(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161811
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、端末プログラム、情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20241113BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076867
(22)【出願日】2023-05-08
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TENSORFLOW
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】泰平 苑子
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】通報内容に応じたアドバイス情報を送信するコンピュータプログラム、端末プログラム、情報処理装置及び情報処理方法を提供すること。
【解決手段】コンピュータプログラムは、被写体として道路が含まれる道路画像、撮影日時、及び撮影位置を含む通報情報を受信し、前記撮影位置に基づき、前記道路の管理者を特定し、前記通報情報、及び、前記道路画像により特定したアドバイス情報を、特定した前記管理者の管理者端末へ送信する処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体として道路が含まれる道路画像、撮影日時、及び撮影位置を含む通報情報を受信し、
前記撮影位置に基づき、前記道路の管理者を特定し、
前記通報情報、及び、前記道路画像により特定したアドバイス情報を、特定した前記管理者の管理者端末へ送信する
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記通報情報が損傷に関する内容であった場合、アドバイス情報は、損傷の進行状況又は損傷の進行予測を含む
請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記通報情報を記憶する記憶部を参照し、前記撮影位置と同一又は近傍の位置での過去の通報情報を検索し、
検索結果に基づき返信メッセージを生成し、
生成した前記返信メッセージを、前記通報情報を送信した通報者端末へ送信する
請求項1又は請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記通報情報に紐づく通報番号を発番し、
該通報番号を通報者端末へ送信し、
前記通報者端末から、前記通報番号を受信した場合、受信した前記通報番号により特定した案件の案件情報を、前記通報者端末へ送信する
請求項1又は請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記撮影日時から所定期間経過した後に、道路画像を再撮影し、送信することを促す促進情報を、通報者端末へ送信する
請求項1又は請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
被写体として道路が含まれる道路画像、撮影日時、及び撮影位置を含む通報情報を送信し、
前記通報情報と関連し、撮影についてのガイド情報を含む通報促進情報を受信し、
受信した前記通報促進情報を表示する
端末プログラム。
【請求項7】
被写体として道路が含まれる道路画像、撮影日時、及び撮影位置を含む通報情報を受信する受信部と、
前記撮影位置に基づき、前記道路の管理者を特定する特定部と、
前記通報情報、及び、前記道路画像により特定したアドバイス情報を、特定した前記管理者の管理者端末へ送信する送信部と
を備える情報処理装置。
【請求項8】
被写体として道路が含まれる道路画像、撮影日時、及び撮影位置を含む通報情報を受信し、
前記撮影位置に基づき、前記道路の管理者を特定し、
前記通報情報、及び、前記道路画像により特定したアドバイス情報を、特定した前記管理者の管理者端末へ送信する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アドバイス情報を送信するコンピュータプログラム、端末プログラム、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
社会基盤である道路は、24時間365日、常に供用できる状態であることが望まれている。その実現に資するため、道路管理者向けの道路維持管理システムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道路の利用者は様々であるが、郊外や住宅地を通る道路の利用者の多くは、地元住民である。そのため、道路の損傷についての通報を住民が行うことも想定される。特許文献1に記載の道路位管理システムにおいても、住民からの通報を受け付ける機能が用意されている。
【0005】
住民からの通報の内容は様々であり、その内容によって、道路管理者が行うべき対応も異なる。損傷に関する通報であっても、損傷の状態や当該道路の補修計画等によって、すぐに対応するか、しばらく様子を見るかなど、異なる対応が必要となる。しかし、従来の道路維持管理システムでは、取るべき対応の判断は、道路管理者に委ねられている。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものである。その目的は、通報内容に応じたアドバイス情報を送信するコンピュータプログラム、端末プログラム、情報処理装置及び情報処理方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の一態様に係るコンピュータプログラムは、被写体として道路が含まれる道路画像、撮影日時、及び撮影位置を含む通報情報を受信し、前記撮影位置に基づき、前記道路の管理者を特定し、前記通報情報、及び、前記道路画像により特定したアドバイス情報を、特定した前記管理者の管理者端末へ送信する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本願の一態様にあっては、通報内容に応じたアドバイス情報を送信する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】サーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】住民端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】管理者端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図10】通報受付処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図11】案件登録処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図13】プッシュ通知依頼処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図14】住民端末が記憶するメッセージDBの例を示す説明図である。
