IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-情報処理装置及び画像形成装置 図1
  • 特開-情報処理装置及び画像形成装置 図2
  • 特開-情報処理装置及び画像形成装置 図3
  • 特開-情報処理装置及び画像形成装置 図4
  • 特開-情報処理装置及び画像形成装置 図5
  • 特開-情報処理装置及び画像形成装置 図6
  • 特開-情報処理装置及び画像形成装置 図7
  • 特開-情報処理装置及び画像形成装置 図8
  • 特開-情報処理装置及び画像形成装置 図9
  • 特開-情報処理装置及び画像形成装置 図10
  • 特開-情報処理装置及び画像形成装置 図11
  • 特開-情報処理装置及び画像形成装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024161840
(43)【公開日】2024-11-20
(54)【発明の名称】情報処理装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20241113BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076930
(22)【出願日】2023-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェニーベル シラドル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ ルザレス
(72)【発明者】
【氏名】アール クロイド・オロンガヨ
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AB06
5B376AB10
5B376CA16
5B376CA19
5B376CA36
5B376CA45
(57)【要約】
【課題】同一のネットワークに接続された他装置から送信されてくる更新ファイルに基づいてファームウェアを短時間で正確に更新する。
【解決手段】画像形成装置は、予め定められた更新条件が成立した場合に、同一のネットワークNWに接続される他装置から送信されてくる更新ファイルに基づくファームウェアの更新に関する処理を実行する制御部100を備える。上記更新条件には、他装置の機種が自装置と同型である、及び他装置が有するファームウェアのバージョンが自装置よりも上位である、の適合条件が含まれる。制御部100は、他装置の機種情報及びファームウェアのバージョン情報に基づいて上記更新条件が成立していると判断した場合、上記適合条件を満たす他装置に対して更新ファイルの送信を要求し、他装置から送信されてきた更新ファイルに基づいてファームウェアの更新を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファームウェアを有し、当該ファームウェアにより制御される情報処理装置であって、
前記情報処理装置である自装置と、同一のネットワークに接続される他の情報処理装置である他装置との間で相互通信を行う通信部と、
前記他装置からの要求に応じて、前記通信部を介して、前記ファームウェアを更新するのに必要な更新ファイルを要求元の前記他装置に送信する制御部と、を備え、
更に、前記制御部は、予め定められた更新条件が成立した場合に、前記他装置から送信されてくる前記更新ファイルに基づく前記ファームウェアの更新に関する処理を実行し、
前記更新条件には、前記他装置の機種が前記自装置と同型であること、及び前記他装置が有する前記ファームウェアのバージョンが前記自装置よりも上位であることの適合条件が含まれ、
前記制御部は、前記他装置の機種情報及び前記ファームウェアのバージョン情報に基づいて、前記更新条件が成立しているか否かを判断し、
前記更新条件が成立していると判断した場合、前記適合条件を満たす前記他装置に対して前記更新ファイルの送信を要求し、
前記要求に応じて前記他装置から送信されてきた前記更新ファイルに基づいて前記ファームウェアの更新を実行する情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記自装置の機種情報及び前記ファームウェアのバージョン情報を含む自装置情報を前記他装置に対して前記通信部により送信し、
前記他装置の機種情報及び前記ファームウェアのバージョン情報を含む他装置情報を前記通信部により受信すると、当該受信した前記他装置情報に基づいて、前記更新条件が成立しているか否かを判断する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記自装置が有する前記ファームウェアの更新を実行すると、前記自装置情報を前記他装置に対して送信する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記更新条件に、前記他装置から送信されてくる前記更新ファイルに基づく前記ファームウェアの更新を許可するユーザー設定が有効となっていることが含まれている請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記他装置に対して当該他装置の機種情報及び前記ファームウェアのバージョン情報を含む他装置情報の送信を要求し、
