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2024-161826情報処理装置、その制御方法、およびプログラムと印刷システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161826
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、その制御方法、およびプログラムと印刷システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241113BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
G06F3/12 326
G06F3/12 303
G06F3/12 387
B41J29/38 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076895
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 雅司
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061HJ08
2C061HN05
2C061HQ17
(57)【要約】
【課題】ユーザーが印刷のために利用するテナントをユーザーン属するテナントにより管理する。
【解決手段】クライアント端末と通信する情報処理装置が、ユーザーによる出力可能テナントリストの要求に応じて、要求の送信元であるクライアント端末のロケーションを特定し、ロケーションが特定のテナントのロケーションであると判定した場合に、特定のテナントについて定めた出力可能テナントの条件を取得し、ユーザーが利用できる出力可能なテナントのリストを前記条件でフィルタリングして出力可能テナントリストを作成し、クライアント端末に送信する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
クライアント端末と通信する通信手段と、
制御手段とを有し、
前記制御手段が、
ユーザーによる出力可能テナントリストの要求に応じて、前記要求の送信元であるクライアント端末のロケーションを特定し、
前記ロケーションが特定のテナントのロケーションであると判定した場合に、前記特定のテナントについて定めた出力可能テナントの条件を取得し、
前記ユーザーが利用できる出力可能なテナントのリストを前記条件でフィルタリングして出力可能テナントリストを作成し、前記クライアント端末に送信する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記条件は、出力可能テナントの種類を示すリストである
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記出力可能テナントの種類は、社内テナント、社外テナント、公共テナント、自宅管理テナントを含む
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記ロケーションが特定のテナントのロケーションではないと判定した場合に、前記ユーザーが利用できる出力可能なテナントのリストを前記出力可能テナントリストとして前記クライアント端末に送信する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御手段は、前記クライアント端末から当該クライアント端末のIPアドレスを受信し、当該IPアドレスが前記特定のテナントに対して定められたIPアドレスの範囲にあれば、前記クライアント端末のロケーションが特定のテナントのロケーションであると判定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御手段は、前記特定のテナントが設定されたプリントサービスから、前記特定のテナントに対するIPアドレスの範囲の設定を、前記通信手段を介して受信する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御手段は、さらに、ユーザーによる前記特定のテナントに対するIPアドレスの範囲の設定を受け付ける
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御手段は、さらに、ユーザーによる前記特定のテナントに対するIPアドレスの範囲の設定を受け付ける
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御手段は、前記特定のテナントが設定されたプリントサービスから、前記特定のテナントについて定めた出力可能テナントの条件を取得する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
クライアント端末と、
前記特定のテナントが設定されたプリントサービスとを含む
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置の前記制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項12】
