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特開2024-161829検査装置、検査方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161829
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】検査装置、検査方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241113BHJP
   G06T 7/73 20170101ALI20241113BHJP
   G06V 10/98 20220101ALI20241113BHJP
【FI】
G06T7/00 610C
G06T7/73
G06V10/98
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076898
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 正喜
(72)【発明者】
【氏名】寺門 正善
(72)【発明者】
【氏名】大谷 一真
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳晴
(72)【発明者】
【氏名】中島 悠輔
(72)【発明者】
【氏名】菊地 拓朗
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA03
5L096DA03
5L096DA04
5L096FA69
5L096FA81
5L096GA08
(57)【要約】
【課題】対象物を高精度に検査する。
【解決手段】検査装置は、カメラによって検査対象が撮像された撮像画像から検査対象のケースを検出し、ケースの中から複数の物品を検出し、物品の位置および種類を認識し、定められた種類の物品が定められた位置に配置されている状態に係る情報を示すマスタデータを用いて、各物品の種類と位置とがマスタデータと一致するか否かを判定し、少なくとも1つの物品の種類と位置とがマスタデータと一致しないと判定した場合、通知デバイスにエラーであることを通知するプロセッサを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラによって検査対象が撮像された撮像画像から前記検査対象のケースを検出し、
前記ケースの中から複数の物品を検出し、
前記物品の位置および種類を認識し、
定められた種類の前記物品が定められた位置に配置されている状態に係る情報を示すマスタデータを用いて、前記各物品の前記種類と前記位置とが前記マスタデータと一致するか否かを判定し、
少なくとも1つの前記物品の前記種類と前記位置とが前記マスタデータと一致しないと判定した場合、通知デバイスにエラーであることを通知するプロセッサを備える、
検査装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記複数の物品それぞれの前記撮像画像における座標を算出し、
認識された前記物品の前記種類の情報を座標順に並び替え、
前記マスタデータの前記物品の前記種類の情報の順番と一致しないと判定した場合、前記通知デバイスに前記エラーであることを通知する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記物品の種類が前記マスタデータと一致しないと判定された場合、入れ替えるべき種類の物品を前記通知デバイスに通知する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記物品の前記種類が前記マスタデータと一致しないと判定された場合、前記ケースの中の前記物品の位置を前記通知デバイスに通知する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
検出された前記物品の前記マスタデータとの違いを数値として算出し、
前記数値に基づき前記物品の向きを推定し、
前記向きが前記マスタデータの示す定められた向きと異なる場合、前記通知デバイスに前記エラーであることを通知する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記物品の数を算出し、
前記数が前記マスタデータの前記物品の数と一致しない場合、前記通知デバイスに前記エラーであることを通知する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項7】
前記通知デバイスは、ランプであり、
前記プロセッサは、前記数が前記マスタデータの前記物品の数と一致しないと判定される場合と、前記物品の前記種類と前記位置とが前記マスタデータと一致しないと判定される場合と、においてそれぞれ異なる色で前記ランプを光らせる、
請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記撮像画像と前記エラーの内容とを前記通知デバイスに表示させる、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記撮像画像と前記エラーの内容とを紐づけて保存する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項10】
前記エラーの内容は、前記撮像画像が撮像された時刻、前記物品の種類または前記物品の位置のうち少なくとも1つである、
請求項9に記載の検査装置。
【請求項11】
前記検査対象は、コンベアを流れる物であり、
前記プロセッサは、前記コンベアを流れる前記検査対象の前記ケースの外周の長さが所定の閾値以上の場合、前記ケースの中から前記物品を検出する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項12】
カメラによって検査対象が撮像された撮像画像から前記検査対象のケースを検出し、
前記ケースの中から複数の物品を検出し、
前記物品の位置および種類を認識し、
定められた種類の前記物品が定められた位置に配置されている状態に係る情報を示すマスタデータを用いて、前記各物品の前記種類と前記位置とが前記マスタデータと一致するか否かを判定し、
少なくとも1つの前記物品の前記種類と前記位置とが前記マスタデータと一致しないと判定される場合、通知デバイスにエラーであることを通知する、
検査方法。
【請求項13】
カメラによって検査対象が撮像された撮像画像から前記検査対象のケースを検出する処理と、
前記ケースの中から複数の物品を検出する処理と、
前記物品の位置および種類を認識する処理と、
定められた種類の前記物品が定められた位置に配置されている状態に係る情報を示すマスタデータを用いて、前記各物品の前記種類と前記位置とが前記マスタデータと一致するか否かを判定する処理と、
少なくとも1つの前記物品の前記種類と前記位置とが前記マスタデータと一致しないと判定される場合、通知デバイスにエラーであることを通知する処理と、をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査装置、検査方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、商品の出荷検査を支援するための検品システムが開示されている。検品システムは、商品の現物重量を計量する計量手段と、商品の現物画像を撮影する撮影手段と、計量手段が計量した現物重量のデータと撮影手段が撮影した現物画像のデータとを取り込み、それらのデータを保存する制御手段と、を備える。検品システムは、商品の出荷指示内容を示す出荷指示情報に基づいて、該商品の出荷指示重量の情報と該商品の出荷指示見本画像の情報とを出力するためのデータを格納する上位格納手段と、を備える。検品システムは、商品を検品するための比較照合に供するために、制御手段から送信されたデータと上位格納手段から送信されたデータとを取り込み、現物重量と出荷指示重量とを並べて表示すると共に、現物画像と出荷指示見本画像とを並べて表示する表示手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-210646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商品をケースに詰める際、商品が正しく梱包されているか否かを確認する必要がある。例えば、商品が贈答品の場合には、商品の向き、数および種類をより厳密に梱包しなければならない。このため、出荷数が多い場合、検査者の作業の負荷が増大するという課題がある。