前記要求に応じて前記他装置から送信されてきた前記他装置情報に基づいて、前記適合条件を満たす前記他装置を検出し、当該検出した前記他装置に対して前記更新ファイルの送信を要求し、
前記要求に応じて前記他装置から送信されてきた前記更新ファイルに基づいて前記ファームウェアの更新を実行する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記更新ファイルが複数の異なる個別ファイルを含んで構成され、
前記適合条件を満たす前記他装置が複数存在し、複数の前記他装置から前記個別ファイルが順次送信されてくる場合、
前記制御部は、前記個別ファイルを受信する際に、最初に送信されてきた前記個別ファイルのみを受信し、2番目以降に送信されてきた同一の前記個別ファイルは受信を拒否すると共に、受信を拒否したことを前記個別ファイルの送信元に通知し、
更に、前記制御部は、前記通知を受信した場合には、受信が拒否された前記個別ファイル以外の前記個別ファイルを前記要求元に送信する請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理装置と、
画像を記録媒体に形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファームウェアを有し、当該ファームウェアにより制御される情報処理装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置が有するファームウェアは、不具合を修正したり、新しい機能を追加したりするために更新されることがある。情報処理装置は、サーバーなどの外部装置や、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどの外部記憶媒体からファームウェアを更新するのに必要な更新ファイルを取得して、ファームウェアを更新していた。また、下記特許文献1には、ネットワークに接続された複数のデバイスに対するファームウェアの更新について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9112891号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オフィスなどで構築される社内ネットワークに繋がる複数の情報処理装置がファームウェアの更新ファイルをダウンロードして取得する場合、複数の情報処理装置それぞれがサーバーと個別に通信する必要があり、情報処理装置それぞれがサーバーと通信するための機能が必要であった。また、複数の情報処理装置でファームウェア更新が完了するまでに多くの時間を要することがあった。
【0005】
また、更新ファイルの取得作業を、ユーザーが手動で行うと、手間であるだけでなく、互換性のない更新ファイルを情報処理装置に誤って取り込むなどの作業ミスが生じることがある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、ファームウェアを短時間で正確に更新可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る情報処理装置は、ファームウェアを有し、当該ファームウェアにより制御される情報処理装置であって、前記情報処理装置である自装置と、同一のネットワークに接続される他の情報処理装置である他装置との間で相互通信を行う通信部と、前記他装置からの要求に応じて、前記通信部を介して、前記ファームウェアを更新するのに必要な更新ファイルを要求元の前記他装置に送信する制御部と、を備え、更に、前記制御部は、予め定められた更新条件が成立した場合に、前記他装置から送信されてくる前記更新ファイルに基づく前記ファームウェアの更新に関する処理を実行し、前記更新条件には、前記他装置の機種が前記自装置と同型であること、及び前記他装置が有する前記ファームウェアのバージョンが前記自装置よりも上位(新しいバージョン)であることの適合条件が含まれ、前記制御部は、前記他装置の機種情報及び前記ファームウェアのバージョン情報に基づいて、前記更新条件が成立しているか否かを判断し、前記更新条件が成立していると判断した場合、前記適合条件を満たす前記他装置に対して前記更新ファイルの送信を要求し、前記要求に応じて前記他装置から送信されてきた前記更新ファイルに基づいて前記ファームウェアの更新を実行する。
【0008】
また、本発明の一局面に係る画像形成装置は、本発明の一局面に係る上記情報処理装置と、画像を記録媒体に形成する画像形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、同一のネットワークに接続された他装置から送信されてくる更新ファイルに基づいて、ファームウェアを短時間で正確に更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を含んで構成される情報処理システムの全体構成の一例を示す概略図である。