クライアント端末と通信する通信手段と、制御手段とを有する情報処理装置による制御方法であって、
前記制御手段が、
ユーザーによる出力可能テナントリストの要求に応じて、前記要求の送信元であるクライアント端末のロケーションを特定し、
前記ロケーションが特定のテナントのロケーションであると判定した場合に、前記特定のテナントについて定めた出力可能テナントの条件を取得し、
前記ユーザーが利用できる出力可能なテナントのリストを前記条件でフィルタリングして出力可能テナントリストを作成し、前記クライアント端末に送信する
ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラウドプリントサービスにおける印刷に関し、特に情報処理装置、その制御方法、およびプログラムと印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クラウドサーバー経由で画像形成装置に印刷ジョブを投入する、クラウドプリントサービスが普及し始めている。クラウドプリントサービスでは、まず画像形成装置の管理者が、画像形成装置をクラウドプリントサービスのテナントへ登録する。ユーザーは、テナントに対してアカウントを発行したうえでクライアント端末をテナントに登録する。これによりクライアント端末から画像形成装置に対してクラウドプリントサービスを経由して印刷ジョブを送信することができる。この構成により、クライアント端末から送信した印刷ジョブを、テナントに登録されているどの画像形成装置からでも実行できるようになる。
【0003】
一方、働き方の多様化により、1つの会社に勤めつつ別の会社の仕事もする副業、兼業を促進する企業が増えてきており、社内のクライアント端末にある文書を別の会社に設置されている画像形成装置から印刷したいという需要がある。また、テレワークの拡大により、自宅のクライアント端末にある文書をシェアオフィスやコンビニなどパブリックスペースに設置されている画像形成装置から印刷したいという要望もある。これらの場合、それぞれの会社、シャアオフィス、コンビニなどそれぞれの用途に対応した印刷システムを利用して印刷するのが一般的である。それぞれの印刷システムには、それに対応した印刷ジョブを投入する方法がある。その方法は例えば、プリンタードライバーであったり、WebブラウザからファイルのDrag&Dropであったり、E-mailに印刷ジョブを添付して投入すること、などである。プリンタードライバーを利用して印刷ジョブを投入する方法についても、それぞれの用途に応じて切り替える必要がある。ユーザーはあらかじめどの用途で使用するかを決めて、それに応じた印刷ジョブの投入方法を選択する必要があり非常に手間であった。
【0004】
また、クラウドプリントサービスを利用して印刷を行った場合には、利用したクラウドプリントサービスに費用を支払う必要があった。特許文献1では、印刷設定画面において私用目的か公用目的かをユーザーに設定させることで、機器の利用に関する費用の負担者を判定する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-49059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術では印刷設定画面において公的利用か私的利用かをユーザに選択させ、その設定に基づき生成されるログデータに基づき、印刷費用を企業が負担するか従業員が負担するか判断している。ただし、公的利用であったとしても、複数のクラウドプリントサービスが登録可能なパブリックプリントサービスを用いた印刷だった場合、それが会社Aでの利用か会社Bでの利用かなどは判断できない。また、先行技術では費用の負担者をユーザーが選ぶことになるので会社Aもしくは会社B側で管理できないという課題があった。さらに印刷対象のデータを社外の画像形成装置に出力できてしまうというリスクも懸念される。
【0007】
本発明は上記問題を鑑み、ユーザーが印刷ジョブを出力するテナントをテナント管理者が制限することを可能とし、それにより印刷費用の負担者や、使用する画像形成装置を管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。本発明の一態様によれば、情報処理装置であって、
クライアント端末と通信する通信手段と、
制御手段とを有し、
前記制御手段が、
ユーザーによる出力可能テナントリストの要求に応じて、前記要求の送信元であるクライアント端末のロケーションを特定し、
前記ロケーションが特定のテナントのロケーションであると判定した場合に、前記特定のテナントについて定めた出力可能テナントの条件を取得し、
前記ユーザーが利用できる出力可能なテナントのリストを前記条件でフィルタリングして出力可能テナントリストを作成し、前記クライアント端末に送信する
ことを特徴とする情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