【0005】
特許文献1では、出荷商品の出荷指示見本画像とカメラによってリアルタイムに映し出された出荷商品の現物画像とを目視またはパソコンで照合し、現物画像が出荷指示見本画像と一致しているか否かの判定を人物(例えば、検査者)もしくはパソコンで行う。しかしながら、出荷指示見本画像の全体と現物画像の全体との照合の場合、各画像に含まれる商品それぞれの状態(各商品の向き、種類、数および位置等)まで検出するのが難しいという課題がある。
【0006】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、対象物を高精度に検査することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、カメラによって検査対象が撮像された撮像画像から前記検査対象のケースを検出し、前記ケースの中から複数の物品を検出し、前記物品の位置および種類を認識し、定められた種類の前記物品が定められた位置に配置されている状態に係る情報を示すマスタデータを用いて、前記各物品の前記種類と前記位置とが前記マスタデータと一致するか否かを判定し、少なくとも1つの前記物品の前記種類と前記位置とが前記マスタデータと一致しないと判定した場合、通知デバイスにエラーであることを通知するプロセッサを備える、検査装置を提供する。
【0008】
また、本開示は、カメラによって検査対象が撮像された撮像画像から前記検査対象のケースを検出し、前記ケースの中から複数の物品を検出し、前記物品の位置および種類を認識し、定められた種類の前記物品が定められた位置に配置されている状態に係る情報を示すマスタデータを用いて、前記各物品の前記種類と前記位置とが前記マスタデータと一致するか否かを判定し、少なくとも1つの前記物品の前記種類と前記位置とが前記マスタデータと一致しないと判定される場合、通知デバイスにエラーであることを通知する、検査方法を提供する。
【0009】
また、本開示は、カメラによって検査対象が撮像された撮像画像から前記検査対象のケースを検出する処理と、前記ケースの中から複数の物品を検出する処理と、前記物品の位置および種類を認識する処理と、定められた種類の前記物品が定められた位置に配置されている状態に係る情報を示すマスタデータを用いて、前記各物品の前記種類と前記位置とが前記マスタデータと一致するか否かを判定する処理と、少なくとも1つの前記物品の前記種類と前記位置とが前記マスタデータと一致しないと判定される場合、通知デバイスにエラーであることを通知する処理と、をコンピュータに実行させる、プログラムを提供する。
【0010】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、対象物を高精度に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】検査対象を検査する場面の一例を示す図
図2】本実施の形態に係る検査システムのシステム構成図
図3】各時刻の撮像データの一例を示す図
図4】撮像画像から検出された検査対象の一例を示す図
図5】物品の座標の算出方法の一例を説明する図
図6】ケースの大きさの算出方法の一例を示す図
図7】検査装置の実行する検査対象を検査する第1の処理のフローチャート
図8】検査装置の実行する検査対象を検査する第2の処理のフローチャート
図9】検査装置の実行する検査対象を検査する第3の処理のフローチャート
図10】通知デバイスもしくは表示デバイスに表示される画面の第1の例を示す図
図11】通知デバイスもしくは表示デバイスに表示される画面の第2の例を示す図
図12】検査システムを利用した物品の個数の計測方法の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を適宜参照して、本開示に係る検査装置、検査方法およびプログラムを具体的に開示した実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0014】
図1を参照して、検査対象を検査する場面の一例を説明する。図1は、検査対象を検査する場面の一例を示す図である。
【0015】
レーンLAの上を検査対象OBが流れている。レーンLAは、搬送機であり、例えばベルトコンベア、ローラコンベアまたはベルトチェーンコンベア等である。カメラ12を用いてレーンLAの上を流れる検査対象OBを撮像する。
【0016】
検査対象OBは、例えば、ケースB1の中に複数の物品CAが詰められている物である。ケースB1は、例えば、箱、袋またはかご等である。図1に示す物品CAは、缶およびお菓子である。なお、物品CAは缶およびお菓子に限られず、食品、化粧品、雑貨、食器、衣類または電気製品等の様々な物であってよい。また、図1に示すケースB1の中の複数の物品CAは異なる形状の物であるが、異なる形状に限られず、同一の形状および大きさの物であってもよい。
【0017】
検査装置30(図2参照)は、カメラ12が検査対象OBを撮像した撮像画像を用いて検査対象OBが正しくケースB1に詰められているか判定する。検査装置30の詳しい判定方法に関しては図7で説明する。
【0018】
検査装置30は、物品CAが正しくケースB1に詰められていない(例えば、物品CAの数が足りない、物品CAが誤った位置に置かれているまたは物品CAの向きが誤った方向を向いている等)と判定した場合、通知デバイスに通知する。図1に示す例では、検査装置30は、物品CAが正しくケースB1に詰められていないと判定した場合、ランプPLを光らせて検査者hmに報知する。
【0019】
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る検査システム1のシステム構成図を説明する、図2は、本実施の形態に係る検査システム1のシステム構成図である。
【0020】
検査システム1は、例えば、工場等に設置され、物品がケースに正しく配置されているか否かを検査する目的で用いられる。
【0021】
検査システム1は、レーン監視装置10,20、検査装置30および端末装置40を含む。
【0022】
レーン監視装置10は、複数のレーンLAのうちの1つに設置され、検査対象OBを、カメラ12を用いて撮像する。レーン監視装置の数は、2つに限られず、1つでもよいし、2つ以上の複数であってもよい。レーン監視装置10は、照明11、カメラ12、通信I/F13および通知デバイス14を含む。
【0023】
照明11は、レーンLAの上を流れる検査対象OBを適切な照度で照らす。適切な照度とは、検査装置30が撮像画像に映った検査対象OBを解析できる程度に明るい照度である。照明11は、例えば、ハロゲンランプ、Light Emitted Diodeまたは白熱電球等である。なお、照明11は、レーン監視装置10から省略されてもよい。
【0024】
カメラ12は、レーンLAの上を流れる検査対象OBを撮像する。カメラ12は、少なくとも光学素子としてのレンズ(不図示)とイメージセンサ(不図示)とを有して構成される。レンズは、カメラ12の撮像した領域の画角内からの対象物により反射された光を入射してイメージセンサの受光面(言い換えると、撮像面)に対象物の光学像を結像する。イメージセンサは、例えばCharged Coupled DeviceあるいはComplementary Metal Oxide Semiconductorなどの固体撮像素子である。イメージセンサは、所定時間(例えば1/30(秒))ごとに、レンズを介して撮像面に結像した光学像を電気信号に変換する。例えば、所定時間が1/30(秒)である場合、カメラ12のフレームレートは30fpsとなる。また、カメラ12は、上述した所定時間ごとに、電気信号に所定の信号処理を施すことで画像データ(映像データ)を生成してもよい。カメラ12は、画像データ(映像データ)を通信I/F13に出力する。なお、通信I/F13がカメラ12に含まれる場合、カメラ12は画像データ(映像データ)を直接検査装置30に出力する。以下、画像データおよび映像データのことを撮像データと称する。
【0025】
