1Rには、最も下流にある制御弁176L,176Rのそれぞれと作動油タンクとの間には、ネガティブコントロール絞り(以下、「ネガコン絞り」)18L,18Rが設けられる。これにより、メインポンプ14L,14Rにより吐出された作動油の流れは、ネガコン絞り18L,18Rで制限される。そして、ネガコン絞り18L,18Rは、レギュレータ13L,13Rを制御するための制御圧(以下、「ネガコン圧」)を発生させる。
【0075】
ネガコン圧センサ19L,19Rは、ネガコン圧を検出し、検出されたネガコン圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0076】
コントローラ30は、吐出圧センサ28L,28Rにより検出されるメインポンプ14L,14Rの吐出圧に応じて、レギュレータ13L,13Rを制御し、メインポンプ14L,14Rの吐出量を調節してよい。例えば、コントローラ30は、メインポンプ14Lの吐出圧の増大に応じて、レギュレータ13Lを制御し、メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することにより、吐出量を減少させてよい。レギュレータ13Rについても同様である。これにより、コントローラ30は、吐出圧と吐出量との積で表されるメインポンプ14L,14Rの吸収馬力がエンジン11の出力馬力を超えないように、メインポンプ14L,14Rの全馬力制御を行うことができる。
【0077】
また、コントローラ30は、ネガコン圧センサ19L,19Rにより検出されるネガコン圧に応じて、レギュレータ13L,13Rを制御することにより、メインポンプ14L,14Rの吐出量を調節してよい。例えば、コントローラ30は、ネガコン圧が大きいほどメインポンプ14L,14Rの吐出量を減少させ、ネガコン圧が小さいほどメインポンプ14L,14Rの吐出量を増大させる。
【0078】
具体的には、ショベル100における油圧アクチュエータが何れも操作されていない待機状態(図3に示す状態)の場合、メインポンプ14L,14Rから吐出される作動油は、センタバイパス油路C1L,C1Rを通ってネガコン絞り18L,18Rに至る。そして、メインポンプ14L,14Rから吐出される作動油の流れは、ネガコン絞り18L,18Rの上流で発生するネガコン圧を増大させる。その結果、コントローラ30は、メインポンプ14L,14Rの吐出量を許容最小吐出量まで減少させ、吐出した作動油がセンタバイパス油路C1L,C1Rを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。
【0079】
一方、何れかの油圧アクチュエータが操作装置26を通じて操作された場合、メインポンプ14L,14Rから吐出される作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を介して、操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そして、メインポンプ14L,14Rから吐出される作動油の流れは、ネガコン絞り18L,18Rに至る量を減少或いは消失させ、ネガコン絞り18L,18Rの上流で発生するネガコン圧を低下させる。その結果、コントローラ30は、メインポンプ14L,14Rの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を循環させ、操作対象の油圧アクチュエータを確実に駆動させることができる。
【0080】
操作装置26は、左操作レバー26L、右操作レバー26R及び走行レバー26Dを含む。走行レバー26Dは、左走行レバー26DL及び右走行レバー26DRを含む。
【0081】
左操作レバー26Lは、旋回操作とアーム5の操作に用いられる。左操作レバー26Lが、前後方向に操作された場合、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁176のパイロットポートに導入させる。また、左操作レバー26Lが、左右方向に操作された場合、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁173のパイロットポートに導入させる。
【0082】
具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向に操作された場合に、制御弁176Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向に操作された場合には、制御弁176Lの左側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの右側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、左旋回方向に操作された場合に、制御弁173の左側パイロットポートに作動油を導入させ、右旋回方向に操作された場合に、制御弁173の右側パイロットポートに作動油を導入させる。
【0083】
右操作レバー26Rは、ブーム4の操作とバケット6の操作に用いられる。右操作レバー26Rは、前後方向に操作された場合、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁175のパイロットポートに導入させる。また、左右方向に操作された場合、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁174のパイロットポートに導入させる。
【0084】
具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向に操作された場合に、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向に操作された場合には、制御弁175Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、バケット閉じ方向に操作された場合に、制御弁174の右側パイロットポートに作動油を導入させ、バケット開き方向に操作された場合に、制御弁174の左側パイロットポートに作動油を導入させる。
【0085】
以下では、左右方向に操作される左操作レバー26Lは、「旋回操作レバー」と称され、前後方向に操作される左操作レバー26Lは、「アーム操作レバー」と称される場合がある。また、左右方向に操作される右操作レバー26Rは、「バケット操作レバー」と称され、前後方向に操作される右操作レバー26Rは、「ブーム操作レバー」と称される場合がある。