ユーザーが印刷ジョブを出力するテナントをテナント管理者が制限することが可能となり、それにより印刷費用の負担者や、使用する画像形成装置を管理することが可能になる
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態におけるクラウドプリントサービスシステム構成図。
図2】第1の実施形態におけるクラウドプリントサービスのハードウェア構成の例を示すブロック図。
図3】第1の実施形態におけるクラウドプリントサービスのソフトウェア構成の例を示すブロック図。
図4】第1の実施形態におけるパブリックテナントのユーザー登録のフロー図1
図5】第1の実施形態におけるパブリックテナントのユーザー登録のフロー図2
図6】第1の実施形態におけるユーザー登録の際にCPS240に保存するユーザー情報リストの一例を示す図。
図7】第1の実施形態における印刷実行処理を示すフロー図。
図8】第1の実施形態における印刷設定画面の一例を示す図。
図9】第1の実施形態における出力可テナント条件の一例を示す図。
図10】第1の実施形態におけるクライアント端末のロケーションを特定するためのIPアドレスの範囲を定義する設定画面の一例を示す図。
図11】第1の実施形態におけるクライアント端末の所属先を特定するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
[第1の実施形態]
まず、発明の第1の実施形態について説明する。
<システム構成>
図1は本発明の第1の実施形態におけるクラウドプリントサービスシステム構成を示している。クライアント端末200、201、202、203はそれぞれ、各クラウドプリントサービス(以下、CPS)に対して印刷ジョブを投入するクライアント端末である。画像形成装置210、211、212、213はそれぞれ、各CPSから印刷ジョブを取得し印刷処理を実行する画像形成装置である。CPS220、221は、クライアント端末200、201から印刷ジョブを受信し、CPS240に印刷結果ログを送信するCPSである。CPS230、231はそれぞれ、クライアント端末202、203から印刷ジョブを受信し、かつCPS240に印刷ジョブを送信するCPSである。CPS240は、CPS220、221から印刷結果ログを受信し、かつCPS230、231から印刷結果ログを受信するCPSである。
【0013】
上記各構成要素はネットワークにより通信可能に接続されている。ネットワークは例えばインターネット等のLAN、WAN、電話回線、専用デジタル回線、ATM等のいずれかである。または、これらの組み合わせで実現される通信ネットワークである。ネットワークはデータの送受信が可能であればよい。
【0014】
<ハードウェア構成>
図2は、図1に示したクライアント端末200~203、画像形成装置210~213、CPS220、221、230、231、240のハードウェア構成例を示すブロック図である。本実施形態のクライアント端末や画像形成装置には一般的な情報処理装置のハードウェア構成を適用できる。ただしスキャナー装置308とプリンター装置309についてはクライアント端末およびCPSには含まれていなくてよい。
【0015】
CPU301は、各ハードウェアの全体を統括的に制御し、バス300に接続された各部を制御して、例えば印刷やスキャン等の各機能を実行する。ROM302は、データ読出専用のメモリであり、例えば画像形成装置の基本制御プログラムを記憶する。RAM303は、データの読出/書込が可能なメモリであり、例えばCPU301のワーキングメモリとして用いられる。
【0016】
記憶装置304は、各プログラムを実行中の一時データや、永続的なデータの記憶領域として用いられる。例えば、記憶装置304は、HDDが用いられることが多いが、SSDや、CD、DVD、メモリカードといった、外部メディアを装填してデータの読出/書込が可能な装置であっても良い。
【0017】
通信装置305は、クライアント端末200~203、画像形成装置210~213、CPS220、221、230、231、240をLANやインターネットに接続し、装置間でTCP/IPによるデータ通信を可能とする。
【0018】
入力装置306は、ユーザーによる文字やデータの入力操作を受け付けるための操作部である。例えば、キーボード、マウス、ハードキー、タッチパネルである。
【0019】
表示装置307は、各種画面を表示するための装置であり、例えば液晶ディスプレイやタッチパネルである。ユーザーは、表示装置407に表示されたユーザーインタフェース画面上で、入力装置306を介して指示を行い、CPS230へのジョブ実行指示を行う。
【0020】
画像形成装置210~213には、その他に、スキャナー装置308、プリンター装置309が、バス300に接続されている。
【0021】
<ソフトウェア構成>
図3は、第1の実施形態におけるCPS240のソフトウェア構成の例を示すブロック図である。図3に記載のソフトウェア構成は、CPU301が例えばROM302に記憶されているプログラムをRAM303に読み出して実行することにより実現される。
【0022】
