IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立オートモティブシステムズ株式会社の特許一覧

特開2024-161799電力変換装置、電力変換装置の制御方法
<>
  • 特開-電力変換装置、電力変換装置の制御方法 図1
  • 特開-電力変換装置、電力変換装置の制御方法 図2
  • 特開-電力変換装置、電力変換装置の制御方法 図3
  • 特開-電力変換装置、電力変換装置の制御方法 図4
  • 特開-電力変換装置、電力変換装置の制御方法 図5
  • 特開-電力変換装置、電力変換装置の制御方法 図6
  • 特開-電力変換装置、電力変換装置の制御方法 図7
  • 特開-電力変換装置、電力変換装置の制御方法 図8
  • 特開-電力変換装置、電力変換装置の制御方法 図9
  • 特開-電力変換装置、電力変換装置の制御方法 図10
  • 特開-電力変換装置、電力変換装置の制御方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161799
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】電力変換装置、電力変換装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076833
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】阪部 智城
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 尊衛
(72)【発明者】
【氏名】栗本 佳典
(72)【発明者】
【氏名】中原 瑞紀
(72)【発明者】
【氏名】印南 敏之
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 英樹
(72)【発明者】
【氏名】安川 義人
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730BB27
5H730BB57
5H730DD16
5H730EE03
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE57
5H730EE59
5H730EE72
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD31
5H730XX03
5H730XX13
5H730XX23
5H730XX33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】比較的簡易な回路構成で、高効率な電力変換装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】入力側の1次巻線N116及び出力側の2次巻線N117を含む少なくとも2巻線以上を有するトランス103からの交流電力を、2次巻線に接続された整流回路102を用いて直流電力に変換する電力変換装置であって、整流回路は、ダイオードD111~D114からなるダイオードブリッジ回路と、当該ダイオードブリッジ回路のレグ間にコンデンサC120、C121と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側の1次巻線及び出力側の2次巻線を含む少なくとも2巻線以上を有するトランスからの交流電力を前記2次巻線に接続された整流回路を用いて直流電力に変換する電力変換装置であって、
前記整流回路は、ダイオードブリッジ回路と、当該ダイオードブリッジ回路のレグ間にコンデンサと、を備える電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記コンデンサの充放電により、出力側のトランス漏れインダクタンスを充電し、
前記トランスに電圧が印加されたときに、前記充電されたトランス漏れインダクタンスを放電することで出力電圧を昇圧する電力変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記コンデンサと直列に接続された切替用スイッチと、
前記切替用スイッチを制御する制御回路と、を有する電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置であって、
前記制御回路は、前記電力変換装置の入力電圧または出力電圧が所定の閾値を下回った場合、前記切替用スイッチをONする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記コンデンサは、前記ダイオードブリッジ回路の上アームのダイオードまたは下アームのダイオードのいずれかと並列に接続される電力変換装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記コンデンサは、前記ダイオードブリッジ回路のいずれか1つのダイオードと並列に接続される電力変換装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記コンデンサは、前記2次巻線と並列に接続される電力変換装置。