【0086】
左走行レバー26DLは、左クローラ1CLの操作に用いられる。左走行ペダルと連動するように構成されていてもよい。左走行レバー26DLは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁171のパイロットポートに導入させる。右走行レバー26DRは、右クローラ1CRの操作に用いられる。右走行ペダルと連動するように構成されていてもよい。右走行レバー26DRは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁172のパイロットポートに導入させる。
【0087】
操作センサ29は、操作者による操作装置26の操作の内容を検出できるように構成されている。本実施形態では、操作センサ29は、アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0088】
操作センサ29は、操作センサ29LA、29LB、29RA、29RB、29DL、29DRを含む。操作センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作の内容は、例えば、レバー操作方向、レバー操作量(レバー操作角度)等である。
【0089】
同様に、操作センサ29LBは、操作者による左操作レバー26Lに対する左右方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29RAは、操作者による右操作レバー26Rに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29RBは、操作者による右操作レバー26Rに対する左右方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29DLは、操作者による左走行レバー26DLに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29DRは、操作者による右走行レバー26DRに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0090】
コントローラ30は、操作センサ29の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。また、コントローラ30は、絞り18の上流に設けられた制御圧センサ19の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。絞り18は左絞り18L及び右絞り18Rを含み、制御圧センサ19はネガコン圧センサ19L、19Rを含む。
【0091】
[ショベルのマシンコントロール機能に関する構成の詳細]
次に、ショベル100のマシンコントロール機能に関する構成の詳細について説明する。
【0092】
図4Aは、アームシリンダ8の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図であり、図4Bは、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。
【0093】
図4A及び図4Bに示すように、油圧システムは、比例弁31を含む。比例弁31は、比例弁31AL~31BL及び31AR~31BRを含む。
【0094】
比例弁31は、マシンコントロール用制御弁として機能する。比例弁31は、パイロットポンプ15とコントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートとを接続する管路に配置され、その管路の流路面積を変更できるように構成されている。本実施形態では、比例弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。そのため、コントローラ30は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31を介し、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できる。そして、コントローラ30は、比例弁31が生成するパイロット圧を、対応する制御弁のパイロットポートに作用させることができる。
【0095】
この構成により、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われていない場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータを動作させることができる。また、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われている場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータの動作を強制的に停止させることができる。
【0096】
例えば、図4Aに示すように、左操作レバー26Lは、アーム5を操作するために用いられる。具体的には、左操作レバー26Lは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁176のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの右側パイロットポートと制御弁176Rの左側パイロットポートに作用させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの左側パイロットポートと制御弁176Rの右側パイロットポートに作用させる。
【0097】
操作装置26にはスイッチSWが設けられている。本実施形態では、スイッチSWは、スイッチSW1及びスイッチSW2を含む。スイッチSW1は、左操作レバー26Lの先端に設けられた押しボタンスイッチである。操作者は、スイッチSW1を押しながら左操作レバー26Lを操作できる。スイッチSW1は、右操作レバー26Rに設けられていてもよく、キャビン10内の他の位置に設けられていてもよい。スイッチSW2は、左走行レバー26DLの先端に設けられた押しボタンスイッチである。操作者は、スイッチSW2を押しながら左走行レバー26DLを操作できる。スイッチSW2は、右走行レバー26DRに設けられていてもよく、キャビン10内の他の位置に設けられていてもよい。