設定管理部401は、CPS240の各種機能に関する設定をRAM303、記憶装置304等の記憶装置に格納し、記憶装置から読み出す。ジョブ管理部402は、CPS230,231より受信した印刷ジョブをデータ保存部405に保存する。通信部403は主に印刷ジョブの受信や送信を行い、その他にユーザー情報の送受信、印刷完了後のレポートの送受信を行う。通信部403は、CPS220、221から印刷ジョブの取得要求を受けた際CPS240から該当する印刷ジョブを取得してCPS220、221へ送信する。CPS240へのテナント登録時や、ユーザー登録時、また印刷ジョブの状況確認やレポートの表示は、UI表示部406が行う。
【0023】
<ユーザー登録のフロー>
図4は、第1の実施形態におけるパブリックテナントのユーザー登録のフローを表している。なお、本例では、テナントとは顧客ごとに仮想化したCPSということもできるので、以下の説明ではCPSとそこに属するテナントとを区別しないことがある。また以降の説明では、便宜上、会社Aのテナントと会社Bのテナントとをそれぞれの会社の社内テナントと称する。また、シェアオフィスのテナントをシェアオフィステナント、個人宅のテナントを自宅プリンター管理テナント(自宅管理テナント)、コンビニエンスストアに設置した画像形成装置を使用するためのテナントをコンビニテナントと称する。コンビニエンスストア、図書館、及び駅等の所謂パブリックスペースに設置されている画像形成装置の管理に係るテナントに関連付けられた画像形成装置を利用するためのCPSをパブリックプリントサービスとも称する。さらに複数のCPS(テナント)がユーザーとして登録されたテナントをパブリックテナント或いは連携テナントと呼ぶ。パブリックテナントにより、或るテナントに属するユーザーが、パブリックテナントの登録ユーザーである他のテナントの資源を利用できる。
【0024】
図4において、会社Aの社内テナント(会社Aテナント)に所属するユーザーとしてCPS220をパブリックテナントであるCPS240に登録している。CPS221、CPS230、CPS231も同様に登録する必要がある。前提として各テナントは、パブリックテナントであるCPS240に登録済であるとする。
【0025】
会社Aテナントは、会社AがCPSの提供者との契約により確保した会社テナントであり、会社Aが利用を許諾したユーザーが登録され、また会社Aが用意した画像形成装置が登録されている。したがって会社Aは、そのテナントに登録されたユーザーや画像形成装置を管理できる。一方コンビニエンスストアテナントなどパブリックプリントサービスを提供するテナントには、コンビニエンスストアや図書館、駅など公共の場所に設置した画像形成装置が登録されている。このようなテナントを公共テナントとも呼ぶ。これらのテナントの登録ユーザーはそのテナントに登録されたそれらの資源を利用することができる。本例ではパブリックテナントのCPS240に社内テナントやコンビニエンスストアテナントが登録されており、社内テナントのユーザーがコンビニエンスストアテナントの画像形成装置等を利用できる。パブリックテナントであるCPS240へのユーザー登録の方法は以下の2通りあり、図4図5のフローを使用して説明する。
【0026】
図4は、会社Aの社内テナント(会社Aテナント)などを経由せずにクライアント端末200から直接パブリックテナントCPS240にユーザー登録する方法である。テナントユーザーはクライアント端末200からCPS240にログインしてユーザーの登録要求を行う(S501)。ユーザー登録要求を受けたCPS240は、受信したユーザー情報を自身のテナントに保存する(S502)。ユーザー登録時に所属するCPS情報(所属するテナント情報)があれば該当するCPSにも本ユーザーを登録する。図4ではユーザーは会社Aテナントに属しており、会社Aテナントにも登録する場合のフローである。CPS240は受信したユーザー情報をもとに認可情報(アクセストークンとも呼ぶ)を発行する。CPS240はCPS220にも発行した認可情報を送信して登録要求をする(S503)。登録要求を受信したCPS220は自身のユーザー情報保存領域に新規にユーザーを追加して認可情報を保存し(S504)、CPS240に完了通知を行う(S505)。完了通知を受けたCPS240は要求元のクライアント端末200に完了通知を行う(S506)。CPS220は、CPS240アクセスする際に、ユーザーごとに関連付けられたアクセストークンを用いる。CPS240は、そのアクセストークンが正しいものであればユーザーのアクセスを認可する。
【0027】
図5は、会社Aテナントなどを経由してパブリックテナントCPS240に登録する方法である。図5の操作は主にテナント管理者が行う。テナント管理者は、クライアント端末200からCPS220にユーザー情報を渡して、そのユーザーの登録を要求する(S511)。ユーザー登録通知を受信したCPS220はユーザー情報を保存し(S512)、パブリックテナントであるCPS240にユーザー登録を依頼する(S513)。登録要求を受信したCPS240は自身のユーザー情報保存領域に新規にユーザーを追加して受信したユーザー情報を保存する(S514)。CPS240は認可情報を発行して、CPS220に認可情報(アクセストークン)とともに完了通知を送信する(S515)。完了通知を受けたCPS220は受信したアクセストークンを保存し(S516)要求元のクライアント端末200に完了通知を行う(S517)。