【
図16】ローカル通知処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図18】学習モデル生成処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図19】再通報処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図22】経過予測モデルを用いた経過予測を示す説明図である。
【
図24】状況表示処理の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(基本機能)
以下実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は連絡システムの構成例を示す説明図である。連絡システム100はサーバ1、住民端末2及び管理者端末3を含む。サーバ1、住民端末2及び管理者端末3はネットワークNにより、互いに通信可能に接続されている。サーバ1はプッシュ通知サービス4を利用することにより、個人情報を収集することなく、住民端末2へプッシュ通知を送信することが可能となる。以下の説明において、「道路」は、特に記載した場合を除き、「道路」と「道路構造物」とを含むとする。道路構造物は、「橋梁」「トンネル」「シェッド」「大型カルバート」「横断歩道橋」「門型標識等」である。
【0011】
サーバ1はサーバコンピュータ、ワークステーション、PC(Personal Computer)等で構成する。サーバ1を複数のコンピュータからなるマルチコンピュータ、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシン又は量子コンピュータで構成しても良い。サーバ1の機能をクラウドサービスで実現してもよい。
【0012】
住民端末2は道路利用者、特に地域住民が使用する端末である。住民端末2はタブレットコンピュータ、スマートフォン、ノートパソコン等で構成する。
図1おいて住民端末2は一台のみを記載しているが、二台以上あることを想定している。
【0013】
管理者端末3は道路管理者が使用する端末である。住民端末2はノートパソコン、タブレットコンピュータ、スマートフォン等で構成する。
図1おいて管理者端末3は一台のみを記載しているが、二台以上あることを想定している。
【0014】
図2はサーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。サーバ1は制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部15及び読み取り部16を含む。各構成はバスBにより接続されている。
【0015】
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有する。制御部11は、補助記憶部13に記憶された制御プログラム1P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、連絡システム100に関わる種々の情報処理、制御処理等を行い、受信部、特定部、及び、送信部等の機能部を実現する。
【0016】
主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等である。主記憶部12は主として制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0017】
補助記憶部13はハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等であり、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1Pや各種DB(Database)を記憶する。補助記憶部13は、道路管理者DB131、通報DB132、案件DB133、アドバイスDB134、メッセージDB135及び通知設定DB136を記憶する。また、補助記憶部13は学習モデル141を記憶する。補助記憶部13はサーバ1と別体であって外部接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部13に記憶する各種DB等を、サーバ1とは異なるデータベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0018】
通信部15はネットワークNを介して、住民端末2及び管理者端末3と通信を行う。制御部11が通信部15を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム1Pをダウンロードし、補助記憶部13に記憶してもよい。
【0019】
読み取り部16はCD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読み取り部16を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、補助記憶部13に記憶してもよい。制御部11が、半導体メモリ1bから、制御プログラム1Pを読み込んでもよい。
【0020】
図3は住民端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。住民端末2は制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、通信部24、表示パネル25、操作部26、位置取得部27及び撮像部28を含む。
【0021】
制御部21は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部21は、補助記憶部23に記憶された制御プログラム2P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、種々の機能を提供する。
【0022】
主記憶部22は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部22は主として制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0023】
補助記憶部23はハードディスク又はSSD等であり、制御部21が処理を実行するために必要な各種データを記憶する。補助記憶部23はメッセージDB232及び通知DB233を記憶する。補助記憶部23はプッシュ通知サービス4から取得したデバイストークン231を記憶する。補助記憶部23は住民端末2と別体であって、外部接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部23に記憶する各種DB等を、データベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0024】
