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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161832
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】コネクタおよびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/57 20110101AFI20241113BHJP
【FI】
H01R12/57
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076912
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高村 直樹
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA21
5E223AB23
5E223BA01
5E223BA06
5E223BA07
5E223CB24
5E223CB31
5E223CB84
5E223CD01
5E223DB09
5E223DB11
5E223DB33
5E223DB36
5E223EA03
5E223EA13
5E223EA32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】端子のコプラナリティの低下を抑制できるコネクタおよびワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】コネクタ1は基板2に実装されるハウジング10と、ハウジングに対して軸線方向Xに沿って圧入される圧入部20aと圧入部と第1曲部20bを介して接続されハウジングの外側で基板に向かって延びる中間部20cと、中間部と第2曲部20dを介して接続され軸線方向Xに沿って圧入部とは反対側に延びて基板の回路と電気的に接続されるテール部20eとを有した端子20とを備え、ハウジングには軸線方向Xに沿って凹み端子の中間部を支持するガイド溝11が設けられ、ガイド溝の底部には、端子における第2曲部の近傍部位20fに当接することでテール部の基板に対する平坦度を調整可能なコプラナリティ調整部40が設けられる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装され、軸線方向に沿って相手側コネクタと嵌合される絶縁性のハウジングと、
前記ハウジングに対して前記軸線方向に沿って圧入され当該ハウジングの内側で前記相手側コネクタと電気的に接続される圧入部と、前記圧入部と第1曲部を介して接続され前記ハウジングの外側で前記基板に向かって延びる中間部と、前記中間部と第2曲部を介して接続され前記軸線方向に沿って前記圧入部とは反対側に延びて前記基板の回路と電気的に接続されるテール部と、を有した端子と、
を備え、
前記ハウジングには、前記軸線方向に沿って凹み、前記端子の前記中間部を支持するガイド溝が設けられ、
前記ガイド溝の底部には、前記端子における前記第2曲部の近傍部位に当接することで前記テール部の前記基板に対する平坦度を調整可能なコプラナリティ調整部が設けられる、
コネクタ。
【請求項2】
前記コプラナリティ調整部は、前記近傍部位に向けて先細り形状に形成されており、かつ
当該コプラナリティ調整部の先端部は、前記軸線方向と交差する幅方向から見た場合に円弧状に構成される、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子は、前記幅方向に互いに間隔をあけて設けられ、かつ前記軸線方向および前記幅方向と交差する高さ方向に互いにずれた状態で前記ハウジングに保持される複数の上段端子および複数の下段端子を含み、
前記ハウジングには、前記複数の上段端子および前記複数の下段端子に対応して複数の前記ガイド溝および複数の前記コプラナリティ調整部が設けられる、
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
導電性を有する配索材と、
前記配索材の端末に設けられる相手側コネクタと、
前記相手側コネクタと電気的かつ機械的に接続され、基板に実装されるコネクタと、を備え、
前記コネクタは、
前記基板に実装され、前記配索材の軸線方向に沿って前記相手側コネクタと嵌合される絶縁性のハウジングと、
前記ハウジングに対して前記軸線方向に沿って圧入され当該ハウジングの内側で前記相手側コネクタと電気的に接続される圧入部と、前記圧入部と第1曲部を介して接続され前記ハウジングの外側で前記基板に向かって延びる中間部と、前記中間部と第2曲部を介して接続され前記軸線方向に沿って前記圧入部とは反対側に延びて前記基板の回路と電気的に接続されるテール部と、を有した端子と、
を備え、
前記ハウジングには、前記軸線方向に沿って凹み、前記端子の前記中間部を支持するガイド溝が設けられ、