【0028】
図6は、ユーザー登録の際にCPS240に保存するユーザー情報の一例である。この例ではユーザーに対して利用可能なテナント一覧が関連付けている。保存されるユーザー情報には、表示用ユーザー名、メールアドレス、ユーザー識別情報(ID)、所属するテナントを示す情報が含まれている。これらに加えて、図4または図5の手順で取得したアクセストークンもユーザーごとに保存されてよい。
【0029】
<印刷のフロー>
図7は、第1の実施形態における印刷実行処理を示すフロー図を表している。本例では会社Aテナントが設定されているCPS220への印刷ジョブ投入を想定している。
【0030】
まず、ユーザーがクライアント端末200で実行されている一般的なアプリケーションから印刷ドライバーの印刷設定画面を起動する(S701)。クライアント端末200はパブリックテナントであるCPS240に対して、クライアント端末200の属するテナントのリスト(出力可能テナントリスト)を要求する(S702)。クライアント端末200は出力可能テナントリストを要求する際に自身のロケーション情報を同時に渡す。このロケーション情報とはユーザーがどこから印刷を実行しようとしているかを判別または特定するための情報である。ロケーション情報は、一例としては自身のIPアドレスであったり、位置情報(例えばGPSで特定した位置情報)であったりする。また、クライアント端末200内にあらかじめ設定しておいた特定の社内情報をプリンタードライバーが取得し、その情報を印刷ジョブと共にCPS240に送信することも可能である。また出力可能テナントリストの要求時にログインしているユーザーのユーザーID等の情報も併せて送信される。
【0031】
要求を受信したCPS240は、要求元のクライアント端末200のロケーション情報からクライアント端末200の所属テナントを特定する(S703)。CPS240は特定したテナントに出力可能テナント条件を要求する(S704)。本例では、クライアント端末200のロケーション情報から会社Aテナントに所属していると特定する。そこでCPS240は、会社AテナントであるCPS220に対して出力可能テナント条件を要求する(S704)。このときCPS220によるユーザー認証も行われる。このユーザー認証はユーザーID等を用いてよい。或いは、例えば図4図5の手順の中でCPS220が発行してCPS240に送信しておいたアクセストークンを用いてもよい。クライアント端末200の所属先を特定する手段については後述するので参照されたい。
【0032】
要求を受信したCPS220は自身に設定している出力可能テナント条件をCPS240に送信する(S705)。出力可能テナント条件について具体的に図9を用いて説明する。図9は本実施形態における、出力可能テナント条件の一例を示している。本例ではCPS220に設定している出力可能テナント条件について説明しているが、出力可能テナント条件をCPS221、CPS230、CPS231がそれぞれ保持しているものとする。この出力可能テナント条件900は、パブリックテナントを介した印刷を許可するテナントの種類を示しており、テナントごとに設定されていてよい。また設定された内容はテナント間で相違していてよい。CPS220が保持している出力可能テナント条件900は、社内テナントとシェアオフィステナント、および自宅への出力を可能と定義している。つまり、クライアント端末200から印刷ジョブの投入が可能なテナントは社内テナントとシェアオフィスと自宅であるということが定義されている。
【0033】
出力可能テナント条件を受信したCPS240は、図6のユーザー情報と出力可能テナント条件とから出力可能テナントをフィルタリングし、出力可能テナントリストを作成する(S706)。例えば操作対象のユーザーが図6の「User A」だった場合、当該ユーザーに紐づけて登録されているテナントは「Company A」、「Company B」、「Convenience Store」、「Home」となる。出力可能テナント条件900を例にとると、社外テナントとコンビニテナントは出力可能なテナントではない。なので出力可能リストは、登録されたテナントのうち出力可能テナント条件に適う「Company A」、「Home」ということになる。
【0034】
なお図6に示したテナントの名称と、図9に示したテナントの種類とが相違しているが、これらを対応付けるために、たとえばユーザー情報のテナント名に加えてテナントの種類をテナント情報として保存してよい。テナントの種類は図9に例示したものであってよく、テナントの種類で出力可能テナントをフィルタリングすればよい。あるいは、テナントの名称にその種類を含むような命名規則を定めておいてもよい。CPS240は、作成した出力可能テナントリストをクライアント端末200に送信する(S707)。