【請求項8】
入力側の1次巻線及び出力側の2次巻線と3次巻線を含む少なくとも3巻線以上を有するトランスからの交流電力を前記2次巻線及び前記3次巻線のいずれか1つ以上の巻線に接続された整流回路を用いて直流電力に変換する電力変換装置であって、
前記整流回路は、ダイオードブリッジ回路と、当該ダイオードブリッジ回路のレグ間にコンデンサと切替用スイッチの直列体と、を備え、
前記切替用スイッチを制御する制御回路を有する電力変換装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電力変換装置であって、
前記整流回路は、前記3次巻線に接続されており、
前記制御回路は、2次側の負荷電流が所定の閾値を下回った場合、前記切替用スイッチをONすることで、3次側の直流電圧の低下を抑制する電力変換装置。
【請求項10】
入力側の1次巻線及び出力側の2次巻線を含む少なくとも2巻線以上を有するトランスからの交流電力を前記2次巻線に接続された整流回路を用いて直流電力に変換する電力変換装置の制御方法であって、
(a)前記整流回路を構成するダイオードブリッジ回路のレグ間に接続されたコンデンサの充放電により、出力側のトランス漏れインダクタンスを充電するステップと、
(b)前記トランスに電圧が印加されたときに、前記(a)ステップで充電されたトランス漏れインダクタンスを放電することで出力電圧を昇圧するステップと、
を有する電力変換装置の制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載の電力変換装置の制御方法であって、
前記(b)ステップにおいて、前記電力変換装置の入力電圧または出力電圧が所定の閾値を下回った場合、前記(a)ステップで充電されたトランス漏れインダクタンスを放電することで出力電圧を昇圧する電力変換装置の制御方法。
【請求項12】
入力側の1次巻線及び出力側の2次巻線と3次巻線を含む少なくとも3巻線以上を有するトランスからの交流電力を前記2次巻線及び前記3次巻線のいずれか1つ以上の巻線に接続された整流回路を用いて直流電力に変換する電力変換装置の制御方法であって、
(a)前記整流回路を構成するダイオードブリッジ回路のレグ間に接続されたコンデンサの充放電により、出力側のトランス漏れインダクタンスを充電するステップと、
(b)前記トランスに電圧が印加されたときに、前記(a)ステップで充電されたトランス漏れインダクタンスを放電することで出力電圧を昇圧するステップと、
を有する電力変換装置の制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の電力変換装置の制御方法であって、
前記(b)ステップにおいて、2次側の負荷電流が所定の閾値を下回った場合、前記(a)ステップで充電されたトランス漏れインダクタンスを放電することで3次側の直流電圧の低下を抑制する電力変換装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置の構成とその制御方法に係り、特に、DC/ACコンバータと整流回路をトランスで結合した絶縁型DC/DCコンバータに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
広い入力電圧範囲から安定化した電圧を絶縁して出力する絶縁型DC/DCコンバータは、車載用の電力変換回路や基地局、ルータ等の情報通信機器、サーバ等の電力変換回路として幅広く利用されている。
【0003】
近年、この絶縁型DC/DCコンバータのトランスに、さらに別の回路を結合することにより、回路の小型・軽量化を図る取り組みがなされている。
【0004】
例えば、車載分野においては、電動車(xEV)向けの低電圧蓄電池(LVBAT)用DC/DCコンバータと、AC100Vコンセント(V2L)用DC/ACコンバータとを一体化した車載電力変換回路の開発が進められている。
【0005】
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1には、「電圧変換用トランスの1次側巻線と2次側巻線の巻線比にとらわれず、高い変換効率で昇圧/降圧が可能なDC-DCコンバータ」が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、「装置の小型化と幅広い範囲の電圧への対応を両立可能な充放電装置」が開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、「プライマリ巻線と、第1セカンダリ巻線および第2セカンダリ巻線とが磁気的に相互に結合されたトランスを備える電力変換装置」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-224012号公報
【特許文献2】特開2014-27857号公報