【0098】
操作センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0099】
比例弁31ALは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31ALを介して制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31ARは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31ARを介して制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31ALは、制御弁176L及び制御弁176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。同様に、比例弁31ARは、制御弁176L及び制御弁176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0100】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ALを介し、制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ALを介し、制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作に応じ、或いは、操作者によるアーム閉じ操作とは無関係に、アーム5を閉じることができる。
【0101】
また、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ARを介し、制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ARを介し、制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作に応じ、或いは、操作者によるアーム開き操作とは無関係に、アーム5を開くことができる。
【0102】
また、この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であっても、必要に応じて、制御弁176の閉じ側のパイロットポート(制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポート)に作用するパイロット圧を減圧し、アーム5の閉じ動作を強制的に停止させることができる。操作者によるアーム開き操作が行われているときにアーム5の開き動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0103】
コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であっても、必要に応じて、比例弁31ARを制御し、制御弁176の閉じ側のパイロットポートの反対側にある、制御弁176の開き側のパイロットポート(制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポート)に作用するパイロット圧を増大させ、制御弁176を強制的に中立位置に戻すことで、アーム5の閉じ動作を強制的に停止させてもよい。操作者によるアーム開き操作が行われている場合にアーム5の開き動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0104】
また、以下の図4Bを参照しながらの説明を省略するが、操作者によるブーム上げ操作又はブーム下げ操作が行われている場合にブーム4の動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0105】
また、図4Bに示すように、右操作レバー26Rは、ブーム4を操作するために用いられる。具体的には、右操作レバー26Rは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁175のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Lの右側パイロットポートと制御弁175Rの左側パイロットポートに作用させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Rの右側パイロットポートに作用させる。
【0106】
操作センサ29RAは、操作者による右操作レバー26Rに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0107】
比例弁31BLは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31BLを介して制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31BRは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31BRを介して制御弁175Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31BLは、制御弁175L及び制御弁175Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。また、比例弁31BRは、制御弁175Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0108】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BLを介し、制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BLを介し、制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作に応じ、或いは、操作者によるブーム上げ操作とは無関係に、ブーム4を上げることができる。
【0109】
また、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BRを介し、制御弁175Rの右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BRを介し、制御弁175Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作に応じ、或いは、操作者によるブーム下げ操作とは無関係に、ブーム4を下げることができる。