通信部24はネットワークNを介して、サーバ1と通信を行う。また、制御部21が通信部24を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム2Pをダウンロードし、補助記憶部23に記憶してもよい。
【0025】
表示パネル25は、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成することができる。操作部26は、例えば、表示パネル25に組み込まれたタッチパネルで構成することができ、住民が表示パネル25上で行う所定の操作を行うことができる。また、操作部26は、表示パネル25に表示したソフトウェアキ-ボード上の操作を行うことができる。なお、操作部26は、ハードウェアキーボード、マウスなどでもよい。
【0026】
位置取得部27は、GPS(Global Positioning System)受信機などで構成される。位置取得部27は、GPS衛星からの電波を受信する。位置取得部27は、受信した衛星電波を元に、自らの位置を求める。
【0027】
撮像部28は例えばCCDカメラ又はCMOSカメラ等であり、CCD又はCOMS等を介して入力された光信号を光電変換することにより画像データを取得する。
【0028】
図4は管理者端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。管理者端末3は制御部31、主記憶部32、補助記憶部33、通信部34、入力部35、及び表示部36を含む。
【0029】
制御部31は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部31は、補助記憶部33に記憶された制御プログラム3P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、種々の機能を提供する。
【0030】
主記憶部32は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部32は主として制御部31が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0031】
補助記憶部33はハードディスク又はSSD等であり、制御部31が処理を実行するために必要な各種データを記憶する。補助記憶部33は管理者端末3と別体であって、外部接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部33に記憶する各種DB等を、データベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0032】
通信部34はネットワークNを介して、サーバ1と通信を行う。また、制御部31が通信部34を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム3Pをダウンロードし、補助記憶部33に記憶してもよい。
【0033】
入力部35はキーボードやマウス等である。表示部36は液晶表示パネル又は有機EL(electro Luminescence)表示パネル等を含む。入力部35と表示部36とを一体化し、タッチパネルディスプレイを構成してもよい。なお、管理者端末3は外部の表示装置に表示を行ってもよい。
【0034】
連絡システム100が使用するデータベースについて説明する。
図5は道路管理者DBの例を示す説明図である。道路管理者DB131は道路管理者に関するマスタデータを記憶する。道路管理者DB131はID列、管理者名称列、対象列、管理区間列、接続情報列、及び、メールアドレス列を含む。ID列は道路管理者を一意に特定可能なIDを記憶する。管理者名称列は道路管理者の名称を記憶する。対象列は道路管理者が管理する道路の対象を記憶する。道路は一般的に高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道の4つに分類可能である。対象列は4つの分類の中の何れかを記憶する。管理区間列は各道路管理者が管理する道路区間を記憶する。道路区間は道路の名称と、区間の開始点及び終了点とを含む。接続情報列は道路管理者の業務システムに接続するための情報を記憶する。接続情報列は、例えば、オープンAPI(Application Programming Interface)等により、道路管理者の業務システムと、データをやり取りするためのURI(Uniform Resource Identifier)等を記憶する。道路管理者がオープンAPIよるアクセスを提供していない場合、接続情報列には値が設定されないか、その旨を示す文字列等が記憶される。メールアドレス列は道路管理者のメールアドレスを記憶する。
【0035】
図6は通報DBの例を示す説明図である。通報DB132は住民から寄せられた通報の内容等を記憶する。通報DB132は通報ID列、撮影日時列、撮影位置列、画像列、テキスト列、通報日時列、名称列、住所列、位置補足列、種別列、判定カテゴリー列、状態列、案件ID列、及び、デバイストークン列を含む。通報ID列は通報を一意に特定可能な通報IDを記憶する。撮影日時列は通報に含む画像が撮影された日時(撮影日時)を記憶する。撮影日時は、例えば、画像に付されたExif情報から取得する。撮影位置列は画像が撮影された位置(撮影位置)、例えば、緯度及び経度を記憶する。撮影位置の緯度及び経度はExif情報から取得する。画像列は画像データを記憶する。テキスト列は住民が入力したテキストを記憶する。通報日時列は通報が送信された日時を記憶する。名称列は通報対象となっている道路の名称又は通称を記憶する。住所列は通報位置の住所を入力する。位置補足列、通報位置の住所を補足する情報を記憶する。名称列、住所列、位置補足列に記憶する値は、通報者が入力したものであるが、必須入力項目としなくともよいので、値が設定されていない場合もある。種別列は通報の種別を記憶する。道路の損傷についての通報であれば、種別列は「損傷」を記憶する。道路の安全対策についての通報であれば、種別列は「安全対策」を記憶する。判定カテゴリー列は送信された画像基づいて、サーバ1が判定した通報のカテゴリーを記憶する。状態列は通報の状態を記憶する。状態は、例えば「受信済」、「送信済」、「リンク済」等である。「受信済」は通報を受信した直後で、通報内容を未だ道路管理者へ送信していない状態を示す。「送信済」は通報を道路管理者へ送信済みであることを示す。「リンク済」は通報が案件と対応付けされていることを示す。案件は道路管理者が何らかの対応を行う必要がある事案を示す。各案件は少なくとも1つの通報と対応付けされている。案件ID列は通報と対応付けされている案件の案件IDを記憶する。通報が案件と対応付けされていない場合、案件ID列は値が設定されないか、その旨を示す文字列等を記憶する。デバイストークン列は通報を送信した住民端末2を特定可能なデバイストークンを記憶する。デバイストークンは住民端末2が連絡システム100を利用するために制御プログラム2Pをインストールする際に、プッシュ通知サービス4から取得する。デバイストークンを利用することにより、個人情報を収集することなく、住民端末2へプッシュ通知を送信することが可能である。なお、撮影日時、撮影位置をExif情報から取得できない場合に備えて、撮影日時及び撮影位置を必須項目として、通報者である住民に入力させるようにしてもよい。