【特許文献3】特開2021-164338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1及び特許文献2のように、一次側の回路と二次側の回路をトランスで結合した絶縁型DC-DCコンバータでは、一次側と同じスイッチング周波数で二次側を駆動することで、DC電圧を昇圧する。そのため、二次側には、一次側と同期した高周波駆動回路が必要となる。また、高周波駆動に対応したデバイスも必要となる。この結果、回路が高価になり、電力損失も大きくなることが懸念される。
【0010】
また、上記特許文献3のように、一次側の回路に、トランスを介して2つの異なる回路(二次側回路および三次側回路)を結合した電力変換装置では、三次側スイッチングにより、三次側の出力電圧を制御する。三次側スイッチングは、一次側と同期したスイッチングをする必要があるため、三次側は高周波数駆動をする。そのため、三次側では高周波数駆動に対応したデバイスが必要となる。この結果、やはり回路が高価になり、電力損失も大きくなることが懸念される。
【0011】
そこで、本発明の目的は、比較的簡易な回路構成で、高効率な電力変換装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、入力側の1次巻線及び出力側の2次巻線を含む少なくとも2巻線以上を有するトランスからの交流電力を前記2次巻線に接続された整流回路を用いて直流電力に変換する電力変換装置であって、前記整流回路は、ダイオードブリッジ回路と、当該ダイオードブリッジ回路のレグ間にコンデンサと、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、入力側の1次巻線及び出力側の2次巻線と3次巻線を含む少なくとも3巻線以上を有するトランスからの交流電力を前記2次巻線及び前記3次巻線のいずれか1つ以上の巻線に接続された整流回路を用いて直流電力に変換する電力変換装置であって、前記整流回路は、ダイオードブリッジ回路と、当該ダイオードブリッジ回路のレグ間にコンデンサと切替用スイッチの直列体と、を備え、前記切替用スイッチを制御する制御回路を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、入力側の1次巻線及び出力側の2次巻線を含む少なくとも2巻線以上を有するトランスからの交流電力を前記2次巻線に接続された整流回路を用いて直流電力に変換する電力変換装置の制御方法であって、(a)前記整流回路を構成するダイオードブリッジ回路のレグ間に接続されたコンデンサの充放電により、出力側のトランス漏れインダクタンスを充電するステップと、(b)前記トランスに電圧が印加されたときに、前記(a)ステップで充電されたトランス漏れインダクタンスを放電することで出力電圧を昇圧するステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、入力側の1次巻線及び出力側の2次巻線と3次巻線を含む少なくとも3巻線以上を有するトランスからの交流電力を前記2次巻線及び前記3次巻線のいずれか1つ以上の巻線に接続された整流回路を用いて直流電力に変換する電力変換装置の制御方法であって、(a)前記整流回路を構成するダイオードブリッジ回路のレグ間に接続されたコンデンサの充放電により、出力側のトランス漏れインダクタンスを充電するステップと、(b)前記トランスに電圧が印加されたときに、前記(a)ステップで充電されたトランス漏れインダクタンスを放電することで出力電圧を昇圧するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、比較的簡易な回路構成で、高効率な電力変換装置及びその制御方法を実現することができる。
【0017】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1に係る電力変換装置の概略構成を示す回路図である。
図2図1の電力変換装置の動作を模式的に示す図である。
図3図1の電力変換装置の動作波形を示す図である。
図4】本発明の実施例2に係る電力変換装置の概略構成を示す回路図である。
図5】本発明の実施例3に係る電力変換装置の概略構成を示す回路図である。
図6】本発明の実施例4に係る電力変換装置の概略構成を示す回路図である。
図7】本発明の実施例5に係る電力変換装置の概略構成を示す回路図である。
図8図7の電力変換装置の制御波形を示す図である。
図9図7の電力変換装置の制御波形を示す図である。
図10】本発明の実施例6に係る電力変換装置の概略構成を示す回路図である。
図11図10の電力変換装置の制御波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
【実施例0020】
図1から図3を参照して、本発明の実施例1に係る電力変換装置及びその制御方法について説明する。
【0021】
図1は、本実施例の電力変換装置の概略構成を示す回路図である。図2は、図1の電力変換装置の動作を模式的に示すモード図であり、図3は、その動作波形を示す図である。
【0022】
図1に示すように、本実施例の電力変換装置は、絶縁型DC/DCコンバータであり、一次側はDC/ACコンバータ101を、二次側は整流回路102をトランス103で結合した回路構成である。
【0023】