図2】画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図3】更新ファイルを構成する個別ファイルが格納される記憶場所を説明するための図である。
図4】情報処理システムで行われるファームウェア更新処理の一例を示すフローチャートである。
図5】画像形成装置間での通信例を説明するための図である。
図6】(A)は、画像形成装置の装置情報を示す図であり、(B)は、更新条件が成立しているか否かを説明する図である。
図7】情報処理システムで行われるファームウェア更新処理の他の実施形態の一例を示すフローチャートである。
図8】情報処理システムの全体構成の一例を示す概略図である。
図9】画像形成装置間での通信例を説明するための図である。
図10】(A)は、画像形成装置の装置情報を示す図であり、(B)は、適合条件が成立しているか否かを説明する図である。
図11】画像形成装置間での通信例を説明するための図である。
図12】(A)乃至(D)は、画像形成装置間での通信例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る情報処理装置及び画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を含んで構成される情報処理システムの全体構成の一例を示す概略図である。
【0012】
情報処理システム11は、同一のネットワークNW上に存在する、一実施形態に係る画像形成装置1A乃至1G(以降、「画像形成装置1」とも記す)を複数(ここでは7台)備える。図1に示したように、これら複数の画像形成装置1は、ネットワークNWを介して接続され、相互に通信可能になっている。また、画像形成装置1は、本発明に係る情報処理装置の一実施形態である。
【0013】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。また、画像形成装置1は、ファームウェアを有し、当該ファームウェアにより制御される。すなわち、画像形成装置1の制御ユニット10(図2)は、制御部100として、ファームウェアに従って、画像形成装置1の基本動作を制御する。画像形成装置1A,1B,1D,1F,1Gは機種が同型であり、ファームウェアも同型である。画像形成装置1C,1Eは、これら画像形成装置1A等と機種が同型でなく、ファームウェアも異なる。
【0014】
図2は、画像形成装置1の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部47、ネットワークインターフェイス部91、及び記憶部8を含んで構成されている。画像形成装置1には、外部記憶媒体(例えば、USBメモリー7)が脱着可能に構成されている。
【0015】
原稿給送部6は、原稿読取部5の上面に図略のヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部6は、図略のプラテンガラス上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。また、原稿給送部6は、ADF(Auto Document Feeder)であり、図略の原稿載置トレイを備え、原稿載置トレイに載置されている原稿を原稿読取部5へ供給する。
【0016】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により原稿読取部5へ供給された原稿、又は上記プラテンガラス上に載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。
【0017】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、画像メモリー等に記憶されている画像データ、ネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙にトナー像を形成する。
【0018】
定着部13は、画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録紙に定着させるものであり、定着処理が施された記録紙は図略の排出トレイに排出される。給紙部14は、給紙カセットを備える。
【0019】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、操作者から、画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。また、操作部47は、表示部473が有するタッチパネルを介して、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザーによる操作(タッチ操作)に基づく、ユーザーからの指示の入力を受け付ける。
【0020】