通信I/F13は、レーン監視装置(例えば、レーン監視装置10,20)と検査装置30との間で無線または有線で通信を行うインターフェース回路である。ここでI/Fは、インターフェースのことを表す。レーン監視装置10と検査装置30との間を有線で通信する場合、通信I/F13は、例えば、Power over Ethernet(以下、「PoE」と称する)ハブである。レーン監視装置10と検査装置30との通信は、ネットワークを介してもよい。通信I/F13による通信方式は、例えば、Wide Area Network(以下、「WAN」と称する)、Local Area Network(以下、「LAN」と称する)、Long Term Evolution(以下、「LTE」と称する)、5G等の移動体通信、電力線通信、近距離無線通信(例えばBluetooth(登録商標)通信)または携帯電話用の通信等である。通信I/F13は、カメラ12に含まれてもよい。
【0026】
通知デバイス14は、検査装置30が検査対象OBを検査した結果を通知するデバイスである。通知デバイス14は、例えば、パトランプ等のランプ、スピーカ、ディスプレイ、タッチパネルディスプレイまたはノートパソコン等である。通知デバイス14がランプである場合、通知デバイス14は、検査装置30からの指示に基づき点灯または点滅する。通知デバイス14は、検査装置30からの指示内容に応じて異なる色で点灯または点滅してもよい。通知デバイス14がスピーカの場合、通知デバイス14は、検査装置30からの指示に基づき警告音を鳴らすまたは指示内容に基づいたテキストを読み上げる等である。テキストは、例えば、「物品の数が足りません」、「物品の位置が異なります」または「物品の向きが異なります」等である。なお、テキストの例は一例でありこれらに限られない。通知デバイス14がディスプレイ、タッチパネルディスプレイまたはノートパソコンの場合、通知デバイス14は、検査装置30からの指示内容を表示する(図10図11参照)。なお、通知デバイス14は、パトランプ等のランプ、スピーカ、ディスプレイ、タッチパネルディスプレイまたはノートパソコン等の2つ以上で構成されてもよい。
【0027】
レーン監視装置20は、複数のレーンLAのうちの1つに設置され検査対象OBを、カメラ12を用いて撮像する。レーン監視装置20は、照明11、カメラ12、通信I/F13および通知デバイス14を含む。
【0028】
検査装置30は、レーン監視装置20が撮像した撮像データを解析し検査対象OBを(つまり、物品CAがケースB1に正しく詰められた状態となっているか否かを)検査する。検査装置30は、例えば、Personal Computerである。検査装置30は、通信I/F31、プロセッサ32、メモリ33、データベース34、表示デバイス35および入力デバイス36を含む。
【0029】
通信I/F31は、検査装置30と通信I/F13との間で無線または有線で通信を行うインターフェース回路である。ここでI/Fは、インターフェースのことを表す。検査装置30と通信I/F13との間を有線で通信する場合、通信I/F31は、例えば、PoEハブである。検査装置30と通信I/F13との通信は、ネットワークを介してもよい。通信I/F31による通信方式は、例えば、WAN、LAN、LTE、5G等の移動体通信、電力線通信、近距離無線通信(例えばBluetooth(登録商標)通信)または携帯電話用の通信等である。
【0030】
プロセッサ32は、例えばCentral Processing Unit、Digital Signal Processor、Graphical Processing Unit、Field Programmable Gate Array等の電子デバイスのうち少なくとも1つが実装された半導体チップを用いられる。プロセッサ32は、検査装置30の全体的な動作を司るコントローラとして機能し、検査装置30の各部の動作を統括するための制御処理、検査装置30の各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理および、データの記憶処理を行う。プロセッサ32は、メモリ33に記憶されたプログラムに従って動作する。なお、プロセッサ32は、検査装置30の起動時に外部のサーバ装置等からデータを読み込んで処理してもよい。プロセッサ32は、動作時にメモリ33を使用し、プロセッサ32が生成または取得したデータをメモリ33に一時的に保存する。プロセッサ32は、レーン監視装置10,20から送信された撮像データを用いて検査対象OBの検査を実行する(図7参照)。
【0031】
メモリ33は、例えば、プロセッサ32が行う各種の処理を規定したプログラムとそのプログラムの実行中に使用するデータとを格納するRead Only Memory(以下、「ROM」と称する)と、プロセッサ32が行う各種の処理を実行する際に用いるワークメモリとしてのRandom Access Memory(以下、「RAM」と称する)と、を少なくとも有する。ROMには、プロセッサ32が行う各種の処理を規定したプログラムとそのプログラムの実行中に使用するデータとが書き込まれている。RAMには、プロセッサ32により生成あるいは取得されたデータもしくは情報(例えば、物品CAの位置、種類または向き等の情報)が一時的に保存される。
【0032】
データベース34は、マスタデータを保存する。マスタデータは、ユーザ(例えば、検査対象OBの生産の責任者)によって検査対象OBが予め定められた状態である場合の各種情報である。検査対象OBの予め定められた状態とは、ケースB1内部の物品CAの数、種類、位置、並び方または向きがユーザが定めた状態となっている状態(以下、正状態と称する)を指す。各種情報とは、例えば、正状態の撮像画像、数値データ、行列データまたは表データである。データベース34は、レーン監視装置10,20から送られる各時刻の撮像データまたはプロセッサ32の検査対象OBを検査した結果等を保存してもよい。なお、データベース34は、検査装置30の外部に設けられてもよい。
【0033】
表示デバイス35は、検査装置30の実行した現在および過去の検査結果を表示するデバイスである。表示デバイス35は、例えば、ディスプレイである。なお、表示デバイス35と入力デバイス36とはタッチパネルディスプレイのように一体に構成されてもよい。また、表示デバイス35は、検査装置30から省略されてもよい。
【0034】
入力デバイス36は、ユーザが検査装置30に対する指示を入力するデバイスである。入力デバイス36は、例えば、キーボードまたはタッチパネルディスプレイ等である。入力デバイス36は、検査装置30から省略されてもよい。
【0035】
端末装置40は、検査装置30と通信可能に接続される。端末装置40は、例えば、作業する検査者または検査装置30の設置場所の管理人等が携帯する端末である。端末装置40は、例えば、スマートフォンまたはPersonal Handy-phone System(以下、「PHS」と称する)等である。端末装置40は、検査装置30から送信されたデータ(例えば、エラーが発生している検査対象OBの情報)等を表示する。なお、端末装置40は、検査システム1から省略されてもよい。
【0036】
次に、図3を参照して、各時刻の撮像データの一例について説明する。図3は、各時刻の撮像データの一例を示す図である。
【0037】
図3は、撮像データの各時刻(時刻t1,t2,t3)における1フレームを表す。時間は、時刻t1から時刻t3へ流れている。つまり、時刻t2は、時刻t1よりも後の時刻である。また、時刻t3は、時刻t2よりも後の時刻である。以下、各時刻での撮像データのフレームを撮像画像と称する。
【0038】
撮像画像P1は、撮像データの中で時刻t1における撮像画像である。レーンLAの上を複数の検査対象が矢印の方向に流れており、撮像画像P1は、時刻t1でのカメラ12がレーンLAを撮像した様子を示す。撮像画像P1は、検査対象OB1の全体と検査対象OB2の一部とを含む。
【0039】
撮像画像P2は、撮像データの中で時刻t2における撮像画像である。時刻t2では、時刻t1の時よりも、検査対象OB1および検査対象OB2がレーンLAの上を矢印の方向に進んでいる。また、時刻t2では、検査対象OB3の一部がカメラ12の撮像範囲に入り撮像画像P2に映し出される。撮像画像P2は、検査対象OB1,OB2の全体と、検査対象OB3の一部とを含む。
【0040】
撮像画像P3は、撮像データの中で時刻t3における撮像画像である。時刻t3では、時刻t2の時よりも、検査対象OB1,OB2,OB3がレーンLAの上を矢印の方向に進んでいる。撮像画像P3は、検査対象OB1,OB2の全体と、検査対象OB3の一部とを含む。