【0110】
また、ショベル100は、バケットチルト機構を自動的に動作させる構成を備えていてもよい。この場合、バケットチルト機構を構成するバケットチルトシリンダに関する油圧システム部分は、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム部分等と同じように構成されてもよい。
【0111】
また、操作装置26の形態として電気式操作レバーに関する説明を記載したが、電気式操作レバーではなく油圧式操作レバーが採用されてもよい。この場合、油圧式操作レバーのレバー操作量は、圧力センサによって圧力の形で検出されてコントローラ30へ入力されてもよい。また、油圧式操作レバーとしての操作装置26と各制御弁のパイロットポートとの間には電磁弁が配置されてもよい。電磁弁は、コントローラ30からの電気信号に応じて動作するように構成される。この構成により、油圧式操作レバーとしての操作装置26を用いた手動操作が行われると、操作装置26は、レバー操作量に応じてパイロット圧を増減させることで各制御弁を移動させることができる。また、各制御弁は電磁スプール弁で構成されていてもよい。この場合、電磁スプール弁は、電気式操作レバーのレバー操作量に対応するコントローラ30からの電気信号に応じて動作する。
【0112】
[転圧作業に関する説明]
本実施形態に係るショベル100は、盛土された地表面に、バケット6で上から力を加えて、盛土から空気又は水などを押し出して、密度を高めた平らな地表面を形成する、いわゆる転圧作業を行う。
【0113】
転圧作業においては、平らな地表面を形成できるように、転圧が必要な領域を、操作者が目視で確認し、当該領域に対してバケット6の背面で転圧を行う。当該転圧は、地表面の状況によって異なる。例えば、同一の領域に対して一回の転圧でよい場合もあるし、複数回の転圧が必要な場合もある。本実施形態では、バケット6の背面が略平面に形成されている。このため、背面を押し付けることで地表面を平らに形成することが容易となる。
【0114】
つまり、地表面に対して領域毎に所定回数を転圧するように自動制御を行うよりも、操作者が、地表面の状況を把握して、当該地表面の状況に応じて領域毎に適した転圧を行うのが好ましい。
【0115】
このために、本実施形態においては、操作者が、地表面の状況を視覚によって把握して、転圧が必要な領域を特定し、特定された領域を転圧するように、アーム5とブーム4とを操作する。
【0116】
操作者がアーム5とブーム4とを操作して、特定された領域に対して転圧を行う場合に、バケット6の背面で転圧できるように、バケット6の姿勢を制御する必要がある。本実施形態では、バケット6の姿勢の制御として、バケット角度を調整する場合について説明する。なお、本実施形態は、バケット6の姿勢の制御を、バケット角度の調整に制限するものではなく、バケット6の背面で転圧できるようなバケット6の姿勢の制御であればよい。
【0117】
ところで、操作者が操作を行うアーム5とブーム4とは、円弧状の軌道に従って移動するので、転圧する領域を異ならせる毎に、バケット6の背面で転圧できるようバケット角度を調整するのは難しい。
【0118】
そこで、本実施形態では、マシンガイダンス部50が、転圧作業を行う際に、バケット6の背面で転圧できるようバケット角度を制御する。
【0119】
なお、本実施形態では、バケット6の背面で転圧を行う場合について説明するが、転圧を行うためにエンドアタッチメントに形成された面を、バケット6の背面に制限するものではない。例えば、バケット6に貼り付けられた板、又は、転圧作業を行うために面が形成された特殊なエンドアタッチメント等でもよい。また、本実施形態は、転圧を行うバケット6の種類を制限するものでなく、例えば、法面用バケット等を用いてもよい。
【0120】
[マシンガイダンス部の各構成]
図2に戻り、マシンガイダンス部50について説明する。マシンガイダンス部50は、例えば、マシンガイダンス機能に関するショベル100の制御を実行する。目標施工面に関するデータは、例えば、記憶装置47に予め記憶されている。目標施工面に関するデータは、例えば、基準座標系で表現されている。基準座標系は、例えば、世界測地系である。世界測地系は、地球の重心に原点をおき、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向に、Y軸を東経90度の方向に、そして、Z軸を北極の方向にとる三次元直交XYZ座標系である。操作者は、施工現場の任意の点を基準点と定め、入力装置42を通じて、基準点との相対的な位置関係により目標施工面を設定してよい。
【0121】
本実施形態に係る目標施工面には、例えば、転圧作業後の(平らになった)地表面が含まれてもよい。
【0122】
マシンガイダンス部50は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、旋回状態センサS5、撮像装置S6、ブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7B、アームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8B、バケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9B、測位装置PS、操作センサ29、通信装置T1及び入力装置42等から情報を取得する。そして、マシンガイダンス部50は、例えば、取得した情報に基づき、バケット6と目標施工面との間の距離を算出し、バケット6の背面等が目標施工面に一致するように、アタッチメントの動作を自動的に制御したりする。
【0123】
マシンガイダンス部50が転圧作業に関する制御を行う構成について説明する。マシンガイダンス部50は、当該マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能として、転圧作業を行うための詳細な機能構成として、取得部51と、位置算出部52と、角度算出部53と、自動制御部54と、を含む。
【0124】