表示部473は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる。表示部473は、タッチパネルを備えている。操作者は画面表示されるボタンやキーに触れる操作を行うと、タッチパネルにより、タッチ操作された位置に対応付けられた指示が受け付けられる。
【0021】
ネットワークインターフェイス部91は、ローカルエリア内の外部装置と種々のデータの送受信を行う通信インターフェイスであり、自装置MAと同一のネットワークNWに接続される他装置MB(図1に示した他の画像形成装置1)との間での相互通信を可能にする。なお、ネットワークインターフェイス部91は、特許請求の範囲における通信部の一例である。
【0022】
記憶部8は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置であり、各種の制御プログラム(ファームウェアを含む)等を記憶する。
【0023】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100を備えている。
【0024】
制御ユニット10は、記憶部8に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100として機能するものである。但し、制御部100は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。また、制御ユニット10は、ファームウェアに従って、制御部100として、画像形成装置1の基本動作を制御する。
【0025】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部47、ネットワークインターフェイス部91、記憶部8、及びUSBメモリー7と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。例えば、制御部100は、画像形成装置1による画像形成に必要な各種の処理などを実行する。
【0026】
また、制御部100は、ファームウェアを更新するのに必要な更新ファイルFを格納するための記憶場所を記憶部8に確保する。更新ファイルFは、複数の個別ファイルから構成される。そのため、例えば、更新ファイルFが6つの個別ファイルDF1乃至DF6(以降、「個別ファイルDF」とも記す)から構成されている場合、制御部100は、図3に示すように、これら個別ファイルDF1乃至DF6を格納するための記憶場所L0乃至L5を記憶部8に確保する。
【0027】
制御部100は、例えば、操作部47を介して行われるユーザーからの指示に従って、画像形成装置1に装着されたUSBメモリー7に保存されている更新ファイルFを制御ユニット10の記憶部8に格納し、更新ファイルFに基づいてファームウェアの更新を行う。
【0028】
また、制御部100は、他装置MBからの要求に応じて、ネットワークインターフェイス部91を介して、更新ファイルFを要求元である他装置MBに送信する。
【0029】
更に、制御部100は、予め定められた更新条件C1が成立した場合に、他装置MBから送信されてくる更新ファイルFに基づくファームウェアの更新に関する処理を実行する。上記更新条件C1には、他装置MBの機種が自装置MAと同型であること(第1条件)、及び他装置MBが有するファームウェアのバージョンが自装置MAよりも上位であること(第2条件)の適合条件C2が含まれ、更に、他装置MBから送信されてくる更新ファイルFに基づくファームウェアの更新を許可するユーザー設定が有効となっていること(第3条件)が含まれる。
【0030】
上記ユーザー設定については、操作部47がユーザーから受け付ける指示に従って、制御部100が設定する。なお、更新条件C1について、適合条件C2(上記第1条件及び上記第2条件)は技術的に必須であるが、上記第3条件は技術的に必須ではないため、含まないとすることも可能である。
【0031】
また、制御部100は、他装置MBの機種情報及びファームウェアのバージョン情報に基づいて、更新条件C1が成立しているか否かを判断し、更新条件C1が成立していると判断した場合、適合条件C2を満たす(すなわち、自装置MAと機種が同型で、なおかつ自装置MAよりもファームウェアのバージョンが上位の)他装置MBに対して更新ファイルFの送信を要求し、要求に応じて他装置MBから送信されてきた更新ファイルFを記憶部8に格納し、更新ファイルFに基づいてファームウェアの更新を実行する。
【0032】
次に、情報処理システム11で行われるファームウェア更新処理の一例を、図4に示すフローチャートを参照して説明する。この更新処理は、画像形成装置1A乃至1Gの中で、新たなバージョンのファームウェアに最初に更新された装置を起点にして、同一のネットワークNWに接続されている他装置のファームウェアの更新を行う処理である。ここでは、画像形成装置1Aで新たなバージョンのファームウェアの更新が最初に行われた場合を例にして説明する。
【0033】