DC/ACコンバータ101は、4つのスイッチング素子S107~S110からなるフルブリッジ回路で構成されている。なお、2つのスイッチング素子S107,S108またはS109,S110の組み合わせからなるハーフブリッジ回路で構成することも考えられる。DC/ACコンバータ101の入力側には、平滑コンデンサC106が接続されている。
【0024】
整流回路102は、ダイオードD111~D114からなるダイオードブリッジ回路で構成されている。ダイオードブリッジ回路のダイオードD112,D114と並列に、コンデンサC120,C121がそれぞれ接続されている。整流回路102の出力側には、平滑コンデンサC115が接続されている。
【0025】
トランス103は、一次側巻線N116、二次側巻線N117、一次側漏れインダクタンスL118、二次側漏れインダクタンスL119を有する。
【0026】
また、本実施例の電力変換装置は、整流回路102の出力側の電流及び電圧のいずれか一方または両方を検出する電流/電圧検出回路104、制御回路105を備えている。制御回路105は、電流/電圧検出回路104の検出値に基づいて、DC/ACコンバータ101の各スイッチング素子S107~S110のスイッチング動作をそれぞれ制御する。
【0027】
図2及び図3を用いて、図1の電力変換装置の動作(制御方法)について説明する。
【0028】
図3のt0~t1期間はmode aであり、この期間の電流経路を図2の(a)に示している。一次側のDC/ACコンバータはスイッチS107,S110がONであり、二次側の整流回路はコンデンサC120が充電されてVa02が増加し、コンデンサC121が放電されてVa03が減少する。コンデンサC120,C121の充放電電流により、二次側の漏れインダクタンスL119が充電される。コンデンサC120,C121の充放電が完了するとmode bに移行する。
【0029】
図3のt1~t2期間はmode bであり、この期間の電流経路を図2の(b)に示している。一次側のDC/ACコンバータはmode aと同じくスイッチS107,S110がONであり、二次側の整流回路はダイオードD111,D114が導通する。このとき, mode aで充電されていた二次側の漏れインダクタンスL119が放電されるため、出力電圧Va07はトランス印加電圧Va01に二次側の漏れインダクタンスL119の電圧が上乗せされた値となる。一次側のDC/ACコンバータのスイッチS107,S110がOFFになるとmode cに移行する。
【0030】
図3のt2~t3期間はmode cであり、この期間の電流経路を図2の(c)に示している。一次側のDC/ACコンバータでは全てのスイッチS107~S110がOFFとなるデッドタイムである。二次側の整流回路では漏れインダクタンスL119の放電が継続しているため、ダイオードD111,D114は導通する。一次側のDC/ACコンバータのスイッチS108,S109がONになるとmode dに移行する。
【0031】
mode d,mode e,mode fは、mode a,mode b,mode cと対称動作であるため、詳細な説明は省略する。
【0032】
本実施例の電力変換装置は、以上の動作(制御方法)により出力電圧V2が昇圧される。
【0033】
以上説明したように、本実施例の電力変換装置は、入力側の1次巻線N116及び出力側の2次巻線N117を含む少なくとも2巻線以上を有するトランス103からの交流電力を2次巻線N117に接続された整流回路102を用いて直流電力に変換する電力変換装置であり、整流回路102は、ダイオードブリッジ回路D111~D114と、当該ダイオードブリッジ回路D111~D114のレグ間にコンデンサC120,C121とを備えている。
【0034】
本実施例のような構成とすることで、例えば、上述したように、低電圧蓄電池(LVBAT)用DC/DCコンバータと、AC100Vコンセント(V2L)用DC/ACコンバータとをトランスを介して一体化した電力変換回路において、安価な回路構成でV2LDC電圧を高効率に昇圧することができる。
【0035】
これにより、LVBAT軽負荷時にV2L側DC電圧が低下する問題を解決できるとともに、一体型電力変換回路の目標である、小型・軽量化と高効率化の両立を達成することができる。
【実施例0036】
図4を参照して、本発明の実施例2に係る電力変換装置について説明する。図4は、本実施例の電力変換装置の概略構成を示す回路図であり、実施例1(図1)の変形例に相当する。
【0037】
実施例1(図1)では、ダイオードブリッジ回路の下アームのダイオードD112,D114と並列に、コンデンサC120,C121がそれぞれ接続されているのに対し、本実施例の電力変換装置では、図4に示すように、ダイオードブリッジ回路の上アームのダイオードD111,D113と並列に、コンデンサC201,C202がそれぞれ接続されている点において、実施例1(図1)と異なっている。その他の構成は、実施例1(図1)と同様である。
【0038】
本実施例(図4)のように、ダイオードブリッジ回路の上アームのダイオードD111,D113と並列に、コンデンサC201,C202をそれぞれ接続する構成としても、実施例1(図1)と同様の効果を得ることができる。