取得部51は、ショベル100内の各種センサから、当該センサによる検出結果を示した検出情報を取得する。例えば、取得部51は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、旋回状態センサS5、撮像装置S6、ブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7B、アームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8B、バケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9B、測位装置PSから検出情報を取得する。
【0125】
さらに、取得部51は、操作センサ29から、操作装置26の操作の内容を示した操作情報を取得し、入力装置42から操作入力に応じた信号を取得する。また、取得部51は、通信装置T1を介して外部の機器から受信した情報を取得する。例えば、ショベル100が遠隔操作が行われている場合に、取得部51は、通信装置T1を介して外部の機器から受信した操作信号を取得してもよい。
【0126】
位置算出部52は、転圧対象となる地表面の位置(高さ)を算出する。本実施形態に係る位置算出部52は、バケット6が地表面に押し付けた際に、当該バケット6の高さに基づいて、地表面の高さを認識する。
【0127】
当該地表面の高さを認識するためのアタッチメントの制御は、少なくとも、ショベル100が転圧作業を開始する前に一回行われる。その後、当該地表面の高さを認識するためのアタッチメントの制御は、任意の間隔で行われてもよい。また、当該地表面の高さを認識するためのアタッチメントの制御は、操作者の操作に応じて行われてもよいし、マシンガイダンス部50による自動制御で行われてもよい。
【0128】
位置算出部52は、バケット6が地表面に押し付けた状態になっているか否かを、ブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bと、アームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bと、による検出情報に基づいて認識できる。
【0129】
なお、本実施形態は、地表面の高さを、バケット6を地表面に押し付けたときの高さに限定するものではなく、記憶装置47にデータとして記憶されている目標施工面を、バケット6で転圧する地表面として特定してもよい。
【0130】
本実施形態は、バケット6を地表面に押し付けた時のバケット6の高さに基づいて、地表面の高さを算出する例について説明する。しかしながら、本実施形態は、位置算出部52による地表面の高さの算出手法を、バケット6による地表面に押し付けに制限するものではない。例えば、撮像装置S6が撮像した地表面に基づいて、地表面の高さを算出してもよい。
【0131】
本実施形態では、転圧する地表面の高さを認識することで、バケット6が地表面に接する際のブーム角度及びアーム角度を特定できる。
【0132】
角度算出部53は、バケット6の背面で地表面に接する際のバケット角度を算出する。例えば、角度算出部53は、現在のアーム角度でブーム4を下げて、バケット6が地表面に接する際に、バケット6の背面で地表面に接するようなバケット角度を算出する。
【0133】
[ショベルの角度関係]
図5は、本実施形態に係るショベル100のアタッチメントの角度の関係を示した概念図である。図5で示される例では、地表面TPが、位置算出部52で算出された、転圧する地表面の高さとする。
【0134】
転圧作業において、ショベル100は、地表面TPが目標施工面と同じ形状になるよう、バケット6の背面6Bで地表面TPを押し付けるような制御が行われる。操作者は、アーム5の開き動作又は閉じ操作によって、バケット6で転圧する領域を調整すると共に、ブーム4の上下方向への操作を行う。そして、ブーム4の下げ操作に従って、ブーム4が下がっている時に、バケット6の背面6Bで地表面TPを押し付ける。本実施形態においては、マシンガイダンス部50が、バケット6を地表面TPを押し付ける際に、バケット6の背面6Bで地表面TPに接するようにバケット角度を調整する。次に、バケット6の背面6Bで地表面TPに接するためのバケット角度について説明する。
【0135】
図5に示される例では、点P1は、上部旋回体3とブーム4との連結点を示し、点P2は、ブーム4とアーム5との連結点を示し、点P3は、アーム5とバケット6との連結点を示している。点P4は、バケット6の先端を示し、点P5は、バケット6の背面6Bにおける所定点を示している。なお、図5において、説明の明瞭化のため、バケットシリンダ9の図示を省略している。図5で示される例では、反時計回りの角度を正とする。
【0136】
従って、図5において、水平線から、点P1と点P2とを結ぶ直線までの角度を、ブーム角度θ1(正の角度)として示される。点P1と点P2とを結ぶ直線から、点P2と点P3とを結ぶ直線までの角度を、アーム角度θ2(負の角度)として示される。点P2と点P3とを結ぶ直線から、点P3と点P4とを結ぶ直線までの角度を、バケット角度θ3(負の角度)として示される。
【0137】
さらに、バケット6の背面6Bを地表面TPと略平行にするためには、バケット6の背面6Bと開口面との角度を考慮する必要がある。バケットの点P4と点P5とを結ぶ直線から、バケットの点P4と点P3とを結ぶ直線までの角度を、角度θa(正の角度)として示される。
【0138】
図5に示される例では、ブーム角度θ1+アーム角度θ2+バケット角度θ3-角度θa=-180度となった場合に、バケット6が背面6Bで地表面TPに接することができる。ところで、角度θaは、バケット6の形状に基づいた定数である。バケット角度θ3は、バケット6の背面6Bで地表面TPに接しているか否かを調整するための角度である。
【0139】
バケット6が地表面に接するか否かは、ブーム角度θ1及びアーム角度θ2に基づいて特定できる。例えば、角度算出部53は、現在のアーム角度θ2でブーム下げ動作を行った場合に、位置算出部52により算出された地表面の位置(高さ)に基づいて、バケット6が地表面に接する時のブーム角度θ1を認識できる。
【0140】
バケット6の背面6Bで地表面TPに接する場合、"バケット角度θ3=-180度+角度θa-地表面TPに接したときのブーム角度θ1-地表面TPに接したときのアーム角度θ2"が成り立つ。
【0141】
このように、角度算出部53は、バケット6が地表面に接する時のアーム角度θ2及びブーム角度θ1に基づいて、バケット6の背面6Bで地表面TPに接するためのバケット角度θ3を算出できる。