画像形成装置1Aの制御部100は、新たなバージョンのファームウェアの更新を完了させると、自装置MA(画像形成装置1A)の機種情報及び当該ファームウェアのバージョン情報を含む自装置情報を、ネットワークインターフェイス部91を介して、同一のネットワークNWに接続されている他装置MBに対して送信する(S1)。画像形成装置1Aは、図5に例を示すように、画像形成装置1B乃至1Gの6台に対して、自装置情報を送信する。
【0034】
画像形成装置1B乃至1Gの制御部100は、他装置情報(S1で送信された画像形成装置1Aの自装置情報)を受信すると(S2)、当該受信した他装置情報に含まれる他装置MB(画像形成装置1A)の機種情報及びファームウェアのバージョン情報と、自装置(画像形成装置1B乃至1G)の機種情報及びファームウェアのバージョン情報との比較、更に、自身のユーザー設定情報に基づいて、上記更新条件C1が成立しているか否かを判断する(S3)。
【0035】
図6(A)は、画像形成装置1A乃至1Gそれぞれの機種名、ファームウェア(FW)のバージョン、及び他装置MBから送信されてくる更新ファイルFに基づくファームウェア更新を許可するか否かについてのユーザー設定の有効/無効を示す図である。
【0036】
図6(A)は、画像形成装置1A,1B,1D,1F,1Gの機種名が「ABC2020-XX」で、機種が同型であり、これら5台のファームウェアが同型であることを示す。また、図6(A)は、画像形成装置1A,1Cの2台のファームウェアは「バージョン4(v4)」で、これら以外の5台のファームウェアは「バージョン3(v3)」であることを示す。また、図6(A)は、上記ユーザー設定については、画像形成装置1A乃至1Eの5台が「有効」(更新を許可する)で、画像形成装置1F,1Gの2台が「無効」(更新を許可しない)であることを示す。
【0037】
図6(B)は、画像形成装置1B乃至1Gそれぞれにおいて、上記更新条件C1が成立しているか否かを説明する図である。図6(B)に示すように、他装置MB(画像形成装置1A)の機種が自装置MAと同型で(上記第1条件を満たし)、他装置MBが有するファームウェアのバージョンが自装置MAよりも上位で(上記第2条件を満たし)、更に、上記ユーザー設定が「有効」で(上記第3条件を満たし)、上記更新条件C1が「成立」するのは画像形成装置1B,1Dの2台である。すなわち、画像形成装置1B,1Dの制御部100は、更新条件C1が成立していると判断する(S3でYES)。
【0038】
更新条件C1が成立していると判断した画像形成装置1B,1Dの制御部100は、他装置情報を送信してきた他装置MB(画像形成装置1A)に対して更新ファイルFの送信を要求する(S4)。一方、残りの4台の画像形成装置1C,1E乃至1Gの制御部100は、更新条件C1が成立していないと判断する(S3でNO)。画像形成装置1C,1E乃至1Gでは、処理は終了する。
【0039】
画像形成装置1Aの制御部100は、上記要求を受信すると(S5)、更新ファイルFを要求元(画像形成装置1B,1D)に対して送信する(S6)。この後、処理は終了する。
【0040】
画像形成装置1B,1Dの制御部100は、上記要求に応じて他装置MB(画像形成装置1A)から送信されてきた更新ファイルFを受信すると(S7)、受信した更新ファイルFを記憶部8に格納し(S8)、更新ファイルFに基づいてファームウェアを更新する(S9)。この後、処理は終了する。
【0041】
これにより、ネットワークNWに接続されている画像形成装置1のいずれか1台(ここでは画像形成装置1A)でファームウェアの更新が行われると、それを起点にして、上記更新条件C1が成立する他の画像形成装置1(ここでは画像形成装置1B,1D)でファームウェアの更新が行われる。
【0042】
次に、情報処理システム11で行われるファームウェア更新処理の他の実施形態の一例を、図7に示すフローチャートを参照して説明する。この更新処理は、画像形成装置1A乃至1Gの中で、新たなバージョンのファームウェアに最初に更新された装置を起点にして、同一のネットワークNWに接続されている他装置のファームウェアの更新を行う処理である。ここでは、ネットワークNWに新たに接続された画像形成装置1H(図8を参照)のファームウェアを更新する場合を例にして説明する。図8は、ネットワークNWに新たに画像形成装置1Hが接続された情報処理システム11の全体構成を示している。
【0043】
画像形成装置1Hの制御部100は、操作部47が他装置MBを利用してファームウェアを更新する指示をユーザーから受け付けたとき、ネットワークインターフェイス部91を介して、図9に例を示すように、他装置MB(画像形成装置1A乃至1G)に対して、当該他装置MBの機種情報及びファームウェアのバージョン情報を含む他装置情報の送信を要求する(S11)。
【0044】
画像形成装置1A乃至1Gの制御部100は、上記要求を受信すると(S12)、自装置MA(画像形成装置1A乃至1G)の機種情報及びファームウェアのバージョン情報を含む自装置情報を要求元(画像形成装置1H)に対して送信する(S13)。