【0039】
回路動作は、実施例1(図2及び図3)と同様であり、繰り返しとなる説明は省略する。
【実施例0040】
図5を参照して、本発明の実施例3に係る電力変換装置について説明する。図5は、本実施例の電力変換装置の概略構成を示す回路図であり、実施例1(図1)の変形例に相当する。
【0041】
実施例1(図1)では、ダイオードブリッジ回路の2つのダイオードD112,D114と並列に、コンデンサC120,C121がそれぞれ接続されているのに対し、本実施例の電力変換装置では、図5に示すように、ダイオードブリッジ回路の1つのダイオードD112と並列に、コンデンサC301が接続されている点において、実施例1(図1)と異なっている。その他の構成は、実施例1(図1)と同様である。
【0042】
本実施例(図5)のように、ダイオードブリッジ回路の1つのダイオードD112と並列に、コンデンサC301を接続する構成としても良い。
【0043】
なお、コンデンサを接続するダイオードは、上アームのダイオードD111,D113、下アームのダイオードD114のいずれかとしても良い。
【0044】
実施例1(図2及び図3)とは厳密な回路動作は異なるが、略同様の原理で昇圧効果を得られる。
【実施例0045】
図6を参照して、本発明の実施例4に係る電力変換装置について説明する。図6は、本実施例の電力変換装置の概略構成を示す回路図であり、実施例1(図1)の変形例に相当する。
【0046】
実施例1(図1)では、ダイオードブリッジ回路のダイオードD112,D114と並列に、コンデンサC120,C121がそれぞれ接続されているのに対し、本実施例の電力変換装置では、図6に示すように、トランス103の二次側巻線N117と並列に、コンデンサC401が接続されている点において、実施例1(図1)と異なっている。その他の構成は、実施例1(図1)と同様である。
【0047】
本実施例(図6)のように、トランス103の二次側巻線N117と並列に、コンデンサC401を接続する構成としても良い。
【0048】
実施例1(図2及び図3)とは厳密な回路動作は異なるが、略同様の原理で昇圧効果を得られる。
【実施例0049】
図7から図9を参照して、本発明の実施例5に係る電力変換装置及びその制御方法について説明する。
【0050】
図7は、本実施例の電力変換装置の概略構成を示す回路図であり、実施例1(図1)の変形例に相当する。図8及び図9は、図7の電力変換装置の制御波形を示す図である。
【0051】
実施例1(図1)では、ダイオードブリッジ回路のダイオードD112,D114と並列に、コンデンサC120,C121がそれぞれ接続されているのに対し、本実施例の電力変換装置では、図7に示すように、ダイオードブリッジ回路のダイオードD112,D114と並列に、コンデンサC120と切替用スイッチS501の直列体,コンデンサC121と切替用スイッチS502の直列体がそれぞれ接続されている点において、実施例1(図1)と異なっている。その他の構成は、実施例1(図1)と同様である。
【0052】
切替用スイッチS501,S502は、制御回路105からの制御信号によりそれぞれ切替制御される。
【0053】
図8及び図9を用いて、図7の電力変換装置の動作(制御方法)について説明する。図8は、入力電圧V1に応じた制御波形を示し、図9は、出力電圧V2に応じた制御波形を示す。
【0054】
電力変換装置の入力側はバッテリが想定され、入力電圧V1の低下が予想される。入力電圧V1が低下すると、出力電圧V2も低下するが、出力電圧V2は負荷に応じた適切な電圧範囲を維持する必要がある。
【0055】
そこで、入力電圧低下期間(t1~t2期間)に、制御回路105からの制御信号により切替用スイッチS501,S502をONにし、トランス印加電圧に二次側の漏れインダクタンスL119の電圧を上乗せして昇圧することで、出力電圧V2を維持することが可能である。
【0056】
一方で、入力電圧V1が十分に高いときは昇圧を必要としない。そこで、入力電圧V1に応じて昇圧を切り替えることで出力電圧V2を適切に維持することができる。
【0057】
図8に示すように、入力電圧V1が閾値Vthを下回ると、切替用スイッチS501,S502をONにして昇圧する。入力電圧V1が閾値Vth以上となった場合は、切替用スイッチS501,S502をOFFにして昇圧せずに出力する。
【0058】
また、出力電圧V2は負荷に応じて変動することも想定されるため、出力電圧V2に応じた制御をする必要がある。
【0059】
そこで、図9に示すように、出力電圧V2が閾値Vth1を下回ると、切替用スイッチS501,S502をONにして昇圧する。一方、出力電圧V2が閾値Vth2以上となった場合は、切替用スイッチS501,S502をOFFにして昇圧せずに出力する。
【0060】
本実施例のような構成とすることで、切替用スイッチS501,S502のON/OFFによりコンデンサC120,C121の接続状態を切り替えることができるため、出力電圧が低下した場合のみ昇圧することができ、不要な昇圧を回避することができる。
【0061】