【0041】
検査装置30は、各時刻(例えば、時刻t1,t2,t3)の撮像画像を解析しレーンLAの上を流れる検査対象OB(例えば、検査対象OB1,OB2,OB3)を検査する。
【0042】
次に、図4を参照して、撮像画像から検出された検査対象OBの一例を説明する。図4は、撮像画像から検出された検査対象OBの一例を示す図である。
【0043】
撮像画像P4は、検査対象OB1,OB2の全体と検査対象OB3の一部とを含む。一例として、検査対象(例えば、検査対象OB1,OB2,OB3)には、お菓子Aが包装された袋(例えば、物品C1)1つと、お菓子Bが包装された小箱(例えば、物品C2,C3,C4)3つと、茶葉が包装された缶(例えば、物品C5,C6)が2つ梱包される。お菓子Bは、2種類の絵柄があり、猫のマークのお菓子が2つと、熊のマークのお菓子が1つである。なお、検査対象に梱包される物品は一例であり上述した例に限られない。
【0044】
プロセッサ32は、画像認識等の公知の技術を用いて撮像画像P4の中からケースB1を検出する。プロセッサ32は、検出したケースB1に対し、ケースB1が内部に含まれる枠FB1を設定する。プロセッサ32は、撮像画像P4の中からケースB2を検出する。プロセッサ32は、検出したケースB2に対し、ケースB2が内部に含まれる枠FB2を設定する。枠FB1,FB2は、例えば、四角形である。なお、物品に合わせて、図形を多角形など変形させてもよい
【0045】
また、プロセッサ32は、撮像画像からケースB1の外枠を検出し、その検出したケースB1の外枠に対応する枠FB1を設定してもよい。プロセッサ32は、枠FB1を、例えば、ケースB1の外枠の大きさと同じ大きさもしくは数%拡大した大きさとする。
【0046】
枠FB1,FB2の一部に、検出された対象(以下、検出対象と称する)に応じたラベリングが表示されてもよい。枠FB1,FB2には、検出対象がケースであることを示すテキスト(例えば、「BOX」)が表示される。また、枠FB1,FB2の一部に、検出対象の確からしさを示す数値が表示されてもよい。確からしさとは、検出された対象(ここではケース)をマスタデータと比較した際の一致率である。例えば、ケースB1,B2が一部破損している場合、一致率は低下する。確からしさは、百分率で示され、枠FB1,FB2は100%(つまり、ケースB1,B2に異常がない)を示す。なお、確からしさは、百分率に限られず段階評価等でもよい。プロセッサ32は、確からしさを画像認識等の公知の技術を用いて算出する。
【0047】
プロセッサ32は、画像認識等の公知の技術を用いて撮像画像の中からケースB1およびケースB2の中に配置されている物品それぞれを検出する。
【0048】
プロセッサ32は、撮像画像の中からケースB1の中に配置されている物品C1を検出する。プロセッサ32は、検出した物品C1に対し、物品C1が含まれる枠FC1を設定する。
【0049】
プロセッサ32は、撮像画像の中からケースB1の中に配置されている物品C2を検出する。プロセッサ32は、検出した物品C2に対し、物品C2が含まれる枠FC2を設定する。
【0050】
プロセッサ32は、撮像画像の中からケースB1の中に配置されている物品C3を検出する。プロセッサ32は、検出した物品C3に対し、物品C3が含まれる枠FC3を設定する。
【0051】
プロセッサ32は、撮像画像の中からケースB1の中に配置されている物品C4を検出する。プロセッサ32は、検出した物品C4に対し、物品C4が含まれる枠FC4を設定する。
【0052】
プロセッサ32は、撮像画像の中からケースB1の中に配置されている物品C5を検出する。プロセッサ32は、検出した物品C5に対し、物品C5が含まれる枠FC5を設定する。
【0053】
プロセッサ32は、撮像画像の中からケースB1の中に配置されている物品C6を検出する。プロセッサ32は、検出した物品C6に対し、物品C6が含まれる枠FC6を設定する。
【0054】
プロセッサ32は、撮像画像の中からケースB2の中に配置されている物品C7を検出する。プロセッサ32は、検出した物品C7に対し、物品C7が含まれる枠FC7を設定する。
【0055】
プロセッサ32は、撮像画像の中からケースB2の中に配置されている物品C8を検出する。プロセッサ32は、検出した物品C8に対し、物品C8が含まれる枠FC8を設定する。
【0056】
プロセッサ32は、撮像画像の中からケースB2の中に配置されている物品C9を検出する。プロセッサ32は、検出した物品C9に対し、物品C9が含まれる枠FC9を設定する。
【0057】
プロセッサ32は、撮像画像の中からケースB2の中に配置されている物品C10を検出する。プロセッサ32は、検出した物品C10に対し、物品C10が含まれる枠FC10を設定する。
【0058】
枠FC1,FC2,FC3,FC4,FC5,FC6は、例えば、四角形である。なお、枠FC1,FC2,FC3,FC4,FC5,FC6の形は四角形に限られず、物品に合わせて、図形を多角形など変形させてもよい。。
【0059】
枠FC1,FC2,FC3,FC4,FC5,FC6,FC7,FC8,FC9,FC10の一部に、検出対象に応じたラベリングが表示されてもよい。枠FC1には、検出対象がお菓子Aであることを示すテキスト(例えば、「A」)が表示される。枠FC2,FC4,FC7,FC8には、検出対象が猫のマークのお菓子Bであることを示すテキスト(例えば、「B」)が表示される。枠FC3,FC9には、検査対象が熊のマークのお菓子Cであることを示すテキスト(例えば、「C」)が表示される。枠FC5,FC6,FC10には、検出対象が茶葉の缶であることを示すテキスト(例えば、「D」)が表示される。
【0060】
また、枠FC1,FC2,FC3,FC4,FC5,FC6,FC7,FC8,FC9,FC10の一部に、検出された対象(ここでは物品)の確からしさを示す数値が表示されてもよい。確からしさは、例えば、物品(例えば、物品C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10)の向きが異なる場合(例えば、物品が上下逆である、斜めを向いているまたは後ろ向きである等)、一致率が低下する。例えば、物品C7は上下逆の状態でケースB2に詰められており、枠FC7に示される確からしさは「50」となる。物品C10はロゴが斜めを向いた状態でケースB2に詰められており、枠FC10に示される確からしさは「70」となる。このように、検査装置30は、確からしさの数値に基づき物品の向きを推定することが可能である。
【0061】
また、物品C8と物品C9とは、ケースB2内部の定められた位置とは異なる位置に配置されている物品である。
【0062】
検査対象OB2は、定められた状態と異なる状態に配置されている物品(物品C7,C8,C9,C10)が存在するため検査装置30によって異常があるとして検出される。検査装置30による異常の検出に関する詳しい処理は図7で説明する。
【0063】
検査対象OB3は、撮像画像P4にケースB3の一部しか映っていない状態である。そのためプロセッサ32によって検出されないあるいは検出されても検出された対象(ここではケース)の確からしさを示す数値が低いため検査対象としない。検査対象がプロセッサ32によって検出されるか否かについては図6で説明する。
【0064】
次に、図5を参照して、物品の座標の算出方法の一例を説明する。図5は、物品の座標の算出方法の一例を説明する図である。
【0065】
図5は、プロセッサ32によって検出され、枠FC1が設定された物品C1を示す。
【0066】
プロセッサ32は、画像認識等の公知の技術を用いて枠FC1の四隅の座標(座標k1,k2,k3,k4)を検出する。座標は、例えば、撮像画像に設定されたXY軸に係るXY座標である。プロセッサ32は、座標k1,k2,k3,k4を用いて枠FC1の中点の座標(座標k5)を算出する。プロセッサ32は、算出した各物品の中点の座標を用いて、検出した各物品の情報(例えば、物品の種類または確からしさ等)を順番に並べる。
【0067】
次に、図6を参照して、ケースの大きさの算出方法の一例を説明する。図6は、ケースの大きさの算出方法の一例を示す図である。
【0068】
図6は、プロセッサ32によって検出され、枠FB1が設定されたケースB1を示す。
【0069】