【0045】
画像形成装置1Hの制御部100は、上記要求に応じて他装置MBから送信されてきた他装置情報(S13で送信されてきた画像形成装置1A乃至1Gそれぞれの自装置情報)を受信すると(S14)、当該受信した他装置情報に基づいて、上記適合条件C2を満たす他装置MBを検出する(S15)。
【0046】
図10(A)は、画像形成装置1A乃至1Hそれぞれの機種名、ファームウェア(FW)のバージョン、及び他装置MBから送信されてくる更新ファイルFに基づくファームウェア更新を許可するか否かについてのユーザー設定の有効/無効を示す図である。
【0047】
図10(A)は、画像形成装置1A,1B,1D,1F,1G,1Hの機種名が「ABC2020-XX」で、機種が同型であり、これら6台のファームウェアが同型であることを示している。また、図10(A)は、画像形成装置1A乃至1Dの4台のファームウェアは「バージョン4(v4)」で、これら以外の4台のファームウェアは「バージョン3(v3)」であることを示している。また、図10(A)は、上記ユーザー設定については、画像形成装置1A乃至1E,1Hの6台が「有効」で、画像形成装置1F,1Gの2台が「無効」であることを示している。
【0048】
図10(B)は、画像形成装置1A乃至1Gそれぞれにおいて、上記適合条件C2が成立しているか否かを説明する図である。図10(B)に示すように、自装置MA(画像形成装置1H)と機種が同型で(上記第1条件を満たし)、自装置MAよりもファームウェアのバージョンが上位で(上記第2条件を満たし)、上記適合条件C2が「成立」するのは画像形成装置1A,1B,1Dの3台である。
【0049】
画像形成装置1Hの制御部100は、図11に例を示すように、S15で検出した、適合条件C2を満たす他装置MB(画像形成装置1A,1B,1D)に対して更新ファイルFの送信を要求する(S16)。一方、画像形成装置1Hの制御部100が、S15で適合条件C2を満たす他装置MBを検出できなかった場合、この処理は終了する。
【0050】
画像形成装置1A,1B,1Dの制御部100は、上記要求を受信すると(S17)、図11に例を示すように、更新ファイルFを要求元(画像形成装置1H)に対して送信する(S18)。この後、処理は終了する。
【0051】
画像形成装置1Hの制御部100は、上記要求に応じて他装置MB(画像形成装置1A,1B,1D)から送信されてきた更新ファイルFを受信すると(S19)、受信した更新ファイルFを記憶部8に格納し(S20)、更新ファイルFに基づいてファームウェアの更新を行う(S21)。この後、処理は終了する。なお、この場合、画像形成装置1Hの制御部100は、最初に受信した更新ファイルFのみを記憶部8に格納してもよいし(S20)、更新ファイルFを受信する度に新たに受信した更新ファイルFに書き換えてもよい(S20)。
【0052】
これにより、ネットワークNWに新たに接続された画像形成装置1Hのファームウェアの更新が、上記適合条件C2を満たす他の画像形成装置1(ここでは画像形成装置1A,1B,1D)から適切な更新ファイルFを得て行うことが可能になる。
【0053】
ところで、上記したように、上記適合条件C2を満たす他装置MB(画像形成装置1A,1B,1D)が複数存在し、画像形成装置1Hの制御部100が、複数の他装置MBに対して更新ファイルFの送信を要求した場合、複数の他装置MBそれぞれから個別ファイルDF1乃至DF6の全てが送信されてくることになる。これは無駄が多く、効率的と言えない。
【0054】
そこで、上記適合条件C2を満たす他装置MB(画像形成装置1A,1B,1D)は、個別ファイルDF1乃至DF6を個別ファイル別に順次要求元の画像形成装置1Hに送信するものとし、画像形成装置1Hの制御部100は、1つの個別ファイルDFを受信するとき、最初に送信されてきた個別ファイルDFのみを受信し、2番目以降に送信されてきた同一の個別ファイルDFは受信を拒否すると共に、受信を拒否したことを個別ファイルDFの送信元に通知する。このとき、送信元の画像形成装置(画像形成装置1A,1B,1D)の制御部100は、上記通知を受信すると、受信が拒否された個別ファイルDF以外の個別ファイルDFを要求元の画像形成装置1Hに送信する。例えば、更新ファイルFの個別ファイルDF1乃至DF6のように、番号又は順番が設定されている場合、送信元の画像形成装置(画像形成装置1A,1B,1D)の制御部100は、次の番号又は順番が付されている個別ファイルDFを要求元の画像形成装置1Hに送信する。以下では、このように次の番号又は順番が付されている個別ファイルDFを要求元の画像形成装置1Hに送信する例に基づいて説明する。
【0055】
画像形成装置1Hの制御部100が、複数の画像形成装置1A,1B,1Dに対して更新ファイルF(個別ファイルDF1乃至DF6)の送信を要求した場合を例にして、画像形成装置1Hと複数の画像形成装置1A,1B,1Dとの通信内容について、図12を参照して説明する。
【0056】