前記ガイド溝の底部には、前記端子における前記第2曲部の近傍部位に当接することで前記テール部の前記基板に対する平坦度を調整可能なコプラナリティ調整部が設けられる、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタおよびワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタに関する技術として、例えば、特許文献1には、基板に実装されるハウジングと、ハウジングに対して軸線方向に沿って圧入される圧入部、圧入部と第1曲部を介して接続されハウジングの外側で基板に向かって延びる中間部、中間部と第2曲部を介して接続され軸線方向に沿って圧入部とは反対側に延びて基板の回路と電気的に接続されるテール部を有した端子と、を備え、ハウジングに、軸線方向に沿って凹み端子の中間部を支持するガイド溝が設けられた、コネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-204165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載のコネクタでは、例えば、端子のコプラナリティを確保する点で、更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、端子のコプラナリティの低下を抑制できるコネクタおよびワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、基板に実装され、軸線方向に沿って相手側コネクタと嵌合される絶縁性のハウジングと、前記ハウジングに対して前記軸線方向に沿って圧入され当該ハウジングの内側で前記相手側コネクタと電気的に接続される圧入部と、前記圧入部と第1曲部を介して接続され前記ハウジングの外側で前記基板に向かって延びる中間部と、前記中間部と第2曲部を介して接続され前記軸線方向に沿って前記圧入部とは反対側に延びて前記基板の回路と電気的に接続されるテール部と、を有した端子と、を備え、前記ハウジングには、前記軸線方向に沿って凹み、前記端子の前記中間部を支持するガイド溝が設けられ、前記ガイド溝の底部には、前記端子における前記第2曲部の近傍部位に当接することで前記テール部の前記基板に対する平坦度を調整可能なコプラナリティ調整部が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るコネクタおよびワイヤハーネスは、ガイド溝の底部には、端子における第2曲部の近傍部位に当接することでテール部の基板に対する平坦度を調整可能なコプラナリティ調整部が設けられる。この構成により、コネクタおよびワイヤハーネスは、例えば、圧入部のハウジングに対する軸線方向の圧入量の増減によって、テール部がコプラナリティ調整部を支点として高さ方向(基板の板厚方向)に沿って上下動するため、これによりテール部の基板に対する平坦度を調整することができる。この結果、コネクタおよびワイヤハーネスは、端子のコプラナリティの低下を抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るコネクタが適用されるワイヤハーネスの例示的な斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るコネクタの例示的な正面図である。
図3図3は、実施形態に係るコネクタの例示的な分解斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るコネクタのガイド溝の例示的な斜視図である。
図5図5は、実施形態に係るコネクタの上段端子の例示的な断面図である。
図6図6は、実施形態に係るコネクタの下段端子の例示的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、下記実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0010】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るコネクタ1が適用されるワイヤハーネスWHの斜視図である。図1に示される本実施形態のコネクタ1は、自動車等の車両に配索されるワイヤハーネスWHに組み込まれるものである。ここで、ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ1等で当該配索材Wを各装置に接続するようにしたものである。本実施形態のワイヤハーネスWHは、導電性を有する配索材Wと、配索材Wの端末に設けられる相手側コネクタ3と、基板2に実装され相手側コネクタ3と電気的かつ機械的に接続されるコネクタ1と、を備えている。なお、ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、コルゲートチューブや、グロメット、電気接続箱、固定具、コネクタなど種々の構成部品を含んで構成されてもよい。
【0011】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「軸線方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。ここでは、軸線方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に略直交する。軸線方向Xは、典型的には、コネクタ1の前後方向や、コネクタ1と相手側コネクタ3との篏合方向、コネクタ1の後述するハウジング10に対する端子20の圧入方向、配索材Wの延在方向等に相当する。幅方向Yは、典型的には、コネクタ1の横幅方向(左右方向)等に相当する。高さ方向Zは、典型的には、コネクタ1および基板2の厚さ方向(上下方向)等に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、コネクタ1が基板2に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0012】