【0142】
自動制御部54は、アクチュエータを自動的に動作させることで操作者による操作装置26を通じたショベル100の手動操作を自動的に支援する。具体的には、自動制御部54は、後述の如く、複数の油圧アクチュエータ(具体的には、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、及びバケットシリンダ9)に対応する制御弁(具体的には、制御弁173、制御弁175L,175R、及び制御弁174)に作用するパイロット圧を個別に且つ自動的に調整することができる。これにより、自動制御部54は、それぞれの油圧アクチュエータを自動的に動作させることができる。自動制御部54によるマシンコントロール機能に関する制御は、例えば、入力装置42に含まれる所定のスイッチが押下された場合に実行されてよい。当該所定のスイッチは、例えば、マシンコントロールスイッチ(以下、「MC(Machine Control)スイッチ」)であり、ノブスイッチとして操作装置26(例えば、アーム5の操作に対応するレバー装置)の操作者による把持部の先端に配置されていてもよい。以下、MCスイッチが押下されている場合に、マシンコントロール機能が有効である前提で説明を進める。
【0143】
例えば、自動制御部54は、MCスイッチ等が押下されている場合、転圧作業を支援するための、操作センサ29から受け付けた操作信号に従って、ブーム4及びアーム5のうちいずれか一つ以上の動作を制御すると共に、バケット6の背面(エンドアタッチメントに形成された面)6Bで、地表面TPに接するように、バケット角度センサS3の検出情報に基づいて、バケット角度(アタッチメントの角度の一例)を制御する。
【0144】
バケット6が地表面に接する際のアーム角度及びブーム角度は、地表面の高さから特定できる。位置算出部52は地表面の高さを算出している。このため、自動制御部54は、地表面に接する時のアーム角度及びブーム角度を把握できる。
【0145】
そこで、自動制御部54は、位置算出部52で算出された地表面の高さで、バケット6の背面6Bが地表面に接するように、アーム角度及びブーム角度に基づいて、バケット角度(バケット6の姿勢の例)を制御する。本実施形態では、位置算出部52で算出された地表面の高さで、バケット6の背面6Bが地表面に接するように制御するので、地表面に対して適切な角度で転圧できる。したがって、地表面を適切な形状に形成できるので、転圧作業の精度の向上を実現できる。
【0146】
このように、自動制御部54は、操作に従ってアーム5の開き又は閉じ動作とブーム4の下げ動作とによって、バケット6の背面6Bで地表面を転圧する際に、位置算出部52で算出された地表面の高さで、バケット6の背面6Bで地表面に接するように、バケット角度センサS3の検出情報に基づいてバケット角度を制御する。
【0147】
動作の具体的な制御として、自動制御部54は、MCスイッチ等が押下されている場合、転圧作業を支援するために、アームシリンダ8及びブームシリンダ7のいずれか一つ以上の動作に合わせて、地表面とバケット6の背面6Bの位置とが略一致するバケット角度になるように、バケットシリンダ9を自動的に伸縮させる。なお、アームシリンダ8及びブームシリンダ7の動作は、操作者の手動によるアーム5の開き操作又は閉じ操作と、ブーム4の上げ操作又は下げ操作と、に対応するように自動制御部54により制御される。
【0148】
図6は、本実施形態に係るショベル100により行われる転圧作業を示した概念図である。図6(a)に示される例では、目標施工面TP0になるまで、盛土M1に対してバケット6で転圧作業を行う例とする。
【0149】
例えば、操作者は、操作装置26に対して、位置6a1から位置6a2までバケット6の背面6Bで押し込むように、アーム操作及びブーム操作を行う。自動制御部54は、バケット6が位置6a1に存在する時、位置6a2まで下げたときにバケット6の背面6Bが目標施工面TP0と略一致するように、バケット角度を予め調整しておく。
【0150】
自動制御部54は、操作者によるアーム操作及びブーム操作に応じて、バケット角度の調整を行う。例えば、操作者による操作で、バケット6が位置6a3まで移動した時、自動制御部54は、位置6a3から目標施工面TP0まで下げたときに、バケット6の背面6Bが目標施工面TP0と略一致するように、バケット角度を予め調整する。
【0151】
同様に、操作者による操作で、バケット6が位置6a4まで移動した時、自動制御部54は、位置6a4から目標施工面TP0まで下げたときに、バケット6の背面6Bが目標施工面TP0と略一致するように、バケット角度を予め調整する。
【0152】
図6(a)に示されるように、自動制御部54が、バケット6の背面6Bが目標施工面TP0と略一致するように、バケット角度を調整した後、コントローラ30は、操作者からの操作に従ったブーム4の下げ動作を制御する。そして、当該ブーム4の下げによって生じる力に基づいて、バケット6の背面6Bで地表面を転圧する。
【0153】
なお、本実施形態に係る自動制御部54は、バケット6が盛土M1に接したタイミングではなく、位置算出部52による高さの算出の際に、バケット6が地表面に押し付けられて地表面が締固められた時の高さで、バケット6の背面6B全てが地表面に接する(換言すれば背面6Bと地表面とが略一致する)ように、バケット角度を制御する。これは、バケット6で転圧作業を行う場合、盛土M1から空気又は水等が押し出される毎に土砂等の密度が上昇していく。つまり、地表面が締固められるほど、転圧に必要な力が大きくなる。そこで、本実施形態では、締固められたタイミングで、バケット6の背面6Bからの力が地表面に伝達できるようにバケット角度を調整する。これにより、地表面の形状を形成する際に、バケット6の背面6Bが地表面と略一致した状態で、適切に転圧できるので、地表面を適切に締固めることができる。
【0154】
なお、本実施形態のバケット角度の調整は、上述した手法に制限するものではない。例えば、自動制御部54は、バケット6の背面6Bが目標施工面TP0に到達したタイミングで、バケット6の背面6Bと目標施工面TP0とが略一致するようにバケット角度を調整してもよい。
【0155】
図6(b)は、ショベル100による転圧作業が完了した状況を示している。図6(b)に示されるように、転圧された盛土M2で形成される地表面は、目標施工面TP0と略一致している。つまり、転圧作業によって盛土から水又は空気が押し出され、地面の密度が高くなっている。これにより、地表面に対して次の作業(例えば砂利を敷く等)を行うことができる。