図12(A)に示すように、画像形成装置1Hの制御部100が、複数の画像形成装置1A,1B,1Dに対して更新ファイルFの送信を要求すると、複数の画像形成装置1A,1B,1Dの制御部100はそれぞれ、個別ファイルDF1を画像形成装置1Hに対して送信する。
【0057】
このとき、画像形成装置1Hの制御部100は、最初に届いた画像形成装置1Aからの個別ファイルDF1は受信するが、画像形成装置1B,1Dからの個別ファイルDF1の受信を拒否し、画像形成装置1B,1Dに対して個別ファイルDF1の受信拒否通知を送信する。なお、画像形成装置1Hの制御部100は、最初に個別ファイルDF1を送信してきた画像形成装置1Aには個別ファイルDF1の受信拒否通知を送信しない。
【0058】
画像形成装置1B,1Dの制御部100は、上記受信拒否通知を受信すると、図12(B)に示すように、次の個別ファイルDF2を画像形成装置1Hに対して送信する。画像形成装置1Hの制御部100は、最初に届いた画像形成装置1Bからの個別ファイルDF2は受信するが、画像形成装置1Dからの個別ファイルDF2の受信を拒否し、画像形成装置1Dに対して個別ファイルDF2の受信拒否通知を送信する。なお、画像形成装置1Hの制御部100は、最初に個別ファイルDF2を送信してきた画像形成装置1Bには個別ファイルDF2の受信拒否通知を送信しない。
【0059】
画像形成装置1Dの制御部100は、上記受信拒否通知を受信すると、個別ファイルDF3を画像形成装置1Hに対して送信する。画像形成装置1Hの制御部100は、図12(C)に示すように、画像形成装置1Dからの個別ファイルDF3を受信する。
【0060】
ここで、画像形成装置1Hの制御部100は、個別ファイルDFの受信が正常に完了する度に、送信元に対して完了通知を送信する。例えば、画像形成装置1Hの制御部100は、個別ファイルDF1の受信が正常に完了すると、送信元の画像形成装置1Aに対して個別ファイルDF1の受信完了通知を送信する。送信元の画像形成装置の制御部100は、個別ファイルDF1の受信完了通知を受信すると、次の番号又は順番の個別ファイルDF2を画像形成装置1Hに対して送信することになる。
【0061】
このとき、個別ファイルDF2については、画像形成装置1Bが既に送信を開始して画像形成装置1Hが受信しているので、画像形成装置1Aの制御部100は、画像形成装置1Hから個別ファイルDF2の受信拒否通知を受信することになり、個別ファイルDF3を画像形成装置1Hに対して送信する。
【0062】
また、個別ファイルDF3についても、画像形成装置1Cが既に送信を開始して画像形成装置1Hが受信しているので、画像形成装置1Aの制御部100は、画像形成装置1Hからの個別ファイルDF3の受信拒否通知を再度受信することになり、次の番号又は順番の個別ファイルDF4を画像形成装置1Hに対して送信することになる。このような個別ファイルDFの送受信処理は、他の画像形成装置1B,1Dと画像形成装置1Hとの間でも同様に行われる。
【0063】
上記したような処理が繰り返され、最終的には、図12(D)に示すように、画像形成装置1A,1B,1Dの制御部100はそれぞれ、画像形成装置1Hに対して個別ファイルDF4,DF5,DF6を送信し、画像形成装置1Hで受信される。従って、個別ファイルDFは複数の他装置MB(画像形成装置1A,1B,1D)により並行して画像形成装置1Hに送信されるので、自装置MA(画像形成装置1H)は更新ファイルFを効率よく取得することができる。
【0064】
なお、個別ファイルDFの送信中にエラーが発生した場合には、更新ファイルFの要求元(ここでは画像形成装置1Hの制御部100)は、送信元に対して再送を要求し、エラー回数が予め定められた回数に達した場合には、別の装置に送信を要求する。
【0065】
上記実施形態によれば、同一のネットワークNWに接続された他装置MBから送信されてくる更新ファイルFに基づいてファームウェアの更新が可能である。これにより、ファームウェアの更新に要するユーザーの手間を軽減でき、更新時間の短縮も可能となる。また、ファームウェアを更新するための更新条件C1が設けられているので、互換性がないなど、不適切な更新ファイルFの取得についても防ぐことができる。また、他装置MBと繋がっていれば、ファームウェアの更新が可能となるので、サーバーなどの外部装置との通信を行う機能を不要にすることもできる。従って、上記実施形態によれば、同一のネットワークに接続された他装置から送信されてくる更新ファイルに基づいて、ファームウェアを短時間で正確に更新することができる。
【0066】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、図1乃至図12を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置
12 画像形成部
91 ネットワークインターフェイス部
100 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12