【0036】
図7は案件DBの例を示す説明図である。案件DB133は案件情報を記憶する。案件DB133は案件ID列、管理者ID列、受付日時列、道路名称列、通称列、住所列、位置補足列、位置座標列、通報ID列、確定カテゴリー列、対応状況列、及び、次回予定列を含む。案件ID列は案件を一意に特定可能な案件IDを記憶する。管理者ID列は案件に係る道路の管理者を示す管理者IDを記憶する。受付日時列は案件を受け付けた日時(受付日時)を記憶する。例えば、受付日時は最初の通報に基づき、道路管理者が案件を設定した日時である。道路名称列は案件に紐づく道路の名称を記憶する。通称列は案件に紐づく道路が通称を持っている場合、その通称を記憶する。住所列は案件の位置を示す住所を記憶する。位置補足列は案件の位置を示す住所を補足する内容を記憶する。位置座標列は案件の位置を示す地理座標値を記憶する。例えば、地理座標値は緯度、経度である。通報ID列は案件と対応付けされている通報の通報IDを記憶する。確定カテゴリー列は道路管理者が承認して確定した案件のカテゴリーを記憶する。対応状況列は案件の状況を記憶する。状況は例えば、「対応検討中」、「対応中」、「待機中」、「対応済」である。「対応検討中」は道路管理者が何らかの対応がすぐにでも必要と考え、その内容を検討中であることを示す。「対応中」は対応内容が決定され、その準備や作業を行っていることを示す。「待機中」は対応内容が確定しているものの、開始するのが時期尚早であるため、待機していることを示す。例えば、道路にポットホールができた場合、補修する対応が必要である。しかし、ポットホールが小さい場合はすぐには補修を行なわず、ある程度、大きくなったときに補修を行う。ポットホールが大きくなるまで待っている場合に、状況は「待機中」となる。ポットホールは、主に車両が繰り返し走行することによりアスファルト舗装の表面の一部に発生する穴、くぼみ、ひび割れである。「対応済」は対応が完了したことを示す。次回予定列は次に何らかの処理を行うことを予定している場合に、その実行日時を記憶する。例えば、補修待機中のポットホールの状況の収集を、通報者へ依頼する場合、依頼のプッシュ通知を設定する処理を実行する予定日時を記憶する。
【0037】
図8はアドバイスDBの例を示す説明図である。アドバイスDB134は通報を道路管理者へ送信する際に添付する通報に関するアドバイスを記憶する。アドバイスDB134は種別列、カテゴリー列、及び、アドバイス列を含む。種別列は通報の種別を記憶する。カテゴリー列は通報内容のカテゴリーを記憶する。アドバイス列はアドバイスの内容を記憶する。
図8に示すように、種別とカテゴリーとにより、アドバイスを決定するようになっている。
【0038】
図9はメッセージDBの例を示す説明図である。メッセージDB135はサーバ1から住民端末2へ送信するメッセージを記憶する。メッセージDB135はID列、応答種別列、案件種別列及びメッセージ列を含む。ID列はメッセージを一意に特定可能なIDを記憶する。応答種別列はメッセージの種別を記憶する。「返信」は通報に対するメッセージであることを示す。「促進」は追加の通報を促すメッセージであることを示す。「ガイド」は通報の作成に関するアドバイスであることを示す。案件種別列は案件の種別を記憶する。「新規」は、通報により新たな案件が立ち上がったときに送るメッセージであることを示す。「既報」は、通報が既にある案件についてあったときに送るメッセージであることを示す。メッセージ列は送信するメッセージを記憶する。
【0039】
連絡システム100が行う情報処理について説明する。
図10は通報受付処理の手順例を示すフローチャートである。通報を行うとする住民(以下、「通報者」とういう。)は、住民端末2の撮像部28にて、道路の状況を撮影する。住民端末2の制御部21は撮像部28から画像(道路画像)を取得する(ステップS1)。通報者は、通報のきっかけとなった道路の状況についての説明を入力する。また、道路名称や道路番号、撮影位置の目印や付近のランドマークを、可能であれば、通報者は入力する。制御部21は入力を受け付ける(ステップS2)。制御部21は通報者が入力した情報と道路画像とを含む通報情報、及び、デバイストークン231を、サーバ1へ送信する(ステップS3)。サーバ1の制御部11は通報情報及びデバイストークン231を受信する(ステップS4)。制御部11は通報情報を分析して、通報が既存の案件とは関連しない新規なものであるか否かを判定する(ステップS5)。例えば、制御部11は通報情報に含まれる道路画像に付されているExif情報にアクセスし、撮影位置の地理座標値が記録されていたら、当該座標値を取得する。取得した座標値と、案件DB133が記憶している各案件の位置座標とを対照し、通報に対応する案件が既に記憶されているか否かを、制御部11は判定する。例えば、撮影位置と案件位置との距離が、所定の閾値以下であれば、通報情報に対応する案件であると、制御部11は判定する。制御部11は通報が新規なものであると判定した場合(ステップS5でYES)、案件登録処理(ステップS13)を行い、処理をステップS8へ移す。制御部11は通報が新規なものでないと判定した場合(ステップS5でNO)、案件DB133の対応状況列から案件状況を取得する(ステップS6)。制御部11は応答を作成する(ステップS7)。制御部11は案件状況に応じたメッセージをメッセージDB135から取得する。例えば、案件状況が「対応中」であったら、「こちらの通報・要望と同じと思われます。こちらは対応中です。」とのメッセージを取得する。また、案件状況が、ポットホールの状況変化を待っている「待機中」であったら、「1ヶ月後に再度通報して下さい。」とのメッセージを取得する。この場合、住民端末2において、1ヶ月後にリマインド機能を働かせるためのコマンドを作成してもよい。制御部11はメッセージ、設定情報を含む応答を住民端末2へ送信する(ステップS8)住民端末2の制御部21は応答を受信する(ステップS9)。制御部21は応答にコマンドが含まれているか否かを判定する(ステップS10)。制御部21は応答にコマンドが含まれていると判断した場合(ステップS10でYES)、コマンドを実行する(ステップS11)。例えば、リマインダを設定するコマンドであれば、実行する日時や表示するメッセージの設定を記憶する。制御部21は応答にコマンドが含まれていないと判断した場合(ステップS10でNO)、処理をステップS12へ移す。制御部21は応答に含まれるメッセージを表示パネル25に表示し(ステップS12)、処理を終了する。