【0156】
次に、自動制御部54によるバケット角度の調整について説明する。図7は、本実施形態に係る自動制御部54によるバケット角度の調整を例示した図である。
【0157】
図7で示される例では、操作装置26が受け付けた操作に従って移動軌跡1701に従ってバケット6が移動する例とする。例えば、操作者によるアーム操作及びブーム操作に応じてバケット6が位置6b1に存在している。位置6b1からブーム下げ動作が行われた場合に、位置6b2に移動する。
【0158】
このため、自動制御部54は、操作者の操作に従ってブーム4の下げ動作が行われた場合に、位置6b2でバケット6の背面6Bが地表面TP1と略一致する(背面6Bで地表面TP1に接する)ように、地表面TP1に接する前に、換言すればバケット6が位置6b1に存在する時点で、バケット角度を予め制御する。なお、自動制御部54によるバケット角度の調整は、バケット6が地表面TP1に接するまでの間、操作者によってアーム操作が行われる毎に行われてもよい。
【0159】
つまり、本実施形態においては、バケット6が地表面TP1に接する前に、自動制御部54がバケット角度を予め調整しておくことで、バケット6の背面6Bで適切に地表面TP1に接することができると共に、バケット6が地表面TP1に接するタイミングではバケット6の角度(姿勢)制御を行わなくてよいのでバケット6の制御負担を軽減できる。また、本実施形態においては、バケット6の角度(姿勢)制御の頻度を低減できるので、省エネルギーの向上を実現できる。
【0160】
自動制御部54によるバケット角の調整が行われた後、コントローラ30が、操作センサ29からの操作信号に従ってブーム下げ動作を行った場合、位置6b2において、バケット6の背面6Bが地表面TP1と略一致するように接する。これにより、地表面TP1に対してバケット6の背面6Bによる転圧が行われる。
【0161】
そして、バケット6が位置6b2で地表面TP1に対して転圧を行った後、操作者によるアーム操作及びブーム操作によってバケット6が位置6b3まで移動する。位置6b3からブーム下げ動作が行われた場合に、位置6b4に移動する。このため、自動制御部54は、バケット6が位置6b3に存在する時点で、位置6b4まで移動させた際に、バケット6の背面6Bが地表面TP1と略一致するようにバケット角度を予め調整する。
【0162】
自動制御部54によるバケット角の調整が行われた後、コントローラ30が、操作センサ29からの操作信号に従ってブーム下げ動作を行った場合、位置6b4において、バケット6の背面6Bが地表面TP1と略一致するように接する。これにより、地表面TP1に対してバケット6の背面6Bによる転圧が行われる。
【0163】
(第1の実施形態の変形例1)
上述した実施形態は、自動制御部54によるバケット角の調整の一態様を示したものであって、他の手法を用いてもよい。そこで、変形例では、自動制御部54が常にバケット角を調整している場合について説明する。
【0164】
次に、本変形例に係る自動制御部54によるバケット角度の調整について説明する。図8は、本変形例に係る自動制御部54によるバケット角度の調整を例示した図である。
【0165】
図8で示される例では、操作装置26が受け付けた操作に従って移動軌跡1801に従ってバケット6が移動する例とする。そして、自動制御部54は、バケット6の背面6Bが常に地表面TP2と略平行な状態を維持するように、バケット角度センサS3に基づいて、バケット角度を調整する。
【0166】
例えば、操作者によるアーム操作及びブーム操作に応じてバケット6が位置6c1に存在している。位置6b1からブーム下げ動作が行われた場合に、位置6c2に移動する。
【0167】
自動制御部54は、バケット6が位置6c1に存在する時に、バケット6の背面6Bが常に地表面TP2と略平行になるよう、バケット角度を調整する。そして、ショベル100のアタッチメントの動作が開始した際に、自動制御部54は、現在のアーム角度及びブーム角度に応じて、バケット6の背面6Bが地表面TP2と略平行な状態を維持するよう、バケット角度を調整する。
【0168】
これにより、バケット6が位置6c2に到達した時も、バケット6の背面6Bが地表面TP2と略一致している(背面6B全面で地表面に接する)ことを維持できる。
【0169】
そして、バケット6が位置6c2で地表面に対して転圧を行った後、操作者によるアーム操作及びブーム操作によってバケット6が位置6c3まで移動する。位置6c3からブーム下げ動作が行われた場合に、位置6c4に移動する。自動制御部54は、位置6c2から位置6c3を介して位置6c4に到達するまで、バケット6の背面6Bが目標施工面と略平行な状態を維持するようにバケット角度を調整する。
【0170】
これにより、ショベル100は、位置6c4において、地表面に対してバケット6の背面6Bによる転圧をおこなうことができる。
【0171】
つまり、本変形例では、バケット6の背面6Bは常に地表面TP2と略平行な状態が維持されるので、バケット6の背面6Bが盛土に接触した時から転圧が完了するまで、バケット6の背面6Bが盛土に対して適切な角度で転圧できる。したがって、地表面が目標施工面に近づくような施工ができるので、施工品質の向上を実現できる。
【0172】
(第2の実施形態)
上述した実施形態においては、操作者が搭乗しているショベル100において転圧作業を行う場合について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、操作者がショベル100に搭乗している場合に転圧作業を行う手法に制限するものではない。例えば、ショベル100が遠隔操作に従って転圧作業を行う際に、上述した実施形態と同様の処理をしてもよい。そこで、第2の実施形態では、ショベル100の遠隔操作を行う場合について説明する。
【0173】
そこで、図9を参照して、第2の実施形態に係る遠隔操作システムSYSの概要を説明する。図9は、第2の実施形態に係る遠隔操作システムSYSの一例を示す概要図である。
【0174】
図9に示すように、第1の実施形態に係る遠隔操作システムSYSは、ショベル100と、遠隔操作室RCと、を含んでいる。
【0175】
ショベル100、及び遠隔操作室RCは、通信回線NTを介してデータの送受信を可能に接続されている。
【0176】