プロセッサ32は、画像認識等の公知の技術を用いて枠FB1の四隅の座標(座標k6,k7,k8,k9)を検出する。プロセッサ32は、座標k6,k7,k8,k9を用いて枠FB1の外周の長さを算出する。プロセッサ32は、枠FB1の外周の長さが所定の閾値(例えば、ケースB1全体が撮像されているときの長さ)以上である場合にケースB1を検出し、所定の閾値未満の場合はケースB1を検出しない。なお、プロセッサ32は、枠FB1の外周の長さに限られず、座標k6から座標k7の長さ(もしくは座標k8から座標k9の長さ)または枠FB1の面積を算出してもよい。
【0070】
次に、図7を参照して、検査装置30の実行する検査対象OBを検査する第1の処理のフローチャートを説明する。図7は、検査装置30の実行する検査対象OBを検査する第1の処理のフローチャートである。図7に係るフローチャートの各処理は、プロセッサ32によって実行される。
【0071】
プロセッサ32は、カメラ12から検査対象OBを撮像した撮像データを取得する(ステップSt100)。
【0072】
プロセッサ32は、取得した撮像データの各時刻の撮像画像から物品とケースとを検出する(ステップSt101)。プロセッサ32が撮像画像から物品とケースとを検出する方法は画像認識等の公知の技術を用いた方法である。プロセッサ32は、各物品の種類を認識する。プロセッサ32は、ステップSt101の処理においてケースの座標(図6参照)と各物品の座標(図5参照)を算出する。
【0073】
プロセッサ32は、ケースの大きさ(例えば、ケースの外周の長さ)を算出する(図6参照)。プロセッサ32は、ケースの大きさが所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップSt102)。ケースの外周の長さを用いてステップSt102の処理に係る判定を行う場合、プロセッサ32は、ケースの外周の長さが所定の長さ以上であるか否かを判定する。
【0074】
プロセッサ32は、ケースの大きさが所定の閾値未満であると判定した場合(ステップSt102,NO)、プロセッサ32の処理は終了する。
【0075】
プロセッサ32は、ケースの大きさが所定の閾値以上であると判定した(つまり、ケースの全体が撮像画像に映っている)場合(ステップSt102,YES)、ケースの座標の中に存在する物品の中点を算出する(物品の中点の算出方法は図5参照)。プロセッサ32は、ステップSt101の処理で認識した各物品の種類に係る情報を、算出した物品の中点の座標順に並べる(ステップSt103)。以下、物品の中点の座標順に並べた各物品の種類に係る情報を作成データと称する。なお、撮像画像に複数のケースが検出された場合、プロセッサ32はケースごとに各物品の種類に係る情報を中点の座標順に並べ替える。
【0076】
プロセッサ32は、データベース34からマスタデータを取得する。プロセッサ32は、ステップSt101の処理で検出した物品のデータとマスタデータとを比較して各物品の向き(つまり、確からしさ)を算出する(ステップSt104)。プロセッサ32は、例えば、マスタデータ(つまり、正状態における物品の向き)とどれくらい異なるかに応じて確からしさを算出する。プロセッサ32は、確からしさを作成データに追加する。なお、プロセッサ32は、ステップSt103の処理よりも前に確からしさを算出し、物品の種類と確からしさとに係る情報を座標順に並べて作成データを生成してもよい。
【0077】
プロセッサ32は、作成データとマスタデータとを比較して物品の個数が同じであるか否かを判定する(ステップSt105)。
【0078】
プロセッサ32は、作成データとマスタデータとを比較して物品の個数が違うと判定した場合(ステップSt105,NO)、撮像画像をデータベース34に記録する(ステップSt106)。例えば、プロセッサ32は、撮像画像が撮像された時間、撮像されたレーンLAの情報(例えば、複数レーンLAが存在する場合、どのレーンLAであるのかを示す情報)、検出された物品の個数または過不足の個数を撮像画像に紐づけてデータベース34に記録してもよい。
【0079】
プロセッサ32は、通知デバイス14に警告に係る信号を出力する(ステップSt107)。警告に係る信号とは、マスタデータと比較して検査対象に異常がある(つまりエラーである)ことを通知する信号である。ステップSt107の処理における警告に係る信号とは、マスタデータと比較して物品の個数が異なることを通知する信号である。例えば、通知デバイス14がランプである場合、プロセッサ32はランプを点灯または点滅させる指示を出力する。通知デバイス14が複数の色で点灯できるランプの場合、プロセッサ32は、警告の内容に応じて異なる色でランプを点灯させてもよい。例えば、プロセッサ32は、個数に係る警告としてランプを赤色で点灯させる。なお、ランプの色は一例であり赤色に限られない。通知デバイス14がディスプレイである場合、プロセッサ32は、「個数が足りません」、「個数が1個多いです」または「個数が異なります」等のメッセージを警告として通知デバイス14に表示させてもよい。通知デバイス14がスピーカの場合、プロセッサ32は、「個数が足りません」、「個数が1個多いです」または「個数が異なります」等のメッセージを警告として通知デバイス14に出力させてもよい。また、プロセッサ32は、ビープ音(つまり警告音)を通知デバイス14に出力させてもよい。プロセッサ32は、通知デバイス14への出力する警告として、ランプを点灯させる、ディスプレイに表示させる、スピーカに出力させるまたはランプを点灯させる等を複数組み合わせて実行してもよい。プロセッサ32の処理は、ステップSt107の処理の後ステップSt114の処理に進む。なお、ステップSt107の処理の警告を検査者が確認し、異常のある物品を正状態にした旨の信号を入力デバイス36に検査者が入力した場合に、プロセッサ32の処理は、ステップSt107の処理の後ステップSt114の処理に進むとしてもよい。「異常のある」とは、検査対象、ケースまたは物品が正状態と異なる状態であることを指す。
【0080】
プロセッサ32は、作成データとマスタデータとを比較して物品の個数が同じであると判定した場合(ステップSt105,YES)、作成データとマスタデータとを比較して物品の並びは同じであるか否かを判定する(ステップSt108)。なお、プロセッサ32は、ステップSt105とステップSt108の処理とを同時に行ってもよい。つまり、プロセッサ32は、作成データとマスタデータとを比較して物品の並びが同じであるか否かを判定する際に、各物品の個数を数えるということである。プロセッサ32は、作成データとマスタデータとを比較して物品の個数と物品の並びとの少なくとも一方が同じではないと判定した場合、撮像画像をデータベース34に記録し、警告を出力する。プロセッサ32は、警告を出力する際、物品の個数が異なる場合と、物品の並びが異なる場合とで異なる警告を出力してもよい。また、プロセッサ32は、物品の個数および並びがどちらも異なる場合、物品の個数および並びがどちらも異なっている旨の警告を出力してもよい。
【0081】
プロセッサ32は、作成データとマスタデータとを比較して物品の並びが異なると判定した場合(ステップSt108,NO)、撮像画像をデータベース34に記録する(ステップSt109)。プロセッサ32は、例えば、図4に示す撮像画像P4において検査対象OB2の中の物品C8と物品C9との並びが異なるような場合に、物品の並びが異なると判定する。
【0082】
プロセッサ32は、通知デバイス14に警告に係る信号を出力する(ステップSt110)。ステップSt110の処理における警告に係る信号とは、マスタデータと比較して物品の並びが異なることを通知する信号である。例えば、通知デバイス14が複数の色で点灯できるランプの場合、プロセッサ32は、例えば、並びに係る警告としてランプを黄色で点灯させる。なお、ランプの色は一例であり黄色に限られない。通知デバイス14がディスプレイである場合、プロセッサ32は、「並びが異なります」等のメッセージを警告として通知デバイス14に表示させてもよい。通知デバイス14がスピーカの場合、プロセッサ32は、「並びが異なります」等のメッセージを警告として通知デバイス14に出力させてもよい。また、プロセッサ32は、ビープ音(つまり警告音)を通知デバイス14に出力させてもよい。プロセッサ32は通知デバイス14への出力する警告として、ランプを点灯させる、ディスプレイに表示させる、スピーカに出力させるまたはランプを点灯させる等を複数組み合わせて実行してもよい。プロセッサ32の処理は、ステップSt110の処理の後ステップSt114の処理に進む。なお、ステップSt110の処理の警告を検査者が確認し、異常のある物品を正状態にした旨の信号を入力デバイス36に検査者が入力した場合に、プロセッサ32の処理は、ステップSt110の処理の後ステップSt114の処理に進むとしてもよい。