【0040】
図11は案件登録処理の手順例を示すフローチャートである。案件登録処理は
図10のステップS13に対応する処理である。サーバ1の制御部11は通報対象となった道路の管理者を特定する(ステップS21)。例えば、制御部11は道路画像に付されているExif情報から取得した撮影位置の地理座標値に基づいて、電子地図を参照し、道路番号や道路名称、住所等を取得する。これらの情報と、道路管理者DB131の管理区間列に記憶している内容とを対照し、道路管理者を特定する。制御部11は道路管理者宛の通知を作成する(ステップS22)。制御部11は画像認識技術により特定した道路画像の内容や、通報者が入力したテキストから、通報のカテゴリーを特定する。制御部11は特定するカテゴリーに則したアドバイスを、アドバイスDB134から取得する。例えば、道路画像等より、カテゴリーが「路面>ポットホール>小」と特定された場合、「補修すべきサイズではありません。()ヶ月後に再確認すべきです。」とのアドバイスを、制御部11は取得する。「()」には、認識したポットホールの大きさに対応した数字が代入される。制御部11は道路画像を含む通報情報とアドバイスとを含む通知を作成する。制御部11は作成した通知を管理者端末3へ送信する(ステップS23)。管理者端末3の制御部31は通知を受信する(ステップS24)。制御部31は通知を表示部36に表示する(ステップS25)。道路管理者は、通報対象となっている位置が管理している道路区間に入っているかを確認する。入っている場合、付与されているカテゴリーが適切であるか、対応をすぐ行う必要があるかなどを、道路管理者は確認する。道路管理者は確認結果を管理者端末3へ入力する。確認結果には、通報により立ち上げる案件を自己の案件として受諾するか否かの回答も含む。制御部31は確認結果を受け付ける(ステップS26)。制御部31確認結果をサーバ1へ送信する(ステップS27)。サーバ1の制御部11は確認結果を受信する(ステップS28)。制御部11は確認結果を参照し、道路管理者が案件を受諾したか否かを判定する(ステップS29)。制御部11は受諾していないと判断した場合(ステップS29でNO)、処理をステップS21へ戻し、道路管理者の特定から再度行う。制御部11は受諾していると判定した場合(ステップS29でYES)、通報者への応答を作成し(ステップS30)、処理を呼び出し元へ戻す。
【0041】
以上のように、連絡システム100は、道路に関する通報にアドバイスを付して、道路管理者へ送信することが可能となる。
【0042】
(リマインド機能)
リマインド機能は、通報者に再度の通報をプッシュ通知により依頼する機能である。
図12は通知設定DBの例を示す説明図である。通知設定DB136は案件ID列、管理者ID列、送信日時列、メッセージ列、デバイストークン列及び通報ID列を含む。案件ID列は案件IDを記憶する。管理者ID列は道路管理者のIDを記憶する。送信日時列はプッシュ通知を送信する日時を記憶する。メッセージ列は送信するメッセージを記憶する。デバイストークン列はプッシュ通知の送信先を特定するデバイストークン231を記憶する。通報ID列は通報IDを記憶する。通知設定DB136のレコードは、例えば、通報のカテゴリーが、「路面>ポットホール>小」で、1ヶ月後に状態を再度、確認すべきと判定された場合、1ヶ月後にプッシュ通知を送信するべく、新規に作成される。
【0043】
図13はプッシュ通知依頼処理の手順例を示すフローチャートである。プッシュ通知依頼処理はプッシュ通知の送信依頼をプッシュ通知サービス4へ依頼する処理である。プッシュ通知依頼処理は、日次バッチ等により定期的に繰り返し実行される。サーバ1の制御部11は通知設定DB136より、通知設定を取得する(ステップS41)。制御部11は処理対象とする通知設定を選択する(ステップS42)。制御部11は送信日時が本日であるか否かを判定する(ステップS43)。制御部11は送信日時が本日ではないと判定した場合(ステップS43でNO)、処理をステップS45へ移す。制御部11は送信日時が本日であると判定した場合(ステップS43でYES)、デバイストークン231、メッセージ(通報促進情報)、送信日時を含む依頼をプッシュ通知サービス4へ送信する(ステップS44)。制御部11は未処理の通知設定があるか否かを判定する(ステップS45)。制御部11は未処理の通知設定があると判定した場合(ステップS45でYES)、処理をステップS42に戻して、未処理の通知設定についての処理を行う。制御部11は未処理の通知設定がないと判定した場合(ステップS45でNO)、処理を終了する。
【0044】
リマインド機能を用いて、経過観察を行っている案件の通報者に対して、プッシュ通知による再度の通報を依頼することにより、道路管理者は通報者からの再通報により、現状を把握することが可能となる。プッシュ通知は、住民端末2からデバイストークン231を取得していれば送信可能であるので、メールアドレスや携帯電話番号などの個人情報を収集することなく、通報者へリマインドの通知を送信することが可能となる。
【0045】
(ローカル通知機能)
ローカル通知機能は、ローカルプッシュ通知を用いて、住民端末2で通知を行う機能である。
図14は住民端末が記憶するメッセージDBの例を示す説明図である。メッセージDB232は住民端末2でローカル通知機能が働く際に参照されるデータベースである。メッセージDB232はID列、種別列、条件列及びメッセージ列を含む。ID列はメッセージを一意に特定可能なIDを記憶する。種別列はメッセージの種別を記憶する。条件列はメッセージを表示する条件を記憶する。メッセージ列は表示するメッセージを記憶する。
【0046】
図15は通知DBの例を示す説明図である。通知DB233はローカルプッシュ通知の設定を記憶する。通知DB233は案件ID列、通報ID列、通知日時列、目標位置列及びMID列を含む。案件ID列は案件IDを記憶する。通報ID列は通報ID(通報番号)を記憶する。通知日時列はローカルプッシュ通知を行う日時を記憶する。目標位置列は案件に紐付けられた地点の地理座標を記憶する。MID列は表示するメッセージのIDを記憶する。通知日時列、目標位置列の何れかは値が未設定でもよい。通知日時列、目標位置列が共に値が設定されている場合、住民端末2が通知日時に、目標位置にある、又は目標位置近辺にあると判定された場合、ローカルプッシュ通知が行なわれる。通知日時列に値が設定されているが、目標位置列は値が設定されていない場合、住民端末2の位置に関わらず、通知日時にローカルプッシュ通知が行なわれる。日時に関わらず、住民端末2が目標位置にある、又は目標位置近辺にあると判定された場合、ローカルプッシュ通知が行なわれる。
【0047】