また、出力電圧V2が所定の閾値Vth1以下になったときに、切替用スイッチS501,S502をONにすることで出力電圧V2を昇圧し、出力電圧V2の低下を抑制する。出力電圧V2が所定の閾値Vth2以上まで上昇した場合は、切替用スイッチS501,S502をOFFにすることで不要な昇圧を回避し、過電圧を防止する。
【0062】
本制御では切替用スイッチS501,S502はON/OFFに固定されるため、スイッチング損失を低減でき、安価な汎用IGBTを使用することができる。
【実施例0063】
図10及び図11を参照して、本発明の実施例6に係る電力変換装置及びその制御方法について説明する。
【0064】
図10は、本実施例の電力変換装置の概略構成を示す回路図であり、絶縁型DC/DCコンバータのトランスに、さらに別の回路を結合した例である。図11は、図10の電力変換装置の制御波形を示す図である。
【0065】
図10に示すように、本実施例の電力変換装置は、一次側はDC/ACコンバータ601、二次側は整流回路602、三次側は整流回路603とDC/ACコンバータ604でそれぞれ構成され、一次側,二次側,三次側をトランス605で結合した回路構成である。
【0066】
本実施例の電力変換装置は、一次側巻線N629及び二次側巻線N630a,N630bと三次側巻線N631を含む少なくとも3巻線以上を有するトランス605からの交流電力を二次側巻線N630a,N630b及び三次側巻線N631のいずれか1つ以上の巻線に接続された整流回路602,603を用いて直流電力に変換する。
【0067】
二次側の整流回路602は、センタータップ構成やハーフブリッジ構成、フルブリッジ構成等が考えられる。
【0068】
三次側の整流回路603は、ダイオードD618~D621からなるダイオードブリッジ回路で構成されている。ダイオードブリッジ回路のダイオードD619,D621と並列に、コンデンサC623と切替用スイッチS624の直列体,コンデンサC625と切替用スイッチS626の直列体がそれぞれ接続されている。
【0069】
トランス605は、一次側巻線N629、二次側巻線N630a,N630b、三次側巻線N631、一次側の漏れインダクタンスL632、三次側の漏れインダクタンスL633を有する。
【0070】
図11を用いて、図10の電力変換装置の動作(制御方法)について説明する。図11は、出力回路の軽負荷対策制御の波形を示す。
【0071】
図10の二次側の整流回路602と、三次側の整流回路603及びDC/ACコンバータ604のように、2出力をトランスで結合した電力変換装置では出力が干渉するため、二次側が軽負荷時に三次側の電圧が低下する問題がある。
【0072】
そこで、二次側の軽負荷時に三次側を昇圧することで、出力電圧E3を維持することが可能である。
【0073】
一方で、二次側が軽負荷時以外の場合は昇圧を必要としない。そこで、二次側の負荷状況に応じて三次側の昇圧を切り替えることで、三次側の出力電圧E3を適切に維持することができる。
【0074】
図11に示すように、二次側の負荷電流I2が閾値Ithを下回ると、切替用スイッチS624,S626をONにして昇圧する。二次側の負荷電流I2が閾値Ith以上となった場合は、切替用スイッチS624,S626をOFFにして昇圧せずに出力する。
【0075】
本実施例のような構成とすることで、切替用スイッチS624,S626のON/OFFにより出力電圧の昇圧を切り替えることができる。そのため、出力電圧を昇圧したいときのみ昇圧することができ、二次側回路が軽負荷時に三次側直流電圧が低下する問題を解決できる。
【0076】
また、出力電圧が所定の閾値以下になったときに、切替用スイッチをONにすることで出力電圧を昇圧し、出力電圧の低下を抑制する。出力電圧が所定の閾値以上まで上昇した場合は、切替用スイッチをOFFにすることで出力電圧の範囲を狭くし、素子の耐圧による制限を緩和することができ、低損失設計がしやすくなる。
【0077】
本制御では切替用スイッチは一次側のスイッチング素子と同期して動かす必要が無いため、スイッチング損失を小さくし、汎用IGBTを用いることで高効率化と低コスト化の両立が期待できる。
【0078】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
101,601,604…DC/ACコンバータ
102,602,603…整流回路
103,605…トランス
104,606…電流/電圧検出回路
105,607…制御回路
C106,C115,C608,C616,C622…平滑コンデンサ
C120,C121,C201,C202,C301,C401,C623,C625…コンデンサ
D111~D114,D618~D621…ダイオード
L118,L119,L632,L633…漏れインダクタンス
L615…平滑インダクタ
N116,N117,N629,N630a,N630b,N631…巻線
S107~S110,S609~S614…スイッチング素子(スイッチ)
S501,S502,S624,S626…切替用スイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11