【0083】
プロセッサ32は、ステップSt104の処理で算出した向きに係る情報(つまり、確からしさ)に基づき、物品の向きが正しい向きであるか否かを判定する(ステップSt111)。正しい向きとは、ユーザによって予め定められた向き(つまり、正状態における物品の向き)である。プロセッサ32は、例えば、確からしさの値に応じで物品の向きが正しい向きであるか否かを判定する。
【0084】
プロセッサ32は、物品の向きが正しい向きではないと判定した場合(ステップSt111,NO)、撮像画像をデータベース34に記録する(ステップSt112)。プロセッサ32は、例えば、図4に示す物品C7と物品C10とのように向きが異なる場合に、物品の向きが正しい向きではないと判定する。
【0085】
プロセッサ32は、通知デバイス14に警告に係る信号を出力する(ステップSt113)。ステップSt113の処理における警告に係る信号とは、物品の向きが異なることを通知する信号である。例えば、通知デバイス14が複数の色で点灯できるランプの場合、プロセッサ32は、例えば、向きに係る警告としてランプを青色で点灯させる。なお、ランプの色は一例であり青色に限られない。通知デバイス14がディスプレイである場合、プロセッサ32は、「物品の向きが異なります」等のメッセージを警告として通知デバイス14に表示させてもよい。通知デバイス14がスピーカの場合、プロセッサ32は、「物品の向きが異なります」等のメッセージを警告として通知デバイス14に出力させてもよい。また、プロセッサ32は、ビープ音(つまり警告音)を通知デバイス14に出力させてもよい。プロセッサ32は通知デバイス14への出力する警告として、ランプを点灯させる、ディスプレイに表示させる、スピーカに出力させるまたはランプを点灯させる等を複数組み合わせて実行してもよい。プロセッサ32の処理は、ステップSt113の処理の後ステップSt114の処理に進む。なお、ステップSt113の処理の警告を検査者が、確認し異常のある物品を正状態にした旨の信号を入力デバイス36に検査者が入力した場合に、プロセッサ32の処理は、ステップSt113の処理の後ステップSt114の処理に進むとしてもよい。
【0086】
プロセッサ32は、ステップSt107,St110,St113の処理の後に、再びステップSt105の処理に戻ってもよい。つまり、プロセッサ32は、異常が検出された場合、検査者等によって物品が正しい状態となったか否かを再度判定してもよい。
【0087】
プロセッサ32は、物品の向きが正しい向きであると判定した場合(ステップSt111,YES)、検査対象を検査した結果を表示デバイス35に表示する(ステップSt114)。プロセッサ32は、例えば、検査結果をテキスト(例えば、「正常です」、「異常があります」等)で表示してもよいし、検出に用いた撮像画像を表示してもよい。プロセッサ32は、ステップSt105,St108,St111の処理で異常が検出された場合、どの物品に異常があったかがわかるマーク等を撮像画像に重畳させて表示デバイス35に表示してもよい。なお、物品を検出した際に設定される枠(例えば、図4の枠FC1等)は、撮像画像上の該当する位置に設定された後、撮像画像に重畳して表示される。ここで設定とは、例えば、撮像画像上の座標において、中心座標と枠の大きさとが数値的に設定されることをさす。重畳とは、表示デバイス35に表示する際に、設定に応じて枠の形状を撮像画像上の該当する位置に表示することを示す。プロセッサ32は、検出された異常の内容を表示デバイス35に表示させてもよい。プロセッサ32は、撮像画像、検査結果、時刻またはレーンLAの情報等を組合せて表示デバイス35に表示させてもよい。なお、プロセッサ32は、通知デバイス14に結果を表示させてもよい。
【0088】
次に、図8を参照して、検査装置30の実行する検査対象OBを検査する第2の処理のフローチャートを説明する。図8は、検査装置30の実行する検査対象OBを検査する第2の処理のフローチャートである。図8に係るフローチャートの各処理は、プロセッサ32によって実行される。図7と同一の処理に関しては同一符合を付記して説明を省略する。
【0089】
プロセッサ32は、撮像画像の中からまずケースを検出する(ステップSt200)。プロセッサ32は、ステップSt200の処理でケースの座標(図6参照)を算出する。
【0090】
プロセッサ32は、ケースの大きさ(例えば、ケースの外周の長さ)を算出する(図6参照)。プロセッサ32は、ケースの大きさが所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップSt201)。ケースの外周の長さを用いてステップSt201の処理に係る判定を行う場合、プロセッサ32は、ケースの外周の長さが所定の長さ以上であるか否かを判定する。
【0091】
プロセッサ32は、ケースの大きさが所定の閾値未満である場合(ステップSt201,NO)、処理を終了する。
【0092】
プロセッサ32は、ケースの大きさが所定の閾値以上である場合(ステップSt201,YES)、ケースの座標の中に含まれる物品を検出する(ステップSt202)。プロセッサ32は、ステップSt202の処理において物品の種類を認識する。プロセッサ32はステップSt202の処理において各物品の座標(図5参照)を算出する。以下の処理は、図7のフローチャートに係るステップSt103以降の処理と同様なため説明を省略する。
【0093】
このように、プロセッサ32は、まずケースを検出し、検出されたケースの中から物品を検出してもよい。これにより、検査装置30は、レーンLA上を流れている検査対象において、撮像画像の中からケースが一部写っていない検査対象の中の物品を検出し、誤って種類、向きまたは数が異なると判定してしまうのを防ぐことができる。つまり、検査装置30は、検査対象の検査を高精度に行うことができる。また、検査装置30は、検査対象の一部だけで異常があると判定する場合、当該検査対象の他の部分(つまり、撮像画像に含まれない部分)にも異常がある場合、通知デバイス14に何度も警告を出力し、検査者の作業を増大させてしまう可能性がある。検査装置30が検査対象に異常があると判定する度にレーンLAを停止させる場合、生産効率が落ちてしまう可能性がある。検査装置30は、大きさが閾値以上のケースの中から物品を検出し検査を進めることで、同一検査対象において警告を何度も出力することを防ぎ、作業者の負担を低下させることができる。また、検査装置30は、同一検査対象においてレーンLAを何度も停止させることを防ぎ、生産効率を向上させることができる。
【0094】
次に、図9を参照して、検査装置30の実行する検査対象OBを検査する第3の処理のフローチャートを説明する。図9は、検査装置30の実行する検査対象OBを検査する第3の処理のフローチャートである。図9に係るフローチャートの各処理は、プロセッサ32によって実行される。図7と同一の処理に関しては同一符合を付記して説明を省略する。
【0095】
プロセッサ32は、作成データとマスタデータとを比較して物品は正状態であるか否かを判定する(ステップSt300)。つまりプロセッサ32は、作成データとマスタデータとを比較して、物品の数、並び方および向きが同じであるか否かを判定する。
【0096】
プロセッサ32は、作成データとマスタデータとを比較して物品は正状態であると判定する場合(ステップSt300,YES)、プロセッサ32の処理はステップSt114の処理に進む。
【0097】
プロセッサ32は、作成データとマスタデータとを比較して物品は正状態ではないと判定した場合(ステップSt300,NO)、撮像画像をデータベース34に記録する(ステップSt301)。
【0098】
プロセッサ32は、通知デバイス14にステップSt300の処理の判定結果に応じた警告を出力する(ステップSt302)。例えば、通知デバイス14が複数の色を有するランプの場合、プロセッサ32は、物品の数が異なる場合、並びが異なる場合または向きが異なる場合のそれぞれにおいて異なる色でランプを点灯もしくは点滅させる。プロセッサ32は、複数の種類(つまり、物品の数が異なる、並びが異なるまたは向きが異なる)の異常があると判定した場合、ランプを複数の色で順番もしくは同時に点灯もしくは点滅させてもよい。通知デバイス14がディスプレイの場合、プロセッサ32は、異常の内容に応じたテキストを表示させる。通知デバイス14がスピーカの場合、プロセッサ32は以上の内容に応じたテキストを出力させる。