図16はローカル通知処理の手順例を示すフローチャートである。ローカル通知処理は住民端末2が実行する処理である。制御部21は通知DB233を参照し、通知があるか否かを判定する(ステップS61)。制御部21は通知がないと判定した場合(ステップS61でNO)、処理を終了する。制御部21は通知があると判定した場合(ステップS61でYES)、通知を取得する(ステップS62)。制御部21は処理対象の通知を選択する(ステップS63)。制御部21は通知に日時指定がされているか否かを判定する(ステップS64)。制御部21は通知に日時指定がされていると判定した場合(ステップS64でYES)、現在が通知日時に該当するか否かを判定する(ステップS65)。処理のタイミングで現在日時が通知日時と完全に合致しない場合もあり得るので、例えば、現在時刻が通知日時の前後2分であれば、通知日時に該当すると判定してもよい。制御部21は通知日時に該当しないと判定した場合(ステップS65でNO)、処理をステップS70へ移す。制御部21は通知日時に該当すると判定した場合(ステップS65でYES)、通知に位置指定がされているか否かを判定する(ステップS66)。制御部21は通知に位置指定がされてないと判定した場合(ステップS66でNO)、処理をステップS68へ進める。制御部21は通知に位置指定がされていると判定した場合(ステップS66でYES)、自位置が目標位置範囲にあるかを判定する(ステップS67)。目標位置範囲とは、例えば目標位置又は目標位置を中心にした半径200メータ以内である。制御部21は自位置を位置取得部27から取得する。制御部21は取得した自位置の座標値と、目標位置の座標値とにより、目標位置範囲にあるかを判定する。制御部21は自位置が目標位置範囲にないと判定した場合(ステップS67でNO)、処理をステップS70へ移す。制御部21は自位置が目標位置範囲にあると判定した場合(ステップS67でYES)、表示すべきメッセージを取得する(ステップS68)。制御部21はローカルプッシュ通知の仕組みを用いて、通知を行う(ステップS69)。制御部21は未処理の通知があるか否かを判定する(ステップS70)。制御部21は未処理の通知があると判定した場合(ステップS70でYES)、処理をステップS63へ戻し、未処理の通知に対する処理を行う。制御部21は未処理の通知がないと判定した場合(ステップS70でNO)、処理を終了する。制御部21は通知に日時指定がされていないと判定した場合(ステップS64でNO)、通知に位置指定がされているか否かを判定する(ステップS71)。制御部21は通知に位置指定がされてないと判定した場合(ステップS71でNO)、処理をステップS70へ進める。制御部21は通知に位置指定がされていると判定した場合(ステップS71でYES)、自位置が目標位置範囲にあるかを判定する(ステップS72)。判定方法は上述と同様である。制御部21は自位置が目標位置範囲にないと判定した場合(ステップS72でNO)、処理をステップS70へ進める。制御部21は自位置が目標位置範囲にあると判定した場合(ステップS72でYES)、処理をステップS68へ移し、それ以降を実行する。なお、通知が済んだものに関しては、通知DB233から削除することが望ましい。ローカル通知処理はインターバルタイマ割り込み等により、繰り返し実行される。
【0048】
ローカル通知機能により、住民端末2がオフラインで、プッシュ通知サービス4からプッシュ通知を受信できない場合においても、道路画像の再取得等の促進情報を表示することが可能となる。
【0049】
(学習モデルによるカテゴリー判定)
上述したように、サーバ1は、通報を道路管理者へ送信する際に、アドバイスを付す。サーバ1が適切なアドバイスを選択するためには、主に道路画像を用いて行う通報のカテゴリー判定が重要である。以下、学習モデルによるカテゴリー判定について説明する。
【0050】
図17は学習モデルの構成例を示す説明図である。学習モデル141は、道路画像、並びに、カテゴリー、緊急度、及び、優先度を含むデータセットを訓練データとした深層学習により生成されるニューラルネットワークである。学習モデル141は、CNN(Convolutional Neural Network)、TensorFlow、Vision Transformer等で構成する。学習モデル141は、道路画像を入力した場合に、カテゴリー、緊急度、及び、優先度を出力するよう学習されている。
学習モデル141は、ニューラルネットワークに限らず、決定木、ランダムフォレスト、SVM(Support Vector Machine)など、他の学習アルゴリズムに基づくモデルであってもよい。
【0051】
図18は学習モデル生成処理の手順例を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は訓練データを取得する(ステップS81)。制御部11は取得した訓練データから処理対象とする1レコードを選択する(ステップS82)。制御部11は学習を行う(ステップS83)。制御部11は、学習モデル141へ道路画像を入力し、学習モデル141から出力されたカテゴリー、緊急度、優先度のそれぞれが、訓練データに含まれるカテゴリー、緊急度、優先度となるように、学習モデル141を構成するニューロン間の重み等のパラメータを最適化する。制御部11は取得した訓練データで未処理のデータがあるか否かを判定する(ステップS84)。制御部11は未処理のデータがあると判定した場合(ステップS84でYES)、処理をステップS82へ戻し処理を継続する。制御部11は未処理のデータがないと判定した場合(ステップS84でNO)、学習モデル141の最適化されたパラメータを記憶し(ステップS85)、処理を終了する。
【0052】
学習モデル141は
図11のステップS22で通報のカテゴリーを判定する際に用いる。学習モデル141を用いることにより、通報のカテゴリー判定の的確性が向上する。学習モデル141を用いる場合、カテゴリー、緊急度、優先度が得られるので、
図8に示したアドバイスDB134は、カテゴリー、緊急度及び優先度とアドバイスとを対応付けて記憶する構成へ変更する。
【0053】
(ガイド機能)
通報者が道路画像を取得する際、撮影をガイドする情報を表示することは有用である。特に、既に通報行った場所と同一箇所の画像を取得する際には、既に撮影する写真と同様なアングル、ズーム倍率などが一致していれば、対比が容易になるからである。