【0035】
出力可能テナントリストを受信したクライアント端末200は取得した出力可能テナントリストを反映して印刷設定画面を表示する(S708)。表示する印刷設定画面の一例を図8に示す。図8の使用用途項目801は、S706で作成した出力可能リストを反映している。使用用途項目801には、たとえば出力可能テナントリストに含まれたテナントの名称がプルダウンメニューで表示される。印刷設定画面の使用用途801に表示される出力可能テナントのリストから出力先テナントをユーザーが選択して印刷指示を入力する。その入力をクライアント端末200が受信した場合(S709)、クライアント端末200はCPS240に出力先テナント情報と共に印刷ジョブを送信する(S710)。
【0036】
印刷ジョブを受信したCPS240は、受信した出力先テナントに対して印刷ジョブを送信する(S711)。印刷ジョブを受信したテナント(本例ではCPS220)は印刷ジョブを保存し、所属する画像形成装置210から印刷ジョブ要求がくるまで待機する。選択された出力先テナントに属する画像形成装置210から印刷ジョブ要求を受信すると、要求したユーザーによる印刷が許可される印刷ジョブのうちから、選択された印刷ジョブを画像形成装置210に送信する。画像形成装置210は受信した印刷ジョブを実行して印刷を行う。
【0037】
<クライアント端末の所属先特定フロー>
図11は、本実施形態におけるクライアント端末の所属先を特定するフロー図を示している。本処理は、図7のS703~S706の詳細な説明である。なお、本処理は主にCPS240が行う。また、本実施形態ではCPS240に会社テナントとして会社AテナントであるCPS220と会社BテナントであるCPS221が繋がっていることを想定している。ただし、この構成に限定するものではなく、これらの他に会社Cテナントや会社Dテナントなど、他のテナントが繋がっていてもよい。その場合、会社Aテナントを対象としておこなったS1103とS1104の処理を接続テナント分追加することで実現可能とする。
【0038】
まずクライアント端末200より出力可能テナントリスト要求を受信する(S1101)。受信したタイミングでクライアント端末200のロケーション特定処理を行う(S1102)。ロケーションの特定処理の具体的な方法として、クライアント端末200のIPアドレスであったり、位置情報(GPS)であったりする。また、クライアント端末200内にあらかじめ設定しておいた特定の社内情報をプリンタードライバーが取得し、その情報を印刷ジョブと共にCPS240に送信することにより所属テナントを特定することができる。さらにそこからロケーション情報を特定することができる。本実施形態では、一例として自身のIPアドレスからロケーションを特定する処理について説明する。
【0039】
図10は第1の実施形態における、クライアント端末のロケーション特定するためにIPアドレスの範囲を定義する設定画面の一例を示している。ここでは会社AテナントであるCPS220のテナント上の設定画面を想定している。テナント管理者はAddボタン1001をクリックして開始IPアドレスと終了IPアドレスを入力し、その範囲内にあるIPアドレスを持つ端末を、社内にあるクライアント端末200と判断することができるように設定する。Editボタン1002でこのIPアドレスの範囲を修正することができる。またDeleteボタン1003で開始IPアドレスと終了IPアドレスのセットを削除することが可能である。追加したIPアドレスの範囲セットは表示エリア1004に表示される。テナントとそのIPアドレスの範囲が作成されると、それは、CPS220がユーザーとして登録されているCPS240に送信されて、図11のステップS1102で参照される。或いは、ステップS1102の前に、CPS240がCPS220に対してテナントとそのIPアドレスの範囲を要求し、取得してもよい。そのとき出力可能テナント条件もともに取得してもよい、あるいはCPS220に代えて、CPS240で作成してもよい。
【0040】
クライアント端末200のロケーションがA社内と判断した場合(S1103のYes)、会社Aテナントの出力可能テナント条件をCPS240から取得する(S1104)。取得した出力可能テナント条件から出力可能テナントをフィルタリングし(S1107)、その結果を出力可能テナントリストとしてクライアント端末200に送信する(S1108)。一方、クライアント端末200のロケーションがA社外と判断した場合(S1103のNo)、同様に会社BのIPアドレス範囲を調べてクライアント端末200が会社Bの社内にあるかどうかを調べる(S1105)。クライアント端末200のロケーションがB社内と判断した場合(S1105のYes)会社Bテナントの出力可能テナント条件をCPS240から取得する(S1106)。取得したリストから出力可能テナントをフィルタリングし(S1107)、その結果を出力可能テナントリストとしてクライアント端末200に送信する(S1108)。一方、クライアント端末200のロケーションがB社外と判断した場合(S1105のNo)、出力可能テナントのフィルタリングは行わず、ユーザーが登録している出力可能テナントリストをそのまま送信する(S1108)。