ショベル100は、通信装置T1を用いることで無線通信が可能とする。そして、ショベル100は、通信回線NTに接続された機器(例えば、遠隔操作室RC)との間でデータの送受信を可能とする。
【0177】
そして、ショベル100は、作業現場に関する情報を、遠隔操作室RCに送信できる。これにより、遠隔操作室RCは、ショベル100からの情報に応じて、作業現場を確認できる。なお、本実施形態は、作業現場の測定を行う装置を、ショベル100に制限するものではなく、作業現場上を飛行するドローン、定点カメラ、又はユーザが所持可能な撮像装置など、他の態様の装置であってもよい。
【0178】
例えば、ショベル100には撮像装置S6が設けられている。ショベル100は、撮像装置S6による作業現場の撮像結果を示した撮像画像を、遠隔操作室RCに送信する。
【0179】
遠隔操作システムSYSに含まれるショベル100は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。これにより、遠隔操作システムSYSは、複数台のショベル100を通じて、遠隔操作室RCに作業現場に関する情報提供を行うことができる。
【0180】
<遠隔操作室の構成例>
遠隔操作室RCには、通信装置T2、遠隔コントローラR30、操作装置R26、操作センサR29、及び表示装置D1を備えている。また、遠隔操作室RCには、ショベル100を遠隔操作する操作者OPが座る操作席DSが設置されている。
【0181】
通信装置T2は、ショベル100に取り付けられた通信装置T1との間で通信を制御するように構成されている。
【0182】
遠隔コントローラ(遠隔操作装置の一例)R30は、各種演算を実行する演算装置である。本実施形態では、遠隔コントローラR30は、CPU及びメモリを含むマイクロコンピュータで構成されている。そして、遠隔コントローラR30の各種機能は、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0183】
表示装置D1は、遠隔操作室RCにいる操作者OPがショベル100の周囲を視認するために、ショベル100から送信された情報に基づいた画面を表示する。表示装置D1は、操作者が遠隔操作室RCにいるにもかかわらず、ショベル100の周囲を含む作業現場の状況を確認できる。
【0184】
操作装置R26には、操作装置R26の操作内容を検出するための操作センサR29が設置されている。操作センサR29は、例えば、操作レバーの傾斜角度を検出する傾斜センサ、又は、操作レバーの揺動軸回りの揺動角度を検出する角度センサ等である。操作センサR29は、圧力センサ、電流センサ、電圧センサ、又は距離センサ等の他のセンサで構成されていてもよい。操作センサR29は、検出した操作装置R26の操作内容に関する情報を遠隔コントローラR30に対して出力する。遠隔コントローラR30は、受信した情報に基づいて操作信号を生成し、生成した操作信号をショベル100に向けて送信する。操作センサR29は、操作信号を生成するように構成されていてもよい。この場合、操作センサR29は、遠隔コントローラR30を経由せずに、操作信号を通信装置T2に出力してもよい。これにより、遠隔操作室RCから、ショベル100の遠隔操作を実現できる。
【0185】
そして、ショベル100の通信装置T1は、遠隔コントローラR30の通信装置T2から操作信号を受信する。
【0186】
そして、ショベル100のコントローラ30内のマシンガイダンス部50は、受信した制御信号に基づいて、上述した実施形態又は変形例と同様の制御を行う。
【0187】
つまり、マシンガイダンス部50は、通信装置T2から、MCスイッチが押下されている旨の操作信号を受信している間、ブーム4及びアーム5に対して、受信した操作信号に対応する動作をさせるよう制御すると共に、バケット6の背面6Bで、地表面に接するように、バケット角度センサS3に基づいてバケット角度を制御する。
【0188】
本実施形態では、遠隔操作を行う場合、表示装置D1に写っている画面だけでは、操作者によるバケット6の姿勢の制御が難しい場合がある。そこで、本実施形態では、上述した実施形態と同様にマシンガイダンス部50がバケット角度を制御することで、操作者は、バケット6の姿勢を考慮することなく、転圧作業を行うことができる。これにより、操作負担の軽減を実現できる。
【0189】
<作用>
上述した実施形態及び変形例においては、操作者からの操作に応じてアーム動作及びブーム動作が行われるので、操作者は転圧を行う領域を調整できる。そのうえで、マシンガイダンス部50が、バケット6の姿勢を制御することで、ショベル100で転圧作業を行う際に、操作者がバケット角度を調整することなく、バケット6の背面6Bで転圧することが可能となる。したがって、上述した実施形態及び変形例においては、操作者が転圧を行う領域を調整可能としたことによる利便性の向上と、バケット6の姿勢の調整を操作者が行わなくてもよいことによる操作負担の軽減と、の両立を図ることができる。
【0190】
また、当該転圧作業時において、地表面に対してバケット6の背面6Bで接するようなバケット角度の調整は、ブーム4及びアーム5が円弧の軌道を描くため、熟練者でないと難しい。これに対して、上述した実施形態及び変形例においては、マシンガイダンス部50でバケット6の背面6Bで地表面に接するように角度調整が行われるので、操作者が熟練者でなくてもよいので、作業現場における作業効率の向上を実現できる。
【0191】
以上、本発明に係るショベル、及びショベルの遠隔操作システムの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0192】
100 ショベル
1 下部走行体
2 旋回機構
3 上部旋回体
4 ブーム(アタッチメント)
5 アーム(アタッチメント)
6 バケット(作業具)
6B 背面
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
26、R26 操作装置
29、R29 操作センサ
30 コントローラ
50 マシンガイダンス部
51 取得部
52 位置算出部
53 角度算出部
54 自動制御部
S1 ブーム角度センサ
S2 アーム角度センサ
S3 バケット角度センサ
T1、T2 通信装置
RC 遠隔操作室
R30 遠隔コントローラ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9