図19は再通報処理の手順例を示すフローチャートである。プッシュ通知により再通報の依頼を受信した通報者は、住民端末2で、依頼を実行する入力操作を行う。住民端末2の制御部21は入力操作により、依頼と対応付いている案件の案件ID、通報IDを受け付ける(ステップS91)。制御部21は案件ID、通報IDをサーバ1へ送信する(ステップS92)。サーバ1の制御部11は案件ID、通報IDを受信する(ステップS93)。制御部11は通報IDと対応付けられた画像を、通報DB132から取得する(ステップS94)。制御部11は取得した画像を住民端末2へ送信する(ステップS95)。住民端末2の制御部21は画像を受信する(ステップS96)。制御部21は受信した画像と、撮像部28がリアルタイムに取得している画像とを並置した撮影画面を表示する(ステップS97)。通報者は表示された画像と、リアルタイム画像とを参照しながら、両画像が同じような画像になるように、シャッターアイコンを操作して撮影を行う。制御部21は撮影画像を取得した否かを判定する(ステップS98)。制御部21は撮影画像を取得していないと判定した場合(ステップS98でNO)、ステップS98を繰り返し実行する。制御部21は撮影画像を取得したと判定した場合(ステップS98でYES)、取得した静止画像を表示する(ステップS99)。通報者は撮影した画像を確認し、送信操作又は取り直し操作を行う。制御部21は画像を送信するか否かを判定する(ステップS100)。制御部21は画像を送信しないと判定した場合(ステップS100でNO)、処理をステップS98へ戻す。制御部21は画像を送信すると判定した場合(ステップS100でYES)、撮影した画像をサーバ1へ送信する(ステップS101)。サーバ1の制御部11は画像を受信する(ステップS102)。制御部11は受信した画像を記憶する(ステップS103)制御部11は完了メッセージを住民端末2へ送信する(ステップS104)。住民端末2の制御部21は完了メッセージを受信する(ステップS105)。制御部21は完了メッセージを表示し(ステップS106)、処理を終了する。
【0054】
図20は撮影画面の例を示す説明図である。撮影画面d01は、参照画像領域d011、撮像画像領域d012、及び、シャッターアイコンd013を含む。参照画像領域d011は前回の通報時に撮影した画像を表示する。撮像画像領域d012は撮像部28がリアルタイムに取得している画像を表示する。撮影操作後、撮像画像領域d012は撮影した静止画像を表示する。シャッターアイコンd013を選択すると、撮像画像領域d012に表示している画像が静止画像として取得される。撮影画面d01はガイド情報の一例である。
【0055】
(時系列予測)
上述したように、ポットホールを発見したとの通報を受けた場合であって、すぐには補修を行なわないときは、経過観察となる。このとき、将来の経過を予測することは有益である。以下、時系列予想モデルを用いたポットホールの経過予測について説明する。
図21は経過予測モデル関する説明図である。経過予測モデルはLSTM(Long-Short Term Memory)に係るニューラルネットワークである。LSTMはRNN(Recurrent Neural Network:再帰型ニューラルネットワーク)の一種であり、予測対象時点より前の時系列データを入力として、対象時点の予測値を出力するニューラルネットワークである。
【0056】
LSTMは入力層、中間層、及び出力層を有する。入力層は、時系列に沿って各時点の画像の入力をそれぞれ受け付ける複数のニューロンを有する。出力層は、画像を出力するニューロンを有する。中間層は、入力層の各ニューロンへの入力値から予測値を演算するためのニューロンを有する。中間層のニューロンはLSTM Blockと呼ばれ、過去の時点での入力値に関する中間層での演算結果を用いて次の時点での入力値に関する演算を行うことで、直近時点までの時系列データから次の時点の値を演算する。
図21において、EOSはEnd Of Sequenceの略であり、時系列データの終わりを示す。なお、
図21は、LSTMを用いた学習モデルとしての一例であるSequence-to-Sequenceモデルであって、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えば中間層は一層に限定されず、二層以上であってもよい。また、入力層及び出力層のニューロンの数は3つに限定されない。また、経過予測モデルはLSTMに限定されず、LSTM以外のニューラルネットワークであってもよい。
【0057】
経過予測モデルの学習は、次のように行う。ポットホールの時系列画像を複数セット用意する。例えば、各セットの画像は1ヶ月毎にポットホールの状況を撮影したである。各セットの画像は、ポットホールの補修が必要になった大きさの画像を含むことが望ましい。ここでは、各セットは画像が6枚であるとする。
【0058】
各セットを訓練データとして、以下の学習を行う。サーバ1の制御部11は、1つのデータセットを選択する。制御部11は、入力層を1個、出力層を5個とする学習データを作成する。制御部11は作成した学習データによる学習を行う。次に、制御部11は、入力層2個、出力層を4個とする学習データを作成し、学習を行う。同様な学習を制御部11は繰り返し行う。そして、入力層5個、出力層1個の学習を終えたら、制御部11は選択したデータセットによる学習を修了し、他のデータセットを用いた学習を同様に行う。制御部11はすべてのデータセットによる学習を終えたら、経過予測モデルの学習を終了する。
【0059】
図22は経過予測モデルを用いた経過予測を示す説明図である。サーバ1の制御部11はポットホールに関する通報を受信した場合、受信した道路画像を経過予測モデル入力する。制御部11は経過予測モデルが出力した画像を取得する。制御部11は取得した画像を含むアドバイス情報を管理者端末3へ送信する。
【0060】
図23は通知画面例を示す説明図である。通知画面d02はポットホールに関する新規通報があったときに、管理者端末3に表示される画面である。通知画面d02は撮影位置d021、道路画像d022、メッセージd023、予測画像d024及びアドバイスd025を含む。撮影位置d021は道路画像が撮影された位置の情報である。道路画像d022は撮影された道路画像である。メッセージd023は優先度、緊急度を含めメッセージである。予測画像d024は経過予測モデルにより生成した予測画像である。アドバイスd025は経過予測(進行予測)を踏まえたアドバイスである。
【0061】
経過予測モデルを用いて作成した経過予測画面を通知画面に表示するので、道路管理者は確度の高い業務計画を立てることが可能となる。
【0062】
図24は状況表示処理の手順例を示すフローチャートである。通報者は住民端末2で案件表示を選択する。住民端末2の制御部21はデバイストークン231をサーバ1へ送信する(ステップS121)。サーバ1の制御部11はデバイストークン231を受信する(ステップS122)。制御部11は案件一覧を作成する(ステップS123)。制御部11はデバイストークン231をキーに通報DB132を検索し、通報IDを取得する。制御部11は取得した通報IDをキーに案件DB133を検索する。制御部11は検索結果から一覧を作成する。制御部11は案件一覧を住民端末2へ送信する(ステップS124)。住民端末2の制御部21は案件一覧を受信し、表示パネル25を表示する(ステップS125)。通報者は案件一覧から参照したい案件を選択する。制御部21は選択を受け付ける(ステップS126)。制御部21は選択された案件の案件IDをサーバ1へ送信する(ステップS127)。サーバ1の制御部11は案件IDを受信する(ステップS128)。制御部11は案件の状況(進行状況)を示す案件状況画面を作成する(ステップS129)。制御部11は案件状況画面を住民端末2へ送信する(ステップS130)。住民端末2の制御部21は案件状況画面を受信する(ステップS131)。制御部21は案件状況画面を表示し(ステップS132)、処理を終了する。