配索材Wは、例えば、金属棒や、電線、電線束等によって構成される。金属棒は、導電性を有する棒状部材の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線は、複数の導電性を有する金属素線からなる導体部(芯線)の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線束は、当該電線を束ねたものである。配索材Wは、軸線方向Xに沿って線状に延在し、軸線方向X(延在方向)に対してほぼ同じ径で延びるように形成される。
【0013】
基板2は、例えば、プリント基板等によって構成される。基板2の表面には、回路パターン等の回路が形成されている。基板2の回路は、通信回路等を含む。通信回路は、基板2に直接形成されていてもよく、通信機能を有するIC(集積回路)等として基板2に実装されていてもよい。基板2の回路には、コネクタ1の端子20が電気的に接続される。端子20は、相手側コネクタ3が保持する相手側端子と電気的に接続され、当該相手側端子を介して配索材Wと電気的に接続される。
【0014】
相手側コネクタ3は、例えば、相手側端子と、相手側ハウジング5と、を含んで構成される。相手側ハウジング5は、相手側端子を保持するものであり、絶縁性を有する合成樹脂材料等によって形成される。相手側端子は、例えば、コネクタ1の端子20と電気的に接続される端子接続部と、配索材Wの端末に露出した導体部と電気的に接続される電線接続部と、を含んだメス型の端子金具として構成される。相手側端子は、全体が導電性の金属によって構成され、各部に対応した形状に打ち抜かれた一枚の板金をプレス成形することにより各部が一体で形成される。
【0015】
図2は、コネクタ1の正面図であり、図3は、コネクタ1の分解斜視図である。図2、3に示されるように、コネクタ1は、例えば、ハウジング10と、複数の端子20と、一対のペグ30と、を有している。ハウジング10は、複数の端子20を保持するものであり、絶縁性を有する合成樹脂材料等によって形成される。ハウジング10は、例えば、幅方向Yが長辺方向となる略直方体の箱状に形成される。ハウジング10は、上壁10aや、下壁10b、一対の側壁10c、前壁10d等の複数の壁部を有している。
【0016】
上壁10aおよび下壁10bは、いずれも、高さ方向Zと直交する方向に沿って延びており、高さ方向Zに間隔をあけて互いに平行に設けられている。上壁10aは、ハウジング10の上端部を構成し、下壁10bは、ハウジング10の下端部を構成している。一対の側壁10cは、いずれも、幅方向Yと直交する方向に沿って延びており、幅方向Yに間隔をあけて互いに平行に設けられている。一対の側壁10cのうち一方は、上壁10aおよび下壁10bの幅方向Yの一端部の間に渡り、ハウジング10の左端部を構成している。一対の側壁10cのうち他方は、上壁10aおよび下壁10bの幅方向Yの他端部の間に渡り、ハウジング10の右端部を構成している。
【0017】
前壁10dは、上壁10aおよび下壁10bの軸線方向Xの一端部の間に渡り、ハウジング10の前端部を構成している。前壁10dは、軸線方向Xと直交する方向に沿って延びている。そして、ハウジング10には、上壁10a、下壁10b、一対の側壁10c、および前壁10dによって囲まれ、軸線方向Xの他方側に向けて開放された挿入空間部12が設けられている。挿入空間部12は、相手側コネクタ3が挿入される空間部である。挿入空間部12は、相手側コネクタ3の外形形状に応じて当該相手側コネクタ3が嵌合可能な大きさ、形状の空間部として形成される。
【0018】
また、前壁10dには、複数の端子20が収容される凹部10e(図3参照)が設けられている。凹部10eは、前壁10dの前面から軸線方向Xの他方側(相手側コネクタ3側)に向けて凹み、軸線方向Xの一方側(端子20側)に向けて開放されている。凹部10eには、後述するガイド溝11が設けられた下壁10bの前端部10b1が露出している。
【0019】
また、凹部10eの底部には、端子20が軸線方向Xに沿って圧入される複数の端子挿入口13、14が設けられている。端子挿入口13は、ハウジング10に対して端子20の上段端子20Aが取り付けられる貫通孔であり、端子挿入口14は、ハウジング10に対して端子20の下段端子20Bが取り付けられる貫通孔である。端子挿入口13、14は、互いに高さ方向Zにずれて位置され、それぞれ上述した挿入空間部12と連通している。
【0020】
ペグ30は、ハウジング10を基板2に対して固定する金属製の固定部材である。ペグ30は、例えば、幅方向Yから見た場合に、略T字状に形成される。ペグ30は、上述した一対の側壁10cの外面に設けられた保持部15に保持される。ペグ30は、例えば、保持部15に対して高さ方向Zに沿って圧入されることで当該保持部15に取り付けられる。ペグ30の下端部は、保持部15に保持された状態で、高さ方向Zの下方側に露出しており、当該下端部が基板2に半田付けされることで、コネクタ1が基板2に対して固定される。