【0099】
これにより、検査装置30は、1つの検査対象の中の複数の物品に異常がある場合、1度の処理で当該検査対象の中の全ての異常を判定し、警告することができる。これにより、検査装置30は、高効率に検査者に警告を通知することができ、生産効率を向上させることができる。
【0100】
なお、検査装置30は、カメラ12のフレームレートとケースの大きさとに応じて、一定期間で同一のエラー内容に対する警告は通知しないようにしてもよい。例えば、カメラ12のフレームレートが30fpsでフレームごとに検査するとケースがカメラ12を通過する間に、同じエラーによる警告が頻発してしまい検査者にとって煩わしさとなってしまう。検査装置30は、一定期間の間に、同一内容のエラーに対する警告を行わないようにすることで、警告が頻発することを防ぎ必要以上に検査者の作業を止めてしまうことを防ぐことができる。また、検査装置30は、検出したケースの座標を追跡し、一度検出したケースに関するエラーに対する警告は行わないようにしてもよい。また、検査装置30は、フレームレートを上げて、検知エリアをケースのサイズ以上かつケース2つ分のサイズ未満とすることで、1回の撮像するタイミングを1つの箱ごとに行うようにフレームレートおよび検知エリアのサイズを設定してもよい。
【0101】
次に、図10を参照して、通知デバイス14もしくは表示デバイス35に表示される画面の第1の例を説明する。図10は、通知デバイス14もしくは表示デバイス35に表示される画面の第1の例を示す図である。
【0102】
画面SC1は、通知デバイス14もしくは表示デバイス35に表示される画面の一例である。なお、通知デバイス14もしくは表示デバイス35に表示される画面は画面SC1に限られない。画面SC1は、画像IM1とリストLi1とを含む。
【0103】
画像IM1は、検査装置30の検査対象の検査の処理に用いた撮像画像である。画像IM1に表示される番号「1」は、リストLi1の番号「1」と対応する番号である。つまり、画像IM1を用いた検査結果はリストLi1の番号1に係る情報に対応する。
【0104】
リストLi1は、検査装置30の検査の処理で異常が発見された撮像画像のリストである。
【0105】
「日時」は、撮像画像が撮像された日時である。「日時」の欄には、例えば、「2022/12/15 16:03」のように日付と時刻とが表示される。
【0106】
「画像」は、撮像画像のファイル名を表す。
【0107】
「エラー内容」は、撮像画像で検出された異常の内容が表示される。例えば、番号1に対応するエラー内容は、「お菓子Bが上下反対」および「缶の向き」である。番号2に対応するエラー内容は、「不要な物品が入っている」である。ここで不要な物品とは、マスタデータにおいて、ケースの中に入っているべき物品以外の物品のことを指す。例えば、マスタデータにおいて、熊のマークのお菓子Bは1つのみであるが、熊のマークのお菓子Bが2つ入っている場合、1つの熊のマークのお菓子Bは不要な物品となる。番号3に対応するエラー内容は「お菓子Aがない」である。「エラー内容」には、番号1のように撮像画像の中で検出された複数の異常の内容を表示してもよい。
【0108】
「レーン」は、検査システム1が設置される場所に複数のレーンLAが存在する場合、どのレーンLAにおいて撮像された撮像画像であるのかを表す。
【0109】
リストLi1の各行をユーザによって選択操作されることで、各番号に対応する画像IM1が画面SC1に表示される。
【0110】
画面SC1には、対象のレーン(例えば、レーン1)に絞った内容が表示されてもよい。なお、この場合、他のレーン(例えば、レーン2)に関する画面についても作成される。
【0111】
このように、検査装置30は、ユーザ(例えば、検査者、管理人または検査対象を売る店の従業員等)が過去に発生した検査対象の異常の内容を確認することを支援できる。例えば、検査対象OBに不具合があったというクレームをユーザが顧客から受けた場合に、検査装置30は、過去に発生した異常の内容を通知デバイス14もしくは表示デバイス35に表示させることができる。すなわち、検査装置30は、ユーザが、過去の結果を参照し、どの工場のどのレーンで異常が発生したかを確認し、再発防止に努めることを、支援する。なお、異常が発生した場合に限られず、検査に用いた撮像画像に係る情報を全てデータベース34に保存し、リストLi1に表示させてもよい。その場合、リストLi1は、異常が発生した場合と発生しなかった場合とで場合分けして絞り込み可能であってもよい。
【0112】
次に、図11を参照して、通知デバイス14もしくは表示デバイス35に表示される画面の第2の例を説明する。図11は、通知デバイス14もしくは表示デバイス35に表示される画面の第2の例を示す図である。
【0113】
画面SC2は、通知デバイス14もしくは表示デバイス35に表示される画面の一例である。通知デバイス14もしくは表示デバイス35に表示される画面は、画面SC2に限られない。画面SC2は、画像IM2とリストLi2を含む。
【0114】
画像IM2は、検査装置30の検査対象の検査の処理に用いた撮像画像である。画像IM2は、異常が検出された物品にマーク(例えば、四角形のマークR1,R2,R3,R4)を重畳して表示させる。各マークに数字を付記して画像IM2に重畳させてもよい。なお、各マークに付記するものは数字に限られず、アルファベットまたは記号でもよい。
【0115】
リストLi2は、画像IM2に対して検査装置30の検査の処理で発見された異常のリストである。
【0116】
「修正対象番号」は、発見された異常の内容に対応する番号である。例えば、修正対象番号1は、マークR1に対応する。修正対象番号2は、マークR2に対応する。修正対象番号3は、マークR3に対応する。修正対象番号4は、マークR4に対応する。
【0117】
「エラー内容」は、撮像画像で検出された異常の内容が表示される。例えば、修正対象番号1に対応するエラー内容は、「お菓子Bの向きが逆です」である。修正対象番号2に対応するエラー内容は、「不要な物品が入っています」である。修正対象番号3に対応するエラー内容は、「缶の向きが異なります」である。修正対象番号4に対応するエラー内容は、「お菓子Bの位置が異なります」である。
【0118】
「指示内容」は、検出された異常の内容に対して行うべき作業の指示内容が表示される。例えば、修正対象番号1に対するエラー内容は、「お菓子Bの向きを直してください」である。修正対象番号2に対応するエラー内容は、「正しい物品と交換してください」である。修正対象番号3に対応するエラー内容は、「缶の向きを直してください」である。修正対象番号4に対応するエラー内容は、「お菓子Bの位置を直してください」である。
【0119】
これにより、検査装置30は、ユーザに対し検出された異常を報知し、検査対象の異常を正しい状態に直す作業を支援することができる。
【0120】
次に、図12を参照して、検査システム1を利用した物品の個数の計測方法の一例を説明する。図12は、検査システム1を利用した物品の個数の計測方法の一例を示す図である。前述したとおり、物品の個数の計測は物品の並びの正誤判定と一緒に処理してもよい。これは、物品の並びを確認するときに各物品の種類を検出するため、そのときに個数も数えておくことで可能である。
【0121】
プロセッサ32は、エリアGAを通過した物品の数を計測する。これにより、検査装置30は、ケースに詰められた物品の数をカウントすることができる。
【0122】
エリアGAを、ケース1つ分のサイズ以上でありかつケース2つ分のサイズ未満とすることで、エリアGAのなかにケース全体が含まれるケースを一つにすることができる。これにより、プロセッサ32は、ケース全体を各ケースごとに検出することができる。また、撮像するフレームレート及びエリアGAのサイズあるいはどちらか一方を調整することで、ケースを追跡することなく同じケースを複数回カウントしてしまうことを防ぐことができます。詳しく説明すると、ケース全体を撮像した後、次のケースの全体を撮影するまでの間の撮影においてどちらのケースの全体をも含まない撮像画像が撮像されるようにする。これにより、ケースから次のケースに移動したかどうかを判断するトリガーとして、いづれのケース全体がエリアGAに含まれていない画像を使うことで、ケースを追跡して同一のケースかどうかを検証しなくてもケースが変わったことを認識することができます。つまり、プロセッサ32は、ケースを追跡して同一のケースかどうかを検証する処理が不要となるため、ケースを撮像し物品の異常を検出するまでの一通りの処理を軽量化することができる。また、これにより、プロセッサ32は、同じケースの物品を複数回数えてしまうことを防ぐことができ、エリアGAを通過した物品の個数を正確に計測することができる。