【0063】
図25は案件状況画面例を示す説明図である。案件状況画面d03は通報種別d031、道路画像d032、案件位置d033、状況d034及び予定d035を含む。通報種別d031は種別を表示する。道路画像d032は最新の道路画像である。案件位置d033は案件の位置である。状況d034は案件の状況。予定d035は今後の予定である。
【0064】
通報者は案件状況画面により、自らが通報した案件の進展を確認することが可能となる。また、今後の予定を表示することにより、必要に応じて通報者への依頼事項を事前に知らせることが可能となる。
【0065】
これまで、道路の損傷に関する通報について、説明したが、道路の安全に関する通報を行ってもよい。
図26は通報画面の例を示す説明図である。通報画面d04は通報内容を入力する画面であって、住民端末2が表示する。通報画面d04は通報種別d041、道路画像d042、道路名称欄d043、住所欄d044、目印欄d045、通報欄d046、送信ボタンd047及びキャンセルボタンd048を含む。通報種別d041は通報種別を選択する。道路画像d042は通報者が指定した道路画像を表示する。道路名称欄d043は道路の名称を入力する欄である。住所欄d044は通報位置の住所を入力する欄である。目印欄d045は通報位置の近くになる目印になるものを入力する欄である。通報欄d046は通報内容を入力する欄である。送信ボタンd047を選択すると通報情報がサーバ1へ送信される。キャンセルボタンd048を選択すると、通報画面d04は閉じられ、前の画面に戻る。
【0066】
通報情報を送信した後の処理は、道路の損傷についての通報と同様である。このように、道路の安全に関する通報も行うことが可能であり、安全対策の実施を要望することが可能となる。
【0067】
各実施の形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
また、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【0068】
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0069】
(付記1)
被写体として道路含まれる道路画像、撮影日時、及び撮影位置を含む通報情報を受信し、
前記撮影位置に基づき、前記道路の管理者を特定し、
前記通報情報、及び、前記道路画像により特定したアドバイス情報を、特定した前記管理者の管理者端末へ送信する
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【0070】
(付記2)
前記通報情報が損傷に関する内容であった場合、アドバイス情報は、損傷の進行状況又は損傷の進行予測を含む
付記1に記載のコンピュータプログラム。
【0071】
(付記3)
前記通報情報を記憶する記憶部を参照し、前記撮影位置と同一又は近傍の位置での過去の通報情報を検索し、
検索結果に基づき返信メッセージを生成し、
生成した前記返信メッセージを、前記通報情報を送信した通報者端末へ送信する
付記1又は付記2に記載のコンピュータプログラム。
【0072】
(付記4)
前記通報情報に紐づく通報番号を発番し、該通報番号を前記通報者端末へ送信し、
前記通報者端末から、前記通報番号を受信した場合、受信した前記通報番号により特定した案件の案件情報を、前記通報者端末へ送信する
付記1又は付記2に記載のコンピュータプログラム。
【0073】
(付記5)
前記撮影日時から所定期間経過した後に、道路画像を再撮影し、送信することを促す促進情報を、前記通報者端末へ送信する
付記1又は付記2に記載のコンピュータプログラム。
【0074】
(付記6)
前記通報情報には、道路の安全利用に関する要望情報を含む
付記1又は付記2に記載のコンピュータプログラム。
【0075】
(付記7)
道路画像を入力した場合に、案件の種別を出力する学習済みモデルへ、前記通報情報に含まれた道路画像を入力し、
前記学習済みモデルが出力した種別に基づいて、前記アドバイス情報を特定する
付記1又は付記2に記載のコンピュータプログラム。
【0076】
(付記8)
被写体として道路が含まれる道路画像、撮影日時、及び撮影位置を含む通報情報を送信し、
撮影についてのガイド情報を含む通報促進情報を受信し、
通報促進情報を表示する
端末プログラム。
【0077】
(付記9)
前記ガイド情報には、撮影方向、撮影角度、時刻又は天候情報を含む
付記8に記載の端末プログラム。
【0078】
(付記10)
前記通報促進情は撮影依頼日時を含み、該撮影依頼日時が近づいた場合、依頼メッセージを表示する
付記9に記載の端末プログラム。
【0079】
(付記11)
位置情報を取得し、
取得した位置情報と、前記通報促進情報に含まれている位置情報とに基づいて求めた距離が、所定の閾値以下であった場合、依頼メッセージを表示する
付記8から付記10の何れか一項に記載の端末プログラム。
【0080】
(付記12)
被写体として道路が含まれる道路画像、撮影日時、及び撮影位置を含む通報情報を受信する受信部と、
前記撮影位置に基づき、前記道路の管理者を特定する特定部と、
前記通報情報、及び、前記道路画像により特定したアドバイス情報を、特定した前記管理者の管理者端末へ送信する送信部と
を備える情報処理装置。
【0081】
(付記13)
被写体として道路が含まれる道路画像、撮影日時、及び撮影位置を含む通報情報を受信し、
前記撮影位置に基づき、前記道路の管理者を特定し、
前記通報情報、及び、前記道路画像により特定したアドバイス情報を、特定した前記管理者の管理者端末へ送信する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【符号の説明】
【0082】
100 :連絡システム
1 :サーバ
11 :制御部
12 :主記憶部
13 :補助記憶部
131 :道路管理者DB
132 :通報DB
133 :案件DB
134 :アドバイスDB
135 :メッセージDB
136 :通知設定DB
141 :学習モデル
15 :通信部
16 :読み取り部
1P :制御プログラム
1a :可搬型記憶媒体
1b :半導体メモリ
2 :住民端末
21 :制御部
22 :主記憶部
23 :補助記憶部
231 :デバイストークン
232 :メッセージDB
233 :通知DB
24 :通信部
25 :表示パネル
26 :操作部
27 :位置取得部
28 :撮像部
2P :制御プログラム
3 :管理者端末
31 :制御部
32 :主記憶部
33 :補助記憶部
34 :通信部
35 :入力部
36 :表示部
3P :制御プログラム
4 :プッシュ通知サービス
B :バス
N :ネットワーク