【0021】
端子20は、例えば、導電性を有する金属材で構成されたオス型の端子金具であり、ハウジング10に保持される。端子20は、例えば、圧入部20aと、第1曲部20bと、中間部20cと、第2曲部20dと、テール部20eと、を含んで構成される。圧入部20a、第1曲部20b、中間部20c、第2曲部20d、およびテール部20eは、銅等の導電性を有する金属部材によって一体に形成されている。すなわち、端子20は、一枚の板金を、圧入部20a、第1曲部20b、中間部20c、第2曲部20d、およびテール部20eの各部に対応した形状にあわせて折り曲げ加工等の各種加工を施すことで各部が立体的に一体でクランク形状に形成される。
【0022】
圧入部20aは、ハウジング10に対して軸線方向Xに沿って圧入され、ハウジング10の内側で相手側端子と電気的に接続される部分である。圧入部20aは、端子20の軸線方向Xの他端部を構成している。中間部20cは、圧入部20aの軸線方向Xの一端部と第1曲部20bを介して接続され、ハウジング10の外側で基板2に向かって高さ方向Zに沿って延びる部分である。中間部20cは、圧入部20aに対して直交し、端子20の中間部を構成している。テール部20eは、中間部20cの下端部と第2曲部20dを介して接続され、軸線方向Xに沿って圧入部20aとは反対側に延びて基板2の回路と電気的に接続される部分である。テール部20eは、中間部20cに対して直交し、端子20の軸線方向Xの一端部を構成している。
【0023】
また、端子20は、例えば、複数の上段端子20Aと、複数の下段端子20Bと、を含んで構成される。上段端子20Aおよび下段端子20Bは、それぞれ、上述した圧入部20aと、第1曲部20bと、中間部20cと、第2曲部20dと、テール部20eと、を有している。上段端子20Aの圧入部20aは、ハウジング10の端子挿入口13に圧入され、下段端子20Bの圧入部20aは、ハウジング10の端子挿入口14に圧入される。また、上段端子20Aの中間部20cおよび下段端子20Bの中間部20cは、それぞれ、後述するハウジング10のガイド溝11に支持される。なお、上段端子20Aの中間部20cは、下段端子20Bの中間部20cに対して、高さ方向Zに沿った長さが長くなるように構成される。
【0024】
複数の上段端子20Aおよび複数の下段端子20Bは、端子挿入口13、14およびガイド溝11によって、幅方向Yに互いに間隔をあけて設けられ、かつ高さ方向Zに互いにずれた状態でハウジング10に保持される。複数の上段端子20Aは、例えば、ハウジング10の内側で相手側端子と電気的に接続され、当該相手側端子を介して配索材Wの第1通信線と電気的に接続される。また、複数の下段端子20Bは、例えば、ハウジング10の内側で相手側端子と電気的に接続され、当該相手側端子を介して配索材Wの第2通信線と電気的に接続される。
【0025】
図4は、コネクタ1のガイド溝11の斜視図である。図4に示されるように、下壁10bの前端部10b1には、上述した端子20(上段端子20Aおよび下段端子20B)の中間部20cを支持するガイド溝11が設けられている。ガイド溝11は、前端部10b1の前面から軸線方向Xの他方側に凹み、軸線方向Xの一方側に向けて開放されている。前端部10b1には、端子20に対応して複数のガイド溝11が幅方向Yに互いに間隔をあけて設けられている。
【0026】
ガイド溝11は、それぞれ、端子20と幅方向Yに対向する一対の側面11aを有している。一対の側面11aの間の間隔は、端子20の幅方向Yに沿った横幅と略同じである。一対の側面11aは、端子20のハウジング10(端子挿入口13、14)に対する幅方向Yへの移動(位置ズレ)を抑制するガイド面として機能する。
【0027】
また、ガイド溝11の底部には、軸線方向Xの一方側に突出したコプラナリティ調整部40が設けられている。コプラナリティ調整部40は、上述した端子20における第2曲部20dの近傍部位20f(図5参照)に当接することでテール部20eの基板2に対する平坦度を調整するものである。コプラナリティ調整部40は、例えば、先端部40aと、傾斜面40bと、底面40c(図5参照)と、を含んで構成される。
【0028】
図5は、コネクタ1の上段端子20Aの断面図であり、図6は、コネクタ1の下段端子20Bの断面図である。図5、6に示されるように、傾斜面40bは、コプラナリティ調整部40の高さ方向Zの上方側の上面を構成する部分である。傾斜面40bは、ガイド溝11の底部から軸線方向Xの一方側に向かうにつれて高さ方向Zの下方側に向かうように傾斜している。すなわち、傾斜面40bは、ガイド溝11の底部から第2曲部20dの近傍部位20fに向けて突出している。傾斜面40bの幅方向Yの両端部は、ガイド溝11の一対の側面11aと接続される。
【0029】
底面40cは、コプラナリティ調整部40の高さ方向Zの下方側の下面を構成する部分である。底面40cは、ガイド溝11の底部から軸線方向Xの一方側に延びている。すなわち、底面40cは、ガイド溝11の底部から第2曲部20dの近傍部位20fに向けて突出している。本実施形態では、底面40cと傾斜面40bとの間の角度は、90°よりも小さい鋭角に構成される。これにより、コプラナリティ調整部40は、第2曲部20dの近傍部位20fに向けて先細り形状に形成される。底面40cの幅方向Yの両端部は、ガイド溝11の一対の側面11aと接続される。