【0123】
プロセッサ32は、ケースの中の物品が複数の種類である場合、各種類の物品のそれぞれの数を計測してもよい。例えば、プロセッサ32は、エリアGAを物品が通過したらその都度個数をカウントする。これにより、検査装置30は、ケースに詰められた物品を種類ごとに個数をカウントすることができる。これにより、検査装置30は、検査者または検査装置30が設置された場所の管理人等が、ケースに詰められた各種類の物品の個数を把握するのを支援することができる。
【0124】
(本開示のまとめ)
以上の実施の形態の記載により、下記技術が開示される。
【0125】
<技術1>
本実施の形態に係る検査装置(例えば、検査装置30)は、カメラによって検査対象が撮像された撮像画像から検査対象のケースを検出し、ケースの中から複数の物品を検出し、物品の位置および種類を認識し、定められた種類の物品が定められた位置に配置されている状態に係る情報を示すマスタデータを用いて、各物品の種類と位置とがマスタデータと一致するか否かを判定し、少なくとも1つの物品の種類と位置とがマスタデータと一致しないと判定した場合、通知デバイスにエラーであることを通知するプロセッサ(例えば、プロセッサ32)を備える。
【0126】
これにより、本実施の形態に係る検査装置は、ケースの中に含まれる複数の物品それぞれを検出し、各物品の種類と位置とがマスタデータと一致するか否か(つまり、正状態であるか否か)を判定することができる。これにより検査装置は、検査対象を高精度に検査することができ、検査者の検査対象を検査する作業を支援できる。
【0127】
<技術2>
技術1に記載の検査装置において、プロセッサは、複数の物品それぞれの撮像画像における座標を算出し、認識された物品の種類の情報を座標順に並び替え、マスタデータの物品の種類の情報の順番と一致しないと判定した場合、通知デバイスにエラーであることを通知する。
【0128】
これにより、本実施の形態に係る検査装置は、物品の並び方がマスタデータと一致するか否かを判定することができる。検査装置は、物品の並び方が異なる場合、エラーを報知し検査者の検査対象を検査する作業を支援することができる。例えば、ケースの中に含まれる物品の数が多い場合、検査者は全ての物品の並びを目視で確認しなければならず作業負荷が増大する。検査装置は、このようなケースの中に含まれる物品の数が多い場合、物品の並び方が異なる場合にエラーを報知することで、検査者の検査作業の負荷を軽減できる。
【0129】
<技術3>
技術1または技術2に記載の検査装置において、プロセッサは、物品の種類がマスタデータと一致しないと判定された場合、入れ替えるべき種類の物品を通知デバイスに通知する。
【0130】
これにより、本実施の形態に係る検査装置は、ケースに詰められた物品の種類が異なる場合、入れ替えるべき種類の物品を報知することができる。これにより、検査者は、容易に入れ替えるべき種類の物品を把握することができる。つまり、検査装置は、検査者の検査作業を支援できる。
【0131】
<技術4>
技術1から技術3のいずれか1つに記載の検査装置において、プロセッサは、物品の種類がマスタデータと一致しないと判定された場合、ケースの中の物品の位置を通知デバイスに通知する。
【0132】
これにより、本実施の形態に係る検査装置は、正状態と種類が異なる物品の位置を検査者が把握するのを支援できる。
【0133】
<技術5>
技術1から技術4のいずれか1つに記載の検査装置において、プロセッサは、検出された物品のマスタデータとの違いを数値として算出し、数値に基づき物品の向きを推定し、向きがマスタデータの示す定められた向きと異なる場合、通知デバイスにエラーであることを通知する。
【0134】
これにより、本実施の形態に係る検査装置は、物品の向きの違いを検知し検査者に報知することができる。検査装置は、物品の向きを算出された数値から推定することで検査対象の状態を高精度に検査できる。
【0135】
<技術6>
技術1から技術5のいずれか1つに記載の検査装置において、プロセッサは、物品の数を算出し、数がマスタデータの物品の数と一致しない場合、通知デバイスにエラーであることを通知する。
【0136】
これにより、本実施の形態に係る検査装置は、ケースの中の物品の数が異なる場合、検査者に報知し検査者の作業を支援できる。
【0137】
<技術7>
技術1から技術6のいずれか1つに記載の検査装置において、通知デバイスは、ランプであり、プロセッサは、数がマスタデータの物品の数と一致しないと判定される場合と、物品の種類と位置とがマスタデータと一致しないと判定される場合と、においてそれぞれ異なる色でランプを光らせる。
【0138】
これにより、本実施の形態に係る検査装置は、各エラーの内容に応じてランプを異なる色で光らせることで検査者に視覚的にエラーの内容を報知することができる。検査装置は、検査者がエラーの内容を簡単に把握することを支援できる。
【0139】
<技術8>
技術1から技術7のいずれか1つに記載の検査装置において、プロセッサは、撮像画像とエラーの内容とを通知デバイスに表示させる。
【0140】
これにより、本実施の形態に係る検査装置は、ユーザ(例えば、検査者または検査装置の設置場所の管理人等)が検出されたエラーの内容を視覚的に確認し、エラー内容を容易に解消することを支援できる。
【0141】
<技術9>
技術1から技術8のいずれか1つに記載の検査装置において、プロセッサは、撮像画像とエラーの内容とを紐づけて保存する。
【0142】
これにより、本実施の形態に係る検査装置は、ユーザが過去に発生したエラーの内容を参照することを支援できる。
【0143】
<技術10>
技術1から技術9のいずれか1つに記載の検査装置において、エラーの内容は、撮像画像が撮像された時刻、物品の種類または物品の位置のうち少なくとも1つである。
【0144】
これにより、本実施の形態に係る検査装置は、エラーが発生した時刻、エラーが発生した物品の種類または位置をユーザが参照することを支援できる。
【0145】
<技術11>
技術1から技術10のいずれか1つに記載の検査装置において、検査対象は、コンベアを流れる物であり、プロセッサは、コンベアを流れる検査対象のケースの外周の長さが所定の閾値以上の場合、ケースの中から物品を検出する。
【0146】
これにより、本実施の形態に係る検査装置は、コンベアを流れる検査対象を高精度に検査することができ、検査者の検査対象を検査する作業を支援できる。
【0147】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本開示の技術は、対象物を高精度に検査する検査装置、検査方法およびプログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0149】
1 検査システム
10,20 レーン監視装置
11 照明
12 カメラ
13,31 通信I/F
14 通知デバイス
30 検査装置
32 プロセッサ
33 メモリ
34 データベース
35 表示デバイス
36 入力デバイス
40 端末装置
LA レーン
P1,P2,P3,P4 撮像画像
CA,C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10 物品
B1,B2,B3 ケース
OB,OB1,OB2,OB3 検査対象
FB1,FB2,FC1,FC2,FC3,FC4,FC5,FC6,FC9,FC10 枠
t1,t2,t3 時刻
hm 検査者
PL ランプ
k1,k2,k3,k4,k5,k6,k7,k8,k9 座標
SC1,SC2 画面
IM1,IM2 画像
Li1,Li2 リスト
R1,R2,R3,R4 マーク
GA エリア
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