【0041】
このように、複数のクラウドプリントサービスに対して印刷ジョブを送信可能な場合に、仲介するクラウドプリントサービスが出力可能なクラウドプリントサービスのリストを作成する。そのリストからユーザーが出力するクラウドプリントサービスを選択することで、ユーザーが印刷時に送信可能なテナントを管理者が制限することが可能となる。そのことにより、印刷費用の負担元の管理や、印刷ジョブが社外に漏洩しないように管理することが可能になる
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0042】
●実施形態のまとめ
上記実施形態をまとめると以下のような発明が含まれる。
(項目1)
情報処理装置であって、
クライアント端末と通信する通信手段と、
制御手段とを有し、
前記制御手段が、
ユーザーによる出力可能テナントリストの要求に応じて、前記要求の送信元であるクライアント端末のロケーションを特定し、
前記ロケーションが特定のテナントのロケーションであると判定した場合に、前記特定のテナントについて定めた出力可能テナントの条件を取得し、
前記ユーザーが利用できる出力可能なテナントのリストを前記条件でフィルタリングして出力可能テナントリストを作成し、前記クライアント端末に送信する
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目2)
項目1に記載の情報処理装置であって、
前記条件は、出力可能テナントの種類を示すリストである
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目3)
項目2に記載の情報処理装置であって、
前記出力可能テナントの種類は、社内テナント、社外テナント、公共テナント、自宅管理テナントを含む
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目4)
項目1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記ロケーションが特定のテナントのロケーションではないと判定した場合に、前記ユーザーが利用できる出力可能なテナントのリストを前記出力可能テナントリストとして前記クライアント端末に送信する
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目5)
項目1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記制御手段は、前記クライアント端末から当該クライアント端末のIPアドレスを受信し、当該IPアドレスが前記特定のテナントに対して定められたIPアドレスの範囲にあれば、前記クライアント端末のロケーションが特定のテナントのロケーションであると判定する
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目6)
項目1乃至5のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記制御手段は、前記特定のテナントが設定されたプリントサービスから、前記特定のテナントに対するIPアドレスの範囲の設定を、前記通信手段を介して受信する
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目7)
項目1乃至6のいずれか一項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御手段は、さらに、ユーザーによる前記特定のテナントに対するIPアドレスの範囲の設定を受け付ける
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目9)
項目1乃至8のいずれか一項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御手段は、さらに、ユーザーによる前記特定のテナントに対するIPアドレスの範囲の設定を受け付ける
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目10)
項目1乃至9のいずれか一項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御手段は、前記特定のテナントが設定されたプリントサービスから、前記特定のテナントについて定めた出力可能テナントの条件を取得する
ことを特徴とする情報処理装置。
【0043】
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0044】
200-203 クライアント端末、210-213 画像形成装置、220,221 CPS会社Aテナント、230,231 CPS会社Bテナント、240 CPSパブリックテナント
図1
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