【0030】
先端部40aは、コプラナリティ調整部40の軸線方向Xの一方側の先端を構成し、傾斜面40bと底面40cとを接続する部分である。また、先端部40aは、第2曲部20dの近傍部位20fに当接する部分である。本実施形態では、先端部40aは、幅方向Yから見た場合に円弧状に構成される。すなわち、先端部40aは、軸線方向Xの一方側に凸の状態で円弧状(半円状)に湾曲している。
【0031】
このような構成において、本実施形態では、例えば、先端部40aと近傍部位20fとが面接触した状態で、圧入部20aのハウジング10(端子挿入口13、14)に対する圧入量を増減させることによって、テール部20eが先端部40aを支点として高さ方向Zに沿って変形(湾曲)する。これにより、テール部20eの基板2に対する平坦度を調整することができる。
【0032】
ここで、近傍部位20fとは、例えば、端子20(上段端子20Aおよび下段端子20B)における中間部20cの下端部と第2曲部20dの下端部との間の範囲である。本実施形態では、近傍部位20fとして、端子20における中間部20cと第2曲部20dとの間の境界部位に、軸線方向Xの他方側からコプラナリティ調整部40の先端部40aが当接するように構成される。なお、コプラナリティ調整部40は、この例には限定されず、例えば、近傍部位20fとして、第2曲部20dの中間部(屈曲中央部)や、第2曲部20dの下端部等に、軸線方向Xの他方側からコプラナリティ調整部40の先端部40aが当接するように構成されてもよい。
【0033】
以上のように、本実施形態のコネクタ1およびワイヤハーネスWHでは、ガイド溝11の底部には、端子20における第2曲部20dの近傍部位20fに当接することでテール部20eの基板2に対する平坦度を調整可能なコプラナリティ調整部40が設けられる。この構成により、コネクタ1およびワイヤハーネスWHは、例えば、圧入部20aのハウジング10に対する軸線方向Xの圧入量の増減によって、テール部20eがコプラナリティ調整部40を支点として高さ方向Z(基板2の板厚方向)に沿って上下動するため、これによりテール部20eの基板2に対する平坦度を調整することができる。この結果、コネクタ1およびワイヤハーネスWHは、端子20のコプラナリティの低下を抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態のコネクタ1およびワイヤハーネスWHでは、コプラナリティ調整部40は、近傍部位20fに向けて先細り形状に形成されており、かつ当該コプラナリティ調整部40の先端部40aは、軸線方向Xと交差する幅方向Yから見た場合に円弧状に構成される。この構成により、コネクタ1およびワイヤハーネスWHは、例えば、先端部40aと近傍部位20fとの当接によってテール部20eを、より容易に、より円滑に、あるいはより効果的に高さ方向Zに沿って変形(湾曲)させることができる。
【0035】
また、本実施形態のコネクタ1およびワイヤハーネスWHでは、端子20は、幅方向Yに互いに間隔をあけて設けられ、かつ高さ方向Zに互いにずれた状態でハウジング10に保持される複数の上段端子20Aおよび複数の下段端子20Bを含み、ハウジング10には、複数の上段端子20Aおよび複数の下段端子20Bに対応して複数の前記ガイド溝11および複数のコプラナリティ調整部40が設けられる。この構成により、コネクタ1およびワイヤハーネスWHは、例えば、上段端子20Aおよび下段端子20Bのそれぞれの圧入部20aの圧入量を調整することによって、上段端子20Aおよび下段端子20Bのそれぞれのテール部20eの平坦度を調整することができる。この結果、コネクタ1およびワイヤハーネスWHは、複数の端子20のコプラナリティの低下をより一層抑制することができる。
【0036】
なお、本実施形態では、コプラナリティ調整部40は、底面40cと傾斜面40bとの間の角度が鋭角となる三角形状の断面を有した場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、軸線方向Xに沿って延びる四角形状(円柱状、棒状)の断面を有するように構成されてもよいし、軸線方向Xの一方側が頂部となる台形状の断面を有するように構成されてもよい。また、本実施形態では、端子20は、複数の上段端子20Aおよび複数の下段端子20Bを有した場合が例示されたが、この例には限定されず、上段端子20Aおよび下段端子20Bを有さなくてもよい。
【0037】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 コネクタ
2 基板
3 相手側コネクタ
10 ハウジング
11 ガイド溝
20 端子
20A 上段端子
20B 下段端子
20a 圧入部
20b 第1曲部
20c 中間部
20d 第2曲部
20e テール部
20f 近傍部位
40 コプラナリティ調整部
40a 先端部
W 配索材
WH ワイヤハーネス
X 軸線方向
Y 幅方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6